(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】プログラム、送金管理装置、及び送金管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/10 20120101AFI20250109BHJP
【FI】
G06Q20/10
(21)【出願番号】P 2022017946
(22)【出願日】2022-02-08
【審査請求日】2023-03-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593022629
【氏名又は名称】株式会社ジェーシービー
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【氏名又は名称】大石 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】間下 公照
(72)【発明者】
【氏名】南井 享
【審査官】板垣 有紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-020819(JP,A)
【文献】特開2020-113081(JP,A)
【文献】特開2004-295911(JP,A)
【文献】特開2003-123006(JP,A)
【文献】特開2021-162887(JP,A)
【文献】特開2022-11965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
決済事業者に関連付けられた第1ユーザの第1精算識別情報と第2ユーザの第2精算識別情報とを取得する精算識別情報取得処理と、
前記第1ユーザから前記第2ユーザへの送金のために前記第1ユーザと前記第2ユーザとを識別する第1送金識別情報及び第2送金識別情報のうち、前記第1送金識別情報を前記第1精算識別情報に割り当て、前記第2送金識別情報を前記第2精算識別情報に割り当てる、送金識別情報割当処理と、
前記第1ユーザから前記第2ユーザへの送金額の入力を前記第1ユーザから受け付け、前記第1ユーザから前記第2ユーザへの送金を示し、前記第1送金識別情報と前記第2送金識別情報と
前記送金額とを含む送金情報を前記第1ユーザから取得する送金情報取得処理と、
前記送金情報に基づいて、前記第1送金識別情報が割り当てられた前記第1精算識別情報に前記第1ユーザからの前記送金額が関連付けられた出金情報を生成する出金情報生成処理と、
前記送金情報に基づいて、前記第2送金識別情報が割り当てられた前記第2精算識別情報に前記第1ユーザからの前記送金額が関連付けられた入金情報を生成する入金情報生成処理と、
前記出金情報に基づいて、前記第1ユーザの前記決済事業者での第1精算予定額に、前記送金額に応じた金額を加算することを示す情報を生成する、精算予定額加算処理と、
前記入金情報に基づいて、前記第2ユーザの前記決済事業者での第2精算予定額から、前記送金額に応じた金額を減算することを示す情報を生成する、精算予定額減算処理と、
を実行させる、プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラムであって、
前記第1精算識別情報には、前記第1ユーザの第1口座を示す第1口座情報が含まれ、
前記第2精算識別情報には、前記第2ユーザの第2口座を示す第2口座情報が含まれ、
前記コンピュータに、
前記出金情報と前記第1口座情報とに基づいて、前記第1口座から前記送金額に応じた金額を引き落とすことを示す情報を生成する、送金額引落処理と、
前記入金情報と前記第2口座情報とに基づいて、前記第2口座に前記送金額に応じた金額を入金することを示す情報を生成する、送金額入金処理と、をさらに実行させる、プログラム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプログラムであって、
前記決済事業者は第1決済事業者及び第2決済事業者を含み、
前記第1精算識別情報は前記第1決済事業者に関連付けられ、前記第2精算識別情報は前記第2決済事業者に関連付けられる、プログラム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のプログラムであって、
前記送金情報取得処理は、前記第1ユーザから第3ユーザへの送金を示し、前記第1送金識別情報と前記決済事業者に関連付けられた前記第3ユーザの第3精算識別情報と第2送金額とを含む第2送金情報を前記第1ユーザから取得し、
前記送金識別情報割当処理は、前記第2送金情報に基づいて、前記第3ユーザの第3送金識別情報を前記第3精算識別情報に割り当て、
前記入金情報生成処理は、前記第2送金情報に基づいて、前記第3送金識別情報が割り当てられた前記第3精算識別情報に前記第1ユーザからの前記第2送金額が関連付けられた第2入金情報を生成する、プログラム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記送金情報に基づく前記送金が、第1タイミングにて実行される場合の第1手数料を示す第1手数料情報及び第2タイミングにて実行される場合の第2手数料を示す第2手数料情報を取得する手数料情報取得処理と、
前記送金情報に基づいて、前記第1ユーザに前記第1手数料情報及び前記第2手数料情報を送信する手数料情報送信処理と、
前記第1手数料情報及び前記第2手数料情報に基づいて前記第1ユーザにより選択された、前記第1タイミング又は前記第2タイミングを示す送金タイミング情報を前記第1ユーザから取得するタイミング指示取得処理と、をさらに実行させ、
前記出金情報生成処理は、前記送金タイミング情報に基づいて前記出金情報を生成し、
前記入金情報生成処理は、前記送金タイミング情報に基づいて前記入金情報を生成する、プログラム。
【請求項6】
決済事業者に関連付けられた第1ユーザの第1精算識別情報と第2ユーザの第2精算識別情報とを取得する精算識別情報取得部と、
前記第1ユーザから前記第2ユーザの送金のために前記第1ユーザと前記第2ユーザとを識別する第1送金識別情報及び第2送金識別情報のうち、前記第1送金識別情報を前記第1精算識別情報に割り当て、前記第2送金識別情報を前記第2精算識別情報に割り当てる、送金識別情報割当部と、
前記第1ユーザから前記第2ユーザへの送金額の入力を前記第1ユーザから受け付け、前記第1ユーザから前記第2ユーザへの送金を示し、前記第1送金識別情報と前記第2送金識別情報と
前記送金額とを含む送金情報を前記第1ユーザから取得する送金情報取得部と、
前記送金情報に基づいて、前記第1送金識別情報が割り当てられた前記第1精算識別情報に前記第1ユーザからの前記送金額が関連付けられた出金情報を生成する出金情報生成部と、
前記送金情報に基づいて、前記第2送金識別情報が割り当てられた前記第2精算識別情報に前記第1ユーザからの前記送金額が関連付けられた入金情報を生成する入金情報生成部と、
前記出金情報に基づいて、前記第1ユーザの前記決済事業者での第1精算予定額に、前記送金額に応じた金額を加算することを示す情報を生成する、精算予定額加算部と、
