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特許7617105可撓性マット、リンクの製造方法およびリンク
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】可撓性マット、リンクの製造方法およびリンク
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0362 20130101AFI20250109BHJP
【FI】
G06F3/0362 463
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022529814
(86)(22)【出願日】2020-11-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 SE2020000029
(87)【国際公開番号】W WO2021101426
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】1900199-9
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】522200890
【氏名又は名称】トラッパー ホールディング アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ストロムベルグ,ロルフ エリック ラグナー
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/185847(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/003949(WO,A1)
【文献】特表2011-515774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/033 - 3/039
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モニタまたはディスプレイ上のポインタまたはカーソルの移動を制御するように配置されたポインティングデバイス(1)と共に、コンピュータまたは同様の電子デバイスで使用するための可撓性マット(2)であって、
並んで配置された複数のリンク(11a~z)であり、軸方向に実質的に剛性を有し、制限された角度で相互に回転可能であり、前記複数のリンク(11a~z)の前記軸方向に延在する基部(16a)に設けられた、複数のリンク(11a~z)を含み、
前記複数のリンク(11a~z)は、前記基部(16a)に配置または集積された少なくとも1つの結合要素(15a~z)を含み、
前記複数のリンクのうち少なくとも1つのリンクまたは前記少なくとも1つの結合要素(15a~z)は、1つまたは複数の曲げ線(BL、BLa、BLb)に沿って曲げられるか、または、部分的または完全にアーチ状または湾曲またはアーチ状のリンクを形成する半径で配置され、前記1つまたは複数の曲げ線(BL、BLa、BLb)が中心線(C)に実質的に平行に延在し、
前記複数のリンクのうち前記少なくとも1つリンクの前記少なくとも1つの結合要素(15a~z)は、前記複数のリンク(11a~z)のうち隣接するリンクの結合要素(15a~z)に機械的に接続され、前記複数のリンクのうち前記少なくとも1つリンクの前記少なくとも1つの結合要素(15a~z)は、前記複数のリンク(11a~z)のうち前記隣接するリンクの前記結合要素(15a~z)に少なくとも部分的に挿入または配置され、
前記可撓性マット内の前記複数のリンク(11a~z)は、互いに対して限定された角度だけ相互に回転可能またはターン可能なままである、可撓性マット(2)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの結合要素(15a~z)が、前記複数のリンク(11a~z)間に軸受点(P)を形成するように配置された接触エッジ(19a、b)を含み、
2つの相互接続された結合要素(15a~z)のための軸受点(P)における前記接触エッジ(19a、b)が、相互角度差(θ-α)をもって配置されている、請求項1に記載の可撓性マット(2)。
【請求項3】
前記可撓性マット(2)および前記複数のリンク(11a~z)は、ループまたはシリンダを形成するように配置される、請求項1に記載の可撓性マット(2)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの結合要素(15a~z)が、前記複数のリンク(11a~z)のうちの前記少なくとも1つのリンクの前記基部(16a)に取り付けられた側脚(17a、b)と、前記側脚(17a、b)の外端間に配置されたビーム(18a)とを備える、請求項1に記載の可撓性マット(2)。
【請求項5】
前記複数のリンク(11a~z)の前記基部(16a)が、少なくともいくつかの結合要素(15a~z)の前記側脚(17a、b)間の領域を閉鎖または架橋し、それによって前記結合要素(15a~z)が前記基部(16a)と共に閉ループを形成する、請求項4に記載の可撓性マット(2)。
【請求項6】
前記複数のリンク(11a~z)の前記基部(16a)は、少なくともいくつかの結合要素(15a~z)の前記側脚(17a、b)間の領域で開口しており、それによって前記結合要素(15a~z)は円弧形またはU字形ブラケットを形成している、請求項4に記載の可撓性マット(2)。
【請求項7】
前記結合要素(15a~z)の前記側脚(17ab)が少なくとも2つの領域(20a,b)で曲がり、前記側(17a、b)が各リンクの前記基部(16a)に対して角度(β)を形成する、請求項4に記載の可撓性マット(2)。
【請求項8】
前記複数のリンク(11a~z)のうち第1のリンクの前記結合要素(15a~z)が、前記複数のリンク(11a~z)のうち第2のリンクの前記少なくとも1つの結合要素(15a~z)に機械的に結合され、前記複数のリンク(11a~z)のうち前記第2のリンクの前記少なくとも1つの結合要素(15a~z)が前記複数のリンク(11a~z)のうち前記第1のリンクの前記結合要素(15a~z)を通して少なくとも部分的に挿入または配置され、前記複数のリンク(11a~z)のうち第3のリンク(15a~z)の前記結合要素(15a~z)が前記複数のリンク(11a~z)のうち前記第2のリンクの前記結合要素(15a~z)を通して挿入または配置される、請求項1に記載の可撓性マット(2)。
【請求項9】
前記複数のリンク(11a~z)のうち隣接する2つのリンクの相互接続された結合要素(15a、b)が互いに異なる外側長さ(L1、L2)を備えて形成され、それによって、前記隣接するリンクの前記少なくとも1つの結合要素のうちの第2の結合要素(15a)を通って少なくとも部分的に配置される前記少なくとも1つの結合要素のうちの第1の結合要素(15b)がより短い外側長さ(L2)を備えている、請求項1に記載の可撓性マット(2)。
【請求項10】
前記複数のリンクのうち1リンク(11a)の前記結合要素(15a)の内側長さ(l3)が、前記複数のリンクのうち隣接するリンク(11b)の相互接続された結合要素(15b)の外側長さ(L2)以上である、請求項1に記載の可撓性マット(2)。
【請求項11】
前記複数のリンク(11a~z)のうち各リンクは、金属箔からなる、請求項1に記載の可撓性マット(2)。
【請求項12】
前記可撓性マット(2)内の前記複数のリンク(11a~z)のうち前記少なくとも1つのリンクが、収束系列(27)内の少なくとも1つの終了結合要素(15k)と、別の収束系列内の少なくとも1つの中間結合要素(15i、j)とを備える、請求項1に記載の可撓性マット(2)。
【請求項13】
前記複数のリンクのうち第1のタイプのリンク(11x)が、収束系列の終了結合要素(15k)と、別の収束系列の中間結合要素(15i)とを含み、前記複数のリンクのうち第2のタイプのリンク(11y)が、収束系列の開始結合要素(15h)と、別の収束系列の中間結合要素(15j)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の可撓性マット(2)。
【請求項14】
前記複数のリンク(11a~z)またはその結合要素(15a~z)がプレートまたは箔状材料または物品から打ち抜かれるか、またはエッチングされる、請求項1に記載の複数のリンク(11a~z)の製造方法。
【請求項15】
コンピュータまたは他の電子デバイスでポインティングデバイス(1)と共に使用するための可撓性マット(2)を形成するためのリンク(11a~z)であって、前記リンクは、軸方向に実質的に剛性を有し、前記リンク(11a~z)の長手方向または前記軸方向に延在する基部(16a)に設けられ、
前記リンク(11a~z)は、前記基部(16a)に配置または集積された少なくとも1つの結合要素(15a~z)を含み、
前記少なくとも1つの結合要素(15a~z)は、1つまたは複数の曲げ線(BL、BLa、BLb)に沿って曲げられるか、または、部分的または完全にアーチ状または湾曲またはアーチ状のリンクを形成する半径で配置され、前記1つまたは複数の曲げ線(BL、BLa、BLb)が中心線(C)に実質的に平行に延在し、
前記リンクの前記少なくとも1つの結合要素(15a~z)は、隣接するリンク(11a~z)の結合要素(15a~z)に機械的に接続され、前記結合要素(15a~z)は、前記隣接するリンク(11a~z)の前記結合要素(15a~z)に少なくとも部分的に挿入または配置される、リンク。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本発明は、相互にターン可能または回転可能なリンクを備える可撓性/屈曲可能なマット、バンド、またはシリンダに関し、好ましくは例えば、コンピュータまたは同様の電子デバイスのためのモニタ/ディスプレイ上のポインタ/マーカ/カーソルの運動を制御するように構成されたポインティングデバイスとともに適用されることが意図されるが、これに限定されない、他の用途にも適用されることが意図される。本発明は特に、例えばラップトップコンピュータ又は同様の装置に設置するのに適した、そのような低い構造高さを有する、非常に薄いポインティングデバイスを可能にすることを目的とする。
【0002】
従来技術
