(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】正温度係数の抵抗ヒータを有する気化器用マウスピース
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20250109BHJP
A24D 3/18 20060101ALI20250109BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20250109BHJP
【FI】
A24F40/40
A24D3/18
A24F40/46
(21)【出願番号】P 2022549557
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(86)【国際出願番号】 US2021018327
(87)【国際公開番号】W WO2021167950
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2024-02-16
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523071097
【氏名又は名称】ジュール・ラブズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】JUUL Labs, Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 F Street NW, Washington DC, 20004, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ダブリュー. アルストン
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/257449(US,A1)
【文献】特表2015-504653(JP,A)
【文献】特表2013-507976(JP,A)
【文献】特表2018-536398(JP,A)
【文献】国際公開第2013/083635(WO,A1)
【文献】特表2019-513358(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105982363(CN,A)
【文献】特表2017-519492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A24D 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化器デバイス用のマウスピースであって、
蒸気入口と、エアロゾル出口と、
前記蒸気入口と前記エアロゾル出口との間に配置されており、第1の複数の空気流を供給するように構成された第1の複数の空気入口であって、前記第1の複数の空気流は、第1の渦を形成し、該第1の渦は、第1の回転軸線と、該第1の回転軸線を中心とした第1の回転方向とを有している、第1の複数の空気入口と、
前記蒸気入口と前記エアロゾル出口との間に配置されており、第2の複数の空気流を供給するように構成された第2の複数の空気入口であって、前記第2の複数の空気流は、第2の渦を形成し、該第2の渦は、第2の回転軸線と、該第2の回転軸線を中心とした第2の回転方向とを有している、第2の複数の空気入口と
を有しており、
前記第1の複数の空気流および前記第2の複数の空気流は、前記蒸気入口から流入する蒸気と混合し、前記エアロゾル出口を通って流出するエアロゾルを形成するように構成されている、マウスピース。
【請求項2】
前記第1の複数の空気入口の各入口は、当該マウスピースの外面から約15度~45度の角度で当該マウスピースの厚さを貫通して形成された円形の孔である、請求項1記載のマウスピース。
【請求項3】
円形の各前記孔の内角は、前記第1の回転方向の方に開いている、請求項2記載のマウスピース。
【請求項4】
前記第2の複数の空気入口の各入口は、当該マウスピースの外面から約15度~45度の角度で当該マウスピースの厚さを貫通して形成された円形の孔である、請求項1記載のマウスピース。
【請求項5】
円形の各前記孔の内角は、前記第2の回転方向の方に開いている、請求項4記載のマウスピース。
【請求項6】
前記第1の回転方向は反時計回りであり、前記第2の回転方向は時計回りである、請求項1から
5までのいずれか1項記載のマウスピース。
【請求項7】
前記第1の回転軸線と前記第2の回転軸線とは非平行である、請求項1から
6までのいずれか1項記載のマウスピース。
【請求項8】
前記第1の複数の空気入口および前記第2の複数の空気入口は、前記蒸気入口から当該マウスピースに流入する蒸気と流入空気とが混合した乱流をもたらす、請求項1から
7までのいずれか1項記載のマウスピース。
【請求項9】
前記第1の複数の空気入口と前記第2の複数の空気入口とは、1つの平面内に配置されている、請求項1から
8までのいずれか1項記載のマウスピース。
【請求項10】
前記第1の複数の空気入口と前記第2の複数の空気入口とは、それぞれ円形に配置されている、請求項1から
9までのいずれか1項記載のマウスピース。
【請求項11】
前記蒸気入口の断面積は、前記エアロゾル出口の断面積よりも、少なくとも4倍大きい、請求項1から
10までのいずれか1項記載のマウスピース。
【請求項12】
前記蒸気入口は、蒸気入口温度を有しており、前記エアロゾル出口は、エアロゾル出口温度を有しており、前記蒸気入口温度と前記エアロゾル出口温度との間の差は少なくとも100℃である、請求項1から
11までのいずれか1項記載のマウスピース。
【請求項13】
気化器デバイスであって、
空気入口を有するハウジングと、
該ハウジング内にあり、非線形正温度係数の抵抗材料を含む加熱素子と、
該加熱素子に熱的に結合され、前記空気入口から空気流を受け入れるように配置され、前記加熱素子と前記空気流との間で熱を伝達して加熱された空気流を生成するように構成された熱交換器であって、該熱交換器から流出する前記加熱された空気流が気化可能な材料を気化させるように構成されている、熱交換器と、
気化した前記気化可能な材料を、蒸気入口を介して受け入れるように構成されたマウスピースと
を有しており、該マウスピースは、
第1の複数の空気入口と、第2の複数の空気入口とを有しており、前記第1の複数の空気入口は、前記蒸気入口とエアロゾル出口との間に配置され、かつ、第1の複数の空気流を供給するように構成されており、該第1の複数の空気流は、第1の渦を形成し、該第1の渦は、第1の回転軸線と、該第1の回転軸線を中心とした第1の回転方向とを有しており、前記第2の複数の空気入口は、前記蒸気入口と前記エアロゾル出口との間に配置され、かつ、第2の複数の空気流を供給するように構成されており、該第2の複数の空気流は、第2の渦を形成し、該第2の渦は第2の回転軸線を有しており、該第2の渦は、第2の回転軸線と、該第2の回転軸線を中心とした第2の回転方向とを有しており、前記第1の複数の空気流と前記第2の複数の空気流とは、前記蒸気入口から流入する気化した前記気化可能な材料と混合して前記エアロゾル出口を通って流出するエアロゾルを形成するように構成されている、気化器デバイス。
【請求項14】
前記熱交換器は、前記加熱素子の第1の側に熱的に結合された第1の熱交換器を有しており、前記熱交換器は、前記加熱素子の第2の側に熱的に結合された第2の熱交換器を有している、請求項
13記載の気化器デバイス。
【請求項15】
前記熱交換器は、複数のフィン特徴を有している、請求項
13または14記載の気化器デバイス。
【請求項16】
前記空気流の経路内に配置されかつ前記熱交換器を通る前記空気流の一部を変向させるように構成された分流器をさらに有している、請求項
13から
15までのいずれか1項記載の気化器デバイス。
【請求項17】
前記気化可能な材料を収容する製品カバーをさらに備え、前記製品カバーは、第1の空気入口を有するカートリッジを含む、請求項
13から
16までのいずれか1項記載の気化器デバイス。
【請求項18】
前記ハウジングは、前記気化可能な材料を収容する前記カートリッジに前記ハウジングを結合するように構成されたコネクタを有している、請求項
17記載の気化器デバイス。
【請求項19】
前記気化可能な材料と、第1の空気入口と、芯とを含む第1のカートリッジであって、前記気化可能な材料は、液体の気化可能な材料であり、前記芯は、前記液体の気化可能な材料に流体接続しており、前記芯は、前記加熱された空気流を前記熱交換器から前記第1の空気入口を介して受け取り、前記気化可能な材料を気化させて蒸気および/または第1のエアロゾルを生成するように配置されている、第1のカートリッジと、
固形の気化可能な材料およびマウスピースを含む第2のカートリッジであって、前記固形の気化可能な材料は、前記蒸気および/または前記第1のエアロゾルを受け取って第2のエアロゾルを生成するように配置されており、前記マウスピースは、前記蒸気および/または前記第1のエアロゾルが前記固形の気化可能な材料を通過した後の前記第2のエアロゾルを受け入れるように構成されている、第2のカートリッジと
をさらに有しており、
前記第1のカートリッジは、前記ハウジングに取外し可能に結合されており、前記第2のカートリッジは、前記ハウジングおよび/または前記第1のカートリッジに取外し可能に結合されている、請求項
13から
16までのいずれか1項記載の気化器デバイス。
【請求項20】
加熱された空気流により固形の気化可能な材料を気化させるための気化器デバイスであって、
空気入口と、ある電圧で電流を供給するように構成された電源とを有するハウジングと、
該ハウジング内のPTCRヒータアセンブリであって、前記ハウジング内にあり、かつ、前記電流を受け取るために前記電源に電気的に結合されるように構成された
PTCR加熱素子を有しており、該PTCR加熱素子は、温度に基づき変化する電気抵抗率を有するPTCR材料を含んでおり、前記電気抵抗率は、該電気抵抗率がある温度範囲にわたり増加する電気抵抗率遷移ゾーンを有しており、これにより、前記PTCR加熱素子が前記
電気抵抗率遷移ゾーン内の第1の温度よりも高く加熱されると、前記電源からの電流が、前記PTCR加熱素子のさらなる温度上昇を制限するレベルまで低減される、PTCRヒータアセンブリと、
前記
PTCR加熱素子に熱的に結合されかつ前記空気入口から空気流を受け入れるように配置された熱交換器であって、該熱交換器は、前記
PTCR加熱素子と前記空気流との間で熱を伝達し、加熱された空気流を生成するように構成されており、前記熱交換器から流出する前記加熱された空気流は、前記固形の気化可能な材料を気化させるように構成されている、熱交換器と、
気化した前記固形の気化可能な材料を、蒸気入口を介して受け入れるように構成されたマウスピースと
を有しており、該マウスピースは、
第1の複数の空気入口と、第2の複数の空気入口とを有しており、
前記第1の複数の空気入口は、前記蒸気入口とエアロゾル出口との間に配置され、かつ、第1の複数の空気流を供給するように構成されており、該第1の複数の空気流は、第1の渦を形成し、該第1の渦は、第1の回転軸線と、該第1の回転軸線を中心とした第1の回転方向とを有しており、前記第2の複数の空気入口は、前記蒸気入口と前記エアロゾル出口との間に配置され、かつ、第2の複数の空気流を供給するように構成されており、該第2の複数の空気流は、第2の渦を形成し、該第2の渦は、第2の回転軸線を有し、該第2の渦は、第2の回転軸線と、該第2の回転軸線を中心とした第2の回転方向とを有しており、前記第1の複数の空気流と前記第2の複数の空気流とは、前記蒸気入口から流入する気化した前記固形の気化可能な材料と混合し、前記エアロゾル出口を通って流出するエアロゾルを形成するように構成されている、気化器デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2020年2月18日に出願された“Mouthpiece for Vaporizer Including Positive Temperature Coefficient of Resistivity Heater”と題する米国仮特許出願第62978236号の優先権を主張し、その開示内容全体を参照することにより、許可される範囲で本明細書に組み込むものである。
【0002】
技術分野
本明細書で説明する主題は、1つ以上の気化可能な材料から吸入可能なエアロゾルを生成しかつ非線形抵抗率正温度係数(PTCR)を有する半導体材料を利用した加熱素子とマウスピースとを含む携帯型個人用気化器デバイス等の気化器デバイスに関する。
【0003】
背景
電子気化器デバイスまたはe気化器デバイスと呼ばれることもある気化器デバイスは、気化器デバイスのユーザによるエアロゾルの吸入による、1つ以上の有効成分を含むエアロゾル(「蒸気」と呼ばれるときもある)の送出に用いることができる。eタバコと呼ばれることもある電子タバコは、気化器デバイスの一種であり、典型的にはバッテリで作動し、タバコまたはその他の物質の燃焼を伴うことなく喫煙体験をシミュレートするために使用され得る。気化器デバイスの使用において、ユーザは、一般に蒸気と呼ばれるエアロゾルを吸入し、エアロゾルは、液体、溶液、固体、ワックス、または特定の気化器デバイスの使用に適合し得る任意の別の形態であり得る気化可能な材料を気化させる(一般に液体または固体を少なくとも部分的に気相に移行させることを指す)加熱素子により生成され得る。
【0004】
気化器デバイスにより生成された吸入可能なエアロゾルを受け取るために、いくつかの例では、ユーザは、パフにより、ボタンを押すことにより、またはいくつかの別のアプローチにより、気化器デバイスを作動させることができる。一般的に用いられる(かつ本明細書でも用いられる)用語としてのパフは、気化器デバイスを通じて吸い込まれる空気の体積を生ぜしめるような、ユーザによる吸入を指し、これにより、気化された気化可能な材料と空気とが組み合わせられることで、吸入可能なエアロゾルが生成される。(例えば空気入口と、マウスピースに流体接続した空気出口と、その間に気化室とを有していてよい)気化器デバイスが、気化可能な材料から吸入可能なエアロゾルを生成する典型的なアプローチには、気化可能な材料を気化室(ヒータ室と呼ばれるときもある)内で加熱し、これにより、気化可能な材料を気相(蒸気相)に変換させることが含まれる。気化室とは一般に、空気および、気相と凝縮相(例えば液体および/または固体)との間のある平衡状態にある気化可能な材料の混合物を生成するために、内部で熱源が気化可能な材料を加熱する、気化器デバイス内の領域または容積を指す。
【0005】
気相の気化可能な材料の所定の成分は、気化した後に、冷却および/または圧力の変化に基づき凝縮し、これにより、パフを介して気化器デバイス内に吸い込まれた空気の少なくとも一部に懸濁した凝縮相(例えば液体および/または固体)の粒子を含むエアロゾルを形成する。気化可能な材料が、半揮発性の化合物(例えば吸入温度および吸入圧力未満の比較的低い蒸気圧を有するニコチン等の化合物)を含む場合、吸入可能なエアロゾルは、気相と凝縮相との間のある局所的な平衡状態にある半揮発性の化合物を含んでいてよい。
【0006】
概要
1つの態様において、気化器デバイス用のマウスピースは、蒸気入口と、エアロゾル出口と、第1の複数の空気入口と、第2の複数の空気入口とを有している。第1の複数の空気入口は、蒸気入口とエアロゾル出口との間に配置されており、第1の複数の空気流を供給するように構成されている。第1の複数の空気流は、第1の渦を形成する。第1の渦は、第1の回転軸線と、第1の回転軸線を中心とした第1の回転方向とを有している。第2の複数の空気入口も、蒸気入口とエアロゾル出口との間に配置されており、第2の複数の空気流を供給するように構成されている。第2の複数の空気流は、第2の渦を形成する。第2の渦は、第2の回転軸線と、第2の回転軸線を中心とした第2の回転方向とを有している。第1の複数の空気流および第2の複数の空気流は、蒸気入口から流入する蒸気と混合し、エアロゾル出口を通って流出するエアロゾルを形成するように構成されている。
【0007】
以下の特徴のうちの1つ以上が、任意の実行可能な組合せに含まれていてよい。例えば、第1の複数の空気入口の各入口は、マウスピースの外面から約15度~45度の角度でマウスピースの厚さを貫通して形成された円形の孔であってよい。円形の各孔の内角は、第1の回転方向の方に開いていてよい。第2の複数の空気入口の各入口も、マウスピースの外面から約15度~45度の角度でマウスピースの厚さを貫通して形成された円形の孔であってよい。第2の複数の空気入口の円形の各孔の内角は、第2の回転方向の方に開いていてよい。第1の回転方向と第2の方向とは、反対の方向であってよい。例えば、第1の回転方向が反時計回りである場合、第2の回転方向は時計回りである。第1の回転軸線と第2の回転軸線とは非平行であってよい。第1の複数の空気入口および第2の複数の空気入口は、蒸気入口からマウスピースに流入する蒸気と流入空気とが混合した乱流をもたらすことができる。第1の複数の空気入口と第2の複数の空気入口とは、1つの平面内に配置され得る。第1の複数の空気入口および第2の複数の空気入口は、それぞれ円形に配置され得る。蒸気入口の断面積は、エアロゾル出口の断面積よりも、少なくとも4倍大きくてもよい。蒸気入口が蒸気入口温度を有することができる場合、エアロゾル出口はエアロゾル出口温度を有しており、蒸気入口温度とエアロゾル出口温度との間の差は、少なくとも100℃であってよい。
【0008】
別の態様において、気化器デバイスは、空気入口を有するハウジングを有している。気化器デバイスは、ハウジング内に加熱素子も有している。加熱素子は、非線形正温度係数の抵抗材料を含む。気化器デバイスは、加熱素子に熱的に結合され、空気入口からの空気流を受け入れるように配置された熱交換器も有している。熱交換器は、加熱素子と空気流との間で熱を伝達して、加熱された空気流を生成するように構成されている。熱交換器から流出する加熱された空気流は、気化可能な材料を気化させるように構成されている。気化器デバイスは、気化した気化可能な材料を、蒸気入口を介して受け入れるように構成されたマウスピースも有している。マウスピースは、蒸気入口と、エアロゾル出口と、第1の複数の空気入口と、第2の複数の空気入口とを有している。第1の複数の空気入口は、蒸気入口とエアロゾル出口との間に配置されており、第1の複数の空気流を供給するように構成されている。第1の複数の空気流は、第1の渦を形成する。第1の渦は、第1の回転軸線と、第1の回転軸線を中心とした第1の回転方向とを有している。第2の複数の空気入口も、蒸気入口とエアロゾル出口との間に配置されており、第2の複数の空気流を供給するように構成されている。第2の複数の空気流は、第2の渦を形成する。第2の渦は、第2の回転軸線と、第2の回転軸線を中心とした第2の回転方向とを有している。第1の複数の空気流と第2の複数の空気流とは、蒸気入口から流入する気化した気化可能な材料と混合し、エアロゾル出口を通って流出するエアロゾルを形成するように構成されている。
【0009】
