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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ベッドボード及び介護用ベッド装置
(51)【国際特許分類】
   A47C 19/02 20060101AFI20250109BHJP
   A61G 7/05 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A47C19/02 A
A61G7/05
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021040170
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139681
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】松本 孝樹
(72)【発明者】
【氏名】舟越 敬介
(72)【発明者】
【氏名】窪田 伸之助
(72)【発明者】
【氏名】神戸 元樹
(72)【発明者】
【氏名】掛田 英希
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-369730(JP,A)
【文献】特開2010-167009(JP,A)
【文献】特開平08-243127(JP,A)
【文献】特開2006-198352(JP,A)
【文献】特開2017-205265(JP,A)
【文献】実開平04-010760(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 19/02
A61G 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面の反対側の第2主面と、上面と、下面と、第1側面と、前記第1側面の反対側の第2側面と、前記上面と前記第1側面との間に第1斜面と、前記下面と前記第2側面との間に第2斜面と、を有する板部材と、
前記板部材の前記上面上に配置された第1把持部と、前記第1側面上に配置された第2把持部と、前記第1斜面上に配置され、前記第1把持部及び前記第2把持部と接した把手部分と、を有し、前記板部材に対する前記第1主面側への張出量が前記第2主面側への張出量よりも大きいグリップ部材と、
を備え
前記把手部分は、前記第1把持部及び前記第2把持部に対して、前記第1主面側に傾斜しており、
2枚重ねたときに、一方の前記グリップ部材の前記把手部分が、他方の前記板部材の前記第2斜面上の切欠部分に位置するベッドボード。
【請求項2】
前記把手部分は前記第1斜面から離隔し前記第1斜面と前記把手部分との間には隙間が形成されている請求項に記載のベッドボード。
【請求項3】
前記把手部分は、
前記第1把持部と接した第3把持部と、
前記第2把持部と接した第4把持部と、
を有し、
前記第1主面側から見て、前記第3把持部は前記第1把持部の延長線上にあり、前記第4把持部は前記第2把持部の延長線上にあり、前記隙間の形状は略直角三角形である請求項に記載のベッドボード。
【請求項4】
前記グリップ部材は、前記第2側面上にも設けられている請求項に記載のベッドボード。
【請求項5】
前記板部材の前記第1主面に取り付けられた取付金具をさらに備えた請求項1~のいずれか1つに記載のベッドボード。
【請求項6】
前記板部材は木材からなり、前記グリップ部材は樹脂からなる請求項1~のいずれか1つに記載のベッドボード。
【請求項7】
ベッド本体と、
前記ベッド本体の頭側及び足側の少なくとも一方に取り付けられた請求項1~のいずれか1つに記載のベッドボードと、
を備え、
前記ベッドボードの前記第1主面は前記ベッド本体側を向いている介護用ベッド装置。
【請求項8】
前記ベッドボードは、前記ベッド本体の頭側及び足側にそれぞれ取り付けられており、
前記ベッド本体の頭側に取り付けられた前記ベッドボードと、前記ベッド本体の足側に取り付けられた前記ベッドボードとは、交換可能である請求項に記載の介護用ベッド装置。
【請求項9】
ベッド本体と、
前記ベッド本体の頭側及び足側の少なくとも一方に1枚ずつ取り付けられたベッドボードと、
を備え、
前記ベッドボードは、第1主面と、前記第1主面の反対側の第2主面と、上面と、下面と、第1側面と、前記第1側面の反対側の第2側面と、を有するボード本体部を有し
前記ボード本体部の前記上面の一方の端部には、把手部分が形成されており、
前記上面の他方の端部には把手部分は形成されておらず、
