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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】プラズマエッチングの方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
H01L21/302 101H
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020188866
(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公開番号】P2021100104
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】1919220.2
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512221197
【氏名又は名称】エスピーティーエス テクノロジーズ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フーマ アシュラフ
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン リドル
(72)【発明者】
【氏名】コドリン プラホビアヌ
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-076515(JP,A)
【文献】特開2005-277375(JP,A)
【文献】特開2000-012523(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0004870(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0139781(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0157459(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0013314(US,A1)
【文献】特開2009-021584(JP,A)
【文献】特開2019-087626(JP,A)
【文献】特開昭60-158632(JP,A)
【文献】特開2019-145780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、及びPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)の層を備える構造をプラズマエッチングする方法であって、
基板、及びPZTの層を備える構造を提供するステップと、
前記PZTの層をチャンバ内の支持体上に設置するステップと、
第1エッチングプロセスガス混合物が前記チャンバに供給される第1プラズマエッチングステップを実行することによって前記PZTの層をエッチングするステップであって、前記第1エッチングプロセスガス混合物は、少なくとも1つのフッ素含有種を含み、前記第1プラズマエッチングステップが実行されることにより、不揮発性金属エッチング生成物が前記チャンバの内部表面上に堆積される、ステップと、
第2エッチングプロセスガス混合物が前記チャンバに供給される第2プラズマエッチングステップを実行することによって前記PZTの層を更にエッチングするステップであって、前記第2エッチングプロセスガス混合物は、少なくとも1つのフッ化炭素種を含み、前記第2プラズマエッチングステップが実行されることにより、フッ化炭素ポリマ層が前記チャンバの内部表面上に堆積されて、前記第1プラズマエッチングステップにおいて堆積された不揮発性金属エッチング生成物をオーバーレイし、更なる不揮発性金属エッチング生成物が前記フッ化炭素ポリマ層上に堆積される、ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第2エッチングプロセスガス混合物の前記少なくとも1つのフッ化炭素種は、Cを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記Cは、5~10sccmの流速で前記チャンバ内に導入される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2エッチングプロセスガス混合物の前記少なくとも1つのフッ化炭素種は、CF及び/又はCを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2エッチングプロセスガス混合物の前記少なくとも1つのフッ化炭素種は、CFを含み、前記第2エッチングプロセスガス混合物は、Hを更に含み、sccm単位での流速の比として表示された、CFのHに対する比が、1.0:1未満である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