(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】制御装置、医療用観察システム、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20250109BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20250109BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20250109BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61B1/045 610
A61B1/00 640
H04N7/18 M
G02B23/24 B
(21)【出願番号】P 2021019386
(22)【出願日】2021-02-09
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】313009556
【氏名又は名称】ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西垣 泰宏
【審査官】渡戸 正義
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-075161(JP,A)
【文献】特開2005-319097(JP,A)
【文献】特開2020-124320(JP,A)
【文献】特開2009-045113(JP,A)
【文献】特開2008-086666(JP,A)
【文献】特開2007-318558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
H04N 7/18
G02B 23/24 - 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用撮像装置が生成する映像データの1フィールドの基準となるフィールド信号であって、フィールド周期ごとに極性が切り替わるフィールド信号を出力する生成部と、
前記医療用撮像装置から出力される前記映像データであって、少なくとも水平同期信号を含む前記映像データから前記水平同期信号を検出する第1の検出部と、
前記生成部から入力される前記フィールド信号の極性の切り替わった後に、前記第1の検出部が所定のn回目に検出した前記水平同期信号の周期に基づいて、前記映像データの1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視する監視部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記監視部は、
前記フィールド信号の極性の切り替わった直後に、前記第1の検出部が1回目に検出した前記水平同期信号の周期に基づいて、前記1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視する、
制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の制御装置であって、
垂直同期信号を検出する第2の検出部と、
前記映像データを前記第1の検出部または前記第2の検出部に出力する切替部と、
前記医療用撮像装置の種別を識別する識別信号を取得し、該識別信号に基づいて、前記映像データに前記垂直同期信号が含まれているか否かを判定し、前記映像データに前記垂直同期信号が含まれていない場合、前記切替部に前記映像データを前記第1の検出部へ出力させる一方、前記映像データに前記垂直同期信号が含まれている場合、前記切替部に前記映像データを前記第2の検出部へ出力させる制御部と、
を備える、
制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の制御装置であって、
前記医療用撮像装置は、
前記水平同期信号を含み、前記垂直同期信号を含まない前記映像データを出力可能な第1の撮像素子または前記水平同期信号および前記垂直同期信号を含む前記映像データを出力可能な第2の撮像素子を備え、
前記識別信号は、
前記第1の撮像素子または前記第2の撮像素子を識別する情報を含み、
前記制御部は、
前記識別信号に基づいて、前記医療用撮像装置が前記第1の撮像素子を備える場合、前記切替部に前記映像データを前記第1の検出部へ出力させる一方、前記医療用撮像装置が前記第2の撮像素子を備える場合、前記切替部に前記映像データを前記第2の検出部へ出力させる、
制御装置。
【請求項5】
請求項3に記載の制御装置であって、
前記監視部は、
前記第2の検出部が前記垂直同期信号を検出した場合、前記垂直同期信号に基づいて、前記1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視する、
制御装置。
【請求項6】
請求項3に記載の制御装置であって、
前記映像データは、
前記医療用撮像装置と当該制御装置との通信が確立したことを示すシェイクハンド信号をさらに含み、
前記制御部は、
前記映像データから前記シェイクハンド信号を検出し、
前記シェイクハンド信号を検出した後に、前記フィールド信号の極性の切り替わった場合において、前記第1の検出部が前記水平同期信号を検出したとき、前記監視部による前記1フレーム周期を監視させる一方、
前記シェイクハンド信号を検出した後に、前記第2の検出部が前記垂直同期信号を検出したとき、前記監視部による前記1フレーム周期を監視させる、
制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記医療用撮像装置は、
内視鏡または手術用顕微鏡装置である、
制御装置。
【請求項8】
被検体を撮像して映像データを出力する医療用撮像装置と、
前記医療用撮像装置が接続可能な制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
医療用撮像装置が生成する映像データの1フィールドの基準となるフィールド信号であって、フィールド周期ごとに極性が切り替わるフィールド信号を出力する生成部と、
前記医療用撮像装置から出力される映像データであって、少なくとも水平同期信号を含む映像データから前記水平同期信号を検出する第1の検出部と、
前記生成部から入力される前記フィールド信号の極性の切り替わった後に、前記第1の検出部が所定のn回目に検出した前記水平同期信号の周期に基づいて、前記映像データの1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視する監視部と、
を備える、
医療用観察システム。
【請求項9】
ハードウェアを有するプロセッサを備え、医療用撮像装置が接続される制御装置が実行する制御方法であって、
前記医療用撮像装置が生成する映像データの1フィールドの基準となるフィールド信号であって、フィールド周期ごとに極性が切り替わるフィールド信号を出力し、
前記医療用撮像装置から出力される映像データであって、少なくとも水平同期信号を含む映像データから前記水平同期信号を検出し、
前記出力される前記フィールド信号の極性の切り替わった後に、所定のn回目に検出した前記水平同期信号の周期に基づいて、前記映像データの1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視する、
制御方法。
【請求項10】
ハードウェアを有するプロセッサを備え、医療用撮像装置が接続される制御装置に、
