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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】作物の日焼け防止剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 65/03 20090101AFI20250109BHJP
   A01P 21/00 20060101ALI20250109BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20250109BHJP
   A01N 25/12 20060101ALI20250109BHJP
   A01G 7/06 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A01N65/03
A01P21/00
A01N25/02
A01N25/12
A01G7/06 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021557753
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2020057521
(87)【国際公開番号】W WO2020200797
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】19020239.0
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518424626
【氏名又は名称】グローバケム エンフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】クラース,フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ダエレ,ギー
【審査官】三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/218896(WO,A1)
【文献】特開2005-192534(JP,A)
【文献】特表2018-532423(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0232181(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
A01G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物の日焼けに対する処理のための、藻類含む農業用組成物の使用であって、該藻類がスピルリナ・プラテンシスである、使用
【請求項2】
組成物が、浸透圧調節物質、エリシター、結合剤及び助剤、並びにそれらの混合物から選択される1つ以上の成分を更に含む、請求項に記載の使用
【請求項3】
浸透圧調節物質がベタイン、エクトイン、トレハロース、並びに以下のアミノ酸:プロリン、リジン、グルタミン酸、システイン及びグリシンから選択されるアミノ酸から選択され、
エリシターがオーキシン、ジベレリン、サリチル酸、サリチル酸メチル、ジャスモン酸、安息香酸、キトサン、β-グルカン及びカラギーナンから選択され、
結合剤がアラビアガム、キサンタンガム、ジウタンガム、セルロース及びアルギン酸塩、カルナウバロウ及びカンデリラロウから選択されるロウ、並びにそれらの任意の混合物から選択される、
請求項に記載の使用
【請求項4】
組成物が液体である、請求項1~のいずれか一項に記載の使用
【請求項5】
藻類が1 g/L~500 g/Lの濃度で存在する、請求項1~のいずれか一項に記載の使用
【請求項6】
1つ以上の浸透圧調節物質が0.0001g/L~500 g/Lの濃度で存在する、請求項のいずれか一項に記載の使用
【請求項7】
1つ以上のエリシターが0.0001 g/L~500 g/Lの濃度で存在する、請求項のいずれか一項に記載の使用
【請求項8】
組成物が粉末又は顆粒の形態である、請求項1~のいずれか一項に記載の使用
【請求項9】
作物が果物、野菜及び耕地作物から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の使用
【請求項10】
果物がメロン、リンゴ、セイヨウナシ、マンゴー、柑橘類、ブドウ、モモ、ラズベリー、グズベリー、サクランボ、キウイから選択され、野菜がキュウリ、トマト及びカボチャから選択され、耕地作物がジャガイモ、サトウダイコン、トウモロコシ、アブラナ、穀類及びダイズから選択される、請求項に記載の使用
【請求項11】
作物を日焼けから保護する方法であって、請求項1~10のいずれか一項で定義される組成物を該作物に適用する工程を含む、方法。
【請求項12】
作物が果物、野菜及び耕地作物から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
