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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】端末、基地局及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/36 20090101AFI20250109BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20250109BHJP
   H04W 36/30 20090101ALI20250109BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20250109BHJP
【FI】
H04W36/36
H04W24/10
H04W36/30
H04W72/0457 110
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021536512
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(86)【国際出願番号】 JP2019029806
(87)【国際公開番号】W WO2021019680
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-07-15
【審判番号】
【審判請求日】2024-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】上村 克成
【合議体】
【審判長】廣川 浩
【審判官】中木 努
【審判官】圓道 浩史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0227805(US,A1)
【文献】国際公開第2019/108114(WO,A1)
【文献】MediaTek Inc.,Conditional PSCell addition,3GPP TSG-RAN WG2 #105bis R2-1903677,2019年3月29日アップロード,インターネット:<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_105bis/Docs/R2-1903677.zip>
【文献】Ericsson,RRM for NTN,3GPP TSG RAN WG2 #105bis R2-1903579,2019年3月28日アップロード,インターネット:<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_105bis/Docs/R2-1903579.zip>
【文献】NEC,Reuse of conditional handover for SCG change in NR-DC,3GPP TSG-RAN WG2 #106 R2-1906754,2019年5月3日アップロード,インターネット:<URL:https://www.3gpp.org/ftp/TSG_RAN/WG2_RL2/TSGR2_106/Docs/R2-1906754.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局から、所定処理が行われる対象セルを示す情報と前記所定処理を開始する条件を示す条件設定とを受信する受信部と、
セルを測定する測定部と、
前記測定されたセルが前記対象セルに含まれており、前記測定されたセルの測定結果が前記所定処理を開始する条件を満たす場合に、前記条件設定に対応する前記所定処理を開始する制御部と、
を有し、
前記所定処理には、少なくともセカンダリセルグループ追加手順の開始を含み、
前記対象セルを示す情報には、セカンダリセルグループに追加される対象セルを示す情報を含み、
前記条件設定には、前記セカンダリセルグループ追加手順を開始する条件を示す条件設定を含み、
前記セカンダリセルグループに追加される対象セルを示す情報を含む前記対象セルを示す情報と、前記セカンダリセルグループ追加手順を開始する条件を含む前記条件設定とは、所定の識別子で対応づけられており、
前記制御部は、前記測定されたセルが前記セカンダリセルグループに追加される前記対象セルに含まれており、かつ、前記測定されたセルの前記測定結果が前記セカンダリセルグループ追加手順を開始する条件を示す条件設定を満たしている場合、前記測定されたセルの基地局との間で、前記測定されたセルを前記セカンダリセルグループとして追加する処理を開始する、
端末。
【請求項2】
前記所定処理には、少なくともコンディショナルハンドオーバー手順の開始と測定報告手順の開始とを含み、
前記対象セルを示す情報には、コンディショナルハンドオーバーが行われる対象セルを示す情報と、測定報告が行われる対象セルを示す情報とを含み、
前記条件設定には、コンディショナルハンドオーバー手順を開始する条件を示す条件設定を含む、
請求項1に記載の端末。
【請求項3】
前記所定処理には、少なくともセカンダリセルグループのセル変更手順の開始を含み、
前記対象セルを示す情報には、セカンダリセルグループに対して変更される対象セルを示す情報を含み、
前記条件設定には、前記セカンダリセルグループのセル変更手順を開始する条件を示す条件設定を含み、
前記制御部は、前記測定されたセルが前記セカンダリセルグループに対して変更される前記対象セルに含まれており、かつ、前記測定されたセルの前記測定結果が前記セカンダリセルグループのセル変更手順を開始する条件を示す条件設定を満たしている場合、前記測定されたセルを前記セカンダリセルグループにおいて変更する処理を開始する、
請求項1又は2に記載の端末。
【請求項4】
端末が行う無線通信方法であって、
基地局から、所定処理が行われる対象セルを示す情報と前記所定処理を開始する条件を示す条件設定とを受信するステップと、
セルを測定するステップと、
前記測定されたセルが前記対象セルに含まれており、測定されたセルの測定結果が前記所定処理を開始する条件を満たす場合に、前記条件設定に対応する前記所定処理を開始するステップと、
を含み、
前記所定処理には、少なくともセカンダリセルグループ追加手順の開始を含み、
前記対象セルを示す情報には、セカンダリセルグループに追加される対象セルを示す情報を含み、
前記条件設定には、前記セカンダリセルグループ追加手順を開始する条件を示す条件設定を含み、
前記セカンダリセルグループに追加される対象セルを示す情報を含む前記対象セルを示す情報と、前記セカンダリセルグループ追加手順を開始する条件を含む前記条件設定とは、所定の識別子で対応づけられており、
前記所定処理を開始するステップは、前記測定されたセルが前記セカンダリセルグループに追加される前記対象セルに含まれており、かつ、前記測定されたセルの前記測定結果が前記セカンダリセルグループ追加手順を開始する条件を示す条件設定を満たしている場合、前記測定されたセルの基地局との間で、前記測定されたセルを前記セカンダリセルグループとして追加する処理を開始する、
無線通信方法。
【請求項5】
前記所定処理には、少なくともコンディショナルハンドオーバー手順の開始と測定報告手順の開始とを含み、
前記対象セルを示す情報には、コンディショナルハンドオーバーが行われる対象セルを示す情報と、測定報告が行われる対象セルを示す情報とを含み、
前記条件設定には、コンディショナルハンドオーバー手順を開始する条件を示す条件設定を含む、
請求項4に記載の無線通信方法。
【請求項6】
前記所定処理には、少なくともセカンダリセルグループのセル変更手順の開始を含み、
前記対象セルを示す情報には、セカンダリセルグループに対して変更される対象セルを示す情報を含み、
前記条件設定には、前記セカンダリセルグループのセル変更手順を開始する条件を示す条件設定を含み、
前記所定処理を開始するステップは、前記測定されたセルが前記セカンダリセルグループに対して変更される前記対象セルに含まれており、かつ、前記測定されたセルの前記測定結果が前記セカンダリセルグループのセル変更手順を開始する条件を示す条件設定を満たしている場合、前記測定されたセルを前記セカンダリセルグループにおいて変更する処理を開始する、
請求項4又は5に記載の無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末、基地局及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際標準化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、第5世代(5G)のセルラーシステムに向けた新しい無線アクセス技術であるNR(New Radio)の検討が行われている。NRは、第4世代(4G)のセルラーシステムであるLTE及びLTE-Advancedよりも、多種多様なサービスを実現可能とするための技術が検討されている(非特許文献1)。
【0003】
例えば、NRでは高速・大容量通信を実現するeMBB(enhanced Mobile Broad Band)、超高信頼・低遅延通信を実現するURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communication)、IoT(Internet of Things)デバイスの多数同時接続を実現するmMTC(massive Machine Type Communication)といった、用途の異なる利用シナリオが実現要件として定められている。
【0004】
