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特許7617025不整脈検出用の電力削減された機械学習システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】不整脈検出用の電力削減された機械学習システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/363 20210101AFI20250109BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20250109BHJP
   A61B 5/361 20210101ALI20250109BHJP
   G06N 3/02 20060101ALI20250109BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20250109BHJP
【FI】
A61B5/363
A61B5/33 120
A61B5/361
A61B5/33 300
G06N3/02
G06N20/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021564724
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 US2020028978
(87)【国際公開番号】W WO2020226887
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】62/843,717
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/851,603
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】チャクラバーシー,ニランジャン
(72)【発明者】
【氏名】ダニ,シッダルト
(72)【発明者】
【氏名】ハダド,タレク・ディー
(72)【発明者】
【氏名】マスグローブ,ドナルド・アール
(72)【発明者】
【氏名】ラトケ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】カトラ,ロドルフェ
(72)【発明者】
【氏名】ペダルティ,リンゼイ・エイ
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-100473(JP,A)
【文献】特開2010-029683(JP,A)
【文献】特表2012-532633(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0220137(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0038149(US,A1)
【文献】特表2013-524865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05-5/0538
A61B 5/24-5/398
G06N 3/02
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスであって、
記憶媒体と、
処理回路であって、前記記憶媒体に動作可能に結合されており、かつ
患者の心臓電位図データを感知することと、
前記感知された心臓電位図データの特徴ベースの描写を実行して、前記心臓電位図データに存在し、かつ前記患者の不整脈のエピソードを示す心臓特徴を取得することと、
前記特徴ベースの描写に基づいて、前記不整脈のエピソードが前記患者において発生したことを検証するための機械学習モデルの適用のための閾値基準を前記心臓特徴が満たしていることを判定することと、
前記機械学習モデルの適用のための前記閾値基準を前記心臓特徴が満たしていることを判定することに応じて、複数の患者の心臓電位図データを使用してトレーニングされた前記機械学習モデルを、前記感知された心臓電位図データに適用して、前記機械学習モデルに基づいて、前記不整脈のエピソードが前記患者において発生したことを検証することと、
前記機械学習モデルによって、前記不整脈のエピソードが前記患者において発生したことを検証することに応じて、前記不整脈のエピソードが前記患者において発生したという指標と、前記不整脈のエピソードと一致する前記心臓特徴のうちの1つ以上と、を含む、レポートを生成することと、
前記機械学習モデルの適用のための前記閾値基準を前記心臓特徴が満たしていないと判定することに応じて、前記機械学習モデルを用いることなく、前記患者における前記不整脈のエピソードに関するレポートを生成することと、
前記レポートを表示のために出力することと、
を行うように構成されている、処理回路と、を備え
前記機械学習モデルを前記感知された心臓電位図データに適用して、前記不整脈のエピソードが前記患者において発生したことを検証することが、前記機械学習モデルに基づいて、前記不整脈のエピソードが前記患者に発生していないことの第1の判定、または前記機械学習モデルに基づいて、異なるタイプの不整脈のエピソードが前記患者において発生したことの第2の判定のうちの少なくとも1つを含み、前記処理回路が、さらに、
前記第1の判定および第2の判定のうちの前記少なくとも1つに応じて、前記医療デバイスによって、前記患者における不整脈のエピソードの誤った検出のカウンタを更新し、
前記カウンタの値が所定の閾値より大きいと判定したことに応じて、前記感知された心臓電位図データの前記特徴ベースの描写の実行から、前記心臓電位図データに存在し、前記患者の不整脈のエピソードを示す心臓特徴を取得するように切り替えて、複数の患者の心臓電位図データを使用してトレーニングされた第2の機械学習モデルを、前記感知された心臓電位図データに適用して、前記機械学習モデルに基づいて、前記心臓電位図データに存在し、かつ前記患者における不整脈のエピソードを示す心臓特徴を取得する、
ように構成される、医療デバイス。
【請求項2】
医療デバイスであって、
記憶媒体と、
処理回路であって、前記記憶媒体に動作可能に結合されており、かつ
患者の心臓電位図データを感知することと、
前記感知された心臓電位図データの特徴ベースの描写を実行して、前記心臓電位図データに存在し、かつ前記患者の不整脈のエピソードを示す心臓特徴を取得することと、
前記特徴ベースの描写に基づいて、前記不整脈のエピソードが前記患者において発生したことを検証するための機械学習モデルの適用のための閾値基準を前記心臓特徴が満たしていることを判定することと、
前記機械学習モデルの適用のための前記閾値基準を前記心臓特徴が満たしていることを判定することに応じて、複数の患者の心臓電位図データを使用してトレーニングされた前記機械学習モデルを、前記感知された心臓電位図データに適用して、前記機械学習モデルに基づいて、前記不整脈のエピソードが前記患者において発生したことを検証することと、
前記機械学習モデルによって、前記不整脈のエピソードが前記患者において発生したことを検証することに応じて、
前記不整脈のエピソードが前記患者において発生したという指標と、前記不整脈のエピソードと一致する前記心臓特徴のうちの1つ以上と、を含む、レポートを生成することと、
前記不整脈のエピソードが患者において発生したという指標と、前記不整脈のエピソードと一致する前記心臓特徴のうちの1つ以上と、を含む、前記レポートを、表示のために、出力することと、を行うように構成されている、処理回路と、を備え、
前記患者における前記不整脈のエピソードが、前記患者における第1の分類の不整脈のエピソードであり、
前記機械学習モデルを前記感知された心臓電位図データに適用して、前記不整脈のエピソードが前記患者に発生したことを検証するために、前記処理回路が、前記機械学習モデルを前記感知された心臓電位図データに適用して、前記第1の分類の前記不整脈のエピソードが前記患者において発生したことを検証するように構成されており、
前記処理回路が、前記特徴ベースの描写に基づいて、前記第1の分類の前記不整脈のエピソードが前記患者に発生したことを判定することに応じて、前記機械学習モデルを前記感知された心臓電位図データに適用して、第2の分類の不整脈のエピソードが前記患者において発生したことを判定するようにさらに構成されており、
前記不整脈のエピソードが前記患者に発生したという指標と、前記不整脈のエピソードと一致する前記心臓特徴のうちの1つ以上と、を含む、前記レポートを生成するために、前記処理回路が、前記第1の分類の前記不整脈のエピソードが前記患者に発生しという指標と、前記第2の分類の前記不整脈のエピソードが前記患者に発生したという指標と、前記第1の分類の前記不整脈のエピソードと一致する前記心臓特徴のうちの前記1つ以上と、を含む、レポートを生成するように構成されている、医療デバイス。
【請求項3】
前記心臓電位図データの特徴ベースの描写を実行して、前記心臓電位図データに存在する前記心臓特徴を取得するために、前記処理回路が、QRS検出、難治性処理、ノイズ処理、または前記心臓電位図データの描写のうちの少なくとも1つを実行して、前記心臓電位図データに存在する心臓特徴を取得するように構成されている、請求項1または2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記機械学習モデルを適用して、前記患者において前記不整脈のエピソードが発生した
ことを検証するために、前記処理回路が、前記機械学習モデルを適用して、徐脈、頻脈、心房細動、心室細動、または房室ブロックのうちの少なくとも1つのエピソードが前記患者において発生したことを検証するように構成されている、請求項1~3のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記複数の患者の心臓電位図データを使用してトレーニングされた前記機械学習モデルが、複数の心電図(ECG)波形を使用してトレーニングされた機械学習モデルを含み、各ECG波形が、前記複数の患者のうちのある患者における1つ以上の分類の1つ以上の不整脈のエピソードでラベル付けされている、請求項1~4のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記心臓特徴が前記閾値基準を満たすことを判定するために、前記処理回路が、前記患者の生理学的パラメータまたは前記医療デバイスのパラメータのうちの少なくとも1つが前記閾値基準を満たすことを判定するように構成されている、請求項1~5のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記機械学習モデルを前記感知された心臓電位図データに適用するために、前記処理回路が、前記心臓特徴が前記閾値基準を満たすことを判定すること、および前記心臓特徴の少なくとも1つの特徴のノイズが所定の閾値未満であることを判定することに応じて、前記機械学習モデルを前記感知された心臓電位図データに適用するように構成されている、請求項1~6のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記機械学習モデルを前記感知された心臓電位図データに適用するために、前記処理回路が、前記心臓特徴が前記閾値基準を満たすことを判定すること、および前記患者が複数の姿勢状態のうちの第1の姿勢状態にあることを判定することに応じて、前記機械学習モデルを前記感知された心臓電位図データに適用するように構成されている、請求項1~7のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記患者の前記心臓電位図データが、前記患者の心電図(ECG)を含み、
前記不整脈のエピソードが前記患者において発生したという前記指標と、前記不整脈のエピソードと一致する前記心臓特徴のうちの前記1つ以上と、を含む、レポートを生成するために、前記処理回路が、
前記患者の前記ECGのサブセクションを識別することであって、前記サブセクションが、前記不整脈のエピソード前の第1の期間、前記不整脈のエピソード中の第2の期間、および前記不整脈のエピソード後の第3の期間についてのECGデータを含み、前記患者の前記ECGの時間の長さが、前記第1、第2、および第3の期間よりも長い、識別することと、
前記第1、第2、および第3の期間と一致する前記心臓特徴のうちの1つ以上を識別することと、
前記レポートにおいて、前記ECGの前記サブセクションと、前記第1、第2、および第3の期間と一致する前記心臓特徴のうちの前記1つ以上と、を含むことと、を実行するように構成されている、請求項1~8のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記特徴ベースの描写に基づいて、前記不整脈のエピソードが前記患者に発生したことを検証するための前記機械学習モデルの適用のため前記心臓特徴が閾値基準を満たすことを判定するために、前記処理回路が、前記特徴ベースの描写に基づいて、第1の分類の不整脈のエピソードが前記患者に発生したことを前記心臓特徴が示していることを判定するように構成されており、
前記機械学習モデルを前記感知された心臓電位図データに適用して、前記不整脈のエピソードが前記患者に発生したことを検証するために、前記処理回路が、前記機械学習モデルを前記感知された心臓電位図データに適用して、前記特徴ベースの描写に基づいて、前記心臓特徴が前記第1の分類の前記不整脈のエピソードを示すという前記判定を検証するように構成されている、請求項1~9のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記処理回路が、前記感知された心臓電位図データを処理して、フィルタリングされた心臓電位図データを生成するようにさらに構成されており、
前記機械学習モデルを前記感知された心臓電位図データに適用して、前記不整脈のエピソードが前記患者に発生したことを検証するために、前記処理回路が、前記機械学習モデルを前記フィルタリングされた心臓電位図データに適用して、前記不整脈のエピソードが前記患者に発生したことを検証するように構成されている、請求項1~10のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項12】
コンピューティングデバイスであって、
患者の心臓電位図データを感知するための手段と、
前記感知された心臓電位図データの特徴ベースの描写を実行して、前記心臓電位図データに存在し、かつ前記患者の不整脈のエピソードを示す心臓特徴を取得するための手段と、
前記特徴ベースの描写に基づいて、前記心臓特徴が、前記不整脈のエピソードが前記患者において発生したことを検証するための機械学習モデルの適用のための閾値基準を満たしていると判定するための手段と、