前記医療用撮像装置が生成する映像データの1フィールドの基準となるフィールド信号であって、フィールド周期ごとに極性が切り替わるフィールド信号を出力し、
前記医療用撮像装置から出力される映像データであって、少なくとも水平同期信号を含む映像データから前記水平同期信号を検出し、
前記出力される前記フィールド信号の極性の切り替わった後に、所定のn回目に検出した前記水平同期信号の周期に基づいて、前記映像データの1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視する、
ことを実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、医療用観察システム、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用内視鏡システムでは、内視鏡から制御装置に垂直同期信号を含む映像データを送信している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1のような医療用内視鏡システムでは、映像データに含まれる垂直同期信号を検出し、この検出結果に基づいて映像データの1フレームの周期乱れがないか否かを監視している。
【0005】
また、内視鏡や撮像機能を有する手術顕微鏡等の医療用撮像装置には、制御装置へ送信する映像データに垂直同期信号を含まない機種ある。このため、垂直同期信号を含まない映像データを送信する医療用撮像装置では、上述した特許文献1のような制御装置が垂直同期信号を検出することができず、映像データの1フレームの周期の乱れの監視を行うことができないという問題点があった。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、医療用撮像装置の種別に関わらず、映像データの1フレームの周期乱れを監視することができる制御装置、医療用観察システム、制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る制御装置は、医療用撮像装置へフィールド信号を出力する生成部と、前記医療用撮像装置から出力される映像データであって、少なくとも水平同期信号を含む映像データから前記水平同期信号を検出する第1の検出部と、前記フィールド信号の極性の切り替わった後に、前記第1の検出部が所定のn回目に検出した前記水平同期信号の周期に基づいて、前記映像データの1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視する監視部と、を備える。
【0008】
また、本開示に係る医療用観察システムは、被検体を撮像して映像データを出力する医療用撮像装置と、前記医療用撮像装置が接続可能な制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記医療用撮像装置へフィールド信号を出力する生成部と、前記医療用撮像装置から出力される映像データであって、少なくとも水平同期信号を含む映像データから前記水平同期信号を検出する第1の検出部と、前記フィールド信号の極性の切り替わった後に、前記第1の検出部が所定のn回目に検出した前記水平同期信号の周期に基づいて、前記映像データの1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視する監視部と、を備える。
【0009】
また、本開示に係る制御方法は、ハードウェアを有するプロセッサを備え、医療用撮像装置が接続される制御装置が実行する制御方法であって、前記医療用撮像装置へフィールド信号を出力し、前記医療用撮像装置から出力される映像データであって、少なくとも水平同期信号を含む映像データから前記水平同期信号を検出し、前記フィールド信号の極性の切り替わった後に、所定のn回目に検出した前記水平同期信号の周期に基づいて、前記映像データの1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視する。
【0010】
また、本開示に係るプログラムは、ハードウェアを有するプロセッサを備え、医療用撮像装置が接続される制御装置に、前記医療用撮像装置へフィールド信号を出力し、前記医療用撮像装置から出力される映像データであって、少なくとも水平同期信号を含む映像データから前記水平同期信号を検出し、前記フィールド信号の極性の切り替わった後に、所定のn回目に検出した前記水平同期信号の周期に基づいて、前記映像データの1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る内視鏡システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る第1のカメラヘッドが生成する映像データフォーマットの概要を説明する図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る第2のカメラヘッドが生成する別の映像データフォーマットの概要を説明する図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る第1のカメラヘッドが接続された際のタイミングチャートを示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る監視対象の水平同期信号のタイミングを示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1に係る第2のカメラヘッドが接続された際のタイミングチャートを示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1に係る制御装置が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、
図8における第1の監視処理の概要を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、
図8における第2の監視処理の概要を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施の形態2に係る内視鏡システムの概略構成を示す図である。
【
図12】
図12は、実施の形態3に係る手術用顕微鏡システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示を実施するための形態を図面とともに詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本開示が限定されるものでない。また、以下の説明において参照する各図は、本開示の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。即ち、本開示は、各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものでない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付して説明する。さらにまた、本開示に係る医療用観察システムの一例として、硬性鏡を備える内視鏡システムについて説明する。
【0013】
(実施の形態1)
〔内視鏡システムの概略構成〕
図1は、実施の形態1に係る内視鏡システムの概略構成を示す図である。
図1に示す内視鏡システム1は、医療分野に用いられ、人や動物の生体等の被検体の生体内に挿入され、内部を撮像した画像を表示することによって被検体を観察するシステムである。なお、実施の形態1では、内視鏡システム1として、
