(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】パンツ型使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/49 20060101AFI20250109BHJP
A61F 13/496 20060101ALI20250109BHJP
A61F 13/51 20060101ALI20250109BHJP
A61F 13/514 20060101ALI20250109BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61F13/49 413
A61F13/496 100
A61F13/51
A61F13/514 400
A61F13/15 100
(21)【出願番号】P 2021096969
(22)【出願日】2021-06-09
【審査請求日】2024-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平松 令子
(72)【発明者】
【氏名】川口 宏子
(72)【発明者】
【氏名】只井 智浩
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-043165(JP,A)
【文献】特開2016-073511(JP,A)
【文献】国際公開第2015/076047(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/256002(WO,A1)
【文献】特開2020-179012(JP,A)
【文献】特開2008-194160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の前後方向に対応する長手方向と該長手方向に直交する幅方向とを有し、腹側領域及び背側領域と、該腹側領域と該背側領域との間に位置する股下領域とを備え、吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配される外装体とを有するパンツ型使い捨ておむつであって、
前記外装体は、前記腹側領域に配される腹側外装体と、前記背側領域に配される背側外装体とを含み、
前記腹側外装体又は前記背側外装体は、前記パンツ型使い捨ておむつの外面を形成する外層シートと、該外層シートの肌対向面側に配された内層シートとを有し、
前記腹側外装体又は前記背側外装体は、前記外層シート及び前記内層シートが厚み方向に重なった重なり領域と、前記外層シート及び前記内層シートのうちいずれか一方のシートが、他方のシートにおける前記股下領域側の端縁から該股下領域側に延出している非重なり領域とを有し、前記重なり領域と前記非重なり領域とは剛性が異なり、
前記外層シート又は前記内層シートは、着色された着色領域を有し、前記重なり領域と前記非重なり領域とは色差が1.5以上であ
り、
前記腹側外装体の前記長手方向に沿う両側部と、前記背側外装体の前記長手方向に沿う両側部とが接合されて一対のサイドシール部が形成されており、
前記サイドシール部において、前記腹側外装体又は前記背側外装体の前記両側部は、前記非重なり領域が非肌対向面側に折り返されて接合されている、パンツ型使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記腹側外装体又は前記背側外装体は、前記吸収性本体と重なる領域を有し、該領域は、該外装体と該吸収性本体とが接合された接合領域と、該接合領域よりも前記股下領域側に位置し且つ該外装体と該吸収性本体とが接合されていない非接合領域とを有し、
前記非接合領域は、前記非重なり領域を含んでいる、請求項1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記非接合領域は、前記非重なり領域に加えて、前記重なり領域を含んでいる、請求項2に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記腹側外装体又は前記背側外装体は、前記外層シート及び前記内層シートが前記幅方向に間欠的に接合されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記吸収性本体は、吸収体と、該吸収体の肌対向面側を覆う表面シートと、該吸収体の非肌対向面側を覆う裏面シートとを有し、
前記非重なり領域と、前記裏面シートとは色差が15以下である、請求項1~
4のいずれか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記重なり領域の剛性に対する前記非重なり領域の剛性との比率が0.28以上0.98以下である、請求項1~
5のいずれか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、腹側外装体と、背側外装体と、該腹側外装体及び該背側外装体の間に架け渡して固定された吸収性本体とを有するパンツ型使い捨ておむつが知られている(特許文献1~3参照)。この種のパンツ型使い捨ておむつにおいては、腹側外装体の両側部及び背側外装体の両側部が接合されてウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されている。
【0003】
特許文献1のパンツ型使い捨ておむつにおいては、腹側外装体及び背側外装体は、おむつの外面を形成する外層シートと、該外層シートの肌対向面側に配された内層シートとを含む。腹側外装体及び該背側外装体におけるレッグ開口部側の端部においては、おむつの長手方向における外層シート及び内層シートの端部の位置が一致している。
【0004】
特許文献2のパンツ型使い捨ておむつにおいても、腹側外装体及び背側外装体は、おむつの外面を形成する外層シートと、該外層シートの肌対向面側に配された内層シートとを含む。特許文献2には、腹側外装体及び該背側外装体におけるレッグ開口部側の端部において外層シートを肌対向面側に折り返して、内層シートの端部を覆うことが記載されている。
【0005】
特許文献3のパンツ型使い捨ておむつにおいては、腹側外装体は、おむつの外面を形成する外層シートと、該外層シートの肌対向面側に配された内層シートとを含み、背側外装体は、一枚の外層シートからなる。背側外装体は、外層シートがウエスト開口部の開口端で折り返された2層構造となっている。背側外装体は、レッグ開口部側の端部が複数回折り返されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-514462号公報
