(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】撮影装置及び撮影方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/55 20230101AFI20250109BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20250109BHJP
G03B 15/02 20210101ALI20250109BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20250109BHJP
【FI】
H04N23/55
G03B15/00 T
G03B15/02
G03B15/02 S
H04N23/56
(21)【出願番号】P 2021097821
(22)【出願日】2021-06-11
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 翔悟
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-006242(JP,A)
【文献】特開2002-170799(JP,A)
【文献】国際公開第2020/065850(WO,A1)
【文献】特開2014-157106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/55
G03B 15/00
G03B 15/02
H04N 23/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置と、
前記照明装置から照射された光を反射するハーフミラーと、
平面ミラーと、
前記ハーフミラーで反射し、前記平面ミラー又は透明体でさらに反射した後、前記ハーフミラーを通過した光を集光するテレセントリックレンズと、
前記テレセントリックレンズにより集光された光を受光する撮像部と、
を備え、
前記ハーフミラーの反射面と仮想基準平面とのなす狭角は略45度であり、前記テレセントリックレンズの光軸と前記仮想基準平面とは略垂直であり、
前記撮像部から前記仮想基準平面の垂線方向で前記平面ミラー及び前記透明体を見たときに前記透明体の影が前記透明体によって隠れるように、前記平面ミラーの反射面が前記仮想基準平面に対して傾く、撮影装置。
【請求項2】
前記平面ミラーの反射面と前記仮想基準平面とのなす狭角は0.5度以上1.5度以下である、請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
仮想基準平面と平行な光を照射する照明装置と、
前記照明装置から照射された光を反射するハーフミラーと、
平面ミラーと、
前記ハーフミラーで反射し、前記平面ミラー又は透明体でさらに反射した後、前記ハーフミラーを通過した光を集光するテレセントリックレンズと、
前記テレセントリックレンズにより集光された光を受光する撮像部と、
を備え、
前記平面ミラーの反射面は前記仮想基準平面と平行であり、
前記撮像部から前記仮想基準平面の垂線方向で前記平面ミラー及び前記透明体を見たときに前記透明体の影が前記透明体によって隠れるように、前記ハーフミラーの反射面が前記仮想基準平面とのなす狭角が45度の方向に対して傾き、前記テレセントリックレンズの光軸が前記仮想基準平面の垂線方向に対して傾く、撮影装置。
【請求項4】
前記ハーフミラーの反射面と前記仮想基準平面とのなす狭角は43.5度以上44.5度以下であり、前記テレセントリックレンズの光軸は前記仮想基準平面の垂線方向に対して0.5度以上1.5度以下傾く、請求項3に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記平面ミラーと前記透明体との間の距離は、前記テレセントリックレンズと前記透明体との距離より短い、請求項1~4のいずれか一項に記載の撮影装置。
【請求項6】
照明装置から照射された光をハーフミラーで反射し、平面ミラー又は透明体でさらに反射した後、前記ハーフミラーを通過した光をテレセントリックレンズで集光する集光工程と、
前記テレセントリックレンズにより集光された光を撮像部で受光する受光工程と、
を備え、
前記ハーフミラーの反射面と仮想基準平面とのなす狭角は略45度であり、前記テレセントリックレンズの光軸と前記仮想基準平面とは略垂直であり、
前記撮像部から前記仮想基準平面の垂線方向で前記平面ミラー及び前記透明体を見たときに前記透明体の影が前記透明体によって隠れるように、前記平面ミラーの反射面が前記仮想基準平面に対して傾く、撮影方法。
【請求項7】
照明装置から照射された仮想基準平面と平行な光をハーフミラーで反射し、平面ミラー又は透明体でさらに反射した後、前記ハーフミラーを通過した光をテレセントリックレンズで集光する集光工程と、
