(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】利用または順守の予測
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20250109BHJP
【FI】
G16H20/00
(21)【出願番号】P 2021538185
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(86)【国際出願番号】 US2019068375
(87)【国際公開番号】W WO2020139845
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-21
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521191403
【氏名又は名称】レズメド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】デ ソウザ、サキーナ
(72)【発明者】
【氏名】グロメンコ、オレクサンドル
【審査官】中元 淳二
(56)【参考文献】
【文献】特許第6427286(JP,B1)
【文献】特開2018-200567(JP,A)
【文献】特開2008-264181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の呼吸障害を治療するシステムであって、
利用データを出力するように構成された呼吸治療デバイスと、
機械により実行可能なコードを含む機械可読媒体を含むメモリであって、前記機械により実行可能なコード上には命令が保存される、メモリと、
前記メモリへ連結された制御システムであって、前記制御システムは1つ以上のプロセッサを含み、前記制御システムが、前記機械により実行可能なコードを実行することで、前記制御システムに、
患者の治療セッションについての1組の利用データを前記呼吸治療デバイスから受信することと、
前記患者についての1組の前回保存されたデータを過去の時間窓内において特定すること
であって、前記過去の時間窓は、第1の継続期間と第2の継続期間とに分けられている、ことと、
前記1組の利用データおよび前記1組の前回保存されたデータをアルゴリズムによって処理して、前記患者が前記呼吸治療デバイスの利用を今後の時間窓内において低減する可能性を決定すること
であって、前記アルゴリズムは、第1の回帰モデルを含み、前記第1の回帰モデルは、前記患者が前記利用を低減する前記可能性を決定するための前記第1の回帰モデルに対するそれぞれの入力をスケーリングするそれぞれの係数を有し、前記第1の回帰モデルは、前記第1の継続期間中の前記呼吸治療デバイスの平均利用時間と前記第2の継続期間中の前記呼吸治療デバイスの平均利用時間とを含む複数のフィーチャを入力として有する、ことと、
前記可能性が所定の閾値を上回る場合に、前記患者が利用を低減する可能性が高い旨の表示を出力することと、
を行わせるように構成される制御システムと、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記利用データは、患者が治療セッションを完了するたびに出力される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記利用データは、セッションの合計利用時間と、日付および時間スタンプデータとを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記患者が利用を低減する可能性は、前記患者が前記呼吸治療デバイスの利用を停止する可能性を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記患者が利用を低減する可能性は、(a)前記患者が利用を一晩あたり4時間未満、または(b)一晩あたり2時間未満の一方まで低減する可能性を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記アルゴリズムは、利用データを前処理して、(i)利用の無い日、(ii)
利用時間の標準偏差、(
iii)利用の無い日の週間傾向、(
iv)平均利用時間の週間傾向、(
v)利用時間の標準偏差の週間傾向、または(
vi)それらの任意の組み合わせを決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記アルゴリズムは、前記患者のドロップアウトの蓋然性を出力する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記アルゴリズムは1組のロジスティック回帰モデルであり、前記ロジスティック回帰モデル
のそれぞれ
は、前記今後の時間窓における各日のドロップアウトの蓋然性を推定するために、訓練データの
別個の先行時間窓を
用いて訓練され
たものである、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記表示は、アラーム、患者モバイルデバイス上の通知、プロバイダのコンピューティングデバイス上の通知、または前記呼吸治療デバイスのディスプレイ上の通知である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
さらなる前記表示は、前記患者に対して少なくともRAMP治療を含む選択可能な代替治療を示すようにとの命令を含み、前記命令はディスプレイへ送られ、前記代替治療はそれぞれ、前記呼吸治療デバイスについて1組の治療設定と関連付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御システムは、
前記代替治療の選択可能な表示についての前記患者の選択を含む患者入力を受信することと、
呼吸についての前記治療設定を前記患者入力に基づいて変更せよとの命令を前記呼吸治療デバイスへ送ることと、
を行うようにさらに構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
さらなる前記表示は、前記患者が選択可能な代替患者インターフェースを示すようにとの命令を含み、前記命令はディスプレイへ送られる、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御システムは、
前記代替患者インターフェースの選択可能な表示についての前記患者の選択を含む患者入力を受信することと、
前記患者の選択を購入して前記患者へ送達させよとの命令を遠隔外部デバイスへ送ることと、
を行うようにさらに構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御システムは、
第2の1組の利用データの出力を前記呼吸治療デバイスから受信することと、
前記患者についての第2の1組の前回保存されたデータを、第2の過去の時間窓内において特定することであって、前記第2の過去の時間窓は、第1の時間窓と長さが同じであることと、
前記第2の1組の利用データおよび前記第2の1組の前回保存されたデータを前記アルゴリズムによって処理して、前記患者が前記呼吸治療デバイスの利用を第2の今後の時間窓内において低減する可能性を決定することと、
前記可能性が所定の閾値を上回る場合、前記患者が利用を低減する可能性が高い旨の表示を出力することと、
を行うようにさらに構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御システムは、
特定の時間窓内において利用データが受信されたかを決定することと、
前記
特定の時間窓内において利用データが受信されていないと前記制御システムが決定した場合、前記
特定の時間窓について言及された利用の無いデータを保存することと、
を行うようにさらに構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記
特定の時間窓は、24時間の期間である、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記利用の無いデータは、利用の無い日である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記アルゴリズムは、それぞれが一種の呼吸治療デバイスに対して参照される1組のアルゴリズムから前記制御システムによって選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
患者の呼吸障害の治療方法であって、
1つ以上のプロセッサおよび呼吸治療デバイスからの出力を含む制御システムにおいて、患者について1組の利用データを受信することと、
前記患者についての過去の時間窓内の1組の前回保存されたデータを、前記制御システムによって特定すること
であって、前記過去の時間窓は、第1の継続期間と第2の継続期間とに分けられている、ことと、
前記1組の利用データおよび前記1組の前回保存されたデータを前記制御システムによって前処理して、利用のフィーチャセットを出力することと、
前記患者のプロファイルデータを前記制御システムによって受信することであって、前記プロファイルデータは、前記患者の年齢、前記患者によって利用される呼吸治療デバイスの種類、および前記患者のヘルスケアプロバイダを含む、ことと、
前記プロファイルデータに基づいてアルゴリズムを前記制御システムによって選択することと、
前記フィーチャセットを前記制御システムによって
、選択した前記アルゴリズムによって処理して、前記患者が前記呼吸治療デバイスの利用を今後の時間窓内において低減する可能性を決定すること
であって、前記アルゴリズムは、第1の回帰モデルを含み、前記第1の回帰モデルは、前記患者が前記利用を低減する前記可能性を決定するための前記第1の回帰モデルに対するそれぞれの入力をスケーリングするそれぞれの係数を有し、前記第1の回帰モデルは、前記第1の継続期間中の前記呼吸治療デバイスの平均利用時間と前記第2の継続期間中の前記呼吸治療デバイスの平均利用時間とを含む複数のフィーチャを入力として有する、ことと、
前記可能性が所定の閾値を上回る場合に、前記患者が利用を低下する可能性が高い旨の表示を出力することと、
を含む方法。
【請求項20】
前記アルゴリズムは1組のモデルであり、各モデルは、前記患者が前記今後の時間窓内の別の日における利用を低減する蓋然性を推定し、前記1組のモデル中の各モデルは、機械学習アルゴリズムを含み、前記機械学習アルゴリズムは、停止結果が既知である患者からの1組の訓練データであって患者が呼吸治療の利用を低減する蓋然性を前記モデルが推定する日から開始する先行時間窓からの1組の訓練データを用いて事前に訓練される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記アルゴリズムは、治療を終了した1組の患者および治療を終了しなかった1組の患者からのデータを用いて訓練される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
コンピュータに、
過去の時間窓内における患者についての1組の利用データを呼吸治療デバイスから受信すること
であって、前記過去の時間窓は、第1の継続期間と第2の継続期間とに分けられている、ことと、
前記患者のプロファイルデータをデータベースから検索することであって、前記プロファイルデータは、前記患者の年齢、前記患者が利用している呼吸治療デバイスの種類および前記患者のヘルスケアプロバイダを含む、ことと、
前記1組の利用データおよびプロファイルデータをアルゴリズムによって処理して、前記患者が前記呼吸治療デバイスの利用を今後の時間窓内において低減する可能性を決定すること
であって、前記アルゴリズムは、第1の回帰モデルを含み、前記第1の回帰モデルは、前記患者が前記利用を低減する前記可能性を決定するための前記第1の回帰モデルに対するそれぞれの入力をスケーリングするそれぞれの係数を有し、前記第1の回帰モデルは、前記第1の継続期間中の前記呼吸治療デバイスの平均利用時間と前記第2の継続期間中の前記呼吸治療デバイスの平均利用時間とを含む複数のフィーチャを入力として有する、ことと、
前記可能性が所定の閾値を上回る場合に、前記患者が利用を低減する可能性が高い旨の表示を出力すること
と
を実行させるプログラム。
【請求項23】
前記利用データは、治療設定を含む、請求項22に記載の
プログラム。
【請求項24】
前記利用データは、前記呼吸治療デバイスからのセンサ読み取り出力を含む、請求項22に記載の
プログラム。
【請求項25】
コンピュータに、
過去の時間窓内における患者についての1組の利用データを呼吸治療デバイスから受信すること
であって、前記過去の時間窓は、第1の継続期間と第2の継続期間とに分けられている、ことと、
前記1組の利用データをアルゴリズムによって処理して、前記患者が前記呼吸治療デバイスの利用を今後の時間窓内において低減する可能性を決定すること
であって、前記アルゴリズムは、第1の回帰モデルを含み、前記第1の回帰モデルは、前記患者が前記利用を低減する前記可能性を決定するための前記第1の回帰モデルに対するそれぞれの入力をスケーリングするそれぞれの係数を有し、前記第1の回帰モデルは、前記第1の継続期間中の前記呼吸治療デバイスの平均利用時間と前記第2の継続期間中の前記呼吸治療デバイスの平均利用時間とを含む複数のフィーチャを入力として有する、ことと、
前記可能性が所定の閾値を上回る場合に、前記患者が利用を低減する可能性が高い旨の表示を出力すること
と
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1 技術の背景
1.1 技術の分野
本技術は、呼吸関連疾患のスクリーニング、診断、監視、治療、予防および改善のうち1つ以上に関する。本技術はまた、医療デバイスまたは装置と、その使用とに関する。本技術は、呼吸治療デバイス、ウェブサイトおよび他のソフトウェア、エクササイズ機器、オンデマンドタクシーサービスのドライバーまたは他のアプリケーションの順守、利用または利用停止の予測にも関する。
【背景技術】
【0002】
1.2 関連技術の説明
1.2.1 ヒトの呼吸器系およびその疾患
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口腔は、患者の気道への入口を形成する。
【0003】
これらの気道は、一連の分岐する管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の肺胞領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸ゾーンと呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2012。
【0004】
一定範囲の呼吸器疾患が存在している。特定の疾患は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。
【0005】
呼吸器疾患の例には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸機能不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)および胸壁疾患が含まれる。
【0006】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の1つの形態であり、睡眠時の上通気道の閉鎖または閉塞などの発症によって特徴付けられる。睡眠時の異常に小さな上側気道および舌領域における筋緊張の正常欠損、軟口蓋および後中咽頭壁の組み合わせに起因する。このような状態に起因して、罹患患者の呼吸停止が典型的には30~120秒にわたり、ときには一晩に200~300回も呼吸が停止する。その結果、日中の眠気が過度になり、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候は一般的な疾患であり、特に中年の過体重の男性に多いが、患者に自覚症状は無い。米国特許第4,944,310号(Sullivan)を参照されたい。
【0007】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の疾患であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。患者によっては、CSRは、重症不眠、交感神経活動の増加、および後負荷の増加の原因となる、反復性睡眠覚醒を随伴する。米国特許第6,532,959号(Berthon-Jones)を参照されたい。
【0008】
呼吸不全とは、呼吸器障害の総称であり、患者の需要を満たすための充分な酸素吸気または充分なCO2呼気を肺が行うことができていないことを指す。呼吸不全は、以下の疾患のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
【0009】
呼吸機能不全(一種の呼吸不全)の患者は、運動時に異常な息切れを経験することがある。
【0010】
肥満低呼吸症候群(OHS)は、低換気の他の既知の原因がない場合、重症の肥満と覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0011】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0012】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋肉障害は、以下の急速進行性と緩徐進行性とに区分され得る:(i)急速進行性障害:数ヶ月かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、数年内に死亡に繋がる(例えば、ティーンエージャーにおける筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD));(ii)可変性または緩徐進行性障害:数年かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、平均余命が若干低減するだけである(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型および筋強直性筋ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全身衰弱の増加、嚥下障害、労作時および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0013】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または脊柱後側弯症は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症状を以下に挙げる:労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
【0014】
このような状態を治療または改善するために、一定範囲の治療が用いられている。さらに、その他の点では健常人も、呼吸器疾患の予防治療を有利に利用することができる。しかし、これらにおいては、複数の欠陥がある。
【0015】
1.2.2 療法
多様な療法(例えば、持続的気道陽圧(CPAP)治療法、非侵襲的換気(NIV)および侵襲的換気(IV))が、上記の呼吸器疾患の1つ以上の治療のために用いられている。
【0016】
1.2.2.1 呼吸圧力治療
持続的気道陽圧(CPAP)療法が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用機構としては、例えば軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進または後退させることにより、持続陽圧呼吸療法が空気スプリントとして機能し、これにより上気道の閉鎖を防止し得る。CPAP治療によるOSAの治療は自発的なものであり得るため、このような患者が治療の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、患者が治療を遵守しないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、美観的な魅力の無さ。
【0017】
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の呼吸の補助および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気補助が、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0018】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0019】
1.2.2.2 流れ療法
全ての呼吸治療において、規定の治療圧力の送達が意図されているわけではない。いくつかの呼吸治療においては、恐らくは流量プロファイルのターゲティングを目標継続期間にわたって行うことによる規定呼吸量の送達が、企図されている。他の場合において、患者の気道へのインターフェースが「開放」(シール解除)されており、呼吸治療は、患者自身の自発呼吸の補助としてのみ用いられ得る。一実施例において、高流量療法(HFT)とは、連続的な、加熱された、加湿された空気流れを、シールされていないかまたは開口した患者インターフェースを通じて気道入口に、呼吸サイクル全体にかけてほぼ一定に保持される「治療流量」で提供することである。治療流量は、患者のピーク吸気流量を超えるようにノミナル設定されている。HFTは、OSA、CSR、COPDおよび他の呼吸障害の治療のために用いられている。1つの作用メカニズムとして、患者の解剖学的死腔から呼気されたCO2のフラッシングまたは押し流しが可能になるため、高流量の空気を気道入口へ提供すると、換気効率が向上する。そのため、HFTは、死腔治療(DST)と呼ばれる場合がある。他の流れ療法では、治療流量は、呼吸サイクルにわたって変動するプロファイルに追随し得る。
【0020】
別の形態の流れ治療として、長期酸素治療(LTOT)または酸素補充治療がある。医師は、酸素富化ガスの連続流れを、指定酸素濃度(周囲空気中の酸素分率が21%~100%)、指定流量(例えば、1リットル/分(LPM)、2LPM、3LPM)において患者気道へ送達させる旨を処方し得る。
【0021】
1.2.2.3 補充酸素
特定の患者の場合、補助酸素を加圧空気流れへ付加することにより、酸素治療と呼吸圧力治療またはHFTとの組み合わせが得られ得る。呼吸圧力治療へ酸素を付加した場合、これは、補助酸素を用いたRPTと呼ばれる。HFTへ酸素を付加した場合、その結果得られる治療は、補助酸素を用いたHFTと呼ばれる。
【0022】
1.2.3 治療システム
これら呼吸治療は、治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾患を治療することなくスクリーニング、診断、または監視するためにも、用いられ得る。
【0023】
呼吸治療システムは、呼吸圧力治療デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、酸素呼吸源、およびデータ管理を含み得る。
【0024】
別の形態の療法システムとして、下顎再位置決めデバイスがある。
【0025】
1.2.3.1 患者インターフェース
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを装着者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口へのマスク、口への管、または患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される療法に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域とのシールを形成し得、これにより、療法実行のための雰囲気圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、雰囲気圧力に対して約10cmH2Oの陽圧において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmH2Oの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。
【0026】
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳またはダイビングに用いられるマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水侵入から保護することと、周囲よりも高い圧力において内部の空気を維持しないこととを行うように、構成され得る。
【0027】
特定のマスクは、本技術において臨床的に好ましく無い場合があり得る(例えば、マスクが鼻を介した気流を遮断し、口を介した気流のみを通過させる場合)。
【0028】
