(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】容器ホルダー
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20250109BHJP
A47K 5/12 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B65D83/00 K
A47K5/12 B
(21)【出願番号】P 2021102003
(22)【出願日】2021-06-18
【審査請求日】2024-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509334170
【氏名又は名称】花王プロフェッショナル・サービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤波 進
(72)【発明者】
【氏名】本間 薫
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01151710(EP,A1)
【文献】実開平01-170469(JP,U)
【文献】特開2015-067324(JP,A)
【文献】実開昭62-109760(JP,U)
【文献】実開昭58-130971(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
A47K 5/12-5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスペンサーを備える容器を保持可能な容器ホルダーであって、
前記容器の非可動部を支持する支持部と、ディスペンサー操作部とを備え、
前記ディスペンサー操作部は、第1軸に沿う第1方向にのみ移動可能な第1スライダと、該第1軸と交差する第2軸に沿う第2方向にのみ移動可能な第2スライダとを有し、
前記第1スライダ及び前記第2スライダは、該第1スライダの前記第1方向の一端部と、該第2スライダの前記第2方向の一端部とが、該第1方向に対して傾斜した面を介して、互いに接するように配されており、
前記第1スライダを前記第2スライダ側に向かって移動させることにより、該第1スライダが該第2スライダを押し且つ押された該第2スライダが
、傾くことなく移動し、前記ディスペンサーの押圧部を押
し下げることによって、該ディスペンサーから内容物が吐出されるようになされて
おり、
前記第1スライダを移動させるために使用者が押圧する押圧操作部が、前記第2方向と鉛直方向とを一致させた状態において、前記ディスペンサーの前記押圧部より上方に位置する、容器ホルダー。
【請求項2】
前記第2スライダ
は、前記容器を、前記押圧部が前記第2スライダの他端部と対向した状態となるように取り付けるのを容易とする傾斜片を備える、請求項1に記載の容器ホルダー。
【請求項3】
前記第1方向に対して傾斜した前記面は、該第1方向に対する傾斜角度αが15°以上75°以下である、請求項1又は2に記載の容器ホルダー。
【請求項4】
前記第1方向と前記第2方向とのなす角が85°以上95°以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の容器ホルダー。
【請求項5】
前記第1スライダは、少なくとも、該第1スライダの前記一端部における前記第2スライダとの接触面が樹脂からなり、
前記第2スライダは、少なくとも、該第2スライダの前記一端部における前記第1スライダとの接触面が樹脂からなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の容器ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポンプディスペンサー等の吐出具を取り付けて使用される容器を保持する容器ホルダーが知られている。例えば、特許文献1には、吐出具が取り付けられた容器を内部に収容して保持した状態で、壁面に固定される容器ホルダーが記載されている。同文献の容器ホルダーは、該容器ホルダーの背面に配された基板を有し、該基板が、トイレの壁面等に接着剤で固定された取付板に着脱自在に装着されるようになっている。また同文献の容器ホルダーは、該容器ホルダーの押圧部を鉛直方向下側に押圧することで、該押圧部の下端部が、該容器ホルダーの内部に収容された容器の被押圧部を鉛直方向下側に押圧する。被押圧部が押圧されることにより、容器のポンプが働き、該容器内の内容液がノズルから噴出される。