前記ベッドボードの前記第1主面は前記ベッド本体側を向いている介護用ベッド装置。
【請求項10】
前記ベッドボードは、前記ベッド本体の頭側及び足側の双方にそれぞれ1枚ずつ取り付けられており、
前記ベッド本体の頭側に取り付けられた前記ベッドボードの形状は、前記ベッド本体の足側に取り付けられた前記ベッドボードの形状に対して鏡像である請求項9に記載の介護用ベッド装置。
【請求項11】
前記把持部分は、ループ状である請求項9または10に記載の介護用ベッド装置
【請求項12】
前記把手部分の前記第1主面側への張出量は、前記把手部分の前記第2主面側への張出量よりも大きい請求項9~11のいずれか1つに記載の介護用ベッド装置
【請求項13】
前記ボード本体部は、
前記上面上に配置された第1把持部と、
前記第1側面上に配置された第2把持部と、
前記第1把持部と接した第3把持部と、
前記第2把持部と接した第4把持部と、
を有し、
前記第1主面側から見て、前記第3把持部は前記第1把持部の延長線上にあり、前記第4把持部は前記第2把持部の延長線上にあり、前記把手部分は前記第3把持部及び前記第4把持部により形成されている請求項9~12のいずれか1つに記載の介護用ベッド装置
【請求項14】
前記ボード本体部は樹脂により一体的に形成されている請求項9~13のいずれか1つに記載の介護用ベッド装置
【請求項15】
前記ボード本体部は、
木材からなる板部材と、
樹脂からなるグリップ部材と、
を有し、
前記把手部分は、グリップ部分に形成されている請求項9~13のいずれか1つに記載の介護用ベッド装置
【請求項16】
前記ボード本体部の前記第1主面に取り付けられた取付金具をさらに備えた請求項9~15のいずれか1つに記載の介護用ベッド装置
【請求項17】
前記ベッドボードは、前記ベッド本体の頭側及び足側にそれぞれ取り付けられており、
前記ベッド本体の頭側に取り付けられた前記ベッドボードと、前記ベッド本体の足側に取り付けられた前記ベッドボードとは、交換可能である請求項9~16のいずれか1つに記載の介護用ベッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ベッドボード及び介護用ベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
介護用ベッド装置においては、ベッド本体の頭側と足側にベッドボードが取り付けられることがある。ベッドボードには、寝具等の位置ずれを抑止すると共に、使用者に安心感を与える機能がある。また、使用者が立ち上がるとき等に、ベッドボードを掴むことも多い。このため、ベッドボードは把持性が高いことが望まれる。一方で、介護用ベッド装置は一般家庭に設置されることが多く、省スペース化が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-167009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の目的は、把持性が高く、介護用ベッド装置の省スペース化が可能なベッドボード及び介護用ベッド装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態に係るベッドボードは、板部材と、グリップ部材と、を備える。前記板部材は、第1主面と、前記第1主面の反対側の第2主面と、上面と、下面と、第1側面と、前記第1側面の反対側の第2側面と、を有する。前記グリップ部材は、前記板部材の前記上面上に設けられ、前記板部材に対する前記第1主面側への張出量が前記第2主面側への張出量よりも大きい。
【0006】
本発明の実施形態に係る介護用ベッド装置は、ベッド本体と、前記ベッド本体の頭側及び足側の少なくとも一方に取り付けられた前記ベッドボードと、を備える。前記ベッドボードの前記第1主面は前記ベッド本体側を向いている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、把持性が高く、介護用ベッド装置の省スペース化が可能なベッドボード及び介護用ベッド装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係るベッド装置を示す斜め上方から見た斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るベッド装置を示す斜め下方から見た斜視図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るベッドボードを示す斜視図である。