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を口に挿入し、唇を介して密閉状態を生成および維持しなければならない場合、本技術において不快であるかまたは非実際的である場合がある。
【0029】
特定のマスクは、睡眠時(例えば、横向きにベッドに寝て枕の上に頭を置いた状態で睡眠する場合)における使用においては非実際的である場合がある。
【0030】
患者インターフェースの設計においては、複数の課題がある。顔は、複雑な三次元形状を有する。鼻および頭のサイズおよび形状は、個人によって大きく異なる。頭部には骨、軟骨および軟組織が含まれるため、顔の異なる領域は、機械的力に対して異なる反応を示す。すなわち、顎部または下顎は、頭蓋骨の他の骨に相対して動き得る。頭部全体は、呼吸治療期間を通じて動き得る。
【0031】
これらの課題に起因して、いくつかのマスクの場合、特に装着時間が長い場合または患者がシステムに不慣れである場合、押しつけがましい、美観的に望ましくない、コストが高い、フィット感が悪い、使用が困難、および不快感があるなどの理由のうち1つ以上がある。誤ったサイズのマスクが用いられた場合、コンプライアンスの低下、快適性の低下および患者予後の低下に繋がり得る。飛行士専用のマスク、個人用保護装具(例えば、フィルターマスク)、SCUBAマスクの一部として設計されたマスク、または麻酔投与用マスクは、その元々の用途には耐えられるものの、このようなマスクの場合、長時間(例えば、数時間)にわたって装着するには望ましくないほど不快な場合がある。このような不快感に起因して、治療に対する患者のコンプライアンスが低下する可能性がある。これは、マスクを睡眠時に装着する必要がある場合、特に当てはまる。
【0032】
CPAP治療は、患者が治療を承諾している場合、特定の呼吸疾患の治療においては極めて効果的である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、治療を承諾しない場合がある。患者はマスクを定期的に洗浄するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組立または分解が困難である場合)、患者は、マスクを清浄することができず、患者の承諾に影響が出る場合がある。
【0033】
他の用途(例えば、飛行士)用のマスクの場合、睡眠呼吸障害の治療の使用には不適である場合があるが、睡眠呼吸障害の治療への使用のために設計されたマスクは、他の用途に適している場合がある。
【0034】
これらの理由から、睡眠時のCPAP送達のための患者インターフェースは、明瞭な分野を形成する。
【0035】
1.2.3.1.1 シール形成構造
患者インターフェースはシール形成構造を含み得る。患者インターフェースは、患者の顔と直接接触するため、シール形成構造の形状および構成は、患者インターフェースの有効性および快適性に直接影響を持ち得る。
【0036】
患者インターフェースは、使用時にシール形成構造を顔と係合させる場所の設計意図に従って、部分的に特徴付けられ得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、左鼻孔の周囲にシールを形成するための第1のサブ部分と、右鼻孔の周囲にシールを形成するための第2のサブ部分とを含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時において双方の鼻孔を包囲する単一の要素を含み得る。このような単一の要素は、例えば顔の上唇領域および鼻ブリッジ領域上に載置されるように、設計され得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に例えば顔の下唇領域上にシールを形成することにより、口腔領域を包囲する要素を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に双方の鼻孔および口領域を包囲する単一の要素を含み得る。これらの異なる種類の患者インターフェースは、その製造業者によって鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕、鼻パフおよび口鼻マスクなどの多様な名称によって公知であり得る。
【0037】
患者の顔の一領域において有効であり得るシール形成構造は、例えば患者の顔の異なる形状、構造、変化性および感受性領域に起因して、別の領域においては不適切であり得る。例えば、患者の前額上に載置される水泳用ゴーグルのシーリング部は、患者の鼻上における使用には不適切である場合がある。
【0038】
特定のシール形成構造は、広範囲の異なる顔形状およびサイズに対して1つの設計が適合し、快適でありかつ有効になるように、大量製造用に設計され得る。シーリング部を形成するためには、患者の顔の形状と、大量製造された患者インターフェースのシール形成構造との間の不整合がある範囲まで、一方または双方を適合させる必要がある。
【0039】
1つの種類のシール形成構造は、患者インターフェースの周囲を包囲して延び、シール形成構造が患者の顔に対向して係合している状態で力が患者インターフェースへ付加された際、患者の顔を密閉することを意図する。このシール形成構造は、空気または流体充填クッションを含み得るか、または、ゴムなどのエラストマーによって構成された弾力性のある密閉要素の成形されたかまたは形成された表面を含み得る。この種のシール形成構造により、フィット感が不適切である場合、シール形成構造と顔との間に隙間が発生し、密閉を達成するには、患者インターフェースを顔に押しつけるためにさらなる力が必要になる。
【0040】
別の種類のシール形成構造は、陽圧がマスク内に付加された際に患者の顔に対して自己気密作用を提供するように、マスクの周囲の周辺に配置された薄材のフラップシールを使用する。先述の種類のシール形成部分と同様に、顔とマスクとの間の整合が良くない場合、密閉を達成するために必要なさらなる力が必要になり得るか、またはマスクから漏洩が発生し得る。さらに、シール形成構造の形状が患者の形状と整合しない場合、使用時においてシール形成部分に折り目または座屈が発生し、漏洩の原因になる。
【0041】
別の種類のシール形成構造は、例えば鼻孔中へ挿入される摩擦嵌め要素を含み得るが、これらのシール形成部分を不快であると感じる患者も存在する。
【0042】
別の形態のシール形成構造は、密閉を達成するために接着部を用い得る。患者の中には、常に接着部を自身の顔に貼り付けるかまたは取り外すことが不便であると感じる患者もいる。
【0043】
一定範囲の患者インターフェースシール形成構造の技術について、ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願(WO1998/004,310;WO2006/074,513;WO2010/135,785)に開示がある。
【0044】
鼻枕の一形態が、Puritan Bennettによって製造されたAdam回路において見受けられる。別の鼻枕または鼻パフが、Puritan-Bennett Corporationへ譲渡された米国特許第4、782、832号(Trimbleら)の主題になっている。
【0045】
1.2.3.1.2 位置決めおよび安定化
陽圧空気治療に用いられる患者インターフェースのシール形成構造は、密閉を妨害する空気圧力の対応する力を受ける。そのため、シール形成構造を位置決めすることと、顔の適切な部分に対して密閉を維持することとを行うために、多様な技術が用いられている。
【0046】
1つの技術において、接着部が用いられる。例えば、米国特許出願公開US2010/0000534号を参照されたい。しかし、接着部を用いた場合、不快感がある場合がある。
【0047】
別の技術において、1つ以上のストラップおよび/または安定化ハーネスが用いられる。多数のこのようなハーネスの場合、フィット感が悪い、かさばる、不快および扱いにくいなどの点のうち1つ以上が当てはまる。
【0048】
1.2.3.2 呼吸圧力治療(RPT)デバイス
呼吸圧力治療(RPT)デバイスは、例えばデバイスを作動させて気道へのインターフェースへの空気送達流れを生成することにより、上記した複数の治療のうち1つ以上の送達に個別的に、またはシステムの一部として用いられ得る。空気流れは、(呼吸圧力治療のために)圧力制御され得るかまたは(HFTなどの流れ治療のために)流れ制御され得る。そのため、RPTデバイスは、流れ治療デバイスとしても機能し得る。RPTデバイスの例を挙げると、CPAPデバイスおよび人工呼吸器がある。RPTデバイスの例を挙げると、CPAPデバイスおよび人工呼吸器がある。
【0049】
空気圧生成器は、広範な用途(例えば、工業規模の換気システム)において公知である。しかし、医療用途のための空気圧生成器は、より一般的な空気圧生成器では満足できない特定の要件(例えば、医療機器の信頼性要件、サイズ要件および重量要件)を有する。加えて、医療治療向けに設計されたデバイスであっても、以下のうち1つ以上に関連して欠陥を免れない場合がある:快適性、ノイズ、使いやすさ、有効性、サイズ、重量、製造可能性、コストおよび信頼性。
【0050】
特定のRPTデバイスの特殊な要件の一例として、音響ノイズがある。
【0051】
従来のRPTデバイスのノイズ出力レベルの表(試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmH2Oにて測定)。
【0052】
【0053】
睡眠呼吸障害の治療に用いられる1つの公知のRPTデバイスとして、S9睡眠治療システム(製造元:ResMed Limited)がある。RPTデバイスの別の実施例として、人工呼吸器がある。人工呼吸器(例えば、成人および小児用人工呼吸器のResMed Stellar(登録商標)シリーズ)の場合、複数の状態(例を非限定的に挙げると、NMD、OHSおよびCOPD)の治療のための一定範囲のための患者のための侵襲的および非侵襲的な非依存的呼吸のための補助を提供し得る。
【0054】
ResMed Elisee(登録商標)150人工呼吸器およびResMedVSIII(登録商標)人工呼吸器は、複数の状態の治療のための成人患者または小児用患者に適した侵襲的および非侵襲的な依存的呼吸の補助を提供し得る。これらの人工呼吸器により、単一または二重の肢回路を用いた容積通気モードおよび気圧通気モードが得られる。RPTデバイスは典型的には、圧力生成器(例えば、電動送風機または圧縮ガスリザーバ)を含み、患者の気道へ空気流れを供給するように構成される。場合によっては、空気流れは、患者の気道へ陽圧で供給され得る。RPTデバイスの出口は、空気回路を介して上記したような患者インターフェースへ接続される。
【0055】
デバイスの設計者には、無数の選択肢が提示され得る。設計基準同士が対立することが多くあるため、特定の設計選択肢が慣例からほど遠くなるかあるいは避けられないことがある。さらに、特定の態様の快適性および有効性は、1つ以上のパラメータの些細な変更から大きく影響を受ける可能性もある。
【0056】
1.2.3.3 加湿器
空気流れの送達を加湿無しで行った場合、気道の乾燥に繋がり得る。加湿器をRPTデバイスおよび患者インターフェースと共に用いた場合、加湿ガスが生成されるため、鼻粘膜の乾燥が最小化され、患者気道の快適性が増加する。加えて、より冷涼な気候においては、概して患者インターフェースの周囲の顔領域へ温風を付加すると、冷風の場合よりも快適性が高まる。
【0057】
一定範囲の人工的加湿機器およびシステムが公知であるが、医療加湿器の特殊な要件を満たせていない。
【0058】
医療加湿器は、典型的には患者が(例えば病院において)睡眠時または安静時にあるときに、必要な場合に周囲空気に相対して空気流れの湿度および/または温度を増加させるように、用いられる。枕元に置かれる医療加湿器は、小型である場合がある。医療加湿器は、患者へ送達される空気流れの加湿および/または加熱のみを行うように構成され得、患者の周囲の加湿および/または加熱は行わない。例えば、部屋ベースのシステム(例えば、サウナ、エアコン、または蒸発冷却器)は、呼吸により患者体内に取り込まれる空気も加湿し得るものの、これらのシステムの場合、部屋全体も加湿および/または加熱するため、占有者にとって不快感であり得る。さらに、医療加湿器の場合、工業用加湿器よりも安全面での制約がより厳しい場合もある。
【0059】
多数の医療加湿器が公知であるものの、このような医療加湿器の場合、1つ以上の欠陥を被り得る。すなわち、このような医療加湿器の場合、加湿が不適切なものもあれば、患者にとって使用が困難または不便であるものもある。
【0060】
1.2.3.4 データ管理
臨床的理由により、呼吸治療が処方された患者が「コンプライアンスを遵守している」かどうか(例えば、患者が自身のRPTデバイスを使用するのに1つ以上の「コンプライアンスルール」に則っているか)を決定するためのデータを入手する場合がある。CPAP治療についてのコンプライアンスルールの一例として、患者がコンプライアンスを遵守しているとみなすためには、患者が連続30日間のうち少なくとも21日間にわたってRPTデバイスを一晩あたり少なくとも4時間にわたって使用する必要がある。患者のコンプライアンスを決定するためには、RPTデバイスのプロバイダ(例えば、ヘルスケアプロバイダ)は、RPTデバイスを用いた患者の治療を記述するデータを手作業で入手し、所定期間にわたる使用率を計算し、これをコンプライアンスルールと比較し得る。ヘルスケアプロバイダが患者が自身のRPTデバイスをコンプライアンスルールに則って使用したと決定すると、当該ヘルスケアプロバイダは、患者がコンプライアンスを遵守している旨を第三者に通知し得る。
【0061】
患者の治療において、治療データの第三者または外部システムへの通信から恩恵を受ける他の態様があり得る。
【0062】
このようなデータを通信および管理するための既存のプロセスの場合、高コスト、時間がかかること、エラーの発生し易さのうち1つ以上が発生し得る。
【0063】
1.2.3.5 通気技術
いくつかの形態の治療システムは、吐き出された二酸化炭素を押し出すための通気部を含み得る。この通気部により、患者インターフェースの内部空間(例えば、プレナムチャンバ)から患者インターフェースの外部(例えば、周囲)へのガス流れが可能になり得る。
【0064】
この通気部は、オリフィスを含み得、マスク使用時において、ガスがオリフィスを通じて流れ得る。多数のこのような通気部の場合、音がうるさい。他の場合、使用時において閉塞し得るため、押し出しが不十分になる。いくつかの通気部の場合、例えば音または気流集中に起因して、患者1000と同床者1100の睡眠を妨げる場合がある。
【0065】
ResMed Limitedは、複数の向上したマスク通気技術を開発している。下記を参照されたい:国際特許出願公開第WO1998/034、665;国際特許出願公開第WO2000/078、381;米国特許第6、581、594号;米国特許出願公開第US2009/0050156;米国特許出願公開第2009/0044808。
【0066】
従来のマスクのノイズの表(ISO17510-2:2007、1mにおける10cmH2O圧力)
【0067】
【0068】
(*試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmH2Oにて測定)
【0069】
多様な対象の音圧値を以下に羅列する。
【0070】
【0071】
1.2.4 スクリーニング、診断、および監視システム
睡眠ポリグラフ(PSG)は、心肺疾患の診断および監視のための従来のシステムであり、典型的には、システム適用のために専門家臨床スタッフを必要とすることが多い。PSGにおいては、多様な身体信号(例えば、脳波検査(EEG)、心電図検査(ECG)、電気眼球図記録(EOG)、筋電図描画法(EMG))を記録するために、典型的には15~20個の接触覚センサを人体上に配置する。睡眠時呼吸障害のPSGのためには、患者を専門病院において二晩にわたって観察する必要があった。すなわち、第一夜は純然たる診断のためであり、第二夜は、臨床医による治療パラメータのタイトレーションのために必要であった。そのため、PSGは高コストであり、利便性も低い。PSGは、家庭での睡眠呼吸障害のスクリーニング/診断/監視に特に不向きである。
【0072】
一般に、スクリーニングおよび診断は、疾患の兆候と症状によって疾患を特定することである。通常、スクリーニングは、患者のSDBがさらなる調査を求める程重症であるかないかを示す真/偽結果を出す。一方、診断は、臨床で実行可能な情報を出すことが多い。スクリーニングおよび診断は、一回性手続きになる傾向であることに反して、疾患の経過をモニタリングすることは無限定に続けられる。いくつかのスクリーニング/診断システムは、スクリーニング/診断にのみ適合されているが、いくつかはモニタリングにも使用することができる。
【0073】
臨床専門家は、患者のスクリーニング、診断または監視を、PSG信号の視覚的観察に基づいて適切に行い得る。しかし、臨床専門家が居ないまたは臨床専門家への支払いができない状況がある。患者の状態について臨床専門家によって意見が異なる場合がある。さらに、或る臨床専門家は、時期によって異なる基準を適用し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0074】
2 技術の簡単な説明
本技術は、呼吸器疾患のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防において用いられる医療機器であって、改良された快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する医療機器を提供することを目的とする。
【0075】
本技術の第1の態様は、呼吸器疾患のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防に用いられる装置に関連する。
【0076】
本技術の別の態様は、ウェブサイトまたはコンピュータソフトウェアの利用および監視と、他のアプリケーション(例えば、オンデマンドタクシーサービスおよびエクササイズ機器のためのドライバー)の利用監視とにおいて用いられる方法に関する。
【0077】
本技術の特定の形態の態様による方法および/または装置によれば、呼吸治療、ウェブサイトおよび(ユーザの関与を必要とする)他のソフトウェアプログラム、エクササイズ機器、オンデマンドタクシーサービスのドライバー、または他のアプリケーションについての患者の順守を向上させる。
【0078】
本技術の一形態において含まれるものとして、呼吸治療デバイス、コンピュータシステム、エクササイズ機器、または利用データを出力する他のシステムと、利用データを処理してユーザまたは患者が時間窓内に、呼吸治療デバイス、エクササイズ機器、コンピュータシステムおよびソフトウェア、または他のアプリケーションの利用を低減するであろうかを決定するコントローラとがある。
【0079】
本技術の一形態の別の態様において、呼吸治療デバイスコンピュータシステム、エクササイズ機器または他のシステムを利用しているユーザが、指定された時間窓内に利用を停止する可能性が、決定される。
【0080】
本技術の一形態の別の態様において、呼吸治療デバイスコンピュータシステム、エクササイズ機器または他のシステムを利用しているユーザについて、利用の無い日数、1日あたりの利用の平均、および利用標準偏差の、週毎のトレンドを特定することにより、ユーザが利用を停止または低減するであろうかについて決定する。
【0081】
本技術の一形態の別の態様において、ランダムフォレストおよびロジスティック回帰アルゴリズムを用いて、呼吸治療デバイスコンピュータシステム、エクササイズ機器または他のシステムからの利用データ出力を処理して、ユーザが指定された時間窓(例えば、2週間、1週間、または3週間)内に利用を停止するであろうかを決定する。
【0082】
記載される方法、システム、デバイスおよび装置により、プロセッサにおける機能(例えば、特定目的用コンピュータ、呼吸モニターおよび/または呼吸治療装置のプロセッサの機能)の向上が可能となるように具現され得る。さらに、記載の方法、システム、デバイスおよび装置により、呼吸状態(例えば、睡眠障害呼吸)の自動管理、監視および/または治療の技術分野における向上が可能になる。
【0083】
もちろん、上記態様の一部は、本技術の下位態様を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成し得る。
【0084】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
3 図面の簡単な説明
本技術を、添付図面中に非限定的に一実施例として例示する。図面中、類似の参照符号は、以下の類似の要素を含む。
3.1 治療システム
【
図1A】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻枕の形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイス4000からの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。同床者1100も図示される。患者は、仰臥位睡眠位置において睡眠している。
【
図1B】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻マスクの形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
【
図1C】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを含む。患者インターフェース3000は、フルフェイスマスクの形態をとり、陽圧の空気供給をRPTデバイス4000から受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。患者は、側臥位睡眠位置において睡眠している。
3.2 呼吸システムおよび顔の解剖学的構造
【
図2A】鼻腔および口腔、喉頭、声帯ひだ、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓および横隔膜を含むヒト呼吸器系の概要を示す。
3.3 患者インターフェース
【
図3A】本技術の一形態による鼻マスクの形態の患者インターフェースを示す。
3.4 RPTデバイス
【
図4A】本技術の一形態によるRPTデバイスの分解図を示す。
【
図4B】本技術の一形態に従ったRPTデバイスの空気回路の概略図である。上流および下流の方向が、送風機および患者インターフェースに対して示される。任意の特定の瞬間における実際の流れ方向に関係無く、送風機は患者インターフェースの上流にあるものとして規定され、患者インターフェースは送風機の下流にあるものとして規定される。送風機と患者インターフェースとの間の空気圧経路内に配置されたアイテムは、送風機の下流および患者インターフェースの上流にある。
【
図4C】本技術の一形態によるRPTデバイスの電気構成要素の模式図である。
【
図4D】本技術の1つの形態によるRPTデバイス中において実行されるアルゴリズムの概略図である。
【
図4E】本技術の一態様に従った
図4Dの治療エンジンモジュールによって実施される方法を説明したフローチャートである。
3.5 加湿器
【
図5A】本技術の1つの形態による加湿器の等角図を示す。
【
図5B】本技術の1つの形態による加湿器の等角図を示し、加湿器リザーバ5110が加湿器リザーバドック5130から取り外された様子を示す。
【
図5C】本技術の一形態による加湿器の模式図である。
3.6 呼吸波形
【
図6A】睡眠時のヒトの典型的な呼吸波形のモデルを示す。
【
図6B】患者がノンレム睡眠時において約90秒の期間にわたって正常に呼吸する際の、選択された睡眠ポリグラフチャンネル(パルスオキシメトリ、流量、胸部動きおよび腹部動き)を示す。
3.7 スクリーニング、診断、および監視システム
【
図7A】睡眠ポリグラフ(PSG)を受けている患者を示す。患者は、仰臥位睡眠位置において睡眠している。
【
図7B】患者の状態の監視のための監視装置を示す。患者は、仰臥位睡眠位置において睡眠している。
3.8 データ送信
【
図8A】呼吸治療デバイスから使用データ、および他のデータを受信するシステムのブロック図である。
【
図8B】呼吸治療デバイスから使用データ、および他のデータを受信する代替のシステムのブロック図である。
3.9 治療の低減または停止の予測
【
図9】呼吸治療デバイスからの利用データ出力に基づいて患者順守を予測する方法を示すフローチャートである。
【
図10】開示の技術と共に適用されるアルゴリズムにおいて考慮される利用データの時間窓の一例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
