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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ALK7結合タンパク質及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20250109BHJP
   C07K 16/40 20060101ALI20250109BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20250109BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20250109BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20250109BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20250109BHJP
   C12N 1/18 20060101ALI20250109BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20250109BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20250109BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 51/10 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250109BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
C07K16/28
C07K16/40
C07K16/46
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/18
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 N
A61P3/04
A61P3/10
A61P3/06
A61P1/16
A61P29/00
A61P9/04
A61P9/00
A61P9/10
A61P9/10 101
A61P9/12
A61P25/00
A61P27/02
A61P11/00
A61P13/12
A61P1/18
A61P15/00
A61P19/06
A61P7/00
A61P17/00
A61P35/00
A61K45/00
A61K51/10 100
A61P43/00 121
C12N15/13 ZNA
【請求項の数】 42
(21)【出願番号】P 2021570762
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-01
(86)【国際出願番号】 US2020035141
(87)【国際公開番号】W WO2020243443
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】62/854,619
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517194542
【氏名又は名称】アクセレロン ファーマ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クノップ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】クマール,ラビンドラ
(72)【発明者】
【氏名】グリンバーグ,アシャ
(72)【発明者】
【氏名】サコ,ダイアン
(72)【発明者】
【氏名】カストングアイ,ロゼリン
(72)【発明者】
【氏名】ダゴン,ヨッシ
(72)【発明者】
【氏名】ベルク,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】シャーキー,ネイサン ジェイ.
【審査官】野村 英雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/185037(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/084249(WO,A1)
【文献】YOGOSAWA, S., et al.,"Activin Receptor-Like Kinase 7 Suppresses Lipolysis to Accumulate Fat in Obesity Through Downregulation of Peroxisome Proliferator-Activated Receptor γ and C/EBPalpha.",DIABETES,2013年01月,Vol.62,pp.115-123,DOI: 10.2337/db12-0295
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ALK7結合性タンパク質であって、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合し、VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2及びVL-CDR3のCDRのセットを含む抗体であり
(a)(i)VH-CDR1が配列番号1のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-CDR2が配列番号2のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-CDR3が配列番号3のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-CDR1が配列番号10のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-CDR2が配列番号11のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-CDR3が配列番号12のアミノ酸配列を含むか、
(b)(i)VH-CDR1が配列番号19のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-CDR2が配列番号20のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-CDR3が配列番号21のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-CDR1が配列番号28のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-CDR2が配列番号29のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-CDR3が配列番号30のアミノ酸配列を含むか、
(c)(i)VH-CDR1が配列番号37のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-CDR2が配列番号38のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-CDR3が配列番号39のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-CDR1が配列番号46のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-CDR2が配列番号47のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-CDR3が配列番号48のアミノ酸配列を含むか、または
(d)(i)VH-CDR1が配列番号55のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-CDR2が配列番号56のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-CDR3が配列番号57のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-CDR1が配列番号64のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-CDR2が配列番号65のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-CDR3が配列番号66のアミノ酸配列を含む
ALK7結合性タンパク質。
【請求項2】
ALK7結合性タンパク質であって、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合し、抗原結合性領域(ABRのセットであるVH-ABR1、VH-ABR2、VH-ABR3、VL-ABR1、VL-ABR2及びVL-ABR3を含む抗体であり
(a)(i)VH-ABR1が配列番号73のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-ABR2が配列番号74または69のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-ABR3が配列番号75または70のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-ABR1が配列番号71のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-ABR2が配列番号72のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-ABR3が配列番号87のアミノ酸配列を含むか、
(b)(i)VH-ABR1が配列番号76のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-ABR2が配列番号77または88のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-ABR3が配列番号78または89のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-ABR1が配列番号90のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-ABR2が配列番号91のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-ABR3が配列番号92のアミノ酸配列を含むか、
(c)(i)VH-ABR1が配列番号79のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-ABR2が配列番号80または93のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-ABR3が配列番号81または94のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-ABR1が配列番号95のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-ABR2が配列番号96のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-ABR3が配列番号97のアミノ酸配列を含むか、または
(d)(i)VH-ABR1が配列番号82のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-ABR2が配列番号83または98のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-ABR3が配列番号84または99のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-ABR1が配列番号100のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-ABR2が配列番号101のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-ABR3が配列番号102のアミノ酸配列を含む
ALK7結合性タンパク質。
【請求項3】
(a)(i)配列番号4に対して少なくとも90の配列同一性を有するVHと、
(ii)配列番号13に対して少なくとも90の配列同一性を有するVL、
(b)(i)配列番号22に対して少なくとも90の配列同一性を有するVHと、
(ii)配列番号31に対して少なくとも90の配列同一性を有するVL、
(c)(i)配列番号40に対して少なくとも90の配列同一性を有するVHと、
(ii)配列番号49に対して少なくとも90の配列同一性を有するVL、または
(d)(i)配列番号58に対して少なくとも90の配列同一性を有するVHと、
(ii)配列番号67に対して少なくとも90の配列同一性を有するVL
から選択されるVHとVLの対を含み、前記タンパク質はALK7に結合する、請求項1または2に記載のALK7結合性タンパク質。
【請求項4】
(a)(i)配列番号4の参照VH配列から合計で0~12個ロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVH配列と、
(ii)配列番号13の参照VL配列から合計で0~10個の、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVL配列、
(b)(i)配列番号22の参照VH配列から合計で0~12個の、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVH配列と、
(ii)配列番号31の参照VL配列から合計で0~10個の、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVL配列、
(c)(i)配列番号40の参照VH配列から合計で0~12個の、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVH配列と、
(ii)配列番号49の参照VL配列から合計で0~10個の、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVL配列、または
(d)(i)配列番号58の参照VH配列から合計で0~12個の、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVH配列と、
(ii)配列番号67の参照VL配列から合計で0~10個から選択されるVHとVLの対を含み、前記タンパク質はALK7に結合する、請求項1または2に記載のALK7結合性タンパク質。
【請求項5】
前記VHとVLの対は、
(a)配列番号4のVH配列と配列番号13のVL配列、
(b)配列番号22のVH配列と配列番号31のVL配列、
(c)配列番号40のVH配列と配列番号49のVL配列、または
(d)配列番号58のVH配列と配列番号67のVL配列
から選択され、前記タンパク質はALK7に結合する、請求項3または4に記載のALK7結合性タンパク質。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載のALK7結合性タンパク質と、ALK7への結合を交差阻止するかまたはALK7への結合に対して競合する、ALK7結合性タンパク質。
【請求項7】
ALK7活性に拮抗する能力がある、請求項1~のいずれか一項に記載のALK7結合性タンパク質。
【請求項8】
脂肪細胞での脂肪分解を増大させる能力がある、請求項1~のいずれか一項に記載のALK7結合性タンパク質。
【請求項9】
白色脂肪細胞または褐色脂肪細胞での脂肪分解を増大させる能力がある、請求項に記載のALK7結合性タンパク質。
【請求項10】
脂肪細胞でのALK7媒介性の脂肪分解阻害に拮抗する能力がある、請求項6~9のいずれか一項に記載のALK7結合性タンパク質。
【請求項11】
白色脂肪細胞または褐色脂肪細胞でのALK7媒介性の脂肪分解阻害に拮抗する能力がある、請求項6~10のいずれか一項に記載のALK7結合性タンパク質。
【請求項12】
脂肪細胞での脂肪分解を少なくとも5%~100増大させる能力がある、請求項8または9に記載のALK7結合性タンパク質。
【請求項13】
脂肪分解は、1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される脂肪分解アッセイにおいて決定される、請求項8または9に記載のALK7結合性タンパク質。
【請求項14】
前記脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される、請求項13に記載のALK7結合性タンパク質。
【請求項15】
前記結合性タンパク質は、
(a)1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンドの存在下で、ALK7及びActRII受容体を発現している細胞表面上での、ALK7、II型受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)、及び1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビンB、アクチビンAB、Nodal、GDF1、GDF3及び/またはGDF8)を含有する複合体の形成を減少させる、
(b)ALK7への結合に対して1つ以上のII型受容体と競合する、
(c)ALK7への結合に対して1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビンB、アクチビンAB、Nodal、GDF1、GDF3及び/またはGDF8)と競合する、
(d)1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンAB、及び/またはNodal)の存在下でALK7及びII型受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)を発現している細胞でのALK7のリン酸化を減少させる、
(e)1つ以上のTGF-ベータリガンド(例えば、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンAB、及び/またはNodal)の存在下でALK7及びII型受容体(例えば、ActRIIA及び/またはActRIIB)を発現している細胞でのSmad(例えば、Smad2及び/またはSmad3)のリン酸化を減少させる、
(f)ALK7に、1nM以下かつ1pM以上のK(例えば、BIACORE(登録商標)分析により決定した場合)で結合する、ならびに
(g)ALK7、共受容体(例えば、cripto及び/またはcryptic)、及び1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、Nodal)を含有する複合体の形成を減少させる、
という特性から選択される少なくとも1つの特性を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のALK7結合性タンパク質。
【請求項16】
前記ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞でのグリセロール生成を増大させる、請求項1~15のいずれか一項に記載のALK7結合性タンパク質。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載のALK7結合性タンパク質であって、その重鎖定常領域にLALA変異またはLALA-PG変異をさらに含む、前記ALK7結合性タンパク質。
【請求項18】
前記抗体は、モノクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、またはALK7結合性抗体断片である、請求項1~17のいずれか一項に記載のALK7結合性タンパク質。
【請求項19】
前記ALK7結合性抗体断片は、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、Fv断片、ダイアボディ、または一本鎖抗体分子である、請求項18に記載のALK7結合性タンパク質。
【請求項20】
前記抗体はさらに、
(a)ヒトIgA定常ドメイン、
(b)ヒトIgD定常ドメイン、
(c)ヒトIgE定常ドメイン、
(d)ヒトIgG1定常ドメイン、
(e)ヒトIgG2定常ドメイン、
(f)ヒトIgG3定常ドメイン、
(g)ヒトIgG4定常ドメイン、及び
(h)ヒトIgM定常ドメイン
から選択される重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のALK7結合性タンパク質。
【請求項21】
前記抗体はさらに、
(a)ヒトIgカッパ定常ドメイン、及び
(b)ヒトIgラムダ定常ドメイン
から選択される軽鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のALK7結合性タンパク質。
【請求項22】
前記抗体はさらに、ヒトIgG1重鎖定常ドメイン及びヒトカッパ軽鎖定常ドメインを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のALK7結合性タンパク質。
【請求項23】
前記抗体はさらに、その重鎖定常ドメインに変異、置換、または修飾を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のALK7結合性タンパク質。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載のALK7結合性タンパク質をコードする、核酸分子または核酸分子のセット。
【請求項25】
cDNAである、請求項24に記載の核酸分子または核酸分子のセット。
【請求項26】
請求項24または25に記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項27】
請求項24もしくは25に記載の核酸分子、または請求項26に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項28】
前記宿主細胞は、哺乳類宿主細胞である、請求項27に記載の宿主細胞。
【請求項29】
前記宿主細胞は、NS0マウス骨髄腫細胞、PER.C6(登録商標)ヒト細胞、またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項27に記載の宿主細胞。
【請求項30】
請求項1~23のいずれか一項に記載のALK7結合性タンパク質を作製する方法であって、請求項27~29のいずれか一項に記載の宿主細胞を、前記ALK7結合性タンパク質を産生するための好適な条件下で培養することを含む、前記方法。
【請求項31】
前記宿主細胞から分泌される前記ALK7結合性タンパク質を単離することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
請求項30または31に記載の方法を使用して生成される、ALK7結合性タンパク質。
【請求項33】
請求項1~23のいずれか一項に記載のALK7結合性タンパク質及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項34】
医薬品として使用するための、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
ALK7発現またはALK7シグナル伝達と関連する疾患もしくは状態を治療及び/または改善するための医薬品として使用するための、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
疾患又は状態が、ALK7媒介性シグナル伝達上昇と関連する、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記疾患または状態は、肥満(例えば、腹部肥満または内臓肥満);過体重;インスリン抵抗性;メタボリックシンドローム及び他の代謝性の疾患もしくは状態;HDL低値、LDL高値、高脂血症、高トリグリセリド血症もしくは脂質異常症等の脂質障害;リポタンパク質異常;トリグリセリド低下;炎症(例えば、肝臓の炎症及び/または脂肪組織の炎症)、脂肪性肝疾患;非アルコール性脂肪性肝疾患;高血糖症;耐糖能異常(IGT);高インスリン血症;高コレステロール(例えば、LDL高値及び高コレステロール血症);冠動脈心疾患を含む心疾患、うっ血性心不全、脳卒中、末梢血管疾患、アテローム性動脈硬化等の心血管疾患;動脈硬化、及び高血圧;シンドロームX;血管再狭窄;ニューロパチー;網膜症;神経変性疾患;内皮機能障害、呼吸機能障害、腎疾患(例えば、腎症);膵炎;多嚢胞性卵巣症候群;尿酸値上昇;ヘモクロマトーシス(鉄過剰);黒色表皮腫(皮膚上の暗色斑);及びがん(例えば、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫、形質細胞腫、限局性骨髄腫、または髄外骨髄腫)、または卵巣癌、乳癌、結腸癌、子宮内膜癌、肝癌、腎臓癌、膵癌、胃癌、子宮癌もしくは結腸癌);及び/または上記の疾患もしくは状態のうち1つ以上と関連するか、もしくは体脂肪過多と関連する他の障害/状態、から選択されるメンバーである、請求項35又は36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記ALK7結合性タンパク質はさらに、標識基またはエフェクター基を含む、請求項33~37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記エフェクター基は、放射性同位体、放射性核種、毒素、治療剤及び化学療法剤から選択される、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記薬組成物は、単独で、または併用療法として投与される、求項33~39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
対象でのALK7活性を低下させるための医薬品として使用するための、求項33~39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項42】
プラダー-ウィリー症候群を治療及び/または改善するための医薬品として使用するための、求項33~39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許出願は、2019年5月30日に提出された米国仮特許出願第62/854,619号に対する優先権を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2020年4月10日に作成された上記ASCIIコピーはAPH-00725_SL.txtという名前であり、サイズは46,595バイトである。
【背景技術】
【0003】
米国及び世界中のいくつかの国々では過体重及び肥満がまん延しており、すべての年齢、人種及び民族の集団で男女ともに増加している。過体重及び肥満はまた、生命活動及び生活習慣を障害する他の疾患または状態と関連する。肥満は、2型糖尿病、炎症、ならびに心血管疾患、肺疾患、脂肪性肝疾患、神経疾患、及び肝疾患、及び腎疾患等、他の疾患及び状態重篤な危険因子として認識されている。
【0004】
2型糖尿病は慢性の進行性疾患であり、これも同様にまん延している。II型糖尿病に対する確立された治療法はないが、疾患の避けられない転帰を遅延または軽減するための、認識されている治療が多数ある。2型糖尿病は最初に、特に肥満の対象では、食事と運動の調整により、また体重減少により治療されることがほとんどである。臨床像を改善する体重減少量はときにわずか(例えば、4.4~11ポンド)であり、これは、脂肪組織活性、例えば、化学的シグナル伝達(特に、腹部臓器とその周辺の内臓脂肪組織での)の十分に解明されていない側面による可能性が高い。
【0005】
上述を考慮し、過体重、肥満及び2型糖尿病の流行を制御し治療するための新たな治療剤が必要とされている。追加のALK7結合性タンパク質及びその使用は、過体重、肥満、2型糖尿病、及びそれらに関連する状態;代謝障害、ならびにALK7を標的とすることにより治療、予防または改善され得る他の疾患もしくは状態の、診断と治療、予防及び/または改善に有用であろう。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、ALK7結合性タンパク質及びかかるALK7結合性タンパク質を使用する方法を提供する。特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7が1つ以上の同族ALK7リガンド及び/または1つ以上の同族ActRI受容体と結合することを阻害もしくは阻止する能力がある。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7、ならびにActRII受容体(ActRIIAまたはActRIIB)及びGDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、またはNodalの多量体化を阻害もしくは阻止する能力がある。開示はまた、ALK7発現及び/またはALK7媒介性シグナル伝達上昇と関連する疾患もしくは状態の診断、もしくは治療、予防及び/または改善のためのALK7結合性タンパク質を使用する方法も提供する。そのような疾患または状態としては、過体重、肥満(例えば、腹部肥満);インスリン抵抗性;メタボリックシンドローム及び他の代謝性の疾患もしくは状態;HDL低値、LDL高値、高脂血症、高トリグリセリド血症もしくは脂質異常症等の脂質障害;リポタンパク質異常;トリグリセリド低下;炎症(例えば、肝臓の炎症及び/または脂肪組織の炎症)、脂肪性肝疾患;非アルコール性脂肪性肝疾患;高血糖症;耐糖能異常(IGT);高インスリン血症;高コレステロール(例えば、LDL高値及び高コレステロール血症);冠動脈心疾患を含む心疾患、うっ血性心不全、脳卒中、末梢血管疾患、線維素溶解障害、アテローム性動脈硬化等の心血管疾患;動脈硬化、及び高血圧;シンドロームX;血管再狭窄;ニューロパチー;網膜症;神経変性疾患;内皮機能障害、呼吸機能障害、腎疾患(例えば、腎症);膵炎;多嚢胞性卵巣症候群;尿酸値上昇;ヘモクロマトーシス(鉄過剰);黒色表皮腫(皮膚上の暗色斑);及びがん(例えば、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫、形質細胞腫、限局性骨髄腫、または髄外骨髄腫)、または卵巣癌、乳癌、結腸癌、子宮内膜癌、肝癌、腎臓癌、膵癌、胃癌、子宮癌もしくは結腸癌);ならびに上記の疾患もしくは状態のうち1つ以上か、または過剰体重(例えば、体格指数(BMI)≧25kg/m)か、または体脂肪過多と関連する他の障害/状態が挙げられるが、これらに限定されない。本開示はまた、限定するわけではないが、抗体等のアンタゴニストALK7結合性タンパク質を使用して、体重を減少させる(例えば、体重減少を促進する)ための方法、及び体重増加を減少させる(例えば、体重増加を予防する)ための方法も提供する。
【0007】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合する。さらなる実施形態では、提供されるALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合し、(a)1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンドの存在下で、ALK7及びActRII受容体を発現している細胞表面上での、ALK7、II型受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)、及び1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビンB、アクチビンAB、Nodal、GDF1、GDF3及び/またはGDF8)を含有する複合体の形成を減少させる、(b)ALK7への結合をActRIIAまたはActRIIB)と競合する、(c)ALK7への結合に対して1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビンB、アクチビンAB、Nodal、GDF1、GDF3及び/またはGDF8)と競合する、(d)1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンAB、及び/またはNodal)の存在下でALK7及びII型受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)を発現している細胞でのALK7のリン酸化を減少させる、(e)1つ以上のTGF-ベータリガンド(例えば、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンAB、及び/またはNodal)の存在下でALK7及びII型受容体(例えば、ActRIIA及び/またはActRIIB)を発現している細胞でのSmad(例えば、Smad2及び/またはSmad3)のリン酸化を減少させる、(f)ALK7に、1nM以下かつ1pM以上のK(例えば、BIACORE(登録商標)分析により決定した場合)で結合する、ならびに(g)ALK7、共受容体(例えば、cripto及び/またはcryptic)、及び1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、Nodal)を含有する複合体の形成を減少させる、という特性から選択される少なくとも1つの特性を有する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7アンタゴニスト(例えば、抗ALK7中和抗体)である。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞での脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞(例えば、白色脂肪細胞)を使用した脂肪分解アッセイにおいて脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。さらなる実施形態では、脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、上記の特性のうち2つ、3つ、または4つを有する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、上記の特性のうち少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つを有する。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7への結合を、本明細書に開示されるALK7結合性のVHとVLの対を有する抗体と交差阻止するかまたはALK7への結合に対して競合する。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片である。
【0008】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、相補性決定領域(CDR)のセット、すなわち、重鎖可変領域(VH)-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、軽鎖可変領域(VL)-CDR1、VL-CDR2及びVL-CDR3を含み、かかるCDRは、表1に開示されている重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)の対に存在する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、(a)配列番号4のVH配列と配列番号13のVL配列、(b)配列番号22のVH配列と配列番号31のVL配列、(c)配列番号40のVH配列と配列番号49のVL配列、及び(d)配列番号58のVH配列と配列番号67のVL配列、から選択されるVHとVLの対に存在するCDRのセットを含む。
【0009】
追加の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合し、CDRのセット、すなわち、VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVL-CDR3を含み、かかるCDRのセットは、CDRの参照セット、すなわち、(a)(i)VH-CDR1が配列番号1のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-CDR2が配列番号2のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-CDR3が配列番号3のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-CDR1が配列番号10のアミノ酸配列を含み、(v)VL-CDR2が配列番号11のアミノ酸を含み、(vi)VL-CDR3が配列番号12のアミノ酸配列を含むか、(b)(i)VH-CDR1が配列番号19のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-CDR2が配列番号20のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-CDR3が配列番号21のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-CDR1が配列番号28のアミノ酸配列を含み、(v)VL-CDR2が配列番号29のアミノ酸を含み、(vi)VL-CDR3が配列番号30のアミノ酸配列を含むか、(c)(i)VH-CDR1が配列番号37のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-CDR2が配列番号38のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-CDR3が配列番号39のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-CDR1が配列番号46のアミノ酸配列を含み、(v)VL-CDR2が配列番号47のアミノ酸を含み、(vi)VL-CDR3が配列番号48のアミノ酸配列を含むか、または(d)(i)VH-CDR1が配列番号55のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-CDR2が配列番号56のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-CDR3が配列番号57のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-CDR1が配列番号64のアミノ酸配列を含み、(v)VL-CDR2が配列番号65のアミノ酸を含み、(vi)VL-CDR3が配列番号66のアミノ酸配列を含むというセットと同一であるか、あるいはそこから合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、もしくは10未満の、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有し、かかるタンパク質はALK7と結合する。
【0010】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合し、CDRのセット、すなわち、(a)(i)VH-CDR1が配列番号1のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-CDR2が配列番号2のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-CDR3が配列番号3のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-CDR1が配列番号10のアミノ酸配列を含み、(v)VL-CDR2が配列番号11のアミノ酸を含み、(vi)VL-CDR3が配列番号12のアミノ酸配列を含むか、(b)(i)VH-CDR1が配列番号19のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-CDR2が配列番号20のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-CDR3が配列番号21のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-CDR1が配列番号28のアミノ酸配列を含み、(v)VL-CDR2が配列番号29のアミノ酸を含み、(vi)VL-CDR3が配列番号30のアミノ酸配列を含むか、(c)(i)VH-CDR1が配列番号37のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-CDR2が配列番号38のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-CDR3が配列番号39のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-CDR1が配列番号46のアミノ酸配列を含み、(v)VL-CDR2が配列番号47のアミノ酸を含み、(vi)VL-CDR3が配列番号48のアミノ酸配列を含むか、または(d)(i)VH-CDR1が配列番号55のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-CDR2が配列番号56のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-CDR3が配列番号57のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-CDR1が配列番号64のアミノ酸配列を含み、(v)VL-CDR2が配列番号65のアミノ酸を含み、(vi)VL-CDR3が配列番号66のアミノ酸配列を含むというセットを含み、かかるタンパク質はALK7と結合する。
【0011】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、抗原結合領域(ABR)のセット、すなわち、重鎖可変領域(VH)-ABR1、VH-ABR2、VH-ABR3、軽鎖可変領域(VL)-ABR1、VL-ABR2及びVL-ABR3を含み、かかるABRは、表1に開示されている重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)の対に存在する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、(a)配列番号4のVH配列と配列番号13のVL配列、(b)配列番号22のVH配列と配列番号31のVL配列、(c)配列番号40のVH配列と配列番号49のVL配列、及び(d)配列番号58のVH配列と配列番号67のVL配列、から選択されるVHとVLの対に存在するABRのセットを含む。
【0012】
追加の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合し、ABRのセット、すなわち、VH-ABR1、VH-ABR2、VH-ABR3、VL-ABR1、VL-ABR2、及びVL-ABR3を含み、かかるABRのセットは、ABRの参照セット、すなわち、(a)(i)VH-ABR1が配列番号73のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-ABR2が配列番号74または69のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-ABR3が配列番号75または70のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-ABR1が配列番号71のアミノ酸配列を含み、(v)VL-ABR2が配列番号72のアミノ酸を含み、(vi)VL-ABR3が配列番号87のアミノ酸配列を含むか、(b)(i)VH-ABR1が配列番号76のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-ABR2が配列番号77または88のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-ABR3が配列番号89のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-ABR1が配列番号90のアミノ酸配列を含み、(v)VL-ABR2が配列番号91のアミノ酸を含み、(vi)VL-ABR3が配列番号92のアミノ酸配列を含むか、(c)(i)VH-ABR1が配列番号79のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-ABR2が配列番号80または93のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-ABR3が配列番号81または94のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-ABR1が配列番号95のアミノ酸配列を含み、(v)VL-ABR2が配列番号96のアミノ酸を含み、(vi)VL-ABR3が配列番号97のアミノ酸配列を含むか、または(d)(i)VH-ABR1が配列番号82のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-ABR2が配列番号83または98のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-ABR3が配列番号84または99のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-ABR1が配列番号100のアミノ酸配列を含み、(v)VL-ABR2が配列番号101のアミノ酸を含み、(vi)VL-ABR3が配列番号102のアミノ酸配列を含むというセットと同一であるか、あるいはそこから合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、もしくは10未満の、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有し、かかるタンパク質はALK7と結合する。
【0013】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合し、ABRのセット、すなわち、(a)(i)VH-ABR1が配列番号73のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-ABR2が配列番号74または69のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-ABR3が配列番号75または70のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-ABR1が配列番号71のアミノ酸配列を含み、(v)VL-ABR2が配列番号72のアミノ酸を含み、(vi)VL-ABR3が配列番号87のアミノ酸配列を含むか、(b)(i)VH-ABR1が配列番号76のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-ABR2が配列番号77または88のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-ABR3が配列番号89のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-ABR1が配列番号90のアミノ酸配列を含み、(v)VL-ABR2が配列番号91のアミノ酸を含み、(vi)VL-ABR3が配列番号92のアミノ酸配列を含むか、(c)(i)VH-ABR1が配列番号79のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-ABR2が配列番号80または93のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-ABR3が配列番号81または94のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-ABR1が配列番号95のアミノ酸配列を含み、(v)VL-ABR2が配列番号96のアミノ酸を含み、(vi)VL-ABR3が配列番号97のアミノ酸配列を含むか、または(d)(i)VH-ABR1が配列番号82のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-ABR2が配列番号83または98のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-ABR3が配列番号84または99のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-ABR1が配列番号100のアミノ酸配列を含み、(v)VL-ABR2が配列番号101のアミノ酸を含み、(vi)VL-ABR3が配列番号102のアミノ酸配列を含むというセットを含み、かかるタンパク質はALK7と結合する。
【0014】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合し、VHとVLの対、すなわち、(a)(i)配列番号4に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVHと、(ii)配列番号13に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL、(b)(i)配列番号22に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVHと、(ii)配列番号31に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL、(c)(i)配列番号40に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVHと、(ii)配列番号49に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL、及び(d)(i)配列番号58に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVHと、(ii)配列番号67に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL、から選択される対を含み、かかるタンパク質はALK7と結合する。
【0015】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、VHとVLの対、すなわち、(a)(i)配列番号4から選択される参照VH配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVH配列と、(ii)配列番号13の参照VL配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVL配列、(b)(i)配列番号22の参照VH配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVH配列と、(ii)配列番号31の参照VL配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVL配列、(c)(i)配列番号40の参照VH配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVH配列と、(ii)配列番号49の参照VL配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVL配列、ならびに(d)(i)配列番号58の参照VH配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVH配列と、(ii)配列番号67の参照VL配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVL配列、から選択される対を含み、かかるタンパク質はALK7と結合する。