今日、通常の一般的なポインティングデバイスは、例えばデスクトップPCなどの市場で支配的なマウスである。しかしながら、マウスには重大な欠点がある、すなわち、ユーザはモニタ/ディスプレイ上でカーソルを動かすために、キーボードから手を動かし、それをマウスの上に置かなければならない。また、ワークテーブルがない場合や、コンピュータの横の空間が限られている場合にも、マウスは直接不適当である。したがって、マウスの様々な代替物が開発されており、そのいわゆるタッチパッドは、現在、実質的にすべてのラップトップコンピュータに統合されている。タッチパッドは上述した欠点を有していないが、タッチパッドに対する指の接触面のために、モニタ/ディスプレイ上のカーソルの正確でない運動をしばしば与え、検出される指の実際の運動を与えない。指がタッチパッドの固体表面に対して摺動しなければならないという事実は、それに伴う摩擦を伴っても、ユーザによって負圧と認識されることが多い。これらの欠点の結果、多くのラップトップコンピュータのユーザは、内蔵タッチパッドを使用せず、代わりに可能な場合に接続されたマウスを使用することになる。
【0003】
いわゆるタブレットは現在、非常に人気があり、広い市場を獲得している。残念ながら、これらの装置は物理的な鍵盤を有しておらず、このことは作業がこれらの装置で必ずしも効率的に実行されるとは限らないことを意味する。したがって、これらのタブレットの多くは、外部キーボードを提供し、外部マウスもまた、しばしば、これと並んで使用される。あるいはユーザがモニタ/ディスプレイの「タッチ」機能を使用しなければならず、これは効率、精度、および人間工学を低下させる。
【0004】
また、ユーザとキーボードとの間に配置され、1つの座席内で回転可能かつ変位可能/並進可能な剛性シリンダまたはロッドを用いて設計されたポインティングデバイスも市場に出回っている。シリンダの回転はモニタ/ディスプレイ上でカーソルを垂直に移動させ、シリンダの軸方向の移動/並進(横方向)はモニタ/ディスプレイ上でカーソルを水平に移動させる。このタイプのポインティングデバイスの利点はユーザがシリンダに到達するために手を短い距離だけ動かせばよいことであり、シリンダの運動とモニタ/ディスプレイ上のカーソルの運動との間の応答が従来のコンピュータ・マウスと同様に直接的であるという利点が保持される。また、シリンダを容易に移動させることができるので、使い勝手がよい。この種のポインティングデバイスの欠点はシリンダの直径が小さい場合、ユーザの影響を受ける可能性のある領域も小さくなり、そのため、カーソルをより長い距離、特にモニタ/ディスプレイの垂直方向に効果的に移動させることが困難になることである。円筒の直径が大きいほど、ユーザが当然接触できる表面が大きくなるが、これはポインティングデバイスの構造高さが大きくなる/高くなる犠牲になる。人間工学の間のコンセンサスはこのタイプのポインティングデバイスが可能な限り薄くなければならないことであり、このことは、シリンダが大きな直径を有する場合にはより困難になる。トレンドはまた、より薄いキーボードに向かっており、ユーザにとって快適な作業状況を達成するために、薄いキーボードの隣に配置される前記タイプのポインティングデバイスの高さは、キーボードの高さよりも大幅に高くなるべきではない。
【0005】
例えば、SE0201694-7に記載されているポインティングデバイスが現在市販されており、これもユーザとキーボードとの間に配置されている。ポインティングデバイスは、軸方向に剛性であるが接線方向に容易に曲げられるシリンダを備え、シリンダは平坦で細長い比較的薄いプレート又はビームを囲み、その上面がポインティングデバイスが配置されるベースに平行になるように配置される。シリンダの上方に向けられた表面はビームの上側支持面に実質的に平行な、ポインティングデバイスのハウジングの開口部を通して、その上側に、ユーザによって2次元で到達し、移動させることができる。これは、シリンダがエンドストップ間のその軸方向に平行移動可能に配置され、2つの共回転ローラの手段によって、全ての軸方向位置でビームの周りに回転可能であるという点で達成される。シリンダの運動は光電子的に検出され、それによって、例えば、カーソルは、ディスプレイ上で対応して運動させられる。この技術の主な利点は、剛性のシリンダまたはロッドで構築された、同等の動作開口を有する競合するポインティングデバイスよりも、かなり低い構造高さでポインティングデバイスを製造できることである。それにもかかわらず、この技術を用いたポインティングデバイスの構造高さをいかに低く設計/製造できるかを制限する問題がある。
【0006】
1つの問題はシリンダが薄い不織布/ウェブ、例えば薄い不織布から作られていることであり、これは極めて柔軟ではあるが、6mm未満の直径を有するロールと組み合わせて使用することはほとんどできない。これはファブリックが「記憶効果」を有するためであり、ポインティングデバイスがしばらくの間使用されないままである場合、ローラの周りで湾曲/屈曲状態にあるファブリックの部分はこの湾曲状態でより永久的に形成される傾向がある。次に、ユーザがモニタ/ディスプレイ上のカーソルを垂直方向に短い距離だけ移動させ(すなわち、シリンダがビーム上でわずかに回転し)、次いでシリンダを解放することを望む場合、シリンダは前の「休止位置」または元の位置に回転して戻る危険があり、それによって、モニタ/ディスプレイ上のカーソルが許容できない方法で移動する。この記憶効果の影響は、ローラの直径が小さくなるにつれて増大する。
【0007】
また、ビームの下にあるシリンダの部分はシリンダの接線表面張力を減少させ、それによって摩擦をシリンダの快適な動きを可能にする値まで減少させるために、数ミリメートル下に垂らす必要がある。これは、ポインティングデバイスの厚さをさらに増加させた。
【0008】
完成したシリンダの内側には、硬質接着剤の薄いストリングがある。シリンダの外側には、シリコーンゴムの細い紐がついている。製造は切断された布地片から始まり、接着剤が布地の一方の側に糸の形態で塗布され、硬い状態に硬化され、次に、シリコーンゴムが布地片の他方の側に糸の形態で塗布され、硬化され、それによって、シリンダは、やはり硬化された接着剤を使用して、狭いいわゆる重複ジョイントを介して閉じられている。この全ては、製造において達成することが非常に困難であり、かつ費用がかかることが証明されている。不合格率は高い。
【0009】
また、WO2014/185847によれば、特殊なリンクを介して互いに摺動自在に取り付けられる長手方向リンクロッドからなるシリンダのタイプが提案されている。このようなシリンダはメモリ効果がないが、その複雑さのため合理的に製造することができず、シリンダはリンクロッドを互いに接続するために使用される中間リンクとベアリングピンとを取り付けて一体化するために、厚くしなければならない縦方向リンクロッドのために、必ずしもユーザが操縦することが困難になるほど重くなる。リンクロッドの厚さ及びそれらの必要な幅はまた、薄いポインティングデバイスへの設置を妨げる。
【0010】
したがって、従来技術は例えば、薄いキーボードに適合されたラップトップコンピュータまたはスタンドアロンポインティングデバイスのような、低い構造高さを有する将来の電子ユニットに組み込まれ、使用されるのに適した、十分に薄いマット/シリンダを製造することができず、また、機械的に「メモリ効果」を有さないという問題を伴って描かれている。今日存在するマット/シリンダの最も薄い構造は例えば布地のマットに基づいて、合理的に製造することも困難であり、高い不合格率を与え、製造コストを高くする。
【0011】
従って、先行技術は例えば、小型コンピュータまたは同様のユニット内への設置に適した接線方向に曲げ可能なシリンダの実用的/経済的に有用な構造を示さず、または記載しない。
【0012】
本発明の目的及び最も重要な特徴
本発明の目的は先行技術の上述の問題を解決し、バンドまたはエンドレスループまたはシリンダが形成されるように一緒に取り付けられ、リンクが少なくともある程度互いに対して回転可能またはターン可能で薄い軸方向に比較的剛性のリンクで作られたマットまたはバンドを備える装置を実証することである。
【0013】
本発明の更なる目的はマット/シリンダが例えば、ポインティングデバイスにおいてエンドストップに達し、ユーザがシリンダを更に同じ方向に移動しようとした場合に、変形又は崩壊しないように、十分に大きな軸方向剛性を有するべきであることである。
【0014】
本発明の更なる目的は隣接するリンク間の遊びを排除することであり、これにより、作動開口内で手動で作動されるマット/シリンダの部分の小さな動きさえも、その動きが検出されるシリンダの部分に搬送される。
【0015】
本発明の更なる目的はマット/シリンダがビームの周りで容易に回転し、達成された状態を維持することができるように、またユーザがマット/シリンダとの手動接触を解放したときにユーザの所望の位置に留まるように、マット/シリンダが、メモリ効果を伴わない最小の接線剛性を提供すべきであることである。
【0016】
本発明の更なる目的はマット/シリンダが塑性変形しないように、例えば、ユーザがマット/シリンダと接触している2本以上の指を無理に分離しようとする場合に、マット/シリンダが十分に機械的に耐久性を有するべきであることである。
【0017】
本発明の更なる目的は使用者の指とマット/シリンダの上面との間の摩擦がマット/シリンダとビームとの間の摩擦を実質的に上回るべきであり、これにより、マット/シリンダを使用者が容易に移動させることができる。
【0018】
本発明のさらなる目的はマット/シリンダが低い重量で作ることが可能であるべきであり、それは、ユーザがマット/シリンダを動かすときに克服する必要がある摩擦を最小限に抑えることである。
【0019】
さらなる目的は、マット/シリンダの運動のために克服する必要がある構造における残りの摩擦を低減することである。
【0020】
本発明のさらなる目的はシリンダの構造高さ、すなわち、装着されて作動位置にあるシリンダの頂部と底部との間の距離が例えば、ラップトップコンピュータ、タッチパッド、または同様の装置に適合されたラップトップコンピュータまたはキーボードアクセサリへの設置が適切になるほど低くなければならないことである。
【0021】
本発明のさらなる目的はリンクの相互回転中にリンク間の摩擦を最小限に抑えることであり、これは、リンクが実質的に点状の接触面で互いに接触することによって達成される。
【0022】
本発明のさらなる目的は、本発明による構造のマット/シリンダを有するポインティングデバイスが原則として、簡単であり、したがって、製造するのに費用効果的でなければならないことである。
【0023】
本発明の更なる目的は、本発明による構造のシリンダを有するポインティングデバイスも、市販されているコンピュータ、タッチパッド及び同様のユニットのための付属品として機能できるはずである。
【0024】
本発明の更なる目的は、例えばジャロジー(jalousies)又は同様のものに使用することができる任意に長いマット又は可撓性バンドを実証することである。
【0025】
また、本発明によるマット/シリンダは例えば、コンベアベルト、駆動ベルト、キャタピラ足、台車ベルト等として使用できるはずである。
【0026】