以下の特徴のうちの1つ以上が、任意の実行可能な組合せに含まれていてよい。例えば、第1の複数の空気入口の各入口は、マウスピースの外面から約15度~45度の角度でマウスピースの厚さを貫通して形成された円形の孔であってよい。円形の各孔の内角は、第1の回転方向の方に開いていてよい。第2の複数の空気入口の各入口も、マウスピースの外面から約15度~45度の角度でマウスピースの厚さを貫通して形成された円形の孔であってよい。第2の複数の空気入口の円形の各孔の内角は、第2の回転方向の方に開いていてよい。第1の回転方向と第2の方向とは、反対の方向であってよい。例えば、第1の回転方向が反時計回りであってよい場合、第2の回転方向は時計回りである。第1の回転軸線と第2の回転軸線とは非平行であってよい。第1の複数の空気入口および第2の複数の空気入口は、蒸気入口からマウスピースに流入する蒸気と流入空気とが混合した乱流をもたらすことができる。第1の複数の空気入口と第2の複数の空気入口とは、1つの平面内に配置され得る。第1の複数の空気入口および第2の複数の空気入口は、それぞれ円形に配置され得る。蒸気入口の断面積は、エアロゾル出口の断面積よりも、少なくとも4倍大きくてもよい。蒸気入口が蒸気入口温度を有することができる場合、エアロゾル出口はエアロゾル出口温度を有しており、蒸気入口温度とエアロゾル出口温度との間の差は、少なくとも100℃であってよい。熱交換器は、加熱素子の第1の側に熱的に結合された第1の熱交換器を有していてよい。熱交換器は、加熱素子の第2の側に熱的に結合された第2の熱交換器を有していてよい。熱交換器は、複数のフィン特徴を有していてよい。熱交換器は、アルミニウム、銅、鋼、ステンレス鋼、またはチタンからなってもよい。熱交換器は、熱伝導材料押出成形体からなってもよい。当該デバイスは、空気流の経路内に配置された、熱交換器を通る空気流の一部を変向させるように構成された分流器を有していてよい。ハウジングは、熱交換器を収容するヒータアセンブリカバーを有していてよい。当該デバイスは、加熱素子を加熱するための電気エネルギを供給するように構成された電源を有していてよい。当該デバイスは、加熱素子の下流側に配置された、加熱された空気流を受け入れるように向けられたカートリッジを有していてよく、この場合、下流側は、空気流に関する。ハウジングは、気化可能な材料を含むカートリッジにハウジングを結合するように構成されたコネクタを有していてよい。気化可能な材料は、固形の気化可能な材料であってよい。
【0010】
気化器デバイスは、気化可能な材料を収容するように構成されたカートリッジを有していてよい。カートリッジは、第1の空気入口を有していてよい。ハウジングは、カートリッジにハウジングを結合するように構成されたコネクタを有していてよい。カートリッジは、固形の気化可能な材料を含んでいてよい。カートリッジは、リザーバと、リザーバ内の液体の気化可能な材料と、液体の気化可能な材料に流体接続した芯とを有していてよく、この場合、カートリッジは、加熱された空気流を受け入れ、加熱された空気流を、芯を覆うように方向付けるように構成されている。カートリッジは、マウスピースを有していてよく、芯は、加熱素子とマウスピースとの間の空気流の経路内に配置され得る。カートリッジは、第2の空気流をカートリッジ内に引き込み、熱交換器および気化可能な材料の下流側の空気流の経路内に配置された凝縮室内で加熱された空気流と混合させるように構成された第2の空気入口を有していてよい。カートリッジは、リザーバと、リザーバ内の液体の気化可能な材料と、液体の気化可能な材料に流体接続した芯とを有していてよい。芯は、熱交換器から加熱された空気流を受け取り、蒸気および/または第1のエアロゾルの形態で気化した気化可能な材料を生成するように配置され得る。固形の気化可能な材料は、蒸気および/または第1のエアロゾルを受け取り、第2のエアロゾルを生成するように配置され得る。マウスピースは、蒸気および/または第1のエアロゾルが固形の気化可能な材料を通過した後の第2のエアロゾルを受け入れるように構成され得る。
【0011】
気化器デバイスは、気化可能な材料と、第1の空気入口と、芯とを含む第1のカートリッジを有していてよい。気化可能な材料は、液体の気化可能な材料であってよく、芯は、液体の気化可能な材料に流体接続していてよい。芯は、加熱された空気流を熱交換器から第1の空気入口を介して受け取り、気化可能な材料を気化させて蒸気および/または第1のエアロゾルを生成するように配置され得る。気化器デバイスは、固形の気化可能な材料およびマウスピースを含む第2のカートリッジを有していてもよい。固形の気化可能な材料は、蒸気および/または第1のエアロゾルを受け取って第2のエアロゾルを生成するように配置され得る。マウスピースは、蒸気および/または第1のエアロゾルが固形の気化可能な材料を通過した後の第2のエアロゾルを受け入れるように構成され得る。第1のカートリッジは、ハウジングに取外し可能に結合され得る。第2のカートリッジは、ハウジングおよび/または第1のカートリッジに取外し可能に結合され得る。第1のカートリッジおよび第2のカートリッジは、使い捨てカートリッジであってよい。第2のカートリッジは、気化した気化可能な材料が固形の気化可能な材料を通過した後に、周囲温度空気と気化した気化可能な材料とを混合するための第2の空気入口を有していてよい。当該デバイスは、蒸気および/または第1のエアロゾルが固形の気化可能な材料を通過した後の第2のエアロゾルを受け入れて冷却するように配置された繊維体を有していてよい。
【0012】
非線形正温度係数の抵抗材料は、電気抵抗率がある温度範囲にわたり上昇する電気抵抗率遷移ゾーンを有しており、これにより、加熱素子が電気抵抗率遷移ゾーン内の第1の温度よりも高く加熱されると、電源からの電流が、加熱素子のさらなる温度上昇を制限するレベルまで低減される。電気抵抗率遷移ゾーンは、150℃~350℃の第1の温度で始まってよい。電気抵抗率遷移ゾーンは、220℃~300℃の第1の温度で始まってよい。電気抵抗率遷移ゾーンは、240℃~280℃の第1の温度で始まってよい。電気抵抗率遷移ゾーンの温度範囲にわたる電気抵抗率の増加は、少なくとも10の増加係数、少なくとも100の増加係数、または少なくとも1000の増加係数を有していてよい。増加係数は、電気抵抗率遷移ゾーンの開始に関連する第1の温度での電気抵抗率と、電気抵抗率遷移ゾーンの終了に関連する第2の温度での電気抵抗率との間の電気抵抗率の相対変化を特徴付ける。電気抵抗率遷移ゾーンは第1の温度で始まってよく、第1の温度を下回る温度での加熱素子の電気抵抗率は、0.2Ω・cm~200Ω・cm、2.0Ω・cm~20Ω・cm、または20Ω・cm~200Ω・cmであってよい。
【0013】
当該デバイスは、加熱素子に3ボルト~50ボルトの電圧で電流を供給するように構成された電源と、圧力センサと、圧力センサに結合され、かつ、吸入を検出してこれに応じて電源を加熱素子に電気的に接続するように構成された制御装置とを有していてよい。ハウジングは円筒状であってよく、加熱素子は円筒状であってよく、熱交換器は円筒状であってよい。ハウジングは矩形であってもよく、加熱素子は矩形であってもよく、熱交換器は矩形であってもよい。電源は、直流(DC)または交流(AC)のいずれかを供給することができる。
【0014】
気化器デバイスは、ユーザ入力に応じて電源をPTCR加熱素子(PTCRヒータ)に電気的に接続するように構成された入力手段を有していてよい。入力手段は、プッシュボタンを含み得る。この気化器デバイスのPTCR加熱素子は、活性化させられると所定の温度を維持するように自己調整する。この気化器デバイスは、圧力センサ、および/または電源をPTCR加熱素子に電気的に接続してその温度を調整するために圧力センサに結合された制御装置を必要としない。
【0015】
別の態様において、加熱された空気流により固形の気化可能な材料を気化させるための気化器デバイスは、空気入口と、ある電圧で電流を供給するように構成された電源とを有するハウジングと、ハウジング内のPTCRヒータアセンブリとを有している。PTCRヒータアセンブリは、ハウジング内に加熱素子を有しており、電流を受け取るために電源に電気的に結合されるように構成されている。PTCR加熱素子は、温度に基づき変化する電気抵抗率を有するPTCR材料を含む。電気抵抗率は、電気抵抗率がある温度範囲にわたり増加する電気抵抗率遷移ゾーンを有しており、これにより、PTCR加熱素子が遷移ゾーン内の第1の温度よりも高く加熱されると、電源からの電流が、PTCR加熱素子のさらなる温度上昇を制限するレベルまで低減される。ヒータアセンブリは、加熱素子に熱的に結合されかつ空気入口から空気流を受け入れるように配置された熱交換器も有している。熱交換器は、加熱素子と空気流との間で熱を伝達し、加熱された空気流を生成するように構成されている。熱交換器から流出する加熱された空気流は、固形の気化可能な材料を気化させるように構成されている。気化器デバイスは、気化した固形の気化可能な材料を、蒸気入口を介して受け入れるように構成されたマウスピースも有している。マウスピースは、蒸気入口と、エアロゾル出口と、第1の複数の空気入口と、第2の複数の空気入口とを有している。第1の複数の空気入口は、蒸気入口とエアロゾル出口との間に配置されており、第1の複数の空気流を供給するように構成されている。第1の複数の空気流は、第1の渦を形成する。第1の渦は、第1の回転軸線と、第1の回転軸線を中心とした第1の回転方向とを有している。第2の複数の空気入口も、蒸気入口とエアロゾル出口との間に配置されており、第2の複数の空気流を供給するように構成されている。第2の複数の空気流は、第2の渦を形成する。第2の渦は、第2の回転軸線と、第2の回転軸線を中心とした第2の回転方向とを有している。第1の複数の空気流と第2の複数の空気流とは、蒸気入口から流入する気化した固形の気化可能な材料と混合し、エアロゾル出口を通って流出するエアロゾルを形成するように構成されている。
【0016】
以下の特徴のうちの1つ以上が、任意の実行可能な組合せに含まれていてよい。例えば、第1の複数の空気入口の各入口は、マウスピースの外面から約15度~45度の角度でマウスピースの厚さを貫通して形成された円形の孔であってよい。円形の各孔の内角は、第1の回転方向の方に開いていてよい。第2の複数の空気入口の各入口も、マウスピースの外面から約15度~45度の角度でマウスピースの厚さを貫通して形成された円形の孔であってよい。第2の複数の空気入口の円形の各孔の内角は、第2の回転方向の方に開いていてよい。第1の回転方向と第2の方向とは、反対の方向であってよい。例えば、第1の回転方向が反時計回りであってよい場合、第2の回転方向は時計回りである。第1の回転軸線と第2の回転軸線とは非平行であってよい。第1の複数の空気入口および第2の複数の空気入口は、蒸気入口からマウスピースに流入する蒸気と流入空気とが混合した乱流をもたらすことができる。第1の複数の空気入口と第2の複数の空気入口とは、1つの平面内に配置され得る。第1の複数の空気入口および第2の複数の空気入口は、それぞれ円形に配置され得る。蒸気入口の断面積は、エアロゾル出口の断面積よりも、少なくとも4倍大きくてもよい。蒸気入口が蒸気入口温度を有することができる場合、エアロゾル出口はエアロゾル出口温度を有しており、蒸気入口温度とエアロゾル出口温度との間の差は、少なくとも100℃であってよい。気化器デバイスと共に、固形の気化可能な材料が含まれていてよい。固形の気化可能な材料は、タバコ含有媒体であってよい。気化器デバイスは、ユーザ入力に応じて電源をPTCR加熱素子に電気的に接続するように構成された入力手段を有していてよい。入力手段は、プッシュボタンを含み得る。気化器デバイスは、制御装置を有していなくてもよい。気化器デバイスは、圧力センサを有していなくてもよい。別の態様において、気化器デバイスは、圧力センサと、圧力センサに結合され、かつ、吸入を検出してこれに応じて電源をPTCR加熱素子に電気的に接続するように構成された制御装置とを有している。熱交換器は、加熱素子の第1の側に熱的に結合された第1の熱交換器を有していてよい。熱交換器は、加熱素子の第2の側に熱的に結合された第2の熱交換器を有していてよい。熱交換器は、複数のフィン特徴を有していてよい。熱交換器は、アルミニウム、銅、鋼、ステンレス鋼、またはチタンからなってもよい。熱交換器は、熱伝導材料押出成形体からなってもよい。熱交換器は、金属発泡体、例えばアルミニウム発泡体からなってもよい。PTCRヒータアセンブリは、ヒータアセンブリカバーを有していてよい。ヒータアセンブリカバーは、非導電材料を含んでいてよい。ヒータアセンブリカバーは、ヒータアセンブリカバーを熱交換器から絶縁する非導電コーティングを備えた金属を含んでいてよい。ヒータアセンブリカバーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含んでいてよい。
【0017】
電気抵抗率遷移ゾーンは、150℃~350℃の第1の温度で始まってよい。電気抵抗率遷移ゾーンは、220℃~300℃の第1の温度で始まってもよい。電気抵抗率遷移ゾーンは、240℃~280℃の第1の温度で始まってもよい。第1の温度は、225℃よりも高くてよい。PTCR加熱素子は、240℃~280℃の動作温度に加熱され得る。PTCR加熱素子は、245℃~255℃の動作温度に加熱され得る。PTCR加熱素子は、約250℃の動作温度に加熱され得る。PTCRヒータアセンブリは、電気抵抗率遷移ゾーンの温度範囲にわたり、電気抵抗率を少なくとも10の増加係数、少なくとも100の増加係数、または少なくとも1000の増加係数だけ増加させることができる。増加係数は、電気抵抗率遷移ゾーンの開始に関連する第1の温度での電気抵抗率と、電気抵抗率遷移ゾーンの終了に関連する第2の温度での電気抵抗率との間の電気抵抗率の相対変化を特徴付ける。電気抵抗率遷移ゾーンは、第1の温度で始まり、第2の温度で終わってよく、第1の温度と第2の温度との間の差は、500℃以下、200℃以下、100℃以下、または50℃以下である。電気抵抗率遷移ゾーンは第1の温度で始まってよく、第1の温度を下回る温度でのPTCR加熱素子の電気抵抗率は、0.2Ω・cm~2.0Ω・cm、2.0Ω・cm~20Ω・cm、または20Ω・cm~200Ω・cmである。
【0018】
別の態様において、気化可能な材料を気化させる方法は、気化器デバイスによりユーザ入力を受信するステップと、PTCR加熱素子に熱的に結合された熱交換器を含むPTCRヒータアセンブリを使用して空気流を加熱し、加熱された空気流を生成するステップとを含む。PTCR加熱素子は、電源に電気的に結合するように構成されている。PTCR加熱素子は、温度に基づき変化する電気抵抗率を有している。電気抵抗率は、第1の温度から第2の温度までの温度範囲にわたる電気抵抗率の増加を含む電気抵抗率遷移ゾーンを有しており、これにより、PTCR加熱素子が第1の温度と第2の温度との間で加熱されると、電源からの電流が、電流によるPTCR加熱素子のさらなる温度上昇を制限するレベルまで低減される。この方法は、加熱された空気流により気化可能な材料を気化させるステップも含む。気化可能な材料は、ニコチンを含んでいてよい。
【0019】
本明細書に記載した主題の1つ以上の変化形の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。本明細書に記載した主題のその他の特徴および利点は、説明および図面ならびに特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】等方性のPTCR材料内での熱出力発生の挙動を示す図である。
【
図2】対流加熱を利用する気化可能な材料の均一な加熱を提供することができる、本主題のいくつかの実施形態による例示的な気化器デバイスを示すブロック図である。
【
図3】例示的な気化器デバイスと、対流加熱を利用する気化可能な材料の均一な加熱を提供することができる、液体の気化可能な材料を含むカートリッジとを示すブロック図である。
【
図4】液体の気化可能な材料を含む例示的な気化器デバイスの断面図である。
【
図5】固形の気化可能な材料(例えば非燃焼の加熱式製品)を含む例示的な気化器デバイスの断面図である。
【
図6】例示的な気化器デバイスと、対流加熱を利用する気化可能な材料の均一な加熱を提供することができる、液体の気化可能な材料と固形の気化可能な材料とを含むカートリッジとを示すブロック図である。
【
図7】複数のカートリッジを備えた例示的な気化器デバイスを示すブロック図である。
【
図8】液体の気化可能な材料と気化可能な固形材料の両方を含む例示的な気化器デバイスの断面図である。
【
図9】非線形抵抗率正温度係数(PTCR)材料の例示的な抵抗率対温度曲線を示すプロット図である。
【
図10】
図9に示された非線形PTCR半導体材料の抵抗率対温度曲線データの表を表す図である。
【
図11】非線形抵抗率正温度係数(PTCR)材料の例示的な抵抗率対温度曲線を示すプロット図である。
【
図12A】気化器の加熱の改良を可能にすることができる例示的なPTCR加熱素子を示す図である。
【
図13A】例示的なPTCRヒータの温度モデルを示す図である。
【
図13B】例示的なPTCRヒータの温度モデルを示す図である。
【
図13C】例示的なPTCRヒータの温度モデルを示す図である。
【
図13D】例示的なPTCRヒータの温度モデルを示す図である。
【
図13E】例示的なPTCRヒータの温度モデルを示す図である。
【
図14A】例示的なPTCRヒータの温度モデルを示す図である。
【
図14B】例示的なPTCRヒータの温度モデルを示す図である。
【
図14C】例示的なPTCRヒータの温度モデルを示す図である。
【
図14D】例示的なPTCRヒータの温度モデルを示す図である。
【
図14E】例示的なPTCRヒータの温度モデルを示す図である。
【
図14F】例示的なPTCRヒータの温度モデルを示す図である。
【
図15】自由対流状態における電圧印加の6.0秒後の例示的なヒータの温度モデルを示す図である。
【
図16A】例示的なヒータの表面温度モデルを時間の関数として示す図である。
【
図16B】例示的なヒータの測定された最高表面温度モデルを時間の関数として示す図である。
【
図16C】例示的なヒータの測定された平均表面温度モデルを時間の関数として示す図である。
【
図17】例示的なヒータの過渡電流応答を時間の関数として示す図である。
【
図18】PTCRヒータと、気化可能な材料の対流加熱および均一な加熱の改良を可能にすることができる熱交換器部材とを含む例示的な気化器アセンブリを示す斜視図である。
【
図19】例示的な気化器アセンブリの分解図を含む、矩形のPTCR気化デバイスの分解図である。
【
図20】例示的なPTCR気化アセンブリの斜視図である。
【
図21】例示的なPTCR気化アセンブリおよび矩形の使い捨て製品の斜視透視図である。
【
図22】活性化の0.2秒後の例示的なPTCR気化アセンブリと矩形の使い捨て製品とを示す斜視透視図である。
【
図23】活性化の0.5秒後の例示的なPTCR気化アセンブリと矩形の使い捨て製品とを示す斜視透視図である。
【