無線通信システムには、通信を切断することなくセルを移動するためのハンドオーバー手順が用意されている。また、よりハンドオーバーのロバスト性(安定性)を高める目的で、ハンドオーバー先のセル情報を事前に設定するコンディショナルハンドオーバー手順が検討されている。現在検討されているコンディショナルハンドオーバー手順では、LTEのハンドオーバー手順とは異なり、ハンドオーバーの開始を端末が決定する(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】3GPP TS38.300 v15.6.0,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/38_series/38.300/38300-f60.zip>
【文献】3GPP R2-1700544,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/TSG_RAN/WG2_RL2/TSGR2_AHs/2017_01_NR/Docs/R2-1700544.zip>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コンディショナルハンドオーバー手順が導入されることでハンドオーバー成功確率が向上する効果が期待できる。その一方で、現在検討されているコンディショナルハンドオーバー手順では、ハンドオーバー候補セルへのハンドオーバー以外のモビリティ手順に制限が生じるという問題がある。
【0007】
例えば、セルAとセルBとが存在し、セルAはハンドオーバー候補セルとして指定されており、セルBはハンドオーバー候補セルとして指定されていないと仮定する。セルAがコンディショナルハンドオーバーを開始する条件を満たす場合、端末は、セルAにハンドオーバーを行う。一方、セルAがコンディショナルハンドオーバーを開始する条件を満たさず、セルBがコンディショナルハンドオーバーを開始する条件を満たす場合、端末は、セルBへのハンドオーバーは行わずに処理を終了してしまう。
【0008】
また、実際のネットワーク形態を考慮した場合、品質の良いセルにコンディショナルハンドオーバーを行うのではなく、当該セルをセカンダリセルグループとして追加した方が好適である場合も想定される。しかしながら、現在、コンディショナルハンドオーバー手順と同様の手順でセカンダリセルグループを追加する方法については検討されていない。
【0009】
本開示は上記の点に鑑みてなされたものであり、柔軟なモビリティ手順を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様に係る端末は、基地局から、所定処理が行われる対象セルを示す情報と所定処理を開始する条件を示す条件設定とを対応づける測定設定を受信する受信部と、セルの受信品質を測定する測定部と、測定されたセルが対象セルに含まれており、測定されたセルの受信品質が所定処理を開始する条件を満たす場合に、条件設定に対応する所定処理を開始する制御部と、を有する。
【0011】
本開示の一態様に係る基地局は、端末から、セルの受信品質を示す測定報告を受信する受信部と、前記受信した測定報告に基づいて、所定処理が行われる対象セルを示す情報と前記所定処理を開始する条件を示す条件設定とを対応づける測定設定を生成する生成部と、生成された前記測定設定を端末に送信する送信部と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、柔軟なモビリティ手順を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
図2】測定イベントの一例を示す図である。
図3】ハンドオーバーの基本的な手順を説明するための図である。
図4】コンディショナルハンドオーバーの基本的な手順を説明するための図である。
図5】セカンダリセルグループを追加する際の基本的な手順を説明するための図である。
図6】端末及び基地局のハードウェア構成の一例を示す図である。
図7】端末の機能ブロック構成の一例を示す図である。
図8】基地局の機能ブロック構成の一例を示す図である。
図9】本実施形態に係るコンディショナルハンドオーバー手順の一例を示す図である。
図10】本実施形態に係るセル品質の変動の一例を示す図である。
図11】本実施形態に係るセカンダリセルグループ追加手順の一例を示す図である。
図12】測定設定の具体例(その1)を示す図である。
図13】測定設定の具体例(その2)を示す図である。
図14】測定設定の具体例(その3)を示す図である。
図15】測定設定の具体例(その4)を示す図である。
図16】測定設定に基づく測定対象セルの指定方法の例(その1)を示す図である。
図17】測定設定に基づく測定対象セルの指定方法の例(その2)を示す図である。
図18】端末が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。
図19】基地局が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。
図20】本実施形態に係る標準仕様の変更例を示す図である。
図21】本実施形態に係る標準仕様の変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0015】
<システム構成>
本実施形態に係る無線通信システムについて説明する。本実施形態に係る無線通信システムは、NRを対象とするが、これに限定されない。例えば、LTE及びLTE-Advancedに対しても適用可能である。また、一部にNRを用いる無線通信システムにおいても適用可能である。より一般的には、少なくとも端末と基地局とを備える無線通信システムであれば本実施形態は適用可能であり、これは将来の無線通信システムも含む。なお、以降の説明では、LTE及びLTE-AdvancedをEUTRAとも呼称するが、意味は同じである。
【0016】
基地局が形成するエリア(カバーエリア)をセルと称する。また、EUTRAおよびNRは、複数セルにより構築されるセルラー通信システムである。本実施形態に係る無線通信システムは、TDD(Time Division Duplex)とFDD(Frequency Division Duplex)のどちらの方式を適用しても良く、セルごとに異なる方式が適用されてもよい。
【0017】
図1は、本実施形態に係る無線通信システム1の構成の一例を示す図である。端末10は、基地局20-1又は基地局20-2とそれぞれ無線接続される。以下、基地局20-1及び基地局20-2を区別しない場合は、基地局20と記載する。また、端末10は、基地局20-1及び基地局20-2と同時に無線接続することも可能である。基地局20-1及び基地局20-2は、EUTRA、あるいはNRを用いることができる。例えば、基地局20-1がNRを使用し、基地局20-2がEUTRAを用いてもよいし、その逆でもよい。EUTRAにおける基地局20をeNB(evolved NodeB)、NRにおける基地局20をgNB(g-NodeB)と呼ぶ。以降、基地局20と記載した場合はeNBとgNBの両方の意味を含む。また、EUTRA及びNRにおける端末10をUE(User Equipment)と呼ぶ。gNBである基地局20は、その使用する周波数帯域の一部(BWP: bandwidth part)を用いて端末10と接続してもよい。以降、セルと記載した場合はBWPを含むものとする。
【0018】
端末10は、基地局20とセル単位で接続される。端末10は、基地局20と複数のセルを用いて接続(キャリアアグリゲーション)されてもよい。端末10が複数の基地局20を介して接続(デュアルコネクティビティ)される場合、初期接続される基地局20をマスターノード(MN: Master Node)、追加で接続される基地局20をセカンダリノード(SN: Secondary Node)と呼ぶ。端末10が接続している複数のセルのうち、マスターノードにより提供される1以上のセルは、マスターセルグループ(MSG: Master Cell Group)と呼ばれる。また、端末10が接続している複数のセルのうち、セカンダリノードにより提供される1以上のセルは、セカンダリセルグループ(SCG: Secondary Cell Group)と呼ばれる。
【0019】
基地局20間は、基地局インターフェースにより接続されている。また、基地局20とコアネットワーク装置40とは、コアネットワークインターフェースにより接続されている。基地局インターフェースは、ハンドオーバーや基地局20間の連携動作に必要な制御信号をやり取りするためなどに使用される。コアネットワーク装置40は、基地局20を配下に持ち、基地局20間の負荷制御や、端末10の呼び出し(ページング)、位置登録などの移動制御を主に取り扱う。
【0020】
端末10と基地局20は、無線リソース制御(RRC: Radio Resource Control)層において、RRCメッセージを送受信する。また、端末10と基地局20は、媒体アクセス制御(MAC: Medium Access Control)層において、MAC制御要素(MAC CE: MAC Control Element)を送受信する。RRCメッセージは、RRC PDU(Protocol Data Unit)として送信され、マッピングされる論理チャネルとして、共通制御チャネル(CCCH: Common Control Channel)、個別制御チャネル(DCCH: Dedicated Control Channel)、ページング制御チャネル(PCCH: Paging Control Channel)、ブロードキャスト制御チャネル(BCCH: Broadcast Control Channel)、あるいはマルチキャスト制御チャネル(MCCH: Multicast Control Channel)が用いられる。MAC CEは、MAC PDU(または、MAC subPDU)として送信される。MAC subPDUは、MAC層におけるサービスデータユニット(SDU: Service Data Unit)に8ビットのヘッダーを加えたものに等しく、MAC PDUは、一つ以上のMAC subPDUを含む。