1エッチングプロセスガス混合物の前記少なくとも1つのフッ素含有種は、CF、CHF、C、C、及びSFのうちの1つ又は複数を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1エッチングプロセスガス混合物は、Hを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1エッチングプロセスガス混合物は、CF及びHを含み、sccm単位での流速の比として表示された、CFのHに対する比は、1.5:1以上である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1エッチングプロセスガス混合物は、CF、H、及び1つ又は複数の不活性希釈剤から成る、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2エッチングプロセスガス混合物は、C、CF、H、及び1つ又は複数の不活性希釈剤から成る、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
バイアス電力が、前記第1プラズマエッチングステップ中に前記構造に印加され、前記第1プラズマエッチングステップ中よりも低下した又はゼロのバイアス電力が、前記第2プラズマエッチングステップ中に前記構造に印加される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
500~1000Wのバイアス電力が、前記第1プラズマエッチングステップ中に前記構造に印加される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
0~500Wのバイアス電力が、前記第2プラズマエッチングステップ中に前記構造に印加される、請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記基板は、半導体基板である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記半導体基板は、シリコン基板である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記チャンバは、1つ又は複数のガス入口を備える第1ガス入口配列と、1つ又は複数のガス入口を備える第2ガス入口配列と、を有し、
前記第1プラズマエッチングステップ中に、前記第1エッチングプロセスガス混合物は、単に前記第1ガス入口配列を通して前記チャンバに供給されるだけであり、
前記第2プラズマエッチングステップ中に、前記第2エッチングプロセスガス混合物は、単に前記第2ガス入口配列を通して前記チャンバに供給されるだけである、
請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
基板、及びPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)の層を備える構造をプラズマエッチングするためのプラズマエッチング装置であって、
チャンバと、
前記構造が上に設置される、前記チャンバ内に位置する支持体と、
プラズマ生成デバイスと、
前記装置を制御して2ステップのエッチングプロセスを実行するように構成された制御器であって、前記2ステップのエッチングプロセスは、第1エッチングプロセスガス混合物が前記チャンバに供給される第1プラズマエッチングステップであって、前記第1エッチングプロセスガス混合物は、少なくとも1つのフッ素含有種を含み、前記第1プラズマエッチングステップが実行されることにより、不揮発性金属エッチング生成物が前記チャンバの内部表面上に堆積される、ステップと、第2エッチングプロセスガス混合物が前記チャンバ内に供給される第2プラズマエッチングステップであって、前記第2エッチングプロセスガス混合物は、少なくとも1つのフッ化炭素種を含み、前記第2プラズマエッチングステップが実行されることにより、フッ化炭素ポリマ層が前記チャンバの内部表面上に堆積されて、前記第1プラズマエッチングステップにおいて堆積された不揮発性金属エッチング生成物をオーバーレイし、更なる不揮発性金属エッチング生成物が前記フッ化炭素ポリマ層上に堆積される、ステップと、を含む、制御器と、
を備える、プラズマエッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマエッチングの方法に関し、具体的には、基板及びPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)の層を備える構造をプラズマエッチングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電材料が、センサ、及び超音波変換器、AFM作動装置等の作動装置アプリケーションを含む様々な産業アプリケーションにおいて、並びに、不揮発性メモリデバイスの作製のためのマイクロエレクトロニクスにおいて用いられる。最も一般的な圧電材料のうちの1つは、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)である。
