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  • 特許-アプリコットジャム入りヨーグルト 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】アプリコットジャム入りヨーグルト
(51)【国際特許分類】
   A23C 9/133 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A23C9/133
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021040291
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139767
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】香山 佳代子
(72)【発明者】
【氏名】福田 大
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-016317(JP,A)
【文献】国際公開第2012/067081(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C、A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリコットジャム入りヨーグルト全体中、アプリコットジャム10~25重量%とプレーンヨーグルト90~75重量%を含むアプリコットジャム入りヨーグルトであって、
前記アプリコットジャムは、Brixが40~50%、且つ25℃での硬度(圧縮時最大荷重)が0.6~1.6Nであり、アプリコットジャム全体中、シロップ漬けアプリコット18~28重量%と、乾燥アプリコット1~5重量%を含有し、前記乾燥アプリコット/前記シロップ漬けアプリコット(乾燥重量比)が0.3~0.55であり、目開き12mmの篩を通過し目開き3mmの篩を通過しないシロップ漬けアプリコットの含有量が8~20重量%であり、
前記プレーンヨーグルトは、タンパク還元価が2~9の原料乳と、ホエータンパク質を含有する原料ミックスの発酵物であって、前記原料ミックス全体中、乳脂肪3.4~4.5重量%と、乳タンパク質4.3~7重量%を含有し、前記乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比が23/77~30/70(重量比)であり、前記プレーンヨーグルトのカードのメジアン径が25~60μmであり、前記プレーンヨーグルトの10℃での粘度が20~55Pa・sである、
アプリコットジャム入りヨーグルト。
【請求項2】
前記シロップ漬けアプリコットは、カルシウム塩を、前記シロップ漬けアプリコット全体中0.1~0.5重量%含む、請求項1に記載のアプリコットジャム入りヨーグルト。
【請求項3】
前記アプリコットジャムは、前記アプリコットジャム全体中、ペクチンを0.6~1重量%、ローカストビーンガムを0.05~0.2重量%含有する、請求項1又は2に記載のアプリコットジャム入りヨーグルト。
【請求項4】
アプリコットジャムとプレーンヨーグルトを含むアプリコットジャム入りヨーグルトの製造方法であって、
4~14mmのサイズにカットされたシロップ漬けアプリコットと、ペースト状の乾燥アプリコットを含有するジャム原料混合物を、減圧条件下で、65~85℃で保持して濃縮する工程と、
濃縮後の前記ジャム原料混合物のpHを3.4~3.8に調整する工程と、
pH調整後のジャム原料混合物を70~95℃に加熱する工程と、
加熱後のジャム原料混合物を0~50℃に冷却することで、Brixが40~50%、且つ25℃での硬度(圧縮時最大荷重)が0.6~1.6Nであり、アプリコットジャム全体中、シロップ漬けアプリコット18~28重量%と、乾燥アプリコット1~5重量%を含有し、前記乾燥アプリコット/前記シロップ漬けアプリコット(乾燥重量比)が0.3~0.55であり、目開き12mmの篩を通過し目開き3mmの篩を通過しないシロップ漬けアプリコットの含有量が8~20重量%であるアプリコットジャムを得る工程と、
タンパク還元価が2~9の原料乳と、ホエータンパク質とを含有する原料ミックスであって、前記原料ミックス全体中、乳脂肪3.4~4.5重量%と、乳タンパク質4.3~7重量%を含有し、前記乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比が23/77~30/70(重量比)である原料ミックスを、39~41℃の温度条件下で、pHが4.5~4.7となるまで発酵する工程と、
前記発酵後の原料ミックスのカードを、メジアン径が25~60μmとなるように粉砕して、10℃での粘度が20~55Pa・sであるプレーンヨーグルトを得る工程と、
前記アプリコットジャム10~25重量部と前記プレーンヨーグルト90~75重量部を容器に充填する工程を含む、
アプリコットジャム入りヨーグルトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリコットジャムを含有するヨーグルト及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の食の多様化に伴い、ヨーグルトはその健康効果に注目されていたが、ここ最近はヨーグルトそのものの味や食感自体を楽しむ「嗜好性」重視の傾向が強まってきている。
前記のような状況の中、様々な果実が入ったヨーグルトや、フルーツソースまたはフルーツジャムが入ったヨーグルトが上市されている。
【0003】
たとえば特許文献1には、ヨーグルト本来の風味を提供しながら,フルーツソースの風味を引き立たせることができるフルーツヨーグルト用の発酵乳として、原料乳及び乳酸菌スターターを100重量%としたときに、乳酸より酸味度の低い酸成分を0.05重量%以上0.5重量%以下で前記原料乳に添加する工程を含む、発酵乳の製造方法が開示されている。
しかしながら、当該製造方法によって得られるヨーグルトは、フルーツソースの風味は感じられるものの、ヨーグルトの風味が弱く、乳の濃厚さは不足しており、お互いの特徴的な風味や食感が感じられるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第12/067081号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、プレーンヨーグルトには濃厚な風味と滑らかでとろみのある食感があり、且つ、アプリコットジャムにはアプリコットの濃厚な風味と果肉感が感じられ、これらを一緒に食することでお互いの風味や食感を高め合うアプリコットジャム入りヨーグルトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトを含むアプリコットジャム入りヨーグルトにおいて、アプリコットジャムは特定のBrixと特定の硬度で、シロップ漬けアプリコットと乾燥アプリコットをそれぞれ特定量で、且つ特定比で含有し、特定サイズのシロップ漬けアプリコットの含有量が特定範囲にあり、プレーンヨーグルトは、特定のタンパク還元価の原料乳とホエータンパク質を含有する原料ミックスの発酵物であって、乳脂肪と乳タンパク質をそれぞれ特定量含有し、ホエータンパク質/カゼインタンパク質比が特定範囲にあり、カードのメジアン径と粘度を特定範囲とし、前記アプリコットジャムと前記プレーンヨーグルトをそれぞれ特定量含有するアプリコットジャム入りヨーグルトにすることで、プレーンヨーグルトには濃厚な風味と滑らかでとろみのある食感があり、且つ、アプリコットジャムにはアプリコットの濃厚な風味と果肉感が感じられ、これらを一緒に食することでお互いの風味や食感を高め合うアプリコットジャム入りヨーグルトが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明の第一は、アプリコットジャム入りヨーグルト全体中、アプリコットジャム10~25重量%とプレーンヨーグルト90~75重量%を含むアプリコットジャム入りヨーグルトであって、前記アプリコットジャムは、Brixが40~50%、且つ25℃での硬度(圧縮時最大荷重)が0.6~1.6Nであり、アプリコットジャム全体中、シロップ漬けアプリコット18~28重量%と、乾燥アプリコット1~5重量%を含有し、前記乾燥アプリコット/前記シロップ漬けアプリコット(乾燥重量比)が0.3~0.55であり、目開き12mmの篩を通過し目開き3mmの篩を通過しないシロップ漬けアプリコットの含有量が8~20重量%であり、前記プレーンヨーグルトは、タンパク還元価が2~9の原料乳と、ホエータンパク質を含有する原料ミックスの発酵物であって、前記原料ミックス全体中、乳脂肪3.4~4.5重量%と、乳タンパク質4.3~7重量%を含有し、前記乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比が23/77~30/70(重量比)であり、前記プレーンヨーグルトのカードのメジアン径が25~60μmであり、前記プレーンヨーグルトの10℃での粘度が20~55Pa・sである、アプリコットジャム入りヨーグルトに関する。
好ましくは、前記シロップ漬けアプリコットは、カルシウム塩を、前記シロップ漬けアプリコット全体中0.1~0.5重量%含む。
好ましくは、前記アプリコットジャムは、前記アプリコットジャム全体中、ペクチンを0.6~1重量%、ローカストビーンガムを0.05~0.2重量%含有する。
また本発明は、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトを含むアプリコットジャム入りヨーグルトの製造方法であって、4~14mmのサイズにカットされたシロップ漬けアプリコットと、ペースト状の乾燥アプリコットを含有するジャム原料混合物を、減圧条件下で、65~85℃で保持して濃縮する工程と、濃縮後の前記ジャム原料混合物のpHを3.4~3.8に調整する工程と、pH調整後のジャム原料混合物を70~95℃に加熱する工程と、加熱後のジャム原料混合物を0~50℃に冷却することで、Brixが40~50%、且つ25℃での硬度(圧縮時最大荷重)が0.6~1.6Nであり、アプリコットジャム全体中、シロップ漬けアプリコット18~28重量%と、乾燥アプリコット1~5重量%を含有し、前記乾燥アプリコット/前記シロップ漬けアプリコット(乾燥重量比)が0.3~0.55であり、目開き12mmの篩を通過し目開き3mmの篩を通過しないシロップ漬けアプリコットの含有量が8~20重量%であるアプリコットジャムを得る工程と、タンパク還元価が2~9の原料乳と、ホエータンパク質とを含有する原料ミックスであって、前記原料ミックス全体中、乳脂肪3.4~4.5重量%と、乳タンパク質4.3~7重量%を含有し、前記乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比が23/77~30/70(重量比)である原料ミックスを、39~41℃の温度条件下で、pHが4.5~4.7となるまで発酵する工程と、前記発酵後の原料ミックスのカードを、メジアン径が25~60μmとなるように粉砕して、10℃での粘度が20~55Pa・sであるプレーンヨーグルトを得る工程と、前記アプリコットジャム10~25重量部と前記プレーンヨーグルト90~75重量部を容器に充填する工程を含む、アプリコットジャム入りヨーグルトの製造方法にも関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に従えば、プレーンヨーグルトには濃厚な風味と滑らかでとろみのある食感が有り、且つ、アプリコットジャムにはアプリコットの濃厚な風味と果肉感が感じられ、これらを一緒に食することでお互いの風味や食感を高め合うアプリコットジャム入りヨーグルトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るプレーンヨーグルトの製造方法における原料ミックスの好適な加熱処理条件を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
