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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
   B65F 3/00 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
B65F3/00 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021019207
(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公開番号】P2022122113
(43)【公開日】2022-08-22
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 貴英
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-037527(JP,A)
【文献】特開2008-285316(JP,A)
【文献】特開2017-206379(JP,A)
【文献】実開平06-053511(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第00577540(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 3/00
B65F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に、荷箱が搭載された塵芥収集車であって、
前記荷箱は、塵芥を収容する収容部と、前記収容部に塵芥を投入する投入口と、前記投入口を開閉する扉を備えており、
前記投入口は、前記荷箱における前記車体の後方側に設けられており、
前記荷箱における前記投入口の上部に、車体の後方に面する固定壁が設けられており、
前記固定壁には、前記車体の後方から視認可能な安全確認部材が設けられており、
前記扉は、前記安全確認部材の後方で、当該安全確認部材よりも上方へ移動可能であり、さらに、
前記扉が前記投入口を閉じた時、及び、前記扉が前記投入口を開いた時に、
前記扉が、前記安全確認部材の後方に存在しないことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
請求項1に記載の塵芥収集車であって、さらに、
前記投入口の両側に、ガイドレールが設けられており、
前記ガイドレールは、少なくとも前記投入口の下端の高さ位置から、少なくとも前記安全確認部材よりも上方に延びており、
前記ガイドレールは、前記扉の下部と常時係合しており、
前記扉は、前記安全確認部材の後方を移動可能であることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項3】
請求項1に記載の塵芥収集車であって、さらに、
前記扉には、下方に突出する突出係合部が設けられており、
前記投入口の両側にガイドレールが設けられており、
前記ガイドレールは、前記投入口の下端の高さ位置よりも、少なくとも前記扉からの前記突出係合部の突出長さだけ低い高さ位置から、少なくとも前記固定壁の下端の高さ位置まで延びており、
前記突出係合部が、前記ガイドレールと常時係合しており、
前記扉は、前記安全確認部材の後方を移動可能であることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項4】
請求項1に記載の塵芥収集車であって、さらに、
前記扉の下部には、高さ方向に凹んだ凹み部、又は、貫通孔が設けられており、
前記扉は、前記安全確認部材の後方を昇降して前記投入口を開閉可能であり、前記扉が前記投入口を開いたときに、前記扉の凹み部または貫通孔が、前記安全確認部材の高さ位置にくることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項5】