前記機械学習モデルの適用のための前記閾値基準を前記心臓特徴が満たしていることを判定することに応じて、複数の患者の心臓電位図データを使用してトレーニングされた前記機械学習モデルを、前記感知された心臓電位図データに適用して、前記機械学習モデルに基づいて、前記不整脈のエピソードが前記患者において発生したことを検証するための手段と、
前記機械学習モデルによって、前記不整脈のエピソードが前記患者において発生したと検証することに応じて、前記不整脈のエピソードが前記患者において発生したという指標と、前記不整脈のエピソードと一致する前記心臓特徴のうちの1つ以上と、を含む、レポートを生成するための手段であって、
前記機械学習モデルの適用のための前記閾値基準を前記心臓特徴が満たしていないと判定することに応じて、前記機械学習モデルを用いることなく、前記患者における前記不整脈に関するレポートを生成する、手段と、
前記レポートを表示のために出力するための手段と、を備え
前記機械学習モデルを前記感知された心臓電位図データに適用して、前記不整脈のエピソードが前記患者において発生したことを検証することが、前記機械学習モデルに基づいて、前記不整脈のエピソードが前記患者に発生していないことの第1の判定、または前記機械学習モデルに基づいて、異なるタイプの不整脈のエピソードが前記患者において発生したことの第2の判定のうちの少なくとも1つを含み、前記コンピューティングデバイスが、さらに、
前記第1の判定および第2の判定のうちの前記少なくとも1つに応じて、前記コンピューティングデバイスによって、前記患者における不整脈のエピソードの誤った検出のカウンタを更新する手段と、
前記カウンタの値が所定の閾値より大きいと判定したことに応じて、前記感知された心臓電位図データの前記特徴ベースの描写の実行から、前記心臓電位図データに存在し、前記患者の不整脈のエピソードを示す心臓特徴を取得するように切り替える手段であって、
複数の患者の心臓電位図データを使用してトレーニングされた第2の機械学習モデルを、前記感知された心臓電位図データに適用して、前記機械学習モデルに基づいて、前記心臓電位図データに存在し、かつ前記患者における不整脈のエピソードを示す心臓特徴を取得するように構成される手段と、
を備え得る、コンピューティングデバイス。
【請求項13】
請求項1~11のいずれかに記載の医療デバイス、または請求項12に記載のコンピューティングデバイスを備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、全般的には、医療デバイスに関し、より詳細には、不整脈を検出するように構成された医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
心室細動などの悪性頻脈性不整脈は、心臓の心室の心筋の非協調性収縮であり、心停止患者で特定されることが最も多い不整脈である。この不整脈が数秒以上続くと、心原性ショックおよび有効血液循環の停止がもたらされる可能性がある。その結果、心臓突然死(SCD)がほんの数分でもたらされる可能性がある。
【0003】
心室細動のリスクが高い患者では、植え込み型除細動器(ICD)などの植え込み型医療デバイス(IMD)の使用がSCDの予防に有益であることが分かっている。ICDは、電池式の電気ショックデバイスであり、電気ハウジング電極(缶電極と呼ばれることもある)を含み得、通常、心臓内に配置された1つ以上の電気リード線に結合される。例えば、不整脈が検知された場合、ICDは電気リード線を用いてパルスを送信し、心臓にショックを与え、正常なリズムを回復することができる。一部のICDは、ショックの送達前に抗頻脈ペーシング(ATP)の送達によって、検出された頻脈性不整脈を終了させるように構成されている。さらに、ICDは、ショックから回復する際に心臓をサポートするために、ショックを伴う頻脈性不整脈の正常終了後に、比較的高振幅のショック後ペーシングを送達するように構成されている。一部のICDは、徐脈ペーシング、心臓再同期療法(CRT)、または他の形式のペーシングも送達する。
【0004】
他のタイプの医療デバイスは、診断目的で使用され得る。例えば、植え込み型または非植え込み型の医療デバイスは、患者の心臓をモニタリングし得る。医師などのユーザは、例えば、心房または心室の頻脈性不整脈、または心静止の心不整脈の発生について、医療デバイスによって生成されたデータをレビューし得る。ユーザは、特定された心不整脈の発生に基づいて、患者の病状を診断し得る。
【発明の概要】
【0005】
本開示の技術に従って、心不整脈の検出および分類を実行するために特徴描写および機械学習を使用する医療デバイスシステムが本明細書に記載されている。具体的には、本明細書に記載の医療機器システムは、特徴描写を使用して患者の心不整脈の予備的検出を行い、機械学習モデルのみを使用して、特徴描写によって検出された心不整脈のエピソードを検証するか、特定のタイプの心不整脈であるとしての特徴描写によって検出されたそのようなエピソードを分類することができる。
【0006】
本明細書で説明するように、特徴描写は、エピソード心不整脈の検出または分類に使用するための信号処理を通じて得られた特徴の使用を指す。通常、特徴描写には、心臓電位図データの特徴を識別または抽出し、そのような特徴の特性を測定し、測定値を使用して不整脈を検出または分類するための設計されたルールの使用が含まれる。例えば、特徴描写は、R波、QRS群、P波、T波、そのような特徴の速度、そのような特徴間の間隔、特徴の形態、そのような特徴の幅または振幅、または他のもしくは他のタイプの心臓の特徴または本明細書に明示的に記載されていないような特徴の特性などの特徴を識別するために使用され得る。特徴描写には、特徴抽出、信号フィルタリング、ピーク検出、耐火物分析、または他のタイプの信号処理、特徴エンジニアリング、または検出ルールの開発が含まれ得る。特徴描写アルゴリズムは、植え込み型医療デバイスでの使用など、リアルタイム、組み込み、および低電力の用途向けに最適化することができる。しかしながら、特徴描写アルゴリズムでは、患者の不整脈を正確に検出するために、専門家による設計と機能エンジニアリングが必要になり得る。
【0007】
心不整脈の検出および分類のための特徴描写技術とは対照的に、機械学習技術は、心不整脈の検出および分類のために使用され得る。本明細書で説明するように、機械学習は、ニューラルネットワークまたは深層学習モデルなどの機械学習モデルの使用を指し、これは、心臓電位図データから心不整脈を検出するためのトレーニングデータセットでトレーニングされる。機械学習技術は、特徴描写が信号処理に依存するという点で特徴描写とは対照的であり、機械学習システムは、システム設計者の代わりに特徴と不整脈のエピソード間の関係の知識または理解を必要とせずに、不整脈のエピソードを示す心臓電位図データに存在する基礎となる特徴を「学習」し得る。
【0008】
一例では、IMDなどの医療デバイスは、患者の心臓電位図データを感知する。医療デバイスは、心臓電位図データの特徴ベースの描写を実行して、患者の不整脈のエピソードを示す心臓特徴を取得する。医療デバイスは、心臓特徴が、心臓電位図データの特徴ベースの描写を検証するための機械学習モデルの適用のための閾値基準を満たすかどうかを判定する。心臓特徴が機械学習モデルを適用するための閾値基準を満たしていると判定した場合、医療デバイスは、機械学習モデルを検知された心臓電位図データに適用して、例えば、患者に不整脈のエピソードが発生したことまたは患者に発生した1つ以上の他のタイプの不整脈を検出することを確認する。
【0009】
別の例では、医療デバイスは、心臓電位図データの第1の心臓特徴を、不整脈辞書のエントリによって定義された心臓特徴と比較する。心臓電位図データの第1の心臓特徴が不整脈辞書のエントリによって定義された心臓特徴と類似していないと判定したことに応答して、医療デバイスは機械学習モデルを適用して、第1の心臓特徴によって明らかにされた不整脈のエピソードの分類を判定する。医療デバイスは、不整脈辞書を構築するために、判定された不整脈分類および心臓特徴を不整脈辞書の新しいエントリとして記憶し得る。続いて、特徴描写を介して、第1の心臓特徴に類似する第2の心臓特徴を検出すると、医療デバイスは、第2の心臓特徴が、第1の心臓特徴によって示される不整脈のエピソードと同じ分類の不整脈のエピソードを示していると判定する。
【0010】
本開示の技術は、医療デバイスによる心不整脈の検出および分類の分野に特定の改善を提供し得る。例えば、本開示の技術は、特徴描写によって患者に不整脈のエピソードを提示する可能性が高いと識別された心臓特徴の分析のみに機械学習モデルを使用し得る。機械学習モデルを使用することによって、患者の不整脈検出を検証することで、本開示の技術は、不整脈検出の精度を高め得る。さらに、低電力特徴描写を使用して、計算が複雑で電力集約的な機械学習モデルの使用を最も関連性のある患者データのみに制限することにより、本開示の技術は、機械学習モデルを効率的に実施して、そのような医療デバイスの電力使用量を不利に増加させることも、バッテリ寿命を減少させることもなく、心不整脈検出を検出し得る。
【0011】
一例では、本開示は、処理回路および記憶媒体を含む医療デバイスによって、患者の心臓電位図データを感知することと、医療デバイスによって、感知された心臓電位図データの特徴ベースの描写を実行して、心臓電位図データに存在し、かつ患者の不整脈のエピソードを示す心臓特徴を取得することと、医療デバイスによってかつ特徴ベースの描写に基づいて、不整脈のエピソードが患者において発生したことを検証するための機械学習モデルの適用のための閾値基準を心臓特徴が満たしていることを判定することと、機械学習モデルの適用のための閾値基準を心臓特徴が満たしていることを判定することに応じて、複数の患者の心臓電位図データを使用してトレーニングされた機械学習モデルを、医療デバイスによって、感知された心臓電位図データに適用することと、機械学習モデルに基づいて、不整脈のエピソードが患者において発生したことを、検証することと、機械学習モデルによって、不整脈のエピソードが患者において発生したことを検証することに応じて、医療デバイスによって、不整脈のエピソードが患者に発生したという指標と、不整脈のエピソードと一致する心臓特徴のうちの1つ以上と、を含む、レポートを生成することと、医療デバイスによって、不整脈のエピソードが患者に発生したという指標と、不整脈のエピソードと一致する心臓特徴のうちの1つ以上と、を含むレポートを、表示のために、出力することと、を含む方法を説明する。
【0012】
別の例では、本開示は、処理回路および記憶媒体を含む医療デバイスによって、患者の心臓電位図データを感知することと、医療デバイスによって、感知された心臓電位図データの特徴ベースの描写を実行して、心臓電位図データに存在する心臓特徴を取得することと、医療デバイスによって、取得された心臓特徴と、医療デバイスの不整脈辞書の複数のエントリの各エントリの心臓特徴との類似性を判定することと、不整脈辞書の複数のエントリの各エントリが、患者における不整脈の複数の分類のある不整脈の分類および不整脈の分類を明らかにする心臓特徴を含み、取得された心臓特徴が不整脈辞書の複数のエントリの各エントリの心臓特徴と類似していないという判定に応じて、医療デバイスによって、不整脈のエピソードが患者において発生したことを、機械学習モデルに基づいて判定して、複数の患者の心臓電位図データを使用してトレーニングされた機械学習モデルを、感知された心臓電位図データに適用することと、医療デバイスによって、不整脈のエピソードの第1の分類および取得された心臓特徴を含む第1のエントリを不整脈辞書に記憶することと、を含む、方法を説明する。
【0013】
この要約は、本開示に記載されている主題の概要を提供することを目的としている。以下の添付の図面および説明の中で詳細に説明されている、装置および方法の排他的または包括的な説明を提供することを意図するものではない。1つ以上のさらなる詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の技術に従って、リードレス植え込み型医療デバイスおよび患者に関連する外部デバイスを含む、心不整脈を予測するための医療デバイスシステムの例を示す概念図である。
図2図1の植え込み型医療機器の一例を示すブロック図である。
図3図1の植え込み型医療機器の構成例を示すブロック図である。
図4】本開示の手法による例示的な動作を示すフローチャートである。
図5】本開示の手法による例示的な動作を示すフローチャートである。
図6】本開示の手法による例示的な動作を示すフローチャートである。
図7】本開示の手法による例示的な動作を示すフローチャートである。
図8】本開示の手法による例示的な動作を示すフローチャートである。
【0015】
同様の参照文字は、図および説明全体で同様の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
医療デバイスにおける心不整脈検出のための機械学習方法の効率的な使用のための技術が開示されている。特徴描写アルゴリズムは、例えば、QRS検出および/または不整脈検出を実行するために、患者から感知された心臓電位図データを使用し得る。このような特徴描写アルゴリズムは、植え込み型医療機器での使用など、リアルタイムの組み込み型の低電力用途向けに最適化され得る。しかしながら、特徴描写アルゴリズムでは、患者の不整脈を正確に検出するために、専門家による設計と機能エンジニアリングが必要になり得る。
【0017】
深層学習および人工知能(AI)など、不整脈を検出するための機械学習方法は、様々な目的でアルゴリズムを開発するための柔軟なプラットフォームを提供する。例えば、機械学習システムは、例えば、心房細動(AF)を検出すること、不整脈などを示さないエピソードを除外することを行い得、専門家による設計、および特徴描写などの心不整脈アルゴリズムに必要な特徴エンジニアリングがなくても、精度が高くなる。しかしながら、機械学習システムは、IMDまたはバッテリ電源で動作する医療デバイスなどの医療デバイスでの実装を計算上禁止する場合がある。医療デバイスで計算コストの高い機械学習モデルを頻繁に使用すると、バッテリの寿命に影響を与える可能性がある。
【0018】
本明細書で詳細に説明するように、技術、方法、システム、およびデバイスは、効率的な電力使用を確実にするためにデバイス上の機械学習システムの使用を条件付ける生理学的、デバイスベースおよびアルゴリズムベースの方法について開示される。本明細書に記載されるように、機械学習不整脈検出の使用を可能にするために、電力効率の高い方法で、短期または長期の診断分析またはモニタリングを実行する医療デバイスによる、深層学習またはAIなどのデバイス内機械学習不整脈検出の使用を可能にする医療デバイスシステムが説明される。
【0019】