果物がメロン、リンゴ、セイヨウナシ、マンゴー、柑橘類、ブドウ、モモ、ラズベリー、グズベリー、サクランボ、キウイから選択され、野菜がキュウリ、トマト及びカボチャから選択され、耕地作物がジャガイモ、サトウダイコン、トウモロコシ、アブラナ、穀類及びダイズから選択される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱ストレス、特に日焼けに対する果物、野菜及び耕地作物等の作物の処理のための藻類を含む組成物及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
熱ストレス、特に日焼けは、高温及び日射が複合した地域において最も顕著に見られる深刻な問題であり、果物、野菜及び耕地作物の品質に影響を及ぼし、メロン、カボチャ、トマト、トウガラシ、ナス、キュウリ、リンゴ、イチゴ及びキイチゴ等の作物の最大40%の損失の原因となる場合がある。
【0003】
果物又は野菜は、過度の熱及び日光に曝されると、皮が褐色又は黒色に変化する場合がある。重度の熱損傷は、しばしば表面の亀裂及び完全な組織の腐敗を引き起こすことがある。
【0004】
さらに、干ばつストレスが葉の遮蔽及び果実サイズを減少させることによって日焼けの一因となる可能性がある。
【0005】
作物に影響を及ぼす3つのタイプ又は段階の日焼けがある。
【0006】
第一に、日焼け壊死が作物の日光に曝された側で生じ、皮、果皮及び作物の組織が死に始める。細胞膜の完全性が失われ、細胞の含有物(電解質)が漏出し始める。損傷は白色から褐色の場合があり、かかる作物は売り物にならない。
【0007】
日焼け壊死に対する作物の組織の臨界温度は、作物の種類によって異なる。幾つかの研究論文から、日焼け壊死に対する作物の皮の温度閾値がキュウリについては約38℃~約40℃、トウガラシについては約40℃~約43℃、リンゴについては約50℃~約53℃であることが示されている。
【0008】
第2のタイプは、日焼け褐変であり、これも同様に最も一般的なものである。日焼け褐変をきたした作物は、売り物になる可能性があるが、より低級である。
【0009】
この日焼けは、色素の消失を引き起こし、色素の破壊又は変性のために作物の日光に曝された側で黄色、青銅色又は褐色の斑点を生じる。
【0010】
このタイプの日焼け褐変は、日焼け壊死に要する温度よりも約5℃低い温度で生じる。
【0011】
第3のタイプの日焼けは、光酸化日焼けである。このタイプの日焼けは、日陰にあった作物が突然日光に曝される場合、例えば遅い剪定又は悪天候により葉の被覆が突然失われることで起こる。
【0012】
作物は、高い光レベルに順応していないことから、突然の過度の光によって光退色を起こし、作物の組織が死に始める。損傷組織は白色であることが多い。
【0013】
このタイプの日焼けは、他のタイプの日焼けより低温であっても生じる。
【0014】
日焼け作物の管理は幾つかの選択肢からなるが、いずれも幾つかの不利点がある。
【0015】
第1の選択肢は、冷水を直接適用することによって作物の表面を冷却する樹上又は蒸発冷却(EC)である。これは信頼性の高い手法であるが、冷却システムを設置、稼働及び維持するために多額の投資が必要とされる。
【0016】
曝される作物の大半に日焼けのリスクがある作物においては、保護ネットが選択肢である。しかしながら、インフラのコストが高いことから広い作付面積には実用的でない。
【0017】
圃場規模で作物の日焼け防止に使用される幾つかの製品が現在市販されている。
【0018】
Surround(商標)は、適用することで作物上に白色の遮蔽コーティングを形成し、作物を日焼け及び熱ストレスから保護するカオリンを含有する。
【0019】
Screen Duo(商標)は、含水カオリン(ケイ酸アルミニウム)からなり、作物に適用することで、有害なUV光及びIR光を反射し、作物の温度を下げる可視粒子膜を形成する。
【0020】
Purshade(商標)は、炭酸カルシウムを含有し、有害な日射に対する保護膜として作用する。
【0021】
Parka(商標)は、成長中の果実及び葉のクチクラを補うように設計された、セルロースマトリックス中のリン脂質のブレンドである。これは微小破壊を低減し、裂果を最小限に抑えるとともに、日焼けからの保護を与えるために使用される。
【0022】
Raynox(商標)は水、カルナウバロウ、有機改質粘土及び乳化剤を含み、リンゴを日焼け褐変から保護するために使用される。
【0023】
Surround、Screen Duo及びPurshade等のカオリン粘土、炭酸カルシウム又はタルクをベースとする製品は、適用することで作物上に白色の粒子膜を残すが、これは幾つかの欠点、すなわち、収穫時又は収穫後の作物の洗浄及びクリーニング(すなわちブラッシング)の付加コストを伴う。さらに、洗浄後であっても萼、ヘタ及びヒダ等の作物の手の届きにくい部分に依然として微量の製品が含まれている可能性がある。
【0024】
さらに、樹上灌水を用いる場合又は雨天時に、物質が部分的に洗い落とされることで有効性が低下し、追加の適用が必要とされる場合がある。
【0025】
農産物の買い手が粒子膜の使用に関して基準を有する場合もあり、目に見える残留物を有する製品を許容しない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
