(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】電子装置及びコネクタ着脱方法
(51)【国際特許分類】
H05K 7/14 20060101AFI20250109BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H05K7/14 R
G06F1/16 312M
(21)【出願番号】P 2023207883
(22)【出願日】2023-12-08
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛史
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-164600(JP,U)
【文献】特開平04-282896(JP,A)
【文献】実開昭61-144975(JP,U)
【文献】特開平06-350274(JP,A)
【文献】実開昭50-131591(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子基板の正面に正面プレートが固定されるとともに、前記電子基板
の背面に第1コネクタが
取り付けられたブレードと、
前記ブレードを収納するための少なくとも1つのスロットを有するとともに、前記ブレードを収納したときに前記第1コネクタと接続導通される第2コネクタが固定されたラックと、
前記ブレードを前記ラックに固定するネジと、
を備え、
前記ネジは、頭部から軸方向に延在した雄ネジ部を備えるとともに、前記雄ネジ部に対して軸方向移動不能に止め輪が装着されており、
前記正面プレートは、前記雄ネジ部が挿通される貫通穴を備えるとともに、前記貫通穴の周縁部で前記頭部と前記止め輪との間に挟み込まれており、
前記ラックには、前記ブレードを前記スロットに収納したときに、前記貫通穴に挿通された前記雄ネジ部と螺合するネジ穴を備える内部プレートが固定されており、
前記頭部は、前記ネジを前記ネジ穴にねじ込むことで、前記正面プレートの前記貫通穴の正面側周縁部を前記ラックの内側に押し付け
、前記正面プレートの前記貫通穴の背面側周縁部と前記止め輪とを直接に触れさせて、前記第1コネクタを、前記第2コネクタに電気的に接続し、かつ、機械的に挿着するように構成され、
前記止め輪は、前記ネジを前記ネジ穴から外すように緩めることで、前記正面プレートの前記貫通穴の背面側周縁部を前記ラックの外側に押し付けて、前記第1コネクタを前記第2コネクタから電気的に切断し、かつ、機械的に抜去するように構成されている、
電子装置。
【請求項2】
前記頭部は、前記ネジを前記ネジ穴にねじ込むことで、前記第1コネクタを、前記第2コネクタに電気的に接続し、かつ、機械的に挿着するとともに、前記ブレードを前記ラックに機械的に固定するように構成され、
前記止め輪は、前記ネジを前記ネジ穴から外すように緩めることで、前記第1コネクタを前記第2コネクタから電気的に切断し、かつ、機械的に抜去するとともに、前記ブレードを前記ラックから機械的に抜去するように構成されている、
請求項1記載の電子装置。
【請求項3】
前記貫通穴は、前記正面プレートの長手方向の中央部における前記電子基板と重ならない部分に配されている、
請求項1記載の電子装置。
【請求項4】
前記頭部は、工具を装着して回転させるように構成されている、
請求項1記載の電子装置。
【請求項5】
前記雄ネジ部は、軸方向の所定の位置において径方向に凹んだ溝部を有し、
前記溝部は、前記止め輪が軸方向移動不能に装着されるように構成されている、
請求項1記載の電子装置。
【請求項6】
前記止め輪は、前記溝部に装着されるEリング又はCリング若しくはスナップリングである、
請求項5記載の電子装置。
【請求項7】
前記ラックには、前記スロットから挿入される前記ブレードの前記電子基板の左右両側の端部を前後方向にスライド可能に支持するガイド部材が固定されている、
請求項1記載の電子装置。
【請求項8】
前記ラックには、前記ラックの内側にバックボードが固定されており、
前記バックボードには、前記第2コネクタが固定されている、
請求項1記載の電子装置。
【請求項9】
電子基板の正面に正面プレートが固定されるとともに、前記電子基板
の背面に第1コネクタが
取り付けられたブレードと、