図24】活性化の1.0秒後の例示的なPTCR気化アセンブリと矩形の使い捨て製品とを示す斜視透視図である。
【
図25】活性化の2.0秒後の例示的なPTCR気化アセンブリと矩形の使い捨て製品とを示す斜視透視図である。
【
図26】活性化の3.0秒後の例示的なPTCR気化アセンブリと矩形の使い捨て製品とを示す斜視透視図である。
【
図27】円筒幾何学形状を有する例示的なPTCRヒータの斜視図である。
【
図28】円筒状の例示的なPTCRヒータを示す分解図である。
【
図29】組み立てられた例示的なPTCRヒータを示す斜視図である。
【
図30】外カバーと円筒状の分流器とが取り外された例示的なPTCR気化デバイスを示す斜視図である。
【
図31】例示的なPTCR気化デバイスの斜視図である。
【
図32】PTCRヒータを備えた円筒状の例示的な気化デバイスの抵抗率の対数を温度の関数として示すプロット図である。
【
図33】PTCRヒータを備えた円筒状の気化器デバイスの例示的な実施形態の温度シミュレーションを示す断面プロット図である。
【
図34A】PTCRヒータを備えた円筒状の気化デバイスの例示的な実現形態の温度の過渡応答を色で示すカットプロット図である。
【
図34B】PTCRヒータを備えた円筒状の気化デバイスの例示的な実現形態の温度の過渡応答を色で示すカットプロット図である。
【
図34C】PTCRヒータを備えた円筒状の気化デバイスの例示的な実現形態の温度の過渡応答を色で示すカットプロット図である。
【
図34D】PTCRヒータを備えた円筒状の気化デバイスの例示的な実現形態の温度の過渡応答を色で示すカットプロット図である。
【
図34E】PTCRヒータを備えた円筒状の気化デバイスの例示的な実現形態の温度の過渡応答を色で示すカットプロット図である。
【
図34F】PTCRヒータを備えた円筒状の気化デバイスの例示的な実現形態の温度の過渡応答を色で示すカットプロット図である。
【
図34G】PTCRヒータを備えた円筒状の気化デバイスの例示的な実現形態の温度の過渡応答を色で示すカットプロット図である。
【
図35】複数の空気入口を有するマウスピースの斜視図および端面図である。
【
図36】矩形のPTCR気化アセンブリに取り付けられたマウスピースの斜視透視図である。
【
図37】空気流および温度パターンを作動空気入口無しで示す、矩形のPTCR気化アセンブリに取り付けられたマウスピースの斜視透視図である。
【
図38】空気流パターンを示す、複数の空気入口を有するマウスピースのエアロゾル出口を通して見た透視端面図である。
【
図39】活性化の0.1秒後の空気流および温度パターンを示す、矩形のPTCR気化アセンブリに取り付けられたマウスピースの斜視透視図である。
【
図40】活性化の0.2秒後の空気流および温度パターンを示す、矩形のPTCR気化アセンブリに取り付けられたマウスピースの斜視透視図である。
【
図41】活性化の0.3秒後の空気流および温度パターンを示す、矩形のPTCR気化アセンブリに取り付けられたマウスピースの斜視透視図である。
【
図42】活性化の0.4秒後の空気流および温度パターンを示す、矩形のPTCR気化アセンブリに取り付けられたマウスピースの斜視透視図である。
【
図43】活性化の0.5秒後の空気流および温度パターンを示す、矩形のPTCR気化アセンブリに取り付けられたマウスピースの斜視透視図である。
【
図44】活性化の1.0秒後の空気流および温度パターンを示す、矩形のPTCR気化アセンブリに取り付けられたマウスピースの斜視透視図である。
【
図45】活性化の2.0秒後の空気流および温度パターンを示す、矩形のPTCR気化アセンブリに取り付けられたマウスピースの斜視透視図である。
【
図46】活性化の3.0秒後の空気流および温度パターンを示す、矩形のPTCR気化アセンブリに取り付けられたマウスピースの斜視透視図である。
【
図47】PTCRヒータを含む例示的な気化器デバイスのマウスピースから流出する空気の温度を時間の関数として示す図である。
【
図48】PTCRヒータを含む例示的な気化器デバイスの電流応答を時間の関数として示す図である。
【
図49】PTCRヒータアセンブリに流入する低温の周囲空気流に応じて異なるPTCRヒータ内の電流密度を示す、矩形のPTCR気化アセンブリに取り付けられたマウスピースの上面図である。
【0021】
図面における同一の参照符号は、可能な場合には同一の要素を示す。
【0022】
詳細な説明
本主題のいくつかの態様は、対流式ヒータとして使用するための、PTCRヒータとも呼ばれる非線形抵抗率正温度抵抗係数(PTCR)加熱素子を利用する気化器ヒータに関する。気化器用のこのような対流ヒータでは、空気が加熱素子により加熱され、気化可能な材料の上または中を通過して、吸入用の蒸気および/またはエアロゾルを形成する。複数の実施形態において、気化可能な材料は、固形の気化可能な材料(例えば非燃焼の加熱式(HNB)気化器で一般的に利用されるルーズリーフ材料)および/または液体の気化可能な材料(例えば事前に充填されたカートリッジ、ポッド等)を含んでいてよい。対流加熱に使用されるPTCR加熱素子は、気化可能な材料のより均一な加熱を可能にすることができる。加熱における改善された均一性は、絶縁体として作用する気化可能な材料内での異なる温度の回避、加熱素子の汚染防止等を含む多くの利点を提供することができる。また、加熱素子はPTCR材料から形成され得るため、加熱素子は温度を自己制限することができ、既知の範囲の電圧が印加されると、特定の温度を超えて加熱することがなく、これにより、望ましくない、危険な可能性がある化学的な副産物の形成が回避される。
【0023】
等方性のPTCR材料内での熱出力の発生は、電圧傾度∇Vに応じた等方性のPTCR材料内の全ての制御体積∂x,∂y,∂zに関して、制御体積∂x,∂y,∂zは、PTCR移行領域内の温度に加熱し、
図1に示すように、その温度を∇Vの広い範囲内で保持することを特徴としていてよい。熱出力の発生は、
【数1】
と表すことができ、この場合、Pは熱出力の発生であり、volは制御体積(例えば∂x,∂y,∂z)であり、ρは抵抗率である。
【0024】
PTCR加熱素子を利用することにより、いくつかの実施形態は、温度センサ、電子回路、マイクロプロセッサおよび/または加熱素子に出力制御を提供するアルゴリズムを必要とすることなしに、印加電圧の範囲にわたり温度を制御することを可能にすることができる。
【0025】
本明細書で使用する場合、固形の気化可能な材料という用語は全体的に、固形材料を含む気化可能な材料を指す。例えば、いくつかの気化器デバイスは、植物特有のフレーバー芳香および別の生成物を蒸気として抽出するために、植物の葉または別の植物構成要素に由来する材料を加熱する。これらの植物材料は切り刻まれて、タバコを含み得る様々な植物製品と共に均質化された同化物にブレンドされてよく、この場合、ニコチンおよび/またはニコチン化合物が生成され、エアロゾルの形態で、このような気化器デバイスのユーザに送出され得る。均質化された同化物は、蒸気密度および加熱されると生成されるエアロゾルを向上させるために、プロピレングリコールおよびグリセロール等の気化可能な液体を含んでいてもよい。望ましくない有害なまたは有害な可能性のある成分(HPHC)の生成を回避するために、この形式の気化器デバイスは、温度制御手段を有するヒータの恩恵を受ける。上述したような植物の葉または均質化された同化物を、温度が燃焼レベル未満に保たれるように加熱するこのような気化器デバイスは、一般に非燃焼の加熱式(HNB)デバイスと呼ばれる。
【0026】
本明細書で使用する場合、液体の気化可能な材料という用語は全体的に、固形材料を含まない気化可能な材料を指す。液体の気化可能な材料は、例えば、液体、溶液、ワックス、または特定の気化器デバイスの使用に適合し得る任意の別の形態を含んでいてよい。複数の実施形態において、液体の気化可能な材料は、気化可能な材料を気化室内に吸い込む芯または芯部材を利用するのに適した任意の形態を含んでいてよい。液体の気化可能な材料は、ニコチンおよび/またはニコチン化合物等の植物由来の成分を含んでいてよい。液体の気化可能な材料は、プロピレングリコールおよびグリセロール等の気化可能液体を含んでいてよい。
【0027】
気化器デバイスは、エアロゾルを生成するために気化可能な材料を適切な温度に加熱することにより動作するが、気化可能な材料の燃焼または炭化は行われない。ある種類の気化器デバイスは、過熱および関連するHPHCの形成を防ぐために、比較的厳しい温度制御を利用するという点で、より高性能である。典型的にはマイクロプロセッサを含む電子回路を必要とするこのような高性能化は、HNBデバイスにおいては典型的に困難である。その理由は、固有の不均一性と、関連する、加熱される気化可能な材料の空間的に矛盾した熱特性とにある。これにより結果的に、過温領域が生じ、HPHCが生成される可能性がある。いくつかの既存の解決手段は、気化器デバイス内の局所的な温度を制御することができず、その結果、気化可能な材料が過温領域で生成され、HPHCが生成される確率が高くなる。
【0028】
別の種類の気化器デバイスは、温度制御手段が提供されていないという点でより単純であり、これにより、気化器デバイスの構造はより安価であり得るが、過熱の危険性を有しており、これにより、望ましくない化学的な副産物が生ぜしめられる。
【0029】
(例えば、気化可能な材料が固形である)HNB気化器デバイスにおいて、いくつかの既存の方法は、以下の理由のうちの1つ以上により、均一な温度を課す能力が欠けている。例えば、加熱されるべき固形の気化可能な材料は、低い熱拡散率を有しており、これにより、加熱素子から固形の気化可能な材料への高温の拡散が遅くなり、結果的に大きな温度勾配が生じ得る。結果として、不均一な加熱は、不可避の帰結であり得る。別の例として、加熱素子の温度制御が採用された場合、加熱素子の温度制御は、典型的には平均温度に取り組み、これにより、加熱素子内の高温を介して不均一な固形の気化可能な材料を加熱すると、結果的に、固形の気化可能な材料内に高温が生じ得る。さらに別の例として、絶縁材料の加熱を可能にするために、いくつかの既存のHNBデバイスは、エネルギ消費、バッテリ消耗の両方にかかるコストとユーザの不便さとを伴う、30秒以上であり得る予熱時間を必要とする。
【0030】
加熱素子を気化すべき流体と接触させることにより流体を気化させる気化器デバイスでは、加熱素子の汚染が発生し、性能を損なう可能性につながる場合がある。この問題の解決策は、加熱素子を気化器の使い捨て部品に組み込むことであってよく、これにより加熱素子が新規の各使い捨て部品と交換されることで、加熱素子の汚染は制限されるが、排除されることはない。
【0031】
気化可能な材料の均一な加熱の難しさを克服するために、本主題のいくつかの実施形態は、熱交換器と共に1つまたは複数のPTCR加熱素子を使用する、空気の予熱を提供することができる。ユーザが気化器デバイス内に空気を吸い込んだ場合、流入空気流は制御された温度に加熱される。それというのも、流入空気流は熱交換器の上を通過してから、加熱されるべき気化可能な材料の中または上を通過するからである。気化可能な材料は、固形材料(例えばHNB材料等)または液体(例えば多孔質の芯を含む流体)であってよい。複数の実施形態において、空気流は、熱交換器の上を通過し、次いで、液体の気化可能な材料が含浸された多孔質の芯の上および/または中を通過し、次いで、固形の気化可能な材料(例えばHNB材料)を通過し、次いでユーザに到達することができる。複数の実施形態では、冷却空気の流入用の幾何学形状、例えばバランス空気入口(すなわち第2の空気入口)が、芯とユーザとの間に含まれていてよい。さらに本主題は、固有の温度制御手段を有するPTCRヒータを提供することができ、これにより、所与の範囲の(いくつかの実施形態では10倍以上可変の)供給電圧に関して、設計されたピーク温度を超えないようにすることができる。このようなアプローチは結果的に、いくつかの従来のアプローチと比較して、気化可能な材料の改善された均一な加熱を生ぜしめることができる。
【0032】
さらに、この対流加熱アプローチを用いると、PTCR加熱素子を、芯、流体容器、および/または気化可能な材料の上流側に配置することができ、これによりPTCR加熱素子は、機構の任意の使い捨て部品から完全に取り除かれることになる。PTCR加熱素子を気化器デバイスの非使い捨て部分に含めることで、不要な廃棄物を回避することができる。
【0033】
図2は、対流加熱を利用する気化可能な材料の均一な加熱を提供することができる、本主題のいくつかの実施形態による例示的な気化器デバイス100を示すブロック図である。例示的な気化器デバイス100は、空気入口105と、熱交換器を備えたPTCRヒータ110と、バッテリ、コンデンサ、および/またはこれらに類するもの等の電源115とを有している。例示的な気化器デバイス100は、ハウジング120を含んでいてよく、ハウジング120は、熱交換器を備えたPTCRヒータ110および電源115のうちの1つ以上に結合可能である。複数の実施形態において、例示的な気化器デバイス100は、任意の制御装置102と、任意の圧力センサ107とを有していてよい。複数の実施形態において、ハウジング120は、空気入口105を画定することができる。
【0034】
熱交換器を備えたPTCRヒータ110は、PTCR材料から形成された加熱素子を有していてよく、これについては以下で詳しく説明する。熱交換器は、加熱素子に熱的に結合され得、加熱された空気流を生成するために、加熱素子と、熱交換器を備えたPTCRヒータ110の上および/または中を通過する空気流との間で熱を伝達するように構成され得る。熱交換器を備えたPTCRヒータ110は、例えば加熱素子の異なる側に結合された複数の熱交換器を有していてよく、熱伝達を改善するために、熱交換器のフィンの中および/または上を通る空気流を変向させる分流器を有していてよい。熱交換器を備えた例示的なPTCRヒータ110のより詳細な説明は、以下に
図9~
図34Gを参照して見られる。
【0035】
例示的な気化器デバイス100は、気化可能な材料130を含む1つ以上のカートリッジ125にハウジング120を結合するためのコネクタ117(
図4、
図5および
図8に図示)を有していてよい。複数の実施形態において、カートリッジ125はマウスピース135を含んでいてよい。複数の実施形態において、結合部は取外し可能であり、これにより、カートリッジ125はユーザによりコネクタ117を介して容易に気化器デバイス100から着脱され得る。
【0036】
気化器デバイス100がカートリッジ125に結合される場合、気化器デバイス100とカートリッジ125とは、空気流の経路が、空気入口105から、熱交換器を備えたPTCRヒータの中および/または上を通り、カートリッジの第1の空気入口を通り、気化可能な材料130を通り、マウスピース135から出るように、空気流の経路を画定して配置され得る。
【0037】
任意の制御装置102(例えばロジックを実行可能なプロセッサ、回路等)は、気化可能な材料を凝縮形態(例えば固体、液体、溶液、懸濁液、少なくとも部分的に未加工の植物材料の一部等)から気相に変換するための熱の送出を制御するためのものである。任意の制御装置は、本主題の特定の実施形態と一致する1つ以上のプリント回路基板(PCB)の一部であってよい。
【0038】
電源115は、熱交換器を備えたPTCRヒータ110に電力を供給するために適した任意の電源を含んでいてよい。例えば電源115は、バッテリ、(抵抗器-コンデンサ(RC)減衰を伴うが)コンデンサおよび/またはこれらに類するものを含んでいてよい。複数の実施形態では、電源115は、広範囲の電圧から選択可能な電圧を供給することができる。例えばいくつかの実施形態では、電源115は3ボルト~50ボルト以上の電圧を供給することができる。複数の実施形態において、熱交換器を備えたPTCRヒータ110に供給される電圧は、熱交換器を備えたPTCRヒータ110の性能にほとんど影響を与えずに、1桁可変である。複数の実施形態において、電源115は、動作条件および/または所望の気化器デバイス性能に基づき選択可能な複数の電源を含んでいてよい。
【0039】
動作において、ユーザはマウスピース135を通じて空気を吸い込むこと(例えばパフ)ができ、このことは、任意の圧力センサ107を用いて任意の制御装置102により検出され得る。パフの検出に応答して、任意の制御装置102は、電源115から熱交換器を備えたPTCRヒータ110に電流を供給し、これにより、熱交換器を備えたPTCRヒータ110を温めることができる。熱交換器を備えたPTCRヒータ110はPTCR材料から形成されているため、加熱は自己制限式であり、加熱素子が過熱することはない。
【0040】
空気流は、空気入口105を通り、熱交換器を備えたPTCRヒータ110の上および/または中を通過し、これにより、空気流内の空気が均一に加熱される。加熱された空気流は、気化可能な材料130に到るまで持続し、これにより、気化可能な材料130も均一に加熱され、蒸気(ガス)が形成される。気化可能な材料130は、液体、溶液、固体、ワックスまたは任意の別の形態を含んでいてよい。複数の実施形態において、空気流の経路に沿って通過する流入空気は、気相の気化可能な材料が空気中に連行される領域または室(例えば噴霧器)の上、中等を通過する。
【0041】
連行された気相の気化可能な材料は、残りの空気流の経路を通過する際に凝縮してよく、これにより、エアロゾル形態の気化可能な材料の吸入可能な用量が、ユーザによる蒸気および/またはエアロゾルの形態での吸入のためにマウスピース135に送出され得る。複数の実施形態において、カートリッジ125は、第1の空気入口を通ってカートリッジに流入する加熱された空気流と混合するための周囲温度空気を供給するために用いることができるバランス空気入口(すなわち第2の空気入口)140を有している。周囲温度空気は、凝縮室内で加熱された空気流と混合され得る。バランス空気入口140は、加熱された空気流が気化可能な材料を通過した後の所(例えば熱交換器および気化可能な材料の下流側)に配置されており、これにより、加熱された空気流を、ユーザによる吸入の前に冷却する。複数の実施形態において、バランス空気入口140は、マウスピース135と一体化されている。
【0042】
PTCR加熱素子の活性化は、ユーザと1つ以上の入力デバイス(気化器のボタンまたは例えば手動トグルスイッチ、プッシュボタンスイッチ、圧力スイッチ等といった別の触覚制御デバイス)との相互作用の検出、気化器と通信するコンピューティングデバイスからの信号の受信に応じて、かつ/またはパフが発生しているかまたは発生しそうなことを決定するための別のアプローチを介して、任意の圧力センサ107、または周囲圧力に対する、空気流の経路に沿った圧力を検出するように(または任意に絶対圧力の変化を測定するように)配置されたセンサ、気化器の1つ以上のモーションセンサ、気化器の1つ以上の流量センサ、気化器の容量式リップセンサ等の1つ以上のセンサにより生成された1つ以上の信号に基づくパフの自動検出により生ぜしめられてよい。