前記投入口の下端に、前記扉の凹み部、又は、貫通孔を遮蔽する遮蔽部材を有することを特徴とする請求項4に記載の塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の後方の安全確認が可能な安全確認部材を有する塵芥収集車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塵芥収集車は、荷台に塵芥を収容する荷箱を有しており、荷箱の塵芥を投入する投入口は、車体の後ろ側に設けられている。このような塵芥収集車の後方には、運転席から死角になる領域が多い。そこで、車体の後方を映す監視カメラを設置し、死角を解消することができるようにした塵芥収集車が発案され、このような塵芥収集車が、例えば特許文献1、2に開示されている。特許文献1、2に開示されている塵芥収集車では、塵芥の投入口を開閉する投入口扉の外側に監視カメラを設けることにより、投入口扉の開閉状態に関わらず、車体の後方の安全確認ができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-314061号公報
【文献】特開2015-105168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1、2に開示されているような従来の塵芥収集車では、投入口扉よりも後方(外側)に監視カメラが配置されているため、投入口扉が開いた際に、投入口を撮影しようとしても、投入口扉が監視カメラの撮影範囲に入って撮影の障害になってしまう。
【0005】
そこで本発明は、投入口扉が安全確認部材の安全確認機能を阻害しない塵芥収集車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の第一の様相は、車体に、荷箱が搭載された塵芥収集車であって、前記荷箱は、塵芥を収容する収容部と、前記収容部に塵芥を投入する投入口と、前記投入口を開閉する扉を備えており、前記投入口は、前記荷箱における前記車体の後方側に設けられており、前記荷箱における前記投入口の上部に、車体の後方に面する固定壁が設けられており、前記固定壁には、前記車体の後方から視認可能な安全確認部材が設けられており、前記扉は、前記安全確認部材の後方で、当該安全確認部材よりも上方へ移動可能であることを特徴とする塵芥収集車である。
【0007】
本様相では、荷箱が、塵芥を収容する収容部と、収容部に塵芥を投入する投入口と、投入口を開閉する扉を備えており、投入口は、荷箱における車体の後方側に設けられており、荷箱における投入口の上部に、車体の後方に面する固定壁が設けられており、固定壁には、車体の後方から視認可能な安全確認部材が設けられている。そして、扉は、安全確認部材の後方で、当該安全確認部材よりも上方へ移動可能である。
そのため、扉が投入口を閉じたときには、扉は安全確認部材の下方に位置しており、扉が投入口を開いて塵芥を投入する作業時には、扉は安全確認部材の上方に位置している。すなわち、扉が投入口を閉じたとき、及び、扉が投入口を開いた塵芥の投入作業時に、扉は安全確認部材の後方に存在しない。換言すると、安全確認部材が安全確認機能を損なうような障害となるものが存在しない。そのため、扉が投入口を閉じているときはもちろんのこと、荷箱の収容部への塵芥の投入作業時においても、安全確認部材は、安全確認機能を発揮することができる。
具体的には、安全確認部材が監視カメラである場合には、監視カメラの撮影を扉が阻害しないため、投入口や車両の後方の状況を良好に撮影することができる。また、安全確認部材が表示灯である場合には、塵芥収集車の後方にいる周囲の人は、安全確認部材を視認することができる。そのため、塵芥収集車が作業中であることを認識することができ、注意を喚起することができ、塵芥収集車に不用意に接近するなどの危険行為を回避することができる。
【0008】
本発明の第二の様相は、車体に、荷箱が搭載された塵芥収集車であって、前記荷箱は、塵芥を収容する収容部と、前記収容部に塵芥を投入する投入口と、前記投入口を開閉する扉を備えており、前記投入口は、前記荷箱における前記車体の後方側に設けられており、前記荷箱における前記投入口の上部に、車体の後方に面する固定壁が設けられており、前記固定壁には、前記車体の後方から視認可能な安全確認部材が設けられており、前記投入口の両側に、ガイドレールが設けられており、前記ガイドレールは、少なくとも前記投入口の下端の高さ位置から、少なくとも前記安全確認部材よりも上方に延びており、前記ガイドレールは、前記扉の下部と常時係合しており、前記扉は、前記安全確認部材の後方を移動可能であることを特徴とする塵芥収集車である。
【0009】