前記ブレードを収納するための少なくとも1つのスロットを有するとともに、前記ブレードを収納したときに前記第1コネクタと接続導通される第2コネクタが固定されたラックと、
前記ブレードを前記ラックに固定するネジと、
を備えた電子装置における前記第1コネクタと前記第2コネクタとの着脱を行うコネクタ着脱方法であって、
前記ネジは、頭部から軸方向に延在した雄ネジ部を備えるとともに、前記雄ネジ部に対して軸方向移動不能に止め輪が装着されており、
前記正面プレートは、前記雄ネジ部が挿通される貫通穴を備えるとともに、前記貫通穴の周縁部で前記頭部と前記止め輪との間に挟み込まれており、
前記ラックには、前記ブレードを前記スロットに収納したときに、前記貫通穴に挿通された前記雄ネジ部と螺合するネジ穴を備える内部プレートが固定されており、
前記コネクタ着脱方法は、
前記ネジを前記ネジ穴にねじ込むことで、前記頭部が前記正面プレートの前記貫通穴の正面側周縁部を前記ラックの内側に押し付け
、前記正面プレートの前記貫通穴の背面側周縁部と前記止め輪とを直接に触れさせて、前記第1コネクタを、前記第2コネクタに電気的に接続し、かつ、機械的に挿着し、
前記ネジを前記ネジ穴から外すように緩めることで、前記止め輪が前記正面プレートの前記貫通穴の背面側周縁部を前記ラックの外側に押し付けて、前記第1コネクタを前記第2コネクタから電気的に切断し、かつ、機械的に抜去する、
コネクタ着脱方法。
【請求項10】
前記ネジを前記ネジ穴にねじ込むことで、前記第1コネクタを、前記第2コネクタに電気的に接続し、かつ、機械的に挿着するとともに、前記ブレードを前記ラックに機械的に固定し、
前記ネジを前記ネジ穴から外すように緩めることで、前記第1コネクタを前記第2コネクタから電気的に切断し、かつ、機械的に抜去するとともに、前記ブレードを前記ラックから機械的に抜去する、
請求項9記載のコネクタ着脱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置及びコネクタ着脱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレード(回路ユニット)をラック(筐体)のスロット(開口)内に収納し、ブレードの背面のコネクタをラック内のコネクタに装着(接続)し、ネジを、ブレードに固定されたプレートの貫通穴を貫通してラックに固定されたプレートのネジ穴にねじ込むことでブレードをラックに固定することが可能な電子装置(電子機器)がある。このような電子装置では、コネクタが多芯で篏合力が強いものが選定されやすいため、特許文献1では、ブレードに固定されたプレートにおいて、貫通穴とは別の位置にネジ穴を設けておき、ブレードをラックから抜去する際、ブレードをラックに固定しているネジを一旦外し、当該ネジを、ブレードに固定されたプレートのネジ穴にねじ込むことで、ネジの先端がラックに固定されたプレートにおけるネジ穴以外の面を押し付けて、ブレードをラックと相対移動させて、ブレードのコネクタをラック内のコネクタから抜去(切断)できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下の分析は、本願発明者により与えられる。
【0005】
しかしながら、特許文献1の電子装置では、ブレードをラックから抜去する際、ブレード及びラックからネジを完全に外さなければならないので、作業工程が増えるとともに、ネジを落として無くす可能性があり、作業性を向上させることは難しい。
【0006】
本発明の主な課題は、ブレードをラックから抜去する際の作業性を向上させることに貢献することができる電子装置及びコネクタ着脱方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の視点に係る電子装置は、電子基板の正面に正面プレートが固定されるとともに、前記電子基板に第1コネクタが固定されたブレードと、前記ブレードを収納するための少なくとも1つのスロットを有するとともに、前記ブレードを収納したときに前記第1コネクタと接続導通される第2コネクタが固定されたラックと、前記ブレードを前記ラックに固定するネジと、を備え、前記ネジは、頭部から軸方向に延在した雄ネジ部を備えるとともに、前記雄ネジ部に対して軸方向移動不能に止め輪が装着されており、前記正面プレートは、前記雄ネジ部が挿通される貫通穴を備えるとともに、前記貫通穴の周縁部で前記頭部と前記止め輪との間に挟み込まれており、前記ラックには、前記ブレードを前記スロットに収納したときに、前記貫通穴に挿通された前記雄ネジ部と螺合するネジ穴を備える内部プレートが固定されており、前記頭部は、前記ネジを前記ネジ穴にねじ込むことで、前記正面プレートの前記貫通穴の正面側周縁部を前記ラックの内側に押し付けて、前記第1コネクタを、前記第2コネクタに電気的に接続し、かつ、機械的に挿着するように構成され、前記止め輪は、前記ネジを前記ネジ穴から外すように緩めることで、前記正面プレートの前記貫通穴の背面側周縁部を前記ラックの外側に押し付けて、前記第1コネクタを前記第2コネクタから電気的に切断し、かつ、機械的に抜去するように構成されている。