図1に示す硬性鏡(挿入部2)を用いた硬性内視鏡システムについて説明するが、これに限定されることなく、例えば軟性内視鏡システムであってもよい。
【0014】
図1に示す内視鏡システム1は、挿入部2と、光源装置3と、ライトガイド4と、互いに撮像素子の機能が異なる第1のカメラヘッド5A(内視鏡用撮像装置)および第2のカメラヘッド5B(内視鏡用撮像装置)と、第1の伝送ケーブル6と、表示装置7と、第2の伝送ケーブル8と、制御装置9と、第3の伝送ケーブル10と、を備える。なお、以下においては、第1のカメラヘッド5Aおよび第2のカメラヘッド5Bのどちらか一方を指す場合、単にカメラヘッド5と表記して説明する。
【0015】
挿入部2は、硬質または少なくとも一部が軟性で細長形状を有する。挿入部2は、患者等の被検体内に挿入される。挿入部2は、内部に1または複数のレンズを用いて構成され、観察像を結合する光学系が設けられている。
【0016】
光源装置3は、ライトガイド4の一端が接続される。光源装置3は、制御装置9による制御のもと、ライトガイド4の一端に被検体内を照明するための白色光、被検体に投与または散布された薬剤に励起光または赤外光を出射(供給)する。光源装置3は、LED(Light Emitting Diode)光源やLD(Laser Diode)等の半導体レーザ素子を用いて構成される。光源装置3と制御装置9とは、
図1に示すように個別で通信する構成をしてもよいし、一体化した構成であってもよい。
【0017】
ライトガイド4は、一端が光源装置3に着脱自在に接続され、かつ、他端が挿入部2に着脱自在に接続される。ライトガイド4は、光源装置3から出射された光を一端から他端に導光し、挿入部2へ供給する。
【0018】
カメラヘッド5は、挿入部2の接眼部21が着脱自在に接続される。カメラヘッド5は、制御装置9の制御のもと、挿入部2によって結像された観察像を撮像することによって映像データ(撮像信号)を生成し、この映像データを出力する。また、カメラヘッド5は、円周方向に回転可能に設けられた操作リング部51と、内視鏡システム1の各種の操作を指示する指示信号の入力を受け付ける複数の入力部52と、を備える。なお、実施の形態1では、カメラヘッド5および挿入部2が内視鏡として機能する。さらに、実施の形態1では、制御装置9に対して第1のカメラヘッド5Aおよび第2のカメラヘッド5Bのいずれか一方が接続される。
【0019】
第1の伝送ケーブル6は、一端が第1のコネクタ部61を介して制御装置9に着脱自在に接続され、他端が第2のコネクタ部62を介してカメラヘッド5に接続される。第1の伝送ケーブル6は、カメラヘッド5から出力される映像データを制御装置9へ伝送し、かつ、制御装置9から出力される制御信号、同期信号、クロック信号および電力等をカメラヘッド5へ伝送する。
【0020】
表示装置7は、第2の伝送ケーブル8を介して制御装置9に接続可能であり、制御装置9の制御のもと、制御装置9において処理された映像データに基づく表示画像を表示する。
【0021】
第2の伝送ケーブル8は、一端が表示装置7に着脱自在に接続され、他端が制御装置9に着脱自在に接続される。第2の伝送ケーブル8は、制御装置9において処理された映像データに基づく表示画像を表示装置7に伝送する。
【0022】
制御装置9は、メモリと、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを有するプロセッサを用いて構成される。制御装置9は、メモリに記録されたプログラムに従って、第1の伝送ケーブル6、第2の伝送ケーブル8および第3の伝送ケーブル10の各々を介して、光源装置3、カメラヘッド5および表示装置7の動作を統括的に制御する。また、制御装置9は、第1の伝送ケーブル6を経由してカメラヘッド5から入力された映像データに対して、各種の画像処理を行って第2の伝送ケーブル8へ出力する。
【0023】
第3の伝送ケーブル10は、一端が光源装置3に着脱自在に接続され、他端側が制御装置9に着脱自在に接続される。第3の伝送ケーブル10は、制御装置9からの制御信号を光源装置3に伝送する。
【0024】
〔制御装置の詳細な構成〕
次に、制御装置9の機能構成について説明する。
図2は、制御装置9の機能構成を示すブロック図である。なお、以下においては、第1のカメラヘッド5Aが制御装置9に接続されている場合について説明するが、第2のカメラヘッド5Bも制御装置9に接続することができる。
【0025】
図2に示す制御装置9は、生成部91と、受信部92と、切替部93と、第1の画像処理部94と、第2の画像処理部95と、監視部96と、記録部97と、制御部98と、入力部99と、を備える。
【0026】
生成部91は、制御部98の制御のもと、カメラヘッド5が生成する映像データの1フィールドの基準となるフィールド信号を生成し、このフィールド信号をカメラヘッド5へ出力する。生成部91は、例えばタイミングジェネレータまたはクロックジェネレータ等を用いて構成される。
【0027】
受信部92は、制御部98の制御のもと、カメラヘッド5から送信された映像データを受信し、受信した映像データを切替部93および制御部98へ出力する。例えば、受信部92は、カメラヘッド5から送信される映像データがパラレル信号の場合、パラレルシリアル変換処理等を行うパラレルシリアル変換モジュール等を用いて構成される。また、カメラヘッド5から送信される映像データが光信号である場合、O/E変換を行うO/E変換モジュール等を用いて構成される。
【0028】
切替部93は、一端が受信部92に電気的に接続され、他端が第1の画像処理部94または第2の画像処理部95に電気的に接続される。切替部93は、制御部98の制御のもと、受信部92と、第1の画像処理部94および第2の画像処理部95のどちらか一方とを電気的に接続される。具体的には、切替部93は、制御装置9に第1のカメラヘッド5Aが接続された場合、制御部98の制御のもと、受信部92と第1の画像処理部94とを電気的に接続する。これに対して、切替部93は、制御装置9に第2のカメラヘッド5Bが接続された場合、制御部98の制御のもと、受信部92と第2の画像処理部95とを電気的に接続する。切替部93は、例えば半導体スイッチ等を用いて構成される。
【0029】
第1の画像処理部94は、制御部98の制御のもと、切替部93から入力された映像データに対して、所定の画像処理を行って表示装置7へ出力する。ここで、所定の画像処理とは、例えば補完処理、ホワイトバランス調整処理等である。第1の画像処理部94は、例えばメモリと、FPGAまたはGPUのハードウェアを有するプロセッサと、を用いて構成される。また、第1の画像処理部94は、水平同期信号検出部941を有する。
【0030】
水平同期信号検出部941は、映像データに含まれる水平同期信号を検出し、この検出結果を監視部96へ出力する。なお、実施の形態1では、水平同期信号検出部941が第1の検出部として機能する。
【0031】
第2の画像処理部95は、制御部98の制御のもと、切替部93から入力された映像データに対して、所定の画像処理を行って表示装置7へ出力する。第2の画像処理部95は、メモリと、FPGAまたはGPU等のハードウェアを有するプロセッサと、を用いて構成される。また、第2の画像処理部95は、垂直同期信号検出部951を有する。
【0032】
垂直同期信号検出部951は、映像データに含まれる垂直同期信号を検出し、この検出結果を監視部96へ出力する。なお、実施の形態1では、垂直同期信号検出部951が第2の検出部として機能する。
【0033】
