(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ロッドを固定するための把持溝を有するインプラント受容部及びコネクタ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20250109BHJP
A61B 17/86 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61B17/70
A61B17/86
(21)【出願番号】P 2022521411
(86)(22)【出願日】2020-10-12
(86)【国際出願番号】 IB2020059555
(87)【国際公開番号】W WO2021070154
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-08-30
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514046806
【氏名又は名称】メドス・インターナショナル・エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】Medos International SARL
【住所又は居所原語表記】Chemin-Blanc 38, CH-2400 Le Locle, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】リー・ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブズ・サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】オルティス・オーブリー
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-304180(JP,A)
【文献】特開平08-280707(JP,A)
【文献】特表2019-517851(JP,A)
【文献】特開2019-030660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56-17/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラントであって、
ロッド受容凹部を有する本体であって、前記本体が
、第1の側部及び第2の側部を有し、
前記第1の側部及び前記第2の側部が、それらの間に前記ロッド受容凹部を画定し、前記ロッド受容凹部
に配置されたロッドが、前記第1の側
部と前記第2の側
部との間に延在している中央長手方向ロッド軸を画定し、前記ロッド受容凹部の少なくとも一部分が、前記インプラントの内面によって形成され、前記内面が、互いにかつ前記中央長手方向ロッド軸と平行に延在している2つの把持溝を画定し、
各把持溝は、前記把持溝が前記内面と交差する2つの縁部を画定し、前記2つの把持溝の4つ
の縁部が共に、前記中央長手方向ロッド軸を中心とした円形の半径を画定する、本体と、
前記本体に対して移動し、前記中央長手方向ロッド軸に対して垂直である力を前記ロッド受容凹部内の
前記ロッドに対して及ぼし、かつ前記ロッドを前記2つの把持溝の前記4つの縁部に対して係合させるように構成された保持部材であって、
前記ロッドに対する前記
2つの把持溝の前記4つの縁部の前記係合が、前記中央長手方向ロッド軸を中心とした前記ロッドの回転移動を制限する役割を果たす、保持部材と、を備
え、
前記ロッド受容凹部が、前記ロッド受容凹部内の前記ロッドに対する前記力が、前記4つの縁部が前記ロッドに係合するところで前記4つの縁部及び前記ロッドの一方又は両方を撓ませることを可能にするようにサイズ決定され位置付けられた、前記2つの把持溝の間の空隙を画定し、前記撓みが、前記ロッドを前記空隙の中へ移動させる、インプラント。
【請求項2】
前記2つの把持溝の間の前記ロッド受容凹部の前記内面が、前記ロッドの半径よりも大きい距離だけ前記中央長手方向ロッド軸から離れて位置付けられている、請求項
1に記載のインプラント。
【請求項3】
インプラントであって、
ロッド受容凹部を有する本体であって、前記本体が、第1の側部及び第2の側部を有し、前記第1の側部及び前記第2の側部が、それらの間に前記ロッド受容凹部を画定し、前記ロッド受容凹部に配置されたロッドが、前記第1の側部と前記第2の側部との間に延在している中央長手方向ロッド軸を画定し、前記ロッド受容凹部の少なくとも一部分が、前記インプラントの内面によって形成され、前記内面が、互いにかつ前記中央長手方向ロッド軸と平行に延在している2つの把持溝を画定し、
各把持溝は、前記把持溝が前記内面と交差する2つの縁部を画定し、前記2つの把持溝の4つの縁部が共に、前記中央長手方向ロッド軸を中心とした円形の半径を画定する、本体と、
前記本体に対して移動し、前記中央長手方向ロッド軸に対して垂直である力を前記ロッド受容凹部内の前記ロッドに対して及ぼし、かつ前記ロッドを前記2つの把持溝の前記4つの縁部に対して係合させるように構成された保持部材であって、
前記ロッドに対する前記2つの把持溝の前記4つの縁部の前記係合が、前記中央長手方向ロッド軸を中心とした前記ロッドの回転移動を制限する役割を果たす、保持部材と、を備え、
前記本体に形成された空洞に配置された圧迫部材を備え、前記圧迫部材が、前記ロッド受容凹部の少なくとも一部分を画定する内面を有し、前記圧迫部材の内面が、その中に形成された前記2つの把持溝を有する
、インプラント。
【請求項4】
前記
2つの把持溝が、前記中央長手方向ロッド軸の方向に、前記ロッド受容凹部の前記内面の全長に沿って延在している、請求項1に記載のインプラント。
【請求項5】
前記
2つの把持溝が、前記中央長手方向ロッド軸に関して前記保持部材に対向して位置付けられている、請求項1に記載のインプラント。
【請求項6】
前記ロッド受容凹部が、前記ロッドを受け入れるようにサイズ決定された開放端、及び前記ロッドに接触するようにサイズ決定された閉鎖端を画定し、前記
2つの把持溝が、前記開放端から前記閉鎖端まで延在している軸の周りに対称に配置されている、請求項1に記載のインプラント。
【請求項7】
前記インプラントの前記本体が、前記ロッド受容凹部を形成する前記内面を画定する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項8】
前記
2つの把持溝と前記内面との間の前記交差が、鋭い縁部を画定する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項9】
インプラントであって、
ロッド受容凹部を有する本体であって、前記本体が、第1の側部及び第2の側部を有し、前記第1の側部及び前記第2の側部が、それらの間に前記ロッド受容凹部を画定し、前記ロッド受容凹部に配置されたロッドが、前記第1の側部と前記第2の側部との間に延在している中央長手方向ロッド軸を画定し、前記ロッド受容凹部の少なくとも一部分が、前記インプラントの内面によって形成され、前記内面が、互いにかつ前記中央長手方向ロッド軸と平行に延在している2つの把持溝を画定し、
各把持溝は、前記把持溝が前記内面と交差する2つの縁部を画定し、前記2つの把持溝の4つの縁部が共に、前記中央長手方向ロッド軸を中心とした円形の半径を画定する、本体と、
前記本体に対して移動し、前記中央長手方向ロッド軸に対して垂直である力を前記ロッド受容凹部内の前記ロッドに対して及ぼし、かつ前記ロッドを前記2つの把持溝の前記4つの縁部に対して係合させるように構成された保持部材であって、
前記ロッドに対する前記2つの把持溝の前記4つの縁部の前記係合が、前記中央長手方向ロッド軸を中心とした前記ロッドの回転移動を制限する役割を果たす、保持部材と、を備え、
前記内面が、少なくとも1つの把持溝と交差する溝を画定し、前記溝の前記交差が、前記少なくとも1つの把持溝の前記縁部を分割し、前記ロッドが前記
4つの縁部と係合したときに、前記中央長手方向ロッド軸に沿った前記ロッドの並進に抵抗するための4つの隅部を画定する
、インプラント。
【請求項10】
前記少なくとも1つの把持溝と交差する前記溝が、前記
少なくとも1つの把持溝に対して垂直に配向されている、請求項9に記載のインプラント。
【請求項11】
インプラントであって、
ロッド受容凹部を有する本体であって、前記本体が、第1の側部及び第2の側部を有し、前記第1の側部及び前記第2の側部が、それらの間に前記ロッド受容凹部を画定し、前記ロッド受容凹部に配置されたロッドが、前記第1の側部と前記第2の側部との間に延在している中央長手方向ロッド軸を画定し、前記ロッド受容凹部の少なくとも一部分が、前記インプラントの内面によって形成され、前記内面が、互いにかつ前記中央長手方向ロッド軸と平行に延在している2つの把持溝を画定し、
各把持溝は、前記把持溝が前記内面と交差する2つの縁部を画定し、前記2つの把持溝の4つの縁部が共に、前記中央長手方向ロッド軸を中心とした円形の半径を画定する、本体と、
前記本体に対して移動し、前記中央長手方向ロッド軸に対して垂直である力を前記ロッド受容凹部内の前記ロッドに対して及ぼし、かつ前記ロッドを前記2つの把持溝の前記4つの縁部に対して係合させるように構成された保持部材であって、
前記ロッドに対する前記2つの把持溝の前記4つの縁部の前記係合が、前記中央長手方向ロッド軸を中心とした前記ロッドの回転移動を制限する役割を果たす、保持部材と、を備え、
少なくとも1つの把持溝が、中に形成された1つ又は2つ以上の突起を有する内面を画定し、前記1つ又は2つ以上の突起は、前記ロッドが前記
2つの把持溝の前記
4つの縁部と係合したときに前記ロッドに接触するように配置された縁部へと延在している
、インプラント。
【請求項12】
前記
2つの把持溝が、前記内面から延在している突起によって形成されている、請求項1に記載のインプラント。
【請求項13】
前記インプラントが、コネクタを備え、前記ロッド受容凹部が、第1のロッド受容凹部であり、前記本体が、第2のロッド受容凹部を画定し、前記第1のロッド受容凹部及び前記第2のロッド受容凹部の一方又は両方が、前記2つの把持溝を有し、前記本体が、間に延在している近位-遠位軸を画定する近位端及び遠位端を有し、
前記保持部材が、前記本体に形成されたトンネル内に摺動可能に配置され、かつロッドプッシャ軸に沿って前記本体に対して並進するように構成されている、請求項1に記載のインプラント。
【請求項14】
前記第2のロッド受容凹部が、前記本体の一対の離間されたアームによって画定されている、請求項
13に記載のインプラント。
【請求項15】
前記第1のロッド受容凹部が、遠位方向に開放され、前記第2のロッド受容凹部が、近位方向に開放されている、請求項
13に記載の
インプラント。
【請求項16】
前記ロッドプッシャ軸が、前記近位-遠位軸に対して実質的に垂直である、請求項
13に記載の
インプラント。
【請求項17】
第1のロッドを前記第1のロッド受容凹部内に係止し、かつ第2のロッドを前記第2のロッド受容凹部内に係止するために、前記本体にねじ込み可能に受容される止めねじを更に備える、請求項
13に記載の
インプラント。
【請求項18】
前記インプラントが、骨アンカー組立体を備え、前記本体が、前記骨アンカー組立体の受容部材を備え、前記保持部材が、止めねじ又は係止要素を備える、請求項1に記載のインプラント。
【請求項19】
インプラントであって、
ロッド受容凹部を有する本体であって、前記本体が
、第1の側部及び第2の側部を有し、
前記第1の側部及び前記第2の側部が、それらの間に前記ロッド受容凹部を画定し、前記ロッド受容凹部
に配置されたロッドが、前記第1の側
部と前記第2の側
部との間に延在している中央長手方向ロッド軸を画定する、本体と、
前記
ロッド受容凹部の開放端に位置付けられるように構成され、かつ前記ロッド受容凹部に配置された
前記ロッドに接触するための内面を画定する把持インサートであって、前記内面が、互いにかつ前記中央長手方向ロッド軸と平行に延在している2つの把持溝を画定し、各把持溝は、前記把持溝が前記内面と交差する2つの縁部を画定し、前記2つの把持溝の4つ
の縁部が共に、前記中央長手方向ロッド軸を中心とした円形の半径を画定する、把持インサートと、
前記本体に対して移動し、前記ロッド受容凹部内の
前記ロッドに対して力を及ぼし、かつ前記
2つの把持
溝の前記4つの縁部を前記ロッドに係合させるように構成された保持部材であって、
前記ロッドに対する前記
2つの把持溝の前記4つの縁部の前記係合が、前記中央長手方向ロッド軸を中心とした前記ロッドの回転移動を制限する役割を果たす、保持部材と、を備える、インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
改善されたロッド固定のための把持溝を有するインプラント受容部及びコネクタが本明細書で開示される。
【背景技術】
【0002】
固定システムは、複数の骨又は骨片間の所望の空間的関係を維持するために整形外科手術で使用することができる。例えば、脊椎固定システムを1つ又は2つ以上の椎骨に取り付けることによって、骨折、変形、及び変性疾患などの脊椎の様々な症状を治療することができる。こうしたシステムは、典型的には、要素をねじ、フック、又はワイヤなどの様々なアンカー装置に取り付けることによって椎骨に連結される、剛性又は可撓性のロッド又はプレートなどの脊椎固定要素を含む。一旦設置されると、この固定システムは、治癒若しくは脊椎固定が生じ得るまでか、又は何らかの他の期間、椎骨を所望の位置に保持する。