本発明は、従来技術の欠点を排除する。マット/シリンダの記憶効果を排除し、作動中のマット/シリンダの変形の危険性を低減/排除して、マット/シリンダ内の全ての機械的運動を、可能な限り最小の歪み/歪みで検出し、ポインティング装置の低い構造高さなどを達成できるようにする。
【0027】
上記およびさらなる目的および利点は本発明によれば、請求項1~45に記載の装置、請求項46に記載のリンク、請求項47に記載の方法、および請求項48に記載の本発明の使用によって達成される。
【0028】
発明の簡単な説明
したがって、本発明は、好ましくはシリンダ形に形成され、主としてコンピュータまたは同様の装置のモニタ/ディスプレイ上のカーソルを制御するためのポインティングデバイスで使用することを意図した可撓性マットまたはバンドに関する。
【0029】
本発明は、主として、リンクが実質的に均一な厚さの材料、例えば、実質的に平坦またはディスク形状の材料または箔で作られ、リンクがリンクの仮想中心線に向けられたジョイントまたは接触エッジを有する結合要素を備え、接触エッジがリンクの仮想中心線に平行に配向されてもよく、またはリンクの中心線に対してある角度で配向されてもよく、前記接触エッジがマットがその長手方向に延伸されるときに隣接するリンク間に軸受点を形成するように配置され、リンクおよび/または結合要素が好ましくはリンクの仮想中心線と結合要素軸受点との間に配置される少なくとも1つの曲げ線に沿って曲げられ、前記曲げ線が中心線に実質的に平行に延在することを特徴とする。
【0030】
本発明はまた、リンクにはリンクの長手方向/軸方向に延びる基部16aが設けられており、リンクの基部には少なくとも1つ、好ましくは多数の結合要素が配置されていること、リンク結合要素の少なくとも1つが、中空形状の凹部の形態で配置されていること、例えば、円弧/Uブラケット/ループ等を形成すること、リンクの結合要素の少なくとも1つが、隣接するリンクの結合要素に機械的に結合されていること、すなわち、リンクの結合要素の少なくとも1つが、隣接するリンクの結合要素に少なくとも部分的に挿入されていること、これにより、マット内の隣接するリンクはマットがその長手方向に延伸されたときに、互いに限定された角度だけ、相互に回転可能または回転可能なままであること、を特徴とする。
【0031】
本発明はさらに、リンクまたはその連結要素がワイヤ形状の材料/物品から作られていないこと、すなわち、金属の実質的に丸いワイヤから構成されていないことを特徴とする。ワイヤ形状の物品/材料からマットを作製することは実質的に板状または箔状の材料から作製されたマットと比較して、実質的により厚いマットをもたらし、これは本発明の目的を妨げる。他にも問題がある。しかしながら、非常に薄い材料/材料から同時に剛性であるが柔軟なマット/シリンダを製造する場合には、特別な問題が生じる。しかしながら、これは本発明によって解決される。
【0032】
マットは、好ましくはエンドレスループ又はシリンダを形成するように配置され、従って、多数の相互に回転可能な又はターン可能な軸方向に実質的に剛性のリンクで構成され、例えば主に平坦なビームのような何らかの形態の支持要素を取り囲み且つこれに耐える。シリンダの少なくとも一部、シリンダの上部は、通常、ポインティングデバイスが順番に配置される基部に平行に配置される、ビームの上側、支持面のようないくつかの支持体に抗して静止する。シリンダの上側はポインティングデバイスのカバー内の作動開口において上方に少なくとも部分的に露出されるように配置され、これにより、シリンダは、ユーザによってビームの表面に関連して都合良く移動させることができる。したがって、シリンダはその軸方向に変位させることができるが、その仮想中心線の周りにも回転させることができる。シリンダの動きは、例えば、光検出器の手段によって検出され、光検出器は次に、例えば、モニタ/ディスプレイ上のカーソルの動きを生じさせる電気信号を生成する。本発明は特に、シリンダ、そのリンク、およびそれらのアセンブリの設計に関する。シリンダの軸方向長さは、その円周に等しいか、またはそれより大きいことが好ましい。
【0033】
任意に、2つのリンクを、それらのそれぞれのシャフトまたはリンク上で軸方向に回転し、スライドさせるように配置することができ、これらのリンクはビームの両縁部に位置し、この場合にはシリンダもこれらのリンクおよびシャフトを取り囲む。
【0034】
シリンダはリンクで構成されており、このリンクは、シリンダが延伸されると、実質的に点形状の接触面において、互いに機械的に接触する。したがって、リンクは、互いに対して限定された角度で相互に回転可能またはターン可能である。
【0035】
リンクは好ましくは実質的に均一な厚さの物品/材料からなり、例えば、この薄い物品/材料からエッチングされ又は打ち抜かれ、この薄い物品/材料は適切には箔、例えば、鋼箔などの金属箔であってもよい。しかしながら、例えば、プラスチック、セラミック、ガラス繊維、炭素繊維などの他の材料を使用することも可能である。材料は典型的には約1mmまでの厚さを有するが、好ましくは0.025~0.3mmの厚さを有する。薄い箔はポインティングデバイスの厚さを減らすのに役立ち、低コストでエッチングできる。したがって、シリンダの重量は最小化され、これは使用中の低い接触力に寄与し、これは今度は低い摩擦を提供し、従って、シリンダはユーザによって容易に動かすことができる。さらに、箔からエッチングすることで非常に進んだ形状を作ることができ、集合体と機能の遠くまで至る最適化を可能にする。
【0036】
リンクは、多数の結合要素が配置される基部を有すると言うことができる。連結要素は、好ましくは全て、各リンクの基部の1つの長辺に沿って配置される。しかしながら、中間リンクには、基部の両長辺に沿って連結要素が設けられている。各結合要素は基部に接続されかつ基部の軸方向延長部に実質的に垂直な2つの側脚から好適に構成され、この基部から導かれたそれらの脚はそれらの他の外側で接続され、ビームを介して終わる。マット内の様々なリンク上の結合要素は、マット内の各リンク上の対応する位置、対応する軸方向位置に配置され、結合要素の手段によってリンクが互いに機械的に接続されることを可能にする。しかしながら、隣接するリンク上のそれぞれの位置における結合要素は隣接するリンクが効果的に接続され、互いに押し込まれ/移動されることを可能にするために、異なる長さを有することが好ましい。リンク間の機械的接点が生じる結合要素の領域は、リンクの端面図に見られるクロスを形成する。
【0037】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の本発明のより詳細な説明、ならびに添付の図面および特許請求の範囲から明らかになるのであろう。
【0038】
図面の簡単な説明
本発明は、いくつかの好ましい実施形態の形態で、添付の図面を参照して、以下により詳細に説明される。
【0039】
図1は、キーボードの前面に配置されることを意図したポインティングデバイスの斜視図を示す。
【0040】
図2は、ハウジングの上部を取り外したポインティングデバイスの斜視図を示す。
【0041】
図3a及びbは、ポインティングデバイスのハウジングを横切る部分において、ハウジングの上部及び下部並びにシリンダが回転するシリンダ及びビームの端面図、及びシリンダの一部の拡大図を示す。
【0042】
図4は、連結要素がどのように設計され得るかが示されている、3つの隣接し相互接続されたリンクの斜視図を示す。
【0043】
図5は、マット内のリンク上に低摩擦要素及び高摩擦要素をどのように配置することができるかの一例を示す。
【0044】
図6aはその一側面に沿って、外側長さL、内側長さlおよび幅Bを有する多数の実質的にU字形の結合要素が設けられた基部を含むリンクを示し、図6bは接触エッジが弓形に形成され得る方法をより詳細に示し、図6cは傾斜した接触エッジのないリンクの代替設計を示し、図6dは最終的に、リンクの基部およびこれらリンクの結合要素のいくつかの異なる考えられる構成を示す。
【0045】
図7は3つの相互接続されたリンクを示し、ここでは、相互接続を可能にするために、異なるリンク上の結合要素が異なる外側および内側の長さを有することが示されている。
【0046】
図8aはリンクの端面図を示し、図8bは互いに対してある角度でわずかに回転される相互接続されたリンクを端面図で示し、図8cは2つの相互接続されたリンクが互いに機械的に接触し、その線に沿って結合要素が曲げられる点をi.a.で示す。
【0047】
図9は、ビームの側面エッジの外側に位置するロッドの周りを通過するときにリンクが互いにどのように回転するかを端面図で示している。
【0048】
図10a~fは、結合要素とその側脚とを異なる方法でどのように曲げることができるかを端面図で示している。
【0049】
図11は、基部に対して斜めの角度で配置された側脚を備える、結合要素の代替実施形態を示す図である。
【0050】
図12は、基部が各結合要素の側脚の間で開いているリンクを示す。
【0051】
図13a~cは、他のリンクが2つの方向に接続されるように意図された、いわゆる中間リンクを示す。
【0052】
図14は、図13a~cによる中間リンクから始まって対称的にリンクが取り付けられるマットの可能な実施形態を示す。
【0053】
図15aおよびbは、中間リンクから2方向に延びる多数のリンクからなるマットの一部を示す。
【0054】
図16aおよびbは、いわゆるジョイント結合要素が例えば、点溶接の手段によって、適切に互いに溶接される方法を示す。
【0055】
図17はいわゆる開始結合要素、中間結合要素及び終了結合要素が互いにどのように接続されているかを示しており、破線は、種々のリンクの結合要素間で機械的接点が生じる軸受点を通り抜けている。
【0056】
図18は、開始接続要素、中間接続要素、および終了接続要素を有するリンクがマットにどのように接合されるかの例を示す。
【0057】
図19はマットの単純な実施形態を示しており、ここでは開始及び終了結合要素のみが、それぞれのリンク上に配置されている。
【0058】
図20は、リンクが終了及び中間結合要素を備えている実施形態を示している。
【0059】
図21は、リンクが開始、中間、および終了の3つの異なる結合要素を備えて配置されるマットの好ましい実施形態を示す。
【0060】
図22は4つの隣接するリンクからの結合要素が収束する一連の相互接続された結合要素を形成し、各リンクが、リンクの長さ方向に次々に配置された開始結合要素、2つの中間結合要素、および1つの終了結合要素からなる結合要素の少なくとも1つのグループを備える実施形態を示す。
【0061】
図23は、本発明によるマットの別の実施形態を示す。
【0062】
図24aおよびbは、傾斜した側脚を備える結合要素の別の設計を示す。
【0063】
図25aおよびbは、図23a、bのように対応する方法で、3つの弓形またはU字形の結合要素が互いに接続される結合要素のさらなる設計を示す。
