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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20250109BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20250109BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N23/68
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020208882
(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公開番号】P2022096017
(43)【公開日】2022-06-29
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】新井 努
(72)【発明者】
【氏名】笠原 章吾
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
【審査官】東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-526257(JP,A)
【文献】特開2019-015847(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0057659(US,A1)
【文献】特開2020-181039(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107357114(CN,A)
【文献】中国実用新案第210142222(CN,U)
【文献】特開2021-103271(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0361261(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00- 5/08
H04N 23/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入射する光を反射する反射面が形成される反射部材と、前記反射部材を回動可能に保持する可動体と、前記可動体を回動可能に保持する固定体と、前記可動体に対して前記反射部材を回動させるとともに前記固定体に対して前記可動体を回動させる駆動機構と、前記可動体に対する前記反射部材の回動中心を構成する回動軸部とを備え、
前記反射部材は、所定の第1方向を回動の軸方向として前記可動体に対して回動可能となっており、
前記回動軸部は、第1方向における前記反射部材の両側のそれぞれに配置される球状のボールと、前記ボールを前記反射部材に向かって付勢する板バネとを備え、
前記可動体は、第1方向における前記反射部材の両側に配置されるバネ保持部を備え、
前記板バネは、前記バネ保持部に保持される平板状の被保持部と、前記被保持部に繋がるとともに前記ボールに接触して前記ボールを付勢するバネ部とを備え、
前記被保持部の厚さ方向は、第1方向と一致しており、
前記バネ部は、前記被保持部に近づく方向に弾性変形していることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記振れ補正機能付き光学ユニットに組み込まれた状態の前記板バネは、第1方向を厚さ方向とする平板状になっていることを特徴とする請求項1記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記反射部材が固定される固定部材を備え、
前記可動体は、前記反射部材および前記固定部材を回動可能に保持し、
前記ボールは、前記固定部材に固定され、
前記バネ部には、前記ボールが接触する凹曲面状の受け面が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記固定部材は、樹脂材料で形成される固定部材本体と、金属材料で形成され前記固定部材本体に固定されるボール固定板とを備え、
前記ボールは、金属材料で形成されるとともに前記ボール固定板に固定されていることを特徴とする請求項3記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記反射部材が固定される固定部材を備え、
前記可動体は、前記反射部材および前記固定部材を回動可能に保持し、
前記ボールは、前記バネ部に固定され、