本実施形態に係るアプリコットジャム入りヨーグルトは、特定のアプリコットジャムと特定のプレーンヨーグルトをそれぞれ特定量含有する。
【0011】
[アプリコットジャム]
前記アプリコットジャムとは、アプリコットの果実を糖類とともにゼリー化するまで加熱し、必要に応じて、ゲル化剤、酸味料、保存料、香料、色素等を加えたものをいう。アプリコットは、アンズ(杏子、学名Prunus armeniaca)とも呼ばれ、バラ科サクラ属の落葉子高木である。
【0012】
前記アプリコットジャムは、Brixが40~50%であることが好ましい。Brixが前記範囲を外れると、アプリコットジャムをプレーンヨーグルトと一緒に食した際に風味や食感のバランスが悪くなる場合がある。前記Brixは、40~48%がより好ましく、42~48%が更に好ましい。
前記Brixは、アプリコットジャムを20℃に温調して、糖用屈折計示度(アタゴ株式会社「RX-5000」)で測定できる。
【0013】
前記アプリコットジャムは、25℃での硬度(圧縮時最大荷重)が0.6~1.6Nであることが好ましい。硬度が前記範囲を外れると、アプリコットの果肉感が感じられなかったり、アプリコットジャムをプレーンヨーグルトと一緒に食した際に風味や食感のバランスが悪くなる場合がある。前記硬度は、0.9~1.6Nがより好ましく、1~1.5Nが更に好ましい。
前記硬度(圧縮時最大荷重)は、アプリコットジャムを25℃に温調して、レオメーター(株式会社サン科学「CR-200D」、プランジャー:円盤状、直径40mm)を用いて測定できる。
【0014】
前記アプリコットジャムは、アプリコット成分として、シロップ漬けアプリコットと、乾燥アプリコットを含有することが好ましい。
【0015】
前記シロップ漬けアプリコットは、果皮を剥離し、必要に応じてカットされたアプリコットを、シロップに浸漬して得られるものである。より具体的には、前記アプリコットを、アプリコット全体が浸かる量のシロップと一緒に容器に充填して脱気した後、封をして加熱殺菌することで得ることができる。加熱殺菌時の温度及び時間としては特に限定されないが、例えば、約80~100℃で、約5~30分間を例示できる。前記シロップとしては、例えば、水100重量部に、砂糖20~40重量部とカルシウム塩0.3~0.6重量部を溶解したものを挙げることができる。
【0016】
前記シロップ漬けアプリコットとしては、ダイスカッターなどを用いて、所定のサイズにカットされたものを使用することが好ましい。カットする時の形状は特に限定されないが、立方体又は直方体が好ましく、立方体がより好ましい。カットする時のサイズ(即ち立方体又は直方体の一辺の長さ)は4~14mmが好ましく、4~12mmがより好ましく、5~10mmが更に好ましい。カットする時の形状が直方体である場合、その最長の辺は14mmを超えてもよく、例えば20mm以下であればよい。
【0017】
以上のようなサイズにカットされたシロップ漬けアプリコットを使用することによって、シロップ漬けアプリコットは、アプリコットジャム中で、後述するようなある程度の大きさを有することが可能となり、これによって、アプリコットジャムはアプリコットの果肉感が感じられるものとなる。
【0018】
前記シロップ漬けアプリコットはカルシウム塩を含有することが好ましく、カルシウム塩含量は、シロップ漬けアプリコット全体中、0.1~0.5重量%が好ましい。カルシウム塩含量が前記範囲内にあると、カルシウム塩による異味が感じられることなく、アプリコットの果肉感がより感じられやすい傾向がある。前記カルシウム塩含量は0.1~0.3重量%がより好ましい。
シロップ漬けアプリコット中のカルシウム塩含量は、公知の方法で測定すればよく、例えばICP発光分析法などにより測定することができる。
【0019】
前記シロップ漬けアプリコットの含有量は、アプリコットジャム全体中18~28重量%が好ましく、20~26重量%がより好ましい。シロップ漬けアプリコットの含有量が18重量%より少ないとアプリコットの果肉感が感じられない場合がある。また28重量%を超えると、アプリコットジャムをプレーンヨーグルトと一緒に食した際に風味や食感のバランスが悪くなる場合がある。なお、この段落で説明しているシロップ漬けアプリコットの含有量は、アプリコットジャムに含まれるシロップ漬けアプリコット全体の量である。
【0020】
前記シロップ漬けアプリコットは、上述のように所定のサイズにカットされたものを使用できるが、アプリコットジャムを製造する過程でその形状が崩れて、サイズが小さくなる。しかし、前記シロップ漬けアプリコットは、アプリコットジャム中で、果肉感が感じられるようなある程度の大きさを有することが好ましい。これによって、アプリコットジャムはアプリコットの果肉感が感じられるものとなる。
【0021】
前記アプリコットジャム中における前記シロップ漬けアプリコットの大きさに関して具体的に述べると、アプリコットジャムは、目開き12mmの篩を通過し目開き3mmの篩を通過しないシロップ漬けアプリコットを含有し、その含有量がアプリコットジャム全体中8~20重量%が好ましく、9~18重量%が好ましく、10~15重量%がさらに好ましい。前記サイズの要件を満足するシロップ漬けアプリコットの含有量が8重量%より少ないと、アプリコットの果肉感が感じられない場合がある。20重量%を超えると、アプリコットジャムをプレーンヨーグルトと一緒に食した際に風味や食感のバランスが悪くなる場合がある。なお、この段落で説明している特定サイズのシロップ漬けアプリコットの含有量は、アプリコットジャムを篩にかけて測定される値である。測定方法の詳細は実施例の項に記載する。前記篩としては、「JIS Z 8801-1:2019」に規定されている試験用篩を用いることができる。
【0022】
前記乾燥アプリコットとは、ハーフカットして、種を除いた生のアプリコットを乾燥して得られるもの、或いはそれに準ずるものをいう。乾燥アプリコットを用いることで、アプリコットジャムはアプリコットの濃厚な風味が感じられるものとなる。
【0023】
前記乾燥アプリコットは、乾燥アプリコット全体中の水分量を10~20重量%に調整したものが好ましい。乾燥アプリコットの水分量が前記範囲内にあると、アプリコットジャムの生産性が良好で、アプリコットの濃厚な風味が感じられやすい傾向がある。前記水分量は12~18重量%がより好ましい。
【0024】
前記乾燥アプリコットは、水に浸漬して柔らかくした後、網で裏ごししてペースト状にして用いることが好ましい。その際に使用する網の目開きサイズは0.5~2mmが好ましい。網の目開きサイズが前記範囲を外れると、アプリコットジャムをプレーンヨーグルトと一緒に食した際に風味や食感のバランスが悪くなる場合がある。前記網の目開きサイズは0.5~1.2mmがより好ましく、0.5~1.0mmが更に好ましく、0.7~1.0mmが特に好ましい。
【0025】
前記乾燥アプリコットの含有量は、アプリコットジャム全体中1~5重量%が好ましく、1~4重量%がより好ましく、1.5~3.5重量%が更に好ましい。乾燥アプリコットの含有量が1重量%より少ないと、アプリコットの濃厚な風味が感じられない場合がある。5重量%を超えると、アプリコットジャムをプレーンヨーグルトと一緒に食した際に風味や食感のバランスが悪くなる場合がある。
【0026】
前記乾燥アプリコット/前記シロップ漬けアプリコット(乾燥重量比)は、0.3~0.55が好ましく、0.35~0.55がより好ましく、0.45~0.48が更に好ましい。0.3よりも小さいと、アプリコットの濃厚な風味が感じられない場合がある。0.55より大きいと、アプリコットの果肉感が感じられない場合がある。なお、当該乾燥重量比を算出する時に使用するシロップ漬けアプリコットの含有量は、アプリコットジャムに含まれるシロップ漬けアプリコット全体の量である。
【0027】
前記アプリコットジャムは、前記シロップ漬けアプリコットと前記乾燥アプリコットが混ざり合っているものであっても良いし、混ざり合っていないものであっても良い。濃厚な風味と果肉感の観点から、混ざり合っているものが好ましい。
【0028】
前記アプリコットジャムは、濃厚な風味と生産性の観点から、pHが3.4~3.8が好ましく、3.5~3.7がより好ましい。pHが3.4より低いと、酸味が強くなったり、物性が硬くなるので食感はやや重たくなりフレーバーリリースが悪くなったり、プレーンヨーグルトと混ざりにくくなる場合がある。pHが3.8よりも高いと、酸味が弱くなったり、プレーンヨーグルトとの風味や食感のバランスが崩れたり、ジャムが柔らかくなりヨーグルト製造時の充填で液だれして生産性が劣る場合がある。
アプリコットジャムのpHは、ジャムをミキサーにかけて固形を粉砕し全体を均一にしてからpHメーターで測定すればよい。
【0029】
アプリコットジャムのpHを前記範囲内に調整するためには、酸味料を配合することが好ましい。前記酸味料としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、リン酸;これら酸の塩類(例えばナトリウム塩);レモン果汁などの柑橘類などの酸味成分の多い果汁類等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0030】
前記酸味料の配合量は、アプリコットジャム全体中、0.01~0.5重量%であることが好ましい。前記酸味料の配合量が前記範囲内にあると、pHを前記範囲内に調整しやすく、アプリコットジャムをプレーンヨーグルトと一緒に食した際にお互いの風味や食感を高め合うことができる。前記酸味料の配合量は、0.01~0.3重量%がより好ましく、0.01~0.1重量%が更に好ましい。
【0031】
アプリコットジャムの硬度を前記範囲内に調整するために、前記アプリコットジャムは、ゲル化剤であるペクチンとローカストビーンガムを含有することが好ましい。
【0032】