【0064】
図26はさらに別の実施形態を有する本発明によるリンクを示し、リンクの結合要素は、リンクの一方の側に沿って互いに距離を置いてグループに配置される。
【0065】
図27は、結合要素が結合要素領域を形成するマットを形成するように互いに接続された図26による8つのリンクを示す。
【0066】
図28aおよびbは図26による2つのリンクの部分図を示し、より詳細には、それぞれが接続された2つのリンクのうちの1つに属する2つの結合要素の設計を示す。接触エッジの設計は、ここで特に顕著である。
【0067】
図29a~cはそれぞれ、2つの相互接続されたリンクの部分図、およびより具体的には結合要素の接触エッジの異なる可能な設計を示す。
【0068】
好ましい実施形態の説明
図1は、図示しないユーザと共通キーボードとの間に位置することを意図したポインティングデバイス1の遠近図を示す。ポインティングデバイス1は、シリンダ状に形成された、本発明による可撓性/屈曲可能なマット2を備える。ポインティングデバイス1の上部ハウジング部3aには、ユーザに向かって上方に向けられた開口部、いわゆる操作開口4が配置されており、マット/シリンダ2の上方に向けられた表面の少なくとも一部、マット2の上側を露出させる。ユーザは1つまたは複数の指がシリンダの上端部に到達し、マット/シリンダ2をポインティングデバイス1に対して横方向および横断方向の2つの方向/寸法で任意に移動させることができる。ポインティングデバイス1は、ここではさらに明記されていないさらなる機能のためのボタン5a~cを有するのが適当である。
【0069】
図2は、ハウジング(図示せず)の上部を取り除いたポインティングデバイス1の斜視図を示す。ここでは、マット2がシリンダとしてより明確に形作られており、互いに回転可能に連結された多数の薄くて細長いリンクから構成されている。マット/シリンダ2は、好ましくは平坦で長方形のプレートまたはビーム6を囲んでいる。シリンダの長さは、典型的には半分の円周よりも大きい。シリンダの上部は、ビーム6のほぼ平坦な上側、その支持面7に接している。シリンダはここではビーム6の上方で接線方向に張られ、この場合には、ビーム6の長辺に沿って位置する2つのロッド8a、bの上方で、各ロッド9a、bの周りを回転し、軸方向にスライドするように配置される。また、ビーム6の長い側面の1つに沿って配置された1つのロッド(図示せず)のみを使用することも可能であり、それによって、シリンダは、その反対側のビーム6のエッジに向かって直接回転する。
【0070】
ユーザが手動でシリンダを動かす、すなわち、マット2を軸方向に回転または変位させるか、またはこれらの運動の組み合わせを実行すると、マット/シリンダ2の運動は図3に概略的に示されるセンサ10によって検出され、運動/シフトに関する情報が例えば、接続されたコンピュータ(図示せず)に信号の形で送信され、その結果、例えば、カーソルがシリンダと同様に、しかしコンピュータのモニタ上で運動する。したがって、シリンダの横方向、すなわちその軸方向の運動はモニタ上のカーソルの水平運動を適切に生じさせ、シリンダの回転はモニタ上のカーソルの垂直運動を生じさせる。カーソルの斜線運動はシリンダの前記運動の組み合わせであり、したがって、カーソルは、スクリーン上の考えられるすべての方向に移動することができる。
【0071】
図3aは、ポインティングデバイス1のハウジング3を通る部分において、ハウジングの上部3a及び下部3b部分並びにマット/シリンダ2及びその周囲でマット/シリンダ2が回転するビーム6の端面図を示す。ここでは、ロッド8a、bを使用せずに、ビーム6とそのエッジの周りでのみ回転するシリンダが示されている。これは、通常、ビーム6がマット/シリンダ2に対して十分に低い摩擦を提供する材料で作られるか、またはコーティングされることを必要とする。シリンダは、シリンダの円周に対してビーム6の幅を適切に選択することによって、接線方向に十分に引き伸ばされた状態に保たれる。センサ10は、例えば光学式センサであって、マット/シリンダ2の動きを検知するように配置されている。
【0072】
図3bはマット/シリンダ2の一部をより詳細に示しており、ここでは図中下方に向けている。マット/シリンダ2は、多数のリンク11a-c(図4も参照)から構成され、その構造は以下に詳細に説明される。高摩擦要素12はリンク11a-cの上面/外面(すなわち、シリンダの中心に対して外側を向いているマットの表面)上に配置されて、ポインティングデバイス1のユーザの操作を容易にし、同じくリンク11a-c外面上に配置された低摩擦要素13は、マット/シリンダ2とポインティングデバイスの内下底面14との間の摩擦を減少させるように配置される。底面14は、代替として、また摩擦を減少させる目的で、もちろん、低摩擦要素13に対して低摩擦及び低摩耗を提供する材料で覆われた、又は構成された板のような表面を設けることができる。マット/シリンダ2はシリンダの接線方向にビーム6の周りに張力をかけるだけであり、ビーム6のわずかに下方に垂れ下がり、ハウジング3の内底面14に対してわずかに引きずられることは、大きな利点である。これにより、マット/シリンダ2の接線方向の表面張力が最小化され、これにより、マット/シリンダ2のビーム6のエッジに対する接触力が最小化され、つまり、ビーム6のエッジに向かうマット/シリンダ2の摩擦が最小化され、マット/シリンダ2のユーザの移動が著しく容易になり、ユーザの快適性が増加する。
【0073】
マット/シリンダ2の長手方向は、ここではリンクの軸方向の広がりを横切る方向として定義される。一方、シリンダの「軸方向長さ」は、シリンダの軸方向に見られる長さとして定義される。
【0074】
図4は、各々が複数の結合要素15a-cを備えた3つの隣接し相互接続されたリンク11a-cの斜め上方から見た斜視図を示す。結合要素15a~cはマット2の組立てを可能にする/容易にするために、異なる長さで配置される。マット2の組立中、第2のリンク11bの結合要素15bは第1のリンク11aの結合要素15aに単に押し込まれ、その後、第3のリンク11cの結合要素15cは第2のリンク11bの結合要素15bに押し込まれる。取り付けられた各リンク11a-bについて、マット2の長さは増加し、マット2の長手方向LRは、図4の双方向破線矢印LRによって示される。
【0075】
組み立て後、結合要素15cは結合要素15b内に配置され、それを通して挿入されると言うことができ、それは、対応する方法で、結合要素15aの内側に配置されると言うことができる。リンク11a~zおよびリンクのそれぞれの結合要素15a~zは、有利には1つおよび同じ実質的に平坦な形状または箔状の商品/材料で作ることができる。図4はまた、リンク11a-c上に配置された高摩擦要素12及び低摩擦要素13の幾つかの例を示している。これらは、リンク11a-cの外面を部分的に覆う。
【0076】
リンク11a~cは、薄い平坦な成形品/材料、好ましくは箔、好ましくはその厚さが有利には0.025~0.30mmである金属箔から作られ、それによってマット/シリンダ2の総重量を低く、典型的には10グラム以下に保つことができる。これにより、ポインティングデバイス/システム内の摩擦が最小化されるにつれて、シリンダの運動が容易になる。リンク11a-cの材料は、もちろん、用途、材料剛性、および他の状況に応じて、より厚く、より薄くすることができる。
【0077】
リンク11a-cは、有利には薄い鋼箔からエッチングで取り出すことができる。エッチングは、材料が薄いので、費用対効果の良い方法で行うことができる。また、他のさらなる処理を行わなくても、応力フリーで切れ味のないリンク11a~cを得ることができると共に、高精度を達成することができる。
【0078】
あるいは、本発明によるリンク11a-cを製造するために、微細切断、レーザ切断、または3D印刷を使用することができる。
【0079】
金属に加えて、リンク11a~cは、プラスチック、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック材料、または類似の特性を有する他の材料のグループからの材料から作製され得る。
【0080】
リンク11a-cは、高摩擦要素12を配置せずに金属リンクのマット/シリンダ2が過度に滑りやすく、従ってユーザが操作するのが困難であると知覚できるように、実質的に軟質な材料からなる高摩擦要素12でできるだけ広い面積に被覆されている。この問題を解決する高摩擦要素12は約0.1mmの厚さを有するリンク11a-cの外面上に全体的に又は部分的に適切に配置されるが、もちろん、異なる厚さで設計することができ、シリコーンゴム又は同様の特性を有する他の材料からなることが有利である。
【0081】
マット/シリンダ2のリンク11a-cもここにあり、リンク11a-c表面から数えた、固定された高摩擦要素12よりも数十分の一外側に延びる小さな「島」すなわち「落下」の形で配置された低摩擦要素13が設けられている。低摩擦要素13の直径は、好適には約1mmである。低摩擦要素13は、ポインティングデバイスの下側ハウジング部分3bの底面14(特に図3bを参照)、または好ましくは低摩擦要素13に対して低摩擦を与えるポインティングデバイス1の底部またはその近くに別個に配置された表面と接触するように意図されている。
【0082】
低摩擦要素13がリンク11a-c上にあまりにまばらに配置されないならば、高摩擦要素12は、決してポインティングデバイスの底面14まで到達せず、好ましくない増大した摩擦を生じさせないであろう。低摩擦要素13は、アクリルプラスチック等のような硬くて滑らかな材料からなるので、ポインティングデバイスの底14に対するマット/シリンダ2の摩擦は最小限に抑えられ、これによりマット/シリンダ2は容易に移動可能となる。低摩擦要素13は小さく、比較的少ないので、使用者の指先は常に、操作開口4を介して、マット/シリンダ2上で良好なグリップをユーザに与える高摩擦要素12まで容易に到達するのであろう。
【0083】
低摩擦要素13がなければ、高摩擦要素12はポインティングデバイスの内側底面14に接触し、マット/シリンダ2の運動における摩擦が大きく増大し、マット/シリンダ2のユーザの運動を著しく妨げることになる。
【0084】
図5は、低摩擦要素13がマット/シリンダ2内のリンクのいくつかにどのように配置され得るかの例を示す。したがって、リンク11bは例えば、部分的に高摩擦の要素12だけでなく、低摩擦の要素13も備えて配置される。
【0085】
小さな膨らみ、トングまたは隆起のような低摩擦要素13も、リンク11bの自身の材料(図示せず)から形成/プレスすることができ、次いで、低摩擦要素13として機能する。利点は、追加の材料を添加する必要がないことである。
【0086】