【0016】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合する抗体である。追加の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、または多重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7結合性抗体断片である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、ダイアボディ、DART、及び一本鎖抗体分子(例えば、BiTE)から選択される抗体断片である。
【0017】
ALK7結合性タンパク質をコードする核酸及び核酸のセットもまた提供される。核酸及び核酸のセットを含有する、ベクター及びベクターのセット、ならびに核酸及びベクターで形質転換された宿主細胞がさらに提供される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、ハイブリドーマまたはNS0マウス骨髄腫細胞、PER.C6(登録商標)ヒト細胞、もしくはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞等の哺乳類宿主細胞である。ALK7結合性タンパク質を産生する哺乳類宿主細胞及びハイブリドーマを含めた宿主細胞もまた提供される。
【0018】
ALK7結合性タンパク質を作製するための方法もまた提供される。いくつかの実施形態では、方法は、ALK7結合性タンパク質を発現する能力がある宿主細胞を、かかるタンパク質を発現させるための好適な条件下で培養し、任意選択で、発現されたALK7結合性タンパク質を単離することを含む。本明細書に開示される方法または当該技術分野で知られる他の方法を使用して調製及び/または単離されるALK7結合性タンパク質もまた提供される。
【0019】
ALK7結合性タンパク質と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物がさらに提供される。いくつかの実施形態では、開示は、ALK7発現もしくはALK7媒介性シグナル伝達の上昇と関連するか、またはALK7シグナル伝達の低下により治療及び/または改善され得る、対象における状態を治療及び/または改善する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法により、対象でのALK7媒介性シグナル伝達が低下する。
【0020】
提供される方法を使用して対象において治療及び/または改善され得る状態としては、肥満(例えば、腹部肥満);過体重;インスリン抵抗性;メタボリックシンドローム及び他の代謝性の疾患もしくは状態;HDL低値、LDL高値、高脂血症、高トリグリセリド血症もしくは脂質異常症等の脂質障害;リポタンパク質異常;トリグリセリド低下;炎症(例えば、肝臓の炎症及び/または脂肪組織の炎症)、脂肪性肝疾患;非アルコール性脂肪性肝疾患;高血糖症;耐糖能異常(IGT);高インスリン血症;高コレステロール(例えば、LDL高値及び高コレステロール血症);冠動脈心疾患を含む心疾患、うっ血性心不全、脳卒中、末梢血管疾患、線維素溶解障害、アテローム性動脈硬化等の心血管疾患;動脈硬化、及び高血圧;シンドロームX;血管再狭窄;ニューロパチー;網膜症;神経変性疾患;内皮機能障害、呼吸機能障害、腎疾患(例えば、腎症);膵炎;多嚢胞性卵巣症候群;尿酸値上昇;ヘモクロマトーシス(鉄過剰);黒色表皮腫(皮膚上の暗色斑);及びがん(例えば、骨髄腫(多発性骨髄腫、形質細胞腫、限局性骨髄腫、または髄外骨髄腫)、あるいは卵巣癌、乳癌、結腸癌、子宮内膜癌、肝癌、腎臓癌、膵癌、胃癌、子宮癌及び/または結腸癌);ならびに上記の疾患もしくは状態のうち1つ以上と関連するか、または過体重(例えば、BMI≧25kg/m)もしく体脂肪過多と関連する他の障害/状態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
いくつかの実施形態では、開示の方法には、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、アンタゴニスト抗ALK7抗体等のアンタゴニストALK7結合タンパク質)を含む医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することが含まれる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、単独で投与される。他の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、併用療法として投与される。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、標準治療/治療法に対する併用療法として投与される。
【0022】
ALK7活性(例えば、リガンド結合及び/またはシグナル伝達)を阻止するかまたは低下させる方法もまた提供される。いくつかの実施形態では、方法は、ALK7結合性タンパク質と、ALK7を発現する細胞(例えば、分化した白色脂肪細胞または褐色脂肪細胞)とを接触させることを含む。場合によっては、方法は、ALK7結合性タンパク質とALK7を発現する細胞とを、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及び/またはNodalの存在下で接触させることを含む。いくつかの実施形態では、方法はインビボで実施される。他の実施形態では、方法はインビトロで実施される。いくつかの実施形態では、阻止されるかまたは低下するALK7活性は、ALK7のリン酸化である。追加の実施形態では、阻止されるかまたは低下するALK7活性は、Smad(例えば、Smad2及び/またはSmad3)のリン酸化である。いくつかの実施形態では、開示は、対象におけるALK7活性を阻止するかまたは低下させる方法を提供し、有効量のALK7結合性タンパク質を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0023】
また、ALK7発現及び/またはALK7シグナル伝達と関連する病的状態、もしくはALK7リガンドの活性を低下させるかもしくは阻害することにより治療及び/または改善され得る病的状態でのALK7活性を阻止するかまたは低下させる方法も提供される。場合によっては、方法は、ALK7またはALK7リガンドの発現が増加している対象にALK7結合性タンパク質を投与することを含む。いくつかの実施形態では、病的状態は、肥満、糖尿病、代謝性疾患、脂質異常症;心血管疾患、2型糖尿病、炎症、または肺疾患、脂肪性肝疾患、神経疾患、及び肝疾患、または腎疾患である。
【0024】
別の態様では、本開示は、過体重もしくは過体重であることと関連する状態を治療または改善する方法であって、過体重の対象に有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、アンタゴニスト抗ALK7抗体等のアンタゴニストALK7結合タンパク質)を投与することを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、治療または改善される状態は、肥満である。他の実施形態では、治療または改善される状態は、脂質異常症、高脂血症、高コレステロール血症、血清HDL低値、血清LDL高値(例えば、LDL-Cが100mg/dL以上、130mg/dL以上、160mg/dL以上)、及び高トリグリセリド血症(例えば、TGが150mg/dL以上、160mg/dL以上、170mg/dL以上)から選択されるメンバーである。さらに別の実施形態では、治療または改善される状態は、高血圧である。さらなる実施形態では、治療または改善される状態は、糖尿病である。ある特定のそのような実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片等のALK7アンタゴニストである。ある特定のそのような実施形態では、投与されるアンタゴニストALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示される抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片である。ある特定の実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、表1に開示されているVHとVLの対を含む。関連実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、表1に開示されているVHとVLの配列対を含む抗体と、ALK7への結合を交差阻止するかまたはALK7への結合に対して競合する。さらに別の実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、表1に開示されているVHとVLの対を含む。関連実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、表1に開示されているVHとVLの配列対を含む抗体と、ALK7への結合を交差阻止するかまたはALK7への結合に対して競合する。
【0025】
別の態様では、本開示は、肥満もしくは肥満と関連する状態を治療または改善する方法であって、肥満の対象に有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、アンタゴニスト抗ALK7抗体等のアンタゴニストALK7結合タンパク質)を投与することを含む方法を提供する。ある特定のそのような実施形態では、治療または改善される状態は、高血圧、脂質異常症(例えば、総コレステロール高値またはトリグリセリド高値)、2型糖尿病、冠動脈心疾患、脳卒中、胆嚢疾患、変形性関節症、睡眠障害、呼吸器系の問題、がん(例えば、骨髄腫(多発性骨髄腫、形質細胞腫、限局性骨髄腫、または髄外骨髄腫)、あるいは卵巣癌、乳癌、結腸癌、子宮内膜癌、肝癌、腎臓癌、膵癌、胃癌、子宮癌及び/または結腸癌)、肥満が関連する胆嚢疾患、肥満が関連する炎症、肥満により誘発される睡眠時無呼吸、脂肪症(脂肪肝)、グルカゴノーマ、動脈硬化または心不全である。いくつかの実施形態では、ALK7結合タンパク質が投与される対象は、高血圧、脂質異常症(例えば、総コレステロール高値またはトリグリセリド高値)、2型糖尿病、冠動脈心疾患、脳卒中、胆嚢疾患、変形性関節症、睡眠障害、呼吸器系の問題、がん(例えば、骨髄腫(多発性骨髄腫、形質細胞腫、限局性骨髄腫、または髄外骨髄腫)、または卵巣癌、乳癌、結腸癌、子宮内膜癌、肝癌、腎臓癌、膵癌、胃癌、子宮癌もしくは結腸癌)、肥満が関連する胆嚢疾患、肥満が関連する炎症、肥満により誘発される睡眠時無呼吸、脂肪症、グルカゴノーマ、動脈硬化または心不全を発症するリスクがある。ある特定の実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片等のALK7アンタゴニストである。ある特定のそのような実施形態では、投与されるアンタゴニストALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示される抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片である。ある特定の実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、表1に開示されているVHとVLの対を含む。関連実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、表1に開示されているVHとVLの配列対を含む抗体と、ALK7への結合を交差阻止するかまたはALK7への結合に対して競合する。
【0026】
別の態様では、本開示は、II型糖尿病もしくはII型糖尿病と関連する状態を治療または改善する方法であって、糖尿病の対象に有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、アンタゴニスト抗ALK7抗体等のアンタゴニストALK7結合タンパク質)を投与することを含む方法を提供する。関連実施形態では、本開示は、II型糖尿病と関連する状態、例えば、眼疾患(例えば、緑内障、白内障、及び網膜症)、心血管疾患(例えば、高血圧、アテローム性動脈硬化、心筋梗塞、及び脳卒中)、高血糖症、末梢神経障害、及び腎疾患(例えば、腎症)を治療または改善する方法を提供する。ある特定の実施形態では、対象は、II型糖尿病またはII型糖尿病と関連する状態、例えば、眼疾患(例えば、緑内障、白内障、及び網膜症)、心血管疾患(例えば、高血圧、アテローム性動脈硬化、心筋梗塞、線維素溶解障害、及び脳卒中)、高血糖症、末梢神経障害、または腎疾患(例えば、腎症)を発症するリスクがある。ある特定の実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片等のALK7アンタゴニストである。ある特定のそのような実施形態では、投与されるアンタゴニストALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示される抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片である。ある特定の実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、表1に開示されているVHとVLの対を含む。関連実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、表1に開示されているVHとVLの配列対を含む抗体と、ALK7への結合を交差阻止するかまたはALK7への結合に対して競合する。
【0027】
別の態様では、本開示は、代謝性疾患もしくは障害または代謝性疾患もしくは障害と関連する状態を治療または改善する方法であって、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、アンタゴニスト抗ALK7抗体等のアンタゴニストALK7結合タンパク質)を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。ある特定のそのような実施形態では、治療または改善される状態は、脂質、リポタンパク質またはアポリポタンパク質の代謝の変化である。他のそのような実施形態では、代謝状態は、血漿トリグリセリド高値、高血圧、脂質異常症 空腹時血糖高値、HDLコレステロール低値である。さらに別の実施形態では、治療または改善される状態は、アテローム性動脈硬化、動脈硬化、または内皮機能障害である。さらに他の実施形態では、治療または改善される状態は、慢性炎症である。さらなる実施形態では、治療または改善される状態は、非アルコール性脂肪性肝疾患(例えば、脂肪肝及び/またはNASH)である。ある特定の実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片等のALK7アンタゴニストである。ある特定のそのような実施形態では、投与されるアンタゴニストALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示される抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片である。ある特定の実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、表1に開示されているVHとVLの対を含む。関連実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、表1に開示されているVHとVLの配列対を含む抗体と、ALK7への結合を交差阻止するかまたはALK7への結合に対して競合する。
【0028】
さらに別の態様では、本開示は、インスリン抵抗性またはインスリン抵抗性と関連する状態を治療または改善する方法であって、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、アンタゴニスト抗ALK7抗体等のアンタゴニストALK7結合タンパク質)を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。ある特定のそのような実施形態では、治療または改善される状態は、耐糖能異常または高血糖症と関連する。他のそのような実施形態では、治療または改善される状態は、高血圧またはアテローム性動脈硬化と関連する。さらに別の実施形態では、治療または改善される状態は、脂質異常症、高脂血症、高コレステロール血症、血清HDL低値、血清LDL高値(例えば、LDL-Cが100mg/dL以上、130mg/dL以上、160mg/dL以上)、及び高トリグリセリド血症(例えば、TGが150mg/dL以上、160mg/dL以上、170mg/dL以上)から選択されるメンバーである。ある特定の実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片等のALK7アンタゴニストである。ある特定のそのような実施形態では、投与されるアンタゴニストALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示される抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片である。ある特定の実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、表1に開示されているVHとVLの対を含む。関連実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、表1に開示されているVHとVLの配列対を含む抗体と、ALK7への結合を交差阻止するかまたはALK7への結合に対して競合する。
【0029】
さらに別の態様では、本開示は、眼、神経系、腎臓、肺、及び/または肝臓の疾患もしくは障害、または関連する状態を治療または改善する方法であって、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、アンタゴニスト抗ALK7抗体等のアンタゴニストALK7結合タンパク質)を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。ある特定のそのような実施形態では、治療または改善される状態は、炎症である。他のそのような実施形態では、治療または改善される状態は、腎症(例えば、糖尿病性腎症)、腎動脈の動脈硬化)、または腎不全である。さらに他の実施形態では、治療または改善される状態は、慢性炎症である。さらに別の実施形態では、治療または改善される状態は、脂肪組織の炎症である。さらなる実施形態では、治療または改善される状態は、肝臓の炎症である。さらに他の実施形態では、治療または改善される状態は、NAFLD(例えば、脂肪肝及び/またはNASH)である。いくつかの実施形態では、ALK7結合タンパク質が投与される対象は、腎臓、肺、または肝臓の疾患もしくは障害を発症するリスクがある。いくつかの実施形態では、ALK7結合タンパク質が投与される対象は、腎症を発症するリスクがある。いくつかの実施形態では、ALK7結合タンパク質が投与される対象は、腎症を発症するリスクがある。ある特定の実施形態では、対象は、慢性炎症を発症するリスクがある。他の実施形態では、対象は、脂肪組織の炎症を発症するリスクがある。さらに他の実施形態では、対象は、肝臓の炎症を発症するリスクがある。ある特定の実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片等のALK7アンタゴニストである。ある特定のそのような実施形態では、投与されるアンタゴニストALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示される抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片である。ある特定の実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、表1に開示されているVHとVLの対を含む。関連実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、表1に開示されているVHとVLの配列対を含む抗体と、ALK7への結合を交差阻止するかまたはALK7への結合に対して競合する。
【0030】
別の態様では、本開示は、心血管疾患もしくは障害または心血管疾患もしくは障害と関連する状態を治療または改善する方法であって、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、アンタゴニスト抗ALK7抗体等のアンタゴニストALK7結合タンパク質)を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。ある特定のそのような実施形態では、治療または改善される状態は、冠動脈心疾患、うっ血性心不全、血管再狭窄、脳卒中、末梢血管疾患、細小血管疾患、線維素溶解障害、または動脈硬化である。他の実施形態では、ALK7結合タンパク質が投与される対象は、冠動脈心疾患、うっ血性心不全、血管再狭窄、脳卒中、末梢血管疾患、細小血管疾患、または動脈硬化を発症するリスクがある。ある特定の実施形態では、治療または改善される状態は、高血圧(例えば、安静時、血圧が130/80mmHg超)である。ある特定の実施形態では、ALK7結合タンパク質が投与される対象は、高血圧を発症するリスクがある。他の実施形態では、治療または改善される状態は、アテローム性動脈硬化である。ある特定の実施形態では、ALK7結合タンパク質が投与される対象は、アテローム性動脈硬化を発症するリスクがある。ある特定の実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片等のALK7アンタゴニストである。ある特定のそのような実施形態では、投与されるアンタゴニストALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示される抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片である。ある特定の実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、表1に開示されているVHとVLの対を含む。関連実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質は、表1に開示されているVHとVLの配列対を含む抗体と、ALK7への結合を交差阻止するかまたはALK7への結合に対して競合する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示は、単離及び/または組換えALK7結合性タンパク質を提供する。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合する。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、抗ALK7抗体である。
【0032】
ALK7結合性タンパク質をコードする核酸、当該核酸を含有するベクター及び宿主細胞、ならびにALK7結合性タンパク質を作製及び使用する方法もまた提供される。提供されるALK7結合性タンパク質は、ALK7の発現及び/またはシグナル伝達と関連する疾患及び状態の診断、治療、及び/または改善に使用される。そのような使用としては、肥満(例えば、腹部肥満);過体重;インスリン抵抗性;メタボリックシンドローム及び他の代謝性の疾患もしくは状態;HDL低値、LDL高値、高脂血症、高トリグリセリド血症もしくは脂質異常症等の脂質障害;リポタンパク質異常;トリグリセリド低下;炎症(例えば、肝臓の炎症及び/または脂肪組織の炎症)、脂肪性肝疾患;非アルコール性脂肪性肝疾患;高血糖症;耐糖能異常(IGT);高インスリン血症;高コレステロール(例えば、LDL高値及び高コレステロール血症);冠動脈心疾患を含む心疾患、うっ血性心不全、脳卒中、末梢血管疾患、アテローム性動脈硬化等の心血管疾患;動脈硬化、及び高血圧;シンドロームX;血管再狭窄;ニューロパチー;網膜症;神経変性疾患;内皮機能障害、呼吸機能障害、腎疾患(例えば、腎症);膵炎;多嚢胞性卵巣症候群;尿酸値上昇;ヘモクロマトーシス(鉄過剰);黒色表皮腫(皮膚上の暗色斑);及びがん(例えば、骨髄腫(多発性骨髄腫、形質細胞腫、限局性骨髄腫、または髄外骨髄腫)、あるいは卵巣癌、乳癌、結腸癌、子宮内膜癌、肝癌、腎臓癌、膵癌、胃癌、子宮癌及び/または結腸癌);ならびに上記の疾患もしくは状態のうち1つ以上と関連するか、または過体重(例えば、BMIが25kg/m)もしくは体脂肪過多と関連する他の障害/状態を予防すること、及び/または改善することが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
定義
別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press、The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press、及びOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressでは、本開示で使用されている用語の多くに関する一般的辞書を当業者に提供している。本明細書で記載されている見出しは、様々な実施形態についての限定ではなく、概して、明細書の参照により使用され得るものである。さらに、このすぐ後で定義される用語は、明細書を全体として参照することにより、さらに詳細に定義される。
【0034】
「a」、「an」、及び「the」という用語には、その用語が使用されている文脈で他の意味が明確に指示されない限り、複数の指示対象が含まれる。「a」(または「an」)という用語、ならびに「1つ以上」、及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では同じ意味で使用される。さらに、本明細書で「及び/または」が使用される場合、2つ以上の指定されている特徴または構成要素について、一方が他方を伴う場合も伴わない場合も、それら各々が具体的に開示されていると解釈されるべきである。したがって、本明細書で「A及び/またはB」のような語句で使用される場合の「及び/または」という用語、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)、及び「B」(単独)が含まれることが意図される。同様に、「A、B、及び/またはC」のような語句で使用される場合の「及び/または」という用語、A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)という実施形態の各々が包含されることが意図される。
【0035】
「含む(comprise)」という用語は一般に、含む(include)の意味として、すなわち、1つ以上の特徴または構成要素の存在を認めるという意味で使用される。場所を問わず、本明細書で実施形態が「含む(comprising)」という言葉を用いて記載されている場合、「からなる(consisting of)」及び/または「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語で記載される他の類似の実施形態もまた提供される。
【0036】
明細書及び請求項を通じて数値との関連で使用される「約」及び「おおよそ」という用語は、当業者によく知られ、かつ許容され得る精度の区間を意味する。一般に、そのような精度の区間は±10%である。あるいは、特に生物系では、「約」及び「おおよそ」という用語は、所与の値の1桁分以内、好ましくは5倍以下、より好ましくは2倍以下である値を意味し得る。
【0037】
数範囲には、その範囲を定義している数が含まれる。
【0038】
ALK7結合性タンパク質とは、ALK7に特異的に結合するタンパク質、好ましくはALK7の細胞外ドメインに結合するものを指す。
【0039】
「ALK7」及び「ALK7受容体」という用語は同じ意味で使用され、ALK7(文献中、ACVRLK7、アクチビンA受容体、IC型、ACVR-1C、アクチビン受容体様キナーゼ7、及びEC2.7.11とも呼ばれる)を指す。ヒトALK7の参照配列は、NCBI参照配列NP_001104501.1で提供されている。提供されるALK7結合性タンパク質は、配列番号85のアミノ酸配列に対応するヒトALK7の細胞外ドメインと結合する。ラットALK7の参照配列は、NCBI参照配列P70539で提供されている。いくつかの実施形態では、提供されるALK7結合性タンパク質は、配列番号86のアミノ酸配列に対応するラットALK7の細胞外ドメインと結合する。
【0040】
ALK7結合性タンパク質(例えば、中和抗体)との関連において使用される場合の「競合する」という用語は、アッセイにより決定される抗原結合タンパク質間の競合であり、アッセイにおいて、被験抗原結合タンパク質(例えば、抗ALK7抗体またはそのALK7結合性断片)が、参照抗原結合タンパク質(例えば、リガンド、または参照抗体)が共通の抗原(例えば、ALK7細胞外ドメインまたはその断片)に特異的に結合することを防ぐかまたは阻害することを意味する。多数の種類の競合結合アッセイ、例えば、固相ラジオイムノアッセイ(RIA)の直接法または間接法(例えば、Moldenhauer et al.,Scand.J.Immunol.32:77-82(1990)及びMorel et al.,Molec.Immunol.25:7-15(1988)を参照のこと)、固相酵素免疫測定法(EIA)の直接法または間接法、固相ビオチン-アビジンEIAの直接法(例えば、Cheung,et al.,Virology 176:546-552(1990)及びKirkland et al.,J.Immunol.137:3614-3619(1986)を参照のこと)、及びサンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al.,Methods in Enzymology 92:242-253(1983)を参照のこと)を使用することができる。典型的には、そのようなアッセイでは、固体表面または細胞に結合している精製抗原(これらのいずれかを担持)、非標識の被験抗原結合タンパク質及び標識した参照抗原結合タンパク質の使用を伴う。
【0041】
競合的阻害は、被験抗原結合タンパク質の存在下で固体表面または細胞に結合した標識の量を決定することにより測定することができる。通常、被験抗原結合タンパク質は過剰に存在する。競合アッセイで同定される抗原結合タンパク質(競合する抗原結合タンパク質)としては参照ALK7結合性タンパク質と同一のエピトープに結合するALK7結合性タンパク質、ならびに、立体障害が発生するように、参照ALK7結合性タンパク質が結合しているエピトープに十分に近位の隣接エピトープに結合するALK7結合性タンパク質が含まれる。通常、競合するALK7結合性タンパク質が過剰に存在する場合、ALK7への参照ALK7結合性タンパク質の特異的結合は少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%または75%阻害される。場合によっては、競合する抗原結合タンパク質は、参照ALK7結合性タンパク質の特異的結合を少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%98%、または99%阻害する。
【0042】
ALK7タンパク質との関連において使用される場合の「エピトープ」という用語は、本開示のALK7結合性タンパク質(例えば、抗体)への結合能のあるALK7(例えば、ヒトALK7またはマウスALK7)タンパク質決定基を指す。エピトープは通常、アミノ酸または糖側鎖のような化学的に活性な表面分子団からなり、通常、特定の三次元構造特性及び特定の電荷特性を有する。立体構造エピトープと非立体構造エピトープは、変性溶媒の存在下で前者への結合は失われるが、後者への結合は失われないという点で区別される。ALK7結合性タンパク質が結合したALK7のエピトープは、当該技術分野で公知の技術を使用して容易に決定することができる。
【0043】
本明細書に開示される、抗ALK7結合性抗体及びそのALK7結合性断片、バリアント、または誘導体等の抗原結合タンパク質は、それらが認識するかまたは特異的に結合する抗原、例えば、標的ポリペプチドのエピトープ(複数可)もしくは部分(複数可)の点から表すかまたは特定することができる。例えば、本明細書に開示されるALK7結合性タンパク質の抗原結合ドメインと特異的に相互作用するALK7の部分が「エピトープ」である。エピトープは、連続アミノ酸、またはタンパク質の三次折り畳みにより並列している非連続アミノ酸のいずれからも形成され得る。連続アミノ酸から形成されたエピトープは典型的には、変性溶媒への曝露時に保持されるが、三次折り畳みにより形成されたエピトープは典型的には、変性溶媒での処理時に失われる。エピトープ決定基には、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基またはスルホニル基等の化学的に活性な表面分子団が含まれ得、また特定の三次元構造特性、及び/または特定の電荷特性を有し得る。エピトープには典型的に、少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35のアミノ酸が固有の空間的コンホメーションで含まれる。エピトープは、当該技術分野で公知の方法を使用して日常的に決定することができる。
【0044】
「阻害する」、「阻止する」、「低下させる」、「減少させる」、「抑制する」、「拮抗する(antagonize)」、及び「中和する」という用語は同じ意味で使用され、活性の完全阻止を含めた、活性(例えば、ALK7リガンドの結合及び/またはALK7シグナル伝達)の統計学的に有意ないかなる減少も指す。例えば、「阻害」、「抑制」、または「拮抗する」とは、対照と比較した、活性の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の減少を指し得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、「減少させる」、「阻害する」、または「拮抗する」という用語は、抗体またはそのALK7結合性断片等のALK7結合性タンパク質が、ALK7及びActrIIA/Bを発現する細胞と、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及び/またはNodal等のALK7リガンドとの接触により誘導される1つ以上のSmad(例えば、Smad2及び/またはSmad3)のリン酸化を、ALK7結合性タンパク質と接触しなかった細胞でのSmadリン酸化の程度と比べて統計学的に有意に(例えば、p値が0.05以下)減少させる能力を指し得る。ALK7を発現する細胞は、天然に存在する細胞または細胞株であり得、またはALK7をコードする核酸を宿主細胞内に導入することにより組換えで生産することもできる。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質、例えば、ALK7抗体またはそのALK7結合性断片は、本明細書に記載されるかまたは当該技術分野で知られる他の技術を使用して、例えば、ウェスタンブロッティングと、その後の抗ホスホチロシン抗体を用いたプローブによるか、またはELISA(例えば、P-Smad ELISA)もしくはSmad依存的レポーター遺伝子アッセイにより決定した場合、ALK7リガンド媒介性の1つ以上のSmad(例えば、Smad2及び/またはSmad3)のリン酸化に少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%、または約100%拮抗する(低下させる)。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞におけるALK7媒介性の脂肪分解阻害に拮抗する(低下させる)。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質はALK7アンタゴニストであり、脂肪分解アッセイで決定した場合、白色脂肪細胞におけるALK7媒介性の脂肪分解阻害に5%~100%、10%~95%、10~90%、10~85%、10~80%、10~75%、10~70%、10~75%、10~70%、10~60%、10~55%、10~50%、または10~45%拮抗する。他の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解アッセイで決定した場合、白色脂肪細胞におけるALK7媒介性の脂肪分解阻害を少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは95%、もしくは約100%抑制するかまたは低下させる。いくつかの実施形態では、脂肪分解アッセイは、1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。さらなる実施形態では、脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される)。
【0046】
ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質はALK7アンタゴニストであり、脂肪分解アッセイで決定した場合、白色脂肪細胞及び/または褐色脂肪細胞におけるALK7媒介性の脂肪分解阻害に5%~100%、10%~95%、10~90%、10~85%、10~80%、10~75%、10~70%、10~75%、10~70%、10~60%、10~55%、10~50%、または10~45%拮抗する。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解アッセイで決定した場合、白色脂肪細胞及び/または褐色脂肪細胞におけるALK7媒介性の脂肪分解阻害を少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは95%、もしくは約100%抑制するかまたは低下させる。いくつかの実施形態では、脂肪分解アッセイは、1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。さらなる実施形態では、脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。
【0047】
「増大させる」、「促進する」及び「アゴニスト」という用語は同じ意味で使用され、活性(例えば、ALK7リガンドの結合及び/またはALK7シグナル伝達)の統計学的に有意ないかなる増大も指す。例えば、「増大させる」または「促進する」とは、対照と比較した、活性の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の増大を指し得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、細胞での脂肪分解を増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解アッセイで決定した場合、細胞での脂肪分解を少なくとも5%~100%、10%~95%、10~90%、10~85%、10~80%、10~75%、10~70%、10~75%、10~70%、10~60%、10~55%、10~50%、または10~45%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞での脂肪分解を増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解アッセイで決定した場合、脂肪細胞での脂肪分解を少なくとも5%~100%、10%~95%、10~90%、10~85%、10~80%、10~75%、10~70%、10~75%、10~70%、10~60%、10~55%、10~50%、または10~45%増大させる。いくつかの実施形態では、脂肪分解アッセイは、1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。さらなる実施形態では、脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、白色脂肪細胞または褐色脂肪細胞での脂肪分解を増大させる。
【0049】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、白色脂肪細胞での脂肪分解を増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解アッセイで決定した場合、白色脂肪細胞での脂肪分解を少なくとも5%~100%、10%~95%、10~90%、10~85%、10~80%、10~75%、10~70%、10~75%、10~70%、10~60%、10~55%、10~50%、または10~45%増大させる。いくつかの実施形態では、脂肪分解アッセイは、1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。さらなる実施形態では、脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。
【0050】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、褐色脂肪細胞での脂肪分解を増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解アッセイで決定した場合、褐色脂肪細胞での脂肪分解を少なくとも5%~100%、10%~95%、10~90%、10~85%、10~80%、10~75%、10~70%、10~75%、10~70%、10~60%、10~55%、10~50%、または10~45%増大させる。いくつかの実施形態では、脂肪分解アッセイは、1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。さらなる実施形態では、脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。
【0051】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、白色脂肪細胞及び褐色脂肪細胞での脂肪分解を増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解アッセイで決定した場合、白色脂肪細胞及び褐色脂肪細胞での脂肪分解を少なくとも5%~100%、10%~95%、10~90%、10~85%、10~80%、10~75%、10~70%、10~75%、10~70%、10~60%、10~55%、10~50%、または10~45%増大させる。いくつかの実施形態では、脂肪分解アッセイは、1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。さらなる実施形態では、脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。
【0052】
追加の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、アクチビンB(50ng/ml)の存在下で実施される脂肪分解アッセイで標準的技術と条件を使用して(例えば、本明細書中の例に記載のように)決定した場合、白色脂肪細胞での脂肪分解を少なくとも5%~100%、10%~95%、10~90%、10~85%、10~80%、10~75%、10~70%、10~75%、10~70%、10~60%、10~55%、10~50%、または10~45%増大させる。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解阻害アッセイで標準的技術と条件を使用して決定した場合、白色脂肪細胞におけるALK7媒介性の脂肪分解阻害を少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは95%、もしくは約100%抑制するかまたは低下させる。ある特定のそのような実施形態では、脂肪分解アッセイは、アクチビンB(50ng/ml)の存在下で実施される(例えば、本明細書中の例に記載のように)。
【0053】
さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、アクチビンB(50ng/ml)の存在下で実施される脂肪分解アッセイで標準的技術と条件を使用して(例えば、本明細書中の例に記載のように)決定した場合、白色脂肪細胞及び/または褐色脂肪細胞での脂肪分解を少なくとも5%~100%、10%~95%、10~90%、10~85%、10~80%、10~75%、10~70%、10~75%、10~70%、10~60%、10~55%、10~50%、または10~45%増大させる。さらに他の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解阻害アッセイで標準的技術と条件を使用して決定した場合、白色脂肪細胞におけるALK7媒介性の脂肪分解阻害を少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは95%、もしくは約100%抑制するかまたは低下させる。ある特定のそのような実施形態では、脂肪分解アッセイは、アクチビンB(50ng/ml)の存在下で実施される(例えば、本明細書中の例に記載のように)。
【0054】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞でのグリセロール生成を増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解アッセイで決定した場合、脂肪細胞でのグリセロール生成を少なくとも5%~100%、10%~95%、10~90%、10~85%、10~80%、10~75%、10~70%、10~75%、10~70%、10~60%、10~55%、10~50%、または10~45%増大させる。いくつかの実施形態では、脂肪分解アッセイは、1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。いくつかの実施形態では、脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、白色脂肪細胞または褐色脂肪細胞でのグリセロール生成を増大させる。
【0055】
「抗体」及び「免疫グロブリン」という用語は本明細書では同じ意味で使用され、全(完全長)抗体及びその抗原結合性断片または一本鎖が含まれる。典型的な抗体は、ジスルフィド結合で相互に接続された少なくとも2本の重(H)鎖と2本の軽(L)鎖を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略す)及び重鎖定常領域で構成される。重鎖定常領域は、CHI、CH2、及びCH3という3つのドメインで構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略す)及び軽鎖定常領域で構成される。軽鎖定常領域は、CLという1つのドメインで構成される。VH領域及びVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分することができ、フレームワーク領域(FW)と呼ばれる、より保存性の高い領域が散在する。各VH及びVLは、3つのCDR及び4つのFWで構成され、アミノ末端からカルボキシ末端へ向かってFW1、CDR1、FW2、CDR2、FW3、CDR3、FW4という順序で配列されている。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(Clq)を含めた宿主の組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介することができる。例示的抗体としては、典型的抗体、scFv、及びそれらの組み合わせが含まれ、その場合、例えば、scFvが典型的抗体の重鎖及び/または軽鎖のいずれかのN末端もしくはC末端に共有結合で連結されている(例えば、ペプチド結合または化学的リンカーを介して)か、または典型的抗体の重鎖及び/または軽鎖内に介在する。
【0056】
「抗体」及び「免疫グロブリン」という用語は、抗体が所望の結合活性を示す限り、無傷ポリクローナル抗体、無傷モノクローナル抗体、抗体断片(Fab、Fab’、F(ab’)、及びFv断片等)、一本鎖Fv(scFv)の誘導体と変異体、二重特異性抗体等の多重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体の抗原決定部分を含む融合タンパク質、及び抗原認識部位を含む他の任意の修飾免疫グロブリン分子を包含する。抗体は、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、及びミューとそれぞれ呼ばれる重鎖定常ドメインの固有性に基づく5つの主要クラスの免疫グロブリン、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM、またはそれらのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgAl及びIgA2)のいずれでもあり得る。異なるクラスの免疫グロブリンは、異なった、よく知られているサブユニット構造及び三次元立体配置を有する。抗体は、裸であるか、または毒素、放射性同位体等の他の分子に結合させたものでもよい。「IgG」という用語は、認識された免疫グロブリンガンマ遺伝子に実質的にコードされる抗体のクラスに属するポリペプチドを指す。ヒトでは、このクラスはIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む。マウスでは、このクラスはIgG1、IgG2a、IgG2b、及びIgG3を含む。
【0057】
「ALK7抗体」、「ALK7に結合する抗体」、または「抗ALK7抗体」という用語は、その抗体が、治療剤または診断用試薬としてALK7を標的とする際に有用であるよう十分な親和性でそれぞれALK7と結合する能力がある抗体を指す。
【0058】
ALK7タンパク質との関連において使用される場合の「特異的に結合する」とは一般に、抗体等、ある結合性タンパク質が、ALK7(例えば、ヒトALK7、好ましくはALK7の細胞外ドメイン)に対して、その結合性タンパク質が、関連のない対照タンパク質に結合する場合よりも高い親和性で結合する能力を意味する。いくつかの実施形態では、対照タンパク質は、ニワトリ卵白リゾチームである。好ましくは、結合性タンパク質は、少なくとも、対照タンパク質に対する親和性より100倍、500倍、または1000倍高い親和性でALK7と結合する。好ましくは、結合性タンパク質は、当該技術分野で公知の結合アッセイを使用して測定した場合、ヒトALK7に対する結合親和性が1×10-7M以下または1×10-8以下である。いくつかの実施形態では、結合親和性は、ラジオイムノアッセイ(RIA)またはBIACORE(登録商標)を使用して測定される(例えば、ALK7を分析対象物として、またALK7結合性タンパク質をリガンドとして使用するか、またはその逆で使用)。
【0059】
いくつかの実施形態では、関連のない非ALK7タンパク質に対するALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)の結合の程度は、ALK7に対するそのALK7結合性タンパク質の結合の約10%未満であり、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、BIACORE(登録商標)(組換え型ALK7を分析対象物として、またALK7結合性タンパク質をリガンドとして使用するか、またはその逆で使用)、結合平衡除外法(KINEXA(登録商標))、または当該技術分野で公知の他の結合アッセイによって測定される。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、解離定数(K)が1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、10pM以下、1pM以下、または0.1pM以下の、完全長抗体またはALK7結合性抗体断片である。
【0060】