【0008】
第2の視点に係るコネクタ着脱方法は、電子基板の正面に正面プレートが固定されるとともに、前記電子基板に第1コネクタが固定されたブレードと、前記ブレードを収納するための少なくとも1つのスロットを有するとともに、前記ブレードを収納したときに前記第1コネクタと接続導通される第2コネクタが固定されたラックと、前記ブレードを前記ラックに固定するネジと、を備えた電子装置における前記第1コネクタと前記第2コネクタとの着脱を行うコネクタ着脱方法であって、前記ネジは、頭部から軸方向に延在した雄ネジ部を備えるとともに、前記雄ネジ部に対して軸方向移動不能に止め輪が装着されており、前記正面プレートは、前記雄ネジ部が挿通される貫通穴を備えるとともに、前記貫通穴の周縁部で前記頭部と前記止め輪との間に挟み込まれており、前記ラックには、前記ブレードを前記スロットに収納したときに、前記貫通穴に挿通された前記雄ネジ部と螺合するネジ穴を備える内部プレートが固定されており、前記コネクタ着脱方法は、前記ネジを前記ネジ穴にねじ込むことで、前記頭部が前記正面プレートの前記貫通穴の正面側周縁部を前記ラックの内側に押し付けて、前記第1コネクタを、前記第2コネクタに電気的に接続し、かつ、機械的に挿着し、前記ネジを前記ネジ穴から外すように緩めることで、前記止め輪が前記正面プレートの前記貫通穴の背面側周縁部を前記ラックの外側に押し付けて、前記第1コネクタを前記第2コネクタから電気的に切断し、かつ、機械的に抜去する。
【発明の効果】
【0009】
前記第1、第2の視点によれば、ブレードをラックから抜去する際の作業性を向上させることに貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示に係る電子装置の構成の一例を模式的に示した正面図である。
【
図2】本開示に係る電子装置の構成の一例を模式的に示した
図1のX-X’間に相当する、ブレードをラックに固定する際の断面図である。
【
図3】本開示に係る電子装置の構成の一例を模式的に示した
図1のX-X’間に相当する、ブレードをラックから抜去する際の断面図である。
【
図4】本開示に係る電子装置におけるブレードの構成の一例を模式的に示した斜視図である。
【
図5】本開示に係る電子装置におけるブレードの構成の一例を模式的に示した(A)平面図、(B)Y-Y’間の断面図である。
【
図6】本開示に係る電子装置の構成の第2例の動作を模式的に示した(A)ブレードをラックに固定する際の断面図、(B)ブレードをラックから抜去する際の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本出願において図面参照符号を付している場合は、それらは、専ら理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。また、下記の形態は、あくまで例示であり、本発明を限定するものではない。
【0012】
[形態1]
形態1に係る電子装置について図面を用いて説明する。
図1は、本開示に係る電子装置の構成の一例を模式的に示した正面図である。
図2は、本開示に係る電子装置の構成の一例を模式的に示した
図1のX-X’間に相当する、ブレードをラックに固定する際の断面図である。
図3は、本開示に係る電子装置の構成の一例を模式的に示した
図1のX-X’間に相当する、ブレードをラックから抜去する際の断面図である。
図4は、本開示に係る電子装置におけるブレードの構成の一例を模式的に示した斜視図である。
図5は、本開示に係る電子装置におけるブレードの構成の一例を模式的に示した(A)平面図、(B)Y-Y’間の断面図である。
【0013】
電子装置1は、内蔵された回路内の電子や荷電粒子の流れを制御することで所定の動作を行う装置である(
