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特許7616924貨幣処理システム、貨幣処理方法、および貨幣処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】貨幣処理システム、貨幣処理方法、および貨幣処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/36 20190101AFI20250109BHJP
【FI】
G07D11/36
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021046298
(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公開番号】P2022145052
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名村 重男
(72)【発明者】
【氏名】阪上 翔太
(72)【発明者】
【氏名】湯河 惇
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-81382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00 - 11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の貨幣処理装置と、
前記第1の貨幣処理装置から貨幣が移送される貨幣カセットと、
前記貨幣カセットから貨幣が移送される第2の貨幣処理装置と、
前記貨幣カセットに具備され、前記第1の貨幣処理装置から前記貨幣カセットに貨移送されたタイミングを特定する特定情報を記憶する記憶部と、
前記第2の貨幣処理装置が前記記憶部から受け取った前記特定情報、および、前記貨幣カセットから前記第2の貨幣処理装置に移送された貨幣の金額に基づいて、所定期間毎の売上金を算出する管理部と、
を備える貨幣処理システム。
【請求項2】
前記第1の貨幣処理装置は、複数台設けられ、各々代金の精算処理を行い、
前記第2の貨幣処理装置は、前記第1の貨幣処理装置から前記貨幣カセットに移送された貨幣の入金処理を行う、
請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
前記特定情報は、移送された貨幣を収納した前記貨幣カセットが、前記第1の貨幣処理装置から取り外されタイミングを特定する情報である、
請求項1または2に記載の貨幣処理システム。
【請求項4】
前記特定情報は、前記第1の貨幣処理装置が、前記第1の貨幣処理装置から前記貨幣カセットへの貨幣の移送の指示操作を受け付けたタイミングを特定する情報である、
請求項1または2に記載の貨幣処理システム。
【請求項5】
前記特定情報は、前記貨幣カセットに固有の識別情報であり、
前記管理部は、
前記第1の貨幣処理装置から前記貨幣カセット貨幣移送されたタイミングを示す移送情報を前記第1の貨幣処理装置から受信し、
前記特定情報および前記移送情報に基づいて、前記第1の貨幣処理装置から前記貨幣カセットに貨幣が移送されたタイミングを特定する、
請求項1または2に記載の貨幣処理システム。
【請求項6】
前記所定期間の経過後に前記貨幣カセットが前記第2の貨幣処理装置に取り付けられ、かつ、前記特定情報によって特定されるタイミングが前記所定期間内に含まれる場合、前記管理部は、前記貨幣カセットから前記第2の貨幣処理装置に移送された貨幣の金額を、前記所定期間の売上金に加える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の貨幣処理システム。
【請求項7】
前記第2の貨幣処理装置は、前記管理部を備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の貨幣処理システム。
【請求項8】
第1の貨幣処理装置が貨幣カセットに貨幣を移送し、
第2の貨幣処理装置が前記貨幣カセットから貨幣を受け付け、
前記貨幣カセットに具備される記憶部が、前記第1の貨幣処理装置から前記貨幣カセットに貨移送されたタイミングを特定する特定情報を記憶し、
管理部が、前記第2の貨幣処理装置が前記記憶部から受け取った前記特定情報、および、前記貨幣カセットから前記第2の貨幣処理装置に移送された貨幣の金額に基づいて、所定期間毎の売上金を算出する、
貨幣処理方法。
【請求項9】
前記管理部は、前記所定期間毎の売上金を算出するとき、1日の売上金を算出する、
請求項8に記載の貨幣処理方法。
【請求項10】
前記管理部は、前記所定期間毎の売上金を算出するとき、あらかじめ設定された第1の所定時間から第2の所定時間までの売上金を算出する、
請求項8に記載の貨幣処理方法。
【請求項11】
前記特定情報は、貨幣の移送が行われる日付を特定する情報である、
請求項8から10のいずれか一項に記載の貨幣処理方法。
【請求項12】
前記特定情報は、貨幣の移送が行われる時刻を特定する情報である、
請求項8から11のいずれか一項に記載の貨幣処理方法。
【請求項13】
前記所定期間の経過後に前記貨幣カセットが前記第2の貨幣処理装置に取り付けられ、かつ、前記特定情報によって特定されるタイミングが前記所定期間内に含まれる場合、前記管理部は、前記貨幣カセットから前記第2の貨幣処理装置に移送された貨幣の金額を、前記所定期間の売上金に加える、
請求項8から12のいずれか一項に記載の貨幣処理方法。
【請求項14】