前記ペクチンとは、果物や野菜類等など多数の植物中に存在するもので、植物組織中の構成成分や中間層の成分であるガラクツロン酸がα-1,4結合したポリガラクツロン酸を主成分とした増粘多糖類をいう。ペクチンを構成するガラクツロン酸は部分的にメチルエステル化されており、エステル化度によってLM(低メトキシル)ペクチンとHM(高メトキシル)ペクチンに分けられる。HMペクチンは、一般的にエステル化度が50%以上であるものをいう。本実施形態で使用されるペクチンは、HMペクチン又はLMペクチンの何れか一方であってもよいし、これらの混合物であってもよい。
【0033】
前記ペクチンの含有量は、アプリコットジャム全体中、0.6~1重量%が好ましい。ペクチンの含有量が前記範囲内にあると、アプリコットジャムの硬度を前記範囲内に調整しやすく、アプリコットジャムをプレーンヨーグルトと一緒に食した際にお互いの風味や食感を高め合うことができる。前記ペクチンの含有量は0.7~1重量%がより好ましく、0.7~0.9重量%が更に好ましい。
【0034】
ペクチンとして前記LMペクチンを配合する場合、効率的にゲル化を促進するという観点から、カルシウムイオンやマグネシウムイオン等の2価のカチオンを併用することが好ましい。
前記カルシウムイオンとしては、例えば、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、醗酵L型乳酸カルシウム、合成乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、第一リン酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、クエン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、骨粉、炭酸カルシウム、貝殼粉、卵殻粉等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。特に、ゲル化の速度を容易に調整できる観点から、ゲル化の速度が比較的遅いクエン酸カルシウムや硫酸カルシウムが好ましい。
前記マグネシウムイオンとしては、燐酸マグネシウムアンモニウム、硫酸マグネシウムアンモニウム、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、リン酸二水素マグネシウム、ギ酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、o-リン酸水素マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸水酸化マグネシウム、乳酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、燐酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、ピロリン酸マグネシウム及び硫酸マグネシウム等のマグネシウム塩等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0035】
前記2価のカチオンの配合量は、アプリコットジャム全体中、0.001~0.5重量%が好ましい。2価のカチオンの配合量が前記範囲内にあると、該カチオンによる異味を感じることなく、効率的にゲル化を促進することができる。前記2価のカチオンの配合量は0.005~0.2重量%がより好ましい。
【0036】
前記ローカストビーンガムとは、マメ科の植物であるローカストビーンの胚乳に含まれ、ガラクトースとマンノースを主成分とする増粘多糖類をいう。
前記ローカストビーンガムの含有量は、アプリコットジャム全体中、0.05~0.2重量%であることが好ましい。ローカストビーンガムの含有量が前記範囲内であると、アプリコットジャムの硬度を前記範囲内に調整しやすく、アプリコットジャムをプレーンヨーグルトと一緒に食した際にお互いの風味や食感を高め合うことができる。前記ローカストビーンガムの含有量は0.05~0.15重量%がより好ましく、0.07~0.12重量%が更に好ましい。
【0037】
前記アプリコットジャムには、前記シロップ漬けアプリコット、前記乾燥アプリコット、前記酸味料、前記ペクチン、及び、前記ローカストビーンガム以外に、発明の効果を損なわない範囲で、糖類、前記ペクチン及びローカストビーンガム以外のゲル化剤、保存料、香料、色素等を適宜配合することができる。
【0038】
前記糖類としては、特に限定されず、上白糖、グラニュー糖、粉糖をはじめ、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、還元水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、還元糖、還元パラチノース、ソルビトール、乳糖、還元乳糖、L-アラビノース、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノース、パラチノースオリゴ糖等の糖類や糖アルコール、蜂蜜やカエデ糖などの天然の甘味料等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0039】
前記糖類の配合量は、アプリコットジャム全体中、30~45重量%が好ましい。糖類の配合量が前記範囲内にあると、アプリコットジャムをプレーンヨーグルトと一緒に食した際にお互いの風味や食感をより一層高め合うことができる。前記糖類の配合量は35~40重量%がより好ましい。
【0040】
前記ペクチン及びローカストビーンガム以外のゲル化剤としては、ジェランガム、キサンタンガム、カラギーナン、グアガム、タラガム、アルギン酸ナトリウム、寒天、ゼラチン、澱粉類、セルロース類等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
前記ペクチン及びローカストビーンガム以外のゲル化剤の配合量は、アプリコットジャム全体中、0.01~1.5重量%が好ましい。ペクチン及びローカストビーンガム以外のゲル化剤の配合量が前記範囲内にあると、アプリコットジャムをプレーンヨーグルトと一緒に食した際にお互いの風味や食感を高め合うことができると共に、当該ゲル化剤による所望の硬度調整の効果を得ることができる。
【0041】
前記保存料としては、ソルビン酸およびその塩、安息香酸およびその塩、亜硫酸および誘導体、ナタマイシン、ナイシン、プロピオン酸カルシウム等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
前記保存料の配合量は、アプリコットジャム全体中、0.005~0.1重量%が好ましい。保存料の配合量が前記範囲内にあると、ジャムに異味を感じることなく、所望の保存性向上の効果を得ることができる。前記保存料の配合量は0.01~0.1重量%がより好ましい。
【0042】
前記香料としては、天然または合成のアプリコットフレーバー等が挙げられる。
前記香料の配合量は、アプリコットジャム全体中、0.005~1重量%が好ましい。香料の配合量が前記範囲内にあると、アプリコットジャムをプレーンヨーグルトと一緒に食した際にお互いの風味や食感を高め合うことができると共に、所望の着香の効果を得ることができる。前記香料の配合量は0.01~0.5重量%がより好ましい。
【0043】
前記色素としては、コチニール色素、ラック色素などのキノン系色素、赤キャベツ色素、ベリー色素等のアントシアニン系色素、クチナシ赤色素、紅麹色素等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
前記色素の配合量は、アプリコットジャム全体中、0.005~0.3重量%が好ましい。色素の配合量が前記範囲内にあると、アプリコットジャムをプレーンヨーグルトと一緒に食した際にお互いの風味や食感を高め合うことができると共に、適度な着色の効果を得ることができる。前記色素の配合量は0.01~0.2重量%がより好ましく、0.05~0.15重量%が更に好ましい。
【0044】
[プレーンヨーグルト]
前記プレーンヨーグルトとは、本願において、乳等省令の発酵乳の内、乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌で発酵させて糊状にしたもの、及び、前記乳等に糖類を混ぜ合わせて乳酸菌で発酵させて糊状にしたものをいう。
【0045】
前記乳は、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳及び加工乳をいう。前記生乳は、搾取したままの牛の乳をいい、前記牛乳は、直接飲用に供する目的又はこれを原料とした食品の製造若しくは加工用に供する目的で販売する牛の乳をいう。
【0046】
本実施形態に係るプレーンヨーグルトは、特定のタンパク還元価の原料乳と、ホエータンパク質とを含有する原料ミックスの発酵物である。前記原料ミックスは、特定量の乳脂肪と乳タンパク質を含有する。
【0047】
前記原料乳は、特に限定されないが、生乳又は牛乳であることが好ましい。原料乳は、単一種類の乳であってもよいし、複数種類の乳の混合物であってもよい。例えば、タンパク還元価が異なる2種類の生乳の混合物であってもよいし、タンパク還元価が異なる2種類の牛乳の混合物であってもよい。また、生乳と牛乳との混合物であってもよい。原料乳として複数種類の乳の混合物を用いる場合、混合割合は特に限定されない。但し、未殺菌の生乳の割合を多くすると、加熱殺菌処理により乳タンパク質が変性して粘度が上昇するため、プレーンヨーグルトのとろみが向上しやすい利点がある。
【0048】
前記原料乳のタンパク還元価は2~9が好ましい。原料乳のタンパク還元価が前記範囲外であると、濃厚な風味と滑らかでとろみのある食感が不足する場合がある。前記原料乳のタンパク還元価は2~7がより好ましく、2~5が更に好ましい。なお、原料乳として複数種類の乳の混合物を用いる場合、当該混合物全体として示すタンパク還元価が前記範囲内にあればよく、混合物に含まれる個々の乳のタンパク還元価は前記範囲内になくてもよい。
前記タンパク還元価は、公知の方法で測定することができ、例えば「日本薬学会編 乳製品試験法・注解」(金原出版株式会社、p.131、昭和59年3月20日発行)に記載される方法等が挙げられる。
【0049】
前記ホエータンパク質は、ホエーに含まれる乳タンパク質の1種である。前記原料ミックス中のホエータンパク質は、原料乳とは別に配合されるホエータンパク質源に由来することが好ましい。
ホエータンパク質源は、ホエーパウダー、ホエータンパク質濃縮物(WPC)及びホエータンパク質分離物(WPI)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記ホエータンパク質源の含有量は、原料ミックス全体中、0.5~2重量%が好ましい。ホエータンパク質源の含有量が前記範囲内にあると、後述する乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比を調整することが容易となる。前記ホエータンパク質源の含有量は0.5~1.5重量%がより好ましく、0.7~1.2重量%が更に好ましい。