図1~
図3参照)。電子装置1は、ブレード10を、ラック30のスロット30a内に着脱可能に収納できるように構成されている。電子装置1は、ネジ20及び止め輪21を利用して、ブレード10の背面のコネクタ13を、ラック30内のコネクタ36に着脱可能にする機構を有する。電子装置1は、ネジ20を、ブレード10の正面プレート11の貫通穴11aに挿通してラック30の内部プレート32のネジ穴32aに螺合するようにねじ込む(例えば、時計回りに回転する)ことで、ネジ20の頭部20aが正面プレート11の貫通穴11aの正面側周縁部をラック30の内側に押し付ける軸力を利用して、ブレード10をラック30に機械的に固定するとともに、ブレード10のコネクタ13を、ラック30のコネクタ36に電気的に接続し、かつ、機械的に挿着するように構成されている(
図2参照)。電子装置1は、ネジ20を、ラック30の内部プレート32のネジ穴32aから外すように緩める(例えば、逆時計回りに回転する)ことで、ネジ20に対して軸方向移動不能に装着(固定)された止め輪21が正面プレート11の貫通穴11aの背面側周縁部をラック30の外側に押し付ける軸力を利用して、ブレード10をラック30から機械的に抜去するとともに、ブレード10のコネクタ13を、ラック30のコネクタ36から電気的に切断し、かつ、機械的に抜去するように構成されている(
図3参照)。電子装置1は、ブレード10と、ネジ20と、止め輪21と、ラック30と、を備える。
【0014】
ブレード10は、ブレード状(細長い形状)の電子ユニットである(
図1~
図5参照)。ブレード10は、ラック30のスロット30a内に収容できるように構成されている。ブレード10として、例えば、増設インタフェイスボード(
図1では増設LAN(Local Area Network))ボード、増設ハードディスク、増設メモリボード、増設グラフィックボード等の増設用電子ユニットを用いることができる。ブレード10は、正面プレート11と、電子基板12と、コネクタ13と、を備える。
【0015】
正面プレート11は、プレート状(板状)の部材である(
図1~
図5参照)。正面プレート11は、ブレード10をラック30のスロット30a内に収納したときに、ラック30のスロット30aを塞ぐように構成されている。正面プレート11の正面は、電子装置1の外観として構成される。正面プレート11の背面は、電子基板12の正面側の端部に固定されるように構成されている。正面プレート11は、長手方向の中央部における電子基板12と重ならない部分において、ブレード10の脱着方向(スライド方向)に貫通した貫通穴11aを有する。貫通穴11aは、ネジ20の雄ネジ部20bが挿通されるように構成された貫通した穴である。貫通穴11aは、少なくとも1つあればよい。正面プレート11は、貫通穴11aの周縁部で、ネジ20の頭部20aと、ネジ20に装着された止め輪21との間に挟み込まれるように配されている。正面プレート11の貫通穴11aの正面側周縁部は、ネジ20をラック30の内部プレート32のネジ穴32aに螺合するようにねじ込む(例えば、時計回りに回転する)ことで、ネジ20の頭部20aによってラック30の内側に押し付けられる。正面プレート11の貫通穴11aの背面側周縁部は、ネジ20を、ラック30の内部プレート32のネジ穴32aから外すように緩める(例えば、逆時計回りに回転する)ことで、ネジ20に対して軸方向移動不能に装着(固定)された止め輪21によってラック30の外側に押し付けられる。
【0016】
電子基板12は、各種の電子部品が搭載された回路基板である(
図2~
図5参照)。電子基板12の背面側の部分には、コネクタ13が搭載(固定)されている。なお、電子基板12は、外付けのコネクタ13を有さず、電子基板12自体の背面側の端部にコネクタ部(図示せず)を有する構成であってもよい。電子基板12の正面側の端部は、正面プレート11に固定されている。電子基板12の左右両側の端部は、ラック30のガイド部材34によって前後方向にスライド可能に支持されている。
【0017】
コネクタ13は、ラック30のコネクタ36と着脱可能に接続導通するための部品である(
図2~