第二の様相によると荷箱が、塵芥を収容する収容部と、収容部に塵芥を投入する投入口と、投入口を開閉する扉を備えており、投入口は、荷箱における車体の後方側に設けられており、荷箱における投入口の上部に、車体の後方に面する固定壁が設けられており、固定壁には、車体の後方から視認可能な安全確認部材が設けられている。そして、扉は、安全確認部材の後方を移動可能である。
そのため、扉が投入口を閉じたときには、扉は安全確認部材の下方に位置しており、扉が投入口を開いて塵芥を投入する作業時には、扉は安全確認部材の上方に位置している。すなわち、扉が投入口を閉じたとき、及び、扉が投入口を開いた塵芥の投入作業時に、扉は安全確認部材の後方に存在しない。換言すると、安全確認部材が安全確認機能を損なうような障害となるものが存在しない。そのため、扉が投入口を閉じているときはもちろんのこと、荷箱の収容部への塵芥の投入作業時においても、安全確認部材は、安全確認機能を発揮することができる。
具体的には、安全確認部材が監視カメラである場合には、監視カメラの撮影を扉が阻害しないため、投入口や車両の後方の状況を良好に撮影することができる。また、安全確認部材が表示灯である場合には、塵芥収集車の後方にいる周囲の人は、安全確認部材を視認することができる。そのため、塵芥収集車が作業中であることを認識することができ、注意を喚起することができ、塵芥収集車に不用意に接近するなどの危険行為を回避することができる。
本様相においては、投入口の両側に、ガイドレールが設けられており、ガイドレールは、少なくとも投入口の下端の高さ位置から、少なくとも安全確認部材よりも上方に延びており、ガイドレールは、扉の下部と常時係合しているので、扉の下部は、ガイドレールに沿って移動し、扉は安全確認部材よりも上方へ移動したり、安全確認部材よりも下方へ移動することができる。
ここで、扉の「下部」とは、扉の下面や下縁、側面の下端付近を指している。
また、ガイドレールに係合するのは、扉の下部のみであるため、扉は、下部の係合する部位を基点に揺動することができる。そのため、扉が上方へ移動する際に、安全確認部材に衝突しないように、扉の下部を基点に揺動して扉の姿勢を変更することが可能である。
よって、投入口を閉じたときの扉の直上に安全確認部材を配置しても、扉が上昇する際に、扉の上部を後方へ揺動させ、扉が安全確認部材に接触するのを回避することが可能である。
これにより、扉が投入口を開いた際に、扉が安全確認部材に接触または衝突することなく、安全確認部材の後方を移動することができる。そして、扉は安全確認部材よりも上方に移動することができるので、扉は安全確認部材の後方には存在しない。そのため、安全確認部材の後方には障害物が存在せず、安全確認部材は安全確認機能を発揮することができる。
【0010】
本発明の第三の様相は、車体に、荷箱が搭載された塵芥収集車であって、前記荷箱は、塵芥を収容する収容部と、前記収容部に塵芥を投入する投入口と、前記投入口を開閉する扉を備えており、前記投入口は、前記荷箱における前記車体の後方側に設けられており、前記荷箱における前記投入口の上部に、車体の後方に面する固定壁が設けられており、前記固定壁には、前記車体の後方から視認可能な安全確認部材が設けられており、前記扉には、下方に突出する突出係合部が設けられており、前記投入口の両側にガイドレールが設けられており、前記ガイドレールは、前記投入口の下端の高さ位置よりも、少なくとも前記扉からの前記突出係合部の突出長さだけ低い高さ位置から、少なくとも前記固定壁の下端の高さ位置まで延びており、前記突出係合部が、前記ガイドレールと常時係合しており、前記扉は、前記安全確認部材の後方を移動可能であることを特徴とする塵芥収集車である。
【0011】
第三の様相によると、荷箱が、塵芥を収容する収容部と、収容部に塵芥を投入する投入口と、投入口を開閉する扉を備えており、投入口は、荷箱における車体の後方側に設けられており、荷箱における投入口の上部に、車体の後方に面する固定壁が設けられており、固定壁には、車体の後方から視認可能な安全確認部材が設けられている。そして、扉は、安全確認部材の後方を移動可能である。
そのため、扉が投入口を閉じたときには、扉は安全確認部材の下方に位置しており、扉が投入口を開いて塵芥を投入する作業時には、扉は安全確認部材の上方に位置している。すなわち、扉が投入口を閉じたとき、及び、扉が投入口を開いた塵芥の投入作業時に、扉は安全確認部材の後方に存在しない。換言すると、安全確認部材が安全確認機能を損なうような障害となるものが存在しない。そのため、扉が投入口を閉じているときはもちろんのこと、荷箱の収容部への塵芥の投入作業時においても、安全確認部材は、安全確認機能を発揮することができる。