【0021】
続いて、本実施形態に係る物理チャネルおよび物理シグナルについて説明する。本実施形態に係る物理チャネルのうち、物理報知チャネル(PBCH: Physical Broadcast Channel)、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH: Physical Random Access Channel)、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH: Physical Downlink Control Channel)、チャネル状態情報推定用参照信号(CSI-RS:Channel State information-Reference Signal)について以下に説明する。なお、本システムにおいて、他に同期信号(Primary Synchronization Signal, Secondary Synchronization Signal)、物理上りリンク制御チャネル(PUCCH: Physical Uplink Control Channel)、物理下りリンク共有チャネル(PDSCH: Physical Downlink Shared Channel)、物理上りリンク共有チャネル(PUSCH: Physical Uplink Shared Channel)、スケジューリング参照信号(SRS: Scheduling Reference Signal)、復調参照信号(DMRS: Demodulation Reference Signal)が少なくとも存在するが、詳細な説明は省略する。
【0022】
(物理報知チャネルPBCH)
物理報知チャネルPBCHは、基地局20から端末10に対して送信され、基地局20の配下のセルにおける共通パラメータ(報知情報、システムインフォメーション)を通知するために使用される。システムインフォメーションは、更にマスターインフォメーションブロック(Master Information Block、MIB)とシステムインフォメーションブロック(System Information Block、SIB)に分類される。なお、システムインフォメーションブロックは、更にSIB1、SIB2、・・・のように細分化されて送信される。システムインフォメーションはセルに接続するために必要な情報が含まれており、例えばMIBにはシステムフレーム番号やセルへのキャンプ可否を示す情報などが含まれている。また、SIB1には、セルの品質を計算するためのパラメータ(セル選択パラメータ)、セル共通のチャネル情報(ランダムアクセス制御情報、PUCCH制御情報、PUSCH制御情報)、その他のシステムインフォメーションのスケジューリング情報などが含まれている。また、PBCHは、同期信号ブロック(SSB:Synchronization Signal Block(あるいはSS/PBSH))として同期信号とセットとなって周期的に送信される。端末10は、SSBを受信することによって、セル識別子(セルID)情報や受信タイミングの取得に加え、当該セルの信号の品質を測定することができる。
【0023】
(物理ランダムアクセスチャネルPRACH)
物理ランダムアクセスチャネルPRACHは、端末10が、ランダムアクセスプリアンブルを基地局20に送信するために用いられる。PRACHは、一般的に端末10と基地局20との間で上りリンク同期が確立していない状態において使用され、送信タイミング調整情報(タイミングアドバンス)や上りリンクの無線リソース要求に用いられる。ランダムアクセスプリアンブルを送信可能な無線リソースを示す情報は、報知情報やRRCメッセージを用いて端末に送信される。
【0024】
(物理下りリンク制御チャネルPDCCH)
物理下りリンク制御チャネルPDCCHは、端末10に対し、下りリンク制御情報(DCI: Downlink Control Information)を通知するために基地局20より送信される。下りリンク制御情報は、端末10が使用可能な上りリンクの無線リソース情報(上りリンクグラント(UL grant))、または、下りリンクの無線リソース情報(下りリンクグラント(DL grant))を含む。下りリンクグラントは、物理下りリンク共有データチャネルPDSCHのスケジューリングを示す情報である。上りリンクグラントは、物理上りリンク共有データチャネルPUSCHのスケジューリングを示す情報である。PDCCHがPRACH(ランダムアクセスプリアンブル)の応答として送信される場合、PDCCHによって示されるPDSCHはランダムアクセスレスポンスであり、ランダムアクセスプリアンブルのインデックス情報、送信タイミング調整情報、上りリンクグラントなどが含まれる。
【0025】
(チャネル状態情報推定用参照信号CSI-RS)
チャネル状態情報推定用参照信号CSI-RSは、下りリンクの状態を推定するために基地局20より送信される。CSI-RSは、送信される位置を示す送信リソース(CSI-RSリソース)を端末10毎に設定可能であり、さらに、アンテナポート毎にCSI-RSリソースを設定することもできる。端末10は、周波数・時間トラッキング、移動管理、あるいはビーム管理のための測定信号としてCSI-RSを用いる。
【0026】
続いて、従来のEUTRA及びNRの仕様で規定されている、セル品質の測定及びハンドオーバー等のモビリティに関する設定及び手順について簡単に説明する。
【0027】
(測定設定)
基地局20は接続モード(Connected mode)の端末10に対し、隣接セル(信号)の測定及び測定結果報告を実施させるための情報を含む測定設定(measurement configuration)を通知する。測定設定は個別シグナリング(RRCメッセージ)、例えばRRCReconfigurationメッセージを用いて端末に通知される。
【0028】
基地局20は、端末10に測定設定を通知することにより、NR、及び/又は、EUTRA周波数の測定を端末10に実行させる。
【0029】
また、基地局20は、端末10に対し、SSB識別子、SSBごとの品質、SSBに基づくセル品質、あるいは、CSI-RS識別子、CSI-RSリソースごとの品質、CSI-RSリソースに基づくセル品質について報告するための測定設定を設定する。
【0030】
測定設定は少なくとも以下のパラメータを含む。
【0031】
(1)Measurement object(s)(測定対象)
測定対象とは、端末10が測定を行う対象に関する情報を含み、リスト形式として複数を設定することもできる。周波数内測定(intra-frequency measurements)と周波数間測定(inter-frequency measurements)において、測定対象は、端末10が測定すべき参照信号の周波数・時間リソース情報とサブキャリア間隔情報を示す。例えばシステム間EUTRA測定(inter-RAT(Radio Access Technology) E-UTRA measurements)の場合、測定対象としてEUTRA周波数が設定される。また、基地局20は、測定対象に、セル固有オフセットを与えるセルのリスト、ブラックセルリスト、ホワイトセルリストを含めることができる。セル固有オフセットとは、測定時に測定結果に加算されるオフセット値であり、ブラックセルリストとは、イベント評価(後述)または測定報告として非該当(対象外)となるセルを示すリストであり、ホワイトセルリストとは、イベント評価または測定報告として該当(対象)となるセルを示すリストである。測定対象を管理するため、基地局20は、測定対象それぞれに対して測定対象識別子(measObjectId)を設定する。
【0032】
(2)Reporting configuration(s)(報告設定)
報告設定は、測定報告(Measurement report)に関する情報を含み、測定対象毎に一つまたはリスト形式として複数の報告設定が設定される。報告設定を管理するため、基地局20は、報告設定それぞれに対して報告設定識別子(reportConfigId)を設定する。報告設定は、それぞれ以下の情報を少なくとも含む。
・Reporting criterion(測定基準):端末10が測定報告(Measurement report)を送信するためのトリガ条件(基準)。単一イベントまたは周期イベント報告のどちらかが設定される。
・RS type(参照信号タイプ):端末10がビーム測定結果、またはセル測定結果に用いるRS。SSBまたはCSI-RSのどちらかが指定される。
・Reporting format(報告フォーマット):測定報告に含める、セル毎またはビーム毎の量に関する情報(例えば、報告内容(RSRP/RSRQ/SINR)の設定や、最大報告ビーム数や最大報告セル数)。
【0033】
(3)Measurement identity(ies)(測定識別子)