監視部96は、制御部98の制御のもと、生成部91から入力されたフィールド信号の極性の切り替わった後に、水平同期信号検出部941が所定のn回目に検出した水平同期信号の周期に基づいて、映像データに対応する1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視する。具体的には、監視部96は、生成部91から入力されたフィールド信号の極性の切り替わった後に、水平同期信号検出部941が1回目に検出した水平同期信号の周期に基づいて、映像データに対応する1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視し、この監視結果を制御部98へ出力する。さらに、監視部96は、制御部98の制御のもと、映像データに含まれるシェイクハンド用信号を認識後、フィールド信号の極性の切り替わりを検出する。また、監視部96は、制御部98の制御のもと、生成部91から入力されたフィールド信号の極性の切り替わった後に、垂直同期信号検出部951が検出した垂直同期信号に基づいて、映像データに対応する1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視し、この監視結果を制御部98へ出力する。監視部96は、制御部98の制御のもと、映像データに含まれるシェイクハンド用信号を認識後、フィールド信号の極性の切り替わりを検出する。
【0034】
記録部97は、内視鏡システム1に関する各種情報および処理中の各種データを記録する。記録部97は、プログラム記録部971を有する。プログラム記録部971は、内視鏡システム1が実行する各種のプログラムを記録する。記録部97は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)およびSSD(Solid State Drive)等の記録媒体を用いて構成される。
【0035】
制御部98は、内視鏡システム1を構成する各部を制御する。制御部98は、メモリと、CPU等のハードウェアを有するプロセッサと、を用いて構成される。また、制御部98は、カメラヘッド5の種別を識別する識別信号(識別情報)を取得し、この識別信号に基づいて、映像データに垂直同期信号が含まれているか否かを判定する。その後、制御部98は、カメラヘッド5から出力された映像データに垂直同期信号が含まれていない場合、切替部93に受信部92と第1の画像処理部94とを接続させることによって切替部93に第1の画像処理部94の水平同期信号検出部941へ映像データを出力させる。これに対して、制御部98は、カメラヘッド5から出力された映像データに垂直同期信号が含まれている場合、切替部93に受信部92と第2の画像処理部95とを接続させることによって切替部93に映像データを第2の画像処理部95の垂直同期信号検出部951へ出力させる。また、制御部98は、カメラヘッド5から出力された映像データからシェイクハンド信号およびフィールド信号の極性の切り替わりを検出する。さらに、制御部98は、映像データからシェイクハンド信号を検出した後に、フィールド信号の極性の切り替わりを検出した場合において、水平同期信号検出部941が水平同期信号を検出したとき、監視部96による映像データの1フレーム周期を監視させる。これに対して、制御部98は、映像データからシェイクハンド信号を検出した後に、垂直同期信号検出部951が垂直同期信号を検出したとき、監視部96による映像データの1フレーム周期を監視させる。
【0036】
入力部99は、マウス、キーボードおよびタッチパネル等を用いて構成され、オペレータの操作に応じた指示信号の入力を受け付け、受け付けた指示信号を制御部98へ出力する。
【0037】
〔映像データフォーマットの概要〕
次に、第1のカメラヘッド5Aおよび第2のカメラヘッド5Bの各々が生成する映像データフォーマットについて説明する。まず、第1のカメラヘッド5Aが生成する映像データフォーマットについて説明する。
図3は、第1のカメラヘッド5Aが生成する映像データフォーマットの概要を説明する図である。
【0038】
図3に示すように、第1のカメラヘッド5Aが生成する映像データフォーマットF1は、水平同期コードD1と、有効画像領域D2と、無効領域D3と、を有する。水平同期コードD1は、水平同期信号を有する。有効画像領域D2は、少なくとも、撮像素子の有効画像領域の映像データと、シェイクハンド信号と、画像補正データと、を有する。無効領域D3は、少なくとも、撮像素子に関する各種情報と、ブランキング期間に送信される黒補正データと、を有する。
【0039】
即ち、第1のカメラヘッド5Aが生成する映像データフォーマットF1には、垂直同期信号が含まれていない。このため、従来の医療用観察システムでは、映像データフォーマットF1に対して、垂直同期信号を検出することができず、1フレーム周期の乱れ、即ち、1フレーム周期の異常を監視することができなかった。
【0040】
次に、第2のカメラヘッド5Bが生成する映像データフォーマットについて説明する。
図4は、第2のカメラヘッド5Bが生成する映像データフォーマットの概要を説明する図である。
【0041】
図4に示すように、第2のカメラヘッド5Bが生成する映像データフォーマットF2は、水平同期コードD1と、有効画像領域D2と、無効領域D3と、を有する。さらに、無効領域D3は、垂直同期信号が埋め込まれた垂直同期コードD4を有する。このため、従来の医療用観察システムでは、垂直同期信号を監視することによって、1フレーム周期の乱れ、即ち、1フレーム周期の異常を監視することができる。
【0042】
〔第1のカメラヘッドが接続された際の処理〕
次に、第1のカメラヘッド5Aが制御装置9に接続された際の処理について説明する。
図5は、第1のカメラヘッド5Aが接続された際のタイミングチャートを示す図である。なお、
図5では、1フレーム周期の監視開始タイミングについて説明する。
図5において、上段から(a)クロック信号を示し、(b)がスコープ接続信号を示し、(c)が識別信号を示し、(d)が映像データを示し、(e)がシェイクハンド信号を示し、(f)が水平同期信号を示し、(d)フィールド信号を示す。
【0043】
図5に示すように、制御部98は、クロック信号に従って、まず、第1のカメラヘッド5Aが制御装置9に接続され、第1のカメラヘッド5Aからスコープ接続信号を受信した場合、第1のカメラヘッド5Aからスコープ種識別信号を取得する(時刻t
1)。
【0044】
続いて、制御部98は、生成部91からフィールド信号の極性の切り替わり後、即ち、フィールド信号が立ち上がった場合(時刻t2)、第1のカメラヘッド5Aから送信された映像データに含まれるシェイクハンド用コードを検出する(時刻t3)。
【0045】
その後、制御部98は、フィールド信号の立ち上がり(パルスの状態がHIGH状態)から所定時間経過(例えば遅延Td)にシェイクハンド信号を有効化する(パルスの状態をHIGH状態とする)(時刻t4)。
【0046】
続いて、制御部98は、シェイクハンド信号が有効化してから(時刻t4)、水平同期信号検出部941によって1回目の水平同期信号が検出するまで監視部96を待機させる(時刻t5)。
【0047】
図6は、監視対象の水平同期信号のタイミングを示す図である。
図6において、上段から(a)がフィールド信号、(b)が映像データ、(c)が水平同期信号検出タイミングを示す。
【0048】
図6に示すように、制御部98は、フィールド信号の極性が変化した後に(時刻t
11)、水平同期信号検出部941が1回目の水平同期信号を検出した検出タイミング(時刻t