【0003】
ねじ及びロッド脊椎固定構築物では、インプラントされた構築物の安定性は、本体が有効レベルにわたって骨の融合を達成する際に重要である。インプラントされた構築物の不安定性、又はその中での運動は、偽関節「癒着不能(non-union)」をもたらし得、その場合、新たな骨形成は、ねじ及びロッド構築物が受ける負荷を引き継ぐことができない。構築物が装着された椎骨の間に許容される運動が大き過ぎる場合は、成長活動が妨げられ、新しい骨は、互いに対して常に移動している2つの本体の間で融合することができない。この問題を解決して、安定した固定、多軸ねじ頭、ロッド対ロッド、及びねじ頭対ロッドコネクタを提供するために、全てをロッドに対して確実に保持することが必要である。これらのインプラントは、構築物内の長手方向ロッドに対する運動に抵抗しなければならず、運動としては、ロッドの摺動、回転、又はコネクタ若しくは骨ねじからの引き抜きが挙げられる。
【0004】
複数のインプラントを互いに接続することが望ましくあり得る多くの場合がある。例えば、一部の再置換手術は、新たに設置された脊椎ロッドを以前に設置されたロッドに連結することによって、以前に設置された構築物を更なる椎骨レベルまで延伸させることを伴う。加えて、椎骨インプラント又は構築物が脊椎の頸部及び胸椎領域に固定された状態で、ロッド間コネクタを使用して、頸部及び胸椎領域内の構築物間又はインプラント間の移行部を橋架することができる。この実施例において、及び他の移行領域において、インプラントを互いに接続している1つ又は複数のロッド上でのインプラントの間のねじれ滑りは、深刻なリスクであり、これは、日常的かつ反復的な運動、例えば、患者が自分の頭部をねじることによって生じ得る。更なる例として、患者の解剖学的構造、使用される外科技術、又は所望の矯正の態様は、複数の脊椎ロッドを相互に接続することを必要とする場合がある。更に別の例として、複数のロッドを互いに連結することにより、植え込まれた構築物の全体的な強度及び安定性を改善することができる。
【0005】
複数のインプラントを互いに接続することに関連する様々な困難が存在し得る。植え込まれた構築物のために使用可能な空間は、特に脊椎の頸部領域において非常に制限されることが多い。また、手術創部内でこれらの比較的小さいインプラントを操作して取り扱うことは、外科医にとって困難又は面倒である場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
改善されたインプラントコネクタ及び関連する方法の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の特定の実施例は、ロッド受容凹部を有する本体を有するインプラントを含み、本体は、ロッド受容凹部への開口部を画定する第1の側部及び第2の側部を有し、ロッド受容凹部は、第1の側部の開口部と第2の側部の開口部との間に延在している中央長手方向ロッド軸を画定する。ロッド受容凹部の少なくとも一部分は、インプラントの内面によって形成することができ、内面は、互いにかつ中央長手方向ロッド軸と平行に延在している2つの把持溝を画定する。各把持溝は、把持溝が内面と交差する2つの縁部を画定し、2つの把持溝の4つの縁部は共に、中央長手方向ロッド軸を中心とした円形の半径を画定する。インプラントはまた、本体に対して移動し、中央長手方向ロッド軸に対して垂直であり得る力をロッド受容凹部内のロッドに対して及ぼし、かつロッドを2つの把持溝の4つの縁部に対して係合させるように構成された保持部材も含む。加えて、ロッドに対する把持溝の4つの縁部の係合は、中央長手方向ロッド軸を中心としたロッドの回転移動を抑制することができる。
【0008】
一部の実施例では、ロッド受容凹部は、ロッド受容凹部内のロッドに対する力が、縁部がロッドに係合するところで縁部及びロッドの一方又は両方を撓ませることを可能にするようにサイズ決定され位置付けられた、2つの把持溝の間の空隙を画定し、撓みは、ロッドを空隙の中へ移動させる。2つの把持溝の間のロッド受容凹部の内面は、ロッドの半径よりも大きい距離だけ中央長手方向ロッド軸から離れて位置付けられることができる。
【0009】
一部の実施例では、インプラントは、本体に形成された空洞に配置された圧迫部材を備え、圧迫部材は、ロッド受容凹部の少なくとも一部分を画定する内面を有し、圧迫部材の内面は、その中に形成された2つの把持溝を有する。一部の実施例では、把持溝は、中央長手方向ロッド軸の方向に、ロッド受容凹部の内面の全長に沿って延在している。一部の実施例では、把持溝は、中央長手方向ロッド軸に関して保持部材に対向して位置付けられている。
【0010】
ロッド受容凹部は、ロッドを受け入れるようにサイズ決定された開放端、及びロッドに接触するようにサイズ決定された閉鎖端を画定することができ、把持溝は、開放端から閉鎖端まで延在している軸の周りに対称に配置されている。インプラントの本体は、ロッド受容凹部を形成する内面を画定することができる。一部の実施例では、把持溝と内面との間の交差は、鋭い縁部を画定する。
【0011】
内面は、少なくとも1つの把持溝と交差する溝を画定することができ、溝の交差は、少なくとも1つの把持溝の縁部を分割し、ロッドが縁部と係合したときに、中央長手方向ロッド軸に沿ったロッドの並進に抵抗するための4つの隅部を画定する。一部の実施例では、少なくとも1つの把持溝と交差する溝は、把持溝に対して垂直に配向されている。
【0012】
把持溝は、内面から延在している突起によって形成することができる。一部の実施例では、少なくとも1つの把持溝は、中に形成された1つ又は2つ以上の突起を有する内面を画定し、1つ又は2つ以上の突起は、ロッドが把持溝の縁部と係合したときにロッドに接触するように配置された縁部へと延在している。
【0013】
一部の実施例では、インプラントはコネクタを備え、ロッド受容凹部は、第1のロッド受容凹部であり、本体は、第2のロッド受容凹部を画定し、第1のロッド受容凹部及び第2のロッド受容凹部の一方又は両方は、2つの把持溝を有する。本体は、間に延在している近位-遠位軸を画定する近位端及び遠位端を有し、保持部材は、本体に形成されたトンネル内に摺動可能に配置され、かつロッドプッシャ軸に沿って本体に対して並進するように構成されている。
【0014】
一部の実施例では、第2のロッド受容凹部は、本体の一対の離間されたアームによって画定されている。第1のロッド受容凹部は、遠位方向に開放され得、第2のロッド受容凹部は、近位方向に開放され得る。ロッドプッシャ軸は、近位-遠位軸に対して実質的に垂直であってもよい。一部の実施例では、インプラントは、第1のロッドを第1のロッド受容凹部内に係止し、かつ第2のロッドを第2のロッド-受容凹部内に係止するために、本体にねじ込み可能に受容される止めねじを更に備える。
【0015】
インプラントは、骨アンカー組立体を備えることができ、本体は、骨アンカー組立体の受容部材を有し、保持部材は、止めねじ又は係止要素を有する。
【0016】
本開示の別の実施例は、ロッド受容凹部を有する本体と、受容凹部の開放端に位置付けられるように構成された把持インサートと、本体に対して移動するように構成された保持部材と、を有するインプラントである。本体は、ロッド受容凹部への開口部を画定する第1の側部及び第2の側部を有し、ロッド受容凹部は、第1の側部の開口部と第2の側部の開口部との間に延在している中央長手方向ロッド軸を画定する。把持インサートは、ロッド受容凹部に配置されたロッドに接触するための内面を有し、内面は、互いにかつ中央長手方向ロッド軸と平行に延在している2つの把持溝を画定し、各把持溝は、把持溝が内面と交差する2つの縁部を画定し、2つの把持溝の4つの縁部は共に、中央長手方向ロッド軸を中心とした円形の半径を画定する。保持部材は、ロッド受容凹部内のロッドに対して力を及ぼし、かつ把持の4つの縁部をロッドに係合するように構成されることができ、ロッドに対する把持溝の4つの縁部の係合は、中央長手方向ロッド軸を中心としたロッドの回転移動を抑制する役割を果たす。
【0017】
上述した特徴又は変形例のいずれも、多くの異なる組み合わせで、本開示の任意の特定の実施例に適用することができる。任意の特定の組み合わせの明確な記述はないが、それは単に本概要での重複を回避するためである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】従来技術による骨アンカー組立体の斜視図である。
【
図2B】第1の脊椎ロッド及び第2の脊椎ロッドと共に示される、
図2Aのコネクタの分解斜視図である。
【
図2C】第1の構成にある
図2Aのコネクタの側断面図である。
【
図2D】第1の構成にある
図2Aのコネクタの断面上面図である。
【
図2E】第2の構成にある
図2Aのコネクタの側断面図である。
【
図2F】第2の構成にある
図2Aのコネクタの断面上面図である。
【
図2G】第3の構成にある
図2Aのコネクタの側断面図である。
【
図2H】第3の構成にある
図2Aのコネクタの断面上面図である。
【
図2I】第1の脊椎ロッド及び第2の脊椎ロッドに連結された、
図2Aのコネクタの側面図である。
【
図2J】サドルと共に示される、
図2Aのコネクタの斜視図である。
【
図2K】第1の脊椎ロッド及び第2の脊椎ロッドと共に示される、
図2Jのコネクタ及びサドルの分解斜視図である。
【
図2L】第1の脊椎ロッド及び第2の脊椎ロッドに連結された、
図2Jのコネクタ及びサドルの側断面図である。
【
図3A】ロッド凹部が2つの把持溝を有するコネクタの一実施形態の断面図である。
【
図3C】
図3Aのコネクタのロッド受容凹部の把持溝の断面図である。
【
図4A】従来技術によるロッド受容凹部の断面図である。
【
図4B】V字形状の把持溝を有するロッド受容凹部の一実施形態の断面図である。
【
図4C】把持溝を有する及び有しないロッドの位置の比較を示す、
図4Bのロッド受容凹部の断面図である。
【
図4D】ロッドが
図4Bのロッド受容凹部内に位置付けられたときに、
図4Bの2つの把持溝の縁部によって形成された接触線を示す、ロッドの斜視図である。
【
図4E】セグメント化された把持溝を有するロッド受容凹部の一実施形態の表面の斜視図である。
【
図4G】
図4Eのセグメント化された把持溝と係合されたロッド上の接点の概略図である。
【
図4H】ロッドが
図4Eのロッド受容凹部内に位置付けられたときの、
図4Eの2つのセグメント化された把持溝の縁部によって形成された接触線を示す、ロッドの表面の斜視図である。
【
図5A】代替の形状の把持溝を有するロッド受容凹部の一実施形態の断面図である。
【
図5B】突起によって形成された把持溝を有するロッド受容凹部の一実施形態の断面図である。
【
図6A】ロッド受容凹部、及び把持溝を有するロッドプッシャの一実施形態の断面図である。
【
図6B】ロッド受容凹部の、及びロッドプッシャが把持溝を有する代替の実施形態の断面図である。
【
図6C】ロッド受容凹部及びロッドプッシャがどちらも把持溝を有する一実施形態の断面図である。
【
図7A】把持溝の縁部に対して垂直に把持溝内でロッドに接触するように配置された内部突起を有する、単一の把持溝の一実施形態の断面図である。
【
図7B】内部突起の垂直縁部を示す
図7Aの把持溝を上から見た図である。
【
図7C】ロッドが把持溝と係合したときにロッドに接触する内部突起の縁部を示す、
図7Aの把持溝の断面図である。
【
図7D】内部突起を有する
図7Aの2つの把持溝の縁部によって形成された接触線を示す、ロッドの斜視図である。
【
図7E】2つの異なる構成を有する内部突起を有する単一の把持溝の実施形態の断面図である。
【
図7F】2つの異なる構成を有する内部突起を有する単一の把持溝の実施形態の断面図である。
【
図8A】従来技術によるロッド受容凹部の断面図である。
【
図8B】2つの把持溝を有するロッド受容凹部の一実施形態の断面図である。
【
図8C】ロッド受容凹部、及び2つの把持溝を有するロッド係合要素の一実施形態の断面図である。
【
図8D】ロッド受容凹部、及び2つの把持溝を有するロッド係合要素の代替の実施形態の断面図である。
【
図9】2つの把持溝を有するロッド受容凹部を有する受容部材の一実施形態の斜視図である。
【
図10】2つの周方向溝を有するロッド受容凹部を有する受容部材の一実施形態の斜視図である。
【
図11A】2つのセグメント化された把持溝が2つの把持溝及び2つの周方向溝の交差によって形成されたロッド受容凹部を有する受容部材の一実施形態の斜視図である。
【
図11B】2つのセグメント化された把持溝が2つの把持溝及び2つの周方向溝の交差によって形成されたロッド受容凹部を有する受容部材の一実施形態の斜視図である。
【
図12】2つの把持溝が複数の内部突起を有するロッド受容凹部を有する受容部材の一実施形態の斜視図である。
【
図13】ロッド受容凹部が2つの把持溝を有するコネクタの一実施形態の断面図である。
【
図14】圧迫部材が、ロッド受容凹部、及び2つの把持溝を有するロッド係合要素を形成している骨アンカー組立体の一実施形態の断面図である。
【
図15】固定システムが取り付けられた人間の脊椎の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