前記テレセントリックレンズにより集光された光を撮像部で受光する受光工程と、
を備え、
前記平面ミラーの反射面は前記仮想基準平面と平行であり、
前記撮像部から前記仮想基準平面の垂線方向で前記平面ミラー及び前記透明体を見たときに前記透明体の影が前記透明体によって隠れるように、前記ハーフミラーの反射面が仮想基準平面とのなす狭角が45度の方向に対して傾き、前記テレセントリックレンズの光軸が前記仮想基準平面の垂線方向に対して傾く、撮影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス等の透明体を撮影する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス等の透明体の位置を透明体の撮影画像を用いて測定する場合、一般的にはカメラからみて透明体の向こう側に、平行度の高い光を照射する照明装置を設置する。平行度の低い光を透明体に照射すると、
図1Aに示すように透明体の内部を通ってカメラに到達する光があるせいで、コントラストの高い画像が得られないためである。
【0003】
裏を返せば、平行度の高い光を透明体に照射することで、コントラストの高い画像を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、平行度の高い光を透明体に照射するためには、
図1Bに示すようにコリメータレンズを用いたり、
図1Cに示すように照明装置から透明体までの光路長を長くする必要があり、カメラから見て透明体の向こう側に大きな空間が必要となる。これにより、撮影装置を含む設備の設計自由度が損なわれていた。
【0006】
なお、特許文献1で開示されている形状測定装置は、ウェハのエッジと測定領域の表面形状とを測定しており、ガラス等の透明体を測定対象としていない。つまり、特許文献1には、ガラス等の透明体を撮影対象とした場合にコントラストの高い画像を得ることができる撮影技術は開示されていない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて、撮像部から見て透明体の向こう側の必要空間が小さくて済み且つコントラストの高い画像を得ることができる撮影技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1局面に係る撮影装置は、照明装置と、前記照明装置から照射された光を反射するハーフミラーと、平面ミラーと、前記ハーフミラーで反射し、前記平面ミラー又は透明体でさらに反射した後、前記ハーフミラーを通過した光を集光するテレセントリックレンズと、前記テレセントリックレンズにより集光された光を受光する撮像部と、を備え、前記ハーフミラーの反射面と仮想基準平面とのなす狭角は略45度であり、前記テレセントリックレンズの光軸と前記仮想基準平面とは略垂直であり、前記撮像部から前記仮想基準平面の垂線方向で前記平面ミラー及び前記透明体を見たときに前記透明体の影が前記透明体によって隠れるように、前記平面ミラーの反射面が前記仮想基準平面に対して傾く構成(第1の構成)である。
【0009】
上記第1の構成の撮影装置において、前記平面ミラーの反射面と前記仮想基準平面とのなす狭角は0.5度以上1.5度以下である構成(第2の構成)であってもよい。
【0010】
本発明の第2局面に係る撮影装置は、仮想基準平面と平行な光を照射する照明装置と、前記照明装置から照射された光を反射するハーフミラーと、平面ミラーと、前記ハーフミラーで反射し、前記平面ミラー又は透明体でさらに反射した後、前記ハーフミラーを通過した光を集光するテレセントリックレンズと、前記テレセントリックレンズにより集光された光を受光する撮像部と、を備え、前記平面ミラーの反射面は前記仮想基準平面と平行であり、前記撮像部から前記仮想基準平面の垂線方向で前記平面ミラー及び前記透明体を見たときに前記透明体の影が前記透明体によって隠れるように、前記ハーフミラーの反射面が前記仮想基準平面とのなす狭角が45度の方向に対して傾き、前記テレセントリックレンズの光軸が前記仮想基準平面の垂線方向に対して傾く構成(第3の構成)である。
【0011】
上記第3の構成の撮影装置において、前記ハーフミラーの反射面と前記仮想基準平面とのなす狭角は43.5度以上44.5度以下であり、前記テレセントリックレンズの光軸は前記仮想基準平面の垂線方向に対して0.5度以上1.5度以下傾く構成(第4の構成)であってもよい。
【0012】
上記第1~第4いずれかの構成の撮影装置において、前記平面ミラーと前記透明体との間の距離は、前記テレセントリックレンズと前記透明体との距離より短い構成(第5の構成)であってもよい。
【0013】