具体的には、安全確認部材が監視カメラである場合には、監視カメラの撮影を扉が阻害しないため、投入口や車両の後方の状況を良好に撮影することができる。また、安全確認部材が表示灯である場合には、塵芥収集車の後方にいる周囲の人は、安全確認部材を視認することができる。そのため、塵芥収集車が作業中であることを認識することができ、注意を喚起することができ、塵芥収集車に不用意に接近するなどの危険行為を回避することができる。
本様相においては、扉には、下方に突出する突出係合部が設けられており、投入口の両側にガイドレールが設けられており、ガイドレールは、投入口の下端の高さ位置よりも、少なくとも扉からの突出係合部の突出長さだけ低い高さ位置から、少なくとも固定壁の下端の高さ位置まで延びており、突出係合部が、ガイドレールと常時係合している。
そのため、突出係合部は、ガイドレールに沿って移動し、扉が安全確認部材よりも上方へ移動したり、扉が安全確認部材よりも下方へ移動することができる。
また、ガイドレールに係合するのは、扉の下方に突出する突出係合部のみであるため、扉は、突出係合部がガイドレールと係合する部位を基点に揺動することができる。そのため、扉が上方へ移動する際に、安全確認部材に衝突しないように、突出係合部がガイドレールと係合する部位を基点に揺動して扉の姿勢を変更することが可能である。
【0012】
本発明の第四の様相は、車体に、荷箱が搭載された塵芥収集車であって、前記荷箱は、塵芥を収容する収容部と、前記収容部に塵芥を投入する投入口と、前記投入口を開閉する扉を備えており、前記投入口は、前記荷箱における前記車体の後方側に設けられており、前記荷箱における前記投入口の上部に、車体の後方に面する固定壁が設けられており、前記固定壁には、前記車体の後方から視認可能な安全確認部材が設けられており、前記扉の下部には、高さ方向に凹んだ凹み部、又は、貫通孔が設けられており、前記扉は、前記安全確認部材の後方を昇降して前記投入口を開閉可能であり、前記扉が前記投入口を開いたときに、前記扉の凹み部、又は、貫通孔が、前記安全確認部材の高さ位置にくることを特徴とする塵芥収集車である。
【0013】
本発明の第四の様相では、荷箱は、塵芥を収容する収容部と、収容部に塵芥を投入する投入口と、投入口を開閉する扉を備えており、投入口は、荷箱における車体の後方側に設けられており、荷箱における投入口の上部に、車体の後方に面する固定壁が設けられており、固定壁には、車体の後方から視認可能な安全確認部材が設けられている。そして、扉の下部には、高さ方向に凹んだ凹み部、又は、貫通孔が設けられており、扉は、安全確認部材の後方を昇降して投入口を開閉可能であり、扉が投入口を開いたときに、扉の凹み部、又は、貫通孔が、安全確認部材の高さ位置にくる。
そのため、扉が投入口を閉じたときには、扉は安全確認部材の下方に位置しており、扉が投入口を開いて塵芥を投入する作業時には、扉は安全確認部材の上方に位置している。すなわち、扉が投入口を閉じたとき、及び、扉が投入口を開いた塵芥の投入作業時に、扉は安全確認部材の後方に存在しない。換言すると、安全確認部材が安全確認機能を損なうような障害となるものが存在しない。そのため、扉が投入口を閉じているときはもちろんのこと、荷箱の収容部への塵芥の投入作業時においても、安全確認部材は、安全確認機能を発揮することができる。
具体的には、安全確認部材が監視カメラである場合には、監視カメラの撮影を扉が阻害しないため、投入口や車両の後方の状況を良好に撮影することができる。また、安全確認部材が表示灯である場合には、塵芥収集車の後方にいる周囲の人は、安全確認部材を視認することができる。そのため、塵芥収集車が作業中であることを認識することができ、注意を喚起することができ、塵芥収集車に不用意に接近するなどの危険行為を回避することができる。
【0014】
前記投入口の下端に、前記扉の凹み部、又は、貫通孔を遮蔽する遮蔽部材を有するのが好ましい。
【0015】