「抗原結合抗体断片」(例えば、「ALK7結合性抗体断片」)という用語は、無傷抗体の抗原結合可変領域(例えば、CDR3)の全部または一部を含有する断片を指す。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体の断片によって実行され得ることが知られている。抗体断片の例としては、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、及びFv断片、線状抗体、一本鎖抗体、ならびに1つ以上の抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本開示は、ALK7結合性抗体断片であって、抗体断片が、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、Fv断片、ダイアボディ、または一本鎖抗体分子であるものを提供する。
【0061】
Fc領域には、第1の定常領域免疫グロブリンドメイン以外の抗体定常領域を含むポリペプチドが含まれる。したがって、Fcとは、IgA、IgD、及びIgGの後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにIgE及びIgMの後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにこれらのドメインの柔軟性のあるヒンジN末端を指す。IgA及びIgMの場合、FcにはJ鎖が含まれ得る。IgGの場合、Fcは、免疫グロブリンドメインであるCγ2及びCγ3、ならびにCγ1とCγ2の間のヒンジを含む。Fc領域の境界は様々であり得るが、ヒトIgGの重鎖Fc領域は通常そのカルボキシル末端に残基C226またはP230を含むと定義され、ここでの番号付けは、Kabat(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,NIH,Bethesda,Md.(1991))に記載されているEUインデックスに従って行われる。Fcとは、単独でこの領域を指すか、または全抗体、抗体断片、もしくはFc融合タンパク質との関連においてこの領域を指し得る。EUインデックスで番号付けした場合の270位、272位、312位、315位、356位、及び358位等、これらに限定されない、いくつかの異なるFc位置にて多型が観察されており、そのため、提示配列と従来技術での配列との間にわずかな相違が存在する場合がある。
【0062】
「モノクローナル抗体」とは、単一の抗原決定基またはエピトープの高度に特異的な認識及び結合に関与する均一な抗体集団を指す。これは、典型的には異なる抗原決定基に対して指向される異なる抗体が含まれたポリクローナル抗体とは対照的である。「モノクローナル抗体」という用語は、無傷及び完全長のモノクローナル抗体の両方、ならびに抗体部分を含む抗体断片(Fab、Fab’、F(ab’)、及びFv等)、一本鎖(scFv)変異体、及び融合タンパク質)、ならびに抗原認識部位を含む他の任意の修飾免疫グロブリン分子を包含する。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、及びトランスジェニック動物等、これらに限定されない任意の数の方法で作製してよい。
【0063】
「キメラ抗体」という用語は、免疫グロブリン分子のアミノ酸配列が2つ以上の種に由来している抗体を指す。典型的には、軽鎖及び重鎖の両方の可変領域は、抗原と結合する所望の特異性、親和性、及び/または能力を有する、哺乳類(例えば、マウス、ラット、ウサギ等)の1つの種に由来する抗体の可変領域に対応する一方、定常領域は、別の種(通常はヒト)での免疫応答誘発を回避するために、その種に由来する抗体の配列に相同である。
【0064】
「ヒト化抗体」という用語は、少ない、好ましくは最小限の非ヒト(例えば、マウス)配列を含有するよう操作されている、非ヒト(例えば、マウス)免疫グロブリンに由来する抗体を指す。典型的には、ヒト化抗体は、CDRからの残基が、抗原と結合する所望の特異性、親和性、及び/または能力を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、またはハムスター)のCDRからの残基で置き換えられているヒト免疫グロブリンである(Jones,Nature 321:522-525(1986)、Riechmann,Nature 332:323-327(1988)、Verhoeyen,Science 239:1534-1536(1988))。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FW)残基が、抗原と結合する所望の特異性、親和性、及び/または能力を有する非ヒト種からの抗体における対応残基と置き換えられる。ヒト化抗体は、抗体の特異性、親和性、及び/または能力を精密化及び最適化するために、Fvフレームワーク領域で、及び/または置き換えた非ヒト残基内のいずれにおいても、追加の残基の置換によりさらに修飾することができる。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンに対応するすべてまたは実質的にすべてのCDR領域を含有するが、すべてまたは実質的にすべてのFR領域はヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列のものである、少なくとも1つの可変ドメイン、典型的には2つもしくは3つの可変ドメインの実質的にすべてを含む。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリンの定常領域または定常ドメイン、典型的には、ヒト免疫グロブリンの定常領域または定常ドメインの少なくとも一部も含み得る。ヒト化抗体を作製するために使用される方法の例は、米国特許第5,225,539号及び同第5,639,641号に記載されている。
【0065】
「ヒト抗体」という用語は、ヒトにより産生される抗体、または当該技術分野で公知の任意の技術を使用して作製された、ヒトにより産生される抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体を指す。「ヒト抗体」という用語には、無傷(完全長)抗体、その断片、及び/または、少なくとも1つのヒトの重鎖及び/または軽鎖のポリペプチドを含む抗体、例えば、マウス軽鎖ポリペプチドとヒト重鎖ポリペプチドを含む抗体等が含まれる。
【0066】
「アンタゴニスト」、「阻止」、または「中和」結合性タンパク質は、それが結合するALK7等の抗原の活性を阻害するかまたは低下させるものである。いくつかの実施形態では、アンタゴニストALK7結合性タンパク質は、ALK7と、ActRII受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及び/またはNodalとの多量体化を低下させるかもしくは阻害する。ある特定の実施形態では、アンタゴニストALK7結合性タンパク質は、ALK7の活性を実質的または完全に阻害する。いくつかの実施形態では、ALK7活性は、10%、20%、30%、50%、70%、80%、90%、95%、または100%低下される。ある特定の実施形態では、アンタゴニストALK7結合性タンパク質は、完全長抗体またはALK7結合性抗体断片等の抗ALK7抗体である。さらなる実施形態では、アンタゴニスト抗ALK7抗体は、ALK7の活性を少なくとも10%、20%、30%、50%、70%、80%、90%、95%、または100%も阻害するかまたは低下させる。
【0067】
「結合親和性」とは一般に、ある分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との非共有結合による相互作用の総体的強度を指す。別段に示されていない限り、「結合親和性」とは、結合対のメンバー間(例えば、抗体と抗原)の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(K)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載される方法を含め、当該技術分野で公知の一般的な方法によって測定することができ、また本開示の目的に使用することができる。
【0068】
「効力」は、所与の強度の効果を生み出すのに必要な化合物の量に関して表される化合物の薬理学的活性の尺度である。これは、定義された生物学的効果を達成するために必要な化合物の量を指し、必要な用量が少ないほど薬物は強力である。効力は通常、特に明記しない限り、IC50値(nM)として表される。IC50は、ALK7結合タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)の阻害濃度の中央値である。機能解析では、IC50は生物学的応答をその最大値の50%低下させる濃度である。リガンド-受容体結合試験では、IC50は、リガンド-受容体結合を最大特異的結合レベルの50%減少させる濃度である。IC50は、当該技術分野で公知の任意の数の手段により計算することができる。本明細書で提供される抗体または他の結合性タンパク質の効力の改善倍率は、参照抗ALK7抗体または他のALK7結合性タンパク質と比較した場合、少なくとも2倍、4倍、6倍、8倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、110倍、120倍、130倍、140倍、150倍、160倍、170倍、または少なくとも180倍であり得る。
【0069】
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」または「ADCC」とは、ある特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)に結合した分泌Igが、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が抗原担持標的細胞に特異的に結合し、続いて標的細胞を細胞毒で死滅させるのを可能にする、細胞傷害の一形態である。標的細胞の表面に指向された特定の高親和性IgG抗体は、細胞傷害性細胞を「武装」させるため、そのような死滅に絶対的に必要とされる。標的細胞の溶解は細胞外であり、細胞間の直接の接触を必要とし、補体の関与はない。抗体に加えて、ALK7を持つ標的細胞に対する特異的結合能のある、Fc領域を含む他のタンパク質、特にFc融合タンパク質は、細胞媒介性細胞傷害をもたらすことができることが意図される。簡潔にするために、Fc融合タンパク質の活性に起因する細胞媒介性細胞傷害は、本明細書ではADCC活性とも呼ばれる。
【0070】
「単離された」、ALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7抗体であり、これにはそのALK7結合性断片、バリアント、及び誘導体が含まれる)、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、天然では見られない形態にあるタンパク質(例えば、抗体)、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物である。単離されたタンパク質、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物には、それらがもはや天然で見られる形態ではなくなる程度まで精製されているものが含まれる。いくつかの実施形態では、単離されているタンパク質、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、実質的に純粋である。単離されたタンパク質及び単離された核酸は、それらが天然で関連している物質、例えば、それらの天然環境、またはそれらがインビトロもしくはインビボで実施される組換えDNA技術によって調製される場合の調製環境(例えば、細胞培養)においてそれらと共に見出される他のポリペプチドもしくは核酸等を、含まないかまたは実質的に含まない。タンパク質及び核酸は、希釈剤またはアジュバントと共に製剤化され得、さらに実用的目的のために単離され得、例えば、タンパク質は、通常は、イムノアッセイでの使用のためのマイクロタイタープレートをコートするために使用される場合は、ゼラチンまたは他の担体と共に混合されるか、または診断もしくは治療に使用する場合は、薬学的に許容される担体もしくは希釈剤と共に混合される。
【0071】
「対象」、「個体」、「動物」、「患者」、及び「哺乳類」という用語は、診断、予後、または治療が望まれる任意の対象、特に哺乳類の対象を指す。哺乳類の対象としては、特定の処置の対象レシピエントである、ヒト、非ヒト霊長類、飼育動物、家畜、げっ歯類等が含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
「医薬組成物」という用語は、有効成分の生物学的活性が有効となり得るような形態にあり、かつ、組成物が投与されると考えられている対象にとって許容できないほどの毒性のある濃度でのいかなる追加構成成分も含有しない調製物を指す。そのような組成物は無菌であり得る。
【0073】
本明細書に開示されるような、ポリペプチド、例えば、抗体等の抗原結合タンパク質の「有効量」は、具体的に記述された目的を実行するのに十分な量である。「有効量」は、記述された目的に関連して、経験的に、日常的方法で決定することができる。「治療的有効量」という用語は、対象(例えば、ヒト等の哺乳類)の疾患もしくは状態を「治療」するのに有効であり、かつ、かかる疾患もしくは状態を有する対象に何らかの改善または利益をもたらす、ポリペプチド、例えば、抗体等の抗原結合タンパク質または他の薬物の量を指す。したがって、「治療的に有効な」量とは、ALK7媒介性の疾患もしくは状態の少なくとも1つの臨床的症状の、ある程度の軽減、緩和、及び/または減少をもたらす量である。本開示の方法によって治療することができる疾患または状態と関連する臨床症状はよく知られている。さらに、対象にある程度の利益がもたらされる限り、治療効果は完全または治癒的である必要はない。いくつかの実施形態では、「治療的に有効な」という用語は、それを必要とする対象においてALK7活性を低下させることができる治療剤量を指す。実際の投与量及び投与の速度と時間経過は、治療されるものの性質と重症度に応じて異なる。治療の処方、例えば、投与量の決定等は、一般医及び他の医師の責任の範囲内である。抗体及びその抗原結合性断片の適切な用量は一般に知られており、Ledermann et al.,Int.J.Cancer 47:659-664(1991)、Bagshawe et al.,Ant.Immun.and Radiopharm.4:915-922(1991)を参照のこと。
【0074】
ALK7媒介性の疾患または状態を有する対象において特定の結果を達成するための「十分量」または「十分な量」とは、所望の効果、任意選択で治療効果を生み出すのに効果的である(すなわち、治療的有効量の投与による)治療剤(例えば、本明細書に開示されるような、抗体等の抗原結合タンパク質)の量を指す。いくつかの実施形態では、そのような特定の結果は、ALK7活性の低下が、それを必要とする対象においてあることである。
【0075】
「標識」という用語は、「標識された」部分が生成されるよう、抗ALK7抗体等の部分に直接または間接的に結合されている検出可能な化合物または組成物を指す。標識は、それ自体が検出可能(例えば、放射性同位体標識または蛍光標識)であってよく、または酵素標識の場合、検出可能な基質化合物もしくは基質組成物の化学的変化を触媒してもよい。
【0076】
「治療すること」、もしくは「治療」、「治療する」または「改善すること」及び「改善する」という等の用語は、(a)診断された病的状態もしくは障害について、症状を治癒、減速、軽減させる、及び/または進行を停止させる、治療処置、及び(b)標的とする疾患もしくは状態の発症を予防及び/または遅くする、予防的(prophylactic)または予防的(preventative)措置の両方を指す。したがって、治療を必要とする対象には、すでに疾患または状態にある対象、疾患または状態を発症するリスクのある対象、疾患または状態が予防されるべき対象が含まれる。ある特定の実施形態では、対象が、例えば、疾患または状態と関連する症状の全体的、部分的、もしくは一過性の改善または消失を示す場合、その対象は、本明細書で提供される方法に従って首尾よく「治療」されている。いくつかの実施形態では、本開示は、肥満(例えば、腹部肥満);インスリン抵抗性;メタボリックシンドローム及び他の代謝性の疾患もしくは状態;HDL低値、LDL高値、高脂血症、高トリグリセリド血症もしくは脂質異常症等の脂質障害;リポタンパク質異常;トリグリセリド低下;炎症(例えば、肝臓の炎症及び/または脂肪組織の炎症)、脂肪性肝疾患;非アルコール性脂肪性肝疾患;高血糖症;耐糖能異常(IGT);高インスリン血症;高コレステロール(例えば、LDL高値及び高コレステロール血症);冠動脈心疾患を含む心疾患、うっ血性心不全、脳卒中、末梢血管疾患、アテローム性動脈硬化等の心血管疾患;動脈硬化、及び高血圧;シンドロームX;血管再狭窄;ニューロパチー;網膜症;神経変性疾患;内皮機能障害、呼吸機能障害、腎疾患(例えば、腎症);膵炎;多嚢胞性卵巣症候群;尿酸値上昇;ヘモクロマトーシス(鉄過剰);黒色表皮腫(皮膚上の暗色斑);及びがん(例えば、骨髄腫(多発性骨髄腫、形質細胞腫、限局性骨髄腫、または髄外骨髄腫)、または卵巣癌(例えば、皮性卵巣癌)、乳癌、結腸癌、子宮内膜癌、肝癌、腎臓癌、膵癌、胃癌、子宮癌、もしくは結腸癌);ならびに上記の疾患もしくは状態のうち1つ以上か、または過体重(例えば、BMIが25kg/m)と関連するか、または体脂肪過多と関連する他の障害/状態から選択される疾患、障害もしくは状態を治療するための方法を提供する。
【0077】
本明細書で使用される場合、「と組み合わせて」または「併用療法」とは、追加の療法(例えば、第2、第3、第4等)が、体内でさらに有効であるような投与の任意の形態を指す(例えば、複数の化合物が、対象において同時に有効であり、これには、それらの化合物の相乗効果が含まれ得る)。有効性は、血液、血清、または血漿中での薬剤の測定可能な濃度と相関しない場合がある。例えば、異なる治療用化合物は、同じ製剤にして投与することができ、別個の製剤にして、同時または順次に、異なるスケジュールで投与することもできる。したがって、そのような治療を受ける対象は、異なる治療法の併用効果による利益を得ることができる。本明細書で提供される1つ以上のALK7結合性タンパク質は、1つ以上の他の追加薬剤及び/または支持療法と同時か、それより前か、またはその後に投与することができる。一般に、各治療剤は、その特定の薬剤について決定された用量及び/またはタイムスケジュールで投与される。レジメンで使用する特定の組み合わせでは、本開示のアンタゴニストと治療及び/または所望の転帰との適合性が考慮される。
【0078】
本開示の方法及び技術は一般に、別段に示されていない限り、公知の従来方法に従って、本開示全体を通して引用及び考察される様々な一般参考文献及びより詳細な参考文献に記載のように実施される。例えば、いずれも参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001)及びAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1992)、ならびにHarlow and Lane Antibodies: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990)を参照のこと。
【0079】
「がん」、「腫瘍」、「がん性」、及び「悪性」という用語は、典型的には無秩序な細胞増殖を特徴とする、哺乳類における生理学的状態を指すかまたは表す。がんの例としては、腺癌等の癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、黒色腫、肉腫、及び白血病が挙げられるが、これらに限定されない。そのようながんのより具体的な例としては、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、消化管癌、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫、膵癌、膠芽腫、神経膠腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝癌(hepatic carcinoma)及び肝癌(hepatoma)等の肝癌(liver cancer)、膀胱癌、乳癌(ホルモンによる乳癌を含む;例えば、Innes et al.,Br.J.Cancer 94:1057-1065(2006)を参照のこと)、結腸癌、大腸癌、子宮内膜癌、骨髄腫(多発性骨髄腫等)、唾液腺癌、腎細胞癌及びウィルムス腫瘍等の腎臓癌、基底細胞癌、黒色腫、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、精巣癌、食道癌、頭頸部癌各種及び粘液性卵巣癌等の粘液を発生母地とするがん、胆管癌(肝臓)及び腎臓乳頭癌が挙げられる。特定の実施形態では、がんは、乳癌、子宮内膜癌、または子宮癌である。他の実施形態では、がんは、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫、形質細胞腫、限局性骨髄腫、及び髄外骨髄腫)、または子宮内膜癌、胃癌、肝癌、結腸癌、腎臓癌もしくは膵癌である。
【0080】
「ポリヌクレオチド」及び「核酸」という用語は同じ意味で使用され、単一の核酸及び複数の核酸を包含することが意図され、単離された核酸の分子またはコンストラクト、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)、相補的DNA(cDNA)、またはプラスミドDNA(pDNA)を指す。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、通常のホスホジエステル結合または通常以外の結合(例えば、ペプチド核酸(PNA)で見られるようなアミド結合)を含む。「核酸」という用語は、ポリヌクレオチド中に存在する任意の1つ以上の核酸セグメント、例えば、DNA、cDNA、またはRNA断片を指す。核酸またはポリヌクレオチドに適用される場合、「単離された」という用語は、その天然環境から取り除かれている核酸分子、DNAまたはRNAを指し、例えば、ベクター内に含有された抗原結合タンパク質をコードする組換えポリヌクレオチドは、本開示の目的のために単離されていると見なされる。単離されたポリヌクレオチドのさらなる例としては、異種宿主細胞内に維持されているか、または他のポリヌクレオチドから(部分的または実質的に)精製された溶液中の組換えポリヌクレオチドが挙げられる。単離されたRNA分子には、インビボまたはインビトロでの、本開示のポリヌクレオチドのRNA転写産物が含まれる。本開示による単離されたポリヌクレオチドまたは核酸にはさらに、合成により生成されたそのような分子が含まれる。さらに、ポリヌクレオチドまたは核酸にはプロモーター、エンハンサー、リボソーム結合部位、または転写終結シグナル等の調節エレメントが含まれ得る。
【0081】
「ベクター」という用語は、宿主細胞に、目的の1つ以上の遺伝子(複数可)または配列(複数可)を送達する能力、及び実施形態によっては、それらを発現する能力のあるコンストラクトを意味する。ベクターの例としては、ウイルスベクター、裸のDNAもしくはRNAの発現ベクター、プラスミド、コスミド、もしくはファージのベクター、カチオン性縮合剤と会合させたDNAもしくはRNAの発現ベクター、リポソームに封入したDNAもしくはRNAの発現ベクター、及びプロデューサー細胞等のある特定の真核細胞が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0082】
「宿主細胞」という用語は、組換え核酸を有するか、または有する能力がある、細胞または細胞集団を指す。宿主細胞は、原核生物のもの(例えば、E.coli)、または真核生物のものであり得る。宿主細胞は、Saccharomyces cerevisiae、Pichia pastoris、またはSchizosaccharomyces pombe等の酵母を含め、真菌細胞であり得る。宿主細胞はまた、昆虫細胞(例えば、Sf-9)または哺乳類細胞(例えば、HEK293F、CHO、COS-7、NIH-3T3、NS0、PER.C6(登録商標)、及びハイブリドーマ)等の様々な動物細胞のいずれでもあり得る。さらなる実施形態では、宿主細胞は、CHO-K、CHO-0、CHO-Lec10、CHO-Lec13、CHO-Lec1、CHOPro5、及びCHOdhfrから選択されるCHO細胞である。特定の実施形態では、宿主細胞は、ハイブリドーマである。
【0083】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は本明細書では同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸ポリマーを指す。ポリマーは、直鎖でも分岐でもあり得、修飾アミノ酸を含むことができ、非アミノ酸により中断され得る。かかる用語はまた、自然に、または介入により修飾されているアミノ酸ポリマー、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、または他の任意の操作もしくは修飾、例えば、標識成分との結合等によって修飾されているものも包含する。この定義内には、例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸等を含む)の1つ以上の類似体及び当該技術分野で公知の他の修飾を含有するポリペプチドも含まれる。実施形態によっては、提供されるALK7結合性タンパク質は抗体に基づくため、ALK7結合性タンパク質は、一本鎖としても結合鎖としても生じ得ることが理解される。
【0084】
「組換え型」ポリペプチド、タンパク質または抗体とは、組換えDNA技術により生産されたポリペプチド、タンパク質または抗体を指す。組換えにより生産された、宿主細胞で発現させたポリペプチド、タンパク質及び抗体は、本開示の目的のために単離されたと見なされ、任意の好適な技術によって分離、分画、または部分的もしくは実質的に精製されている、天然ポリペプチドまたは組換えポリペプチドも同様である。
【0085】
本開示にはまた、ポリペプチドの断片、バリアント、または誘導体、及びそれらの任意の組み合わせも含まれる。ポリペプチド及びタンパク質に言及する場合の「断片」という用語には、参照ポリペプチドまたは参照タンパク質の特性のうち少なくともいくつかを保持する任意のポリペプチドまたはタンパク質が含まれる。ポリペプチドの断片としては、タンパク質分解断片、及び欠失断片が挙げられる。
【0086】
「バリアント」という用語は、少なくとも1つのアミノ酸修飾のために、親である抗体またはポリペプチドの配列とは異なる、抗体またはポリペプチドの配列を指す。抗体またはポリペプチドのバリアントには、断片が含まれるほか、アミノ酸の置換、欠失、もしくは挿入のためにアミノ酸配列が改変されている、抗体またはポリペプチドも含まれる。バリアントは、天然に存在しても、または天然に存在しなくてもよい。天然には存在しないバリアントは、任意の好適な変異誘発技術を使用して作製することができる。バリアントポリペプチドは、保存的または非保存的なアミノ酸の置換、欠失もしくは付加を含むことができる。
【0087】
抗体またはポリペプチドに適用される場合の「誘導体」という用語は、天然の抗体またはポリペプチドでは見られない追加の特徴を示すように改変されている抗体またはポリペプチドを指す。「誘導体」抗体の一例は、第2のポリペプチドまたは別の分子(例えば、PEG等のポリマー、発色団、またはフルオロフォア)または原子(例えば、放射性同位体)との融合体もしくは複合体である。
【0088】
「アミノ酸置換」という用語は、親配列中に存在するアミノ酸残基を別のアミノ酸残基に置き換えることを指す。アミノ酸は、例えば、化学的ペプチド合成によるかまたは公知の組換え法により親配列内で置換することができる。したがって、「X位での置換」への言及または「X位での置換」とは、X位に存在するアミノ酸残基の代替アミノ酸残基での置換を指す。いくつかの実施形態では、置換パターンは、スキーマAXYに従って表すことができ、ここで、Aは、天然ではX位に存在するアミノ酸残基に対応する一文字表記であり、Yは、置換アミノ酸残基である。他の実施形態では、置換パターンは、スキーマXYに従って表すことができ、ここで、Yは、天然ではX位に存在するアミノ酸残基を置換するアミノ酸残基に対応する一文字表記である。
【0089】
「保存的アミノ酸置換」は、そのアミノ酸残基が、類似側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられている置換である。類似側鎖を有するアミノ酸残基ファミリーは以前に定義されており、これには、塩基性側鎖(例えば、Lys、Arg、His)、酸性側鎖(例えば、Asp、Glu)、電荷を持たない極性側鎖(例えば、Gly、Asp、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys)、非極性側鎖(例えば、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、Trp)、ベータ-分岐側鎖(例えば、Thr、Val、Ile)及び芳香族側鎖(例えば、Tyr、Phe、Trp、His)が含まれる。したがって、ポリペプチド内のあるアミノ酸残基が同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基に置き換えられている場合、その置換は保存的であると見なされる。あるいは、一連のアミノ酸残基は、順序及び/または組成が異なる、構造的に類似する一連の側鎖ファミリーメンバーに保存的に置き換えることができる。
【0090】
非保存的置換としては、(a)正電荷側鎖を有する残基(例えば、Arg、His、またはLys)が、負電荷残基(例えば、GluまたはAsp)の代替となるか、もしくはそれにより置換されているもの、(b)親水性残基(例えば、SerまたはThr)が、疎水性残基(例えば、Ala、Leu、Ile、Phe、またはVal)の代替となるか、もしくはそれにより置換されているもの、(c)CysまたはProが、他の任意の残基の代替となるか、もしくはそれにより置換されているもの、または(d)かさ高い疎水性もしくは芳香族の側鎖を有する残基(例えば、Val、His、Ile、またはTrp)が、より小さい側鎖を有する残基(例えば、AlaまたはSer)もしくは側鎖のない残基(例えば、Gly)の代替となるか、もしくはそれにより置換されているものが挙げられる。
【0091】
他の置換は容易に特定することができる。例えば、アミノ酸のアラニンの場合、置換は、D-Ala、Gly、ベータ-Ala、L-Cys及びD-Cysのいずれか1つから行うことができる。リジンの場合、置き換えは、D-Lys、Arg、D-Arg、ホモ-Arg、Met、D-Met、オルニチン、またはD-オルニチンのいずれか1つであり得る。一般に、単離されたポリペプチドの特性の変更を誘導することが予測され得る、機能的に重要な領域での置換は、(a)極性残基(例えば、SerまたはThr)が、疎水性残基(例えば、Leu、Ile、Phe、またはAla)の代替となる(またはそれにより置換されている)もの;(b)Cys残基が、他の任意の残基の代替となる(またはそれにより置換されている)もの;(c)正電荷側鎖を有する残基(例えば、Lys、Arg、またはHis)が、負電荷側鎖を有する残基(例えば、GluまたはAsp)の代替となる(またはそれにより置換されている)もの;または(d)かさ高い側鎖を有する残基(例えば、Phe)が、そのような側鎖を有しないもの(例えば、Gly)の代替となる(またはそれにより置換されている)ものである。前述の非保存的置換のうちの1つがタンパク質の機能特性を変化させ得る可能性はまた、タンパク質の機能的に重要な領域に関して置換の位置とも相関し、そのため、一部の非保存的置換は、生物学的特性に対する影響がほとんどないか、またはまったくない場合がある。
【0092】
「アミノ酸挿入」という用語は、親配列中に存在する2つのアミノ酸残基の間に新たなアミノ酸残基を導入することを指す。アミノ酸残基は、親配列内に、例えば、化学的ペプチド合成によるかまたは当該技術分野で公知の組換え法により挿入することができる。したがって、「X位とY位の間での挿入」または「KabatによるX位とY位の間での挿入」という表現では、X及びYは、アミノ酸残基の位置に対応し(例えば、システインアミノ酸残基の239位と240位の間での挿入)、かかる表現は、X位とY位の間でのアミノ酸残基の挿入を指し、また、核酸配列において、あるアミノ酸残基をコードするコドンを、X位のアミノ酸残基をコードするコドンとY位のアミノ酸残基をコードするコドン間に挿入することも指す。
【0093】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの2つの配列間の「配列同一性パーセント」または「同一性パーセント」という用語は、2配列間の最適アラインメントのために導入しなければならない付加または欠失(すなわち、ギャップ)を考慮に入れた、比較枠全体にわたってそれらの配列が共有する同一の一致位置の数を指す。一致位置は、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸が標的配列と参照配列の両方で提示されている任意の位置である。ギャップはヌクレオチドでもアミノ酸でもないため、標的配列で提示されているギャップは数えない。同様に、参照配列からのヌクレオチドまたはアミノ酸ではなく、標的配列のヌクレオチドまたはアミノ酸を数えるため、参照配列で提示されているギャップは数えない。配列同一性のパーセンテージは、両方の配列内で同一のアミノ酸残基または核酸塩基が生じる位置の数を決定して一致位置の数を得、その一致位置の数を比較枠内の位置総数で除し、その結果に100を乗じて配列同一性のパーセンテージを得ることにより計算することができる。配列比較及び2配列間の同一性パーセントの決定は、容易に利用可能なソフトウェアプログラムを使用して達成することができる。好適なソフトウェアプログラムは、様々な提供元から入手可能であり、タンパク質配列とヌクレオチド配列の両方に利用可能である。配列同一性パーセントを決定するための好適なプログラムの1つは、米国政府のNational Center for Biotechnology InformationのBLASTウェブサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能なプログラムのBLASTパッケージの一部である、bl2seqである。Bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムを使用して2配列間の比較を実行する。BLASTNは核酸配列を比較するために使用され、BLASTPはアミノ酸配列を比較するために使用される。他の好適なプログラムは、例えば、バイオインフォマティクスプログラムのEMBOSSパッケージの一部であるNeedle、Stretcher、Water、またはMatcherであり、www.ebi.ac.uk/Tools/psaでEuropean Bioinformatics Institute(EBI)から入手することもできる。
【0094】
CDRまたはCDRのセットを保持させるための構造は一般に、抗体の重鎖配列もしくは軽鎖配列またはその実質的部分のものであり、CDRまたはCDRのセットは、再構成された免疫グロブリン遺伝子によりコードされる天然に存在するVH抗体可変ドメイン及びVL抗体可変ドメインのCDRまたはCDRのセットに対応する位置に位置する。免疫グロブリン可変ドメイン及びそれらのCDRの構造及び位置は、プログラムを使用して当業者により容易に決定され得、Chothia、Chothia+、及びKabat等の既知の可変ドメイン残基番号付けシステムが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるKabat(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest.4th Edition.U.S.DHHS.1987、及びインターネット上で利用可能なツール(例えば、bioinf.org.uk/abysis/sequence_input/key_annotation/key_annotation.html、及びimmuno.bme.nwu.eduにて))への参照により日常的に決定することができる。
【0095】
CDRはまた、他の足場、例えば、フィブロネクチン、シトクロムB、アルブミン(例えば、ALBUdAb(Domantis/GSK)及びALB-Kunitz(Dyax))、3個または6個のアミノ酸の構造不定反復配列(例えば、PASylation(登録商標)技術及びXTEN(登録商標)技術)、及びエラスチン様反復ドメインを含有する配列(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第61/442,106号を参照のこと)等により保持させることもできる。
【0096】
実質的に本明細書に記載されるCDRアミノ酸配列は、ヒト可変ドメインまたはその実質的部分にCDRとして保持させることができる。実質的に本明細書に記載されるHCDR3配列は、本開示の実施形態を表し、これらの各々は、ヒト重鎖可変ドメインまたはその実質的部分にHCDR3として保持され得る。
【0097】
本開示で使用される可変ドメインは、どの生殖細胞系列または再構成されたヒト可変ドメインからも取得することができ、また既知のヒト可変ドメインのコンセンサス配列に基づく合成可変ドメインでもあり得る。CDR配列(例えば、CDR3)は、組換えDNA技術を使用して、CDR(例えば、CDR3)を欠く可変ドメインのレパートリー内に導入することができる。
【0098】
例えば、Marksら(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Bio/Technology 10:779-783(1992))は、抗体可変ドメインのレパートリーを生成する方法を提供しており、抗体可変ドメインでは、可変ドメイン領域の5’末端またはそれに隣接して指向されたコンセンサスプライマーを、ヒトVH遺伝子の第3のフレームワーク領域に対するコンセンサスプライマーと併用して、CDR3を欠くVH可変ドメインのレパートリーを得ている。Marksらはさらに、このレパートリーを特定の抗体のCDR3と組み合わせることができる方法について記載している。類似の技術を使用して、本開示のCDR3由来配列を、CDR3を欠くVHドメインまたはVLドメインのレパートリーとシャッフルし、シャッフルして完成したVHドメインまたはVLドメインを同族のVLドメインまたはVHドメインと合わせて抗原結合タンパク質を得ることができる。その後、レパートリーを、国際出願公開第WO92/01047号、またはそれに続く、Kay et al.,(1996) Phage Display of Peptides and Proteins: A Laboratory Manual,San Diego: Academic Press等の大量の文献のいずれかのファージディスプレイ系等の好適な宿主系に提示させて、好適な抗原結合タンパク質が選択され得るようにすることができる。レパートリーは、別個の10以上のメンバーから、例えば、10~10、または1010のメンバーからのいずれからもなり得る。他の好適な宿主系としては、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、T7ディスプレイ、及びリボソームディスプレイが挙げられる。リボソームディスプレイの概説については、いずれも本明細書で参照することによりその全体が本明細書に組み込まれるLowe et al.,Curr.Pharm.Biotech.517-527(2004)及び国際出願公開第WO92/01047号を参照のこと。類似のシャッフリングまたはコンビナトリアル技術がStemmer(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるNature 370:389-391(1994))によっても開示されており、β-ラクタマーゼ遺伝子との関連における技術を記載しているが、その手法が抗体作製に使用され得ることが観察されている。
【0099】
「抗原結合性領域」または「ABR」という用語は、抗原(Ag)を認識して結合する抗体内部の残基であるパラトープを指す。ABRまたはABRのセットは一般に、抗体の重鎖配列もしくは軽鎖配列またはその実質的部分のものであり、ABRまたはABRのセットは、再構成された免疫グロブリン遺伝子によりコードされる天然に存在するVH抗体可変ドメイン及びVL抗体可変ドメインのABRまたはABRのセットに対応する位置に位置する。免疫グロブリン可変ドメイン及びそれらのABRの構造及び位置は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、プログラム及び既知の可変ドメイン残基番号付けシステム及びインターネット上で利用可能なツールを使用して、当業者により容易に決定され得る(例えば、Kunik V.,et al.,Nucleic Acids Res.2012 Jul;40)。
【0100】
ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)は、それが、ALK7に対する参照分子の結合をある程度阻止する範囲でALK7に結合する場合、ALK7への結合を参照分子と「競合する」と言われる。タンパク質が、ALK7への結合に対して競合し、そのためALK7への互いの結合を妨げる、阻止する、または「交差阻止する」能力は、例えば、競合ELISAアッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR;BIACORE(登録商標),Biosensor,Piscataway,N.J.)またはScatchard et al.(Ann.N.Y.Acad.Sci.51:660-672(1949))により記載されている方法に従うものを含め、当該技術分野で公知の任意の標準的競合結合アッセイにより決定することができる。ALK7結合性タンパク質は、ALK7に対する参照分子の結合を、例えば、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%競合的に阻害すると言われ得る。いくつかの実施形態によれば、ALK7結合性タンパク質は、ALK7に対する参照分子の結合を、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%競合的に阻害する。他の実施形態によれば、ALK7結合性タンパク質は、ALK7に対する参照分子の結合を、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%競合的に阻害する。
【0101】
ALK7結合性タンパク質
ALK7と特異的に結合するタンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、アンタゴニストALK7結合性タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は抗体である。さらなる実施形態では、抗体は、アンタゴニスト抗ALK7抗体である。
【0102】
本明細書で使用される場合、「ALK7」という用語は、任意の種からのアクチビン受容体様キナーゼ-7タンパク質及びそのようなALK7タンパク質から変異誘発または他の修飾によって誘導されたバリアントのファミリーを指す。本明細書でのALK7への言及は、現在同定されている形態のいずれか1つへの言及であると理解される。ALK7ファミリーのメンバーは一般に膜貫通タンパク質であり、システインに富む領域を有するリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及びセリン/トレオニンキナーゼ活性が予測される細胞質ドメインで構成される。ヒトALK7には、天然に存在する様々なアイソフォームがある。標準ヒトALK7アイソフォーム1前駆体タンパク質の配列(NCBI参照NP_660302.2)は、以下のとおりである:
(配列番号85)。シグナルペプチドは一重下線で示され、細胞外ドメインは太字フォントで示されている。
【0103】
標準ラットALK7前駆体タンパク質の配列(NCBI参照配列P70539.1)は、以下のとおりである:
(配列番号86)。シグナルペプチドは一重下線で示され、細胞外ドメインは太字フォントで示されている。
【0104】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、TGF-ベータ受容体ファミリーメンバーではない対照タンパク質に対するALK7結合性タンパク質の親和性より少なくとも100倍、500倍、または1000倍大きい親和性でALK7と結合する。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質はALK7と結合し、解離定数(K)が1μΜ未満、100nM未満、10nM未満、1nM未満、0.1nM未満、10pM未満、1pM未満、または0.1pM未満である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ヒトALK7に対するKが1μM以下かつ0.1pM以上、100μM以下かつ0.1pM以上、または100μM以下かつ1pM以上の範囲内である。
【0105】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)が、参照ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)によるALK7タンパク質への結合と競合/結合を阻止する能力を決定するためにBIACORE(登録商標)分析が使用される。BIACORE(登録商標)装置(例えば、BIACORE(登録商標)3000)を、製造者の推奨事項に従って操作するさらなる実施形態では、ALK7-Fc融合タンパク質は、事前に結合させた抗niFc IgGにより、CM5 BIACORE(登録商標)チップに捕捉され、ALK7でコートされた表面が生成される。典型的には、200~800レゾナンスユニットのALK7-Fc(二量体)がチップに結合されると考えられる(測定可能なレベルの結合が容易に得られるが、使用される試験試薬の濃度により容易に飽和可能な量)。
【0106】
互いに競合/阻止する能力についての評価対象である2つのALK7結合性タンパク質(A及びBと称する)を、好適な緩衝液中で結合部位のモル比を1対1にして混合し、試験混合物を作製する。結合部位に基づいて濃度を計算する場合、ALK7結合性タンパク質の分子量は、ALK7結合性タンパク質の総分子量を、そのALK7結合性タンパク質上のALK7結合部位数で除したものであると想定する。試験混合物中の各ALK7結合性タンパク質(すなわち、A及びB)の濃度は、BIACORE(登録商標)チップに捕捉されたALK7-Fc分子上のそのALK7結合性タンパク質に対する結合部位が容易に飽和するよう十分に高くあるべきである。混合物中のALK7結合性タンパク質のA及びBは、(結合に基づいて)同じモル濃度であり、その濃度は典型的には(結合部位に基づいて)1.00~1.5マイクロモルであろう。ALK7結合性タンパク質A単独及びALK7結合性タンパク質B単独を含有する別々の溶液もまた調製される。これらの溶液中のALK7結合性タンパク質A及びALK7結合性タンパク質Bは、試験混合物中のように同じ緩衝液中で同じ濃度であるべきである。試験混合物をALK7-FcでコートしたBIACORE(登録商標)チップ上に通し、結合総量を記録する。次いで、チップに結合したALK7-Fcを損傷することなく結合したALK7結合性タンパク質が除去されるようチップを処理する。典型的には、これは、チップを30mMのHC1で60秒間処理することにより行われる。次いで、ALK7結合性タンパク質A単独の溶液を、ALK7-Fcでコートした表面に通し、結合量を記録する。チップに結合したALK7-Fcを損傷することなく結合した抗体が除去されるようチップを再度処理する。次いで、ALK7結合性タンパク質B単独の溶液をALK7-Fcでコートした表面に通し、結合量を記録する。ALK7結合性タンパク質AとALK7結合性タンパク質Bの混合物の理論的最大結合を次に計算するが、これは、ALK7表面を単独で通した際の各ALK7結合性タンパク質の結合の和である。混合物の実際に記録された結合がこの理論的最大値より小さい場合は、2つのALK7結合性タンパク質は互いに競合/阻止しあっている。したがって、一般に、阻止性ALK7結合性タンパク質は、上記BIACORE(登録商標)阻止アッセイにおいて、アッセイ中及び第2のALK7結合性タンパク質の存在下で、記録された結合が、組み合わせた2つのALK7結合性タンパク質の理論的最大結合(上記で定義したとおり)の80%~0.1%(例えば、80%未満~4%)具体的には理論的最大結合の75%~0.1%(例えば、75%~4%)、より具体的には理論的最大結合の70%~0.1%(例えば、70%~4%)となるようにALK7に結合するものである。
【0107】
上記のBIACORE(登録商標)アッセイは、抗ALK7抗体等の2つALK7結合性タンパク質が、ALK7への結合に対して互いに競合/結合を阻止しあうかどうかを決定するために使用される例示的アッセイである。まれに、特定のALK7結合性タンパク質は、抗Fc IgGを介してCM5 BIACORE(登録商標)チップに結合されているALK7-Fcに結合しない場合がある(これは、FcへのALK7の連結によってALK7上の関連結合部位が遮蔽または破壊されている場合に起こり得る)。そのような場合には、ALK7のタグ付きバージョン、例えば、C末端にHis-タグを付けたALK7を使用して阻止を決定することができる。この特定のフォーマットでは、抗His抗体をBIACORE(登録商標)チップに結合させ、その後、Hisタグ付きALK7をチップ表面上に通し、抗His抗体により捕捉させることとなる。本質的には上記のように交差阻止分析が行われるが、ただし、各チップ再生サイクルの後、抗His抗体でコートされた表面に再び新たなHisタグ付きALK7をロードすることとなる。さらに、そのような阻止分析には他の様々な既知のタグとタグ結合性タンパク質の組み合わせを使用することができる(例えば、HAタグと抗HA抗体;FLAGタグと抗FLAG抗体;ビオチンタグとストレプトアビジン)。以下に、ALK7結合性タンパク質が、ALK7に対する参照ALK7結合性タンパク質の結合を阻止するのか、または阻止する能力があるのかどうかを決定するためのELISAアッセイを概説する。
【0108】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)が、ALK7への結合に対して参照ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体またはALK7リガンド)と競合する能力を決定するためにELISAが使用される。そのようなアッセイの一般原理は、参照ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)をELISAプレートのウェルにコートすることである。過剰量の潜在的に阻止性の第2の被験ALK7結合性タンパク質を溶液中に加える(すなわち、ELISAプレートには結合していない)。次いで、限られた量のALK7(または別法としてALK7-Fc)をウェルに加える。コートされた参照ALK7結合性タンパク質と溶液中の被験ALK7結合性タンパク質は、限られた数のALK7(またはALK7-Fc)分子の結合に対して競合する。プレートを洗浄して、コートされた参照ALK7結合性タンパク質が結合していないALK7を除去し、また、液相の被験ALK7結合性タンパク質、及び液相の被験ALK7結合性タンパク質とALK7の間で形成された複合体も除去する。次いで、結合したALK7の量を、適切なALK7検出試薬を使用して測定する。コートされた参照ALK7結合性タンパク質のALK7への結合を阻止することができる溶液中の被験ALK7結合性タンパク質は、コートされた参照ALK7結合性タンパク質が第2の液相被験ALK7結合性タンパク質の非存在下で結合することができるALK7分子の数と比べて、コートされた参照ALK7結合性タンパク質が結合することができるALK7分子の数の減少を引き起こすことができる。アッセイのバックグラウンドシグナルは、コートされた参照ALK7結合性タンパク質、液相被験ALK7結合性タンパク質、ALK7緩衝液のみ(すなわち、ALK7なし)及びALK7検出試薬を含むウェルで得られるシグナルと定義される。アッセイの陽性対照シグナルは、コートされた参照ALK7結合性タンパク質、液相被験ALK7結合性タンパク質緩衝液のみ(すなわち、液相被験ALK7結合性タンパク質なし)、ALK7及びActRII受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)検出試薬を含むウェルで得られるシグナルと定義される。ELISAアッセイは、バックグラウンドシグナルの少なくとも3倍の陽性対照シグナルが得られるように実行される。方法上のアーチファクトの対照として、交差阻止アッセイを上述の形式で実行しても、またその逆で、コートされた抗体として被験ALK7結合性タンパク質を、液相抗体として参照ALK7結合性タンパク質を用いて実行してもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、TGF-ベータ受容体ファミリーメンバーではない対照タンパク質に対するALK7結合性タンパク質の親和性より少なくとも100倍、500倍、または1000倍大きい親和性でALK7と結合する。追加の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、TGF-ベータ受容体ファミリーメンバーではない対照タンパク質に対するALK7結合性タンパク質の親和性より少なくとも100倍、500倍、または1000倍大きい親和性でALK7と結合する。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質はALK7と結合し、解離定数(K)が1μΜ未満、100nM未満、10nM未満、1nM未満、0.1nM未満、10pM未満、1pM未満、または0.1pM未満である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ヒトALK7に対するKが1μM以下かつ0.1pM以上、100μM以下かつ0.1pM以上、または100μM以下かつ1pM以上の範囲内である。