本発明の第3局面に係る撮影方法は、照明装置から照射された光をハーフミラーで反射し、平面ミラー又は透明体でさらに反射した後、前記ハーフミラーを通過した光をテレセントリックレンズで集光する集光工程と、前記テレセントリックレンズにより集光された光を撮像部で受光する受光工程と、を備え、前記ハーフミラーの反射面と仮想基準平面とのなす狭角は略45度であり、前記テレセントリックレンズの光軸と前記仮想基準平面とは略垂直であり、前記撮像部から前記仮想基準平面の垂線方向で前記平面ミラー及び前記透明体を見たときに前記透明体の影が前記透明体によって隠れるように、前記平面ミラーの反射面が前記仮想基準平面に対して傾く構成(第6の構成)である。
【0014】
本発明の第4局面に係る撮影方法は、照明装置から照射された仮想基準平面と平行な光をハーフミラーで反射し、平面ミラー又は透明体でさらに反射した後、前記ハーフミラーを通過した光をテレセントリックレンズで集光する集光工程と、前記テレセントリックレンズにより集光された光を撮像部で受光する受光工程と、を備え、前記平面ミラーの反射面は前記仮想基準平面と平行であり、前記撮像部から前記仮想基準平面の垂線方向で前記平面ミラー及び前記透明体を見たときに前記透明体の影が前記透明体によって隠れるように、前記ハーフミラーの反射面が仮想基準平面とのなす狭角が45度の方向に対して傾き、前記テレセントリックレンズの光軸が前記仮想基準平面の垂線方向に対して傾く構成(第7の構成)である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、撮像部から見て透明体の向こう側の必要空間が小さくて済み且つコントラストの高い画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】透明体を撮影する一般的な撮影装置の概略構成例を示す図
【
図1B】透明体を撮影する一般的な撮影装置の他の概略構成例を示す図
【
図1C】透明体を撮影する一般的な撮影装置のさらに他の概略構成例を示す図
【
図2】第1実施形態に係る撮影装置の概略構成例を示す図
【
図4】比較例に係る撮影装置を用いて撮影された撮影画像の一例を示す図
【
図5】第1実施形態に係る撮影装置を用いて撮影された撮影画像の一例を示す図
【
図6】第1実施形態に係る撮影装置を用いた撮影の手順を示すフローチャート
【
図7】第2実施形態に係る撮影装置の概略構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
<第1実施形態>
図2は、第1実施形態に係る撮影装置の概略構成例を示す図である。第1実施形態に係る撮影装置11は、照明装置1と、ハーフミラー2と、平面ミラー3と、テレセントリックレンズ4と、撮像部5と、を備える。
【0019】
第1実施形態に係る撮影装置11は、ガラス等の透明体6を撮影する。
【0020】
仮想基準平面7は、X軸方向及びY軸方向に沿って広がる平面である。仮想基準平面7の垂線はZ軸方向に平行である。Z軸方向の負の向きは例えば鉛直方向にしてもよいが、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向はこの例示に限定されない。
【0021】
Z軸方向において、撮像部5、テレセントリックレンズ4、ハーフミラー2、及び平面ミラー3が順に配置される。透明体6は、搬送装置(不図示)によって、ハーフミラー2と平面ミラー3との間の位置に搬送される。照明装置1及びハーフミラー2はX軸方向に並ぶ。
【0022】
照明装置1は、複数の光源1Aと、拡散板1Bと、を備える。光源1Aとしては、例えばLED(Light Emitting Diode)を用いることができる。
【0023】
照明装置1から照射される光は、概ね仮想基準平面7と平行な光であるが、拡散板1Bによって拡散しているので、厳密な平行光ではない。なお、照明装置1から照射される光が厳密な平行光である場合は撮像部5に光が届かないため、照明装置1から照射される光は、平行度の低い光にする必要がある。
【0024】
ハーフミラー2は、照明装置1から照射された光を反射する。
【0025】
テレセントリックレンズ4は、ハーフミラー2で反射し、平面ミラー3又は透明体6でさらに反射した後、ハーフミラー2を通過した光を集光する。テレセントリックレンズ4は、テレセントリックレンズ4の光軸に平行な光のみを撮像部5に導く。
【0026】
撮像部5は、テレセントリックレンズ4により集光された光を受光する。撮像部5としては、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等を用いることができる。
【0027】
ハーフミラー2の反射面と仮想基準平面7とのなす狭角βは略45度である。略45度とは、設計値としては45度であるが、45±1度程度までは許容されることを意味する。
【0028】
テレセントリックレンズ4の光軸と仮想基準平面7とは略垂直である。略垂直とは、設計値としては90度であるが、90±1度程度までは許容されることを意味する。
【0029】
ここで、
図3に示す比較例に係る撮影装置11’について説明する。