測定識別子(measId)とは、一つの測定対象と一つの報告設定をリンク(対応付け、関連付け)するために用いられる。換言すると、測定識別子(measId)は、一つの測定対象識別子(measObjectId)と一つの報告設定識別子(reportConfigId)とに対応する。測定識別子はリスト形式として複数を設定することもできる。測定識別子によって、一つの測定対象に対して複数の報告設定をリンクしてもよいし、複数の測定対象を同じ報告設定にリンクしてもよい。測定識別子は、トリガ条件を満たしたイベントを基地局20に報告するために測定報告に含めて送信される。
【0034】
(4)Quantity configuration(s)(測定量設定)
測定結果に対するフィルタ(重み付け)の設定を定義。フィルタ係数をそれぞれの測定値毎に指定することによって、測定結果の平均化を行う。基地局20は、異なるRS typeの異なる報告内容それぞれに対し異なるフィルタ係数を設定してもよい。
【0035】
(5)Measurement gap(s)(測定ギャップ)
端末10が通信を中断して測定(特に、周波数間測定やシステム間測定)を行うことができるギャップ期間を定義。
【0036】
なお、測定設定(measurement configuration)には、(1)Measurement object(s)、(2)Reporting configuration(s)、(3)Measurement identity(ies)として、それぞれNR用の設定と、その他のRAT(例えばEUTRA)用の設定を個別に含めることができる。
【0037】
NRに関する測定対象について、端末10は在圏セル(サービングセルとも称する)、リストセル、検出セルについて測定および報告を行う。EUTRAに関する測定対象について、端末10はリストセル、検出セルについて測定および報告を行う。リストセルとは、基地局20より通知されるリストに含まれるセルである。検出セルとは、それ以外の端末10が自主的に検出したセルを示す。
【0038】
(測定イベント(Measurement event(s)))
測定報告(Measurement Report)メッセージの送信契機を示す条件(測定タイプ)は、周期報告、あるいはイベントトリガ報告(Event triggered)のどちらかが基地局20より指定される。NRにおけるイベントトリガ報告として、図2に示す複数の測定イベントが定義されている。測定イベントは報告設定で指定され、イベント識別子(eventId)によって管理される。
【0039】
(測定対象セル(applicable cell))
測定イベントは、イベント毎にその評価対象となる測定対象セル(applicable cell)が定められている。例えば、Event A1における測定対象セルは在圏セルである。また、Event A3における測定対象セルは、Event A3を含んだ報告設定にリンクされる、測定対象の周波数で検出したセル(隣接セル)である。ただし、ブラックセルリストが通知されている場合、当該リスト内のセルは除外される。また、ホワイトセルリストが設定されている場合、測定対象セルはホワイトセルリスト内のセルとなる。
【0040】
(測定報告トリガ(Measurement report triggering))
端末10は、測定タイプがイベントトリガ報告であって、かつ、測定イベントが示す条件に測定結果が適合した場合に測定報告手順を開始(Initiate)する。換言すると、測定対象セルの測定結果が、測定設定に含まれる報告設定で指定されるイベント識別子に対応するイベント条件を満たした場合に開始される。このとき、端末10は条件を満たした測定識別子に対応するセルの測定結果を報告する。
【0041】
(ハンドオーバー(HO: Handover)手順)
続いて、ハンドオーバーの基本的な手順について、図3を用いて説明する。端末10(UE)は基地局20-1(Source gNB)と通信中状態(Connected Mode)である。端末10には測定イベントの条件(トリガ条件)を通知するための測定設定が設定される。端末10は、隣接セルのうち、指定された測定イベントに対応する測定対象セルに対して測定イベントの評価を行っている(例えばEventA3)(S10)。
【0042】
ここで、測定対象セルの一つ(Cell-X)において測定イベントが成立した場合(すなわち、報告設定で指定された測定イベントの条件を測定対象セル(Cell-X)の測定結果が満たした場合)、端末10は測定報告手順を開始し、基地局20-1に対して測定報告メッセージ(MeasurementReport)を送信する(S11)。測定報告メッセージは、少なくとも成立した測定イベントに対応する測定識別子(measID)と、測定イベントに関連する測定対象セルの情報(例えば、イベントが成立したセルのセルIDやその測定結果)を含む。
【0043】
測定報告メッセージを受信した基地局20-1は、端末10がハンドオーバーを実行すべきかどうかについて、受信した測定結果を元に判断し、必要であればハンドオーバー手順を開始する(S12)。典型的には、トリガ条件を満たしたセル(Cell-X)が属する基地局20-2(Target gNB)に対してハンドオーバー準備を要求し、端末10が基地局20-2にアクセス可能にするための情報を基地局20間でやり取りする(S13)。そして、基地局20-1は、基地局20-2から送信されるハンドオーバーに必要な情報を含むRRCメッセージ(RRCReconfiguration)を端末10に転送する。
【0044】
端末10は、受信したRRCメッセージに基づいてハンドオーバーを実行し、基地局20-2に対して同期取得およびランダムアクセスを試みる。基地局20-2との間でランダムアクセス手順が成功した場合、受信したRRCメッセージに対応する応答メッセージ(RRCReconfigurationComplete)を基地局20-2に対して送信し、ハンドオーバー手順を完了する。
【0045】
(コンディショナルハンドオーバー(CHO: Conditional Handover)手順)
続いて、コンディショナルハンドオーバーの基本的な手順について、図4を用いて説明する。
【0046】
端末10には、コンディショナルハンドオーバー手順の開始を基地局20に通知するための測定イベントを含む測定設定が設定される。端末10は、隣接セルのうち、指定された測定イベントに対応する測定対象セルに対して測定イベントの評価を行う。
【0047】
ここで、測定対象セルの一つ(Cell-X)において測定イベントが成立した場合(すなわち、報告設定で指定された測定イベントの条件を測定対象セル(Cell-X)の測定結果が満たした場合)、端末10は測定報告手順を開始し、基地局20-1に対して測定報告メッセージ(MeasurementReport)を送信する(S20)。
【0048】
測定報告メッセージを受信した基地局20-1は、受信した測定結果を元に、ハンドオーバー可否を判断し、必要であればコンディショナルハンドオーバー手順を開始する。典型的には、通知されたセル(Cell-X)が属する基地局20-2に対してハンドオーバー準備を要求し、基地局20-2にアクセスするための情報を基地局20間でやり取りする(S21)。そして、基地局20-1は、基地局20-2から送信されるコンディショナルハンドオーバーに必要な情報を含むRRCメッセージ(RRCReconfiguration)を端末10に転送する(S22)。
【0049】
端末10は、受信したRRCメッセージに含まれる測定設定に基づいて、ハンドオーバー候補セルの測定を行う。すなわち、通知されたハンドオーバー候補セルを測定対象セル(applicable cell(s))とみなして測定イベントの評価を行う(S23)。そして、測定対象セルで測定イベントが成立した場合(S23:Yes)、通知された設定情報に基づいてハンドオーバーを実行し(S24)、基地局20-2に対して同期の取得およびランダムアクセスを試みる(S25)。基地局20-2とのランダムアクセス手順が成功した場合、受信したRRCメッセージに対応する応答メッセージ(RRCReconfigurationComplete)を基地局20-2に対して送信し(S26)、コンディショナルハンドオーバー手順を完了する。
【0050】
(セカンダリセルグループ(SCG)追加手順)
続いて、セカンダリセルグループを追加する際の基本的な手順について、図5を用いて説明する。端末10(UE)は基地局20-1(MN gNB)と通信中状態(Connected Mode)である。端末10は、隣接セルのうち、指定された測定イベントに対応する測定対象セルに対して測定イベントの評価を行っている(例えばEventA4)。
【0051】
ここで、測定対象セルの一つ(Cell-X)において測定イベントが成立した場合(すなわち、報告設定で指定された測定イベントの条件を測定対象セル(Cell-X)の測定結果が満たした場合)、端末10は測定報告手順を開始し、基地局20-1に対して測定報告メッセージ(MeasurementReport)を送信する(S30)。測定報告メッセージは、少なくとも成立した測定イベントに対応する測定識別子(measID)と、測定イベントに関連する測定対象セルの情報(例えば、イベントが成立したセルのセルIDやその測定結果)を含む。
【0052】