12)から、次に、水平同期信号検出部941が2回目の水平同期信号を検出した検出タイミング(時刻t
13)までを1フレーム周期(=1フィールド(1V))として監視部96に監視させる。この結果、監視部96は、第1のカメラヘッド5Aが生成した映像データに水平同期信号のみしか含まれていない場合であっても、1フレームの周期の乱れ、即ち、1フレーム周期の異常を検出することができる。
【0049】
〔第2のカメラヘッドが接続された際の処理〕
次に、第2のカメラヘッド5Bが制御装置9に接続された際の処理について説明する。
図7は、第2のカメラヘッド5Bが接続された際のタイミングチャートを示す図である。
図7において、上段から(a)クロック信号を示し、(b)がスコープ接続信号を示し、(c)が識別信号を示し、(d)が映像データを示し、(e)がシェイクハンド信号を示し、(f)が画像補正データ受信信号を示し、(g)が垂直同期信号を示し、(h)フィールド信号を示す。
【0050】
図7に示すように、制御部98は、クロック信号に従って、まず、第2のカメラヘッド5Bが制御装置9に接続され、第2のカメラヘッド5Bからスコープ接続信号を受信した場合、第2のカメラヘッド5Bから識別信号を取得する(時刻t
21)。
【0051】
続いて、制御部98は、フィールド信号の立ち上がり(パルスの状態がHIGH状態)から所定時間経過(例えば遅延Td)にシェイクハンド信号を有効化する(パルスの状態をHIGH状態とする)(時刻t22)。
【0052】
その後、制御部98は、シェイクハンド信号が有効化し(時刻t22)、画像補正データ信号が立ち上がったタイミング(時刻t23)から、垂直同期信号検出部951によって1回目の垂直同期信号を検出したタイミング(時刻t24)から監視部96に1フレーム周期の監視を行わせる。
【0053】
このように、監視部96は、第2のカメラヘッド5Bの映像データに含まれる垂直同期信号に基づいて、1フレームの周期の監視を行うことができる。
【0054】
〔制御装置の処理〕
次に、制御装置9が実行する処理について説明する。
図8は、制御装置9が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【0055】
図8に示すように、まず、制御部98は、カメラヘッド5が制御装置9に接続された場合、カメラヘッド5からカメラヘッド5の種別を示す識別信号を取得する(ステップS101)。
【0056】
続いて、制御部98は、カメラヘッド5から取得した識別信号に基づいて、カメラヘッド5によって送信される映像データに同期信号として水平同期信号のみであるか否かを判断する(ステップS102)。具体的には、制御部98は、制御装置9に接続されたカメラヘッド5が水平同期信号のみの映像データフォーマットF1で映像データを送信する第1のカメラヘッド5Aであるか否かを判断する。制御部98によってカメラヘッド5が送信する映像データに同期信号として水平同期信号のみであると判断された場合(ステップS102:Yes)、制御装置9は、後述するステップS103へ移行する。これに対して、制御部98によってカメラヘッド5が送信する映像データに同期信号として水平同期信号のみでないと判断された場合(ステップS102:No)、制御装置9は、後述するステップS104へ移行する。
【0057】
ステップS103において、制御装置9は、映像データに含まれる水平同期信号に基づいて、映像データに対応する1フレームの周期に異常が生じているか否かを判定する第1の監視処理を実行する。ステップS103の後、制御装置9は、本処理を終了する。なお、第1の監視処理の詳細は、後述する。
【0058】
ステップS104において、制御装置9は、映像データに含まれる垂直同期信号に基づいて、映像データに対応する1フレームの周期に異常が生じているか否かを判定する第2の監視処理を実行する。ステップS104の後、制御装置9は、本処理を終了する。なお、第2の監視処理の詳細は、後述する。
【0059】
〔第1の監視処理〕
次に、
図8のステップS103において説明した第1の監視処理の詳細について説明する。
図9は、第1の監視処理の概要を示すフローチャートである。なお、
図9では、制御装置9に第1のカメラヘッド5Aが接続された際の処理について説明する。
【0060】
図9に示すように、まず、制御部98は、切替部93を制御することによって受信部92と第1の画像処理部94とを接続する(ステップS201)。
【0061】
続いて、制御部98は、受信部92から出力された映像データに含まれるシェイクハンド信号に基づいて、シェイクハンド信号が有効になったか否かを判断する(ステップS202)。制御部98によってシェイクハンド信号が有効になったと判断された場合(ステップS202:Yes)、制御装置9は、後述するステップS203へ移行する。これに対して、制御部98によってシェイクハンド信号が有効になっていないと判断された場合(ステップS202:No)、制御装置9は、シェイクハンド信号が有効となるまで、この判断を続ける。
【0062】
ステップS203において、制御部98は、生成部91が生成するフィールド信号の極性が変化したか否かを判断する。制御部98によって生成部91が生成するフィールド信号の極性が変化したと判断された場合(ステップS203:Yes)、制御装置9は、後述するステップS204へ移行する。これに対して、制御部98によって生成部91が生成するフィールド信号の極性が変化していないと判断された場合(ステップS203:No)、制御装置9は、フィールド信号の極性が変化するまで、この判断を続ける。
【0063】
ステップS204において、制御部98は、水平同期信号検出部941が第1のカメラヘッド5Aから送信された映像データから水平同期信号を検出したか否かを判断する。制御部98によって水平同期信号検出部941が第1のカメラヘッド5Aから送信された映像データから水平同期信号を検出したと判断された場合(ステップS204:Yes)、制御装置9は、ステップS205へ移行する。これに対して、制御部98によって水平同期信号検出部941が第1のカメラヘッド5Aから送信された映像データから水平同期信号を検出していないと判断された場合(ステップS204:No)、制御装置9は、水平同期信号検出部941が映像データから水平同期信号を検出するまで、この判断を続ける。
【0064】
ステップS205において、制御部98は、監視部96に映像データの1フレームの周期を監視させる。
【0065】
続いて、制御部98は、水平同期信号検出部941が第1のカメラヘッド5Aから送信された映像データから水平同期信号を検出したか否かを判断する。制御部98によって水平同期信号検出部941が第1のカメラヘッド5Aから送信された映像データから水平同期信号を検出したと判断された場合(ステップS206:Yes)、制御装置9は、ステップS207へ移行する。これに対して、制御部98によって水平同期信号検出部941が第1のカメラヘッド5Aから送信された映像データから水平同期信号を検出していないと判断された場合(ステップS206:No)、制御装置9は、水平同期信号検出部941が映像データから水平同期信号を検出するまで、この判断を続ける。
【0066】