この構成によると、扉が投入口を閉じた際に、扉の凹み部、又は、貫通孔を遮蔽部材で遮蔽することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、扉が投入口を閉じたとき、及び、扉が投入口を開いて塵芥を投入する作業時に、安全確認部材は安全確認機能を良好に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る塵芥収集車の側面図であり、(a)は、扉が投入口を閉じた状態を示し、(b)は、扉が投入口を開いた状態を示す。
図2図1の塵芥収集車の後部を示す斜視図であり、(a)は、扉が投入口を閉じた状態を示し、(b)は、扉が投入口を開く途中の状態を示し、(c)は、扉が投入口を開いた状態を示す。
図3】(a)は、図2(a)の塵芥収集車の扉部分の斜視図であり、(b)は、(a)の扉とレールを分離して示す斜視図であり、(c)は、(a)の扉がレールに沿って上昇し、さらに扉の上部が後方に揺動した状態を示す斜視図である。
図4図1とは別の実施形態に係る塵芥収集車の後部のみを示す斜視図であり、(a)は、扉が投入口を閉じた状態を示し、(b)は、扉が投入口を開く途中の状態を示し、(c)は、扉が投入口を開いた状態を示す。
図5】(a)は、図4(a)の塵芥収集車の扉部分の斜視図であり、(b)は、(a)の扉とレールを分離して示す斜視図であり、(c)は、(a)の扉がレールに沿って上昇した状態を示す斜視図である。
図6図1図4とは別の実施形態に係る塵芥収集車の後部のみを示す斜視図であり、(a)は、扉が投入口を閉じた状態を示し、(b)は、扉が投入口を開く途中の状態を示し、(c)は、扉が投入口を開いた状態を示す。
図7図1図4図6とは別の実施形態に係る塵芥収集車の後部のみを示す斜視図であり、(a)は、扉が投入口を閉じた状態を示し、(b)は、扉が投入口を開く途中の状態を示し、(c)は、扉が投入口を開いた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら説明する。
図1(a)に示すように、本実施形態に係る塵芥収集車1は、車体1aの前方に運転席12、後方に荷箱2を備えている。荷箱2は、内部に塵芥を収容する収容部2aを有する。荷箱2の周囲は閉じられているが、後方には開口である投入口3(図2(c))が設けられている。すなわち、投入口3は、塵芥収集車1の後方に設けられている。投入口3は、塵芥の出入口として機能する。図2(b)に示すように、投入口3の上部には、固定壁5が設けられている。すなわち、固定壁5は、塵芥収集車1の後方に面した投入口3の上部を仕切る壁である。
【0019】
固定壁5には、安全確認部材6が取り付けられている。安全確認部材6は、本実施形態では監視カメラである。安全確認部材6(監視カメラ)は、投入口3又は塵芥収集車1の後方を映すことができる。
【0020】
図2(b)に示すように、投入口3の下部には、補助扉13が設けられている。補助扉13は、水平軸周りに回動して、投入口3を開く。補助扉13は、扉4よりも投入口3の開口面積が広い場合に設けられる。補助扉13の開閉動作は、公知のものと同様であり、説明は省略する。
【0021】
運転席12には、図示しない受像器(モニタ)が設けられている。安全確認部材6で撮影された映像信号は、図示しない信号線、又は無線で受像器に送信され、運転席12にいる作業者は、受像器で投入口3や塵芥収集車1の後方の映像を見ることができる。
【0022】
また、図2(a)~図2(c)に示すように、投入口3には、扉4が設けられている。図3(b)に示すように、扉4は、上辺部4a、下辺部4b、側辺部4c、4dを有する略四角形の部材である。扉4の上辺部4aには、アーム11a、11bが連結されている。扉4は、アーム11a、11bを介して、図示しない駆動機構に接続されている。すなわち、アーム11a、11bは、扉4と相対回動が可能に扉4の上辺部4aに取り付けられている。扉4とアーム11a、11bは、図示しないピンを介して接続されている。
【0023】
図3(b)に示すように、扉4の左右の両側辺部4c、4dの下部には、係合突起10a、10b(係合部)が設けられている。係合突起10a、10bは、円柱形状を呈しており、扉4の左右両側に向かって突出している。
【0024】
一方、投入口3の左右両側には、ガイドレール7a、7bが設けられている。ガイドレール7a、7bは、断面が略コの字形を呈し、係合溝17a、17bを有し、上下方向に延びている。ガイドレール7a、7bの下端8a、8bは、投入口3の下端3aよりも低い高さ位置に配置されている。また、ガイドレール7a、7bの上端9a、9bは、安全確認部材6よりも高い高さ位置に配置されている。