図5参照)。コネクタ13は、電子基板12の背面側の部分に搭載(固定)されている。コネクタ13は、ブレード10がラック30のスロット30aに収納されることで、ラック30のコネクタ36と電気的に接続され、かつ、機械的に挿着されるように構成されている。コネクタ13は、ブレード10がラック30のスロット30aから抜去されることで、ラック30のコネクタ36から電気的に切断され、かつ、機械的に抜去されるように構成されている。なお、コネクタ13は、電子基板12自体の背面側の端部にコネクタ部(図示せず)を有する場合、無くてもよい。
【0018】
ネジ20は、鍔状の頭部20aから雄ネジ部20bが軸方向に延在した機械的部品である(
図1~
図5参照)。頭部20aは、雄ネジ部20bに対する反対側の面において、工具(例えば、ドライバ、レンチ等)を装着して回転させることができるように構成されている。頭部20aは、指でつまんで回せるように構成してもよく、例えば、蝶ネジ、ローレットネジ等であってもよい。雄ネジ部20bは、ラック30の内部プレート32のネジ穴32aと螺合するように構成されている。頭部20aは、ネジ20の雄ネジ部20bをラック30の内部プレート32のネジ穴32aに螺合するようにねじ込む(例えば、時計回りに回転する)ことで、正面プレート11の貫通穴11aの正面側周縁部をラック30の内側に押し付けるように構成されている。雄ネジ部20bは、軸方向(スラスト方向)の所定の位置に溝部20cを有する。溝部20cは、径方向(ラジアル方向)に凹んだ溝状の部分である。溝部20cは、止め輪21が軸方向移動不能に装着(固定)されるように構成されている。なお、溝部20cは、止め輪21が雄ネジ部20bに直接固定可能な構成である場合には無くてもよい。
【0019】
止め輪21は、ネジ20の溝部20cに軸方向移動不能に装着(固定)されたリング状の部材である(
図2~
図5参照)。止め輪21として、例えば、Eリング、Cリング、スナップリング、プッシュナット等を用いることができる。止め輪21は、雄ネジ部20bに直接固定可能な構成であってもよい。止め輪21は、ネジ20を、ラック30の内部プレート32のネジ穴32aから外すように緩める(例えば、逆時計回りに回転する)ことで、正面プレート11の貫通穴11aの背面側周縁部をラック30の外側に押し付けるように構成されている。
【0020】
ラック30は、ブレード10を脱着可能に収容する装置である(
図1~
図3参照)。ラック30は、正面において開口された少なくとも1つ(
図1では4つ)のスロット30aを有する。スロット30aは、ブレード10をラック30内に出し入れ可能に収容する。ラック30は、本体31と、内部プレート32と、ネジ33と、ガイド部材34と、バックボード35と、コネクタ36と、を備える。
【0021】
本体31は、ブレード10を脱着可能に収容する構造体である(
図1~
図3参照)。本体31として、例えば、筐体、フレーム等を用いることができる。本体31の内側には、内部プレート32、ネジ33、ガイド部材34、バックボード35、及び、コネクタ36が内蔵されている。
【0022】
内部プレート32は、ネジ33によって本体31の内側に固定されたプレート状の部材である(
図1~
図3参照)。内部プレート32は、本体31の内側におけるスロット30aの開口の長手方向の中央部に配されている。内部プレート32は、ブレード10をラック30に収納したときに、ブレード10に装着されたネジ20の雄ネジ部20bと螺合することが可能なネジ穴32aを有する。
【0023】
ガイド部材34は、スロット30aから挿入されるブレード10の電子基板12の左右両側の端部を前後方向にスライド可能に支持する部材である(
図1~
図3参照)。ガイド部材34は、本体31の内側に固定されている。
【0024】
バックボード35は、本体31の内側における背面付近に固定された回路基板である(
図1~
図3参照)。バックボード35には、ブレード10がラックに収納されているときに、ブレード10のコネクタ13と電気的に接続され、かつ、機械的に挿着されるように構成されたコネクタ36を搭載(固定)している。なお、コネクタ36は、本体31に固定されていてもよい。
【0025】
以上のような構成の電子装置1は、ブレード10をラック30に収納する際、
図2のように、ブレード10の正面プレート11の貫通穴11aに挿通されたネジ20を、工具(図示せず)を用いて、例えば、時計回りに回すと、ネジ20の雄ネジ部20bがラック30の内部プレート32のネジ穴32aに螺合して、ネジ20はラック30の内側に移動する。これに伴って、ネジ20の頭部20aがブレード10の正面プレート11の貫通穴11aの正面側周縁部をラック30の内側に押し込んで行き、この押し込みによる軸力により、ブレード10がラック30に機械的に固定されるとともに、ブレード10のコネクタ13がラック30内のコネクタ36と電気的に接続され、かつ、機械的に挿着される。