前記固定部材には、前記ボールが接触する凹曲面状の受け面が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学像の振れを補正するための振れ補正機能を有する振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学要素を揺動させて光学像の振れ補正を行う振れ補正機能を有する撮像装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の撮像装置の撮像光学系は、前方レンズ群と後方レンズ群とを備えている。前方レンズ群は、光の反射面が形成されるプリズムと、プリズムの入射面側に配置される第1レンズと、プリズムの射出面側に配置される第2レンズとから構成されている。特許文献1に記載の撮像装置では、第1レンズを揺動させることで、光学像の振れを補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-207548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、外部から入射する光を撮像素子等に向かって反射する反射面が形成されるプリズム等の反射部材を備える振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、光学像の振れを補正するために反射部材を回動させることを検討している。この振れ補正機能付き光学ユニットは、反射部材を回動可能に保持する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体と、可動体に対して反射部材を回動させるとともに固定体に対して可動体を回動させる駆動機構とを備えており、可動体に対する反射部材の回動の軸方向と固定体に対する可動体の回動の軸方向とは、たとえば、直交している。このような振れ補正機能付き光学ユニットは、スマートフォン等の携帯機器に搭載されて使用されることが多いため、小型であることが好ましい。
【0005】
そこで、本発明の課題は、外部から入射する光を反射する反射面が形成される反射部材と、反射部材を回動可能に保持する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体とを備える振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、可動体に対する反射部材の回動の軸方向で小型化することが可能な振れ補正機能付き光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、外部から入射する光を反射する反射面が形成される反射部材と、反射部材を回動可能に保持する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体と、可動体に対して反射部材を回動させるとともに固定体に対して可動体を回動させる駆動機構と、可動体に対する反射部材の回動中心を構成する回動軸部とを備え、反射部材は、所定の第1方向を回動の軸方向として可動体に対して回動可能となっており、回動軸部は、第1方向における反射部材の両側のそれぞれに配置される球状のボールと、ボールを反射部材に向かって付勢する板バネとを備え、可動体は、第1方向における反射部材の両側に配置されるバネ保持部を備え、板バネは、バネ保持部に保持される平板状の被保持部と、被保持部に繋がるとともにボールに接触してボールを付勢するバネ部とを備え、被保持部の厚さ方向は、第1方向と一致しており、バネ部は、被保持部に近づく方向に弾性変形していることを特徴とする。
【0007】
本発明の振れ補正機能付き光学ユニットでは、第1方向における反射部材の両側のそれぞれに配置されるボールを反射部材に向かって付勢する板バネは、可動体のバネ保持部に保持される平板状の被保持部と、被保持部に繋がるとともにボールに接触してボールを付勢するバネ部とを備えている。また、本発明では、被保持部の厚さ方向は、第1方向と一致しており、バネ部は、平板状の被保持部に近づく方向に弾性変形している。そのため、本発明では、第1方向における板バネ全体の厚さを薄くすることが可能になる。すなわち、本発明では、可動体に対する反射部材の回動の軸方向における板バネ全体の厚さを薄くすることが可能になる。したがって、本発明では、可動体に対する反射部材の回動の軸方向で振れ補正機能付き光学ユニットを小型化することが可能になる。
【0008】
本発明において、振れ補正機能付き光学ユニットに組み込まれた状態の板バネは、第1方向を厚さ方向とする平板状になっていることが好ましい。このように構成すると、可動体に対する反射部材の回動の軸方向における板バネ全体の厚さをより薄くすることが可能になる。したがって、可動体に対する反射部材の回動の軸方向で振れ補正機能付き光学ユニットをより小型化することが可能になる。
【0009】
本発明において、たとえば、振れ補正機能付き光学ユニットは、反射部材が固定される固定部材を備え、可動体は、反射部材および固定部材を回動可能に保持し、ボールは、固定部材に固定され、バネ部には、ボールが接触する凹曲面状の受け面が形成されている。この場合には、ボールが固定部材に固定されているため、たとえば、振れ補正機能付き光学ユニットが落下して振れ補正機能付き光学ユニットに衝撃が加わったときの、ボールの所定位置からのずれを防止することが可能になる。
