(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】識別装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20250101AFI20250109BHJP
B64F 1/36 20240101ALI20250109BHJP
G06N 3/049 20230101ALI20250109BHJP
【FI】
G08G5/00 A
B64F1/36
G06N3/049
(21)【出願番号】P 2020108623
(22)【出願日】2020-06-24
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000232221
【氏名又は名称】日本電気航空宇宙システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】本田 圭杜
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/176058(WO,A1)
【文献】特開2008-097454(JP,A)
【文献】国際公開第2019/213763(WO,A1)
【文献】特開2018-135075(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057060(WO,A1)
【文献】特開平04-276523(JP,A)
【文献】特開2011-237323(JP,A)
【文献】特開2006-154961(JP,A)
【文献】特開2000-275096(JP,A)
【文献】特表2018-534188(JP,A)
【文献】国際公開第2020/070897(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B64B 1/00 - 1/70
B64C 1/00 - 99/00
B64D 1/00 - 47/08
B64F 1/00 - 5/60
B64G 1/00 - 99/00
B64U 10/00 - 80/86
G06F 18/00 - 18/40
G06N 3/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報収集フェーズにおいて、
飛行物体の飛行状態を観測した観測情報を取得する取得部と、
複数の前記飛行物体ごとに、前記飛行物体の識別に関する情報と共に、前記観測情報を
模擬した模擬観測情報を、時系列に処理した時系列観測情報を蓄積する蓄積部と、
学習フェーズにおいて、
前記時系列観測情報を学習に適した形式に変換し加工した学習観測情報を使用し、回帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)による学習を行って学習済飛行物体モデルを生成する学習部と、
利用フェーズにおいて、
所定飛行物体の所定時系列観測情報の情報形式を前記学習観測情報の情報形式と一致させるため、前記学習済飛行物体モデルの生成時の加工と同じ処理で加工した加工情報を生成する加工部と、
前記加工情報と前記学習済飛行物体モデルとに基づいて、前記所定飛行物体を識別する識別部と、
を備える識別装置。
【請求項2】
前記観測情報は、前記飛行物体の時系列の3次元位置情報と、前記飛行物体の移動方位と、前記飛行物体の移動速度と、のうちの少なくとも1つを含
み、
前記飛行物体の識別に関する情報は、前記飛行物体の機種、便名、経路、もしくは前記飛行物体が航空機であるか否かの情報を含む、
請求項1に記載の識別装置。
【請求項3】
前記取得部は、所定周期で前記観測情報を取得する、
請求項
1または2に記載の識別装置。
【請求項4】
前記蓄積部は、前記
所定飛行物体の識別が成功した場合、前記
所定時系列観測情報を蓄積し、
前記飛行物体の識別が成功した場合とは、前記飛行物体の前記観測情報が前記学習済飛行物体モデルのうちの1つである場合を示す、
請求項1から
3のいずれか1つに記載の識別装置。
【請求項5】
前記学習部は、前記回帰型ニューラルネットワークによる前記学習の誤差が、誤差閾値以下の場合、前記学習を終了する、
請求項1から
4のいずれか1つに記載の識別装置。
【請求項6】
前記時系列観測情報と前記識別された前記所定飛行物体に関する情報を表示する表示部をさらに備える、
請求項1から
5のいずれか1つに記載の識別装置。
【請求項7】
前記観測情報は、前記飛行状態を過去の所定時刻から現在まで観測したものである、
請求項1から
6のいずれか1つに記載の識別装置。
【請求項8】
情報収集フェーズにおいて、
飛行物体の飛行状態を観測した観測情報を取得することと、
複数の前記飛行物体ごとに、前記飛行物体の識別に関する情報と共に、前記観測情報を
模擬した模擬観測情報を、時系列に処理した時系列観測情報を蓄積することと、
学習フェーズに おいて、
前記時系列観測情報を学習に適した形式に変換し加工した学習観測情報を使用し、回帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)による学習を行って学習済飛行物体モデルを生成することと、
利用フェーズにおいて、
所定飛行物体の所定時系列観測情報の情報形式を前記学習観測情報の情報形式と一致させるため、前記学習済飛行物体モデルの生成時の加工と同じ処理で加工した加工情報を生成することと、