図4図4は、第1の実施形態に係るベッドボードを示す内側から見た正面図である。
図5図5は、第1の実施形態に係るベッドボードを示す上面図である。
図6図6は、第1の実施形態に係るベッドボードを示す側面図である。
図7図7は、第1の実施形態に係るベッドボードの各部の寸法を示す端面図である。
図8図8は、第1の実施形態に係るベッド装置の外寸と内寸の関係を示す端面図である。
図9図9(a)及び(b)は、使用者がベッドボードのグリップ部材を掴む様子を示す模式的端面図であり、(a)は第1の実施形態を示し、(b)は参考例を示す。
図10図10(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る介護用ベッド装置におけるベッドボードの取付方法を示す斜視図である。
図11図11(a)は足側のベッドボードを示す模式的正面図であり、(b)は頭側のベッドボードを示す模式的正面図であり、(c)は足側のベッドボードと頭側のベッドボードを重ねた状態を示す模式的正面図であり、(d)はその模式的側面図である。
図12図12は、第2の実施形態に係るベッド装置を示す斜め上方から見た斜視図である。
図13図13は、第2の実施形態に係るベッドボードを示す斜視図である。
図14図14は、第3の実施形態に係るベッドボードを示す斜視図である。
図15図15は、第3の実施形態の変形例に係るベッドボードを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
本明細書においては、ベッド装置に使用者が仰臥位で寝たときに、胴体から見て頭がある方向を「頭側」といい、足がある方向を「足側」といい、右手がある方向を「右側」といい、左手がある方向を「左側」といい、部屋の床面がある方向を「下側」といい、天井がある方向を「上側」という。頭側と足側を総称して「長さ方向L」ともいい、右側と左側を総称して「幅方向W」ともいい、上側と下側を総称して「上下方向V」ともいう。長さ方向Lのうち、ベッド装置の中央から頭側又は足側に向かう方向を「外方Lout」ともいい、頭側又は足側からベッド装置の中央に向かう方向を「内方Lin」ともいう。
【0010】
<第1の実施形態>
本実施形態に係る介護用ベッド装置について説明する。
図1は、本実施形態に係るベッド装置を示す斜め上方から見た斜視図である。
図2は、本実施形態に係るベッド装置を示す斜め下方から見た斜視図である。
【0011】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る介護用ベッド装置(以下、単に「ベッド装置1」という)においては、下フレーム11が設けられている。下フレーム11はベッド装置1全体を支える支持体となるものであり、例えば、金属製の筒状部材を組み合わせて矩形状に形成されている。下フレーム11の4つの角部には、足部材12が設けられている。足部材12は下フレーム11から下方に延びている。足部材12の下端は部屋の床面に接する。なお、下フレーム11の角部には、足部材12の替わりにキャスター(図示せず)を取り付けてもよい。
【0012】
下フレーム11には、駆動手段が取り付けられている。駆動手段は複数のアクチュエータ13を含んでいる。下フレーム11上には、上フレーム15が設けられている。上フレーム15も例えば金属製の筒状部材を組み合わせて形成されている。上フレーム15は、アクチュエータ13を含む駆動手段により、上下方向Vに沿って変位可能とされている。
【0013】
上フレーム15上には、ボトム16が設けられている。ボトム16には、頭側から足側に向かって、背ボトム16a、腰ボトム16b、膝ボトム16c、及び、足ボトム16dがこの順に設けられている。腰ボトム16bは上フレーム15に固定されている。背ボトム16a、膝ボトム16c、及び、足ボトム16dは、アクチュエータ13を含む駆動手段により、傾斜可能である。
【0014】
上フレーム15の頭側及び足側には、それぞれ、ベッドボード17が取り付けられている。ベッドボード17は略矩形の板状の部材であり、上フレーム15に対して着脱可能である。ベッドボード17が上フレーム15に装着された状態において、ベッドボード17は上フレーム15から主として上側に延びている。
【0015】
以下、下フレーム11、足部材12、アクチュエータ13を含む駆動手段、上フレーム15、ボトム16を総称して「ベッド本体10」という。また、ベッドボード17から見て、ベッド本体10側を「内側」といい、その反対側を「外側」という。
【0016】