【0110】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質(例えば、アンタゴニスト抗ALK7抗体)が、哺乳類の白色脂肪細胞におけるALK7媒介性の脂肪分解阻害を低下させる(阻害する)能力を決定するために細胞ベースの脂肪分解阻害アッセイが使用される。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)がALK7活性を低下させる能力を決定するために、成熟白色脂肪細胞(例えば、ヒト、マウス、またはラット)を使用して脂肪分解阻害アッセイを実施する。脂肪分解アッセイを行うためのキット、試薬及び方法は市販されており、当該技術分野で公知である。特定の実施形態では、脂肪分解阻害アッセイは、本明細書の実施例で提供されているように実施される。他の実施形態では、アッセイは市販されている脂肪分解アッセイキット(例えば、BioAssay Systems,EnzyChrom(商標)Adipolysis Assay Kit、カタログ番号EAPL-200;Abcamカタログ番号ab185433;Zen-Bio、カタログ番号LIP-1-NCL1;BioVision、カタログ番号K577-100;Sigma-Aldrich、カタログ番号MAK211;及びAdipoLyze(商標)Lipolysis Detection Assay,Lonza、カタログ番号193339)で提供される説明書及び試薬に従って実施される。
【0111】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質はALK7アンタゴニストであり、脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞での脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、アクチビンB(50ng/ml)の存在下で実施される脂肪分解阻害アッセイで標準的技術と条件を使用して(例えば、本明細書中の例に記載のように)決定した場合、成熟白色脂肪細胞での脂肪分解を5%~100%、10%95%、10~90%、10~85%、10~80%、10~75%、10~70%、10~65%、10~60%、10~55%、10~50%、または10~45%増大させる。他の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞での脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、アクチビンB(50ng/ml)の存在下で実施される脂肪分解阻害アッセイで標準的技術と条件を使用して(例えば、本明細書中の例に記載のように)決定した場合、成熟白色脂肪細胞での脂肪分解を少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは95%、または約100%増大させる。
【0112】
ALK7シグナル伝達に依存する薬力学的パラメータは、ALK7を中和し、治療的利益を提供することができる結合性タンパク質を同定するために、ALK7結合性タンパク質のインビボ試験のエンドポイントとして測定され得る。ALK7中和結合物質は、ビヒクルで処置された動物と比較して、そのような薬力学的パラメータの統計学的に有意な変化を生じさせることができるものと定義される。そのようなインビボ試験は、任意の好適な哺乳類(例えば、マウス、ラット、またはサル)で実施することができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合する抗体である。追加の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、完全長抗ALK7抗体である。追加の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、またはそのALK7結合性抗体断片である。
【0114】
いくつかの実施形態では、抗ALK7抗体は、ALK7結合性抗体断片である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性抗体断片は、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv断片、ダイアボディ、または一本鎖抗体分子である。追加の実施形態では、ALK7抗体は、Fd、一本鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合したFv、V-NARドメイン、IgNar、細胞内抗体、IgGΔCH2、ミニボディ、F(ab’)、テトラボディ、トリアボディ、ダイアボディ、単一ドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb、(scFv)、scFv-Fcまたはビス-scFvである。
【0115】
追加の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、VH及びVLが含まれている抗体である。いくつかの実施形態では、抗ALK7抗体にはさらに、重鎖定常領域またはその断片が含まれている。いくつかの実施形態では、抗体は、(a)ヒトIgA定常領域、またはその断片、(b)ヒトIgD定常領域、またはその断片、(c)ヒトIgE定常ドメイン、またはその断片;(d)ヒトIgG1定常領域、またはその断片、(e)ヒトIgG2定常領域、またはその断片、(f)ヒトIgG3定常領域、またはその断片、(g)ヒトIgG4定常領域、またはその断片、及び(h)ヒトIgM定常領域、またはその断片から選択される重鎖免疫グロブリン定常領域を含む。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、重鎖定常領域またはその断片、例えば、ヒトIgG定常領域またはその断片を含む。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、エフェクター機能及び/または半減期が変化しているかもしくは変化するよう変異させてある重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む。
【0116】
特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、エフェクター機能を低下させる変異を含有しているIgG1重鎖定常領域を含む抗体である(例えば、各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Idusogie et al.,J.Immunol.166:2571-2575(2001)、Sazinsky et al.,PNAS USA 105:20167-20172(2008)、Davis et al.,J.Rheumatol.34:2204-2210(2007)、Bolt et al.,Eur.J.Immunol.23:403-411(1993)、Alegre et al.,Transplantation 57:1537-1543(1994)、Xu et al.,Cell Immunol.200:16-26(2000)、Cole et al.,Transplantation 68:563-571(1999)、Hutchins et al.,PNAS USA 92:11980-11984(1995)、Reddy et al.,J.Immunol.164:1925-1933(2000)、WO97/11971、及びWO07/106585、米国出願公開第2007/0148167A1号、McEarchern et al.,Blood 109:1185-1192(2007)、Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009)、及びKumagai et al.,J.Clin.Pharmacol.47:1489-1497(2007)を参照のこと)。
【0117】
いくつかの実施形態では、重鎖定常領域またはその断片には、野生型IgG定常ドメインに対する1つ以上のアミノ酸置換が含まれ、その修飾されたIgGは、野生型IgG定常ドメインを有するIgGの半減期と比較してADCCが低下している。ADCCを低下させる提供抗体内に含有されるFc配列操作修飾の例としては、IgG1-K326W、E333S;IgG2-E333S;IgG1-N297A;IgG1-L234A、L235A;IgG2-V234A、G237A;IgG4-L235A、G237A、E318A;IgG4-S228P、L236E;IgG2-EU配列の118~260;IgG4-EU配列の261~447;IgG2-H268Q、V309L、A330S、A331S;IgG1-C220S、C226S、C229S、P238S;IgG1-C226S、C229S、E233P、L234V、L235A;及びIgG1-L234F、L235E、P331Sに対応する1つ以上の修飾が挙げられ、位置の番号付けはKabatの場合同様、EUインデックスに従っている。
【0118】
ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、CDC活性が低下しているかまたは低下するよう変異させてある重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む。特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、CDC活性を低下させる変異を含有しているIgG1重鎖定常領域を含む抗体である(例えば、各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、WO97/11971及びWO07/106585、米国出願公開第2007/0148167A1号、McEarchern et al.,Blood 109:1185-1192(2007);Hayden-Ledbetter et al.,Clin.Cancer 15:2739-2746(2009)、Lazar et al.,PNAS USA 103:4005-4010(2006)、Bruckheimer et al.,Neoplasia 11:509-517(2009)、Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009)、ならびにSazinsky et al.,PNAS USA 105:20167-20172(2008)を参照のこと)。CDCを低下させる抗ALK7抗体内に含有されるFc配列操作修飾の例としては、IgG1-S239D、A330L、I332E;IgG2 EU配列の118~260;IgG4-EU配列の261~447;IgG2-H268Q、V309L、A330S、A331S;IgG1-C226S、C229S、E233P、L234V、L235A;IgG1-L234F、L235E、P331S;及びIgG1-C226S、P230Sに対応する1つ以上の修飾が挙げられる。
【0119】
さらなる実施形態では、重鎖定常領域またはその断片には、野生型IgG定常ドメインに対する1つ以上のアミノ酸置換が含まれ、その修飾されたIgGは、野生型IgG定常ドメインを有するIgGの半減期と比較して半減期が長い。例えば、IgG定常ドメインは、251~257位、285~290位、308~314位、385~389位、及び428~436位におけるアミノ酸残基の1つ以上のアミノ酸置換を含有することができ、ここで、アミノ酸位置の番号付けは、Kabatに記載されているEUインデックスに従って行われる。ある特定の実施形態では、IgG定常ドメインは、Kabat位置252位のアミノ酸のTyr、Phe、Trp、もしくはThrによる置換;Kabat位置254位のアミノ酸のThrによる置換;Kabat位置256位のアミノ酸のSer、Arg、Gln、Glu、Asp、もしくはThrによる置換;Kabat位置257位のアミノ酸のLeuによる置換;Kabat位置309位のアミノ酸のProによる置換;Kabat位置311位のアミノ酸のSerによる置換;Kabat位置428位のアミノ酸のThr、Leu、Phe、もしくはSerによる置換;Kabat位置433位のアミノ酸のArg、Ser、Iso、Pro、もしくはGlnによる置換;またはKabat位置434位のアミノ酸のTrp、Met、Ser、His、Phe、もしくはTyrによる置換のうちの1つ以上を含有することができる。具体的には、IgG定常ドメインは、Kabat位置252位のアミノ酸のTyrによる置換、Kabat位置254位のアミノ酸のThrによる置換、及びKabat位置256位のアミノ酸のGluによる置換を含め、野生型ヒトIgG定常ドメインに対するアミノ酸置換を含有することができる。
【0120】
追加の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、軽鎖免疫グロブリン定常領域を含む抗体である。さらなる実施形態では、抗体は、ヒトIgカッパ定常領域またはヒトIgラムダ定常領域を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、相補性決定領域(CDR)のセット、すなわち、重鎖可変領域(VH)-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、軽鎖可変領域(VL)-CDR1、VL-CDR2及びVL-CDR3を含み、かかるCDRは、表1に開示されている重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)の対に存在する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、(a)配列番号4のVH配列と配列番号13のVL配列、(b)配列番号22のVH配列と配列番号31のVL配列、(c)配列番号40のVH配列と配列番号49のVL配列、及び(d)配列番号58のVH配列と配列番号67のVL配列、から選択されるVHとVLの対に存在するCDRのセットを含む。
【0122】
追加の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合し、CDRのセット、すなわち、VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVL-CDR3を含み、かかるCDRのセットは、CDRの参照セット、すなわち、(a)(i)VH-CDR1が配列番号1のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-CDR2が配列番号2のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-CDR3が配列番号3のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-CDR1が配列番号10のアミノ酸配列を含み、(v)VL-CDR2が配列番号11のアミノ酸を含み、(vi)VL-CDR3が配列番号12のアミノ酸配列を含むか、(b)(i)VH-CDR1が配列番号19のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-CDR2が配列番号20のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-CDR3が配列番号21のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-CDR1が配列番号28のアミノ酸配列を含み、(v)VL-CDR2が配列番号29のアミノ酸を含み、(vi)VL-CDR3が配列番号30のアミノ酸配列を含むか、(c)(i)VH-CDR1が配列番号37のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-CDR2が配列番号38のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-CDR3が配列番号39のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-CDR1が配列番号46のアミノ酸配列を含み、(v)VL-CDR2が配列番号47のアミノ酸を含み、(vi)VL-CDR3が配列番号48のアミノ酸配列を含むか、または(d)(i)VH-CDR1が配列番号55のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-CDR2が配列番号56のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-CDR3が配列番号57のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-CDR1が配列番号64のアミノ酸配列を含み、(v)VL-CDR2が配列番号65のアミノ酸を含み、(vi)VL-CDR3が配列番号66のアミノ酸配列を含むというセットと同一であるか、あるいはそこから合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、もしくは10未満の、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有し、かかるタンパク質はALK7と結合する。
【0123】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合し、CDRのセット、すなわち、(a)(i)VH-CDR1が配列番号1のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-CDR2が配列番号2のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-CDR3が配列番号3のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-CDR1が配列番号10のアミノ酸配列を含み、(v)VL-CDR2が配列番号11のアミノ酸を含み、(vi)VL-CDR3が配列番号12のアミノ酸配列を含むか、(b)(i)VH-CDR1が配列番号19のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-CDR2が配列番号20のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-CDR3が配列番号21のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-CDR1が配列番号28のアミノ酸配列を含み、(v)VL-CDR2が配列番号29のアミノ酸を含み、(vi)VL-CDR3が配列番号30のアミノ酸配列を含むか、(c)(i)VH-CDR1が配列番号37のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-CDR2が配列番号38のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-CDR3が配列番号39のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-CDR1が配列番号46のアミノ酸配列を含み、(v)VL-CDR2が配列番号47のアミノ酸を含み、(vi)VL-CDR3が配列番号48のアミノ酸配列を含むか、または(d)(i)VH-CDR1が配列番号55のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-CDR2が配列番号56のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-CDR3が配列番号57のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-CDR1が配列番号64のアミノ酸配列を含み、(v)VL-CDR2が配列番号65のアミノ酸を含み、(vi)VL-CDR3が配列番号66のアミノ酸配列を含むというセットを含み、かかるタンパク質はALK7と結合する。
【0124】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、抗原結合領域(ABR)のセット、すなわち、重鎖可変領域(VH)-ABR1、VH-ABR2、VH-ABR3、軽鎖可変領域(VL)-ABR1、VL-ABR2及びVL-ABR3を含み、かかるABRは、表1に開示されている重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)の対に存在する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、(a)配列番号4のVH配列と配列番号13のVL配列、(b)配列番号22のVH配列と配列番号31のVL配列、(c)配列番号40のVH配列と配列番号49のVL配列、及び(d)配列番号58のVH配列と配列番号67のVL配列、から選択されるVHとVLの対に存在するABRのセットを含む。
【0125】
追加の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合し、ABRのセット、すなわち、VH-ABR1、VH-ABR2、VH-ABR3、VL-ABR1、VL-ABR2、及びVL-ABR3を含み、かかるABRのセットは、ABRの参照セット、すなわち、(a)(i)VH-ABR1が配列番号73のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-ABR2が配列番号74または69のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-ABR3が配列番号75または70のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-ABR1が配列番号71のアミノ酸配列を含み、(v)VL-ABR2が配列番号72のアミノ酸を含み、(vi)VL-ABR3が配列番号87のアミノ酸配列を含むか、(b)(i)VH-ABR1が配列番号76のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-ABR2が配列番号77または88のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-ABR3が配列番号89のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-ABR1が配列番号90のアミノ酸配列を含み、(v)VL-ABR2が配列番号91のアミノ酸を含み、(vi)VL-ABR3が配列番号92のアミノ酸配列を含むか、(c)(i)VH-ABR1が配列番号79のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-ABR2が配列番号80または93のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-ABR3が配列番号81または94のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-ABR1が配列番号95のアミノ酸配列を含み、(v)VL-ABR2が配列番号96のアミノ酸を含み、(vi)VL-ABR3が配列番号97のアミノ酸配列を含むか、または(d)(i)VH-ABR1が配列番号82のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-ABR2が配列番号83または98のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-ABR3が配列番号84または99のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-ABR1が配列番号100のアミノ酸配列を含み、(v)VL-ABR2が配列番号101のアミノ酸を含み、(vi)VL-ABR3が配列番号102のアミノ酸配列を含むというセットと同一であるか、あるいはそこから合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、もしくは10未満の、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有し、かかるタンパク質はALK7と結合する。
【0126】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合し、ABRのセット、すなわち、(a)(i)VH-ABR1が配列番号73のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-ABR2が配列番号74または69のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-ABR3が配列番号75または70のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-ABR1が配列番号71のアミノ酸配列を含み、(v)VL-ABR2が配列番号72のアミノ酸を含み、(vi)VL-ABR3が配列番号87のアミノ酸配列を含むか、(b)(i)VH-ABR1が配列番号76のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-ABR2が配列番号77または88のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-ABR3が配列番号89のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-ABR1が配列番号90のアミノ酸配列を含み、(v)VL-ABR2が配列番号91のアミノ酸を含み、(vi)VL-ABR3が配列番号92のアミノ酸配列を含むか、(c)(i)VH-ABR1が配列番号79のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-ABR2が配列番号80または93のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-ABR3が配列番号81または94のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-ABR1が配列番号95のアミノ酸配列を含み、(v)VL-ABR2が配列番号96のアミノ酸を含み、(vi)VL-ABR3が配列番号97のアミノ酸配列を含むか、または(d)(i)VH-ABR1が配列番号82のアミノ酸配列を含み、(ii)VH-ABR2が配列番号83または98のアミノ酸配列を含み、(iii)VH-ABR3が配列番号84または99のアミノ酸配列を含み、(iv)VL-ABR1が配列番号100のアミノ酸配列を含み、(v)VL-ABR2が配列番号101のアミノ酸を含み、(vi)VL-ABR3が配列番号102のアミノ酸配列を含むというセットを含み、かかるタンパク質はALK7と結合する。
【0127】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合し、VHとVLの対、すなわち、(a)(i)配列番号4に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVHと、(ii)配列番号13に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL、(b)(i)配列番号22に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVHと、(ii)配列番号31に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL、(c)(i)配列番号40に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVHと、(ii)配列番号49に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL、及び(d)(i)配列番号58に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVHと、(ii)配列番号67に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL、から選択される対を含み、かかるタンパク質はALK7と結合する。
【0128】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、VHとVLの対、すなわち、(a)(i)配列番号4から選択される参照VH配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVH配列と、(ii)配列番号13の参照VL配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVL配列、(b)(i)配列番号22の参照VH配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVH配列と、(ii)配列番号31の参照VL配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVL配列、(c)(i)配列番号40の参照VH配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVH配列と、(ii)配列番号49の参照VL配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVL配列、ならびに(d)(i)配列番号58の参照VH配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVH配列と、(ii)配列番号67の参照VL配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVL配列、から選択される対を含み、かかるタンパク質はALK7と結合する。
【0129】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合する抗体である。追加の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、または多重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7結合性抗体断片である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、ダイアボディ、DART、及び一本鎖抗体分子(例えば、BiTE)から選択される抗体断片である。
【0130】
さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、(a)1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンドの存在下で、ALK7及びII型受容体を発現している細胞表面上での、ALK7、II型受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)、及び1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビンB、アクチビンAB、Nodal、GDF1、GDF3及び/またはGDF8)を含有する複合体の形成を減少させる、(b)ALK7への結合に対して1つ以上のII型受容体と競合する、(c)ALK7への結合に対して1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビンB、アクチビンAB、Nodal、GDF1、GDF3及び/またはGDF8)と競合する、(d)1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンAB、及び/またはNodal)の存在下でALK7及びII型受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)を発現している細胞でのALK7のリン酸化を減少させる、(e)1つ以上のTGF-ベータリガンド(例えば、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンAB、及び/またはNodal)の存在下でALK7及びII型受容体(例えば、ActRIIA及び/またはActRIIB)を発現している細胞でのSmad(例えば、Smad2及び/またはSmad3)のリン酸化を減少させる、(f)ALK7に、1nM以下かつ1pM以上のK(例えば、BIACORE(登録商標)分析により決定した場合)で結合する及び(g)ALK7、共受容体(例えば、cripto及び/またはcryptic)、及び1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、Nodal)を含有する複合体の形成を減少させる、という特性から選択される少なくとも1つの特性を有する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7アンタゴニスト(例えば、抗ALK7中和抗体)である。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞での脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞(例えば、白色脂肪細胞)を使用した脂肪分解アッセイにおいて脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。さらなる実施形態では、脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、上記の特性のうち2つ、3つ、または4つを有する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、上記の特性のうち少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つを有する。
【0131】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、少なくとも1つの変異、修飾、及び/または置換、例えば、Fc領域またはFab領域での変異を含む。そのような変異及び/または置換は、例えば、ALK7結合性タンパク質の発現量、翻訳後修飾、安定性/半減期、及び/または活性を増大させるかまたは改善し得る。特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)は、例えば、宿主において、エフェクター活性及び/または毒性を低下させるよう、及び/または補体の結合と固定化を低下させる、Fc-g依存性の抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を低下させる、補体依存性細胞傷害(CDC)を低下させる、及び/または生物学的利用能及び/または安定性/半減期を改善するように、少なくとも1つの変異、修飾、及び/または置換をそのFc領域に含む。
【0132】
1つ以上が提供抗体内に含まれ得る、ADCCを低下させるFc配列操作修飾の例としては、IgG1-K326W、E333S;IgG2-E333S;IgG1-N297A;IgG1-L234A、L235A;IgG2-V234A、G237A;IgG4-L235A、G237A、E318A;IgG4-S228P、L236E;IgG2-EU配列の118~260;IgG4-EU配列の261~447;IgG2-H268Q、V309L、A330S、A331S;IgG1-C220S、C226S、C229S、P238S;IgG1-C226S、C229S、E233P、L234V、L235A;及びIgG1-L234F、L235E、P331Sに対応する修飾が挙げられ、位置の番号付けはKabatの場合同様、EUインデックスに従っている。
【0133】
1つ以上が提供抗体内に含まれ得る、CDC活性を低下させるFc配列操作修飾の例としては、例えば、WO97/11971及びWO07/106585、米国出願公開第2007/0148167A1号、McEarchern et al.,Blood 109:1185-1192(2007);Hayden-Ledbetter et al.,Clin.Cancer 15:2739-2746(2009)、Lazar et al.,PNAS USA 103:4005-4010(2006)、Bruckheimer et al.,Neoplasia 11:509-517(2009)、Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009)、ならびにSazinsky et al.,PNAS USA 105:20167-20172(2008)に記載されている1つ以上の修飾が挙げられ、その各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特定のそのような修飾には、IgG1-S239D、A330L、I332E;IgG2 EU配列の118~260;IgG4-EU配列の261~447;IgG2-H268Q、V309L、A330S、A331S;IgG1-C226S、C229S、E233P、L234V、L235A;IgG1-L234F、L235E、P331S;及びIgG1-C226S、P230Sに対応する修飾が含まれる。
【0134】
1つ以上が提供抗体内に含まれ得る、半減期を改善するFc配列操作修飾の例としては、251~257位、285~290位、308~314位、385~389位、及び428~436位におけるアミノ酸残基の置換が挙げられ、ここで、アミノ酸位置の番号付けは、Kabatに記載されているEUインデックスに従って行われる。ある特定の実施形態では、IgG定常ドメインは、Kabat位置252位のアミノ酸のTyr、Phe、Trp、もしくはThrによる置換;Kabat位置254位のアミノ酸のThrによる置換;Kabat位置256位のアミノ酸のSer、Arg、Gln、Glu、Asp、もしくはThrによる置換;Kabat位置257位のアミノ酸のLeuによる置換;Kabat位置309位のアミノ酸のProによる置換;Kabat位置311位のアミノ酸のSerによる置換;Kabat位置428位のアミノ酸のThr、Leu、Phe、もしくはSerによる置換;Kabat位置433位のアミノ酸のArg、Ser、Iso、Pro、もしくはGlnによる置換;またはKabat位置434位のアミノ酸のTrp、Met、Ser、His、Phe、もしくはTyrによる置換のうちの1つ以上を含有する。具体的には、IgG定常ドメインは、Kabat位置252位のアミノ酸のTyrによる置換、Kabat位置254位のアミノ酸のThrによる置換、及びKabat位置256位のアミノ酸のGluによる置換を含め、野生型ヒトIgG定常ドメインに対する1つ以上のアミノ酸置換を含有することができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるALK7結合性タンパク質は、少なくとも1つの変異、修飾、及び/または置換、例えば、ADCC及び/またはCDC作用を低下させるため、及び/または半減期を改善するための本明細書に開示されるFc領域もしくはFab領域での変異を含む。他の実施形態では、本明細書に記載されるALK7結合性タンパク質は、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、もしくはそれ以上の置換、例えば、本明細書に開示されるFc領域またはFab領域での変異を含む。
【0136】
いくつかの特定の変異(複数可)、修飾(複数可)、及び/または置換(複数可)が、本明細書に記載されるALK7結合性タンパク質に単独で導入されてよく、また上記の少なくとも1つの変異、修飾、及び/または置換と組み合わせて導入されてもよい。例えば、抗体細胞毒性を低下させるため、残基N297におけるN-結合型グリコシル化は、N297をアラニン、グリシン、またはアスパラギン酸に置換することにより排除することができる(Tao and Morrison(1989)J Immunol 143:2595-2601、Hristodorov et al.(2013) Mol Biotechnol 54:1056-1068)。同様に、299位のセリン/トレオニン残基を修飾することができる(Sazinsky et al.(2008) Proc Natl Acad Sci U S A 105:20167-20172)。N297における変異はさらにD265A変異と組み合わせることができ(Lund et al.(1996) J Immunol 157:4963-4969)、例えば、DANA(D265A、N297A)またはDANG(D265A、N297G)として表される、一般的に使用されるアミノ酸変化の2つの対がある。抗体のエフェクター機能を軽減するための代替変異としては、L234A及びL235A(LALA、Kabat位置)等、抗体の下方のヒンジでの残基の置換が挙げられる(Chappel et al.(1991) Proc Natl Acad Sci U S A 88:9036-9040)。これらの残基は、CH2ドメイン上のFc-γ受容体結合部位の一部を形成し、より高いまたはより低いエフェクター機能の抗体アイソタイプ間でのこれらの残基の交換により、ADCCにおけるそれらの重要性が確認された。これらの部位でのアラニン置換は、ヒト抗体とマウス抗体の両方でADCCを低下させるのに有効であるが、これらの置換はCDC活性を低下させるのにはそれほど有効ではない。FcのC1q結合部位をマッピングするためのランダム変異誘発法により同定された別の単一バリアントP329Aは、ADCC活性を保持しつつCDC活性を低下させるのにきわめて有効である。L234A、L235A、及びP329A(LALA-PG、Kabat位置)の置換の組み合わせは、ヒトIgG1抗体のエフェクター機能を効果的にサイレンシングすることが示されている。LALA、LALA-PG、及び他の変異の詳細な考察については、その内容が本明細書で参照することによりその全体が本明細書に組み込まれるLo et al.(2017) J.Biol.Chem.292:3900-3908を参照のこと。本明細書に記載されるALK7結合性タンパク質は、少なくとも1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の本明細書に記載の変異を有し得る。
【0137】
ある特定の好ましい実施形態では、ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)は、重鎖(LALA HC)のFc領域でのL234A変異及びL235A変異(LALA、Kabat位置)を含む。他の好ましい実施形態では、ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)は、重鎖のFc領域での、L234A変異、L235A変異、及びP329G変異(LALA-PG;Kabat位置)を含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合する抗体である。いくつかの実施形態では、抗ALK7抗体は、マウス抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、多重特異性抗体、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、抗ALK7抗体は、Fv断片、Fab断片、F(ab’)断片、Fab’断片、dsFv断片、scFv断片、またはsc(Fv)断片である。
【0139】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合し、ALK7リガンド(例えば、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、またはNodal)の活性を阻止する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合し、共受容体(例えば、cripto)の活性を阻止する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合し、ALK7リガンド(例えば、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、またはNodal)の活性と関連する脂肪形成を減少させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合し、過体重、肥満または代謝障害と関連する1つ以上の疾患または状態を治療または改善する。いくつかの実施形態では、疾患または状態は、II型糖尿病である。いくつかの実施形態では、疾患または状態は、高血圧である。いくつかの実施形態では、代謝障害は、脂質異常症、インスリン抵抗性、高インスリン血症または高血糖症である。
【0140】
特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)は、ALK7媒介性Smadシグナル伝達を低下させる。他の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解アッセイで決定した場合、白色脂肪細胞及び/または褐色脂肪細胞におけるALK7媒介性の脂肪分解阻害に5%~100%、10%~95%、10~90%、10~85%、10~80%、10~75%、10~70%、10~75%、10~70%、10~60%、10~55%、10~50%、または10~45%拮抗する。他の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解アッセイで決定した場合、白色脂肪細胞及び/または褐色脂肪細胞におけるALK7媒介性の脂肪分解阻害を少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは95%、もしくは約100%抑制するかまたは低下させる。いくつかの実施形態では、脂肪分解アッセイは、1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。さらなる実施形態では、脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7に結合し、過体重、肥満、インスリン抵抗性、糖尿病、アテローム性動脈硬化、高血圧、炎症、及び/またはNAFLD(例えば、脂肪肝及び/またはNASH)と関連する1つ以上の状態を阻害するかまたは低下させる。
【0141】
特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)は、ALK7媒介性Smadシグナル伝達を低下させる。他の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、アクチビンB(50ng/ml)の存在下で実施される脂肪分解阻害アッセイで標準的技術と条件を使用して(例えば、本明細書中の例に記載のように)決定した場合、白色脂肪細胞におけるALK7媒介性の脂肪分解阻害を5%~100%、10%~95%、10~90%、10~85%、10~80%、10~75%、10~70%、10~75%、10~70%、10~60%、10~55%、10~50%、または10~45%阻害する。他の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、アクチビンB(50ng/ml)の存在下で実施される脂肪分解阻害アッセイで標準的技術と条件を使用して(例えば、本明細書中の例に記載のように)決定した場合、白色脂肪細胞におけるALK7媒介性の脂肪分解阻害を少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは95%、もしくは約100%抑制するかまたは低下させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7に結合し、過体重、肥満、インスリン抵抗性、糖尿病、アテローム性動脈硬化、高血圧、炎症、及び/またはNAFLD(例えば、脂肪肝及び/またはNASH)と関連する1つ以上の状態を阻害するかまたは低下させる。
【0142】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)によりALK7活性を阻止することで、過体重、インスリン抵抗性、肥満もしくは糖尿病と関連する1つ以上の状態、例えば、高血圧、がん、ならびにニューロパチー、網膜症、ならびに心血管疾患、肺疾患及び腎疾患が阻害されるかまたは低下する。さらなる実施形態では、ALK7を阻止することで、代謝性疾患と関連する1つ以上の状態を阻害するかまたは低下させる。特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)は、アクチビンB、GDF8、もしくはNodalによるALK7への結合を阻害するかまたは低下させる。他の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、Smad依存性経路による脂肪分解の阻害を阻害するかまたは低下させる。
【0143】
上記のように、いくつかの実施形態では、ALK7と結合するVHアミノ酸配列及び/またはVLアミノ酸配列を含有する抗ALK7抗体(例えば、完全長ALK7抗体及びALK7結合性抗体断片、ならびにそのバリアントと誘導体)は、本明細書に記載される配列に対する配列同一性が少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%99%、または100%であり得る。いくつかの実施形態では、ALK7と結合するVHアミノ酸配列(複数可)及び/またはVLアミノ酸配列(複数可)は、本明細書に記載される配列に対して8つ、7つ、6つ、5つ、4つ、3つ、2つ、1つのアミノ酸の付加、置換(例えば、保存的置換)または欠失を含む。追加の実施形態では、VH及び/またはVLアミノ酸配列と結合するALK7は、本明細書で記載される配列に対して1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくはそれ以上のアミノ酸の付加、置換(例えば、保存的置換)または欠失を含む。VH領域もしくはVL領域に対する類似性が、ある特定のパーセントであるVH領域及びVL領域、あるいは1つ以上の置換、欠失及び/または挿入(例えば、保存的置換)を有するVH領域及びVL領域を含有する抗ALK7抗体は、本明細書に記載されるVH領域及び/またはVL領域をコードする核酸分子の変異誘発(例えば、部位特異的またはPCR媒介性変異誘発)、それに続く、コードされた改変抗体をALK7への結合について試験すること、及び任意選択で、本明細書に記載される機能解析を使用するかまたは保持された機能を試験するために日常的に変更可能な当該技術分野で公知のアッセイを使用して、保持された機能について試験することにより得ることができる。
【0144】