4 本技術の実施例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の実施例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の実施例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0087】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な実施例に関連して提供される。任意の1つの実施例の1つ以上の特徴は、別の実施例または他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの実施例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる実施例を構成し得る。
【0088】
4.1 治療
一形態において、本技術は、呼吸器疾患の治療方法を含む。本方法は、患者1000の気道の入口へ陽圧を付加するステップを含む。
【0089】
本技術の特定の実施例において、陽圧における空気供給が鼻孔の片方または双方を介して患者の鼻通路へ提供される。
【0090】
本技術の特定の実施例において、口呼吸が制限されるか、限定されるかまたは妨げられる。
【0091】
4.2 治療システム
1つの形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための装置またはデバイスを含む。装置またはデバイスは、圧縮空気を患者インターフェース3000または3800への空気回路4170を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る。
【0092】
4.3 患者インターフェース
本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能様態を含む:シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気孔3400、空気回路4170への接続のための一形態の接続ポート3600、および前額支持部3700。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、気道への陽圧での空気供給を促進するように、患者の気道の入口を包囲するように配置される。
【0093】
非シール型患者インターフェース3800は、鼻カニューレの形態をしており、鼻プロング3810aおよび3810bを含む。鼻プロング3810aおよび3810bは、空気を患者1000の各鼻腔へ送達させ得る。このような鼻プロングは、鼻孔の内側皮膚面または外側皮膚面とのシールを形成しないことが多い。鼻プロングへの空気は、1つ以上の空気供給ルーメン3820aおよび3820bから送達される。これらは、鼻カニューレ3800と連結される。ルーメン3820aおよび3820bは、鼻カニューレ3800から延び、鼻カニューレ3800は、空気流れを高流量にて生成するRTデバイスへ延びる。非シール型患者インターフェース3800には「通気穴」が設けられ、この「通気穴」を通じて、過剰な空気流が雰囲気へと逃げる。この「通気穴」は、カニューレ3800のプロング3810aおよび3810bの端部間の通路であり、患者の鼻腔を介して雰囲気へ延びる。
【0094】
患者インターフェースが最低レベルの陽圧を快適に気道へ送達できない場合、患者インターフェースは呼吸圧力治療に不適切であり得る。
【0095】
4.3.1 シール形成構造
本技術の一形態において、シール形成構造3100は、目標シール形成領域を提供し、クッション機能をさらに提供し得る。目標シール形成領域は、シール形成構造3100において密閉が発生し得る領域である。密閉が実際に発生する領域(すなわち、実際の密閉面)は、一定範囲の要素(例えば、顔面上の患者インターフェースの配置位置、位置決めおよび安定化構造における張力、および患者の顔の形状)に応じて、所与の治療セッションにおいて患者によって日々変化し得る。
【0096】
一形態において、目標シール形成領域が、シール形成構造3100の外面上に配置される。
【0097】
本技術の特定の形態において、シール形成構造3100は、生体適合性材料(例えば、シリコーンゴム)から構成される。
【0098】
本技術によるシール形成構造3100は、柔らかく、可撓性でありかつ弾力性のある材料(例えば、シリコーン)から構成され得る。
【0099】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くのシール形成構造3100を含むシステムが提供される。各シール形成構造3100は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適したシール形成構造3100の一形態および大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの頭に適した別のものを含み得る。
【0100】
4.3.1.1 密閉機構
一形態において、シール形成構造は、圧力アシスト密閉機構を用いる密閉フランジを含む。使用時において、密閉フランジは、プレナムチャンバ3200内のシステム陽圧に容易に応答してその下側上に作用して、面と緊密な密閉係合を形成させ得る。圧力アシスト機構は、位置決めおよび安定化構造における弾性張力と共に作用し得る。
【0101】
一形態において、シール形成構造3100は、密閉フランジおよび支持フランジを含む。シーリングフランジは、厚さが約1mm未満(例えば、約0.25mm~約0.45mm)の比較的肉薄の部材を含む。この部材は、プレナムチャンバ3200の縁部長さの周囲に延びる。支持フランジは、シーリングフランジよりも比較的肉厚であり得る。支持フランジは、密閉フランジと、プレナムチャンバ3200の周縁部との間に配置され、周辺長さの周囲の少なくとも一部に延びる。支持フランジは、バネ様要素であるかまたはバネ様要素を含み、密閉フランジを使用時に座屈しないように支持するよう機能する。
【0102】
一形態において、シール形成構造は、圧縮密閉部またはガスケット密閉部を含み得る。使用時において、圧縮密閉部またはガスケット密閉部は、例えば位置決めおよび安定化構造における弾性張力に起因して圧縮状態となるように、構築および配置される。
【0103】
一形態において、シール形成構造は、張力部を含む。使用時において、張力部は、例えば密閉フランジの隣接領域により、ぴんと張られた状態で保持される。
【0104】
一形態において、シール形成構造は、粘着面または接着面を有する領域を含む。
【0105】
本技術の特定の形態において、シール形成構造は、圧力アシスト密閉フランジ、圧縮密閉部、ガスケット密閉部、張力部、および粘着面または接着面を有する部位のうち1つ以上を含み得る。
【0106】
4.3.1.2 鼻梁または鼻堤領域
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、使用時に患者の顔の鼻梁領域上にまたは鼻堤領域上に密閉を形成するシール形成構造を含む。
【0107】
一形態において、シール形成構造は、使用時において患者の顔の鼻梁領域上または鼻堤領域上にシールを形成するように構築されたサドル状領域を含む。
【0108】
4.3.1.3 上唇領域
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、患者の顔の上唇領域(すなわち、上唇)上に使用時に密閉を形成するシール形成構造を含む。
【0109】
一形態において、シール形成構造は、使用時において患者の顔の上唇領域上にシールを形成するように構築されたサドル状領域を含む。
【0110】
4.3.1.4 顎領域
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、使用時に患者の顔の顎領域上に密閉を形成するシール形成構造を含む。
【0111】
一形態において、シール形成構造は、使用時において患者の顔の顎領域上にシールを形成するように構築されたサドル状領域を含む。
【0112】
4.3.1.5 前額領域
一形態において、シール形成構造は、シール使用時において患者の顔の前額領域上にシールを形成する。このような形態において、プレナムチャンバは、使用時において眼を被覆し得る。
【0113】
4.3.1.6 鼻枕
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000のシール形成構造は、一対の鼻パフまたは鼻枕を含む。各鼻パフまたは鼻枕は、患者の鼻の各鼻孔とのシールを形成するように構成および配置される。
【0114】
本技術の一態様による鼻枕は、円錐台を含む。円錐台のうち少なくとも一部は、患者の鼻の下側、柄部、円錐台の下側上の可撓性領域上に密閉を形成し、円錐台を柄部へ接続させる。加えて、本技術の鼻枕が接続される構造は、柄部のベースに隣接する可撓性領域を含む。可撓性領域は、自在接合構造を促進するように機能し得る。自在接合構造は、円錐台の変位および角度双方と、鼻枕が接続される構造との相互移動に対応する。例えば、円錐台は、柄部が接続された構造に向かって軸方向に変位し得る。
【0115】
4.3.2 プレナムチャンバ
プレナムチャンバ3200は、使用時に密閉が形成される領域において平均的な人の顔の表面外形に対して相補的である形状の周囲を有する。使用時において、プレナムチャンバ3200の周辺縁部は、顔の隣接する表面に近接して位置決めされる。顔との実際の接触は、シール形成構造3100によって提供される。シール形成構造3100は、使用時においてプレナムチャンバ3200の縁部全体の周りに延び得る。いくつかの形態において、プレナムチャンバ3200およびシール形成構造3100は、単一の均質的材料ピースから形成される。
【0116】
本技術のいくつかの形態において、プレナムチャンバ3200は、使用時において患者の眼を被覆しない。換言すると、眼は、プレナムチャンバによって規定される加圧空間外にある。このような形態の場合、押しつけがさが低減しかつ/またはより着用者の快適性が増すことが多いため、治療コンプライアンスが向上し得る。
【0117】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、透明材料(例えば、透明ポリカーボネート)から構築される。透明材料の利用により、患者インターフェースの押しつけがましさが低減され得、治療へのコンプライアンスの向上が補助され得る。透明材料の利用により、臨床医が患者インターフェースの配置様態および機能を確認することが補助され得る。
【0118】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、半透明材料から構成される。半透明材料を用いることにより、患者インターフェースの押しつけがましさを低減することができ、治療へのコンプライアンスの向上を補助することができる。
【0119】
4.3.3 位置決めおよび安定化構造
本技術の患者インターフェース3000のシール形成構造3100は、使用時において位置決めおよび安定化構造3300によって密閉位置において保持され得る。
【0120】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、顔から浮き上がるためのプレナムチャンバ3200中の陽圧の効果に打ち勝つのに少なくとも充分な保持力が得られる。
【0121】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への引力に打ち勝つだけの保持力が得られる。
【0122】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への破壊的作用の可能性(例えば、管引き摺りまたは患者インターフェースとの不慮の干渉に起因するもの)を解消するための安全マージンとして保持力が得られる。
【0123】
本技術の一形態において、患者が睡眠時に装着されるように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、装置の感知される嵩または実際の嵩を低減するように、目立たない外形または断面厚さを有する。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、矩形断面を有する少なくとも1つのストラップを含む。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、少なくとも1つの平坦ストラップを含む。
【0124】
本技術の一形態において、患者が患者の頭部の後部領域を枕に載せた状態で仰臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。
【0125】
本技術の一形態において、患者が患者の頭部の側部領域を枕に載せた状態で側臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。
【0126】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、位置決めおよび安定化構造3300の前方部位と位置決めおよび安定化構造3300の後方部位との間に配置された結合解除部位を備える。この結合解除部は、圧縮に耐えず、例えば可撓性またはぺらぺらのストラップであり得る。結合解除部は、患者が頭を枕に載せて横たわったときに結合解除部の存在により後部への力が位置決めおよび安定化構造3300に沿って伝達されてシールが妨害される事態を回避できるように、構築および配置される。
【0127】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、布地患者接触層、発泡材料内側層および布地外側層の積層物から構成されたストラップを含む。一形態において、発泡材料は、湿気(例えば、汗)がストラップを通過できるような多孔性である。一形態において、織物外側層は、フック材料部分と係合するループ材料を含む。
【0128】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、伸張可能である(例えば、弾力性と共に伸張可能である)ストラップを含む。例えば、ストラップは、使用時にはピンと張った状態にされて、シール形成構造を患者の顔の一部と密着させる力を方向付けるように、構成され得る。一実施例において、ストラップは、タイとして構成され得る。
【0129】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は第1のタイを含み、第1のタイは、使用時においてその下縁部の少なくとも一部が上を通過して患者の頭の上耳底点へ移動し、後頭骨を被覆することなく頭頂骨の一部を被覆するように、構築および配置される。
【0130】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第2のタイを含む。第2のタイは、使用時においてその上縁部の少なくとも一部が患者頭部の下側の下耳底点の下側を通過し、患者頭部の後頭骨を被覆するかまたは患者頭部の後頭骨の下側に載置されるように、構築および配置される。
【0131】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第1のタイおよび第2のタイが相互に離隔方向に移動する傾向を低減させるように、第1のタイおよび第2のタイを相互接続させるように構築および配置された第3のタイを含む。
【0132】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、屈曲可能であり例えば非剛性であるストラップを含む。本態様の利点として、患者が睡眠時に体を横たえたときにストラップがより快適になっている点がある。
【0133】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、内部を水蒸気が通過できるように呼吸可能なように構成されたストラップを含む。
【0134】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くの位置決めおよび安定化構造3300を含むシステムが提供される。各位置決めおよび安定化構造3300は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するための保持力を提供するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適し、かつ、大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの別の頭に適した位置決めおよび安定化構造3300の一形態を含み得る。
【0135】
本技術の特定の形態において、安定化構造3300に含まれるセンサは、ストラップの長手方向軸に沿った張力に関連するデータまたは他の関連する力、応力または機械的値を出力するように、構成される。他の例において、安定化構造3300は、患者頭部に対するストラップの圧力を感知する圧力センサを側部に含み得る。
【0136】
4.3.4 通気部
一形態において、患者インターフェース3000は、吐き出されたガス(例えば、二酸化炭素)の押し出しを可能にするように構成および配置された通気部3400を含む。
【0137】
特定の形態において、通気部3400は、プレナムチャンバ内の圧力が雰囲気に対して正であるときにプレナムチャンバ3200の内部から雰囲気への連続的通気流れを可能にするように構成される。通気部3400は、使用時においてプレナムチャンバ内の治療圧力を維持しつつ、通気流量の大きさが呼気されたCO2の患者による再呼吸を低減できるだけの充分な大きさになるように、構成される。
【0138】
本技術による一形態の通気部3400は、複数の穴(例えば、約20個~約80個の穴または約40個~約60個の穴または約45個~約55個の穴)を含む。
【0139】
通気部3400は、プレナムチャンバ3200内に配置され得る。あるいは、通気部3400は、結合解除構造(例えば、回り継ぎ手)内に配置される。
【0140】
本技術の一形態において、通気部3400は、通気ノイズが通気部3400から発散しているかを決定する音響センサを含み得る。例えば、通気部3400上の音響センサを遠隔センサまたはRPTデバイス4000の別のコンポーネント上のセンサからのノイズ出力と比較することにより、通気部3400に関連するノイズをRPTデバイス4000の他のコンポーネントと相対して決定することができ得る。
【0141】
4.3.5 前額支持部
一形態において、患者インターフェース3000は、前額支持部3700を含む。
【0142】
4.3.6 ポート
本技術の一形態において、患者インターフェース3000は、プレナムチャンバ3200内の容量へのアクセスを可能にする1つ以上のポートを含む。一形態において、これにより、臨床医が補充酸素を供給することが可能になる。一形態において、これにより、プレナムチャンバ3200内のガスの特性(例えば、圧力)を直接測定することが可能になる。
【0143】
4.4 RPTデバイス
本技術の一態様によるRPTデバイス4000は、機械、空気圧式、および/または電気部品を含み、1つ以上のアルゴリズム4300(例えば全体的にせよ部分的にせよ本明細書に記載の方法のうちいずれか)を実行するように構成される。RPTデバイス4000は、例えば本文書中のいずれかに記載の呼吸状態のうち1つ以上の治療のために患者の気道へ送達される空気流れを生成するように構成され得る。
【0144】
一形態において、RPTデバイス4000は、少なくとも6cmH2Oまたは少なくとも10cmH2Oまたは少なくとも20cmH2Oの陽圧を維持しつつ、空気流れを-20L/分~+150L/分の範囲で送達できるように構築および配置される。
【0145】
4.4.1 RPTデバイス機械および空気圧式コンポーネント
RPTデバイスは、以下のコンポーネントのうち1つ以上を一体ユニット中に含み得る。一代替形態において、以下のコンポーネントのうち1つ以上が、それぞれの別個のユニットとして配置され得る。
【0146】
4.4.1.1 変換器(複数)
変換器は、RPTデバイスの内部に設けてもよいし、あるいはRPTデバイスの外部に設けてもよい。外部変換器は、例えば空気回路上に配置してもよいし、あるいは空気回路の一部を形成してもよい(例えば、患者インターフェース)。外部変換器は、非接触センサの形態をとり得る(例えば、データをRPTデバイスを送るかまたは移動させるドップラーレーダー移動センサ)。
【0147】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270が、圧力生成器4140の上流および/または下流に配置され得る。1つ以上の変換器4270は、空気流れの特性を示す信号(例えば、空気圧経路中の当該ポイントにおける流量、圧力、音響特性、または温度)を生成するように、構築および配置され得る。
【0148】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270は、患者インターフェース3000または3800の近隣に配置され得、1つ以上の音響センサを含む。
【0149】
一形態において、変換器4270からの信号が、(例えば、ローパス、ハイパスまたはバンドパスフィルタリングによって)フィルタリングされ得る。
【0150】
4.4.1.1.1 流量センサ
本技術による流量センサ4274は、差圧トランスデューサ(例えば、SENSIRIONからのSDP600シリーズ差圧トランスデューサ)に基づき得る。
【0151】
一形態において、流量センサ4274からの流量を示す信号が、中央コントローラ4230によって受信される。
【0152】
4.4.1.1.2 圧力センサ
本技術による圧力センサ4272は、空気圧経路と流体連通して配置され得る。適切な圧力センサの一実施例として、HONEYWELL ASDXシリーズからの変換器がある。別の適切な圧力センサとして、GENERAL ELECTRICからのNPAシリーズからの変換器がある。
【0153】
1つの形態において、圧力センサ4272からの信号は、中央コントローラ4230によって受信される。
【0154】
4.4.1.1.3 モータ速度変換器
本技術の一形態において、モータ4144および/または送風機4142の回転速度を決定するために、モータ速度変換器4276が用いられ得る。モータ速度変換器4276からのモータ速度信号は、治療装置コントローラ4240へ提供され得る。モータ速度変換器4276は、例えば速度センサであり得る(例えば、ホール効果センサ)。
【0155】
4.4.2 RPTデバイス電気部品
4.4.2.1 電源
電源4210は、RPTデバイス4000の外部ハウジング4010の内部または外部に配置され得る。
【0156】
本技術の一形態において、電源4210は、RPTデバイス4000にのみ電力を供給する。本技術の別の形態において、電源4210から、電力がRPTデバイス4000および加湿器5000双方へ提供される。
【0157】
4.4.2.2 入力デバイス
本技術の一形態において、RPTデバイス4000は、人間がデバイスと相互作用を可能にするためのボタン、スイッチまたはダイヤルの形態をとる1つ以上の入力デバイス4220を含む。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、タッチスクリーンを介してアクセスすることが可能な物理的デバイスまたはソフトウェアデバイスであり得る。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、一形態において外部ハウジング4010に物理的に接続させてもよいし、あるいは、別の形態において中央コントローラ4230と電気接続された受信器と無線通信してもよい。
【0158】
一形態において、入力デバイス4220は、人間が値および/またはメニュー選択肢を選択することを可能にするように、構築および配置され得る。
【0159】
4.4.2.3 中央コントローラ
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000の制御に適した1つまたは複数のプロセッサである。
【0160】
適切なプロセッサは、ARM HoldingsからのARM(登録商標)Cortex(登録商標)-Mプロセッサに基づいたプロセッサであるx86INTELプロセッサを含み得る(例えば、ST マクロ電子からのS(登録商標)32シリーズのマイクロコントローラ)。本技術の特定の代替形態において、32ビットRISC CPU(例えば、ST MICRO電子SからのSTR9シリーズマクロコントローラ)または16ビットRISC CPU(例えば、TEXAS INSTRUMENTSによって製造されたマクロコントローラのMSP430ファミリーからのプロセッサ)も適切であり得る。
【0161】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、専用電子回路である。
【0162】
一形態において、中央コントローラ4230は、特定用途向け集積回路である。別の形態において、中央コントローラ4230は、個別電子コンポーネントを含む。
【0163】
中央コントローラ4230は、1つ以上の変換器4270、1つ以上の入力デバイス4220および加湿器5000から入力信号(複数)を受信するように、構成され得る。
【0164】
中央コントローラ4230は、出力信号(複数)を出力デバイス4290、治療装置コントローラ4240、データ通信インターフェース4280および加湿器5000のうち1つ以上へ提供するように、構成され得る。