【0043】
前段で示唆したように、本主題の実施形態に一致する気化器は、気化器と通信するコンピューティングデバイス(または任意の2つ以上のデバイス)に(例えば無線でまたは有線接続を介して)接続するように構成され得る。このために、任意の制御装置102は通信ハードウェアを有していてよい。任意の制御装置102は、メモリを有していてもよい。コンピューティングデバイスは、気化器も含む気化器システムのコンポーネントであってよく、気化器の通信ハードウェアとの無線通信チャネルを確立し得る、コンピューティングデバイス自体の通信ハードウェアを有していてよい。例えば、気化器システムの一部として使用されるコンピューティングデバイスは、デバイスのユーザが気化器と相互作用し合うことができるようにするためのユーザインターフェースを生成するためにソフトウェアを実行する汎用コンピューティングデバイス(例えばスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、スマートウォッチ等のいくつかの別のポータブルデバイス)を含み得る。本主題の別の実施形態では、このような、気化器システムの一部として使用されるデバイスは、1つ以上の物理的なまたはソフトの(例えば画面上または別の表示デバイス上に構成可能であり、ユーザと、タッチ検知画面またはマウス、ポインタ、トラックボール、カーソルボタン等のいくつかの別の入力デバイスとの相互作用を介して選択可能な)インターフェース制御手段を有する遠隔制御装置または別の無線または有線デバイス等の専用部品であってよい。気化器は、ユーザに情報を提供するための1つ以上の出力機構またはデバイスを含んでいてもよい。
【0044】
上で定義した気化器システムの一部であるコンピューティングデバイスは、用量制御(例えば用量監視、用量設定、用量制限、ユーザトラッキング等)、セッショニングの制御(例えばセッション監視、セッション設定、セッション制限、ユーザトラッキング等)、ニコチン送出の制御(例えば気化可能なニコチン材料と非ニコチン材料との切替え、送出するニコチンの量の調整等)、場所情報の獲得(例えば他のユーザの場所、小売店/商業施設の場所、吸入場所、気化器自体の相対的または絶対的な位置等)、気化器のパーソナライズ(例えば気化器のネーミング、気化器のロック/パスワード保護、1つ以上のペアレンタルコントロールの調整、気化器のユーザグループへの関連付け、気化器の製造業者または保証保守組織への登録等)、他のユーザとのソーシャルアクティビティ(例えばゲーム、ソーシャルメディアコミュニケーション、1つ以上のグループとの対話等)への参加等といった、1つ以上の機能のいずれかに使用され得る。「セッショニング」、「セッション」、「気化器セッション」または「気化セッション」という用語は一般に、気化器の使用に当てられる周期を指すために使用される。この周期は、時間周期、投与回数、気化可能な材料の分量、および/またはこれに類するものを含んでいてよい。
【0045】
コンピューティングデバイスがPTCR加熱素子の活性化に関連する信号を提供する例または様々な制御または別の機能の実施形態に関するコンピューティングデバイスと気化器との結合の別の例において、コンピューティングデバイスは、ユーザインターフェースと基礎となるデータ処理とを提供するために、1つ以上のコンピュータ命令セットを実行する。1つの例では、ユーザと、1つ以上のユーザインターフェース部材との相互作用をコンピューティングデバイスにより検出することで、コンピューティングデバイスは、気化器に信号を送ることができ、これによりPTCR加熱素子を、吸入可能な用量の蒸気/エアロゾルを生成するための完全動作温度に活性化させる。気化器のその他の機能は、ユーザとユーザインターフェースとの相互作用により、気化器と通信するコンピューティングデバイス上で制御され得る。
【0046】
気化器のPTCR加熱素子の温度は、電子気化器の別の部分および/または環境への伝導熱伝達、芯部材および/または噴霧器全体からの気化可能な材料の気化による潜熱損失、および空気流(例えばユーザが電子気化器を吸入したときに加熱素子または噴霧器全体を横断する空気)による対流熱損失を含むいくつかの要因に依存し得る。上述したように、PTCR加熱素子を確実に活性化させるかまたはPTCR加熱素子を所望の温度に加熱するために、本主題のいくつかの実施形態において、気化器は、任意の圧力センサ107からの信号を使用して、ユーザがいつ吸入しているのかを決定することができる。任意の圧力センサ107は、空気流の経路内に配置され得かつ/または(例えば通路または他の経路により)空気流の経路に接続され得、空気流の経路は、空気がデバイスに流入するための空気入口105と出口(例えばマウスピース135)とを接続しており、出口を介して、ユーザは結果的に生じた蒸気および/またはエアロゾルを吸入し、これにより任意の圧力センサは、空気入口105から空気出口まで気化器デバイスを通過する空気と同時に圧力変化を検知する。本主題の複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、任意には、ユーザのパフに関連して、例えばパフの自動検出により、例えば空気流の経路における圧力変化を検出する任意の圧力センサ107により活性化され得る。複数の実施形態において、スイッチは、電源とPTCR加熱素子との間の回路を電気的に完成させるために使用され得る入力デバイスである。複数の実施形態において、リレー、ソレノイドおよび/または固体デバイスを含む入力デバイスは、電源とPTCR加熱素子との間の回路を電気的に完成させ、これにより気化器デバイスを活性化させるために使用され得る。
【0047】
典型的には、任意の圧力センサ107(ならびに任意の別のセンサ)は、任意の制御装置102(例えばプリント回路基板アセンブリまたは別の形式の回路基板)に配置され得るか、または(例えば物理的にまたは無線接続を介して電気的もしくは電子的に接続されて)結合され得る。測定を正確に行いかつ気化器の耐久性を維持するためには、空気流の経路を気化器の他の部分から隔離する弾性シールを提供することが有益であり得る。ガスケットであってよいシールは、任意の圧力センサ107を少なくとも部分的に取り囲むように構成され得、これにより、気化器の内部回路に対する任意の圧力センサ107の接続部は、空気流の経路に晒された任意の圧力センサ107の一部から隔離されることになる。カートリッジ式の気化器の1つの例では、シールまたはガスケットは、気化器本体と気化器カートリッジとの間の1つ以上の電気接続部の一部を隔離してもよい。気化器内でのガスケットまたはシールのこのような配置は、蒸気または液相中の水、気化可能な材料等の別の流体といった環境要因との相互作用に起因する、気化器コンポーネントに対する破壊的影響の可能性を緩和するため、かつ/または気化器内に設計された空気流の経路からの空気の漏れを低減するために有用であり得る。気化器の回路を通過しかつ/またはこれに接触する望ましくない空気、液体またはその他の流体は、圧力読取りの改変等の様々な望ましくない影響を引き起こす可能性があり、かつ/または気化器の一部に、湿気、気化可能な材料等の望ましくない材料を蓄積させる結果となり、その結果、不良な圧力信号、任意の圧力センサまたは別のコンポーネントの劣化、および/または気化器の寿命の短縮が生じ得る。シールまたはガスケットにおける漏れは、結果的に、吸引が望ましくない可能性のある材料を含むまたはこの材料から成る気化器デバイスの部分を通過した空気をユーザが吸引する恐れもある。
【0048】
複数の実施形態において、カートリッジ125は、加熱された空気流が気化可能な材料130を通過した後にこの空気流を冷却するための繊維体を有していてよい。
【0049】
上述したように、気化可能な材料130は、固形の気化可能な材料(例えばHNB材料)および/または液体の気化可能な材料(例えば液体、溶液等)を含んでいてよい。
図3は、対流加熱を利用して気化可能な材料の均一な加熱を提供することができる例示的な気化器デバイス100および液体の気化可能な材料を含むカートリッジ125のブロック図である。気化可能な材料130は、流体タンクまたはリザーバ145に流体接続された、多孔質の芯150を有する噴霧器を含む。多孔質の芯150は、熱交換器を備えたPTCRヒータ110とマウスピース135との間の加熱された空気流の経路内に配置されている。多孔質の芯150は、作動中、気化可能な流体が含浸された多孔質の芯150の上および/または中を加熱された空気流が通過し、多孔質の芯150に含浸された液体の気化可能な材料の気化を引き起こし、これにより、蒸気および/またはエアロゾルを形成するように配置されている。複数の実施形態において、多孔質の芯150は、空気がリザーバ145に流入し、取り除かれた液体の体積と置き換わることを可能にし得る。換言すると、毛管作用が、液体の気化可能な材料を芯150内に引き込み、加熱された空気流により気化させるようになっており、本主題のいくつかの実施形態では、空気は芯を通ってリザーバ145に戻り、リザーバ145内の圧力を少なくとも部分的に均一化することができる。圧力を均一化するためにリザーバ145内へ空気を戻すことを可能にする別のアプローチも、本主題の範囲内である。
図4は、液体の気化可能な材料を含む例示的な気化器デバイスの断面図であり、
図5は、固形の気化可能な材料(例えばHNB製品)を含む例示的な気化器デバイスの断面図である。
【0050】
複数の実施形態において、気化可能な材料130は、液体の気化可能な材料と固形の気化可能な材料の両方を含んでいてよい。例えば、
図6は、対流加熱を利用して気化可能な材料の均一な加熱を提供することができる例示的な気化器デバイス100および液体の気化可能な材料と固形の気化可能な材料とを含むカートリッジ125のブロック図である。気化可能な材料130は、リザーバ145内に液体の気化可能な材料を含むリザーバ145と、液体の気化可能な材料に流体接続した芯150と、多孔質の芯150の(空気流に対して)下流側に配置された固形の気化可能な材料155とを含む。多孔質の芯150は、熱交換器を備えたヒータ110から加熱された空気流を受け取り、これにより、気化可能な材料を気化させて、蒸気および/または第1のエアロゾルを生成するように配置されている。固形の気化可能な材料155は、蒸気および/または第1のエアロゾルを芯から受け取り、これにより、第2のエアロゾルを生成するように配置されている。マウスピース135は、気化された気化可能な材料が固形の気化可能な材料155を通過した後に第2のエアロゾルを受け取るように構成されている。液体の気化可能な材料と固形の気化可能な材料の両方を組み合わせることにより、改善された風味付けが達成され得る。さらに、液体の気化可能な材料と固形の気化可能な材料の両方を気化させるためにPTCR材料を介した対流加熱を利用することにより、両方の材料を加熱するために単一のヒータのみが必要とされる。
【0051】
複数の実施形態において、液体の気化可能な材料と固形の気化可能な材料とは、それぞれ異なるカートリッジ内に含まれていてよい。例えば
図7は、複数のカートリッジを備えた例示的な気化器デバイス100のブロック図である。第1のカートリッジ605は、液体の気化可能な材料(リザーバ145および多孔質の芯150を含む)を含み、第2のカートリッジ610は、対流加熱を利用した気化可能な材料の均一な加熱を提供することができる固形の気化可能な材料130を含む。第1のカートリッジ605は、気化器デバイス100に取外し可能に結合することができ、第2のカートリッジ610は、第1のカートリッジ605に取外し可能に結合することができる。図示のように、第1のカートリッジ605は、リザーバ145(例えばタンク)と、リザーバ145内の液体の気化可能な材料と、液体の気化可能な材料と流体接続した芯150とを含む。第1のカートリッジ605が気化器デバイス100に結合される場合、芯150は、熱交換器を備えたヒータ110から加熱された空気流を受け取り、これにより、気化可能な材料を気化させて蒸気および/または第1のエアロゾルを生成するように配置されている。第2のカートリッジ610は、固形の気化可能な材料130と、バランス空気入口140と、マウスピース135とを含む。第2のカートリッジ610が第1のカートリッジに結合される場合、固形の気化可能な材料130は、芯150から蒸気および/または第1のエアロゾルを受け取り、第2のエアロゾルを生成するように配置されている。マウスピース135は、蒸気および/または第1のエアロゾルが固形の気化可能な材料155を通過した後に第2のエアロゾルを受け取るように構成されている。複数の実施形態において、バランス空気入口(すなわち第2の空気入口)140は、固形の気化可能な材料155を通過した加熱された第2のエアロゾルを冷却するための周囲温度空気を供給することができる。
図8は、液体の気化可能な材料と固形の気化可能な材料の両方を含む例示的な気化器デバイスの断面図である。
【0052】
この対流加熱アプローチは、従来の伝導式の加熱アプローチと比較すると、固形材料(例えばHNB材料)の気化に関していくつかの利点を提供することができる。例えば、揮発性物質と、加熱すべき気化可能な材料の異なる多孔率とを生ぜしめる、絶縁材料(例えば固形の気化可能な材料)内への空気流に対して垂直な方向における不十分な伝導に代えて、本主題のいくつかの実施形態は、気化可能な材料に均一に流入する、予熱された流入空気を、気化可能な材料の断面を均一に覆う波として提供することができる。この場合、揮発性物質は、気孔率の増大と同時に、加熱された空気の流れに平行な方向に放出される。別の例として、断面において均一な揮発性物質の放出と気孔率の増大とは同時であるため、いくつかの実施形態では、流路の差の問題が解消され得る。さらに別の例として、本主題のいくつかの実施形態では、製品を介した伝導熱伝達の低下の問題を取り除くことができる。さらに別の例として、本主題のいくつかの実施形態は、事前に必要とされた予熱期間をなくすことができ、これにより本主題はオンデマンドで、加熱された気化可能な材料からエアロゾルを提供することができる。
【0053】
同様にこの対流加熱アプローチは、液体の気化可能な材料の気化に関してもいくつかの利点を提供することができる。例えば、液体の気化可能な材料に直接接触したヒータ部材を使用して、液体の気化可能な材料に直接に熱を加える代わりに、本主題のいくつかの実施形態は、予熱された流入空気を、気化されるべき流体が含浸された多孔質の芯の断面を均一に覆う波として提供することができ、これにより、温度差および加熱素子の汚染の可能性を回避する。
【0054】
別の例として、芯を、固形の気化可能な材料(例えばルーズリーフタバコ)の極めて近くにかつ(空気流に対して)上流側に配置することにより、デバイス内での望ましくないエアロゾル凝縮を最小限に抑えることができる。
【0055】
さらに、PTCRヒータの固有の温度制御動作は、特定の熱フィードバックが必要とされないため、電力供給回路を単純化することができる。PTCRヒータへの電力供給回路は、電力供給システムの典型である、電源が比較的一定の電圧を供給するという必要性を排除することにより、さらに単純化され得る。複数の実施形態において、印加電圧は、結果として生じるヒータ素子温度に著しい影響を与えることなしに、2桁以上可変であり得る。
【0056】
次に、例示的なPTCRヒータをより詳細に説明する。PTCRは、温度が上昇するにつれて非線形に変化する電気抵抗率を有する半導体材料を含む。典型的なPTCR材料の抵抗率は比較的低い一方で、温度は温度遷移ゾーンより下に留まる。温度遷移ゾーンより上では、PTCR材料の抵抗率は、温度遷移ゾーンより下の温度における同じPTCR材料の抵抗率よりも高くなる。抵抗率の変化は、摂氏50度以下の温度遷移ゾーンにわたり桁違いに増大し得る。
【0057】
加熱素子は、固有の温度制御を可能にするために非線形PTCR材料を利用し得る。例えば、周囲温度の加熱素子は、電圧傾度をもたらし、その結果、電流の流れを生成する電源に接続され得る。加熱素子の抵抗率は周囲温度(例えば周囲温度は遷移ゾーンより下である)では比較的低いため、電流は加熱素子を通って流れることになる。電流が非線形PTCR材料を通って流れると、抵抗(例えば電力の散逸)により、熱が発生させられる。発生した熱により加熱素子の温度が上昇し、これにより、加熱素子の抵抗率が変化させられる。加熱素子の温度が遷移ゾーンに達すると、抵抗率は小さな温度範囲にわたり大幅に増大する。抵抗率の変化は、材料の物理的特性により生ぜしめられてよい。例えば、材料内で相転移が起こり得る。(全体的な抵抗の増大に帰する)このような抵抗率の増大は、電流の流れを減少させ、これにより発熱が減少させられることになる。遷移ゾーンは、変曲点が存在する温度を含んでおり、これにより、加熱素子の温度をさらに上昇させるには発熱が不十分になることで、加熱素子の温度が制限される。電源が接続されかつ電流を供給し続ける限り、加熱素子は、最小限の温度変動で均一な温度を維持することになる。この場合、PTCR加熱素子に供給される電力は、PI=電圧2/抵抗という式により表すことができる。PTCR加熱素子の熱損失は、PLで表すことができ、伝導熱、対流熱、放射熱および潜熱の任意の組合せを含む。定常状態動作中、PI=PLである。PLが増大すると、PTCR加熱素子の温度は低下し、これにより抵抗が減少することで、PTCR加熱素子を通る電流の流れが増大する。PLが減少すると、PTCR加熱素子の温度は上昇し、これにより抵抗が増大することで、PTCR加熱素子を通る電流の流れが減少する。PLが0に近づくと、PTCR加熱素子の抵抗は対数的に増大する。PTCR加熱素子が制限される動作温度は、温度特性、電源、回路特性(例えば電圧傾度、電流、時間差特性)等の関数としての素子材料、素子幾何学形状、素子抵抗率により影響を及ぼされてよい。
【0058】
図9は、非線形PTCR材料に関する例示的な抵抗率対温度曲線を示すプロット図である。縦軸は対数である。(PTCRヒータと呼ばれる)非線形PTCR材料から構成される(例えば形成される)加熱素子は、有利な特性を有していてよい。例えば、十分な電圧傾度(例えば∇V)が適用されると、PTCRヒータは発熱し、遷移ゾーンに達するまで温度が上昇する。
図9に示す曲線において、遷移ゾーンは、温度T
1とT
2との間にわたる。
図9に示す曲線では、抵抗率対温度曲線は、T
1とT
2との間に非線形に現れているが、他の実施形態では、抵抗率対温度曲線は、ほぼ線形または線形またはその他の形であってもよい。T
1を上回るある温度では、非線形PTCR材料の抵抗率は、さらなる温度上昇がやむことになる点まで上昇することになる。なぜならば、全体的な抵抗が所定の点まで増大し、これにより電流の流れが制限されるからである。換言すると、PTCRヒータの実施形態は、温度自己制限式であると考えられてよく、既知の範囲の印加電圧が与えられた場合、まさに温度遷移ゾーンの低点T
1を上回る温度を超えて加熱することはない。
【0059】
PTCRヒータの性能は、