したがって、本発明の目的は、従来技術の不利点を軽減し、熱ストレス、特に日焼けからの作物の保護に対して効率的な解決策を与え得る製品を提供することである。
【0027】
本発明は、熱ストレス、特に日焼けに対する果物、野菜及び耕地作物等の作物の処理のための組成物及びその使用を提供し、藻類がかかる組成物の主成分である。
【0028】
現在のところ、藻類、又は藻類の代表として特にスピルリナ・プラテンシス(Spirulina platensis)のみが農業において肥料として知られている。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明によると、熱ストレス、特に日焼け熱ストレスに対する作物の処理として使用される藻類又はその混合物を含む組成物が提供される。
【0030】
本発明によると、藻類はスピルリナ及びクロレラ、並びにそれらの混合物から選択される。
【0031】
かかる組成物は、残留物の問題及び収穫前又は収穫後の作物のクリーニングの必要性が全くない、作物の効果的な熱ストレス保護という利点をもたらす。
【0032】
本発明による組成物は、浸透圧調節物質(osmoprotectants)、エリシター、結合剤及び助剤、並びにそれらの任意の混合物から選択される1つ以上の成分を更に含み得る。
【0033】
さらに、本発明による組成物は、希釈工程のみを必要とする液体組成物として供給するか、又は粉末若しくは顆粒を水等の好適な溶媒に溶解する工程と、任意に希釈工程とを必要とする粉末形態で若しくは顆粒状の製品として提供することができる。
【0034】
本発明による組成物を含むキットが本明細書に開示される。キットはまた、好適な溶媒及びその混合物を更に含み得る。
【0035】
さらに、熱ストレスから作物を保護する方法及び熱ストレス保護のための藻類の使用が本明細書に提供される。
【0036】
本発明の他の態様を以下の節で更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】日焼け発生率
図2】全日焼け発生率-最初の適用の30日後
図3】表面損傷の強さ-最初の処理の30日後
図4】日焼け発生率
図5】全日焼け発生率-最初の適用の30日後
図6】表面損傷の強さ-最初の処理の30日後
図7】日焼け発生率
図8】全日焼け発生率-最初の適用の43日後
図9】日焼け発生率
図10】全日焼け発生率-最初の適用の43日後
図11】全日焼け発生率-最初の適用の55日後
図12】日焼け発生率
図13】全日焼け発生率-最初の適用の157日後
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下の意味を有する以下の略称を用いる:
DAA=最初の処理の適用後の日数
SP=スピルリナ・プラテンシス
EC=エクトイン
AC=λ-カラギーナン
BE=ベタイン
LYS=L-リジン
組成物及び配合物は、本明細書において同じ意味を有するとして区別なく使用される用語である。
【0039】
材料及び方法
藻類の代表としてスピルリナを単独で又は他の成分と混合して含む組成物を、市販の凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを所定量の水に溶解し、所定濃度のスピルリナを含む溶液を得ることによって調製した。
【0040】
他の全ての成分を、対象の組成に応じて、実施例に示される所定濃度で存在するように溶液に順次添加した。
【0041】
有効性の比較を目的とする2つの対照群を用いた。
【0042】
対照は、保護されていない作物に対する日焼けの影響及び程度を観察するために処理を適用しない群とした。
【0043】
第2の対照であるSurround又はParkaは、現在市販されている組成物、すなわちSurround(焼成カオリン粒子膜)又はParka(セルロースマトリックス中のリン脂質のブレンド)を適用した群とした。
【実施例
【0044】
以下の実施例においては、作物の熱ストレス保護における本発明による組成物及びその有効性を説明する。
【0045】
実施例1. マンゴー果実、試験1
試験場所:タイ
栽培品種:ナムドクマイ(Nam Dok Mai)
マンゴー試験区4 m×12 m=48 m2、4つの反復試験区
【0046】
散布液は以下のように調製した:
Surround:10000 gの市販製品Surroundを1200 Lの水に分散させた
SP:1500 gの凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを1200 Lの水に分散させた
SP+EC:1500 gの凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを1200 Lの水に分散させ、2 g/L濃度のエクトイン溶液400 mlを添加した
SP+BE:1500 gの凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを1200 Lの水に分散させ、360 g/L濃度のベタイン分散液700 mlを添加した
【0047】
適用日及び天候:
【0048】
【表1】
【0049】
適用装置:
電動噴霧器-中空円錐型
【0050】