上フレーム15の右側及び左側には、それぞれ2つのオプション受け部材18が取り付けられている。上フレーム15の右側及び左側のそれぞれにおいて、オプション受け部材18は頭側と足側に配置されている。すなわち、ベッド装置1にはオプション受け部材18が全部で4つ設けられている。オプション受け部材18は、例えば、サイドレール等のオプションが取り付けられる部材である。
【0017】
次に、ベッドボードの構成について、詳細に説明する。
図3は、本実施形態に係るベッドボードを示す斜視図である。
図4は、本実施形態に係るベッドボードを示す内側から見た正面図である。
図5は、本実施形態に係るベッドボードを示す上面図である。
図6は、本実施形態に係るベッドボードを示す側面図である。
図7は、本実施形態に係るベッドボードの各部の寸法を示す端面図である。
図8は、本実施形態に係るベッド装置の外寸と内寸の関係を示す端面図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、ベッド装置1に設けられた2枚のベッドボード17の形状は、互いに鏡像である。図3図6に示すように、各ベッドボード17においては、板部材20と、グリップ部材30と、一対の取付金具40が設けられている。板部材20及びグリップ部材30を総称して「ボード本体部」ともいう。板部材20はグリップ部材30よりも硬質な材料からなる。板部材20は例えば木材からなり、例えば、MDF(Medium-Density Fiberboard:中密度繊維板)である。グリップ部材30は例えば樹脂からなる。取付金具40は例えば金属材料、例えば、鋼材からなる。
【0019】
板部材20は板状の部材であり、その形状は、長方形において対角にある2つの角部が切り落とされた六角形である。すなわち、板部材20は、主面として第1主面21及び第2主面22を有する。ベッドボード17がベッド本体10に取り付けられているときは、第1主面21は内側、すなわち、ベッド本体10側を向いており、第2主面22は外側を向いている。
【0020】
また、板部材20は、端面として、上面23、下面24、第1側面25、第2側面26、第1斜面27及び第2斜面28を有する。ベッドボード17がベッド本体10に取り付けられているときは、上面23は上側に向いており、下面24は下側に向いており、第1側面25は幅方向Wの一方側に向いており、第2側面26は幅方向Wの他方側に向いている。第1斜面27は上面23と第1側面25との間に位置する。第2斜面28は下面24と第2側面26との間に位置する。例えば、上面23と下面24は相互に平行であり、第1側面25と第2側面26は相互に平行であり、第1斜面27と第2斜面28は相互に平行である。
【0021】
グリップ部材30は、板部材20の上面23上、第1斜面27上及び第1側面25上に設けられている。一方、グリップ部材30は、板部材20の下面24上、第2側面26上及び第2斜面28上には設けられていない。したがって、グリップ部材30の形状は、概ね、L字形である。本実施形態においては、板部材20の下面24、第2側面26及び第2斜面28は、グリップ部材30によって覆われておらず、露出している。
【0022】
換言すれば、グリップ部材30は、上面23上に配置された第1把持部31と、第1側面25上に配置された第2把持部32と、第1斜面27上に配置され第1斜面27から離隔した第3把持部33及び第4把持部34と、第1斜面27上に配置され第1斜面27に接した被覆部35を有する。第3把持部33及び第4把持部34により、把手部分38が構成されている。把手部分38は第1斜面27から離隔し、第1斜面27と把手部分38との間には隙間39が形成されている。
【0023】
第1主面21側から見て、第3把持部33は第1把持部31の延長線上にある。第4把持部34は第2把持部32の延長線上にある。第3把持部33は第1把持部31及び第4把持部34と接しており、連結されている。第4把持部34は第2把持部32及び第3把持部33と接しており、連結されている。このように、第1把持部31、第3把持部33、第4把持部34及び第2把持部32は、連続して設けられている。
【0024】
また、被覆部35も第1把持部31及び第2把持部32と連続している。これにより、被覆部35と第3把持部33と第4把持部34は、隙間39を囲んでいる。第1主面21側から見て、第3把持部33と第4把持部34とはカーブを描いて直交しており、隙間39の形状は略直角三角形である。
【0025】