さらに別の選択肢は、比較的硬い材料の小さなボール、ディスク等がリンク11bに適用されることである。低摩擦要素13がどのように構成されるか、又はどのような材料で構成されるかは決定的ではないが、本発明に係る本質的なことは高摩擦要素よりも硬い又は少なくともより多くの低摩擦材料からなる低摩擦要素13が周囲の高摩擦要素12よりもリンクの外面からさらに到達し、より高くなることである。
【0087】
ポインティングデバイスの底面上に静止する低摩擦要素13を配置する代わりに、ビーム6のエッジを介してマット/シリンダ2を伸ばすか、あるいは、ビーム6の底面から非常に少なく、最小限に吊り下げられ、したがってポインティングデバイス14の内底面14まで到達しないように、ロッド8を介して伸ばすことができる。これにより、比較的低い(薄い)ポインティングデバイス1が可能になるが、この場合、マット/シリンダ2の接線方向の表面張力、マット/シリンダ2のビーム6の縁部に対する摩擦、またはロッド8が摺動して回転する軸9に対する摩擦が必然的に高くなり、マット/シリンダ2のユーザの運動を著しく妨げることになる。
【0088】
別の代替案はマット/シリンダ2をビーム6の下にかなりの距離をかけて吊り下げることであり、これにより、ビーム6の周りのマット/シリンダ2の良好な滑り/回転が許容されるが、同時に、ビーム6の下側とポインティングデバイス1の底面14との間に、より大きな距離が必要とされる。これにより、ポインティングデバイス1の構造高さ(厚み)が著しく増大し、好ましくない。
【0089】
このように問題はマット/シリンダ2がビーム6の周りで容易に回転可能でなければならないのと同時に、低い構造高さを有するポインティングデバイス1を設計することである。リンク11a-cの大きな面に配置された高摩擦要素12及びリンク面の選択された箇所に配置された小さな低摩擦要素13は、この問題を解決するための必須条件である。
【0090】
図6aは図5から、基部16aからなるリンク11bを示し、図中の部分は破線領域内にあり、かつ長手方向において最も剛性の高い部分を構成している。リンク11bは、その1つの長辺に沿って、外側長さLおよび内側長さlを有する多数の実質的にU字形の結合要素15bを備える。
【0091】
リンクの基部16aと結合要素15a、bとが異なる材料で作られている場合であっても、結合要素15a、bはリンクの基部16aに固定して配置されることが有利であり、それによって、一体化されたユニットが得られる。結合要素15a、bの簡単な構造のために、リンク11b内またはリンク間で、ヒンジ機能を達成し、リンクを互いに対して回転/回転させることを可能にする可動部品は不要である。このようにリンクの結合要素15a、bおよび基部16aは、固定された非常に薄い一体化ユニットを形成する。
【0092】
各結合要素15bはリンク11bの基部から幅Bだけ延びており、結合要素15bは、リンク11bの部分の長辺に配置され、他方の長辺は結合要素を欠いている。各結合要素15bは凹部のもとに形成され、その側脚17a,bを構成する「ループ」を形成し、このようにして連結部11bの基部16aに締め/アレンジされている。側脚17a,bは、接続ビーム18aを介して他端で互いに接続されている。これらの連結ビーム18aは、リンクの長さに平行に延びるリンク11bの仮想中心線Cに実質的に平行に配置され、リンクの長辺の中間に位置する。
【0093】
基部16aはリンクの基部16aの部分に沿って、例えば2つの結合要素15a-qの間に拡幅された表面16bを設けることができ、これは、高摩擦要素12及び/又は低摩擦要素13で被覆することができる表面を増加させるために、結合要素の内部空間/凹部内に延在することができる。側脚17a、bはここではリンク11a~cの中心線Cに対して実質的に直角に配置されているが、もちろん、異なる角度で配置することもできる。
【0094】
結合要素15bの外側および内側長さのそれぞれのL、lは、以下のように定義される。
【0095】
結合要素15bの外側長さLは側脚17a、bの外側縁間の最大の距離であり、リンクの軸方向延長線、又はその中心線Cに平行な線に沿って測定することができる。
【0096】
結合要素15bの内側長さlは、リンクの中心線Cに平行な線に沿って測定することができる側脚17a、bの内部エッジ間の最大距離である。
【0097】
これらの定義はまた、以下に記載されるように、不規則な設計を有する側脚にも適用される。
【0098】
結合要素15bには、マット2がその長手方向に延伸されたときに、リンク11a、bの互いに対する実質的に自由スリップおよび遊びのない回転/回転を達成するために、隣接し相互接続されたリンク11a、b(例えば、図8bおよびc参照)の間に軸受点Pを作り出すように配置された角度付き接触またはヒンジエッジ19a、bが設けられる。このような傾斜した内部接触またはヒンジエッジ19aは接続ビーム18aへの側脚17a、bの接続部に、より具体的にはそこに形成された隅部の内部に配置される。これに対応して、側脚17a、bはリンク基部16aに近接し、その外側にも傾斜した接触エッジ19bが設けられている。接触エッジ19a、bは、2つの相互接続された結合要素15a、bの間の軸受点Pの領域において、リンク11bの中心線Cに対して90~180度の間の角度αおよびθで配置されることが好ましい(図6a参照)。角度αおよびθは互いに異なってもよいが、ここでは135度であり、したがって等しい。
【0099】
基部16aは高摩擦要素12及び/又は低摩擦要素13を設けることができる表面を増大させるために、各結合要素の側脚17a,b間及び各結合要素15b間で拡幅される。連結ビーム18aは、有利には高摩擦要素12(図示せず)でコーティングすることもできる。
【0100】
図6bは、接触エッジ19a、b、ここでは具体的には接触エッジ19bが凹状/弓状に形成されることもできる様子を示している。
【0101】
図6cは、接触エッジ19a、bをリンクの仮想中心線Cに平行に配置することも可能であることを示している。この変異体の結合要素15d,eではリンク11eの基部16aと隣接するリンク11dの連結ビーム18aとの間でリンク11d,e間の機械的接点が生じ、接触エッジ19aは連結ビーム18a内に一体化されているといわれ、接触エッジ19bはそれらの設計だけでリンク11d,eの基部16a内に一体化されていると同様に言われている。
【0102】
この実施形態の問題は、リンク11d,e間の軸方向の遊びが不都合に増大することである。
【0103】
図6dはリンクの基部16aおよびこれらの異なるリンクの結合要素15aの原則的に異なる可能な構造を示し、結合要素15aのいくつかは基部16aとともに閉ループを形成し、それぞれのリンク11f、gの基部16aはリンク11f、gの基部16aへの側脚17a、b接続の間の領域に閉鎖/ブリッジ18bを備える。他の結合要素15aは「開ループ」を形成し、ここでリンク11hは基部16aにおいて、ブリッジを欠き、これらの結合要素15aの側脚17a、bの間で開いている。また、図はリンク11f,hを軸方向に補強するため、及び/又は高摩擦要素12及び/又は低摩擦要素13(図示せず)のための空間を増やすために、基部16aの部分をどのように広げることができるかを示している。
【0104】
図7は、隣接するリンク11a~cの結合要素15a~cが互いに異なる外側長さL1、L2、およびL3でどのように形成されるかを示す。リンク11a-cの集合体はリンク11aから始まり、リンク11bの結合要素15bがリンク11aの結合要素15aに挿入され、リンク11cの結合要素15cがリンク11bの結合要素15bに挿入される。
【0105】
結合要素15cの外側長さL3は、結合要素15bの内側長さl2よりも小さい。結合要素15bの外側長さL2は、結合要素15aの内側長さl3よりも小さい。これにより、リンク11a~cの結合要素15a~cを障害なく互いに挿入することができ、合理的な製造/集合体が可能になる。
【0106】
また、リンク11a-cの外側長さは互いに異なることに注意すべきである。これは挿入された連結要素の外側長さが、次のリンクの内側長さに対して小さい過剰寸法を有する場合であっても当てはまる。
【0107】
図8aは、リンク11aの端面図に見られる、本発明によるリンク11aの基本的な設計をより詳細に示す。リンク11aの基部16aの外面に配置されているのは、高摩擦要素12及び低摩擦要素13である。側脚17a、b(図に示す端面図では17bのみ見ることができる)は、リンク11aの基部16aから外方及び下方に延びている。側脚17a、bは、リンク11aの基部16aの近くの第1の領域20aにおいて2本の線BL(図8c参照)に沿って曲げられ、側脚17a、bの外側部分の近くの第2の領域20bにおいて2本のさらなる線BL(図8c参照)に沿って曲げられ、したがって、側脚17a、bの外側端部を接続する接続ビーム18aの近くにある。各曲げ領域20a、bでは、側脚17a、bにつき2つの曲げ点21a、bが配置されており、各々、物品/箔を角度βに曲げる。連結ビーム18aは、リンク11aの基部16aとほぼ同じレベル/平面内、すなわちマットの操作面22内に配置されている。側脚17a,bのルートSはまた、わずかにアーチ状/折り曲げられてもよいが、基部16a及び連結ビーム18aの上面と実質的に平行であるが、同一平面内には配置されず、少なくともマット/シリンダ2がポインティングデバイス1の操作開口4の領域内にあるときに、例えばビーム6の支持面7のような支持面に対してマット2の機械的/物理的接触を構成するように配置される。
【0108】
図8aに示す角度βは好適には約160度であるが、好ましくは135~170度の範囲である。角度βが大きすぎると、マット2が直線状に伸びることが複雑になるか、または妨げられ、このことは、次に、マットがビーム6の支持面7のような表面に対して平坦に位置することができないことを意味する。角度βが小さすぎると、塑性変形をもたらす危険性があり、特に、指先を有するユーザがマット2の長手方向においてリンク11a-cに対してより大きな分離力/牽引力を加えれば、リンク11aの屈曲点21bに危険が及ぶ。
【0109】
図8bは、互いに対して角度γでわずかに回転された2つのリンク11aおよび11bを示す。本発明の通常の適用において、マット/シリンダ2の回転における2つの隣接するリンク11a、bの間の角度γは、ビーム6の周りのリンク11a、bの位置に応じて、およびリンク11a、bが回転するビーム6またはロッド8のエッジの直径に応じて、0~90度の範囲で変化し得る。リンクの側脚17a、bは、リンク11a、bがそれらの組み立て状態で、結合要素15aが隣接するリンクの結合要素15bと機械的に接触している各軸受点Pにおいて、マット2がその長手方向に延伸されたときにリンク11a、bの端面図で見られる架橋を形成していると言える。
【0110】