【0010】
本発明において、固定部材は、樹脂材料で形成される固定部材本体と、金属材料で形成され固定部材本体に固定されるボール固定板とを備え、ボールは、金属材料で形成されるとともにボール固定板に固定されていることが好ましい。このように構成すると、金属製のボールを金属製のボール固定板に溶接して固定することが可能になるため、たとえば、金属製のボールが樹脂製の固定部材本体に接着されて固定されている場合と比較して、固定部材に固定されるボールの固定強度を高めることが可能になる。
【0011】
本発明において、振れ補正機能付き光学ユニットは、反射部材が固定される固定部材を備え、可動体は、反射部材および固定部材を回動可能に保持し、ボールは、バネ部に固定され、固定部材には、ボールが接触する凹曲面状の受け面が形成されていても良い。この場合でも、ボールがバネ部に固定されているため、たとえば、振れ補正機能付き光学ユニットが落下して振れ補正機能付き光学ユニットに衝撃が加わったときの、ボールの所定位置からのずれを防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明では、外部から入射する光を反射する反射面が形成される反射部材と、反射部材を回動可能に保持する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体とを備える振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、可動体に対する反射部材の回動の軸方向で振れ補正機能付き光学ユニットを小型化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態にかかる振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
図2図1に示す振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
図3図1に示す振れ補正機能付き光学ユニットからカバーを取り外した状態の平面図である。
図4図3のE-E断面の断面図である。
図5図1に示す振れ補正機能付き光学ユニットが内蔵されるスマートフォンの斜視図である。
図6図5に示すスマートフォンに内蔵されるカメラの構成を説明するための概略図である。
図7】(A)は、図1に示す可動体および板バネの斜視図であり、(B)は、(A)に示す可動体および板バネの分解斜視図である。
図8】(A)は、本発明の他の実施の形態にかかる可動体および板バネの斜視図であり、(B)は、(A)に示す可動体および板バネの分解斜視図である。
図9】本発明の他の実施の形態にかかる板バネの側面図である。
図10】本発明の他の実施の形態にかかる板バネの配置方向を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
(振れ補正機能付き光学ユニットの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる振れ補正機能付き光学ユニット1の斜視図である。図2は、図1に示す振れ補正機能付き光学ユニット1の分解斜視図である。図3は、図1に示す振れ補正機能付き光学ユニット1からカバー29を取り外した状態の平面図である。図4は、図3のE-E断面の断面図である。図5は、図1に示す振れ補正機能付き光学ユニット1が内蔵されるスマートフォン2の斜視図である。図6は、図5に示すスマートフォン2に内蔵されるカメラ3の構成を説明するための概略図である。
【0016】
本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1(以下、「光学ユニット1」とする。)は、光学像の振れを補正するための振れ補正機能を備えている。光学ユニット1は、たとえば、スマートフォン2(図5参照)に内蔵されている。また、光学ユニット1は、スマートフォン2に内蔵されるカメラ3(図6参照)の一部を構成している。なお、光学ユニット1は、スマートフォン2以外の携帯機器等に内蔵されていても良い。
【0017】
図6に示すように、カメラ3は、スマートフォン2の外部からの光が入射するレンズ4と、撮像素子5が実装される基板6とを備えている。レンズ4の光軸L1と撮像素子5の撮像面の中心を通過する法線L2とは直交している。すなわち、レンズ4の光軸Lと撮像素子5の撮像面とは平行になっている。光学ユニット1は、レンズ4から撮像素子5に向かう光路において、レンズ4と撮像素子5との間に配置されている。光学ユニット1と撮像素子5との間には、レンズ7が配置されている。レンズ7の光軸は、法線L2と一致している。
【0018】