【0003】
PZTベースの圧電デバイスの製造は、典型的には、プラズマエッチングを含むプラズマ処理を含む。エッチングプロセスの望ましくない副作用は、チャンバ内部での材料の蓄積である。一旦材料が特定の厚さに到達すると、チャンバを定期的に清掃しなければならず、材料がチャンバ壁から剥落してシステムを汚染することを防止しなければならない。この期間は、清掃同士の間の平均時間(MTBC)として知られている。より長いMTBCが望ましく、その理由は、これがプラズマ装置の生産性を増加させるからである。
【0004】
PZT層のプラズマエッチングには、特に、大きいウェーハ直径(>150mm)及び高度に空いた面積(>80%)における特有の技術課題がある。PZT圧電デバイスは、典型的には、Pt等の貴金属電極を用いる。エッチング副産物は、主として不揮発性であり、カーボン、フッ素、及び酸素等の、エッチング中に用いられるプロセスガスの副産物とともに、PZTからのPb、Zr及びTi並びに電極からのPTが豊富な薄膜によるプロセスチャンバ内部の被覆をもたらす。Оバッチ清掃及びOウェーハ間清掃の使用が、カーボンベースの副産物堆積を最小化することができる反面、残りの副産物は、不揮発性であり、そのためドライエッチングによって除去することが困難である。特定の厚さを越すと、堆積材料内の薄膜応力の変動が、堆積材料の剥落をもたらすことがある。これは、チャンバ内の熱勾配、及び/又はアイドル時間中の熱循環、及び/又は不良接着点の存在によって悪化させられる。剥落は、処理されたウェーハ上での粒子及び欠陥の数の増加を引き起こす。そのとき、真空チャンバを環境に開放して、湿式/機械式方法を用いてチャンバの内部を清掃することが必要になる。これは、望ましいものよりも短いMTBCをもたらす。それに加えて、静電チャック(ESC)上への材料の剥落が、ESCによって加えられる締付け力の完全性を妨げることがある。これは、構造を含むPZTとESCとの間の熱伝達に影響を及ぼして、不均一なウェーハ冷却及びプロセス性能における結果として生じる悪化をもたらす。最終的に、これが不完全な製品をもたらす。そのため、ツール生産性が低下させられるので、剥落と関連する有意な経済的影響が存在し、その上、予想外の粒子生成が、デバイス収率に悪影響を及ぼすことがある。しかし、PZTベースのデバイスに対する需要が増大すると、材料のプラズマエッチングプロセスを改善して、デバイス収率を改善し、エッチングシステムの生産性を増大させることが増々必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第6071828号
【文献】米国特許第7439188号
【文献】米国特許第6770567号
【文献】米国特許出願公開第2007/0178698号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、それの実施形態の少なくとも一部において、上記の課題及び要望のうちの1つ又は複数を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によると、基板、及びPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)の層を備える構造をプラズマエッチングする方法が提供されており、本方法は、
基板、及びPZTの層を備える構造を提供するステップと、
構造をチャンバ内の支持体上に設置するステップと、
第1エッチングプロセスガス混合物がチャンバに供給される第1プラズマエッチングステップを実行することによって構造をエッチングするステップであって、第1エッチングプロセスガス混合物は、少なくとも1つのフッ素含有種を含み、第1プラズマエッチングステップが実行されることにより、不揮発性金属エッチング生成物がチャンバの内部表面上に堆積される、ステップと、
第2エッチングプロセスガス混合物がチャンバに供給される第2プラズマエッチングステップを実行することによって構造を更にエッチングするステップであって、第2エッチングプロセスガス混合物は、少なくとも1つのフッ化炭化水素種を含み、第2プラズマエッチングステップが実行されることにより、フッ化炭化ポリマ層が、チャンバの内部表面上に堆積されて、第1プラズマエッチングステップにおいて堆積された不揮発性金属エッチング生成物をオーバーレイし、そして、更なる不揮発性金属エッチング生成物が上に堆積される基板を提供する、ステップと、を含む。
【0008】
本発明の更なる一態様によると、基板、及びPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)の層を備える構造をプラズマエッチングするためのプラズマエッチング装置が提供されており、本装置は、
チャンバと、
構造が上に設置されてもよい、チャンバ内に位置する支持体と、
プラズマ生成デバイスと、
