(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20250109BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20250109BHJP
H04R 7/04 20060101ALI20250109BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20250109BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H04R1/02 102Z
H04R3/00 310
H04R7/04
H04R1/00 310F
H04N5/64 541N
(21)【出願番号】P 2022550329
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(86)【国際出願番号】 JP2020035641
(87)【国際公開番号】W WO2022059213
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鍜治本 晋明
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110505335(CN,A)
【文献】米国特許第10009700(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/02
H04R 3/00
H04R 7/04
H04R 1/00
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示するディスプレイを振動させて放音を行う表示装置において、
供給される音響信号に基づいて前記ディスプレイを振動させるアクチュエータ部と、
前記ディスプレイにおける映像表示の異常の有無を検出する異常検出部と、
前記放音の音量レベルを設定する音量レベル設定部と、を備え、
前記音量レベル設定部による設定音量レベルの音響信号が前記アクチュエータ部に供給され、
前記音量レベル設定部は、前記映像表示の異常が検出されていない場合、ユーザ操作に従う音量レベルを前記設定音量レベルとし、
前記音量レベル設定部は、前記設定音量レベルが第1音量レベルであるときにおいて前記映像表示の異常が検出されず、その後、前記設定音量レベルが前記第1音量レベルより大きな音量レベルであって且つ前記ユーザ操作に従う第2音量レベルであるときにおいて前記映像表示の異常が検出された場合、前記設定音量レベルを前記第1音量レベルに低下させる
、表示装置。
【請求項2】
前記設定音量レベルが、前記設定音量レベルの調整範囲の内、最小の音量レベルであるときにおいて前記映像表示の異常が検出された場合、前記ディスプレイによる前記映像表示を停止させる
、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
入力音響信号に基づいて出力音響信号を生成する音響信号処理部
を備え、
前記アクチュエータ部は、前記出力音響信号に基づいて前記ディスプレイを振動させ
、
前記音響信号処理部は、信号加工部を有し、
前記信号加工部は、前記映像表示の異常が検出された場合、
前記入力音響信号から前記出力音響信号を生成する過程で、前記入力音響信号の信号成分の内、所定帯域の信号成分を減衰させ
る
、
請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記
信号加工部は、前記映像表示の異常が検出された場合、ハイパスフィルタ又はバンドパスフィルタを用いて、前記入力音響信号の信号成分の内、前記所定帯域の信号成分を減衰させる
、請求項3に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像を表示するディスプレイを振動させることで放音(音の出力)を行う表示装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-186829号公報
【文献】特開2019-80099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の表示装置において、音量レベルを増大させるべく振動の大きさを増大させたとき、ディスプレイに映像信号を供給するブロックとディスプレイとの接続部に大きな負荷がかかり、接続部の接触不良等を通じて映像が乱れることがあり得る。映像表示の異常は抑制されるべきである。また、音量レベルに関連して映像の正常/異常を調べることは良品/不良品の判別等の観点から有益である。
【0005】
本発明は、映像表示の異常の抑制に寄与する表示装置又は音量レベルに関連して映像の正常/異常を調べることのできる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表示装置は、映像を表示するディスプレイを振動させて放音を行う表示装置において、供給される音響信号に基づいて前記ディスプレイを振動させるアクチュエータ部と、前記ディスプレイにおける映像表示の異常の有無を検出する異常検出部と、を備え、前記映像表示の異常が検出された場合、前記放音の音量レベルを低下させる構成(第1の構成)である。
【0007】
上記第1の構成に係る表示装置において、前記放音の音量レベルを設定する音量レベル設定部を更に備え、前記音量レベル設定部による設定音量レベルの音響信号が前記アクチュエータ部に供給され、前記音量レベル設定部は、前記映像表示の異常が検出された場合、前記設定音量レベルを低下させることで前記放音の音量レベルを低下させる構成(第2の構成)であっても良い。