【0026】
一方、ブレード10をラック30から抜去する際、
図3のように、ブレード10の正面プレート11の貫通穴11aに挿通されたネジ20を、工具(図示せず)を用いて、例えば、逆時計回りに回すと、ネジ20の雄ネジ部20bがラック30の内部プレート32のネジ穴32aから外れるように緩んで、ネジ20はラック30の外側に移動する。これに伴って、ネジ20に対して軸方向移動不能に装着(固定)された止め輪21が正面プレート11の貫通穴11aの背面側周縁部をラック30の外側に押し付けて行き、この押し付けによる軸力により、ブレード10がラック30から機械的に抜去されるとともに、ブレード10のコネクタ13がラック30のコネクタ36から電気的に切断され、かつ、機械的に抜去される。
【0027】
形態1によれば、ブレード10をラック30から抜去する際、ブレード10をラック30に固定しているネジ20を緩めるだけで、ネジ20に対して軸方向移動不能に装着(固定)された止め輪21が正面プレート11の貫通穴11aの背面側周縁部をラック30の外側に押し付けて行き、ブレード10がラック30から機械的に抜去されると同時に、ブレード10のコネクタ13がラック30のコネクタ36から電気的に切断され、かつ、機械的に抜去されるので、作業工程が減り、ネジ20を落として無くすことがなくなり、ブレード10をラック30から抜去する際の作業性を向上させることに貢献することができる。
【0028】
また、形態1によれば、ブレード10のコネクタ13、及び、ラック30内のコネクタ36として多芯で篏合力が強いものを選定したとしても、ブレード10をラック30に着脱する際、止め輪21付きのネジ20を、工具を用いて回すことで、指に負荷をかけることなく簡単にブレード10のコネクタ13とラック30内のコネクタ36との着脱が可能になる。
【0029】
また、形態1によれば、ブレード10をラック30に着脱する際、止め輪21付きのネジ20を、工具を用いて回すことで、簡単にブレード10のコネクタ13とラック30内のコネクタ36との着脱が可能になるので、外観に突起となってしまうツマミ、ハンドル等の取手をブレード10に設ける必要が無く、外観デザインを損なうことがない。
【0030】
さらに、形態1によれば、ネジ20の軸力をコネクタ13、36同士の着脱に伝え易くするためにネジ20を正面プレート11の長手方向の中央部の貫通穴11aを挿通して配置することにより、ブレード10の1つ当たりのネジ20の数を減らしてコストダウンすることができるとともに、作業性を向上させることができる。
【0031】
[形態2]
形態2に係る電子装置について図面を用いて説明する。
図6は、本開示に係る電子装置の構成の第2例の動作を模式的に示した(A)ブレードをラックに固定する際の断面図、(B)ブレードをラックから抜去する際の断面図である。
【0032】
電子装置1は、ブレード10を、ラック30のスロット30a内に着脱可能に収納できるように構成された装置である。電子装置1は、ブレード10と、ラック30と、ネジ20と、を備える。ブレード10は、電子基板12の正面に正面プレート11が固定されるとともに、電子基板12に第1コネクタ13が固定された構成となっている。ラック30は、ブレード10を収納するための少なくとも1つのスロット30aを有するとともに、ブレード10を収納したときに第1コネクタ13と接続導通される第2コネクタ36が固定された構成となっている。ネジ20は、ブレード10をラック30に固定するように構成されている。
【0033】
ネジ20は、頭部20aから軸方向に延在した雄ネジ部20bを備えるとともに、雄ネジ部20bに対して軸方向移動不能に止め輪21が装着されている。正面プレート11は、雄ネジ部20bが挿通される貫通穴11aを備えるとともに、貫通穴11aの周縁部で頭部20aと止め輪21との間に挟み込まれている。ラック30には、ブレード10をスロット30aに収納したときに、貫通穴11aに挿通された雄ネジ部20bと螺合するネジ穴32aを備える内部プレート32が固定されている。頭部20aは、ネジ20をネジ穴32aにねじ込むことで、正面プレート11の貫通穴11aの正面側周縁部をラック30の内側に押し付けて、第1コネクタ13を、第2コネクタ36に電気的に接続し、かつ、機械的に挿着するように構成されている。止め輪21は、ネジ20をネジ穴32aから外すように緩めることで、正面プレート11の貫通穴11aの背面側周縁部をラック30の外側に押し付けて、第1コネクタ13を第2コネクタ36から電気的に切断し、かつ、機械的に抜去するように構成されている。