図7に示すように、グリップ部材30の厚さAは、板部材20の厚さBよりも大きい。ここで、「厚さ」とは、第1主面21から第2主面22に向かう方向における長さをいい、ベッドボード17がベッド装置1に装着された場合は、長さ方向Lの長さをいう。板部材20は、軽量化及び低コスト化の観点からは薄い方が好ましいが、強度の観点からは厚い方が好ましい。また、図8に示すように、ベッド装置1を設置した際、長さ方向Lにおけるベッド装置1の外寸Fは、省スペース化のためにできるだけ短い方が望ましいが、居住空間である内寸Gは、居住性を向上させるためにできるだけ長い方が望ましい。これらの要求を両立させるためには、外寸と内寸との差(F-G)ができるだけ小さい方が好ましく、したがって板部材20は薄い方が好ましい。例えば特許文献1に開示された従来の介護用ベッドのベッドボードは薄箱状に形成されているため、ベッドボード全体が厚く、外寸と内寸との差(F-G)が大きくなる。これに対して、本実施形態のベッド装置1においては、外寸と内寸との差(F-G)は板部材20の厚さBによって決まる。板部材20は木材からなり、例えば、MDF(Medium-Density Fiberboard:中密度繊維板)からなるため、板部材20の強度を担保しつつ、できるだけ薄くすることができる。一例では、板部材20の厚さBは20mmである。
【0026】
グリップ部材30は、使用者が把持する部分であるため、握りやすさの観点からは、ある程度の厚い方が好ましい。また、意匠性の観点からも、ある程度厚い方が好ましい。そこで、厚さAは厚さBよりも大きくする。一例では、グリップ部材30の厚さAは30mmである。このため、グリップ部材30は板部材20に対して、第1主面21側及び第2主面22側に張り出している。
【0027】
但し、本実施形態に係るベッドボード17においては、板部材20に対するグリップ部材30の第1主面21側への張出量Cは、第2主面22側への張出量Dよりも大きい。一例では、第2主面22側への張出量Dは、グリップ部材30の強度を維持するための最小値とし、第1主面21側への張出量Cは、C=A-B-Dとする。
【0028】
そして、把手部分38(第3把持部33及び第4把持部34)は、第1把持部31及び第2把持部32に対して、第1主面21側に傾斜している。把手部分38のうち、第1主面21から最も離隔している部分は、例えば、第3把持部33と第4把持部34との境界部分である。把手部分38のうち、第1主面21から最も離隔している部分と第1主面21との距離E(図5参照)は、板部材20の厚さB以下である。
【0029】
図3及び図4に示すように、一対の取付金具40は、板部材20の第1主面21の下部に取り付けられている。一対の取付金具40は、第1側面25から第2側面26に向かう方向において、相互に離隔している。取付金具40は、ベッドボード17をベッド本体10の上フレーム15に取り付けるためのものである。
【0030】
図1に示すように、本実施形態に係るベッド装置1においては、ベッド本体10の頭側及び足側にそれぞれベッドボード17が取り付けられている。ベッドボード17が設けられていることにより、寝具等の位置ずれを抑止すると共に、使用者に安心感を与えることができる。また、使用者がベッド装置1の周囲を歩くとき、及び、使用者がベッド装置1から立ち上がるとき等に、ベッドボード17のグリップ部材30を掴むことにより、身体を支えることができる。
【0031】
例えば、使用者がベッド装置1の周囲を歩くときは、使用者はグリップ部材30の第1把持部31、第2把持部32、又は、把手部分38を上から掴み、身体のバランスを保つ。また、使用者がベッド装置1から立ち上がるときは、ベッド装置1の内側から把手部分38を掴む。そして、把手部分38に下方に向かう力を加える。このとき、手首を下方から隙間39内に通すこともあり、通さないこともある。これにより、使用者は脚力と共に腕力も用いて起き上がることができる。
【0032】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
図9(a)及び(b)は、使用者がベッドボードのグリップ部材を掴む様子を示す模式的端面図であり、(a)は本実施形態を示し、(b)は参考例を示す。
図10(a)及び(b)は、本実施形態に係る介護用ベッド装置におけるベッドボードの取付方法を示す斜視図である。
図11(a)は足側のベッドボードを示す模式的正面図であり、(b)は頭側のベッドボードを示す模式的正面図であり、(c)は足側のベッドボードと頭側のベッドボードを重ねた状態を示す模式的正面図であり、(d)はその模式的側面図である。
【0033】