測定報告メッセージを受信した基地局20-1は、端末10がセカンダリセルグループの追加を実行すべきかどうかについて、受信した測定結果を元に判断し、必要であればセカンダリセルグループ追加手順を開始する。典型的には、トリガ条件を満たしたセル(Cell-X)が属する基地局20-2(SN gNB)に対してセカンダリセルグループの追加を要求し、端末10が、基地局20-2配下のセルをセカンダリセルグループとして追加するための情報を基地局20間でやり取りする(S31、S32)。そして、基地局20-1は、セカンダリセルグループの追加に必要な情報を含むRRCメッセージ(RRCConnectionReconfiguration)を端末10に送信する(S33)。また、端末10は、受信したRRCメッセージに対する応答メッセージ(RRCConnectionReconfigurationComplete)を送信する(S34)。
【0053】
端末10は、受信したRRCメッセージに基づいて、基地局20-2に対して同期取得およびランダムアクセスを試みる。基地局20-2との間でランダムアクセス手順が成功した場合、基地局20-2との間でセカンダリセルグループの追加に関する各種の処理を行う(S35)。
【0054】
<本実施形態に係る技術の概要>
本実施形態では、例えば図4のステップS22の処理手順に示すように、コンディショナルハンドオーバーの候補セルと、当該候補セル以外の他の候補セルと、コンディショナルハンドオーバー手順に関するトリガ条件を含む測定設定(Measurement Configuration)を基地局20から通知された場合において、当該候補セルについては当該トリガ条件を満たさない(つまりハンドオーバーを開始しない)が、他の候補セルについては当該トリガ条件を満たす場合、他の候補セルのセル品質を少なくとも含む測定報告メッセージを基地局20に送信する。
【0055】
また、端末10の移動方向によっては、必ずしもハンドオーバーではなく、在圏セルに加えて候補セルをセカンダリセルグループとして追加することが適切である場合が想定される。そこで、本実施形態では、セカンダリセルグループの候補セル等を基地局20から端末10に通知することで、端末10が、候補セルをセカンダリセルグループとして追加する手順を自ら開始することを可能とする。
【0056】
<ハードウェア構成>
図6は、端末10及び基地局20のハードウェア構成の一例を示す図である。端末10及び基地局20は、等のプロセッサ11、メモリ12、記憶装置13、有線又は無線通信を行う通信装置14、入力操作を受け付ける入力装置15、情報の出力を行う出力装置16及びアンテナ17を有する。
【0057】
プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、端末10及び基地局20を制御する。
【0058】
メモリ12は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)及び/又はRAM(Random Access Memory)等から構成される。
【0059】
記憶装置13は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及び/又はeMMC(embedded Multi Media Card)等のストレージから構成される。
【0060】
通信装置14は、有線及び/又は無線ネットワークを介して通信を行う装置であり、例えば、ネットワークカード、通信モジュールなどである。また、通信装置14には、アンプ、無線信号に関する処理を行うRF(Radio Frequency)装置と、ベースバンド信号処理を行うBB(BaseBand)装置とを含んでいてもよい。
【0061】
RF装置は、例えば、BB装置から受信したデジタルベースバンド信号に対して、D/A変換、変調、周波数変換、電力増幅等を行うことで、アンテナ17から送信する無線信号を生成する。また、RF装置は、アンテナ17から受信した無線信号に対して、周波数変換、復調、A/D変換等を行うことでデジタルベースバンド信号を生成してBB装置に送信する。BB装置は、デジタルベースバンド信号をIPパケットに変換する処理、及び、IPパケットをデジタルベースバンド信号に変換する処理を行う。
【0062】
入力装置15は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等である。出力装置16は、例えば、ディスプレイ及び/又はスピーカ等である。
【0063】
<機能ブロック構成>
(端末)
図7は、端末10の機能ブロック構成の一例を示す図である。端末10は、送信部100と、受信部101と、測定部102と、制御部103とを含む。なお、図7は、本実施形態において必要な機能ブロックを示すものである。送信部100及び受信部101は、例えば通信装置14により実現されてもよいし、通信装置14に加えてプロセッサ11が記憶装置13に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。測定部102及び制御部103は、プロセッサ11が、記憶装置13に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0064】
送信部100は、基地局20に送信する上りリンク(Up Link)の信号を生成して送信する。
【0065】
受信部101は、基地局20から下りリンク(Down Link)の信号を受信する。また、受信部101は、基地局20から、所定処理が行われる対象セルを示す情報(例えば、測定対象(Measurement Object))と、当該所定処理を開始する条件を示す条件設定(例えば、報告設定(Reporting configuration))とが対応づけられる測定設定情報(例えば、測定設定(Measurement Configuration))を受信する。所定処理には、コンディショナルハンドオーバー手順の開始、セカンダリセルグループ追加手順の開始及び測定報告手順の開始のうち少なくともいずれか1つが含まれる。例えば所定処理には、コンディショナルハンドオーバーの開始及び測定報告手順の開始が含まれていてもよいし、セカンダリセルグループの追加及び測定報告手順の開始が含まれていてもよいし、コンディショナルハンドオーバーの開始、セカンダリセルグループの追加及び測定報告手順の開始が含まれていてもよい。
【0066】
測定部102は、セルの受信品質(セル品質)を測定する。受信品質は、例えば、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)、RSSI(received signal strength indicator)、RS-SINR(Reference Signal-Signal to Interference and Noise Ratio)であってもよい。
【0067】
制御部103は、例えばRRCレイヤに関する各種の処理を行う。また、制御部103は、測定部102で測定されたセルが所定処理の対象セルに含まれており、測定部102で測定されたセルの受信品質が、所定処理を開始する条件を示す条件設定を満たす場合に、当該条件設定に対応する所定処理を実行する。例えば、報告設定(Reporting configuration)に測定報告(Measurement Report)を送信する条件(前述したEventA1等)が設定されている場合、制御部103は、当該セルの測定結果を含む測定報告メッセージを基地局20に送信する。
【0068】
また、所定処理は、少なくともコンディショナルハンドオーバー手順の開始と測定報告手順の開始とを含み、所定処理の対象セルを示す情報は、コンディショナルハンドオーバーの対象セルを示す情報と、測定報告の対象セルを示す情報(周波数、ブラックセルリスト、ホワイトセルリスト等)とを含み、所定処理を開始する条件を示す条件設定には、コンディショナルハンドオーバー手順を開始する条件を示す条件設定が含まれていてもよい。
【0069】
この場合、制御部103は、測定部102で測定されたセルがコンディショナルハンドオーバーの対象セルに含まれており、かつ、測定されたセルの受信品質がコンディショナルハンドオーバー手順を開始する条件を示す条件設定を満たしている場合、コンディショナルハンドオーバー手順を実行する。
【0070】
また、制御部103は、測定部102で測定されたセルがコンディショナルハンドオーバーの対象セルに含まれておらず、測定されたセルが測定報告の対象セルに含まれており、かつ、測定されたセルの受信品質がコンディショナルハンドオーバー手順を開始する条件を示す条件設定を満たしている場合、測定されたセルの受信品質を含む測定報告メッセージを基地局20に送信する。
【0071】
また、所定処理は、少なくともセカンダリセルグループ追加の開始を含んでおり、所定処理の対象セルを示す情報には、セカンダリセルグループの対象セルを示す情報を含んでおり、所定処理を開始する条件を示す条件設定には、セカンダリセルグループ追加手順を開始する条件を示す条件設定が含まれていてもよい。
【0072】
この場合、制御部103は、測定されたセルがセカンダリセルグループの対象セルに含まれており、かつ、測定されたセルの受信品質がセカンダリセルグループ追加手順を開始する条件を示す条件設定を満たしている場合、測定されたセルをセカンダリセルグループとして追加する処理を実行する。
【0073】
また、所定処理は、セカンダリセルグループ追加手順の開始と測定報告手順の開始とを含んでおり、所定処理の対象セルを示す情報は、セカンダリセルグループの対象セルを示す情報と測定報告の対象セルを示す情報とを含み、所定処理を開始する条件を示す条件設定は、セカンダリセルグループ追加手順を開始する条件を示す条件設定を含んでいてもよい。
【0074】