【0034】
形態2によれば、ブレード10をラック30から抜去する際、ブレード10をラック30に固定しているネジ20を緩めるだけで、ネジ20に対して軸方向移動不能に装着(固定)された止め輪21が正面プレート11の貫通穴11aの背面側周縁部をラック30の外側に押し付けて行き、ブレード10がラック30から機械的に抜去されると同時に、ブレード10のコネクタ13がラック30のコネクタ36から電気的に切断され、かつ、機械的に抜去されるので、作業工程が減り、ネジ20を落として無くすことがなくなり、ブレード10をラック30から抜去する際の作業性を向上させることに貢献することができる。
【0035】
上記形態の一部または全部は以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0036】
[付記1]
電子基板の正面に正面プレートが固定されるとともに、前記電子基板に第1コネクタが固定されたブレードと、
前記ブレードを収納するための少なくとも1つのスロットを有するとともに、前記ブレードを収納したときに前記第1コネクタと接続導通される第2コネクタが固定されたラックと、
前記ブレードを前記ラックに固定するネジと、
を備え、
前記ネジは、頭部から軸方向に延在した雄ネジ部を備えるとともに、前記雄ネジ部に対して軸方向移動不能に止め輪が装着されており、
前記正面プレートは、前記雄ネジ部が挿通される貫通穴を備えるとともに、前記貫通穴の周縁部で前記頭部と前記止め輪との間に挟み込まれており、
前記ラックには、前記ブレードを前記スロットに収納したときに、前記貫通穴に挿通された前記雄ネジ部と螺合するネジ穴を備える内部プレートが固定されており、
前記頭部は、前記ネジを前記ネジ穴にねじ込むことで、前記正面プレートの前記貫通穴の正面側周縁部を前記ラックの内側に押し付けて、前記第1コネクタを、前記第2コネクタに電気的に接続し、かつ、機械的に挿着するように構成され、
前記止め輪は、前記ネジを前記ネジ穴から外すように緩めることで、前記正面プレートの前記貫通穴の背面側周縁部を前記ラックの外側に押し付けて、前記第1コネクタを前記第2コネクタから電気的に切断し、かつ、機械的に抜去するように構成されている、
電子装置。
[付記2]
前記頭部は、前記ネジを前記ネジ穴にねじ込むことで、前記第1コネクタを、前記第2コネクタに電気的に接続し、かつ、機械的に挿着するとともに、前記ブレードを前記ラックに機械的に固定するように構成され、
前記止め輪は、前記ネジを前記ネジ穴から外すように緩めることで、前記第1コネクタを前記第2コネクタから電気的に切断し、かつ、機械的に抜去するとともに、前記ブレードを前記ラックから機械的に抜去するように構成されている、
付記1記載の電子装置。
[付記3]
前記貫通穴は、前記正面プレートの長手方向の中央部における前記電子基板と重ならない部分に配されている、
付記1又は2記載の電子装置。
[付記4]
前記第1コネクタは、前記電子基板自体の背面側の端部に配設されたコネクタ部である、
付記1乃至3のいずれか一に記載の電子装置。
[付記5]
前記頭部は、工具を装着して回転させるように構成されている、
付記1乃至4のいずれか一に記載の電子装置。
[付記6]
前記頭部は、指でつまんで回せるように構成されている、
付記1乃至4のいずれか一に記載の電子装置。
[付記7]
前記雄ネジ部は、軸方向の所定の位置において径方向に凹んだ溝部を有し、
前記溝部は、前記止め輪が軸方向移動不能に装着されるように構成されている、
付記1乃至6のいずれか一に記載の電子装置。
[付記8]
前記止め輪は、前記溝部に装着されるEリング又はCリング若しくはスナップリングである、
付記7記載の電子装置。
[付記9]
前記止め輪は、前記雄ネジ部に直接固定されるように構成されている、
付記1乃至6のいずれか一に記載の電子装置。
[付記10]