【0003】
また特許文献2には、吐出具が取り付けられた容器の口首部に外嵌合する係着部と、吸盤を有する固定部とを備える容器ホルダーが記載されている。同文献の容器ホルダーは、該容器ホルダーの係着部を容器の口首部に外嵌合させた状態で、化粧室の洗面台や浴室の壁面等に、固定部の吸盤を介して固定される。また同文献の容器ホルダーは、該容器ホルダーの押圧部を鉛直方向下側に押圧することで、てこ式に押圧子が作動し、容器のポンプヘッドが押圧され、吐出口から該容器の内容液が吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-156865号公報
【文献】特開2002-153393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1及び2の容器ホルダーは、壁面に固定された状態で、押圧部を鉛直方向下側に押圧することによって、該容器ホルダーが保持する容器内の内容液が吐出されるようになっている。したがって、容器内の内容液を吐出させるために容器ホルダーの押圧部を鉛直方向下側に押圧したときに、該容器ホルダーが壁から外れてしまう恐れがあり、該容器ホルダーを安定して操作することが困難である。
【0006】
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る容器ホルダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ディスペンサーを備える容器を保持可能な容器ホルダーを提供する。前記容器ホルダーは、前記容器の非可動部、好ましくは内容物を保持する容器本体を支持する支持部と、ディスペンサー操作部とを備えることが好ましい。前記ディスペンサー操作部は、第1軸に沿う第1方向にのみ移動可能な第1スライダと、該第1軸と交差する第2軸に沿う第2方向にのみ移動可能な第2スライダとを有することが好ましい。前記第1スライダ及び前記第2スライダは、該第1スライダの前記第1方向の一端部と、該第2スライダの前記第2方向の一端部とが、該第1方向に対して傾斜した面を介して、互いに接するように配されていることが好ましい。前記第1スライダを前記第2スライダ側に向かって移動させることにより、該第1スライダが該第2スライダを押し且つ押された該第2スライダが前記ディスペンサーの押圧部を押すことによって、該ディスペンサーから内容物が吐出されるようになされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作しやすく、容器の内容物を吐出させやすい容器ホルダーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る容器ホルダーに、容器を装着した状態の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す容器ホルダーのカバー部を閉じた状態における断面図であり、
図2(a)は、ディスペンサー操作部を操作する前の状態を示し、
図2(b)は、ディスペンサー操作部を操作した後の状態を示す。
【
図3】
図3は、容器を
図1に示す容器ホルダーに装着する操作を説明する斜視図である。
【
図4】
図4(a)は、
図1に示す容器ホルダーのディスペンサー操作部に用いた押圧方向変換部材の斜視図であり、
図4(b)は、
図4(b)の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の容器ホルダーを、その好ましい実施形態に基づき説明する。
図1に示す実施形態の容器ホルダー1は、ディスペンサー8を備える容器6を保持するホルダーであり、例えば、トイレ、浴室、洗面室等の壁面に固定されて使用される。壁面は、屋内の壁面に限られず、屋外の壁面でもよい。容器ホルダー1を固定する対象は、壁面以外でもよく、柱や樹木などに固定してもよい。容器6は、胴部62と口首部61とを備える容器本体60と、口首部61に装着されるディスペンサー8とを有する。より具体的には、ディスペンサー8は、口首部61に装着されるキャップ7と一体化されており、キャップ7を口首部61に螺合させることにより、容器本体60に取り付け可能となっている。ディスペンサー8は、鉛直方向に押圧されることで容器の内容物を吐出する。
【0011】