監視部96は、ステップS204において水平同期信号検出部941が検出した水平同期信号のタイミングと、ステップS206において水平同期信号検出部941が検出した水平同期信号のタイミングと、に基づいて、映像データの1フレームの周期に異常が生じているか否かを判断する(ステップS207)。具体的には、監視部96は、ステップS204において水平同期信号検出部941が検出した水平同期信号の立ち上がりタイミングと、ステップS206において水平同期信号検出部941が検出した水平同期信号の立ち上がりタイミングと、に基づく時間が所定の時間(例えば1フィールドの周期の時間±10%)より短い、または長いか否かを判定することによって、1フレームの周期に異常が生じているか否かを判断する。監視部96によって映像データの1フレームの周期に異常が生じていると判断された場合(ステップS207:Yes)、制御装置9は、後述するステップS208へ移行する。これに対して、監視部96によって映像データの1フレームの周期に異常が生じていないと判断された場合(ステップS207:No)、制御装置9は、後述するステップS209へ移行する。
【0067】
ステップS208において、制御部98は、第1のカメラヘッド5Aに異常が生じている旨の警告を表示装置7に表示させる。
【0068】
続いて、制御部98は、入力部99を経由して被検体の検査を終了する指示信号が入力されたか否かを判断する(ステップS209)。制御部98によって被検体の検査を終了する指示信号が入力されたと判断された場合(ステップS209:Yes)、制御装置9は、
図8のメインルーチンへ戻り、本処理を終了する。これに対して、制御部98によって被検体の検査を終了する指示信号が入力されていないと判断された場合(ステップS209:No)、制御装置9は、上述したステップS205へ戻る。
【0069】
〔第2の監視処理〕
次に、
図8のステップS104において説明した第2の監視処理の詳細について説明する。
図10は、第2の監視処理の概要を示すフローチャートである。なお、
図10では、制御装置9に第2のカメラヘッド5Bが接続された際の処理について説明する。
【0070】
図10に示すように、まず、制御部98は、切替部93を制御することによって受信部92と第2の画像処理部95とを接続する(ステップS301)。
【0071】
続いて、制御部98は、受信部92から出力された映像データに含まれるシェイクハンド信号に基づいて、シェイクハンド信号が有効になったか否かを判断する(ステップS302)。制御部98によってシェイクハンド信号が有効になったと判断された場合(ステップS302:Yes)、制御装置9は、後述するステップS303へ移行する。これに対して、制御部98によってシェイクハンド信号が有効になっていないと判断された場合(ステップS302:No)、制御装置9は、シェイクハンド信号が有効となるまで、この判断を続ける。
【0072】
ステップS303において、制御部98は、受信部92から出力された映像データに基づいて、映像データに含まれる第2のカメラヘッド5Bからの画像補正データの受信が完了したか否かを判断する。制御部98によって映像データに含まれる第2のカメラヘッド5Bからの画像補正データの受信が完了したと判断された場合(ステップS303:Yes)、制御装置9は、後述するステップS304へ移行する。これに対して、制御部98によって映像データに含まれる第2のカメラヘッド5Bからの画像補正データの受信が完了していないと判断された場合(ステップS303:No)、制御装置9は、画像補正データの受信が完了するまで、この判断を続ける。
【0073】
ステップS304において、制御部98は、垂直同期信号検出部951が第2のカメラヘッド5Bから送信された映像データから垂直同期信号を検出したか否かを判断する。制御部98によって垂直同期信号検出部951が第2のカメラヘッド5Bから送信された映像データから垂直同期信号を検出したと判断された場合(ステップS204:Yes)、制御装置9は、ステップS305へ移行する。これに対して、制御部98によって垂直同期信号検出部951が第2のカメラヘッド5Bから送信された映像データから垂直同期信号を検出していないと判断された場合(ステップS304:No)、制御装置9は、垂直同期信号検出部951が映像データから垂直同期信号を検出するまで、この判断を続ける。
【0074】
ステップS305において、制御部98は、監視部96に映像データの1フレームの周期を監視させる。
【0075】
続いて、制御部98は、垂直同期信号検出部951が第2のカメラヘッド5Bから送信された映像データから垂直同期信号を検出したか否かを判断する。制御部98によって垂直同期信号検出部951が第2のカメラヘッド5Bから送信された映像データから垂直同期信号を検出したと判断された場合(ステップS306:Yes)、制御装置9は、ステップS307へ移行する。これに対して、制御部98によって垂直同期信号検出部951が第2のカメラヘッド5Bから送信された映像データから垂直同期信号を検出していないと判断された場合(ステップS306:No)、制御装置9は、垂直同期信号検出部951が映像データから垂直同期信号を検出するまで、この判断を続ける。
【0076】
監視部96は、ステップS304において垂直同期信号検出部951が検出した垂直同期信号のタイミングと、ステップS306において垂直同期信号検出部951が検出した垂直同期信号のタイミングと、に基づいて、映像データの1フレームの周期に異常が生じているか否かを判断する(ステップS307)。具体的には、監視部96は、ステップS304において垂直同期信号検出部951が検出した垂直同期信号の立ち上がりタイミングと、ステップS306において垂直同期信号検出部951が検出した垂直同期信号の立ち上がりタイミングと、に基づく時間が所定の時間(例えば1フィールドの周期の時間±10%)より短い、または長いか否かを判定することによって、映像データの1フレームの周期に異常が生じているか否かを判断する。監視部96によって映像データの1フレームの周期に異常が生じていると判断された場合(ステップS307:Yes)、制御装置9は、後述するステップS308へ移行する。これに対して、監視部96によって映像データの1フレームの周期に異常が生じていないと判断された場合(ステップS307:No)、制御装置9は、後述するステップS309へ移行する。
【0077】
ステップS308において、制御部98は、第2のカメラヘッド5Bに異常が生じている旨の警告を表示装置7に表示させる。
【0078】
続いて、制御部98は、入力部99を経由して被検体の検査を終了する指示信号が入力されたか否かを判断する(ステップS309)。制御部98によって被検体の検査を終了する指示信号が入力されたと判断された場合(ステップS309:Yes)、制御装置9は、
図8のメインルーチンへ戻り、本処理を終了する。これに対して、制御部98によって被検体の検査を終了する指示信号が入力されていないと判断された場合(ステップS309:No)、制御装置9は、上述したステップS305へ戻る。
【0079】
以上説明した実施の形態1によれば、監視部96がフィールド信号の極性の切り替わった後に、水平同期信号検出部941が所定のn回目に検出した水平同期信号の周期に基づいて、映像データの1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視する。この結果、カメラヘッド5(医療用撮像装置)の種別に関わらず、映像データの1フレームの周期乱れを監視することができる。
【0080】
また、実施の形態1によれば、監視部96がフィールド信号の極性の切り替わった直後に、水平同期信号検出部941が1回目に検出した水平同期信号の周期に基づいて、1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視するため、カメラヘッド5(医療用撮像装置)の種別に関わらず、映像データの1フレームの周期乱れを監視することができる。