【0025】
ガイドレール7a、7bの間隔は、扉4の幅よりも大きい。また、ガイドレール7a、7bの互いに対向する係合溝17a、17bには、扉4の係合突起10a、10bが係合している。すなわち、扉4の下部は、ガイドレール7a、7b(係合溝17a、17b)に拘束されている。係合突起10a、10bは、ガイドレール7a、7bに沿って移動可能であり、また、ガイドレール7a、7b内で回動可能である。係合突起10a、10bは、円柱形状を呈しており、ガイドレール7a、7b内で円滑に回動可能である。
【0026】
すなわち、扉4の幅は、ガイドレール7a、7bの間隔よりも狭く、扉4は、ガイドレール7a、7bに対して、係合突起10a、10bを中心に回動(揺動)することができる。
【0027】
扉4は、アーム11a、11bによって吊り下げられている。図2(a)に示すように、扉4が下降位置にくると、扉4の下辺部4bが起立した補助扉13と当接又は嵌合し、投入口3が閉じる。すなわち、荷箱2の収容部2aの内部と外部が遮断される。また、扉4が上昇位置にくると、投入口3が開く。
【0028】
扉4の上昇時、扉4の下部(係合突起10a、10b)は、ガイドレール7a、7bに沿って上昇し、扉4の上辺部4aは、図2(b)に示すように、アーム11a、11bに牽引されて後方へ移動する。すなわち、扉4の下部に設けられた係合突起10a、10b(図3(b))のみがガイドレール7a、7bに常時係合しており、扉4の上辺部4aは、後方へ移動(揺動)する。その結果、扉4は、ガイドレール7a、7bに沿って上昇しながら、係合突起10a、10bを中心に揺動し、扉4の上辺部4aが後方へ移動する。
【0029】
投入口3の上部を仕切る固定壁5には、安全確認部材6が取り付けられているが、扉4は、上昇しながら扉4の上辺部4aが後方へ移動するので、扉4は、安全確認部材6に接触又は衝突することなく上昇することができる。換言すると、扉4の下部がガイドレール7a、7bに係合して拘束されており、且つ、扉4の上部がアーム11a、11bで吊り下げられており、アーム11a、11bは、扉4が安全確認部材6の後方を通過するように、扉4を上方及び後方に牽引し、扉4の姿勢を変更させる。
【0030】
また、扉4の側辺部4c、4dの上部、下部ともにガイドレール7a、7b(係合溝17a、17b)に係合させ、扉4の上辺部4aを後方へ揺動させず、さらに、固定壁5における安全確認部材6を取り付ける部位を前方側へ凹ませ(退避させ)、ガイドレール7a、7bに沿って移動する扉4の移動軌跡よりも前方に安全確認部材6を配置するようにしてもよい。このように構成しても、安全確認部材6は、扉24の全閉時及び全開時に、扉24に阻害されることなく、安全確認機能を発揮することができる。
【0031】
本実施形態に係る塵芥収集車1は、塵芥を収容部2aに投入する投入口3を開閉する扉4が、安全確認部材6の後方を通過して昇降するので、収容部2aの投入口3を車体1aの最も後方の位置に設けることができる。そのため、投入口3は、車体1aの最も後方に位置しており、作業者は、投入口3に塵芥を投入し易い。
【0032】
また、安全確認部材6が後方に突出する寸法を小さくすることができるので、周囲の空間を安全確認部材6が占有することがない。よって、安全確認部材6が塵芥収集車1の後方にある設備や物体に接触する事態が生じにくい。
そして、扉は、安全確認部材の後方を移動可能であるので、塵芥収集車の後方には、安全確認部材を取り付ける部位や、安全確認部材を扉よりも後方に突出させる必要がない。そのため、塵芥収集車の後部の構造が簡素化される。
また、投入口を閉じた下降位置にある扉の直上に安全確認部材を設けることが可能であるので、下降位置にある扉の車体前後方向の位置に、安全確認部材を取り付ける固定壁の車体前後方向の位置を近接させることができる。そのため、荷箱の収容部の容積を大きく確保することができる。
【0033】
安全確認部材6としては、例えば監視カメラを採用することができる。監視カメラによって撮影された映像を、運転席12に設置されたモニタ(図示せず)で確認できるようにすると、運転席12にいる作業者は、塵芥収集車1の後方の状況や、投入口3付近の状況を監視することができる。監視カメラの後方には、撮影の障害となるものが存在しないため、監視カメラは、塵芥収集車1の後方や投入口3の映像を良好に撮影することができる。すなわち、安全確認部材である監視カメラは、安全確認機能を発揮することができる。