前記加工情報と前記学習済飛行物体モデルとに基づいて、前記所定飛行物体を識別することと、
を備える方法。
【請求項9】
情報収集フェーズにおいて、
飛行物体の飛行状態を観測した観測情報を取得することと、
複数の前記飛行物体ごとに、前記飛行物体の識別に関する情報と共に、前記観測情報を
模擬した模擬観測情報を、時系列に処理した時系列観測情報を蓄積することと、
学習フェーズに おいて、
前記時系列観測情報を学習に適した形式に変換し加工した学習観測情報を使用し、回帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)による学習を行って学習済飛行物体モデルを生成することと、
利用フェーズにおいて、
所定飛行物体の所定時系列観測情報の情報形式を前記学習観測情報の情報形式と一致させるため、前記学習済飛行物体モデルの生成時の加工と同じ処理で加工した加工情報を生成することと、
前記加工情報と前記学習済飛行物体モデルとに基づいて、前記所定飛行物体を識別することと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、識別装置、方法、及びプログラムに関するものであり、特に、飛行物体を容易に識別することが可能な識別装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空管制において、飛行物体の識別方法として、人が飛行物体から発せられる識別信号やセンサで取得した飛行物体の位置情報を用いて識別する方法が知られている。また、飛行物体の別の識別方法として、飛行物体のレーダ情報から検索した飛行物体の画像情報と、画像撮像装置を用いて取得した飛行物体の機体特徴量と、を照合することにより、航空機等の飛行物体の識別確率を向上させる方法が知られている。
【0003】
特許文献1には、「学習用データ生成方法は、特定の経路を撮像した画像上の航空機の外観データと、前記経路上の航空機から発信される電波の信号データと、前記経路上の航空機からの騒音を示す騒音データとのうちの2つのデータを取得する取得ステップと、取得された前記2つのデータのうちの一方を、航空機の属性を識別するための第1識別モデルに入力することにより、前記経路上の航空機の属性を識別する識別ステップと、前記2つのデータのうちの他方と、前記識別ステップにより識別された前記経路上の航空機の属性とを関連付けることにより、航空機の属性を識別するための第2識別モデルの学習に用いられる学習用データを生成する生成ステップと、を含む」ことが記載されている。特許文献1には、「回帰型ニューラルネットワーク(RNN)学習を行って学習済飛行物体モデルを生成し、目標の飛行物体の時系列観測情報と学習済飛行物体モデルとに基づいて、学習済飛行物体モデルのうちから目標の飛行物体に近似する近似飛行物体を識別すること」は記載されていない。
【0004】
特許文献2には、「空港用探知レーダにより空港面における各航空機の位置を検出し、空港面のいずれかの航空機が電波を発射した時、少なくとも2箇所に設置された方向探知機により、電波源の位置する電波源領域を決定するとともに、この電波源領域に位置する航空機が1機のみの時、航空機の発射電波の内容からこの航空機の識別情報を選択し、空港用探知レーダにより電波源領域に位置する航空機を特定し、空港用探知レーダの位置情報と方向探知機により識別された航空機の識別情報との相関をとることにより、航空機を自動的に識別している。」ことが記載されている。特許文献2には、「回帰型ニューラルネットワーク(RNN)学習を行って学習済飛行物体モデルを生成し、目標の飛行物体の時系列観測情報と学習済飛行物体モデルとに基づいて、学習済飛行物体モデルのうちから目標の飛行物体に近似する近似飛行物体を識別すること」は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2019/176058号
【文献】特開平6-342061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多種多様な飛行物体が存在し取り扱う情報量が増加する一方で、飛行物体を識別する労働者の人口が減少することが予想されている。このような状況において、複数の飛行物体を識別するための識別装置であって、人によらずに、又は、人を補助して飛行物体を容易に識別することが可能な識別装置を提供することは難しいという課題があった。
【0007】
本開示の目的は、上述した課題を解決する識別装置、方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る識別装置は、
飛行物体の飛行状態を観測した観測情報を取得する取得部と、
複数の前記飛行物体ごとに、前記観測情報を時系列に処理した時系列観測情報を蓄積する蓄積部と、
前記時系列観測情報を学習に適した形式に変換し加工した学習観測情報を使用し、回帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)による前記学習を行って学習済飛行物体モデルを生成する学習部と、
所定飛行物体の前記時系列観測情報を前記学習観測情報に基づいて加工した加工情報を生成する加工部と、
前記加工情報と前記学習済飛行物体モデルとに基づいて、前記所定飛行物体を識別する識別部と、を備える。