評価プロトコル:
最初の処理の適用前に、罹患果実の重症度データを昆虫及び疾患による影響を受けた指定のマンゴー果実のパーセンテージとして視覚的に推定した。罹患果実の数を1試験区当たり20株の植物について計数した。
【0051】
【表2】
【0052】
結果:
図1. 日焼け発生率
図2. 全日焼け発生率-最初の適用の30日後
図3. 表面損傷の強さ-最初の処理の30日後
【0053】
実施例2. マンゴー果実、試験2
試験場所:タイ
栽培品種:ナムドクマイ
マンゴー試験区4 m×12 m=48 m2、4つの反復試験区
【0054】
1 ha当たりの散布液:
Surround:10000 gの市販製品Surroundを1200 Lの水に分散させた
SP+AC:1500 gの凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを1200 Lの水に分散させ、2 g/L濃度のλ-カラギーナン溶液500 mlを添加した
SP+LYS:1500 gの凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを1200 Lの水に分散させ、50 g/L濃度のL-リジン溶液2000 mlを添加した
SP+BE+AC+EC:1500 gの凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを1200 Lの水に分散させ、360 g/L濃度のベタイン分散液700 ml、2 g/L濃度のλ-カラギーナン溶液500 ml、及び50 g/L濃度のL-リジン溶液2000 mlを添加した
【0055】
適用日及び天候:
【0056】
【表3】
【0057】
適用装置:
電動噴霧器-中空円錐型
【0058】
評価プロトコル:
最初の処理の適用前に、罹患果実の重症度データを昆虫及び疾患による影響を受けた指定のマンゴー果実のパーセンテージとして視覚的に推定した。罹患果実の数を1試験区当たり20株の植物について計数した。
【0059】
【表4】
【0060】
結果:
図4. 日焼け発生率
図5. 全日焼け発生率-最初の適用の30日後
図6. 表面損傷の強さ-最初の処理の30日後
【0061】
実施例3. リンゴ果実、試験1
試験場所:欧州
栽培品種:アパッチ(Apache)
試験区7.25 m×3.5 m=21.8 m2、4つの反復試験区
【0062】
1 ha当たりの散布液:
Surround:10000 gの市販製品Surroundを500 Lの水に分散させた
SP:1500 gの凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを500 Lの水に分散させた
SP+BE:1500 gの凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを500 Lの水に分散させ、濃度360 g/Lのベタイン分散液700 mlを添加した
SP+EC:1500 gの凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを500 Lの水に分散させ、濃度2 g/Lのエクトイン溶液400 mlを添加した
SP+AC:1500 gの凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを500 Lの水に分散させ、2 g/L濃度のλ-カラギーナン溶液500 mlを添加した
【0063】
適用日及び天候:
【0064】
【表5】
【0065】
適用装置:
電動噴霧器-中空円錐型
【0066】
評価プロトコル:
罹患果実の数を各試験区の両側の3本の中程度の樹木について計数した。罹患果実は評価の間取り除かなかった。最初の適用の前に、日焼け損傷は観察されなかった。
【0067】
【表6】
【0068】
結果:
図7. 日焼け発生率
図8. 全日焼け発生率-最初の適用の43日後
【0069】
実施例4. リンゴ果実、試験2
試験場所:欧州
栽培品種:ゴールデンデリシャス
試験区7.25 m×3.5 m=21.8 m2、4つの反復試験区
【0070】
1 ha当たりの散布液:
Surround:10000 gの市販製品Surroundを500 Lの水に分散させた
SP+BE+AC:1500 gの凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを500 Lの水に分散させ、360 g/L濃度のベタイン分散液700 ml及び2 g/L濃度のλ-カラギーナン溶液500 mlを添加した
SP+BE+EC:1500 gの凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを500 Lの水に分散させ、360 g/L濃度のベタイン分散液700 ml及び2 g/L濃度のエクトイン溶液400 mlを添加した
SP+AC+EC:1500 gの凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを500 Lの水に分散させ、2 g/L濃度のλ-カラギーナン溶液500 ml及び2g/L濃度のエクトイン溶液400 mlを添加した