【0034】
また、安全確認部材6として表示灯を採用することもできる。扉4が投入口3を閉じる下降位置にあるとき、及び、扉4が投入口3を開いた上昇位置にあるときのいずれの場合においても、塵芥収集車1の後方の周囲の人は、表示灯を確認することができる。そのため、塵芥収集車1が作業中であることが、表示灯によって認識することができ、安全を確保することができる。
【0035】
次に、図4図5を参照しながら、別の実施形態に係る塵芥収集車21について説明する。図4(a)~図4(c)に示す塵芥収集車21は、概ね図1に示す塵芥収集車1と同様の構造を備えているが、扉24の構造が塵芥収集車1の扉4の構造と相違している。以下では、塵芥収集車21において塵芥収集車1と同じ構成には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0036】
図5(a)~図5(c)に示すように、扉24は、上辺部24a、下辺部24b、側辺部24c、24dを有し、昇降することによって投入口3(図4(b))を開閉する。扉24の側辺部24c、24dには、扉4のような係合突起10a、10bが設けられておらず、代わりに下辺部24bに突出係合部15a、15bが設けられている。突出係合部15a、15bは、略L字形に屈曲しており、その一端が扉24の下辺部24bに固着されている。また、突出係合部15a、15bの他端は、自由端16a、16bを構成しており、扉24の側方を向いて延びている。
【0037】
図5(b)に示すように、突出係合部15a、15bの自由端16a、16bは、扉24の側辺部24c、24dよりも外側(側方)に突出している。図5(a)、図5(c)に示すように、自由端16a、16bは、ガイドレール7a、7bの係合溝17a、17bと係合している。
【0038】
扉24は、扉4と同様にアーム11a、11bに吊り下げられて昇降し、投入口3を開いた際には、突出係合部15a、15bは、ガイドレール7a、7bの上端9a、9b付近の高さ位置にあり、扉24の下辺部24bは、安全確認部材6よりも上方に位置している。すなわち下辺部24bが、ガイドレール7a、7bの上端9a、9bよりも上方に位置しているが、扉24は、下辺部24bに固着された突出係合部15a、15b(自由端16a、16b)でガイドレール7a、7bと係合している。
【0039】
すなわち、突出係合部15a、15bは、扉24の下辺部24bの下方に突出しており、その下方への突出長さは、ガイドレール7a、7bの上端9a、9bの高さ位置から安全確認部材6の高さ位置までの距離よりも長い。そのため、突出係合部15a、15bの自由端16a、16bが、ガイドレール7a、7bの上端9a、9b付近にくると、扉24の下辺部24bは、安全確認部材6よりも上方に移動する。そして、安全確認部材6は、扉24の全閉時及び全開時に、扉24に阻害されることなく、安全確認機能を発揮することができる。
【0040】
ここで、安全確認機能は、安全確認部材6が監視カメラである場合には、投入口3や、車体1aの後方を撮影することであり、安全確認部材6が表示灯である場合には、表示灯が、塵芥収集車1の周囲の人が視認することができ、注意を喚起することができることを意味している。
【0041】
図6は、図2図4とは別の実施形態に係る塵芥収集車31の後部を示している。塵芥収集車31では、扉34と補助扉33の構造が、図2の塵芥収集車1の扉4と補助扉13の構造と相違している。
【0042】
扉34は、上辺部34a、下辺部34b、側辺部34c、34dを有し、側辺部34c、34dの下部には、図3(b)に示す扉4の係合突起10a、10bと同様の係合突起(図示せず)が設けられている。図示しない係合突起は、ガイドレール7a、7bと係合する。また、下辺部34bの中央部分には、切欠部35(凹み部)が設けられている。切欠部35は、下辺部34bが上方(高さ方向)に凹むように切り欠かれた形状を呈している。
【0043】
一方、補助扉33には、遮蔽部36(遮蔽部材)が設けられている。遮蔽部36は、補助扉33の上辺部33aと一体に設けられた部位であり、扉34が下降した際に、扉34の切欠部35と前後方向に重なって、切欠部35を後方側から覆う機能を有する。図6(a)は、切欠部35が遮蔽部36で遮蔽された状態を示しており、このとき切欠部35は遮蔽されており、荷箱2の収容部2aの内外の連通が遮断されている。