hALK7またはmurALK7に対する抗ALK7抗体(例えば、完全長ALK7抗体及びALK7結合性抗体断片、ならびにそのバリアントと誘導体)等のALK7結合性タンパク質の親和性または結合力は、当該技術分野で公知の任意の好適な方法、例えば、フローサイトメトリー、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、もしくはラジオイムノアッセイ(RIA)、または動態(例えば、BIACORE(登録商標)またはKINEXA(登録商標)分析)を使用して実験的に決定することができる。直接結合アッセイ及び競合結合アッセイのフォーマットを容易に使用することができる。(例えば、Berzofsky et al., “Antibody-Antigen Interactions, ” In Fundamental Immunology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press: New York,N.Y.(1984)、Kuby,Immunology,W.H.Freeman and Company: New York,N.Y.(1992)、及び本明細書に記載される方法を参照のこと)。特定の抗体-抗原相互作用の測定される親和性は、異なる条件(例えば、塩濃度、pH、温度)で測定した場合は異なり得る。したがって、親和性及び他のALK7の結合性のパラメータ(例えば、KまたはKd、Kon、Koff)の測定は、ALK7結合性タンパク質及びALK7の標準液を用いて行われ、また測定は、本明細書に記載されるかまたは当該技術分野で知られる他の標準化された条件と方法を使用して実施される。
【0145】
本開示はさらに、本明細書に記載される抗ALK7抗体等のALK7結合性タンパク質を提供し、その場合、ALK7結合性タンパク質は、異種物質に結合されている。ある特定の実施形態では、異種物質は、抗菌剤、治療剤、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、脂質、生物学的応答調節物質、医薬剤、リンホカイン、異種抗体もしくは抗体断片、検出可能な標識、またはポリエチレングリコール(PEG)である。ヘテロ複合体ALK7結合性タンパク質は、本明細書の他の箇所でより詳しく考察される。
【0146】
ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、抗ALK7抗体ではない。タンパク質標的に高親和性で結合する非抗体ポリペプチドを同定及び生成するための様々な方法が当該技術分野で公知である。例えば、その各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Skerra,Curr.Opin.Biotech.18:295-304(2007)、Hosse et al.,Protein Science 15:14-27(2006)、Gill et al.,Curr.Opin.Biotechnol.17:653-658(2006)、Nygren,FEBS J.275:2668-2676(2008)、及びSkerra,FEBS J.275:2677-2683(2008)を参照のこと。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質を同定/生成するためにファージディスプレイ技術を使用することができる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、VASPポリペプチド、鳥類膵臓ポリペプチド(aPP)、テトラネクチン(CTLD3に基づく)、アフィリン(γB-クリスタリン/ユビキチンに基づく)、ノッチン、SH3ドメイン、PDZドメイン、テンダミスタット、トランスフェリン、コンセンサスアンキリン反復ドメイン(例えば、DARPin)、リポカリンタンパク質フォールド(例えば、アンチカリン及びデュオカリン(Duocalin))、タンパク質エピトープミメティック(PEM)、マキシボディ/アビマー、ドメイン抗体フィブロネクチンドメイン(例えば、10 Fn3、例えば、いずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国出願公開第2003/0170753号及び同第20090155275号を参照のこと)、プロテインAのドメイン(例えば、アフィボディ)、及びチオレドキシンから選択される種類に基づくタンパク質足場を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書で提供される抗ALK7抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合するALK7結合性タンパク質(例えば、完全長抗ALK7抗体及びALK7結合性抗体断片等の抗ALK7抗体)を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書で提供されるALK7結合性タンパク質と同じALK7のエピトープに結合するALK7結合性タンパク質を提供する。被験ALK7結合性タンパク質が、例えば、配列番号4のVH配列と配列番号13のVL配列、配列番号22のVH配列と配列番号31のVL配列、配列番号40のVH配列と配列番号49のVL配列、または配列番号58のVH配列と配列番号67のVL配列を含む抗体等の参照結合性タンパク質のALK7に対する結合を阻害する能力は、被験ALK7結合性タンパク質がALK7への結合に対して参照抗体と競合することができることを実証している。そのようなALK7結合性タンパク質は、非限定的理論に従って、それが競合するALK7参照抗体と同じかまたは関連する(例えば、構造的に同様であるかまたは空間的に近位の)ALK7上のエピトープに結合することができる。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、配列番号4のVH配列と配列番号13のVL配列、配列番号22のVH配列と配列番号31のVL配列、配列番号40のVH配列と配列番号49のVL配列、または配列番号58のVH配列と配列番号67のVL配列を含むそれぞれの抗体と同じALK7上のエピトープに結合する。
【0148】
一般に、ALK7等の1型TGF-ベータ受容体ファミリーメンバーは、II型受容体(例えば、ActRIIA及びActRIIB)によりリン酸化されること、及びSmad(例えば、Smad2及び/またはSmad3)のリン酸化を介してシグナル伝達を行うことが知られている。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)は、ALK7及びII型受容体を発現している細胞(例えば、脂肪細胞)において、1つ以上のII型受容体(例えば、ActRIIA及び/またはActRIIB)によるALK7のリン酸化を減少させることができる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)は、ALK7及びII型受容体を発現している細胞(例えば、脂肪細胞)において、Smad(例えば、Smad2及び/またはSmad3)のALK7媒介性リン酸化を減少させることができる。いくつかの実施形態では、ALK7受容体発現細胞は、マウス細胞である。いくつかの実施形態では、ALK7受容体発現細胞は、ヒト細胞である。いくつかの実施形態では、ALK7受容体発現細胞は、脂肪細胞である。
【0149】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、(a)1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンドの存在下で、ALK7及びActRII受容体を発現している細胞の表面での、ALK7、II型受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)、及び1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビンB、アクチビンAB、Nodal、GDF1、GDF3及び/またはGDF8)を含有する複合体の形成を減少させる、(b)ALK7への結合に対して1つ以上のII型受容体と競合する、(c)ALK7への結合に対して1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビンB、アクチビンAB、Nodal、GDF1、GDF3及び/またはGDF8)と競合する、(d)1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンAB、及び/またはNodal)の存在下でALK7及びII型受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)を発現している細胞でのALK7のリン酸化を減少させる、(e)1つ以上のTGF-ベータリガンド(例えば、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンAB、及び/またはNodal)の存在下でALK7及びII型受容体(例えば、ActRIIA及び/またはActRIIB)を発現している細胞でのSmad(例えば、Smad2及び/またはSmad3)のリン酸化を減少させる、(f)ALK7に、1nM以下かつ1pM以上のK(例えば、BIACORE(登録商標)分析により決定した場合)で結合する、ならびに(g)ALK7、共受容体(例えば、cripto及び/またはcryptic)、及び1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、Nodal)を含有する複合体の形成を減少させる、という特性から選択される少なくとも1つの特性を有する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、上記の特性のうち2つ、3つ、または4つを有する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、上記の特性のうち少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つを有する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7アンタゴニスト(例えば、抗ALK7中和抗体)である。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞での脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞(例えば、白色脂肪細胞)を使用した脂肪分解アッセイにおいて脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。さらなる実施形態では、脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示されるALK7結合性のVHとVLの対を有する抗体と、ALK7への結合を交差阻止するかまたはALK7への結合について競合する。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片である。
【0150】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7及びActRII受容体を発現している細胞の表面での、ALK7、II型受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)、及び1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビンB、アクチビンAB、Nodal、GDF1、GDF3及び/またはGDF8)を含有する複合体の形成を、当該TGF-ベータスーパーファミリーリガンドのうち1つ以上の存在下で減少させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7アンタゴニスト(例えば、抗ALK7中和抗体)である。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞での脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞(例えば、白色脂肪細胞)を使用した脂肪分解アッセイにおいて脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。さらなる実施形態では、脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示されるALK7結合性のVHとVLの対を有する抗体と、ALK7への結合を交差阻止するかまたはALK7への結合に対して競合する。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片である。
【0151】
いくつかの実施形態では、ALK7結合は、ALK7への結合に対して1つ以上のII型受容体と競合する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7アンタゴニスト(例えば、抗ALK7中和抗体)である。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞での脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞(例えば、白色脂肪細胞)を使用した脂肪分解アッセイにおいて脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。さらなる実施形態では、脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示されるALK7結合性のVHとVLの対を有する抗体と、ALK7への結合を交差阻止するかまたはALK7への結合に対して競合する。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片である。
【0152】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)は、1つ以上のTGF-ベータリガンド(例えば、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンAB、及び/またはNodal)の存在下で、ALK7及びII型受容体(例えば、ActRIIA及び/またはActRIIB)を発現している細胞でのSmad(例えば、Smad2及び/またはSmad3)のリン酸化を低下させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、細胞ベースのアッセイを使用して測定した場合、Smadのリン酸化を減少させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、細胞ベースのアッセイを使用して測定した場合、ALK7媒介性リン酸化を、500pM未満、350pM未満、250pM未満、150pM未満、100pM未満、75pM未満、60pM未満、50pM未満、40pM未満、30pM未満、20pM未満、15pM未満、10pM未満、または5pM未満のIC50で減少させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7アンタゴニスト(例えば、抗ALK7中和抗体)である。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞での脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞(例えば、白色脂肪細胞)を使用した脂肪分解アッセイにおいて脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。さらなる実施形態では、脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示されるALK7結合性のVHとVLの対を有する抗体と、ALK7への結合を交差阻止するかまたはALK7への結合に対して競合する。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片である。
【0153】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7に、1nM以上かつ1pM未満のK(例えば、BIACORE(登録商標)分析により決定した場合)で結合する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7アンタゴニスト(例えば、抗ALK7中和抗体)である。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞での脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞(例えば、白色脂肪細胞)を使用した脂肪分解アッセイにおいて脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。さらなる実施形態では、脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7への結合を、本明細書に開示されるALK7結合性のVHとVLの対を有する抗体と交差阻止するかまたは競合する。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片である。
【0154】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7、共受容体(例えば、cripto及び/またはcryptic)、及び1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、Nodal)を含有する複合体の形成を減少させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7アンタゴニスト(例えば、抗ALK7中和抗体)である。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞での脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞(例えば、白色脂肪細胞)を使用した脂肪分解アッセイにおいて脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。さらなる実施形態では、脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7への結合を、本明細書に開示されるALK7結合性のVHとVLの対を有する抗体と交差阻止するかまたは競合する。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片である。
【0155】
ALK7結合性タンパク質の調製
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7の細胞外ドメインと結合する。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、完全長抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片等の抗ALK7抗体、ならびにそのバリアント、及び誘導体である。
【0156】
ALK7結合性タンパク質は、既知の技術を使用して容易に調製することができる。モノクローナル抗ALK7抗体は、ハイブリドーマ法、例えば、Kohler and Milstein, Nature 256:495-497 (1975)により記載されているものを含め、当該技術分野で公知の技術を使用して調製することができる。ハイブリドーマ法を使用して、マウス、ハムスター、または他の適切な宿主動物が、リンパ球による、免疫抗原に特異的に結合する抗体の産生を誘発するよう、上記のように免疫化される。リンパ球は、インビトロで免疫化することができる。免疫化の後、リンパ球を単離し、好適な骨髄腫細胞株と融合させてハイブリドーマ細胞を形成した後、それらを選択して、融合していないリンパ球及び骨髄腫細胞から離すことができる。免疫沈降法、免疫ブロット法によるかまたはインビトロでの結合アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA))により決定される、hALK7等のALK7に対して特異的に指向されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、その後、標準的方法(例えば、Goding,Monoclonal Antibodies: Principles and Practice,Academic Press,1986を参照のこと)を使用したインビトロ培養または動物の腹水腫瘍としてインビボで増殖させることができる。その後、モノクローナル抗体を、上記のポリクローナル抗体の場合のように培地または腹水液から精製することができる。
【0157】
提供されるモノクローナル抗体は、米国特許第4,816,567号に記載のような組換えDNA法を使用して作製することもでき、ここで、モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドは、その抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子を特異的に増幅させるオリゴヌクレオチドプライマーを使用したRT-PCR等により、成熟B細胞またはハイブリドーマ細胞から単離され、それらの配列を、既知の手順を使用して決定する。次いで、その後、重鎖及び軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを適切な発現ベクター内にクローニングし、これらを、他の場合には免疫グロブリンタンパク質を産生しないE.coli細胞、シミアンCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、Per.C6細胞、または骨髄腫細胞(例えば、NS0細胞)等の宿主細胞にトランスフェクトすると、宿主細胞によりモノクローナル抗体が生成される。組換え抗ALK7モノクローナル抗体はまた、既知の技術を使用して、所望の種のCDRを発現するファージディスプレイライブラリーから容易に単離することができる(例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552-554(1990)、Clackson et al.,Nature 352:624-628(1991)、及び Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1991)を参照のこと)。
【0158】
抗ALK7抗体は、任意選択で、ALK7抗原に対する高親和性及び他の好ましい生物学的特性を示すよう、ヒト化、表面再構成(resurfaced)、及び操作することができる。例えば、ヒト化(またはヒト)抗ALK7抗体、は、ALK7に対する親和性増大等の所望の抗体特性が得られるよう、一般的に利用可能な三次元免疫グロブリンモデリング、ならびにフレームワーク(FW)残基、コンセンサス配列、及び生殖細胞系列配列を選択するための既知の手順を使用して、容易に設計及び調製することができる。
【0159】
親和性成熟戦略及び鎖シャッフリング戦略は当該技術分野で公知であり、高親和性抗ALK7抗体ならびに本明細書に開示されるALK7結合性タンパク質の誘導体及びバリアントを作製するために利用することができる。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるMarks et al.,Bio/Technology 10:779-783(1992)を参照のこと。高親和性抗ALK7抗体ならびに本明細書に開示されるALK7結合性タンパク質の誘導体及びバリアントを作製するための追加戦略は、可変ドメイン全体の内部に変異を生成するために1つ以上の選択されたVH遺伝子及び/またはVL遺伝子のランダム変異誘発を使用して、本開示のCDR由来配列を保持する新規のVH領域またはVL領域を生成することである。エラープローンPCRを使用するそのような技術は、Gramらにより記載されている(PNAS USA 89:3576-3580(1992))。いくつかの実施形態では、VH CDR及び/またはVL CDRのセット内で1つもしくは2つのアミノ酸置換が行われる。さらなる戦略では、本明細書に開示される抗ALK7抗体をコードするVH遺伝子またはVL遺伝子のCDR領域に対する直接変異誘発を使用した。そのような技術の例は、Barbasら(PNAS USA 91:3809-3813(1994))及びSchierら(J.Mol.Biol.263:551-567(1996))により開示されている。
【0160】
本開示の抗ALK7抗体のヒト化、表面再構成(resurfacing)または操作は、既知の任意の方法を使用して実施することができ、その方法としては、それぞれ参照することにより本明細書に全体が組み込まれる、Jones et al.,Nature 321:522(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323(1988)、Verhoeyen et al.,Science 239:1534(1988))、Sims et al.,J.Immunol.151: 2296(1993)、Chothia et al.,J.Mol.Biol.196:901(1987)、Carter et al.,PNAS USA 89:4285(1992)、Presta et al.,J.Immunol.151:2623(1993)、米国特許第5,639,641号、同第5,723,323号、同第5,976,862号、同第5,824,514号、同第5,817,483号、同第5,814,476号、同第5,763,192号、同第5,723,323号、同第5,766,886号、同第5,714,352号、同第6,204,023号、同第6,180,370号、同第5,693,762号、同第5,530,101号、同第5,585,089号、同第5,225,539号、同第4,816,567号、同第7,557,189号、同第7,538,195号、及び同第7,342,110号、国際出願第PCT/US98/16280号、同第PCT/US96/18978号、同第PCT/US91/09630号、同第PCT/US91/05939号、同第PCT/US94/01234号、同第PCT/GB89/01334号、同第PCT/GB91/01134号、同第PCT/GB92/01755号、国際出願公開第WO90/14443号、同第WO90/14424号、同第WO90/14430号、及び欧州特許公開第EP229246号に記載のものが挙げられるが、これらに限定されない。同様に、望ましい特徴を示す抗ALK7抗体を容易に選択するために既知のアッセイが利用可能である(例えば、ALK7への結合親和性を決定するためのアッセイ、本明細書に記載されるBIACORE(登録商標)を用いたヒトALK7結合性タンパク質競合結合アッセイ等の交差阻止アッセイ)。
【0161】
非ヒトもしくはヒト抗体を操作、ヒト化または表面再構成(resurfacing)するための方法もまた使用することができ、当該技術分野で公知である。ヒト化、表面再構成(resurfaced)または同様の操作が行われた抗体は、非ヒト、例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類または他の哺乳類であるがこれらに限定されない供給源からの1つ以上のアミノ酸残基を有し得る。これらの非ヒトアミノ酸残基は、「移入」残基と呼ばれることの多い、典型的には既知のヒト配列の「移入」可変、定常または他のドメインから取得される残基により置き換えられる。そのような移入された配列を、当該技術分野で公知のように、免疫原性を低下させるため、あるいは結合、親和性、会合速度、解離速度、結合力、特異性、半減期、もしくは他の任意の好適な特性を抑制、増強または修飾するために使用することができる。好ましくは、非ヒトまたはヒトのCDR配列の一部または全部が維持されるが、可変領域と定常領域の非ヒト配列は、ヒトのアミノ酸または他のアミノ酸と置き換えることができる。
【0162】
完全長抗ALK7抗体等のALK7結合性タンパク質をコードする核酸(複数可)はさらに、代替抗体作製のために、組換えDNA技術を使用するいくつかの異なる方法で修飾することができる。いくつかの実施形態では、例えば、マウスモノクローナル抗体の、軽鎖及び重鎖の定常ドメインをコードする核酸(複数可)は、(a)キメラ抗体を作製するために、例えばヒト抗体の、コード領域の代替となるか、または(b)融合抗体を作製するために、非免疫グロブリンをコードする核酸(複数可)の代替となることができる。いくつかの実施形態では、定常領域が、モノクローナル抗体の所望の抗体断片を生成するために切断または除去される。モノクローナル抗体の特異性、親和性等最適化するために可変領域コード配列の部位特異的変異誘発または高密度変異誘発を使用することができる。
【0163】
抗ALK7ヒト抗体は、当該技術分野で公知の多数の技術のいずれを使用しても直接調製することができる。(例えば、Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985)、Boemer et al.,J.Immunol.147(1):86-95(1991)、及び米国特許第5,750,373号を参照のこと)。同様に、ヒト抗ALK7抗体は、インビトロで免疫化された不死化ヒトBリンパ球から容易に取得することができ、またALK7に対して指向する抗体を産生する免疫個体から容易に分離することもできる。
【0164】
ヒト抗ALK7抗体はまた、例えば、Vaughan et al.,Nat.Biotech.14:309-314(1996)、Sheets et al.,PNAS 95:6157-6162(1998)、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.227:381(1991)、及びMarks et al.,J.Mol.Biol.222:581(1991)に記載のように、ヒト抗体を発現するファージライブラリーから選択することもできる。抗体ファージライブラリーを生成及びスクリーニングするための技術はまた、米国特許第5,969,108号、同第6,172,197号、同第5,885,793号、同第6,521,404号、同第6,544,731号、同第6,555,313号、同第6,582,915号、同第6,593,081号、同第6,300,064号、同第6,653,068号、同第6,706,484号、及び同第7,264,963号、ならびにRothe et al.,J.Mol.Biol.376(4):1182-1200(2008)にも記載されている(その各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0165】
ヒト抗ALK7抗体は、免疫化時に免疫グロブリンの内因的産生がなくてもヒト抗体産生能のあるヒト免疫グロブリン遺伝子座を含有するトランスジェニックマウスで作製することもできる。この方法は、例えば、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、及び同第5,661,016号で記載されている。
【0166】
ヒト抗ALK7抗体はまた、例えば、それぞれの内容が参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、WO012/009568、WO09/036379、WO10/105256、WO03/074679及び米国出願公開第US2002/0177170号に開示されるように、酵母を用いた抗体提示ライブラリーから選択及び/または単離することもできる。そのようなライブラリーは、ヒトの免疫前レパートリーにより提供される多様性が反映されるようインシリコで設計される。
【0167】
別法として、抗ALK7抗体は、酵母により提示される抗体ライブラリーから選択され得、例えば、Blaise et al.,Gene 342(2):211-218(2004)、Boder et al.,Nat Biotechnol.15(6):553-557(1997)、Kuroda et al.,Biotechnol.Lett.33(1):1-9(2011).Review、Lauer et al.,J.Pharm.Sci.101(1):102-15(2012)、Orcutt K.D.and Wittrup K.D.Antibody Engineering,yeast display and selection(2010),207-233、Rakestraw et al.,Protein Eng.Des.Sel.24(6):525-30(2011)、及び米国特許第6,423,538号、同第6,696,251号、及び同第6,699,658号を参照のこと。
【0168】
抗原結合性抗体断片の生成のために様々な技術が知られている。従来より、これらの断片は、無傷抗体のタンパク消化を介して誘導される(例えば、Morimoto et al.,J.Biochem.Biophys.Meth.24:107-117(1993)、及びBrennan et al.,Science 229:81(1985)を参照のこと)。ある特定の実施形態では、ALK7結合性抗体断片は、組換えにより生成される。Fab、Fv、及びscFvの抗体断片はすべて、E.coliまたは他の宿主細胞で発現させ、またそれから分泌させることができるため、これらの断片を大量に生成することが可能である。そのようなALK7結合性抗体断片はさらに、前述の抗体ファージライブラリーから単離することができる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性抗体断片は、米国特許第5,641,870号に記載のような線状抗体である。抗原結合性抗体断片の生成のための他の技術は当該技術分野で公知である。
【0169】
ALK7と結合する一本鎖抗体の生成には公知の技術を容易に適合させることができる(例えば、米国特許第4,946,778号を参照のこと)。さらに、Fab発現ライブラリーの構築に公知の方法を日常的に適合させて(例えば、Huse et al.,Science 246:1275-1281(1989)を参照のこと)、ALK7に対する所望の特異性を有するモノクローナルFab断片の迅速かつ有効な同定を可能にすることができる。ALK7結合性抗体断片は、当該技術分野で公知の技術により生成することができ、それらには、(a)抗体のペプシン消化により生成されるF(ab’)断片、(b)F(ab’)断片のジスルフィド架橋を還元させることにより生成されるFab断片、(c)パパイン及び還元剤を用いた抗ALK7抗体の処理により生成されるFab断片、及び(d)Fv断片が含まれるが、これらに限定されない。
【0170】
ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)は、その血清中半減期を増大させるために修飾することができる。これは、例えば、ALK7結合性タンパク質の適切な領域の変異による、ALK7結合性タンパク質へのサルベージ受容体結合エピトープの組み込みによるか、またはペプチドタグにサルベージ受容体エピトープを組み込み、次いで、それをALK7結合性タンパク質のいずれかの末端もしくは中央に(例えば、DNAまたはペプチドの合成によって)融合させることにより達成することができる。ALK7結合性タンパク質の血清中半減期を延長するための他の方法、例えば、PEG等の異種分子への結合は、当該技術分野で公知である。
【0171】
ヘテロ複合体ALK7結合性タンパク質(例えば、完全長抗ALK7抗体及びALK7結合性抗体断片等の抗ALK7抗体、ならびにそのバリアント及び誘導体)もまた、開示の範囲内である。ヘテロ複合体ALK7結合性タンパク質は、共有結合で連結された2つのタンパク質で構成される。ヘテロ複合体ALK7結合性タンパク質は、架橋剤を伴う方法を含め、合成タンパク質化学の公知の方法を使用してインビトロで調製できることが意図される。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を使用しても、またはチオエーテル結合の形成によっても構築することができる。この目的のための好適な試薬の例としては、イミノチオラート及びメチル-4-メルカプトブチルイミダートが挙げられる。
【0172】
ALK7結合性タンパク質は、ALK7との抗体の会合を提供する任意の種類の可変領域を含むことができる。そのような可変領域は、ALK7抗原に対する液性応答を開始して免疫グロブリンを生成するよう誘導することができる任意の哺乳類に含まれ得るかまたはそれに由来し得る。抗ALK7抗体の可変領域は、例えば、ヒト、マウス、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル、マカクザル等)またはオオカミに由来するものであり得る。いくつかの実施形態では、修飾抗ALK7抗体の可変領域と定常領域の両方がヒトのものである。他の実施形態では、適合性のある抗体の可変領域(通常は非ヒト供給源に由来する)は、結合特性が改善するよう、または分子の免疫原性が低下するよう、操作もしくは特異的に調整することができる。これに関し、開示による有用な可変領域は、親和性成熟、変異誘発手順、鎖シャッフリングの各戦略及び/または本明細書に記載されるかもしくは当該技術分野で知られる他の方法を使用して移入アミノ酸配列を含めることにより、ヒト化するか、そうでなければ変化させることができる。
【0173】
ある特定の実施形態では、抗ALK7抗体の重鎖と軽鎖の両方の可変ドメインが、1つ以上のCDRの少なくとも部分的な置き換えによって、及び/または部分的なフレームワーク領域の置き換えと配列変化によって改変される。CDRは、フレームワーク領域が由来する抗体と同じクラスの抗体、さらにはサブクラスの抗体に由来し得るが、CDRが、異なるクラスの抗体に由来すること、またはある特定の実施形態では異なる種に由来することが予測される。ある可変ドメインの抗原結合能を別の可変ドメインに移すために、CDRのすべてをドナー可変領域からの完全CDRで置き換える必要はない。むしろ、抗原結合部位の活性を維持するために必要な残基を移すだけでよい。免疫原性の低い機能性抗体を日常的に得ることは、十分に当業者の能力の範囲内である。例えば、米国特許第5,585,089号、同第5,693,761号及び同第5,693,762号を参照のこと。
【0174】
可変領域に対する改変にもかかわらず、開示の修飾抗ALK7抗体が、天然または未変化の定常領域を含む免疫原性がほぼ同じ抗体と比較した場合に、ADCC低下または血清中半減期延長等の所望の生化学的特性が得られるように定常領域ドメインのうち1つ以上の少なくともごく一部を欠失させてあるか、そうでなければ変化させてある抗体を含むことを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、修飾抗ALK7抗体の定常領域は、ヒト定常領域を含む。定常領域に対する修飾には、1つ以上のドメインにおける1つ以上のアミノ酸の付加、欠失、または置換が含まれ得る。本明細書に開示される修飾抗ALK7抗体は、3つの重鎖定常ドメイン(CH1、CH2またはCH3)のうち1つ以上に対する改変もしくは修飾、及び/または軽鎖定常ドメイン(CL)に対する改変もしくは修飾を含むことができる。いくつかの実施形態では、修飾抗ALK7抗体は、1つ以上のドメインが部分的または完全に欠失している定常領域を含むことが企図される。いくつかの実施形態では、修飾抗ALK7抗体は、CH2ドメイン全体が除去されている、ドメインが欠失したコンストラクトまたはバリアントを含む(ΔCH2コンストラクト)。いくつかの実施形態では、取り除かれた定常領域ドメインは、典型的には欠けた定常領域により付与されるいくらかの分子柔軟性を提供する、短いアミノ酸スペーサー(例えば、10残基)に置き換えることができる。
【0175】
定常領域がいくつかのエフェクター機能を仲介することが一般に理解される。例えば、補体のC1成分の抗体への結合により補体系が活性化される。補体の活性化は、オプソニン作用及び細胞病原体の溶解に重要である。補体の活性化はまた、炎症反応を刺激し、自己免疫性過敏症にも関与し得る。さらに、抗体は、Fc領域を介して細胞に結合し、抗体Fc領域上のFc受容体部位が細胞上のFc受容体(FcR)に結合する。各種クラスの抗体に特異的なFc受容体がいくつかあり、IgG(ガンマ受容体)、IgE(エータ受容体)、IgA(アルファ受容体)及びIgM(ミュー受容体)が含まれる。細胞表面のFc受容体への抗体の結合により、抗体に覆われた粒子の貪食及び破壊、免疫複合体除去、キラー細胞による、抗体に覆われた標的細胞の溶解(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害、またはADCCと呼ばれる)、炎症メディエーターの放出、胎盤移行、ならびに免疫グロブリン産生制御が含まれる、いくつかの重要かつ多様な生体応答が誘発される。
【0176】
ある特定の実施形態では、抗ALK7抗体は、エフェクター機能が改変されており、それが、投与される抗ALK7抗体の生物学的プロファイルに影響を及ぼす。例えば、定常領域ドメインの欠失または不活化(点変異または他の手段による)により、循環血中修飾抗体のFc受容体結合が減少し得る。他の場合には、定常領域修飾により補体結合が抑えられ、そのため、結合細胞毒素の血清中半減期及び非特異的会合が低減され得る。ジスルフィド結合またはオリゴ糖部分を排除するよう定常領域のさらに他の修飾を使用することができ、抗原特異性または抗体柔軟性の増大による局在化の向上を可能にすることができる。同様に、本開示に従った定常領域に対する修飾は、当業者に公知の生化学的または分子的工業技術を使用して容易に行うことができる。
【0177】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるALK7結合性タンパク質は、1つ以上のエフェクター機能を有していないALK7抗体である。例えば、いくつかの実施形態では、抗ALK7抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を有しない、及び/または補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有しない。ある特定の実施形態では、抗ALK7抗体はFc受容体及び/または補体因子に結合しない。ある特定の実施形態では、抗ALK7抗体は、エフェクター機能を有しない。ADCC及び/またはCDC活性ならびにFc受容体及び/または補体因子の結合を低減するかもしくは排除するFc配列操作修飾の例は、本明細書に記載されるか、そうでなければ当該技術分野で公知であり、それらを試験するためのアッセイ及び手順も同様である。
【0178】
いくつかの実施形態では、抗ALK7抗体は、CH3ドメインをそれぞれの修飾抗体のヒンジ領域に直接融合させるよう操作される。他のコンストラクトでは、ヒンジ領域と、修飾されたCH2及び/またはCH3のドメインとの間にペプチドスペーサーが挿入される。例えば、CH2ドメインを欠失させてあり、残りのCH3ドメイン(修飾または未修飾)が5~20アミノ酸スペーサーでヒンジ領域に連結されている適合性のあるコンストラクトを発現させることができる。そのようなスペーサーを付加して、例えば、定常ドメインの調節エレメントが自由かつ接近可能な状態にあること、またはヒンジ領域が柔軟な状態にあることを保証することができる。アミノ酸スペーサーは場合によっては免疫原性であることが示され、コンストラクトに対する望ましくない免疫応答を誘発し得る。したがって、ある特定の実施形態では、コンストラクトに付加されるいかなるスペーサーも、修飾抗ALK7抗体の所望の生化学的品質を維持するために比較的非免疫原性であり得るか、または完全に取り除くこともできる。
【0179】
追加の実施形態では、抗ALK7抗体は、定常領域の少数、さらには単一のアミノ酸の部分的な欠失もしくは置換により修飾される。例えば、CH2ドメインの選択領域での単一アミノ酸の変異はFc結合を実質的に減少させ、それにより十分であり得る。同様に、エフェクター機能(例えば、補体C1Q結合)を制御する1つ以上の定常領域ドメインを、完全または部分的に欠失させることができる。定常領域のそのような部分的欠失により、抗ALK7抗体の選択された特性(例えば、血清中半減期)を改善しつつ、対応する定常領域ドメインと関連する他の望ましい機能はそのまま残すことができる。いくつかの実施形態では、抗ALK7抗体の定常領域は、得られるコンストラクトのプロファイルを増強させる、1つ以上のアミノ酸の変異または置換を介して修飾される。これに関し、修飾抗ALK7抗体の立体配置と免疫原性プロファイルを実質的に維持しつつ、保存された結合部位(例えば、Fc結合)により提供される活性を破壊することが可能である。本開示はまた、エフェクター機能を増減させること、または1つ以上の細胞毒素、標識もしくは炭水化物部分のための結合部位を提供すること等の望ましい特徴を増強させるために定常領域に対する1つ以上のアミノ酸の付加を含有する抗ALK7抗体も提供する。そのような実施形態では、選択された定常領域ドメインに由来する特定の配列を挿入または複製することが望ましい場合がある。
【0180】
本開示はまた、本明細書で提供されるALK7結合性タンパク質に対するバリアントであるALK7結合性タンパク質(例えば、マウス、キメラ、ヒト化及びヒトのALK7結合性タンパク質)も提供する。特定の実施形態では、バリアントALK7結合性タンパク質は、(a)1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンドの存在下で、ALK7及びActRII受容体を発現している細胞表面上での、ALK7、II型受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)、及び1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビンB、アクチビンAB、Nodal、GDF1、GDF3及び/またはGDF8)を含有する複合体の形成を減少させる、(b)ALK7への結合に対して1つ以上のII型受容体と競合する、(c)ALK7への結合に対して1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビンB、アクチビンAB、Nodal、GDF1、GDF3及び/またはGDF8)と競合する、(d)1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンAB、及び/またはNodal)の存在下でALK7及びII型受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)を発現している細胞でのALK7のリン酸化を減少させる、(e)1つ以上のTGF-ベータリガンド(例えば、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンAB、及び/またはNodal)の存在下でALK7及びII型受容体(例えば、ActRIIA及び/またはActRIIB)を発現している細胞でのSmad(例えば、Smad2及び/またはSmad3)のリン酸化を減少させる、(f)ALK7に、1nM以下かつ1pM以上のK(例えば、BIACORE(登録商標)分析により決定した場合)で結合する、ならびに(g)ALK7、共受容体(例えば、cripto及び/またはcryptic)、及び1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、Nodal)を含有する複合体の形成を減少させる、という特性から選択される少なくとも1つの特性を有する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7アンタゴニスト(例えば、抗ALK7中和抗体)である。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞での脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞(例えば、白色脂肪細胞)を使用した脂肪分解アッセイにおいて脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。さらなる実施形態では、脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、上記の特性のうち2つ、3つ、または4つを有する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、上記の特性のうち少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つを有する。
【0181】
抗ALK7抗体等の提供されるALK7結合性タンパク質は、ALK7結合性タンパク質の、例えば、溶解度、生物学的半減期、生物学的利用能を改善するための当該技術分野で公知の追加の化学部分を含有するよう、また他の方法でその安定性、製剤及び/または治療上の特性を改善するよう、誘導体化することができる。そのような部分についての非網羅的概要は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,20th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA(2000)に見出すことができる。
【0182】
ALK7結合性タンパク質をコードする核酸及びそれらの発現
ALK7結合性タンパク質をコードする核酸分子及び核酸分子の組み合わせもまた提供される。いくつかの実施形態では、核酸分子は、完全長抗ALK7抗体及びALK7結合性抗体断片等の抗ALK7抗体コードする。さらなる実施形態では、本開示は、本明細書で提供される完全長抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片のバリアントもしくは誘導体をコードする核酸分子を提供する。
【0183】
本明細書に開示される核酸分子は、RNAの形態またはDNAの形態であり得る。DNAには、cDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAが含まれ、これらは二本鎖でも一本鎖でもあり得、一本鎖の場合は、コード鎖でも非コード(アンチセンス)鎖でもあり得る。ある特定の実施形態では、核酸分子は単離されている。追加の実施形態では、核酸分子は、実質的に純粋である。いくつかの実施形態では、核酸は、cDNAであるかまたはcDNAに由来する。いくつかの実施形態では、核酸は、組換えにより生成される。
【0184】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、宿主細胞またはインビトロにおいてコード配列の発現を制御する制御配列に機能的に連結されたALK7結合性タンパク質コード配列を含む。特定の実施形態では、コード配列はcDNAである。開示はまた、宿主細胞またはインビトロにおいてコード配列の発現を制御する制御配列に機能的に連結されたALK7結合性タンパク質コード配列を含む核酸分子を含有するベクターに関する。
【0185】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、同じリーディングフレーム内で異種ポリヌクレオチド配列に融合されている成熟ALK7結合性タンパク質のためのコード配列を含む。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチド配列は、ALK7結合性タンパク質をコードする核酸分子(複数可)で形質転換された宿主細胞からの発現タンパク質の分泌を促進するリーダーペプチド配列をコードする。リーダー配列を含有するタンパク質は前駆体タンパク質と呼ばれ、リーダー配列を宿主細胞により切断させて成熟形態のALK7結合性タンパク質を形成することができる。そのようなリーダーペプチド配列及び宿主細胞での組換えタンパク質の分泌を促進するそれらの使用は一般に当該技術分野で公知である。追加の実施形態では、異種ポリヌクレオチド配列は、例えば、組換え発現されたALK7結合性タンパク質の精製を容易にし、タンパク質の安定性及び/または治療もしくは診断の特性を追加もしくは改善するよう、機能することができる追加の5’アミノ酸残基をコードする。
【0186】
いくつかの実施形態では、本開示は、ハイブリダイゼーションプローブ、PCRプライマーまたはシーケンシングプライマーとしての使用に十分である、ALK7結合性タンパク質をコードするcDNA断片等の単離された核酸を提供する。