【0009】
本開示に係る方法は、
飛行物体の飛行状態を観測した観測情報を取得することと、
複数の前記飛行物体ごとに、前記観測情報を時系列に処理した時系列観測情報を蓄積することと、
前記時系列観測情報を学習に適した形式に変換し加工した学習観測情報を使用し、回帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)による前記学習を行って学習済飛行物体モデルを生成することと、
所定飛行物体の前記時系列観測情報を前記学習観測情報に基づいて加工した加工情報を生成することと、
前記加工情報と前記学習済飛行物体モデルとに基づいて、前記所定飛行物体を識別することと、
を備える。
【0010】
本開示に係るプログラムは、
飛行物体の飛行状態を観測した観測情報を取得することと、
複数の前記飛行物体ごとに、前記観測情報を時系列に処理した時系列観測情報を蓄積することと、
前記時系列観測情報を学習に適した形式に変換し加工した学習観測情報を使用し、回帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)による前記学習を行って学習済飛行物体モデルを生成することと、
所定飛行物体の前記時系列観測情報を前記学習観測情報に基づいて加工した加工情報を生成することと、
前記加工情報と前記学習済飛行物体モデルとに基づいて、前記所定飛行物体を識別することと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、飛行物体を容易に識別することが可能な識別装置、方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態に係る識別装置を例示するブロック図である。
【
図2】実施の形態に係る識別装置の動作を例示するフローチャートである。
【
図3】実施の形態に係る識別装置の動作を例示するフローチャートである。
【
図4】実施の形態に係る識別装置の動作を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明を省略する。
【0014】
[実施の形態]
実施の形態に係る識別装置の構成を説明する。
実施の形態では、回帰型ニューラルネットワークに適したデータ形式への変換を例に挙げて説明する。また、実施の形態では、情報の蓄積から学習済飛行物体モデルを用いた識別までを、情報収集フェーズ、学習フェーズ、及び利用フェーズという3つのフェーズに分けて説明する。
図1は、実施の形態に係る識別装置を例示するブロック図である。
【0015】
図1に示すように、実施の形態に係る識別装置11は、取得部111と蓄積部112と学習部113と加工部114と識別部115とを備える。
【0016】
<情報収集フェーズ>
取得部111は、飛行中の物体である飛行物体の飛行状態を観測した観測情報を取得する。観測情報は、例えば、飛行物体を観測するセンサによって測定される。取得部111は、飛行物体の観測情報の代わりに、飛行物体を模擬した模擬飛行物体の観測情報を取得してもよい。
【0017】
観測情報は、飛行物体の時系列の3次元位置情報と、飛行物体の移動方位と、飛行物体の移動速度と、のうちの少なくとも1つを含む。観測情報は、飛行状態を過去の所定時刻から現在まで観測したものであってもよい。
【0018】
蓄積部112は、複数の飛行物体ごとに、観測情報を時系列に処理した時系列観測情報を蓄積する。取得部111は、所定周期で観測情報を取得し、蓄積部112は、所定周期で時系列観測情報を蓄積してもよい。時系列観測情報は、過去から現在までの観測情報を含む。時系列観測情報を現況情報と称することもある。
【0019】
すなわち、取得部111は、センサ(図示せず)が飛行物体を観測した観測情報から取得及び時系列に算出した飛行物体に関する時系列観測情報、あるいは飛行物体を模擬した模擬飛行物体の時系列観測情報を管理し、周期的に蓄積部112に時系列観測情報を蓄積し保存する。
【0020】
尚、識別装置11は、時系列観測情報を表示する表示部をさらに備えてもよい。また、取得部と表示部とを合わせ、これを現況表示部と称することもある。
【0021】
蓄積部112は、飛行物体の識別が成功した場合、時系列観測情報を蓄積してもよい。具体的には、蓄積部112は、識別装置11が管理する飛行物体の識別を実施して該識別が成功した場合、識別に関する情報とともに時系列観測情報を保存してもよい。尚、操作員が、自身が管理する飛行物体の識別を実施して該識別が成功した場合、識別に関する情報とともに時系列観測情報を蓄積部112に保存してもよい。
【0022】
また、蓄積部をデータ蓄積部と称することもある。観測情報は、飛行物体を観測するセンサによって測定された情報であるので、観測情報をセンサ情報と称することもある。
【0023】
<学習フェーズ>
学習部113は、時系列観測情報を学習に適した形式に変換し加工した学習観測情報を使用し、回帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)による学習を行って学習済飛行物体モデルを生成する。すなわち、学習部113は、蓄積部112から蓄積された時系列観測情報を取得し、取得した時系列観測情報を学習に適した形式に加工し、回帰型ニューラルネットワークによる学習を実施し、学習済飛行物体モデルを生成する。学習に適した形式への加工とは、機械学習において、例えば、時系列観測情報を標準化することや、ダミー変数化すること等をいう。