装置を制御して2ステップのエッチングプロセスを実行するように構成された制御器であって、2ステップのエッチングプロセスは、第1エッチングプロセスガス混合物がチャンバに供給される第1プラズマエッチングステップであって、第1エッチングプロセスガス混合物は、少なくとも1つのフッ素含有種を含み、第1プラズマエッチングステップが実行されることにより、不揮発性金属エッチング生成物がチャンバの内部表面上に堆積される、ステップと、第2エッチングプロセスガス混合物がチャンバに供給される第2プラズマエッチングステップであって、第2エッチングプロセスガス混合物が少なくとも1つのフッ化炭化水素種を含み、第2プラズマエッチングステップが実行されることにより、フッ化炭化ポリマ層が、チャンバの内部表面上に堆積されて、第1プラズマエッチングステップにおいて堆積された不揮発性金属エッチング生成物をオーバーレイし、そして、更なる不揮発性金属エッチング生成物が上に堆積されてもよい基板を提供する、ステップと、を含む、制御器と、を備える。
【0009】
本発明者は、堆積された不揮発性金属エッチング生成物の層同士の間でのフッ化炭化ポリマ層の存在が、チャンバ内部への金属エッチング生成物の接着性を改善し、それによって堆積材料の剥落を防止することを見い出した。このようにして、装置が清掃されなければならない前に処理され得るウェーハの数は増加される。
【0010】
本発明の利点は、フッ化炭素ポリマ層がエッチングプロセス中に堆積されることである。事前ウェーハ処置又はダミーウェーハが必要でない。また、薄層薄膜構造が、それで、ウェーハ処理能力を最大化しながら、獲得されてもよい。薄層薄膜構造は、いくつかのPZT含有構造が、本発明の2ステップのエッチングプロセスによって連続してエッチングされるときに、作製されてもよい。第2プラズマエッチングステップ中に堆積されたフッ化炭化ポリマ層は、(連続して処理される構造上におけるか、又は循環プロセスが用いられる場合には同じ構造上におけるかに関わらず実行される)後続の第1プラズマエッチングステップ中の不揮発性金属エッチング生成物の堆積に有利な基板として作用する。これは、堆積された金属層同士の間の接着性を増大させる。多くの層を備える安定層構造が、このようにして、作製されて、MTBCの増加をもたらす。
【0011】
第1及び第2エッチングプロセスガス混合物に関して、「を備えている」、「備える」及び「備える」等の「非限定」用語に参照がなされるとき、本発明は、また、非限定用語が、「から成る」及び「から本質的に成る」等の「限定」用語に置換されている実施形態にも関連すると理解される。
【0012】
第2エッチングプロセスガス混合物の少なくとも1つのフッ化炭化水素種は、Cを含んでもよい。Cは、5~10sccmの流速でチャンバ内に導入されてもよい。
【0013】
その代替として又は追加として、第2エッチングプロセスガス混合物の少なくとも1つのフッ化炭化水素種は、CF及び/又はCを含んでもよい。第2エッチングプロセスガス混合物の少なくとも1つのフッ化炭化水素種は、CFを含んでもよく、第2エッチングプロセスガス混合物は、Hを更に含んでもよい。sccm単位での流速の比として表示されたCFのHに対する比は、1.0:1未満であってもよい。
【0014】
第1エッチングプロセスガス混合物の少なくとも1つのフッ素含有種は、CF、CHF、C、C及びSFのうちの1つ又は複数を含んでもよい。第1エッチングプロセスガス混合物は、Hを更に含んでもよい。第1エッチングプロセスガス混合物は、CF及びHを含んでもよい。sccm単位での流速の比として表示されたCFのHに対する比は、1.5:1以上であってもよい。
【0015】
第1エッチングプロセスガス混合物は、CF、H、及び随意にAr等の1つ又は複数の不活性希釈剤から本質的に成ってもよい。
【0016】
第2エッチングプロセスガス混合物は、C、CF、H、及び随意にAr等の1つ又は複数不活性希釈剤から本質的に成ってもよい。
【0017】
バイアス電力が、第1プラズマエッチングステップ中に支持体に印加されてもよく、低下した又はゼロのバイアス電力が、第2プラズマエッチングステップ中に支持体に印加されてもよい。バイアス電力は、RFバイアス電力であってもよい。500~1000Wのバイアス電力が、第1プラズマエッチングステップ中に支持体に印加されてもよい。0~500Wのバイアス電力が、第2プラズマエッチングステップ中に支持体に印加されてもよい。バイアス電力は、構造がプラズマによってエッチングされる速度を制御する。バイアス電力は、第1ステップ中に、PZTに対する低選択性と共に高速度で構造をエッチングするように調整される。第2ステップにおけるより低いバイアス電力が、PZT表面の選択的なエッチングをもたらす。プラズマエッチング装置は、RFバイアス電力等のバイアス電力を支持体に印加するための電力印加配列を備えてもよい。
【0018】