また容器6は、容器ホルダー1に保持されていない状態においては、ディスペンサー8の押圧部81を押圧することによって内容物を吐出可能であり、容器ホルダー1に保持されている状態においては、容器ホルダー1が備えるディスペンサー操作部4によって押圧部81を押圧されることによって内容物を吐出可能である。
容器6は、可動部と非可動部とを有する。可動部は、吐出操作を行ったときに動く部分である。非可動部は、吐出操作を行ったときに動かない部分である。
図2に示す容器6において、可動部は、ディスペンサー8の押圧部81、ピストン部82及びノズル部83を含み、非可動部は、容器本体60とキャップ7とを含む。
【0012】
容器ホルダー1は、
図1及び
図2に示すように、本体部11とカバー部3とを有する。本体部11とカバー部3とは、互いに係合する係合部12,31を有する。本体部11の係合部12とカバー部3の係合部31とは、下端においてピン結合されており、カバー部3は本体部11に対して回動可能となっている。カバー部3は、本体部11における容器6の収容部を覆っており、容器ホルダー1の外観、衛生面、いたずら防止等の向上に寄与する。
カバー部3を回動させ、すなわちカバー部3を開閉することにより、例えば、カバー部3を開いた状態とし、本体部11の前面部が開放された状態として、容器6の本体部11への取り付けや内容物が減った容器6の交換作業を行うことができ、またカバー部3を閉じた状態とし、本体部11の前面部がカバー部3で覆われた状態として、ディスペンサー操作部4による、容器6の内容物の吐出操作を行うことができる。
カバー部3は、本体部11に一部が連結された状態で開閉可能であるものに代えて、全体を本体部11から脱着自在であってもよい。カバー部3は、本体部11に一部が連結された状態で開閉可能であることが、カバー部3の脱落防止、開閉操作の容易等の観点から好ましい。
【0013】
本実施形態において、カバー部3は、押圧操作部32を有している。押圧操作部32は、本体部11に向かって突出する突出部32aを有し、カバー部3を閉じた状態において、その突出部32aが後述する第1スライダ41と接触している。押圧操作部32は、突出部32aと第1スライダ41との間が分離可能に接触している。押圧操作部32には、カバー部3から脱落しないように、カバー部3からの抜けを防止する突起等の抜け防止手段32bを設けることが好ましい。
【0014】
容器ホルダー1の本体部11は、背面部13と、該背面部13の周縁部に設けられた周壁部14とを有する。背面部13には、本体部11を、容器ホルダー1を壁面、柱等の固定対象物に固定する手段として貫通孔13aが形成されており、ねじ等の固定用の補助部材を用い貫通孔13aを介して本体部11を固定対象物に固定することができる。本体部11を、固定対象物に固定する手段としては、本体部11を固定対象物に固定し得る任意のものを採用でき、貫通孔13a及びねじ等に代えて、両面テープ等を用いて固定することもできる。ねじ等や両面テープ等の固定用の補助部材は、容器ホルダーから取り外しができても、できなくても良い。
【0015】
容器ホルダー1は、容器6の非可動部を支持する支持部20と、ディスペンサー操作部4とを備える。容器ホルダー1は、支持部20として、容器6に取り付けられたキャップ7に係合して該キャップ7の移動を拘束するキャップ拘束部21を有する。また、容器ホルダー1は、容器6を支持する支持部20として、容器6の底部が載置される底部受け部25を有する。
【0016】
キャップ拘束部21は、ディスペンサー操作部4による押圧部81の押圧時においても移動しないようにキャップ7を拘束する。キャップ拘束部21は、押圧部81の押圧からの解放時においてもキャップ7を拘束することが好ましい。
キャップ拘束部21は、容器ホルダー1の背面部13から突出して形成されている。キャップ拘束部21は、天面部22と、側面部23と、底部24とを有する。側面部23は、天面部22の周縁部から鉛直方向下側に向かって延設されている。底部24は、側面部23の下端部から、キャップ7に向かって延設されている。
【0017】
図示例について詳述すると、キャップ拘束部21の天面部22は、略U字状に切り欠かれた切り欠き部22aを有する。切り欠き部22aには、ディスペンサー8のピストン部82が挿入可能となっている。キャップ拘束部21の天面部22の鉛直方向下側の面は、キャップ拘束部21にキャップ7を取り付けたときに、キャップ7の天面部の鉛直方向上側の面と接触し、キャップ7の鉛直方向上側への移動が制限されるようになっている。