他の貨幣処理装置から移送された貨幣を受け付ける貨幣処理装置であって、
貨幣が収納されている貨幣カセットが取り付けられるカセット取付部と、
前記貨幣カセットから移送された貨幣を処理する貨幣処理部と、
前記貨幣カセットに具備される記憶部から、前記他の貨幣処理装置から前記貨幣カセット貨幣が移送されたタイミングを特定する特定情報を受け取る情報受取部と、
を備える、貨幣処理装置。
【請求項15】
前記貨幣処理部によって処理された貨幣の金額と、前記特定情報とに基づいて、所定期間毎の売上金を算出する管理部をさらに備える、
請求項14に記載の貨幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貨幣に対する処理を行う貨幣処理システム、貨幣処理方法、および貨幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗のチェックアウトカウンター等には、顧客が支払うべき代金を精算するための、現金精算装置が設置されている。現金精算装置は、POS(Point of Sale)機能が取得した情報である代金に関する情報に基づいて、顧客からの代金の入金を受け付け、釣銭を払い出す。
【0003】
一方、店舗のバックオフィス等には、現金精算装置に補充する釣銭準備金を用意したり、現金精算装置から売上金を回収して管理したりする現金出納装置が設置されている。現金出納装置は、現金精算装置から回収された売上金等を収納し、現金精算装置へ補充する釣銭準備金等を排出する。このような現金精算装置および現金出納装置を有する現金システムは、例えば特許文献1等に開示されている。
【0004】
売上金の管理を行う現金出納装置では、各売上日単位で売上金が集計および管理されることが多い。売上金が現金出納装置に入金された時間に基づいて現金出納装置が売上金の集計を行う場合、例えば日付が変わってから入金された売上金は、当日分の売上にもかかわらず翌日分の売上として集計されてしまい、売上管理上の不都合が生じる。このような不都合を解消するため、例えば特許文献2では、売上金の処理が未処理である日付を表示部に表示し、表示された日付の中から特定の日付が選択された場合、選択された特定の日付の売上金として現金を処理する現金処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-008209号公報
【文献】国際公開第2010/089895号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている貨幣処理システムでは、売上金が現金出納装置に入金された日付と、入金された売上金が集計されるべき日付とが異なる場合、特許文献2のように、売上データが集計されるべき日付を選択する必要がある。特許文献2に開示された発明では、売上金の処理が未処理である日付のうち、特定の日付を選択する、といったマニュアル操作が必要である。このようなマニュアル操作には、操作者の労力と時間とが必要であるだけでなく、操作者が操作ミスをしてしまい、売上金が正しい日付に集計されない可能性もある。
【0007】
このような事情に鑑み、本開示は、売上金が、集計されるべき期間に確実に集計される貨幣処理システム、貨幣処理方法、および貨幣処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る貨幣処理システムは、第1の貨幣処理装置と、前記第1の貨幣処理装置から貨幣が移送される貨幣カセットと、前記貨幣カセットから貨幣が移送される第2の貨幣処理装置と、前記貨幣カセットに具備され、前記第1の貨幣処理装置から前記貨幣カセットに貨移送されたタイミングを特定する特定情報を記憶する記憶部と、前記第2の貨幣処理装置が前記記憶部から受け取った前記特定情報、および、前記貨幣カセットから前記第2の貨幣処理装置に移送された貨幣の金額に基づいて、所定期間毎の売上金を算出する管理部と、を備える。
【0009】
本開示に係る貨幣処理システムにおいて、前記第1の貨幣処理装置は、複数台設けられ、各々代金の精算処理を行い、前記第2の貨幣処理装置は、前記第1の貨幣処理装置から前記貨幣カセットに移送された貨幣の入金処理を行ってもよい。
【0010】
本開示に係る貨幣処理システムにおいて、前記特定情報は、移送された貨幣を収納した前記貨幣カセットが、前記第1の貨幣処理装置から取り外されたタイミングを特定する情報であってもよい。
【0011】
本開示に係る貨幣処理システムにおいて、前記特定情報は、前記第1の貨幣処理装置が、前記第1の貨幣処理装置から前記貨幣カセットへの貨幣の移送の指示操作を受け付けたタイミングを特定する情報であってもよい。
【0012】
本開示に係る貨幣処理システムにおいて、前記特定情報は、前記貨幣カセットに固有の識別情報であり、前記管理部は、前記第1の貨幣処理装置から、前記特定情報と、前記第1の貨幣処理装置から前記第2の貨幣処理装置への前記貨幣カセットを介した貨幣の移送が行われるタイミングを示すタイミング情報と、を受信し、前記第1の貨幣処理装置から受信した前記特定情報と、前記タイミング情報とを互いに関連付けて記憶してもよい。
【0013】
本開示に係る貨幣処理システムにおいて、前記所定期間の経過後に前記貨幣カセットが前記第2の貨幣処理装置に取り付けられ、かつ、前記特定情報によって特定されるタイミングが前記所定期間内に含まれる場合、前記管理部は、前記貨幣カセットから前記第2の貨幣処理装置に移送された貨幣の金額を、前記所定期間の売上金に加えてもよい。
【0014】