【文献】特開2017-185256号公報
【文献】特開2016-202942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
パンツ型使い捨ておむつにおいて、腹側外装体又は背側外装体におけるレッグ開口部側の端部の構成は、該おむつの着用時における着用者の足の動かしやすさにとって重要である。しかしながら、特許文献1~3のパンツ型使い捨ておむつは、着用時に着用者が足を動かしやすくする観点からの検討はなされておらず、改善の余地があった。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、着用者の前後方向に対応する長手方向と該長手方向に直交する幅方向とを有し、腹側領域及び背側領域と、該腹側領域と該背側領域との間に位置する股下領域とを備え、吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配される外装体とを有するパンツ型使い捨ておむつである。
前記外装体は、前記腹側領域に配される腹側外装体と、前記背側領域に配される背側外装体とを含んでいる。
前記腹側外装体又は前記背側外装体は、前記パンツ型使い捨ておむつの外面を形成する外層シートと、該外層シートの肌対向面側に配された内層シートとを有している。「腹側外装体又は背側外装体」という表現には、腹側外装体及び背側外装体のいずれか一方のみの場合と、腹側外装体及び背側外装体の両方の場合のいずれもが含まれる。
前記腹側外装体又は前記背側外装体は、前記外層シート及び前記内層シートが厚み方向に重なった重なり領域と、前記外層シート及び前記内層シートのうちいずれか一方のシートが、他方のシートにおける前記股下領域側の端縁から該股下領域側に延出している非重なり領域とを有し、前記重なり領域と前記非重なり領域とは剛性が異なる。
前記外層シート又は前記内層シートは、着色された着色領域を有し、前記重なり領域と前記非重なり領域とは色差が1.5以上である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、着用時に着用者が足を動かしやすいパンツ型使い捨ておむつを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの一実施形態を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すパンツ型使い捨ておむつの展開状態における非肌対向面側を示す展開平面図である。
【
図4】
図4は、腹側外装体又は背側外装体の好ましい構成を示す一部拡大図である。
【
図5】
図5は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの他の実施形態を示す展開平面図であり、
図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。
図1に本発明の吸収性物品の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ(以下、「おむつ」と言う。)1を示す。おむつ1は、
図1~
図3に示すとおり、着用時に着用者の腹側に配される腹側領域Aと、該着用者の背側に配される背側領域Bと、その間に位置する股下領域Cとを備える。またおむつ1は、着用者の前後方向に対応する長手方向Xと該長手方向Xに対応する幅方向Yとを有する。長手方向Xは、腹側領域Aから股下領域Cを経て背側領域Bに至る方向である。股下領域Cは、着用時に着用者の股間に配される。
【0012】
おむつ1は、
図1~
図3に示すとおり、吸収性本体2と、該吸収性本体2の非肌対向面側に配された外装体3とを備えている。外装体3は、腹側領域Aに配される腹側外装体3Aと、背側領域Bに配される背側外装体3Bとを含んでいる。おむつ1は、腹側外装体3Aの長手方向Xに沿う両側部3e,3eと、背側外装体3Bの長手方向Xに沿う両側部3f,3fとが接合されて一対のサイドシール部S,S、ウエスト開口部WH及び一対のレッグ開口部LH,LHが形成されている。
【0013】
吸収性本体2は、
図2に示すとおり、吸収体23、該吸収体23の肌対向面側に配された表面シート21及び該吸収体23の非肌対向面側に配された裏面シート22を有する。
吸収体23は、吸収性本体2と同様に、おむつ1の長手方向Xに長い形状を有しており、表面シート21と裏面シート22との間に介在配置されている。
【0014】
「肌対向面」は、おむつ1又はその構成部材における、おむつ1の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、「非肌対向面」は、おむつ1又はその構成部材における、おむつ1の着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。また「着用時」及び「着用状態」は、おむつ1の適正な着用位置が維持されて着用された状態を指す。
【0015】
外装体3は、上述のとおり、腹側外装体3Aと背側外装体3Bとを含んでいる。本発明においては、腹側外装体3A又は背側外装体3Bが、おむつ1の外面を形成する外層シート32と、該外層シート32の肌対向面側に配された内層シート31とを有する。腹側外装体3A及び背側外装体3Bのいずれか一方又は両方が外層シート32及び内層シート31を有してもよい。
図1~
図3に示す実施形態においては、腹側外装体3A及び背側外装体3Bの両方が外層シート32及び内層シート31を有している。本実施形態のおむつ1において、外装体3は、腹側外装体3Aと背側外装体3Bとに分割されている。
【0016】
本実施形態において、腹側外装体3Aと背側外装体3Bとは同様の構成を有している。そのため、以下においては、主として腹側外装体3Aを例にして説明するが、背側外装体3Bについても同様の説明が適用される。
【0017】
腹側外装体3Aにおいて、外層シート32と内層シート31との間には、幅方向Yに沿って伸長状態で複数本の弾性部材33が配されている。弾性部材33は、吸収性本体2と重なる領域においては、細かく分断する等の処理が施されて弾性伸縮性を発現しないように配されていてもよい。おむつ1では、外層シート32と内層シート31との間が、全域又は所定部位において接着剤又はヒートシール等によって接合されている。
【0018】