【0018】
キャップ拘束部21の底部24は、略U字状に切り欠かれた切り欠き部24aを有する。底部24の切り欠き部24aには、容器6の口首部61が挿入可能となっている。底部24の鉛直方向上側の面は、キャップ拘束部21にキャップ7を取り付けたときに、キャップ7の底部の鉛直方向下側の面と接触し、キャップ7の鉛直方向下側への移動が制限されるようになっている。
【0019】
キャップ拘束部21がキャップ7の移動を拘束することによって、該キャップ7が取り付けられた容器6を安定して保持することができる。例えば、容器ホルダー1を操作し、容器6の内容液を吐出させたときに、容器ホルダー1に保持された容器6のがたつきがおきにくい。更に、容器ホルダー1に保持された容器6の底部は、該容器ホルダー1の底部受け部25に載置されるので、該容器ホルダー1は容器6を安定して保持することができる。このように、本実施形態の容器ホルダー1によれば、保持された容器6の保持状態の安定性が向上する。
【0020】
ディスペンサー操作部4は、
図1、
図2及び
図4に示すように、第1軸L1に沿う第1方向Xにのみ移動可能な第1スライダ41と、該第1軸L1と交差する第2軸L2に沿う第2方向Yにのみ移動可能な第2スライダ42とを有する。第1軸L1は、第1スライダ41がスライド移動する方向を決める仮想軸であり、第2軸L2は、第2スライダ42がスライド移動する方向を決める仮想軸である。本実施形態の容器ホルダー1では、第1軸L1は水平方向に沿って延びる仮想軸であり、第2軸L2は鉛直方向に沿って延びる仮想軸である。第1スライダ41及び第2スライダ42は、それぞれ、軸方向に沿って延びる角柱状形状を有する。第1スライダ41の軸は第1軸L1と一致しており、第2スライダ42の軸は第2軸L2と一致している。第1スライダ41及び第2スライダ42は、中実体であってもよいが、省資源、軽量と強度との両立等の観点から中空体が好ましく、
図4(b)に示すように、一端が傾斜面45を形成する壁体で閉鎖された形状が好ましい。第1スライダ41及び第2スライダ42の形状は、略角筒状であるが、それに制限されない。
【0021】
本実施形態では、ディスペンサー操作部4は、第1スライダ41及び第2スライダ42それぞれの移動方向を規制するガイド部5を有している。ガイド部5は、第1スライダ41を第1方向Xにのみ移動可能とするとともに、第2スライダ42を第2方向Yにのみ移動可能とするものである。
ガイド部5は、第1スライダ41及び第2スライダ42を覆う筐体からなる。ガイド部5は、第1スライダ41の移動方向を規制する第1ガイド部51と、第2スライダ42の移動方向を規制する第2ガイド部52とを有する。第1ガイド部51の内部には、第1スライダ41が、該第1スライダ41の軸方向を第1方向Xに一致させた状態で配されている。第2ガイド部52の内部には、第2スライダ42が、該第2スライダ42の軸方向を第2方向Yに一致させた状態で配されている。
【0022】
第1スライダ41及び第2スライダ42の配置について詳述すると、第1スライダ41と第2スライダ42とは、第1スライダ41の第1方向Xの一端部41aと、第2スライダ42の第2方向Yの一端部42aとが、第1方向Xに対して傾斜した面45を介して、互いに接するように配されている。前記一端部41a及び前記一端部42aのいずれか一方又は両方が、第1方向Xに対して傾斜した面(以下、単に「傾斜面」とも言う。)45を有していてもよい。一方が傾斜面を有する場合、他方の外径斜面と接触する角部はRを有していてもよい。本実施形態では、前記一端部41a及び前記一端部42aの両方が傾斜面45を有し、傾斜面45が面接触するようになされている。
【0023】
本実施形態の容器ホルダー1には、例えば以下のようにして容器6を装着することができる。まず、
図3に示すように、容器6を傾けた状態で該容器6の底部の一部を容器ホルダー1の底部受け部25に載置する。次に、載置した容器6の底部を中心に該容器6を起こすように回転させる。そして、該容器6に装着されたキャップ7を、キャップ拘束部21に挿入し、容器6を容器ホルダー1に装着する。
【0024】
図3及び