【0050】
前記ホエーパウダーは、例えば、生乳を凝固させてチーズを製造する際に副生する液体(チーズホエー)を噴霧乾燥したものをいう。ホエーパウダーの主成分は、ラクトースが60~80重量%、ホエータンパク質が7~30重量%、無機塩類が3~12重量%である。ホエーパウダーとして、脱塩ホエーパウダーを用いてもよい。
【0051】
前記ホエータンパク質濃縮物(WPC)は、チーズホエーから膜処理によってラクトースを除去し、タンパク質を30~95重量%にまで濃縮した粉末をいう。
【0052】
前記ホエータンパク質分離物(WPI)は、ホエータンパク質濃縮物よりもさらにホエータンパク質の含有量を高めたものをいう。
【0053】
前記乳脂肪は、乳由来の脂肪分である。前記原料ミックスが含有する乳脂肪は、原料乳、ホエータンパク質源、及び他の乳製品に由来することが好ましい。
前記他の乳製品としては、例えば、クリーム、発酵クリーム、バター、発酵バター、バターミルク、バターミルクパウダー、バターオイル、全脂粉乳、全脂濃縮乳等が挙げられる。その中でも、乳脂肪の含有量が多いため、クリーム、発酵クリーム、バター、発酵バター、バターオイルが好ましい。
【0054】
前記乳脂肪の含有量は、原料ミックス全体中、3.4~4.5重量%が好ましく、3.7~4.3重量%がより好ましい。乳脂肪の含有量が3.4重量%より少ないと、濃厚な風味が不足する場合があり、4.5重量%より多いと、とろみが不足する場合がある。
前記乳脂肪の含有量は、公知の方法で測定することができ、例えば、レーゼゴットリーブ法等が挙げられる。
【0055】
前記乳タンパク質は、乳由来のタンパク質であり、前記ホエータンパク質とカゼインタンパク質からなる。
前記乳タンパク質の含有量は、原料ミックス全体中、4.3~7重量%が好ましい。乳タンパク質の含有量が前記範囲を外れると、プレーンヨーグルトのとろみと濃厚な風味が不足する場合がある。前記乳タンパク質の含有量は4.3~5.8重量%がより好ましく、4.3~5.4重量%が更に好ましく、4.5~5.2重量%が特に好ましい。
前記乳タンパク質の含有量は、公知の方法で測定することができ、例えば、燃焼法等が挙げられる。
【0056】
前記乳タンパク質の供給源としては、原料乳、及び乳製品に由来することが好ましい。該乳製品としては、乳を原料としたものであれば限定されないが、後述する乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比の調整のし易さの観点から、乳タンパク質の含有量が多い乳製品が好ましい。具体的には、ホエー、脱塩ホエー、ホエーパウダー(脱塩ホエーパウダーを含む)、ホエータンパク質濃縮物(WPC)、ホエータンパク質分離物(WPI)、全脂粉乳、脱脂粉乳、全脂濃縮乳、脱脂濃縮乳、高純度乳タンパク質(TMP)、乳タンパク質濃縮物(MPC)、乳タンパク質分離物(MPI)、加糖練乳、加糖脱脂練乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳などが挙げられる。
【0057】
風味の観点から、前記乳タンパク質の供給源として、全脂粉乳又は脱脂粉乳を使用することが好ましく、脱脂粉乳を使用することがより好ましい。
脱脂粉乳を使用する場合、その含有量は、前記原料ミックス全体中、1.5~10重量%が好ましい。脱脂粉乳の含有量が前記範囲内にあると、後述する乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比を調整することが容易となる。前記脱脂粉乳の含有量は2~5.5重量%がより好ましく、3~5重量%が更に好ましい。
【0058】
前記原料ミックスにおいて、前記乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比は、23/77~30/70(重量比)であることが好ましく、25/75~30/70がより好ましく、25/75~28/72が更に好ましい。前記比が23/77より小さいと、とろみが不足する場合があり、30/70より大きいと、濃厚な風味が不足したり、滑らかな食感が劣る場合がある。
前記ホエータンパク質の含有量及び前記カゼインタンパク質の含有量は、電気泳動法により、乳タンパク質を分離した後、個々のタンパク質の帯を色素結合により定量化することで測定できる。
【0059】
前記原料ミックスには、前記原料乳、前記乳製品及び前記ホエータンパク質源以外に、発明の効果を損なわない範囲で、糖類、安定剤、香料等を適宜配合することができる。
【0060】
前記糖類としては、特に限定されず、上白糖、グラニュー糖、粉糖をはじめ、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、還元水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、還元糖、還元パラチノース、ソルビトール、乳糖、還元乳糖、L-アラビノース、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノース、パラチノースオリゴ糖等の糖類や糖アルコール等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0061】
前記糖類の含有量は、プレーンヨーグルトをアプリコットジャムと一緒に食した際にお互いの風味や食感を高め合うという観点から、少なければ少ないほど良い。具体的には、前記糖類の含有量は、前記原料ミックス全体中、7重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、2重量%以下が更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
【0062】
前記安定剤としては、ヨーグルトの粘度を高め、保存中や流通過程においてヨーグルトの粘度を安定させるために用いられる食品添加物や澱粉、デキストリンをいう。前記食品添加物としては、食品用の増粘剤が挙げられ、ペクチン、ゼラチン、カラギーナン、寒天、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロース、加工澱粉等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0063】
前記安定剤の含有量は、プレーンヨーグルトをアプリコットジャムと一緒に食した際にお互いの風味や食感を高め合うという観点から、少なければ少ないほど良い。具体的には、前記安定剤の含有量は、原料ミックス全体中、1重量%以下が好ましく、0.5重量%以下がより好ましく、0.2重量%以下が更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
【0064】
前記香料としては、ミルクフレーバー、ヨーグルトフレーバー、バニラフレーバー等が挙げられる。
前記香料の含有量は、プレーンヨーグルトをアプリコットジャムと一緒に食した際にお互いの風味や食感を高め合うという観点から、少なければ少ないほど良い。具体的には、前記香料の含有量は、原料ミックス全体中、0.5重量%以下が好ましく、0.1重量%以下がより好ましく、0.05重量%以下が更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
【0065】
本実施形態に係るプレーンヨーグルトは、カードのメジアン径が25~60μmであることが好ましく、30~55μmがより好ましく、35~50μmが更に好ましく、40~50μmが特に好ましい。前記メジアン径が25μmより小さいと、濃厚な風味やとろみが不足する場合がある。また、60μmより大きいと、濃厚な風味や滑らかな食感が不足する場合がある。
【0066】
なお、前記カードのメジアン径は、公知の方法で測定することができ、例えば、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定する方法等が挙げられる。当該測定装置としては、例えば、LA-960V2((株)堀場製作所製)等が挙げられる。具体的には、試料をイオン交換水で希釈し、透過率を適正範囲内に調整した後、回折/散乱光の強度分布パターンを、専用ソフトウェアLA-960 for Windowsを用いて解析することで、メジアン径を求めることができる。
【0067】
本実施形態に係るプレーンヨーグルトは、BH型粘度計でNo.4のローターを用いて、2rpmの回転速度で、10℃において測定した粘度が20~55Pa・sであることが好ましく、20~45Pa・sがより好ましく、25~45Pa・sが更に好ましい。前記粘度が20Pa・sより低いと、濃厚な風味やとろみが不足する場合がある。55Pa・sより高いと、濃厚な風味や滑らかな食感が不足する場合がある。
【0068】
本実施形態に係るプレーンヨーグルトは、前記のような特定組成を有する原料ミックスの発酵物であり、且つカードのメジアン径及び粘度が前記範囲内であることにより、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの全てを満足することができる。
【0069】
[アプリコットジャム入りヨーグルト]
本実施形態に係るアプリコットジャム入りヨーグルトは、アプリコットジャム入りヨーグルト全体中、前記アプリコットジャム10~25重量%と前記プレーンヨーグルト90~75重量%を含有することが好ましい。各含有量が前記範囲を外れると、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトを一緒に食した際に風味や食感と食感のバランスが悪くなる場合がある。更には、アプリコットジャム12~25重量%とプレーンヨーグルト88~75重量%がより好ましく、アプリコットジャム12~22重量%とプレーンヨーグルト88~78重量%が更に好ましく、アプリコットジャム14~20重量%とプレーンヨーグルト86~80重量%が特に好ましい。
【0070】
本実施形態に係るアプリコットジャム入りヨーグルトの製造方法を、以下に例示する。前記アプリコットジャムは、原料の混合工程、濃縮工程、pH調整工程、加熱工程、及び、冷却工程を経て製造することができる。また、前記プレーンヨーグルトは、原料の混合溶解工程、発酵工程、及び、粉砕工程を経て製造することができる。そして、アプリコットジャム入りヨーグルトは、前記アプリコットジャムと前記プレーンヨーグルトを容器に充填する工程を経て製造することができる。具体的には、以下の通りである。
【0071】
[アプリコットジャムの製造方法]
(原料の混合工程)
前述したアプリコットジャムの原料(シロップ漬けアプリコット、乾燥アプリコット、水、及び他の任意成分)を全て混ぜ合わせ、ジャム原料混合物を得る。
【0072】
前記シロップ漬けアプリコットは、他の原料と混ぜ合わせる前に、上述したとおり、ダイスカッターなどを用いて、4~14mmのサイズにカットしておくことが好ましい。前記サイズは4~12mmがより好ましく、5~10mmが更に好ましい。カットする時の形状が直方体である場合、その最長の辺は14mmを超えてもよく、例えば20mm以下であればよい。