【0165】
本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、本明細書中に記載の1つ以上の方法を具現するように、構成される(例えば、非一時的なコンピュータで読出可能な記録媒体のような(例えば、メモリ4260)中に記録されたコンピュータプログラムとして表現された1つ以上のアルゴリズム4300)。本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000と一体化され得る。しかし、本技術のいくつかの形態において、いくつかの方法が、遠隔配置されたデバイスによって行われ得る。例えば、遠隔配置されたデバイスは、記録されたデータ(例えば、本明細書中に記載のセンサのうちいずれかからのもの)の分析により、人工呼吸器の制御設定を決定し得るか、または、呼吸関連イベントを検出し得る。
【0166】
4.4.2.4 時計
RPTデバイス4000は、中央コントローラ4230へ接続された時計4232を含み得る。
【0167】
4.4.2.5 治療装置コントローラ
本技術の一形態において、治療デバイスコントローラ4240は治療制御モジュール4330であり、中央コントローラ4230によって実行されるアルゴリズム4300の一部を形成する。
【0168】
本技術の一形態において、治療装置コントローラ4240は、専用モータ制御集積回路である。例えば、一形態において、ONSEMIによって製造されたMC33035ブラシレスDCモータコントローラが用いられる。
【0169】
4.4.2.6 保護回路
本技術による1つ以上の保護回路4250は、電気保護回路、温度および/または圧力安全回路を含み得る。
【0170】
4.4.2.7 メモリ
本技術の一形態によれば、RPTデバイス4000は、メモリ4260(例えば、不揮発性メモリ)を含む。いくつかの形態において、メモリ4260は、電池式スタティックRAMを含み得る。いくつかの形態において、メモリ4260は、揮発性RAMを含み得る。
【0171】
メモリ4260は、PCBA4202上に配置され得る。メモリ4260は、EEPROMまたはNANDフラッシュの形態をとり得る。
【0172】
追加的に、RPTデバイス4000は、取り外し可能なメモリ4260(例えば、セキュアデジタル(SD)規格に従って作製されたメモリカード)を含む。
【0173】
本技術の一形態において、メモリ4260は、非一時的コンピュータで読出可能な記録媒体として機能する。この記録媒体上に、本明細書中に記載の1つ以上の方法を表現するコンピュータプログラム命令(例えば、1つ以上のアルゴリズム4300)が記録される。
【0174】
4.4.2.8 データ通信システム
本技術の一形態において、データ通信インターフェース4280が設けられ、システム(例えば、コンピュータシステム、エクササイズ機器または他のシステム)に応じて中央コントローラ4230または他のプロセッサまたは制御システムへ接続される。データ通信インターフェース4280は、遠隔外部通信ネットワーク4282および/またはローカル外部通信ネットワーク4284へ接続可能であり得る。遠隔外部通信ネットワーク4282は、遠隔外部デバイス4286へ接続可能であり得る。ローカル外部通信ネットワーク4284は、ローカル外部デバイス4288へ接続可能であり得る。
【0175】
一形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230の一部である。別の形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230と別個であり、集積回路またはプロセッサを含み得る。
【0176】
一形態において、遠隔外部通信ネットワーク4282はインターネットである。データ通信インターフェース4280は、インターネットへ接続するために、(例えば、イーサネット(登録商標)または光ファイバーを介して)有線通信を用得るかまたは無線プロトコル(例えば、CDMA、GSM(登録商標)、LTE)を用い得る。
【0177】
一形態において、ローカル外部通信ネットワーク4284は、1つ以上の通信規格(例えば、ブルートゥース(登録商標)またはコンシューマー赤外線プロトコル)を用いる。
【0178】
一形態において、遠隔の外部デバイス4286は、1つ以上のコンピュータ(例えば、ネットワーク化コンピュータのクラスタ)である。一形態において、遠隔の外部デバイス4286は、物理的コンピュータではなく仮想コンピュータであり得る。いずれの場合も、このような遠隔の外部デバイス4286は、適切に権限を付与された人間(例えば、臨床医)からのアクセスが可能であり得る。
【0179】
ローカル外部デバイス4288は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレットまたは遠隔コントロールであり得る。
【0180】
本技術の特定の形態において、中央コントローラ4230は、利用データ9045をメモリ4260中に記録し得る。利用データ9045は、治療デバイスコントローラ4240、コンピュータシステム、エクササイズ機器または他のシステムからの出力を含み得る。利用データ9045は、以下を含むいくつかのブロックまたはデータ部を含み得る:(1)日付および時間スタンプ、(2)利用の開始時刻および停止時刻、(3)セッションの利用時間、(4)RPTデバイス4000、コンピュータシステム、エクササイズ機器または他のシステムがオンおよびオフにされた日付および時刻、ならびに(5)治療または他の設定およびセンサデータ(例えば、センサ4270からの読取値(例えば、流れ4274、圧力4272および速度4276(エクササイズ機器の場合は、ワークアウトの速度または強度(例えば、トレッドミルの速度)であり得る)。
【0181】
本技術の特定の形態において、利用データ9045は、ローカルメモリ4260中に保存される。利用データ9045は、データ通信インターフェース4280を通じてネットワークを通じて遠隔外部デバイス4286へ送ってもよいし、あるいはローカル外部デバイス4288へ送ってもよい。
【0182】
いくつかの例において、治療セッションまたは他のセッション(例えば、エクササイズセッション、ドライビングセッション、ウェブサイト利用セッション)が停止してから1時間後、2時間後、3時間後または他の適切な時間フレーム後に、中央コントローラ4230は、利用データ9085をデータ通信インターフェース4280を通じて送る。他の例において、利用データ9045の送信は、週単位で行われる。いくつかの例において、特定の日に利用セッションが開始されなかった場合、コントローラ4230は、利用データ9045の送信をデータ通信インターフェース4280を介して1:00AMまたは翌日の他の適切な時間または週末までに行い得る。この利用データ9045は、特定の日または期間において利用の無い日が含まれることを示す。いくつかの場合において、利用データ9045は、(1)デバイス(例えば、RPTデバイス4000)がオンされたが利用されない場合と、デバイスまたはシステムが全くオンにされない場合との間を区別し得る。いくつかの例において、RPTデバイス4000あるいは他のデバイスまたはシステムは、利用データ9045が返送されてくるまで利用データ9045を送らず、最終セッションがコントローラ4230によって特定されてメモリ4260中に保存されて以降の利用の無い日の量を決定する。
【0183】
データ通信インターフェース4280を介して送られるデータは、生データであってもよいし、あるいは(特に、セルラー信号または他の遠隔外部通信ネットワーク4282の帯域が乏しい領域において)帯域節約のために前処理が施されたデータであってもよい。例えば、利用低減または停止予測についての関連フィーチャの出力のために、利用データ9045に前処理を施してよい。これには、利用の無い日、利用平均(例えば、時間)および利用の標準偏差が含まれ得る。次に、関連フィーチャは、遠隔外部デバイス4286またはサーバ上のアルゴリズム4300によって処理され得る。
【0184】
本技術の特定の形態において、フル利用予測アルゴリズムは、ローカルメモリ4260中に常駐し得、コントローラ4230は、利用データ9045を処理して、患者1000または他のユーザが(アプリケーションに応じて)デバイスそのものの利用を停止または低減する可能性を決定し得る。これらの場合において、コントローラ4230は、(例えば可能性のパーセンテージが閾値と交差した場合に)ディスプレイ4294へ出力を送信しかつ/またはデータをローカルデバイスまたは遠隔外部デバイスへ送信するための信号を送り得る。
【0185】
4.4.2.9 任意選択のディスプレイ、警報を含む出力デバイス
本技術による出力デバイス4290は、視覚、音声および触覚ユニットのうち1つ以上の形態をとり得る。視覚ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)または発光ダイオード(LED)ディスプレイであり得る。
【0186】
4.4.2.9.1 ディスプレイドライバ
ディスプレイドライバ4292は、ディスプレイ4294上へ表示されるべき文字、記号または画像を入力として受信し、ディスプレイ4294にこれらの文字、記号または画像を表示させるコマンドへ変換する。
【0187】
4.4.2.9.2 ディスプレイ
ディスプレイ4294は、ディスプレイドライバ4292から受信されたコマンドに応答して、文字、記号または画像を視覚的に表示するように構成される。例えば、ディスプレイ4294は8セグメントディスプレイであり得、その場合、ディスプレイドライバ4292は、各文字または記号(例えば、数字「0」)を、特定の文字または記号を表示するために各8個のセグメントを活性化させるべきかを示す8個の論理信号へ変換する。
【0188】
いくつかの例において、ディスプレイは、タッチスクリーンまたは遠隔インターフェースを含み得る(例えば、ユーザまたは患者1000からの入力を受信するスマートフォン)。
【0189】
4.4.3 アルゴリズム
上記したように、本技術のいくつかの形態において、中央制御装置4230または他のプロセッサは、非一時的なコンピュータで読出可能な記録媒体(例えば、メモリ4260)中に記録されたコンピュータプログラムとして表現された1つ以上のアルゴリズムを具現するように構成され得る。このアルゴリズムは、モジュールと呼ばれるグループにグループ付けられることが一般的だ。これらのアルゴリズムにおいて、治療、エクササイズ機器の利用、またはオンデマンドサービス(例えば、利用(例えば、ユーザまたは従業員(例えば、ドライバー)の利用)を追跡することが可能なモバイルアプリケーションを用いたタクシーサービス)への参加の利用の、低減または停止の予測のためのフィーチャ検出アルゴリズムおよび機械学習アルゴリズムが含まれ得る。
【0190】
4.4.3.1 事前処理モジュール
本技術の一形態による事前処理モジュール4310は、変換器4270(例えば流量センサ4274または圧力センサ4272)からの信号を入力として受信し、1つ以上の出力値を計算するための1つ以上のプロセスステップを行う。これらの出力値は、別のモジュール(例えば、治療エンジンモジュール4320)への入力として用いられる。
【0191】
本技術の一形態において、出力値は、インターフェース圧力Pm、呼吸流量Qrおよび漏洩流量Qlを含む。
【0192】
本技術の多様な形態において、事前処理モジュール4310は、以下のアルゴリズムのうち1つ以上を含む:インターフェース圧力推定4312、通気流量推定4314、漏洩流量推定4316および呼吸流量推定4318。
【0193】
4.4.3.1.1 インターフェース圧力推定
本技術の一形態において、インターフェース圧力推定アルゴリズム4312は、空気圧ブロックの出口の近隣の空気圧経路中の圧力(デバイス圧力Pd)を示す信号を圧力センサ4272から入力として受信し、RPTデバイス4000を退出する気流の流量(デバイス流量Qd)を示す信号を流量センサ4274から入力として受信する。補助ガス4180を全く含まないデバイス流量Qdが、合計流量Qtとして用いられ得る。インターフェース圧力アルゴリズム4312は、空気回路4170を通じた圧力降下ΔPを推定する。合計流量Qtに対する圧力降下ΔPの依存関係は、圧力降下特性ΔP(Q)により特定の空気回路4170についてモデル化することができ得る。次に、インターフェース圧力推定アルゴリズム4312は、患者インターフェース3000または3800中の推定圧力Pmを出力として提供する。患者インターフェース3000または3800中の圧力Pmは、デバイス圧力Pdから空気回路圧力降下ΔPを減算した値として推定することができ得る。
【0194】
4.4.3.1.2 通気流量の推定
本技術の一形態において、通気流量推定アルゴリズム4314は、インターフェース圧力推定アルゴリズム4312から患者インターフェース3000または3800中の推定圧力Pmを入力として受信し、患者インターフェース3000または3800中の通気孔3400からの空気の通気流量Qvを推定する。特定の通気部3400におけるインターフェース圧力Pmに対する通気流量Qvの使用時の依存関係は、通気特性Qv(Pm)によってモデル化され得る。
【0195】
4.4.3.1.3 漏洩流量の推定
本技術の一形態において、漏洩流量推定アルゴリズム4316は、全体流量Qtおよび通気流量Qvを入力として受信し、漏洩流量Qlの推定を出力として提供する。一形態において、漏洩流量推定アルゴリズムは、いくつかの呼吸サイクル(例えば、約10秒)を含むくらいに充分に長い期間にわたって全体流量Qtと通気流量Qvとの間の差平均を計算することにより、漏洩流量Qlを推定する。
【0196】
一形態において、漏洩流量推定アルゴリズム4316は、患者インターフェース3000または3800中の全体流量Qt、通気流量Qv、および推定圧力Pmを入力として受信し、漏洩コンダクタンスを計算することおよび漏洩流量Qlを漏洩コンダクタンスおよび圧力Pmの関数となるように決定することにより、漏洩流量Qlを出力として提供する。漏洩コンダクタンスは、全体流量Qtと通気流量Qvとの間の差に等しいローパスフィルタ処理された非通気流量と、圧力Pmのローパスフィルタ処理された平方根との商として計算され、ローパスフィルタ時定数は、いくつかの呼吸サイクル(例えば、約10秒)を含むだけの充分な値を有する。漏洩流量Qlは、漏洩コンダクタンスと圧力Pmの関数との積として推定され得る。
【0197】
4.4.3.1.4 呼吸流量推定
本技術の一形態において、呼吸流量推定アルゴリズム4318は、全体流量Qt、通気流量Qvおよび漏洩流量Qlを入力として受信し、通気流量Qvおよび漏洩流量Qlを全体流量Qtから減算することにより、患者への空気呼吸流量Qrを推定する。
【0198】
4.4.3.2 治療エンジンモジュール
本技術の一形態において、治療エンジンモジュール4320は、患者インターフェース3000または3800中の圧力Pmおよび患者への空気呼吸流量Qrのうち1つ以上を入力として受信し、1つ以上の治療パラメータを出力として提供する。
【0199】
本技術の一形態において、治療パラメータは、治療圧力Ptである。
【0200】
本技術の一形態において、治療パラメータは、圧力変化の振幅、ベース圧力および目標換気のうち1つ以上である。
【0201】
多様な形態において、治療エンジンモジュール4320は、以下のアルゴリズムのうち1つ以上を含む:フェーズ決定4321、波形決定4322、換気決定4323、吸気流制限決定4324、無呼吸/呼吸低下決定4325、いびき決定4326、気道開通性決定4327、目標換気決定4328、および治療パラメータ決定4329。
【0202】
4.4.3.2.1 フェーズ決定
本技術の一形態において、RPTデバイス4000は、フェーズを決定しない。
【0203】
本技術の一形態において、フェーズ決定アルゴリズム4321は、呼吸流量Qrを示す信号を入力として受信し、患者1000の現在の呼吸サイクルのフェーズを出力Φとして提供する。
【0204】
いくつかの形態において、離散フェーズ決定として知られるフェーズ出力Φは、離散変数である。離散フェーズ決定の一具現例により、吸息または呼息の値を持つ二値フェーズ出力Φが得られる。この値は、自発吸息および呼息それぞれの開始が検出された際に、例えば0回転および0.5回転の値としてそれぞれ表される。「トリガ」および「サイクル」するRPTデバイス4000は、離散フェーズ決定を有効に行う。なぜならば、トリガ点およびサイクル点は、フェーズが呼息から吸息へおよび吸息から呼息へそれぞれ変化する瞬間であるからである。二値フェーズ決定の一具現例において、フェーズ出力Φは、呼吸流量Qrが正の閾値を超える値を有するときに、離散値0を有し(これによりRPTデバイス4000を「トリガ」する)、呼吸流量Qrの値が負の閾値よりもより大きな負の値であるときに0.5回転の離散値(これにより、RPTデバイス4000を「サイクルさせる」)を有するように、決定される。吸息時間Tiおよび呼息時間Teは、(吸気を示す)0および(呼気を示す)0.5それぞれに等しいフェーズΦと共に費やされた時間の多くの呼吸器サイクルにわたって推定された典型的値であり得る。
【0205】
離散フェーズ決定の別の具現例により、吸息、吸気中の一時停止、および呼息のうち1つの値を備えた3値フェーズ出力Φが得られる。
【0206】
他の形態において、連続フェーズ決定として知られるフェーズ出力Φは連続する変数であり、例えば0回転~1回転または0~2πラジアンの間で変動する。連続フェーズ決定を行うRPTデバイス4000は、連続フェーズが0回転および0.5回転それぞれに到達したときに、トリガおよびサイクルし得る。連続フェーズ決定の一具現例において、フェーズの連続値Φは、呼吸流量Qrのファジー論理分析を用いて決定される。本具現例において実行されたフェーズの連続値は、「ファジーフェーズ」と呼ばれることが多い。ファジーフェーズ決定アルゴリズム4321の一具現例において、以下の規則が呼吸流量Qrへ適用される:
1.呼吸流量がゼロになった後に急激に増加した場合、フェーズは0回転である。
2.呼吸流量が大きな正の値でありかつ安定している場合、フェーズは0.25回転である。
3.呼吸流量がゼロであり急激に低下する場合、フェーズは0.5回転である。
4.呼吸流量が大きな負の値でありかつ安定している場合、フェーズは0.75回転である。
5.呼吸流量がゼロでありかつ安定しており、呼吸流量の5秒のローパスフィルタ処理された絶対値が大きい場合、フェーズは0.9回転である。
6.呼吸流量が正であり、フェーズが呼気である場合、フェーズは0回転である。
7.呼吸流量が負であり、フェーズが吸気である場合、フェーズは0.5回転である。
8.呼吸流量の5秒のローパスフィルタ処理された絶対値が大きい場合、フェーズは、時定数20秒によってローパスフィルタ処理された患者の呼吸速度に等しい一定速度で増加する。
【0207】
各規則の出力は、フェーズが規則の結果でありかつ大きさが規則が真となるファジー範囲となるベクトルとして表され得る。呼吸流量が「大きい」、「安定している」などのファジー範囲は、適切なメンバシップ関数によって決定される。規則の結果は、ベクトルとして表され、その後、セントロイドをとるなどのいくつかの関数により、組み合わされる。このような組み合わせにおいて、規則は、等しく重み付けしてもよいし、あるいは異なる様態で重み付けしてもよい。
【0208】
連続フェーズ決定の別の具現例において、フェーズΦは、吸息時間Tiおよび呼息時間Teと同様、上記のように先ず呼吸流量Qrから個別に推定される。その後、任意の瞬間における連続フェーズΦは、先行トリガ瞬間から経過した吸息時間Tiの割合の半分、または0.5回転に先行サイクル瞬間から経過した呼息時間Teの割合を加算した値(これらのうち、より直近の瞬間)として決定される。
【0209】
4.4.3.2.2 波形決定
本技術の一形態において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、患者の呼吸サイクル全体を通じてほぼ一定の治療圧力を提供する。
【0210】
本技術の他の形態において、治療制御モジュール4330は、圧力生成器4140を制御して、波形テンプレートΠ(Φ)に従って患者呼吸サイクルのフェーズΦの関数として変動する治療圧力Ptを提供させる。
【0211】
本技術の一形態において、波形決定アルゴリズム4322は、波形テンプレートΠ(Φ)を提供する。波形テンプレートは、治療パラメータ決定アルゴリズム4329によって用いられる予定のフェーズ決定アルゴリズム4321によって提供されるフェーズ値Φの変域について[0,1]の範囲内の値を有する。
【0212】
一形態において、離散的または連続的に値をとるフェーズに適したものとして、波形テンプレートΠ(Φ)は矩形波テンプレートであり、0.5回転までのフェーズ値に対して1の値を有し、0.5回転を超えるフェーズ値に対して0の値を有する。一形態において、連続的に値をとるフェーズに適したものとして、波形テンプレートΠ(Φ)は、2つの平滑に曲線状の部分を含む(すなわち、0.5回転までのフェーズ値に対して平滑に曲線状の(例えば、上昇コサインの)0から1への上昇と、0.5回転を超えるフェーズ値に対して1から0への平滑に曲線状の(例えば、指数関数的)低下とを含む)。一形態において、連続的に値をとるフェーズに適したものとして、波形テンプレートΠ(Φ)は矩形波に基づくが、0.5回転よりも低い「立上がり時間」までのフェーズ値に対して0~1の平滑な上昇を持ち、0.5回転後の「下降時間」内のフェーズ値に対して1から0への、0.5回転よりも低い「下降時間」をもつ平滑な下降を有する。
【0213】
本技術のいくつかの形態において、波形決定アルゴリズム4322は、RPTデバイスの設定に応じて、波形テンプレートΠ(Φ)を波形テンプレートのライブラリから選択する。ライブラリ中の各波形テンプレートΠ(Φ)は、フェーズ値Φに対するルックアップテーブル値Πとして提供され得る。他の形態において、波形決定アルゴリズム4322は、所定の関数形式(恐らくは、1つ以上のパラメータ(例えば、指数関数的な曲線状部分の時定数)によってパラメータ化されたもの)を用いて、波形テンプレートΠ(Φ)を「オンザフライ」で計算する。関数形式のパラメータは、所定のものであってもよりし、あるいは患者1000の現在の状態に依存してもよい。
【0214】
吸息(Φ=0回転)または呼息(Φ=0.5回転)の離散二値フェーズに適した本技術のいくつかの形態において、波形決定アルゴリズム4322は、最も直近のトリガ瞬間から測定された離散フェーズΦおよび時間tの関数として、波形テンプレートΠを「オンザフライ」で計算する。1つのこのような形態において、波形決定アルゴリズム4322は、波形テンプレートΠ(Φ,t)を2つの部分(吸気および呼気)において以下のように計算する。
【0215】
【0216】
ここで、Πi(t)およびΠe(t)は、波形テンプレートΠ(Φ,t)の吸気部分および呼気部分である。1つのこのような形態において、波形テンプレートの吸気部分Πi(t)は、立上がり時間によってパラメータ化された0から1への平滑な上昇であり、波形テンプレートの呼気部分Πe(t)は、下降時間によってパラメータ化された1から0への平滑な下降である。
【0217】
4.4.3.2.3 換気決定
本技術の一形態において、換気決定アルゴリズム4323は、呼吸流量Qrを入力として受信し、現在の患者換気Ventを示す測定値を決定する。
【0218】
いくつかの具現例において、換気決定アルゴリズム4323は、実際の患者換気の推定値である換気Ventの測定値を決定する。このような一具現例として、呼吸流量Qrの絶対値の半値をとることがあり、これは、任意選択的にローパスフィルタ(例えば、コーナ周波数が0.11Hzである2次ベッセルローパスフィルタ)によってフィルタリングされる。
【0219】
他の具現例において、換気決定アルゴリズム4323は、実際の患者換気に大きく比例する換気Ventの測定値を決定する。このような一具現例において、ピーク呼吸流量Qpeakが、サイクルの吸気部分において推定される。呼吸流量Qrのサンプリングを含む上記および他の多数の手順により、換気に大きく比例する測定値が得られるが、これらの測定値の場合、流量波形形状の変動がそれほど大きくない(ここで、2つの呼吸の形状は、時間および振幅において正規化された呼吸の流量波形が類似するときと同様のものとしてとられる)。いくつかの簡単な例を挙げると、正の呼吸流量の中央値、呼吸流量の絶対値の中央値、および流量の標準偏差がある。正の係数を用いた呼吸流量の絶対値の任意次数の統計の任意の線形的組み合わせ(およびさらには正の係数および負の係数双方を用いたいくつかのもの)は、換気におおむね比例する。別の例として、吸気部分の(時間について)中央K割合における呼吸流量の平均であり、ここで、0<K<1である。流量形状が一定である場合、換気に高精度に比例する任意の多数の測定値がある。
【0220】
4.4.3.2.4 吸気流制限の決定
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、吸気流制限の範囲の決定について、吸気流れ制限決定アルゴリズム4324を実行する。