前記入金情報に基づいて、前記第2ユーザの前記決済事業者での第2精算予定額から、前記送金額に応じた金額を減算することを示す情報を生成する、精算予定額減算部と、を備える、送金管理装置。
【請求項7】
決済事業者に関連付けられた第1ユーザの第1精算識別情報と第2ユーザの第2精算識別情報とを取得することと、
前記第1ユーザから前記第2ユーザの送金のために前記第1ユーザと前記第2ユーザとを識別する第1送金識別情報及び第2送金識別情報のうち、前記第1送金識別情報を前記第1精算識別情報に割り当て、前記第2送金識別情報を前記第2精算識別情報に割り当てることと、
前記第1ユーザから前記第2ユーザへの送金額の入力を前記第1ユーザから受け付け、前記第1ユーザから前記第2ユーザへの送金を示し、前記第1送金識別情報と前記第2送金識別情報と
前記送金額とを含む送金情報を前記第1ユーザから取得することと、
前記送金情報に基づいて、前記第1送金識別情報が割り当てられた前記第1精算識別情報に前記第1ユーザからの前記送金額が関連付けられた出金情報を生成することと、
前記送金情報に基づいて、前記第2送金識別情報が割り当てられた前記第2精算識別情報に前記第1ユーザからの前記送金額が関連付けられた入金情報を生成することと、
前記出金情報に基づいて、前記第1ユーザの前記決済事業者での第1精算予定額に、前記送金額に応じた金額を加算することを示す情報を生成することと、
前記入金情報に基づいて、前記第2ユーザの前記決済事業者での第2精算予定額から、前記送金額に応じた金額を減算することを示す情報を生成することと、を含む、送金管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、送金管理装置、及び送金管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個人間送金や企業間送金、あるいは個人と企業との間の送金においては様々な送金システムが利用されている。例えば、特許文献1には、個人間で電子マネー等のデジタルギフトを取引する個人間取引ギフトシステムが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の個人間取引ギフトシステムでは、個人を特定する情報を知り得なくとも、ユーザの電子マネーをデジタルギフトとして換算し、デジタルギフトを他のユーザの端末に送信することで、個人間で電子マネーを贈り合うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の個人間取引ギフトシステムでは、電子マネーが用いられているが、金融機関の口座にて管理される現金を用いた送金も広く行われている。現金を用いる送金では、送金手数料が必要となる場合がある。送金手数料は、送金という手順そのものに対する費用の他にも、送金者及び受取者の口座登録及び維持に要する費用や、口座を管理する銀行等の事業者と送金機能を提供する事業者との間のデータ通信環境の整備等の費用を考慮した金額となっている。このように、送金を実現するための様々な要因を含んだ結果、送金手数料の低減が妨げられている。
【0006】
そこで、本発明は、送金手数料を低減することが可能なプログラム、送金管理装置、送金管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、決済事業者に関連付けられた第1ユーザの第1精算識別情報と第2ユーザの第2精算識別情報とを取得する精算識別情報取得処理と、第1ユーザから第2ユーザの送金のために第1ユーザと第2ユーザとを識別する第1送金識別情報及び第2送金識別情報のうち、第1送金識別情報を第1精算識別情報に割り当て、第2送金識別情報を第2精算識別情報に割り当てる、送金識別情報割当処理と、第1ユーザから第2ユーザへの送金を示し、第1送金識別情報と第2送金識別情報と送金額とを含む送金情報を第1ユーザから取得する送金情報取得処理と、送金情報に基づいて、第1送金識別情報が割り当てられた第1精算識別情報に第1ユーザからの送金額が関連付けられた出金情報を生成する出金情報生成処理と、送金情報に基づいて、第2送金識別情報が割り当てられた第2精算識別情報に第1ユーザからの送金額が関連付けられた入金情報を生成する入金情報生成処理と、を実行させる。
【0008】
本発明の他の態様に係る送金管理装置は、決済事業者に関連付けられた第1ユーザの第1精算識別情報と第2ユーザの第2精算識別情報とを取得する精算識別情報取得部と、第1ユーザから第2ユーザへの送金のために第1ユーザと第2ユーザとを識別する第1送金識別情報及び第2送金識別情報のうち、第1送金識別情報を第1精算識別情報に割り当て、第2送金識別情報を第2精算識別情報に割り当てる、送金識別情報割当部と、第1ユーザから第2ユーザへの送金を示し、第1送金識別情報と第2送金識別情報と送金額とを含む送金情報を第1ユーザから取得する送金情報取得部と、送金情報に基づいて、第1送金識別情報が割り当てられた第1精算識別情報に第1ユーザからの送金額が関連付けられた出金情報を生成する出金情報生成部と、送金情報に基づいて、第2送金識別情報が割り当てられた第2精算識別情報に第1ユーザからの送金額が関連付けられた入金情報を生成する入金情報生成部と、を備える。
【0009】
本発明の他の態様に係る送金管理方法は、決済事業者に関連付けられた第1ユーザの第1精算識別情報と第2ユーザの第2精算識別情報とを取得することと、第1ユーザから第2ユーザの送金のために第1ユーザと第2ユーザとを識別する第1送金識別情報及び第2送金識別情報のうち、第1送金識別情報を第1精算識別情報に割り当て、第2送金識別情報を第2精算識別情報に割り当てることと、第1ユーザから第2ユーザへの送金を示し、第1送金識別情報と第2送金識別情報と送金額とを含む送金情報を第1ユーザから取得することと、送金情報に基づいて、第1送金識別情報が割り当てられた第1精算識別情報に第1ユーザからの送金額が関連付けられた出金情報を生成することと、送金情報に基づいて、第2送金識別情報が割り当てられた第2精算識別情報に第1ユーザからの送金額が関連付けられた入金情報を生成することと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、送金手数料を低減することが可能なプログラム、送金管理装置、送金管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る送金システムの概略を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る送金システムにおける送金手順を説明する図である。
【
図3】本実施形態に係る決済事業者端末の構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係るユーザデータベース及び精算額データベースに記憶される情報の一例である。
【
図5】本実施形態に係るユーザデータベース及び精算額データベースに記憶される情報の他の一例である。
【