腹側外装体3Aは、外層シート32及び内層シート31が厚み方向Zに重なった重なり領域45を有している。また腹側外装体3Aは、外層シート32及び内層シート31が厚み方向Zに重なっていない非重なり領域46を有している。非重なり領域46は、重なり領域45よりも股下領域C側に位置している。非重なり領域46においては、外層シート32及び内層シート31のうちいずれか一方のシートが、他方のシートにおける股下領域C側の端縁から該股下領域C側に延出している。非重なり領域46は、腹側外装体3Aにおける股下領域C側の端部に位置し、幅方向Yに沿って延びている。
図1~
図3に示す実施形態においては、内層シート31が、外層シート32における股下領域C側の端縁32cから股下領域C側に延出しており、その延出部分が非重なり領域46を形成している。本実施形態においては、内層シート31が外層シート32よりも、長手方向Xの長さが長くなっている。
【0019】
本実施形態のおむつ1は、腹側外装体3Aが重なり領域45及び非重なり領域46を有することにより、該おむつ1の着用者が足を動かしやすくなっている。以下、この点について詳述する。上述のように、重なり領域45と非重なり領域46とは、各領域45.46を構成するシートの枚数が異なるので、剛性が異なる。より具体的には、非重なり領域46の剛性が重なり領域45の剛性よりも小さい。このように、重なり領域45と非重なり領域46とは剛性差があるので、着用者が足を動かして、該足が腹側外装体3Aにおける股下領域C側の端部に当たったときに、重なり領域45と非重なり領域46との境界を起点として、非重なり領域46が非肌対向面側に向かって捲れるような変位を生じやすい。そのため、腹側外装体3Aにおける股下領域C側の端部が、着用者の足の動きを阻害しにくい。したがって、本実施形態のおむつ1によれば、着用者が足を動かしやすい。非重なり領域46は、少なくとも吸収性本体5の側縁とサイドシール部Sとの間に形成されていることが好ましく、
図1に示すように、一対のサイドシール部S,S間に連続して形成されていることが好ましい。
本明細書における剛性とは、JIS L 1913に規定されるハンドルオメーター法によって測定された剛軟度を意味する。非重なり部の幅が短過ぎる等、吸収性物品の状態のままでは測定が困難な場合、外装体を構成する各シートを分離して、非重なり部を構成するシートを取り出し、該シートを試験機の支持台上に載置して測定を行ってもよい。
【0020】
重なり領域45の剛性N1に対する非重なり領域46の剛性N2の比率(N2/N1)は、着用者の足の動かしやすさの観点から、好ましくは0.28以上、より好ましくは0.49以上であり、好ましくは0.98以下、より好ましくは0.56以下であり、これらの両立の観点から、好ましくは0.28以上0.98以下、より好ましくは0.49以上0.56以下である。
【0021】
重なり領域45の剛性N1は、好ましくは43mN以上、より好ましくは50mN以上であり、また好ましくは75mN以下、より好ましくは68mN以下であり、また好ましくは43mN以上75mN以下、より好ましくは50mN以上68mN以下である。
非重なり領域46の剛性N2は、好ましくは21mN以上、より好ましくは30mN以上であり、また好ましくは42mN以下、より好ましくは38mN以下であり、また好ましくは21mN以上42mN以下、より好ましくは30mN以上38mN以下である。
【0022】
長手方向Xにおける腹側外装体3Aの長さWsに対する、長手方向Xにおける腹側領域Aの重なり領域45の長さW1と、長手方向Xにおける腹側領域Aの非重なり領域46の長さW2との差W1-W2の比(W1-W2/Ws)は、百分率として、好ましくは1.2%以上、より好ましくは1.4%以上であり、また好ましくは11%以下、より好ましくは9%以下であり、また好ましくは1.2%以上11%以下、より好ましくは1.4%以上9%以下である(
図2参照)。前記長さWsは、長手方向Xにおける腹側領域Aの重なり領域45の長さW1と、長手方向Xにおける腹側領域Aの非重なり領域46の長さW2とを合計した長さに等しい。
【0023】
長手方向Xにおける背側外装体3Bの長さWtに対する、長手方向Xにおける背側領域Bの重なり領域45の長さW3と、長手方向Xにおける背側領域Bの非重なり領域46の長さW4との差W3-W4の比(W3-W4/Ws)は、百分率として、好ましくは1.2%以上、より好ましくは1.4%以上であり、また好ましくは10.5%以下、より好ましくは8.5%以下であり、また好ましくは1.2%以上10.5%以下、より好ましくは1.4%以上8.5%以下である(
図2参照)。前記長さWtは、長手方向Xにおける背側領域Bの重なり領域45の長さW3と、長手方向Xにおける背側領域Bの非重なり領域46の長さW4とを合計した長さに等しい。
【0024】
腹側領域Aにおける重なり領域45と非重なり領域46の長さの差W1-W2は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であり、また好ましくは8mm以下、より好ましくは6mm以下であり、また好ましくは1mm以上8mm以下、より好ましくは2mm以上6mm以下である。
背側領域Bにおける重なり領域45と非重なり領域46の長さの差W3-W4は、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下であり、また好ましくは3mm以上10mm以下、より好ましくは5mm以上8mm以下である。
【0025】
腹側外装体3Aの長手方向X外方の端縁から、腹側領域Aの重なり領域45の股下領域C側の端縁までの距離Wsは、好ましくは79mm以上、より好ましくは89mm以上であり、また好ましくは148mm以下であり、より好ましくは138mm以下であり、また好ましくは79mm以上148mm以下、より好ましくは89mm以上138mm以下である。
背側外装体3Bの長手方向X外方の端縁から、背側領域Bの重なり領域45の股下領域C側の端縁までの距離Wtは、好ましくは110mm以上、より好ましくは120mm以上であり、また好ましくは207mm以下、より好ましくは197mm以下であり、また好ましくは110mm以上207mm以下、より好ましくは120mm以上197mm以下である。
【0026】
長手方向Xにおける腹側外装体3Aの長さWsに対する、長手方向Xにおける腹側領域Aの重なり領域45の長さW1の比W1/Wsは、好ましくは75mm以上、より好ましくは80mm以上であり、また好ましくは145mm以下、より好ましくは140mm以下であり、また好ましくは75mm以上145mm以下、より好ましくは80mm以上140mm以下である。