図1は、本明細書に記載の特定の例の装置および方法による、患者4および心臓6に関連する例示的な医療デバイスシステム2の環境を示している。例示的な技術は、図1に示されるように、リードレスであり得、外部デバイス12との無線通信においてあり得るIMD10とともに使用され得る。いくつかの例では、IMD10は、1つ以上のリードに結合され得る。いくつかの例では、IMD10は、患者4の胸腔の外側に(例えば、図1に示される胸部の皮下に)植え込まれ得る。IMD10は、心臓6のレベルの近くおよび/またはすぐ下の胸骨の近くに配置され得る。
【0020】
いくつかの例では、IMD10は、アイルランドのダブリンのMedtronic plcから入手可能な、Reveal LINQ(商標)挿入可能心臓モニタ(ICM)またはホルター心臓モニタの形態をとり得る。本明細書で考察されるように、本開示の技術は、IMD10のような植え込み型デバイスによって実行され得る。
【0021】
他の例では、本明細書に記載の技術は、IMD10に加えて、またはその代わりに、外部デバイス12のような外部医療デバイスによって実行され得る。そのような外部医療デバイスは、患者4の外部に配置され得(例えば、患者4の皮膚に配置され)、IMD10に関して本明細書に記載の機能のいずれかまたは全てを実行し得る。外部デバイス12は、家庭、診療所、または病院などの設定で使用するように構成されたコンピューティングデバイスであり得、さらに、無線遠隔測定を介してIMD10と通信するように構成され得る。例えば、外部デバイス12は、アイルランドのダブリンのMedtronic plcから入手可能なCarelink(登録商標)などの遠隔患者モニタリングシステムに結合し得る。外部デバイス12は、いくつかの例では、プログラマ、外部モニタ、または携帯電話、「スマート」電話、ラップトップ、タブレットコンピュータ、携帯情報端末(PDA)などのモバイルデバイスを含み得る。いくつかの例では、外部デバイス12は、アイルランドのダブリンのMedtronic plcから入手可能なSEEQ(商標)モバイル心臓テレメトリ(MCT)システムなどのウェアラブル電子デバイス、または「スマート」ウォッチ、「スマート」パッチ、または「スマート」グラスのような別のタイプのウェアラブル「スマート」電子アパレルである。
【0022】
いくつかの例では、医師、技術者、外科医、電気生理学者、または他の臨床医などのユーザは、外部デバイス12と対話し得、IMD10から生理学的または診断情報を検索する。いくつかの例では、上述のような患者4または臨床医などのユーザはまた、外部デバイス12と対話し得、IMD10をプログラムすることができ、例えば、IMD10の動作パラメータの値を選択または調整する。いくつかの例では、外部デバイス12は、IMD10との通信を容易にするためのアクセスポイントとして機能する。
【0023】
医師、技術者、外科医、電気生理学者、または他の臨床医などのユーザは、外部デバイス12と対話し得、IMD10から生理学的または診断情報を検索する。ユーザはまた、外部デバイス12と対話し得、IMD10をプログラムすることができ、例えば、IMDの動作パラメータの値を選択する。外部デバイス12は、IMD10から外部デバイス12に送信されるEGMおよび/または他の感知された信号を評価するように構成されているプロセッサを含み得る。
【0024】
そのような任意の例において、医療デバイスシステム2の処理回路は、患者4の心臓電位図データを含む患者データをリモートコンピュータ(例えば、外部デバイス12、または図1に示されていない別のデバイス)に送信し得る。いくつかの例では、医療デバイスシステム2の処理回路は、患者4が徐脈、頻脈、心房細動、または心室細動のエピソードなどの心不整脈のエピソードを受けているという判定を送信し得る。
【0025】
外部デバイス12は、無線遠隔測定を介してIMD10と通信するためのコンピューティングデバイス(例えば、家庭、外来、診療所、または病院の設定で使用される)であり得る。外部デバイス12は、アイルランドのダブリンのMedtronic plcから入手可能なCarelink(登録商標)などの遠隔患者モニタリングシステムを含むか、またはそれらに結合され得る。いくつかの例では、外部デバイス12は、IMD10からデータ、アラート、患者の生理学的情報、または他の情報を受信し得る。
【0026】
外部デバイス12は、その機能を制御するためにコマンドまたは動作パラメータをIMD10にプログラムするために使用され得る(例えば、IMD10のプログラマとして構成されている場合)。いくつかの例では、外部デバイス12を使用し得、IMD10に問い合わせて、デバイスの動作データならびにIMDメモリに蓄積された生理学的データを含むデータを検索する。このような問い合わせは、スケジュールに従って自動的に発生するか、および/またはリモートまたはローカルのユーザコマンドに応答して発生し得る。プログラマ、外部モニタ、および消費者デバイスは、IMD10を問い合わせるために使用され得る外部デバイス12の例である。IMD10および外部デバイス12によって使用される通信技術の例には、無線周波数(RF)遠隔測定が含まれ、これは、ブルートゥース(登録商標)、WiFi、または医療インプラント通信サービス(MICS)を介して確立されたRFリンクであり得る。いくつかの例では、外部デバイス12は、患者4、臨床医、または別のユーザがIMD10と遠隔で対話することを可能にするように構成されたユーザインターフェースを含み得る。いくつかのそのような例では、外部デバイス12、および/または医療デバイスシステム2の他のデバイスは、ウェアラブルデバイスであり得る(例えば、時計、ネックレス、または他のウェアラブルアイテムの形態で)。
【0027】
医療デバイスシステム2は、心不整脈の検出、検証、および報告を実行するように構成された医療デバイスシステムの一例である。本開示の技術に従って、医療機器システム2は、機械学習不整脈検出および特徴描写を実施して、患者4の心不整脈を検出および分類する。1つ以上の他の植え込み型または外部デバイスの追加の例には、植え込み型、マルチチャネル心臓ペースメーカ、ICD、IPG、リードレス(例えば、心臓内)ペースメーカ、血管外ペースメーカおよび/またはICD、または他のIMD、または、心臓6、外部モニタ、外部ペーシングまたは電気刺激デバイスなどの外部治療送達デバイス、または薬物ポンプに、CRTを送達するように構成されている、そのようなIMDの組み合わせが含まれ得る。いくつかの例では、IMD10は、ニューラルネットワーク、深層学習システム、または他のタイプの予測分析システムのような機械学習システムを実装する。
【0028】
医療デバイスシステム2の各デバイス(例えば、IMD10および外部デバイス12)の通信回路は、デバイスが互いに通信することを可能にし得る。さらに、1つ以上のセンサ(例えば、電極)は、本明細書ではIMD10のハウジング上に配置されると説明されているが、他の例では、そのようなセンサは、患者4の内部または外部に植え込まれた別のデバイスのハウジング上に配置され得る。そのような例では、他のデバイスの1つ以上は、それぞれのデバイス上の電極または他のセンサから信号を受信するように構成された処理回路、および/または電極または他のセンサから別のデバイス(例えば、外部デバイス12)またはサーバに信号を送信するように構成された通信回路を含み得る。
【0029】
本開示の技術に従って、医療デバイスシステム2は、心不整脈の検出および分類を実行するために特徴描写および機械学習を使用する。具体的には、IMD10または外部デバイス12などの医療デバイスは、特徴描写を使用して、患者4の心不整脈の予備的検出を行う。いくつかの例では、医療デバイスは、機械学習モデルを患者2の心臓電位図データに適用して、心臓電位図データの特徴描写が心不整脈のエピソードを正しく検出したことを検証する。いくつかの例では、医療デバイスは、機械学習モデルを患者2の心臓電位図データに適用して、心臓電位図データの特徴描写が心不整脈のエピソードを特定のタイプの不整脈として正しく分類したことを検証する。説明を容易にするために、以下のセクションでは、IMD10によって実行される開示の技術について説明する。しかしながら、本開示の技術は、外部デバイス12、または互いに連動して動作する医療デバイス(例えば、IMD10および外部デバイス12)の組み合わせなどの他のタイプの医療デバイスによって実行され得る。
【0030】
本開示の技術の一例では、IMD10は、患者4の心臓電位図データを感知する。IMD10は、心臓電位図データの特徴ベースの描写を実行して、患者4の不整脈のエピソードを示す心臓特徴を取得する。IMD10は、心臓特徴が、心臓電位図データの特徴ベースの描写を検証するための機械学習モデルの適用のための閾値基準を満たすかどうかを判定する。いくつかの例では、IMD10はさらに、心臓特徴の少なくとも1つのノイズが所定の閾値未満であると判定する。いくつかの例では、IMD10はさらに、患者が複数の姿勢状態の第1の姿勢状態または複数の活動状態の第1の活動状態にあることを判定する。心臓特徴が閾値基準を満たしていると判定したことに応答して、IMD10は、機械学習モデルを感知された心臓電位図データに適用して、例えば、患者4で不整脈のエピソードが発生したことを検証するか、または患者4で発生した不整脈の1つ以上の追加のタイプを検出する。
【0031】
本開示の技術の一例では、IMD10は、不整脈のエピソードと一致する心臓の特徴を、IMD10によって維持される不整脈辞書の心臓特徴と比較することによって、不整脈のエピソードを分類し得る。IMD10は、心臓電位図データの第1の心臓特徴を、不整脈辞書のエントリによって定義された心臓特徴と比較する。例えば、心臓電位図データの第1の心臓特徴が不整脈辞書のエントリによって定義された心臓特徴に類似していると判定したことに応答して、IMD10は、不整脈辞書内の一致するエントリによって定義される分類である、第1の心臓特徴が不整脈のエピソードが患者4で発生したと示すのを判定する。
【0032】
別の例として、心臓電位図データの第1の心臓特徴が不整脈辞書の任意のエントリによって定義された心臓特徴と類似していないと判定したことに応答して、IMD10は、機械学習モデルを適用して、第1の心臓特徴によって明らかにされた不整脈のエピソードの分類を判定する。IMD10は、不整脈辞書を作成するために、判定された不整脈分類および心臓特徴を不整脈辞書の新しいエントリとして記憶し得る。続いて、特徴描写を介して、不整脈辞書のエントリの心臓特徴に類似する第2の心臓特徴を検出すると、IMD10は、第2の心臓特徴が、不整脈辞書のエントリに定義され、かつ第2の心臓特徴と一致する心臓特徴を含む不整脈のエピソードと同じ分類の不整脈のエピソードを示していると判定する。
【0033】
本開示の技術は、IMD10のような医療デバイスによる心不整脈の検出および分類の分野に特定の改善を提供し得る。例えば、本開示の技術は、特徴描写によって患者に不整脈のエピソードを提示する可能性が高いと識別された心臓電位図データの分析のみに機械学習モデルを使用し得る。機械学習モデルを使用して、特徴描写によって実行される患者4の不整脈検出を検証することにより、本開示の技術は、機械学習を活用して、不整脈検出の精度および柔軟性を高め得る。さらに、低電力特徴描写を使用して、計算が複雑で電力集約的な機械学習モデルの使用を最も関連性のある患者データのみに制限することにより、本開示の技術は、機械学習モデルを効率的に実施して、そのような医療デバイスの電力使用量を不利に増加させることも、バッテリ寿命を減少させることもなく、心不整脈検出を検出し得る。
【0034】
図2は、図1の植え込み型医療デバイスの一例を示すブロック図である。図2に示されるように、IMD10は、処理回路50、感知回路52、通信回路54、メモリ56、センサ58、切り替え回路60、特徴描写回路260、および電極16A、16B(以下、「電極16」)を含み、これらのうちの1つ以上は、IMD10のハウジング内に配置され得る。いくつかの例では、メモリ56は、処理回路50によって実行されると、IMD10および処理回路50に、本明細書においてIMD10および処理回路50に帰属する様々な機能を実行させるコンピュータ可読命令を含む。メモリ56は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、不揮発性RAM(NVRAM)、電気的消去可能なプログラム可能ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、または任意の他のデジタル媒体のような任意の揮発性、不揮発性、磁気的、光学的、または電気的媒体を含み得る。
【0035】
処理回路50は、固定機能回路および/またはプログラム可能な処理回路を含み得る。処理回路50は、マイクロプロセッサ、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または同等の個別またはアナログ論理回路のうちのいずれか1つ以上を含み得る。いくつかの例では、処理回路50は、1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上のコントローラ、1つ以上のDSP、1つ以上のASIC、または1つ以上のFPGAのいずれかの組み合わせなどの複数の構成要素、ならびに他の個別または統合論理回路を含み得る。本明細書の処理回路50に帰属する機能は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらのいずれかの組み合わせとして具体化し得る。
【0036】
感知回路52および通信回路54は、処理回路50によって制御されるように、切り替え回路60を介して電極16A、16Bに選択的に結合され得る。感知回路52は、図1の患者4の心臓の電気的活動をモニタリングし、患者4の心臓電位図データを生成するために、電極16A、16Bからの信号をモニタリングし得る。いくつかの例では、処理回路50は、特徴描写回路260を介して感知された心臓電位図データの特徴描写を実行し、患者4の心不整脈のエピソードを検出する。いくつかの例では、処理回路50は、通信回路54を介して、患者4の心臓電位図データを、図1の外部デバイス12などの外部デバイスに送信する。例えば、IMD10は、臨床医によるデータ処理またはレビューのために、デジタル化された心臓電位図データを図1の外部デバイス12に送信する。いくつかの例では、IMD10は、特徴描写回路260を介して不整脈のエピソードを検出することに応答して、心臓電位図データの1つ以上のセグメントを送信する。別の例では、IMD10は、外部デバイス12からの指示に応答して、心臓電位図データの1つ以上のセグメントを送信する(例えば、患者4が不整脈の1つ以上の症状を経験し、モニタリングセンタまたは臨床医による分析のために心臓電位図データをアップロードするようにIMD10に指示するコマンドを外部デバイス12に入力するとき)。