【0024】
学習部113は、使用した学習観測情報と生成した学習済飛行物体モデルとを保存する。学習観測情報は、学習に適した形式に変換し加工した情報なので、これをデータ加工情報と称することもある。
【0025】
学習部113は、学習観測情報と学習済飛行物体モデルとを保存した後、学習により生成された学習済飛行物体モデルを評価する。学習部113は、学習済飛行物体モデルが評価に合格した場合、学習時の学習観測情報を加工部114に出力し、学習済飛行物体モデルを識別部115に出力する。学習済飛行物体モデルが評価に合格した場合とは、例えば、回帰型ニューラルネットワークによる学習の誤差が誤差閾値以下の場合のことであり、この場合に学習部113は学習を終了する。
【0026】
尚、学習部をRNN学習部と称することもある。加工部をデータ加工部と称することもある。識別部を識別処理部と称することもある。
【0027】
<利用フェーズ>
加工部114は、取得部111が管理する観測情報から取得及び算出した所定飛行物体に関する時系列観測情報、あるいは所定飛行物体を模擬した模擬所定飛行物体の時系列観測情報を周期的に取得する。ここで、所定飛行物体とは識別対象の目標となる飛行物体であり、例えば、センサが新規に観測した飛行物体である。
【0028】
加工部114は、学習時の学習観測情報を学習部113から取得する。加工部114は、取得部111から取得した時系列観測情報を学習観測情報に基づいて加工した加工情報を生成し、生成した加工情報を識別部115に出力する。すなわち、加工部114は、所定飛行物体の時系列観測情報を学習観測情報に基づいて加工した加工情報を生成する。加工部114は、学習部113から取得した加工情報を保存する。
【0029】
加工情報は、加工部114に、学習観測情報(データ加工情報)と時系列観測情報(飛行物体の3次元位置情報、移動方位及び移動速度等の情報)を入力した時の出力である。
【0030】
識別部115は、加工部114から取得した加工情報と、学習部113から取得した学習済飛行物体モデルを用いて識別を行い、識別結果を取得部111に出力する。すなわち、識別部115は、加工情報と学習済飛行物体モデルとに基づいて、所定飛行物体を識別する。
【0031】
また、識別部115は、学習部113から取得した学習済飛行物体モデルを保存する。取得部111は、識別部115から取得した識別結果、すなわち、識別された所定飛行物体に関する情報を表示部(図示せず)に表示する。
【0032】
実施の形態に係る識別装置11は、過去から現在までの飛行物体の観測情報(時系列観測情報)から学習した学習済飛行物体モデルに基づいて、センサで新規に観測した所定飛行物体を識別する。これにより、個人の技量に依存せずに、飛行物体を容易に識別することが可能な識別装置、方法、及びプログラムを提供することができる。
【0033】
また、実施の形態に係る識別装置11は、人が飛行物体を識別する場合と比べて、人の作業負荷を低減することができるので、作業人員の数を削減することができる。
【0034】
また、識別装置11において、センサから取得した観測情報を学習に用いる場合、学習に必要な観測情報を容易に蓄積部112に蓄積することが可能である。このため、観測情報を収集するための新たな作業等を追加する必要がない。
【0035】
また、学習時に使用する観測情報は、センサから取得した観測情報だけでなく、センサから取得した観測情報を模擬した模擬観測情報も使用できる。このため、学習に必要な情報を収集する時間の短縮、新たな情報収集のための器材構築コスト、器材維持コストやこれに関わる人的コストを低減することができる。
【0036】
実施の形態に係る識別装置の動作を説明する。
図2は、実施の形態に係る識別装置の動作を例示するフローチャートである。
図2は、情報収集フェーズの処理フローを示す。
【0037】
図2に示すように、蓄積部112は、現況情報(時系列観測情報)を蓄積する(ステップS101)。蓄積部112は、取得部111が管理する観測情報から取得及び算出した飛行物体に関する時系列観測情報、あるいは飛行物体を模擬した模擬飛行物体の時系列観測情報を周期的に蓄積する。
【0038】
取得部111は、取得部111が管理する飛行物体に関して識別を実施するか否かを確認する(ステップS102)。
【0039】
ステップS102において、飛行物体の識別が実施された場合(ステップS102:Yes)、飛行物体の識別に関する情報を蓄積部112に蓄積する(ステップS103)。
【0040】
ステップS102において、飛行物体の識別が実施されなかった場合(ステップS102:Nо)、終了判定を行う(ステップS104)。
【0041】
ステップS104において、終了でない場合(ステップS104:Nо)、ステップS101に戻る。
【0042】
ステップS104において、終了の場合(ステップS104:Yes)、すなわち、現況の監視を終了する場合、現況情報の表示を終了する。
【0043】
図3は、実施の形態に係る識別装置の動作を例示するフローチャートである。
図3は、学習フェーズの処理フローを示す。
【0044】
ここで、学習部113で実施する学習における学習終了判定基準の誤差閾値をLとして予め定義しておく。