この場合、制御部103は、測定されたセルがセカンダリセルグループの対象セルに含まれておらず、測定されたセルが測定報告の対象セルに含まれており、かつ、測定されたセルの受信品質がセカンダリセルグループ追加手順を開始する条件を示す条件設定を満たしている場合、測定されたセルの受信品質を含む測定報告メッセージを基地局20に送信する。
【0075】
(基地局)
図8は、基地局20の機能ブロック構成の一例を示す図である。基地局20は、送信部200と、受信部201と、制御部202とを含む。なお、図8は、本実施形態において必要な機能ブロックを示すものである。送信部200及び受信部201は、例えば通信装置14により実現されてもよいし、通信装置14に加えてプロセッサ11が記憶装置13に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。制御部202は、プロセッサ11が、記憶装置13に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0076】
送信部200は、端末10に送信する下りリンクの信号を生成して送信する。
【0077】
受信部201は、端末10から上りリンクの信号を受信する。例えば、受信部201は、端末10から、セルの受信品質を示す測定報告メッセージを受信する。
【0078】
制御部202は、例えば、RRCレイヤに関する各種の処理を行う。また、制御部202は、RRCメッセージを生成する生成部203を含む。
【0079】
生成部203は、受信部201で受信した測定報告に基づいて、所定処理が行われる対象セルを示す情報(例えば、測定対象(Measurement Object))と所定処理を開始する条件を示す条件設定(例えば、報告設定(Reporting configuration))とを含む測定設定情報(例えば、測定設定(Measurement Configuration))を生成する。生成部203で生成された測定設定情報は、送信部200から端末10に送信される。
【0080】
<処理手順>
続いて、本実施形態に係る無線通信システム1が行う処理手順について具体的に説明する。
【0081】
(コンディショナルハンドオーバー手順)
図9は、本実施形態に係るコンディショナルハンドオーバー手順の一例を示す図である。まず、端末10には、測定報告メッセージを送信するトリガとなる測定イベント(ここではEventX1とする)を含む測定設定が設定される。端末10は、隣接セルのうち、指定された測定イベント(EventX1)に対応するセルに対して測定イベントの評価を行う。
【0082】
ここで、測定対象セルの一つ(Cell-X1)において測定イベントが成立した場合(すなわち、EventX1の条件を測定対象セル(Cell-X)の測定結果が満たした場合)、端末10は基地局20-1に対して測定報告メッセージを送信する(S40)。
【0083】
測定報告メッセージを受信した基地局20-1は、端末10が、EventX1の条件を満たすCell-X1を検出したと判断し、Cell-X1を提供する基地局20-2に対して、コンディショナルハンドオーバーの準備開始を示すメッセージ(例えばハンドオーバーリスエスト(HandoverRequest)メッセージ)を送信する(S41)。基地局20-2は、端末10がコンディショナルハンドオーバー処理を実行するのに必要な情報を含むRRCメッセージを生成し、生成したRRCメッセージを含むハンドオーバー応答(例えばHandoverRequestAcknowledge)メッセージを基地局20-1に送信する(S42)。なお、当該RRCメッセージには、コンディショナルハンドオーバーの対象セル(ここでは、Cell-X1)を明示的に示す情報を含む測定対象(Measurement Object)と、コンディショナルハンドオーバー手順に関するトリガ条件(ここではEventY1とする)を含む報告設定(Reporting configuration)と、を含む測定設定(Measurement Configuration)が含まれる。ここで、端末10は、測定対象(Measurement Object)と、報告設定(Reporting configuration)とに基づく測定対象セルのうち、コンディショナルハンドオーバーの対象セル(Cell-X1)以外の測定対象セルを、測定報告の対象セル(ここでは、Cell-Y1、Cell-Z1と仮定する)とみなす。
【0084】
基地局20-2からハンドオーバー応答メッセージを受信した基地局20-1は、受信したハンドオーバー応答メッセージに含まれる測定設定(Measurement Configuration)を含むRRCメッセージ(RRCReconfiguration)を端末10に送信する(S43)。
【0085】
端末10は、受信したRRCメッセージに含まれる測定設定に基づき、Cell-X1が、EventY1を満たすか否かを測定(判定)することで、コンディショナルハンドオーバー手順を開始するか否かを決定する(S44)。EventY1を満たす場合、端末10は、Cell-X1と同期取得を行い、基地局20-2に対してランダムアクセスを試みる(S45)。基地局20-2との間でランダムアクセス手順が成功した場合、ステップS43の処理手順で受信したRRCメッセージに対応する応答メッセージ(例えばRRCReconfigurationComplete)を基地局20-2に対して送信する(S46)。その後、基地局20-2は、基地局20-1に対して、端末10のUEコンテクスト(接続に関する端末関連情報)を削除するように指示するメッセージ(UEContextRelease)を送信する(S47)。
【0086】
ステップS44の処理手順で、端末10は、Cell-X1はEventY1を満たさないが、Cell-Y1はEventY1を満たすと判定したとする。この場合、端末10は、Cell-Y1がEventY1を満たしたことを示す測定報告メッセージ(Measurement Report)を基地局20-1に送信する。その後、基地局20-1は、例えば、Cell-Y1を提供する基地局20及び端末10との間でステップS41~ステップS43の処理手順と同様の処理手順を行うようにしてもよい。端末10は、コンディショナルハンドオーバー手順を実行することで、Cell-Y1にハンドオーバーすることができる。
【0087】
なお、EventX1は、従来のハンドオーバー手順を開始する条件に対応する測定イベントとは異なることが望ましい。例えば、従来の測定イベントEventA3が、「3秒間の間、在圏セルの品質よりも隣接セルの品質が3dB上回った」という条件であれば、EventX1は、(a)1秒間の間、在圏セルの品質よりも隣接セルの品質が3dB上回った、あるいは、(b)3秒間の間、在圏セルの品質よりも隣接セルの品質が2dB上回った、という測定イベントであることが望ましい。上記は単なる例示であり、これ以外の条件でもよいが、基地局20がコンディショナルハンドオーバーの開始を判定するために用いられる測定イベントは、従来のハンドオーバー手順を開始するために用いられる測定イベント(EventA3等)よりも緩和されていることが望ましい。
【0088】
これは、従来のハンドオーバー手順における測定報告メッセージは「ハンドオーバーに関するトリガ条件を満たしたセル」を基地局20に通知する目的で使用されるのに対し、コンディショナルハンドオーバー手順における測定報告メッセージは「ハンドオーバー先となる可能性の高いセル」を基地局20に通知する目的で使用されるためである。
【0089】
図10は、本実施形態に係るセル品質の変動の一例を示す図である。端末10は、図10の開始時点で隣接セル(Cell A、Cell B)を測定対象セルとみなして測定を行っている。時刻t1の時点において、Cell Aのセル品質は、基地局20がコンディショナルハンドオーバーの起動開始を判定するための測定イベント(EventX1)を満たしたとする。この場合、端末10は、Cell Aが当該測定イベントを満たしたことを示す測定報告メッセージを基地局20に通知する。端末10は、時刻t1~t2の間において、コンディショナルハンドオーバー対象セルの指定(Cell A)と、コンディショナルハンドオーバー手順を起動開始する条件(EventY1)とを含むRRCメッセージを基地局20から受信したとする。このとき、端末10は、Cell AをEventY1(すなわち、コンディショナルハンドオーバー)の対象セルとみなし、Cell Bを測定報告の測定対象セルとみなす。ここで、端末10がCell Aから遠ざかる方向に移動し、時刻t2の時点でもCell Aのセル品質がEventY1を満たさない場合(Cell Aのセル品質が在圏セルのセル品質を一定以上超えない)、端末10は、Cell Aにハンドオーバーを行わない(コンディショナルハンドオーバー手順を起動しない)。一方、時刻t2以降において、Cell Bのセル品質がEventY1を満たす場合(Cell Bのセル品質が在圏セルのセル品質を一定以上超える)、端末10は、Cell Bのセル品質がEventY1を満たしたことを示す測定報告メッセージを基地局20に通知する。以後、基地局20は、コンディショナルハンドオーバー対象セルの指定(Cell B)と、コンディショナルハンドオーバー手順を起動開始する条件(EventY1)とを含むRRCメッセージを端末10に送信してもよい。あるいは、基地局20は、Cell Bに対して従来のハンドオーバー手順を示すRRCメッセージを端末10に送信してもよい。これにより、端末10は、Cell Bにコンディショナルハンドオーバー(あるいはハンドオーバー)を行うことができる。
【0090】
(セカンダリセルグループ追加手順)
図11は、本実施形態に係るセカンダリセルグループ追加手順の一例を示す図である。