把持溝を有するインプラント及び関連する方法が本明細書で開示される。インプラントは、骨アンカー組立体のコネクタ及び受容部材を含むことができる。一部の実施例では、コネクタは、空間が制限される外科用途におけるコネクタの使用を容易にする低プロファイル部分を含むことができる。一部の実施形態では、コネクタは、例えば、係止前にコネクタを仮位置付けするために、コネクタがロッドに「スナップ嵌め」し、及び/又はロッドに対して「抵抗」することを可能にする、バイアスされたロッドプッシャを含むことができる。
【0020】
本開示の特定の態様は、ロッドに対するインプラントの向上したねじれ把持能力を提供する。提示される一実施例は、ロッド間コネクタであるが、この特徴は、骨アンカー組立体のねじ頭部などの、様々な脊椎インプラントに適用することができる。本開示の態様は、コネクタとロッドとの間に追加の接触線を加える、インプラントのロッドスロットに切り込まれた単一又は複数の長手方向溝を含む。動作中に、係止されると、断面ロッド周辺部のごくわずかな部分が溝にくさび留めされ、溝が切り込まれた両方の縁部をロッドに押し込ませ始める。ロッドの接触がこの溝に対して完全に位置付けられない場合であっても、溝は、平坦面ではなく縁部を提供して、ロッド又はコネクタに及ぼされる力によって回転が生じ始めた場合に、ロッドと擦れ合って、更なる回転を防止する。この材料のマイクロ剪断は、ねじれ把持能力を高める原理である。
【0021】
代替的に、これらの把持溝は、コネクタ、ねじ頭部、又は受容インプラントの代わりに、ロッドの表面にあり得る。加えて、半円形の把持溝は、長方形、直角又は他の角度、台形などの他の幾何学形状とすることができる。
【0022】
軸方向スリップ(長手方向ロッド摺動)把持能力を高めるための把持溝の変形例は、ロッドに対して円周方向の向きに溝を有することである。長手方向及び円周方向の把持溝はまた、組み合わされて、ねじれ抵抗及び軸方向抵抗を高めることができる。結果として生じる特徴は、ペグ又は隅部に相似し得る。
【0023】
ここで、本明細書で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態のうちの1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に例解される。当業者であれば、本明細書で詳細に説明され、添付の図面に示される装置及び方法は、非限定的で例示的な実施形態である点を理解するであろう。例示的な一実施形態に関連して例解又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。
【0024】
図1A~
図1Dは、骨アンカー12、骨アンカー12に連結される、脊椎ロッド22などの脊椎固定要素を受容するための受容部材14、及び受容部材14内に脊椎固定要素を捕捉し、受容部材14に対して脊椎固定要素を固定する閉止機構16を含む、従来技術の骨アンカー組立体10を示す。骨アンカー12は、近位頭部18と、骨に係合するように構成された遠位シャフト20と、を含む。受容部材14は、それらの間に凹部30を画定する一対の離間されたアーム28A、28Bを有する近位端26と、骨アンカー12の近位頭部18を多軸方向に着座させるための内面35及び骨アンカー12の少なくとも一部分が通って延在する開口部を画定する遠位端面34を有する遠位端32と、を有する。閉止機構16は、脊椎固定要素、例えば、脊椎ロッド22を受容部材14内に捕捉して、脊椎固定要素を受容部材14に対して固定するために、アーム28Aとアーム28Bとの間に位置付け可能であり、かつこれらアームに係合することができる。
【0025】
骨アンカー12の近位頭部18は、平面状の近位面36、及びほぼ球形状の遠位面38を有する一般に斜切頭の球体の形状である。例示される骨アンカー組立体は、椎骨の椎弓根又は外側塊に後方植え込みするように設計された多軸骨アンカーである。骨アンカー12の近位頭部18は、近位頭部18及び遠位シャフト20が受容部材14に対して枢動することができるボールジョイント様の構成で受容部材14の遠位端32に係合する。骨アンカー12の近位頭部18の遠位面38及び受容部材14の遠位端32内の接合面は、この構成を容易にする任意の形状を有することができ、形状としては、例えば、球状(図示されるように)、環状、円錐形、円錐台形、及びこれらの形状の任意の組み合わせが挙げられる。
【0026】
骨アンカー12の遠位シャフト20は、骨に係合するように構成されてもよく、例示の実施形態では、骨に係合する雄ねじ山40を含む。ねじ山の数、ピッチ、外径及び内径、並びにねじ山形状を含む、遠位シャフト20のねじ山の形態は、骨との接続を容易にするように選択することができる。例示的なねじ山の形態は、2011年5月18日に出願された米国特許出願公開第2011/0288599号、及び2011年8月25日に出願された米国特許仮出願第61/527,389号に開示されており、どちらも参照により本明細書に組み込まれる。遠位シャフト20はまた、フックを含む、骨に係合するための他の構造を含むこともできる。骨アンカー12の遠位シャフト20は、カニューレ処置することができ、例えば、最小侵襲手技において、ガイドワイヤを通じた骨アンカーの送達を容易にするために、骨アンカーの長さに延在している中央通路又はカニューレを有する。例えば、閉止部材16、受容部材14、及び圧迫部材60(以下で考察される)を含む、骨アンカー組立体の他の構成要素は、ガイドワイヤを通じた送達を可能して、又はドライバ器具の挿入を可能にして、骨アンカーを操作するために、カニューレ処置すること、又は別様に開口部を有することができる。遠位シャフト20はまた、カニューレと連通して骨の内方成長を可能にするか又は骨アンカー12を通した骨セメント若しくは他の材料の分配を可能にする、1つ又は2つ以上の側壁開口部又は開窓を含むこともできる。側壁開口部は、カニューレから遠位シャフト20の側壁を通って半径方向に延在することができる。骨セメントを骨アンカー組立体10に送達するための例示的なシステム、及びセメントの送達を促進するための代替の骨アンカー構成は、2009年10月29日に出願された米国特許出願公開第2010/0114174号で説明されており、参照により本明細書に組み込まれる。骨アンカー12の遠位シャフト20はまた、例えば、ヒドロキシルアパタイトなどの、骨成長を可能にするための材料でコーティングすることもでき、骨アンカー組立体10は、例えば、トリクロサンなどの抗感染材料で、部分的又は全体的にコーティングすることができる。
【0027】
受容部材14の近位端26は、脊椎固定要素、例えば、脊椎ロッド22を受容するためにU字形状の凹部30をそれらの間に画定する一対の離間されたアーム28A、28Bを含む。アーム28A、28Bの各々は、受容部材14の遠位端32から自由端まで延在することができる。アーム28A、28Bの各々の外面は、受容部材14の器具への接続を容易にするために、凹部、くぼみ、ノッチ、突出部などの特徴を含むことができる。例えば、各アーム28A、28Bの外面は、アームのそれぞれの自由端に弓形溝を含むことができる。そのような溝は、2007年2月20日に発行された米国特許第7,179,261号でより詳細に説明されており、参照により本明細書に組み込まれる。受容部材12の近位端面48の少なくとも一部分は、平面Yを画定する。受容部材14は、中央長手方向軸Lを有する。
【0028】
受容部材14の遠位端32は、骨アンカー12の少なくとも一部分が通って延在する円形の開口部を画定する一般に環状の形状の遠位端面34を含む。例えば、骨アンカー12の遠位シャフト20は、開口部を通って延在することができる。遠位端面34の少なくとも一部分は、平面Xを画定する。
【0029】
骨アンカー12は、受容部材14に対して選択的に固定されることができる。固定前に、骨アンカー12は、受容部材の遠位端32と骨アンカー12の近位頭部18との幾何学形状によって一般に画定される角度の円錐内で、受容部材14に対して移動可能である。例示される骨アンカーは、角度の円錐が一方向へ偏っている、望ましい角度の多軸ねじである。このように、骨アンカー12は、受容部材14の中央長手方向軸Lに対して第1の角度Cで、
図1Dにおいて矢印Aによって示される少なくとも第1の方向に、受容部材14に対して移動可能である。骨アンカー12はまた、縦方向軸Lに対して第2の角度Dで、
図1Dにおいて矢印Bによって示される少なくとも第2の方向に移動可能である。第1の角度Cは、第2の角度Dよりも大きく、したがって、骨アンカー12のシャフト20は、矢印Bによって示される方向よりも矢印Aによって示される方向により大きく移動可能である。骨アンカー12の遠位シャフト20は、受容部材14に対する中立軸48を画定する。中立軸48は、遠位端面34によって画定される平面Xに対して垂直とすることができ、骨アンカー12の遠位シャフト20が通って延在する遠位端面34の開口部の中心点と交差する。中立軸48は、受容部材14の中央長手方向軸Lに対してある角度で配向することができる。受容部材14の近位端面48の少なくとも一部分によって画定される平面Yは、受容部材12の遠位端面34の少なくとも一部分によって画定される平面Xと交差する。受容部材14の近位端26は、第1の中央長手方向軸N(長手方向軸Lと一致する)と同軸の近位の第1のボア50と、第2の中央長手方向軸M(中立軸48と一致する)と同軸の遠位の第2のボア52と、を含むことができ、第1の中央長手方向軸N及び第2の中央長手方向軸Mは、互いに交差することができる。平面Xと平面Yとの間の角度及び軸Lと軸Mとの間の角度は、所望の程度のバイアスされた角度を提供するように選択することができる。望ましい角度付き多軸ねじの実施例は、2005年12月13日に発行された米国特許第6,974,460号、及び2004年5月18日に発行された米国特許第6,736,820号でより詳細に説明されており、どちらも参照により本明細書に組み込まれる。代替的に、骨アンカー組立体は、骨アンカーがあらゆる方向において同じ量だけ枢動し、受容部材の中央長手方向軸Lと一致する中立軸を有する、従来の(バイアスされていない)多軸ねじとすることができる。
【0030】
脊椎固定要素、例えば、脊椎ロッド22は、骨アンカー12の近位頭部18に直接接触することができ、又は中間要素、例えば圧迫部材60に接触することができる。圧迫部材60は、受容部材14内で、脊椎ロッド22と骨アンカー12の近位頭部18との間に介在して位置付けられ、近位頭部18の遠位外面38を、受容部材14の遠位内面と直接固定した係合に圧迫することができる。圧迫部材60の近位部分は、脊椎ロッド22を受容するためのU字形状のシート64を画定する一対の離間されたアーム62A及び62Bを含むことができる。圧迫部材60の遠位部分は、遠位向き表面66によって円筒外面68に接続される内筒面67を有する、側壁を含むことができる。
【0031】
圧迫部材60の遠位面66の少なくとも一部分は、圧迫部材60が受容部材14に完全に挿入されたときに遠位面66が当接する、骨アンカー20の近位部分18の鋳型として成形することができる。したがって、骨アンカー12のシャフト20が長手方向軸Lに沿って配向されたときに、圧迫部材60の遠位面66と近位頭部18との間の接触面積が最大になる。しかしながら、長手方向軸Lに対するシャフト20の角度がゼロでない場合、圧迫部材60の遠位面66と頭部18との間の接触面積が低減し得、したがって、受容部材14に対する骨アンカー12の滑りの危険性が増加する。
【0032】
図1Bに最良に見られるように、圧迫部材60は、長手方向軸Lに沿って受容部材14の凹部30内を自由に摺動するように構成されている。圧迫部材60を受容部材14内に固定するために、圧迫部材60は、例えば圧迫部材60の一部分を受容部材14に対して機械的に変形させることによって、受容部材と嵌合するように構成することができる。例示される実施形態では、圧迫部材60のアーム62A、62Bに形成された対向するボアは、受容部材14のアーム62A、62Bに形成されたボアと位置合わせされ、それにより、対向ピンを、ボアによって画定された通路を通して挿入して、圧迫部材60を受容部材14に押し付ける、又は「スエージ加工する」ことができる。スエージ加工プロセスは、受容部材14からの圧迫部材60のその後の取り出しを防止することができる。
【0033】
受容部材14の近位端26は、受容部材14のアーム28Aとアーム28Bとの間に位置付け可能であり、かつアーム28A、28Bに係合する閉止機構16を受容するように構成することができる。閉止機構16は、受容部材14内で脊椎固定要素(例えば、脊椎ロッド22)を捕捉し、受容部材14に対して脊椎ロッド22を固定し、かつ受容部材14に対して骨アンカー12を固定するように構成されることができる。閉止機構16は、受容部材14のアーム28A、28Bに提供された雌ねじ山42に係合するための雄ねじ山を有する、単一の止めねじとすることができる。しかしながら、例示される実施形態では、閉止機構16は、受容部材14のアーム28A、28Bの間に位置付け可能であり、かつそれらに係合する外側止めねじ70と、外側止めねじ70内に位置付け可能な内側止めねじ72と、を備える。外側止めねじ70は、圧迫部材60に作用して、骨アンカー12を受容部材14に対して固定するように動作可能である。内側止めねじ72は、脊椎ロッド22に作用して、脊椎ロッド22を受容部材14に対して固定するように動作可能である。このように、閉止機構16は、受容部材14に固定されている脊椎ロッド22とは独立に、骨アンカー12を受容部材14に対して固定することを可能にする。具体的には、外側止めねじ70は、圧迫部材60のアーム62A、62Bの近位端面に係合して、圧迫部材60の遠位向き表面66を骨アンカー12の近位頭部18と接触させることができ、次に、近位頭部18の遠位面38を受容部材14の遠位内面と固定係合させる。内側止めねじ72は、脊椎ロッド22に係合して、脊椎ロッド22を圧迫部材60のロッドシート64と固定係合させることができる。