【0037】
いくつかの例では、IMD10は、1つ以上の加速度計、マイクロフォン、および/または圧力センサなどの1つ以上のセンサ58を含む。感知回路52は、センサ58からの信号をモニタリングし得、センサ58から得られた患者データを、分析のために、図1の外部デバイス12などの外部デバイスに送信する。いくつかの例では、感知回路52は、電極16A、16Bおよび/または他のセンサ58のうちの1つ以上から受信した信号をフィルタリングおよび増幅するための1つ以上のフィルタおよび増幅器を含み得る。いくつかの例では、感知回路52および/または処理回路50は、整流器、フィルタおよび/または増幅器、感知増幅器、比較器、および/またはアナログ-デジタル変換器を含み得る。
【0038】
通信回路54は、外部デバイス12のような別のデバイスまたは圧力感知デバイスなどの別の医療デバイスまたはセンサと通信するための任意の好適なハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。処理回路50の制御下で、通信回路54は、内部または外部アンテナ、例えば、アンテナ26の助けを借りて、外部デバイス12または別のデバイスからダウンリンクテレメトリを受信し、アップリンクテレメトリを送信し得る。いくつかの例では、通信回路54は、外部デバイス12と通信し得る。加えて、処理回路50は、外部デバイス(例えば、外部デバイス12)およびアイルランドのダブリンのMedtronic、plcによって開発されたMedtronic CareLink(登録商標)ネットワークなどのコンピュータネットワークを介してネットワーク化されたコンピューティングデバイスと通信し得る。
【0039】
臨床医または他のユーザは、外部デバイス12を使用して、または通信回路54を介して処理回路50と通信するように構成された別のローカルまたはネットワーク化されたコンピューティングデバイスを使用することによって、IMD10からデータを検索し得る。臨床医はまた、外部デバイス12または別のローカルまたはネットワーク化されたコンピューティングデバイスを使用して、IMD10のパラメータをプログラムし得る。いくつかの例では、臨床医は、IMD10が患者4の心臓電位図データをどのように感知するかを定義する1つ以上のパラメータを選択し得る。
【0040】
IMD10の1つ以上の構成要素は、IMD10のハウジング内に配置された充電式または非充電式電池を含み得る電源(図2には示されていない)に結合され得る。非充電式電池は、数年間持続するように選択され得、一方、充電式電池は、例えば、毎日または毎週、外部デバイスから誘導充電され得る。
【0041】
本開示の技術によれば、処理回路50は、感知回路52を用いて、電極16を介して、患者4の心臓電位図データを感知する。いくつかの例では、心臓電位図データは、患者4のECGである。処理回路50は、特徴描写回路260を介して心臓電位図データの特徴描写を実行して、心臓電位図データに存在する1つ以上の心臓特徴を取得する。特徴描写回路260は、不整脈のエピソードの予備的検出をさらに行い得る。いくつかの例では、特徴描写回路260は、QRS検出、難治性処理、ノイズ処理、または心臓電位図データの描写のうちの1つ以上を実行するように構成された回路を含む。例えば、特徴描写回路260は、感知回路50および/またはセンサ58を介して生信号を受信し、生信号から1つ以上の心臓特徴を抽出する。いくつかの例では、特徴描写回路260は、心臓電位図データに存在するRR間隔の1つ以上、心臓電位図データに存在する平均心拍数、心臓電位図データに存在する最小心拍数、心臓電位図データに存在する最大心拍数、心臓電位図データに存在するPR間隔、心臓電位図データに存在する心拍数の変動、ECGの1つ以上の特徴の1つ以上の振幅、またはECGの1つ以上の特徴の間の間隔、T波交互脈、QRS形態測定、または本明細書に明示的に記載されていない他のタイプなどの1つ以上の心臓特徴を識別する。
【0042】
一例として、特徴描写回路260は、患者4の心電図のT波の1つ以上の特徴を識別して、患者4の心不整脈のエピソードを検出する。いくつかの例では、1つ以上の識別された特徴は、T波の1つ以上の振幅である。いくつかの例では、1つ以上の識別された特徴は、T波の周波数である。いくつかの例では、1つ以上の識別された特徴は、少なくともT波の振幅およびT波の周波数を含む。いくつかの例では、特徴描写回路260は、患者4における心不整脈のエピソードを示す1つ以上の識別された特徴における1つ以上の相対的変化を識別する。いくつかの例では、特徴描写回路260は、患者4における心不整脈のエピソードを示す複数の識別された特徴間の1つ以上の相互作用を識別する。いくつかの例では、特徴描写回路260は、時間の短期間(例えば、約3分)にわたって平均化された1つ以上の値を表す患者データを分析する。例えば、心臓電位図データは、心不整脈のエピソードを検出するために、患者4の心電図のT波またはQRS波の平均周波数または平均振幅のうちの1つ以上を含み得る。
【0043】
処理回路50は、特徴描写回路260を介して特徴描写を適用し得、1つ以上の心臓特徴が心不整脈のエピソードを示していることを判定する。いくつかの例では、処理回路50は、特徴描写回路260を介して特徴描写を適用して、検出された心不整脈のエピソードを特定のタイプの心不整脈(例えば、徐脈、頻脈、心房細動、または心室細動)のエピソードとして分類する。いくつかの例では、処理回路50は、以下でより詳細に説明されるように、特徴描写回路260を介して、感知された心臓電位図データの特徴描写を実行する。いくつかの例では、IMD10によって実行される特徴描写は、IMD10の電力を節約するために複雑さが軽減されている。これは、特徴描写回路260が心不整脈の初期または予備的検出を実行することを可能にし得る。
【0044】
さらに、以下で詳細に説明するように、処理回路50は、機械学習システム250を心臓電位図データに適用して、特徴描写回路260による不整脈のエピソードの検出を検証または分類する。機械学習システム250は、特徴描写回路260にわたって心不整脈をより正確に検出するために、心臓電位図データのより包括的かつ詳細な分析を実行し得るが、機械学習システム250は、特徴描写回路260に対してより多くの計算リソースおよび電力を必要とし得る。特徴描写回路260によって不整脈のエピソードの検出を検証または分類するために、機械学習システム250を使用することにより、IMD10は、IMD10の電力消費またはバッテリ寿命を最小限に抑えながら、機械学習システム250によって提供される高精度を利用するというアドバンテージをとり得る。いくつかの例では、処理回路50は、通信回路54を介して、1つ以上の心臓電位図データ、心臓電位図データに存在する1つ以上の心臓特徴、機械学習システム250によって検証された心不整脈のエピソードの指標、または機械学習システム250によって判定された心不整脈の検出されたエピソードの分類の指標を外部デバイス12に送信する。
【0045】
いくつかの例では、機械学習システム250によって実装される機械学習モデルは、記述的メタデータで標識された複数の患者の心臓電位図データを含むトレーニングデータでトレーニングされる。例えば、トレーニング段階の間、機械学習システム250は、複数のECG波形を処理する。典型的には、複数のECG波形は、複数の異なる患者からのものである。各ECG波形は、1つ以上のタイプの不整脈の1つ以上のエピソードで標識される。例えば、トレーニングECG波形は、複数のセグメントを含み得、各セグメントは、不整脈の不在または特定の分類の不整脈の存在を指定する記述子で標識されている(例えば、徐脈、頻脈、心房細動、または心室細動)。いくつかの例では、臨床医は、各ECG波形の不整脈の存在を手作業で標識する。いくつかの例では、各ECG波形の不整脈の存在は、特徴描写アルゴリズムによる分類に従って標識される。機械学習システム250は、トレーニングデータをベクトルおよびテンソル(例えば、多次元配列)に変換するように動作することができ、その上で、機械学習システム250は、線形代数、非線形、または代替的な計算操作などの数学的操作を適用することができる。機械学習システム250は、トレーニングデータ104を使用して、心臓電位図データに示される異なる特徴を比較検討するように機械学習モデルを教える。いくつかの例では、機械学習システム250は、心臓電位図データを使用して、機械学習モデルに、心臓電位図の1つ以上の特徴を、特定の分類の心不整脈の発生に関して多かれ少なかれ重要であるとして表す異なる係数を適用するように教える。不整脈のエピソードで標識された多数のそのようなECG波形を処理することによって、機械学習システム250は、機械学習システム250が以前には分析しなかった、図1の患者4などの患者から心臓電位図データを受信するための機械学習モデルを構築およびトレーニングすることができ、さらにそのような心臓電位図データを処理し、患者の様々な分類の不整脈の有無を高い精度で検出する。通常、機械学習システム250がトレーニングされる心臓電位図データの量が多いほど、新しい心臓電位図データで心不整脈を検出または分類する際の機械学習モデルの精度が高くなる。
【0046】
機械学習システム250が機械学習モデルをトレーニングした後、機械学習システム250は、患者4などの特定の患者の心臓電位図データのような患者データを受信し得る。機械学習システム250は、トレーニングされた機械学習モデルを患者データに適用して、患者4の心不整脈のエピソードを検出する。さらに、機械学習システム250は、トレーニングされた機械学習モデルを患者データに適用して、特定のタイプの不整脈を示すものとして患者の心不整脈のエピソードを分類する。いくつかの例では、機械学習システム250は、心不整脈のエピソードが特定のタイプの不整脈を示しているという予備的判定、ならびに判定における確実性の推定値を出力し得る。判定における確実性の推定値が所定の閾値(例えば、50%、75%、90%、95%、99%)より大きいと判定することに応答して、処理回路50は、心不整脈のエピソードを特定のタイプの不整脈として分類し得る。本明細書で説明するように、処理回路50は、機械学習システム250を使用し得、特徴描写回路260が不整脈のエピソードを正しく検出したこと、または特徴描写回路260が不整脈のエピソードを特定のタイプのものとして正しく分類したことを検証する。
【0047】
いくつかの例では、機械学習システムは、生の心臓電位図データ自体の代わりに、心臓電位図データの1つ以上の心臓特徴を処理し得る。1つ以上の心臓特徴は、上述のように、IMD10によって実行される特徴描写を介して取得し得る。心臓特徴は、例えば、心臓電位図データに存在するRR間隔の1つ以上、心臓電位図データに存在する平均心拍数、心臓電位図データに存在する最小心拍数、心臓電位図データに存在する最大心拍数、心臓電位図データに存在するPR間隔、心臓電位図データに存在する心拍数の変動、ECGの1つ以上の特徴の1つ以上の振幅、T波交互脈、QRS形態測定、または本明細書に明示的に記載されていない他のタイプの心臓特徴を含み得る。そのような例示的な実装形態では、機械学習システムは、上述のような不整脈のエピソードで標識された複数のECG波形の代わりに、不整脈のエピソードで標識された複数のトレーニング心臓特徴を介して機械学習モデルをトレーニングし得る。
【0048】
いくつかの例では、機械学習システム250は、機械学習モデルを他のタイプのデータに適用し得、不整脈のエピソードが患者4で発生したことを判定する。例えば、機械学習システム250は、患者の不整脈、IMD10の活動レベル、IMD10の入力インピーダンス、またはIMD10のバッテリレベルに相関する心臓電位図データの1つ以上の特性に機械学習モデルを適用することができる。
【0049】
さらなる例では、処理回路50は、心臓電位図データから、心臓電位図データの中間表現を生成し得る。例えば、処理回路50は、1つ以上の信号処理、信号分解、ウェーブレット分解、フィルタリング、またはノイズ低減操作を心臓電位図データに適用し得、心臓電位図データの中間表現を生成する。この例では、機械学習システム250は、心臓電位図データのそのような中間表現を処理して、患者4の不整脈のエピソードを検出および分類する。さらに、機械学習システム250は、上述のように不整脈のエピソードで標識された複数の生のECG波形の代わりに、不整脈のエピソードで標識された複数のトレーニング中間表現を介して機械学習モデルをトレーニングし得る。心臓電位図データのそのような中間表現の使用は、機械学習システム250による、より軽量で、計算がより複雑でない機械学習モデルのトレーニングおよび開発を可能にし得る。さらに、心臓電位図データのそのような中間表現の使用は、機械学習モデルをトレーニングするための生の心臓電位図データの使用とは対照的に、正確な機械学習モデルを構築するためにより少ない反復およびより少ないトレーニングデータを必要とし得る。
【0050】
いくつかの例では、メモリ56は、不整脈辞書270を含む。いくつかの例では、不整脈辞書270は、複数のエントリを含む。複数のエントリの各エントリは、1つ以上の特定のタイプの心不整脈(例えば、徐脈、頻脈、心房細動、または心室細動)の分類を含む。さらに、エントリには、心不整脈の分類を示す1つ以上の心臓の特徴が含まれる。以下でより詳細に説明するように、処理回路50は、不整脈辞書270を使用して、特徴描写回路260を介して検出された不整脈のエピソードを特定のタイプの不整脈であるとして分類する。さらに、処理回路50は、機械学習システム250を適用して、不整脈辞書270が対応するエントリを含まない不整脈の検出されたエピソードを分類して、不整脈辞書270のロバストなエントリを構築する。
【0051】
患者4の心臓電位図データを感知する例示的なIMD10の文脈で本明細書に記載されているが、本明細書に開示されている心不整脈検出のための技術は、他のタイプのデバイスとともに使用され得る。例えば、技術は、心臓血管系の外側の電極に結合された心臓外除細動器、例えば、アイルランドのダブリンのMedtronic PLCから市販されているMicra(商標)経カテーテルペーシングシステムなどの心臓内に植え込まれるように構成されている経カテーテルペースメーカ、アイルランドのダブリンのMedtronic PLCから同様に市販されているReveal LINQ(商標)ICM、などの挿入可能な心臓モニタ、アイルランドのダブリンのMedtronic plcから入手可能なSEEQ(商標)モバイル心臓テレメトリ(MCT)システム、などの神経刺激装置、薬物送達デバイス、患者4の外部にある医療デバイス、ウェアラブル除細動器、フィットネストラッカ、または他のウェアラブルデバイスなどのウェアラブルデバイス、携帯電話、「スマート」フォン、ラップトップ、タブレットコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、または「スマート」グラス、「スマート」パッチ、もしくは「スマート」ウォッチなどの「スマート」アパレルなどのモバイルデバイスで実施されてもよい。
