(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H01L23/36 C
(21)【出願番号】P 2020194319
(22)【出願日】2020-11-24
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 裕一
(72)【発明者】
【氏名】沼倉 啓一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 哲也
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-47783(JP,A)
【文献】特開2007-324394(JP,A)
【文献】国際公開第2014/128868(WO,A1)
【文献】特開2019-21772(JP,A)
【文献】国際公開第2019/065725(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34―23/473
H01L 25/07
H05K 1/02
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップと、
相互に対向する第1主表面及び第2主表面を有し、前記半導体チップが前記第1主表面に直接接合され、且つ、前記第2主表面の前記半導体チップを投影した箇所に溝が形成された熱拡散部材と、
を有しており、
前記第1主表面及び前記第2主表面は、前記半導体チップよりも大きい輪郭で形成され、
前記溝は、前記第2主表面に投影された前記半導体チップの辺を跨いで形成される
半導体装置。
【請求項2】
半導体チップと、
相互に対向する第1主表面及び第2主表面を有し、前記半導体チップが前記第1主表面に直接接合され、且つ、前記第2主表面の前記半導体チップを投影した箇所に溝が形成された熱拡散部材と、
を有しており、
前記溝は、前記熱拡散部材の前記第1主
表面と前記第2主
表面とを結ぶ側面において閉塞されている
半導体装置。
【請求項3】
前記溝の深さは、前記第1主表面から前記第2主表面までの距離よりも短い
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記溝は、前記第1主表面と前記第2主表面とを結ぶ側面に到達している
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記熱拡散部材は、熱伝導において等方性を有する熱伝導部材である
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記熱拡散部材は、熱伝導において異方性を有する熱伝導部材である
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記溝は、複数形成される
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記溝は、複数形成され、
前記溝は、前記第2主表面の前記半導体チップの対角線の交点を投影した箇所から放射状に形成される
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記溝は、複数形成され、
前記溝は、所定の基準値よりも熱伝導率が高い前記熱拡散部材の熱伝導方向に沿って平行に形成される
ことを特徴とする請求項1から4及び6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記熱拡散部材の前記第2主表面に熱的に接合された冷却器を備える
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
半導体チップと、
相互に対向する第1主表面及び第2主表面を有し、前記半導体チップが前記第1主表面に直接接合され、且つ、前記第2主表面の前記半導体チップを投影した箇所に溝が形成された熱拡散部材と、
を有しており、
前記溝は、前記熱拡散部材の前記第1主表面と前記第2主表面とを結ぶ側面に到達し、対向する一対の前記側面間を貫通している