【0073】
前記乾燥アプリコットは、他の原料と混ぜ合わせる前に、上述したとおり、水に浸漬して柔らかくした後、網で裏ごししてペースト状にしておくことが好ましい。浸漬する際に使用する水の量は、前記乾燥アプリコットの1.5~3倍量(重量)であることが好ましい。裏ごしする際に使用する網の目開きサイズは0.5~2mmが好ましく、0.5~1.2mmがより好ましく、0.5~1.0mmが更に好ましく、0.7~1.0mmが特に好ましい。
【0074】
ジャム原料混合物中のシロップ漬けアプリコットと乾燥アプリコットの含有量は、上述したアプリコットジャム中のシロップ漬けアプリコットと乾燥アプリコットの含有量や、次に説明する濃縮工程における濃縮度などを勘案して設定すればよい。
【0075】
(濃縮工程)
前記混合工程で得られたジャム原料混合物を、減圧状態で加熱攪拌できる装置に投入した後、減圧条件下で、65~85℃で保持し、所定の重量まで濃縮して、原料混合濃縮物を得る。前記濃縮時の温度は68~82℃が好ましく、70~80℃がより好ましい。前記減圧の条件としては、ゲージ圧が0.03~0.07MPaを目安とすればよい。
【0076】
(pH調整工程)
前記濃縮工程で得られた原料混合濃縮物に、酸味料を投入し、pHを3.4~3.8に調整し、pH調整原料混合物を得る。酸味料は、均一に混合分散させる観点から、約5~20倍量(重量)の水に溶解した後に投入することが好ましい。
また、香料及び色素を配合する際は、風味や色調の変質を抑制する観点から、本工程で添加することが好ましい。
【0077】
(加熱工程)
前記pH調整工程で得られたpH調整原料混合物を、70~95℃に加熱して加熱処理後のpH調整原料混合濃縮物を得る。前記加熱処理温度は、75~92℃がより好ましく、80~90℃が更に好ましい。また、前記加熱処理温度における保持時間は0.1~15分間を目安とすればよい。前記加熱処理温度が70℃よりも低かったり、保持時間が0.1分間よりも短いと、衛生的な日持ちが低下する場合がある。また、前記加熱処理温度が95℃よりも高かったり、保持時間が15分間よりも長いと、風味が悪くなる場合がある。
【0078】
(冷却工程)
前記加熱工程で得られた加熱処理後のpH調整原料混合濃縮物を、0~50℃に冷却することで、本実施形態に係るアプリコットジャムを得ることができる。冷却温度が0℃より低いと、凍結して離水が発生する場合があり、50℃より高いと、風味が悪くなる場合がある。前記冷却温度は15~35℃が好ましく、15~25℃がより好ましい。
【0079】
また、前記加熱工程で得られた加熱処理後のpH調整原料混合濃縮物をピロー包装などの密封容器に充填してから、前記冷却を行ってもよい。この手法によると、製造後のアプリコットジャムの保存や運搬が容易である。その後、密封容器を開封してアプリコットジャムを取り出して、プレーンヨーグルトと共に容器に充填すればよい。
【0080】
[プレーンヨーグルトの製造方法]
(原料の混合溶解工程)
前述したプレーンヨーグルトの原料(タンパク還元価が2~9の原料乳、ホエータンパク質源、及び他の任意成分)を混合溶解し、原料ミックスを得る。
濃厚な風味と滑らかでとろみのある食感があるプレーンヨーグルトを得るという観点から、前記原料ミックスは、加熱処理をすることが好ましい。
加熱処理における加熱温度と加熱時間は、図1のグラフに示される破線で囲まれた領域内にあることが好ましい。図1のグラフは、横軸が加熱の保持温度(℃)であり、縦軸が達温後の保持時間(分)である。図1で示している領域は、A点(80℃、50分)、B点(90℃、30分)、C点(95℃、30分)、D点(95℃、1分)、E点(90℃、1分)、F点(80℃、5分)をこの順に直線で結ぶことで形成された領域である。
【0081】
前記加熱処理前に、原料乳に含まれる脂肪球の径をそろえて品質を安定化することを目的に、公知の均質化処理を実施してもよい。その場合、ホモゲナイザー、マイクロフルダイザー、コロイドミル等の装置を用いることができる。このような均質化処理は、前記加熱処理後に行なうこともできる。
【0082】
(発酵工程)
前記原料の混合溶解工程で得られた原料ミックスを、39~41℃に温調後、乳酸菌スターターを添加し、同温度条件下で、pHが4.5~4.7となるまで発酵して、発酵工程後の原料ミックスを得る。当該発酵後のpHが前記範囲を外れると、濃厚な風味やとろみが不足する場合がある。前記pHは4.5~4.65がより好ましい。
【0083】
前記乳酸菌スターターは、特に限定されず、公知の乳酸菌スターターを用いることができ、例えば、ラクトコッカス(Lactococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、ペディオコッカス(Pediococcus)、ロイコノストック(Leuconostoc)に属する乳酸球菌、ラクトバチルス(Lactobacillus)に属する乳酸桿菌、ビフィズス菌(Bifidobacterium)等が挙げられる。具体例としては、Streptococcus thermophilus、Lactobacillus delbrueckii subsp. Bulgaricus、Lactobacillus acidophilus、Bifidobacterium lactis等が挙げられる。
【0084】
前記乳酸菌スターターの添加量としては特に限定されないが、ヨーグルトの作製に通常使用される量であってよい。例えば、原料ミックス100重量部に対して、0.00001~5重量部添加すればよく、凍結乾燥タイプでは0.00001~0.05重量部、発酵液タイプでは0.01~5重量部を目安とすればよい。
【0085】
更に良好な食感を得る観点から、前記発酵工程終了後、15~25℃になるまで冷却し、同温度条件下で二次発酵することが好ましい。二次発酵を行うことにより、大きめのカードが再生し、ヨーグルトの濃厚な風味ととろみを向上させることができる。二次発酵時の温度条件は、15~19℃がより好ましい。
前記二次発酵は、ヨーグルトの濃厚な風味ととろみを更に向上させる観点から、原料ミックスのpHが4.2~4.75となるまで行うことが好ましく、4.2~4.6がより好ましく、4.3~4.6が更に好ましい。
【0086】
(粉砕工程)
前記一次及び/又は二次発酵工程で得られた発酵後の原料ミックスのカードを、カードのメジアン径が25~60μmとなるように粉砕することで、本実施形態に係るプレーンヨーグルトを得ることができる。これにより、ヨーグルトの食感を滑らかにすることができる。前記メジアン径は、30~55μmがより好ましく、35~50μmが更に好ましく、40~50μmが特に好ましい。
【0087】
カードの粉砕は、公知の方法により行うことができ、具体的には、タンク内での攪拌や、メッシュフィルターを用いる方法などが挙げられる。簡便性とカードサイズの均一性の観点から、メッシュフィルターを用いる方法が好ましい。
メッシュフィルターとしては、例えば、10~100メッシュのフィルター等が挙げられ、10~90メッシュのフィルターが好ましく、12~80メッシュのフィルターがより好ましい。
メッシュフィルターを通す時の圧力条件としては、例えば、0.005~0.4MPaが好ましく、0.01~0.35MPaがより好ましく、0.05~0.2MPaがさらに好ましい。
【0088】
以上の製造方法によって、カードのメジアン径が25~60μmであると共に、10℃で測定した粘度が20~55Pa・sであるプレーンヨーグルトを得ることができる。
【0089】
[アプリコットジャム入りヨーグルトの製造方法]
(充填工程)
前記アプリコットジャム10~25重量部と前記プレーンヨーグルト90~75重量部を容器に充填する工程を経てアプリコットジャム入りヨーグルトを製造することができる。前記アプリコットジャムと前記プレーンヨーグルトの容器への充填は、いずれを先に充填してもよい。また、2つを同時に充填してもよい。
【0090】
以上説明したアプリコットジャム入りヨーグルトの製造方法によれば、プレーンヨーグルトには濃厚な風味と滑らかでとろみのある食感があり、且つ、アプリコットジャムにはアプリコットの濃厚な風味と果肉感が感じられ、これらを一緒に食することでお互いの風味や食感を高め合うアプリコットジャム入りヨーグルトを提供することができる。
【実施例
【0091】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
【0092】
また、実施例及び比較例で使用した原料は以下の通りである。
1)Langeberg&Ashton Foods社製「シロップ漬けアプリコット」
2)OSMAN AKCA A. S社製「ドライアプリコット」
3)日本精糖(株)製「上白糖P」
4)三晶(株)製「LM-102AS-J」(LMペクチン)
5)三晶(株)製「GRINDSTED LBG 057」
6)扶桑化学工業(株)製「クエン酸カルシウム」
7)扶桑化学工業(株)製「クエン酸(結晶)R」
8)磐田化学工業(株)製「クエン酸三ナトリウムM」
9)横山香料(株)製「アンズ香料」
10)ダイワ化成(株)製「クチナシ黄色素」
11)生乳を1次加熱(75℃、30秒)、2次加熱(115℃、7秒)で処理した牛乳(乳脂肪含量:3.7%、乳タンパク質含量:3.2%)
12)生乳(乳脂肪含量:3.7%、乳タンパク質含量:3.2%)
13)生乳を1次加熱(60℃、30秒)、2次加熱(135℃、2秒)で処理した牛乳(乳脂肪含量:3.7%、乳タンパク質含量:3.2%)
14)(株)明治製「明治十勝フレッシュクリーム47」(乳脂肪含量:47.0%、乳タンパク質含量:1.0%)
15)(株)カネカ製「カネカ脱脂粉乳」(乳脂肪含量:1.0%、乳タンパク質含量:34.0%)
16)Warrnambool Cheese and Butter社製「WPC80」(乳脂肪含量:4.8%、乳タンパク質含量:76.5%)
17)よつ葉乳業(株)製「よつ葉ホエイパウダー」(乳脂肪含量:1.1%、乳タンパク質含量:12.1%
【0093】
<アプリコットジャム中の、目開き12mmの篩を通過し目開き3mmの篩を通過しないシロップ漬けアプリコットの含有量の測定>
実施例・比較例で作製したアプリコットジャム中の、目開き12mmの篩を通過し目開き3mmの篩を通過しないシロップ漬けアプリコットの含有量は、以下の方法で評価した。
まず、アプリコットジャム(容器中の全量)の重量(Z)を測定後、その全量を目開き3mm四方の篩にかけ、40℃の温水で水洗することで、目開き3mmの篩を通過しないシロップ漬けアプリコットを回収し、表面の水分を拭き取った後の重量(X)を測定した。
次に、目開き3mmの篩を通過しなかったシロップ漬けアプリコットを、目開き12mm四方の篩にかけ、40℃の温水で水洗することで、目開き12mmの篩を通過しないシロップ漬けアプリコットを回収し、表面の水分を拭き取った後の重量(Y)を測定した。
そして、以下の式により含有量を算出した。
アプリコットジャム中の、目開き12mmの篩を通過し目開き3mmの篩を通過しないシロップ漬けアプリコットの含有量(重量%)={(X-Y)/Z)}×100