図9に示すようなPTCRの挙動およびヒータの幾何学形状に左右され得る。比較的長細い幾何学形状を有しており、それぞれ異なる電圧を印加するための電気コンタクトを、PTCRヒータの長い方の寸法の各端部に備えたPTCRヒータは、非線形のPTCR材料の抵抗率が、典型的にはT
1未満の温度では高すぎるという点で、無効の場合がある。T
1とT
2との間の温度差が10℃未満である急峻な遷移ゾーンを有する非線形PTCR材料は、上記長細い幾何学形状の長さの小さな部分の範囲内にすべての電圧降下を生ぜしめることがあり、必然的に、任意の材料内に空間的な不均一性が与えられる。したがって、PTCRヒータのいくつかの実現形態は、PTCRヒータ用の電極構造体を含んでおり、これにより、非線形のPTCR材料は並列回路内に提供されることになる。均一性が改善された加熱を提供することができるいくつかの実施形態では、PTCRヒータ幾何学形状は、それぞれ異なる電圧が印加され得る導電体または導電性コーティングの間に挟まれる、非線形PTCR材料の薄い部分を含んでいてよい。
【0060】
図10は、
図9に示した非線形PTCR半導体材料に関する抵抗率対温度曲線のデータの表を表す。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、100℃で10Ω・cm~100Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で50000Ω・cm~150000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、100℃で20Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、265℃で100000Ω・cm~200000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、100℃で100Ω・cm未満の抵抗率を有しており、260℃で100000Ω・cm超の抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、100℃で100Ω・cm未満の抵抗率を有しており、275℃で250000Ω・cm超の抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、100℃で100Ω・cm未満の抵抗率を有しており、295℃で300000Ω・cm超の抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で10Ω・cm~110Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で10Ω・cm~110Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で100000Ω・cm~325000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で10Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で10Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で100000Ω・cm~350000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で10Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で10Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で100000Ω・cm~375000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で10Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で10Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で100000Ω・cm~400000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で10Ω・cm~400Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で10Ω・cm~400Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で100000Ω・cm~450000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で10Ω・cm~500Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で10Ω・cm~500Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で100000Ω・cm~500000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で50Ω・cm~110Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で50Ω・cm~110Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で150000Ω・cm~325000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で50Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で50Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で150000Ω・cm~350000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で50Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で50Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で150000Ω・cm~375000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で50Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で50Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で150000Ω・cm~400000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で50Ω・cm~400Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で50Ω・cm~400Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で150000Ω・cm~450000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で50Ω・cm~500Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で50Ω・cm~500Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で150000Ω・cm~500000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で90Ω・cm~110Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で90Ω・cm~110Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で200000Ω・cm~325000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で90Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で90Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で200000Ω・cm~350000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で90Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で90Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で200000Ω・cm~375000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で90Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で90Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で200000Ω・cm~400000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で90Ω・cm~400Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で90Ω・cm~400Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で200000Ω・cm~450000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で90Ω・cm~500Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で90Ω・cm~500Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で200000Ω・cm~500000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で10Ω・cm~110Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で10Ω・cm~50Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で50000Ω・cm~125000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で10Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で10Ω・cm~100Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で50000Ω・cm~150000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で10Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で10Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で50000Ω・cm~175000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で10Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で10Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で50000Ω・cm~200000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で10Ω・cm~400Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で10Ω・cm~250Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で50000Ω・cm~250000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で10Ω・cm~500Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で10Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で50000Ω・cm~300000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で50Ω・cm~110Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で20Ω・cm~50Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で75000Ω・cm~125000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態では、PTCR加熱素子は、50℃で50Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で20Ω・cm~100Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で75000Ω・cm~150000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で50Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で20Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で75000Ω・cm~175000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で50Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で20Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で75000Ω・cm~200000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で50Ω・cm~400Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で20Ω・cm~250Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で75000Ω・cm~250000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で50Ω・cm~500Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で20Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で75000Ω・cm~300000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で75Ω・cm~110Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で30Ω・cm~50Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で100000Ω・cm~125000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で75Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で30Ω・cm~100Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で100000Ω・cm~150000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で75Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で30Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で100000Ω・cm~175000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で75Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で30Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で100000Ω・cm~200000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で75Ω・cm~400Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で30Ω・cm~250Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で100000Ω・cm~250000Ω・cmの抵抗率を有している。