図6】本実施形態に係る送金管理装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】本実施形態に係る送金IDデータベースに記憶される情報の一例である。
【
図9】本実施形態に係る送金履歴データベースに記憶される情報の一例である。
【
図10】本実施形態に係る送金システムの処理の一例を説明する図である。
【
図11】本実施形態に係る送金画面の一例を説明する図である。
【
図12】本実施形態に係る送金システムの処理の他の一例を説明する図である。
【
図13】本実施形態に係る送金システムの処理の他の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0013】
図1には、本実施形態に係る送金システム10の概略図が示される。送金システム10は、送金管理装置101、決済事業者装置102a,102b、利用者端末103a,103b、金融機関装置104a,104bを備える。決済事業者装置、利用者端末、金融機関装置は、2つに限られず複数備えられてもよい。なお、特に区別の必要がない場合、決済事業者装置102a,102bを決済事業者装置102と、利用者端末103a,103bを利用者端末103と、金融機関装置104a,104bを金融機関装置104という。
【0014】
決済事業者とは、例えば、クレジットカードを用いた決済を行う事業者である。決済事業者は、クレジットカードを用いた支払を行うユーザによる利用額の引き落とし及び支払先である加盟店への支払金の入金を行う。ある決済事業者が自己のユーザのために送金システム10の管理を行ってもよく、送金システム10の管理者は決済事業者とは異なっていてもよい。この場合、送金システム10の管理者は、他の決済事業者が送金システム10を利用できるように管理を行ってもよい。
【0015】
利用者とは、ある決済事業者による決済サービスを利用する者である。利用者は、例えば、クレジットカードを用いて支払を行う消費者やクレジットカードによる支払を受ける加盟店である。決済事業者において利用者は、例えば、カード番号や加盟店番号によって管理される。決済事業者は、引き落とし金や支払金の入金先である金融機関の口座に関する情報を利用者のそれぞれについて保有している。
【0016】
送金管理装置101は、所定のプログラムを実行することによって、後述する処理を行い、利用者間の送金の管理を行うサーバ等の情報処理装置である。決済事業者装置102は、決済事業者それぞれが管理するサーバ等の情報処理装置である。利用者端末103は、利用者が使用する、スマートフォンやタブレット端末等の情報処理装置である。金融機関装置104は、利用者の口座を管理する金融機関それぞれのサーバ等の情報処理装置である。
【0017】
送金管理装置101は、決済事業者装置102のそれぞれ、利用者端末103のそれぞれ、及び金融機関装置104のそれぞれとネットワークNを通じて通信可能に接続される。
【0018】
図2を参照して、送金システム10及び送金管理装置101によって管理される利用者間の送金プロセスについて説明する。
【0019】
まず、同一の決済事業者Aを利用する利用者A1及び利用者A2の間での送金について説明する。決済事業者Aは、利用者A1,A2それぞれのクレジットカード番号及び利用額の精算に用いられる口座情報を有している。なお、
図2では口座情報として銀行名のみ示しているが、口座情報は、実際には適切な口座番号等が用いられる。
【0020】
決済事業者Aにおいて、利用者A1はカード番号「AA01」のクレジットカードを、口座情報「V銀行」に関連付けて利用し、利用者A2はカード番号「AA02」のクレジットカードを、口座情報「W銀行」に関連付けて利用している。利用者A1,A2は、送金以外にも、商品の購入や諸代金の支払等にクレジットカードを利用することができる。
【0021】
利用者A1から利用者A2への送金のために。送金管理装置101において送金IDがそれぞれのカード番号に割り当てられる。送金IDの割り当ては、例えば、各利用者が自身のカード番号を送金管理装置101に送信することによって行われる。
図2では、ステップ(A1)において、利用者A1がカード番号「AA01」を送金管理装置101に送信し、ステップ(B1)において、送金管理装置101がカード番号「AA01」に対して送金ID「ID001」を割り当てる。送金IDは、送金管理装置101において自動で生成されてもよく、利用者が生成したIDであってもよい。
【0022】
なお、送金IDを利用者が生成する場合は、送金システム10の内部での処理に用いられるIDが送金IDに関連付けられて管理されるようにできる。このようにすると、利用者は自身の送金IDを適宜変更可能となる。
【0023】
同様に、ステップ(A2)及びステップ(B2)によって、利用者A2のカード番号「AA02」に送金ID「ID002」が割り当てられる。送金管理装置101による送金サービスの利用者は、利用者端末103を通じて、自身の送金IDを知ることができる。また、他の利用者の送金IDを知ることもできる。
【0024】
利用者A1から利用者A2への送金のために、ステップ(C)において、利用者A1は、利用者A1の送金ID「ID001」、利用者A2の送金ID「ID002」、及び送金額を送金管理装置101に送信する。
【0025】
ステップ(D)において、送金管理装置101は、送金ID「ID001」から送金ID「ID002」への送金を示す情報を生成し、記録する。具体的には、送金管理装置101は、送金元の送金ID「ID001」が割り当てられたカード番号「AA01」に、送金額が関連付けられた出金情報を生成し、送金先の送金ID「ID002」が割り当てられたカード番号「AA02」に、送金額が関連付けられた入金情報を生成する。
【0026】
ステップ(E)において、送金管理装置101は、決済事業者Aにおける利用者A1の精算予定額に、送金額を加算する情報を生成し、決済事業者Aの決済事業者装置102に送信する。また、送金管理装置101は、決済事業者Aにおける利用者A2の精算予定額から、送金額を減算する情報を生成し、決済事業者Aの決済事業者装置102に送信する。なお、送金管理装置101は、例えばカード番号に基づいて、決済事業者を判別し、情報を送信すべき決済事業者装置102を選択可能である。決済事業者装置102において、利用者A1の精算予定額の増加及び利用者A2の精算予定額の減少が記録される。
【0027】
ステップ(F1),(F2)のそれぞれにおいて、決済事業者Aは、利用者A1,A2それぞれの精算予定額及び口座情報に基づいて、精算予定額の引き落とし又は振り込みを行う。振り込みが行われる場合とは、例えば、利用者A2が送金等によって受け取った金額が、利用者A2の購買等による利用額を上回った場合である。
【0028】
ここまでの各ステップによって、送金元である利用者A1から送金先である利用者A2への送金を、送金管理装置101及び決済事業者Aの決済事業者装置102を介しつつ実現することができる。送金管理装置101は、利用者A1及び利用者A2の口座情報を管理する必要がないので、送金管理装置101の運用に係るコストを抑えることが可能となる。これにより、送金管理装置101は、送金手数料を低減させることが可能となる。