【0071】
適用日及び天候:
【0072】
【表7】
【0073】
適用装置:
電動噴霧器-中空円錐型
【0074】
評価プロトコル:
罹患果実の数を各試験区の両側の3本の樹木について計数した。罹患果実は評価の間取り除かなかった。最初の適用の前に、日焼け損傷は観察されなかった。
【0075】
【表8】
【0076】
結果:
図9. 日焼け発生率
図10. 全日焼け発生率-最初の適用の43日後
【0077】
実施例5. リンゴ果実、試験3
試験場所:米国
栽培品種:ガラ
試験区5 m×7 m=35 m2、4つの反復試験区
【0078】
1 ha当たりの散布液:
Parka:10 Lの市販製品を400Lの水に乳化させた
SP:1500 gの凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを400 Lの水に分散させた
SP+BE:1500 gの凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを400 Lの水に分散させ、360 g/L濃度のベタイン分散液700 mlを添加した
SP+AC:1500 gの凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを400 Lの水に分散させ、続いて2 g/L濃度のλ-カラギーナン溶液500 mlを添加した
【0079】
適用日:
【0080】
【表9】
【0081】
適用装置:
電動噴霧器-中空円錐型
【0082】
評価プロトコル:
1本の樹木当たり100個の果実を検査し、罹患果実を計数した。
【0083】
【表10】
【0084】
結果:
図11. 全日焼け発生率-最初の適用の55日後
【0085】
実施例6. 柑橘類
試験場所:米国
栽培品種:種なしフェアチャイルドタンジェリン(Citrus tangerine/Fairchild)
試験区:7 m×7 m=49 m2、4つの反復試験区
【0086】
1 ha当たりの散布液:
Surround:10 kgを1000Lの水に分散させた
SP:1500 gの凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを1000 Lの水に分散させた
SP+BE:1500 gの凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを1000 Lの水に分散させ、濃度360 g/Lのベタイン分散液700 mlを添加した
SP+AC:1500 gの凍結乾燥スピルリナ・プラテンシスを1000 Lの水に分散させ、濃度2 g/Lのλ-カラギーナン溶液500 mlを添加した
【0087】
適用日:
【0088】
【表11】
【0089】
適用装置:
Bacmanフラットファン噴霧器-ノズルサイズ8002-高圧ガスとして圧縮CO2
【0090】
評価プロトコル:
樹上の全ての果実を計数し、罹患果実のパーセンテージを算出した。
【0091】
【表12】
【0092】
結果:
図12. 日焼け発生率
図13. 全日焼け発生率-最初の適用の157日後
【0093】
得られた結果から明らかなように、単独での又は他の成分と組み合わせたスピルリナは、熱ストレスからの様々な作物の保護において良好な結果をもたらす。
【0094】
組成物
本明細書に提示される様々な実施例及び/又は組成物に関連して本明細書に説明及び/又は記載される特徴及び特性は、それぞれ同様に本明細書において提供される他の実施例及び/又は組成物の特徴及び特性と組み合わせることができ、かかる変更形態及び変形形態は、本発明の範囲に含まれることが意図される。
【0095】
本発明による組成物はスピルリナ及びクロレラ、並びにそれらの混合物から選択される藻類を含む。
【0096】
本発明による組成物は、浸透圧調節物質及び/又はエリシター及び/又は結合剤から選択される1つ以上の成分を更に含み得る。
【0097】
本発明によると、浸透圧調節物質は、ベタイン、エクトイン、トレハロース、プロリン、リジン、グルタミン酸、システイン及びグリシンから選択されるアミノ酸から選択され、エリシターは、オーキシン、ジベレリン、サリチル酸、サリチル酸メチル、ジャスモン酸、安息香酸、キトサン、β-グルカン及びカラギーナン(例えば、λ-カラギーナン)から選択され、結合剤は、アラビアガム、キサンタンガム、ジウタンガム、セルロース及びアルギン酸塩、カルナウバロウ又はカンデリラロウ等のロウから選択され、それらの任意の混合物が本明細書において企図される。
【0098】
本明細書に開示される組成物は、1つ以上の農学的に許容可能なアジュバント又は助剤を更に含み得る。
【0099】
本発明の文脈におけるアジュバント又は助剤は、配合物の性能効果を高める構成成分である。
【0100】
アジュバント及び助剤の例は、以下の効果:保持、拡散、葉/作物表面への付着、浸透、物理的、化学的、技術的及び/又は生物学的効果等の1つ以上を促進する作用物質である。
【0101】
本発明の一態様は乳化剤、溶媒、界面活性剤、担体、分散剤、増粘剤、疎水化剤、水分保持剤、増量剤、固体担体、消泡剤及び/又は他の助剤を含む群から選択される少なくとも1つの助剤構成成分を付加的に含む上記の組成物を提供することである。