本開示に係る貨幣処理システムにおいて、前記第2の貨幣処理装置は、前記管理部を備えてもよい。
【0015】
本開示に係る貨幣処理方法は、第1の貨幣処理装置が貨幣カセットに貨幣を移送し、
第2の貨幣処理装置が前記貨幣カセットから貨幣を受け付け、前記貨幣カセットに具備される記憶部が、前記第1の貨幣処理装置から前記貨幣カセットに貨移送されたタイミングを特定する特定情報を記憶し、管理部が、前記第2の貨幣処理装置が前記記憶部から受け取った前記特定情報、および、前記貨幣カセットから前記第2の貨幣処理装置に移送された貨幣の金額に基づいて、所定期間毎の売上金を算出する。
【0016】
本開示に係る貨幣処理方法において、前記管理部は、前記所定期間毎の売上金を算出するとき、1日の売上金を算出してもよい。
【0017】
本開示に係る貨幣処理方法において、前記管理部は、前記所定期間毎の売上金を算出するとき、あらかじめ設定された第1の所定時間から第2の所定時間までの売上金を算出してもよい。
【0018】
本開示に係る貨幣処理方法において、前記特定情報は、貨幣の移送が行われる日付を特定する情報であってもよい。
【0019】
本開示に係る貨幣処理方法において、前記特定情報は、貨幣の移送が行われる時刻を特定する情報であってもよい。
【0020】
本開示に係る貨幣処理方法において、前記所定期間の経過後に前記貨幣カセットが前記第2の貨幣処理装置に取り付けられ、かつ、前記特定情報によって特定されるタイミングが前記所定期間内に含まれる場合、前記管理部は、前記貨幣カセットから前記第2の貨幣処理装置に移送された貨幣の金額を、前記所定期間の売上金に加えてもよい。
【0021】
本開示に係る貨幣処理装置は、他の貨幣処理装置から移送された貨幣を受け付ける貨幣処理装置であって、貨幣が収納されている貨幣カセットが取り付けられるカセット取付部と、前記貨幣カセットから移送された貨幣を処理する貨幣処理部と、前記貨幣カセットに具備される記憶部から、前記他の貨幣処理装置から前記貨幣カセット貨幣が移送されたタイミングを特定する特定情報を受け取る情報受取部と、を備える。
【0022】
本開示に係る貨幣処理装置において、前記貨幣処理部によって処理された貨幣の金額と、前記特定情報とに基づいて、所定期間毎の売上金を算出する管理部をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、売上金が、集計されるべき期間に確実に集計される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の実施の形態に係る貨幣処理システムの構成を説明するための図
図2】第1の実施の形態に係る貨幣処理システムの動作を説明するためのフローチャート
図3】第2の実施の形態に係る貨幣処理システムの構成を説明するための図
図4】売上金算出処理について説明するためのフローチャート
図5A】本開示の構成が適用されていない場合における、売上金入金時の操作について説明するための図
図5B】本開示における、売上金入金時の操作について説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明、例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明等は省略する場合がある。また、以下の説明および参照される図面は、当業者が本開示を理解するために提供されるものであって、本開示の請求の範囲を限定するためのものではない。例えば、ある実施の形態について説明した事項は他の実施の形態についてもあてはまり得るし、ある実施の形態が有する要素を他の実施の形態が有することもあり得る。
【0026】
<第1の実施の形態>
[構成]
まず、本開示の第1の実施の形態に係る貨幣処理システム100について説明する。図1に示すように、貨幣処理システム100は、第1の貨幣処理装置1と、第2の貨幣処理装置2と、貨幣カセット3と、管理部4と、を備える。第2の貨幣処理装置2と管理部4とは、無線または有線の通信手段により、互いに通信可能に接続されている。
【0027】
第1の貨幣処理装置1および第2の貨幣処理装置2は、貨幣を収納することができ、貨幣に対して処理を行う装置である。また、貨幣カセット3は、貨幣を収納することができ、可搬性を有する装置である。貨幣カセット3は、第1の貨幣処理装置1および第2の貨幣処理装置2に取り付け可能であり、第1の貨幣処理装置1または第2の貨幣処理装置2に取り付けられた状態で、貨幣を出し入れできるように構成されている。
【0028】
本第1の実施の形態において、第1の貨幣処理装置1は、収納した貨幣を、取り付けられた貨幣カセット3に移送する。貨幣カセット3は、第1の貨幣処理装置1から取り外された後、人等によって第2の貨幣処理装置2まで運ばれ、第2の貨幣処理装置2に取り付けられる。そして、第2の貨幣処理装置2は、貨幣カセット3から貨幣の移送を受け付ける。
【0029】
貨幣カセット3は、記憶部31を有する。記憶部31には、第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3へ貨幣が移送されたタイミングを特定する特定情報が記憶される。特定情報は、第1の貨幣処理装置1、または貨幣カセット3によって生成される。特定情報は、貨幣カセット3が第2の貨幣処理装置2に取り付けられたとき、記憶部31から第2の貨幣処理装置2へ送信される。
【0030】