図7に示すように、本実施形態に係るベッドボード17においては、板部材20に対するグリップ部材30の第1主面21側への張出量Cが、第2主面22側への張出量Dよりも大きい。このため、グリップ部材30の厚さAを十分に厚くしつつ、グリップ部材30がベッド装置1の外方Loutに突出し、ベッド装置1の全長が長くなることを抑制できる。グリップ部材30の厚さAが十分に大きいため、使用者はグリップ部材30を掴みやすく、また、ベッド装置1は意匠性が高い。一方、第2主面22側への張出量Dを小さく抑えていることにより、グリップ部材30に起因してベッド装置1の全長が長くなることを抑制でき、ベッド装置1の省スペース化を図ることができる。ベッド装置1が一般住宅に設置される場合は、省スペース化のメリットが特に大きい。
【0034】
また、ベッドボード17の板部材20の材料として木材を用いることにより、樹脂を用いる場合と比較して、一定の強度を実現しつつ、板部材20の厚さBを小さくすることができる。これにより、ベッド装置1の小型化、軽量化及び低コスト化を図ることができる。また、板部材20の材料として金属を用いる場合と比較して、軽量化を図ることができる。また、木材を用いることにより、ベッド装置1を一般住宅に設置した場合に、部屋のインテリアを損なわない。一方、グリップ部材30の材料として樹脂を用いることにより、グリップ部材30の形状の自由度が向上すると共に、グリップ部材30の軽量化を図ることができる。
【0035】
本実施形態に係るベッドボード17においては、図3図6に示すように、グリップ部材30の把手部分38が第1主面21側に傾斜している。これにより、ベッドボード17をベッド装置1に装着したときに、把手部分38はベッド装置1の内側に傾斜する。
【0036】
この結果、図9(a)に示すように、使用者Pがベッド装置1から立ち上がるために、隙間39に下方から手首を挿入して把手部分38(第3把持部33及び第4把持部34)を掴む場合でも、手首を大きく曲げる必要がなく、下方に向けて力を入れやすい。このように、本実施形態によれば、使用者の立ち上がりを効果的に支援できる。
【0037】
これに対して、図9(b)に示すように、仮に、第3把持部33及び第4把持部34がベッド装置の内側に傾斜していないと、使用者Pが隙間39に手首を挿入して把手部分38を掴むためには、手首を大きく曲げなければならず、力を入れにくい。
【0038】
また、本実施形態に係るベッド装置1においては、頭側に配置されたベッドボード17の形状と、足側に配置されたベッドボード17の形状が、相互に鏡像となっている。このため、図10(a)及び(b)に示すように、頭側のベッドボード17と足側のベッドボード17を入れ替えることにより、グリップ部材30の位置をベッド装置1の右側と左側で切り替えることができる。すなわち、グリップ部材30の位置をベッド装置1の右側と左側で切り替える際、別のベッドボードを用意する必要がない。
【0039】
すなわち、図10(a)に示す状態では、頭側のベッドボード17においても足側のベッドボード17においても、グリップ部材30はベッド装置1の右側に配置されている。この状態から、頭側のベッドボード17と足側のベッドボード17を入れ替えることにより、図10(b)に示すように、頭側のベッドボード17においても足側のベッドボード17においても、グリップ部材30がベッド装置1の左側に配置される。
【0040】
ベッド装置1を一般住宅に設置する場合は、ベッド装置1は部屋の壁際に設置されることが多い。この場合、使用者はベッド装置1に壁の反対側からのみアクセスするため、グリップ部材30は壁の反対側にのみ設けられていればよい。また、ベッド装置1の設置場所を変更する際には、ベッド装置1から見て壁の位置が変わることがある。この場合も、本実施形態に係るベッド装置1は、ベッド装置1の設置場所に応じてグリップ部材30の位置を変更することができる。このとき、別のベッドボードを用意する必要がないため、ベッド装置1の移設作業を現場で完結させることができる。
【0041】
上述の如く、本実施形態においては、頭側に配置されるベッドボード17の形状と、足側に配置されるベッドボード17の形状が、相互に鏡像である。また、各ベッドボード17においては、第1斜面27の対角に第2斜面28が設けられている。そして、第1斜面27上には把手部分38が設けられているのに対して、第2斜面28上には何も設けられておらず、切欠となっている。
【0042】