【0029】
次に、決済事業者Bの利用者Bから決済事業者Cの利用者Cへの送金の場合を説明する。決済事業者Bにおいて、利用者Bはカード番号「BB01」のクレジットカードを、口座情報「X銀行」に関連付けて利用している。決済事業者Cにおいて、利用者Cはカード番号「CC01」のクレジットカードを、口座情報「Y銀行」に関連付けて利用している。
【0030】
ステップ(A3),(A4)において、利用者B,Cは自身のカード番号を送金管理装置101に送信する。ステップ(B3),(B4)において、送金管理装置101がカード番号「BB01」に対して送金ID「ID003」を割り当て、カード番号「CC01」に対して送金ID「ID004」を割り当てる。
【0031】
利用者Bから利用者Cへの送金のために、ステップ(G)において、利用者A3は、利用者Bの送金ID「ID003」、利用者Cの送金ID「ID004」、及び送金額を送金管理装置101に送信する。
【0032】
ステップ(H)において、送金管理装置101は、送金ID「ID003」から送金ID「ID004」への送金を示す情報を生成し、記録する。具体的には、送金管理装置101は、送金元の送金ID「ID003」が割り当てられたカード番号「BB01」に、送金額が関連付けられた出金情報を生成し、送金先の送金ID「ID004」が割り当てられたカード番号「CC01」に、送金額が関連付けられた入金情報を生成する。
【0033】
ステップ(I1)において、送金管理装置101は、出金情報に基づいて、決済事業者Bにおける利用者Bの精算予定額に、送金額を加算する情報を生成し、決済事業者Bの決済事業者装置102に送信する。決済事業者Bの決済事業者装置102において、利用者Bの精算予定額の増加が記録される。
【0034】
ステップ(I2)において、送金管理装置101は、決済事業者Cにおける利用者Cの精算予定額から、送金額を減算する情報を生成し、決済事業者Cの決済事業者装置102に送信する。決済事業者装置102において、利用者Cの精算予定額が増加し、利用者Cの精算予定額の減少が記録される。
【0035】
ステップ(J1)において、決済事業者Bは、利用者Bの精算予定額及び口座情報に基づいて、精算予定額の引き落とし又は振り込みを行う。ステップ(J2)において、決済事業者Cは、利用者Cの精算予定額及び口座情報に基づいて、精算予定額の引き落とし又は振り込みを行う。ここまでの各ステップによって、送金元である利用者Bから送金先である利用者Cへの送金を、送金管理装置101及び決済事業者B,Cそれぞれの決済事業者装置102を介しつつ実現することができる。
【0036】
このように、送金管理装置101は、それぞれのカード番号に送金IDを割り当てることによって、異なる決済事業者に関連付けられるクレジットカードを有するユーザ間における送金を可能とする。
【0037】
上述の例では、送金管理装置101を通じた送金における送金額の精算は、クレジットカードの決済額の精算と統合するようにして行う場合を例に説明した。送金額の精算は、必ずしもクレジットカードの精算に統合して行われる必要はなく、送金の都度、銀行振込によって行われてもよい。
【0038】
利用者Bから利用者Cへの送金に際して、口座振替による送金額の精算が行われる場合を説明する。この場合、送金管理装置101は、利用者B又は決済事業者Bから、利用者Bの口座情報を精算識別情報として取得する。同様に送金管理装置101は、利用者B又は決済事業者Bから、利用者Bの口座情報を精算識別情報として取得する。
【0039】
ステップ(H)までの処理が同様に行われた場合、送金管理装置101は、ステップ(K1)において、利用者Bの口座情報及び出金情報に基づいて、口座情報で示されるX銀行の口座から送金額を引き落とす情報を生成し、X銀行の金融機関装置104に送信する。引き落とされた金額は、送金管理装置101の管理者の口座に一時的に入金される。
【0040】
ステップ(K2)において、送金管理装置101は、利用者Cの口座情報及び入金情報に基づいて、口座情報で示されるY銀行の口座に送金額を入金する情報を生成し、Y銀行の金融機関装置104に送信する。入金される金額は、送金管理装置101の管理者の口座から支払われる。これにより、利用者Bから利用者Cへの送金が完了する。この場合でも、送金管理装置101は、利用者B及び利用者Cの口座情報を取得するだけでよく、管理をする必要がないので、送金管理装置101の運用に係るコストを抑えることが可能となる。よって、送金管理装置101は、送金手数料を低減させることが可能となる。
【0041】
図3から
図5を参照して、決済事業者装置102の各部について説明する。送金システム10では、決済事業者装置102に記録された情報に基づいて、送金管理装置101の処理が行われるため、まず先に決済事業者装置102について説明を行う。
【0042】
図3には、決済事業者装置102のブロック図が示される。決済事業者装置102は、記憶部301、通信部302、精算額更新部303、及び精算識別情報送信部304を有する。
【0043】
決済事業者装置102の各部における情報処理は、例えば、決済事業者装置102において、メモリ等の記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されたプログラムをプロセッサが実行したりすることによって、実現することができる。
【0044】
記憶部301は、決済事業者装置102での処理に用いられる各種の情報を記憶する。記憶部301は、利用者データベース3011及び精算額データベース3012を有する。
【0045】
図4には
図2の決済事業者Aの決済事業者装置102における利用者データベース3011と精算額データベース3012の例が示される。
【0046】
利用者データベース3011には、決済事業者装置102における利用者の管理に用いられる情報が記憶される。利用者データベース3011は、「利用者名」及び「精算識別情報」の項目を有する。
【0047】
「利用者名」は、利用者の名前であり、個人名や法人名である。「精算識別情報」は、利用者による決済に用いられる「利用者識別情報」及び「口座情報」を含む情報である。「利用者識別情報」は例えば、「AA01」や「AA02」として示されるような、利用者のクレジットカード番号である。また、「利用者識別情報」は、「AAAA-AA」で示されるような、クレジットカード決済システムの加盟店を識別するための加盟店番号などである。「口座情報」は、利用者の利用額あるいは加盟店の受取額の精算に用いられる口座を示す情報である。
【0048】
精算額データベース3012には、決済事業者装置102における利用額又は受取額の精算に用いられる精算額の情報が記憶される。精算額データベース3012には利用者名で識別される利用者に対して、精算額が関連付けられて記憶される。