【0052】
図3は、図1の植え込み型医療機器の構成例を示すブロック図である。図3の構成要素は、必ずしも一定の縮尺で描かれている必要はなく、代わりに、詳細を示すために拡大されている場合がある。具体的には、図3は、図1のIMD10の構成例の上面図のブロック図である。
【0053】
図3は、図1のIMD10と実質的に同様の構成要素を含み得る例示的なIMD10を示す概念図である。図1および2に示される構成要素に加えて、図3に示されるIMD10の例はまた、ハウジング14および処理回路50上の電極16A、16B間を通過する電気信号を絶縁するのを助けることができるウェーハスケールの絶縁カバー74を含み得る。いくつかの例では、絶縁カバー74は、IMD10Bの構成要素のためのハウジングを形成するために、開いたハウジング14の上に配置され得る。IMD10Bの1つ以上の構成要素(例えば、アンテナ26、処理回路50、感知回路52、通信回路54、および/または切り替え回路60)は、フリップチップ技術を使用することなどによって、絶縁カバー74の下側に形成され得る。絶縁カバー74は、ハウジング14上に裏返し得る。裏返してハウジング14上に配置すると、絶縁カバー74の下側に形成されたIMD10の構成要素は、ハウジング14によって画定されるギャップ78内に配置され得る。ハウジング14は、チタンまたは他の任意の好適な材料(例えば、生体適合性材料)から形成することができ、約200マイクロメートル~約500マイクロメートルの厚さを有し得る。これらの材料および寸法は単なる例であり、他の材料および他の厚さは、本開示のデバイスのために可能である。
【0054】
いくつかの例では、IMD10は、感知回路50および/またはセンサ58を介して、心臓電位図データを含む患者4の患者データを収集する。センサ58は、1つ以上の加速度計、圧力センサ、O2飽和度のための光学センサなどのような、1つ以上のセンサを含み得る。いくつかの例では、患者データは、患者の活動レベル、患者の心拍数、患者の姿勢、患者の心臓電位図、患者の血圧、患者の加速度計データ、または他のタイプの患者データのうちの1つ以上を含む。いくつかの例では、IMD10は、通信回路54を介して、患者データを外部デバイス12にアップロードし、外部デバイスは、そのようなデータを、遠隔モニタリングセンタまたは患者モニタリングネットワークにアップロードすることができる。いくつかの例では、IMD10は、患者データを毎日アップロードする。いくつかの例では、患者データは、長期期間(例えば、約24時間~約48時間)にわたる患者4の平均測定値を表す1つ以上の値を含む。この例では、IMD10は、患者データをアップロードするとともに、患者4の不整脈検出および分類を実行する(後述するように)。しかしながら、他の例では、患者データを処理して患者4の不整脈を検出および/または分類する医療デバイスは、患者4の短期モニタリングを実行する医療デバイスとは異なる。例えば、IMD10は、患者4の短期モニタリングを実行し得、外部デバイス12は、患者データを処理して、患者4の不整脈を検出および/または分類する。
【0055】
図4は、本開示の技術による例示的な動作を示すフローチャートである。便宜上、図4は、図1に関して説明されている。いくつかの例では、図4の手術は、患者4の心不整脈を検出および分類するための手術である。図4の動作において、システム2は、心不整脈を検出する際の機械学習システム250の機械学習モデルの精度と、特徴描写アルゴリズムの低消費電力とを組み合わせる。図4の動作は、図1のIMD10に関して説明されているが、他の例では、図4の動作は、例えば、外部デバイス12、またはIMD10と外部デバイス12との組み合わせによって実行され得る。
【0056】
図4に示されるように、IMD10は、患者4の心臓電位図データを感知する(402)。心臓電位図データは、例えば、患者4の一時的なECGまたは患者4の完全開示ECGであり得る。さらに、患者4の心臓電位図データは、単一チャネルまたはマルチチャネルシステムからのものであり得る。簡単にするために、図4の例では、患者4の心臓電位図データは、単一チャネルの一時的なECGデータとして説明されている。
【0057】
IMD10は、特徴描写を心臓電位図データに適用して、1つ以上の心臓特徴を検出する(404)。IMD10はさらに、心臓電位図データに特徴描写を適用して、不整脈の1つ以上のエピソードを検出する。例えば、IMD10は、QRS検出描写およびノイズフラグを心臓電位図データに適用し得、不整脈の検出されたエピソードの不整脈特性および/または心臓特徴を提供し得る(例えば、心房細動のエピソード中の心拍数変動、休止の持続時間)。いくつかの例では、特徴描写は万能タイプのアルゴリズムである。他の例では、特徴描写は、臨床医によってプログラムされた、または患者4に固有のパラメータを有するアルゴリズムであり得る。いくつかの例では、IMD10は、特徴描写を心臓電位図データに適用して、検出された不整脈のエピソードを特定のタイプの不整脈として分類する。
【0058】
IMD10はさらに、心不整脈の検出されたエピソードのトリガーを判定する。例えば、心不整脈のエピソードは、自動トリガーに応答して、ベースライントリガーに応答して、または患者4から受け取った入力に応答して検出され得る。例えば、ベースライントリガーは、検出された不整脈に応答して発生するのではなく、定期的に発生する心臓電位図セグメントキャプチャ操作(例えば、IMD10の植え込みまたは付着時にキャプチャされるセグメント、または24時間毎に1回キャプチャされるセグメント)に応答して発生する場合がある。いくつかの例では、IMD10は、機械学習システム250を適用して、自動トリガーに応答して検出された不整脈のエピソードのみを検証し得、一方、ベースライントリガーまたは患者入力に応答して検出された不整脈のエピソードは、機械学習システム250による検証なしに報告され得る。例えば、不整脈のエピソードが自動トリガー(例えば、ブロック406の「いいえ」)によって検出されなかったとの判定に応答して、IMD10は、不整脈のレポートを生成し(410)、かつそのレポートを臨床医または以下に説明するように、レビューのためのモニタリングセンタに出力する(412)。
【0059】
いくつかの例では、IMD10は、機械学習システム250を使用し得、いくつかのタスクを実行する。例えば、IMD10は、機械学習システム250を使用し得、特徴描写による心不整脈の検出が適切であったことを検証する。このように機械学習システム250を使用すると、機械学習モデルの計算の複雑さが制限され得、臨床医に診断に関連する情報が提供され得る。例えば、機械学習モデルを高い不整脈検出感度で使用して、心房細動の自動トリガーが患者4の心房細動のエピソードと相関していることを検証する。別の例として、機械学習モデルを使用し得、患者4の心房細動の検証されたエピソードの持続時間と一致する心臓電位図の部分のみが、患者4の心房細動負荷を計算するために使用されることを保証する。本明細書に記載されるように、不整脈のエピソードの負担は、IMD10による患者のモニタリング中の時間の長さに対する不整脈のエピソードの時間の長さの比率である。
【0060】
別の例として、IMD10は、機械学習システム250を使用し得、特徴描写によって検出されないが、特徴描写によって検出される不整脈のエピソードと一致する不整脈の他のエピソードの存在を検出する。例えば、IMD10は、機械学習システム250を使用し得、休止、心房細動、または心室性頻脈などの「重要度の高い」不整脈の存在を検出する。一連のタイプの不整脈の心不整脈のエピソードの有無を検出するように設計された機械学習モデルの使用は、心不整脈のエピソードの正確なタイプおよび発生のインスタンスを検出するように設計された機械学習モデルよりも計算の複雑さが制限され得る。
【0061】
例えば、図4の動作に関して、心不整脈のエピソードが自動トリガーに応答して検出されたとの判定に応答して(例えば、ブロック406の「はい」)、IMD10は、機械学習システム250の機械学習モデルを心臓電位図データに適用して、特徴描写による心不整脈のエピソードの検出を検証する(408)。いくつかの例では、IMD10は、機械学習システム250の機械学習モデルを心臓電位図データに適用して、特徴描写による心不整脈のエピソードの分類を検証する。
【0062】
いくつかの例では、自動トリガーに応答して検出された不整脈のエピソードは、同じ制限された持続時間(例えば、不整脈検出の前後30秒)であり、通常、患者がトリガーしたエピソードよりも持続時間が短い。いくつかの例では、機械学習モデルは、入力として、自動トリガーを引き起こした心臓電位図波形の少なくとも一部およびトリガーの理由(例えば、心房細動、徐脈、または一時停止の特徴描写による検出)を受信する。心臓電位図波形は、例えば、ECG波形であり得る。
【0063】
いくつかの例では、機械学習モデルは、入力として、心臓電位図波形の前処理されたバージョン、または心臓電位図波形の信号分解を受信する。例えば、IMD10は、心臓電位図の中間表現を生成するために、波形にダウンサンプリングまたは信号正規化操作を適用することによって、心臓電位図波形に前処理を適用し得る。信号分解は、ウェーブレット分解バンドまたは周波数領域表現(例えば、スペクトログラム)の使用である。いくつかの例では、IMD10は、機械学習モデルの計算の複雑さを軽減するために、心臓電位図波形に前処理を適用し得る。例えば、元々200サンプル/秒でサンプリングされたレコードを100サンプル/秒にダウンサンプリングすることにより、IMD10は、ダウンサンプリングされたレコードを元のレコードとして処理するために半分の計算リソースを必要とし得る。同様に、不整脈検出に使用されるものと同じ信号分解を使用することにより、機械学習モデルは信号畳み込み層の最適なセットを学習する必要がないため、IMD10は事前計算されたデータを活用して機械学習システム250の計算の複雑さを軽減し得る。
【0064】
特徴描写による心不整脈のエピソードの検出が正しいことの検証に応答して、IMD10は、エピソードの心臓電位図データを記憶する、かつ/またはレビューのためにモニタリングセンタまたは臨床医に送信する。例えば、IMD10は不整脈のレポートを生成し(410)、そのレポートを臨床医またはモニタリングセンタに出力する(412)。典型的には、特徴描写によって検出され、機械学習システム250によって適切または重要であると検証された心不整脈のエピソードのみが記憶され、モニタリングセンタおよび/または臨床医のレビューのために送信される。例えば、機械学習システム250が徐脈のエピソードを検出し、心臓電位図データに対して実行された特徴描写が、4つのノイズのない心拍のうち4つが30拍/分(BPM)未満であることを示した場合、IMD10は、不整脈のエピソードの発生を医師に通知するレポートを生成する。
【0065】
一例では、レポートは、不整脈のエピソードが患者に発生したことの指標、および不整脈のエピソードと一致する1つ以上の心臓特徴を含む。いくつかの例では、レポートは、特定のタイプの不整脈としての不整脈のエピソードの分類をさらに含む。いくつかの例では、レポートには、不整脈のエピソードと一致する、患者4から取得した心臓電位図データのサブセクションが含まれている。例えば、IMD10は、患者4の心臓電位図データのサブセクションを識別し得、ここで、サブセクションは、不整脈のエピソードの前の第1の期間(例えば、典型的には、不整脈のエピソードの発症前の10分未満)、不整脈のエピソードの発生中の第2の期間、および不整脈のエピソードの後の第3の期間(例えば、典型的には、不整脈のエピソードの停止後10分未満)についての心臓電位図データを含む。いくつかの例では、エピソードの持続時間は、デバイスのタイプによって異なり、さらに、医療デバイスの使用例、医療デバイスの1つ以上の設定、または感知された特定のタイプの不整脈に依存し得る。例えば、一部のタイプの不整脈はすぐに自己終了し(結果的にエピソードの持続時間が短くなる)、他のタイプの不整脈は持続し、エピソードの記録された持続時間が医療の指定されたメモリスペースに依存するような長さである。典型的には、患者の心臓電位図データの時間の長さは、第1、第2、および第3の期間よりも長い。さらに、IMD10は、第1、第2、および第3の期間と一致する1つ以上の心臓特徴を特定する。IMD10は、レポートに、心臓電位図データのサブセクションと、第1、第2、および第3の期間と一致する1つ以上の心臓特徴を含む。
【0066】
いくつかの例では、IMD10は、レポートに応答して、患者4の心臓電位図データを感知するためにIDM10によって使用される1つ以上のパラメータに対する1つ以上の調整を受け取る。IMD10は、患者4の心臓電位図データのその後の感知のためにそのような調整を実行する。
【0067】
図5は、本開示の技術による例示的な動作を示すフローチャートである。便宜上、図5は、図1に関連して説明されている。いくつかの例では、図5の動作は、患者4の心不整脈を検出および分類するための動作である。図5の動作において、システム2は、心不整脈を検出する際の機械学習システム250の機械学習モデルの精度と、特徴描写アルゴリズムの低消費電力とを組み合わせる。図5の動作は、図1のIMD10に関して説明されているが、他の例では、図5の動作は、例えば、外部デバイス12、またはIMD10と外部デバイス12との組み合わせによって実行され得る。
【0068】
図5に示されるように、IMD10は、患者4の心臓電位図データを感知する(502)。IMD10は、特徴描写を心臓電位図データに適用して、1つ以上の心臓特徴を検出する(504)。IMD10はさらに、自動トリガーに応答して心不整脈のエピソードが検出されたかどうかを判定する(506)。例えば、不整脈のエピソードが自動トリガー(例えば、ブロック506の「いいえ」)によって検出されなかったとの判定に応答して、例えば、ベースライントリガーに応答して検出された心不整脈のエピソードの場合のように、または、患者4から受け取った入力に応答して、IMD10は不整脈のレポートを生成し(510)、レビューのためにレポートを臨床医またはモニタリングセンタに出力する(512)。ステップ502、504、506、510、および512の動作は、それぞれ、図4のステップ402、404、406、410、および412と実質的に同様の方法で発生し得る。
【0069】