光学ユニット1は、外部から入射する光を反射する反射面10aが形成される反射部材としてのプリズム10を備えている。反射面10aは、レンズ4を介して反射面10aに入射する光を撮像素子5に向かって反射する。また、反射面10aは、反射面10aに入射する光の光軸を略90°折り曲げる。なお、図2では、プリズム10の図示を省略している。
【0019】
以下の説明では、レンズ4の光軸L1の方向(図1等のZ方向)を上下方向とし、撮像素子5の撮像面の法線L2の方向(図1等のX方向)を前後方向とし、上下方向と前後方向とに直交する図1等のY方向を左右方向とする。また、上下方向のうちの、光学ユニット1に対してレンズ4が配置される側(図1等のZ1方向側)を「上」側とし、その反対側である図1等のZ2方向側を「下」側とする。また、前後方向のうちの、光学ユニット1に対して撮像素子5が配置される側(図1等のX1方向側)を「前」側とし、その反対側である図1等のX2方向側を「後ろ」側とする。
【0020】
光学ユニット1は、プリズム10に加えて、プリズム10が固定される固定部材としてのホルダ11と、プリズム10およびホルダ11を回動可能に保持する可動体12と、可動体12を回動可能に保持する固定体13と、可動体12に対してプリズム10およびホルダ11を回動させるとともに固定体13に対して可動体12を回動させる駆動機構14とを備えている。また、光学ユニット1は、可動体12に対するプリズム10およびホルダ11の回動中心を構成する回動軸部15と、固定体13に対する可動体12の回動中心を構成する回動軸部16とを備えている。
【0021】
可動体12は、固定体13に対して上下方向を回動の軸方向として回動可能になっている。プリズム10およびホルダ11は、可動体12に対して上下方向に直交する方向を回動の軸方向として回動可能となっている。可動体12に対するプリズム10およびホルダ11の回動の軸方向は、固定体13に対する可動体12の回動位置によって変動するが、左右方向から若干傾いた方向または左右方向と一致している。以下の説明では、可動体12に対するプリズム10およびホルダ11の回動の軸方向を「第1方向」とする。光学ユニット1は、固定体13に対する可動体12の回動動作、および、可動体12に対するプリズム10およびホルダ11の回動動作の少なくともいずれか一方を行うことで、光学像の振れを補正する。
【0022】
ホルダ11は、固定部材本体としての本体部17と、本体部17に固定される2枚のボール固定板18とを備えている。本形態のホルダ11は、本体部17と2枚のボール固定板18とから構成されている。本体部17は、樹脂材料で形成され、ボール固定板18は、鋼板等の金属材料で形成されている。ボール固定板18は、平板状に形成されている。また、ボール固定板18は、円板状に形成されている。プリズム10は、本体部17の上面側に固定されている。第1方向におけるプリズム10の側面の大半部分は、第1方向における本体部17の側面部に覆われている。
【0023】
ボール固定板18は、ボール固定板18の厚さ方向と第1方向とが一致するように配置されている。ボール固定板18は、第1方向における本体部17の外側の面に形成される凹部の中に配置された状態で本体部17に固定されている。また、ボール固定板18は、本体部17に接着されて固定されている。ボール固定板18には、回動軸部15の一部を構成する後述のボール32が固定されている。ボール固定板18の中心には、ボール32の固定状態を安定させるための貫通穴が形成されている。
【0024】
可動体12は、樹脂材料で形成されている。可動体12は、可動体12の第1方向の側面を構成する2個の側面部12aと、可動体12の底面を構成する底面部12bとから構成されている。2個の側面部12aの下端は、底面部12bの第1方向の両端部に繋がっている。第1方向における底面部12bの中心部には、回動軸部16の一部を構成する後述の受け部材39が取り付けられる取付部12cが形成されている。ホルダ11は、第1方向において2個の側面部12aの間に配置されている。すなわち、側面部12aは、第1方向におけるプリズム10およびホルダ11の両側に配置されている。また、ホルダ11は、底面部12bの上側に配置されている。
【0025】
固定体13は、本体部19と、本体部19に固定されるボール固定板20とから構成されている。本体部19は、樹脂材料で形成され、ボール固定板20は、鋼板等の金属材料で形成されている。本体部19は、固定体13の左右方向の側面を構成する2個の側面部19aと、固定体13の後面を構成する背面部19bと、固定体13の底面を構成する底面部19cとを備えている。底面部19cには、上下方向で底面部19cを貫通する長方形状の開口部19dが形成されている。
【0026】
可動体12は、左右方向において2個の側面部19aの間に配置されている。また、可動体12は、背面部19bの前側に配置されるとともに、底面部19cよりも上側に配置されている。本体部19は、可動体12の取付部12cを上側から覆う覆部19eを備えている。覆部19eは、本体部19の左右方向の中心部において開口部19dを上側から覆っている。可動体12が開口部19dを通過するように底面部19cの下側から可動体12を移動させることで、2個の側面部19aと背面部19bとによって画定される領域の中に可動体12が配置される。