【0034】
外側止めねじ70は、受容部材14のアーム28A、28Bの相補雌ねじ山42に係合するための第1の雄ねじ山74を含む。外側止めねじ74は、内側止めねじ72を受容するための、外側止めねじ74の頂面98から外側止めねじ74の底面100への中央通路96を含む。中央通路96は、内側止めねじ72の相補雄ねじ山104に係合するための雌ねじ山102を含むことができる。ねじ山の数、ピッチ、外径及び内径、並びにねじ山の形態を含む、雌ねじ山102及び雄ねじ山104のねじ山の形態は、構成要素間の接続及び所望の軸方向締め付け力の伝達を容易にするように選択することができる。外側止めねじ74の頂面98は、受容部材14に対する外側止めねじ74の回転及び前進を容易にするために、1つ又は2つ以上の駆動特徴を有することができる。例示される外側止めねじ74は、頂面98の周辺部の周りに離間された複数の切り欠き106の形態で駆動特徴を含む。内側止めねじ104は、内側止めねじ72を外側止めねじ74に対して回転及び前進させるように器具を受容するための駆動特徴を含むことができる。例示される内側止めねじ104は、器具の相補特徴に係合するための、離間されて長手方向に配向された複数の切り欠きを有する中央通路108の形態で駆動特徴を含む。
【0035】
骨アンカー組立体10は、剛性脊椎ロッド22などの脊椎固定要素と共に使用することができる。本明細書に開示される骨アンカー組立体の様々な構成要素、並びに脊椎ロッド22は、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム、PEEK、又は剛性固定に好適な他の材料を含む、様々な材料から構築することができる。他の実施形態では、脊椎固定要素は、器具を装着した椎骨間の制御された運動性を可能にする、動的安定化部材とすることができる。
【0036】
使用に際して、骨は、一般に、骨アンカー12を受容するように適切にサイズ決定される孔を骨にドリル加工することによって、骨アンカー組立体10を受容するように調製することができる。まだ完成していない場合、骨アンカー組立体10を組み立てることができ、これは、骨アンカー12及び受容部材14を組み立てることを含み得、それにより、遠位シャフト20が受容部材14の遠位端32の開口部を通って延在し、骨アンカー12の近位頭部18が受容部材14の遠位端32で受容される。ドライバ工具は、骨の調製された孔の中へ骨アンカー12を打ち込むために、骨アンカー12に嵌合させることができる。圧迫部材60は、圧迫部材のアーム62A、62Bが受容部材14のアーム28A、28Bと位置合わせされ、圧迫部材14の下面が骨アンカー12の近位頭部18と接触するように、受容部材14内に位置付けることができる。脊椎固定要素、例えば、脊椎ロッド22は、受容部材14の凹部30に位置付けることができる。閉止機構16は、受容部材14のアーム28A、28Bに設けられた雌ねじ山42と係合することができる。外側止めねじ70にねじり力を加えて、圧迫部材60を骨アンカー12の近位頭部18の上へ押し付けるように、外側止めねじ70の上向き面の複数の切り欠き106に係合することができる工具を使用して、外側止めねじを凹部30内で移動させることができる。次いで、内側止めねじ72にねじり力を加えて、内側止めねじを外側止めねじ70に対して移動させることができ、それにより、脊椎ロッド22に接触して、例えば、脊椎ロッド22を受容部材14及び骨アンカー12に対して固定することができる。
【0037】
本発明の骨アンカー組立体の1つ又は2つ以上の実施形態を以下で説明する。以下で示される場合を除いて、これらの実施形態の構造、動作、及び使用は、上で説明した骨アンカー組立体10のものに類似するか、又は同一である。したがって、当該構造、動作、及び使用の詳細な説明は、簡潔にするために、ここでは省略する。
図3A~
図12は、
図1Bに示される受容部材14及び/又は圧迫部材60によって形成される凹部と類似しているが、
図1Bに示される骨アンカーの受容部材14及び/又は圧迫部材60と比較してより大きい摩擦で円筒形ロッド22を把持するための把持凹部又は特徴が、ロッド受容凹部の内面に形成されている。
図3A~
図12に示されるロッド受容凹部は、
図1A~
図1Dに示される骨アンカー組立体と共に、又は当技術分野で既知の様々な他の骨アンカー組立体と共に使用することができる。
図8C及び
図8Dは、ロッド受容凹部を示し、係止部材が、中に形成された把持凹部又は特徴を有するインサートを円筒形ロッド22に押し付けるように配置されている。
図8C及び
図8Dに示されるインサートは、
図1A~
図1Dに示される骨アンカー組立体と共に、又は当技術分野において既知の様々な他の骨アンカー組立体と共に使用することができ、かつ
図1A~
図1Dに示される外側止めねじ70又は内側止めねじ72などの係止機構によって円筒形ロッド22に対して付勢することができる。
【0038】
図2A~
図2Lは、ロッドをコネクタ200に固定するための従来の構成を有する、従来技術によるコネクタ200を示す。図示のように、コネクタ200は、第1のロッド受容凹部及び第2のロッド受容凹部204、206と、ロッドプッシャ208と、バイアス要素又はばねワイヤ212と、係止要素又は止めねじ216と、を画定する本体202を含むことができる。ロッドプッシャ208は、本体202内を横方向に並進するように構成されてもよく、また、ばねワイヤ212によって、ロッドプッシャを第1のロッド受容凹部204内に配置された第1のロッドR1へと付勢する方向にバイアスされてもよい。止めねじ216は、第2のロッド受容凹部206内に配置された第1のロッドR1及び第2のロッドR2の両方にコネクタ200を係止するように締め付け可能である。したがって、図示のコネクタ200は、第1のロッド及び第2のロッドR1、R2を1ステップでコネクタに係止することを可能にし得る。コネクタ200は、狭い空間での使用を容易にするために、1つ又は2つ以上の低プロファイル部分を含むことができる。例えば、第1のロッド受容凹部204は、例えば、頸椎の隣接するレベルに植え込まれた骨アンカー間にフィットするように低減されたプロファイルを有するコネクタ本体202の一部分内で形成され得る。
【0039】
本体202は、近位-遠位軸A1を画定する、近位端202p及び遠位端202dを含むことができる。本体202の近位端202pは、第2のロッド受容凹部206をそれらの間に画定する一対の離間されたアーム218、220を含むことができる。第2のロッド受容凹部206内に配置されたロッドR2は、中央長手方向ロッド軸A2を有することができる。第2のロッド受容凹部206は、ロッドR2をコネクタ200に対して遠位に移動させることによってロッドを凹部に挿入することができるように、近位方向に開放することができる。アーム218、220の各々は、本体202の遠位部分202dから自由端まで延在することができる。アーム218、220の各々の外面は、コネクタ200の様々な器具への連結を容易にするために、凹部、くぼみ、ノッチ、突出部などの特徴(図示せず)を含むことができる。例えば、各アーム218、220の外面は、コネクタ200を延伸タワー又はリトラクタに取り付けるために、アームのそれぞれの自由端に弓形溝を含むことができる。アーム218、220は、アーム218、220の長さを機能的に延伸させるために本体202から近位に延在している延伸又は縮小タブ(図示せず)を含むことができ、又はそれに連結することができる。延伸タブは、ロッド又は他のインプラントの挿入及び縮小、並びに止めねじ216の挿入及び係止を容易にすることができる。延伸タブは、アーム218、220から破断又は別様に分離されるように構成することができる。各アーム218、220の内面は、止めねじ216と嵌合するように構成することができる。例えば、アーム218、220の内面は、止めねじ216に形成された雄ねじ山に対応するねじ山を含むことができる。したがって、軸A1を中心とした止めねじ216の本体202に対する回転は、止めねじを本体に対して軸A1に沿って軸方向に並進させるのに効果的となり得る。
【0040】
本体202の遠位端202dは、ロッドプッシャ208を配置することのできるトンネル228を画定することができる。トンネル228は、ロッドプッシャ軸A3に沿って第2のロッド受容凹部206と第1のロッド受容凹部204との間を延在してもよい。ロッドプッシャ208は、トンネル228内を軸A3に沿って並進するように構成され得る。軸A3は、軸A1に対して垂直又は実質的に垂直であってもよい。また、軸A3は、軸A2に対しても垂直又は実質的に垂直であってもよい。トンネル228は、ロッドプッシャ208の外形の実質的に鋳型となる形状を有してもよい。貫通孔224がトンネル228と交差するように本体202内に形成され得る。貫通孔224は、軸A3に対して垂直又は実質的に垂直に延在することができる。下記でより詳細に説明するとおり、貫通孔224は、中にばねワイヤ212を受容するように寸法決めされ得る。貫通孔224は、両方の端部が開口していてもよく、あるいは一方又は両方の端部が閉鎖していてもよい。
【0041】
本体202は、第1のロッド受容凹部204を画定する片持ち翼部分230を含むことができる。第1のロッド受容凹部204内に配置されたロッドR1は、中央長手方向ロッド軸A4を有することができる。軸A4は、示されるように軸A2と平行であってもよく、又は軸A2に対して垂直であるか若しくは斜めに角度が付けられていてもよい。翼部分230は、本体202の第2のアーム220から半径方向外向きに延在することができる。翼部分230は、幅230W及び高さ230Hを有することができる。幅230Wと第1のロッド受容凹部204の(又は中に配置されたロッドR1の)直径との比は、約1.5:1未満、約2:1未満、及び/又は約3:1未満とすることができる。高さ230Hと第1のロッド受容凹部204の(又は中に配置されたロッドR1の)直径との比は、約0.5:1未満、約1:1未満、及び/又は約2:1未満とすることができる。高さ230Hは、約5mm未満、約4mm未満、及び/又は約3mm未満とすることができる。第1のロッド受容凹部204は、コネクタ200をロッドに対して遠位に移動させることによってロッドR1を凹部に挿入することができるように、遠位方向に開放することができる。第1のロッド受容凹部204は、例えば、翼部分230を反転させて、翼部分が本体202の遠位部分から又は横方向に延在するように翼部分を形成することによって、近位方向に開放することができる。
【0042】
上述のように、ロッドプッシャ208は、本体202のトンネル228内に摺動可能に配置することができ、軸A3に沿って本体に対して並進するように構成することができる。ロッドプッシャ208は、第1のロッド受容凹部204内に配置された第1のロッドR1に接触して押すように構成された、第1の軸受面244Aを含むことができる。軸受面244Aは、軸受面が傾斜するように、ロッドプッシャ208の長手方向軸に対して斜角で延在することができる。軸受面244Aは、示されるように平面状とすることができ、又は凸状、凹状、尖頭、先鋭状などとすることができる。例えば、軸受面244Aは、凹状とすることができ、また、軸受面が第1のロッド受容凹部204内に配置された円筒形ロッドR1の輪郭部に一致又は近似するように、円筒断面を画定することができる。ロッドプッシャ208は、第2のロッド受容凹部206内に配置された第2のロッドR2に接触して押すように構成された、第2の軸受面244Bを含むことができる。軸受面244Bは、軸受面が傾斜するように、ロッドプッシャ208の長手方向軸に対して斜角で延在することができる。軸受面244Bは、示されるように平面状とすることができ、又は凸状、凹状、尖頭、先鋭状などとすることができる。例えば、軸受面244Bは、凹状とすることができ、また、軸受面が第2のロッド受容凹部206内に配置された円筒形ロッドR2の輪郭部に一致又は近似するように、円筒断面を画定することができる。
【0043】
ロッドプッシャ208は貫通孔226を含んでもよい。貫通孔226は、軸A3に対して垂直又は実質的に垂直に延在することができる。貫通孔226は、中にばねワイヤ212を受容するように寸法決めされ得る。ロッドプッシャ208の本体202に対する少なくとも一部の位置では、ロッドプッシャの貫通孔226は、ばねワイヤ212が両方の貫通孔224、226を通って延在するように、本体の貫通孔224と位置合わせされ得る。
図2D、
図2F、及び
図2Hで最良に示されるように、貫通孔226は、中間部分と、対向する端部分と、を含むことができる。貫通孔226の中間部分は、ばねワイヤ212の寸法に近似してもよい。例えば、中間部分は円筒状であってもよく、また、ばねワイヤ212の直径と実質的に等しい直径を有してもよい。ロッドプッシャ208が軸A3に沿って並進し、またこうした並進中にばねワイヤ212の曲げ半径に適合することを可能にするように、貫通孔226の端部分は細長くてもよく、又は、他の方法でばねワイヤ212の直径よりも大きい寸法を有してもよい。