複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で75Ω・cm~500Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で30Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で100000Ω・cm~300000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で10Ω・cm~110Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で10Ω・cm~50Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で100000Ω・cm~325000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で10Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で10Ω・cm~100Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で100000Ω・cm~350000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で10Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で10Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で100000Ω・cm~375000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で10Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で10Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で100000Ω・cm~400000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で10Ω・cm~400Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で10Ω・cm~250Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で100000Ω・cm~450000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で10Ω・cm~500Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で10Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で100000Ω・cm~500000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で50Ω・cm~110Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で20Ω・cm~50Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で150000Ω・cm~325000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で50Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で20Ω・cm~100Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で150000Ω・cm~350000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で50Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で20Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で150000Ω・cm~375000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で50Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で20Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で150000Ω・cm~400000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で50Ω・cm~400Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で20Ω・cm~250Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で150000Ω・cm~450000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で50Ω・cm~500Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で20Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で150000Ω・cm~500000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で90Ω・cm~110Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で30Ω・cm~50Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で200000Ω・cm~325000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で90Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で30Ω・cm~100Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で200000Ω・cm~350000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で90Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で30Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で200000Ω・cm~375000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で90Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で30Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で200000Ω・cm~400000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で90Ω・cm~400Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で30Ω・cm~250Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で200000Ω・cm~450000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、25℃で90Ω・cm~500Ω・cmの抵抗率を有しており、150℃で30Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、280℃で200000Ω・cm~500000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で10Ω・cm~110Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で10Ω・cm~110Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で50000Ω・cm~125000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で10Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で10Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で50000Ω・cm~150000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で10Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で10Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で50000Ω・cm~175000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で10Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で10Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で50000Ω・cm~200000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で10Ω・cm~400Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で10Ω・cm~400Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で50000Ω・cm~250000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で10Ω・cm~500Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で10Ω・cm~500Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で50000Ω・cm~300000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で50Ω・cm~110Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で50Ω・cm~110Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で75000Ω・cm~125000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で50Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で50Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で75000Ω・cm~150000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で50Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で50Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で75000Ω・cm~175000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で50Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で50Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で75000Ω・cm~200000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で50Ω・cm~400Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で50Ω・cm~400Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で75000Ω・cm~250000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で50Ω・cm~500Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で50Ω・cm~500Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で75000Ω・cm~300000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で75Ω・cm~110Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で90Ω・cm~110Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で100000Ω・cm~125000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で75Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で90Ω・cm~150Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で100000Ω・cm~150000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で75Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で90Ω・cm~200Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で100000Ω・cm~175000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で75Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で90Ω・cm~300Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で100000Ω・cm~200000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で75Ω・cm~400Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で90Ω・cm~400Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で100000Ω・cm~250000Ω・cmの抵抗率を有している。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、50℃で75Ω・cm~500Ω・cmの抵抗率を有しており、100℃で90Ω・cm~500Ω・cmの抵抗率を有しており、260℃で100000Ω・cm~300000Ω・cmの抵抗率を有している。
【0061】
図11は、別の例示的なPTCR抵抗率対温度曲線を示す図である。この例では、PTCR材料は、5700kg/m3の密度、520J/kg Kの熱容量および2.1W/m Kの熱伝導率を有している。抵抗率の係数は、最初は約440K過ぎの温度で増大し始め、次いで503K~518Kの間で急激に増大する。298Kでは、PTCR加熱素子を形成するPTCR材料の抵抗率は0.168Ω・mであり、373Kでは、PTCR加熱素子を形成するPTCR材料の抵抗率は0.105Ω・mであり、518Kでは、PTCR加熱素子を形成するPTCR材料の抵抗率は、3.669Ω・mである。いくつかの例示的な実施形態において、PTCR材料は、5000kg/m3~7000kg/m3の密度、450J/kg K~600J/kg Kの熱容量、および1.5W/m K~3.0W/m Kの熱伝導率を有している。
【0062】
図12Aは、改善された気化器加熱を可能にすることができる例示的なPTCR加熱素子50を示す図である。非線形PTCR材料10の薄い部分が
図12Aに示されており、この部分では非線形PTCR材料10が導電層20の間に挟まれており、導電層20も、導電リード30がそれぞれ異なる印加電圧を有することができるように、各導電リード30に取り付けられている。
図12Bは、
図12Aに示した例示的なPTCR加熱素子50の断面図である。
【0063】
例えば、プロピレングリコールおよびグリセロールを含む流体の組合せを使用する気化器デバイスにおいて有効であり得るいくつかの例示的な実施形態では、PTCRヒータ50は、0.5mm(高さ)および5.0mm(長さおよび幅)の非線形PTCR材料厚さを備えた、
図12Aに示した幾何学形状を、別の寸法で有している。非線形PTCR材料の電気特性は、以下の値を有している。すなわち:T
1値は150℃~300℃、例えば220℃~280℃であり、T
1未満の温度での抵抗率は0.01Ω・m~100Ω・m、例えば0.1Ω・m~1Ω・mであり、T
1~T
2の抵抗率変化は10倍超、例えば100倍超に増大しており、T
1~T
2の温度差は200℃未満、例えば50℃未満である。
【0064】
図13A~
図13Eは、例示的なPTCRヒータ50の温度モデルを示している。図示の例では、非線形PTCR材料10は、5mm×5mm×0.5mmの寸法を有するプレート幾何学形状を有していた。導電層20は、5mm×5mm×0.025mmの寸法を有する銀(Ag)から形成されていた。また、導電リード30は、12mm×2mm×0.2mmの寸法を有する銅(CU)から形成されていた。非線形PTCR材料10は、
図32に示すように、約240℃~約300℃の非線形遷移ゾーンを有するPTCR抵抗率対温度曲線を有していた。例示的なPTCRヒータ50の導電リード30にわたり、3~6ボルトの電圧が印加された。これらの状況下では、自由対流空気流を有する開放空気内の例示的なPTCRヒータ50は、電圧差の印加後のそれぞれ0.0秒、0.2秒、0.5秒、1.0秒、および2.0秒を表す
図13A~
図13Eのシーケンスモデルに示されるように、温度を上昇させるであろう。図示のように、1.0秒を過ぎた温度は比較的均一であり、導電層20の表面におけるピーク温度は270℃未満である。
【0065】
図14A~
図14Fは、別の例示的なPTCRヒータ50の温度モデルを示している。各図の左側には傾斜温度スケールが示されており、赤色で、約255℃の最高温度を表しており、可視光スペクトルの色の順に(すなわち赤色、オレンジ色、黄色、緑色、青色および紫色)、約23℃の最低温度まで続く。図示の各例において、非線形PTCR材料10は、約5mm×5mm×0.5mmの寸法のプレート幾何学形状を有している。導電層20は、約5mm×5mm×0.025mmの寸法を有する銀(Ag)から形成されていた。また、導電リード30は、約12mm×2mm×0.2mmの寸法を有する銅(CU)から形成されていた。プレート幾何学形状は、導電リード30が取り付けられた導電層20を含む2つの平行な面を有していてよい。導電リード30は、接続手段40により、PTCR加熱素子50の両側の導電層20の中央に取り付けられている。複数の実施形態において、接続手段40は、クランプ、クリップ、導電性ペースト、高温、鉛フリーはんだおよび/またはこれらの組合せである。
【0066】
図14Aは、PTCR加熱素子50に電流を流すことによる活性化の1.0秒後の温度を示す。紫色に着色された導電リード30は、依然として約25℃である。PTCR材料10および導電層20の大部分は、約120℃まで温度が上昇しており、中央の接続手段40を含む領域は約80℃の温度で、比較的やや低温になっている。