貨幣カセット3の記憶部31から第2の貨幣処理装置2に送信された特定情報は、管理部4に送信される。また、第2の貨幣処理装置2は、貨幣カセット3を介して第1の貨幣処理装置1から第2の貨幣処理装置2へ移送された貨幣の金額を示す入金額情報を管理部4に対して送信する。管理部4は、第2の貨幣処理装置2から取得した特定情報および入金額情報に基づいて、貨幣カセット3から第2の貨幣処理装置2に移送された貨幣の売上金を算出する処理を行う。
【0031】
管理部4による売上金の算出は、所定期間毎に行われる。所定期間とは、例えば1日である。管理部4は、所定期間内における、第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3を介して第2の貨幣処理装置2に移送された貨幣の金額、および、特定情報に基づいて、売上金の算出を行う。管理部4が算出した売上金の算出結果は、例えば売上情報として、管理部4の図示しない記憶部等に記憶される。
【0032】
[動作]
図2を参照して、貨幣処理システム100の動作について説明する。
【0033】
ステップS1において、第1の貨幣処理装置1は、取り付けられている貨幣カセット3に、貨幣を移送する。
【0034】
ステップS2において、貨幣カセット3の記憶部31は、貨幣が第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3に移送されたタイミングを特定する特定情報を記憶する。
【0035】
貨幣カセット3が第2の貨幣処理装置2まで運ばれた後、ステップS3において、第2の貨幣処理装置2は、貨幣カセット3から貨幣の移送を受け付ける。
【0036】
ステップS4において、第2の貨幣処理装置2は、貨幣カセット3の記憶部31から特定情報を取得する。なお、ステップS3における貨幣の移送と、ステップS4における特定情報の取得とは、同時に行われてもよいし、特定情報の取得の方が貨幣の移送より先に行われてもよい。
【0037】
ステップS5において、第2の貨幣処理装置2は、貨幣カセット3から取得した特定情報と、貨幣カセット3から移送された金額を示す入金額情報と、を互いに関連付けて管理部4に送信する。
【0038】
ステップS6において、管理部4は、特定情報と、入金額情報と、に基づいて、所定期間毎の売上金を算出する。より詳細には、管理部4は、特定情報に基づき、入金額情報が示す金額がどの期間における売上に該当するか、を判断し、所定期間毎の売上を集計することにより、売上金を算出する。なお、売上金を算出する処理の例については、後述の第2の実施の形態にて詳細に説明する。
【0039】
このような動作により、管理部4は、第2の貨幣処理装置2へ移送された貨幣が、どの期間における売上金として集計されるべきかを、特定情報に基づいて、正確に判断することができる。このため、売上金が、集計されるべき期間に確実に集計される。
【0040】
<第2の実施の形態>
図3を参照して、本開示の第2の実施の形態に係る貨幣処理システム101について説明する。貨幣処理システム101は、例えば専門店、コンビニエンスストア、スーパーマーケット等の流通店舗(以下、単に店舗と記載する)に設置されることが想定されている。
【0041】
図3に示す貨幣処理システム101は、店舗向けのシステムであり、店舗に設置されている。貨幣処理システム101は、第1の貨幣処理装置1と、第2の貨幣処理装置2と、貨幣カセット3と、管理部4と、を備える。なお、図3に示す例では、貨幣処理システム101は、第1の貨幣処理装置1を2台有しているが、3台以上の第1の貨幣処理装置1を有していてもよい。
【0042】
第1の貨幣処理装置1は、店舗のフロントオフィスの一例であるチェックアウトカウンターに設置されている。第1の貨幣処理装置1は、店舗の従業員または店舗の顧客によって操作され、顧客が代金を精算する際の精算処理に用いられる。第1の貨幣処理装置1は、顧客から代金を受け付け、釣銭が必要な場合には、釣銭を返却する。第1の貨幣処理装置1は、店員によって操作される図示しないPOSレジスタ、または、顧客によって操作される図示しないセルフチェックアウト用レジスタと、通信可能に接続されていてもよい。また、第1の貨幣処理装置1は、POSレジスタまたはセルフチェックアウト用レジスタと一体に構成されていてもよい。
【0043】
第1の貨幣処理装置1は、紙幣を処理する第1の紙幣処理装置11と、硬貨を処理する第1の硬貨処理装置12と、カセット取付部13と、を備える。第1の紙幣処理装置11は、紙幣を収納する機能と、紙幣を入出金する機能と、を有する。第1の硬貨処理装置12は、硬貨を収納する機能と、硬貨を入出金する機能と、を有する。カセット取付部13は、貨幣カセット3が取り付けられる部位である。
【0044】
貨幣カセット3は、貨幣を収納するカセットである。貨幣カセット3は、第1の貨幣処理装置1に着脱可能に構成されている。また、貨幣カセット3は、第2の貨幣処理装置2に着脱可能に構成されている。貨幣カセット3は、第1の貨幣処理装置1または第2の貨幣処理装置2に装着されているとき、貨幣カセット3と第1の貨幣処理装置1または第2の貨幣処理装置2との間で貨幣を移送することができるように構成されている。
【0045】
一方、貨幣カセット3は、第1の貨幣処理装置1および第2の貨幣処理装置2から取り外されているときには、内部の貨幣を取り出せないように構成されている。例えば従業員が、貨幣カセット3を用いて、第1の貨幣処理装置1と、第2の貨幣処理装置2との間における貨幣の移送を行う。
【0046】