このため、図11(a)に示す足側のベッドボード17に、図11(b)に示す頭側のベッドボード17を半回転させたものを重ねると、図11(c)及び(d)に示すように、一方のベッドボード17の把手部分38を他方のベッドボード17の第2斜面28上の切欠部分に位置させることができ、一方のベッドボード17の把手部分38が他方のベッドボード17と干渉しない。これにより、2枚のベッドボード17をコンパクトに重ねることができる。この結果、2枚のベッドボード17の運搬が容易になると共に、収納の省スペース化を図ることができる。
【0043】
<第2の実施形態>
図12は、本実施形態に係るベッド装置を示す斜め上方から見た斜視図である。
図13は、本実施形態に係るベッドボードを示す斜視図である。
【0044】
図12及び図13に示すように、本実施形態に係る介護用のベッド装置2においては、ベッド本体10に、2枚のベッドボード19が設けられている。ベッド本体10の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0045】
以下、本実施形態に係るベッドボード19について詳細に説明する。
ベッド装置2に設けられた2枚のベッドボード19の形状は、互いに鏡像である。各ベッドボード19においては、板部材20aと、グリップ部材30aと、一対の取付金具40が設けられている。各ベッドボード19の形状は、左右対称である。
【0046】
板部材20aは板状の部材であり、その形状は、長方形である。すなわち、板部材20aは、第1の実施形態における板部材20と同様に、主面として第1主面21及び第2主面22を有し、端面として上面23、下面24、第1側面25及び第2側面26を有するが、第1斜面27及び第2斜面28(図3図6参照)は有さない。
【0047】
また、グリップ部材30aは、第1の実施形態におけるグリップ部材30と同様に、上面23上に配置された第1把持部31と、第1側面25上に配置された第2把持部32と、を有する。また、グリップ部材30aは、第2側面26上に配置された対向把持部37を有する。一方、グリップ部材30aは、第3把持部33、第4把持部34及び被覆部35(図3図6参照)は有さない。第2把持部32の一端は第1把持部31と連続しており、第2把持部32の他端は対向把持部37と連続している。したがって、グリップ部材30aの概略的な形状は、コ字状である。
【0048】
取付金具40の構成は、第1の実施形態と同様である。したがって、本実施形態に係るベッドボード19は、第1の実施形態に係るベッドボード17と互換性を有する。すなわち、あるベッド本体10に対して、ベッドボード17を取り付けることもでき、ベッドボード19を取り付けることもできる。また、1つのベッド本体10の頭側及び足側の一方にベッドボード17を取り付け、他方にベッドボード19を取り付けることもできる。
【0049】
本実施形態においても、図7に示すように、グリップ部材の厚さAは、板部材の厚さBよりも大きい。また、板部材に対するグリップ部材の第1主面21側への張出量Cは、第2主面22側への張出量Dよりも大きい。これにより、グリップ部材30aを十分に厚くしつつ、ベッド装置2の全長が長くなることを抑制できる。本実施形態における上記以外の構成及び作用効果は、第1の実施形態と同様である。
【0050】
<第3の実施形態>
図14は、本実施形態に係るベッドボードを示す斜視図である。
図14に示すように、ベッドボード50においては、ボード本体部60と、一対の取付金具40が設けられている。ボード本体部60は、第1の実施形態における板部材20及びグリップ部材30に相当する部分である。但し、第1の実施形態とは異なり、ボード本体部60は樹脂により一体的に形成されている。ボード本体部60の外形は、例えば、第1の実施形態における板部材20及びグリップ部材30を結合したものの外形と略同じである。
【0051】
すなわち、ボード本体部60の形状は略板状であり、長方形において対角にある2つの角部が切り落とされた六角形である。ボード本体部60は、主面として第1主面61及び第2主面62を有する。ベッドボード50がベッド本体10に取り付けられているときは、第1主面61は内側を向いており、第2主面62は外側を向いている。
【0052】
また、ボード本体部60は、端面として、上面63、下面64、第1側面65、第2側面66、第1斜面67及び第2斜面68を有する。第1斜面67は上面63と第1側面65との間に位置する。第2斜面68は下面64と第2側面66との間に位置する。
【0053】