長手方向Xにおける腹側領域Aの非重なり領域46の長さW2は、好ましくは0mm以上、より好ましくは2mm以上であり、また好ましくは12mm以下、より好ましくは10mm以下であり、また好ましくは0mm以上12mm以下、より好ましくは2mm以上10mm以下である。
【0027】
長手方向Xにおける背側外装体3Bの長さWtに対する、長手方向Xにおける背側領域Bの重なり領域45の長さW3の比W3/Wtは、好ましくは105mm以上、より好ましくは110mm以上であり、また好ましくは200mm以下、より好ましくは195mm以下であり、また好ましくは105mm以上200mm以下、より好ましくは110mm以上195mm以下である。
長手方向Xにおける背側領域Bの非重なり領域46の長さW4は、好ましくは0mm以上、より好ましくは2mm以上であり、また好ましくは12mm以下、より好ましくは10mm以下であり、また好ましくは0mm以上12mm以下、より好ましくは2mm以上10mm以下である。
【0028】
また本発明においては、外層シート32又は内層シート31は、着色された着色領域35を有している。外層シート32及び内層シート31のうち、どちらのシートが着色領域35を有していてもよい。また、着色領域35は、外層シート32又は内層シート31の一部に配されていてもよいし、外層シート32又は内層シート31の全域に配されていてもよい。外層シート32又は内層シート31の一部に配されている場合には、通常、重なり領域45と非重なり領域46の境界を跨いで着色領域35を有している必要がある。
【0029】
本実施形態においては、内層シート31の全域に着色領域35が配されている。外層シート32は光透過性を有しており、外層シート32及び内層シート31の重なり領域45を該外層シート32側から見たときも、内層シート31の着色領域35の色が視認できるようになっている。したがって、重なり領域45においては内層シート31の着色領域35の色が透けて見え、非重なり領域46においては該着色領域35の色が直接見える。このような構成により、本実施形態のおむつ1においては、重なり領域45と非重なり領域46とは、外部から視認したときの色が異なっている。こうすることにより、剛性が低く、捲れやすい非重なり領域46と重なり領域45とを視覚的に区別しやすくなる。そのため、保護者や介護者等は、本実施形態のおむつ1の着用者が足を動かしやすいか否かを容易に判断することができる。
【0030】
内層シート31に代えて外層シート32が着色領域35を有する場合は、重なり領域45においては外層シート32の色が直接見え、非重なり領域46においては内層シート31の色が直接見える。これにより、おむつを外部から視たときに、非重なり領域46と重なり領域45の色が異なり、色の違いによって非重なり領域46を認識させやすくなる。
内層シート31及び外層シート32の一方のシートが着色領域35を有する場合、他方のシートは、色差を大きくする観点から、一般的な不織布の色である白色であることが好ましいが、非重なり領域46と重なり領域45との間に所定の色差を生じさせる限り白色以外に着色されていてもよい。例えば、一方のシートを、緑、赤、青等の濃い色とする一方、他方のシートを、薄緑、薄赤、薄青等の淡い色としてもよい。一方のシートの色と他方をシートの色とは同一系色の色でも異系統の色でも良い。
【0031】
内層シート31及び外層シート32のいずれか一方が着色領域を有する場合、並びに両シート31,32が着色領域を有する場合のいずれにおいても、非重なり領域46と重なり領域45とを視覚的に判別容易として、非重なり領域46の存在による足の動かしやすいことを効果的に認識させる観点から、重なり領域45と非重なり領域46との色差は、好ましくは1.5以上であり、より好ましくは1.7以上であり、更に好ましくは2.0以上である。上限は特に制限されないが、例えば、おむつの色彩の統一感の観点からは、重なり領域45と非重なり領域46との色差は、15以下であることが好ましく、より好ましくは10以下である。
図5及び
図6に示す実施形態のように、外層シート32が、内層シート31における股下領域C側の端縁31cから股下領域C側に延出し、その延出部分が、非重なり領域46を形成している場合も、非重なり領域46と重なり領域45との見え方を異ならせて、非重なり領域46の存在による足の動かしやすさを確実に視認させる観点、及び色彩の統一感の観点等から、重なり領域45と非重なり領域46との色差は、上記のような範囲とすることが好ましい。
【0032】
おむつ1を非肌対向面側から見たときに、非重なり領域46と裏面シート22とを視覚的に判別容易にして、非重なり領域46の存在による足の動かしやすいことを効果的に認識させる観点から、非重なり領域46と裏面シート22との色差は、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは20以上である。上限は特に制限されないが、例えば、おむつの色彩の統一感の観点からは、非重なり領域46と裏面シート22との色差は、15以下であることが好ましく、より好ましくは13以下である。
【0033】
本明細書において、色差は「L*a*b*表色系における色差」であり、以下の方法により測定することができる。斯かる色差は、大きければ大きいほど色の違いを認識できることを意味する。
【0034】
〔色差(ΔE*値)の測定方法〕
色差計としては、エックスライト社製の測色計/濃度計eXact(商品名)等を用いることができる。JIS Z 8729に規定する「L*a*b*表色系」では、L*は明るさを、a*、b*は色の方向を示しており、a*は略赤方向、-a*は略緑方向、b*は略黄色方向、-b*は略青方向を示している。そして、色差(ΔE*)は、下記式(1)で求められる値である。
ΔE*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2・・・(1)
ΔL*、Δa*、Δb*は、それぞれ、対比する2色間のL*値、a*値、b*値の差である。例えばΔL*は、ΔL*=L*2-L*1により計算される。
測定は、吸収性物品の腹側外装体又は背側外装体における、吸収性本体に重なっていない部分を、その非肌対向面側が鉛直方向の上方を向くように、水平な支持台上にシワや折れ曲がりがないように載置して行う。
そして、前記支持台上に載置した部分における、重なり領域45及び非重なり領域46のそれぞれにセンサーの先端部を押し当てて計測する。測定機器を、台に静置したおむつに垂直に押し当てて測定を行う。重なり領域45及び非重なり領域46のそれぞれについて、この計測を任意の3箇所で行い、その平均値を、それぞれの測定値とする。