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体素子と接合する絶縁基板と冷却器との間に複数の突起を有する応力緩和部材を介在させ、半導体素子が発熱した際に、絶縁基板と冷却器との線膨張係数の相違に起因して放熱装置に発生する熱応力の影響を緩和する放熱装置が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載された発明は、放熱装置に熱応力が発生した際に、応力緩和部材の突起が変形することで熱応力を緩和する。これにより、絶縁基板及び絶縁基板と応力緩和部材との接合部に生じるクラックならびに冷却器の絶縁基板側の面に生じる反りを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された発明は、応力緩和部材に設けた突起により、絶縁基板と応力緩和部材との接触面積が減少し、半導体素子から冷却器までの熱伝導経路が減少する。すなわち、応力緩和部材の熱抵抗が増大することにより、半導体素子の冷却性能が悪化するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、半導体チップの接触部に発生する熱応力を緩和しつつ、熱伝導経路の熱抵抗を低減する半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
半導体装置は、半導体チップと、相互に対向する第1主表面及び第2主表面を有し、半導体チップが第1主表面に直接接合され、且つ、第2主表面の半導体チップを投影した箇所に溝が形成された熱拡散部材と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、半導体チップの接触部に発生する熱応力を緩和しつつ、熱伝導経路の熱抵抗を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、第1実施形態に係る半導体装置の平面図である。
【
図1B】
図1Bは、第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。
【
図3A】
図3Aは、第2実施形態に係る半導体装置の平面図である。
【
図3B】
図3Bは、第2実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図4A】
図4Aは、第3実施形態に係る半導体装置の平面図である。
【
図4B】
図4Bは、第3実施形態に係る半導体装置の側面図である。
【
図5】
図5は、第4実施形態に係る半導体装置の平面図である。
【
図6】
図6は、第5実施形態に係る半導体装置の平面図である。
【
図7】
図7は、第6実施形態に係る半導体装置の平面図である。
【
図8】
図8は、冷却器を備えた実施形態に係る半導体装置の側面図である。
【
図9】
図9は、冷却器及び絶縁基板を備えた実施形態に係る半導体装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
[半導体装置の構成]
図1A及び
図1Bを参照して第1実施形態に係る半導体装置の全体構成を説明する。
図1Aは、第1実施形態に係る半導体装置の平面図であり、
図1Bは、
図1Aに示す半導体装置のA-A´における断面図である。
【0011】
半導体装置は、半導体チップ1と熱拡散部材2とを有しており、半導体チップ1は熱拡散部材2に直接接合され、且つ、第2主表面5の半導体チップ1を投影した箇所に溝3aが形成されている。
【0012】
熱拡散部材2は、半導体チップ1が発熱した際の熱を熱伝導により吸収し、大気中に放出することにより、半導体チップ1の温度が所定の温度以上に上昇することを防止する。熱拡散部材2は、熱伝導性を有する材質で構成されており、具体的には、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)などの放熱性を有するセラミックスで構成されている。
【0013】
熱拡散部材2は、相互に対向する第1主表面4及び第2主表面5を有している。
【0014】
第1主表面4には、半導体チップ1が直接接合されている。半導体チップ1と第1主表面4とは、はんだ、焼結金属などの金属接合または拡散接合により接合される。拡散接合とは、接合する材料同士を密着させ、真空や不活性ガス中などの制御された雰囲気中で加圧及び加熱し、接合面に生じる原子の拡散を利用して接合する方法である。
【0015】
第2主表面5には、溝3aが形成されている。溝3aは、切削加工または放電加工により形成される。溝3aは、半導体チップ1の発熱による熱拡散部材2の熱膨張を吸収することで、熱拡散部材2の熱膨張を抑制する。
【0016】