【0094】
<シロップ漬けアプリコット中のカルシウム塩含量の測定>
シロップ漬けアプリコット中のカルシウム塩含量の測定は、前述したアプリコットジャム中の、目開き12mmの篩を通過し目開き3mmの篩を通過しないシロップ漬けアプリコットの含有量の測定で分離したシロップ漬けアプリコット中のカルシウム塩量をICP発光分析法により測定した。
【0095】
<アプリコットジャムのBrixの測定>
アプリコットジャムのBrixは、20℃に温調したアプリコットジャムを糖用屈折計示度(アタゴ株式会社「RX-5000」)により測定した。
【0096】
<アプリコットジャムの硬度(圧縮時最大荷重)の測定>
アプリコットジャムの硬度は、25℃に温調したアプリコットジャムをレオメーター(株式会社サン科学「CR-200D」、プランジャー:円盤状、直径40mm)を用いて測定した。
【0097】
<pHの測定>
アプリコットジャム、及び、原料ミックスのpHは、pHメーター(株式会社堀場製作所製「F-52」)により測定した。
【0098】
<プレーンヨーグルトカードのメジアン径の測定>
プレーンヨーグルトカードのメジアン径は、カードを崩さないように採取し、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-960V2((株)堀場製作所製)により、分散媒として水を用いて測定した。
【0099】
<プレーンヨーグルトの粘度の測定>
プレーンヨーグルトの粘度は、BH型粘度計でNo.4のローターを使用し、2rpmの回転速度で、10℃において測定した。
【0100】
<アプリコットジャムの官能評価>
熟練した10人のパネラーに、製造例で得られた各アプリコットジャムを10℃に温調したものを食してもらい、アプリコットの濃厚な風味、及び、果肉感の観点で各々の官能評価を行い、その評価点の平均値を官能評価の評価値として各表に記載した。その際の評価基準は以下の通りであった。
【0101】
(アプリコットの濃厚な風味)
5点:製造例1のアプリコットジャムよりも良く、濃厚な風味が強く感じられる
4点:製造例1のアプリコットジャムと同等で、濃厚な風味が十分に感じられる
3点:製造例1のアプリコットジャムよりも少し劣るが、濃厚な風味が感じられる
2点:製造例1のアプリコットジャムよりも悪く、濃厚な風味が感じられ難い
1点:製造例1のアプリコットジャムよりも非常に悪く、濃厚な風味が感じられない
【0102】
(果肉感)
5点:製造例1のアプリコットジャムよりも良く、果肉感がしっかりと感じられる
4点:製造例1のアプリコットジャムと同等で、果肉感が十分に感じられる
3点:製造例1のアプリコットジャムよりもやや劣るが、果肉感が感じられる
2点:製造例1のアプリコットジャムよりも悪く、果肉感があまり感じられない
1点:製造例1のアプリコットジャムよりも非常に悪く、果肉感が全く感じられない
【0103】
<プレーンヨーグルトの官能評価>
熟練した10人のパネラーに、製造例で得られた各プレーンヨーグルトを10℃に温調したものを食してもらい、濃厚な風味、滑らかな食感、及び、とろみの観点で各々の官能評価を行い、その評価点の平均値を官能評価の評価値として各表に記載した。その際の評価基準は以下の通りであった。
【0104】
(プレーンヨーグルトの濃厚な風味)
5点:製造例18のプレーンヨーグルトよりも良く、濃厚な風味が強く感じられる
4点:製造例18のプレーンヨーグルトと同等で、濃厚な風味が十分に感じられる
3点:製造例18のプレーンヨーグルトよりもやや劣るが、濃厚な風味が感じられる
2点:製造例18のプレーンヨーグルトよりも悪く、濃厚な風味が感じられ難い
1点:製造例18のプレーンヨーグルトよりも非常に悪く、濃厚な風味が感じられない
【0105】
(滑らかな食感)
5点:製造例18のプレーンヨーグルトよりも良く、滑らかな食感が強く感じられる
4点:製造例18のプレーンヨーグルトと同等で、滑らかな食感が十分に感じられる
3点:製造例18のプレーンヨーグルトよりもやや劣るが、滑らかな食感が感じられる
2点:製造例18のプレーンヨーグルトよりも悪く、滑らかな食感が感じられ難い
1点:製造例18のプレーンヨーグルトよりも非常に悪く、滑らかな食感が感じられない
【0106】
(とろみ)
5点:製造例18のプレーンヨーグルトよりも良く、とろみが強く感じられる
4点:製造例18のプレーンヨーグルトと同等で、とろみが十分に感じられる
3点:製造例18のプレーンヨーグルトよりもやや劣るが、とろみが感じられる
2点:製造例18のプレーンヨーグルトよりも悪く、とろみが感じられ難い
1点:製造例18のプレーンヨーグルトよりも非常に悪く、とろみが感じられない
【0107】
<アプリコットジャム入りヨーグルトの官能評価>
熟練した10人のパネラーに、実施例および比較例で得られた各アプリコットジャム入りヨーグルトを10℃に温調したものを、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトが混ざり合うように、全体をスプーンで5回攪拌してから食してもらって官能評価を行い、その評価点の平均値を官能評価とした。その際の評価基準は以下の通りであった。
5点:実施例2のアプリコットジャム入りヨーグルトよりも良く、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトがお互いに風味や食感を非常に高め合っており、大変おいしい
4点:実施例2のアプリコットジャム入りヨーグルトと同等で、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトがお互いに風味や食感を高め合っており、おいしい
3点:実施例2のアプリコットジャム入りヨーグルトよりもやや劣るが、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトがお互いに風味や食感を高め合っている
2点:実施例2のアプリコットジャム入りヨーグルトよりも悪く、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトの風味や食感のバランスが崩れている
1点:実施例2のアプリコットジャム入りヨーグルトよりも非常に悪く、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトの風味や食感のバランスが非常に崩れている
【0108】
(製造例1) アプリコットジャムの作製
乾燥アプリコット(水分量16.8%)を2倍量(重量)の水に浸漬した後、加熱して軟化させた後、目開きサイズ0.88mmの網で裏ごしして、ペースト状にした。
また、シロップ漬けアプリコット(水分:79.8重量%、カルシウム塩含量0.14重量%)は、一辺が7.5mmの立方体状にカットした。
加熱撹拌機に、水30.58重量部を投入し、攪拌しながら、前記ペースト状の乾燥アプリコット7.5重量部(ペースト状にする前の乾燥アプリコットの量としては2.5重量部)、前記カット済のシロップ漬けアプリコット22.0重量部を投入した。更に、砂糖38.4重量部、ペクチン0.8重量部、ローカストビーンガム0.1重量部、クエン酸カルシウム0.03重量部を投入した。
加熱撹拌機を密閉した後、0.05MPa(ゲージ圧)の減圧条件下で攪拌しながら、70~80℃まで昇温・保持し、所定の重量まで濃縮したところで、常圧に戻した。
次いで、クエン酸三ナトリウム0.02重量部、クエン酸(結晶)0.05重量部を水1重量部に溶解し投入し、更にクチナシ色素0.1重量部、香料0.4重量部を投入して、88℃まで昇温した後、25℃まで冷却してアプリコットジャム100重量部を得た。得られたアプリコットジャムの配合を表1にまとめた。また、得られたアプリコットジャムのBrix、pH、硬度と、アプリコットの濃厚な風味、及び果肉感の評価結果を表1に示した。
【0109】
【表1】
【0110】
(製造例2) アプリコットジャムの作製
表1の配合に従って、シロップ漬けアプリコット22.0重量部を19.0重量部に、上白糖38.4重量部を39.6重量部に変更し、全体量を水で調整した以外は、製造例1と同様にしてアプリコットジャムを得た。得られたアプリコットジャムのBrix、pH、硬度と、アプリコットの濃厚な風味、及び果肉感の評価結果を表1に示した。
【0111】
(製造例3) アプリコットジャムの作製
表1の配合に従って、シロップ漬けアプリコット22.0重量部を28.0重量部に、乾燥アプリコット2.5重量部を2.1重量部に変更し、全体量を水で調整した以外は、製造例1と同様にしてアプリコットジャムを得た。得られたアプリコットジャムのBrix、pH、硬度と、アプリコットの濃厚な風味、及び果肉感の評価結果を表1に示した。
【0112】
(製造例4) アプリコットジャムの作製
表1の配合に従って、シロップ漬けアプリコット22.0重量部を28.0重量部に、乾燥アプリコット2.5重量部を3.7重量部に、上白糖38.4重量部を34.0重量部に変更し、全体量を水で調整した以外は、製造例1と同様にしてアプリコットジャムを得た。得られたアプリコットジャムのBrix、pH、硬度と、アプリコットの濃厚な風味、及び果肉感の評価結果を表1に示した。
【0113】
(製造例5) アプリコットジャムの作製
表1の配合に従って、シロップ漬けアプリコット22.0重量部を15.0重量部に、乾燥アプリコット2.5重量部を5.1重量部に、上白糖38.4重量部を38.6重量部に変更し、全体量を水で調整した以外は、製造例1と同様にしてアプリコットジャムを得た。得られたアプリコットジャムのBrix、pH、硬度と、アプリコットの濃厚な風味、及び果肉感の評価結果を表1に示した。
【0114】
(製造例6) アプリコットジャムの作製
表1の配合に従って、シロップ漬けアプリコット22.0重量部を19.0重量部に、乾燥アプリコット2.5重量部を0.9重量部に、上白糖38.4重量部を42.0重量部に変更し、全体量を水で調整した以外は、製造例1と同様にしてアプリコットジャムを得た。得られたアプリコットジャムのBrix、pH、硬度と、アプリコットの濃厚な風味、及び果肉感の評価結果を表1に示した。
【0115】
(製造例7) アプリコットジャムの作製
表1の配合に従って、上白糖38.4重量部を28.0重量部に変更し、全体量を水で調整した以外は、製造例1と同様にしてアプリコットジャムを得た。得られたアプリコットジャムのBrix、pH、硬度と、アプリコットの濃厚な風味、及び果肉感の評価結果を表1に示した。
【0116】
(製造例8) アプリコットジャムの作製
表1の配合に従って、上白糖38.4重量部を47.0重量部に変更し、全体量を水で調整した以外は、製造例1と同様にしてアプリコットジャムを得た。得られたアプリコットジャムのBrix、pH、硬度と、アプリコットの濃厚な風味、及び果肉感の評価結果を表1に示した。
【0117】
(製造例9) アプリコットジャムの作製