【0044】
バイアス要素は、ロッドプッシャ208を第1のロッド受容凹部204に向けてバイアスするように構成され得る。例示される図では、バイアス要素は、円筒形のばねワイヤ212である。ばねワイヤ212は、直線から変形したときに、ばねワイヤがその直線状の休止構成に向けて戻るように撓む傾向を有するように、弾性材料から形成され得る。したがって、ロッドプッシャ208の移動により変形すると、ばねワイヤ212は貫通孔226の内部に対して力を加えて、ロッドプッシャ208を第1のロッド受容凹部204に向けて付勢することができる。直線状で円筒形のばねワイヤ212が示されているが、代わりに又は加えて、非直線状又は非円筒形のワイヤ、板ばね、ばねクリップ、波ばね、コイルばねなどの様々な他のバイアス要素を使用してもよい。バイアス要素は、省略することができる。例えば、ロッドプッシャ208は、トンネル228内を自由に遊動してもよく、又は第1のロッド受容凹部204に向けてバイアスされることなくピン若しくはその他の保持機構によって保持されてもよい。
【0045】
止めねじ216は、本体202のアーム218、220上に形成された雌ねじと嵌合して、軸A1を中心に止めねじを回転させることにより、止めねじが本体に対して軸A1に沿って前進又は後退することを可能にするように構成された雄ねじを含むことができる。止めねじ216は、軸A1を中心とした回転力を止めねじに加えるためのドライバを受容するように構成された駆動インターフェース248を含むことができる。止めねじ216の遠位面は、ロッドをコネクタ200に係止するために、第2のロッド受容凹部206内に配置されたロッドR2に接触して押すように構成することができる。ロッドR2に対して締め付けられると、止めねじ216は、ロッドがコネクタ200に対して軸A2に沿って並進すること、及び/又はコネクタに対して軸A2を中心に回転することを防ぐことができる。止めねじ216が示されているが、代わりに又は加えて、前進して4分の1回転することによって係止する閉塞キャップ、回転せずに横方向に摺動する閉塞キャップ、コネクタ200の外部上にねじ止めされるナットなどのその他の係止要素を使用してもよいことを理解されたい。
【0046】
コネクタ200の動作は、
図2C~
図2Hに概略的に示されている。
【0047】
図2C及び
図2Dに示されるように、コネクタ200は、ロッドが第1又は第2のロッド受容凹部204、206内に配置されていない、休止構成を有することができる。この構成では、ばねワイヤ212のバイアス力によって、ロッドプッシャ208が第1のロッド受容凹部204に向かって摺動することができる。
【0048】
休止構成では、本体202の翼部分230及びロッドプッシャ208の自由端は、コネクタ200が連結される第1のロッドR1の直径よりも小さい開口250を画定することができる。したがって、
図2E及び
図2Fに示されるように、ロッドR1が第1のロッド受容凹部204に挿入されると、ロッドがロッドプッシャ208に圧接して、コネクタ200を休止構成から移動させる。ロッドR1を挿入することで、ロッドプッシャ208を軸A3に沿って動かし、それによって、ばねワイヤ212をその休止状態から変形させることができる。ロッドR1の最大断面積部分が開口250内に位置付けられると、ロッドプッシャ208を第1のロッド受容凹部204からのその最遠距離まで移動させることができる。
【0049】
図2G及び
図2Hに示されるように、ロッドが第1のロッド受容凹部204内に着座するときにロッドR1の最大断面部分が開口250を通過すると、ばねワイヤ212のバイアス力は、ロッドプッシャ208を軸A3に沿って第1のロッド受容凹部に向かって後退させることができる。この移動は、ロッドR1の周りの開口250を少なくとも部分的に閉じて、第1のロッド受容凹部204内にロッドを捕捉することができる。ばねワイヤ212のバイアス力はロッドプッシャ208の後退運動に抵抗し、ひいてはコネクタ200が第1のロッドR1から分離することに抵抗することができる。コネクタ200の形状は、ロッドR1が第1のロッド受容凹部204内に完全に着座すると、ばねワイヤ212がその休止状態から変形するように選択することができる。このように、ばねワイヤ212は、止めねじ216が締め付けられる前、及び/又は第2のロッドR2がコネクタ200内に位置付けられる前に、ロッドプッシャ208をロッドR1に押し付けて摩擦又は抵抗効果を提供することができる。
【0050】
第2のロッドR2は、第2のロッド受容凹部206内に位置付けることができ、止めねじ216は、締め付けられてコネクタ200を第1のロッド及び第2のロッドR1、R2に係止することができる。止めねじ216が締め付けられると、第2のロッドR2をロッドプッシャ208の第2の軸受面244Bに押し付けることができ、ロッドプッシャを第1のロッド受容凹部204に向かって、かつロッドR1と強固に接触するように付勢する。止めねじ216が締め付けられると、コネクタ200が第1のロッド及び第2のロッドR1、R2に係止して、ロッドR1、R2がコネクタに対して軸A2、A4に沿って並進することに抵抗するか又はこれを防ぎ、かつ、ロッドR1、R2がコネクタに対して軸A2、A4を中心に回転することに抵抗するか又はこれを防ぐことができる。
【0051】
図2Iに示されるように、第2のロッド受容凹部206は、第2のロッドR2とロッドプッシャ208の第2の軸受面244Bとの間の接触を促進するように成形することができる。換言すれば、凹部206は、止めねじ216が締め付けられると、第2のロッドR2が、軸受面244Bに十分な力を加えることなく、凹部206の床のみを押してしまう危険性を低減又は排除するように成形することができる。示されるように、凹部206は、ロッドプッシャ208が凹部内に突起するように、トンネル228の端部と位置合わせされて配置されたリリーフを含むことができる。このため、凹部206は軸A1を中心に非対称であってもよく、また対称的なU字形から逸脱してもよい。ロッドR2が凹部206の底に達すると、ロッドの中央長手方向軸A2は軸A1からオフセットされ得る。ロッドが完全に着座したときのロッドR2の中央長手方向軸を
図2Iの軸A5として示す。凹部206は、ロッドR2が凹部206内に着座すると、ロッドR2が軸A1に沿って遠位方向に、かつ軸A3に沿って横方向に並進するように構成されてもよい。
【0052】
図2J~
図2Lに示されるように、コネクタ200は、サドル210を含むことができる。サドル210は、非対称の凹部206に加えて、又はその代わりに含めることができる。サドル210は、本体202内に形成される空洞222内に位置付けられてもよい。サドル210は、第1のアーム232及び第2のアーム234がアームのそれぞれの自由端まで近位方向で延在している、略円筒形とすることができる。第1のアーム232及び第2のアーム234は、それらの間に画定された凹部が第2のロッド受容凹部206と位置合わせされるように、本体202の第1のアーム218及び第2のアーム220と位置合わせすることができる。したがって、第2のロッドR2は、ロッドが第2のロッド受容凹部206内に配置されたときに、サドル210のアーム232とアーム234との間、及び本体202のアーム218とアーム220との間で同時に支えられることができる。サドル210は、ロッドプッシャ208の第2の軸受面244Bに接触して押すように構成された、傾斜した軸受面240を含むことができる。軸受面240は、軸A1に対して斜角で延在することができる。軸受面240は、示されるように平面状とすることができるか、又は凸状、凹状、尖頭、先鋭状などとすることができる。動作中に、例えば、止めねじ216をサドルへ、又はサドル内に配置されたロッドR2へ締め付けることによって、方向A1に沿ってサドル210に加えられた力は、サドル210を本体202に対して遠位に並進させ、かつ軸受面240をロッドプッシャ208の軸受面244Bに沿って傾斜させることができ、ロッドプッシャを軸A3に沿って第1のロッド受容凹部204に向かって付勢する。これにより、止めねじ216を締め付けることは、ロッドR1、R2の両方を同時にコネクタ200に係止するのに効果的となり得る。サドル210は、第2のロッド受容凹部206内での異なる直径を有するロッドの係止を可能にしながら、同時に、第2のロッドR2の直径に関係なく、十分な力をロッドプッシャ208に加えて第1のロッドR1を係止することを確実にすることができる。
【0053】
ときには、アーム232、234は、ロッドR2の最大寸法を越えて近位に延在することができ、止めねじ216は、アームの近位向き表面を押すように構成された外側ねじを含むことができる。内側止めねじは、外側止めねじ内に螺着することができる。よって、はじめに外側止めねじが締め付けられて、サドル210を圧迫し、第1のロッドR1を第1のロッド受容凹部204内に係止することができる。続いて、内側止めねじが締め付けられて、第2のロッドR2を圧迫し、第2のロッドを第2のロッド受容凹部206内に係止することができる。このように、二重の止めねじは、第1のロッド及び第2のロッドR1、R2を独立してコネクタ200に係止することを容易にすることができる。
図2J~
図2Lには示されていないが、サドル210を含むコネクタ200はまた、ロッドプッシャ208を第1のロッド受容凹部204に向かってバイアスするための、上で説明したバイアス要素も含むことができる。
【0054】
したがって、コネクタ200は、第1の脊椎ロッドR1を第2の脊椎ロッドR2に接続するために使用することができる。本明細書では、コネクタ200と第1の脊椎ロッド及び第2の脊椎ロッドとの併用を一般に説明しているが、コネクタは、代わりに、インプラント式か外付け式かにかかわらず、他の種類の整形外科用機器と併用するように構成され得ることが理解されるであろう。例えば、コネクタ200の半部の一方又は両方は、他の様々な構成要素を互いに連結するように(例えば、ロッドをプレートに連結するように、プレートをプレートに連結するように、ロッドをケーブルに連結するように、ケーブルをケーブル連結するように、など)修正することができる。
【0055】
コネクタ200は、ユーザ及び/又は患者のための様々な利点を提供することができる。例えば、コネクタ200が第1のロッドR1に「スナップ嵌め」されると、バイアスされたロッドプッシャ208は触覚フィードバックを提供して、コネクタを締め付ける前にロッドがうまく取り付けられたという確信をユーザに与えることができる。バイアスされたロッドプッシャ208は、更に、止めねじ216を係止する前に摩擦又は「抵抗」をロッドR1に加え、コネクタを所定の位置に保持して「がたつき」を防ぐのに役立ち得ながらも、ユーザが意図したときは依然として、自由な動きを可能にする。更なる実施例として、コネクタ200の翼部分230の低プロファイルの幾何学形状は、空間が制限される外科領域において(例えば、脊椎の頸部領域において)コネクタを使用することを可能にすることができる。例示的な方法では、コネクタ200の翼部分230は、ロッドが連結される2つの骨アンカーの間の位置で第1のロッドR1に掛けることができ、2つの骨アンカーは、頸椎の隣接する脊椎レベルに植え込まれる。更に別の実施例として、コネクタ200は、第1のロッド及び第2のロッドR1、R2の同時及び/又は単一ステップでの係止を容易にすることができる。これにより、コネクタ200を最小限のステップでロッドR1、R2の両方に係止することができる。他の場合では、コネクタ200は、例えば、サドル210及び二重止めねじによって、ロッドR1、R2を独立して係止することを容易にすることができる。
【0056】
例示的なコネクタ及びインプラントは、2016年10月4日に出願された米国特許出願公開第2017/0333088号、及び2016年5月18日に出願された米国特許出願公開第2017/0333087号に開示されており、どちらも参照により本明細書に組み込まれる。
【0057】
図3Aは、2つの把持溝を有するロッド凹部を有するコネクタの断面図である。示されるように、コネクタ300は、第1のロッド受容凹部304及び第2のロッド受容凹部306並びにロッドプッシャ308を画定する、本体202を含むことができる。ロッドプッシャ308は、本体302内を横方向に並進するように構成することができ、ロッドプッシャ308を第1のロッド受容凹部304内に配置された第1のロッドR1に付勢する方向にバイアスされることができる。止めねじ216は、第2のロッド受容凹部306内に配置された第1のロッドR1及び第2のロッドR2の両方にコネクタ300を係止するように締め付け可能である。したがって、例示されるコネクタ300は、(
図2A~
図2Lに示されるように)第1のロッドR1及び第2のロッドR2をコネクタに1ステップで係止することを可能にすることができる。コネクタ300は、狭い空間での使用を容易にするために、1つ又は2つ以上の低プロファイル部分を含むことができる。例えば、第1のロッド受容凹部304は、例えば、頸椎の隣接するレベルに植え込まれた各骨アンカーの間にフィットするように低減されたプロファイルを有するコネクタ本体202の一部分に形成することができる。
【0058】
本体302は、
図2Bに示されるように、近位-遠位軸A1を画定する近位端及び遠位端を含むことができる。本体の近位端202は、第2のロッド受容凹部306をそれらの間に画定する一対の離間されたアーム318、320を含むことができる。第2のロッド受容凹部306内に配置されたロッドR2は、