【0027】
ボール固定板20は、平板状に形成されている。また、ボール固定板20は、円板状に形成されている。ボール固定板20は、ボール固定板20の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。ボール固定板20は、覆部19eの下面に形成される凹部の中に配置された状態で覆部19eに固定されている。また、ボール固定板20は、覆部19eに接着されて固定されている。ボール固定板20には、回動軸部16の一部を構成する後述のボール37が固定されている。ボール固定板20の中心には、ボール37の固定状態を安定させるための貫通穴が形成されている。
【0028】
駆動機構14は、可動体12に対してプリズム10およびホルダ11を回動させるための駆動用コイル22および駆動用磁石23と、固定体13に対して可動体12を回動させるための2個の駆動用コイル24および2個の駆動用磁石25とを備えている。駆動用磁石23は、ホルダ11の後面に固定されている。駆動用磁石25は、第1方向における側面部12aの外側の面に固定されている。駆動用磁石23とホルダ11との間には、磁性材料で形成される磁性板26が配置され、駆動用磁石25と側面部12aとの間には、磁性材料で形成される磁性板27が配置されている。
【0029】
駆動用コイル22は、駆動用磁石23の後ろ側に配置されており、前後方向で駆動用磁石23と対向している。駆動用コイル24は、左右方向における駆動用磁石25の外側に配置されており、左右方向で駆動用磁石25と対向している。駆動用コイル22、24は、フレキシブルプリント基板(FPC)28に実装されている。FPC28は、本体部19に固定されている。すなわち、駆動用コイル22、24は、FPC28を介して本体部19に固定されている。本体部19の側面部19aには、駆動用コイル24が配置される貫通穴が形成され、背面部19bの後面には、駆動用コイル22が配置される凹部が形成されている。FPC28は、左右方向の外側、後ろ側および上側からカバー29に覆われている。カバー29は、本体部19に固定されている。
【0030】
回動軸部15は、第1方向におけるホルダ11の外側に配置される球状の2個のボール32と、ボール32を第1方向の内側に向かって付勢する2枚の板バネ33とを備えている。すなわち、回動軸部15は、第1方向におけるプリズム10およびホルダ11の両側のそれぞれに配置されるボール32と、ボール32をプリズム10およびホルダ11に向かって付勢する板バネ33とを備えている。回動軸部15および回動軸部15の周辺部分の具体的な構成については後述する。
【0031】
回動軸部16は、取付部12cの下側に配置される球状のボール36と、取付部12cの上側に配置される球状のボール37と、上側に向かってボール36を付勢する板バネ38と、取付部12cに取り付けられる受け部材39とを備えている。板バネ38は、鋼板等の金属材料で形成されている。板バネ38は、本体部19の下面側に取り付けられる被取付部38aと、ボール36を付勢するバネ部38bとから構成されている。バネ部38bは、上下方向に弾性変形可能となっている。
【0032】
ボール36、37は、鋼材等の金属材料で形成されている。ボール36は、バネ部38bの上面側に溶接されて固定されている。バネ部38bには、ボール36の固定状態を安定させるための貫通穴が形成されており、貫通穴の中には、ボール36の下端部が配置されている。ボール37は、ボール固定板20の下面側に溶接されて固定されている。ボール37の上端部は、ボール固定板20の中心に形成される貫通穴の中に配置されている。
【0033】
受け部材39は、ボール36が接触する凹曲面状の受け面が形成される受け部39bと、ボール37が接触する凹曲面状の受け面が形成される受け部39dと、受け部39bと受け部39dとを繋ぐ平板状の連結部39eとから構成されている。受け部材39は、鋼板等の金属材料で形成されている。連結部39eは、長方形の平板状に形成されており、連結部39eの厚さ方向と前後方向とが一致するように配置されている。受け部39bは、連結部39eの下端から前側に向かって伸びている。受け部39dは、連結部39eの上端から前側に向かって伸びている。受け部材39は、取付部12cに後ろ側から取り付けられている。
【0034】
ボール36とボール37とは、前後左右方向において同じ位置に配置されている。また、受け部39bの受け面と受け部39dの受け面とは、前後左右方向において同じ位置に配置されている。可動体12は、ボール36の中心とボール37の中心とを通過する軸線を回動中心にして固定体13に対して回動する。
【0035】
(回動軸部および回動軸部の周辺部分の構成)