図8cはマット2がその長手方向に組み立てられ、引き伸ばされたときに、領域20a内に位置する軸受点Pにおいて、2つの隣接するリンク11a、bの間の機械的接点が生じることを示している。1つのリンク11aの結合要素15aは隣接するリンク11bの基部16aの下の基部16aにおけるその取付け部から延び、次に、この次のリンク11bの結合要素15bに機械的に結合される。リンクの連結要素の少なくとも1つ、好ましくは全てが、このように配置される。したがって、リンク11a,bの間の接触は、軸受点Pで行われ、隣接するリンクはマット2が組み立てられ、その長手方向に伸ばされるときに、軸受点Pを通して引かれた仮想線の周りで互いに対して回転することができる。
【0111】
図8cは、また、各側脚の曲げ領域20a、bにおける曲げ点21a、bがリンク11aの仮想中心線Cに平行に延びる曲げ線BL(破線)に沿ってどのように位置しているかを示している。
【0112】
したがって、結合要素15aは、リンクの仮想中心線Cと結合要素の軸受点Pとの間に配置された少なくとも1つのこのような曲げ線BLに沿って曲げられる。
【0113】
図9は、リンク11a-cがビーム6の片側エッジの外側に配置されたロッド8を通過するとき、互いに対してどのように回転/ターンするかを端面図で示している。ここで、ロッド8の半径により良く適合するために、側脚17bがどのように僅かに湾曲しているかを見ることができる。この湾曲した形状はより大きく、またはより小さく作ることができ、または当然、省略することができる。
【0114】
図10aは、端面図で見て、2本の線BLだけに沿って曲げられたリンクの変形例を示す。本発明によるマット2は、もちろん、多数のこのようなリンクで構成することができる。しかしながら、これは、リンクの上向きの両外側端部/エッジが鋭く/鋭く、したがってユーザに不快感を与える可能性があるという欠点を有する。この場合、高摩擦コーティング(図示せず)も、操作表面22に対して相互に平行又は平行ではなく、これは、ユーザの高摩擦コーティングとの機械的接点を妨げる。
【0115】
図10bはリンクの端面図に見られるようにリンクが部分的に弓形になるように、リンクがどのように大きな半径で曲げられ、曲げられることができるかを原理的に端面図で示し、これはすべての曲げ形状に適用される。したがって、曲げは小さな半径で鋭くする必要はないが、より大きな半径で行うことができる。
【0116】
図10cは2つの相互接続された代替リンクを示しており、各リンクはリンクの端面図に見られるように、1つの曲げ線BLのみに沿って曲げられている。
【0117】
図10dは2つの相互接続されたリンクを示しており、それぞれは、実質的に完全に湾曲/曲げられた又は弓形の結合要素が設けられるように非常に大きな半径で曲げられている。
【0118】
図10eは基部及び連結ビームが同一平面内に位置し、マットの操作面22に平行なリンクを示す。図10a~dおよび10fに示される実施形態は当然ながら、同様の方法で補足することもできる。
【0119】
図10fは2つの異なる相互接続されたリンクの組み合わせを示し、端面図で見られるように、そのうちの1つは弓形であり、1つは実質的に真っ直ぐである。それらを組み合わせ、それらを互いに交互に連結することによって、マット/シリンダ2は1つ毎のリンクが曲げを欠いているにもかかわらず、その長手方向に伸ばされたときに、支持面に対して依然として平らに横たわることができることが達成される。
【0120】
すべての実施形態に共通するのは、リンク間の接触がリンクの端面図に見られる架橋を形成することである(図10cに丸で示される)。
【0121】
図11は、リンクの基部16aに対して傾斜した側脚17a、bを備えた結合要素15fの代替実施形態を示す。これらの結合要素15fの長さは、その接続外側ビーム18aにおいて、基部16aにおける取り付けにおけるその内側部分よりも大きい。その結果、結合要素15fの同じ外側長さを有するリンク11jは理論的には互いに相互接続することができるが、欠点は各結合要素15fの連結ビーム18aを強く曲げて次のリンク11jにおける対応する結合要素15fに挿入しなければならないので、製造がかなり困難であるということである。
【0122】
図12は、結合要素15aの側脚17a、bの間で基部16aが開いているリンク11kを示す。この設計の利点はリンク11kがマット/シリンダ2を動かすときのより低い摩擦に寄与するより低い重量を有するが、同時に、各リンク11kの軸方向剛性が低減されること、ならびに高摩擦要素12および低摩擦要素13を取り付けるためのスペースがあることである。
【0123】
図13a~cは、他のリンク(ここでは図示せず)が凹部15gを介して両側で2方向に外に接続される、いわゆる中間リンク11lを示す。図13aは中間リンク11lの全範囲を示し、図13bは、中間リンク11lの外側端部の一部をより詳細に示す。図13cは、中央リンク11lがどのように曲げられるかを端面図で示す。
【0124】
この対称的な中央リンク11lは他のリンクと同様に、2つの曲げ点21a、bをそれぞれ有する2つの領域20a、bで曲げられることが好ましい。2つの外側縦縁部24a、bは、ほぼ同一平面内に位置している。
【0125】
図14はマット2の実施形態を示しており、リンク11a-c,mは、前記中間リンク11lから始まって対称的に取り付けられている。
【0126】
図15aはマット2の実施形態の製造において、中間リンク11lから始まり、中間リンク11lに配置された側脚17a、b間の空間に対応する凹部15gに第1リンク11aの結合要素15aを挿入する方法をより詳細に示す。中間リンク11lの凹部15gの内側長さl(図13a参照)は、第1リンク11aの結合要素15aの外側長さよりも大きい。次の製造ステップでは第2のリンク11bが第1のリンク11aに挿入され、第1のリンク11aの結合要素15aの内側長さは第2のリンク11bの結合要素15bの外側長さよりも長く、以下同様である。各追加のリンク11a-c,mには徐々に短くなる結合要素15a-cが設けられるが、リンク11a-c,m上の対応する軸方向位置に配置される。製造中、リンク11a~c,mは図15aに見られるように、両方向に中間リンク上方および下方の両方向に挿入され、対称マット2が得られるまで挿入される。
【0127】
接続リンク11mと呼ばれる最後の/最も外側のリンクにはここでは「ジョイント・トング」の形態で示され、図15bの端面図に示される2つの点21a、bだけで曲げられたジョイント要素25を設けることができるが、必ずしもそうする必要はない。このマット2の一方の側の接続リンク11mはそのジョイント要素25を介して、重複ジョイント26(図16a,b参照)を介して、マット2の他方の側の接続リンク11mのジョイント要素25と閉じたシリンダが得られるように、互いに接続することができる。あるいは、好ましくはいくつかのこのようなマットが任意の長さのマット2、またはより大きな円周を有するシリンダに共に接合され得る。したがって、マット2の2つの最も外側のリンク11mは、一緒に接合されるか、または追加のマット2の最も外側のリンク11mに接合されて、任意の円周のシリンダまたは任意の長さのマット2を形成することができる。
【0128】
図16a及び図16bは、ジョイント要素25が例えばスポット溶接の手段によって互いにどのように好ましく溶接され、従って重複ジョイント26を形成するかを示す。また、ジョイント要素25は、例えばはんだ付け又は接着によって、別の方法で互いに締結することができる。
【0129】
上述した全ての実施例において、マット2のリンク11a-c,mは、これらがシリンダへの最も外側のリンク11mを介して一緒に接合されると、分離することが不可能である。しかしながら、いくつかのマット2からなるポインティングデバイス1のためのマット2の製造は実際には複雑である。というのはマット2が機械的に取り扱いが困難であり、溶接前に他のマット2に対して精密に配置されなければならないからである。本発明による任意の長さのマット2を一体に組み立てることができれば有利であり、これが実際に可能であることが分かった。
【0130】
図17は、結合要素15h~kがそれぞれ設けられたリンク11n~qのグループを示す。リンク11n-qの集合体は第1のリンク11nから始まり、それ故、開始結合要素15hを備えているといえる。次に、結合要素15i,jがそれぞれ設けられた2つの中間リンク11o,11pが組立順に取り付けられる。組立順序における最後のリンク11qは、後続の結合要素がこの結合要素15kに挿入されていないので、終了結合要素15kを備えていると言うことができる。結合要素15i、jは機械的であり、また、組立順序では、開始結合要素15hと終了結合要素15kとの中間であり、したがって、中間結合要素15i、jと言える。
【0131】
ここで、開始、中間、および終了結合要素は、以下のように定義される:
開始結合要素は、他のどの結合要素にも挿入/配置されず、それ自体に挿入/配置された結合要素を有する。
【0132】
中間結合要素は、開始結合要素または中間結合要素に挿入/配置され、それ自体に挿入/配置された追加の中間結合要素または終了結合要素を有する。
【0133】
終了結合要素は、開始又は中間結合要素に挿入/配置されるが、それ自体には後続の結合要素は挿入されない。
【0134】
この手段は例えば図に示されているように、中間リンク部11lである。13a~cは、ここでは15gで示される開始結合要素を備えて配置される。
【0135】
ここでは用語「挿入された」が使用されているが、全てのリンク及び結合要素が、結合要素が互いに実際に機械的/物理的に挿入/摺動される必要性を排除する方法で製造される場合であっても、上述の定義が適用される。そのような方法は例えば、3D印刷であってもよく、例えば、図17に示される機構は、リンクが既に互いに配置されているか、または「挿入/配置されている」単一のプロセスで製造されてもよい。本質的なことは、結合要素が一方の結合要素が「他方に位置する」ように、互いに挿入/押し込まれることが可能であり、必ずしも、それらが実際に互いに移動されているわけではないことである。
【0136】
図17の終了結合要素15kを除いて、結合要素15h~kのいずれも、組み立て順序の「次の」結合要素によって機械的に防止されるので、挿入される結合要素から滑り出ることができないことに留意することが重要である。しかしながら、組立順序において、終了結合要素15kは、出口(分離)を阻止することができる次の結合要素を有していない。これは一般に当てはまり、終了結合要素15kのみが、それが挿入される結合要素から滑り出る可能性がある。
【0137】