図2Bに示されるように、中央長手方向ロッド軸A2を有することができる。第2のロッド受容凹部306は、ロッドR2をコネクタ200に対して遠位に移動させることによってロッドを凹部に挿入することができるように、近位方向に開放することができる。アーム318、320の各々は、本体302の遠位部分から自由端まで延在することができる。アーム318、320の各々の外面は、コネクタ300の様々な器具への連結を容易にするために、凹部、くぼみ、ノッチ、突出部などの特徴(図示せず)を含むことができる。例えば、各アーム318、320の外面は、コネクタ300を延伸タワー又はリトラクタに取り付けるために、アームのそれぞれの自由端に弓形溝を含むことができる。アーム318、320は、アーム218、220の長さを機能的に延伸させるために本体302から近位に延在している延伸又は縮小タブ(図示せず)を含むことができ、又はそれに連結することができる。延伸タブは、
図2Bに示されるように、ロッド又は他のインプラントの挿入及び縮小、並びにねじ216の挿入及び係止を容易にすることができる。延伸タブは、アーム218、220から破断又は別様に分離されるように構成することができる。各アーム318、320の内面は、止めねじ216と嵌合するように構成することができる。例えば、アーム318、320の内面は、止めねじ316に形成された雄ねじ山に対応するねじ山を含むことができる。したがって、軸A1を中心とした本体302に対する止めねじ316の回転は、止めねじを本体に対して軸A1に沿って軸方向に並進させるのに効果的となり得る。
【0059】
本体302は、第1のロッド受容凹部304を画定する片持ち翼部分330を含むことができる。
図2Bに示されるように、第1のロッド受容凹部304内に配置されたロッドR1は、中央長手方向ロッド軸A4を有することができる。軸A4は、示されるように軸A2と平行であってもよく、又は軸A2に対して垂直であるか若しくは斜めに角度が付けられてもよい。翼部分330は、本体302の第2のアーム320から半径方向外向きに延在することができる。第1のロッド受容凹部304は、コネクタ300をロッドに対して遠位に移動させることによってロッドR1を凹部に挿入することができるように、遠位方向に開放することができる。第1のロッド受容凹部304は、例えば、翼部分330を反転させて、翼部分が本体302の遠位部分から又は横方向に延在するように翼部分を形成することによって、近位方向に開放することができる。
【0060】
ロッドプッシャ308は、
図2Bに示されるように、本体302のトンネル328内に摺動可能に配置することができ、軸A3に沿って本体に対して並進するように構成することができる。ロッドプッシャ308は、第1のロッド受容凹部304内に配置された第1のロッドR1に接触して押すように構成された、第1の軸受面344Aを含むことができる。軸受面344Aは、軸受面が傾斜するように、ロッドプッシャ308の長手方向軸に対して斜角で延在することができる。軸受面344Aは、示されるように平面状とすることができ、又は凸状、凹状、尖頭、先鋭状などとすることができる。例えば、軸受面344Aは、凹状とすることができ、また、軸受面が第1のロッド受容凹部204内に配置された円筒形ロッドR1の輪郭部に一致又は近似するように円筒断面を画定することができる。ロッドプッシャ308は、第2のロッド受容凹部306内に配置された第2のロッドR2に接触して押すように構成された、第2の軸受面344Bを含むことができる。軸受面344Bは、軸受面が傾斜するように、ロッドプッシャ208の長手方向軸に対して斜角で延在することができる。軸受面344Bは、示されるように平面状とすることができ、又は凸状、凹状、尖頭、先鋭状などとすることができる。例えば、軸受面344Bは、凹状とすることができ、また、軸受面が、第2のロッド受容凹部306内に配置された円筒形ロッドR2の輪郭部に一致又は近似するように、円筒断面を画定することができる。
【0061】
図3Aは、軸受面344Aに対向する2つの把持溝301を含む、第1のロッド受容凹部304を示す。把持溝301は、
図3Bにより明確に示されるように、第1のロッド受容凹部304の内面の凹部として形成される。
【0062】
図3Bは、
図3Aのコネクタのロッド受容凹部304の断面図である。
図3Bは、把持溝301が、各々、第1のロッド受容凹部304内に配置された円筒形ロッドR1の表面に接触するように構成される、2つの縁部312、313、322、323を画定することを示す。把持溝301は、軸A4に沿って延在し、第1のロッド受容凹部304は、把持溝301に面する円筒形ロッドR1の側部がロッドプッシャ308によって付勢されて縁部312、313、322、323と接触し、それにより、ロッドプッシャ308によって円筒形ロッドR1に加えられた追加的な力が、円筒形ロッドR1を縁部312、313、322、323に更に係合させるように、サイズ決定及び成形される。これは、例えば、
図3Cにより詳細に示されるように、縁部312、313、322、323が、円筒形ロッドR1の半径にほぼ一致する半径を軸A4を中心として画定し、円筒形ロッドR1がロッド受容凹部304内に付勢されたときに、ロッドプッシャの第1の軸受面344Aに対向する円筒形ロッドR1の半分がロッド受容凹部304に接触して、縁部312、313においてのみ係合するようにサイズ決定及び成形されたロッド受容凹部304の内面及び把持溝301の位置を有することによって達成することができる。
【0063】
図3Cは、
図3Aのコネクタ300のロッド受容凹部304の把持溝301の断面図である。
図3Cは、円筒形ロッドR1の外面のごく一部分が各把持溝301の内側で受容されるように、ロッド受容凹部304内に、縁部312、313と接触して配置された円筒形ロッドR1(実線)を示す。この例示される構成は、把持溝を伴わない従来技術によるロッド受容凹部204とは対照的に、円筒形ロッドR1が4つの接点に沿ってロッド受容凹部304に接触することを示す。この従来技術による構成は、円筒形ロッドR1’の位置が円筒形ロッドR1に重なっているように、
図3Cに示されている。円筒形ロッドR1’(破線)の位置は、
図4Aにより明確に示されるように、把持溝301を有しないロッド受容凹部304の円筒形ロッドR1’の位置に対応する。
図3Cは、円筒形ロッドR1の半径398及びロッド受容凹部304の中央長手方向軸A4からの各縁部312、313の距離399がほぼ同じであることを示す。
【0064】
図4Aは、従来技術によるロッド受容凹部の断面図である。
図4Aは、把持溝を有しない従来技術によるロッド受容凹部204内に配置された円筒形ロッドR1を示す。この構成では、円筒形ロッドR1は、2つの点P1、P2においてロッド受容凹部204の内面に接触する。動作中に、これらの2つの点P1、P2は、軸A4に沿って(例えば、ロッド受容凹部204の内面に接触する円筒形ロッドR1の表面に沿って)平行な接触線を画定することができる。これらの点P1、P2における円筒形ロッドR1及びロッド受容凹部204の特定の界面は、平面に対する湾曲面(例えば、円筒形ロッドR1)又は角度付き表面(例えば、ロッド受容凹部204)である。この係合によって、軸A4を中心とした円筒形ロッドR1の回転及び円筒形ロッドR1のA4方向への並進はどちらも、ロッド受容凹部204の表面によって円筒形ロッドR1に対して加えられる力によって抑制され、この力は、ロッドプッシャ208によって加えられる力、及び円筒形ロッドR1とロッド受容凹部204の表面との間の摩擦力に依存する。円筒形ロッドR1の半径498は、円筒形ロッドR1の中心軸Rに関して示される。
【0065】
図4Bに例示されるように、本開示の態様は、ロッド受容凹部304における円筒形ロッドR1の改善された保持を提供する。
図4Bは、V字形状の把持溝401を有するロッド受容凹部308の断面図である。形状の把持溝401は、点E1~E4において円筒形ロッドR1の表面が接触するように位置付けられる縁部412、413を画定する。すなわち、V字形状の把持溝401は、縁部412、413が円筒形ロッドR1とほぼ同じ半径を有する円上の4つの点を画定するように、ロッド受容凹部304の表面に形成される。動作中に、円筒形ロッドR1は、4つの縁部412、413に対して静置され、ロッドプッシャ308は、円筒形ロッドR1の表面を縁部412、413に対して付勢する力488を円筒形ロッドR1に加える。
図4Aの従来技術による表面間の係合とは対照的に、円筒形ロッドR1の湾曲面は、鋭い縁部412、413(例えば、円筒形ロッドR1によって変形させられることが可能である、又は円筒形ロッドR1の表面を変形させて円筒形ロッドR1が把持溝401内に付勢されることを可能にするのに十分なだけ小さい半径又は厚さの縁部を形成する隅部又は頂点)に押し付けられ、それにより、4つの縁部412、413に押し付けている間の円筒形ロッドR1の回転には、接点E1~E4における縁部412、413のミクロ剪断を必要とする。したがって、把持溝401は、縁部412、413と円筒形ロッドR1との間の移動を可能にすることができない材料特性を必要とする様式で、ロッド受容凹部304内での円筒形ロッドR1の回転を拘束する。その結果、ロッドプッシャ308によって円筒形ロッドR1に加えられる力が等しい場合、把持溝401は、移動が生じる前に、軸A4を中心とした円筒形ロッドR1へのより高いトルクに耐えることが可能である。
【0066】
一部の場合では、円筒形ロッドR1と縁部412、413との間の係合を確実にするために、ロッドプッシャ308によって駆動されたときの縁部412、413に対する円筒形ロッドR1の移動が、ロッド受容凹部308の内面に接触している円筒形ロッドR1によって妨げられないように、ポケット450がロッド受容凹部304に形成される。この構成は、縁部412、413に対する円筒形ロッドR1の最初の付勢が、接点E1~E4においていくらかの変形(例えば、円筒形ロッドR1、縁部412、413の材料のいずれか又は両方の変形)を生じさせることを可能にし、それにより、円筒形ロッドR1の任意の最初の回転が、接点E1~E4における更なる材料の変形を誘発する。
【0067】
図4Bは、2つの把持溝401を有する本体302を示しているが、一部の場合では、本体302は、1つの把持溝401だけを有し、例えば、力ベクトル488及び把持溝401の中心がロッドR1の中心軸A4と交差するように、単一把持溝401がクランプ力ベクトルと正反対に位置付けられる。
【0068】
図4Bはまた、円筒形ロッドR1の表面が縁部412、413に均一に接触することを可能にするように、円筒形ロッドR1の半径498、及びロッド受容凹部304の中央長手方向軸A4からの各縁部412、413の距離499をほぼ同じにすることができることも示しており、その場合、円筒形ロッドR1の中心軸Rは、ロッド受容凹部304の中央長手方向軸A4と同心である。
【0069】
図4Cは、把持溝401を有する場合及び有しない場合の円筒形ロッドR1の位置の比較を示す、
図4Bのロッド受容凹部304の断面図である。
図4Cは、
図4Bに示されるように把持溝401と係合された円筒形ロッドR1、並びに把持溝401を有しないロッド受容凹部204内に位置付けられた同じ円筒形ロッドR1(点線R1’で示される)の両方の位置を示す。円筒形ロッドR1の表面のごく一部分が把持溝401内に受容されて、縁部412、413の全てが円筒形ロッドR1の表面に接触することを可能にするので、ロッド受容凹部204に対する円筒形ロッドR1’の位置と比較して、把持溝401を有するロッド受容凹部304の円筒形ロッドR1は、ポケット450の中へより深く位置付けられる。
【0070】
図4Dは、(
図4Bに示されるように)円筒形ロッドR1がロッド受容凹部304内に位置付けられたときに、2つの把持溝401の縁部412、413によって形成された接触線E1~E4を示す、円筒形ロッドR1の斜視図である。
図4Dは、円筒形ロッドR1の長さにわたる把持溝401を有するロッド受容凹部304の間に結果として生じる接点を示す。これは、円筒形ロッドR1を接触線E1~E4に沿って縁部412、413に押し込むことを可能にし、それにより、円筒形ロッドR1に加えられた力が、接触線E1~E4に沿ったものを除いて、円筒形ロッドR1とロッド受容凹部304との間の接触によって損なわれない。一部の場合では、下で更に詳細に説明するように、円筒形ロッドR1とロッド受容凹部304との間の追加的な接点及び接触線は、本開示の範囲内である。しかしながら、そのような追加的な接触は、それでも、円筒形ロッドR1及び縁部412、413の一方又は両方の材料の変形の要件によって、円筒形ロッドR1の回転が、接触線E1~E4に沿って抵抗される状態を生じさせるために、円筒形ロッドR1に加えられる力の十分な部分が、接触線E1~E4に沿って縁部412、413に対して方向付けられることを可能にする。
図4Dは、接触線E1~E4が、円筒形ロッドR1の時計回りCW方向及び反時計回りCCW方向の両方への回転に抵抗するように配向されていることを示す。
【0071】
図4Eは、セグメント化された把持溝403を有するロッド受容凹部304の表面410の斜視図である。把持溝401が1つ又は2つ以上の凹部又は溝408と交差したときに、セグメント化された把持溝403が形成される。