図4では利用者A1に対し、精算額「100,000円」が関連付けられている。これは、所定の決済日に、利用者A1から100,000円を引き落とすことを意味する。なお、負の値の精算額は、当該金額を利用者に振り込むことを意味する。引き落とし又は振り込みは、各利用者の口座情報で管理される口座に対して行われる。
【0049】
図5(a)には、
図2の決済事業者Bの決済事業者装置102における利用者データベース3011と精算額データベース3012の例が示される。
図5(b)には、
図2の決済事業者Cの決済事業者装置102における利用者データベース3011と精算額データベース3012の例が示される。このように、決済事業者のそれぞれが自身の利用者の精算識別情報及び精算額を管理している。
【0050】
通信部302は、決済事業者装置102と、送金管理装置101との通信の制御を行う。精算額更新部303は、利用者によるクレジットカードの利用を示す情報あるいは送金管理装置101による送金における出金情報や入金情報に基づいて、精算額データベース3012における利用者の精算額を更新する。精算識別情報送信部304は、送金管理装置101に、利用者データベース3011に記憶される精算識別情報を送信する。
【0051】
図6から
図9を参照して、送金管理装置101について説明する。送金管理装置101は、記憶部601、通信部602、精算識別情報取得部603、送金識別情報割当部604、送金情報取得部605、出金情報生成部606、入金情報生成部607、精算予定額加算部608、精算予定額減算部609、送金額引落部610、送金額入金部611、手数料情報取得部612、手数料情報送信部613、及びタイミング指示取得部614を有する。
【0052】
送金管理装置101の各部における情報処理は、例えば、送金管理装置101において、メモリ等の記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されたプログラムをプロセッサが実行したりすることによって、実現することができる。
【0053】
記憶部601は、送金IDデータベース6011及び送金履歴データベース6012を有する。送金IDデータベース6011には、送金管理装置101の利用者の送金IDを管理するための情報が記憶される。送金IDデータベース6011は、「利用者名」、「利用者識別情報」、及び「送金ID」の項目を有する。「利用者名」及び「利用者識別情報」は、例えば、決済事業者装置102を通じて取得される又は利用者端末103を通じてそれぞれの利用者から取得される。「送金ID」は、送金管理装置101において自動で生成されてもよく、利用者が生成したIDであってもよい。
【0054】
また、送金IDデータベース6011では、利用者が決済事業者が提供するサービスの利用時に使用するIDや、送金時の精算を、カード精算額に統合して行うか口座振り込みを行うかを示す初期設定、利用者のメールアドレス、電話番号などの連絡先、送金を行う際のパスワード等の認証情報が、各利用者について記憶されていてもよい。
【0055】
記憶部601には、
図8に示される手数料情報が記録される。手数料情報は、決済事業者や銀行等の金融機関が送金管理装置101による送金に対して設定する金額である。
【0056】
手数料情報は「送金タイミング」、「決済事業者」。「金融機関」、及び「送金手数料」の項目を有する。「送金タイミング」は、「一括」又は「即時」の項目を有する。
【0057】
送金タイミングが「一括」である場合、利用者間の送金によって生じる送金額の精算は、決済事業者における精算額の精算に統合されて行われる。この場合、手数料は決済事業者が設定する。
【0058】
送金タイミングが「即時」である場合、利用者間の送金によって生じる送金額の精算は、金融機関への口座への振り込みとして即時に行われる。この場合、手数料は金融機関が設定する。
【0059】
図9には、送金履歴データベース6012の一例が示される。送金履歴データベース6012には、利用者間の送金の履歴を示す情報が記憶される。送金履歴データベース6012の情報は、「送金元の送金ID」、「送金先の送金ID」、「送金額」、「送金タイミング」、「送金手数料」、及び「手数料負担者」の項目を有する。
【0060】
「送金元の送金ID」及び「送金先の送金ID」は、送金元及び送金先を識別するための情報である。「送金額」は送金元から送金先に送金される金額である。「送金タイミング」は、上述のとおり、利用者間の送金の精算をいつ行うかを示す情報である。「送金手数料」は、送金元の送金ID及び送金先の送金ID及び送金タイミングに基づいて、手数料情報を参照して算出される金額である。「手数料負担者」は、送金元の利用者によって選択された情報であり、送金元又は送金先のいずれが手数料を負担するかを示す情報である。
【0061】
例えば、利用者A1から利用者A2への3,000円の送金が、クレジットカード精算を用いて行われるとする。この場合、
図9に示されるように、「送金元の送金ID」は「ID001」、「送金先の送金ID」は「ID002」、「送金額」は「3,000円」と記録される。また、「送金タイミング」は「一括」である。この場合、送金手数料は、手数料情報に基づいて算出され、決済事業者Aの手数料が20円であることから、「送金手数料」には「20円」と記録される。また、利用者A1が手数料の負担者であるように送金が行われたとすると、「手数料負担者」は「送金元」となる。
【0062】
別の例として、利用者Bから利用者Cへの10,000円の送金が、口座振替によって即時に行われるとする。この場合、「送金元の送金ID」は「ID003」、「送金先の送金ID」は「ID004」、「送金額」は「10,000円」と記録される。また、「送金タイミング」は「即時」である。送金手数料は、手数料情報に基づいて算出されるが、金融機関それぞれについて引き落とし及び振り込みの取引があるので、手数料はX銀行の55円とY銀行の60円を合計した115円が「送金手数料」として記録される。また、利用者Cが手数料の負担者であるように送金が行われたとすると、「手数料負担者」は「送金先」となる。
【0063】
なお、送金履歴データベース6012は、実行された送金に関する諸条件を含むデータベースであるが、記憶部601は、特定の利用者間における送金条件に関する情報を記憶する送金条件データベースをさらに有してもよい。例えば、送金条件データベースでは、特定の送金者に関する情報(具体的には送金者の「利用者名」及び「利用者識別情報」)又は受取者に関する情報(具体的には受取者の「利用者名」及び「利用者識別情報」)に、「送金タイミング」、「送金手数料」、「手数料負担者」、及び「送金タイミング」等の送金条件を対応づけて記憶されてもよい。これにより、送金条件データベースに記憶された特定の送金者から受取者への送金処理において、送金管理装置101は、送金条件データベースから送金条件を読み出して自動的に送金条件を設定することができる。したがって、特定の送金者と受取者との送金処理においては送金条件を毎回手動で入力する必要がなく、送金者の作業負担を軽減することができる。
【0064】