図3に示す比較例に係る撮影装置11’は、第1実施形態に係る撮影装置11と同様にハーフミラー2を用いることで撮像部5から見て透明体6の向こう側の必要空間を小さくしている。
図3に示す比較例に係る撮影装置11’は、照明装置1’から照射される光が平行光であり且つテレセントリックレンズ4の光軸が平面ミラー3に対して垂直であるように設計されている点で第1実施形態に係る撮影装置11と異なる。しかしながら、
図3に示す比較例に係る撮影装置11’では、各部品の配置の誤差により、テレセントリックレンズ4の光軸が平面ミラー3に対して垂直になっていない場合や照明装置1’から照射される平行光の平行度が低い場合、ハーフミラー2で反射して平面ミラー3へ向かう光が透明体6から離れながら平面ミラー3へ向かうと、透明体6の影が撮影されてしまう。その結果、透明体6の撮影画像は
図4に示すようになる。
図4に示す撮影画像の第1部分P1’は、平面ミラー3で反射した光LT1に対応する部分である。
図4に示す撮影画像の第2部分P2’は、透明体6のエッジ部で反射した光LT2に対応する部分である。
図4に示す撮影画像の第3部分P3’は、透明体6の仮想基準平面7に平行な面で反射した光LT3に対応する部分である。
図4に示す撮影画像の第4部分P4’は、平面ミラー3に映っている透明体6の影SD1に対応する部分である。第4部分P4’と第2部分P2’との境界が、透明体6の外形である。しかしながら、第4部分P4’が透明体6の影に対応する部分であるため、第4部分P4’と第2部分P2’とのコントラストは低い。第4部分P4’と第2部分P2’とのコントラストは低いが低いと、第4部分P4’と第2部分P2’との境界が不明瞭となり、透明体6の外形が不明瞭となる。つまり、透明体6の外形が明瞭となるコントラストの高い画像を得るためには、透明体6の影が撮影画像に映らないようにする必要がある。そこで、透明体6の影が撮影画像に映らないようにするために、第1実施形態に係る撮影装置11では、撮像部5から仮想基準平面7の垂線方向で平面ミラー3及び透明体6を見たときに透明体6の影が透明体6によって隠れるように、つまり、ハーフミラー2で反射して透明体6から近づきながら平面ミラー3へ向かう光が平面ミラー3で反射してテレセントリックレンズ4の光軸に平行になるように、平面ミラー3の反射面が仮想基準平面7に対して傾く。撮像部5から仮想基準平面7の垂線方向で平面ミラー3及び透明体6を見たときに透明体6の影が透明体6によって隠れるようにしているため、平面ミラー3で反射した光に対応する部分と透明体6のエッジ部で反射した光に対応する部分との境界においてコントラストが高く、平面ミラー3で反射した光に対応する部分と透明体6のエッジ部で反射した光に対応する部分との境界が明瞭であり、透明体6の外形が明瞭となる画像を得ることができる。そして、上述した通り、ハーフミラー2の反射面と仮想基準平面7とのなす狭角βの誤差、及びテレセントリックレンズ4の光軸と仮想基準平面7とのなく角度の誤差が許容される。これにより、ハーフミラー2等の位置調整機構を廃止又は簡略化できるので、低コスト化を図ることができる。また、誤差が許容されることにより、第1実施形態に係る撮影装置11を組み立てる際の手間、第1実施形態に係る撮影装置11をメンテナンスする際の手間を軽減することができる。
【0030】
撮像部5から仮想基準平面7の垂線方向で平面ミラー3及び透明体6を見たときに透明体6の影SD1が透明体6によって隠れるので、透明体6の撮影画像は
図5に示すようになる。
【0031】
図5に示す撮影画像の第1部分P1は、平面ミラー3で反射した光LT1に対応する部分である。
図5に示す撮影画像の第2部分P2は、透明体6のエッジ部で反射した光LT2に対応する部分である。
図5に示す撮影画像の第3部分P3は、透明体6の仮想基準平面7に平行な面で反射した光LT3に対応する部分である。撮影画像の第1部分P1と第2部分P2との境界が、透明体6の外形である。
【0032】
第1実施形態に係る撮影装置11は、
図1A~
図1Cに示す撮影装置とは異なり、平行度の高い光を透明体6に照射しなくてよいため、撮像部5から見て透明体6の向こう側に大きな空間を必要としない。これにより、撮影装置を含む設備の設計自由度が高くなる。
【0033】
平面ミラー3の反射面と仮想基準平面7とのなす狭角αは0.5度以上1.5度以下であることが望ましい。平面ミラー3の反射面と仮想基準平面7とのなす狭角αを0.5度以上1.5度以下にすることで、撮像部5から見て透明体6の向こう側の空間占有を抑制して第1実施形態に係る撮影装置11の大型化を抑えることができる。なお、平面ミラー3は、X軸方向において透明体6から離れるほどZ軸方向においても透明体6から離れるように傾いている。平面ミラー3をX軸方向において透明体6から離れるほどZ軸方向においても透明体6から離れるように傾けることで、撮像部5から仮想基準平面7の垂線方向で平面ミラー3及び透明体6を見たときに透明体6の影を透明体6によって隠すことができる。したがって、