【0081】
また、実施の形態1によれば、制御部98がカメラヘッド5の種別を識別する識別信号(識別情報)を取得し、この識別信号に基づいて、映像データに垂直同期信号が含まれているか否かを判定し、カメラヘッド5から出力された映像データに垂直同期信号が含まれていない場合、切替部93に受信部92と第1の画像処理部94とを接続させることによって切替部93に第1の画像処理部94の水平同期信号検出部941へ映像データを出力させる一方、カメラヘッド5から出力された映像データに垂直同期信号が含まれている場合、切替部93に受信部92と第2の画像処理部95とを接続させることによって切替部93に映像データを第2の画像処理部95の垂直同期信号検出部951へ出力させる。この結果、カメラヘッド5(医療用撮像装置)の種別、即ち第1のカメラヘッド5Aまたは第2のカメラヘッド5Bに関わらず、映像データの1フレームの周期乱れを監視することができる。
【0082】
また、実施の形態1によれば、制御部98がカメラヘッド5から出力された映像データからシェイクハンド信号およびフィールド信号の極性の切り替わりを検出し、映像データからシェイクハンド信号を検出した後に、フィールド信号の極性の切り替わりを検出した場合において、水平同期信号検出部941が水平同期信号を検出したとき、監視部96による映像データの1フレーム周期を監視させる一方、映像データからシェイクハンド信号を検出した後に、垂直同期信号検出部951が垂直同期信号を検出したとき、監視部96による映像データの1フレーム周期を監視させる。この結果、カメラヘッド5(医療用撮像装置)の種別、即ち第1のカメラヘッド5Aまたは第2のカメラヘッド5Bに関わらず、映像データの1フレームの周期乱れを監視することができる。
【0083】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、硬性鏡を用いた硬性内視鏡システムに適用した場合について説明したが、実施の形態2では、軟性の内視鏡を用いた軟性内視鏡システムに適用した場合について説明する。なお、上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1と同一の構成には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0084】
〔内視鏡システムの概略構成〕
図11は、実施の形態2に係る内視鏡システムの概略構成を示す図である。
図11に示す内視鏡システム200は、被検体内に挿入部202を挿入することによって観察部位の体内画像を撮像して映像データを生成する内視鏡201と、内視鏡201に白色光または赤外光を供給する光源装置210と、内視鏡201が取得した撮像信号に所定の画像処理を施すとともに、内視鏡システム200全体の動作を統括的に制御する制御装置220と、制御装置220が画像処理を施した体内画像を表示する表示装置230と、を備える。
【0085】
制御装置220は、少なくとも、上述した生成部91と、受信部92と、切替部93と、第1の画像処理部94と、第2の画像処理部95と、監視部96と、記録部97と、制御部98と、入力部99と、を備える。
【0086】
以上説明した実施の形態2によれば、軟性の内視鏡システム200であっても、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0087】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1,2では、内視鏡システムであったが、実施の形態3では、手術用顕微鏡システムに適用した場合について説明する。なお、上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1と同一の構成には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0088】
〔手術用顕微鏡システムの構成〕
図12は、実施の形態3に係る手術用顕微鏡システムの概略構成を示す図である。
図12に示す手術用顕微鏡システム300は、被写体を観察するための画像を撮像することによって取得する医療用撮像装置である顕微鏡装置310と、顕微鏡装置310が撮像した映像データを表示する表示装置311と、を備える。なお、表示装置311と顕微鏡装置310とを一体に構成することも可能である。
【0089】
顕微鏡装置310は、被写体の微小部位を拡大して撮像する顕微鏡部312と、顕微鏡部312の基端部に接続し、顕微鏡部312を回動可能に支持するアームを含む支持部313と、支持部313の基端部を回動可能に保持し、床面上を移動可能なベース部314と、を有する。ベース部314は、手術用顕微鏡システム300の動作を制御する制御装置315と、顕微鏡装置310から被写体に照射する白色光または赤外光等を生成する光源装置316と、を有する。なお、制御装置315は、少なくとも、上述した生成部91と、受信部92と、切替部93と、第1の画像処理部94と、第2の画像処理部95と、監視部96と、記録部97と、制御部98と、入力部99と、を有する。また、ベース部314は、床面上に移動可能に設けるのではなく、天井や壁面等に固定して支持部313を支持する構成としてもよい。
【0090】
顕微鏡部312は、例えば、円柱状をなす。顕微鏡部312の側面には、顕微鏡装置310の動作指示の入力を受け付けるスイッチが設けられている。顕微鏡部312の下端部の開口面には、内部を保護するカバーガラスが設けられている(図示せず)。
【0091】
このように構成された手術用顕微鏡システム300は、術者等のユーザが顕微鏡部312を把持した状態で各種スイッチを操作しながら、顕微鏡部312を移動させたり、ズーム操作を行ったり、照明光を切り替えたりする。なお、顕微鏡部312の形状は、ユーザが把持して視野方向を変更しやすいように、観察方向に細長く延びる形状であれば好ましい。このため、顕微鏡部312の形状は、円柱状以外の形状であってもよく、例えば多角柱状であってもよい。
【0092】
以上説明した実施の形態3によれば、手術用顕微鏡システム300においても、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0093】
(その他の実施の形態)
上述した本開示の一実施の形態に係る医療用観察システムに開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、上述した本開示の実施の形態1に係る医療用観察システムに記載した全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、上述した本開示の実施の形態1に係る医療用観察システムで説明した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0094】
また、本開示の実施の形態1に係る医療用観察システムでは、上述してきた「部」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、制御部は、制御手段や制御回路に読み替えることができる。
【0095】