サンプルが高い透光性を有し、支持台の色の影響を受ける場合は、支持台上に白色のコピー用紙を固定し、該コピー用紙上にサンプルを載置して測定する。
非重なり部の幅が短過ぎる等、吸収性物品の状態のままでは測定が困難な場合、外装体を構成する各シートを分離して、非重なり部を構成するシートを取り出し、該シートを前記支持台上に載置して測定を行ってもよい。
また、腹側外装体又は背側外装体における、吸収性本体に重なっていない部分からサンプルを切り出し、該サンプルを、その非肌対向面側が鉛直方向の上方を向くように、水平な支持台上にシワや折れ曲がりがないように載置し、そのサンプルにおける、重なり領域45及び非重なり領域46のそれぞれにセンサーの先端部を押し当てて計測してもよい。
【0035】
外層シート32又は内層シート31における着色領域は、無着色(例えば白色)のシート(非伸縮性不織布)を印刷等の公知の染色方法によって着色したものであってもよく、また外層シート32又は内層シート31として、構成繊維に原着繊維を含むものを用いることもできる。原着繊維は、繊維製造段階で着色された繊維であり、例えば、樹脂の製造から繊維化に至る段階で製造中間物に顔料等の色素を添加する着色工程を経て製造される。着色領域が、原着繊維を含んで着色されていると、無着色のシートを着色した着色領域に比べて、耐摩擦堅牢性に優れ色移りし難く、また柔軟性、風合い等の点においても優れる。
【0036】
内層シートに着色領域を設け、該着色領域を外層シートから延出させて非重なり領域とする場合、視覚的特徴をもたせる観点から、内層シートの着色領域は、L*a*b*の表色系のL*値の値が56~96、a*値の値が-70~-40、b*値の値が-20~30であることが好ましい。
【0037】
他方、内層シートに着色領域を設けるが、外層シートを該着色領域よりも延出させて非重なり領域とする場合、視覚的特徴をもたせる観点から、内層シートの着色領域は、L*値の値が56~96、a*値の値が-70~-40、b*値の値が-20~30であることが好ましい。
【0038】
また裏面シート22は、非重なり領域46と裏面シート22とを視覚的に判別容易にする観点から、L*値の値が56~96、a*値の値が-70~-40、b*値の値が-20~30であることが好ましい。裏面シート22は、肌対向面又は非肌対向面にデザインを有していてもよいところ、該裏面シート22がデザインを有する場合、前記L*値、a*値及びb*値は、該裏面シートにおけるデザインを除く背景色の値を測定して求める。ここで、デザインとは、絵、記号、文字等の図柄を意味する。
【0039】
腹側外装体3Aは、
図2及び
図3に示すとおり、吸収性本体2と重なる領域(以下、「積層領域」とも言う。)41を有している。積層領域41においては、幅方向Yにおける腹側外装体3Aの中央部と、長手方向Xにおける吸収性本体2の端部とが重なっている。
腹側外装体3Aは、幅方向Yにおける積層領域41の両側及び、腹側外装体3Aにおける吸収性本体2の端縁の位置よりもウエスト開口部WH側には、吸収性本体2とは重なっていない領域(以下、「非積層領域」とも言う。)42を有している。
【0040】
積層領域41は、腹側外装体3Aと吸収性本体2とが接合された接合領域43と、該外装体3と該吸収性本体2とが接合されていない非接合領域44とを有する。非接合領域44は、接合領域43よりも股下領域C側に位置している。本実施形態では、非接合領域44は幅方向Yに延びている。換言すれば、腹側外装体3Aの股下領域C側の端部は、吸収性本体2と接合されておらず、非接合領域44には腹側外装体3Aの該端部が位置している。
非接合領域44は、腹側外装体3Aの非重なり領域46を含んでいることが好ましい。非接合領域44が非重なり領域46を含んでいることにより、おむつ1の着用者が足を動かしたときに、非重なり領域46が一層捲れやすくなり、着用者が足をより動かしやすくなる。
【0041】
非接合領域44は、非重なり領域46のみならず、重なり領域45を含んでいることが更に好ましい。非接合領域44に含まれる重なり領域45の部分は、通常、重なり領域45における股下領域C側の一部であり、重なり領域45における非重なり領域46に隣接する部分である。非接合領域44が重なり領域45の一部を含んでいることにより、着用者が足を動かしたときに、非重なり領域46のみならず、重なり領域45における吸収性本体2と接合していない部分まで捲れやすくなるので、着用者が足をより動かしやすくなっている。
非接合領域44は、吸収性本体2と重なる部分の幅方向Yの全域において、非重なり領域46を含んでいることが好ましく、吸収性本体2と重なる部分の幅方向Yの全域において、非重なり領域46及び重なり領域45を含むことが好ましい。
【0042】
おむつ1においては、
図4に示すとおり、外層シート32及び内層シート31が間欠的に接合されていることが好ましく、外層シート32及び内層シート31が幅方向Yに間欠的に接合されていることがより好ましい。こうすることにより、おむつ1における足回りの装着感を向上させることができる。
図4に示す実施形態では、外層シート32と内層シート31とは、複数の接合部36により接合されている。
図4に示す実施形態では、複数の接合部36が幅方向Yに並んだ接合部列36Rが、長手方向Xに間隔を空けて配されている。長手方向Xに隣り合う接合部列36Rどうしにおいては、該接合部列36Rを構成する個々の接合部36の幅方向Yの位置が一致している。腹側外装体3A及び背側外装体3Bのいずれか一方又は両方において、外層シート32及び内層シート31が間欠的に接合されていてもよい。おむつ1における足回りの装着感を向上させる観点からは、背側外装体3Bにおいて、外層シート32及び内層シート31が間欠的に接合されていることが好ましく、腹側外装体3A及び背側外装体3Bの両方において、外層シート32及び内層シート31が間欠的に接合されていることがより好ましい。
【0043】
図4に示す実施形態においては、外層シート32及び内層シート31の間に配された弾性部材33は、接合部36を通らないように配されている。具体的には、弾性部材33は、長手方向Xに隣り合う接合部36どうし間を通るように配されている。
【0044】