構造が、単一の第1プラズマエッチングステップ及び単一の第2プラズマエッチングステップを用いて、プラズマエッチングされてもよい。その代替として、第1及び第2プラズマエッチングステップを所望の回数だけ交互に反復することによる循環態様で、構造をエッチングすることが可能である。そのため、方法は、第1プラズマエッチングステップを実行することによって、構造をなお更にエッチングするステップと、第2プラズマエッチングステップを実行することによって、構造をなお更に一層エッチングするステップと、を含む。
【0019】
チャンバの内部表面が、一連の構造のエッチングの開始前にテクスチャ加工されて、不揮発性金属エッチング生成物の初期層の、内部表面に対する接着性を改善してもよい。
【0020】
PZTの層は、別の材料の1つ又は複数の層によって基板から分離されてもよい。PZTの層は、下面を備えてもよい。下面は、貴金属層、例えばPt等の電極層によって、基板から分離されてもよい。それに付加して又は代替として、PZTの層は、SiO等のバリヤ層によって半導体基板から分離されてもよい。PZTの層は、上面を備えてもよい。Pt又は別の貴金属の層等の電極層が、上面上に存在してもよい。構造は、フォトレジスト層又は別のマスク材料を更に備えてもよい。基板は、シリコン基板等の半導体基板であってもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、チャンバは、1つ又は複数のガス入口を備える第1ガス入口配列と、1つ又は複数のガス入口を備える第2ガス入口配列と、を有する。第1プラズマエッチングステップ中に、第1エッチングプロセスガス混合物は、単に第1ガス入口配列を通してチャンバに供給されるだけである。第2プラズマエッチングステップ中に、第2エッチングプロセスガス混合物は、単に第2ガス入口配列を通してチャンバに供給されるだけである。したがって、制御器は、第1及び第2ガス入口配列を制御するように構成されてもよく、それにより、構造が、単に第1ガス入口配列を通してチャンバに供給されるだけの第1エッチングプロセスガス混合物を用いて第1プラズマエッチングステップを実行することによって、エッチングされ、そして、単に第2ガス入口配列を通してチャンバに供給されるだけの第2エッチングプロセスガス混合物を用いて第2プラズマエッチングステップを実行することによって、更にエッチングされる。
【0022】
このように、2ステップのPZTエッチングプロセスが、チャンバ清掃同士の間の平均時間を拡大するように切り替えるガス入口を備えている。考えられるのは、ガス入口の周辺での前駆体ガスのより高い濃度が、ガス入口の周りでの堆積の増加につながることである。切替え式ガス入口を用いて2ステップのエッチングプロセスを利用することによって、本発明は、チャンバ堆積内により大きい均一性を提供し、それによってMTBCを更に拡大させる。
【0023】
第1ガス入口配列のガス入口は、第2ガス入口配列のガス入口の半径方向内側に位置してもよく、又はその逆も同じである。チャンバは、プラズマ生成デバイスを更に備えてもよい。プラズマ生成デバイスは、第2ガス入口配列のガス入口から第1ガス入口配列のガス入口を分離してもよい。
【0024】
プラズマ生成デバイスは、環状ハウジングと、環状ハウジング内に配設されたプラズマ生成要素と、を備えてもよい。第1ガス入口配列のガス入口は、環状ハウジングの半径方向内側に位置してもよく、第2ガス入口配列のガス入口は、環状ハウジングの半径方向外側に位置してもよく、又はその逆も同じである。プラズマ生成要素は、RFアンテナであってもよい。環状ハウジングは、セラミック材料から形成されてもよい。
【0025】
第1及び第2ガス入口配列は、それぞれ、いずれかの好適な数のガス入口を備えてもよい。原則として、第1及び/又は第2ガス入口配列は、単一のガス入口を有してよいけれども、実際には、それぞれのガス配列が複数のガス入口を有することがよりあり得る。
【0026】
一般に、第1及び第2プラズマエッチングステップは、異なるエッチングプロセスガス混合物を用いる。典型的には、不揮発性金属エッチング生成物は、PZTからのPb、Zr、及びTi、並びに電極からの(Pt等の)金属を含むけれども、相対的割合は、用いられるプロセス条件に基づいて変化してもよい。理解されるのは、フッ化炭化ポリマ層が、特定割合の不揮発性金属エッチング生成物等の別の構成要素を含有してもよいことである。
【0027】
基板は、ウェーハの形式であってもよい。基板が半導体基板であるとき、それは、典型的には、ウェーハの形式である。
【0028】
プラズマエッチングに適した異なる種類のプラズマ生成デバイスが、当業者には周知である。本発明は、様々なこれらのプラズマ生成デバイスと連携して用いられてもよい。
【0029】