図5に示す撮影画像を得ることができる。逆に、平面ミラー3をX軸方向において透明体6から離れるほどZ軸方向において透明体6に近づくように傾けた場合には、撮像部5から仮想基準平面7の垂線方向で平面ミラー3及び透明体6を見たときに透明体6の影が透明体6からはみ出てしまい、
図5に示す撮影画像を得ることができず、
図4に示す撮影画像と同じような撮影画像しか得ることができない。
【0034】
また、平面ミラー3と透明体6との間の距離L1は、テレセントリックレンズ4と透明体6との距離L2より短いことが望ましい。これにより、撮影装置を含む設備の設計自由度をより一層高くすることができる。
【0035】
図6は、第1実施形態に係る撮影装置11を用いた撮影の手順を示すフローチャートである。
【0036】
まず初めに、搬送装置(不図示)が透明体6をハーフミラー2と平面ミラー3との間の位置に搬送する(ステップS10)。
【0037】
次に、照明装置1が光を照射する(ステップS20)。なお、ステップS10よりも前にステップS20の処理を開始してもよい。
【0038】
ステップS20に続くステップS30において、テレセントリックレンズ4が光を集光する。そして、撮像部5がテレセントリックレンズ4により集光された光を受光する(ステップS40)。ステップS40の処理が完了すると、撮影が終了する。
【0039】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態に係る撮影装置の概略構成例を示す図である。第2実施形態に係る撮影装置12において第1実施形態に係る撮影装置11と同様の部分については適宜説明を省略し、第2実施形態に係る撮影装置12において第1実施形態に係る撮影装置11と異なる部分について以下に説明する。
【0040】
照明装置1は、複数の光源1Aと、コリメータレンズ1Cと、を備える。照明装置1から照射される光は、仮想基準平面7と平行な光である。
【0041】
平面ミラー3の反射面は仮想基準平面7と平行である。
【0042】
撮像部5から仮想基準平面7の垂線方向で平面ミラー3及び透明体6を見たときに透明体6の影が透明体6によって隠れるように、ハーフミラー2の反射面が仮想基準平面7とのなす狭角が45度の方向に対して傾き、テレセントリックレンズ4の光軸が仮想基準平面7の垂線方向に対して傾く。撮像部5から仮想基準平面7の垂線方向で平面ミラー3及び透明体6を見たときに透明体6の影が透明体6によって隠れるようにしているため、コントラストの高い画像を得ることができる。
【0043】
第2実施形態に係る撮影装置12は、
図1A~
図1Cに示す撮影装置とは異なり、平行度の高い光を透明体6に照射しなくてよいため、撮像部5から見て透明体6の向こう側に大きな空間を必要としない。これにより、撮影装置を含む設備の設計自由度が高くなる。
【0044】
ハーフミラー2の反射面と仮想基準平面7とのなす狭角βは43.5度以上44.5度以下であり、テレセントリックレンズ4の光軸AXは仮想基準平面7の垂線方向に対して0.5度以上1.5度以下傾く、すなわちテレセントリックレンズ4の光軸AXと仮想基準平面7の垂線方向とのなす狭角γは0.5度以上1.5度以下であることが望ましい。これにより、撮像部5から見て透明体6の向こう側の空間占有を抑制することで第2実施形態に係る撮影装置12の大型化を抑えつつ、撮像部5から仮想基準平面7の垂線方向で平面ミラー3及び透明体6を見たときに透明体6の影が透明体6によって隠れるようにすることができる。
【0045】
<適用例>
第1実施形態に係る撮影装置11及び第2実施形態に係る撮影装置12は、例えば透明体6の位置を測定する位置測定装置に適用することができる。
図8は、位置測定装置の概略構成例を示す図である。
【0046】
位置測定装置13は、第1実施形態に係る撮影装置11と、画像処理部14と、を備える。画像処理部14は、第1実施形態に係る撮影装置11から出力される撮影画像のデータを画像処理して、撮影画像における透明体6の外形を示す座標を検出し、その検出結果に基づいて透明体6の位置を測定する。
【0047】
なお、位置測定装置13では第1実施形態に係る撮影装置11を用いたが、第1実施形態に係る撮影装置11の代わりに第2実施形態に係る撮影装置12を用いてもよい。
【0048】
<留意点>
上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0049】
1 照明装置
1A 光源
1B 拡散板
1C コリメータレンズ
2 ハーフミラー
3 平面ミラー
4 テレセントリックレンズ
5 撮像部
6 透明体
7 仮想基準平面
11 第1実施形態に係る撮影装置
12 第2実施形態に係る撮影装置
13 位置測定装置
14 画像処理部