図17は隣接するリンクの結合要素15h-k間に接触が存在する軸受点Pを結ぶ破線を示し、これらの線が実質的に斜めに走り、共通点P2に向かって収束する様子を示す。したがって、結合要素15h~kは、収束系列を形成すると言うことができる。リンクの結合要素15h~kの外側長さが異なることに留意されたい。収束系列を形成することができる結合要素の数が制限されることは明らかであり、その理由はより早く又は後に、更なる結合要素を挿入することができない終了結合要素に到達することが無条件であるからである。しかしながら、終了結合要素は例えば、上述した結合要素と同様の側脚及び連結ビームを用いて非常に良好に作ることができ、その結果、原則として、別の結合要素を挿入することは可能であるが、これは起こっていないことに留意されたい。
【0138】
以下の本文では、継ぎ合わせ/接合を必要とせずに任意に長く作ることができる本発明によるマットの様々な実施形態を説明する。次いで、これらのマットは、単一のジョイントのみを介してシリンダに変換され得る。最も単純な形態のマットは、少なくとも1つの、好ましくはいくつかの終了結合要素と、少なくとも1つの、好ましくはいくつかの開始結合要素とを備える少なくとも1つのリンクを備える。2つの結合要素の分離は、終了結合要素がそれが挿入される結合要素から滑り出るとき/滑り出る場合に、このタイプのマットにおいて起こり得る。2つの隣接するリンク間の全ての結合要素が分離する場合、これらのリンクは当然分離する。したがって、これらのマットは結合要素、および最悪の場合にはリンクの分離の危険性を低減/排除するために、張力をかけられた状態に保たれなければならない。これは、ユーザが操作領域内の指でリンクを押して、少なくとも1つまたは複数の結合要素が分離するようにすることができ、これが少なくともマットの接線方向の柔軟性を妨げ、それによって、マットの滑らかでビームの周り易い動きを減少させることになるので、ポインティングデバイスでの使用には不適当なものとなり得る。
【0139】
図18は、各収束系列における中間結合要素の数が6で多数のリンクを有するマットを示す。他の実施形態では、異なる収束系列の中間結合要素の数がより多くても、より少なくてもよい。また、図18では、収束系列を識別することができる。各収束系列の最後のリンクには、終了結合要素と開始結合要素との両方が設けられ、これにより、中間結合要素追加のリンクをこのリンクに挿入することができる。
【0140】
このようにして、任意の長さのマットは図18によるリンク/結合要素のパターンを繰り返すことによって製造することができ、このタイプのマットは、終了結合要素が挿入された結合要素から滑り出ることができるので、常に引き伸ばされたままであるべきである。
【0141】
したがって、各集束系列の結合要素における中間結合要素の数は任意である。中間結合要素の最大可能数は、開始結合要素の長さ及び次の結合要素の側脚の幅によって決定される。
【0142】
図19は本発明によるマット2のおそらく最も単純な実施形態を示しており、各収束する一連の結合要素の中間結合要素が欠落している。リンク11rはここではリンク11rの一方の側に沿って配置された開始及び終了結合要素15h、kの両方を備えた単一のタイプ/設計からなり、開始及び終了は1つおきである。この実施形態によるマット2はまた、結合要素15h、kとしてストレッチされた状態に保たれるべきであり、したがって、リンク11r全体は、さもなければ分離することができる。
【0143】
しかしながら、マットが延伸されていなくても、結合要素、従ってリンクが実際にはほとんど又は決して互いに分離しないという非常に有利な特性を有する任意の長さのマットを構築することが可能である。マットの全てのこのような変形例に共通しているのは、終了結合要素を備えたリンクにも中間結合要素が設けられていることである。
【0144】
結合要素の分離は、リンク上の終了結合要素が組立順序に従ってリンクの基部より少なくとも部分的に下方に延び、上方から見て垂直方向にマットに向かって見える場合(図20、21および22に示す)、さらに困難にされる。
【0145】
図20は、リンクの分離が実際には排除される、このようなタイプのマット2の実施形態を示す。ここで、リンク11tには少なくとも1つの終了結合要素15kが設けられているが、少なくとも1つの中間結合要素15jも設けられている。終了結合要素15kは、次のリンク11uの基部16aの下に延びるように配置され、これは結合要素15kと15iの分離を悪化させるのに寄与する。結合要素15j,kのパターンは有利にはリンクの軸方向に繰り返され、その結果、リンク11tは終了結合要素15kの各側に配置された中間結合要素を備える。
【0146】
本発明によるマットのすべての実施形態に共通するのは、図6aに記載された接触またはヒンジエッジ19a、bがリンク上の結合要素のいくつかにおいて欠けている可能性があるので、リンク上のすべての結合要素が隣接するリンクの結合要素と接触する必要がないことである。この場合、隣接するリンクへの旋回は、リンクの他の連結要素の接触エッジ19a、bを介して行われる。
【0147】
図21は、ポインティングデバイス1用のシリンダに接続するのに適したマット2の好ましい実施形態を示す。結合要素15h,i,kの各収束系列27における中間結合要素15iの数は結合要素がリスク分離しないために可能な最小のもの、すなわち単一のものであり、各収束系列27における結合要素の数は、したがって3つ(開始15h、中間15iおよび終了15k)である。各リンク11vはこのマット2内の他のリンクと同じ設計を有し、これにより、製造および組立が容易になる。
【0148】
リンク11vには終了結合要素15k、中間結合要素15i、および開始結合要素15hが設けられ、これらはリンク11vの基部16aに沿って次々に配置された結合要素15h、i、k-jのグループ28を形成する。リンク11v上の結合要素15h,i,kの第1のグループ28の後に、リンク11vの軸方向に見て、結合要素15h,i,kの新しい同様のグループ28が来る。他のリンク11vには、各リンク11vの軸方向に配置された、対応する軸方向に繰り返される終了、中間、および開始結合要素15h、i、kのグループが設けられている。リンク11v上の結合要素15h,i,kは、リンクの軸方向に見て、隣接するリンク11v上の対応する結合要素15h,i,kに対してオフセットされている。
【0149】
部分的には終了結合要素15k(この場合、全てのリンク11v)を備えたリンク11vも中間結合要素、全ての終了結合要素15kは隣接するリンク11vの基部16aの下に延びるので、マット2が伸張されない場合であっても、結合要素15h、i、k、したがってリンク11vの分離の危険性は最小限に抑えられる。
【0150】
図22は、マット2内の結合要素15h~kの各収束系列27が等しい数のリンク11w上の4つの結合要素15h~kを含む実施形態を示す。各リンク11wは軸方向に繰り返される結合要素15h~kのグループを含み、各グループは、開始結合要素15h、二つの中間結合要素15i、j、および終了連結要素15kを含む。
【0151】
もちろん、本出願において同一に示されたリンク及びリンクグループは、相互に異なるように構成することができる。
【0152】
図23は終了結合要素15kを有するリンク11xにも中間結合要素15iが設けられ、同時に、終了結合要素15kが隣接するリンク11yの基部16aの下に延在し、その結果、たとえマット2が引き伸ばされていなくても、リンク11x、yが容易に分離できないという要件も満たすマット2を示す。
【0153】
図24aおよびbは、結合要素の別の設計を示す。ここでは互いに取り付けられた3つの異なる長さであるが、同様に設計された結合要素15l,m,nであり、結合要素15nは結合要素15m内に、又はそれを介して位置し、結合要素15mは結合要素15l内に、又はそれを介して位置する。この形態の結合要素151,m,nでは、全ての側脚17a,bはリンクの基部16aに対してある角度で傾斜している。この角度は変えることができるが、ここでは約45度である。図24aにおいて、側脚17a,b間の基部16aは架橋部18bで塞がれており、これにより「閉ループ」が形成されているといえる。図24bは対応する結合要素15l、m、nを示すが、ここではリンクの基部16aがそれぞれの結合要素15l、m、nでブリッジを欠いており、すなわち、結合要素15l、m、nは「開ループ」を形成すると言える。結合要素151のこれらの変異体の両方において、m、nは先に説明した特別な接触エッジが欠落しているが、リンク間の機械的接点は結合要素151、m、nの側脚間で生じ、それによって、接触エッジはそれらの設計によって、結合要素151、m、n内に一体化されていると言える。
【0154】
図25aおよびbは、結合要素のさらなる設計を示す。図24a、bに示すように、対応する方法で互いに配置された3つの弓形またはU字形の結合要素15o、p、qがここに示されている。ここでの相違点は、直線状の側脚又は連結ビームが実質的に全結合要素15o,p,qが弓形であると識別することができないことである。
【0155】
したがって、図24a、bおよび25a、bから、結合要素は、本発明の範囲内で多くの異なる方法で設計することができることが理解される。
【0156】
リンク上の高摩擦要素及び低摩擦要素は非常に効率的なポインティングデバイスを可能にするが、これらの2つの材料でリンクをコーティングしなければならないのは製造プロセスにおいてなお複雑である。これを排除できれば有利であろう。リンクの材料、好ましくは鋼のような金属はユーザの指に対して低い摩擦を示すので、シリンダが非常に軽くない限り、高い摩擦要素を欠いたリンクで構成されたシリンダをユーザが快適に動かすことは困難である。
【0157】
マットと共に使用するための薄いリンクの製造における問題はリンクを曲げた後に、曲がった変形した形状が物品の平面に見られたことである。これは、リンクが曲げられたときに製造中にリンクの材料に生じることによるものと思われる。このようなわずかに変形したシリンダは、その全体が所望の方法でのユーザの小さな動きに追従しない。リンクの軸方向範囲を横切るユーザの小さな動きは、マット全体に伝播されない。リンクは、適切な機能のために完全に真っ直ぐでなければならない。
【0158】
図26は、リンク11zの代替実施形態を示す。ここでは、2つの曲げ線BLaおよびBLbが破線で示されており、それに沿ってリンク11zおよび/またはその結合要素15zが曲げられる。リンクの基部の一部は結合要素を欠いており、同時に曲げ線BLaとBLbとの間に配置されているので、基部のこれらの部分は製造工程中に曲げられない。したがって、曲げは結合要素15zによってのみ、また、それによって結合要素11zの延伸に沿った限られた場所で行われる。このようにして、リンクが変形する危険性が最小限に抑えられる。リンク11zのこの実施形態によれば、結合要素はグループ29に配置されている。この図はそれぞれ3つの結合要素を有する3つのグループ29を示しているが、1つの同じリンク11z上に配置することができるグループはより多くても少なくてもよい。
【0159】