本発明が上記において説明されてきたが、それは、上記で述べた又は以下の説明における特性についてのいずれかの発明的な組合せにまで及ぶ。例えば、本発明の1つの態様に関連して説明された特性が、本発明の別の態様に関連して開示される。本発明の例示的実施形態が、添付図面を参照して本明細書において詳述されるけれども、理解されるべきは、本発明がこれらのまさにその実施形態に限定されないことである。更に、考えられるのは、個々に又は実施形態の部分としてのいずれかで説明された特定の特性が、たとえ別の特性及び実施形態が特定の特性への言及を行わなくとも、別の個々に説明された特性又は別の実施形態の部分と組み合わされてもよいことである。したがって、本発明は、未だ説明されていないかかる特定の組合せにまで及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明は、ここで、以下の添付図面を参照して、単に例として説明される。
【0031】
図1】本発明のプラズマエッチング装置の概略図である。
図2】本発明のプラズマエッチング装置の概略図である。
図3】RF源ウインドウでの堆積を表し、図4及び5が対応する領域を示す。
図4図3に示す良好接着断面についてのSEM顕微鏡写真である。
図5図3に示す不良接着断面についてのSEM顕微鏡写真である。
図6】堆積材料層についてのEDX組成分析を表す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に従うプラズマ処理装置が、図1及び2に示されている。本発明は、出願人のOmega(登録商標)Synapse(商標)エッチングプロセスモジュールについての適応バージョンで実行されてもよい。排気ガスポンピングシステム等の周知の特性が、図1及び2には示されていないけれども、当業者であれば充分に理解されるであろう。
【0033】
装置は、複数の内面を有するプラズマエッチングチャンバ11を備える。装置は、第1ガス入口配列10と、第2ガス入口配列12と、セラミック環状ハウジング18と、RFアンテナ14と、プラテンRF電極16と、エッチングを受ける構造28を支持するための支持体20と、を備える。図1及び2に示す実施形態において、支持体20は、静電チャックであり、プラテンRF電極16が用いられて、エッチングイオンの指向性を制御する。これは、次いで、処理中に達成される物理エッチングの範囲を制御する。プラテン電力が高い程、基板エッチング速度が増加される。
【0034】
プラズマエッチングチャンバ11は、上側壁又は蓋を有する。環状ハウジング18は、チャンバ11内に沈設され、上側壁から下向きに垂れ下がっている。環状ハウジング18は、上側壁の内部に円形領域を画定している。
【0035】
図1及び2に示す実施形態において、第1ガス入口配列10は、内側ガスプレナムであり、第2ガス入口配列12は、外側ガスプレナムである。それぞれのガス入口配列が、複数のガス入口を備え、それぞれのガス入口は、開口部で終端し、当該開口部を通してプロセスガスがチャンバ11の内部に入る。内側プレナム10は、環状ハウジング18によって画定された円形領域内に位置している。内側ガスプレナム10のガス入口は、円形パターンに配設された複数の開口部として、環状ハウジング18の内側に設置されている。外側プレナム12は、環状ハウジング18によって画定された円形領域の外側に設置されている。外側ガスプレナム12のガス入口は、円形パターンに配設された複数の開口部として、環状ハウジング18の外側に設置されている。内側ガスプレナムは、8つのガス入口を有してもよく、一方、外側ガスプレナムは、約10倍の数のガス入口を有してもよい。しかし、いうまでもなく、第1及び第2ガス入口配列は、いずれかの好適な数のガス入口を有してもよい。
【0036】
エッチングチャンバが、図2に更に示されており、当該図は、チャンバ内に存在する構造28の処理を示している。チャンバは、チャンバ壁24を備え、当該チャンバ壁内で、構造28が支持体20上に置かれている。プラズマ26は、環状ハウジング18内に具備されたRFアンテナ14を介して、RF電力源(図示せず)からチャンバ内に結合されたRF電力によって点火されて維持される。環状ハウジング18は、RF電力をチャンバに結合するのを可能にするウインドウとして作用する。エッチングプロセスガスは、内側ガスプレナム10又は外側ガスプレナム12のいずれかのガス入口を通ってチャンバに入る。制御器30が用いられて、2ステップのエッチングプロセスを制御する。それの作用の部分として、制御器30は、エッチングプロセスガスのチャンバ内へのフローを制御する。いくつかの実施形態では、制御器は、第1及び第2エッチングステップの間で、第1ガスプレナムから第2ガスプレナムにガス入口点を切り替える。
【0037】
典型的なウェーハ構造は、シリコン基板基層と、それに続く、SiO層と、プラチナ層と、PZT層と、第2プラチナ層と、最後にウェーハの上面上のフォトレジストマスクとである。フォトレジストマスクは、ウェーハをプラズマエッチングから保護する。マスクは、所望のエッチング製品に従ってパターン付けされる。典型的には、プラチナ電極層は、50~250nmの厚さを有し、PZT層は、500~2500nmの厚さを有する。
【0038】