自動トリガー(例えば、ブロック506の「はい」)に応答して心不整脈のエピソードが検出されたとの判定に応答して、IMDは、心臓電位図データを処理して、フィルタリングされた心臓電位図データを生成する(507)。例えば、IMD10は、フィルタリングされた心臓電位図データを生成するために、入力インピーダンス、活動レベルおよび姿勢変化などのデバイスおよび生理学的パラメータに基づいて、1つ以上のECGエピソードなどの心臓電位図データを調整し得る。例えば、患者4が高い活動レベルを示している期間中、またはIMD10が非常に変動するレベルの入力インピーダンスを受けている期間中、特徴描写は、心臓電位図データにおけるノイズに応答する自動トリガーによる心不整脈のエピソードを誤って検出する可能性がある。フィルタリングされた心臓電位図データの使用により、IMD10は、振幅レベルの変化などの信号アーチファクトの影響を受ける可能性があるこれらのノイズのあるデータの期間を破棄することができ得る。さらに、フィルタリングされた心臓電位図データを使用すると、機械学習モデルがノイズのないデータを分析するように設計されている可能性があるため、機械学習モデルの計算の複雑さが軽減され得る。さらに、フィルタリングされた心臓電位図データを使用すると、IMD10は機械学習モデルを使用せずに、心臓電位図データのノイズが原因で不整脈のエピソードが誤ってトリガーされる可能性がある特徴描写によって不整脈のエピソードが正しく検出されたことを検証でき、IMD10による消費電力をさらに削減する。いくつかの例では、一時停止に関連する失神または徐脈に関連する心不整脈の自動的にトリガーされるエピソードは、機械学習モデルによる処理では抑制されない可能性がある。
【0070】
IMD10は、機械学習システム250の機械学習モデルをフィルタリングされた心臓電位図データに適用して、特徴描写による心不整脈のエピソードの検出を検証する(508)。いくつかの例では、IMD10は、機械学習システム250の機械学習モデルをフィルタリングされた心臓電位図データに適用して、特徴描写による心不整脈のエピソードの分類を検証する。特徴描写による心不整脈のエピソードの検出が正しいことの検証に応答して、IMD10は、エピソードの心臓電位図データを記憶する、かつ/またはレビューのためにモニタリングセンタまたは臨床医に送信する。例えば、IMD10は、前述したように、不整脈のレポートを生成し(510)、そのレポートを臨床医またはモニタリングセンタに出力する(512)。
【0071】
図6は、本開示の技術による例示的な動作を示すフローチャートである。便宜上、図6は、図1および2に関連して説明されている。いくつかの例では、図6の動作は、機械学習システム250によって構築された不整脈辞書を使用して、患者4の心不整脈を検出および分類するための動作である。図6の動作において、システム2は、心不整脈を検出する際の機械学習システム250の機械学習モデルの精度と、特徴描写アルゴリズムの低消費電力とを組み合わせる。図6の動作は、図1のIMD10に関して説明されているが、他の例では、図6の動作は、例えば、外部デバイス12、またはIMD10と外部デバイス12との組み合わせによって実行され得る。
【0072】
図6に示されるように、IMD10は、患者4の心臓電位図データを感知する(602)。IMD10は、特徴描写を心臓電位図データに適用して、1つ以上の心臓特徴を検出する(604)。ステップ602および604の動作は、それぞれ、図4のステップ402および404と実質的に同様の方法で発生し得る。
【0073】
IMD10は、不整脈辞書270が少なくとも1つのエントリを含むかどうかを判定する(606)。不整脈辞書270の各エントリは、不整脈のエピソードを、徐脈、頻脈、心房細動、心室細動、または房室ブロックのエピソードなどの特定のタイプの不整脈または不整脈のセットとして定義する分類を含む。各エントリには、対応する分類の心不整脈のエピソードに関連する1つ以上の心臓の特徴がさらに含まれる。不整脈辞書270が少なくとも1つのエントリ(例えば、ブロック606の「はい」)を含むとの判定に応答して、IMD10は、特徴描写を介して得られた心臓特徴が不整脈辞書270のエントリの心臓特徴と類似しているかどうかを判定する(614)。例えば、IMD10は、特徴描写を介して得られた心臓特徴の1つ以上のパラメータを、不整脈辞書のエントリの心臓特徴の1つ以上のパラメータと比較し得る。いくつかの例では、IMD10は、L1距離、パーセント類似性、またはif-then-else規則などの計算効率の高い方法を適用することによって、特徴描写を介して得られた心臓特徴と不整脈辞書270のエントリの心臓特徴との間の類似性を判定し得る。
【0074】
例えば、IMD10は、特徴描写を介して得られた心臓特徴のL1距離と、不整脈辞書の複数のエントリの各エントリの心臓特徴のL1距離との類似性を判定する。別の例では、IMD10は、特徴描写を介して得られた心臓特徴の少なくとも1つのパラメータと、不整脈辞書270の複数のエントリの各エントリの心臓特徴の少なくとも1つのパラメータとの間の差が、所定の閾値より大きいかどうかを判定する。
【0075】
特徴描写を介して得られた心臓特徴が不整脈辞書のエントリの心臓特徴に類似しているとの判定に応答して(例えば、ブロック614の「はい」)、IMD10は、不整脈辞書のエントリが心臓特徴を関心対象の不整脈のエピソードを示すように定義するかどうかを判定する(616)。不整脈辞書のエントリが、関心対象の不整脈のエピソードを示すものとして心臓の特徴を定義すると判定したことに応答して(例えば、ブロック616の「はい」)、IMD10は、不整脈のレポートを生成し(610)、レポートをレビューのために臨床医またはモニタリングセンタに出力する(612)。ステップ610および612の動作は、それぞれ、図4のステップ410および412と実質的に同様の方法で発生し得る。
【0076】
不整脈辞書のエントリが、関心対象の不整脈のエピソードを示さないものとして心臓の特徴を定義すると判定したことに応答して(例えば、ブロック616の「いいえ」)、IMD10は、後でセンタまたは臨床医モニタリングによるレビューのために、感知された心臓電位図データをアーカイブし得る(618)。例えば、不整脈のエピソードが正常洞調律(NSR)、心室性期外収縮(PVC)、心房性期外収縮(PAC)、またはノイズによる1つ以上の信号アーチファクトのエピソードである場合、IMD10は、検出されたエピソードの特徴(例えば、平均、中央RR、RR変動、平均QRS形態、QRS形態偏差)を後で参照するために、記憶する。いくつかの例では、エピソードの心臓電位図データは、さらなる処理または報告に使用されない。
【0077】
不整脈辞書270が少なくとも1つのエントリを含まないと判定したことに応答して(例えば、ブロック606の「いいえ」)、または特徴描写を介して得られた心臓特徴が不整脈辞書270のどのエントリとも類似していないと判定したことに応答して(例えば、ブロック614の「いいえ」)、次に、IMD10は、機械学習システム250の機械学習モデルを心臓電位図データに適用して、特徴描写(608)および/または任意のものを検出する関心対象の他の不整脈による心不整脈のエピソードの検出を検証する。ステップ608の動作は、図4のステップ408と実質的に同様の方法で起こり得る。特徴描写による心不整脈のエピソードの検出が正しいこと、または関心対象の他の不整脈が存在することの検証に応答して、IMD10は、心臓特徴を不整脈辞書270に記憶する(620)。例えば、IMD10は、不整脈のエピソードの分類を定義し、不整脈のエピソードの分類を示す特徴描写を介して得られた1つ以上の心臓特徴を含む、不整脈辞書270に新しいエントリを作成する。したがって、IMD10は、機械学習システム250を使用し得、心不整脈のエピソードを検出および分類するための不整脈辞書270を構築、維持、および更新する。さらに、各タイプの不整脈の第1のインスタンスを検証および分類するためだけに機械学習システム250を使用すると、機械学習システム250の使用が制限され、それによってIMD10の電力が節約される可能性がある。いくつかの例では、機械学習システム250は、自動トリガーに応答して検出された心不整脈のエピソードを検証および分類するためにのみ使用される。いくつかの例では、心臓特徴を不整脈辞書270に新しいエントリとして記憶した後、IMD10は、不整脈のレポートを生成し(610)、レビューのためにレポートを臨床医またはモニタリングセンタに出力する(612)。
【0078】
図7は、本開示の技術による例示的な動作を示すフローチャートである。便宜上、図7は、図1に関して説明されている。いくつかの例では、図7の手術は、患者4の心不整脈を検出および分類するための手術である。図7の動作は、例えば、心不整脈を検出および分類するための図4の動作が、患者4の不整脈のエピソードを適切にトリガーまたは検出しない場合、患者の不整脈検出精度のためのバッテリ寿命とデバイス寿命との間のトレードオフを提供し得る。図7の動作は、図1のIMD10に関して説明されているが、他の例では、図7の動作は、例えば、外部デバイス12、またはIMD10と外部デバイス12との組み合わせによって実行され得る。
【0079】
ほとんどの患者(例えば、約80%~90%の間)において、例えば、図4および5によって説明される心不整脈検出動作は、不利な電力消費を回避しながら、不整脈検出の精度を向上させる。しかしながら、残りの部分集団では、例えば、図4および5によって説明される動作は、IMD10の配置または患者特徴のような様々な生理学的理由のために、不整脈検出において高精度を提供しない可能性がある(例えば、IMD10のシフトまたは移動によって心臓電位図の形態が変化する可能性がある)。不整脈診断の場合、そのような部分集団の患者は、そのようなスキームがより多くの電力を消費し得る(かつIMD10の最大バッテリ寿命の相応の減少を引き起こす)としても、IMD10を取り外すこと、またはIMD10を別のデバイスに変更することとは対照的に、より感度が高く複雑性の高い不整脈検出スキームの恩恵を受け得る。図7の動作は、不整脈検出方法を、例えば、図4または5の動作から、より複雑な機械学習不整脈検出スキームに切り替えるための技術を示している。
【0080】
図7に示されるように、IMD10は、患者4の心臓電位図データを感知する(702)。ステップ702の動作は、図4のステップ402と実質的に同様の方法で起こり得る。IMD10は、IMD10がデフォルトの心不整脈検出モードで動作しているかどうかを判定する(例えば、図4または5の動作など)(703)。通常、IMD10は、このようなデフォルトモードで動作を開始する。IMD10がデフォルトモード(例えば、ブロック703の「はい」)で動作しているとの判定に応答して、IMD10は、不整脈のエピソードを示す1つ以上の心臓特徴を検出するために、心臓電位図データに特徴描写を適用する(704)。いくつかの例では、IMD10は、追加のデバイスおよび生理学的パラメータを取得する(706)。IMD10は、機械学習システム250の機械学習モデルを心臓電位図データに適用して、特徴描写による心不整脈のエピソードの検出を検証する(708)。いくつかの例では、IMD10は、機械学習モデルを心臓電位図データに適用して、特徴描写によって検出されない他の分類の心不整脈の1つ以上のエピソードを検出する。いくつかの例では、IMD10は、機械学習モデルを心臓電位図データとデバイスおよび生理学的パラメータに適用して、検証または検出を実行する。ステップ704および708の動作は、図4のステップ404および408と実質的に同様の方法で発生し得る。
【0081】
IMD10は、機械学習モデルに基づいて、特徴描写が心不整脈のエピソードを正しく検出したかどうかを検証する(709)。特徴描写による心不整脈のエピソードの検出が正しいことの検証に応答して(例えば、ブロック709の「はい」)、IMD10は、不整脈のレポートを生成し(710)、そのレポートを臨床医またはモニタリングセンタに出力する(712)。ステップ704および708の動作は、図4のステップ704および708と実質的に同様の方法で行うことができる。いくつかの例では、IMD10は、デフォルトの心不整脈検出スキームに従って動作し続け得る。
【0082】
特徴描写による心不整脈のエピソードの検出が正しくないことを検証することに応答して(例えば、ブロック709の「いいえ」)、IMD10は、検出された心不整脈の不適切なインスタンスのカウンタをインクリメントする(716)。いくつかの例では、特徴描写が患者4で心不整脈のエピソードが発生したと誤って判定した場合、IMD10はカウンタを増分する。いくつかの例では、特徴描写が患者4の心不整脈のエピソードを特定のタイプの不整脈のエピソードとして誤って分類した場合、IMD10はカウンタを増分する。
【0083】
機械学習モデルに従って、特徴描写が心不整脈のエピソードまたは不整脈を含まないエピソードを永続的に検出する場合、IMD10は、デフォルトの心不整脈検出モードから、不整脈検出に機械学習モデルを使用する第2のモードに切り替わる。例えば、IMDは、検出された心不整脈のカウンタの不適切なインスタンスが所定の閾値より大きいかどうかを判定する(718)。カウンタが所定の閾値(例えば、ブロック718の「いいえ」)より大きくない場合、IMD10は、デフォルトの心不整脈検出スキームに従って動作を継続する。カウンタが所定の閾値よりも大きい場合(例えば、ブロック718の「はい」)、IMD10は、代替の不整脈検出モードに切り替わる(720)。いくつかの例では、IMD10は、生理学的特性とデバイス特性が満たされるまで検出モードを切り替えない。例えば、IMD10は、デバイスが適切に順守し、患者4が低または中活動レベルになり、不整脈の患者トリガーがアクティブになるまで、検出モードの切り替えを延期し得る。いくつかの例では、IMD10は、心臓電位図データをキャプチャする患者起動トリガーの期間中、機械学習不整脈検出をオフにする。
【0084】
その後の手術中に、IMD10は、患者4の心臓電位図データを感知する(702)。IMD10がデフォルトモード(例えば、ブロック703の「いいえ」)で動作していないとの判定に応答して、IMDは、心臓電位図データを処理して、フィルタリングされた心臓電位図データを生成する(707)。ステップ707の動作は、図5のステップ507と実質的に同様の方法で起こり得る。IMD10は、機械学習システム250の第2の機械学習モデルをフィルタリングされた心臓電位図データに適用して、フィルタリングされた心臓電位図データに存在する心不整脈のエピソードを検出する(724)。いくつかの例では、第2の機械学習モデルは、入力として、心臓電位図波形の少なくとも一部、1つ以上のデバイスパラメータ、または1つ以上の生理学的パラメータを受け取る。心臓電位図波形は、例えば、ECG波形であり得る。
【0085】