【0067】
図14Bは、PTCR加熱素子50に電流を流すことによる活性化の2.0秒後の温度を示す。青色/緑色に着色された導電リード30は、約90℃まで温度が上昇している。PTCR材料10および導電層20の大部分は、約210℃まで温度が上昇しており、中央の接続手段40を含む領域は、約160℃の温度で比較的低温になっている。
【0068】
図14Cは、PTCR加熱素子50に電流を流すことによる活性化の3.0秒後の温度を示す。緑色に着色された導電リード30は、約140℃まで温度が上昇している。PTCR材料10および導電層20の大部分は、約250℃まで温度が上昇しており、中央の接続手段40を含む領域は、約200℃の温度で比較的低温になっている。
【0069】
図14Dは、PTCR加熱素子50に電流を流すことによる活性化の4.0秒後の温度を示す。緑色に着色された導電リード30は、約160℃まで温度が上昇している。PTCR材料10および導電層20の大部分は、約250℃までの温度に留まっており、中央の接続手段40を含む領域は、約215℃の温度で比較的低温になっている。
【0070】
図14Eは、PTCRヒータ50に電流を流すことによる活性化の5.0秒後の温度を示す。緑色/黄色に着色された導電リード30は、約180℃まで温度が上昇している。PTCR材料10および導電層20の大部分は、約250℃までの温度に留まっており、中央の接続手段40を含む領域は、約225℃の温度で比較的やや低温になっている。
【0071】
図14Fは、PTCR加熱素子50に電流を流すことによる活性化の6.0秒後の温度を示す。黄色に着色された導電リード30は、約200℃まで温度が上昇している。PTCR材料10および導電層20の大部分は、約250℃までの温度に留まっており、中央の接続手段40を含む領域は、約235℃の温度で比較的ほんの少しだけ低温になっている。
図15は、自由対流状態における電圧印加の6.0秒後の例示的なヒータの温度モデルを示す。
【0072】
図16Aは、例示的なPTCR加熱素子に関する時間の関数としての表面温度モデルを示す。このモデルでは、PTCRヒータの表面温度は、時間ゼロにおいて25℃(すなわち室温)で始まる。電流が流された後に表面温度は約2秒間、線形に上昇し、約225℃の温度になる。約2秒後に温度上昇速度は低下し、活性化の約3秒後に約250℃の定常状態動作温度が達成される。このモデルでは、非線形PTCR材料は非接触の自由対流状態にあり、放出された放射物は所定の距離から測定されたと仮定された。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、240℃~280℃の動作温度に加熱される。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、245℃~255℃の動作温度に加熱される。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、約250℃の動作温度に加熱される。
【0073】
図16Bは、例示的なPTCRヒータに関して測定された最高表面温度モデルを時間の関数として示す。PTCRヒータの最高表面温度を時間の関数として測定するために、赤外線カメラを用いて測定を4回繰り返し、次いでこれらを最高表面温度モデルに対してプロットした。このモデルでは、非線形PTCR材料は非接触の自由対流状態にあり、放出された放射物は所定の距離から測定されたと仮定された。いずれの場合にも、PTCR加熱素子の最高表面温度は、時間ゼロにおいて約25℃(すなわち室温)で始まる。電流が流された後に最高表面温度は約2秒間、線形に上昇し、約225℃の温度になる。約2秒後に温度上昇速度は低下し、活性化の約3秒後に約250℃の定常状態動作温度が達成される。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、240℃~280℃の動作温度に加熱される。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、245℃~255℃の動作温度に加熱される。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、約250℃の動作温度に加熱される。
【0074】
図16Cは、例示的なPTCR加熱素子に関して測定された平均表面温度モデルを時間の関数として示す。PTCR加熱素子の平均表面温度を時間の関数として測定するために、赤外線カメラを用いて測定を4回繰り返し、次いでこれらを平均表面温度モデルに対してプロットした。このモデルでは、非線形PTCR材料は非接触の自由対流状態にあり、放出された放射物は所定の距離から測定されたと仮定された。いずれの場合にも、PTCR加熱素子の平均表面温度は、時間ゼロにおいて約25℃(すなわち室温)で始まる。電流が流された後に最高表面温度は約2秒間、線形に上昇し、約225℃の温度になる。約2秒後に温度上昇速度は低下し、活性化の約3秒後に約250℃の定常状態動作温度が達成される。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、240℃~280℃の動作温度に加熱される。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、245℃~255℃の動作温度に加熱される。複数の実施形態において、PTCR加熱素子は、約250℃の動作温度に加熱される。
【0075】
図17は、本主題の複数の実施形態と一致する、例示的なヒータの遷移電流応答を時間の関数として示す。このグラフでは、電流はアンペアで測定され、ほぼ線形の速度で増加し、活性化から約1.5秒後にピーク電流に到達する。その後、PTCRヒータは自己調整動作温度に達するため、抵抗が急速に増大して電流の流れを減少させる。
【0076】
均一な温度は、PTCRヒータの望ましい性能属性であってよく、温度センサ、マイクロプロセッサを備えた電子回路、および温度制御のための専用の高度なアルゴリズムにより制御される電力入力手段を有する直列ヒータを含む直列コイルヒータを上回る、明確な利点をもたらす。これらの既存の直列ヒータは、ある点における温度測定に応答して、または典型的な直列加熱素子のTCR(抵抗率の温度係数)と組み合わせられた、全体的な電気抵抗率により推定される平均温度により、全体的な電力を調整することができる。しかしながら、いくつかの直列ヒータでは、直列ヒータ内の温度が40℃以上変化することがある。なぜならば、周囲媒体の熱質量の局所的な差と、周囲媒体に対する損失の局所的な差とによって、直列ヒータに沿った局所的な抵抗率の変化が生じるためである。
【0077】
いくつかの実施形態において、PTCRヒータ50は、
図9に示したものと同じまたは類似の非線形のPTCR抵抗率対温度曲線を有する材料で構成されており、
図12A~
図12Bに示したような平行な幾何学形状を有しており、かつ導電リード30に印加される適切な(例えば3V~6Vの)差電圧を有している。このようなPTCRヒータ内に与えられた制御体積はそれぞれ、狭い範囲内の、典型的には10℃未満の温度を有している。このことは、熱負荷が異なっていても達成され得る。10℃未満の範囲は、PTCR加熱素子の材料および幾何学的配置の制御による気化のために調整され得る。
【0078】
択一的なPTCRヒータの設計および幾何学形状が可能である。
【0079】
複数の実施形態において、PTCRヒータは、気化可能な材料に流入して通過する空気を予熱するための熱交換器を有していてよい。
図18は、気化可能な材料の対流加熱と改善された均一加熱とを可能にすることができる、PTCRヒータ390と熱交換器部材320とを有する例示的なPTCRヒータアセンブリ395の斜視図である。
【0080】
例示的なPTCRヒータアセンブリ395(矩形PTCRエアヒータアセンブリとも呼ばれる)は、導電層305の間に挟まれたPTCR材料300を有するPTCRヒータ390を含む。導電層305と接触している熱交換器部材320は、例えばアルミニウムまたは別の熱伝導材料からなってもよい。熱交換器部材320は、熱伝導材料押出成形体または集成体からなってもよい。複数の実施形態において、熱交換器部材320は、金属発泡体、例えばアルミニウム発泡体であってよい。熱交換器部材320は、押出成形、機械加工、フライス加工、鋳造、発泡、印刷、射出成形、鍛造、スタンピング、焼結、およびその他の金属成形法により製造され得る。熱交換器部材320を包囲しているのは、ヒータアセンブリカバー350である。複数の実施形態において、ヒータアセンブリカバー350は、非導電材料を含む。複数の実施形態において、ヒータアセンブリカバー350は、非熱伝導材料を含む。複数の実施形態において、ヒータアセンブリカバー350は、ヒータアセンブリカバー350を熱交換器部材320から絶縁する、非導電コーティングを備えた金属を含む。複数の実施形態において、ヒータアセンブリカバー350は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む。
【0081】
図19は、例示的なPTCRヒータアセンブリ395の分解図を含む、PTCR気化アセンブリ398の分解図である。いくつかの実施形態において、PTCR気化アセンブリ398は矩形である。PTCR気化アセンブリ398は、例示的なPTCRヒータアセンブリ395と、使い捨て製品360を収容するための製品カバー380とを含む。いくつかの実施形態において、製品カバー380および使い捨て製品360は、それぞれ矩形である。複数の実施形態において、製品カバー380内の使い捨て製品360は、固形の気化可能な材料を含有する使い捨て製品を含んでいてよい。複数の実施形態において、製品カバー380は、液体の気化可能な材料を収容するように構成された使い捨て可能な液体カートリッジ(例えばポッド)である。複数の実施形態において、製品カバー380は、第1の空気入口および/または芯を有する使い捨て液体カートリッジ(例えばポッド)であり、液体の気化可能な材料を収容するように構成されている。
【0082】
図20は、組み立てられた例示的なPTCR気化アセンブリ398の斜視図である。内部に使い捨て製品を収容する製品カバー380は、締まり嵌め、プレス嵌め、スナップフィット結合、磁気結合、接着剤および別の固定手段を介して、ヒータアセンブリカバー350、PTCRヒータアセンブリおよび/または製品カバー380の反対側の隣接セグメントに取り付けられてよい。製品カバー380は、取外し可能に取り付けられてよく、これにより、製品カバー380を気化器デバイスから分離させ、使い捨て製品を交換してから再び組み立てることができる。
【0083】
図21は、例示的なPTCR気化アセンブリ398および使い捨て製品360の斜視透視図である。複数の実施形態において、使い捨て製品360および製品カバー380は、固形の気化可能な材料を含有する使い捨て製品を含んでいてよい。複数の実施形態において、使い捨て製品360および製品カバー380は、液体の気化可能な材料を収容する使い捨て液体カートリッジ(例えばポッド)を含んでいてよい。複数の実施形態において、使い捨て製品360および製品カバー380は、第1の空気入口および/または芯を有する使い捨て液体カートリッジ(例えばポッド)を含んでいてよく、液体の気化可能な材料を収容する。
図21にPTCRヒータは図示されていないが、PTCRヒータは、熱交換器部材320の間の容積304内に挿入される。熱交換器部材320は、流入空気を加熱する(熱交換器を備えていない)PTCRヒータのみを有している場合に比べ、より多くの流入空気を加熱するために増大された表面積を提供する。熱交換器部材320を包囲しているのは、ヒータアセンブリカバー350である。複数の実施形態において、PTCRヒータアセンブリ395を通る流入空気の流量は、毎分約1.4リットルである。熱交換器部材320は、流入する空気を急速に加熱するために、200℃超の定常状態温度に到達し得る。熱交換器部材320は、比表面積(mm
2/mm
3)を最大化するように設計され得、この比表面積は、PTCRヒータから熱交換器部材320への改善された熱伝達をもたらすと共に、熱交換器部材320から流入空気への改善された熱伝達ももたらす。
図21に示すように、熱交換器部材320は、熱伝導材料(例えばアルミニウム、銅、鋼、ステンレス鋼、チタン等の金属)からなるフィン付きデザインであってよい。
【0084】
図22は、PTCRヒータ390の活性化の約0.2秒後の例示的なPTCR気化アセンブリ398および使い捨て製品360の斜視透過図である。PTCRヒータ390は、熱交換器部材320を加熱し、熱交換器部材320は、PTCRヒータアセンブリ395に流入する空気に熱を伝達する。PTCRヒータアセンブリ395から流出する空気は、約110℃~約160℃の温度に加熱されている。加熱された空気流は、使い捨て製品360(例えばタバコ含有媒体)を通って毎分約1.4リットルの流量で流れる。PTCR気化アセンブリ398から流出する蒸気および/またはエアロゾルは、約50℃~約150℃の温度で使い捨て製品360から放出された、気化された材料を含んでいる。
【0085】
図23は、PTCRヒータ390の活性化の約0.5秒後の例示的なPTCR気化アセンブリ398および使い捨て製品360の斜視透過図である。PTCRヒータ390は、熱交換器部材320を加熱し、熱交換器部材320は、PTCRヒータアセンブリ395に流入する空気に熱を伝達する。PTCRヒータアセンブリ395から流出する空気は、約150℃~約210℃の温度に加熱されている。加熱された空気流は、使い捨て製品360(例えばタバコ含有媒体)を通って毎分約1.4リットルの流量で流れる。PTCR気化アセンブリ398から流出する蒸気および/またはエアロゾルは、約100℃~約210℃の温度で使い捨て製品360から放出された、気化された材料を含んでいる。
【0086】
図24は、PTCRヒータ390の活性化の約1.0秒後の例示的なPTCR気化アセンブリ398および使い捨て製品360の斜視透過図である。PTCRヒータ390は、熱交換器部材320を加熱し、熱交換器部材320は、PTCRヒータアセンブリ395に流入する空気に熱を伝達する。PTCRヒータアセンブリ395から流出する空気は、約170℃~約230℃の温度に加熱されている。加熱された空気流は、使い捨て製品360(例えばタバコ含有媒体)を通って毎分約1.4リットルの流量で流れる。PTCR気化アセンブリ398から流出する蒸気および/またはエアロゾルは、約110℃~約220℃の温度で使い捨て製品360から放出された、気化された材料を含んでいる。
【0087】
図25は、PTCRヒータ390の活性化の約2.0秒後の例示的なPTCR気化アセンブリ398および使い捨て製品360の斜視透過図である。PTCRヒータ390は、熱交換器部材320を加熱し、熱交換器部材320は、PTCRヒータアセンブリ395に流入する空気に熱を伝達する。PTCRヒータアセンブリ395から流出する空気は、約180℃~約240℃の温度に加熱されている。加熱された空気流は、使い捨て製品360(例えばタバコ含有媒体)を通って毎分約1.4リットルの流量で流れる。PTCR気化アセンブリ398から流出する蒸気および/またはエアロゾルは、約120℃~約230℃の温度で使い捨て製品360から放出された、気化された材料を含んでいる。
【0088】
図26は、PTCRヒータ390の活性化の約3.0秒後の例示的なPTCR気化アセンブリ398および使い捨て製品360の斜視透過図である。PTCRヒータ390は、熱交換器部材320を加熱し、熱交換器部材320は、PTCRヒータアセンブリ395に流入する空気に熱を伝達する。PTCRヒータアセンブリ395から流出する空気は、約180℃~約240℃の温度に加熱されている。加熱された空気流は、使い捨て製品360(例えばタバコ含有媒体)を通って毎分約1.4リットルの流量で流れる。PTCR気化アセンブリ398から流出する蒸気および/またはエアロゾルは、約120℃~約230℃の温度で使い捨て製品360から放出された、気化された材料を含んでいる。
【0089】
本主題は、矩形の幾何学形状に限定されない。複数の実施形態において、PTCRヒータは矩形ではない多角形である。例えば、択一的なデザインのPTCRヒータは、押出成形または射出成形により製造される多くの可能な構成において、平面的な幾何学形状とは異なっていてもよい。例えば
図27は、円筒幾何学形状を有する例示的なPTCRヒータ290の斜視図である。この例では、PTCRヒータ290は、それぞれ円筒状の表面導電層205を備えたPTCR材料200を含んでいる。
【0090】
図28は、例示的なPTCRヒータアセンブリ295を示す分解図であり、このPTCRヒータアセンブリ295は、例示的なPTCRヒータ290と、外側の熱交換器210と、内側の熱交換器220と、分流器230と、ヒータアセンブリカバー250とを含み、これらはそれぞれ円筒状である。
図29は、例示的なPTCRヒータアセンブリ295の斜視図である。
図30は、外側カバーと分流器230とが取り外され、これにより、使い捨て製品260に位置合わせされたPTCRヒータ290、外側の熱交換器210および内側の熱交換器220の向きを示す、例示的なPTCR気化アセンブリ298の斜視図である。
【0091】
図31は、PTCRヒータ290と、外側の熱交換器210と、内側の熱交換器220と、分流器230と、ヒータアセンブリカバー250と、(
図18において使い捨て製品260を覆っている)製品カバー280とを含む例示的なPTCR気化アセンブリ298の斜視図である。
【0092】
図32は、PTCRヒータを備えた例示的な気化デバイスの抵抗率の対数を温度の関数として示すプロット図である。
図32に示す性能は、円筒状のPTCR気化アセンブリ298の例示的な実施形態の性能を特徴付ける例示的な計算によるものである。例示的なPTCR気化アセンブリ298はHNBデバイスであり、この計算では質量による比表面積がS
m≒10000cm
2/gであり、密度はρ≒300kg/m
3の多孔質媒体として処理される使い捨て製品260として固形の気化可能な材料(例えばHNB製品)を有している。対流熱伝達係数は、h≒2.0W/m
2Kである。体積による表面積は、S
vol=S
mxρ=10000cm
2/g×1000g/kg×m
2/10000cm
2として計算することができ、S
vol≒1000m
2/kgであることから、体積熱交換係数は、v=hρ(S
vol)≒6.0E5W/m
3Kである。
【0093】
この計算に関して、周囲状況は1気圧の標準圧力で20.05℃であった。入力空気流量は1.4l/mで一定であり、印加電圧は、対向し合う導電層205にわたり一定の3.7ボルトであった。
図32に示したPTCRの挙動を超える電流制限は適用されなかった。
【0094】
計算した、PTCRヒータを備えた気化デバイスは、銀である導電層205と、アルミニウム押出成形体である円筒状の外側の熱交換器210および円筒状の内側の熱交換器220と、PTFEからなる分流器230およびヒータアセンブリカバー250と、紙からなる製品カバー280とを含んでいた。