表2の配合に従って、ペクチン0.8重量部を0.6重量部に、ローカストビーンガム0.1重量部を0.2重量部に変更し、全体量を水で調整した以外は、製造例1と同様にしてアプリコットジャムを得た。得られたアプリコットジャムのBrix、pH、硬度と、アプリコットの濃厚な風味、及び果肉感の評価結果を表2に示した。
【0118】
【表2】
【0119】
(製造例10) アプリコットジャムの作製
表2の配合に従って、ペクチン0.8重量部を1.0重量部に、ローカストビーンガム0.1重量部を0.05重量部に変更し、全体量を水で調整した以外は、製造例1と同様にしてアプリコットジャムを得た。得られたアプリコットジャムのBrix、pH、硬度と、アプリコットの濃厚な風味、及び果肉感の評価結果を表2に示した。
【0120】
(製造例11) アプリコットジャムの作製
表2の配合に従って、クエン酸0.05重量部を0.054重量部に、クエン酸三ナトリウム0.02重量部を0.015重量部に変更し、全体量を水で調整した以外は、製造例1と同様にしてアプリコットジャムを得た。得られたアプリコットジャムのBrix、pH、硬度と、アプリコットの濃厚な風味、及び果肉感の評価結果を表2に示した。
【0121】
(製造例12) アプリコットジャムの作製
表2の配合に従って、クエン酸0.05重量部を0.047重量部に、クエン酸三ナトリウム0.02重量部を0.023重量部に変更し、全体量を水で調整した以外は、製造例1と同様にしてアプリコットジャムを得た。得られたアプリコットジャムのBrix、pH、硬度と、アプリコットの濃厚な風味、及び果肉感の評価結果を表2に示した。
【0122】
(製造例13) アプリコットジャムの作製
表3の配合に従って、乾燥アプリコットを裏ごしする際に用いた網の目開きサイズ0.88mmを1.2mmに変更した以外は、製造例1と同様にしてアプリコットジャムを得た。得られたアプリコットジャムのBrix、pH、硬度と、アプリコットの濃厚な風味、及び果肉感の評価結果を表3に示した。
【0123】
【表3】
【0124】
(製造例14) アプリコットジャムの作製
表3の配合に従って、シロップ漬けアプリコットのカットサイズ7.5mmを5.0mmに変更した以外は、製造例1と同様にしてアプリコットジャムを得た。得られたアプリコットジャムのBrix、pH、硬度と、アプリコットの濃厚な風味、及び果肉感の評価結果を表3に示した。
【0125】
(製造例15) アプリコットジャムの作製
表3の配合に従って、シロップ漬けアプリコットのカットサイズ7.5mmを12.0mmに変更した以外は、製造例1と同様にしてアプリコットジャムを得た。得られたアプリコットジャムのBrix、pH、硬度と、アプリコットの濃厚な風味、及び果肉感の評価結果を表3に示した。
【0126】
(製造例16) アプリコットジャムの作製
表3の配合に従って、シロップ漬けアプリコットのカットサイズ7.5mmを3.0mmに変更した以外は、製造例1と同様にしてアプリコットジャムを得た。得られたアプリコットジャムのBrix、pH、硬度と、アプリコットの濃厚な風味、及び果肉感の評価結果を表3に示した。
【0127】
(製造例17) アプリコットジャムの作製
表3の配合に従って、カルシウム塩含量が0.14重量%のシロップ漬けアプリコットを、シロップ中の塩化カルシウム含量が0.5重量%のシロップに浸漬して、カルシウム塩含量を0.25重量%に調整したシロップ漬けアプリコットに変更した以外は、製造例1と同様にしてアプリコットジャムを得た。得られたアプリコットジャムのBrix、pH、硬度と、アプリコットの濃厚な風味、及び果肉感の評価結果を表3に示した。
【0128】
(製造例18) プレーンヨーグルトの作製
表4の配合に従って、牛乳(タンパク還元価:9.0)93.5重量部に、生クリーム0.8重量部、脱脂粉乳4.7重量部、WPC0.5重量部、ホエーパウダー0.5重量部を添加・溶解して原料ミックスを調製した。
これを60℃に予備加熱し、高圧ホモジナイザーを用いて3.5/17MPaの圧力で均質化し、プレート式熱交換器を用いて90℃まで昇温し、ジャケット付のタンクで、90℃で30分間保持して加熱処理後、40℃まで冷却し、乳酸菌スターター(Streptococcus thermophilus、Lactobacillus delbrueckii subsp. Bulgaricus、Lactobacillus acidophilus、Bifidobacterium lactis)を0.0009重量部添加し、pH4.6になるまで、一次発酵を行なった。
その後、タンクでの攪拌冷却により19℃まで冷却し、その温度でpHが4.5になるまで保持して二次発酵を行った後、60メッシュのフィルターを通過させ、プレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表4に示した。
【0129】
【表4】
【0130】
(製造例19) プレーンヨーグルトの作製
表4の配合に従って、牛乳(タンパク還元価:9.0)を、生乳(タンパク還元価:4.4)に変更した以外は、製造例18と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表4に示した。
【0131】
(製造例20) プレーンヨーグルトの作製
表4の配合に従って、牛乳(タンパク還元価:9.0)を、タンパク還元価が11.0の牛乳に変更した以外は、製造例18と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表4に示した。
【0132】
(製造例21) プレーンヨーグルトの作製
表4の配合に従って、生乳93.5重量部を94.4重量部に、生クリーム0.8重量部を2.0重量部に、脱脂粉乳4.7重量部を2.6重量部に変更した以外は、製造例19と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表4に示した。
【0133】
(製造例22) プレーンヨーグルトの作製
表4の配合に従って、生乳93.5重量部を85.0重量部に、脱脂粉乳4.7重量部を5.3重量部に変更し、生クリーム0.8重量部を添加せず、水8.7重量部を添加した以外は、製造例19と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表4に示した。
【0134】
(製造例23) プレーンヨーグルトの作製
表4の配合に従って、生乳93.5重量部を88.5重量部に、生クリーム0.8重量部を0.2重量部に、脱脂粉乳4.7重量部を9.5重量部に、WPC0.5重量部を0.9重量部に、ホエーパウダー0.5重量部を0.9重量部に変更した以外は、製造例19と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表4に示した。
【0135】
(製造例24) プレーンヨーグルトの作製
表4の配合に従って、生乳100重量部のみを使用した以外は、製造例19と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表4に示した。
【0136】
(製造例25) プレーンヨーグルトの作製
表4の配合に従って、生乳93.5重量部を95.02重量部に、生クリーム0.8重量部を1.1重量部に、脱脂粉乳4.7重量部を2.2重量部に、WPC0.5重量部を0.84重量部に、ホエーパウダー0.5重量部を0.84重量部に変更した以外は、製造例19と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表4に示した。
【0137】
(製造例26) プレーンヨーグルトの作製
表5の配合に従って、二次発酵の終点pHを4.5から4.2に変更した以外は、製造例19と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表5に示した。
【0138】
【表5】
【0139】
(製造例27) プレーンヨーグルトの作製
表5の配合に従って、一次発酵の温度を40℃から36℃に変更した以外は、製造例19と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表5に示した。
【0140】
(製造例28) プレーンヨーグルトの作製
表5の配合に従って、一次発酵の温度を40℃から45℃に変更した以外は、製造例19と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表5に示した。
【0141】
(製造例29) プレーンヨーグルトの作製
表5の配合に従って、一次発酵終了後のpHを4.6から4.4に変更した以外は、製造例19と同様にして、二次発酵の終点pHが4.2のプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表5に示した。
【0142】
(製造例30) プレーンヨーグルトの作製
表5の配合に従って、一次発酵終了後のpHを4.6から5.0に変更した以外は、製造例19と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表5に示した。
【0143】
(実施例1) アプリコットジャム入りヨーグルトの作製
表6の配合に従って、製造例1のアプリコットジャム18gを充填した後、その上に、製造例18のプレーンヨーグルト82gを充填し、冷蔵倉庫で8℃まで冷却して、アプリコットジャム入りヨーグルトを得た。得られたアプリコットジャム入りヨーグルトの風味や食感の評価結果を表6に示した。
【0144】
【表6】
【0145】
(実施例2~12、及び、比較例1~5) アプリコットジャム入りヨーグルトの作製
表6の配合に従って、製造例1のアプリコットジャムを、製造例2(実施例2)、製造例3(実施例3)、製造例4(実施例4)、製造例9(実施例5)、製造例10(実施例6)、製造例11(実施例7)、製造例12(実施例8)、製造例13(実施例9)、製造例14(実施例10)、製造例15(実施例11)、製造例17(実施例12)、製造例5(比較例1)、製造例6(比較例2)、製造例7(比較例3)、製造例8(比較例4)、又は、製造例16(比較例5)のアプリコットジャムに変更した以外は、実施例1と同様にしてアプリコットジャム入りヨーグルトを得た。得られたアプリコットジャム入りヨーグルトの風味や食感の評価結果を表6に示した。
【0146】
表6から明らかなように、Brixが40~50%、硬度が0.6~1.6Nであり、アプリコットジャム全体中、シロップ漬けアプリコット18~28重量%と、乾燥アプリコット1~5重量%を含有し、乾燥アプリコット/シロップ漬けアプリコット(乾燥重量比)が0.3~0.55であり、目開き12mmの篩を通過し目開き3mmの篩を通過しないシロップ漬けアプリコットの含有量が8~20重量%であるアプリコットジャムを含むアプリコットジャム入りヨーグルト(実施例1~12)はいずれも、プレーンヨーグルトには濃厚な風味と滑らかでとろみのある食感があり、且つ、アプリコットジャムにはアプリコットの濃厚な風味と果肉感が感じられ、これらを一緒に食することでお互いの風味や食感を高め合うものであり、良好な評価結果であった。
【0147】