図4(b)に示すように、第2スライダ42に、ディスペンサーの押圧部81に第2スライダの他端部42bが対向した状態に容器6を取り付けるのを容易とする傾斜片43が形成されていることが好ましい。傾斜片43は、第2スライダ42の他端部42b又はその付近に設けられている。第2スライダ42に傾斜片43が設けられていることの利点は、以下のとおりである。容器6を容器ホルダー1に装着しようとして、キャップ7に取り付けられたディスペンサー8の押圧部81が傾斜片43に接触したときに、該押圧部81が傾斜片43に沿って移動するので、キャップ7を、キャップ拘束部内21に挿入されるように誘導することができる。このように、第2スライダ42の他端部42bに傾斜片43が設けられていることにより、容器6を容器ホルダー1に一層容易に装着することができる。傾斜片43は、押圧部81と接触して、ディスペンサーの押圧部81を適正位置に誘導できる傾斜誘導面を有するものであり、平面状の傾斜誘導面を有する板状に代えて、側面視して三角形状、台形状、半円状等であってもよい。
【0025】
本実施形態の容器ホルダー1の使用方法について説明する。
まず、容器ホルダー1に容器6を取り付ける。そして、使用者が指等により、カバー部3の押圧操作部32を押圧する。カバー部3の押圧操作部32が押圧されることによって、第1スライダ41が第2スライダ側に向かって第1方向Xに沿って移動する。これにより、第1スライダ41が第2スライダ42を押し且つ押された第2スライダ42がディスペンサー8の押圧部81を押し、それによって、ディスペンサー8から内容物が吐出される。
【0026】
具体的には、第1スライダ41を第1方向Xに沿って移動させると、第1スライダ41の第1方向Xの一端部41aが、第2スライダ42の第2方向Yの一端部42aを押圧する。押圧している間、前記一端部41aの端面と前記一端部42aの端面とが滑り、第2スライダ42が、第2方向Yに沿って移動し、第2スライダ42の他端部42bが、ディスペンサー8の押圧部81を押す。これにより、容器6の内容液がノズル部83から吐出される。
【0027】
内容液の吐出後に、ディスペンサー8内部に有する回復力やバネ等の付勢力等により押圧部81が復動(上昇)すると、第2スライダ42が前記一端部42a側に押される。そして、第1スライダ41が前記他端部41b側に移動し、該第1スライダ41と連結しているカバー部3の押圧操作部32が、使用者によって押圧される前の位置に戻る。
【0028】
本実施形態の容器ホルダー1によれば、使用者がカバー部3の押圧操作部32を押圧する方向と、ディスペンサー8の押圧部81が押圧される方向とが異なる。第1方向Xに対して傾斜した傾斜面45を介して押圧力を伝える構成とすることで、例えば、ディスペンサー8の押圧部81の移動方向を鉛直方向に固定する一方で、使用者がカバー部3の押圧操作部32を押圧する方向を任意の方向とすることができるので、操作性を向上することができる。
【0029】
本実施形態では、使用者がカバー部3の押圧操作部32を押圧する方向は第1方向Xであり、ディスペンサー8を操作するために該ディスペンサー8の押圧部81を押圧する方向は第2方向Yである。したがって、例えば容器ホルダー1を壁等に固定した場合、使用者は、カバー部3の押圧操作部32を水平方向に押圧する。つまり、容器ホルダー1を、該容器ホルダー1が固定されている壁等に向かって押すことになるので、容器6から内容物を吐出させる操作を行ったときに、容器ホルダー1に壁から離れる方向や鉛直方向への力が加わりにくいので、容器6から内容物を吐出させる操作を繰り返し行っても、容器ホルダー1が脱落する等の問題が生じにくい。
また、第1スライダ41は、第1方向Xに沿って移動させたときに、該第1スライダ41における押圧操作部32と反対側(第2スライダ42側)の先端が第2ガイド部52と接触して停止するようになされている。これにより、押圧操作部32を押圧したときに、第2スライダ42を過度に押し下げることがなくなり、容器6に不要な下向きの負荷が生じることが防止される。
【0030】
本実施形態におけるように、容器ホルダー1が、収容保持された容器の前面側を覆うカバー部3を備える場合、ディスペンサー8から内容物を吐出させる操作を行う際に押圧操作部32を移動させる方向は、カバー部3の前面側から背面側に向かう方向、換言すれば容器ホルダー1の背面部13に近づく方向であることが、操作性や容器ホルダー1の脱落防止等の観点から好ましい。
【0031】
また第1スライダ41及び第2スライダ42が、ともに第1方向Xに対して傾斜し、互いに面接触する傾斜面45を介して、押圧操作部32の押圧力が、第1スライダ41から第2スライダ42に伝達されるので、第1スライダ41及び第2スライダ42それぞれの移動方向を正確に維持しながら力の伝達が可能となり、操作の安定性及び耐久性等が一層向上する。