おむつ1は、サイドシール部Sにおいて、腹側外装体3Aの両側部3e,3eは、非重なり領域46が非肌対向面側に折り返されていることが好ましい。より具体的には、腹側外装体3Aの側部3eにおいて、内層シート31における股下側3Cの端部が非肌対向面側に折り返された状態で、腹側外装体3Aの側部3eと背側外装体3Bの側部3fとが接合されていることが好ましい。換言すれば、腹側外装体3Aにおける非肌対向面側に折り返された部分が、該腹側外装体3Aにおける非肌対向面側に折り返されていない部分に接合されていることが好ましい。こうすることにより、おむつ1の着用時に、サイドシール部Sの近傍において、非重なり領域46が捲れた状態となるので、着用者が足をより動かしやすくすることができる。非重なり領域46は、腹側外装体3Aの側部3eにおいてのみ非肌対向面側に折り返されており、腹側外装体3Aの両側部3e間においては非肌対向面側に折り返されていなくてもよい。あるいは、非重なり領域46は、腹側外装体3Aの両側部3e間においても非肌対向面側に折り返されていてもよい。背側外装体3Bについても同様であり、サイドシール部Sにおいて、背側外装体3Bの両側部3f,3fは、非重なり領域46が非肌対向面側に折り返されていることが好ましい。より具体的には、背側外装体3Bにおける非肌対向面側に折り返された部分が、該背側外装体3Bにおける非肌対向面側に折り返されていない部分に接合されていることが好ましい。
【0045】
腹側外装体3Aと背側外装体3Bとは、該腹側外装体3Aにおける長手方向X外方の端縁の位置と、背側外装体3Bにおける長手方向X外方の端縁の位置とを一致させたときに、股下領域C側の端部の位置が一致していてもよいし、異なっていてもよい。ここで、腹側外装体3A又は背側外装体3Bにおける長手方向X外方の端縁とは、長手方向Xにおける腹側外装体3A又は背側外装体3Bのウエスト開口部WH側の端縁を意味する。腹側外装体3Aと背側外装体3Bとが、股下領域C側の端部の位置が異なっている場合、背側外装体3Bの方が腹側外装体3Aよりも、股下領域C側の端部が、股下領域C側に位置していることが好ましい。こうすることにより、前側への足の開閉を補助することが可能となる。腹側外装体3Aにおける長手方向X外方の端縁の位置と、背側外装体3Bにおける長手方向X外方の端縁の位置とを一致させたときに、背側外装体3Bの方が腹側外装体3Aよりも、股下領域C側の端部が股下領域C側に位置するようにするためには、例えば、長手方向Xにおける背側外装体3Bの長さ(W3+W4)を、長手方向Xにおける腹側外装体3Aの長さ(W1+W2)よりも長くすればよい(
図2参照)。
【0046】
図5及び
図6には本発明の別の実施形態が示されている。
図5及び
図6に示す実施形態のおむつ1’は、外層シート32が、内層シート31における股下領域C側の端縁31cから股下領域C側に延出しており、その延出部分が非重なり領域46を形成している。本実施形態においては、外層シート32が内層シート31よりも、長手方向Xの長さが長くなっている。本実施形態のおむつ1’においても、非重なり領域46の存在によって、
図1~
図3に示す実施形態のおむつ1と同様に、着用者が足を動かしやすくなっている。
【0047】
図5及び
図6に示す実施形態においても、内層シート31の全域に着色領域35が配されており、外層シート32は光透過性を有している。そして、外層シート32と内層シート31とが重なる重なり領域45においては、内層シート31の着色領域35の色が透けて見え、非重なり領域46においては外層シート32の色が直接見える。このような構成により、おむつ1’においても、重なり領域45と非重なり領域46とは、外部から視認したときの色が異なっている。したがって、本実施形態のおむつ1’においても、
図1~
図4に示す実施形態のおむつ1と同様に、保護者や介護者等は、本実施形態のおむつ1’の着用者が足を動かしやすいか否かを容易に判断することができる。
図5及び
図6に示す実施形態のように、外層シート32を、内層シート31における股下領域C側の端縁31cから延出させて非重なり領域46を形成した場合においても、内層シート31に代えて外層シート32が着色領域35を有していてもよく、内層シート31及び外層シート32が着色領域35を有していてもよい。例えば、一方のシートを、緑、赤、青等の濃い色とする一方、他方のシートを、薄緑、薄赤、薄青等の淡い色としてもよい。一方のシートの色と他方をシートの色とは同一系色の色でも異系統の色でも良い。
【0048】
次に、上述した各実施形態に共通する事項について説明する。
表面シート21としては、液透過性を有するシート、例えば不織布や穿孔フィルムなどを用いることができる。表面シートは、その肌対向面側が凹凸形状になっていてもよい。例えば表面シートの肌対向面側に、散点状に複数の凸部を形成することができる。あるいは、表面シートの肌対向面側に、一方向に延びる畝部と溝部とを交互に形成することができる。そのような目的のために、2枚以上の不織布を用いて表面シート21を形成することもできる。
【0049】
一方、裏面シート22としては、例えば液難透過性のフィルムやスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド積層不織布などを用いることができる。液難透過性のフィルムに、複数の微細孔を設け、該フィルムに水蒸気透過性を付与してもよい。吸収性物品の肌触り等を一層良好にする目的で、裏面シートの外面に不織布等の風合いの良好なシートを積層してもよい。
【0050】
吸収体23は、吸収性コアを備えている。吸収性コアは例えばパルプを初めとするセルロース等の親水性繊維の積繊体、該親水性繊維と吸収性ポリマーとの混合積繊体、吸収性ポリマーの堆積体、2枚の吸収性シート間に吸収性ポリマーが担持された積層構造体などから構成される。吸収性コアは、少なくともその肌対向面が液透過性のコアラップシートで覆われていてもよく、肌対向面及び非肌対向面を含む表面の全域がコアラップシートで覆われていてもよい。コアラップシートとしては、例えば親水性繊維からなる薄葉紙や、液透過性を有する不織布などを用いることができる。
【0051】
上述の表面シート21、裏面シート22及び吸収体23に加え、吸収性本体2には、パンツ型使い捨ておむつの具体的な用途に応じ、肌対向面側の長手方向に沿う両側部に、長手方向に沿って延びる防漏カフが配される場合がある。防漏カフは一般に、基端部と自由端とを備えている。防漏カフは、使い捨ておむつの肌対向面側に基端部を有し、肌対向面側から起立している。防漏カフは、液抵抗性ないし撥水性で且つ通気性の素材から構成されている。防漏カフの自由端又はその近傍には、糸ゴム等からなる弾性部材を伸長状態で配してもよい。パンツ使い捨ておむつの着用状態においてこの弾性部材が収縮することによって、防漏カフが着用者の身体に向けて起立するようになり、表面シート上に排泄された液が、表面シート上を伝いパンツ型使い捨ておむつの幅方向外方へ漏れ出すことが効果的に阻止される。
【0052】