結合要素を欠くリンクの部分はそれらのトラスパターン化された基部30によって設計され、それによって、それらが依然としてマットの接線方向に剛性であるが、結合要素の欠如のために以前に示されたリンクまたは基部よりは依然として軽量である。このように、結合要素15a~zはいくつかのリンク11a~zについて少なくともグループに配列されており、ここで、結合要素15a~zの各グループは、リンクのトラス形状の基部30を介して、結合要素15a~zの別のグループに接続されている。リンク曲げ線BLa、BLbは、それによってリンク11a~zのトラス状基部30の外側に配置され、リンクの仮想中心軸Cに関連して見られる。この構造/設計は、実際にはリンクの全長に沿って連結要素を備えるリンクと比較して、約半分の重量のリンクの製造を可能にした。この設計とのリンクは、実用上完全に真っ直ぐで変形のない状態で製造できることが証明されている。
【0160】
図27に示す曲げ線BLbの下側を省略することができ、リンク11z上の曲げ点の数が半分になるので、より真っ直ぐなリンクが得られる。
【0161】
図27は8つのリンク11zからなるマットを示しており、各リンク11zは、グループ29の結合要素15zで形成されている。ここで、マットの結合要素15zは、結合要素が集中する領域、いわゆる結合要素領域31を形成することが分かる。
【0162】
ここで示した結合要素15zが各結合要素領域31に示す集束系列は図23に示すものと同種であってもよいが、他の種類の集束系列が結合要素領域31に含まれてもよいことを指摘すべきである。結合要素領域31は、同一である必要はなく、異なる形状の結合要素から成ることができる。この場合、3つの結合要素領域31が示されているが、マットの幅に沿ってより多くの又はより少ない結合要素領域を分布させることも可能である。
【0163】
別の問題は、ポインティングデバイスのための異なる種類のシリンダ構造が試験されたときに特定された。接触エッジ19a、bの角度αおよびθは、それぞれ図6a、135度に示すようなものであった。「カチッという音」または「がたつく音」のフォームのノイズは、このフォームのシリンダが回転したときに発生することがある。この問題はマットがビームの周囲で回転するときと、隣接するリンクがビームのエッジの上/周囲を通過するとき、特に、ビームエッジの半径がリンクの幅に比べて小さい場合に、隣接するリンク間の軸受点Pが接触エッジに沿って位置を変更させるという事実に起因する。この場合の軸受点Pは十分に固定されているようではなく、接触エッジに沿って「ふらつく」ように見える。
【0164】
これは、相互接続された2つの結合要素について、相互角度差がある、すなわち角度αとθが互いに異なるように配置されている、接触エッジを配置することによって解決される。この好ましい実施形態が図28a、bに示されている。
【0165】
図28aはマットに含まれる2つの隣接するリンク11aおよび11bに属する2つの結合要素15aおよび15bを示し、すべてが上から真っ直ぐに、すなわちマットの平面に対して垂直に示されている。接触エッジ19aは135度の角度θで形成されるが、接触エッジ19bの角度αは90度である。2つの接触エッジ19a及び19bの角度の間に45度の差があるこの実施形態はリンク11zがポインティングデバイスのビームのエッジを通過するとき、接触エッジ19a、bに対して軸受点Pを安定した位置に保ち、かくしてマットからのノイズを除去する。
【0166】
図28bは、同じ結合要素を斜視図で示す。この図は、軸受点Pをより明確に示している。
【0167】
図29aは2つの相互接続された結合要素15a,bを示し、ここで、一方の結合要素15bの接触エッジの角度αは112度であり、他方の結合要素15aの接触エッジの角度θは157度である。このように角度差θ-αは45度であり、これが使用/回転されたときのマットからのノイズを最小化する。
【0168】
図29bは対応して、2つの相互接続されたリンク11aおよび11bを示し、ここで、一方の接触エッジの角度αは135度であり、他方の接触エッジの角度θは90度である。ここでも、角度差はα-θ=45度であり、これにより、リンクがビームのエッジを通過するときにノイズが低減される。
【0169】
図29cは一方のリンク11aの角度αが135度であり、他方のリンク11bの角度θが125度で2つの相互接続されたリンクを示す。したがって、角度差α-θは、ここではわずか10度である。この小さな角度差は音の問題を減少させるが、その程度は少ない。
【0170】
したがって、接触エッジの設計は、本発明の範囲内で多数の異なる方法で変更することができる。
【0171】
シリンダ又はマットの発明的構造は、コンベヤベルト、台車ベルト、キャタピラベルト、駆動ベルト/送信要素等として使用することができる。このような場合、シリンダは好ましくは車輪の周りを回転し、シリンダの接線方向長さは、シリンダの幅をしばしば超える。
【0172】
そのような用途におけるリンクは通常、ポインティングデバイスに必要とされるものよりもかなり大きく、かつより強く作られる必要があり、商品の厚さは、ミリメートルの10分の1から数ミリメートルまたは数センチメートルのオーダーの大きさが可能である。このようなベルトは堅牢であるという利点があり、比較的低コストで製造、組み立てることができ、車輪の周りを回転するときに低摩擦を与え、従って、その推進のための低電力消費を与えることができる。
【0173】
上記の説明は本発明の理解を容易にすることを主に意図しており、保護の範囲は本明細書に記載された実施形態に限定されず、本発明の他の変形形態および実施形態も完全に可能であり、本発明の概念の範囲および以下の特許請求の範囲内で考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0174】
図1図1は、キーボードの前面に配置されることを意図したポインティングデバイスの斜視図を示す。
図2図2は、ハウジングの上部を取り外したポインティングデバイスの斜視図を示す。
図3図3a及びbは、ポインティングデバイスのハウジングを横切る部分において、ハウジングの上部及び下部並びにシリンダが回転するシリンダ及びビームの端面図、及びシリンダの一部の拡大図を示す。
図4図4は、連結要素がどのように設計され得るかが示されている、3つの隣接し相互接続されたリンクの斜視図を示す。
図5図5は、マット内のリンク上に低摩擦要素及び高摩擦要素をどのように配置することができるかの一例を示す。
図6図6aはその一側面に沿って、外側長さL、内側長さlおよび幅Bを有する多数の実質的にU字形の結合要素が設けられた基部を含むリンクを示し、図6bは接触エッジが弓形に形成され得る方法をより詳細に示し、図6cは傾斜した接触エッジのないリンクの代替設計を示し、図6dは最終的に、リンクの基部およびこれらリンクの結合要素のいくつかの異なる考えられる構成を示す。
図7図7は3つの相互接続されたリンクを示し、ここでは、相互接続を可能にするために、異なるリンク上の結合要素が異なる外側および内側の長さを有することが示されている。
図8図8aはリンクの端面図を示し、図8bは互いに対してある角度でわずかに回転される相互接続されたリンクを端面図で示し、図8cは2つの相互接続されたリンクが互いに機械的に接触し、その線に沿って結合要素が曲げられる点をi.a.で示す。
図9図9は、ビームの側面エッジの外側に位置するロッドの周りを通過するときにリンクが互いにどのように回転するかを端面図で示している。
図10図10a~fは、結合要素とその側脚とを異なる方法でどのように曲げることができるかを端面図で示している。
図11図11は、基部に対して斜めの角度で配置された側脚を備える、結合要素の代替実施形態を示す図である。
図12図12は、基部が各結合要素の側脚の間で開いているリンクを示す。
図13図13a~cは、他のリンクが2つの方向に接続されるように意図された、いわゆる中間リンクを示す。
図14図14は、図13a~cによる中間リンクから始まって対称的にリンクが取り付けられるマットの可能な実施形態を示す。
図15図15aおよびbは、中間リンクから2方向に延びる多数のリンクからなるマットの一部を示す。
図16図16aおよびbは、いわゆるジョイント結合要素が例えば、点溶接の手段によって、適切に互いに溶接される方法を示す。
図17図17はいわゆる開始結合要素、中間結合要素及び終了結合要素が互いにどのように接続されているかを示しており、破線は、種々のリンクの結合要素間で機械的接点が生じる軸受点を通り抜けている。
図18図18は、開始接続要素、中間接続要素、および終了接続要素を有するリンクがマットにどのように接合されるかの例を示す。
図19図19はマットの単純な実施形態を示しており、ここでは開始及び終了結合要素のみが、それぞれのリンク上に配置されている。
図20図20は、リンクが終了及び中間結合要素を備えている実施形態を示している。
図21図21は、リンクが開始、中間、および終了の3つの異なる結合要素を備えて配置されるマットの好ましい実施形態を示す。
図22図22は4つの隣接するリンクからの結合要素が収束する一連の相互接続された結合要素を形成し、各リンクが、リンクの長さ方向に次々に配置された開始結合要素、2つの中間結合要素、および1つの終了結合要素からなる結合要素の少なくとも1つのグループを備える実施形態を示す。
図23図23は、本発明によるマットの別の実施形態を示す。
図24図24aおよびbは、傾斜した側脚を備える結合要素の別の設計を示す。
図25図25aおよびbは、図23a、bのように対応する方法で、3つの弓形またはU字形の結合要素が互いに接続される結合要素のさらなる設計を示す。
図26図26はさらに別の実施形態を有する本発明によるリンクを示し、リンクの結合要素は、リンクの一方の側に沿って互いに距離を置いてグループに配置される。
図27図27は、結合要素が結合要素領域を形成するマットを形成するように互いに接続された図26による8つのリンクを示す。
図28図28aおよびbは図26による2つのリンクの部分図を示し、より詳細には、それぞれが接続された2つのリンクのうちの1つに属する2つの結合要素の設計を示す。接触エッジの設計は、ここで特に顕著である。
図29図29a~cはそれぞれ、2つの相互接続されたリンクの部分図、およびより具体的には結合要素の接触エッジの異なる可能な設計を示す。
図1
図2
図3a-3b】
図4
図5
図6a-6b】
図6c
図6d
図7
図8a
図8b
図8c
図9
図10a
図10b
図10c
図10d
図10e
図10f
図11
図12
図13a-13c】
図14
図15a
図15b
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24a
図24b
図25a
図25b
図26
図27
図28a
図28b
図29a
図29b
図29c