溝3aは、第2主表面5の半導体チップ1を投影した箇所に形成されている。より具体的には、溝3aは、第2主表面5に投影された半導体チップ1の辺10を跨いで形成されている。なお、本実施形態では、溝3aは半導体チップ1の短手方向の辺10を跨いで形成されているが、溝3aが跨ぐ半導体チップ1の辺はこれに限定されない。溝3aは、半導体チップ1の長手方向の辺11を跨いで形成されていてもよいし、短手方向の辺10及び長手方向の辺11のいずれも跨いで形成されていてもよい。また、溝3aは第2主表面5に対して垂直に形成されているが、第2主表面5に対して斜めに形成されていてもよい。
【0017】
[作用効果]
以上説明したように、第1実施形態によれば以下の作用効果が得られる。
【0018】
熱拡散部材2は、半導体チップ1の直下となる第2主表面5の半導体チップ1を投影した箇所に溝3aが形成されることにより、半導体チップ1と熱拡散部材2との線膨張係数の差により半導体チップ1と熱拡散部材2との接触部に生じる熱応力を緩和することができる。半導体チップ1は第1主表面4に直接接合されているので、半導体チップ1と熱拡散部材2との熱抵抗を低減することができる。よって、半導体チップ1の接触部に発生する熱応力を緩和しつつ、熱伝導経路の熱抵抗を低減することができる。
【0019】
熱拡散部材2に形成された溝3aは、第2主表面5に投影された半導体チップ1の辺10を跨いで形成されることにより、熱応力の集中しやすい箇所である半導体チップ1と熱拡散部材2との接触部の端部の熱応力を緩和することができる。
【0020】
(第1実施形態の変形例)
[半導体装置の構成]
図2を参照して、第1実施形態の変形例に係る半導体装置を説明する。
図2は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置の平面図である。第1実施形態との相違点は、半導体チップ1の数及び溝3bの形状である。よって、当該相違点についてのみ説明し、その他共通する構成については説明を省略する。
【0021】
第1実施形態の変形例に係る半導体装置は、複数の半導体チップ1が第1主表面4に接合され、複数の半導体チップ1に対応する1つの溝3bが第2主表面5の複数の半導体チップ1を投影した箇所に形成されている。より具体的には、溝3bは、第2主表面5に投影された複数の半導体チップ1の辺12を跨いで形成されている。
【0022】
このように、1つの溝3bが複数の半導体チップ1に対応するように形成されていてもよい。または、複数の半導体チップ1が1つの溝3bに対応するように配置されていてもよい。なお、本実施形態では、複数の半導体チップ1は第1主表面4に並列に配置されているが、半導体チップ1の配置はこれに限定されない。半導体チップ1は、第2主表面5の半導体チップ1を投影した箇所に溝3bが形成されていれば、どこに配置されていてもよい。
【0023】
[作用効果]
以上説明したように、第1実施形態の変形例によれば、第1実施形態の作用効果に加え以下の作用効果が得られる。
【0024】
複数の半導体チップ1に対応する1つの溝3bは、第2主表面5の複数の半導体チップ1を投影した箇所に形成され、第2主表面5に投影された複数の半導体チップ1の辺12を跨いで形成されている。これにより、1つの溝3bで複数の半導体チップ1と熱拡散部材2との接触部に生じる熱応力を緩和することができる。また、搭載される半導体チップ1に対する溝3bの数を削減することができ、溝3bの形成に掛かる工数、及び加工コストを低減することができる。
【0025】
(第2実施形態)
[半導体装置の構成]
図3A及び
図3Bを参照して、第2実施形態に係る半導体装置の構成について説明する。
図3Aは、第2実施形態に係る半導体装置の平面図であり、
図3Bは、
図3Aに示す半導体装置のA-A´における断面図である。第1実施形態との相違点は、溝3cの深さ及び半導体チップ1と熱拡散部材2との接触面積である。よって、当該相違点についてのみ説明し、その他共通する構成については説明を省略する。
【0026】
図3Bに示すように、溝3cの深さEは、第1主表面4から第2主表面5までの距離Fよりも短い。すなわち、溝3cは、第1主表面4まで到達していない。
【0027】
そのため、半導体チップ1の接触面全体が熱拡散部材2と接合しており、半導体チップ1と熱拡散部材2との接触面積は、溝3aが第1主表面4まで貫通している第1実施形態より大きい。
【0028】
[作用効果]