第1ステップ中に、比較的高いプラテン電力が用いられて、PZTを高速度で低選択性によって停止層(PZT/Pt)までエッチングする。停止層は、典型的にはプラチナ電極である。プラテン電力は、第2ステップにおいて低下させられ、そして、完全にスイッチを切られてもよい。プラテン電力の低下は、PZTについてのエッチング速度の低下につながるけれども、Ptによって選択性を改善する。このことは、第2ステップ中にプラズマがいずれかの残りのPZTをエッチングし続けるけれども、停止層をエッチングしないか、又は実質的に低下した速度でPtを除去することを意味する。
【0039】
チャンバの内面がテクスチャ加工されていることにより、堆積した材料の第1層の接着性を改善する。チャンバ内の金属遮蔽は、アーク溶射Alによって被覆されて、約20~35μmの表面粗度を達成し、一方、セラミックウインドウ18は、イットリア塗料によって被覆されていることにより、約6μmの表面粗度を達成する。試験は、エッチングプロセスガスを供給するために用いられる内側又は外側ガスプレナムのいずれかについての表1に示すプロセス条件を用いて、高度に空いた面積(80%ОA)のパターン付きウェーハをエッチングすることによって実行され、当該ウェーハは、その上に形成されたフォトレジストマスク(厚さ4.5μm)/Pt(厚さ100nm)/PZT(厚さ2μm)/Pt(厚さ100nm)の層を有する。
【0040】
表1は、それぞれのステップについての典型的なプロセスパラメータを表す。PZTエッチングは、典型的には、55℃のチャンバ温度及び5~50mTorrの圧力において実行される。
【0041】
【表1】
【0042】
外側ガスプレナムが用いられてエッチングステップを実行したときに、堆積が、外側ガスプレナムの周辺のチャンバ表面上にはっきり表れたことが判った。内側ガスプレナムが用いられてエッチングステップを実行したときに、堆積が、環状ハウジング上に及び内側ガスプレナムの周辺に視認できた。214ミクロン以上のPZTが、材料が環状ハウジングのセラミックウインドウから層間剥離する前に、内側プレナムを用いて成功裏にエッチングされた。
【0043】
図3は、環状ハウジング18上に堆積された材料を表す。材料は、いくつかの領域において良好に接着しており、一方、別の領域において剥離していることが見て取れる。
【0044】
図4に表すSEM顕微鏡写真は、図3に示す良好接着領域に対応する。フッ化炭素ポリマの厚い層が、金属性エッチング生成物の各層同士の間に存在する。チャンバ内で処理されるウェーハの数が増加するにつれて、エッチング生成物とフッ化炭素ポリマとの層構造が、チャンバ内部に蓄積する。
【0045】
対照的に、図5のSEM顕微鏡写真が、図3に示す不良接着領域から撮られている。
この領域において、エッチング生成物層同士の間のフッ化炭素層は、薄いか又は存在しない。SEM画像は、厚いフッ化炭素ポリマ層がそれぞれの再堆積エッチング生成物層の間に存在する領域が、フッ化炭素層が薄いか又は存在しない領域よりも良好に接着していることを示す。
【0046】
図6は、良好接着領域から取られた再堆積材料についてのEDX組成分析を表す。材料の組成は、図4に見られるような金属エッチング生成物の層同士の間に挟まれた厚いフッ化炭素層の存在と整合している。
【0047】
いずれかの特定の理論又は推測によって限定されることを望まないが、チャンバ内部での堆積についての2つの主要機構が存在すると考えられる。第1機構は、プロセスガスのチャンバ内部上での直接堆積である。第2のものは、エッチング中における、ウェーハからのエッチング生成物の再堆積である。考えられるのは、エッチングプロセスガス混合物からの材料堆積が、ガス入口からの距離の関数としての前駆体ガス濃度の局所変動に起因して、チャンバ全体にわたって変化することである。このことは、ガス入口の周辺でのより高度の堆積をもたらす。2つのガス入口配列の間での切替えによって、より均一な堆積が達成されてもよく、そのため、チャンバ清掃同士の間の時間が延長されてもよい。ウェーハエッチング生成物からの堆積は、ウェーハからの直線距離方式で作用すると考えられ、そのため、ガス入口による影響を受けない。本明細書で説明した発明は、フッ化炭素ポリマ層の堆積と主として関係し、当該フッ化炭素ポリマ層は、不揮発性金属生成物の後続層の堆積に対する優れた基板として作用する。これが、第1及び第2プラズマエッチングステップの間でのガス入口の切替えと連携して実行されることにより、最適な結果が達成できることがある。しかし、ガス入口の切替えが実行されることは必要でない。その代わりとして、いうまでもないのは、不揮発性金属エッチング生成物とフッ化炭素ポリマとの交互する層を備える有利な層構造が、ガス入口の切替え無しで達成されてもよいことである。
【0048】
考えられるのは、フッ化炭素薄膜の厚さは、RF結合、上に堆積される表面の温度、及びフッ化炭素ポリマ層を提供するために用いられる1つ又は複数のフッ化炭素前駆体の濃度の局所変動等のプロセスパラメータの変動によって修正されてもよいことである。かかる変動は、当業者の領域内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6