例えば店舗の開店前に、従業員は、釣銭準備金としての貨幣が第2の貨幣処理装置2から移送された貨幣カセット3を第1の貨幣処理装置1まで運び、貨幣カセット3から第1の貨幣処理装置1へ貨幣を移送させる。これにより、第1の貨幣処理装置1への釣銭準備金の補充が行われる。なお、釣銭準備金の補充は、店舗の開店前だけでなく、営業中にも行われることがある。例えば、第1の貨幣処理装置1から釣銭準備金がなくなった場合、またはなくなりかけた場合に、釣銭準備金の補充が行われる。
【0047】
また、店舗の閉店後には、従業員は、売上金としての貨幣が第1の貨幣処理装置1から移送された貨幣カセット3を第2の貨幣処理装置2まで運び、貨幣カセット3から第2の貨幣処理装置2へ貨幣を移送させる。これにより、第1の貨幣処理装置1からの売上金の回収が行われる。なお、従業員は、貨幣カセット3を用いて貨幣を運んでいる間、貨幣カセット3内の貨幣に触れることができない。このため、貨幣を安全な状態で運ぶことができる。
【0048】
なお、本第2の実施の形態において、貨幣カセット3は、紙幣専用のカセット、または硬貨専用のカセットである。図3には、1つの第1の貨幣処理装置1から第2の貨幣処理装置2へ1つの貨幣カセット3が運ばれる様子が示されている。しかしながら、紙幣専用の貨幣カセット3と硬貨専用の貨幣カセット3が1つずつ、合計2つの貨幣カセット3が、1つの第1の貨幣処理装置1から第2の貨幣処理装置2へ運ばれてもよい。なお、貨幣カセット3が紙幣と硬貨の両方を収納できるように構成されており、1つの貨幣カセット3で紙幣と硬貨を同時に運んでもよい。
【0049】
貨幣カセット3は、記憶部31を有する。記憶部31は、例えば第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3に貨幣が移送されたタイミングを特定する特定情報を記憶する。特定情報は、貨幣カセット3が第2の貨幣処理装置2に取り付けられ、貨幣が第2の貨幣処理装置2へ移送されるとき、有線または無線通信により、記憶部31から第2の貨幣処理装置2へ送信される。
【0050】
第2の貨幣処理装置2および管理部4は、店舗のバックオフィスに設置されている。第2の貨幣処理装置2は、管理部4と通信可能に接続されている。なお、図3に示す例では、第1の貨幣処理装置1は第2の貨幣処理装置2および管理部4と接続されていないが、第1の貨幣処理装置1は第2の貨幣処理装置2および管理部4と通信可能に接続されていてもよい。
【0051】
第2の貨幣処理装置2は、貨幣カセット3を介して、第1の貨幣処理装置1から運ばれてきた貨幣を受け付け、管理する。具体的には、第2の貨幣処理装置2は、貨幣カセット3から移送された貨幣を集計し、金額を算出するとともに、貨幣を図示しない収納部に収納する。そして、第2の貨幣処理装置2は、算出した金額を示す入金額情報を生成し、生成した入金額情報と、貨幣カセット3から取得した特定情報とを互いに関連付けて管理部4に送信する。第2の貨幣処理装置2による特定情報および入金額情報の取得は、複数の第1の貨幣処理装置1から第2の貨幣処理装置2へ貨幣カセット3を介して貨幣が移送される度に行われる。
【0052】
第2の貨幣処理装置2は、第2の紙幣処理装置21と、第2の硬貨処理装置22と、カセット取付部23と、情報受取部24と、を有する。第2の紙幣処理装置21は、紙幣を収納する機能と、紙幣を入出金する機能と、を有する。第2の硬貨処理装置22は、硬貨を収納する機能と、硬貨を入出金する機能と、を有する。カセット取付部23は、貨幣カセット3が取り付けられる部位である。情報受取部24は、貨幣カセット3の記憶部31から特定情報を取得する部位である。
【0053】
なお、第2の貨幣処理装置2は、貨幣カセット3がカセット取付部23に取り付けられた状態では、貨幣カセット3の記憶部31と通信可能に接続されるように構成されている。これにより、情報受取部24は貨幣カセット3の記憶部31から特定情報を取得することができる。
【0054】
管理部4は、第2の貨幣処理装置2に収納されている貨幣の管理を行う。また、管理部4は、第2の貨幣処理装置2からの貨幣の出し入れの管理を行う。図3に示す例では、管理部4は、第2の貨幣処理装置2と別体に構成されているが、管理部と第2の貨幣処理装置2とが一体に構成されていてもよい。
【0055】
管理部4は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、記憶部(フラッシュメモリ、またはHDD(Hard disk Drive)等)と、を備え、プロセッサが記憶装置から読み出したプログラムを実行することで、以下に説明する各機能を実現する。
【0056】
管理部4は、第2の貨幣処理装置2から、特定情報および入金額情報を互いに関連付けられた状態で受信する。第2の貨幣処理装置2による管理部4への特定情報および入金額情報の送信は、複数の第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3を介して貨幣が移送される度に行われてもよいし、所定期間内に移送された貨幣に関する特定情報および入金額情報がまとめて一度に送信されてもよい。
【0057】
管理部4は、1回の貨幣の移送に関する入金額情報と特定情報とを、管理部4が備える記憶部または管理部4と通信可能に接続されている記憶部に、互いに関連付けて記憶させる。これにより、この記憶部には、複数回分の貨幣の移送に関する入金額情報と特定情報とが記憶される。そして、管理部4は、特定情報に基づき、それぞれの入金額情報が示す金額がどの期間における売上に該当するか、を判断し、所定期間毎の売上を集計することにより、売上金を算出する。管理部4による売上金算出処理の詳細は、後述する。