送金条件としては、上述した項目に加えて、送金者と受取者との手数料負担割合を示す手数料負担割合情報を含むことができる。また、送金時の精算をカード精算額に統合して精算するか口座振り込みによって精算するかを示す情報などを含んでもよい。また、送金条件データベースへの送金者に関する情報、受取者に関する情報、及び送金条件の登録については、送金者が手動で登録してもよいし、送金管理装置101が送金履歴データベース6012を参照して過去の送金条件に基づいて自動的に登録してもよい。
【0065】
通信部602は、送金管理装置101と、決済事業者装置102、利用者端末103、及び金融機関装置104との通信の制御を行う。
【0066】
精算識別情報取得部603は、決済事業者装置102又は利用者端末103から精算識別情報を取得する。
【0067】
送金識別情報割当部604は、精算識別情報に、送金識別情報として送金IDを割り当てる。送金識別情報割当部604は、利用者に送金IDを割り当て、送金IDデータベース6011を更新する。また、送金識別情報割当部604は、割り当てた送金IDを利用者に通知してもよい。また、利用者は、利用者端末103を通じて送金IDデータベース6011を参照し、自身の送金IDを取得してもよい。また、送金識別情報割当部604は、他の利用者の送金IDを、例えば、利用者のメールアドレス、電話番号などの連絡先に基づいて探索して、必要とする利用者に送信してもよい。
【0068】
送金情報取得部605は、送金元である利用者の利用者端末103から、送金元の送金ID、送金先の送金ID、及び送金額を含む送金情報を取得する。送金情報取得部605は、取得した送金情報に基づいて、送金履歴データベース6012の「送金元の送金ID」、「送金先の送金ID」、及び「送金額」の情報を更新する。送金情報取得部605は、送金元の利用者から、当該利用者が送金したことを認証するためのパスコードなどを合わせて取得するようにしてもよい。
【0069】
出金情報生成部606は、送金情報に基づいて、送金元の送金IDが割り当てられた精算識別情報に、送金額が関連付けられた出金情報を生成する。具体的には、出金情報生成部606は、送金履歴データベース6012及び送金IDデータベース6011を参照して、出金情報を生成する。例えば、出金情報生成部606は、送金履歴データベース6012を参照し、送金ID「ID001」から送金「ID002」への「3,000円」の送金を示す情報を取得する。次に、出金情報生成部606は、送金IDデータベース6011を参照し、送金元の送金ID「ID001」が割り当てられた精算識別情報として利用者識別情報「AA01」を取得する。出金情報生成部606は、利用者識別情報「AA01」から「3,000円」の出金があることを示す出金情報を生成する。
【0070】
入金情報生成部607は、送金情報に基づいて、送金先の送金IDが割り当てられた精算識別情報に、送金額が関連付けられた入金情報を生成する。具体的には、入金情報生成部607は、送金履歴データベース6012及び送金IDデータベース6011を参照して、入金情報を生成する。例えば、入金情報生成部607は、送金履歴データベース6012を参照し、送金ID「ID001」から送金「ID002」への「3,000円」の送金を示す情報を取得する。次に、入金情報生成部607は、送金IDデータベース6011を参照し、送金先の送金ID「ID002」が割り当てられた精算識別情報として利用者識別情報「AA02」を取得する。入金情報生成部607は、利用者識別情報「AA02」に「3,000円」の入金があることを示す入金情報を生成する。
【0071】
精算予定額加算部608は、出金情報に基づいて、送金元の利用者の決済事業者での精算予定額に、送金額に応じた金額を加算することを示す情報を生成する。精算予定額加算部608が生成した情報が決済事業者装置102に送信されることで、決済事業者装置102で管理される利用者の精算額が更新される。
【0072】
精算予定額減算部609は、入金情報に基づいて、送金先の利用者の決済事業者での精算予定額に、送金額に応じた金額を減算することを示す情報を生成する。精算予定額減算部609が生成した情報が決済事業者装置102に送信されることで、決済事業者装置102で管理される利用者の精算額が更新される。
【0073】
送金額引落部610は、精算識別情報に送金元の口座情報が含まれる場合に、出金情報と口座情報とに基づいて、送金元の利用者の口座から送金額に応じた金額を引き落とすことを示す情報を生成する。送金額引落部610が生成した情報が金融機関装置104に送信されることによって、送金額の口座引き落としが実行される。
【0074】
送金額入金部611は、精算識別情報に送金先の口座情報が含まれる場合に、入金情報と口座情報とに基づいて、送金先の利用者の口座に送金額に応じた金額を入金することを示す情報を生成する。送金額入金部611が生成した情報が金融機関装置104に送信されることによって、送金額の口座振り込みが実行される。
【0075】
手数料情報取得部612は、利用者端末103や金融機関装置104から、送金の際の手数料を示す情報を取得する。手数料情報は上述の通り、送金タイミングが「一括」である場合の手数料及び送金タイミングが「即時」である場合の手数料を含む。
【0076】
手数料情報送信部613は、送金情報に基づいて、手数料情報を送金元の利用者に送信する。例えば、送金ID「ID001」から送金「ID002」への「3,000円」の送金を示す送金情報に基づいて、手数料情報送信部613は、記憶部601の手数料情報を参照し、「一括」の場合の手数料「20円」と「即時」の場合の手数料「95円」とを取得又は算出する。手数料情報送信部613は、それぞれの場合の手数料を送金元の利用者端末103に送信する。
【0077】
タイミング指示取得部614は、それぞれの場合の手数料情報に基づいて送金元の利用者により選択された、一括又は即時の送金を示す送金タイミング情報を送金元の利用者から取得する。タイミング指示取得部614は、送金履歴データベース6012の「送金タイミング」及び選択された送金タイミングに対応する「送金手数料」の情報を更新する。また、タイミング指示取得部614は、送金元の利用者から、手数料負担者を示す情報を取得し、送金履歴データベース6012を更新する。なお、送金タイミングは決済事業者によって指定されたタイミングや、送金元の利用者が選択した日付であってもよい。
【0078】
なお、送金管理装置101は、送金IDを割り当てられた利用者について、精算識別情報の有効性を定期的に確認するようにしてもよい。また、送金管理装置101は、送金IDの割り当て時に本人確認を行ってもよい。また、送金管理装置101は、送金IDを、送金元IDと送金先IDとの2つのIDに区別し、送金者と受取者を区別するようにしてもよい。また、送金管理装置101は、複数回の送金があった場合にそれらにおける出金及び入金を相殺して精算額を調整してもよい。また、送金管理装置101は、利用者に対して送金履歴データベース6012の情報を適宜参照可能としてもよい。さらに、送金管理装置101は、送金処理のステータスについて管理してもよい。具体的には、送金管理装置101は、各送金処理のステータス(例えば、「送金指示受付」、「送金処理中」、及び「送金完了」など)を、送金者若しくは受取者の要求又はステータスの変化に応じて、送信者及び受取者に通知してもよい。