第2の機械学習モデルは、心不整脈の特徴描写検出よりも複雑であるため、第2の機械学習モデルは、IMD10の消費電力とバッテリ寿命に悪影響を与える可能性がある。したがって、IMD10は、バッテリ寿命の推定値を更新する(726)。いくつかの例では、IMD10は、外部デバイス12への送信の頻度または周期性を調整し得る。例えば、バッテリ寿命を節約するために、IMD10は、感知された心臓電位図データなどの患者データを毎日アップロードすることから、そのようなデータを毎週アップロードすることへと切り替え得、デバイスの寿命を延ばす。IMD10は、不整脈のレポートを生成し(710)、そのレポートを臨床医またはモニタリングセンタに出力する(712)。
【0086】
図8は、本開示の技術による例示的な動作を示すフローチャートである。便宜上、図8は、図1および2に関連して説明されている。いくつかの例では、図8の動作は、機械学習システム250によって構築された不整脈辞書を使用して、患者4の心不整脈を検出および分類するための動作である。図8の動作において、システム2は、心不整脈を検出する際の機械学習システム250の機械学習モデルの精度と、特徴描写アルゴリズムの低消費電力とを組み合わせる。図8の動作は、図1のIMD10に関して説明されているが、他の例では、図8の動作は、例えば、外部デバイス12、またはIMD10と外部デバイス12との組み合わせによって実行され得る。
【0087】
失神および心房細動のモニタリングなどの一部の用途では、関心対象の不整脈(例えば、一時停止、洞性細動、心房細動)、およびそのような不整脈の対応する心臓の特徴が臨床医に知られている。したがって、本開示の技術は、不整脈検出のために自動トリガーを使用するIMD10上に適切なアルゴリズムを実装することができる。しかしながら、心筋梗塞後のモニタリング(例えば、心室性期外収縮(PVC)の負担、STセグメントなどの特性が関心対象であり得る場合)、または経カテーテル大動脈弁置換術(TAVAR)後のモニタリングなど、他のタイプの用途の場合、モニタリングでは、正確な不整脈または関心対象の状態が分からない場合があり得る。したがって、図8の動作は、特定の不整脈検出アルゴリズムを開発することなく、複数の用途にわたって使用することができる一般的な機械学習モデルを実装する。
【0088】
図8の動作は、図6の動作と実質的に同様であり得る。しかしながら、以下でより詳細に考察されるように、図8の動作は、機械学習システムを適用して、特徴描写を介して得られた心臓特徴が不整脈辞書270のエントリの心臓特徴に類似しているかどうかを判定し、特徴描写を介して得られた心臓特徴が不整脈辞書270のエントリの分類と同じ分類の不整脈のエピソードを示しているかどうかを判定する。
【0089】
図8に示されるように、IMD10は、患者4の心臓電位図データを感知する(802)。IMD10は、特徴描写を心臓電位図データに適用して、1つ以上の心臓特徴を検出する(804)。ステップ802および84の動作は、それぞれ、図4のステップ402および404と実質的に同様の方法で発生し得る。いくつかの例では、IMD10によって実行される特徴描写は、高感度のために調整される。例えば、IMD10は、関心対象のエピソードを識別するために、高感度の自動トリガーアルゴリズムを実装することができる。いくつかの例では、特徴描写は、患者4の心臓電位図のセグメントを、セグメントが毎分90拍以上または毎分60拍未満のRR率、50ミリ秒を超えるRR変動、またはノイズがない場合の形態変動を示す、関心対象の不整脈のエピソードとして分類するように構成される。いくつかの例では、特徴描写は、患者4の心臓電位図のセグメントを、セグメントが非ノイズ、非NSR持続時間である関心対象の不整脈のエピソードとして分類するように構成される。
【0090】
IMD10は、不整脈辞書270が少なくとも1つのエントリを含むかどうかを判定する(806)。不整脈辞書270の各エントリは、徐脈、頻脈、心房細動、心室細動、または房室細動ブロックのエピソードなどの特定のタイプの不整脈として不整脈のエピソードを定義する分類を含む。各エントリには、対応する分類の心不整脈のエピソードに関連する1つ以上の心臓の特徴がさらに含まれる。
【0091】
不整脈辞書270が少なくとも1つのエントリ(例えば、ブロック806の「はい」)を含むとの判定に応答して、IMD10は、機械学習システム250を適用して、特徴描写を介して得られた心臓特徴が、不整脈辞書270のエントリの心臓特徴と類似しているかどうかを判定する(816)。いくつかの例では、機械学習システム250は、特徴描写を介して得られた心臓特徴が不整脈辞書270のエントリの心臓特徴に類似しているかどうかを判定する。いくつかの例では、機械学習システム250は、特定のタイプの不整脈を判定しない場合があるが、ノイズまたはNSRまたは不整脈辞書270のエントリ以外の心臓電位図の変化を検出する。
【0092】
特徴描写を介して得られた心臓特徴が不整脈辞書270のエントリの心臓特徴に類似しているとの判定に応答して(例えば、ブロック814の「はい」)、IMD10は、特徴描写を介して得られた心臓特徴が不整脈辞書270のエントリの分類と同じ分類の不整脈のエピソードであると判定する。いくつかの例では、IMD10は、患者4で発生したその分類の不整脈のエピソードの総数を追跡するために、不整脈辞書270のエントリの分類の不整脈のエピソードのカウンタを更新する(818)。IMD10は、不整脈辞書270のエントリとともにカウンタの値を記憶する(820)。カウンタの値を不整脈辞書270に記憶した後、IMD10は、不整脈のレポートを生成し(810)、レビューのためにそのレポートを臨床医またはモニタリングセンタに出力する(812)。ステップ810および812の動作は、それぞれ、図6のステップ610および612と実質的に同様の方法で行うことができる。
【0093】
不整脈辞書270が少なくとも1つのエントリを含まないと判定したことに応答して(例えば、ブロック806の「いいえ」)、または特徴描写を介して得られた心臓特徴が不整脈辞書270のどのエントリとも類似していないと判定したことに応答して(例えば、ブロック814の「いいえ」)、IMD10は、次に、機械学習システム250の機械学習モデルを心臓電位図データに適用して、心不整脈のエピソードを特徴付ける(808)。例えば、IMD10は、機械学習モデルを適用して、心不整脈のエピソードが発生したことを検証し、および/または心不整脈のエピソードの分類を判定する。いくつかの例では、機械学習モデルは、エピソードを「深層特徴」で特徴付ける深層学習モデルであり、例えば、ソフトマックス分類前の最終的な深層学習不整脈検出モデルの状態である)。
【0094】
IMD10は、心不整脈のタイプの発生数のカウンタの値(例えば、新しいエントリへ、対応する最初の発生については「1」)とともに、不整脈辞書270の新しいエントリとして不整脈辞書270に心臓特徴を記憶する(820)。いくつかの例では、IMD10は、新たに検出された不整脈のエピソードの深い特徴をエントリに記憶する。新しいエントリを作成し、不整脈辞書270にカウンタの値を記憶した後、IMD10は、不整脈のレポートを生成し(810)、レビューのためにそのレポートを臨床医またはモニタリングセンタに出力する(812)。例えば、IMD10は、臨床医による専門家によるレビューと検証のために、検出されたエピソードに対応する心臓電位図データを送信する。レビューは、薬物の変化などの他の患者の特徴に関連する信号の変化について、典型的な不整脈を超えて調べることができる専門家によって実施される。
【0095】
以下の実施例は、本開示の1つ以上の態様を示し得る。
【0096】
実施例1。方法であって、処理回路および記憶媒体を含む医療デバイスによって、患者の心臓電位図データを感知することと、医療デバイスによって、感知された心臓電位図データの特徴ベースの描写を実行して、心臓電位図データに存在し、かつ患者の不整脈のエピソードを示す心臓特徴を取得することと、医療デバイスによってかつ特徴ベースの描写に基づいて、不整脈のエピソードが患者において発生したことを検証するための機械学習モデルの適用のための閾値基準を心臓特徴が満たしていることを判定することと、機械学習モデルの適用のための閾値基準を心臓特徴が満たしていることを判定することに応じて、複数の患者の心臓電位図データを使用してトレーニングされた機械学習モデルを、医療デバイスによって、感知された心臓電位図データに適用して、機械学習モデルに基づいて、不整脈のエピソードが患者において発生したことを検証することと、機械学習モデルによって、不整脈のエピソードが患者において発生したことを検証することに応じて、医療デバイスによって、不整脈のエピソードが患者において発生したという指標と、不整脈のエピソードと一致する心臓特徴のうちの1つ以上と、を含む、レポートを生成することと、医療デバイスによって、不整脈のエピソードが患者において発生したという指標と、不整脈のエピソードと一致する心臓特徴のうちの1つ以上と、を含む、レポートを、表示のために、出力することと、を含む、方法。
【0097】
実施例2。患者における不整脈のエピソードが、患者における第1の分類の不整脈のエピソードであり、機械学習モデルを感知された心臓電位図データに適用して、不整脈のエピソードが患者に発生したことを検証するために、機械学習モデルを感知された心臓電位図データに適用して、第1の分類の不整脈のエピソードが患者において発生したことを検証することを含み、方法は、特徴ベースの描写に基づいて、第1の分類の不整脈のエピソードが患者に発生したことを判定することに応じて、機械学習モデルを感知された心臓電位図データに適用して、第2の分類の不整脈のエピソードが患者において発生したことを判定することをさらに含み、不整脈のエピソードが患者に発生したという指標と、不整脈のエピソードと一致する心臓特徴のうちの1つ以上と、を含む、レポートを生成するために、第1の分類の不整脈のエピソードが患者に発生したという指標と、第2の分類の不整脈のエピソードが患者に発生したという指標と、第1の分類の不整脈のエピソードと一致する心臓特徴のうちの1つ以上と、を含む、レポートを生成することを含む、実施例1に記載の方法。
【0098】
実施例3。心臓電位図データが患者の心電図(ECG)を含む、実施例1または2のいずれかに記載の方法。
【0099】
実施例4。心臓電位図データの特徴ベースの描写を実行して、心臓電位図データに存在する心臓特徴を取得することは、QRS検出、難治性処理、ノイズ処理、または心臓電位図データに存在する心臓特徴を取得するための心臓電位図データの描写のうちの少なくとも1つを実行することを含む、実施例1~3のいずれかに記載の方法。
【0100】
実施例5。機械学習モデルを適用して、患者において不整脈のエピソードが発生したことを検証するために機械学習モデルを適用して、徐脈、頻脈、心房細動、心室細動、または房室ブロックのうちの少なくとも1つのエピソードが患者において発生したことを検証することを含む、実施例1~4のいずれかに記載の方法。
【0101】
実施例6。心臓電位図データに存在する心臓特徴が、心臓電位図データに存在するRR間隔の1つ以上、心臓電位図データに存在する平均心拍数、心臓電位図データに存在する最小心拍数、心臓電位図データに存在する最大心拍数、心臓電位図データに存在するPR間隔、心臓電位図データに存在する心拍数の変動、心電図(ECG)の1つ以上の特徴の1つ以上の振幅、またはECGの1つ以上の特徴間の間隔である、実施例1~5のいずれかに記載の方法。
【0102】
実施例7。複数の患者の心臓電位図データを使用してトレーニングされた機械学習モデルが、複数の心電図(ECG)波形を使用してトレーニングされた機械学習モデルを含み、各ECG波形が複数の患者のうちのある患者における1つ以上の分類のエピソードで標識されている、実施例1~6のいずれかに記載の方法。
【0103】
実施例8。心臓特徴が閾値基準を満たすことを判定するために、患者の生理学的パラメータまたは医療機器のパラメータのうちの少なくとも1つが閾値基準を満たすことを判定することを含む、実施例1~7のいずれかに記載の方法。
【0104】
実施例9。機械学習モデルを感知された心臓電位図データに適用することは、機械学習モデルを、患者の不整脈に相関する感知された心臓電位図データの1つ以上の特徴、医療デバイスの活動レベル、医療機器の入力インピーダンス、または医療デバイスのバッテリレベルのうちの少なくとも1つに適用することをさらに含む、実施例1~8のいずれかに記載の方法。
【0105】
実施例10。機械学習モデルを感知された心臓電位図データに適用することは、心臓特徴が閾値基準を満たすと判定することおよび心臓特徴の少なくとも1つの特徴のノイズが所定の閾値未満であると判定することに応じて、機械学習モデルを感知された心臓電位図データに適用することを含む、実施例1~9のいずれかに記載の方法。
【0106】
実施例11。機械学習モデルを感知された心臓電位図データに適用することは、心臓特徴が閾値基準を満たすことを判定すること、および患者が複数の姿勢状態のうちの第1の姿勢状態にあることを判定することに応じて、機械学習モデルを感知された心臓電位図データに適用することを含む、実施例1~10のいずれかに記載の方法。
【0107】
実施例12。機械学習モデルを感知された心臓電位図データに適用することは、心臓特徴が閾値基準を満たすと判定すること、および患者が複数の活動状態のうちの第1の活動状態にあると判定することに応じて、機械学習モデルを感知された心臓電位図データに適用することを含む、実施例1~11のいずれかに記載の方法。
【0108】
実施例13。方法は、不整脈のエピソードが患者に発生したという指標と、不整脈のエピソードと一致する1つ以上の心臓特徴とを備えるレポートを出力することに応じて、医療デバイスおよびユーザから、心臓電位図データの特徴ベースの描写に対する調整を受信することと、心臓電位図データに存在する第2の心臓特徴を取得するために、調整に応じて、心臓電位図データの特徴ベースの描写を実行することと、を含む、実施例1~12のいずれかに記載の方法。
【0109】
実施例14。患者の心臓電位図データは、患者の心電図(ECG)を含み、不整脈のエピソードが患者において発生したという指標と、不整脈のエピソードと一致する心臓特徴のうちの1つ以上とを含むレポートを生成するために、患者のECGのサブセクションを識別することであって、サブセクションが、不整脈のエピソード前の第1の期間、不整脈のエピソード中の第2の期間、および不整脈のエピソード後の第3の期間についてのECGデータを含み、患者のECGの時間の長さが、第1、第2、および第3の期間よりも長い、識別することと、第1、第2、および第3の期間と一致する心臓特徴のうちの1つ以上を識別することと、レポートにおいて、ECGのサブセクションと、第1、第2、および第3の期間と一致する心臓特徴のうちの1つ以上を含むことと、を含む、実施例1~13のいずれかに記載の方法。
【0110】