【0091】
まず、端末10には、測定報告メッセージを送信するトリガとなる測定イベント(ここではEventX2とする)を含む測定設定が設定される。端末10は、隣接セルのうち、指定された測定イベント(EventX2)に対応する測定対象セルに対して測定イベントの評価を行う。
【0092】
ここで、測定対象セルの一つ(Cell-X2)において測定イベントが成立した場合(すなわち、EventX2の条件を測定対象セル(Cell-X2)の測定結果が満たした場合)、端末10は基地局20-1に対して測定報告メッセージを送信する(S50)。
【0093】
測定報告メッセージを受信した基地局20-1は、端末10が、EventX2の条件を満たすCell-X2を検出したと判断し、Cell-X2を提供する基地局20-2に対して、セカンダリgNB追加リスエスト(SgNB Addition Request)メッセージを送信する(S51)。基地局20-2は、Cell-X2の無線リソース占有状況等に基づき、Cell-X2の追加可否を判定し、判定結果を示すセカンダリgNB追加リクエスト応答(SgNB Addition Request Acknowledge)メッセージを基地局20-1に送信する(S52)。
【0094】
基地局20-2からセカンダリgNB追加リクエスト応答を受信した基地局20-1は、セカンダリセルグループ追加対象セル(ここでは、Cell-X2)を示す情報と測定報告の対象セル(ここでは、Cell-Y2、Cell-Z2とする)を示す情報とを含む測定対象(Measurement Object)と、セカンダリセルグループ追加処理を開始する条件(ここではEventY2とする)を含む報告設定(Reporting configuration)とを含む測定設定(Measurement Configuration)を含むRRCメッセージ(RRCConnectionReconfiguration)を端末10に送信する(S53)。端末10は、RRCメッセージ(RRCConnectionReconfigurationComplete)を基地局20-1に送信する(S54)。
【0095】
端末10は、受信したRRCメッセージに含まれる測定設定に基づき、Cell-X2が、EventY2を満たすか否かを測定することで、セカンダリセルグループ追加処理を開始するか否かを決定する(S55)。EventY2を満たす場合、端末10は、Cell-X2と同期取得を行い、基地局20-2に対してランダムアクセスを試みる。基地局20-2との間でランダムアクセス手順が成功した場合、端末10は、基地局20-2との間で、セカンダリセルグループの追加に関する処理を行う(S56)。
【0096】
ステップS55の処理手順で、端末10は、Cell-X2はEventY2を満たさないが、Cell-Y2はEventY2を満たすと判定したとする。この場合、端末10は、Cell-Y2がEventY2を満たしたことを示す測定報告メッセージ(Measurement Report)を基地局20-1に送信する(S57)。その後、基地局20-1は、例えば、Cell-Y2を提供する基地局20及び端末10との間でステップS51~ステップS54の処理手順と同様の処理手順を行うようにしてもよい。端末10は、Cell-Y2をセカンダリセルグループとして追加することができる。
【0097】
なお、以上説明した図9及び図11の処理手順を組み合わせるようにしてもよい。端末10は、コンディショナルハンドオーバー手順の対象セルが測定イベントのトリガ条件を満たす場合にはコンディショナルハンドオーバー手順を実行し、セカンダリセルグループの対象セルが測定イベントを満たす場合にはセカンダリセルグループ追加手順を実行するようにしてもよい。また、端末10は、セカンダリセルグループ追加手順の代わりにセカンダリセルグループ変更手順を実行するようにしてもよい。
【0098】
(測定設定(Measurement Configuration)の具体例)
続いて、本実施形態に係る測定設定(Measurement Configuration)の具体例について説明する。
【0099】
図12は、測定設定の具体例(その1)を示す図である。測定設定(Measurement Configuration)は、従来のEUTRA及び5G(NR)と同様、測定対象(Measurement Object)と、報告設定(Reporting configuration)とが、測定識別子(measId)で対応づけられている。
【0100】
測定対象(Measurement Object)には、コンディショナルハンドオーバーの対象セルを示す情報であるCHO cell Listが含まれる。CHO cell Listには、コンディショナルハンドオーバーの対象セルの物理セルID(PCI: Physical Cell Identifier)を1以上含めることができる。なお、測定対象には、従来の仕様で規定されている、端末10が測定すべき参照信号の周波数・時間リソース情報とサブキャリア間隔情報を示す情報や、ブラックセルリスト、ホワイトセルリスト等など、測定報告メッセージの報告対象であるセルを示す情報が含まれてもよい。
【0101】
報告設定(Reporting configuration)には、コンディショナルハンドオーバー手順を開始する条件を示す条件設定である「測定イベント」が含まれる。当該測定イベントは、図2に示す測定イベントと同一であってもよいし、端末10がコンディショナルハンドオーバー手順を開始する条件に対応づけられる測定イベント(例えば、前述したEventY1等)であってもよい。
【0102】
また、報告設定(Reporting configuration)には、CHO cell Listが有効であるのか無効であるのかを示すフラグ(useCHOcellList)が含まれていてもよい。また、報告設定(Reporting configuration)には、CHO cell Listに含まれるセルが、コンディショナルハンドオーバー対象であるのか、セカンダリセルグループ追加対象であるのかのいずれかを示すフラグである「HO type」が含まれていてもよい。なお、HO typeが含まれる場合、CHO cell Listは、「Cell List」と称してもよいし、「CHO/SCG add cell List」と称してもよい。例えば、HO typeにaddSCGが設定されている場合、CHO cell Listに含まれるセルは、セカンダリセルグループ追加対象セルであることを意味する。なお、HO typeがaddSCGである場合のCHO cell Listは、「セカンダリセルグループの対象セルを示す情報」に対応する。なお、CHO cell Listに含まれるセルは、セカンダリセルグループ変更に関する対象セルであることを意味してもよい。
【0103】
HO typeがaddSCGである場合、報告設定(Reporting configuration)には、セカンダリセルグループ追加手順を開始する条件を示す条件設定である「測定イベント」が含まれてもよい。当該測定イベントは、図2に示す測定イベントと同一であってもよいし、端末10がセカンダリセルグループ追加処理を開始する条件に対応づけられる測定イベント(例えば、前述したEventY2)であってもよい。
【0104】
図13は、測定設定の具体例(その2)を示す図である。測定設定の具体例(その2)では、報告設定(Reporting configuration)に、CHO cell Listの中で、コンディショナルハンドオーバー対象セルが有効であるセルを示すフラグ(useCHOcell)が含まれている。例えば、useCHOcellにセル#0、#3が設定されている場合、CHO cell Listに含まれるセル#0~#3のうち、セル#0、#3のみがコンディショナルハンドオーバー対象セルであることを示す。その他言及しない点は、測定設定の具体例(その1)と同一である。
【0105】
図14は、測定設定の具体例(その3)を示す図である。測定設定の具体例(その3)では、測定対象(Measurement Object)に、CHO cell Listに加えて、コンディショナルハンドオーバー対象のセルをグループ分けするCHO cell groupが含まれる。
【0106】
また報告設定(Reporting configuration)に、CHO cell groupの中で、どのグループを、コンディショナルハンドオーバー対象セルに指定するのかを示す情報(useCHOgroup)が含まれる。例えば、useCHOgroupがGroup#1に設定されている場合、CHO cell groupにてGroup#1に含まれるCell#1及びCell#2が、コンディショナルハンドオーバー対象セルになる。その他言及しない点は、測定設定の具体例(その1)と同一である。
【0107】
図15は、測定設定の具体例(その4)を示す図である。測定設定の具体例(その4)では、CHO cell Listに含まれるセルごとに、コンディショナルハンドオーバー対象セルであるのか、セカンダリセルグループ追加対象セルであるのかを示すHO typeが対応づけられている。測定設定の具体例(その4)では、測定設定の具体例(その1~3)とは異なり、セルごとに、コンディショナルハンドオーバー対象セルなのか、セカンダリセルグループ追加対象セルなのかを設定することが可能である。その他言及しない点は、測定設定の具体例(その1)と同一である。
【0108】