【0221】
一形態において、吸気流れ制限決定アルゴリズム4324は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、呼吸の吸気部分が吸気流制限を示す範囲の計量を出力として提供する。
【0222】
本技術の一形態において、各呼吸の吸気部分は、ゼロ交差検出器によって特定される。均等に間隔を空けて配置された複数の(例えば、65個の)点は、時点を示し、各呼吸について吸気流量-時間曲線に沿って補間器によって補間される。その後、これらの点によって記述された曲線をスケーラーによって単位長さ(持続期間/期間)および単位面積を持つようにスケーリングすることにより、呼吸数および深さの変化による影響を除去する。次に、スケーリングされた呼吸を通常の非閉塞呼吸を示す(
図6Aに示す呼吸の吸気部分と同様の)事前保存されたテンプレートと比較器において比較する。吸気時の任意の時において、試験要素によって決定されたような、例えば咳、吐息、嚥下およびしゃっくりに起因して、このテンプレートからの呼吸の逸脱が指定閾値(典型的には、1スケール単位)を超える場合、当該呼吸は拒否される。拒否の無かったデータについて、第1のこのようなスケーリングされた点の移動平均を、中央コントローラ4230によって、先行するいくつかの吸気事象について計算する。これを同一吸気事象にわたって、第2のこのような点について繰り返し、以降同様に繰り返す。そのため、例えば、65個のスケーリングされたデータ点が、中央コントローラ4230によって生成され、先行するいくつかの吸気事象(例えば、3つの事象)の移動平均を示す。本明細書中以下では、連続的に更新された(例えば、65個の)点の値の移動平均を「スケーリングされた流量」と呼び、Qs(t)によって示す。あるいは、移動平均の代わりに単一の吸気事象を用いてもよい。
【0223】
スケーリングされた流量から、部分的閉塞の決定に関連する2つの形状要素が計算され得る。
【0224】
形状要素1は、中間(例えば、32個の)スケーリングされた流量点の平均の、全体的(例えば、65個の)スケーリングされた流量点の平均に対する比である。この比が1を超える場合、呼吸は正常であるとみなされる。この比が1未満である場合、呼吸に閉塞が有るとみなされる。比が約1.17である場合、部分的閉塞と非閉塞呼吸との間の閾値としてみなされ、典型的な患者における適切な酸素付加の維持を可能にする一定レベルの閉塞に等しい。
【0225】
形状要素2は、中間(例えば、32個の)点にわたって単位スケーリングされた流量からの平均二乗偏差として計算される。平均二乗偏差が約0.2単位である場合、正常とみなされる。平均二乗偏差がゼロである場合、全体的に流れが制限された呼吸とみなされる。平均二乗偏差がゼロに近づくほど、当該呼吸は、流れが制限されたものとみなされる。
【0226】
形状要素1および2は、代替として用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。本技術の他の形態において、サンプルされた点の数、呼吸および中間点は、上記したものと異なり得る。さらに、閾値も上記したものと異なり得る。
【0227】
4.4.3.2.5 無呼吸および呼吸低下の決定
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、無呼吸および/または呼吸低下の存在の決定のために、無呼吸/呼吸低下決定アルゴリズム4325を実行する。
【0228】
一形態において、無呼吸/呼吸低下検出アルゴリズム4325は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、無呼吸または呼吸低下が検出されたかを示すフラッグを出力として提供する。
【0229】
一形態において、無呼吸とは、呼吸流量Qrの関数が所定の期間にわたって流量閾値を下回ったときに検出されるものとされる。この関数は、ピーク流量、比較的短期間の平均流量、または比較的短期間の平均およびピーク流量の流量中間値を決定し得る(例えば、RMS流量)。流量閾値は、流量の比較的長期間の測定値であり得る。
【0230】
一形態において、呼吸低下とは、呼吸流量Qrの関数が所定の期間にわたって第2の流量閾値を下回ったときに検出されるものとする。この関数は、ピーク流量、比較的短期間の平均流量、または比較的短期間の平均およびピーク流量の流量中間値を決定し得る(例えば、RMS流量)。第2の流量閾値は、流量の比較的長期の測定値であり得る。第2の流量閾値は、無呼吸の検出に用いられる流量閾値よりも高い。
【0231】
4.4.3.2.6 いびきの決定
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、いびき範囲の決定のために、1つ以上のいびき決定アルゴリズム4326を実行する。
【0232】
一形態において、いびき検出アルゴリズム4326は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、いびきが存在している範囲の測定値を出力として提供する。
【0233】
いびき検出アルゴリズム4326は、流量信号の強度を30~300Hzの範囲内において決定するステップを含み得る。さらに、いびき決定アルゴリズム4326は、バックグラウンドノイズ(例えば、送風機からのシステム中の気流音)を低減するために呼吸流量信号Qrをフィルタリングするステップを含み得る。
【0234】
4.4.3.2.7 気道開通性の決定
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、気道開通性の範囲の決定のために、1つ以上の気道開通性決定アルゴリズム4327を実行する。
【0235】
一形態において、気道開通性決定アルゴリズム4327は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、信号の出力を約0.75Hz~約3Hzの周波数範囲内において決定する。この周波数範囲内におけるピークの存在は、気道開放を示すものとしてみなされる。ピークの不在は、気道閉鎖の兆候とみなされる。
【0236】
一形態において、ピークが求められる周波数範囲は、治療圧力Ptにおける小さな強制オシレーションの周波数となる周波数範囲である。一具現例において、強制オシレーションは、振幅が約1cmH2Oであり、周波数が2Hzである。
【0237】
一形態において、気道開通性決定アルゴリズム4327は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、心臓発生信号の存在または不在を決定する。心臓発生信号の不在は、気道閉鎖の兆候としてみなされる。
【0238】
4.4.3.2.8 目標換気の決定
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、現在の換気Ventの測定値を入力としてとり、換気測定のための目標値Vtgtの決定のために、1つ以上の目標換気決定アルゴリズム4328を実行する。
【0239】
本技術のいくつかの形態において、目標換気決定アルゴリズム4328は存在せず、目標値Vtgtは所定のものであり、例えばRPTデバイス4000の構成時におけるハードコーディングにより、または入力デバイス4220を通じた手入力により得られる。
【0240】
適応型サーボ換気(ASV)などの本技術の他の形態において、目標換気決定アルゴリズム4328は、患者の典型的な最近の換気を示す値Vtypから目標値Vtgtを計算する。
【0241】
適応型サーボ換気のいくつかの形態において、目標換気Vtgtは、高割合でありかつ典型的な最近の換気Vtyp未満の値として計算される。このような形態の高割合は、範囲(80%、100%)、または(85%、95%)、または(87%、92%)内にあり得る。
【0242】
適応型サーボ換気の他の形態において、目標換気Vtgtは、典型的な最近の換気Vtypの1の倍数を若干上回る値として計算される。
【0243】
典型的な最近の換気Vtypは、いくつかの所定の時間スケールにわたる複数の時間的瞬間にわたる現在の換気Ventの測定値が付近に分布する値であり、密集する傾向がある(すなわち、最近の履歴における現在の換気の測定値の中央傾向の測定値である)。目標換気決定アルゴリズム4328の一具現例において、最近の履歴は、数分のオーダーであるが、どんなも場合もチェーン・ストークス漸増サイクルおよび漸減サイクルの時間スケールよりも長くなければならない。目標換気決定アルゴリズム4328は、中央傾向の多様な周知の測定値のいずれかを用いて、典型的な最近の換気Vtypを、現在の換気Ventの測定値から決定し得る。1つのこのような測定値として、現在の換気Ventの測定値についてのローパスフィルタ出力であり、時定数が100秒に等しい。
【0244】
4.4.3.2.9 治療パラメータの決定
本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、治療エンジンモジュール4320中のその他のアルゴリズムのうち1つ以上から返送された値を用いて、1つ以上の治療パラメータの決定のための1つ以上の治療パラメータ決定アルゴリズム4329を実行する。これは、治療の低減または停止について患者1000にフラグが付された場合に治療パラメータを変更するアルゴリズム4300を含み得る。
【0245】
本技術の一形態において、治療パラメータは、瞬間治療圧力Ptである。この形態の一具現例において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、以下の方程式を用いて治療圧力Ptを決定する。
【0246】
【0247】
ここで、
・Aは振幅であり、
・Π(Φ,t)は、フェーズの現在の値Φおよび時間のtにおける(0から1の範囲の)波形テンプレート値であり、
・P0はベース圧力である。
【0248】
波形決定アルゴリズム4322がフェーズΦによってインデックスされた値Πのルックアップテーブルとして波形テンプレートΠ(Φ)を提供する場合、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、フェーズ決定アルゴリズム4321から返送されたフェーズの現在の値Φに対して最近接ルックアップテーブル入力をロケートすること、またはフェーズの現在の値Φにまたがる2つの入力間の補間により、方程式(1)を適用する。
【0249】
振幅Aおよびベース圧力P0の値は、選択された呼吸圧力治療モードに応じて、治療パラメータ決定アルゴリズム4329によって設定され得る。
【0250】
4.4.3.3 治療制御モジュール
本技術の一態様による治療制御モジュール4330は、治療エンジンモジュール4320の治療パラメータ決定アルゴリズム4329からの治療パラメータを入力として受信し、これらの治療パラメータに従って圧力生成器4140から空気流れを送達させるように、圧力生成器を制御する。
【0251】
本技術の一形態において、治療パラメータは治療圧力Ptであり、治療制御モジュール4330は、患者インターフェース3000または3800におけるインターフェース圧力Pmが治療圧力Ptに等しい空気流れを圧力生成器4140から送達させるように、圧力生成器を制御する。
【0252】
4.4.3.4 故障状態の検出
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、故障状態の検出のための1つ以上の方法4340を実行する。1つ以上の方法4340によって検出された故障状態は、以下のうち少なくとも1つを含み得る:
・停電(電力無しまたは電力不足)
・変換器故障の検出
・コンポーネントの存在を検出できない
・動作パラメータが推奨範囲から外れている(例えば、圧力、流量、温度、PaO2)
・検出可能な警告信号を生成するための試験警告の不履行。
【0253】
故障状態が検出されると、対応するアルゴリズム4340は、以下のうち1つ以上により、故障の存在を信号伝達する:
・可聴、視覚および/または動力学的(例えば、振動的)警告の開始
・外部デバイスへのメッセージ送信
・インシデントのロギング
【0254】
4.5 加湿器
4.5.1 加湿器の概要
本技術の一形態において、患者へ送達されるべき空気またはガスの絶対湿度を周囲空気に相対して変化させるための加湿器5000が提供される(例えば、
図5Aに示すようなもの)。典型的には、加湿器5000は、患者気道へ送達される前に空気流れの(周囲空気に相対する)絶対湿度を増加させかつ温度を増加させるために、用いられる。
【0255】
加湿器5000は、加湿器リザーバ5110と、空気流れを受容する加湿器入口5002と、加湿された空気流れを送達させるための加湿器出口5004とを含み得る。
図5Aおよび
図5Bに示すようないくつかの形態において、加湿器リザーバ5110の入口および出口はそれぞれ、加湿器入口5002および加湿器出口5004であり得る。加湿器5000は、加湿器ベース5006をさらに含み得る。加湿器ベース5006は、加湿器リザーバ5110を受容するように適合され得、加熱要素5240を含み得る。
【0256】
4.6 呼吸波形
図6Aは、睡眠時の人のモデルの典型的な呼吸波形を示す。水平軸は時間であり、垂直軸は呼吸流量である。パラメータ値は変動し得るため、典型的な呼吸は、以下のおおよその値を持ち得る:一回換気量Vt 0.5L、吸息時間Ti 1.6秒、ピーク吸気流量Qpeak 0.4L/秒、呼息時間Te 2.4秒、ピーク呼気流量Qpeak -0.5L/秒。呼吸の全持続時間Ttotは約4秒である。人間は典型的には、1分あたり呼吸を約15回行い(BPM)、換気Ventは約7.5L/分である。典型的な負荷サイクル、TiとTtotの比は約40%である。
【0257】
図6Bは、患者のノンレム睡眠呼吸時の選択された睡眠ポリグラフチャンネル(パルスオキシメトリ、流量、胸部動きおよび腹部動き)を示す。このノンレム睡眠呼吸は、通常は約34回の呼吸を約90秒の期間にわたって継続し、患者は、自動PAP治療による治療を受けており、インターフェース圧力は約11cmH
2Oである。上側チャンネルは、パルスオキシメトリ(酸素飽和度またはSpO
2)を示し、スケールは、垂直方向における90~99%の範囲の飽和度を有する。図示の期間全体において、患者は、約95%の飽和度を維持した。第2のチャンネルは、定量的呼吸気流を示し、スケールは、垂直方向における-1~+1LPSの範囲であり、呼気は正である。胸部および腹部の動きを第3および第4のチャンネル中に示す。
【0258】
4.7 スクリーニング、診断、監視システム
4.7.1 睡眠ポリグラフ
図7Aは、睡眠ポリグラフ(PSG)を受けている患者1000を示す。PSGシステムは、ヘッドボックス2000を含む。ヘッドボックス2000は、以下のセンサからの信号を受信および記録する:EOG電極2015、EEG電極2020、ECG電極2025、頤下EMG電極2030、いびきセンサ2035、胸帯上の呼吸インダクタンスプレチスモグラム(呼吸努力センサ)2040、腹帯上の呼吸インダクタンスプレチスモグラム(呼吸努力センサ)2045、口サーミスタを有する口鼻カニューレ2050、フォトプレチスモグラフ(パルスオキシメータ)2055、および身体位置センサ2060。電気信号は、額中心に位置決めされた接地電極(ISOG)2010を基準とする。
【0259】
4.7.2 非閉塞性監視システム
就寝中の患者1000の呼吸の監視のための監視装置7100の一例を
図7Bに示す。監視装置7100は、主に患者1000へ方向付けられた非接触型モーションセンサを含む。このモーションセンサは、患者1000の身体の動きを示す1つ以上の信号を生成するように構成される。これらの信号から、患者の呼吸の動きを示す信号が得られ得る。他の例において、システムは、環境センサと、雰囲気、通気および患者1000のノイズを感知する他の音響センサとを含み得る。
【0260】
4.7.3 呼吸ポリグラフィー
呼吸ポリグラフィー(RPG)とは、PSGの単純な形態を指す用語であり、電気信号(EOG、EEG、EMG)、いびき、または身体位置センサは用いない。RPGは、少なくとも以下を含む:胸部バンド(例えば、動きセンサ2040)上の呼吸インダクタンスプレチスモグラム(動きセンサ)からの胸部動き信号、鼻カニューレを介して感知された鼻圧力信号、およびパルスオキシメータ(例えば、パルスオキシメータ2055)からの酸素飽和度信号。これら3つのRPG信号またはチャンネルは、PSGヘッドボックス2000に類似するRPGヘッドボックスによって受信される。
【0261】
特定の構成において、鼻圧力信号は、形状が鼻流量信号に類似しているため、鼻圧力信号は、密閉鼻マスクと有線接続している流量変換器によって発生された鼻流量信号の申し分のないプロキシである。その結果、患者の口が閉じられたままである(すなわち、口からの漏洩が無い)場合、鼻流量は、呼吸流量に等しくなる。
【0262】
図7Cは、RPGヘッドボックスをRPGスクリーニング/診断/監視システム内において実行する際に用いられ得るスクリーニング/診断/監視デバイス7200を示すブロック図である。スクリーニング/診断/監視デバイス7200は、上記の3つのRPGチャンネル(胸部の動きを示す信号、鼻流量を示す信号、および酸素飽和度を示す信号)をデータ入力インターフェース7260において受信する。スクリーニング/診断/監視デバイス7200は、符号化命令を実行するように構成されたプロセッサ7210も含む。スクリーニング/診断/監視デバイス7200は、非一時的なコンピュータにより読出可能なメモリ/記憶媒体7230も含む。
【0263】
メモリ7230は、スクリーニング/診断/監視デバイス7200の内部メモリ(例えば、RAM、フラッシュメモリまたはROM)であり得る。いくつかの実行において、メモリ7230は、スクリーニング/診断/監視デバイス7200へ連結された取り外し可能なまたは外部のメモリであってもよい(例えば、SDカード、サーバ、USBフラッシュドライブまたは光ディスク)。他の実行において、メモリ7230は、外部および内部メモリの組み合わせであり得る。メモリ7230は、保存されたデータ7240と、プロセッサ7210に特定のタスクを行わせるようにプロセッサ7210を構成するように適合されたプロセッサ制御命令(コード)7250とを含む。保存されたデータ7240は、データ入力インターフェース7260によって受信されたRPGチャンネルデータと、アプリケーションのコンポーネント部分として提供される他のデータとを含み得る。プロセッサ制御命令7250は、アプリケーションプログラムのコンポーネント部分として提供してもよい。プロセッサ7210は、コード7250をメモリ7230から読み出し、符号化された命令を実行するように、構成される。詳細には、コード7250は、インターフェース7260によって提供されるRPGチャンネルデータの処理方法をプロセッサ7210に実行させるようにプロセッサ7210を構成するように適合された命令を含み得る。1つのこのような方法は、RPGチャンネルデータをメモリ7230中のデータ7240として保存することであり得る。別のこのような方法は、保存されたRPGデータを分析して特徴を抽出することであり得る。プロセッサ7210は、このような分析の結果をデータ7240としてメモリ7230中に保存し得る。
【0264】
スクリーニング/診断/監視デバイス7200は、通信インターフェース7220も含み得る。コード7250は、プロセッサ7210が外部コンピューティングデバイス(図示せず)と通信インターフェース7220を介して通信することを可能にするように構成された命令を含み得る。通信モードは、有線または無線であり得る。1つのこのような実行において、プロセッサ7210は、保存されたRPGチャンネルデータをデータ7240から遠隔コンピューティングデバイスへ送信し得る。このような実行において、遠隔コンピューティングデバイスは、受信されたRPGデータを分析して特徴を抽出するように、構成され得る。別のこのような実行において、プロセッサ7210は、分析結果をデータ7240から遠隔コンピューティングデバイスへ送信し得る。
【0265】
あるいは、メモリ7230がスクリーニング/診断/監視デバイス7200から取り外し可能である場合、遠隔コンピューティングデバイスは、取り外し可能なメモリ7230へ接続されるように構成され得る。このような実行において、遠隔コンピューティングデバイスは、取り外し可能なメモリ7230から取り出されたRPGデータを分析して、特徴を抽出するように構成され得る。
【0266】
4.8 呼吸治療モード
多様な呼吸治療モードは、RPTデバイス4000によって実行され得る。
【0267】
4.8.1 CPAP治療
呼吸圧力治療のいくつかの実行において、中央コントローラ4230は、治療圧力Ptを、治療圧力等式(1)に従って治療パラメータ決定アルゴリズム4329の一部として設定する。いくつかのそのような具現例において、振幅Aは等しくゼロであるため、治療圧力Pt(現在瞬間の時間におけるインターフェース圧力Pmによって達成される目標値をしめす)は呼吸サイクル全体において同様にベース圧力P0に等しい。このような具現例は、CPAP治療の見出し下において主にグループ分けされる。このような具現例において、治療エンジンモジュール4320が、フェーズΦまたは波形テンプレートΠ(Φ)を決定する必要はない。
【0268】
CPAP治療において、ベース圧力P0は一定の値であり得、ハードコードされるかまたはRPTデバイス4000へ手動入力される。中央コントローラ4230は、治療エンジンモジュール4320中の各アルゴリズムから返送された睡眠疾患呼吸の指標値または測定値(例えば、流れ制限、無呼吸、呼吸低下、開通性、およびいびきのうち1つ以上)の関数としてベース圧力P0を繰り返して計算し得る。この代替例は、APAP治療とも呼ばれる。
【0269】
図4Eは、中央コントローラ4230によって実行される方法4500を示すフローチャートである。方法4500において、圧力サポートAがゼロに等しい場合、ベース圧力P
0を、治療パラメータ決定アルゴリズム4329のAPAP治療実行の一部として連続的に計算する。
【0270】
方法4500は、ステップ4520から開始する。ステップ4520において、中央コントローラ4230は、無呼吸/低呼吸の存在の測定値を第1の閾値と比較し、無呼吸/低呼吸の存在の測定値が事前決定された期間にわたって第1の閾値を超えている(これは、無呼吸/低呼吸の発生を示す)かを決定する。無呼吸/低呼吸の存在の測定値が事前決定された期間にわたって第1の閾値を超えている場合、方法4500は、ステップ4540へ進む。無呼吸/低呼吸の存在の測定値が事前決定された期間にわたって第1の閾値を超えていない場合、方法4500は、ステップ4530に進む。ステップ4540において、中央コントローラ4230は、気道開通性の測定値を第2の閾値と比較する。気道開通性の測定値が第2の閾値を超える場合、気道が開存していることを示し、検出された無呼吸/低呼吸が中枢性であるとみなされ、方法4500はステップ4560に進む。気道開存性の測定値が第2の閾値を超えない場合、無呼吸/低呼吸は閉塞性であるとみなされ、方法4500は、ステップ4550へ進む。
【0271】
ステップ4530において、中央コントローラ4230は、流れ制限の測定値を第3の閾値と比較する。流れ制限の測定値が第3の閾値を超える場合、吸気流が制限されていることを示す。その場合、方法4500は、ステップ4550へ進む。流れ制限の測定が第3の閾値を超えない場合、方法4500は、ステップ4560に進む。
【0272】
ステップ4550において、得られた治療圧力Ptが最大治療圧力Pmaxを超えない場合、中央コントローラ4230は、ベース圧力P0を事前決定された圧力インクリメントΔPだけ増加させる。1つの実行において、事前決定された圧力インクリメントΔPおよび最大治療圧力Pmaxは、それぞれ1cmH2Oおよび25cmH2Oである。他の実行において、圧力インクリメントΔPは、0.1cmH2Oまで低くかつ3cmH2Oまで高くすることができるか、または、0.5cmH2Oまで低くかつ2cmH2Oまで高くすることができる。他の実行において、最大治療圧力Pmaxは、15cmH2Oまで低くかつ35cmH2Oまで高くすることができるか、または、20cmH2Oまで低くかつ30cmH2Oまで高くすることができる。次に、方法4500は、ステップ4520に戻る。
【0273】
ステップ4560において、低下したベース圧力P0が最低治療圧力Pminを下回っていない場合、中央コントローラ4230は、ベース圧力P0をデクリメントだけ低下させる。次に、方法4500は、ステップ4520に戻る。1つの実行において、デクリメントはP0-Pminの値に比例するため、検出されたイベントが無い場合、P0の最低治療圧力Pminへの低下は、指数関数的になる。1つの実行において、比例関係の定数は、P0の指数関数的低下の時定数τが60分でありかつ最低治療圧力Pminが4cmH2Oとなるように、設定される。他の実行において、時定数τは、1分まで短くかつ300分まで長くすることができるか、または、5分まで短くしかつ180分まで長くすることができる。他の実行において、最低治療圧力Pminは、0cmH2Oまで低くすることができ、かつ8cmH2Oまで高くすることができるか、または、2cmH2Oまで低くすることができ、かつ6cmH2Oまで高くすることができる。あるいは、検出されたイベントが無い場合にP0の最低治療圧力Pminまでの低下がリニアになるように、P0のデクリメントを事前決定してもよい。