【0187】
いくつかの実施形態では、バリアントALK7結合性タンパク質は、(a)1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンドの存在下で、ALK7及びActRII受容体を発現している細胞表面上での、ALK7、II型受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)、及び1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビンB、アクチビンAB、Nodal、GDF1、GDF3及び/またはGDF8)を含有する複合体の形成を減少させる、(b)ALK7への結合に対して1つ以上のII型受容体と競合する、(c)ALK7への結合に対して1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビンB、アクチビンAB、Nodal、GDF1、GDF3及び/またはGDF8)と競合する、(d)1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンAB、及び/またはNodal)の存在下でALK7及びII型受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)を発現している細胞でのALK7のリン酸化を減少させる、(e)1つ以上のTGF-ベータリガンド(例えば、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンAB、及び/またはNodal)の存在下でALK7及びII型受容体(例えば、ActRIIA及び/またはActRIIB)を発現している細胞でのSmad(例えば、Smad2及び/またはSmad3)のリン酸化を減少させる、(f)ALK7に、1nM以下かつ1pM以上のK(例えば、BIACORE(登録商標)分析により決定した場合)で結合する、ならびに(g)ALK7、共受容体(例えば、cripto及び/またはcryptic)、及び1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、Nodal)を含有する複合体の形成を減少させる、という特性から選択される少なくとも1つの特性を有する。いくつかの実施形態では、コードされたALK7結合性タンパク質は、ALK7アンタゴニスト(例えば、抗ALK7中和抗体)である。さらなる実施形態では、コードされたALK7結合性タンパク質は、ALK7を発現する脂肪細胞での脂肪分解を増大させる。いくつかの実施形態では、コードされたALK7結合性タンパク質は、上記の特性のうち2つ、3つ、または4つを有する。いくつかの実施形態では、コードされたALK7結合性タンパク質は、上記の特性のうち少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つを有する。いくつかの実施形態では、コードされたALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示されるALK7結合性のVHとVLの対を有する抗体と、ALK7への結合を交差阻止するかまたはALK7への結合に対して競合する。追加の実施形態では、コードされたALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示される抗体と同じALK7のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、コードされたALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示されるVHとVLの対を有するALK7結合抗体と、ALK7への結合を交差阻止するかまたはALK7への結合に対して競合する。追加の実施形態では、コードされたALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示される抗体と同じALK7のエピトープに結合する。さらなる実施形態では、核酸分子は、ALK7と特異的に結合し、かつVHとVLを含む、ALK7結合性タンパク質をコードする。
【0188】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書で提供されるALK7結合性タンパク質をコードする核酸及び核酸のセットを含有する、ベクター及びベクターのセットを提供する。これらの核酸、核酸のセット、ベクター、及びベクターのセットで形質転換された宿主細胞もまた提供され、ALK7結合性タンパク質を作製及び使用する方法も提供される。
【0189】
いくつかの実施形態では、本開示は、上記で提供されるような核酸分子もしくは核酸分子の組み合わせまたはベクターを含む宿主細胞を提供し、その場合、宿主細胞は、場合によっては、ALK7に特異的に結合するALK7結合性タンパク質(例えば、完全長ALK7抗体及びALK7結合性抗体断片等の抗ALK7抗体)を発現することができる。さらなる実施形態では、本開示は、上記で提供されるような核酸分子もしくは核酸分子の組み合わせまたはベクターで形質転換された宿主細胞を提供し、その場合、宿主細胞は、場合によっては、ALK7に特異的に結合するALK7結合性タンパク質を発現することができる。そのような宿主細胞は、本明細書で提供されるようなALK7結合性タンパク質を作製する方法で利用することができ、その場合、方法には、(a)宿主細胞を培養すること、及び(b)宿主細胞からされたALK7結合性タンパク質を単離することが含まれる。
【0190】
本開示はまた、好適な条件下でALK7結合性タンパク質を発現する能力がある宿主細胞(例えば、ハイブリドーマまたは形質転換された哺乳類宿主細胞)を培養することを含む、ALK7結合性タンパク質を作製する方法も提供し、任意選択で、宿主細胞から分泌されたALK7結合性タンパク質を単離するための方法を提供する。また、本開示はさらに、開示の方法を使用して単離されたALK7結合性タンパク質を提供する。
【0191】
ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、同じリーディングフレーム内で、例えば、コードされたポリペプチドの精製を可能にするマーカー配列に融合されている成熟ALK7結合性タンパク質(複数可)(例えば、完全長抗体及びALK7結合性抗体断片等のALK7抗体)のためのコード配列(複数可)を含む。例えば、マーカー配列は、細菌宿主の場合は、マーカーに融合させた成熟ポリペプチドの精製を提供するためのpQE-9ベクターにより供給されるヘキサ-ヒスチジンタグ(配列番号103)であり得、また哺乳類宿主(例えば、COS-7細胞)が使用される場合には、マーカー配列は、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来するヘマグルチニン(HA)タグであり得る。
【0192】
抗ALK7抗体及びALK7結合性抗体断片等のALK7結合性タンパク質をコードする核酸バリアントもまた提供される。核酸バリアントは、コード領域、非コード領域、またはその両方においての改変を含有することができる。いくつかの実施形態では、核酸バリアントは、サイレントな置換、付加、または欠失を生じさせるがコードされたポリペプチドの特性もしくは活性は変化させない改変を含有する。いくつかの実施形態では、核酸バリアントは、遺伝暗号の縮重によるサイレント置換により生成される。核酸バリアントは、例えば、特定の宿主についてコドン発現を最適化する(ヒトmRNAのコドンをE.coli等の細菌宿主に好ましいコドンに変更する)ため等、様々な理由で生成され得る。本明細書に記載される核酸を含むベクター及び細胞もまた提供される。
【0193】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質(例えば、完全長抗体及びALK7結合性抗体断片等の抗ALK7抗体)をコードする核酸配列は、オリゴヌクレオチドシンセサイザーを使用する化学合成により構築される。そのようなオリゴヌクレオチドは、所望のポリペプチドのアミノ酸配列及び宿主細胞の選択性に基づいたコドン最適化に基づいて設計することができる。ALK7結合性タンパク質をコードする単離ポリヌクレオチド配列を合成するために、標準的方法を日常的に適用することができる。
【0194】
(合成、部位特異的変異誘発または別の方法により)構築された時点で、ALK7結合性タンパク質をコードする核酸配列は、日常的に、所望宿主でのALK7結合性タンパク質の発現に適切な制御配列に機能的に連結させることができる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質をコードする核酸配列(複数可)は、1つ以上の発現ベクターに挿入され、所望宿主でのタンパク質の発現に適切な制御配列(複数可)に機能的に連結される。トランスフェクトされたコード配列の高発現量を宿主において得るために、コード配列は、選択した発現宿主で機能的な転写及び翻訳の発現制御配列と機能的に連結させるかまたは会合させることができる。
【0195】
ある特定の実施形態では、組換え発現ベクターが、抗ALK7抗体またはALK7結合性抗体断片等のALK7結合性タンパク質をコードするDNAを増幅及び発現させるために使用される。組換え発現ベクターは、哺乳類、微生物、ウイルスまたは昆虫の遺伝子に由来する好適な転写もしくは翻訳の調節エレメントに機能的に連結されたALK7結合性タンパク質のポリペプチド鎖をコードする、合成またはcDNA由来のDNA断片を有する複製可能なDNAコンストラクトである。転写ユニットは一般に、以下で詳述されるように、(1)遺伝子発現において調節的役割を担う遺伝要素(複数可)、例えば、転写のプロモーターまたはエンハンサーと、(2)mRNAに転写されタンパク質に翻訳される、構造配列またはコード配列と、(3)適切な転写及び翻訳の、開始配列及び終結配列との構築体を含む。そのような調節エレメントには、転写を制御するオペレーター配列が含まれ得る。通常は複製起点により付与される宿主での複製能、及び形質転換体の認識を容易にする選択遺伝子をさらに組み込むことができる。DNA領域は、それらが互いに機能的に関連している場合、機能的に連結されている。例えば、シグナルペプチド(分泌リーダー)のDNAは、あるポリペプチドの分泌に関与する前駆体として発現されている場合、そのポリペプチドのDNAに機能的に連結されており、プロモーターは、それがコード配列の転写を制御している場合、その配列に機能的に連結されており、またはリボソーム結合部位は、それが翻訳を可能にするような位置にある場合、コード配列に機能的に連結されている。酵母発現系での使用が意図される構造要素には、翻訳されたタンパク質の宿主細胞による細胞外分泌を可能にするリーダー配列が含まれる。別法として、組換えタンパク質が、リーダー配列または輸送配列を含まずに発現される場合、タンパク質には、N末端メチオニン残基が含まれ得る。この残基は、任意選択で、最終タンパク質が提供されるようにその後、発現した組換えタンパク質から切断され得る。ある特定の実施形態では、本開示は、上記または本明細書の他の箇所に記載されるような核酸またはベクターを含み、任意選択で1つ以上の、担体、希釈剤、添加剤、または他の添加物をさらに含む、組成物、例えば、医薬組成物を提供する。
【0196】
また、本明細書に開示される核酸分子もしくはcDNA分子及び/またはベクターで形質転換された宿主細胞も提供される。本開示はまた、開示の核酸分子かまたは制御配列に機能的に連結され、任意選択でベクターに挿入された分子で形質転換された宿主細胞も提供する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、哺乳類宿主細胞である。さらなる実施形態では、哺乳類宿主細胞は、NS0マウス骨髄腫細胞、PER.C6(登録商標)ヒト細胞、またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。他の実施形態では、宿主細胞は、ハイブリドーマである。
【0197】
追加の実施形態では、本開示は、ALK7結合性タンパク質を産生するための好適な条件下で、本明細書に開示される形質転換された宿主細胞またはハイブリドーマを培養することを含む、本明細書で提供されるALK7結合性タンパク質(例えば、完全長ALK7抗体及びALK7結合性抗体断片等の抗ALK7抗体、ならびにそのバリアント及び誘導体)を作製するための方法を提供する。本開示は、任意選択で、宿主細胞から分泌されたALK7結合性タンパク質を単離することを提供する。開示はまた、任意選択で、この方法を使用して生成されたALK7結合性タンパク質、ならびにALK7結合性タンパク質と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0198】
発現制御配列及び発現ベクターの選択は、宿主の選択に応じて異なる。多種多様な発現宿主/ベクターの組み合わせを利用することができる。真核生物宿主に有用な発現ベクターには、例えば、SV40、ウシパピローマウイルス、アデノウイルス、及びサイトメガロウイルスからの発現制御配列を含むベクターが含まれる。細菌宿主に有用な発現ベクターには、pCR1、pBR322、pMB9及びそれらの誘導体が含まれるE.coli由来プラスミドのような既知の細菌プラスミド、またM13及び他の繊維状1本鎖DNAファージ等の広宿主域プラスミドが含まれる。
【0199】
ALK7結合性タンパク質の発現に好適な宿主細胞としては、適切なプロモーター制御下の原核生物、酵母、昆虫または高等真核生物の細胞が挙げられる。原核生物には、グラム陰性またはグラム陽性の生物、例えば、E.coliまたは桿菌が含まれる。高等真核細胞には、以下に記載の哺乳類由来の樹立細胞株が含まれる。無細胞翻訳系もまた使用でき得る。抗体産生を含め、タンパク質産生の方法に関する追加情報は、例えば、各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国出願公開第2008/0187954号、米国特許第6,413,746号及び同第6,660,501号、ならびに国際出願公開第WO04/009823号に見出すことができる。
【0200】
様々な哺乳類細胞または昆虫細胞の培養系もまた、組換え型ALK7結合性タンパク質(例えば、完全長ALK7抗体及びALK7結合性抗体断片等の抗ALK7抗体、ならびにそのバリアント及び誘導体)を発現させるために有利に使用することができる。哺乳類細胞での組換えALK7結合性タンパク質の発現は、そのようなタンパク質が一般に正確に折り畳まれ、適切に修飾され、また完全に機能的であることから、実施可能である。好適な哺乳類宿主細胞株の例としては、HEK-293及びHEK-293T、Gluzman(Cell 23:175 (1981))で記載されているサル腎細胞のCOS-7株、ならびに、例えば、L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeLa及びBHK細胞株等の他の細胞株が挙げられる。哺乳類発現ベクターは、非転写要素、例えば、複製起点、発現対象遺伝子に連結された適切なプロモーターとエンハンサー、及び5’または3’に隣接する他の非転写配列等、ならびに5’または3’の非翻訳配列、例えば、必要な、リボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー部位とスプライスアクセプター部位、及び転写終結配列等を含むことができる。細胞での異種タンパク質の産生のためのバキュロウイルス系は、Luckow and Summers,BioTechnology 6:47(1988)で概説されている。
【0201】
形質転換された宿主細胞またはハイブリドーマにより産生されるALK7結合性タンパク質は、任意の好適な方法に従って精製することができる。そのような標準的方法としては、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、及びサイズ調整カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、分別溶解法、または他の任意の標準的タンパク質精製技術が挙げられる。適切なアフィニティーカラムを通過させることで容易に精製できるよう、ヘキサヒスチジン(配列番号103)、マルトース結合ドメイン、インフルエンザコート配列、及びグルタチオン-S-トランスフェラーゼ等のアフィニティータグをタンパク質に結合させることができる。ALK7結合性タンパク質は、タンパク質分解、核磁気共鳴及びX線結晶解析のような技術を使用して物理的に特徴付けることもできる。
【0202】
例えば、組換えALK7結合性タンパク質を培地中に分泌する系からの上清は市販されているタンパク質濃縮フィルター、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外ろ過ユニットを使用して最初に濃縮することができる。濃縮ステップに続き、濃縮物を適切な精製マトリックスに適用することができる。別法として、陰イオン交換樹脂、例えば、ペンダントのジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するマトリックスまたは基質を使用することができる。マトリックスは、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロース、またはタンパク質精製に一般的に用いられる他の種類のマトリックスであり得る。別法として、陽イオン交換ステップを使用することができる。好適な陽イオン交換体には、スルホプロピル基またはカルボキシメチル基を含む様々な不溶性マトリックスが含まれる。最後に、疎水性RP-HPLC媒体、例えば、ペンダントのメチル基または他の脂肪族基を有するシリカゲルを使用する1つ以上の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)ステップを使用して、ALK7結合性タンパク質をさらに精製することができる。上述の精製ステップの一部または全部は、様々な組み合わせで、均一な組換えALK7結合性タンパク質を得るために日常的に使用することもできる。
【0203】
細菌培養で産生された組換えALK7結合性タンパク質(例えば、完全長ALK7抗体及びALK7結合性抗体断片等の抗ALK7抗体ならびにそのバリアント及び誘導体)は、例えば、細胞ペレットからの最初の抽出、その後の1つ以上の、濃縮、塩析、水性イオン交換またはサイズ排除クロマトグラフィーのステップにより単離することができる。最終精製ステップでは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用することができる。組換えタンパク質の発現で使用された微生物細胞は、凍結融解サイクリング、超音波処理、機械的破壊、または細胞溶解剤の使用を含め、任意の好都合な方法で破壊することができる。
【0204】
完全長抗体及び抗原結合性抗体断片等の標的結合性タンパク質を精製するための当該技術分野で公知の方法には、例えば、米国出願公開第2008/0312425号、同第2008/0177048号、及び同第2009/0187005号に記載のものも含まれ、その各々は、本明細書で参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0205】
ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は抗体ではない。タンパク質標的に高親和性で結合する非抗体ポリペプチドを同定及び生成するための様々な方法が知られている。例えば、その各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Skerra,Curr.Opin.Biotechnol.18:295-304(2007)、Hosse et al.,Protein Science 15:14-27(2006)、Gill et al.,Curr.Opin.Biotechnol.17:653-658(2006)、Nygren,FEBS J.275:2668-2676(2008)、及びSkerra,FEBS J.275:2677-2683(2008)を参照のこと。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質を同定/生成するためにファージディスプレイ技術が使用される。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、プロテインA、リポカリン、フィブロネクチンドメイン(例えば、フィブロネクチンIII型(Fn3))、コンセンサスアンキリン反復ドメイン、及びチオレドキシンから選択される種類のタンパク質足場を含む。
【0206】
使用方法及び医薬組成物
提供されるALK7結合性タンパク質(抗体、免疫複合体、及びポリペプチドを含む)は、様々な用途において有用であり、それらには、ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体)を用いた様々な疾患及び状態の診断方法ならびにそれらを治療及び/または改善する方法が含まれるが、これらに限定されない。ALK7シグナル伝達、ALK7発現変化と関連する疾患もしくは状態、及び/またはALK7シグナル伝達低下により改善され得る疾患もしくは状態を有する対象を治療するための、ALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合する完全長抗体及びALK7結合性抗体断片等の抗ALK7抗体、ならびにそのバリアント及び誘導体)の使用のための方法が提供される。追加の実施形態では、本開示は、本明細書で提供されるALK7結合性タンパク質と薬学的に許容される担体とを含有する医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、医薬品として使用するための、本明細書で提供されるALK7結合性タンパク質と薬学的に許容される担体とを含有する医薬組成物を提供する。本開示はまた、ALK7シグナル伝達、ALK7発現変化と関連する疾患もしくは状態、及び/またはALK7シグナル伝達の低下により改善され得る疾患もしくは状態を、治療及び/または改善するための本明細書に開示される医薬組成物の使用も提供する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物を使用して治療される疾患または状態は、肥満(例えば、腹部肥満);過体重;インスリン抵抗性;メタボリックシンドローム及び他の代謝性の疾患もしくは状態;HDL低値、LDL高値、高脂血症、高トリグリセリド血症もしくは脂質異常症等の脂質障害;リポタンパク質異常;トリグリセリド低下;炎症(例えば、肝臓の炎症及び/または脂肪組織の炎症)、脂肪性肝疾患;非アルコール性脂肪性肝疾患;高血糖症;耐糖能異常(IGT);高インスリン血症;高コレステロール(例えば、LDL高値及び高コレステロール血症);冠動脈心疾患を含む心疾患、うっ血性心不全、脳卒中、末梢血管疾患、アテローム性動脈硬化等の心血管疾患;動脈硬化、及び高血圧;シンドロームX;血管再狭窄;ニューロパチー;網膜症;神経変性疾患;内皮機能障害、呼吸機能障害、腎疾患(例えば、腎症);膵炎;多嚢胞性卵巣症候群;尿酸値上昇;ヘモクロマトーシス(鉄過剰);黒色表皮腫(皮膚上の暗色斑);または骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫、形質細胞腫、限局性骨髄腫、及び髄外骨髄腫)、卵巣癌、乳癌、子宮内膜癌、及び結腸癌)等のがん;あるいは上記の疾患または状態のうち1つ以上と関連する別の障害/状態である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物を使用して治療される疾患または状態は、過体重(例えば、BMI≧25kg/m)と関連するかまたは体脂肪過多と関連する。
【0207】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7アンタゴニスト抗体)及び薬学的に許容される担体を含有し、ALK7結合性タンパク質はさらに、標識基またはエフェクター基を含む。「標識」とは、スクリーニングで検出を可能にするためによう結合された1つ以上の元素、同位体、または化学物質を指す。標識は一般に、3つのクラス、すなわち、(a)放射性または重同位体であり得る同位体標識、(b)蛍光色素及び比色色素、または他の標識方法を可能にするビオチン等の分子が含まれ得る小分子標識、及び(c)抗体により認識される融合パートナーとして組み込まれるエピトープであり得る免疫標識に分類され、「標識基(labeling group)」とは、任意の検出可能な標識を指す。いくつかの実施形態では、標識基は、潜在的な立体障害が低減されるようスペーサー(例えば、ペプチドスペーサー)を介してALK7結合性タンパク質に結合される。標識は、どの位置でも化合物に組み込まれ得、また、タンパク質発現中にインビトロまたはインビボのいずれでも組み込まれ得る。タンパク質を標識するための様々な方法が当該技術分野で公知であり、提供される方法を実施する際に使用され得る。追加の実施形態では、標識基は、同位体標識、磁気標識、酸化還元活性部分、光学色素、ビオチン化基及び二次レポーターにより認識されるポリペプチドエピトープから選択される。いくつかの実施形態では、標識基は、緑色蛍光タンパク質またはその誘導体(例えば、高感度GFP、青色蛍光タンパク質またはその誘導体(例えば、EBFP(高感度青色蛍光タンパク質)、EBFP2、Azurite、mKalama1、シアン蛍光タンパク質またはその誘導体(例えば、ECFP(高感度シアン蛍光タンパク質)、Cerulean、CyPet)、黄色蛍光タンパク質またはその誘導体(例えば、YFP、Citrine、Venus、YPet)等の蛍光タンパク質である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドエピトープは、ビオチンシグナル伝達ペプチド、ヒスチジンペプチド(his)、ヘマグルチニン(HA)、Flag、金結合ペプチドから選択されるメンバーである。追加の実施形態では、エフェクター基(effector group)は、放射性同位体、放射性ヌクレオチド、毒素、治療剤及び化学療法剤から選択される。
【0208】
本開示のALK7結合性タンパク質は、インビトロ及びインビボでの診断上及び治療上の有用性において応用される。例えば、ALK7結合性タンパク質は、様々な疾患もしくは状態を、治療、予防または診断するために、例えば、インビトロもしくはインビボで培養中の細胞、または対象の細胞に投与することができる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ヒト抗体、マウス抗体、またはヒト化抗体である。
【0209】
ALK7活性を阻止する方法も提供される。いくつかの実施形態では、方法は、ALK7を、アンタゴニストALK7結合性タンパク質と接触させることを含む。さらなる実施形態では、アンタゴニストALK7結合性タンパク質は、抗ALK7抗体である。いくつかの例では、方法はインビボで実施される。他の場合には、方法はインビトロで実施される。いくつかの実施形態では、ALK7活性阻止は、(a)1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンドの存在下で、ALK7及びActRII受容体を発現している細胞の表面での、ALK7、II型受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)、及び1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビンB、アクチビンAB、Nodal、GDF1、GDF3及び/またはGDF8)を含有する複合体の形成を減少させること、(b)ALK7への結合に対して1つ以上のII型受容体と競合すること、(c)ALK7への結合に対して1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビンB、アクチビンAB、Nodal、GDF1、GDF3及び/またはGDF8)と競合すること、(d)1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンAB、及び/またはNodal)の存在下でALK7及びII型受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)を発現している細胞でのALK7のリン酸化を減少させること、(e)1つ以上のTGF-ベータリガンド(例えば、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンAB、及び/またはNodal)の存在下でALK7及びII型受容体(例えば、ActRIIA及び/またはActRIIB)を発現している細胞でのSmad(例えば、Smad2及び/またはSmad3)のリン酸化を減少させること、(f)ALK7に、1nM以下かつ1pM以上のK(例えば、BIACORE(登録商標)分析により決定した場合)で結合すること、ならびに(g)ALK7、共受容体(例えば、cripto及び/またはcryptic)、及び1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、Nodal)を含有する複合体の形成を減少させること、から選択される。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7アンタゴニスト(例えば、抗ALK7中和抗体)である。さらなる実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞での脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞(例えば、白色脂肪細胞)を使用した脂肪分解アッセイにおいて脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。さらなる実施形態では、脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、上記の特性のうち2つ、3つ、または4つを有する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、上記の特性のうち少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つを有する。
【0210】
ある特定の実施形態では、本開示は、ALK7シグナル伝達、ALK7発現変化と関連する疾患もしくは状態、及び/またはALK7シグナル伝達の低下により改善され得る疾患もしくは状態を、有するかまたは発症するリスクがある対象に対し、ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7アンタゴニスト抗体)を投与することを含む、疾患または状態の治療、予防及び/または改善を提供する。他の実施形態では、治療には、対象からの分離された組織または細胞へのALK7結合性タンパク質の投与が含まれ、その場合、対象は、ALK7発現またはALK7シグナル伝達と関連する、疾患もしくは状態を有するか、または疾患もしくは状態を発症するリスクがある。
【0211】
本開示は、ALK7結合性タンパク質と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。対象におけるALK7媒介性の活性と関連する状態を治療及び/または改善するための方法であって、それを必要とする対象に対し、本明細書で提供されるALK7結合性タンパク質を含む医薬組成物を有効量にて投与することを含む方法もまた提供される。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、単独で投与される。他の実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、併用療法として投与される。対象でのALK7活性を低下させる方法であって、それを必要とする対象に有効量のALK7結合性タンパク質を投与することを含む方法も提供される。
【0212】
本明細書で提供される場合、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗ALK7抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)は、体重を減少させる(例えば、体重減少を促進する)、体重増加を減少させる(例えば、体重増加を予防する)、及び/または肥満を治療するために投与することができる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示される抗体である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7アンタゴニスト抗体である。いくつかの実施形態では、投与される抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対してい競合する。いくつかの実施形態では、投与される抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。ある特定の場合には、対象は、2型糖尿病を有する。
【0213】
特定の実施形態では、本開示は、体重を減少させることを望むかまたはそれを必要とする対象に、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を投与することを含む、体重を減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示される抗体である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7アンタゴニスト抗体である。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、対象は、過体重(例えば、前肥満)である。いくつかの実施形態では、対象は、体格指数(BMI)が25kg/m以上である。さらなる実施形態では、対象は、BMIが25kg/m~29.9kg/m、30kg/m~39.9mkg/m、25kg/m~39.9kg/m、または25kg/m~50kg/mである。いくつかの実施形態では、対象は、肥満である。いくつかの実施形態では、対象は、BMIが30kg/m以上(例えば、30~39.9kg/mまたは30kg/m~50kg/m)である。いくつかの実施形態では、対象は、病的肥満である。いくつかの実施形態では、対象は、BMIが40kg/m以上である。さらなる実施形態では、対象は、BMIが40kg/m~45kg/m、または40kg/m~50kg/mである。いくつかの実施形態では、対象は、中心性肥満(例えば、腹部脂肪及び/または内臓脂肪等、腹部の過剰な脂肪蓄積)を有する。いくつかの実施形態では、対象は、ウエスト/ヒップ周径囲比(WHR)が0.85以上である。いくつかの実施形態では、対象は、末梢性肥満(例えば、ヒップの過剰な脂肪蓄積)を有する。いくつかの実施形態では、対象は、2型糖尿病を有する。ALK7結合性タンパク質は、単独、または併用療法として投与される。いくつかの実施形態では、投与は、食事及び/または運動に対する補助である。
【0214】
ある特定の実施形態では、本開示は、体重増加の減少を望むかまたはそれを必要とする対象に、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を投与することを含む、体重増加を減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示される抗体である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7アンタゴニスト抗体である。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、対象は、過体重(例えば、前肥満)である。いくつかの実施形態では、対象は、BMIが25kg/m以上である。さらなる実施形態では、対象は、BMIが25kg/m~29.9kg/m、30kg/m~39.9mkg/m、25kg/m~39.9kg/m、または25kg/m~50kg/mである。いくつかの実施形態では、対象は、肥満である。いくつかの実施形態では、対象は、BMIが30kg/m以上(例えば、30~39.9kg/mまたは30kg/m~50kg/m)である。いくつかの実施形態では、対象は、病的肥満である。いくつかの実施形態では、対象は、BMIが40kg/m以上である。さらなる実施形態では、対象は、BMIが40kg/m~45kg/m、または40kg/m~50kg/mである。いくつかの実施形態では、対象は、2型糖尿病を有する。
【0215】
また、過体重と関連する疾患または状態を治療または予防する方法であって、治療または予防を必要とする対象に、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を投与することを含む方法も提供される。いくつかの実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質(例えば、アンタゴニスト抗体)は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。ある特定の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、肥満である。ある特定の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、インスリン抵抗性である。ある特定の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、脂質異常症、高脂血症(総コレステロール値が240mg/dL超)、高コレステロール血症(例えば、総コレステロール値が200mg/dL超、220mg/dL超、240mg/dL超、250mg/dL超、または275mg/dL超)、血清HDL低値(例えば、40mg/dL未満、45mg/dL未満、または<50mg/dL未満)、血清LDL高値(例えば、100mg/dL以上、130mg/dL以上、160mg/dL以上、または190mg/dL以上)、及び高トリグリセリド血症(例えば、空腹時TG値が150mg/dL以上、175mg/dL以上、200mg/dL以上、300mg/dL以上、400mg/dL以上、または499mg/dL以上)から選択されるメンバーである。ある特定の場合には、投与は、食事及び/または運動に対する補助である。
【0216】
他の実施形態では、本開示は、過体重である対象において体重を減少させる方法を提供する。方法には、過体重の対象に、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を投与することが含まれる。いくつかの実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質(例えば、アンタゴニスト抗体)は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質(例えば、アンタゴニスト抗体)は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質(例えば、アンタゴニスト抗体)は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、対象は、体格指数(BMI)が25kg/m以上である。さらなる実施形態では、対象は、BMIが25kg/m~29.9kg/m、30kg/m~39.9mkg/m、25kg/m~39.9kg/m、または25kg/m~50kg/m、または27~40kg/mである。いくつかの実施形態では、対象は、肥満である。いくつかの実施形態では、対象は、BMIが30kg/m以上(例えば、30~39.9kg/mまたは30kg/m~50kg/m)である。ALK7結合性タンパク質は、単独、または併用療法として投与される。いくつかの実施形態では、投与は、食事及び/または運動に対する補助である。
【0217】
ある特定の実施形態では、本開示は、肥満の対象において体重を減少させる方法を提供する。方法には、対象に、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を投与することが含まれる。いくつかの実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質(例えば、アンタゴニスト抗体)は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質(例えば、アンタゴニスト抗体)は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、対象は、BMIが30kg/m以上(例えば、30~39.9kg/mまたは30kg/m~50kg/mである。いくつかの実施形態では、対象は、BMIが40kg/m以上である。いくつかの実施形態では、対象は、中心性肥満(例えば、腹部脂肪及び/または内臓脂肪等、腹部の過剰な脂肪蓄積)を有する。いくつかの実施形態では、対象は、ウエスト/ヒップ周径囲比(WHR)が0.85以上である。いくつかの実施形態では、対象は、末梢性肥満(例えば、ヒップの過剰な脂肪蓄積)を有する。ALK7結合性タンパク質は、単独、または併用療法として投与される。いくつかの実施形態では、投与は、食事及び/または運動に対する補助である。
【0218】
他の実施形態では、本開示は、肥満または肥満と関連する疾患もしくは状態を治療及び/または改善する方法であって、肥満の対象に、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、アンタゴニストALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示される抗体である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示される抗体である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7アンタゴニスト抗体である。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、対象は、BMIが30kg/m以上である。さらなる実施形態では、対象は、BMIが30~39.9kg/mまたは30kg/m~50kg/mである。いくつかの実施形態では、対象は、病的肥満である。いくつかの実施形態では、対象は、体のBMIが40kg/m以上である。さらなる実施形態では、対象は、BMIが40kg/m~45kg/m、または40kg/m~50kg/mであり、いくつかの実施形態では、対象は、2型糖尿病を有する。いくつかの実施形態では、対象は、BMIが30kg/m以上(例えば、30~39.9kg/m)である。いくつかの実施形態では、対象は、BMIが少なくとも40kg/mである。いくつかの実施形態では、対象は、中心性肥満(例えば、腹部脂肪及び/または内臓脂肪等、腹部の過剰な脂肪蓄積)を有する。いくつかの実施形態では、対象は、ウエスト/ヒップ周径囲比(WHR)が0.85以上である。いくつかの実施形態では、対象は、末梢性肥満(例えば、ヒップの過剰な脂肪蓄積)を有する。ALK7結合性タンパク質は、単独、または併用療法として投与される。いくつかの実施形態では、投与は、食事及び/または運動に対する補助である。
【0219】
また、肥満と関連する疾患または状態を治療または予防する方法であって、治療または予防を必要とする対象に、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を投与することを含む方法も提供される。いくつかの実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質(例えば、アンタゴニスト抗体)は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質(例えば、アンタゴニスト抗体)は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。特定の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、脂質異常症、高脂血症(総コレステロール値が240mg/dL超)、高コレステロール血症(例えば、総コレステロール値が200mg/dL超、220mg/dL超、240mg/dL超、250mg/dL超、または275mg/dL超)、血清HDL低値(例えば、40mg/dL未満、45mg/dL未満、または50mg/dL未満)、血清LDL高値(例えば、100mg/dL以上、≧130mg/dL以上、160mg/dL以上、または190mg/dL以上)、及び高トリグリセリド血症(例えば、空腹時TG値が150mg/dL以上、≧175mg/dL以上、200mg/dL以上、300mg/dL以上、400mg/dL以上、または499mg/dL以上)から選択されるメンバーである。ある特定の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、心血管疾患である。追加の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、高血圧、心筋梗塞、脳卒中、末梢動脈疾患、血圧調節機能不全、動脈硬化うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化、冠動脈心疾患、または細小血管疾患である。ある特定の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、炎症である。他の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、網膜症、腸疾患、潰瘍性大腸炎、及び喘息、炎症(例えば、肝臓の炎症及び/または脂肪組織の炎症)という群から選択されるメンバーである。他の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、網膜症、腸疾患、潰瘍性大腸炎、及び喘息、炎症(例えば、肝臓の炎症及び/または脂肪組織の炎症)という群から選択されるメンバーである。ある特定の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、肝疾患である。ある特定の実施形態では、治療または予防される肝臓の疾患または状態は、NAFLDである。ある特定の実施形態では、肝疾患は、脂肪肝である。特定の実施形態では、肝疾患は、NASHである。他の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、脂肪性肝炎、脂肪症、線維症、及び/または肝硬変という群から選択されるメンバーである。ある特定の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、白内障、黄斑性変性、閉塞性睡眠時無呼吸、静脈炎、痛風、変形性関節症、胆嚢疾患、腎疾患、肺疾患(例えば、喘息、低喚気症候群、または呼吸機能障害)、及び/またはがん(例えば、卵巣癌、乳癌、子宮内膜癌、肝癌、腎臓癌、及び/または結腸癌、及び/またはがん転移(例えば、リンパ行性転移、血流転移、及び/または腫瘍の増殖と浸潤)から選択されるメンバーである。ある特定の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、感染症である。ある特定の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、治癒が遅いかまたは治癒しない創傷である。ある特定の場合には、投与は、食事及び/または運動に対する補助である。
【0220】
ある特定の実施形態では、本開示は、肝脂肪を減少させる方法であって、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示される抗体である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7アンタゴニスト抗体である。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、対象は、過体重(例えば、前肥満)である。いくつかの実施形態では、対象は、体格指数(BMI)が25kg/m以上である。さらなる実施形態では、対象は、BMIが25kg/m~29.9kg/m、30kg/m~39.9mkg/m、25kg/m~39.9kg/m、または25kg/m~50kg/mである。いくつかの実施形態では、対象は、肥満である。いくつかの実施形態では、対象は、BMIが30kg/m以上(例えば、30~39.9kg/mまたは30kg/m~50kg/m)である。いくつかの実施形態では、対象は、病的肥満である。いくつかの実施形態では、対象は、BMIが40kg/m以上である。さらなる実施形態では、対象は、BMIが40kg/m~45kg/m、または40kg/m~50kg/mである。いくつかの実施形態では、対象は、中心性肥満(例えば、腹部脂肪及び/または内臓脂肪等、腹部の過剰な脂肪蓄積)を有する。いくつかの実施形態では、対象は、ウエスト/ヒップ周径囲比(WHR)が0.85以上である。いくつかの実施形態では、対象は、末梢性肥満(例えば、ヒップの過剰な脂肪蓄積)を有する。いくつかの実施形態では、対象は、2型糖尿病を有する。ALK7結合性タンパク質は、単独、または併用療法として投与される。いくつかの実施形態では、投与は、食事及び/または運動に対する補助である。
【0221】
他の実施形態では、本開示は、2型糖尿病または糖尿病と関連する疾患もしくは状態を治療、改善、及び/または予防する方法であって、2型糖尿病を有するかまたは2型糖尿病を発症するリスクのある対象に、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示される抗体である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7アンタゴニスト抗体である。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、対象は、体格指数であるBMIが30kg/m以上(例えば、30~39.9kg/m)である。いくつかの実施形態では、対象は、BMIが少なくとも40kg/mである。いくつかの実施形態では、対象は、中心性肥満(例えば、腹部脂肪及び/または内臓脂肪等、腹部の過剰な脂肪蓄積)を有する。いくつかの実施形態では、対象は、WHRが0.85以上である。いくつかの実施形態では、対象は、末梢性肥満(例えば、ヒップの過剰な脂肪蓄積)を有する。ALK7結合性タンパク質は、単独、または併用療法として投与される。いくつかの実施形態では、投与は、食事及び/または運動に対する補助である。
【0222】