本実施形態において、傾斜面45は、表面平滑な平面であるが、傾斜面45の表面には、潤滑油剤の塗布、摩擦を低下させる加工等の、摩擦低減処理を行うこともできる。滑り性が良好な材料を用いてもよい。摩擦低減処理は、第1スライダ41及び第2スライダ42の一方又は両方に施すことができ、また摩擦低減処理は、傾斜面45とともに傾斜面以外の部位に施してもよい。
第1スライダ41及び第2スライダ42の一方が傾斜面45を有し、他方が傾斜面を有しない例としては、傾斜面を有しないスライダの一端部が、移動方向に交差する方向の中央部に頂部を有する半円、半球状の形態を有し、該一端部が相手方の傾斜面に接する形態が挙げられる。
【0032】
第1スライダ41の第1方向Xの一端部41a及び第2スライダ42の第2方向Yの一端部42aが有する傾斜面45は、第1方向Xに対する傾斜角度αが、好ましくは15°以上、より好ましくは30°以上であり、また好ましくは75°以下、より好ましくは60°以下であり、また好ましくは15°以上75°以下であり、より好ましくは30°以上60°以下である。前記傾斜角度αを、上述の範囲内とすることにより、第1スライダ41を第1方向Xに移動させる力が第2スライダ42に伝わりやすくなり、使用者がカバー部3の押圧操作部32を押圧したときの力が、ディスペンサー8の押圧部81に効率的に伝わるようになるので、容器6の内容物の吐出操作が一層容易になる。傾斜面45と第1方向Xとの傾斜角度αは、傾斜面45と第1軸L1とのなす角であり、
図4中に符号αで示す角度である。
傾斜角度αが45°の時には、第1スライダ41と第2スライダ42の移動量が1:1となるが、角度を変えることにより、第1スライダ41の押し込み量と第2スライダ42の移動量の比率を変えることができる。例えば、第1スライダ41と第2スライダ42の移動量を1:2にしたい場合は、傾斜角度αを63°程度にすることで達成できる。
本発明に係るディスペンサー操作部又はそれに用いた押圧方向変換部材によれば、傾斜角度αの角度により、第1スライダ41と第2スライダ42の移動量の比率を所望の比率に設定できる利点もある。
【0033】
また、第1スライダ41を第1方向Xに移動させる力が第2スライダ42に伝わりやすくし、使用者がカバー部3の押圧操作部32を押圧したときの力が、ディスペンサー8の押圧部81に効率的に伝わるようにし、容器ホルダー1を一層操作しやすくする観点から、第1方向Xと第2方向Yとのなす角βは、好ましくは75°以上であり、より好ましくは85°以上であり、また好ましくは105°以下であり、より好ましくは95°以下であり、また好ましくは75°以上105°以下であり、より好ましくは85°以上95°以下である(
図4参照)。第1方向Xと第2方向Yとのなす角βは、直角又は略直角であることが好ましい。略直角には、なす角βが90°の直角に加えて、85°以上95°以下の場合が含まれる。第1方向Xと第2方向Yとのなす角βは、第1軸L1と第2軸L2とのなす角であり、
図4中に符号βで示す角度である。
【0034】
第1スライダ41及び第2スライダ42を構成する材料は、特に制限されず、例えば、樹脂、金属、セラミック、これらの複合材料等を用いることができる。
樹脂は合成樹脂でも天然樹脂でもよいが、第1スライダ41の一端部41aにおける第2スライダ42との接触面と、第2スライダ42の一端部42aにおける第1スライダ41との接触面とを滑りやすくし、吐出操作を容易とし、耐久性を向上させる観点から、合成樹脂を用いることが好ましい。合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアセタール、4フッ化エチレン、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられ、これらの中でも、第1スライダ41の一端部41aにおける第2スライダ42との接触面と、第2スライダ42の一端部42aにおける第1スライダ41との接触面とを滑りやすくする観点から、ポリアセタールを用いることが好ましい。第1スライダ41を構成する材料と、第2スライダ42を構成する材料とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0035】
さらに、第1スライダ41、第2スライダ42とも本体と接触面を構成する部位を別部品とし、接触面を構成する部品を交換可能としてもよい。