【0274】
4.8.2 バイレベル治療
本技術のこの形態の他の具現例において、方程式(1)中の振幅Aの値は正であり得る。このような実行は、バイレベル治療として公知である。なぜならば、治療圧力Ptを正の振幅Aの方程式(1)を用いて決定する場合、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、患者1000の自発呼吸努力と同期して治療圧力Ptを2つの値またはレベル間で振動させるからである。すなわち、上記した典型的な波形テンプレートΠ(Φ,t)に基づいて、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、吸気の開始時または吸気の最中に治療圧力PtをP0+A(IPAPとして公知)まで増加させ、呼気開始時または呼気の最中に治療圧力Ptをベース圧力P0(EPAPとして公知)まで低下させる。
【0275】
バイレベル治療のいくつかの形態において、IPAPは、CPAP治療モードにおける治療圧力と同じ目的の治療圧力であり、EPAPは、IPAPから振幅Aを減算した値であり、呼気圧力解放(EPR)とも呼ばれる「小さな」値(数cmH2O)を有する。このような形態は、EPRを用いたCPAP治療とも呼ばれ、直接的なCPAP治療よりも快適性高いものとして一般的に考えられる。EPRを用いたCPAP治療の場合、IPAPおよびEPAPのいずれかまたは双方は一定の値であり得、ハードコードされるかまたはRPTデバイス4000へ手動入力される。あるいは、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、EPRを用いたCPAP時において、IPAPおよび/またはEPAPを繰り返して計算し得る。この代替例において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、治療エンジンモジュール4320中の各アルゴリズムから返送された睡眠疾患呼吸の指標値または測定値の関数としてEPAPおよび/またはIPAPを繰り返して計算する。これは、上記したAPAP治療におけるベース圧力P0の計算と同様に行われる。
【0276】
他の形態のバイレベル治療において、振幅Aは、RPTデバイス4000が患者1000の呼吸動作の一部または全部を行うほど充分に大きい。圧力補助換気治療として公知のこのような形態において、振幅Aは、圧力補助またはスイングと呼ばれる。圧力補助換気治療において、IPAPは、ベース圧力P0+圧力補助Aであり、EPAPは、ベース圧力P0である。
【0277】
一定圧力補助換気治療として公知の圧力補助換気治療のいくつかの形態において、圧力補助Aは、所定の値(例えば、10cmH2O)に固定される。所定の圧力補助値は、RPTデバイス4000の設定であり、例えばRPTデバイス4000の構成時にハードコードされるかまたは入力デバイス4220を通じた手動入力により設定され得る。
【0278】
サーボ換気として広範に知られる圧力補助換気治療の他の形態において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、呼吸サイクル(例えば、換気の現在測定値Vent)の一定の現在測定されているまたは推定されているパラメータと、当該呼吸パラメータの目標値(例えば、換気の目標値Vtgt)とを入力としてとり、式(1)のパラメータを連続的に調節して、呼吸器パラメータの現在の測定値を目標値に接近させる。CSR治療に用いられる適応型サーボ換気(ASV)として公知のサーボ換気の形態において、呼吸パラメータは換気であり、目標換気値Vtgtは、上記したように典型的な最近の換気Vtypから目標換気決定アルゴリズム4328によって計算される。
【0279】
サーボ換気のいくつかの形態において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、呼吸器パラメータの現在の測定値を目標値に近づけるように、圧力補助Aを繰り返し計算する制御方法を適用する。1つのこのような制御方法として、比例積分(PI)制御がある。目標換気Vtgtが典型的な最近の換気Vtypよりも若干低くなるように設定されたASVモードに適したPI制御の1つの具現例において、圧力補助Aは、以下のように繰り返して計算される:
【0280】
【0281】
ここで、Gは、PI制御の利得である。利得Gの値が大きくなると、治療エンジンモジュール4320におけるフィードバックが正になり得る。利得Gの値が小さくなると、一定の残りの未治療CSRまたは中枢性睡眠時無呼吸が発生し得る。いくつかの具現例において、利得Gは、所定の値(例えば、-0.4cmH2O/(L/分)/秒)に固定される。あるいは、利得Gは、CSRを実質的に除いた値に到達するまで、治療セッション間において変更され得る(最初は低い値から開始し、セッション間において増加させる)。治療セッションのパラメータを遡及的に分析して、治療セッション時のCSRの深刻度を評価するための従来の手段は、このような具現例において用いられ得る。さらに他の具現例において、利得Gは、換気の現行測定値Ventと、目標換気Vtgtとの間の差に応じて変動し得る。
【0282】
治療パラメータ決定アルゴリズム4329によって適用され得る他のサーボ換気制御方法を挙げると、比例(P)、比例差分(PD)、および比例積分差(PID)がある。
【0283】
圧力補助制限AminおよびAmaxは、RPTデバイス4000の設定であり、例えばRPTデバイス4000の構成時にハードコードされるかまたは入力デバイス4220を通じた手動入力によって設定される。
【0284】
圧力補助換気治療モードにおいて、EPAPは、ベース圧力P0である。CPAP治療におけるベース圧力P0と同様に、EPAPは一定の値であり得、タイトレーション時に規定または決定される。このような一定のEPAPは、例えばRPTデバイス4000の構成時にハードコードするかまたは入力デバイス4220を通じた手動入力により、設定され得る。この代替例は、固定EPAP圧力補助換気治療とも呼ばれる。所与の患者についてのEPAPのタイトレーションは、閉塞性無呼吸を予防する目的のために、PSGを用いたタイトレーションセッション時に臨床医によって行われ得、これにより、一定CPAP治療におけるベース圧力P0のタイトレーションと同様の様態で、圧力補助換気治療のために気道確保が維持される。
【0285】
あるいは、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、圧力補助換気治療時のベース圧力P0を繰り返して計算し得る。このような具現例において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、治療エンジンモジュール4320中の各アルゴリズムから返送された睡眠時呼吸障害の指標値または測定値(例えば、流れ制限、無呼吸、呼吸低下、開通性およびいびきのうち1つ以上)の関数としてEPAPを繰り返して計算する。EPAPの連続的計算は、EPAPのタイトレーション時における臨床医によるEPAPの手動調節に類似するため、このプロセスは、EPAPの自動タイトレーションとも呼ばれ、治療モードは、自動タイトレーションEPAP圧力補助換気治療、または自動EPAP圧力補助換気治療として知られる。
【0286】
4.8.3 高流量治療
他の形態の呼吸治療において、空気流れの圧力は、呼吸圧力治療のようには制御されない。すなわち、中央コントローラ4230は、(デバイス流量Qdが治療流量または目標流量Qtgtになるように制御される)空気流れを圧力生成器4140に送達させるように、圧力生成器4140を制御する。このような形態は、流れ治療の見出し下において主にグループ分けされる。流れ治療において、治療流量Qtgtは一定の値であり得、ハードコードされるかまたはRPTデバイス4000へ手動入力される。治療流量Qtgtが患者のピーク吸気流量を超えるのに十分である場合、その治療は、高流量治療(HFT)と主に呼ばれる。あるいは、治療流量は、呼吸サイクルにわたって変動するプロファイルQtgt(t)であり得る。
【0287】
4.9 データ送信と収集
接続されたデバイス、例えば、
図4A中のRPT4000、または、他のデバイス、例えば、運動装備(トレッドミルまたは固定式運動自転車)は、異なるレベルのデータの保存および送信が可能である。例えば、
図4C中の中央コントローラ4230または適用可能なデバイスプロセッサは、データを外部ソース4286へ送り得る。このようなデータを挙げると、RPT4000のセンサ(例えば、流量センサ4272または圧力センサ4272)によって収集されたデータ、エクササイズ機器センサによって収集されたデータ(例えば、ワークアウトの速度および長さ)、コンピュータシステムによって収集されたデータ(例えば、ユーザインターフェースを用いたユーザ対話頻度および種類)、前処理モジュール4310のアルゴリズムまたは他のアルゴリズムによって生成されたデータ、または治療エンジンモジュール4320のアルゴリズムによって生成されたデータがある。このようなデータは、さらなるデータを生成するアルゴリズムによる分析のために、組み合わされ得る。
【0288】
図8Aは、本技術によるシステムの1つの実行7000を示すブロック図である。本システムは、RPTシステム、エクササイズシステム、コンピュータハードウェアおよびソフトウェア利用システム、従業員および顧客によって利用されるオンデマンドサービス、デジタル健康オンラインサービス、または他の適切なサービスまたはシステムであり得る。よって、システムおよびデバイスは、RPTシステムに加えて以下を含み得る。
エクササイズシステムおよびヘルスケアシステム
・利用データを出力する電子エクササイズ機器(例えば、トレッドミル)、
・ステーショナリーバイク、デジタルウェイトセット、
・フィットネストラッカー(例えば、動き、エクササイズおよび他の要素を検出するウェアラブル装置)、ならびに
・他のエクササイズおよびヘルスケアシステム
コンピュータシステム、ソフトウェアおよびインターフェース
・利用データを追跡するウェブサイトおよびソフトウェアプログラム(例えば、CBTプログラムの順守を監視するためのヘルスケアソフトウェア、及び、他のオンライン又はソフトウエアプログラム)、
・食事、エクササイズ、食べ物の種類などを監視する減量監視アプリケーションや、利用および他のデータを追跡することが可能な他のもの、・ソフトウェアおよび/またはハードウェアによる利用データの追跡が可能なオンデマンドサービス(例えば、オンデマンドタクシーサービス)を調整するためのコンピュータハードウェアおよびソフトウェア、ならびに、
・他のソフトウェアおよびサービス。
【0289】
システム7000は、呼吸圧力治療の患者1000への提供または他のサービスのユーザへの提供を行うように構成されたデバイス4000と、データサーバ7010と、患者1000またはユーザと関連付けられたコンピューティングデバイス7050とを含み得る。コンピューティングデバイス7050は、ユーザ1000およびデバイス4000(例えば、RPTデバイス)と共に共同設置され得る。
図7Aに示す実行7000において、デバイス4000、コンピューティングデバイス7050およびデータサーバ7010は、広域ネットワーク7090(例えば、インターネット、クラウドまたはインターネット)へ接続される。
【0290】
広域ネットワークへの接続は、有線型であってもよいし、無線型であってもよい。広域ネットワークは、
図4Cの遠隔外部通信ネットワーク4282と共に特定され得、データサーバ7010は、
図4Cの遠隔外部デバイス4286と共に特定され得る。コンピューティングデバイス7050は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレットコンピュータ、または他のデバイスであり得、本明細書中に開示される多様な機器において組み込まれ得る。コンピューティングデバイス7050は、ユーザ(例えば、患者1000)とデータサーバ7010との仲介を、広域ネットワーク7090を介して行うように構成され得る。1つの実行において、この仲介は、コンピューティングデバイス7050上において実行されるソフトウェアアプリケーションプログラム7060によって行われる。ユーザプログラム7060は、「ユーザアプリケーション」と呼ばれる専用アプリケーションであり得、データサーバ7010によってホストされる相補型プロセスと対話する。別の実行において、ユーザプログラム7060は、ウェブブラウザであり、セキュアなポータルを介してデータサーバ7010によってホストされるウェブサイトと対話する。さらに別の実行において、ユーザプログラム7060は、電子メールクライアントである。
【0291】
図8B中のブロック図は、本技術によるシステム別の実行7000Bを示す。代替的実行7000Bにおいて、デバイス4000は、ローカルの(有線または無線の)通信プロトコル(例えば、ローカルネットワークプロトコル(例えば、Bluetooth(登録商標)))を介してユーザコンピューティングデバイス7050と通信する。代替的実行7000Bにおいて、ローカルネットワークは、
図4Cのローカル外部通信ネットワーク4284と共に特定され得、ユーザコンピューティングデバイス7050は、
図4Cのローカル外部デバイス4288と共に特定され得る。代替的実行7000Bにおいて、ユーザコンピューティングデバイス7050は、ユーザ(例えば、患者1000)とデータサーバ7010とを広域ネットワーク7090を介して仲介し、デバイス4000とデータサーバ7010とを広域ネットワーク7090を介して仲介するように、ユーザプログラム7060を介して構成される。
【0292】
以下では、システム7000についての記述は、他に明記無き限り、代替的実行7000Bへ等しく適用すべきものとして理解され得る。
【0293】
システム7000は、関連付けられたコンピューティングデバイスを同様に有する各ユーザまたは患者と関連付けられた他のデバイス(図示せず)を含み得る。さらに、システム7000は、コントローラ4230またはユーザコンピューティングデバイス7050とインターフェースをとり得る、他の監視または治療デバイスを含み得る。
【0294】
デバイス4000は、各利用セッションからユーザ(例えば、患者1000)へ送達されたデータをメモリ4260中へ保存するように、構成され得る。例えば、RPTセッションに関する治療データは、RPTデバイス4000の設定と、RPTセッション全体における呼吸圧力治療の1つ以上の変数を示す治療変数データとを含む。他の例において、利用セッションに関するデータには、速度またはワークアウト機器についての他の強度設定、利用またはエクササイズセッションの長さ、ウェブサイト利用の長さ、クリック数、または他の適切な利用ならびに対話データが含まれ得る。
【0295】
デバイス4000は、データをデータサーバ7010へ送信するように、構成され得る。上記したように、データ送信は、場合に応じて変調される。通常の動作において、低分解能データのみが送信される。以下に述べるように、高分解能データは、異なる場合において送信され得る。データサーバ7010は、「プル」モデルに従ってデータをデバイス4000から受信し得、これにより、データサーバ7010からのクエリに応答してデバイス4000からデータが送信される。あるいは、データサーバ7010は、「プッシュ」モデルに従ってデータを受信し得、これにより、デバイス4000は、セッション後、都合がつき次第、データサーバ7010へ送信する。
【0296】
デバイス4000から受信されたデータは、デバイス4000と一意に関連付けられることによってシステム7000内に参加している他の任意のデバイス(単数または複数)からのデータと区別可能となるように、データサーバ7010によって保存およびインデックス付けされ得る。
【0297】
本例において、データサーバ7010は、臨床医またはシステム管理者にとって有利であり得る異なる種類の分析用データを計算するように、構成される。例えば、各セッションにおける利用データは、デバイス4000から受信されたデータから決定され得る。セッションあたりの利用データ変数は、データの一部を形成する変数データから従来のスコア付け手段によって導出された統計概要を含む。
【0298】
利用データは、以下の利用変数のうち1つ以上を含み得る。
・利用時間(すなわち、セッションの合計継続期間)
・セッションの無呼吸-低呼吸指数(AHI)
・セッションの平均漏洩流量
・セッションの平均マスク圧力
・RPTセッション内における「サブセッション」数(すなわち、「マスクオン」イベントと「マスクオフ」イベントとの間のRPT治療間隔の数)
・治療変数の他の統計的概要(例えば、95パーセンタイル圧力、メジアン圧力、圧力値のヒストグラム);
・ランニング、サイクリングまたは他のエクササイズシステムの測定基準(metrics)となる平均速度
・エクササイズセッションの長さ
・例えばエクササイズまたは他の利用セッション時のウェアラブル機器によって追跡される心拍数または他の生理学的インジケータ
・反復頻度
・パワー(速度×体重)
・加速度
・1週間あたりのエクササイズセッション数の平均値
・燃焼カロリー
・ソフトウェアプログラムの利用時間長さ
・セッションあたりのマウスクリック数
・期間(例えば、日、週、月)毎のソフトウェアプログラム、RPTデバイス、オンデマンドサービス、または他のシステムの利用の時間数、および、
・多セッション統計(例えば、RPT治療開始以降のAHIの平均値、メジアン値、分散値、エクササイズ継続期間、燃焼カロリー、速度または他の測定基準の傾向)、ならびに、
・他のもの
【0299】
他のサーバが、ネットワーク7090へ連結され得、上記した「プッシュ」または「プル」モデルに基づいてデータを入手する。例えば、受取人によって操作されるデータサーバ7100は、異なる目的(例えば、患者1000による治療またはユーザのための他のサービスに対する支払いを決定する目的のための、順守の決定または順守の予測)のためのデータを受信し得る。機械学習サーバ7200は、以下に述べるように高解像度データを必要とする例外的な場合のために基準線を学習または改良する目的のためにも、データを受信し得る。あるいは、例外的場合が検出された場合、または特定の例外的場合に応答して正確な予測データを高解像度データ中に含める必要がある場合に、機械学習サーバ7200は、最適な応答を学習し得る。
【0300】
代替的実行において、デバイス4000は、各セッション終了時においてデバイス4000によって保存されたデータから使用変数を計算する。次に、デバイス4000は、上記した「プッシュ」または「プル」モデルに従って、使用変数をデータサーバ7010へ送信する。
【0301】
さらなる実行において、メモリ4260内において、デバイス4000は、各セッションにおける治療/使用データを保存する。メモリ4260は、取り外し可能な形態をとる(例えば、SDメモリカード)。取り外し可能なメモリ4260は、デバイス4000から取り外され得、データサーバ7010と通信するカードリーダ中へ挿入され得る。次に、治療/使用データは、取り外し可能なメモリ4260からデータサーバ7010のメモリへコピーされる。
【0302】
さらなる実行において、システムの代替的実行7000Bに適切なものとして、デバイス4000は、治療/使用データを無線通信プロトコル(例えば、上記したようなBluetooth(登録商標))を介してユーザコンピューティングデバイス7050へ送信するように構成される。次に、ユーザコンピューティングデバイス7050は、治療/使用データをデータサーバ7010へ送信する。データサーバ7010は、「プル」モデルに従って治療/使用データをユーザコンピューティングデバイス7050から受信し得、これにより、データサーバ7010からのクエリに応答してユーザコンピューティングデバイス7050から治療/使用データが送信される。あるいは、データサーバ7010は、「プッシュ」モデルに従って治療/使用データを受信し得、これにより、患者コンピューティングデバイス7050は、セッション後に治療/使用データが利用可能になり次第、治療/使用データをデータサーバ7010へ送信する。
【0303】
いくつかの実行において、データサーバ7010は、利用データに対して(例えば、データサーバ7010と通信するか、またはデータサーバ7010に含まれる1つ以上のプロセッサを用いて)何らかの後処理を行い得る。このような後処理の一例として、直近のセッションが「順守的セッション」であるかを決定する。いくつかの順守規則は、順守期間(例えば、30日)にわたる必要なRPTデバイス使用量を、順守期間内の最低日数(例えば、21日)にわたる各セッション(例えば、4時間)毎のデバイス使用の最低持続時間において指定する。
【0304】
セッションの持続時間が最低持続時間を超えた場合、当該セッションは順守されているとみなされる。使用データの後処理において、使用持続時間と順守規則からの最低持続時間との比較により、最近のセッションが順守されたセッションであるかが決定され得る。このような後処理の結果は、順守的データである(例えば、使用データの一部を形成するブール順守変数)。多セッションにおける使用データのさらなる例として、RPT治療または他の類型のセッションの開始以降の順守セッションのカウントがある。
【0305】
データサーバ7010は、データをユーザコンピューティングデバイス7050から受信するようにも構成され得る。このようなものは、ユーザまたは患者1000がユーザプログラム7060へ入力したデータ、または上記した代替的実行7000Bにおける治療/使用データを含み得る。
【0306】
データサーバ7010は、電子メッセージをユーザコンピューティングデバイス7050へ送信するようにも構成される。これらのメッセージは、電子メール、SMSメッセージ、自動音声メッセージ、またはユーザプログラム7060内の通知の形態をとり得る。
【0307】
デバイス4000は、自身の広域ネットワーク接続またはローカルエリアネットワーク接続を介して対応するコマンドが受信された際に、自身の治療モードまたは特定の治療モード用の設定についてアラート通知を受けるように、構成され得る。このような実行において、データサーバ7010は、(実行7000において)このようなコマンドを直接デバイス4000へ送るか、または、(実行7000Bにおいて)間接的にデバイス4000へ送って、ユーザコンピューティングデバイス7050を介してリレーさせるようにも、構成され得る。
【0308】
データサーバ7010は、以下に詳述するプロセス7020実行をホストし、これは、ユーザの治療または他のサービスに対する継続意欲の増大または維持が可能なように構成される。広範に述べると、プロセス7020は、デバイス4000および/あるいは患者コンピューティングデバイス7050、またはユーザコンピューティングデバイス7050からのデータを分析して、直近の治療セッションまたは本明細書中に開示のような他の種類のユーザセッションの品質を示す品質インジケータを計算する。次に、プロセス7020は、例えばユーザコンピューティングデバイス7050上において実行するユーザプログラム7060を介して、品質インジケータをユーザまたは患者1000へ通信する。患者の意欲の上昇または維持のための方法の最適化のために、得られた低分解能データおよび高分解能データの分析により、意欲を上昇させる必要性の検出が可能になり得る。
【0309】
患者1000またはユーザは、治療または他の利用の品質インジケータを、治療、エクササイズまたは他のセッションの進捗状態の簡潔なインジケータとして認識する。これにより、ユーザまたは患者1000は、自身の治療をやり通す意欲を得る。性能の追跡および測定は、人にとって目的の達成についての大きな意欲付けの誘因になり得、治療品質インジケータは、呼吸圧力治療の文脈における尺度として機能し得ることが、知られている。
【0310】
4.9.1 ユーザの順守または停止の予測
調査によれば、呼吸圧力治療を処方された患者の90%までが、規則順守について少なくとも何らかの問題が有ることが判明している。このような問題の例を挙げると、RPTデバイス4000のセットアップの困難さ、患者インターフェース3000のフィッティングまたは調節が良くないことに起因する不快感、所定レベルの陽圧気道の感覚に対する非許容、患者または同床者にとってノイズまたは妨害の原因となる過剰な漏洩、主観的なウェルビーイングの向上の欠如がある。その結果、順守低下、払い戻し低下、最適以下の健康結果、患者1000の全般的な長期ヘルスケアコストの上昇や、非順守的患者100の関連条件の悪化の結果としてのヘルスケアコストの増加に繋がる。例えば、国によっては、払い戻しを受けるためには、患者は最低レベルの順守を満たす必要がある。そのため、本発明者らは、患者1000が治療を順守するかどうかを予測し、順守と現在進行中の治療の固守および利用とを向上させるための自動介入を行うための技術を開発した。