また、本開示の実施の形態1に係る医療用観察システムに実行させるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルデータでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、USB媒体、フラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0096】
また、本開示の実施の形態1に係る医療用観察システムに実行させるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0097】
なお、本明細書におけるフローチャートの説明では、「まず」、「その後」、「続いて」等の表現を用いてステップ間の処理の前後関係を明示していたが、本発明を実施するために必要な処理の順序は、それらの表現によって一意的に定められるわけではない。即ち、本明細書で記載したフローチャートにおける処理の順序は、矛盾のない範囲で変更することができる。
【0098】
以上、本願の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本開示を実施することが可能である。
【0099】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(付記1)
医療用撮像装置へフィールド信号を出力する生成部と、
前記医療用撮像装置から出力される映像データであって、少なくとも水平同期信号を含む映像データから前記水平同期信号を検出する第1の検出部と、
前記フィールド信号の極性の切り替わった後に、前記第1の検出部が所定のn回目に検出した前記水平同期信号の周期に基づいて、前記映像データの1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視する監視部と、
を備える制御装置。
(付記2)
(付記1)に記載の制御装置であって、
前記監視部は、
前記フィールド信号の極性の切り替わった直後に、前記第1の検出部が1回目に検出した前記水平同期信号の周期に基づいて、前記1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視する、
制御装置。
(付記3)
(付記1)または(付記2)に記載の制御装置であって、
垂直同期信号を検出する第2の検出部と、
前記映像データを前記第1の検出部または前記第2の検出部に出力する切替部と、
前記医療用撮像装置の種別を識別する識別信号を取得し、該識別信号に基づいて、前記映像データに前記垂直同期信号が含まれているか否かを判定し、前記映像データに前記垂直同期信号が含まれていない場合、前記切替部に前記映像データを前記第1の検出部へ出力させる一方、前記映像データに前記垂直同期信号が含まれている場合、前記切替部に前記映像データを前記第2の検出部へ出力させる制御部と、
を備える、
制御装置。
(付記4)
(付記3)に記載の制御装置であって、
前記医療用撮像装置は、
前記水平同期信号を含む前記映像データを出力可能な第1の撮像素子または前記垂直同期信号を含む前記映像データを出力可能な第2の撮像素子を備え、
前記識別信号は、
前記第1の撮像素子または前記第2の撮像素子を識別する情報を含み、
前記制御部は、
前記識別信号に基づいて、前記医療用撮像装置が前記第1の撮像素子を備える場合、前記切替部に前記映像データを前記第1の検出部へ出力させる一方、前記医療用撮像装置が前記第2の撮像素子を備える場合、前記切替部に前記映像データを前記第2の検出部へ出力させる、
制御装置。
(付記5)
(付記)3または(付記4)に記載の制御装置であって、
前記監視部は、
前記第2の検出部が前記垂直同期信号を検出した場合、前記垂直同期信号に基づいて、前記1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視する、
制御装置。
(付記6)
(付記3)~(付記5)のいずれか一つに記載の制御装置であって、
前記映像データは、
前記医療用撮像装置と当該制御装置との通信が確立したことを示すシェイクハンド信号をさらに含み、
前記制御部は、
前記映像データから前記シェイクハンド信号および前記フィールド信号の極性の切り替わりを検出し、
前記シェイクハンド信号を検出した後に、前記フィールド信号の極性の切り替わりを検出した場合において、前記第1の検出部が前記水平同期信号を検出したとき、前記監視部による前記1フレーム周期を監視させる一方、
前記シェイクハンド信号を検出した後に、前記第2の検出部が前記垂直同期信号を検出したとき、前記監視部による前記1フレーム周期を監視させる、
制御装置。
(付記7)
(付記1)~(付記6)のいずれか一つに記載の制御装置であって、
前記医療用撮像装置は、
内視鏡または手術用顕微鏡装置である、
制御装置。
(付記8)
被検体を撮像して映像データを出力する医療用撮像装置と、
前記医療用撮像装置が接続可能な制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記医療用撮像装置へフィールド信号を出力する生成部と、
前記医療用撮像装置から出力される映像データであって、少なくとも水平同期信号を含む映像データから前記水平同期信号を検出する第1の検出部と、
前記フィールド信号の極性の切り替わった後に、前記第1の検出部が所定のn回目に検出した前記水平同期信号の周期に基づいて、前記映像データの1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視する監視部と、
を備える、
医療用観察システム。
(付記9)
ハードウェアを有するプロセッサを備え、医療用撮像装置が接続される制御装置が実行する制御方法であって、
前記医療用撮像装置へフィールド信号を出力し、
前記医療用撮像装置から出力される映像データであって、少なくとも水平同期信号を含む映像データから前記水平同期信号を検出し、
前記フィールド信号の極性の切り替わった後に、所定のn回目に検出した前記水平同期信号の周期に基づいて、前記映像データの1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視する、
制御方法。
(付記10)
ハードウェアを有するプロセッサを備え、医療用撮像装置が接続される制御装置に、
前記医療用撮像装置へフィールド信号を出力し、
前記医療用撮像装置から出力される映像データであって、少なくとも水平同期信号を含む映像データから前記水平同期信号を検出し、
前記フィールド信号の極性の切り替わった後に、所定のn回目に検出した前記水平同期信号の周期に基づいて、前記映像データの1フレーム周期に異常が生じているか否かを監視する、
ことを実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0100】
1,200 内視鏡システム
2,202 挿入部
3,210,316 光源装置
4 ライトガイド
5 カメラヘッド
5A 第1のカメラヘッド
5B 第2のカメラヘッド
6 第1の伝送ケーブル
7,230,311 表示装置
8 第2の伝送ケーブル
9,220,315 制御装置
10 第3の伝送ケーブル
21 接眼部
51 操作リング部
52,99 入力部
61 第1のコネクタ部
62 第2のコネクタ部
91 生成部
92 受信部
93 切替部
94 第1の画像処理部
95 第2の画像処理部
96 監視部
97 記録部
98 制御部
201 内視鏡
300 手術用顕微鏡システム
310 顕微鏡装置
312 顕微鏡部
313 支持部
314 ベース部
941 水平同期信号検出部
951 垂直同期信号検出部
971 プログラム記録部
F1,F2 映像データフォーマット