図16は、測定設定(Measurement Configuration)に基づく測定対象セルの指定方法の例(その1)を示す図である。図16の例では、一つの測定対象(Measurement Object)と一つの報告設定(Reporting configuration)とに基づいて、セルA~セルXが測定対象セルとみなされており、更に、当該測定対象セルのうち、セルA及びセルBが、コンディショナルハンドオーバー対象セルに指定されている。また、報告設定(Reporting configuration)には、コンディショナルハンドオーバー手順に対応する測定イベント、および/または測定報告に対応する測定イベントが含まれている。また、測定対象(Measurement Object)と報告設定(Reporting configuration)とは、同一の測定識別子(measID#0)で対応づけられている。セルA~セルXは、測定対象(Measurement Object)で示される周波数のセルのうち、隣接セルとして測定可能なセルであっても良いし、測定対象(Measurement Object)に含まれるホワイトセルリストで指定されるセルであっても良い。さらに、測定対象(Measurement Object)にブラックセルリストが含まれている場合、セルA~セルXは、ブラックセルリストで指定されるセルを除外したものであってもよい。
【0109】
図17は、測定設定(Measurement Configuration)に基づく測定対象セルの指定方法の例(その2)を示す図である。図17の例では、一つの測定対象(Measurement Object)と一つの報告設定(Reporting configuration)とに基づいて、セルA~セルXが測定対象セルとみなされており、更に、当該測定対象セルのうち、セルAがコンディショナルハンドオーバー対象セルに指定され、セルBがセカンダリセルグループ追加対象セルに指定されている。端末10がセルA~セルXを測定対象セルとみなす判断方法は、図16の例と同じでよい。また、報告設定(Reporting configuration)には、コンディショナルハンドオーバー手順に対応する測定イベント、セカンダリセルグループ追加に対応する測定イベント、測定報告に対応する測定イベントのうち、少なくとも一つが含まれている。また、測定対象(Measurement Object)と報告設定(Reporting configuration)とは、同一の測定識別子(measID#0)で対応づけられている。
【0110】
以上説明した測定設定(Measurement Configuration)の設定例は一例に過ぎず、本実施形態がこれらの例に限定されるものではない。例えば、セカンダリセルグループ追加対象セルの指定は、CHO cell Listとは別個のリストにより定義されるようにしてもよい。例えば、測定対象(Measurement Object)に、SCG追加セルリストが定義されるようにしてもよい。また、SCG追加セルリストは、測定対象(Measurement Object)とは異なるIE(Information Element)に定義されるようにしてもよい。例えば、マスターセルグループとセカンダリセルグループの設定を行うIE(CellGroupConfig)の中に定義されるようにしてもよい。
【0111】
(端末の処理手順)
図18は、端末10が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。測定設定(Measurement Configuration)が設定された端末10は、測定対象(Measurement Object)と報告設定(Reporting configuration)とに基づいて測定対象セルを決定し、測定対象セルとみなした隣接セルのセル品質を測定する(S100)。続いて、測定したセル品質が、報告設定(Reporting configuration)に含まれる、コンディショナルハンドオーバー手順又はセカンダリセルグループ追加処理に対応する測定イベント(上述したEventA3若しくはEventY1、EventY2等)を満たすか否かを判定する(S101)。満たさない場合はステップS100の処理手順に戻り、満たす場合はステップS102に進む。続いて、端末10は、測定イベントを満たすセルの物理セルIDが、CHO cell Listに含まれるか否かを判定する(S102)。含まれない場合はステップS103に進み、含まれる場合はステップS104に進む。
【0112】
端末10は、測定した隣接セル(Concerned cellとも称する)のセル品質を含む測定報告メッセージを基地局20に送信する(S103)。
【0113】
端末10は、HO typeが指定されている場合、CHOであるのかSCG addであるのかを確認する(S104)。HO typeがCHOである場合はステップS105に進み、SCG addである場合はステップS106に進む。あるいは、端末10は、成立した測定イベント(EventY1、EventY2)によってCHOであるのかSCG addであるのかを確認してもよい。この場合、どの測定イベントがCHO又はSCG addに対応するのかを示す情報は、測定設定(Measurement Configuration)に含まれていてもよいし、標準仕様にて静的に定められていてもよい。
【0114】
端末10は、隣接セルに対してコンディショナルハンドオーバー手順を開始する(S105)。端末10は、隣接セルに対してセカンダリセルグループ追加手順を開始する(S106)。
【0115】
以上説明した処理手順において、報告設定(Reporting configuration)にセカンダリセルグループ追加処理に関する測定イベントが含まれていない場合は、ステップS104とステップS106の手順は存在しない。
【0116】
(基地局の処理手順)
図19は、基地局20が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。基地局20は、端末10から、セルの受信品質を示す測定報告メッセージを受信する(S200)。続いて、基地局20は、例えば、図12図15で説明した測定設定(Measurement Configuration)を含むRRCメッセージを生成する(S201)。続いて、基地局20は、生成したRRCメッセージを端末10に送信する(S202)。
【0117】
<仕様変更例>
図20は、本実施形態に係る標準仕様(3GPP TS38.331)の変更例を示す図である。図20の例は、図18のうち、ステップS104及びステップS106以外の処理手順に対応する標準仕様の変更例である。
【0118】
図21は、本実施形態に係る標準仕様(3GPP TS38.331)の変更例を示す図である。図21の例は、図18に示す処理手順に対応する標準仕様の変更例である。
【0119】
<まとめ>
以上説明した実施形態によれば、測定対象(Measurement Object)が測定報告(Measurement Report)で指定された測定イベントを満たす場合に、コンディショナルハンドオーバー手順、セカンダリセルグループ追加手順及び測定報告メッセージの送信を柔軟に実行することができる。これにより、柔軟なモビリティ手順を提供することが可能になる。
【0120】
また、本実施形態によれば、コンディショナルハンドオーバー手順の対象セルが、コンディショナルハンドオーバー手順を開始する測定イベントを満たさない場合において、他のセルが当該測定イベントを満たす場合、端末10は、当該他のセルを測定したセル品質を含む測定報告(Measurement Report)メッセージを基地局20に送信することができる。これにより、基地局20は、端末10に対して、当該他のセルにコンディショナルハンドオーバーするように指示することができ、より柔軟なモビリティ制御を提供することが可能になる。
【0121】
また、本実施形態によれば、測定したセルが、ハンドオーバーよりもセカンダリセルグループとして追加する方が好適である場合、端末10に対して、セカンダリセルグループの追加を指示することを可能とした。これにより、より柔軟なモビリティ制御を提供することが可能になると共に、端末10と基地局20間の通信速度をより向上させることが可能になる。
【0122】
<実施形態の補足>
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0123】
端末10及び/又は基地局20は、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SoC(System-on-a-chip)等の集積回路などのハードウェアを含んでいてもよい。当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全部が実現されることとしてもよい。また、プロセッサ11は、当該ハードウェアのうち少なくとも1つであってもよい。
【0124】
実施形態で説明したシーケンス及びフローチャートは、処理に矛盾が生じない限り順序を入れ替えてもよい。
【符号の説明】
【0125】
1…無線通信システム、10…端末、11…プロセッサ、12…メモリ、13…通信装置14…記憶装置、14…通信装置、15…入力装置、16…出力装置、17…アンテナ、20…基地局、20-1…基地局、20-2…基地局、40…コアネットワーク装置、100…送信部、101…受信部、102…測定部、103…制御部、200…送信部、201…受信部、202…制御部、203…生成部
図1
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