図4Eは、把持溝401に対して直角に配向された2つの凹部408と交差している把持溝401によって形成された、セグメント化された把持溝403を示す。しかしながら、一部の実施形態では、1つ又は2つ以上の凹部又は溝408が把持溝401に対して横向きである(例えば、斜めである、など)ように、他の角度が可能である。把持溝401の溝408との交差は、
図4Fに示されるように、円筒形ロッドR1の長さに沿って把持溝縁部412、413の中断を形成し、これらは、以下、セグメント化された縁部412、413と称する。
【0072】
図4Fは、
図4Eのセグメント化された把持溝の上面図である。動作中に、セグメント化された縁部412、413は、
図4Gに示されるように、円筒形ロッドR1の表面に係合して、セグメント化された縁部412、413が円筒形ロッドR1にA4方向に力を加えることを可能にする、点縁部480(例えば、ロッドが溝の中に付勢されて、各点縁部480がロッドR1とのわずかな接触隅部を形成するときの、わずかな隅部)を形成することによって、セグメント化された把持溝403の長さに沿った円筒形ロッドR1の移動(すなわち、軸A4に沿った並進)を拘束する役割を果たす。
図4Gは、
図4Eのセグメント化された把持溝403と係合された円筒形ロッドR1上の接点F1~F4の概略図である。
図4Gは、円筒形ロッドR1がセグメント化された把持溝403と係合するように押し込まれたときに、セグメント化された縁部412、413の結果として生じる接触線F1、F2も同様にセグメント化されることを示す。円筒形ロッドR1が、セグメント化された縁部412、413と係合することによって、点縁部又はわずかな隅部480は、セグメント化された縁部412、413が円筒形ロッドR1に接触している、及び接触していない、円筒形ロッドR1上の点の間の遷移を画定する。例えば、セグメント化された縁部412、413と接触しているときに円筒形ロッドR1の表面が変形するように、円筒形ロッドR1及びセグメント化された縁部412、413の材料特性が選択された場合、円筒形ロッドR1の表面の未変形領域に駆動されている4つの示された点縁部480のうちの2つをもたらすこの移動によって、点縁部480は共に、セグメント化された把持溝403に沿ったロッドの並進(すなわち、軸A4に沿った並進)に抵抗する。したがって、セグメント化された把持溝403は、
図4Fに示されるように、ロッド受容凹部403内の円筒形ロッドR1の回転及び並進の両方に抵抗することができる。
【0073】
図4Hは、円筒形ロッドR1がロッド受容凹部304内に位置付けられたときに2つのセグメント化された把持溝403の縁部によって形成されたセグメント化された接触線F1~F4を示す、円筒形ロッドR1の表面の斜視図である。円筒形ロッドR1の時計回りCW及び反時計回りCCWの回転は、セグメント化されていない把持溝401に関する上の説明と同じ様式で、セグメント化された把持溝403によって抵抗され、円筒形ロッドR1の並進は、セグメント化された縁部412と縁部413との間に形成される点縁部480によって抵抗される。
【0074】
図3Aは、円筒形状を有する把持溝301を示し、
図4Bは、V字形状を有する把持溝401を示しているが、他の形状が可能である。例えば、
図5Aは、縁部512、513が直角である、矩形形状の把持溝501を有するロッド受容凹部403の断面図である。
図3A~
図5Aは、把持溝301、401、501を、ロッド受容凹部304の内面に形成された凹部として示しているが、把持溝はまた、
図5Bに示されるように、ロッド受容凹部304の内面から延在している突起540によって形成することもできる。
【0075】
図3A~
図5Bは、ロッドプッシャ308が、円筒形ロッドR1に力を加えて、把持溝301、401、501に対して円筒形ロッドR1を駆動するように配置された、本体302の翼部分330に形成された把持溝301、401、501を示すが、他の構成が可能である。例えば、
図6Aは、把持溝601を有するロッドプッシャ308を有するロッド受容凹部304の断面図である。示されるように、把持溝601は、円筒形ロッドR1とほぼ同じ半径の円形を画定する4つの接点E1~E4において円筒形ロッドR1に接触する縁部612、613を画定する。
図6Aでは、ロッドプッシャ308に対向するロッド受容凹部の表面は、ロッドプッシャ308の把持溝601の縁部612、613によって円筒形ロッドR1に加えられる力に対抗する力を加えるように円筒形ロッドR1に接触する、湾曲面651を画定する。動作中に、ロッドプッシャ308の把持溝601は、上で説明した把持溝301、401、501と同じ様式で機能する。
図6Bは、ポケット450、及び把持溝601を有するロッドプッシャ308を有するロッド受容凹部304の断面図である。
図6Cは、ロッド受容凹部304、把持溝501、及び把持溝601を有するロッドプッシャ308の両方を示す。この構成では、円筒形ロッドR1の位置は、8つの接点E1~E8の全てが円筒形ロッドR1の表面と係合するので、把持溝501、601によって高度に拘束される。しかしながら、一部の場合では、8つの接点E1~E8の位置における許容力は、8つの接点E1~E8に関して円筒形ロッドR1に十分に係合するための十分な力が加えられたときに円筒形ロッドR1が高度に拘束されるように、円筒形ロッドR1との最初の接触時には低減される。
【0076】
図7Aは、把持溝501の縁部512と縁部513との間の円筒形ロッドR1の表面に接触するように配置された内部突起710を有する、単一の把持溝501の断面図である。並進方向における(すなわち、軸A4に沿った)円筒形ロッドR1の抑制を高めるために、追加的な把持特徴を把持溝501の内部に含めて、縁部512、513によって提供される回転抑制に対する影響が最小から無視できる状態で、並進抑制を提供することができる。
図7Aでは、把持溝501は、把持溝501の長さに沿って1つ又は2つ以上の突起701を含む。内部突起710は、円筒形ロッドR1に向かって延在し、円筒形ロッドR1が把持溝501の縁部512、513と係合したときに円筒形ロッドR1に接触するように位置付けられる端縁部711などの特徴を含む。
図7Aは、縁部512、513によって形成される接触線E1、E1に対して垂直である接触線L1に沿って円筒形ロッドR1に接触する縁部711を有する内部突起710を示す。動作中に、把持溝501の縁部711の位置及び形状は、
図7D及び
図7Eにより詳細に示されるように、円筒形ロッドR1が縁部512、513と接触するときに、円筒形ロッドR1と縁部711との間の接触線L1の強度を変化させるように構成することができる。
【0077】
図7Bは、円筒形ロッドR1上に2つの平行な接触線L1、L2を形成する2つの内部突起710の垂直縁部711を示す、
図7Aの把持溝501の上面図である。
図7Cは、ロッドが把持溝501と係合したときに円筒形ロッドR1に接触する内部突起710の縁部711を示す、
図7Aの把持溝501の断面図である。
【0078】
図7Dは、2つの把持溝501の縁部512、513によって形成された接触線E1~E4及び各把持溝501の2つの内部突起710によって形成された接触線L1~L4を示す、円筒形ロッドR1の斜視図である。動作中に、縁部512、513によって形成される接触線E1~E4は、円筒形ロッドR1の時計回りCW方向及び反時計回りCCW方向への回転に抵抗し、2つの内部突起710によって形成される接触線L1~L4は、円筒形ロッドR1のA4方向への並進に抵抗する。
【0079】
図7E及び
図7Fは、2つの異なる縁部構成を有する内部突起710を有する単一の把持溝501の断面図である。
図7Eに示される第1の構成では、内部突起710は、円筒形ロッドR1が縁部512、513に付勢されるにつれて長くなる円筒形ロッドR1との接触線L1を画定する平坦な縁部711まで延在している。接触線L1の初期サイズは小さいので、把持溝510内への円筒形ロッドR1の移動に対する抵抗は最小であり、円筒形ロッドR1と内部突起710との間に確実な係合が確立されることを確実にする。
図7Fに示される第2の構成では、内部突起710は、縁部512、513との最初の接触時の円筒形ロッドR1の並進の抑制を高めるために、円筒形ロッドR1をより長い接触線L1と最初に接触させるように成形される、湾曲縁部712を有する。2つの異なる縁部形状711、712の抑制の結果として生じる強度は、円筒形ロッドR1、縁部512、513、及び内部突起710の材料特性、並びに縁部512、513に対する縁部711、712の位置に依存することができる。例えば、円筒形ロッドR1が、内部突起710の金属よりも軟質である金属から作製されている場合、縁部711、712は、縁部512、513の半径(すなわち、円筒形ロッドR1の予測される位置)のより近くまで延在することができ、それにより、円筒形ロッドR1が、縁部711、712に最初に接触し、円筒形ロッドR1が縁部512、513と相互作用したときに、縁部711、712が円筒形ロッドR1の表面に打ち込まれる。
【0080】
図8Aは、例えば、骨アンカー組立体10の受容部材14又はコネクタ200の本体202の従来技術によるロッド受容凹部206の断面図である。円筒形ロッドR1は、ロッド受容凹部206内に配置されて、ロッド受容凹部206の軸に沿った2つの点P1、P2においてロッド受容凹部206の内面に接触する。係止要素又は止めねじ104、216は、点P3において円筒形ロッドR1に接触し、力を加えて、円筒形ロッドR1をロッド受容凹部206内に、かつ2つの点P1、P2に対して付勢する。
【0081】
図8Bは、ロッド受容凹部306の内面に平行な凹部として形成された2つの把持溝801を有するロッド受容凹部306の断面図である。
図8Bは、ロッド受容凹部306内に配置され、把持溝801の縁部812、813と係合された円筒形ロッドR1を示す。ねじ山付き係止要素又は止めねじ104、216は、円筒形ロッドR1に力を加えて円筒形ロッドR1を把持溝801の縁部812、813に対して付勢することによって、ロッド受容凹部306内に円筒形ロッドR1を固定するように配置される。
図8Bはまた、円筒形ロッドR1の位置が、把持溝801から外れた場合にロッド受容凹部306内にあることを示し、R1’として示される。R1’と把持溝801を用いた円筒形ロッドR1の位置との違いは、把持溝801が、円筒形ロッドR1とほぼ同じロッド受容凹部306の中心軸からの半径で、4つの位置においてロッド受容凹部306の内面に沿って縁部812、813を画定することに起因しており、それによって、円筒形ロッドR1の中心軸を、縁部812、813の等しい半径位置によって画定される軸と同心とすることを可能にする。換言すれば、把持溝801は、円筒形ロッドR1が、係止要素又は止めねじ104、216によってロッド受容凹部306内に付勢されたときに、4つ全ての縁部812、813に対して静置することを可能にするように位置付けられる。一部の場合では、止めねじ104、216によって円筒形ロッドR1をロッド受容凹部306内に追加的に付勢して、縁部812、813への圧力を高めることを可能にするために、ロッド受容凹部306は、円筒形ロッドR1の設計された位置(把持溝801によって決定される)の下にポケット又は空隙850を画定する。
【0082】
図8C及び
図8Dは、把持溝801が、ロッド受容凹部306の円筒形ロッドR1に対して駆動されるインサート816に位置付けられる実施形態を示す。インサート816は、止めねじ104、216によって円筒形ロッドR1に対して駆動されるが、インサート816が円筒形ロッドR1の長さに沿って把持溝801を延在させるように成形されているので、止めねじ104、216と共に回転しない。溝801を本体302(止めねじ104、216がねじ込まれる、図示せず)と連結して、本体302が、円筒形ロッドのR1と把持溝801との係合によって円筒形ロッドR1の回転に対抗することができるようにするために、インサート816は、止めねじ104、216によって受容されるペグ817を含むことができる。
図8Cは、インサート816の力に対抗するために円筒形ロッドR1との表面接触を提供するために円形断面を有するロッド受容凹部306を示し、
図8Dは、インサート816の力に対抗するために円筒形ロッドR1との2つの接触線P1、P2を提供する、空隙850を有するテーパ付き閉鎖端を有するロッド受容凹部306を示す。
【0083】
図9は、中に形成された2つの把持溝801を有するロッド受容凹部904を有する受容部材902の斜視図である。
図10は、受容凹部904の中央長手方向軸に対して垂直なロッド受容凹部904に切り込まれた2つの周方向溝1020を有するロッド受容凹部904を有する受容部材902の斜視図である。
【0084】
図11A及び
図11Bは、2つのセグメント化された把持溝403が2つの把持溝801及び2つの周方向溝1020の交差によって中に形成されたロッド受容凹部904を有する受容部材902の斜視図である。
図11Bは、セグメント化された把持溝403によって形成された点縁部480を示す。
図12は、中に形成された複数の内部突起710を有する把持溝801を有するロッド受容凹部906を有する受容部材902の斜視図である。
図9~
図11Bの受容部材902及びロッド受容凹部904は、例えば、コネクタ300の本体302、又は骨アンカー組立体10の受容部材14、又はロッド、ケーブル、若しくは他の脊椎固定要素に固定されるように構成された任意の他のインプラントであり得る。
【0085】