【0079】
図10を参照して、送金システム10における処理の概略について説明する。ここでは、
図2で説明した利用者A1から利用者A2への送金について説明する。利用者A1が利用者端末103aを操作し、利用者A2が利用者端末103bを操作し、決済事業者Aが決済事業者装置102aを操作又は管理するものとして説明する。
【0080】
ステップS1001において、精算識別情報取得部603は、利用者端末103aから精算識別情報として利用者A1のカード番号を取得する。
【0081】
ステップS1002において、精算識別情報取得部603は、利用者端末103bから精算識別情報として利用者A2のカード番号を取得する。
【0082】
ステップS1003において、送金識別情報割当部604は、それぞれのカード番号に送金IDを割り当てる。
【0083】
ステップS1004において、送金情報取得部605は、
図11に示されるような送金画面1100を生成するための情報を送信する。
【0084】
送金画面1100は、入力欄11011,11012,11013、選択欄11014a,11014b,11015、及び表示欄11021a,11021bを有する。
【0085】
入力欄11011,11012,11013を通じて、送金元、送金先、及び送金額が入力可能となる。
【0086】
選択欄11014a,11014bは、利用者端末103における画面操作によって選択可能な領域であり、一括又は即時の項目を利用者が選択可能である。表示欄11021a,11021bは、送金元、送金先、及び送金タイミングに応じた手数料が表示される部分である。この表示は送金元、送金先、及び送金タイミングの入力内容及び選択内容に応じて動的に変化し得る。
【0087】
選択欄11015は、手数料負担者として「送金元」又は「送金先」が例えばプルダウンリストから選択される。
【0088】
送金元の利用者は、送金画面1100を通じて送金情報を入力し送金管理装置101に送信することができる。さらに、送金元の利用者は、送金画面1100を通じて、送金タイミングを送金管理装置101に送信することができる。
図11の例では、送金タイミングが一括として選択された状況が示されている。
【0089】
ステップS1005において、送金情報取得部605は、利用者端末103aから送金情報を取得する。また、タイミング指示取得部614は、利用者端末103aぁら送金タイミングを取得する。
【0090】
ステップS1006において、出金情報生成部606は、送金情報に基づいて、出金情報を生成する。
【0091】
ステップS1007において、入金情報生成部607は、送金情報に基づいて、入金情報を生成する。
【0092】
ステップS1008において、送金情報取得部605、タイミング指示取得部614がそれぞれ、送金履歴データベース6012を更新する。
【0093】
ステップS1009において、精算予定額加算部608が、送金元利用者の精算予定額を加算する情報(精算額加算情報)を生成する。
【0094】
ステップS1010において、精算予定額減算部609が、送金先利用者の精算予定額を減算する情報(精算額加算情報)を生成する。
【0095】
ステップS1011において、精算予定額加算部608が、精算額加算情報を決済事業者装置102aに送信する。
【0096】
ステップS1012において、精算予定額減算部609が、精算額減算情報を決済事業者装置102aに送信する。
【0097】
ステップS1013において、決済事業者装置102aの精算額更新部303が、各利用者の精算額を更新する。その後、精算額に応じた引き落とし又は入金が行われ精算が完了する。
【0098】
図12を参照して、即時に口座振替を行う送金が実行される場合を説明する。ステップS1201において、精算識別情報取得部603は、利用者端末103aから精算識別情報として利用者A1のカード番号及び口座情報を取得する。
【0099】
ステップS1202において、精算識別情報取得部603は、利用者端末103bから精算識別情報として利用者A2のカード番号及び口座情報を取得する。
【0100】
ステップS1203からステップS1208までの処理はステップS1003からS1008と同様である。ただし、この場合、送金タイミングとして即時が選択されている点が異なる。
【0101】
ステップS1209において、送金額引落部610が、送金元利用者の口座から送金額に応じた金額を引き落とすことを示す情報(引き落とし情報)を生成する。
【0102】
ステップS1210において、送金額入金部611が、送金先利用者の口座に送金額に応じた金額を入金することを示す情報(振り込み情報)を生成する。
【0103】
ステップS1211において、送金額引落部610が、引き落とし情報を金融機関装置104aに送信する。
【0104】
ステップS1212において、金融機関装置104aが、引き落とし情報に基づいて、送金額を送金元の利用者の口座から引き落とす。
【0105】
ステップS1213において、送金額入金部611が、振り込み情報を金融機関装置104bに送信する。
【0106】
ステップS1214において、金融機関装置104bが、引き落とし情報に基づいて、送金額を送金先の利用者の口座に振り込む。これにより、送金が完了する。
【0107】
図10の処理と
図12の処理とは併用することが可能であり、送金管理装置101は、送金タイミングに応じて、一括精算の場合の
図10の処理又は即時精算の場合の
図12の処理を選択的に実行することができる。
【0108】
図13を参照して、送金先の利用者が、送金管理装置101にて送金IDが割り当てられていない場合の送金手順の一例について説明する。
【0109】
ステップS1301において、精算識別情報取得部603は、利用者端末103aから精算識別情報として利用者A1のカード番号を取得する。
【0110】
ステップS1302において、送金識別情報割当部604は、送金元の利用者のカード番号に送金IDを割り当てる。
【0111】
ステップS1303において、送金情報取得部605は、送金画面を生成するための情報(送金画面情報)を送信する。このとき、送金情報取得部605は、送金画面において、送金先の送金IDに替えて、送金先利用者のカード番号が入力可能な送金画面情報を生成し、送信する。
【0112】
ステップS1304において、送金情報取得部605は、利用者端末103aから送金先利用者のカード番号を含む送金情報を取得する。また、タイミング指示取得部614は、利用者端末103aぁら送金タイミングを取得する。
【0113】
ステップS1305において、送金識別情報割当部604は、送金先利用者のカード番号(精算識別情報)に対して、送金IDを割り当てる。
【0114】
ステップS1306からステップS1310までの処理は、ステップ1006からステップS1010と同様である。
【0115】