【0095】
図33は、
図32に関して上述もしたPTCR気化アセンブリ298の例示的な実施形態の温度シミュレーションを示す断面プロット図である。PTCR気化アセンブリ298は、使い捨て製品(例えば固形の気化可能な材料)260を加熱するためのPTCRヒータアセンブリ295を含む。
図34A~
図34Gは、PTCRヒータアセンブリ295を備えたPTCR気化アセンブリ298の例示的な実施形態に関する温度の遷移応答を色で示すカットプロット図である。
図34A~
図34Gは、温度がどこでも280℃を超えることは決してなく、使い捨て製品260の燃焼温度を十分に下回っていることを証明する。
図34A~
図34Gでは、使い捨て製品(例えば固形の気化可能な材料)260の加熱が上流側から下流側へ波状に進行し、これにより断面ホットスポットと、その結果生じる気孔のそれぞれ異なる多孔率とが解消される。
【0096】
図35は、蒸気入口341と、エアロゾル出口342と、複数の空気入口とを有するマウスピース335の斜視図および端面図を示す。複数の空気入口は、第1の複数の空気入口340bと、第2の複数の空気入口340cとを含む。第1の複数の空気入口340aは、(各孔が空気入口になる)14の孔を含んでおり、第2の複数の空気入口340bは、(各孔が空気入口になる)別の14の孔を含んでいる。いくつかの実施形態において、第1の複数の空気入口340aは4~24の孔を含んでおり、第2の複数の空気入口340bは4~24の孔を含んでいる。複数の空気入口の孔は、それぞれ円形であってよく、約0.4mmの直径を有していてよい。いくつかの実施形態において、複数の空気入口の孔は、それぞれ円形であってよく、約0.2mm~約0.6mmの直径を有していてよい。複数の空気入口の孔はそれぞれ、1つの平面内に配置され得る。各孔は、マウスピース335の外面から約30度の角度αでマウスピース335の厚さを貫通して形成され得る。いくつかの実施形態では、各孔は、マウスピース335の外面から約15度~45度の角度αでマウスピース335の厚さを貫通して形成され得る。第1の複数の空気入口340aの各孔の角度αはそれぞれ、隣接する孔の内角に対して同じ方向に向かって開いた内角αを有していてよい。第2の複数の空気入口340bの各孔の角度αはそれぞれ、隣接する孔の内角に対して同じ方向に向かって開いた内角αを有していてよい。マウスピース335は、蒸気入口341からエアロゾル出口342に向かって先細になっていてよい。蒸気入口341の断面積は、エアロゾル出口342の断面積よりも、少なくとも4倍大きくてもよい。いくつかの実施形態において、蒸気入口341の断面積は、エアロゾル出口342の断面積よりも、約1.5倍~6倍大きくてもよい。
【0097】
図36は、PTCR矩形気化アセンブリ395に取り付けられたマウスピース335の斜視透過図である。マウスピース335の蒸気入口は、締まり嵌め、プレス嵌め、スナップフィット結合、磁気結合、接着剤、およびその他の固定手段を介してPTCR矩形気化アセンブリ395に取り付けることができる。マウスピース335は、製品カバー380に取外し可能に取り付けることができ、これにより、2つの部品を分離して、気化可能な製品を交換してから再び互いに接続することができる。別の実施形態では、製品カバー380が、内部に含まれる気化可能な製品を交換するために気化器アセンブリ390から取り外され、次いで再び互いに接続され得る。この実施形態では、第1の複数の空気入口340aは8つの孔を含んでいてよく、第2の複数の空気入口340bは、別の8つの孔を含んでいてよい。マウスピース335の先細になったボデーは、エアロゾル出口342を介して流出するエアロゾルを吸入するユーザに、快適で調整可能な装着をもたらす。
【0098】
図37は、PTCR矩形気化アセンブリ395に取り付けられたマウスピース335の斜視透過図であり、第1の複数の空気入口340aと第2の複数の空気入口340bとに流入する空気から何の恩恵も受けない空気流および温度のパターンを示す。空気流は実質的に層状であり、PTCR矩形気化アセンブリ395を通って十分に混合されておらず、マウスピース335に付着している。熱交換器部材320を通過する流入空気は、200℃超に急速に加熱されてから、使い捨ての矩形製品を通過する。
図37に示すように、エアロゾルはマウスピース335のエアロゾル出口342から流出し、100℃~160℃の平均温度に冷却されている。蒸気入口温度とエアロゾル出口温度との差は、100℃未満である。
【0099】
図38は、複数の空気入口を有するマウスピース335のエアロゾル出口を介して見た端面透過図であり、空気流のパターンを示す。複数の空気入口は、第1の複数の空気入口340aおよび第2の複数の空気入口340bを含む。
図38に示すように、第1の複数の空気入口340aは、(各孔が空気入口になる)8つの孔を含んでおり、第2の複数の空気入口340bは、(各孔が空気入口になる)別の8つの孔を含んでいる。
図35に関して上述したように、各穴は、マウスピース335の外面から約15度~45度の角度αでマウスピース335の厚さを貫通して形成され得る。第1の複数の空気入口340aの各孔の角度αは、それぞれ隣接する孔の内角に対して同じ方向に向かって開いた内角を有していてよい。第2の複数の空気入口340bの各孔の角度αは、それぞれ隣接する孔の内角に対して同じ方向に向かって開いた内角を有していてよい。複数の空気入口の孔は、それぞれ1つの平面内に配置されている。第1の複数の空気入口340aおよび第2の複数の空気入口340bの孔により形成される平面は、2つの円が重なった形状のマウスピース335の断面を通る。各孔の円形配置および相対的に同じ方向に向かって開いた内角αに基づき、孔を通過する空気は円運動で流れ、渦を形成する。第1の複数の空気入口340aを通って移動する第1の複数の空気流は、第1の渦を形成し、第2の複数の空気入口340bを通って移動する第2の複数の空気流は、第2の渦を形成する。第1の渦は、第1の回転軸線と、第1の回転軸線を中心とした第1の回転方向とを有している。第1の回転方向は、第1の複数の空気入口340aの各孔の内角αにより方向を決定される。第2の渦は、第2の回転軸線と、第2の回転軸線を中心とした第2の回転方向とを有している。第2の回転方向は、第2の複数の空気入口340bの各孔の内角αにより方向を決定される。第1の回転方向と第2の回転方向とは、反対の方向であってよい。例えば、第1の回転方向は反時計回りであり、第2の回転方向は時計回りである。別の実装形態では、第1の回転方向は時計回りであり、第2の回転方向は反時計回りである。別の実現形態では、第1の回転方向は時計回りであり、第2の回転方向も時計回りであるか、または第1の回転方向は反時計回りであり、第2の回転方向も反時計回りである。先細のマウスピース335に基づき、第1の回転軸線と第2の回転軸線とは非平行である。第1の回転軸線と第2の回転軸線とは、エアロゾル出口を過ぎた、気化器デバイスの外部の点において交差する。
【0100】
マウスピース335内で生成された渦は、エアロゾル出口を通って流出するエアロゾルを冷却するために複数の空気入口を通って流入する空気の混合を助ける。逆回転する複数の渦(すなわち第1の渦は反時計回りに回転し、第2の渦は時計回りに回転する、またはその逆)を発生させることにより、第1の複数の空気流が第2の複数の空気流と衝突し、乱流を発生させ、これにより、マウスピース内部の蒸気/エアロゾルと流入空気との混合がさらに改善される。角運動量の保存に基づき、蒸気入口からエアロゾル出口に向かって先細りするマウスピース335は、渦をより速く回転させ、これにより、追加的な乱流と、改善された混合とが生み出される。マウスピース335内で混合される乱流は、過度の圧力降下を生じさせることなく、エアロゾル出口を通って流出するエアロゾルのより均一な温度プロファイルを生み出す。このことは、過度の吸引(パフ)活動をすること無しに快適な温度でエアロゾルを吸入することができるという改善された体験をユーザにもたらす。マウスピース335内で混合される乱流により、ユーザの深部肺組織にエアロゾルを送出するのに適した、より小さなエアロゾル粒子をもたらし、これにより、ユーザの口または喉の中にエアロゾルが堆積することが回避される。
【0101】
この設計が、2つの渦を発生させるように構成された空気入口を有するマウスピースに関して説明されている一方で、マウスピース内に3つ以上の渦を発生させてもよいということが考慮される。単一の渦は、マウスピース内での流入空気とエアロゾルとのある程度の混合をもたらすことができる一方で、加熱されたエアロゾルの一部が単一の渦の軸線に沿って流れ、十分に冷却されずにエアロゾル出口から流出する場合がある。
【0102】
図39は、PTCR矩形気化アセンブリ395に取り付けられたマウスピース335の斜視透過図であり、PTCRヒータの活性化の0.1秒後の空気流および温度のパターンを示す。PTCR矩形気化アセンブリ395から流出する空気は、約70℃~約90℃の温度に加熱されている。第1の複数の空気入口340aおよび第2の複数の空気入口340bに流入する空気は、室温(約20℃~約25℃)であり、マウスピース335の蒸気入口に流入する蒸気と混合する。マウスピース335のエアロゾル出口342から流出するエアロゾルは、約20℃~約50℃の温度に冷却されている。
【0103】
図40は、PTCR矩形気化アセンブリ395に取り付けられたマウスピース335の斜視透過図であり、PTCRヒータの活性化の0.2秒後の空気流および温度のパターンを示す。PTCR矩形気化アセンブリ395を流出する空気は、約110℃~約160℃の温度に加熱されている。第1の複数の空気入口340aおよび第2の複数の空気入口340bに流入する空気は、室温(約20℃~約25℃)であり、マウスピース335の蒸気入口に流入する蒸気と混合する。マウスピース335のエアロゾル出口342から流出するエアロゾルは、約25℃~約60℃の温度に冷却されている。
【0104】
図41は、PTCR矩形気化アセンブリ395に取り付けられたマウスピース335の斜視透過図であり、PTCRヒータの活性化の0.3秒後の空気流および温度のパターンを示す。PTCR矩形気化アセンブリ395から流出する空気は、約140℃~約180℃の温度に加熱されている。第1の複数の空気入口340aおよび第2の複数の空気入口340bに流入する空気は、室温(約20℃~約25℃)であり、マウスピース335の蒸気入口に流入する蒸気と混合する。マウスピース335のエアロゾル出口342から流出するエアロゾルは、約40℃~約80℃の温度に冷却されている。
【0105】
図42は、PTCR矩形気化アセンブリ395に取り付けられたマウスピース335の斜視透過図であり、PTCRヒータの活性化の0.4秒後の空気流および温度のパターンを示す。PTCR矩形気化アセンブリ395を流出する空気は、約150℃~約200℃の温度に加熱されている。第1の複数の空気入口340aおよび第2の複数の空気入口340bに流入する空気は、室温(約20℃~約25℃)であり、マウスピース335の蒸気入口に流入する蒸気と混合する。マウスピース335のエアロゾル出口342から流出するエアロゾルは、約50℃~約90℃の温度に冷却されている。
【0106】
図43は、PTCR矩形気化アセンブリ395に取り付けられたマウスピース335の斜視透過図であり、PTCRヒータの活性化の0.5秒後の空気流および温度のパターンを示す。PTCR矩形気化アセンブリ395から流出する空気は、約160℃~約210℃の温度に加熱されている。第1の複数の空気入口340aおよび第2の複数の空気入口340bに流入する空気は、室温(約20℃~約25℃)であり、マウスピース335の蒸気入口に流入する蒸気と混合する。マウスピース335のエアロゾル出口342から流出するエアロゾルは、約50℃~約90℃の温度に冷却されている。
【0107】
図44は、PTCR矩形気化アセンブリ395に取り付けられたマウスピース335の斜視透過図であり、PTCRヒータの活性化の1.0秒後の空気流および温度のパターンを示す。PTCR矩形気化アセンブリ395から流出する空気は、約160℃~約210℃の温度に加熱されている。第1の複数の空気入口340aおよび第2の複数の空気入口340bに流入する空気は、室温(約20℃~約25℃)であり、マウスピース335の蒸気入口に流入する蒸気と混合する。マウスピース335のエアロゾル出口342から流出するエアロゾルは、約55℃~約100℃の温度に冷却されている。蒸気入口温度とエアロゾル出口温度との間の差は、少なくとも100℃である。
【0108】
図45は、PTCR矩形気化アセンブリ395に取り付けられたマウスピース335の斜視透過図であり、PTCRヒータの活性化の2.0秒後の空気流および温度のパターンを示す。PTCR矩形気化アセンブリ395を流出する空気は、約170℃~約220℃の温度に加熱されている。第1の複数の空気入口340aおよび第2の複数の空気入口340bに流入する空気は、室温(約20℃~約25℃)であり、マウスピース335の蒸気入口に流入する蒸気と混合する。マウスピース335のエアロゾル出口342から流出するエアロゾルは、約60℃~約100℃の温度に冷却されている。蒸気入口温度とエアロゾル出口温度との間の差は、少なくとも100℃である。
【0109】
図46は、PTCR矩形気化アセンブリ395に取り付けられたマウスピース335の斜視透過図であり、PTCRヒータの活性化の3.0秒後の空気流および温度のパターンを示す。PTCR矩形気化アセンブリ395から流出する空気は、約190℃~約240℃の温度に加熱されている。第1の複数の空気入口340aおよび第2の複数の空気入口340bに流入する空気は、室温(約20℃~約25℃)であり、マウスピース335の蒸気入口に流入する蒸気と混合する。マウスピース335のエアロゾル出口342から流出するエアロゾルは、約60℃~約100℃の温度に冷却されている。蒸気入口温度とエアロゾル出口温度との間の差は、少なくとも100℃である。
【0110】
図47は、PTCRヒータを備えた例示的な気化器デバイスに関して、マウスピースから流出する空気の温度を時間の関数として示す図である。マウスピースから流出する空気の温度は、0~0.4秒の間に約6,000℃/分の速度で急激に上昇する。0.4秒~0.6秒の間で、マウスピースから流出する空気の温度の温度変化速度は大幅に低下し、0.6秒~3.0秒では約188℃/分の定常状態速度に達するまでになる。
【0111】
図48は、PTCRヒータを備えた例示的な気化器デバイスに関して、電流応答を時間の関数として示す図である。活性化すると、PTCRヒータは、活性化の約0.2秒後まで約43アンペアを流す。活性化の0.2秒~0.3秒後の間に、電流は約47アンペアのピーク電流に急増し、その後、活性化から約2秒で約2アンペアの定常状態電流に達する。
【0112】
図49は、PTCR矩形気化アセンブリ398に取り付けられたマウスピース335を製品カバーおよびカバーが取り外された状態で示す上面図である。
図49では、露出したPTCR材料300を示すために、熱交換器部材および導電コーティングも除去されている。PTCR材料300は、導電コーティングの間に配置されたPTCR材料300に3.7ボルトの差電圧が印加された状態でマウスピース335のエアロゾル出口342から1.4リットル/分の流量で流出する空気の遷移シミュレーションの開始2秒後の電流密度を表すように色分けされている。エアロゾル出口342とは反対の側に流入する周囲空気流は、結果的に周囲空気流入側(上流側)付近で、反対側(下流側)よりも大きな熱負荷を生ぜしめる。熱負荷の差により、PTCR材料300内に、
図49に示すような電流密度の差が生じる。電流密度の凡例も示されており、その範囲は50000A/m
2~100000A/m
2である。
図49は、
図1に示したPTCR材料原理と一致している。
【0113】
上述した任意のマウスピースは、上述した任意のPTCR気化アセンブリに結合され得る。例えば、上述した任意のマウスピースは、締まり嵌め、プレス嵌め、スナップフィット結合、磁気結合、接着剤、および他の固定手段を介して、上述した任意のPTCR気化アセンブリに取外し可能に結合され得る。複数の実施形態において、マウスピースは、内部に含まれる気化可能な材料を交換するためにPTCR気化アセンブリから分離され、次いで再び互いが連結される。
【0114】
上記の説明および特許請求の範囲において、複数の要素または特徴の連言リストに続いて「~のうちの少なくとも1つ」または「~のうちの1つ以上」等の語句が現れる場合がある。「および/または」という用語も、2つ以上の要素または特徴のリスト中に現れる場合がある。このような語句は、それが用いられる文脈と他の点において特に暗示的または明示的に矛盾しない限り、列挙された要素または特徴のいずれかを個別に意味するか、または列挙された要素または特徴のいずれかと別の列挙された要素または特徴のいずれかとの組合せを意味することを意図したものである。例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」、「AおよびBのうちの1つ以上」、ならびに「Aおよび/またはB」という語句はそれぞれ、「Aのみ、Bのみ、またはAおよびB共に」を意味することを意図したものである。同様の解釈は、3つ以上の項目を含むリストについても意図されている。例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、およびCのうちの1つ以上」、ならびに「A、B、および/またはC」という語句はそれぞれ、「Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびB共に、AおよびC共に、BおよびC共に、またはAおよびBおよびC共に」を意味することを意図したものである。さらに、上記および特許請求の範囲における「に基づく」という用語の使用は、「少なくとも部分的に基づく」を意味することを意図したものであり、これにより、列挙されていない特徴または要素も許容され得る。
【0115】
本明細書に記載した主題は、所望の構成に応じて、システム、装置、方法、および/または物品において実施され得る。前述の説明に記載された実施形態は、本明細書に記載した主題に一致するあらゆる実施形態を表すものではない。むしろ、これらは、記載した主題に関連する態様に一致するいくつかの例であるに過ぎない。いくつかの変化形を上で詳細に説明したが、別の変更または追加が可能である。特に、本明細書に記載の特徴および/または変化形に加えて、さらなる特徴および/または変化形が提供され得る。例えば、上述した実施形態は、開示された特徴の様々な組合せおよび副次的な組合せおよび/または上で開示されたいくつかの別の特徴の組合せおよび副次的な組合せに向けられてよい。さらに、添付の図面に示されかつ/または本明細書に記載した論理フローは、所望の結果を達成するために、必ずしも示された特定の順序または連続した順序を必要としない。別の実施形態も、以下の特許請求の範囲内であり得る。