また、糖尿病と関連する疾患もしくは状態を治療、改善または予防する方法であって、糖尿病を有する対象に、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)投与することを含む方法も提供される。いくつかの実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質(例えば、アンタゴニスト抗体)は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、投与されるALK7結合性タンパク質(例えば、アンタゴニスト抗体)は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。特定の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、脂質異常症、高脂血症(総コレステロール値が240mg/dL超)、高コレステロール血症(例えば、総コレステロール値が200mg/dL超、220mg/dL超、>240mg/dL超、250mg/dL超、または275mg/dL超)、血清HDL低値(例えば、40mg/dL未満、45mg/dL未満、または50mg/dL未満)、血清LDL高値(例えば、100mg/dL以上、130mg/dL以上、160mg/dL以上、または190mg/dL以上)、及び高トリグリセリド血症(例えば、空腹時TG値が150mg/dL以上、175mg/dL以上、200mg/dL以上、300mg/dL以上、≧400mg/dL以上、または499mg/dL以上)から選択されるメンバーである。ある特定の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、心血管疾患である。追加の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、高血圧、心筋梗塞、脳卒中、末梢動脈疾患、血圧調節機能不全、または動脈硬化である。ある特定の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、炎症(例えば、全身性炎症、肝臓の炎症、及び脂肪組織の炎症)である。他の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、アテローム性動脈硬化、網膜症、腸疾患、潰瘍性大腸炎、喘息、肝臓の炎症、及び/または脂肪組織の炎症)という群から選択されるメンバーである。ある特定の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、肝疾患である。他の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、脂肪性肝疾患、脂肪性肝炎、脂肪症、及び/または肝硬変という群から選択されるメンバーである。ある特定の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、白内障、黄斑性変性、閉塞性睡眠時無呼吸、静脈炎、痛風、変形性関節症、胆嚢疾患、高コレステロール、肺疾患(例えば、喘息、及び/または低喚気症候群)、ニューロパチー、網膜症、血管障害 微小血管障害、腎症、腎不全、及び/またはがん(例えば、卵巣癌、乳癌、子宮内膜癌、肝癌、腎臓癌、膵癌、及び/または結腸癌)、ならびにがん転移(例えば、リンパ行性転移、血流転移、及び/または腫瘍の増殖と浸潤)から選択されるメンバーである。ある特定の実施形態では、治療または予防される疾患または状態は、感染症または治癒しない創傷である。ある特定の場合には、投与は、食事及び/または運動に対する補助である。
【0223】
本開示はまた、対象における血中脂質プロファイルを改善させるための方法であって、そのような治療を必要とする対象に、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト(中和)抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を投与することを含む方法も提供する。いくつかの実施形態では、アンタゴニストALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示される抗体である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示される抗体である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7アンタゴニスト抗体である。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、ALK7アンタゴニスト抗体である。いくつかの実施形態では、本開示は、LDLコレステロール値を低下させるかまたはHDLコレステロール値を増大させるための方法を提供する。ある特定の実施形態では、対象は、脂質異常症を有する。他の実施形態では、対象は、血清脂質上昇(例えば、コレステロール(高コレステロール血症)及び/またはトリグリセリド上昇(例えば、高トリグリセリド血症))を有する。ある特定の実施形態では、対象は、LDL-Cが100mg/dL以上、130mg/dL以上、または160mg/dL以上である。ある特定の実施形態では、対象は、TGが150mg/dL以上、160mg/dL以上、170mg/dL以上である。ある特定の実施形態では、対象は、血漿インスリン値上昇(高インスリン血症;例えば、空腹時インスリン値20μg/ml超が100を超え得る)を有する。いくつかの実施形態では、対象は、II型糖尿病を有する。
【0224】
ある特定の実施形態によれば、本開示は、代謝性疾患もしくは障害または代謝性疾患もしくは障害と関連する状態を治療または予防する方法であって、ALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、治療される代謝性の疾患、障害、または状態は、高血糖症(例えば、経口糖負荷試験中、空腹時またはグルコース投与後に130mg/dL超)である。ある特定の実施形態では、治療される代謝性の疾患、障害、または状態は、脂質代謝の疾患、障害、または状態である。ある特定の実施形態では、治療される代謝性の疾患、障害、または状態は、脂質異常症である。さらなる実施形態では、脂質代謝の疾患、障害、または状態は、HDL低値、LDL高値、トリグリセリド高値、高脂血症、及びリポタンパク質異常から選択されるメンバーである。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質が投与される対象は、総コレステロール値が200mg/dL超、220mg/dL超、240mg/dL超、250mg/dL超、または275mg/dL超である。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質が投与される対象は、血清HDL値が40mg/dL未満、45mg/dL未満、または50mg/dL未満である。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質が投与される対象は、血清LDL値100mg/dL以上、130mg/dL以上、160mg/dL以上、または190mg/dL以上である。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質が投与される対象は、空腹時TG値が150mg/dL以上、175mg/dL以上、200mg/dL以上、300mg/dL以上、400mg/dL以上、または499mg/dL以上である。ある特定の実施形態では、治療される代謝性の疾患、障害、または状態は、グルコース代謝の疾患、障害、または状態である。さらなる実施形態では、グルコース代謝の疾患、障害、または状態は、耐糖能障害、インスリン抵抗性、耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)から選択されるメンバーである。特定の実施形態では、治療される代謝性の疾患、障害、または状態は、尿酸値高値、NAFLD、脂肪肝、NASH、及び多嚢胞性卵巣症候群から選択されるメンバーである。ある特定の実施形態では、治療される対象は、高インスリン血症を有する。ある特定の実施形態では、治療される対象は、肥満である(例えば、対象は、内臓肥満または腹部肥満を有する)。他の実施形態では、治療される対象は、II型糖尿病を有する。
【0225】
メタボリックシンドロームは、心疾患のリスクを高める一連の障害を伴う状態である。メタボリックシンドロームの主な構成要素は、過体重、心血管パラメータ(高血圧、脂質異常症、血中のトリグリセリド高値及び/またはHDL低値)、アテローム性動脈硬化、糖尿病、及び/またはインスリン抵抗性である。これらの構成要素のうちのいくつかを有する、すなわち、メタボリックシンドロームである対象は、心疾患に極めて罹患しやすいが、構成要素はそれぞれが危険因子である。開示はまた、上記のメタボリックシンドローム構成要素のうちの1つ、2つ、3つ、もしくはそれ以上を治療または予防するための方法であって、治療を必要とする対象に、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を投与することを含む方法も提供する。
【0226】
本開示はまた、対象のプラダー-ウィリー症候群またはプラダー-ウィリー症候群と関連する状態を治療、予防または改善するための組成物及び方法であって、そのような治療を必要とする対象に、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗ALK7抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を投与することを含む、組成物及び方法も提供する。プラダー-ウィリー症候群は、ラブハルト-ウィリー症候群、プラダー症候群、プラダー-ラブハルト-ウィリー-ファンコーニ症候群としても知られ、体の多くの部分を侵す複雑な遺伝性疾患である。乳児期には、この状態は、弱い筋緊張(筋緊張低下)、哺乳困難、成長不良、及び発達遅延により特徴付けられる。小児期に始まり、罹患者は、飽くことのない食欲を発症し、これが慢性的な過食(過食症)及び肥満を引き起こす。プラダー・ウィリー症候群の人々、特に肥満の人々はまた、2型糖尿病(最もよく見られる糖尿病の形態)を発症する場合もある。プラダー・ウィリー症候群の人々は典型的に、軽度から中等度の知能障害及び学習障害を有する。感情爆発、強情、及び皮膚をむしる等の強迫性の行動を含め、行動上の問題がよく見られる。睡眠障害も起こり得る。この状態の追加的特徴としては、狭い額、アーモンド形の目、及び三角の口等の特徴的な顔貌;低身長;ならびに小さな手と足が挙げられる。プラダー・ウィリー症候群の人々は異常に肌が白く、毛髪の色が薄い場合がある。罹患した男性も女性も性器が発育不良である。思春期は遅いかまたは不全であり、ほとんどの罹患者は子供をもうけることができない(不妊)。他の関連症状は、乳児期の筋緊張低下から、小児期早期の行動上の問題、及び乳児期の症状、例えば、眼の協調欠損、生まれつきのアーモンド形の目、強い吸啜反射(筋緊張低下のため)、弱い啼泣、起きることが困難、上唇が薄い等の範囲に及ぶ。成人期の症状としては、例えば、不妊、性腺機能低下、薄い陰毛、肥満、筋緊張低下(筋緊張が弱い)、学習障害/境界域の知的機能、糖尿病にかかりやすい、極度の柔軟性等が挙げられる。現在は、(父方のPWS/AS領域の欠損についての)遺伝子検査ならびに臨床所見により診断される。
【0227】
プラダー・ウィリー症候群は、一般に、父方15番染色体の一部分が欠如する(約70%の患者)かまたは母方15番染色体が2コピーある(母方片親性ダイソミー;約25%の患者)ことによって生じる。まれに、プラダー・ウィリー症候群は、転座と呼ばれる染色体再構成によるか、または、父方15番染色体の遺伝子を以上に遮断する(不活性化させる)変異または他の欠陥によっても生じ得る。プラダー・ウィリー症候群の原因である15番染色体上の部分、15q11-13領域(いわゆるPWS/AS領域)は、少なくとも、核内低分子リボ核タンパク質関連タンパク質N(SNRPN)及びネクジン(NDN)、ならびに核小体低分子RNA(snoRNA)のクラスター、例えば、SNORD64、SNORD107、SNORD108及び2コピーのSNORD109、29コピーのSNORD116(HBII-85)及び48コピーのSNORD115(HBII-52)が含まれる遺伝子を含む。母方染色体上の同領域の欠失は、アンジェルマン症候群(AS)を引き起こす。PWS及びASは、ヒトでのインプリンティング異常が報告された最初の例である。
【0228】
プラダー-ウィリー症候群は、治療法はない。しかしながら、状態の症状を軽減するためにいくつかの治療が行われている。乳児期、対象は、成長ホルモン(GH)療法(例えば、GH連日注射)等、筋力を改善するための療法を受ける必要がある。言語療法及び作業療法も適応される。重度の肥満による閉塞性睡眠時無呼吸に気道陽性装置が必要とされることが多い。場合によっては外科的処置が用いられ得る。セロトニンアゴニストが、かんしゃくの軽減及び強迫性の改善において最も有効性が示されている。
【0229】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるALK7結合性タンパク質は、プラダー-ウィリー症候群またはプラダー-ウィリー症候群と関連する状態を治療する、予防する、もしくは改善するために使用される。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、アンタゴニスト抗ALK7抗体またはそのALK7結合性断片等のアンタゴニスト抗ALK7タンパク質、例えば、本明細書に開示されるアンタゴニスト抗ALK7抗体またはそのALK7結合性断片である。
【0230】
さらに、心血管性の疾患もしくは状態を治療、予防または改善する方法であって、ALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を、それを必要とする対象に投与することを含む方法が提供される。ある特定の実施形態では、治療、予防、または改善される心血管性の疾患または状態は、アテローム性動脈硬化である。ある特定の実施形態では、治療、予防、または改善される心血管性の疾患または状態は、高血圧(例えば、安静時、血圧が130/80mmHg超または140/90mmHg超)である。ある特定の実施形態では、心血管性の疾患または状態は、末梢血管疾患、微小血管性もしくは微小血管性合併症、脳卒中、及び/または網膜症である。特定の実施形態では、心血管疾患は、アテローム性動脈硬化(冠動脈心疾患)である。
【0231】
ある特定の実施形態では、本開示は、炎症性の疾患または状態を治療及び/または改善するための方法を提供し、ALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を、それを必要とする対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、炎症性の疾患または状態は、慢性炎症である。他の実施形態では、炎症性の疾患または状態は、脂肪組織の炎症である。他の実施形態では、疾患または状態は、肝臓の炎症である。ある特定の実施形態では、疾患または状態は、NAFLDである。さらなる実施形態では、疾患または状態は、脂肪肝である。さらなる実施形態では、疾患または状態は、脂肪症(例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。
【0232】
本開示はまた、血糖コントロールを改善する方法であって、治療を必要とする対象に、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を投与することを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質が投与される対象は、空腹時血糖値が130mg/dL超、135mg/dL超、140mg/dL、145mg/dL超、または150mg/dL超である。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質が投与される対象は、食事の2時間後、食後血糖値が180mg/dL超、185mg/dL超、190mg/dL超、195mg/dL超、または200mg/dL超である。ある特定の場合には、投与は、食事及び/または運動に対する補助である。投与により、体重を減少させるかまたは肥満を治療することもできる。ある特定の場合には、対象は、2型糖尿病を有する。ある特定の場合には、対象は、BMIが27~40kg/mである。特定の場合には、対象は、BMIが30~39.9kg/mである。特定の場合には、対象は、BMIが少なくとも40である。ある特定の場合には、対象は、過体重である。特定の場合には、対象は、肥満である。血糖コントロールの改善は、混合食試験等の当該技術分野で公知の技術を使用して評価することができる。
【0233】
本開示はまた、対象の高血糖症もしくは高血糖症と関連する状態を治療、予防または改善するための組成物及び方法であって、そのような治療を必要とする対象に、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗ALK7抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を投与することを含む、組成物及び方法も提供する。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質が投与される対象は、空腹時血糖値が130mg/dL超、135mg/dL超、140mg/dL超、145mg/dL超、または150mg/dL超である。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質が投与される対象は、食事の2時間後、食後血糖値が180mg/dL超、185mg/dL超、190mg/dL超、195mg/dL超、または200mg/dL超である。ある特定の実施形態では、治療、予防または改善の結果は、治療前の対象での血清濃度と比較した場合の、血清グルコース値の低下、血清トリグリセリド値の低下、血清インスリン値の低下、及び/または遊離脂肪酸の血清濃度の低下から選択されるメンバーである。ある特定の実施形態では、治療、予防または改善の結果は、治療前の対象の体温と比較した場合の約0.4℃~1℃の体温上昇である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、アンタゴニスト抗ALK7タンパク質である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、アンタゴニスト抗ALK7抗体またはそのALK7結合性断片である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示されるアンタゴニスト抗ALK7抗体またはそのALK7結合性断片である。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、投与により、対象の体重も減少する。
【0234】
他の実施形態では、本開示は、対象での血漿インスリン値を低下させる方法であって、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗ALK7抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を、そのような治療を必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質が投与される対象は、空腹時血糖値が130mg/dL超、135mg/dL超、140mg/dL超、145mg/dL超、または150mg/dL超である。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質が投与される対象は、食事の2時間後、食後血糖値が>180mg/dL超、185mg/dL超、190mg/dL超、195mg/dL超、または200mg/dL超である。ある特定の実施形態では、対象は、過体重である。ある特定の実施形態では、対象は、肥満である。他の実施形態では、対象は、2型糖尿病を有する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、アンタゴニスト抗ALK7タンパク質である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、アンタゴニスト抗ALK7抗体またはそのALK7結合性断片である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示されるアンタゴニスト抗ALK7抗体またはそのALK7結合性断片である。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。
【0235】
本開示はまた、対象の高血糖症もしくは高血糖症と関連する状態を治療、予防または改善するための組成物及び方法であって、そのような治療を必要とする対象に、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗ALK7抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を投与することを含む、組成物及び方法も提供する。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質が投与される対象は、空腹時血糖値が130mg/dL超、135mg/dL超、140mg/dL超、145mg/dL超、または150mg/dL超である。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質が投与される対象は、食事の2時間後、食後血糖値が180mg/dL超、185mg/dL超、190mg/dL超、195mg/dL超、または200mg/dL超である。ある特定の実施形態では、治療、予防または改善の結果は、治療前の対象での血清濃度と比較した場合の、血清グルコース値の低下、血清トリグリセリド値の低下、血清インスリン値の低下、及び/または遊離脂肪酸の血清濃度の低下から選択されるメンバーである。ある特定の実施形態では、治療、予防または改善の結果は、治療前の対象の体温と比較した場合の約0.4℃~1℃の体温上昇である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、アンタゴニスト抗ALK7タンパク質である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、アンタゴニスト抗ALK7抗体またはそのALK7結合性断片である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示されるアンタゴニスト抗ALK7抗体またはそのALK7結合性断片である。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、投与により、対象の体重も減少する。
【0236】
他の実施形態では、本開示は、対象での血漿インスリン値を低下させる方法であって、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗ALK7抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を、そのような治療を必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質が投与される対象は、空腹時血糖値が130mg/dL超、135mg/dL超、140mg/dL超、145mg/dL超、または150mg/dL超である。ある特定の実施形態では、ALK7結合性タンパク質が投与される対象は、食事の2時間後、食後血糖値が180mg/dL超、185mg/dL超、190mg/dL超、195mg/dL超、または200mg/dL超である。ある特定の実施形態では、対象は、過体重である。ある特定の実施形態では、対象は、肥満である。他の実施形態では、対象は、2型糖尿病を有する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、アンタゴニスト抗ALK7タンパク質である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、アンタゴニスト抗ALK7抗体またはそのALK7結合性断片である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示されるアンタゴニスト抗ALK7抗体またはそのALK7結合性断片である。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。
【0237】
他の実施形態では、本開示は、対象の肝疾患を治療、予防、または改善する方法であって、有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗ALK7抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を、肝疾患を有する対象に投与することを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、対象は、肝臓の炎症を有する。ある特定の実施形態では、対象は、NAFLDを有する。いくつかの実施形態では、対象は、脂肪肝を有する。他の実施形態では、対象は、NASHを有する。ある特定の実施形態では、治療、予防または改善される肝疾患は、線維症、瘢痕化、肝硬変、または肝不全である。他の実施形態では、治療、予防または改善される肝疾患は、肝癌である。ある特定の実施形態では、対象は、過体重である。他の実施形態では、対象は、肥満である。他の実施形態では、対象は、2型糖尿病を有する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、アンタゴニスト抗ALK7タンパク質である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、アンタゴニスト抗ALK7抗体またはそのALK7結合性断片である。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、本明細書に開示されるアンタゴニスト抗ALK7抗体またはそのALK7結合性断片である。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、投与されるアンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。
【0238】
追加の実施形態では、本開示は、がんもしくはがんと関連する状態を治療及び/または改善する方法を提供し、ALK7結合性タンパク質(例えば、抗ALK7抗体またはそのALK7結合性断片)を、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、抗ALK7抗体またはそのALK7結合性断片である。いくつかの実施形態では、対象は、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫、形質細胞腫、限局性骨髄腫、または髄外骨髄腫)、または卵巣癌、乳癌、結腸癌、子宮内膜癌、肝癌、腎臓癌、膵癌、胃癌、子宮癌もしくは結腸癌から選択されるがんを有する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、リンパ行性転移、血流転移、腫瘍増殖、または腫瘍浸潤を治療または予防するために投与される。
【0239】
ある特定の実施形態では、本開示は、がんを治療する方法を提供し、ALK7を発現しているがん細胞、腫瘍関連間質細胞、または内皮細胞と、ALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗ALK7抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)とを接触させることを含む。追加の実施形態では、がん細胞は、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫、形質細胞腫、限局性骨髄腫、または髄外骨髄腫)、卵巣癌、乳癌、結腸癌、子宮内膜癌、肝癌、腎臓癌、膵癌、胃癌、子宮癌及び/または結腸癌の細胞である。いくつかの実施形態では、接触させる細胞は、がん株からのものである。いくつかの実施形態では、がん細胞をインビボで接触させる。
【0240】
ある特定の実施形態では、本開示は、脂肪分解を増大させる方法であって、白色脂肪細胞または脂肪組織と、アンタゴニストALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗ALK7抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)とを接触させることを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞での脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質は、脂肪分解アッセイにおいて脂肪分解を5%~100%、10%~80%、または10%~60%増大させる。さらなる実施形態では、脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される。いくつかの実施形態では、アンタゴニストALK7結合性タンパク質は、抗体である。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗ALK7抗体は、本明細書で提供される抗体を含む。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、白色脂肪細胞または脂肪組織をインビトロで接触させる。いくつかの実施形態では、分化した白色脂肪細胞または脂肪組織をインビボで接触させる。ある特定の実施形態では、方法は、インビボで、例えば、哺乳類対象(例えば、動物モデル)で行われる。さらなる実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、方法により、グリセロール生成増加がもたらされる。さらなる実施形態では、方法により、培養脂肪細胞でのグリセロール及び/または遊離脂肪酸の増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、方法により、脂肪細胞または脂肪組織でのトリグリセリド(TG)含量の減少がもたらされる。いくつかの実施形態では、方法により、対象での血漿TG値低下がもたらされる。
【0241】
他の実施形態では、本開示は、脂肪細胞または脂肪組織でのアドレナリン受容体-β(ADRB)シグナル伝達を増大させる方法を提供する。方法は、分化した白色脂肪細胞または脂肪組織と、アンタゴニストALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗ALK7抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)とを、ADRBシグナル伝達を増大させるのに十分な量で接触させることを含む。いくつかの実施形態では、アンタゴニストALK7結合性タンパク質は、抗体である。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗ALK7抗体は、本明細書で提供される抗体を含む。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、分化した白色脂肪細胞または脂肪組織をインビトロで接触させる。いくつかの実施形態では、分化した白色脂肪細胞または脂肪組織をインビボで接触させる。ある特定の実施形態では、方法は、インビボで、例えば、哺乳類対象(例えば、動物モデル)で行われる。さらなる実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、方法により、グリセロール生成増加がもたらされる。さらなる実施形態では、方法により、培養脂肪細胞でのグリセロール及び/または遊離脂肪酸の増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、方法により、脂肪細胞または脂肪組織でのTG含量の減少がもたらされる。いくつかの実施形態では、方法により、対象での血漿TG値低下がもたらされる。いくつかの実施形態では、方法により、栄養過負荷中の脂肪細胞または脂肪組織でのADRBシグナル伝達増大がもたらされる。
【0242】
他の実施形態では、本開示は、脂肪細胞または脂肪組織(例えば、分化した白色脂肪細胞)でのペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARガンマ)のシグナル伝達を減少させる方法を提供する。方法には、分化した白色脂肪細胞または脂肪組織と、アンタゴニストALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗ALK7抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)とを、PPARガンマ活性を低下させるための有効量にて接触させることが含まれる。いくつかの実施形態では、アンタゴニストALK7結合性タンパク質は、抗体である。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗ALK7抗体は、本明細書で提供される抗体を含む。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、分化した白色脂肪細胞または脂肪組織をインビトロで接触させる。いくつかの実施形態では、分化した白色脂肪細胞または脂肪組織をインビボで接触させる。ある特定の実施形態では、方法は、インビボで、例えば、哺乳類対象(例えば、動物モデル)で行われる。さらなる実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、方法により、グリセロール生成増加がもたらされる。さらなる実施形態では、方法により、培養脂肪細胞でのグリセロール及び/または遊離脂肪酸の増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、方法により、脂肪細胞または脂肪組織でのTG含量の減少がもたらされる。いくつかの実施形態では、方法により、対象での血漿TG値低下がもたらされる。
【0243】
他の実施形態では、本開示は、脂肪細胞または脂肪組織(例えば、分化した白色脂肪細胞)でのインスリン抵抗性を低下させる方法を提供する。方法には、脂肪細胞または脂肪組織と、アンタゴニストALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗ALK7抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)とを、インスリン抵抗性を低下させるための有効量にて接触させることが含まれる。いくつかの実施形態では、アンタゴニストALK7結合性タンパク質は、抗体である。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗ALK7抗体は、本明細書で提供される抗体を含む。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と、ALK7との結合を交差阻止するかまたはALK7との結合に対して競合する。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、分化した白色脂肪細胞または脂肪組織をインビトロで接触させる。いくつかの実施形態では、分化した白色脂肪細胞または脂肪組織をインビボで接触させる。ある特定の実施形態では、方法は、インビボで、例えば、哺乳類対象(例えば、動物モデル)で行われる。さらなる実施形態では、対象はヒトである。
【0244】
他の実施形態では、本開示は、脂肪細胞または脂肪組織での代謝率を高める方法を提供する。方法には、脂肪細胞または脂肪組織と、アンタゴニストALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗ALK7抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)とを、脂肪細胞または脂肪組織の代謝を高めるための有効量にて接触させることが含まれる。いくつかの実施形態では、アンタゴニストALK7結合性タンパク質は、抗体である。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗ALK7抗体は、本明細書で提供される抗体を含む。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗体は、ALK7との結合を、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と交差阻止するかまたは競合し、いくつかの実施形態では、アンタゴニスト抗ALK7抗体は、表1に開示されているVHとVLの対を有する抗体と同じALK7のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、分化した白色脂肪細胞または脂肪組織をインビトロで接触させる。いくつかの実施形態では、分化した白色脂肪細胞または脂肪組織をインビボで接触させる。ある特定の実施形態では、方法は、インビボで、例えば、哺乳類対象(例えば、動物モデル)で行われる。さらなる実施形態では、対象はヒトである。
【0245】
本開示は、ALK7介在性の疾患及び/または状態、例えば、肥満(例えば、腹部肥満または内臓肥満);過体重;インスリン抵抗性;メタボリックシンドローム及び他の代謝性の疾患もしくは状態;HDL低値、LDL高値、高脂血症、高トリグリセリド血症もしくは脂質異常症等の脂質障害;リポタンパク質異常;トリグリセリド低下;炎症(例えば、肝臓の炎症及び/または脂肪組織の炎症)、脂肪性肝疾患;非アルコール性脂肪性肝疾患;高血糖症;耐糖能異常(IGT);高インスリン血症;高コレステロール(例えば、LDL高値及び/または高コレステロール血症);冠動脈心疾患を含む心疾患、うっ血性心不全、脳卒中、末梢血管疾患、アテローム性動脈硬化等の心血管疾患;動脈硬化、及び/または高血圧;シンドロームX;血管再狭窄;ニューロパチー;網膜症;神経変性疾患;内皮機能障害、呼吸機能障害、腎疾患(例えば、腎症);膵炎;多嚢胞性卵巣症候群;尿酸値上昇;ヘモクロマトーシス(鉄過剰);黒色表皮腫(皮膚上の暗色斑);及び/またはがん(例えば、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫、形質細胞腫、限局性骨髄腫、または髄外骨髄腫)、卵巣癌、乳癌、結腸癌、子宮内膜癌、肝癌、腎臓癌、膵癌、胃癌、子宮癌または結腸癌);及び/または上記の疾患もしくは状態のうち1つ以上と関連する、及び/または過体重(例えば、BMI≧25kg/m)と関連する、もしくは体脂肪過多と関連する他の障害/状態を、有するかまたは発症するリスクのある対象に対し、治療的有効量のALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合するアンタゴニスト抗ALK7抗体またはアンタゴニストALK7結合性抗体断片)を単独で、または1つ以上の追加の療法(例えば、1つ以上の追加の治療剤)と組み合わせて投与することを含む方法を提供する。
【0246】
また、例えば所与の治療レジメンの有効性を決定するために、臨床検査手順の一部として血中または組織中のタンパク質濃度(例えば、ALK7濃度)を診断的にモニタリングするための本明細書で提供されるALK7結合性タンパク質の使用も提供される。例えば、検出は、ALK7結合性タンパク質を検出可能物質に結合させることにより容易にすることができる。検出可能物質の例としては、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、及び/または放射性物質が挙げられる。好適な酵素の例としては、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ、補欠分子族複合体の好適な例としては、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンが挙げられ、蛍光物質の好適な例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアナート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン(dichlorotriazinylamine fluorescein)、ダンシルクロリドまたはフィコエリスリンが挙げられ、発光物質の一例としては、ルミノールが挙げられ、生物発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、及びエクオリンが挙げられ、放射性物質の好適な例としては、125I、131I、35S、またはHが挙げられる。
【0247】
医薬組成物及び投与方法
ALK7結合性タンパク質を調製し、それを必要とする対象にそれを投与する方法は、当業者に知られているかまたは当業者により容易に決定される。ALK7結合性タンパク質の投与経路は、例えば、経口、非経口、吸入によるかもしくは局所的であり得る。非経口という用語には、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、眼球内、皮下、直腸内、または膣内の投与が含まれる。これらの投与形態はいずれも、開示の範囲内であることが明確に企図されるが、投与のための形態の別の例は、注射用、特に静脈内もしくは動脈内への注射用液または点滴用液であろう。通常、好適な医薬組成物は、緩衝液(例えば、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液またはクエン酸緩衝液)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)、任意選択で、安定剤(例えば、ヒトアルブミン)等を含むことができる。本明細書の教示に適合する他の方法では、本明細書で提供されるALK7結合性タンパク質を線維症もしくは腫瘍の器官及び/または部位に直接送達し、それにより治療剤への罹患組織の曝露を増大させることができる。ある特定の実施形態では、投与は、例えば、吸入または鼻腔内投与により気道に対して直接的なものである。
【0248】
本明細書で考察されるように、ALK7結合性タンパク質は、肥満、糖尿病、代謝性疾患、脂質異常症;心血管疾患、2型糖尿病、炎症、または心血管疾患、肺疾患、脂肪性肝疾患、神経疾患、及び肝疾患、もしくは腎疾患、ならびにがん等の、ALK7介在性の疾患及び状態のインビボ治療のために薬学的有効量で投与することができる。これに関し、開示されているALK7結合性タンパク質は、投与を容易にするよう、また活性物質の安定性を促進するように製剤化可能であることは認識されよう。本開示による医薬組成物は、薬学的に許容される無毒な無菌の担体、例えば、生理食塩水、無毒性緩衝液、保存剤等を含むことができる。本出願の目的では、ALK7結合性タンパク質の薬学的有効量とは、結合型であっても非結合型であっても、ALK7への有効な結合を達成するため、及び利益を達成するため、例えば、疾患もしくは状態の症状を改善するか、または物質もしくは細胞を検出するために十分な量を意味する。本明細書に開示される治療法での使用に好適な製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.) 16th ed.(1980)に記載されている。
【0249】
本明細書で提供される、ある特定の医薬組成物は、例えば、カプセル、錠剤、水性懸濁液または溶液を含め、許容される剤形で経口投与することができる。ある特定の医薬組成物はまた、経鼻エアロゾルまたは吸入で投与することもできる。そのような組成物は、ベンジルアルコールもしくは他の好適な保存剤、生物学的利用能を高める吸収促進剤、及び/または従来の他の可溶化剤もしくは分散剤を用いて生理食塩水中に溶液として調製することができる。
【0250】
単一剤形を生産するために担体材料と合わせることができるALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合する抗体)の量は、治療される対象及び個別の投与方法により異なる。組成物は、単回投与、多回投与、または設定された期間にわたる注入で投与することができる。投与レジメンはまた、最適の所望反応(例えば、治療反応または予防的反応)が得られるよう調整することができる。
【0251】
本明細書で提供されるALK7結合性タンパク質は、ヒトまたは他の対象に対し、治療効果を生み出すのに十分な量で前述の治療方法に従って投与することができる。本明細書で提供されるALK7結合性タンパク質は、そのようなヒトまたは他の動物に対し、ALK7結合性タンパク質と、従来の薬学的に許容される担体または希釈剤とを公知の技術に従って合わせることにより調製される従来の剤形で投与することができる。薬学的に許容される担体または希釈剤の形態及び特性は、それと合わせる有効成分の量、投与経路及び他の周知の可変要素により決定することができる。1つ以上の異なるALK7結合性タンパク質を含むカクテルも使用することができる。
【0252】
ALK7介在性の疾患または状態、例えば、肥満、糖尿病、代謝性疾患、脂質異常症;心血管疾患、2型糖尿病、炎症、または心血管疾患、肺疾患、脂肪性肝疾患、神経疾患、及び肝疾患、もしくは腎疾患及び/またはがんの治療のためのALK7結合性組成物の治療上有効な用量は、投与手段、標的部位、対象の生理的状態、対象がヒトなのか動物なのか、他の投与薬剤、及び治療が予防的なのか治療的なのか等、多くの異なる要因により異なる。通常、対象はヒトであるが、トランスジェニック哺乳類等の非ヒト哺乳類を治療することもできる。治療投与量は、安全性及び有効性を最適化するための当業者に公知の日常的方法を用いて調節することができる。
【0253】
ALK7結合性タンパク質の投与により特定の疾患または状態の症状を改善することとは、永続的なのか一時的なのか、持続性なのか一過性なのかを問わず、ALK7結合性の投与に起因し得る、またはそれと関連し得る、任意の軽減を指す。
【0254】
本開示はまた、例えば、肥満、糖尿病、代謝性疾患、脂質異常症;心血管疾患、2型糖尿病、炎症、または心血管疾患、肺疾患、脂肪性肝疾患、神経疾患、及び肝疾患、もしくは腎疾患及び/またはがんを治療、予防または改善するための医薬品の製造における抗ALK7抗体等のALK7結合性タンパク質の使用も提供する。
【0255】
併用療法
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質(例えば、完全長ALK7抗体及びALK7結合性抗体断片等の抗ALK7抗体、またはそのバリアントもしくは誘導体)は、1つ以上の他の療法と組み合わせて投与される。そのような療法には、追加の治療剤及び他の医学的介入が含まれる。本明細書で提供されるALK7結合性タンパク質と組み合わせて投与され得る例示的治療剤としては、抗SDI線維化剤、コルチコステロイド、抗炎症薬、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、利尿薬、抗糖尿病薬、免疫抑制薬、化学療法薬、代謝拮抗薬、及び/または免疫調節薬が挙げられるが、これらに限定されない。様々な実施形態では、ALK7結合性タンパク質が、外科的切除/除去の手技前、手技中、及び/または手技後に対象に投与される。
【0256】
いくつかの実施形態では、ALK7結合性タンパク質(例えば、完全長ALK7抗体及びALK7結合性抗体断片等の抗ALK7抗体、またはそのバリアントもしくは誘導体)は、1つ以上の(a)ビグアナイド薬(例えば、ブホルミン、メトホルミン、フェンホルミン)、(b)インスリン、(c)ソマトスタチン、(d)アルファ-グルコシダーゼ阻害薬(例えば、ボグリボース、ミグリトール、アカルボース)、(e)シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、サキサグリプチン等のDPP-IV阻害剤(例えば、米国特許第6,699,871号B1に開示されているようなもの)、(f)LXR調節因子、(g)インスリン分泌促進物質(例えば、アセトヘキサミド、カルブタミド、クロルプロパミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリメルピリド(glimerpiride)、グリピジド、グリキジン(gliquidine)、グリソキセピド、グリブリド、グリヘキサミド、グリピナミド、フェンブタミド(phenbutamide)、トラザミド、トルブタミド、トルシクラミド、ナテグリニド及び/またはレパグリニド)、(k)リモナバント、タラナバント、ならびに国際出願公開第WO03/077847A2号及び同第WO05/000809A1号に開示されている化合物等のCB1阻害剤、または(i).シブトラミン、トピラマート、オルリスタット、キネクサ(Qnexa)、メバスタチン、シンバスタチン、エゼチミブ、アトルバスタチン、ナルトレキソン、ブプリオピオン(bupriopion)、フェンテルミン、ヒドロクロロチアジド、もしくはロサルタンと組み合わせて投与される。
【0257】
診断法
本開示はまた、ALK7介在性の疾患及び状態(肥満(例えば、腹部肥満または内臓肥満);過体重;インスリン抵抗性;メタボリックシンドローム及び/または他の代謝性の疾患もしくは状態;HDL低値、LDL高値、高脂血症、高トリグリセリド血症もしくは脂質異常症等の脂質障害;リポタンパク質異常;トリグリセリド低下;炎症(例えば、肝臓の炎症及び/または脂肪組織の炎症)、脂肪性肝疾患;非アルコール性脂肪性肝疾患;高血糖症;耐糖能異常(IGT);高インスリン血症;高コレステロール(例えば、LDL高値及び/または高コレステロール血症);冠動脈心疾患を含む心疾患、うっ血性心不全、脳卒中、末梢血管疾患、アテローム性動脈硬化等の心血管疾患;動脈硬化、及び/または高血圧;シンドロームX;血管再狭窄;ニューロパチー;網膜症;神経変性疾患;内皮機能障害、呼吸機能障害、腎疾患(例えば、腎症);膵炎;多嚢胞性卵巣症候群;尿酸値上昇;ヘモクロマトーシス(鉄過剰);黒色表皮腫(皮膚上の暗色斑);及び/またはがん(例えば、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫、形質細胞腫、限局性骨髄腫、または髄外骨髄腫)、または卵巣癌、乳癌、結腸癌、子宮内膜癌、肝癌、腎臓癌、膵癌、胃癌、子宮癌もしくは結腸癌);及び/または上記の疾患もしくは状態のうち1つ以上と関連するか、もしくは体脂肪過多と関連する他の障害/状態等)の診断の際に有用な診断法も提供し、これには、個体からのALK7タンパク質組織もしくは体液の発現量を測定すること、及び測定された発現量を正常な組織もしくは体液での標準的ALK7発現量と比較することを伴い、それにより、標準と比較したALK7発現量の増加は、本明細書で提供される完全長抗ALK7抗体及びALK7結合性抗体断片等の、本明細書で提供されるALK7結合性タンパク質により治療可能な障害であることを示す。
【0258】
抗ALK7抗体(例えば、完全長ALK7抗体及びALK7結合性抗体断片、ならびにそのバリアント及び誘導体)等の本明細書で提供されるALK7結合性タンパク質は、当業者に公知の古典的な免疫組織学的方法(例えば、Jalkanen,et al.,J.Cell.Biol.101:976-985(1985)、Jalkanen et al.,J.Cell Biol.105:3087-3096(1987)を参照のこと)を使用して生体試料中のALK7レベルを評価するために使用することができる。ALK7タンパク質の発現を検出するのに有用な他の抗体ベースの方法としては、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、免疫沈降法、またはウェスタンブロッティング等のイムノアッセイが挙げられる。
【0259】
「ALK7タンパク質の発現量を評価すること」とは、第1の生体試料中のALK7タンパク質濃度を、直接的(例えば、絶対タンパク質濃度を決定または推定することによる)または相対的に(例えば、第2の生体試料中の疾患関連ポリペプチド濃度と比較することにより)、定性的または定量的に測定または推定することを意図する。第1の生体試料中のALK7タンパク質発現量は、測定または推定して、標準的ALK7タンパク質濃度と比較することができ、かかる標準は、障害を有していない個体から取得された第2の生体試料から測定されるか、または障害を有していない個体の集団からの濃度を平均することにより決定される。当該技術分野で理解されるように、「標準」ALK7タンパク質濃度が分かった後は、それを比較用標準として繰り返し使用することができる。
【0260】
「生体試料」とは、ALK7を発現する可能性のある、個体、細胞株、組織培養、または他の細胞源から取得された任意の生体試料が意図される。哺乳類から組織生検及び体液を取得するための方法は当該技術分野で公知である。
【0261】
ALK7結合性タンパク質を含むキット
本開示はさらに、好適なパッケージに入ったALK7結合性タンパク質(例えば、完全長ALK7抗体及びALK7結合性抗体断片等のALK7と特異的に結合する抗体、ならびにそのバリアント及び誘導体)、及び資料が含まれる、本明細書に記載される方法を実施するために使用することができるキットを提供する。資料には、使用説明書、臨床試験についての考察、副作用の一覧、参考科学文献、添付文書資料、臨床試験結果、及び/またはこれらの概要等という情報のうちのいずれもが含まれ得る。資料では、組成物の活性及び/または利点を示すかもしくは立証すること、及び/または投薬、投与、副作用、薬物相互作用、もしくは医療提供者に有用な他の情報を説明することができる。そのような情報は、様々な試験、例えば、インビボモデルを伴う実験動物を使用した試験及び/またはヒトの臨床試験に基づいた試験の結果に基づき得る。キットにはさらに、別の治療法(例えば、別の薬剤)、及び/または他の治療法(例えば、他の薬剤)に関する情報を提供する役目を果たす上記のような資料が含有され得る。
【0262】