実施例15。特徴ベースの描写に基づいて、不整脈のエピソードが患者に発生したことを検証するための機械学習モデルの適用のため心臓特徴が閾値基準を満たすことを判定することは、特徴ベースの描写に基づいて、第1の分類の不整脈のエピソードが患者に発生したと心臓特徴が示しているのを判定することと、不整脈のエピソードが患者に発生したことを検証するために機械学習モデルを感知された心臓電位図データに適用することは、心臓特徴が第1の分類の不整脈のエピソードの指標であるという特徴ベースの描写に基づいた判定を検証するために機械学習モデルを感知された心臓電位図データに適用することを含む、実施例1~14のいずれかに記載の方法。
【0111】
実施例16。不整脈のエピソードが患者に発生したことを検証することに応答して、患者の不整脈のエピソードの負担を判定することをさらに含み、患者の不整脈のエピソードの負担は、医療デバイスによる患者のモニタリング中の時間の長さに対する不整脈のエピソードの時間の長さの比率を含む、実施例1~15のいずれかに記載の方法。
【0112】
実施例17。方法は、医療デバイスによって、感知された心臓電位図データを処理して、フィルタリングされた心臓電位図データを生成することをさらに含み、機械学習モデルを感知された心臓電位図データに適用して、不整脈のエピソードが患者に発生したと検証することは、機械学習モデルをフィルタリングされた心臓電位図データに適用して、不整脈のエピソードが患者に発生したことを検証することを含む、実施例1~16のいずれかに記載の方法。
【0113】
実施例18。感知された心臓電位図データを処理して、フィルタリングされた心臓電位図データを生成することは、患者の高レベルの活動の期間または医療機器の非常に変化する入力インピーダンスの期間のうちの少なくとも1つを判定すること、患者の高レベルの活動の期間または医療機器の非常に変化する入力インピーダンスの期間のうちの少なくとも1つを判定することに応じて、患者の高レベルの活動の期間または医療デバイスの非常に変化する入力インピーダンスの期間の少なくとも1つと一致する、感知された心臓電位図データの少なくとも一部を破棄して、フィルタリングされた心臓電位図データを生成することを含む、実施例17に記載の方法。
【0114】
実施例19。患者の高レベルの活動の期間または非常に変動する入力インピーダンスの期間の少なくとも1つと一致する、感知された心臓電位図データの少なくとも一部を破棄することは、医療デバイスの感知された入力インピーダンス、患者の感知された活動レベル、または医療デバイスの非常に変動する入力インピーダンスの期間のうちの少なくとも1つと一致する患者の感知された姿勢変化のうちの1つ以上を破棄することを含む、実施例18に記載の方法。
【0115】
実施例20。機械学習モデルを感知された心臓電位図データに適用して、不整脈のエピソードが患者において発生したことを検証するために機械学習モデルに基づいて、不整脈のエピソードが患者に発生していないことの第1の判定、または機械学習モデルに基づいて、異なるタイプの不整脈のエピソードが患者において発生したことの第2の判定のうちの少なくとも1つを含み、第1の判定および第2の判定のうちの少なくとも1つに応じて、医療デバイスによって、患者における不整脈のエピソードの誤った検出のカウンタを更新することと、カウンタの値が所定の閾値より大きいと判定したことに応じて、感知された心臓電位図データの特徴ベースの描写を実行から、心臓電位図データに存在し、患者の不整脈のエピソードを示す心臓特徴を取得するように切り替えることと、をさらに含み、複数の患者の心臓電位図データを使用してトレーニングされた第2の機械学習モデルを、感知された心臓電位図データに適用して、機械学習モデルに基づいて、心臓電位図データに存在し、かつ患者における不整脈のエピソードを示す心臓特徴を取得する、実施例1~19のいずれかに記載の方法。
【0116】
実施例21。患者の心臓電位図データを感知することは、患者の第1の心臓電位図データを感知することを含み、この方法は、医療デバイスによって、患者の第2の心臓電位図データを感知することと、感知された第2の心臓電位図データに第2の機械学習モデルを適用して、機械学習モデルに基づいて、第2の心臓電位図データに存在し、かつ患者における第2の不整脈のエピソードを示す第2の心臓特徴を取得すること、第2の機械学習モデルによって、患者における第2の不整脈のエピソードを示す第2の心臓特徴を取得することに応答して、医療デバイスによって、第2の不整脈のエピソードが患者において発生したことの指標および第2の不整脈のエピソードに一致する第2の心臓特徴のうちの1つ以上を含む第2のレポートを生成すること、医療デバイスによって、かつ表示のために、第2の不整脈のエピソードが患者に発生したという指標と、第2の不整脈のエピソードと一致する第2の心臓特徴のうちの1つ以上とを含む第2のレポートを出力することを含む、実施例20に記載の方法。
【0117】
実施例22。カウンタの値が所定の閾値よりも大きいとの判定に応答して、医療デバイスによって、医療デバイスによる電力消費の推定値を更新することと、医療デバイスによって、および表示のために、医療デバイスによる消費電力の推定値を出力することとをさらに含む、実施例21または22のいずれかに記載の方法。
【0118】
実施例23。医療デバイスによって、感知された心臓電位図データを処理して、感知された心臓電位図データの中間表現を生成することをさらに含み、複数の患者の心臓電位図データを使用してトレーニングされた機械学習モデルを感知された心臓電位図データに適用して、不整脈のエピソードが患者に発生したことを検証することは、複数の患者の心臓電位図データの中間表現を使用してトレーニングされた機械学習モデルを感知された心臓電位図データの中間表現および心臓電位図データに存在する心臓特徴に適用して、不整脈のエピソードが患者に発生したことを検証することを含む、実施例1~22のいずれかに記載の方法。
【0119】
実施例24。感知された心臓電位図データを処理して、感知された心臓電位図データの中間表現を生成することは、フィルタを感知された心臓電位図データに適用すること、感知された心臓電位図データに対して信号分解を実行することのうちの少なくとも1つを含む、実施例23に記載の方法。
【0120】
実施例25。感知された心臓電位図データに対して信号分解を実行することは、感知された心臓電位図データに対してウェーブレット分解を実行することを含む、実施例24に記載の方法。
【0121】
実施例26。方法であって、処理回路および記憶媒体を含む医療デバイスによって、患者の心臓電位図データを感知することと、医療デバイスによって、感知された心臓電位図データの特徴ベースの描写を実行して、心臓電位図データに存在する心臓特徴を取得することと、医療デバイスによって、取得された心臓特徴と、医療デバイスの不整脈辞書の複数のエントリの各エントリの心臓特徴との類似性を判定することと、不整脈辞書の複数のエントリの各エントリが、患者における不整脈の複数の分類のある不整脈の分類および不整脈の分類を明らかにする心臓特徴を含み、取得された心臓特徴が不整脈辞書の複数のエントリの各エントリの心臓特徴と類似していないという判定に応じて、医療デバイスによって、不整脈のエピソードが患者において発生したことを、機械学習モデルに基づいて判定して、複数の患者の心臓電位図データを使用してトレーニングされた機械学習モデルを、感知された心臓電位図データに適用することと、医療デバイスによって、不整脈のエピソードの第1の分類および取得された心臓特徴を含む第1のエントリを不整脈辞書に記憶することと、を含む、方法。
【0122】
実施例27。不整脈のエピソードの第1の分類および取得された心臓特徴を含むエントリを記憶した後、医療デバイスによって、第1の分類の不整脈のエピソードが患者に発生したことの指標および第1の分類の不整脈のエピソードと一致する1つ以上の取得された心臓特徴を含むレポートを生成すること、医療デバイスによって、かつ表示のために、第1の分類の不整脈のエピソードが患者に発生したことの指標および第1の分類の不整脈のエピソードと一致する1つ以上の取得された心臓特徴を含むレポートを出力することをさらに含む、実施例26に記載の方法。
【0123】
実施例28。処理回路および記憶媒体を含む医療デバイスによって、患者の第2の心臓電位図データを感知することと、医療デバイスによって、感知された第2の心臓電位図データの特徴ベースの描写を実行して、第2の心臓電位図データに存在する第2の心臓特徴を取得することと、医療デバイスによって、第2の心臓特徴が、医療デバイスの不整脈辞書の複数のエントリの第1のエントリの心臓特徴に類似していることを判定することと、第2の心臓特徴が不整脈辞書の複数のエントリの第1のエントリの心臓特徴に類似しているとの判定に応じて、医療デバイスによって、第1の分類の不整脈のエピソードの指標および第1の分類の不整脈のエピソードと一致する第2の心臓特徴のうちの1つ以上を含むレポートを生成することと、医療デバイスによって、および表示のために、第1の分類の不整脈のエピソードが患者において発生したことの指標および第1の分類の不整脈のエピソードと一致する第2の心臓特徴の1つ以上を含むレポートを出力することと、を含む、実施例26または27のいずれかに記載の方法。
【0124】
実施例29。取得された心臓特徴と、医療デバイスの不整脈辞書の複数のエントリの各エントリの心臓特徴との類似性を判定することは、取得された心臓特徴のL1距離が医療デバイスの不整脈辞書の複数のエントリの各エントリの心臓特徴のL1距離とは類似していないことを判定することと、を含む、実施例26~28のいずれかに記載の方法。
【0125】
実施例30。取得された心臓特徴と、医療デバイスの不整脈辞書の複数のエントリの各エントリの心臓特徴との類似性を判定することは、取得された心臓特徴の少なくとも1つのパラメータと医療デバイスの不整脈辞書の複数のエントリの各エントリの心臓特徴の少なくとも1つのパラメータとの間の差が、所定の閾値よりも大きいと判定することを含む、実施例26~28のいずれかに記載の方法。
【0126】
実施例31。取得された心臓特徴と、医療デバイスの不整脈辞書の複数のエントリの各エントリの心臓特徴との類似性を判定することは、複数の患者の心臓電位図データについての心臓電位図データを使用してトレーニングされた第2の機械学習モデルを、取得された心臓特徴、および医療デバイスの不整脈辞書の複数のエントリの各エントリの心臓特徴に適用して、取得された心臓特徴が医療デバイスの不整脈辞書の複数のエントリの各エントリの心臓特徴と類似していないことを判定することを含む、実施例26~28のいずれかに記載の方法。
【0127】
実施例32。取得された心臓特徴が、医療デバイスの不整脈辞書の複数のエントリの第1のエントリの心臓特徴に類似しているとの判定に応じて、医療デバイスによって、医療デバイスの不整脈辞書の複数のエントリの第1のエントリによって定義される第1の分類の不整脈のエピソードのカウンタを更新することと、医療デバイスによって、医療デバイスの不整脈辞書の複数のエントリの第1のエントリにカウンタを記憶することとをさらに含む、実施例26~31のいずれかに記載の方法。
【0128】
実施例33。医療デバイスによって、取得された心臓特徴が患者の正常な洞調律(NSR)またはノイズに類似していないことを判定することをさらに含み、取得された心臓特徴が不整脈辞書の複数のエントリのうちの各エントリの心臓特徴と類似していないことの判定に応じて、機械学習モデルを感知された心臓電位図データに適用して、第1の分類の不整脈のエピソードが患者に発生したことを判定することは、取得された心臓特徴が不整脈辞書の複数のエントリの各エントリの心臓特徴に類似していないことを判定することに応じて、および取得された心臓特徴が患者のNSRに類似していないことを判定することに応じて、機械学習モデルを感知された心臓電位図データに適用して、第1の分類の不整脈のエピソードが患者に発生したことを判定することを含む、実施例26~32のいずれかに記載の方法。
【0129】
いくつかの例では、本開示の技術は、本明細書に記載のいずれかの方法を実行するための手段を含むシステムを含む。いくつかの例では、本開示の技術は、処理回路に本明細書に記載のいずれかの方法を実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体を含む。
【0130】
本明細書で開示される様々な態様は、説明および添付の図面に具体的に提示される組み合わせとは異なる組み合わせで組み合わせることができることを理解されたい。本明細書に記載のプロセスまたは方法のいずれかの特定の行為または事象は、実施例に応じて異なる順序で行われてもよく、追加、併合、または完全に省略されてもよい(例えば、全ての記載された行為または事象は、本技術を実行するために必要ではない場合がある)ことも理解されたい。さらに、本開示の特定の態様は、明確にするために、単一のモジュール、ユニット、または回路によって実行されるものとして説明されているが、本開示の技術は、例えば、医療デバイス置に関連するユニット、モジュール、または回路の組み合わせによって実行され得ることが理解されるべきである。
【0131】
1つ以上の例では、説明される技術は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されることができる。ソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上に1つ以上の命令またはコードとして記憶され、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行されることができる。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体(例えば、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、または命令もしくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用されることができ、かつコンピュータによってアクセスされることができる任意の他の媒体)などの、有形媒体に対応する非一時的コンピュータ可読媒体を含むことができる。
【0132】
命令は、1つ以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGA)、または他の同等の集積もしくは離散論理回路などの、1つ以上のプロセッサによって実行されることができる。したがって、本明細書に使用される「プロセッサ」または「処理回路」という用語は、前述の構造のいずれか、または記載された技術の実施に好適な任意の他の物理的構造を指すことができる。また、技術は、1つ以上の回路または論理要素で完全に実装されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8