以上、本発明のパンツ型使い捨ておむつを、その好ましい一実施形態に基づいて説明してきたが、本発明の積層不織布は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明のパンツ型使い捨ておむつは、腹側外装体3Aと背側外装体3Bとが同様の構成を有するものに限られない。腹側外装体3A及び背側外装体3Bのいずれか一方のみが、前述した構成を有していてもよい。
【0053】
また、上述した実施形態においては、内層シート31が着色領域35を有していたが、本発明のパンツ型使い捨ておむつにおいては、外層シート32が着色領域35を有していてもよいし、外層シート32及び内層シート31の両方が着色領域35を有していてもよい。重なり領域45と非重なり領域46とを視覚的に区別しやすくする観点からは、外層シート32及び内層シート31のうち、いずれか一方のみが着色領域35を有していることが好ましい。
【0054】
また、内層シート31又は外層シート32が有する着色領域35の色は特に制限されない。また着色領域35は、複数の領域に分割されていてもよい。この場合、複数の領域それぞれは、色、形状等が異なっていてもよいし、同じであってもよい。
着色領域35は、文字、図形及び記号等であってもよい。また着色領域35は、該着色領域35の全域が無模様一色であってもよい。
【0055】
また、外層シート32と内層シート31との接合部36が前記接合部列36Rを形成している場合、該接合部列36Rを構成する接合部36どうしは、幅方向Yの位置がずれていてもよい。例えば、接合部36は、千鳥状に配されていてもよい。
また接合部36は、長手方向Xに連続していてもよい。
接合部36を形成する方法は特に制限されず、例えば、外層シート32又は内層シート31に接着剤等を塗布することに形成してもよいし、熱、超音波等により、外層シート32及び内層シート31を互いに融着させることにより形成してもよい。
【0056】
また接合領域43が、重なり領域45及び非重なり領域46を含んでいてもよい。この場合、接合領域43と重なり領域45とが重なる領域において、腹側外装体3A又は背側外装体3Bと吸収性本体2とは、ホットメルト接着剤で接合されていることが好ましい。腹側外装体3A又は背側外装体3Bと吸収性本体2とは、接合領域43と重なり領域45とが重なる領域の全域においてホットメルト接着剤で接合されていてもよいし、接合領域43と重なり領域45とが重なる領域の一部においてホットメルト接着剤で接合されていてもよい。重なり領域45における吸収性本体2と重なっていない領域において、外層シート32と内層シート31とは熱接合で接合されていることが好ましい。積層領域41と非重なり領域46とが重なる領域において、腹側外装体3A又は背側外装体3Bと吸収性本体2とは熱接合で接合されていることが好ましい。腹側外装体3A又は背側外装体3Bと吸収性本体2とは、積層領域41と非重なり領域46とが重なる領域の全域においては熱接合で接合されていてもよいし、積層領域41と非重なり領域46とが重なる領域の一部においては熱接合で接合されていてもよい。
【0057】
積層領域41と重なり領域45とが重なる領域において、腹側外装体3A又は背側外装体3Bと吸収性本体2とがホットメルト接着剤で接合されており、重なり領域45における吸収性本体2と重なっていない領域において、外層シート32と内層シート31とが熱接合で接合されており、積層領域41と非重なり領域46とが重なる領域において、腹側外装体3A又は背側外装体3Bと吸収性本体2が熱接合で接合されていることの利点は、以下のとおりである。重なり領域の収縮力がホットメルト接着剤で接合されるときよりも熱接合での方が妨げられないので体の動きに追従しやすい。
【0058】
本発明は更に以下の付記を開示する。
<1>
着用者の前後方向に対応する長手方向と該長手方向に直交する幅方向とを有し、腹側領域及び背側領域と、該腹側領域と該背側領域との間に位置する股下領域とを備え、吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配される外装体とを有するパンツ型使い捨ておむつであって、
前記外装体は、前記腹側領域に配される腹側外装体と、前記背側領域に配される背側外装体とを含み、
前記腹側外装体又は前記背側外装体は、前記パンツ型使い捨ておむつの外面を形成する外層シートと、該外層シートの肌対向面側に配された内層シートとを有し、
前記腹側外装体又は前記背側外装体は、前記外層シート及び前記内層シートが厚み方向に重なった重なり領域と、前記外層シート及び前記内層シートのうちいずれか一方のシートが、他方のシートにおける前記股下領域側の端縁から該股下領域側に延出している非重なり領域とを有し、前記重なり領域と前記非重なり領域とは剛性が異なり、
前記外層シート又は前記内層シートは、着色された着色領域を有し、前記重なり領域と前記非重なり領域とは色差が1.5以上である、パンツ型使い捨ておむつ。
【0059】
<2>
前記腹側外装体又は前記背側外装体は、前記吸収性本体と重なる領域を有し、該領域は、該外装体と該吸収性本体とが接合された接合領域と、該接合領域よりも前記股下領域側に位置し且つ該外装体と該吸収性本体とが接合されていない非接合領域とを有し、
前記非接合領域は、前記非重なり領域を含んでいる、前記<1>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<3>
前記非接合領域は、前記非重なり領域に加えて、前記重なり領域を含んでいる前記<2>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<4>
前記腹側外装体又は前記背側外装体は、前記外層シート及び前記内層シートが前記幅方向に間欠的に接合されている、前記<1>~<3>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【0060】
<5>
前記腹側外装体の前記長手方向に沿う両側部と、前記背側外装体の前記長手方向に沿う両側部とが接合されて一対のサイドシール部が形成されており、
前記サイドシール部において、前記腹側外装体又は前記背側外装体の前記両側部は、前記非重なり領域が非肌対向面側に折り返されて接合されている、前記<1>~<4>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<6>
前記一対のサイドシール部の少なくとも一部において、前記背側外装体における前記折り返された部分が、該背側外装体における折り返されていない部分に、接合されている、前記<5>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<7>