ある特定の実施形態では、キットは、1つ以上の容器に入った少なくとも1つの精製ALK7結合性タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、キットには、すべての対照、アッセイ実施のための説明書、及び/または結果の分析と提示に必要な任意のソフトウェアを含め、検出アッセイを実施するために必要及び/または十分な構成成分のすべてが含有される。
【0263】
イムノアッセイ
ALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合する抗体及びALK7と特異的に結合する抗体のACTRIIA/B結合性断片、ならびにバリアント、またはその誘導体)は、当該技術分野で公知の任意の方法により免疫特異的結合を評価することができる。使用することができるイムノアッセイとしては、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ(REA)、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射定量測定法、蛍光イムノアッセイ、またはプロテインAイムノアッセイ等の技術を使用する、競合的及び非競合的なアッセイ系が挙げられるが、これらに限定されない。そのようなアッセイは日常的であり、当該技術分野で公知である(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるAusubel et al.,eds,(1994) Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley & Sons,Inc.,NY) Vol.1を参照のこと)。
【0264】
本明細書で提供されるALK7結合性タンパク質(例えば、ALK7と特異的に結合する抗体及びALK7と特異的に結合する抗体のActRII受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)結合性断片、ならびにバリアント、またはその誘導体)は、免疫蛍光法、免疫電子顕微鏡法または非免疫学的アッセイの場合のように、ALK7または保存されたバリアントもしくはそのペプチド断片のインサイチュでの検出のために組織学的に利用することができる。インサイチュでの検出は、当該技術分野で公知の方法に従って達成することができる。当業者は、日常的な実験を用いることにより、それぞれの決定について有効かつ最適なアッセイ条件を決定することができる。ALK7結合性タンパク質の結合特性の決定に好適な方法は、本明細書に記載されているか、そうでなければ当該技術分野で知られている。そのような動態解析用に設計された装置及びソフトウェアは市販されている(例えば、BIACORE(登録商標)、BIAevaluation(登録商標)ソフトウェア、GE Healthcare;KINEXA(登録商標)Software、Sapidyne Instruments)。
【0265】
別段に示されていない限り、本開示の実施には、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA、及び免疫学の従来の技術が使用され、これらは当業者の技量の範囲内である。
本発明は以下の態様も提供する。
[1] VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2及びVL-CDR3というCDRのセット、及び/またはVH-ABR1、VH-ABR2、VH-ABR3、VL-ABR1、VL-ABR2及びVL-ABR3というABRのセットを含むALK7結合性タンパク質であって、
前記CDR及び/またはABRは、
(a)(i)配列番号4のVH配列と、
(ii)配列番号13のVL配列、
(b)(i)配列番号22のVH配列と、
(ii)配列番号31のVL配列、
(c)(i)配列番号40のVH配列と、
(ii)配列番号49のVL配列、または
(d)(i)配列番号58のVH配列と、
(ii)配列番号67のVL配列
から選択される重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)の対からのものであり、前記タンパク質はALK7に結合する、前記ALK7結合性タンパク質。
[2] VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2及びVL-CDR3というCDRのセットを含み、前記CDRのセットは、CDRの参照セット、すなわち、
(a)(i)VH-CDR1が配列番号1のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-CDR2が配列番号2のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-CDR3が配列番号3のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-CDR1が配列番号10のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-CDR2が配列番号11のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-CDR3が配列番号12のアミノ酸配列を含むか、
(b)(i)VH-CDR1が配列番号19のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-CDR2が配列番号20のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-CDR3が配列番号21のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-CDR1が配列番号28のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-CDR2が配列番号29のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-CDR3が配列番号30のアミノ酸配列を含むか、
(c)(i)VH-CDR1が配列番号37のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-CDR2が配列番号38のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-CDR3が配列番号39のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-CDR1が配列番号46のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-CDR2が配列番号47のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-CDR3が配列番号48のアミノ酸配列を含むか、または
(d)(i)VH-CDR1が配列番号55のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-CDR2が配列番号56のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-CDR3が配列番号57のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-CDR1が配列番号64のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-CDR2が配列番号65のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-CDR3が配列番号66のアミノ酸配列を含む、
というセットから合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、10未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有し、前記タンパク質はALK7に結合する、[1]に記載のALK7結合性タンパク質。
[3] CDRのセット、すなわち、
(a)(i)VH-CDR1が配列番号1のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-CDR2が配列番号2のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-CDR3が配列番号3のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-CDR1が配列番号10のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-CDR2が配列番号11のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-CDR3が配列番号12のアミノ酸配列を含むか、
(b)(i)VH-CDR1が配列番号19のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-CDR2が配列番号20のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-CDR3が配列番号21のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-CDR1が配列番号28のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-CDR2が配列番号29のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-CDR3が配列番号30のアミノ酸配列を含むか、
(c)(i)VH-CDR1が配列番号37のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-CDR2が配列番号38のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-CDR3が配列番号39のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-CDR1が配列番号46のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-CDR2が配列番号47のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-CDR3が配列番号48のアミノ酸配列を含むか、または
(d)(i)VH-CDR1が配列番号55のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-CDR2が配列番号56のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-CDR3が配列番号57のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-CDR1が配列番号64のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-CDR2が配列番号65のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-CDR3が配列番号66のアミノ酸配列を含む、
というセットを含み、前記タンパク質はALK7に結合する、[1]または[2]に記載のALK7結合性タンパク質。
[4] ABRのセット、すなわち、VH-ABR1、VH-ABR2、VH-ABR3、VL-ABR1、VL-ABR2及びVL-ABR3を含み、前記ABRのセットは、ABRの参照セット、すなわち、
(a)(i)VH-ABR1が配列番号73のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-ABR2が配列番号74または69のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-ABR3が配列番号75または70のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-ABR1が配列番号71のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-ABR2が配列番号72のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-ABR3が配列番号87のアミノ酸配列を含むか、
(b)(i)VH-ABR1が配列番号76のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-ABR2が配列番号77または88のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-ABR3が配列番号78または89のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-ABR1が配列番号90のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-ABR2が配列番号91のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-ABR3が配列番号92のアミノ酸配列を含むか、
(c)(i)VH-ABR1が配列番号79のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-ABR2が配列番号80または93のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-ABR3が配列番号81または94のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-ABR1が配列番号95のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-ABR2が配列番号96のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-ABR3が配列番号97のアミノ酸配列を含むか、または
(d)(i)VH-ABR1が配列番号82のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-ABR2が配列番号83または98のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-ABR3が配列番号84または99のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-ABR1が配列番号100のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-ABR2が配列番号101のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-ABR3が配列番号102のアミノ酸配列を含む、
というセットから合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、10未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有し、前記タンパク質はALK7に結合する、[1]~[3]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質。
[5] ABRのセット、すなわち、
(a)(i)VH-ABR1が配列番号73のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-ABR2が配列番号74または69のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-ABR3が配列番号75または70のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-ABR1が配列番号71のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-ABR2が配列番号72のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-ABR3が配列番号87のアミノ酸配列を含むか、
(b)(i)VH-ABR1が配列番号76のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-ABR2が配列番号77または88のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-ABR3が配列番号78または89のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-ABR1が配列番号90のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-ABR2が配列番号91のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-ABR3が配列番号92のアミノ酸配列を含むか、
(c)(i)VH-ABR1が配列番号79のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-ABR2が配列番号80または93のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-ABR3が配列番号81または94のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-ABR1が配列番号95のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-ABR2が配列番号96のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-ABR3が配列番号97のアミノ酸配列を含むか、または
(d)(i)VH-ABR1が配列番号82のアミノ酸配列を含み、
(ii)VH-ABR2が配列番号83または98のアミノ酸配列を含み、
(iii)VH-ABR3が配列番号84または99のアミノ酸配列を含み、
(iv)VL-ABR1が配列番号100のアミノ酸配列を含み、
(v)VL-ABR2が配列番号101のアミノ酸配列を含み、かつ
(vi)VL-ABR3が配列番号102のアミノ酸配列を含む、
というセットを含み、前記タンパク質はALK7に結合する、[1]~[4]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質。
[6] (a)(i)配列番号4に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を有するVHと、
(ii)配列番号13に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を有するVL、
(b)(i)配列番号22に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を有するVHと、
(ii)配列番号31に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を有するVL、
(c)(i)配列番号40に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を有するVHと、
(ii)配列番号49に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を有するVL、または
(d)(i)配列番号58に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を有するVHと、
(ii)配列番号67に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を有するVL
から選択されるVHとVLの対を含み、前記タンパク質はALK7に結合する、[1]~[5]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質。
[7] 前記VHとVLの対は、
(a)配列番号4のVH配列と配列番号13のVL配列、
(b)配列番号22のVH配列と配列番号31のVL配列、
(c)配列番号40のVH配列と配列番号49のVL配列、または
(d)配列番号58のVH配列と配列番号67のVL配列
から選択され、前記タンパク質はALK7に結合する、[6]に記載のALK7結合性タンパク質。
[8] (a)(i)配列番号4の参照VH配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVH配列と、
(ii)配列番号13の参照VL配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVL配列、
(b)(i)配列番号22の参照VH配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVH配列と、
(ii)配列番号31の参照VL配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVL配列、
(c)(i)配列番号40の参照VH配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVH配列と、
(ii)配列番号49の参照VL配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVL配列、または
(d)(i)配列番号58の参照VH配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVH配列と、
(ii)配列番号67の参照VL配列から合計で1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15未満、もしくはゼロの、アミノ酸の置換、欠失、及び/または挿入を有するVL配列
から選択されるVHとVLの対を含み、前記タンパク質はALK7に結合する、[1]~[7]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質。
[9] [1]~[8]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質と、ALK7への結合を交差阻止するかまたはALK7への結合に対して競合する、ALK7結合性タンパク質。
[10] ALK7活性に拮抗する能力がある、[1]~[9]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質。
[11] 脂肪細胞での脂肪分解を増大させる能力がある、[1]~[10]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質。
[12] 白色脂肪細胞または褐色脂肪細胞での脂肪分解を増大させる能力がある、[11]に記載のALK7結合性タンパク質。
[13] 脂肪細胞でのALK7媒介性の脂肪分解阻害に拮抗する能力がある、[9]~[12]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質。
[14] 白色脂肪細胞または褐色脂肪細胞でのALK7媒介性の脂肪分解阻害に拮抗する能力がある、[9]~[13]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質。
[15] 脂肪細胞での脂肪分解を少なくとも5%~100%、10%~95%、10~90%、10~85%、10~80%、10~75%、10~70%、10~75%、10~70%、10~60%、10~55%、10~50%、または10~45%増大させる能力がある、[11]~[12]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質。
[16] 脂肪分解は、1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される脂肪分解アッセイにおいて決定される、[11]~[12]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質。
[17] 前記脂肪分解アッセイは、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンA/B、及びNodalから選択される1つ以上のALK7リガンドの存在下で実施される、[11]~[16]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質。
[18] 前記結合性タンパク質は、
(a)1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンドの存在下で、ALK7及びActRII受容体を発現している細胞表面上での、ALK7、II型受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)、及び1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビンB、アクチビンAB、Nodal、GDF1、GDF3及び/またはGDF8)を含有する複合体の形成を減少させる、
(b)ALK7への結合に対して1つ以上のII型受容体と競合する、
(c)ALK7への結合に対して1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビンB、アクチビンAB、Nodal、GDF1、GDF3及び/またはGDF8)と競合する、
(d)1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンAB、及び/またはNodal)の存在下でALK7及びII型受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)を発現している細胞でのALK7のリン酸化を減少させる、
(e)1つ以上のTGF-ベータリガンド(例えば、GDF1、GDF3、GDF8、アクチビンB、アクチビンAB、及び/またはNodal)の存在下でALK7及びII型受容体(例えば、ActRIIA及び/またはActRIIB)を発現している細胞でのSmad(例えば、Smad2及び/またはSmad3)のリン酸化を減少させる、
(f)ALK7に、1nM以下かつ1pM以上のK (例えば、BIACORE(登録商標)分析により決定した場合)で結合する、ならびに
(g)ALK7、共受容体(例えば、cripto及び/またはcryptic)、及び1つ以上のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、Nodal)を含有する複合体の形成を減少させる、
という特性から選択される少なくとも1つの特性を有する、[1]~[17]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質。
[19] 前記ALK7結合性タンパク質は、脂肪細胞でのグリセロール生成を増大させる、[1]~[18]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質。
[20] 前記ALK7結合性タンパク質は、ALK7と特異的に結合する抗体である、[1]~[19]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質。
[21] [20]に記載のALK7結合性タンパク質であって、その重鎖定常領域にLALA変異またはLALA-PG変異をさらに含む、前記ALK7結合性タンパク質。
[22] 前記抗体は、モノクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、またはALK7結合性抗体断片である、[20]または[21]に記載のALK7結合性タンパク質。
[23] 前記ALK7結合性抗体断片は、Fab断片、Fab’断片、F(ab’) 断片、Fv断片、ダイアボディ、または一本鎖抗体分子である、[22]に記載のALK7結合性タンパク質。
[24] 前記抗体はさらに、
(a)ヒトIgA定常ドメイン、
(b)ヒトIgD定常ドメイン、
(c)ヒトIgE定常ドメイン、
(d)ヒトIgG1定常ドメイン、
(e)ヒトIgG2定常ドメイン、
(f)ヒトIgG3定常ドメイン、
(g)ヒトIgG4定常ドメイン、及び
(h)ヒトIgM定常ドメイン
から選択される重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む、[20]~[23]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質。
[25] 前記抗体はさらに、
(a)ヒトIgカッパ定常ドメイン、及び
(b)ヒトIgラムダ定常ドメイン
から選択される軽鎖免疫グロブリン定常ドメインを含む、[20]~[24]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質。
[26] 前記抗体はさらに、ヒトIgG1重鎖定常ドメイン及びヒトカッパ軽鎖定常ドメインを含む、[20]~[25]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質。
[27] 前記抗体はさらに、その重鎖定常ドメインに変異、置換、または修飾を含む、[20]~[26]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質。
[28] [1]~[27]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質をコードする、核酸分子または核酸分子のセット。
[29] cDNAである、[28]に記載の核酸分子または核酸分子のセット。
[30] [28]~[29]のいずれかに記載の核酸分子を含む、ベクター。
[31] [28]~[29]のいずれかに記載の核酸分子、または[30]に記載のベクターを含む、宿主細胞。
[32] 前記宿主細胞は、哺乳類宿主細胞である、[31]に記載の宿主細胞。
[33] 前記宿主細胞は、NS0マウス骨髄腫細胞、PER.C6(登録商標)ヒト細胞、またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、[31]に記載の宿主細胞。
[34] [1]~[27]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質を作製する方法であって、[31]~[33]のいずれかに記載の宿主細胞を、前記ALK7結合性タンパク質を産生するための好適な条件下で培養することを含む、前記方法。
[35] 前記宿主細胞から分泌されるALK7結合性タンパク質を単離することをさらに含む、[34]に記載の方法。
[36] [34]または[35]に記載の方法を使用して生成される、ALK7結合性タンパク質。
[37] [1]~[27]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
[38] 医薬品として使用するための、[37]に記載の医薬組成物。
[39] ALK7発現またはALK7シグナル伝達と関連する疾患もしくは状態を治療及び/または改善するための、[38]に記載の医薬組成物の使用。
[40] 前記疾患または状態は、肥満(例えば、腹部肥満または内臓肥満);過体重;インスリン抵抗性;メタボリックシンドローム及び他の代謝性の疾患もしくは状態;HDL低値、LDL高値、高脂血症、高トリグリセリド血症もしくは脂質異常症等の脂質障害;リポタンパク質異常;トリグリセリド低下;炎症(例えば、肝臓の炎症及び/または脂肪組織の炎症)、脂肪性肝疾患;非アルコール性脂肪性肝疾患;高血糖症;耐糖能異常(IGT);高インスリン血症;高コレステロール(例えば、LDL高値及び高コレステロール血症);冠動脈心疾患を含む心疾患、うっ血性心不全、脳卒中、末梢血管疾患、アテローム性動脈硬化等の心血管疾患;動脈硬化、及び高血圧;シンドロームX;血管再狭窄;ニューロパチー;網膜症;神経変性疾患;内皮機能障害、呼吸機能障害、腎疾患(例えば、腎症);膵炎;多嚢胞性卵巣症候群;尿酸値上昇;ヘモクロマトーシス(鉄過剰);黒色表皮腫(皮膚上の暗色斑);及びがん(例えば、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫、形質細胞腫、限局性骨髄腫、または髄外骨髄腫)、または卵巣癌、乳癌、結腸癌、子宮内膜癌、肝癌、腎臓癌、膵癌、胃癌、子宮癌もしくは結腸癌);及び/または上記の疾患もしくは状態のうち1つ以上と関連するか、もしくは体脂肪過多と関連する他の障害/状態、から選択されるメンバーである、[39]に記載の使用。
[41] 前記ALK7結合性タンパク質はさらに、標識基またはエフェクター基を含む、[37]または[38]に記載の医薬組成物。
[42] 前記エフェクター基は、放射性同位体、放射性核種、毒素、治療剤及び化学療法剤から選択される、[41]に記載の医薬組成物。
[43] 対象におけるALK7発現もしくはALK7媒介性シグナル伝達上昇と関連する疾患もしくは状態を治療及び/または改善するための方法であって、それを必要とする対象に、[1]~[27]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質を含む組成物、または[37]、[38]、[41]、もしくは[42]に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
[44] 前記疾患または状態は、肥満(例えば、腹部肥満);過体重;インスリン抵抗性;メタボリックシンドローム及び他の代謝性の疾患もしくは状態;HDL低値、LDL高値、高脂血症、高トリグリセリド血症もしくは脂質異常症等の脂質障害;リポタンパク質異常;トリグリセリド低下;炎症(例えば、肝臓の炎症及び/または脂肪組織の炎症)、脂肪性肝疾患;非アルコール性脂肪性肝疾患;高血糖症;耐糖能異常(IGT);高インスリン血症;高コレステロール(例えば、LDL高値及び高コレステロール血症);冠動脈心疾患を含む心疾患、うっ血性心不全、脳卒中、末梢血管疾患、アテローム性動脈硬化等の心血管疾患;動脈硬化、及び高血圧;シンドロームX;血管再狭窄;ニューロパチー;網膜症;神経変性疾患;内皮機能障害、呼吸機能障害、腎疾患(例えば、腎症);膵炎;多嚢胞性卵巣症候群;尿酸値上昇;ヘモクロマトーシス(鉄過剰);黒色表皮腫(皮膚上の暗色斑);及びがん(例えば、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫、形質細胞腫、限局性骨髄腫、または髄外骨髄腫)、または卵巣癌、乳癌、結腸癌、子宮内膜癌、肝癌、腎臓癌、膵癌、胃癌、子宮癌もしくは結腸癌);及び/または上記の疾患もしくは状態のうち1つ以上と関連するか、もしくは体脂肪過多と関連する他の障害/状態、から選択されるメンバーである、[43]に記載の方法。
[45] 前記ALK7結合性タンパク質または医薬組成物は、単独で、または併用療法として投与される、[43]または[44]に記載の方法。
[46] 対象でのALK7活性を低下させる方法であって、[1]~[27]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質、または[37]、[38]、[41]、もしくは[42]に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
[47] プラダー-ウィリー症候群を治療及び/または改善するための方法であって、それを必要とする対象に、[1]~[27]のいずれかに記載のALK7結合性タンパク質を含む組成物、または[37]、[38]、[41]、もしくは[42]に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【0266】
以下の実施例は、例示として提供されるものであり、限定として提供されるものではない。
【実施例
【0267】
具体的な実施形態についての前述の説明から、本開示の一般的性質は十分に明らかになるため、他の人々でも、過度の実験を伴うことなく、本開示の一般概念から逸脱せずに、当業者の技量の範囲内の知識を応用することで、そのような具体的な実施形態を様々な用途のために容易に変更すること及び/または適応させることができる。したがって、そのような適応及び変更は、本明細書で提示されている教示及び指導に基づき、開示された実施形態の均等物の意味及び範囲内であることが意図される。本明細書での表現または用語は説明を目的とするものであって制限のためではなく、そのため、本明細書の用語または表現は、教示及び指導に鑑みて当業者により解釈されるべきであることを理解されるべきである。
【0268】
本開示の広さと範囲は、上記の例示的実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の請求項及びそれらの均等物によってのみ定義されるべきである。
【0269】
明細書で引用されている刊行物、特許、特許出願、及び/または他の文書はすべて、個々の刊行物、特許、特許出願、及び/または他の文書が各々あらゆる目的のために参照することにより組み込まれることが個別に示されているかの如く同程度に、あらゆる目的のために参照することによりその全体が組み込まれる。
【0270】
実施例1.ALK7結合性抗体の選択、特徴付け及び生成
ALK7と高親和性で結合するヒトIgG抗体について選択するためにマルチラウンド選択手順を使用し、以下に詳述する。
【0271】
材料及び方法
PierceのEZ-Link Sulfo-NHS-Biotinylation Kitを使用してヒトALK7-Fcを含むタンパク質をビオチン化した。ヤギ抗ヒトF(ab’)カッパ-FITC(LC-FITC)、Extravidin-PE(EA-PE)及びストレプトアビジン-633(SA-633)をそれぞれ、Southern Biotech、Sigma及びMolecular Probesから入手した。ストレプトアビジンMicroBeads及びMACSLC分離カラムをMiltenyi Biotecより購入した。
【0272】
Biacore T100/T200バイオセンサー(Biacore/GE Healthcare)を25℃及び37℃で使用して実験を実施した。ALK7抗体を特注のFABチップに捕捉した。一連の濃度の、ALK7-Fcを含むタンパク質を50μl/mlの流速でフローセルに注入した。動的速度定数を得るため、BiaEvaluationソフトウェア(GE Healthcare)を使用して補正データを1:1相互作用モデルに適合させた。結合速度定数の比kd/kaにより平衡結合定数KDを決定した。
【0273】
それぞれ多様性が約10の8つのナイーブなヒト合成酵母ライブラリーを、以前に報告されているように増殖させた(例えば、WO09/036379、WO10/105256、WO12/009568を参照のこと)。選択の最初の2ラウンドでは、報告されているように(例えば、Siegel et al.,J.Immunol.Meth.286(1-2):141-153(2004)を参照のこと)Miltenyi MACsシステムを用いて磁気ビーズ選別手法を実施した。簡単に言えば、酵母細胞(約1010細胞/ライブラリー)と、3mlのビオチン化したALK7-Fcを含むタンパク質(10nM)とを、FACS洗浄緩衝液(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)/0.1%ウシ血清アルブミン(BSA))中で室温にて15分間インキュベートした。50mlの氷冷洗浄緩衝液で1回洗浄した後、細胞ペレットを40mLの洗浄緩衝液に再懸濁させ、Streptavidin MicroBeads(500μl)を酵母に加えて4℃で15分間インキュベートした。次に、酵母をペレット状にし、5mLの洗浄緩衝液に再懸濁させ、Miltenyi LSカラムに添加した。5mLが添加された後、3mlのFACS洗浄緩衝液でカラムを3回洗浄した。その後、カラムを磁場から外し、酵母を5mLの増殖培地で溶出させた後、一晩増殖させた。フローサイトメトリーを使用して以下の選別ラウンドを実施した。約1×10の酵母をペレット状にし、洗浄緩衝液で3回洗浄し、ビオチン化したALK7-Fcを含むタンパク質の濃度を徐々に下げながら(100nMから1nM)平衡条件下で室温にてインキュベートした。次いで、酵母を2回洗浄し、LC-FITC(1:100で希釈)、及び二次試薬のSA-633(1:500で希釈)またはEA-PE(1:50で希釈)で4℃にて15分間染色した。氷冷洗浄緩衝液で2回洗浄した後、細胞ペレットを0.4mLの洗浄緩衝液に再懸濁させ、ストレーナーキャップ付き選別チューブに移した。FACS ARIAソーター(BD Biosciences)を使用して選別を実施し、バックグラウンド対照と比べて特定の結合物質を選択するため選別ゲートを割り当てた。その後の選択ラウンドが、CHO細胞からの可溶性膜タンパク質を利用して非特異的な試薬結合物質数を減らすため(例えば、WO14/179363及びXu et al.,Protein Eng.Des.Sel.26(10):663-670(2013)を参照のこと)、及びALK7-Fcを含むタンパク質を使用して、ALK7に対する親和性が改善された結合物質を同定するために使用された。最終選別ラウンドの後、酵母を播種し、個々のコロニーを特徴付け用及び親和性成熟についてのクローンの指定用に収穫した。
【0274】
親和性成熟
ナイーブクローンの結合最適化は、軽鎖の多様化;CDRH及び/CDRH2の多様化;ならびにVHとVLの順次変異誘発の実施という3つの成熟戦略を利用して行われた。
【0275】
軽鎖の多様化:重鎖プラスミドは、抽出されたナイーブな産出物(上記)であり、多様性が1×10の軽鎖ライブラリーに変換された。選択は、1ラウンドのMACS選別及び2ラウンドのFACS選別で、(それぞれのラウンドに)10nMまたは1nMのビオチン化したALK7-Fc抗原を使用して上記のように実施した。
【0276】
CDRH1及びCDRH2の選択:軽鎖の多様化手順により選択されたクローンからのCDRH3を、多様性が1×10の、CDRH1及びCDRH2のバリアントを有する作製済みライブラリー内に組み換え、上記のようにALK7を使用して選択を実施した。親和性の最も高い抗体選択するため、ビオチン化抗原-抗体酵母複合体と、非ビオチン化抗原とを様々な時間インキュベートすることにより親和性圧力をかけた。
【0277】
VHmut/VKmutの選択:CDRH1及びCDRH2の選択手順により得られたクローンを、エラープローンPCRに基づく重鎖及び/または軽鎖の変異誘発による親和性成熟の追加ラウンドに供した。選択は、ALK7を抗原として使用して概ね上記実施例2に記載のように実施されたが、すべての選択ラウンドについてFACS選別を使用することを追加した。抗原濃度を下げ、低温での抗原競合時間を増やして、最適な親和性のためにさらに圧力をかけた。
【0278】
表面プラズモン共鳴分析-
Biacore T100/T200バイオセンサー(Biacore/GE Healthcare)を25℃及び37℃で使用して実験を実施した。ALK7抗体を特別仕様のFABチップに捕捉した。一連の濃度の、ALK7-Fcを含むタンパク質を50μl/mlの流速でフローセルに注入した。動的速度定数を得るため、BiaEvaluationソフトウェア(GE Healthcare)を使用して補正データを1:1相互作用モデルに適合させた。結合速度定数の比kd/kaにより平衡結合定数KDを決定した。
【0279】
抗体の生成及び精製
さらなる特徴付け用に十分な量の選択抗体を生成するために、酵母クローンを飽和まで増殖させ、次いで、振とうしながら30℃で48時間誘導した。誘導後、酵母細胞をペレット状にし、上清を精製用に回収した。プロテインAカラムを使用してIgGを精製し、酢酸(pH2.0)で溶出させた。パパイン消化によりFab断片を生成し、KappaSelect(GE Healthcare LifeSciences)で精製した。
【0280】
ForteBio K測定
選択抗体についてのForteBio親和性測定を、概ね前述のように実施した(例えば、Estep et al.,Mabs,5(2):270-278(2013)を参照のこと)。簡単に言えば、ForteBio親和性測定は、IgGをオンラインでAHQセンサーに添加して実施された。センサーをオフラインでアッセイ緩衝液中にて30分間平衡化させた後、ベースラインの確立のためにオンラインで60秒間モニターした。添加したIgGを有するセンサーを100nMの抗原に5分間に曝露した後、解離速度測定のためそれらをアッセイ緩衝液に5分間移した。1:1結合モデルを使用して動態を分析した。
【0281】
Octet Red384でのエピトープビニング/リガンド阻止
標準的サンドイッチ形式の交差阻止アッセイを使用して選択抗体のエピトープビニング/リガンド阻止を実施した。対照の抗標的IgGをAHQセンサーに添加し、センサー上の非占有Fc結合性部位を無関係のヒトIgG1抗体でブロッキングした。次いで、センサーを100nMの標的抗原に曝露してから、第2の抗標的抗体またはリガンドに曝露した。ForteBioのData Analysis Software 7.0を使用してデータを処理した。抗原会合後の第2の抗体またはリガンドによる追加の結合は、非占有エピトープ(非競合)を示し、結合がない場合はエピトープ阻止(競合物質またはリガンド阻止)を示す。
【0282】
サイズ排除クロマトグラフィー
TSKgel SuperSW mAb HTPカラム(22855)を使用して酵母で産生されたmAbの高速SEC分析をランあたり6分のサイクルタイムで0.4ml/分にて行った。200mMのリン酸ナトリウムと250mMの塩化ナトリウムを移動相として使用した。
【0283】
動的走査蛍光定量法
10μLの20×Sypro Orangeを、20μLのmAbまたはFab溶液(0.2~1mg/mL)に加えた。RT-PCR装置(BioRad CFX96 RT PCR)を使用してサンプルプレート温度の勾配を0.5℃ずつ40°から95℃まで上昇させ、各温度で2分間の平衡を設けた。生データのマイナスの一次導関数を使用してTmを引き出した。
【0284】
前述の分析に基づき、好ましい特性を有するナイーブActRII結合性抗体の配列を確認し、上記の成熟戦略を使用した結合最適化用に選択した。
【0285】
作製された例示的な最適化ActRII結合性タンパク質は、表1に提示されているM01、N01、P01、及びQ01である。
【0286】
実施例2.ALK7結合性抗体の特徴付け
先の例に従って作製された例示的ALK7結合性タンパク質を、配列、SPR、及び細胞ベースの脂肪分解阻害アッセイ分析によりさらに特徴付けした。
【0287】
実施例1に記載の方法に従って作製された例示的ALK7結合性抗体の配列を表1に示す(例示的CDR配列には下線が引かれている)。
【表1】
【0288】
SPR(BIACORE(商標)による分析)及び細胞ベースの脂肪分解阻害アッセイを使用して、表1に記載の例示的セットのALK7結合性タンパク質をより詳細に特徴付けした。
【0289】
表面プラズモン共鳴分析-
Biacore T100/T200バイオセンサー(Biacore/GE Healthcare)を25及び37℃で使用して実験を実施した。ALK7抗体を特別仕様のFABチップに捕捉した。一連の濃度の、ALK7-Fcを含むタンパク質を50μl/mlの流速でフローセルに注入した。動的速度定数を得るため、BiaEvaluationソフトウェア(GE Healthcare)を使用して補正データを1:1相互作用モデルに適合させた。結合速度定数の比kd/kaにより平衡結合定数KDを決定した。
【0290】
脂肪分解阻害アッセイ
脂肪分解は、細胞内のトリグリセリドからグリセロールと遊離脂肪酸への加水分解である。グリセロールと遊離脂肪酸はそこで、血流または培地に放出される。脂肪分解は本質的にすべての細胞で起こるが、白色脂肪細胞及び褐色脂肪細胞で最も多い。3T3-L1細胞(ATCCが供給;ATCC(登録商標)CL-173(商標))を、10%ウシ血清(Life Technologies;16170-060)含有ダルベッコ改変イーグル培地(ATCC;ATCC(登録商標)30-2002(商標))でコンフルエントな状態に達するまで増殖させる。分化を誘導するため、コンフルエントな状態の2日後、培地を、10%ウシ胎児血清(Life Technologies;10082147)、デキサメタゾン(Sigma、D8893)、IBMX(Sigma、I7018)及びインスリン(Sigma、I0516)を含有する新鮮なダルベッコ改変イーグル培地(ATCC;ATCC(登録商標)30-2002(商標))に交換し、2週間置く。顕微鏡により決定される、細胞上の脂肪滴の蓄積が、成熟脂肪細胞への完全な分化を確認するために使用される。脂肪細胞を、ビヒクル(PBS)、アクチビンB(50ng/ml)で一晩処理するか、またはアクチビンB(50ng/ml)とALK7抗体(5μg/ml)で同時処理する。細胞を、PBSで2回洗浄し、脂肪分解アッセイ緩衝液(Abcamが供給;ab185433)と共にインキュベートする。脂肪分解アッセイ緩衝液を3時間に回収し、グリセロールレベルを製造者の説明書(Abcam;ab185433)に従って測定する。
【0291】
SPRの結果を表2に示し、例示的ALK7結合性タンパク質の細胞ベースの脂肪分解阻害アッセイを表2に示す。
【表2】
【0292】
ALK7シグナル伝達は、脂肪分解を抑制し、結果として脂肪細胞及び脂肪組織での脂肪蓄積を引き起こすと考えられている。抗体M01、N02、P03、及びQ04が、ALK7媒介性の脂肪分解阻害を妨げる能力は、細胞ベースの脂肪分解阻害アッセイで評価される。
【0293】
ヒトALK7(配列番号85)及びラットALK7(配列番号86)の細胞外ドメインは97%の配列同一性を共有している。ヒトALK7及びラットALK7に対する抗体M01、N02、P03、及びQ04の結合を、SPRを使用して決定する。
【0294】
実施例3.肥満マウスにおける脂肪蓄積及び除脂肪体重に対するALK7 Abの効果
食餌性肥満マウスモデルにおける脂肪及び除脂肪組織量に対するいくつかのヒトモノクローナルALK7抗体(ALK7 mAb)の効果を検討する。
【0295】
雄マウス(n=8/群)で、ベースライン時にNMRを使用して脂肪及び除脂肪筋肉の量を評価する。次いで、マウスを以下の異なる処置群に分ける:1)標準固形飼料(SD)を与えられ、TBSビヒクルによる週2回の皮下処置を受けるマウス、2)高脂肪食(HFD)を与えられ、TBSビヒクルによる週2回の皮下処置を受けるマウス、3)10mg/kgのALK7 mAbM01による週2回の皮下処置を受けるHDFマウス、4)10mg/kgのALK7 mAbN01による週2回の皮下処置を受けるHDFマウス、5)10mg/kgのALK7 mAbP01による週2回の皮下処置を受けるHDFマウス、及び6)10mg/kgのALK7 mAbQ01による週2回の皮下処置を受けるHDFマウス。3週間後、マウスに再び全身NMRスキャンを行って脂肪及び除脂肪組織の量を評価し、これらの測定値を、ベースラインの脂肪及び除脂肪筋肉の量と比較する。
【0296】
実施例4.確立された肥満のマウスに対するALK7 Abの効果
本実施例では、確立された肥満のマウスにおける体重、脂肪及び除脂肪組織量の分布に対するヒトモノクローナルALK7抗体(ALK7 mAb)の治療可能性についての研究を記載する。ALK7抗体の可能性を試験するために、マウス(C57BL/6系統)を体重に基づいて無作為化し、各マウスの体重が試験ベースライン時に約35グラムに達するまで高脂肪食(HFD)を与える。対照マウス(n=5)には、標準固形飼料(SD)を与える。次いで、マウス(n=5~9/群)を以下の異なる処置群に分ける:1)TBSビヒクルによる週2回の皮下処置を受けるSDマウス(すなわち、SDを与えられるマウス)、2)TBSビヒクルによる週2回の皮下処置を受けるHFDマウス(すなわち、HFDを与えられるマウス)、3)1mg/kgのALK7 mAbM01による週2回の皮下処置を受けるHDFマウス、4)3mg/kgのALK7 mAbN01による週2回の皮下処置を受けるHDFマウス、5)10mg/kgのALK7 mAbP01による週2回の皮下処置を受けるHDFマウス、及び5)10mg/kgのALK7 mAbQ01による週2回の皮下処置を受けるHDFマウス。マウスに全身NMRスキャンを行い、ベースライン、3週目及び6週目の時点で脂肪及び除脂肪組織の量を評価する。試験期間中、体重を週2回、計量天秤を使用して記録する。
【配列表】
0007617036000001.app