【0058】
[特定情報の説明]
特定情報について詳細に説明する。特定情報は、上述した通り、貨幣が第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3に移送されたタイミングを特定する情報である。以下では、その具体例として、3つの例を示す。
【0059】
(1)特定情報の第1の例
第1の例では、特定情報は、第1の貨幣処理装置1から貨幣が移送された貨幣カセット3が、第1の貨幣処理装置1のカセット取付部13から取り外されたタイミングを示す情報である。第1の例では、貨幣カセット3が、図示しない情報生成部(プロセッサ等)を有しており、情報生成部は、貨幣カセット3が第1の貨幣処理装置1から取り外されたことを検知したとき、その時間を示す特定情報を生成する。この場合、特定情報は、貨幣カセット3が第1の貨幣処理装置1から取り外された日付を示す情報であってもよいし、時刻を示す情報であってもよい。
【0060】
(2)特定情報の第2の例
第2の例では、特定情報は、第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3への貨幣の移送を行う指示操作を、第1の貨幣処理装置1が受け付けたタイミングを示す情報である。第1の貨幣処理装置1が、図示しない操作部(操作ボタン、キーボード、タッチパネル等)と情報生成部とを有している場合、操作部に対して貨幣カセット3への貨幣を移送する指示操作が行われると、情報生成部は、その指示操作が行われた時間を示す特定情報を生成することができる。この場合、特定情報は、貨幣カセット3に貨幣を移送する指示操作が行われた日付を示す情報であってもよいし、時刻を示す情報であってもよい。第1の貨幣処理装置1の情報生成部により生成された特定情報は、貨幣カセット3に有線または無線通信により送信され、記憶部31に記憶される。
【0061】
貨幣カセット3への貨幣を移送する指示操作の一つの例は、第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3に向けて貨幣を排出する指示を行うための操作である。また、貨幣カセット3への貨幣を移送する指示操作の他の例は、貨幣カセット3への貨幣の移送が完了した後、貨幣カセット3を取り外す指示を行うための操作である。
【0062】
(3)特定情報の第3の例
第3の例では、特定情報は、貨幣カセット3を識別するための識別情報である。第3の例では、特定情報は、貨幣が第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3に移送されたタイミングで生成されるのではなく、あらかじめ記憶部31に記憶されている。
【0063】
第3の例では、第1の貨幣処理装置1が、第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3に貨幣が移送されたタイミングで、貨幣が移送されたタイミングを示す移送情報を生成する。移送情報には、貨幣が移送された貨幣カセット3の識別情報が含まれている。第1の貨幣処理装置1は、生成した移送情報を、管理部4に対して送信する。
【0064】
したがって、第3の例が採用される場合、図3に示す例とは異なり、第1の貨幣処理装置1と管理部4とは、少なくとも第1の貨幣処理装置1から管理部4への情報の送信が可能であるように接続される。
【0065】
第3の例では、第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3に貨幣が移送されたとき、貨幣カセット3の記憶部31に特定情報を新たに記憶させる必要がない。このため、第1の貨幣処理装置1と記憶部31との間のインターフェースを構築するハードウエアおよびソフトウエアを簡素化することができる。また、従業員は、貨幣の移送が完了した貨幣カセット3を第1の貨幣処理装置1から取り外す際に、特定情報が記憶部31に確実に記憶されたかを確認する必要なく、貨幣カセット3のスムーズな取り外しが可能となる。
【0066】
[売上金算出処理]
管理部4による売上金算出処理について詳細に説明する。売上金算出処理は、例えば、店舗の閉店後の所定の時刻に、自動的に開始される。または、売上金算出処理は、貨幣処理システム101の管理者(例えば貨幣処理システム101が設置された店舗の責任者等)の操作に基づいて、開始される。図4は、売上金算出処理について説明するためのフローチャートである。なお、図4に示すフローチャートの開始時点において、第2の貨幣処理装置2から取得した複数回分の貨幣の移送に関する特定情報および入金額情報が、管理部4が備える記憶部または管理部4と通信可能に接続されている記憶部に格納されているとする。また、以下の説明では、特定情報が、貨幣カセット3が第1の貨幣処理装置1のカセット取付部13から取り外されたタイミングを示す情報である場合(上述の第1の例の場合)を例に挙げる。
【0067】
ステップS11において、管理部4は、複数回分の特定情報および入金額情報に基づいて、特定情報が示すタイミングが所定期間内である入金額情報を抽出する。上述したように、特定情報が示すタイミングとは、第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3への貨幣の移送が行われるタイミングである。
【0068】