図7(A)は、図1に示す可動体12および板バネ33の斜視図であり、図7(B)は、図7(A)に示す可動体12および板バネ33の分解斜視図である。
【0036】
上述のように、回動軸部15は、2個のボール32と2枚の板バネ33とを備えている。ボール32は、鋼材等の金属材料で形成されている。ボール32は、ボール固定板18に固定されている。すなわち、ボール32は、ホルダ11に固定されている。また、ボール32は、ボール固定板18に溶接されて固定されている。ボール32の一部は、ボール固定板18の貫通穴の中に配置されている。
【0037】
板バネ33は、鋼板等の金属材料で形成されている。板バネ33は、可動体12の側面部12aに保持される平板状の被保持部33aと、ボール32に接触してボール32を付勢するバネ部33bとを備えている。本形態の板バネ33は、被保持部33aとバネ部33bとから構成されている。被保持部33aは、板バネ33の下側部分を構成している。被保持部33aは、略長方形状に形成されている。被保持部33aは、平板状に形成される被保持部33aの厚さ方向と第1方向とが一致するように配置されている。すなわち、被保持部33aの厚さ方向は第1方向と一致している。
【0038】
バネ部33bは、ボール32が接触する凹曲面状の受け面33cが形成される受け部33dと、被保持部33aと受け部33dとを繋ぐ平板状の接続部33eとから構成されており、被保持部33aに繋がっている。受け面33cは、第1方向における受け部33dの内側面から第1方向の外側に向かって窪んでいる。接続部33eの下端は、被保持部33aに繋がり、接続部33eの上端は、受け部33dの下端に繋がっている。板バネ33は、被保持部33aと接続部33eとの境界、および、接続部33eと受け部33dとの境界で折れ曲がっている。バネ部33bは、被保持部33aと接続部33eとの境界から第1方向の内側かつ上側に向かって伸びた後、接続部33eと受け部33dとの境界から上側に向かって伸びている。
【0039】
第1方向における側面部12aの内側には、上下方向と第1方向とに直交する方向における被保持部33aの端部が嵌るスリット部12dが形成されている。スリット部12dは、側面部12aの2箇所に形成されている。被保持部33aは、被保持部33aの端部がスリット部12dに挿入された状態で側面部12aに固定されている。たとえば、被保持部33aは、側面部12aに接着されて固定されている。被保持部33aの下端は、底面部12bの上面に接触しており、板バネ33は、可動体12に対して上下方向で位置決めされている。本形態の側面部12aは、第1方向におけるプリズム10の両側に配置されるバネ保持部である。
【0040】
バネ部33bは、第1方向に弾性変形可能となっている。また、バネ部33bは、第1方向の外側に向かって弾性変形している。すなわち、バネ部33bは、被保持部33aに近づく方向に弾性変形している。2個のボール32は、上下方向において同じ位置に配置されている。また、2個のボール32は、上下方向と第1方向とに直交する方向において同じ位置に配置されている。プリズム10およびホルダ11は、2個のボール32の中心を通過する軸線を回動中心にして可動体12に対して回動する。
【0041】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、平板状に形成される板バネ33の被保持部33aが、第1方向におけるプリズム10およびホルダ11の両側に配置される可動体12の側面部12aに保持されている。また、本形態では、被保持部33aの厚さ方向が第1方向と一致するとともに、被保持部33aに繋がるバネ部33bが被保持部33aに近づく方向に弾性変形している。そのため、本形態では、第1方向における板バネ33の全体の厚さを薄くすることが可能になる。したがって、本形態では、第1方向で光学ユニット1を小型化することが可能になる。
【0042】
本形態では、ボール32は、ホルダ11に固定されている。そのため、本形態では、たとえば、スマートフォン2の落下等に起因して、光学ユニット1に衝撃が加わっても、ボール32の位置ずれを防止することが可能になる。
【0043】
(板バネの変形例)
図8(A)は、本発明の他の実施の形態にかかる可動体12および板バネ33の斜視図であり、図8(B)は、図8(A)に示す可動体12および板バネ33の分解斜視図である。図9は、本発明の他の実施の形態にかかる板バネ33の側面図である。なお、図8図9では、上述した形態と同様の構成については同一の符号を付している。
【0044】
上述した形態において、板バネ33は、図8に示すように、略Y形状をなす被保持部33aと、被保持部33aに繋がるバネ部33bとから構成されていても良い。図8に示す変形例では、板バネ33は、被保持部33aと接続部33eとの境界でわずかに折れ曲がっているが、接続部33eと受け部33dとの境界で折れ曲がっていない。また、この変形例の場合、光学ユニット1に組み込まれる前の板バネ33では、バネ部33bは、被保持部33aと接続部33eとの境界から第1方向の内側かつ上側に向かって伸びているが、板バネ33が光学ユニット1に組み込まれると、バネ部33bは、被保持部33aに近づく方向に弾性変形して(すなわち、第1方向の外側に向かって弾性変形して)、板バネ33は平板状になる。