前記ラックには、前記スロットから挿入される前記ブレードの前記電子基板の左右両側の端部を前後方向にスライド可能に支持するガイド部材が固定されている、
付記1乃至9のいずれか一に記載の電子装置。
[付記11]
前記ラックには、前記ラックの内側にバックボードが固定されており、
前記バックボードには、前記第2コネクタが固定されている、
付記1乃至10のいずれか一に記載の電子装置。
[付記12]
電子基板の正面に正面プレートが固定されるとともに、前記電子基板に第1コネクタが固定されたブレードと、
前記ブレードを収納するための少なくとも1つのスロットを有するとともに、前記ブレードを収納したときに前記第1コネクタと接続導通される第2コネクタが固定されたラックと、
前記ブレードを前記ラックに固定するネジと、
を備えた電子装置における前記第1コネクタと前記第2コネクタとの着脱を行うコネクタ着脱方法であって、
前記ネジは、頭部から軸方向に延在した雄ネジ部を備えるとともに、前記雄ネジ部に対して軸方向移動不能に止め輪が装着されており、
前記正面プレートは、前記雄ネジ部が挿通される貫通穴を備えるとともに、前記貫通穴の周縁部で前記頭部と前記止め輪との間に挟み込まれており、
前記ラックには、前記ブレードを前記スロットに収納したときに、前記貫通穴に挿通された前記雄ネジ部と螺合するネジ穴を備える内部プレートが固定されており、
前記コネクタ着脱方法は、
前記ネジを前記ネジ穴にねじ込むことで、前記頭部が前記正面プレートの前記貫通穴の正面側周縁部を前記ラックの内側に押し付けて、前記第1コネクタを、前記第2コネクタに電気的に接続し、かつ、機械的に挿着し、
前記ネジを前記ネジ穴から外すように緩めることで、前記止め輪が前記正面プレートの前記貫通穴の背面側周縁部を前記ラックの外側に押し付けて、前記第1コネクタを前記第2コネクタから電気的に切断し、かつ、機械的に抜去する、
コネクタ着脱方法。
[付記13]
前記ネジを前記ネジ穴にねじ込むことで、前記第1コネクタを、前記第2コネクタに電気的に接続し、かつ、機械的に挿着するとともに、前記ブレードを前記ラックに機械的に固定し、
前記ネジを前記ネジ穴から外すように緩めることで、前記第1コネクタを前記第2コネクタから電気的に切断し、かつ、機械的に抜去するとともに、前記ブレードを前記ラックから機械的に抜去する、
付記12記載のコネクタ着脱方法。
【0037】
なお、特許文献1の開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択(必要により不選択)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、本願に記載の数値及び数値範囲については、明記がなくともその任意の中間値、下位数値、及び、小範囲が記載されているものとみなされる。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本願発明の趣旨に則り、本願発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれる(属する)ものと、みなされる。
【符号の説明】
【0038】
1 電子装置
10 ブレード
11 正面プレート
11a 貫通穴
12 電子基板
13 コネクタ(第1コネクタ)
20 ネジ
20a 頭部
20b 雄ネジ部
20c 溝部
21 止め輪
30 ラック
30a スロット
31 本体
32 内部プレート
32a ネジ穴
33 ネジ
34 ガイド部材
35 バックボード
36 コネクタ(第2コネクタ)
【要約】
【課題】ブレードをラックから抜去する際の作業性を向上させることに貢献することができる電子装置等を提供すること。
【解決手段】電子装置は、電子基板に正面プレート及び第1コネクタが固定されたブレードと、第1コネクタと接続導通される第2コネクタが固定されたラックと、ブレードをラックに固定するネジと、を備え、ネジは、雄ネジ部に止め輪が装着され、正面プレートは、雄ネジ部が挿通される貫通穴を備え、ネジの頭部と止め輪との間に挟み込まれ、ラックには、雄ネジ部と螺合するネジ穴を備える内部プレートが固定され、頭部は、ネジをネジ穴にねじ込むことで、正面プレートをラックの内側に押し付けて、第1コネクタを2コネクタに挿着し、止め輪は、ネジをネジ穴から外すように緩めることで、正面プレートをラックの外側に押し付けて、第1コネクタを第2コネクタから抜去する。
【選択図】
図6