【0311】
他のシステムおよびサービスにおいても、ユーザの関与の維持は、成功における鍵となり、サービスの利用停止またはサービスの停止を行う可能性の高い患者を特定することは、患者の利用停止の前または利用低減が大きくなる前に介入を行う上において重要であり得る。
【0312】
詳細には、本開示の技術および関連するデバイス4000が実行し得る自動化システムは、利用を監視して、利用を低減する可能性の高い患者1000または他のユーザを特定し、プロバイダまたは患者1000またはユーザへの通知などにより自動介入する。これにより、治療、エクササイズまたは他の関連設定を調節すること、より適切な機器へ切り換えること、患者1000またはユーザが治療またはサービスにおいて有し得るあらゆる問題を修正すること、またはサービスの結果または登録についての患者1000またはユーザの順守および長期固守の拡大の支援のための他のカウンセリングを提供することを行う機会が得られる。
【0313】
一例として、利用データのトレンドは、特に今後の順守および利用率の継続を予測し得ることが分かっている。そのため、本技術の特定の形態において、デバイス(例えば、RPTデバイス4000)から出力された利用データ9045を監視することにより、患者1000またはユーザが治療を停止するかまたは利用を特定の量だけ低減する可能性の高い時期を決定することができ得る。
【0314】
図9は、患者またはユーザがデバイス4000の利用を低減または中止するかを予測するプロセスの例を示す。先ず、患者1000は、デバイス4000をオンにすることによりセッションまたはサービス(例えば、RPT治療セッション、エクササイズセッション)を開始し得、デバイスを使用し(例えば、治療セッションのためにデバイスを装着し)、その後、デバイスをオフにすること(例えば、および/または治療セッション完了後にマスクを取り外すこと)を行い得る。
【0315】
セッション9000の完了後、デバイス4000は、利用データ9010を外部ソースへ出力し得る(例えば、ネットワークを介してサーバおよびデータベースへ出力し得る)。他の例において、デバイス4000は、利用データ9045をローカルに保存し、例えば利用データ9045の保存から1週間後にこのデータを外部ソースへ送り得る。さらなる例において、デバイス4000は、このデータを保存し、利用データをプロセッサ4230およびメモリ4360上においてローカルに処理し得る。利用データ9045は、上記に開示したものを含む多様な種類の情報を含み得る。
【0316】
いくつかの例において、人口統計データ、プロファイルデータ、ヘルスケアプロバイダ、マシン種類および他のデータが、モデルにおいて用いられ得る。このデータは、デバイス4000上にローカルに保存してもよいし、あるいは、データベース中に別個に保存してもよく、データベースは、アルゴリズムの効率的な検索および更新のために、患者IDに対して参照される。このデータは、モデルまたはアルゴリズムの更新の度に更新する必要は無いため、いくつかの例において別個に保存され得る。その結果、デバイス4000からの利用データ送信のための帯域の節約にも繋がり得る。
【0317】
さらに、利用データ9045の出力および保存の後、開示の技術により、前回保存されたデータ9020の時間窓を特定することができ得る。例えば、開示の技術により、前週、2週間、3週間または他の適切な時間フレームにおいて記録された前回保存されたデータ9020を特定することにより、利用トレンドをアルゴリズムを用いて特定することができ得る。
【0318】
次に、開示の技術によれば、このデータを処理して、患者1000またはユーザが今後の時間窓9030において利用レベルを低下させる(かまたは維持する)可能性を決定することができ得る。例えば、開示の技術により、患者1000またはユーザが2週間以内において利用を4時間から2時間へ低下させるか、または2週間以内に3回のエクササイズセッションから1回のエクササイズセッションに減少させる可能性のパーセンテージを決定することができ得る。他の例において、開示の技術により、患者1000またはユーザが2週間、3週間、1週間または他の予測時間フレーム以内において利用を中止する可能性のパーセンテージが決定され得る。いくつかの例において、開示の技術によれば、このデータを処理し、患者1000またはユーザが、デバイス4000、システムおよび/またはサービスを今後の時間窓において利用する量(例えば一晩あたりの平均時間)の予測を(患者1000またはユーザが利用を減少させるかを必ずしも予測する必要無く)行う。
【0319】
開示の技術によれば、多様なアルゴリズムを用いて、患者1000またはユーザが特定の時間窓内において利用を減少または中止する(または、現在の利用レベルを維持する)確率パーセンテージを決定する。プラットフォームは、以下を含む多様なデータソースを利用し得る:(1)利用データ9045(直近セッションおよび利用データ履歴および他の種類の上記開示のデータを含む)、(2)人口統計データ9035(患者の年齢を含む)、ならびに(3)デバイス種類9055(デバイス種類、モデルおよび製造業者を含む(RPTデバイス、エクササイズデバイス、コンピューティングデバイスまたは他のデバイスを含む))ならびに他の適切なデータ。いくつかの例において、ヘルスケアプロバイダも、入力データであり得る。上記したように、利用データ9045は、デバイス4000から出力され得、他のデータソースは、別個のデータベース上に保存され得る。他の例において、データ全てが、デバイス4000のメモリ上に保存され得る。
【0320】
次に、開示の技術において、先ず、データ(例えば、前回の利用時間窓内における利用セッションからのデータ)からの多様なフィーチャが計算され得る。例えば、開示の技術において、利用の無い日のパターン、平均利用時間、週毎の平均利用時間、年齢、関連付けられたオンラインプラットフォームとの関与および他の要素が決定され得る。いくつかの例において、これらのフィーチャを週単位で計算することにより、これらのフィーチャそれぞれの週単位のトレンドを決定することができ得る。
【0321】
次に、本技術の特定の形態において、これらのフィーチャが多様なアルゴリズムへ入力されると、患者1000が利用を特定の時間窓9030内において特定の量だけ減少させる可能性のパーセンテージが出力される。例えば、システムは、フィーチャの分析を、ロジスティック回帰、線形回帰および/またはランダムフォレストアルゴリズムを用いて行い得る。いくつかの例において、出力が二項分類である場合、ロジスティック回帰、決定木、ランダムフォレスト、ベイジアンネットワーク、サポートベクトルマシン、ニューラルネットワークまたはプロビットモデルを用いて、入力フィーチャに基づいて、患者1000が治療を停止する蓋然性を出力し得る。他の例において、機械学習アルゴリズムおよびアルゴリズムの組み合わせを用いて、入力を利用カテゴリに分類することができ得る。例を挙げると、線形分類器(ロジスティック回帰、ナイーブベイズ分類器)、サポートベクトルマシン、決定木、ブースティングツリー、ランダムフォレスト、ニューラルネットワーク、確率的勾配降下法、最近傍法など)がある。
【0322】
加えて、他の機械学習アルゴリズムが用いられ得る。特定の例において、決定木は、適用すべき事前訓練された機械学習アルゴリズムを決定するために用いられ得る。例えば、決定木は、患者1000またはユーザが属する年齢コーホートに応じて、異なるアルゴリズムを用い得る。他の例において、異なるプロバイダまたは異なる種類のデバイス4000は、例えばこれらのプロバイダからのデータについて訓練された異なるアルゴリズムを有し得る。他の例において、アルゴリズムは、患者1000またはユーザが停止するかについて、あるいは患者1000またはユーザに適していそうな利用ブラケット量(例えば、4~2時間、2~0時間または利用中止)についてのバイナリ決定を出力し得る。
【0323】
次に、開示の技術において、アルゴリズムの出力パーセンテージが閾値9040と交差した場合、患者1000またはユーザが特定の時間窓内において利用を停止または低減させる可能性が高い旨の表示を出力し得る。これには、医療記録の内部データベース上において患者1000またはユーザをフラグ付けすること、関連付けられたコンピューティングデバイス、サーバまたはデバイス4000のディスプレイ4294へ通知を送ることが含まれ得る。その結果、ヘルスケアプロバイダが患者1000またはユーザに連絡をとるか、または以下に述べる多様なアクションステップを開始することが可能になる。
【0324】
4.9.2 利用低下が予測される場合の介入のためのアクションステップ
本技術の特定の形態において、通知により、治療9050を向上させること、または患者1000またはユーザが治療または他のサービスを停止または低減させる蓋然性を低下させることのためのアクションがトリガされ得る。例えば、患者1000またはユーザが自身の利用を停止するかまたは低減するのには、多数の理由がある(例えば、治療順応の困難、機器管理に関連する問題、環境要素およびモチベーションの問題)。以下の理由のうちいくつか:(1)患者インターフェース3000のサイズまたはフィット感が不適切、(2)患者1000が睡眠時にRPTデバイス4000を着用するのに不慣れ、(3)患者1000が強制空気を呼吸することが困難、(4)患者インターフェース3000の漏れに起因する患者の1000鼻または口の乾燥、(5)過度のノイズ、(6)エクササイズ機器の音が大きい、(7)痛みまたは疼痛、または(8)その他。
【0325】
そのため、アクションステップにより、患者1000またはユーザが治療または他のサービスを低減または停止したいと思う理由が最適に対処される。そのため、開示の技術において、先ず多様なワークフローまたはアルゴリズムの適用により、患者1000またはユーザが利用を低減または停止し得る理由が決定され得る。例えば、開示の技術は、デバイス4000上のディスプレイ4294に対してメニューまたは選択肢を提供し、治療または他のサービスのどの局面が患者1000またはユーザが気に入らないか、または有効ではないかを示すよう患者1000またはユーザに要求する、通知またはリクエストを送り得る。
【0326】
この通知は、テキスト、電子メール、モバイルデバイス上のポップアップ通知または他の種類の通知であってもよい。いくつかの例において、治療または他のサービスの停止の蓋然性または利用分類に応じて、通知頻度または内容を変更すれば、モチベーション増加に繋がり得る。いくつかの例において、メニューにより、患者1000またはユーザが選択し得る一般的問題についての選択肢が提供され得る。次に、例えば、患者1000またはユーザの選択に基づいて、さらなる改善選択肢が患者1000またはユーザへ提供され得る。この選択肢により、治療または本明細書中に開示の他のサービスにおける患者またはユーザの困難を修正する試みが行われる。いくつかの例において、例えば、患者1000または他のユーザがデバイス4000の使用の際に困難を感じている場合に、患者1000または他のユーザを支援するためのビデオまたは他の内容が、患者1000、ユーザへ表示され得る。
【0327】
いくつかの例において、本技術において、患者1000またはユーザが停止する可能性が高い理由を推定するために、機械学習または他のアルゴリズムが用いられ得る。例えば、患者1000またはユーザが治療を停止する確率の増大の原因として知られているセッションまたはデバイス400の特定の態様が、監視される。いくつかの例において、患者1000またはユーザが治療を停止するか、または利用を低減する可能性があると決定された場合、(患者1000またはユーザの停止についての最も蓋然性の高い理由を決定するために分析され得る)他の測定基準の分析がトリガされる。例えば、漏洩流量、ノイズ、呼吸イベント、睡眠スコアおよび他の変数を分析することにより、通常の成功している患者1000またはユーザと比較した際の偏差が最も高いものを決定することができ得る。次に、開示の技術において、サービス(例えば、呼吸治療)の低減について最も蓋然性が高いと特定された理由から始まる質問を、患者1000またはユーザへして、以下に詳述するような適切な介入が行われ得る。いくつかの例において、可能性の高い理由の決定において、人口統計情報(デバイスまたはデバイスのフィーチャの使用に困難があることが判明している特定の年齢コーホート)が考慮に入れられ得る。以下に、行われ得るアクションステップのリストと、これらのステップを行う時期を自動決定し得る、監視または他のアルゴリズムとを示す。
【0328】
サービス設定の変更
RPTデバイス4000またはコンピューティングデバイス上の関連付けられたアプリまたはソフトウェアプログラム上のプロンプトに応答して、患者または臨床医1000またはユーザは、選択をディスプレイ上においてまたはクラウド管理システム4294を介して入力し得る。この選択によって示される内容としては、患者インターフェースからの漏れが大きいため、患者が寝入るのが困難である、または夜間に何度も覚醒する、睡眠障害呼吸が有効に治療されていない、または治療有効性の妨げとなる他の治療関連問題を経験しているという内容である。よって、本技術によれば、RPTデバイス4000上の治療設定9065を変更する選択肢が患者1000へプロンプトされ得る。これらの選択肢が選択されると、患者入力を受信したデバイスは、当該変更を実行せよとの命令をRPTデバイス4000のコントローラへ送り得る。
【0329】
患者が寝入る際の圧力ランピング
利用低減についてフラグ付けされた患者1000の中には、(例えば、この問題についてのクエリを含む通知に応答して)高圧を不快に感じるため、寝入ることが難しい旨を示し得る者もいる。次に、本技術によれば、患者1000が治療開始時に寝入るまでベース圧力を徐々に増加させるプロトコルをRPTデバイス4000上において実行する「RAMP」機能を選択する選択肢が患者1000へ提示され得る。
【0330】
いくつかの例において、利用データ9045は、デバイスをオンにしてから1時間以内、または患者1000が寝入るのが困難になっていることを示す他のいくつかの閾値以内に、患者1000がデバイスを取り外している旨を示し得る。よって、本技術によれば、利用データ2045の処理において患者1000が短時間の窓(例えば、30分)以内または1時間以内に利用を中止している旨が示される場合、RAMP機能が自動提案され得る。さらに、本技術によれば、利用データ9045の処理において早期の利用停止(または、例えばセッション毎の利用時間の減少)が特定された場合、患者1000の寝入りを支援するために、ランピング機能を調節して初期圧力をさらに低下させることができ得る。
【0331】
圧力、呼気圧力解放&治療モード調節
いくつかの例において、患者1000の覚醒が頻繁である場合、患者1000が寝入った後の治療設定が最適ではない可能性がある。本例においては、患者1000が寝入っているときには、治療設定を意識することは無いため、患者通知および入力はそれほど重要ではない。よって、(本明細書中に開示のような)特定のアルゴリズムを用いて、睡眠障害、呼吸障害または他の睡眠問題を特定し、治療および呼吸の快適性設定を自動調節することができ得る。これには、治療モード(例えば、APAP対CPAPなど)の他の調節も含まれ得る。
【0332】
バイレベル気道陽圧
いくつかの例において、本技術によれば、患者1000が吸気圧力を不快に感じると示した場合、患者1000へ送達される吸気圧力が変更され得る。他の例において、恐らくは患者1000は治療を不快に感じる理由に気づいていない場合、この変更は、患者1000と共に試行するモードとして提供され得る。
【0333】
加湿
いくつかの例において、患者1000は、自身の口または鼻が湿りすぎているか、または乾きすぎている旨の入力を選択し得る。本技術において、この入力が患者1000から受信されると、加湿レベルの増減が自動推奨され得る。
【0334】
他の例において、患者1000が自身の口または鼻が乾燥している旨の入力をした場合、本技術において、湿度増加が必要との旨を示す閾値を漏洩流量Qvが超えているかについての決定が自動的に行われ得る。例えば、本技術によれば、患者1000から自身がドライマウスであるとの入力を受信した場合、本技術またはRTPデバイス4000は、漏洩流量が閾値を超えているかを決定するための漏洩流量推定4316を自動的に質問または開始し得る。
【0335】
患者インターフェースのフィットまたはデバイスの種類
RPTデバイス4000上のプロンプトあるいはコンピューティングデバイス上の関連付けられたアプリまたはソフトウェアプログラムに応答して、患者または臨床医1000は、「患者の口が乾燥しており、患者インターフェース3000のフィッティングが最適では無い(例えば、顔が痛い)」旨の選択をディスプレイ4294上において入力し得る。例えば、患者1000が示し得る内容としては、皮膚と患者インターフェース3000との間に漏洩が感じられる旨、またはデバイスのフィッティング9075に関する本明細書中に記載のような他の問題がある。上記したように、漏洩流量推定4316モジュールは、患者インターフェース3000を通じた漏洩に関連して問題があると決定し得る。
【0336】
そのため、本技術においては、患者インターフェース3000のフィッティングがおかしいと患者1000が感じているか(詳細には、小さすぎるかまたは大きすぎると患者1000が感じているか)を決定するよう患者100にプロンプトすることができ得る。よって、次に、本技術において、患者の現在の患者インターフェース3000、およびフィッティング関連問題を示す患者1000のデータプロファイルに基づいて、患者1000のための交換用患者インターフェース3000が推奨され得る。
【0337】
いくつかの例において、本技術によれば、患者インターフェース3000と接触している顔の部分のうち不快感を感じている部分を示すよう患者1000がプロンプトされ得る。例えば、本技術によれば、シール形成構造3100、位置決めおよび安定化構造3300または患者インターフェース3000の他の部位の周囲において不快感を感じる位置を、顔の図上においてクリックしてくださいと患者1000がリクエストされ得る。次に、不快感を感じる位置に基づいて、プラットフォームは、別の患者インターフェース3000を推奨し得る。
【0338】
いくつかの例において、患者インターフェース3000は、例えばストラップがどれだけきついのかを決定するためのセンサを、位置決めおよび安定化構造3300上に含み得る。いくつかの例において、例えば、ストラップと患者1000の頭部との間の簡単な張力評価または圧力評価が行われ得る。この情報を平均的な張力および圧力と比較することにより、位置決めおよび安定化構造3300を緩めるか、またはきつくするか、あるいはサイズを変更するよう患者1000へ推奨することができ得る。
【0339】
ノイズ
ノイズは、患者1000が治療を止める理由を多く占めている(同床者からのリクエストを含む)。RPTデバイス4000あるいはコンピューティングデバイス上の関連付けられたアプリまたはソフトウェアプログラム上におけるプロンプトに応答して、患者1000または臨床医は、ノイズが大きすぎるか、または患者1000のパートナーがノイズが大きすぎると感じている旨を示す選択を、ディスプレイまたはクラウドソフトウェア4294上において入力し得る。この例において、本技術において、RPTデバイス4000そのものおよびその通路および通気部全てが、標準的量よりも大きいノイズを生成しているかを決定するための診断チェックが行われ得る。
【0340】
例えば、本技術において、RPTデバイス4000からの環境ノイズが、平均ノイズレベルまたは予測されるノイズレベルから逸脱しているかを評価し得る。
【0341】
よって、本技術および/またはRPTデバイス4000は、雰囲気ノイズ、RPTデバイス4000に関連するノイズ、および他の形態のノイズを感知する音響センサを含み得る。いくつかの場合において、機械学習アルゴリズムを用いてノイズの種類を分類し、RPTデバイス4000に関連するノイズのレベルを特定し(または「通気」ノイズを特定し、このノイズを患者1000のいびきおよび他の雰囲気ノイズから分離させ)、これを基準値と比較することができ得る。これらの値が閾値を超えている場合、本技術は、メンテナンス、部品再供給または他の改善策を推奨し得る。
【0342】
他の例において、本技術において、患者1000が主な問題がノイズである旨を示す場合、治療設定を一定範囲内において自動変更し得、ノイズを低減させるように設定を最適化することができ得る。
【0343】
治療の種類
RPTデバイス4000上のプロンプトまたはコンピューティングデバイス上の関連付けられたアプリまたはソフトウェアプログラムに応答して、患者1000または臨床医は、RPTデバイス4000に基づいた治療について概して不満足を感じており、別の種類の治療9085をしてみたい旨の選択をディスプレイ4294またはクラウドソフトウェア上において入力し得る。他の例において、利用データ9045が低い場合、本技術において、別の種類の治療が推奨され得、あるいは、多数の異なる推奨およびアクションが本技術によってとられた後、患者1000は、RPTデバイス4000を用いた治療へ参加しなくなり得る。この場合、本技術において、追加的治療または補充的治療の利用が患者1000へ推奨され得る。例えば、システムは、患者1000が下顎整復デバイスまたは認知行動治療を好むか患者1000に質問し得る。
【0344】
4.9.3 例1:治療停止の予測子
開示の技術は、患者1000が治療を停止する可能性の高い時期を、特定のロジスティック回帰アルゴリズムおよびランダムフォレストアルゴリズムにより高精度に予測できるかを試験を行うために、患者データからの匿名データセットに対して用いられている。本技術によれば、これらのアルゴリズムを用いて、患者1000が呼吸治療デバイスの利用(例えば、CPAP)を2週間の時間窓以内に低減または停止させるかを、(平均で)90%の精度で予測することができることが分かっている。このことは、(それぞれ4,000~26,000台の設置に基づいた)20個の異なる患者コーホートにおいて本技術を試験することにより、確認された。一例において、本技術によれば、1週間あたり40人を超える患者が、約16,000人の患者からなる1つのコーホートから、治療を停止させる可能性があるものとして特定された。
【0345】
フィーチャセット
本例において、先ず、利用データ9045に対して前処理を行って、ランダムフォレストおよびロジスティック回帰アルゴリズムによる処理における標的フィーチャを特定した。先ず、本技術において、対象データの時間窓および予測窓を決定した。
図10に示すように、本技術において、現在の時間/日付の前の3週間において発生した利用セッションを特定した。各利用セッションデータ集合において、以下のデータ情報のいくつかの組み合わせまたは順列が含まれ得る。
・日付/時間スタンプ
・治療開始時間、治療停止時間
・合計治療時間
・治療およびセンサデータ(例えば、特定された呼吸イベント、治療設定など)および、
・患者ID
【0346】
このデータは、RPTデバイス4000から出力されたもの(例えば、利用データおよび治療データ)であり得、データの他の部分は、プロバイダデータベースからのものであり得る。次に、特定された各セッションデータを処理することにより、アルゴリズム中へ入力され得る利用フィーチャを特定した。例えば、以下の表中に、調査において用いられたセッションデータに基づいて決定された例示的な1組の利用フィーチャを示す:
【0347】
【0348】
さらに、フィーチャは、ユーザが患者関与または治療管理ソフトウェアプラットフォーム(またはアプリ)に登録した通りであるかを含み得る。次に、これらのフィーチャは、サンプルデータセットから抽出され、異なる患者1000についての下記のフィーチャとして出力された。
【0349】
【0350】
データ処理は、(患者1000が実際に治療からドロップ(脱落)したかについての真のドロップデータを含む以前のデータを用いて訓練された)ロジスティック回帰アルゴリズムを用いて行った。調査によれば、これらのモデルの操作を通じて、予測フィーチャのうちいくつかにおいて以下が含まれることが判明した:(1)非ゼロ利用の日(セッション)の数(「NZD」)、(2)非ゼロ利用の平均(「NZUse」)、および(3)非ゼロ利用の標準偏差(「NZSD」)。よって、いくつかの例において、これらの3つのフィーチャまたはフィーチャの他の組み合わせを用いたロジスティック回帰アルゴリズムが、開発され得る。
【0351】
処理アルゴリズム
この調査において、これらのフィーチャに基づいた利用トレンドをランダムフォレストアルゴリズムおよびロジスティック回帰アルゴリズムを用いて処理して、各患者1000が2週間の期間以内に利用を停止する蓋然性を出力した。この処理において、例えば、フィーチャのトレンドが週単位で調査される(1週間におけるフィーチャをその後の何週間と比較して、トレンドを特定する)。さらに、本例において、ロジスティック回帰モデルを、予測窓中の各日について生成した。モデルが予測する日の前まで、これらのモデルそれぞれ3週間窓を用いて訓練した。よって、データ訓練のために、治療停止の結果となった患者1000について、例えば(a)停止1日前、(b)停止2日前、に停止した以前の利用データの3週間窓を用いて別個のモデルを訓練することができ、これにより、この場合において、停止予測窓は2週間であるため、14個のモデルを訓練した。