一方、シロップ漬けアプリコットが15重量%と少なく、乾燥アプリコットが5.1重量%と多く、乾燥アプリコット/シロップ漬けアプリコット(乾燥重量比)が1.40と大きく、目開き12mmの篩を通過し目開き3mmの篩を通過しないシロップ漬けアプリコットの含有量が7.1重量%と少なく、硬度が1.7Nと高いアプリコットジャムを使用したアプリコットジャム入りヨーグルト(比較例1)は、アプリコットジャムにおいてアプリコットの果肉感が感じられ難く、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトを一緒に食した際に風味や食感のバランスが崩れていた。
また、乾燥アプリコットが0.9重量%と少なく、乾燥アプリコット/シロップ漬けアプリコット(乾燥重量比)が0.20と小さいアプリコットジャムを使用したアプリコットジャム入りヨーグルト(比較例2)は、アプリコットジャムにおいてアプリコットの濃厚な風味が感じられ難く、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトを一緒に食した際に風味や食感のバランスが崩れていた。
【0148】
また、Brixが33.9%と低く、硬度も0.5Nと低いアプリコットジャムを使用したアプリコットジャム入りヨーグルト(比較例3)は、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトを一緒に食した際に風味や食感のバランスが崩れていた。
また、Brixが52.9%と高く、硬度も1.9Nと高いアプリコットジャムを使用したアプリコットジャム入りヨーグルト(比較例4)は、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトを一緒に食した際に風味や食感のバランスが崩れていた。
更に、目開き12mmの篩を通過し目開き3mmの篩を通過しないシロップ漬けアプリコットの含有量が3.1重量%と少ないアプリコットジャムを使用したアプリコットジャム入りヨーグルト(比較例5)は、アプリコットジャムにおいてアプリコットの果肉感が感じられ難く、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトを一緒に食した際に風味や食感のバランスが崩れていた。
【0149】
(実施例13~16、及び、比較例6~13) アプリコットジャム入りヨーグルトの作製
表7の配合に従って、製造例18のプレーンヨーグルトを、製造例19(実施例13)、製造例21(実施例14)、製造例23(実施例15)、製造例26(実施例16)、製造例20(比較例6)、製造例22(比較例7)、製造例24(比較例8)、製造例25(比較例9)、製造例27(比較例10)、製造例28(比較例11)、製造例29(比較例12)、又は、製造例30(比較例13)に変更した以外は、実施例1と同様にしてアプリコットジャム入りヨーグルトを得た。得られたアプリコットジャム入りヨーグルトの風味や食感の評価結果を表7に示した。
【0150】
【表7】
【0151】
表7から明らかなように、タンパク還元価が2~9の原料乳と、ホエータンパク質を含有する原料ミックスの発酵物であって、原料ミックス全体中、乳脂肪3.4~4.5重量%と、乳タンパク質4.3~7重量%を含有し、乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比が23/77~30/70(重量比)であり、カードのメジアン径が25~60μmであり、10℃での粘度が20~55Pa・sであるプレーンヨーグルトを使用したアプリコットジャム入りヨーグルト(実施例1、13~16)はいずれも、プレーンヨーグルトには濃厚な風味と滑らかでとろみのある食感があり、且つ、アプリコットジャムにはアプリコットの濃厚な風味と果肉感が感じられ、これらを一緒に食することでお互いの風味や食感を高め合うものであり、良好な評価結果であった。
【0152】
一方、牛乳のタンパク還元価が11と高く、メジアン径が24μmと小さく、粘度が17Pa・sと低いプレーンヨーグルトを使用したアプリコットジャム入りヨーグルト(比較例6)は、プレーンヨーグルトのとろみが不足しており、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトを一緒に食した際に風味や食感のバランスが崩れていた。
また、乳脂肪含量が3.2重量%と少ないプレーンヨーグルトを使用したアプリコットジャム入りヨーグルト(比較例7)は、プレーンヨーグルトの濃厚な風味が不足しており、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトを一緒に食した際に風味や食感のバランスが崩れていた。
【0153】
また、乳タンパク質含量が3.2重量%と少なく、乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比が20/80と小さく、粘度が13Pa・sと低いプレーンヨーグルトを使用したアプリコットジャム入りヨーグルト(比較例8)は、プレーンヨーグルトのとろみと濃厚な風味が不足しており、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトを一緒に食した際に風味や食感のバランスが崩れていた。
また、乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比が33/67と大きいプレーンヨーグルトを使用したアプリコットジャム入りヨーグルト(比較例9)は、プレーンヨーグルトの濃厚な風味と滑らかな食感が不足しており、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトを一緒に食した際に風味や食感のバランスが崩れていた。
【0154】
また、原料ミックスの一次発酵の温度が36℃と低く、粘度が18Pa・sと低いプレーンヨーグルトを使用したアプリコットジャム入りヨーグルト(比較例10)は、プレーンヨーグルトのとろみと濃厚な風味が不足しており、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトを一緒に食した際に風味や食感のバランスが崩れていた。
また、原料ミックスの一次発酵の温度が45℃と高く、カードのメジアン径が76μmと大きいプレーンヨーグルトを使用したアプリコットジャム入りヨーグルト(比較例11)は、プレーンヨーグルトの濃厚な風味と滑らかな食感が不足しており、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトを一緒に食した際に風味や食感のバランスが崩れていた。
【0155】
また、原料ミックスの一次発酵終了時のpHが4.4と低く、粘度が58Pa・sと高いプレーンヨーグルトを使用したアプリコットジャム入りヨーグルト(比較例12)は、プレーンヨーグルトの濃厚な風味と滑らかな食感が不足しており、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトを一緒に食した際に風味や食感のバランスが崩れていた。
更に、原料ミックスの一次発酵終了時のpHが5.0と高く、カードのメジアン径が12μmと小さく、粘度が10Pa・sと低いプレーンヨーグルトを配合したアプリコットジャム入りヨーグルト(比較例13)は、プレーンヨーグルトのとろみと濃厚な風味が不足しており、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトを一緒に食した際に風味や食感のバランスが崩れていた。
【0156】
(実施例17~60) アプリコットジャム入りヨーグルトの作製
表8の配合に従って、実施例1で使用したアプリコットジャムとプレーンヨーグルトを変更した以外は、実施例1と同様にしてアプリコットジャム入りヨーグルトを得た。得られたアプリコットジャム入りヨーグルトの風味や食感の評価結果を表8に示した。
【0157】
【表8】
【0158】
表8から明らかなように、Brixが40~50%、硬度が0.6~1.6Nであり、アプリコットジャム全体中、シロップ漬けアプリコット18~28重量%と、乾燥アプリコット1~5重量%を含有し、乾燥アプリコット/シロップ漬けアプリコット(乾燥重量比)が0.3~0.55であり、目開き12mmの篩を通過し目開き3mmの篩を通過しないシロップ漬けアプリコットの含有量が8~20重量%であるアプリコットジャムと、タンパク還元価が2~9の原料乳と、ホエータンパク質を含有する原料ミックスの発酵物であって、原料ミックス全体中、乳脂肪3.4~4.5重量%と、乳タンパク質4.3~7重量%を含有し、乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比が23/77~30/70(重量比)であり、カードのメジアン径が25~60μmであり、10℃での粘度が20~55Pa・sであるプレーンヨーグルトを含むアプリコットジャム入りヨーグルト(実施例17~60)はいずれも、プレーンヨーグルトには濃厚な風味と滑らかでとろみのある食感があり、且つ、アプリコットジャムにはアプリコットの濃厚な風味と果肉感が感じられ、これらを一緒に食することでお互いの風味や食感を高め合うものであり、良好な評価結果であった。
【0159】
(実施例61,62、及び、比較例14,15) アプリコットジャム入りヨーグルトの作製
表9の配合に従って、アプリコットジャム入りヨーグルト全体中、アプリコットジャム18重量%とプレーンヨーグルト82重量%を、それぞれ、25重量%と75重量%(実施例61)、10重量%と90重量%(実施例62)、28重量%と72重量%(比較例14)、又は、8重量%と92重量%(比較例15)に変更した以外は、実施例1と同様にしてアプリコットジャム入りヨーグルトを得た。得られたアプリコットジャム入りヨーグルトの風味や食感の評価結果を表9に示した。
【0160】
【表9】
【0161】
表9から明らかなように、アプリコットジャム入りヨーグルト全体中、アプリコットジャムが10~25重量%、プレーンヨーグルトが90~75重量%の範囲にあるアプリコットジャム入りヨーグルト(実施例1、61及び62)はいずれも、プレーンヨーグルトには濃厚な風味と滑らかでとろみのある食感があり、且つ、アプリコットジャムにはアプリコットの濃厚な風味と果肉感が感じられ、これらを一緒に食することでお互いの風味や食感を高め合うものであり、良好な評価結果であった。
【0162】
一方、アプリコットジャムが28重量%と多く、プレーンヨーグルトが72重量%と少ないアプリコットジャム入りヨーグルト(比較例14)は、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトを一緒に食した際に風味や食感のバランスが崩れていた。
また、アプリコットジャムが8重量%と少なく、プレーンヨーグルトが92重量%と多いアプリコットジャム入りヨーグルト(比較例15)は、アプリコットジャムとプレーンヨーグルトを一緒に食した際に風味や食感のバランスが崩れていた。
図1