仮に、利用者端末103bが利用者A1と同一の決済事業者にて管理される利用者A2ではなく、利用者Bのように他の決済事業者に管理される場合、送金管理装置101は、精算額加算情報及び精算額減算情報をそれぞれの決済事業者装置102に送信する。ここでは、送金先に対応する決済事業者が決済事業者装置102cを管理しているものとする。
【0116】
ステップS1311において、精算予定額加算部608が、精算額加算情報を決済事業者装置102aに送信する。
【0117】
ステップS1312において、精算予定額減算部609が、精算額減算情報を決済事業者装置102cに送信する。
【0118】
ステップS1313において、決済事業者装置102aの精算額更新部303が、利用者A1の精算額を更新する。
【0119】
ステップS1314において、決済事業者装置102cの精算額更新部303が、送金先利用者の精算額を更新する。その後、決済事業者装置102a,決済事業者装置102cのそれぞれによって精算額に応じた引き落とし又は入金が行われ精算が完了する。
【0120】
以上、本発明の実施形態について説明した。本実施形態に係る送金管理装置101は、決済事業者に関連付けられた第1ユーザの第1精算識別情報と第2ユーザの第2精算識別情報とを取得する精算識別情報取得部603と、第1ユーザから第2ユーザへの送金のために第1ユーザと第2ユーザとを識別する第1送金識別情報及び第2送金識別情報のうち、第1送金識別情報を第1精算識別情報に割り当て、第2送金識別情報を第2精算識別情報に割り当てる、送金識別情報割当部604と、第1ユーザから第2ユーザへの送金を示し、第1送金識別情報と第2送金識別情報と送金額とを含む送金情報を第1ユーザから取得する送金情報取得部605と、送金情報に基づいて、第1送金識別情報が割り当てられた第1精算識別情報に第1ユーザからの送金額が関連付けられた出金情報を生成する出金情報生成部606と、送金情報に基づいて、第2送金識別情報が割り当てられた第2精算識別情報に第1ユーザからの送金額が関連付けられた入金情報を生成する入金情報生成部と607と、を備える。
【0121】
第1ユーザから第2ユーザへの送金は、それぞれのユーザの精算識別情報に割り当てられた送金識別情報の間での送金を示す送金情報によって管理される。送金情報に基づいて、第1ユーザ(送金元)の精算識別情報を含む出金情報及び第2ユーザ(送金先)の精算識別情報を含む入金情報が生成される。出金情報及び入金情報に基づく情報を、例えば、ユーザの口座に関する情報を有する決済事業者又は金融機関に送信することによって、送金を完了させることが可能となる。これにより、送金管理装置101は、ユーザの口座情報を管理する必要なくユーザ間の送金を可能とする。よって、送金管理装置101の運用に係るコストが抑えられ、送金管理装置101は、ユーザ間の送金手数料を低減させることが可能となる。
【0122】
また、送金管理装置101は、出金情報に基づいて、第1ユーザの決済事業者での第1精算予定額に、送金額に応じた金額を加算することを示す情報を生成する、精算予定額加算部608と、入金情報に基づいて、第2ユーザの決済事業者での第2精算予定額から、送金額に応じた金額を減算することを示す情報を生成する、精算予定額減算部609と、をさらに備える。
【0123】
これにより、例えばクレジットカード決済を行う決済事業者が、精算額の調整という方法によって送金を実現することができ、現実の口座間での送金を必要としないため、送金手数料をより低減させることができる。
【0124】
また、送金管理装置101は、出金情報と送金元の口座情報とに基づいて、送金元の口座から送金額に応じた金額を引き落とすことを示す情報を生成する、送金額引落部610と、入金情報と送金先の口座情報とに基づいて、送金先の口座に送金額に応じた金額を入金することを示す情報を生成する、送金額入金部611と、をさらに備える。これにより、送金管理装置101が直接口座を管理せずとも、口座間で即時の振込を行うことが可能となるので、ユーザが即時の送金を希望する場合であっても、送金管理装置101は、送金手数料を抑えつつユーザ間の送金を可能にできる。
【0125】
また、決済事業者は第1決済事業者及び第2決済事業者を含み、第1精算識別情報は第1決済事業者に関連付けられ、第2精算識別情報は第2決済事業者に関連付けられる。これにより、異なる決済事業者に関連付けられたユーザ間での送金が可能となるので、ユーザの利便性が向上する。
【0126】
また、送金管理装置101では、送金情報取得部605は、第1ユーザから第3ユーザへの送金を示し、第1送金識別情報と決済事業者に関連付けられた第3ユーザの第3精算識別情報と第2送金額とを含む第2送金情報を第1ユーザから取得する。さらに送金管理装置101では、送金識別情報割当部604は、第2送金情報に基づいて、第3ユーザの第3送金識別情報を第3精算識別情報に割り当て、入金情報生成部607は、第2送金情報に基づいて、第3送金識別情報が割り当てられた第3精算識別情報に第1ユーザからの第2送金額が関連付けられた第2入金情報を生成する。
【0127】
これにより、送金管理装置101において送金識別情報として送金IDが割り当てられていないユーザへの送金情報があった場合でも、当該ユーザの精算識別情報を送金元のユーザから取得し、新たに送金IDを発行した上で送金を完了できる。よって、ユーザの利便性が向上する。
【0128】
また、送金管理装置101は、送金情報に基づく送金が、第1タイミングにて実行される場合の第1手数料を示す第1手数料情報及び第2タイミングにて実行される場合の第2手数料を示す第2手数料情報を取得する手数料情報取得部612と、送金情報に基づいて、第1ユーザに第1手数料情報及び第2手数料情報を送信する手数料情報送信部613と、第1手数料情報及び第2手数料情報に基づいて第1ユーザにより選択された、第1タイミング又は第2タイミングを示す送金タイミング情報を第1ユーザから取得するタイミング指示取得部614と、をさらに備え、出金情報生成部606は、送金タイミング情報に基づいて出金情報を生成し、入金情報生成部607は、送金タイミング情報に基づいて入金情報を生成する。
【0129】
これによれば、送金元の第1ユーザは、例えば、即時に銀行口座への送金を行う場合の手数料又はクレジットカードの精算にあわせて事後的に送金の精算を行う場合の手数料に応じて、送金タイミングを選択できる。これにより、送金元のユーザは、自身の経済的都合や、送金先ユーザの希望に合わせた送金を行うことが可能となり、送金システム10の利便性が向上する。
【0130】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0131】
10…送金システム、101…送金管理装置、102…決済事業者装置、103…利用者端末、104…金融機関装置、603…精算識別情報取得部、604…送金識別情報割当部、605…送金情報取得部、606…出金情報生成部、607…入金情報生成部、608…精算予定額加算部、609…精算予定額減算部、610…送金額引落部、611…送金額入金部、612…手数料情報取得部、613…手数料情報送信部、614…タイミング指示取得部