【0044】
図6(b)に示すように、扉34が上昇すると、切欠部35が遮蔽部36から離れると共に、投入口3が開き始める。そして、扉34が上昇位置まで移動すると共に、補助扉33が後方に倒れると、図6(c)に示すように、投入口3が全開状態になる。図6(c)に示すように、切欠部35は、安全確認部材6の高さ位置にあり、安全確認部材6が後方に露出している。すなわち、切欠部35を介して安全確認部材6は安全確認機能を発揮することができる。
【0045】
図6に示す実施形態では、扉34の昇降移動距離(往復移動距離)は、図2に示す扉4の昇降移動距離よりも短い。
【0046】
図6(a)~図6(c)では、補助扉33に扉34の切欠部35を遮蔽する遮蔽部36を設けた例を示したが、遮蔽部36の代わりに、扉34に摺動式、回動式、又は着脱式の遮蔽板(図示せず)を設けてもよい。すなわち、扉34が投入口3を閉じる際には、図示しない遮蔽板が切欠部35を遮蔽し、扉34が投入口3を開く際には、図示しない遮蔽板が切欠部35から退避するよう、扉34の開閉に遮蔽板が連動する構成にすることもできる。
【0047】
図7は、図2図4図6とは別の実施形態に係る塵芥収集車41の後部を示している。塵芥収集車41では、扉44の構造が、図6の塵芥収集車31の扉34の構造と相違している。その他の構造は、図6の扉34と同様である。
【0048】
図7(b)、図7(c)に示すように、扉44には、貫通孔45が設けられている。貫通孔45は、扉44の中央部分であって、下辺部44b付近に設けられている。すなわち、貫通孔45は、扉44における、図6の扉34の切欠部35と同様の位置に設けられている。
【0049】
図7(a)に示すように、扉44が下降位置にあるときには、貫通孔45は補助扉33の遮蔽部36によって遮蔽されている。また、図7(c)に示すように、扉44が上昇位置にあるときには、貫通孔45は安全確認部材6の高さ位置にある。そのため、扉44は安全確認部材6の障害とならず、安全確認部材6は、安全確認機能を良好に発揮することができる。
【0050】
図7(a)~図7(c)では、補助扉33に扉44の貫通孔45を遮蔽する遮蔽部36を設けた例を示したが、遮蔽部36の代わりに、扉44に摺動式、回動式、又は着脱式の遮蔽板(図示せず)を設けてもよい。すなわち、扉44が投入口3を閉じる際には、図示しない遮蔽板が貫通孔45を遮蔽し、扉44が投入口3を開く際には、図示しない遮蔽板が貫通孔45から退避するよう、扉44の開閉に遮蔽板が連動する構成にすることもできる。
【0051】
図1図7では、投入口3の両側にガイドレール7a、7bを設け、扉4、24、34、44がガイドレール7a、7bに沿って移動する例を示したが、ガイドレール7a、7bを省略し、扉4、24、34、44の複数箇所と荷箱2を図示しないリンク機構(平行リンク)で接続してもよい。すなわちリンク機構によって、扉4、24、34、44は、上昇位置では安全確認部材6を後方に回避しながら上方位置へ移動し、下降位置では投入口3を閉鎖する。
【0052】
以上の実施形態では、安全確認部材6をとして監視カメラを例示したが、監視カメラの代わりに、塵芥収集車から周囲の車、物、人等を確認できるもの(例えば、赤外線センサ、超音波センサ等)を使用してもよい。
【0053】
また、安全確認部材6として、表示灯のように、塵芥収集車が停車又は作業中であることを周囲の車、人が認識することができるもの(例えば、電光掲示板、ディスプレイ等)を使用してもよい。
【0054】
上記各実施形態における扉4、24、34、44は、駆動装置を備えていない手動開閉式であっても差し支えがない。また、アーム11a、11bに補助スプリングを設け、扉4、24、34、44の開閉動作を補助した塵芥収集車においても、本発明は良好に実施可能である。
【符号の説明】
【0055】
1、21、31、41 塵芥収集車
1a 車体
2 荷箱
2a 収容部
3 投入口
3a 投入口の下端
4、24、34、44 扉
5 固定壁
6 安全確認部材
7a、7b ガイドレール
10a、10b 係合突起(扉の下部)
15a、15b 突出係合部
35 切欠部(凹み部)
36 遮蔽部(遮蔽部材)
45 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7