【0045】
すなわち、図8に示す変形例では、光学ユニット1に組み込まれた状態の板バネ33は、平板状になっている。また、この変形例では、可動体12に、被保持部33aの下端部に形成される差込部33fが差し込まれる差込穴12eが形成されている。この変形例では、第1方向における板バネ33の全体の厚さをより薄くすることが可能になるため、第1方向で光学ユニット1をより小型化することが可能になる。なお、図8では、光学ユニット1に組み込まれて平板状になったときの板バネ33が図示されている。
【0046】
また、図8に示す変形例において、図9(A)に示すように、板バネ33は、板バネ33の下端部を構成する被保持部33aと、上下方向と第1方向とに直交する方向の両側において受け部33dと被保持部33aとを繋ぐ接続部33eを有するバネ部33bとから構成されていても良い。また、図8に示す変形例において、図9(B)に示すように、板バネ33は、板バネ33の下端部を構成する被保持部33aと、上下方向と第1方向とに直交する方向で蛇行する略S形状の接続部33eを有するバネ部33bとから構成されていても良い。図9に示す変形例においても、光学ユニット1に組み込まれた状態の板バネ33は、平板状になっている。なお、図8図9に示す変形例において、光学ユニット1に組み込まれた状態の板バネ33が平板状になっていなくても良い。
【0047】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0048】
上述した形態において、図10に示すように、被保持部33aが板バネ33の後ろ側部分を構成するように、被保持部33aが、可動体12の側面部12aに固定されていても良い。また、被保持部33aが板バネ33の前側部分を構成するように、被保持部33aが、可動体12の側面部12aに固定されていても良い。この場合には、上述した形態と比較して上下方向で光学ユニット1を小型化することが可能になる。一方、図10に示す変形例と比較して、上述した形態では、上下方向と第1方向とに直交する方向で光学ユニット1を小型化することが可能になる。
【0049】
上述した形態において、ホルダ11は、ボール固定板18を備えていなくても良い。この場合には、ボール32は、本体部19に直接、接着されて固定されている。ただし、上述した形態のように、貫通穴が形成されるボール固定板18にボール32が溶接されて固定され、かつ、ボール固定板18が本体部19に接着されて固定されている方が、ホルダ11に対するボール32の固定強度を高めることが可能になる。また、上述した形態において、ボール32は、板バネ33に固定されていなくても良い。
【0050】
上述した形態において、ボール32は、板バネ33に固定されていても良い。この場合には、たとえば、ボール32が接触する凹曲面状の受け面が形成される金属製の受け部材が、ボール固定板18に代えて、本体部17に固定されている。あるいは、この場合には、ボール32が接触する凹曲面状の受け面が本体部17に形成されている。すなわち、ホルダ11には、ボール32が接触する凹曲面状の受け面が形成されている。また、この場合には、板バネ33は、受け部33dに代えて、ボール32が溶接されて固定される平板状のボール固定部を備えている。このボール固定部には、たとえば、ボール32の固定状態を安定させるための貫通穴が形成されている。この場合であっても、たとえば、スマートフォン2の落下等に起因して、光学ユニット1に衝撃が加わったときの、ボール32の位置ずれを防止することが可能になる。
【0051】
上述した形態において、光学ユニット1は、プリズム10に代えて、外部から入射する光を反射する反射面が形成される反射ミラーを備えていても良い。また、上述した形態において、回動軸部16は、固定体13側に支持される回動中心軸を備えていても良い。この場合には、この回動中心軸が挿通される挿通穴12gが可動体12に形成されている(図8参照)。さらに、上述した形態において、固定体13に対する可動体12の回動の軸方向と、可動体12に対するプリズム10およびホルダ11の回動の軸方向とが互いに直交していなくても良い。
【符号の説明】
【0052】
1 光学ユニット(振れ補正機能付き光学ユニット)
10 プリズム(反射部材)
10a 反射面
11 ホルダ(固定部材)
12 可動体
12a 側面部(バネ保持部)
13 固定体
14 駆動機構
15 回動軸部
17 本体部(固定部材本体)
18 ボール固定板
32 ボール
33 板バネ
33a 被保持部
33b バネ部
33c 受け面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10