図13は、把持溝1301を有するロッド受容凹部を画定するサドル301を有するコネクタ300の例示である。
図13のコネクタ300では、円筒形ロッドR1は、サドル301の内面によって形成されたロッド受容凹部と係合することによって、受容部材14に固定され、サドル60の内面は、ロックねじ216が円筒形ロッドR1に力を加えて円筒形ロッドR1を把持溝1301内に付勢したときに円筒形ロッドR1を把持するように構成された、2つの把持溝1301を含む。
【0086】
図14は、把持溝1401を有するロッド受容凹部を画定する圧迫部材60を有する骨アンカー組立体10の例示である。
図14の骨アンカー組立体では、円筒形ロッドR1は、受容部材内に配置された圧迫部材60との接触によって受容部材14に固定され、ロッド受容凹部を形成する圧迫部材60の内面が、円筒形R1に接触する把持溝1401を含む。動作中に、内側止めねじ102は、円筒形ロッドR1に力を加えて、その円筒形ロッドR1を把持溝1401内に付勢する。
【0087】
図15は、固定システムが取り付けられたヒトの脊椎の斜視図である。
【0088】
本明細書に開示される骨アンカー及びコネクタを使用する例示的な方法を以下で説明する。一部の場合では、例えば、患者の脊椎の頸部及び胸椎領域内の構築物の間を橋架するために、骨アンカー及びコネクタが各々1つ又は2つのロッドに固定される。骨アンカー及びコネクタは、把持溝を有するロッド受容凹部を使用してロッドに固定されて、ロッド、コネクタ、及び骨アンカーの互いに対する移動への抵抗を高めることができる。
【0089】
この手技は、標的部位にアクセスするために患者に開放切開又は経皮的切開を形成することによって開始することができる。標的部位は、患者の1つ又は2つ以上の椎骨、長骨若しくは長骨の複数部分、又は任意の他の骨若しくは非骨構造体であってもよい。
図15に示されるように、標的部位は、患者の頸部及び胸椎の複数の椎骨とすることができる。
【0090】
骨アンカーを1つ又は2つ以上の椎骨に打ち込んでもよく、脊椎ロッドは、既知の技術を使用して骨アンカーに取り付けることができる。例示される実施例では、左右の脊椎ロッドR1、R2が、8つの骨アンカーS1~S8を使用して、4つの隣接する椎骨V1~V4に連結されている。加えて、左右のロッドR3、R4が、4つの骨アンカーS9~S12を使用して、次の2つの隣接する椎骨V5~V6に連結されている。ロッドR1、R2は、本明細書で説明される種類の4つのコネクタC1~C4(例えば、コネクタ300)を使用して、それぞれ、ロッドR3、R4に接続することができ、骨アンカーS1~S8は、本明細書で説明される種類の受容部(例えば、受容部902)を使用して、ロッドR1~R4に接続することができる。
【0091】
示されるように、コネクタのC1~C4の低プロファイル性は、それらを同じロッドの隣接する脊椎レベル(例えば、V2/V3の間、及びV3/V4の間)に設置することを可能にすることができる。同じく示されるように、コネクタC1~C4は、隣接する脊椎レベルに設置された骨アンカーの間でロッドR1、R2に接続することができる。
【0092】
コネクタC1~C4は、それぞれのロッド受容凹部内にロッドを受容することができ、ロッド受容凹部は、ロッドR1、R2にコネクタを固定するための把持溝を有し、それによって、コネクタに対するロッドR1、R2の改善された回転運動の、場合によっては軸運動の抑制を提供する。
【0093】
コネクタC1~C4は、ロッドR3、R4に係止される前にロッドR1、R2に係止することができるように、又はその逆も可能であるように、独立した係止特徴を含むことができる。
【0094】
コネクタC1~C4は、それらのそれぞれのロッドに同時に係止することができるように、単一ステップの係止特徴を含むことができる。例えば、コネクタC1は、ロッドR1及びR3に同時に係止され得る。
【0095】
ロッドR1~R4、コネクタC1~C4、及び骨アンカーS1~S12は全て、単一の手技で設置することができる。
【0096】
代替的に、ロッドR1、R2、及び骨アンカーS1~S8は、以前の手技で設置されている場合があり、現在の手技は、以前に設置された構築物を追加的なレベルに延伸するために、ロッドR3、R4、コネクタC1~C4、及び骨アンカーS9~S12が設置される修正手技であり得る。
【0097】
コネクタC1~C4は、示されるように、ロッドR1~R4を、互いに実質的に平行であり、かつ共通の冠状面に実質的に置かれるように位置付けるように取り付けることができる。コネクタC1~C4はまた、ロッドの対R1、R3及びR2、R4を、それぞれの共通する矢状面に実質的に置かれるように位置付けるように、示される配向から90度回転させることもできる。
【0098】
同じ又は異なる椎骨レベルに追加のロッド及び/又はコネクタを設置するために、上記のステップを繰り返してもよい。既知の技法を使用して、構築物の最終的な締め付け又は他の調節を実施することができ、その手技を完了することができ、切開が閉鎖される。
【0099】
上記の説明又は添付図面において表現された若しくは示唆された方法ステップの任意の順序は、開示された方法を、その順序でステップを実施することに限定するものと解釈すべきではないことに留意すべきである。むしろ、本明細書で開示される方法の各々の様々ステップは、様々な順序のうちのいずれかで行うことができる。更に、記載した方法は、例示的実施形態に過ぎず、追加のステップを含む、又はより少ないステップを含む、様々な他の方法も本開示の範囲内である。
【0100】
本明細書で例示及び説明される方法は、一般に脊椎ロッドを複数の椎骨に取り付けることを含むが、本明細書のコネクタ及び方法は、任意の骨、非骨組織、又は非生物若しくは非組織対象物内で、様々な他の種類の固定化又は安定化機器と共に使用することができることを理解されたい。本明細書に開示されるコネクタは、完全に植え込まれることができ、又は外部固定化又は安定化システムの一部として使用することができる。本明細書で開示された装置及び方法は、低侵襲手術及び/又は切開手術で使用することができる。
【0101】
本明細書で開示される装置及びそれらの様々な構成要素部品は、様々な既知の材料のいずれかから構築することができる。例示的な材料は、例えば、ステンレス鋼、チタン、又はそれらの合金のような金属、PEEK、セラミックス、炭素繊維などのポリマーを含む、外科用途で使用するのに好適である材料を含む。本明細書で開示された装置の様々な構成要素は、剛性又は可撓性であり得る。装置の1つ又は2つ以上の構成要素又は部分は、蛍光透視法及び他の画像処理技法の下での可視化を容易にするために、放射線不透過性材料から形成することができ、又は他の構造物の可視化を干渉しないように放射線透過性材料から形成することができる。例示的な放射線透過性の材料としては、炭素繊維及び高強度のポリマーが挙げられる。
【0102】
以上、特定の実施形態を記載されるが、記載された概念の趣旨及び範囲内で多くの変更がなされ得る点を理解されたい。
【0103】
〔実施の態様〕
(1) インプラントであって、
ロッド受容凹部を有する本体であって、前記本体が、前記ロッド受容凹部への開口部を画定する第1の側部及び第2の側部を有し、前記ロッド受容凹部が、前記第1の側部の前記開口部と前記第2の側部の前記開口部との間に延在している中央長手方向ロッド軸を画定し、前記ロッド受容凹部の少なくとも一部分が、前記インプラントの内面によって形成され、前記内面が、互いにかつ前記中央長手方向ロッド軸と平行に延在している2つの把持溝を画定し、
各把持溝は、前記把持溝が前記内面と交差する2つの縁部を画定し、前記2つの把持溝の4つの前記縁部が共に、前記中央長手方向ロッド軸を中心とした円形の半径を画定する、本体と、
前記本体に対して移動し、前記中央長手方向ロッド軸に対して垂直である力を前記ロッド受容凹部内のロッドに対して及ぼし、かつ前記ロッドを前記2つの把持溝の前記4つの縁部に対して係合させるように構成された保持部材であって、
前記ロッドに対する前記把持溝の前記4つの縁部の前記係合が、前記中央長手方向ロッド軸を中心とした前記ロッドの回転移動を制限する役割を果たす、保持部材と、を備える、インプラント。
(2) 前記ロッド受容凹部が、前記ロッド受容凹部内の前記ロッドに対する前記力が、前記縁部が前記ロッドに係合するところで前記縁部及び前記ロッドの一方又は両方を撓ませることを可能にするようにサイズ決定され位置付けられた、前記2つの把持溝の間の空隙を画定し、前記撓みが、前記ロッドを前記空隙の中へ移動させる、実施態様1に記載のインプラント。
(3) 前記2つの把持溝の間の前記ロッド受容凹部の前記内面が、前記ロッドの半径よりも大きい距離だけ前記中央長手方向ロッド軸から離れて位置付けられている、実施態様2に記載のインプラント。
(4) 前記本体に形成された空洞に配置された圧迫部材を備え、前記圧迫部材が、前記ロッド受容凹部の少なくとも一部分を画定する内面を有し、前記圧迫部材の内面が、その中に形成された前記2つの把持溝を有する、実施態様1に記載のインプラント。
(5) 前記把持溝が、前記中央長手方向ロッド軸の方向に、前記ロッド受容凹部の前記内面の全長に沿って延在している、実施態様1に記載のインプラント。
【0104】
(6) 前記把持溝が、前記中央長手方向ロッド軸に関して前記保持部材に対向して位置付けられている、実施態様1に記載のインプラント。
(7) 前記ロッド受容凹部が、前記ロッドを受け入れるようにサイズ決定された開放端、及び前記ロッドに接触するようにサイズ決定された閉鎖端を画定し、前記把持溝が、前記開放端から前記閉鎖端まで延在している軸の周りに対称に配置されている、実施態様1に記載のインプラント。
(8) 前記インプラントの前記本体が、前記ロッド受容凹部を形成する前記内面を画定する、実施態様1に記載のインプラント。
(9) 前記把持溝と前記内面との間の前記交差が、鋭い縁部を画定する、実施態様1に記載のインプラント。
(10) 前記内面が、少なくとも1つの把持溝と交差する溝を画定し、前記溝の前記交差が、前記少なくとも1つの把持溝の前記縁部を分割し、前記ロッドが前記縁部と係合したときに、前記中央長手方向ロッド軸に沿った前記ロッドの並進に抵抗するための4つの隅部を画定する、実施態様1に記載のインプラント。
【0105】
(11) 少なくとも1つの把持溝と交差する前記溝が、前記把持溝に対して垂直に配向されている、実施態様9に記載のインプラント。
(12) 少なくとも1つの把持溝が、中に形成された1つ又は2つ以上の突起を有する内面を画定し、前記1つ又は2つ以上の突起は、前記ロッドが前記把持溝の前記縁部と係合したときに前記ロッドに接触するように配置された縁部へと延在している、実施態様1に記載のインプラント。
(13) 前記把持溝が、前記内面から延在している突起によって形成されている、実施態様1に記載のインプラント。
(14) 前記インプラントが、コネクタを備え、前記ロッド受容凹部が、第1のロッド受容凹部であり、前記本体が、第2のロッド受容凹部を画定し、前記第1のロッド受容凹部及び前記第2のロッド受容凹部の一方又は両方が、前記2つの把持溝を有し、前記本体が、間に延在している近位-遠位軸を画定する近位端及び遠位端を有し、
前記保持部材が、前記本体に形成されたトンネル内に摺動可能に配置され、かつロッドプッシャ軸に沿って前記本体に対して並進するように構成されている、実施態様1に記載のインプラント。
(15) 前記第2のロッド受容凹部が、前記本体の一対の離間されたアームによって画定されている、実施態様14に記載のインプラント。
【0106】
(16) 前記第1のロッド受容凹部が、遠位方向に開放され、前記第2のロッド受容凹部が、近位方向に開放されている、実施態様14に記載のコネクタ。
(17) 前記ロッドプッシャ軸が、前記近位-遠位軸に対して実質的に垂直である、実施態様14に記載のコネクタ。
(18) 第1のロッドを前記第1のロッド受容凹部内に係止し、かつ第2のロッドを前記第2のロッド受容凹部内に係止するために、前記本体にねじ込み可能に受容される止めねじを更に備える、実施態様14に記載のコネクタ。
(19) 前記インプラントが、骨アンカー組立体を備え、前記本体が、前記骨アンカー組立体の受容部材を備え、前記保持部材が、止めねじ又は係止要素を備える、実施態様1に記載のインプラント。
(20) インプラントであって、
ロッド受容凹部を有する本体であって、前記本体が、前記ロッド受容凹部への開口部を画定する第1の側部及び第2の側部を有し、前記ロッド受容凹部が、前記第1の側部の前記開口部と前記第2の側部の前記開口部との間に延在している中央長手方向ロッド軸を画定する、本体と、
前記受容凹部の開放端に位置付けられるように構成され、かつ前記ロッド受容凹部に配置されたロッドに接触するための内面を画定する把持インサートであって、前記内面が、互いにかつ前記中央長手方向ロッド軸と平行に延在している2つの把持溝を画定し、各把持溝は、前記把持溝が前記内面と交差する2つの縁部を画定し、前記2つの把持溝の4つの前記縁部が共に、前記中央長手方向ロッド軸を中心とした円形の半径を画定する、把持インサートと、
前記本体に対して移動し、前記ロッド受容凹部内のロッドに対して力を及ぼし、かつ前記把持の前記4つの縁部を前記ロッドに係合させるように構成された保持部材であって、
前記ロッドに対する前記把持溝の前記4つの縁部の前記係合が、前記中央長手方向ロッド軸を中心とした前記ロッドの回転移動を制限する役割を果たす、保持部材と、を備える、インプラント。