所定期間とは、貨幣処理システム101の管理者等により決められた、売上金を集計する単位となる期間である。所定期間の例としては、1日、1週間、または、1か月が挙げられる。所定期間が1日である場合、所定期間は暦上の1日であってもよいし、店舗の営業時間が午前10時から午前1時まで等、日付をまたぐ場合には、所定期間が営業時間に合わせて設定されてもよい。また、所定期間が1日であるということには、例えば所定期間が当日である場合、および、所定期間が過去の1日である場合が含まれる。所定期間は、管理者等により、任意の期間に適宜設定されてもよい。なお、所定期間の設定は、売上金算出処理の開始前にあらかじめ行われていてもよいし、管理者の操作に基づいて売上金算出処理が開始される場合には、売上金算出処理の開始毎に所定期間の設定が行われてもよい。
【0069】
所定期間が当日である場合、例えば店舗の閉店後、管理部4は、当日1日分の売上金を算出する。このような場合、管理部4は、記憶部に記憶されている複数回分の特定情報および入金額情報を参照し、特定情報が示すタイミングが当日に含まれる入金額情報を抽出する。
【0070】
特定情報が日付を示す情報である場合、管理部4は、貨幣カセット3が取り外された日付が当日であることを示す特定情報に関連付けられた入金額情報を抽出する。特定情報が時刻を示す情報である場合、管理部4は、貨幣カセット3が取り外された時刻が当日内であることを示す特定情報に関連付けられた入金額情報を抽出する。
【0071】
ステップS12において、管理部4は、抽出した入金額情報が示す金額の合計を算出する。
【0072】
ステップS13において、管理部4は、入金額の合計額に基づいて、売上金を算出する。具体的には、例えば、営業終了後に第1の貨幣処理装置1に貨幣が残置されない運用である場合、入金額の合計額から、営業開始前に第1の貨幣処理装置1に補充した釣銭準備金の総額を減算することで、売上金を算出すればよい。
【0073】
ステップS14において、管理部4は、ステップS13で算出した売上金に基づいて、所定期間における売上金の額を示す売上金情報を生成する。売上金情報は、管理部4が有する記憶部に記憶されて管理されてもよいし、外部に出力されて所定のデータ処理(売上分析等)に用いられてもよい。
【0074】
なお、上述した売上金算出処理の説明は、特定情報が、貨幣カセット3が第1の貨幣処理装置1のカセット取付部13から取り外されたタイミングを示す情報である場合、すなわち、上述の第1の例の特定情報の場合についてのものである。第2の例の特定情報の場合でも、上述した売上金算出処理と同様の処理で売上金を算出することができる。
【0075】
特定情報が貨幣カセット3の識別情報である第3の例の場合、管理部4は、図4のステップS11の前に、移送情報および特定情報に基づいて、第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3へ貨幣が移送されたタイミングを特定する処理を行う。なお、移送情報とは、上述したように、あらかじめ第1の貨幣処理装置1から取得した、第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3へ貨幣が移送されたタイミングを示す情報であり、貨幣カセット3の識別情報を含む。
【0076】
管理部4は、移送情報に含まれる貨幣カセット3の識別情報と、特定情報(つまり、貨幣カセット3の識別情報)とを照合して、特定情報と一致する識別情報が含まれる移送情報を抽出する。これにより、管理部4は、特定情報に関連付けられた入金額情報に対応する貨幣が第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3に移送されたタイミングを導出することができる。その後は、管理部4は、図4に示す各ステップを実行することにより、第1の例と同様に売上金を算出することができる。
【0077】
なお、第3の例では、移送情報は第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3に貨幣が移送されたタイミングを示す情報であるとしたが、例えば移送情報は、第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3に貨幣が移送されたことを示す情報であってもよい。この場合、管理部4は、第1の貨幣処理装置1から移送情報を受け取ったタイミングを示すタイミング情報を、移送情報に関連付けて記憶部に記憶しておく。この場合、管理部4は、移送情報と、タイミング情報と、特定情報と、に基づいて、特定情報に関連付けられた入金額情報に対応する貨幣が第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3に移送されたタイミングを導出することができる。
【0078】
<効果>
第2の実施の形態に係る貨幣処理システム101が奏する効果について詳細に説明する。上述したように、貨幣処理システム101では、貨幣カセット3から第2の貨幣処理装置2への貨幣の移送が行われたタイミングではなく、第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3への貨幣の移送が行われたタイミングに基づいて、そのタイミングが所定期間内である入金額情報を、管理部4が抽出し、抽出結果に基づいて売上金の算出を行う。これにより、以下のような効果が得られる。
【0079】
店舗運営上のトラブル、第1または第2の貨幣処理装置のトラブル、または従業員のミス等により、貨幣カセット3から第2の貨幣処理装置2への貨幣の移送が遅れてしまうことがある。このような場合、貨幣カセット3から第2の貨幣処理装置2への貨幣の移送も遅れてしまう。