以上説明したように、第2実施形態によれば、第1実施形態の作用効果に加え、以下の作用効果が得られる。
【0029】
溝3cの深さEは、第1主表面4から第2主表面5までの距離Fよりも短いことにより、半導体チップ1の接触面全体が熱拡散部材2と接合する。これにより、半導体チップ1と熱拡散部材2との接触面積を増やすことができ、半導体チップ1と熱拡散部材2との熱抵抗をより低減することができる。
【0030】
(第3実施形態)
[半導体装置の構成]
図4A及び
図4Bを参照して、第3実施形態に係る半導体装置の構成について説明する。
図4Aは、第3実施形態に係る半導体装置の平面図であり、
図4Bは、
図4Aに示す半導体装置のB矢視における側面図である。第2実施形態との相違点は、溝3dの形状のみである。よって、溝3dの形状についてのみ説明し、その他共通する構成については説明を省略する。
【0031】
溝3dは、第1主表面4と第2主表面5とを結ぶ側面20に到達している。これにより、熱拡散部材2は、溝3dによって第1主表面4と第2主表面5とを結ぶ側面20が分断されている。なお、本実施形態では、溝3dの両端が第1主表面4と第2主表面5とを結ぶ側面20に到達しているが、溝3dの一端のみが第1主表面4と第2主表面5とを結ぶ側面20に到達していてもよい。
【0032】
[作用効果]
以上説明したように、第3実施形態によれば、第2実施形態の作用効果に加え、以下の作用効果が得られる。
【0033】
溝3dは、第1主表面4と第2主表面5とを結ぶ側面20に到達していることにより、熱拡散部材2が分断され、半導体チップ1と熱拡散部材2との接触部に生じる熱応力をより緩和することができる。また、溝3dは、第1主表面4と第2主表面5とを結ぶ側面20に到達していることにより、溝3dを容易に形成することができる。
【0034】
(第4実施形態)
[半導体装置の構成]
図5を参照して、第4実施形態に係る半導体装置の構成について説明する。
図5は、第4実施形態に係る半導体装置の平面図である。第3実施形態との相違点は、第2主表面5に形成されている溝3eが半導体チップ1を投影した箇所で分断され、溝3eが2つ形成されている点である。よって、当該相違点についてのみ説明し、その他共通する構成については説明を省略する。
【0035】
図5に示すように、溝3eは、第2主表面5の半導体チップ1を投影した箇所に複数形成されている。より具体的には、複数の溝3eは、第2主表面5に投影された半導体チップ1の辺10を跨いで形成されている。
【0036】
なお、本実施形態では、複数の溝3eは、第2主表面5に投影された半導体チップ1の短手方向の辺10を跨いで形成されているが、複数の溝3eが跨ぐ半導体チップ1の辺は短手方向に限定されない。複数の溝3eは、半導体チップ1の長手方向の辺11を跨いで形成されていてもよいし、短手方向の辺10及び長手方向の辺11のいずれも跨いで形成されていてもよい。溝3eは3つ以上形成されていてもよい。
【0037】
[作用効果]
以上説明したように、第4実施形態によれば、第3実施形態の作用効果に加え、以下の作用効果が得られる。
【0038】
溝3eは、第2主表面5の半導体チップ1を投影した箇所に複数形成されていることにより、熱拡散部材2の分断される箇所を増やすことができる。これにより、放熱面積を広げることができ、熱拡散部材2の熱抵抗を低減することができる。
【0039】
(第5実施形態)
[半導体装置の構成]
図6を参照して、第5実施形態に係る半導体装置の構成を説明する。
図6は、第5実施形態に係る半導体装置の平面図である。第4実施形態との相違点は、熱拡散部材2の熱特性及び溝3fの配置方法である。よって、当該相違点についてのみ説明し、その他共通する構成については説明を省略する。
【0040】
熱拡散部材2は、熱伝導において等方性を有する熱伝導部材で構成されている。熱伝導において等方性を有する熱伝導部材とは、第1実施形態にて例示した熱伝導性を有する材質で構成され、熱伝導部材の結晶構造が均質な部材のことである。すなわち、熱拡散部材2の熱伝導率は一定である。
【0041】
溝3fは複数形成されており、各々の溝3fは、第2主表面の半導体チップ1の対角線の交点Cを投影した箇所から放射状に複数形成されている。なお、本実施形態では、複数の溝3fは、各々の溝3fの延長線が交点Cを通り、交点Cから各々の溝3fまでの距離が等しくなるように形成されているが、複数の溝3fの形成される箇所はこれに限定されない。溝3fは、第2主表面5の半導体チップ1の対角線の交点Cを投影した箇所から放射状に形成されていればよい。複数の溝3fは、互いに重なり合って形成されていてもよい。