そして、ボード本体部60の上面63と第1側面65との間には、ループ状の把手部分70が形成されている。ボード本体部60に形成された把手部分は、1つの把手部分70のみである。把手部分70は、ボード本体部60の上面63の一方の端部にのみ設けられており、他方の端部には設けられていない。すなわち、ボード本体部60の上面63と第2側面66との間、下面64と第1側面65との間、下面64と第2側面66との間には、ループ状の把手部分は形成されていない。把手部分70の第1主面61側への張出量は、把手部分70の第2主面62側への張出量よりも大きい。
【0054】
ボード本体部60には、上面63上に配置された第1把持部81と、第1側面66上に配置された第2把持部82と、第1把持部81と接した第3把持部83と、第2把持部82と接した第4把持部84と、が形成されている。第1主面61側から見て、第3把持部83は第1把持部81の延長線上にあり、第4把持部84は第2把持部82の延長線上にある。そして、把手部分70は、第3把持部83及び第4把持部84により形成されている。ループ状の把手部分70の隙間79は、第1斜面67、第3把持部83及び第4把持部84により囲まれている。
【0055】
一対の取付金具40は、ボード本体部60の第1主面61に取り付けられている。取付金具40の構成は、第1の実施形態において説明したとおりである。
【0056】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、頭側に配置されたベッドボード50の形状と、足側に配置されたベッドボード50の形状を、相互に鏡像とすることができる。これにより、頭側のベッドボード50と足側のベッドボード50を入れ替えることにより、把手部分70の位置をベッド装置の右側と左側で切り替えることができる。本実施形態における上記以外の構成及び作用効果は、第1の実施形態と同様である。
【0057】
<第3の実施形態の変形例>
図15は、本実施形態の変形例に係るベッドボードを示す斜視図である。
図15に示すように、本変形例に係るベッドボード51においては、ボード本体部60に1つの把手部分70のみが設けられている。ボード本体部60には、上面63上に配置された第1把持部81と、第1把持部81と接した第3把持部83と、が形成されている。第1主面61側から見て、第3把持部83は第1把持部81の延長線上にある。そして、把手部分70は、第3把持部83により形成されている。このため、把手部分70の形状は、幅方向Wに延びた片持ち梁状である。
【0058】
本変形例における上記以外の構成及び作用効果は、第3の実施形態と同様である。なお、第3の実施形態及びその変形例においては、ボード本体部60が樹脂により一体的に形成されている例を説明したが、ボード本体部60の材質は特に限定されず、例えば、木材により一体的に形成されていてもよい。
【0059】
前述の各実施形態及びその変形例は、本発明を具現化した例であり、本発明はこれらの実施形態及び変形例には限定されない。例えば、前述の各実施形態及び変形例において、いくつかの構成要素を追加、削除又は変更したものも本発明に含まれる。例えば、ベッド装置において、頭側又は足側の一方のみに、ベッドボード17、19、50又は51を取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1、2:ベッド装置
10:ベッド本体
11:下フレーム
12:足部材
13:アクチュエータ
15:上フレーム
16:ボトム
16a:背ボトム
16b:腰ボトム
16c:膝ボトム
16d:足ボトム
17:ベッドボード
18:オプション受け部材
19:ベッドボード
20、20a:板部材
21:第1主面
22:第2主面
23:上面
24:下面
25:第1側面
26:第2側面
27:第1斜面
28:第2斜面
30、30a:グリップ部材
31:第1把持部
32:第2把持部
33:第3把持部
34:第4把持部
35:被覆部
37:対向把持部
38:把手部分
39:隙間
40:取付金具
50、51:ベッドボード
60:ベッドボード本体
61:第1主面
62:第2主面
63:上面
64:下面
65:第1側面
66:第2側面
67:第1斜面
68:第2斜面
70:把手部分
79:隙間
81:第1把持部
82:第2把持部
83:第3把持部
84:第4把持部
A:グリップ部材の厚さ
B:板部材の厚さ
C:第1主面側への張出量
D:第2主面側への張出量
E:距離
F:外寸
G:内寸
L:長さ方向
in:内方
out:外方
P:使用者
V:上下方向
W:幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15