第1スライダ41の一端部41aにおける第2スライダ42との接触面と、第2スライダ42の一端部42aにおける第1スライダ41との接触面とを滑りやすくする観点から、第1スライダ41は、少なくとも、第1スライダ41の一端部41aにおける第2スライダ42との接触面が合成樹脂からなることが好ましく、その全体が合成樹脂からなることがより好ましい。同様の観点から、第2スライダ42は、少なくとも、第2スライダ42の一端部42aにおける第1スライダ41との接触面が合成樹脂からなることが好ましく、その全体が合成樹脂からなることがより好ましい。第1スライダ41の一端部41aにおける第2スライダ42との接触面、及び第2スライダ42の一端部42aにおける第1スライダ41との接触面のいずれか一方又は両方が合成樹脂からなってもよい。
【0036】
本実施形態では、第1スライダ41は、該第1スライダ41の側面に突条部41cを有する。突条部41cは、第1スライダ41の軸方向に沿って延びている。また、第1ガイド部51は、ガイド溝51cを有しており、第1ガイド部51の内部に第1スライダ41を挿入したときに、第1スライダ41の突条部41cが、第1ガイド部51のガイド溝51cに挿入されるようになされている。第1スライダ41の突条部41cが、第1ガイド部51のガイド溝51cに挿入されることにより、第1スライダ41を一層安定して第1方向Xに移動させることができる。また、突条部41cとガイド溝51cのみが接触するようにすることもでき、その場合、より摩擦抵抗を減ずることができる。
【0037】
また、第2スライダ42も、第1スライダ41と同様に、該第2スライダ42の側面に突条部42cを有する。突条部42cは、第2スライダ42の軸方向に沿って延びている。また、第2ガイド部52は、ガイド溝52cを有しており、第2ガイド部52の内部に第2スライダ42を挿入したときに、第2スライダ42の突条部42cが、第2ガイド部52のガイド溝52cに挿入されるようになされている。第2スライダ42の突条部42cが、第2ガイド部52のガイド溝52cに挿入されることにより、第2スライダ42を一層安定して第2方向Yに移動させることができる。また、突条部42cとガイド溝52cのみが接触するようにすることもでき、その場合、より摩擦抵抗を減ずることができる。
【0038】
ディスペンサー操作部4は、第1スライダ41及び第2スライダ42のガイド部5からの抜けを防止する抜け防止手段を有することが好ましい。ディスペンサー操作部4が、抜け防止手段を有することにより、ディスペンサー操作部4を一層安定して使用することができる。本実施形態では、抜け防止手段は、第1スライダ41の抜けを防止する第1抜け防止手段と、第2スライダ42の抜けを防止する第2抜け防止手段とを含む。
【0039】
第1抜け防止手段は、第1ガイド部51に形成された開孔部51dと、第1スライダに形成された突起41dとからなる。
図4(b)に示すように、第1スライダ41が第1ガイド部51に挿入された状態で、第1スライダ41の突起41dは第1ガイド部51の開孔部51dに挿入されるようになっている。この状態で、第1スライダ41が第1方向Xにおける他端部41b側に移動した場合、第1スライダ41の突起41dが、第1ガイド部51の開孔部51dの周壁部にぶつかり、第1スライダ41が、他端部41b側に移動することが制限される。したがって、第1ガイド部51から第1スライダ41が抜けてしまうことを防ぐことができる。
【0040】
第2抜け防止手段は、第2ガイド部52に形成された開孔部52dと、第2スライダに形成された突起42dとからなる。
図4(b)に示すように、第2スライダ42が第2ガイド部52に挿入された状態で、第2スライダ42の突起42dは第2ガイド部52の開孔部52dに挿入されるようになっている。この状態で、第2スライダ42が第2方向Yにおける他端部42b側に移動した場合、第2スライダ42の突起42dが、第2ガイド部52の開孔部52dの周壁部にぶつかり、第2スライダ42が、他端部42b側に移動することが制限される。したがって、第2ガイド部52から第2スライダ42が抜けてしまうことを防ぐことができる。
また開孔部52dの長さを変えることで第2スライダの移動量を制限し、内容物の吐出量を一定に制御することができる。
【0041】
ガイド部5は、第1スライダ41の移動方向を規制する筒状の第1ガイド部51と、第2スライダ42の移動方向を規制する筒状の第2ガイド部52とが一体化した構成を有し、耐久性に優れている。