【0102】
本発明の組成物は、任意の通常のタイプの農薬組成物、例えば溶液、エマルション、懸濁液、細粉、粉末、ペースト、顆粒、圧縮物、カプセル及びそれらの混合物に配合することができる。
【0103】
組成物のタイプの例は、懸濁液(例えばSC、OD、FS)、乳剤(例えばEC)、エマルション(例えばEW、EO、ES、ME)、カプセル(例えばCS、ZC)、ペースト、トローチ、水和剤(wettable powders or dusts)(例えばWP、SP、WS、DP)、圧縮物(例えばBR、TB)、顆粒(例えばWG、SG、GR)等である。
【0104】
本発明によると、本明細書に開示される組成物は、液体組成物及び/又は粉末及び/又は顆粒として提供することができる。
【0105】
例えば、本明細書において企図されるが、本明細書において提供される例に限定されない液体組成物は、以下のものである:
1つ以上の藻類の液体組成物、
1つ以上の藻類とエリシター、浸透圧調節物質、助剤及びそれらの任意の混合物から選択される1つ以上の成分とを含む液体組成物、
エリシター、浸透圧調節物質及び助剤、並びにそれらの混合物から選択される1つ以上の成分の液体組成物の入った第2の容器とともに供給される1つの容器内の1つ以上の藻類の液体組成物。
【0106】
さらに、粉末及び/又は顆粒形態は、
1つ以上の藻類の粉末及び/又は顆粒組成物、
1つ以上の藻類と、エリシター、浸透圧調節物質、結合剤及び助剤、並びにそれらの混合物から選択される1つ以上の成分とを含む粉末及び/又は顆粒組成物、
エリシター、浸透圧調節物質、結合剤及び助剤、並びにそれらの混合物から選択される1つ以上の成分の粉末及び/又は顆粒組成物の入った第2の容器とともに供給される1つの容器内の1つ以上の藻類の粉末及び/又は顆粒組成物、
として提供することができる。
【0107】
上記の液体組成物は、例えば選択された藻類及び/又は本明細書に記載される他の成分を好適な溶媒及び/又は希釈剤中で混合することによって調製することができる。
【0108】
本発明による好適な溶媒及び/又は希釈剤の一例は水である。
【0109】
さらに、上記のような任意の液体組成物は、上に開示される任意の粉末及び/又は顆粒組成物とともに供給することができ、逆もまた同様である。
【0110】
上述の組成物はいずれもキット、例えば限定を意図するものではないが、エリシター、浸透圧調節物質、結合剤及び助剤、並びにそれらの混合物から選択される1つ以上の成分の粉末及び/又は顆粒組成物の入った第2の容器とともに供給される1つの容器内に準備された1つ以上の藻類の液体組成物として供給することができる。
【0111】
上述の組成物及び/又はキットはいずれも、任意の更なる農学的に許容可能な溶媒及び/又は希釈剤とともに更に供給することができる。
【0112】
本明細書に記載される全ての配合物は、既知の方法で、例えば活性化合物を他の成分及び/又は助剤と混合することによって作製することができる。
【0113】
粉末及び/又は顆粒の調製方法は、例えばS. Shanmugam Granulation techniques and technologies: recentprogresses, Bioimpacts, 2015, 5(1), 55-63による論文に開示されているように従来技術において既知である。
【0114】
市販の製品を濃縮物として配合することが好ましいが、最終使用者は、通常は希釈配合物を使用し、本明細書においては濃縮組成物及び希釈組成物の両方が企図及び開示される。したがって、濃縮配合物から調製される藻類及び/又は浸透圧調節物質及び/又はエリシター及び/又は他の助剤の含有量は、広い範囲内で変化し得る。
【0115】
本発明による組成物は、1 g/L~500 g/Lの濃度の藻類を含む。
【0116】
さらに、浸透圧調節物質及び/又はエリシターが本発明による組成物中に存在する場合、それらの濃度は、0.0001 g/L~500 g/Lで変化し得る。
【0117】
本明細書に開示される組成物のいずれかを作物に適用する工程を含む、作物を熱ストレスから保護する方法が本明細書に提供される。
【0118】
作物への適用は、適用形態に適した通常の方法で行われ、例えば濃縮液又は顆粒をそれぞれ好適な溶媒中で混合又は溶解した後、好適な希釈剤で所望の濃度まで更に希釈し、多様な機械式又は人力噴霧器によって作物に噴霧することができる。
【0119】
本発明による組成物は、日焼けからの、果物、野菜及び耕地作物から選択される作物の保護における用途が見出される。
【0120】
さらに、果物はメロン、リンゴ、セイヨウナシ、マンゴー、柑橘類、ブドウ、モモ、ラズベリー、グズベリー、サクランボ、キウイから選択され、野菜はキュウリ、トマト及びカボチャから選択され、耕地作物はジャガイモ、サトウダイコン、トウモロコシ、アブラナ、穀類及びダイズから選択される。
【0121】
本発明によると、藻類を水と混合する工程を含む、本明細書に開示される熱ストレス保護剤組成物を作製する方法が本明細書に提供される。
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