【0352】
次に、治療を停止しなかった患者1000からのデータを用いて14個のモデルを訓練した。これら14個のモデルの訓練を、(停止データと同様に)異なる時間窓の利用データを用いて行った。これらの異なる時間窓は、患者1000がデバイスを使用した最後の日(停止当日ではない)から最終日前の14日間までにわたる。よって、停止した患者および停止していない患者双方について14個のモデルを訓練した後、これらのモデルを、新規患者1000の停止の蓋然性を予測するために用いることができる。
【0353】
よって、この場合、14個のモデルを生成して利用データに適用し、停止蓋然性を各日において決定することができる。次に、14日間の期間における蓋然性を組み合わせることにより、停止の全体的蓋然性を、各患者1000について今後の2週間窓以内に決定することができる。
【0354】
以下に示すのは、生データの一部の例と、各患者1000(列毎に1人の匿名の患者)について示される蓋然性と、各患者1000が2週間以内に実際に停止したか(「真正ドロップ」)である:
【0355】
【0356】
この調査によれば、開示のプラットフォームを用いれば、患者1000の治療停止が2週間窓以内に発生することを88%~93%の精度で予測することができるというエビデンスが得られた。これらの驚くべき結果により、患者1000の治療中止前に介入することが可能になるため、ヘルスケアプロバイダにとって極めて有用である。例えば、患者が実際に治療停止の決心をした後は、介入を行うことがずっと困難になる。そのため、本技術の利点のいくつかは、停止の監視または検出を行う代わりに、停止の予測を行うということから得られる。すなわち、低利用アラートまたは順守アラートの代わりに、このプラットフォームは、今後の低順守および停止を予測する可能性を有する。その結果、順守および定着率の大幅上昇が見込め、睡眠障害の患者1000の結果の大幅向上も見込める。
【0357】
4.9.4 例2:治療順守の予測子
開示の技術は、特定の線形アルゴリズムおよびロジスティック回帰アルゴリズムにより患者が今後の時間窓内において順守を継続するかを予測することができるかを試験するためにも、ヘルスケアプロバイダからのデータセットに対して用いられる。このようにすると有利である理由として、国によっては、払い戻しを受けるには過去の順守が必要となる点がある。例えば、次のひと月の払い戻しを受けるためには、順守レベルが前月の閾値を満たしている必要があり得る(例えば、過去28日間の順守により、次の28日間の払い戻しが決定され得る)。国によっては、払い戻しは、初期ランピングアップ期間(例えば、10週間、13週間、14週間または15週間)後の順守のみに基づき得る。
【0358】
そのため、国によっては、患者1000が今後1週間、2週間、3週間、4週間、8週間または他の期間においてローカル規則に応じて順守的であるかを予測することは有利であり得る。本例において、開示の技術は、過去28日間の利用データに基づいて今後の28日間の期間における順守を予測することかできるかを判断するために用いられた。詳細には、開示の技術を用いて、今後28日間の期間における患者1000の利用平均が下記になるかを予測した。
・0~2時間/日「[0、2]」
・2~4時間/日「[0、4]」
・>4時間/日「[4、24]」
【0359】
連続4週の間隔の間の利用の相関が極めて高い(0.9)ことが、判明している。そのため、過去4週間の利用平均を用いれば、次の4週間隔の利用を推定することができ得る。例えば、以下の方程式は、これを決定するための方法の一例である:
利用(t+1)=a+b*利用(t)+誤差
【0360】
詳細には、本例において、以下のフィーチャをデータから処理して、28日間期間における順守を推定した。
(1)U1:前回の28日間隔のうち第1の3週間の利用平均
(2)U2:前回の28日間隔のうち最終週の利用平均
(3)NOZERO_DAYS:前回の28日間隔の非ゼロ利用の日数
(4)SD_NZ:前回の28日間隔の非ゼロ利用の標準偏差
(5)間隔:治療開始以降の28日間隔の数
(6)年齢
【0361】
これらのフィーチャを、本明細書中に開示のようなデータの多様なソースから特定した。次に、以下の複数の線形回帰モデルを用いて、これらのフィーチャを第1のモデルにおいて処理した。
U=a+b*U1+c*U2+d*NOZERO_DAYS+e*SD_NZ+F*年齢+g*間隔+誤差
【0362】
いくつかの例において、間隔フィーチャがドロップされ得、各間隔(開始後の各28日期間)についてモデルを訓練する必要がある。間隔データは、RTPデバイス4000からのセットアップデータ出力から得られ得る。
【0363】
上記モデル(またはさらなるモデル)の訓練は、RPTデバイス4000からの出力データ、プロファイルデータおよび他の患者1000データを用いて行われ得る。例を挙げると、(本例における)多様な28日間隔の真正利用データ履歴および他のデータがある。モデルの訓練は、例えば真正利用データ履歴からの2つの連続28日の間隔の訓練データの供給によって行われ得る。
【0364】
本例において、このモデルは良好に機能したが、28日間隔間のいくつかのクラスについては精度向上が可能であることが決定された:
【0365】
【0366】
よって、ロジスティック回帰アルゴリズムを訓練して、データを分割して[0.2]クラスおよび[2、24]クラスにするための第2のモデルを開発した。次に、このモデルを[0、2]および[2、4]に属すると予測される第1のモデルからの患者にフィットさせて、これらを第2のモデルを用いて再度分類することができる。第2のモデルは、上記と同じフィーチャを用いたロジスティック回帰方程式を用いた。このプロセスを用いた結果、予測精度が上昇し、第3週~第4週の28日間隔において、以下の結果がみられた。
【0367】
【0368】
結果的に、[0、2]クラスの予測精度が大幅に向上した。そのため、各クラスの精度向上のための継続的改善が可能になるため、開示の技術により、患者の利用予測子を90%に近い精度で信頼性高く分類することができる。
【0369】
順守予測において最重要のフィーチャを挙げると、U1、U2、NOZERO_DAYS、SD_NZ、年齢および間隔があった。(少なくとも本モデルにおいて)それほど重要ではなかったフィーチャを挙げると、AHI(無呼吸-低呼吸指数)、LEAK(漏洩流量)および患者アプリインジケータがある。
【0370】
例3:エクササイズ順守予測子
開示の技術は、エクササイズ機器、またはエクササイズ、動きを測定する他のウェアラブル機器、または患者の固守または関与を必要とする他のプログラムにおいても実行され得る。ハードウェアは、エクササイズ機器(例えば、トレッドミル、ステーショナリーバイクなど)と、または本明細書中に開示の制御システムおよびプロセッサと、を含み得る。
【0371】
システムは、本明細書中に開示のように、利用データを監視し、ユーザが機器またはデジタルサービスの利用を停止または低減する可能性の高い時期について通知を提供し得る。例えば、利用データの低減または特定の利用トレンドが特定されるため、ユーザがエクササイズあるいは肉体的プログラムまたは他の治療プログラムへの参加を停止する可能性が高いと決定することができ得る。いくつかの例において、データは、ユーザがウェアラブル機器の利用を低下させるつもりであることを示し得る。
【0372】
よって、適切な介入を開始することができ得る(例えば、エクササイズ機器を利用しているユーザに対する通知、または本明細書中に開示のような他のモチベーターを含む)。例えば、通知をユーザのモバイルデバイスへ送ってもよいし、あるいは他の介入を開始してもよい。多様な他の介入が用いられ得る(例えば、エクササイズ機器を含むデバイスと通信するソフトウェアプログラムと関連付けられたアプリ上の通知)。
【0373】
関与または順守を停止または低減する可能性が高いユーザを特定するために、多様な機械学習アルゴリズムが用いられ得る(例えば、[例追加アルゴリズム]ランダムフォレストアルゴリズムおよびロジスティック回帰アルゴリズム)。例を挙げると、エクササイズ頻度、継続期間、強度および他の適切な測定基準のトレンドがある。
【0374】
例4:ウェブサイト利用/関与の予測子
開示の技術は、ユーザとウェブサイトまたはソフトウェアプログラムとの対話を監視して、サービスまたはプログラムとの関与または順守を予測するためにも実行され得る。システムは、サーバと、制御システムと、本明細書中に開示のようなユーザデバイスとを含み得、ユーザインターフェース(例えば、タッチスクリーン、マウス、キーボードなど)をさらに含み得る。
【0375】
よって、システムは、特定のソフトウェアプログラム、ウェブサイトまたは他のアプリケーションにおけるユーザとユーザインターフェースとの対話からの多様な利用データ出力を監視し得る。例えば、監視可能な利用データを以下に挙げる。(1)特定のサイトの閲覧に費やされた時間の長さ、(2)特定のソフトウェアプログラム(例えば、オンラインCBTに基づいた治療コース)の利用、(3)ユーザインターフェースとの対話レベル(マウスのクリック、リンクのクリック、多様なフィーチャとの関与)、および(4)他の態様。
【0376】
関与または順守を停止または低減する可能性が高いユーザを特定するために、多様な機械学習アルゴリズムが用いられ得る(例えば、[例追加アルゴリズム]ランダムフォレストアルゴリズムおよびロジスティック回帰アルゴリズム)。例を挙げると、利用トレンドを分析し、ユーザがウェブサイトまたはソフトウェアプログラムへの関与を低減するかまたはその利用を停止する可能性が高いかを決定することがある。
【0377】
例5:オンデマンドサービス/運用予測
開示の技術は、ユーザとソフトウェアプログラム(例えば、モバイルデバイス上、コンピュータシステム上のもの)との対話を監視するために、または他の場合において、従業員または独立契約者が運用またはサービスを停止する可能性が高いかを、当該従業員または独立契約者の、多様なデバイスの1つ以上のユーザインターフェースとの対話および利用に基づいて決定するためにも、用いられ得る。
【0378】
例えば、多様なオンデマンドサービスにおいて、サービス調整のために、従業員または独立契約者の携帯電話が用いられている。例を挙げると、オンデマンドタクシーサービス、食品宅配などがある。従業員または独立契約者のうち多くは、サービスへどれくらいの頻度でログオンして乗車、宅配または他のサービスを利用するかについて、柔軟性を有する。そのため、ユーザの携帯電話および関連付けられたソフトウェアから出力され得る利用データには、ログオン/利用の頻度、セッション長さまたはサービス利用可能性、実現されたサービスリクエストの数、顧客評価、および他の利用データが含まれる。
【0379】
運用を停止または低減する可能性が高いユーザあるいはサービスの利用可能性を特定するために、多様な機械学習アルゴリズムが用いられ得る(例えば、[例示的なアルゴリズムを追加]ランダムフォレストおよびロジスティック回帰アルゴリズム)。これには、利用トレンドを分析し、ユーザが関与を低減するかまたはサービスと関連付けられたウェブサイトまたはソフトウェアプログラムの利用を停止する可能性が高いかを決定することが含まれる。
【0380】
4.10 用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0381】
4.10.1 一般
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
【0382】
雰囲気:本技術の特定の形態において、「雰囲気」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0383】
例えば、加湿器に対する雰囲気湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような雰囲気湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外部の湿度と異なる場合がある。
【0384】
別の実施例において、雰囲気圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
【0385】
特定の形態において、雰囲気(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居る部屋の中の背景ノイズレベルとみなすことができる。雰囲気ノイズは、部屋の外の発生源から発生し得る。
【0386】
自動的な気道陽圧(APAP)療法:SDB発症の兆候の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP療法。
【0387】
持続的気道陽圧(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の通知の不在時において低減される)。
【0388】
流量:単位時間あたりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量とは、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。流量には、符号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「流れ」もしくは「気流」と呼ぶ場合もある。
【0389】
患者の呼吸の実施例において、流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対してノミナルに正であり得るため、患者の呼吸サイクルの呼気部分に対して負であり得る。デバイス流量Qdは、RPTデバイスから退出する空気の流量である。総流量Qtは、空気回路を介して患者インターフェースへと到達する空気および任意の補充用ガスの流量である。通気流量Qvは、吐き出されたガスの流出を可能にするために通気部から退出する空気の流量である。漏洩流量Qlは、患者インターフェースシステムまたは他の場所からの漏洩の流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系中に受容される空気の流量である。
【0390】
加湿器:「加湿器」という単語は、患者の医療呼吸状態を改善するために治療上有益な量の水(H2O)蒸気を空気流れへ提供することが可能な物理的構造を備えて構築、配置または構成された加湿装置を意味するものとして解釈される。
【0391】
漏洩:「漏洩」という用語は、意図しない空気流れとしてとられる。一実施例において、漏洩は、マスクと患者の顔との間のシールが不完全であることに起因して発生し得る。別の実施例において、漏洩は、周囲に対する回りエルボーにおいて発生し得る。
【0392】
ノイズ伝導(音響):本文書において、伝導ノイズとは、空気圧式経路(例えば、空気回路および患者インターフェースおよびその内部の空気)によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することにより、定量化され得る。
【0393】
ノイズ放射(音響):本文書において、放射ノイズとは、周囲空気によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、当該対象の音響パワー/圧力レベルをISO3744に従って測定することにより、定量化され得る。
【0394】
ノイズ通気(音響):本文書において、通気ノイズとは、任意の通気(例えば、患者インターフェース中の通気穴)を通じた空気流れにより生成されるノイズを指す。
【0395】
患者:呼吸器疾患に罹患しているかまたはしていない人。
【0396】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現され得る(例えば、cmH2O、g-f/cm2、およびヘクトパスカル)。1cmH2Oは、1g-f/cm2に等しく、およそ0.98ヘクトパスカル(1ヘクトパスカル=100Pa=100N/m2=1millibar~0.001atm)である。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmH2Oの単位で付与される。
【0397】
患者インターフェース中の圧力には記号Pmが付与され、現時点においてインターフェース圧力Pmが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
【0398】
呼吸圧力治療(RPT):雰囲気に対して典型的には陽圧である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
【0399】
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行う際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
【0400】
4.10.1.1 材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この登録商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35~約45である。
【0401】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの熱可塑性ポリマーである。
【0402】
4.10.2 呼吸サイクル
無呼吸:いくつかの定義によれば、無呼吸とは、所定の閾値を下回った流れが例えば10秒間の継続期間にわたって継続した場合に発生したと言われる。閉塞性無呼吸とは、患者の労作にもかかわらず、何らかの気道閉塞により空気の流れが許されないときに発生すると言われる。中枢性無呼吸とは、気道が開通しているにも関わらず呼吸努力の低下または呼吸努力の不在に起因して無呼吸が検出された状態を指すと言われる。混合無呼吸とは、呼吸努力の低下または不在が気道閉塞と同時発生した状態を指すと言われる。
【0403】
呼吸速度:患者の自発呼吸速度であり、通常は毎分あたりの呼吸回数で測定される。
【0404】
負荷サイクル:吸息時間Tiの合計呼吸時間Ttotに対する比。
【0405】
労作(呼吸):呼吸努力は、呼吸しようとしている人の自発呼吸によって行われる動きを指すと言われる。
【0406】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流れの開始から吸気流れの開始までの期間。
【0407】
流量制限:流量制限は、患者による労作の増大が、流量の対応する増大を引き起こさない患者の呼吸における状況であると解釈される。呼吸サイクルの吸気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は吸気流量制限と称することができる。呼吸サイクルの呼気部分において流れ制限が発生した場合、当該流れ制限は呼気流れ制限と称することができる。
【0408】
流れ制限吸気の波形の種類:
(i)平坦化:上昇の後に比較的平坦な部位が続いた後、下降が発生すること。
(ii)M字型:立ち上がりにおいて1つおよび立ち下がりにおいて1つの2つの局所的ピークを持ち、これら2つのピークの間に比較的平坦な部位がある。
(iii)椅子状:単一の局所的ピークを持ち、このピークが立ち上がり部分に発生した後、比較的平坦な部位が続く。
(iv)逆椅子状:比較的平坦な部位の後に単一の局所的ピークが続き、このピークが立ち下がり部分に発生する。
【0409】
呼吸低下:一部の定義によれば、呼吸低下は、流れの中断ではなく、流れの低下を意味する。一形態において、閾値速度を下回った流れ低下が継続期間にわたって続いた場合、呼吸低下が発生したと言われる。呼吸努力の低下に起因して呼吸低下が検出された場合、中枢性呼吸低下が発生したと言われる。成人の一形態において以下のうちいずれかが発生した場合、呼吸低下と見なされ得る。
(i)患者呼吸の30%の低下が少なくとも10秒+関連する4%の脱飽和、または、
(ii)患者呼吸の(50%未満の)低下が少なくとも10秒間継続し、関連して脱飽和が少なくとも3%であるかまたは覚醒が発生する。
【0410】
過呼吸:流れが通常の流量よりも高いレベルまで増加すること。
【0411】
呼吸サイクルの吸気部分:吸気流れの開始から呼気流れの開始までの期間が、呼吸サイクルの吸気部分としてとられる。
【0412】
開通性(気道):気道が開いている度合いまたは気道が開いている範囲。気道開通性とは、開口である。気道開通性の定量化は、例えば、開通性を示す値(1)と、閉鎖(閉塞)を示す値(0)で行われ得る。
【0413】
呼気終末陽圧(PEEP):肺中の大気を越える圧力であり、呼気終了時に存在する。
【0414】
ピーク流量(Qpeak):呼吸流れ波形の吸気部分における流量最大値。
【0415】
呼吸気流量、空気流量、患者の空気流量、呼吸気空気流量(Qr):これらの用語は、RPTデバイスの呼吸空気流量の推定を指すものとして理解され得、通常リットル/分で表される患者の実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」または「真の呼吸気流量」と対照的に用いられる。
【0416】
1回換気量(Vt):余分な努力をせずに通常の呼吸時に吸い込まれたかまたは吐き出された空気の量である。原則的に、吸気量Vi(吸気された空気の量)は、呼気量Ve(呼気された空気の量)に等しいため、単一の一回換気量Vtは、いずれかの量に等しいものとして規定され得る。実際には、一回換気量Vtは、何らかの組み合わせ(例えば、吸気量Viと呼気量Veの平均)として推定される。
【0417】
(吸息)時間(Ti):呼吸流量波形の吸気部分の継続期間。
【0418】
(呼息)時間(Te):呼吸流量波形の呼気部分の継続期間。
【0419】
(合計)時間(Ttot):呼吸流量波形の一つの吸気部分の開始と呼吸流量波形の次の吸気部分の開始との間の合計継続期間。
【0420】
典型的な最近の換気:所定の時間スケールにわたる換気Ventの直近値が密集する傾向となる換気値(すなわち、換気の直近値の中心の傾向の度合い)。
【0421】
上気道閉塞(UAO):部分的な上気道閉塞および合計上気道閉塞両方を含む。上気道上の圧力差の増加(スターリングレジスタ挙動)と共に、流量がわずかに増加するかまたは低下し得る、流量制限の状態と関連し得る。
【0422】
換気(Vent):患者の呼吸器系によって行われるガス交換率の測定。換気の測定は、単位時間あたりの吸気流および呼気流のうち片方または双方を含み得る。1分あたりの体積として表される場合、この量は、「分換気」と呼ばれることが多い。分換気は、単に体積として付与されることもあり、1分あたりの体積として理解される。
【0423】
4.11 他の注意事項
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0424】
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0425】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0426】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的方法および材料が本明細書中に記載される。
【0427】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0428】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0429】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していない、認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0430】
「comprises」および「comprising」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0431】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0432】
本明細書中の技術について、特定の実施例を参照して述べてきたが、これらの実施例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「first(第1の)」および「second(第2の)」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその様態を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0433】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な実施例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。