ディスペンサー操作部4においては、使用者の操作に伴って、第1スライダ41が第1方向に対して傾斜した傾斜面を介して第2スライダ42を押圧するので、押圧力の反力がガイド部5に加わりやすい。第1ガイド部51と第2ガイド部52とが一体化した構成であると、例えば容器ホルダー1を長期間使用し、ガイド部5に繰り返し押圧力の反力が加えられた場合等であっても該ガイド部5の強度が保たれやすい。
【0042】
ガイド部5は、一体成形された部材からなるものであってもよいし、別体の部材を一体化させてなるものであってもよい。一方のスライダが他方のスライダから受ける反力に抗して一層高い耐久性の有するようにする観点から、ガイド部5は、一体成形された部材からなるものであることが好ましい。本実施形態において、ガイド部5を構成する筐体は、合成樹脂で一体成形された部材である。
【0043】
ガイド部5が別体の部材を一体化させてなるものである場合、別体の部材を一体化させる方法は特に制限されない。例えば、半割の状態の部材どうしを接合することにより、一体化させてもよい。接合手段も特に制限されず、例えば、ねじ等により両部材を接合してもよいし、接着により接合してもよい。
【0044】
図4(a)は、
図1に示す容器ホルダーのディスペンサー操作部4に用いた押圧方向変換部材を示す斜視図である。図示する押圧方向変換部材は、前述の第1スライダ41と第2スライダ42とガイド部5とを有し、そのガイド部5は、第1スライダの移動方向を規制する筒状の第1ガイド部51と第2スライダの移動方向を規制する筒状の第2ガイド部52とが一体化した構成を有している。かかる押圧方向変換部材を用いて、容器ホルダーのディスペンサー操作部4を形成し、第1方向Xに対して傾斜した傾斜面45を介して押圧力を伝える構成とすることで、第1スライダ41に加える押圧方向を容易且つスムーズに第2スライダ42の移動方向へと変換できる。また第1ガイド部51と第2ガイド部52とが一体化した構成を有するガイド部5が、一方のスライダ41が他方のスライダ42から受ける反力に抗して高い耐久性の有するため、押圧方向の変更が容易で耐久性に優れる。斯かる押圧方向変換部材は、人の力で変位させる、ディスペンサーの押圧部以外のものを変位させる目的で使用することも好ましい。ガイド部5や、第1ガイド部51及び第2ガイド部52が合成樹脂で一体成形されていると、一層耐久性に優れるので好ましい。
【0045】
以上、本発明の容器ホルダーを、その好ましい実施形態に基づいて説明してきたが、本発明の容器ホルダーは、上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、使用者がカバー部3の押圧操作部32を押圧することに代えて、モーター等で第1スライダを進退させる機構を備え、スイッチやセンサー等からの入力によって第1スライダを進退させるようにしてもよい。
例えば、本実施形態の容器ホルダー1は、ねじ等によって背面部13の貫通孔13aを介して壁に固定することができるが、容器ホルダー1を壁に固定する方法はこれに限られず、例えば、背面部13に塗布した接着剤や両面テープによって、容器ホルダー1を壁に固定してもよい。ディスペンサーが吐出する容器の内容物は、典型的には液体であるが、液体に限られずクリーム状物、粉体等であってもよい。またディスペンサーは、液体を液状のまま吐出させるものであってもよく、液体を霧状又はフォーム状(細かい泡の集合体)として吐出させるものであってもよい。吐出させる内容物は、例えばボディソープやハンドソープ等の液体石鹸、シャンプー、リンス、染毛剤、整髪剤、育毛剤等のヘアケア剤、化粧水、乳液、美容液、日焼け止め、メイク落とし等の化粧料、食品洗剤や洗濯洗剤等の洗剤、歯磨き粉等の口腔内洗浄剤、柔軟剤、漂白剤、入浴剤、液状の医薬品、サプリメント、バスやトイレ、床洗浄用の洗浄剤、スープ、ソース、ドレッシング等の液状食品等が挙げられるが、これらに制限されない。
【符号の説明】
【0046】
1 容器ホルダー
11 本体部
20 支持部
21 キャップ拘束部
25 底部受け部
3 カバー部
32 押圧操作部
4 ディスペンサー操作部
41 第1スライダ
42 第2スライダ
5 ガイド部
51 第1ガイド部
52 第2ガイド部
6 容器
60 容器本体
61 口首部
62 胴部
7 キャップ
8 ディスペンサー
81 押圧部
X 第1方向
Y 第2方向