【0042】
[作用効果]
以上説明したように、第5実施形態によれば、第4実施形態の作用効果に加え、以下の作用効果が得られる。
【0043】
熱拡散部材2は、熱伝導において等方性を有する熱伝導部材で構成されることにより、熱伝導率が一定となるので、半導体チップ1の搭載位置及び数に対応して効率良く溝3fを形成することができる。
【0044】
溝3fは第2主表面5の半導体チップ1の対角線の交点Cを投影した箇所から放射状に形成されることにより、半導体チップ1から放射状に広がる熱の拡散方向に沿って溝3fを形成することができるので、放熱面積を広げることができ、熱拡散部材2の熱抵抗を低減することができる。
【0045】
(第6実施形態)
[半導体装置の構成]
図7を参照して、第6実施形態に係る半導体装置の構成を説明する。
図7は、第6実施形態に係る半導体装置の平面図である。第5実施形態との相違点は、熱拡散部材2の熱特性及び溝3gの配置方法である。よって、当該相違点についてのみ説明し、その他共通する構成については説明を省略する。
【0046】
熱拡散部材2は、熱伝導において異方性を有する熱伝導部材で構成されている。熱伝導において異方性を有する熱伝導部材とは、熱伝導率の異なる材質を積層することで熱伝導に指向性を有する部材のことである。
図7に示す熱拡散部材2は、D方向の熱伝導率が所定の基準値よりも高くなっており、D方向が熱伝導方向となっている。従って、熱伝導方向に沿ってより多くの熱が拡散する。なお、所定の基準値とは、熱伝導に指向性を持たせるための基準値として設定された熱伝導率である。所定の基準値は、熱拡散部材2の材質、設定する熱伝導の指向性に応じて適宜設定されればよい。
【0047】
溝3gは複数形成されており、前記した所定の基準値よりも熱伝導率が高い熱拡散部材2の熱伝導方向(D方向)に沿って平行に形成されている。具体的には、溝3gは、第2主表面5の半導体チップ1を投影した箇所に形成され、第2主表面5に投影された半導体チップ1の辺10を跨いで熱伝導方向に対して平行に形成されている。
【0048】
[作用効果]
以上、説明したように、第6実施形態によれば、第4実施形態の作用効果に加え、以下の作用効果が得られる。
【0049】
熱拡散部材2は、熱伝導において異方性を有する熱伝導部材で構成されることにより、
熱伝導に指向性を持たせることができる。これにより、半導体チップ1の搭載位置及び数に対応して熱伝導方向を設定することがき、熱伝導方向に対して熱拡散を効率良く行うことができる。
【0050】
溝3gは熱拡散部材2の熱伝導方向に対して平行に形成されることにより、半導体チップ1から熱伝導方向(D方向)に広がる熱の拡散方向に沿って溝3gを形成することができるので、熱拡散を効率良く行うことができ、熱拡散部材2の熱抵抗を低減することができる。
【0051】
(第7実施形態)
[半導体装置の構成]
図8を参照して、第7実施形態に係る半導体装置の構成を説明する。
図8は、第7実施形態に係る半導体装置の側面図である。他実施形態との相違点は、冷却器6をさらに備える点である。よって、当該相違点についてのみ説明し、その他共通する構成については説明を省略する。
【0052】
半導体装置は、熱拡散部材2の第2主表面5に熱的に接合された冷却器6を備えている。
図8では、冷却器6としてヒートシンクが図示されているが、冷却器6は、ヒートシンクを含む空冷式でもよいし、水冷式でもよい。冷却器6は、熱拡散部材2の第2主表面5に熱伝導性を有する両面テープ、プッシュピン、クリップ、段付きネジなどの既知の固定方法で直接接合されている。
【0053】
なお、
図9に示すように、熱拡散部材2と冷却器6との間に、絶縁基板7及び金属材8が設けられていてもよい。
【0054】
[作用効果]
以上説明したように、第7実施形態によれば、他実施形態の作用効果に加え、以下の作用効果が得られる。
【0055】
第2主表面5に熱的に接合された冷却器6を備えることにより、熱拡散部材2の熱をより効率良く放熱することができる。
【0056】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0057】
1 半導体チップ
2 熱拡散部材
3a 溝
4 第1主表面
5 第2主表面