【0080】
本開示の構成が適用されていない貨幣処理システムには、貨幣カセットから第2の貨幣処理装置への貨幣の移送が行われたタイミングが所定期間内である入金額情報を抽出し、これに基づいて売上金情報を算出するものがある。このような貨幣処理システムでは、本来は所定期間の売上金として集計されるべき入金額情報であるにもかかわらず、売上金として集計されない事態が生じうる。
【0081】
具体例を挙げて説明する。例えば所定期間が当日1日であり、当日分として集計されるべき貨幣が、トラブル等により、貨幣カセットから第2の貨幣処理装置に実際に移送されたタイミングが翌日になってしまった場合、当日分の売上金として集計されるべき金額が、翌日の売上金として集計されてしまう事態が生じる。
【0082】
このような貨幣処理システムにおいて、例えば第2の貨幣処理装置に移送されるタイミングが翌日になってしまった貨幣を、当日分の売上金として集計させたい場合、従業員は、第2の貨幣処理装置に対して、複数ステップの操作を行う必要がある。
【0083】
図5Aは、本開示の構成が適用されていない貨幣処理システムにおいて、所定期間経過後に第2の貨幣処理装置に移送される貨幣を、所定期間内の売上金として集計したい場合に、貨幣の移送時に行われる操作の例を説明する図である。図5Aおよび後述の図5Bに示される各画面は、第2の貨幣処理装置2が有する表示部に表示される。当日分の売上金としての貨幣が収納された貨幣カセット3を第2の貨幣処理装置2まで運んできた従業員は、第1メニュー画面において「入金処理」を選択し、それによって新たに表示される第2メニュー画面において「時間超過」を選択する。図5Aおよび後述の図5Bにおいて、従業員が選択している選択肢は、破線に囲まれて示されている。すると、貨幣カセット内の貨幣が集計されるべき期間を選択する期間選択画面が新たに表示される。期間選択画面において従業員がしかるべき期間を選択することで、所定期間経過後であっても、貨幣カセット内の貨幣を、所定期間内の売上金として第2の貨幣処理装置に移送させることができる。
【0084】
一方、貨幣処理システム101では、貨幣カセット3が有する記憶部31に、第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3への貨幣の移送が行われたタイミングを示す特定情報が記憶され、貨幣カセット3から第2の貨幣処理装置2に貨幣が移送される際、特定情報も第2の貨幣処理装置2に取得される。すなわち、貨幣処理システム101の特定情報は、貨幣カセット3に移送された貨幣が売上金として集計されるべきタイミングそのものを示していると言える。そして、管理部4は、その特定情報に関連付けられた入金額情報を、当日分に集計すべき入金額情報として抽出することができる。
【0085】
このため、例えば所定期間が当日であり、当日分として集計されるべき貨幣が、トラブル等により、実際に貨幣カセットから第2の貨幣処理装置に移送されたタイミングが翌日になってしまった場合に、貨幣カセット3を運んできた従業員が特別な操作をせずとも、貨幣カセット3内の貨幣を当日分の売上金として容易に集計させることができる。
【0086】
具体的な従業員の操作の例としては、図5Bに示すように、第1メニュー画面において「入金処理」を選択するだけでよい。
【0087】
このため、本開示の第2の実施の形態に係る貨幣処理システム101では、貨幣カセット3を運ぶ従業員は、貨幣カセット3に収納された貨幣が集計されるべき所定期間を全く考慮する必要がない。従業員は、単に貨幣カセット3を第2の貨幣処理装置2に取り付けてメニュー画面で「入金処理」を選択し、貨幣を移送させるだけでよい。このため、所定期間経過後に貨幣カセット3によって売上金が運ばれた場合でも、第2の貨幣処理装置2に貨幣カセット3内の貨幣を移送させる際の操作の手間を、大幅に低減させることができる。また、貨幣カセット3から第2の貨幣処理装置2貨幣を移送させる際の操作の量が減るため、操作ミスを防止することができ、操作ミスにより生じうるトラブルを未然に防止することができる。
【0088】
[所定期間について]
上述した第2の実施の形態では、所定期間の例として、1日、1週間、1か月等を挙げたが、本開示はこれに限定されない。所定期間は、例えば貨幣処理システム101の管理者等が、任意に設定できるようにしてもよい。例えば、所定期間は、午前9時から午後10時まで等、時単位、分単位等で設定できるようにしてもよい。このような場合、例えば店舗の営業時間に合わせて所定期間を設定することができる。また、所定期間の終わりを、営業時間終了後からある程度の猶予を持って設定すれば、従業員が閉店作業後、第1の貨幣処理装置1から貨幣カセット3を第2の貨幣処理装置2まで運んでくるための猶予時間を十分に確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本開示は、貨幣の入金及び出金を行う貨幣処理装置を含む貨幣処理システムに有用である。
【符号の説明】
【0090】
100,101 貨幣処理システム
1 第1の貨幣処理装置
11 第1の紙幣処理装置
12 第1の硬貨処理装置
13 カセット取付部
2 第2の貨幣処理装置
21 第2の紙幣処理装置
22 第2の硬貨処理装置
23 カセット取付部
24 情報受取部
3,3A,3B 貨幣カセット
31 記憶部
4 管理部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B