【0045】
図3に示すように、学習部113は、蓄積部112から蓄積した時系列観測情報を取得し、学習に適した形式に変換し加工する(ステップS201)。加工後の情報を学習観測情報と称する。
【0046】
学習部113は、加工した学習観測情報を使用し、回帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)による学習を行う(ステップS202)。
【0047】
学習部113は、評価結果を確認する。すなわち、学習部113は、回帰型ニューラルネットワークによる学習の誤差eと誤差閾値Lとを比較する(ステップS203)。
【0048】
学習部113は、誤差e≦誤差閾値Lの場合(ステップS203:Yes)、学習観測情報を加工部114に保存する(ステップS204)。
【0049】
学習部113は、誤差e≦誤差閾値Lでない場合(ステップS203:Nо)、ステップS201に戻る。
【0050】
ステップS204の後、ステップS202で生成した学習済飛行物体モデルを識別部115に保存する(ステップS205)。
【0051】
図4は、実施の形態に係る識別装置の動作を例示するフローチャートである。
図4は、利用フェーズの処理フローを示す。
【0052】
図4に示すように、加工部114は、取得部111が管理する観測情報から取得及び算出した飛行物体に関する時系列観測情報、あるいは飛行物体を模擬した模擬飛行物体の時系列観測情報を取得し、これを加工した加工情報を生成する(ステップS301)。
【0053】
識別部115は、加工部114から取得した加工情報と、学習部113から取得した学習済飛行物体モデルと、を用いて飛行物体の識別を実施する(ステップS302)。
【0054】
取得部111は、飛行物体の識別結果を表示部に表示する(ステップS303)。
【0055】
ステップS303の後、終了判定を行う(ステップS304)。
【0056】
ステップS304において、終了でない場合(ステップS304:Nо)、ステップS301に戻る。
【0057】
ステップS304において、終了の場合(ステップS304:Yes)、すなわち、現況の監視を終了する場合、現況の表示を終了する。
【0058】
ここで、実施の形態に係る識別装置11の特徴を以下に示す。
識別装置11は、観測情報(センサ情報)から取得及び算出した飛行物体に関する時系列観測情報、あるいは飛行物体を模擬した時系列観測情報を基に回帰型ニューラルネットワークを用いて目標の飛行物体の識別を行う。
識別装置11は、取得部111と蓄積部112と学習部113と加工部114と識別部115とを備える。
取得部(現況表示部)111は、観測情報から取得及び算出した飛行物体に関する時系列観測情報あるいは飛行物体を模擬した時系列観測情報を基に表示し管理するとともに、識別された飛行物体の情報を入力、表示、管理する。
蓄積部112は、取得部111が管理する観測情報を蓄積する。
学習部113は、蓄積部112に蓄積された観測情報を用い、時系列観測情報を学習に必要な学習観測情報に変換し、学習済飛行物体モデルを生成する。
加工部114は、取得部111が管理する観測情報を取得し、学習観測情報を基に加工した加工情報を識別部115に出力する。
識別部115は、加工情報及び学習済飛行物体モデルを用いて、飛行物体を識別した結果を取得部111に出力する。
学習部113は、蓄積部112から取得した観測情報を加工した後、回帰型ニューラルネットワークを用いることにより識別規則を学習し、使用した学習観測情報及び生成された学習済飛行物体モデルを保存する。
【0059】
尚、実施の形態においては、時系列情報及び識別結果の情報のみにより学習を行うため、飛行物体だけでなく、車両、船舶、潜水艇等の陸上、水上あるいは水中の移動物体を識別する場合についても同様に適用することができる。
【0060】
尚、上記の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、各構成要素の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0061】
上記の実施の形態において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実態のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(具体的にはフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(具体的には光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(具体的には、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM))、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0062】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0063】
尚、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
11:識別装置
111:取得部
112:蓄積部
113:学習部
114:加工部
115:識別部
e:誤差
L:誤差閾値