前記吸収性本体は、吸収体と、該吸収体の肌対向面側を覆う表面シートと、該吸収体の非肌対向面側を覆う裏面シートとを有し、
前記非重なり領域と、前記裏面シートとは色差が15以下である、前記<1>~<6>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<8>
前記重なり領域の剛性に対する前記非重なり領域の剛性との比率が0.28以上0.98以下、好ましくは0.49以上0.56以下である、前記<1>~<7>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【0061】
<9>
前記腹側外装体の前記長手方向外方の端縁から、該腹側領域の前記重なり領域の前記股下領域側の端縁までの距離Wsに対する、該長手方向における該腹側領域の該重なり領域の長さW1と、該長手方向における該腹側領域の前記非重なり領域の長さW2との差W1-W2の比(W1-W2/Ws)が、1.2%以上11%以下、好ましくは1.4%以上9%以下である、前記<1>~<8>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<10>
前記背側外装体の前記長手方向外方の端縁から、該背側領域の前記重なり領域の前記股下領域側の端縁までの距離Wtに対する、該長手方向における該背側領域の該重なり領域の長さW3と、該長手方向における該背側領域の前記非重なり領域の長さW4との差W3-W4の比(W3-W4/Ws)が、1.2%以上10.5%以下、好ましくは1.4%以上8.5%以下である、前記<1>~<9>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<11>
前記外装体は、前記腹側外装体と前記背側外装体とに分割されている、前記<1>~<10>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<12>
前記背側外装体において、前記外層シートと前記内層シートは間欠に接合されている、前記<1>~<11>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【0062】
<13>
前記外層シートが前記内層シートよりも前記長手方向の長さが長く、前記外層シートが前記着色領域を有する、前記<1>~<12>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<14>
前記外層シートが前記内層シートよりも前記長手方向の長さが長く、前記内層シートが前記着色領域を有する、前記<1>~<12>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<15>
前記内層シートが前記外層シートよりも前記長手方向の長さが長く、前記外層シートが前記着色領域を有する、前記<1>~<12>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<16>
前記内層シートが前記外層シートよりも前記長手方向の長さが長く、前記内層シートが前記着色領域を有する、前記<1>~<12>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<17>
前記内層シートの全域に前記着色領域が配されており、前記外層シートは光透過性を有している、前記<1>~<12>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【0063】
<18>
前記内層シートと前記外層シートの間に弾性部材が配置されており、
前記外層シートと前記内層シートが、前記幅方向に並んで前記長手方向に間隔を空けた複数の接合部より接合されており、
前記弾性部材は前記長手方向に隣り合う前記複数の接合部の間に配置されている、前記<1>~<17>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<19>
前記着色領域は、文字、図形及び記号のいずれか一を有する、前記<1>~<18>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<20>
前記着色領域のL*値の値が56~96、a*値の値が-70~-40、b*値の値が-20~30であることが好ましい、前記<1>~<19>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<21>
前記裏面シートのデザインを除く背景色がL*値の値が56~96、a*値の値が-70~-40、b*値の値が-20~30であることが好ましい、前記<1>~<20>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【0064】
<22>
前記腹側外装体における前記長手方向外方の端縁の位置と、前記背側外装体における該長手方向外方の端縁の位置とを一致させたときに、
前記背側外装体の方が前記腹側外装体よりも、前記股下領域側の端部が、前記股下領域側に位置している、前記<1>~<21>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<23>
前記腹側外装体又は前記背側外装体と前記吸収性本体とが重なる積層領域を有し、
前記積層領域と前記重なり領域とが重なる領域において、前記腹側外装体又は前記背側外装体と前記吸収性本体とはホットメルト接着剤で接合されており、
前記重なり領域における前記吸収性本体と重なっていない領域において、前記外層シートと前記内層シートとは熱接合で接合されており、
前記積層領域と前記非重なり領域とが重なる領域において、前記腹側外装体又は前記背側外装体と前記吸収性本体は熱接合で接合されている、前記<1>~<22>のいずれか一に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【符号の説明】
【0065】
1,1’ パンツ型使い捨ておむつ
2 吸収性本体
21 表面シート
22 裏面シート
23吸収体
3 外装体
3A 腹側外装体
3B 背側外装体
31 内層シート
32 外層シート
35 着色領域
33 弾性部材
41 積層領域
42 非積層領域
43 接合領域
44 非接合領域
45 重なり領域
46 非重なり領域
A 腹側領域
B 背側領域
C 股下領域
X 長手方向
Y 幅方向