【0008】
上記第2の構成に係る表示装置において、前記音量レベル設定部は、前記映像表示の異常が検出されていない場合、ユーザ操作に従う音量レベルを前記設定音量レベルとし、前記映像表示の異常が検出された場合、前記設定音量レベルを前記ユーザ操作に従う音量レベルよりも低下させる構成(第3の構成)であっても良い。
【0009】
上記第1の構成に係る表示装置において、入力音響信号に基づいて前記アクチュエータ部に供給される音響信号である出力音響信号を生成する音響信号処理部を更に備え、前記音響信号処理部は、前記映像表示の異常が検出された場合、前記入力音響信号から前記出力音響信号を生成する過程で前記出力音響信号の振幅に上限を設けることで、前記放音の音量レベルを低下させる構成(第4の構成)であっても良い。
【0010】
上記第1の構成に係る表示装置において、入力音響信号に基づいて前記アクチュエータ部に供給される音響信号である出力音響信号を生成する音響信号処理部を更に備え、前記音響信号処理部は、前記映像表示の異常が検出された場合、前記入力音響信号から前記出力音響信号を生成する過程で所定帯域の信号成分を減衰させることで、前記放音の音量レベルを低下させる構成(第5の構成)であっても良い。
【0011】
本発明に係る他の表示装置は、映像を表示するディスプレイを振動させて放音を行う表示装置において、供給される音響信号に基づいて前記ディスプレイを振動させるアクチュエータ部と、前記ディスプレイにおける映像表示の異常の有無を検出する異常検出部と、前記放音の音量レベルを変化させ、その変化後において前記異常検出部により前記異常が検出されたか否かを判定する判定部と、を備えた構成(第6の構成)である。
【0012】
上記第6の構成に係る表示装置において、前記判定部は、前記放音の音量レベルを複数段階に順次切り替え、その切り替えの過程において、前記異常が検出されない第1状態から前記異常が検出される第2状態に変化したとき、又は、前記第2状態から前記第1状態に変化したとき、前記第1状態での前記放音の音量レベルに対応する情報又は前記第2状態での前記放音の音量レベルに対応する情報を記憶部に記憶する構成(第7の構成)であっても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、映像表示の異常の抑制に寄与する表示装置又は音量レベルに関連して映像の正常/異常を調べることのできる表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】は、本発明の実施形態に係る表示装置の全体構成図である。
【
図2】は、本発明の実施形態に係り、ディスプレイの分解斜視図である。
【
図3】は、本発明の実施形態に係り、音量設定に関わる構成図である。
【
図4】は、本発明の実施形態に係り、異常検出に関わる構成図である。
【
図5】(a)及び(b)は、本発明の実施形態に係り、映像出力異常を検出するための構成例を示す図である。
【
図6】は、本発明の実施形態に属する第1実施例に係り、音量レベル設定に関わる表示装置の動作フローチャートである。
【
図7】は、本発明の実施形態に属する第1実施例に係り、音量レベル設定に関わる表示装置の変形動作フローチャートである。
【
図8】は、本発明の実施形態に属する第2実施例に係り、信号加工部の内部構成を示す図である。
【
図9】は、本発明の実施形態に属する第2実施例に係り、振幅制限処理の概念図である。
【
図10】は、本発明の実施形態に属する第3実施例に係り、信号加工部の内部構成を示す図である。
【
図11】は、本発明の実施形態に属する第4実施例に係り、マイクロコンピュータの機能ブロック図である。
【
図12】は、本発明の実施形態に属する第4実施例に係り、出荷検査工程のフローチャートである。
【
図13】は、本発明の実施形態に属する第4実施例に係り、出荷検査工程の他のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“ERR”によって参照される異常信号は(
図1参照)、異常信号ERRと表記されることもあるし、信号ERRと略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る表示装置1の全体構成図である。表示装置1は、マイクロコンピュータ10、映像信号処理部20、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)30、ドライバ40、ディスプレイ50、音響信号処理部60及びアクチュエータ部70を備える。ASIC30は剛性を有するドライバ基板SUB上に実装される。ドライバ40は可撓性を有するフレキシブル基板FLX上に実装される。ドライバ基板SUB及びフレキシブル基板FLXも表示装置1の構成要素に含まれる。
【0017】
マイクロコンピュータ10は、表示装置1の各部位の動作を統括的に制御する。マイクロコンピュータ10は、ハードウェアとして、C P U (Central Processing Unit) 及びメモリ等を備え、それらのハードウェアを用いて所定のプログラムを実行することで各種機能を実現する。
【0018】
映像信号処理部20は、映像用の信号処理に適した映像IC(Integrated Circuit)から成り、映像信号VS1をASIC30に出力する。映像信号VS1は表示装置1の外部装置(
図1おいて不図示)から映像信号処理部20に提供される映像信号に基づき、映像信号処理部20において生成される。但し、表示装置1の外部装置に頼ることなく、映像信号処理部20自身が映像信号VS1を生成することがあっても良い。或いは、外部装置から映像信号処理部20に提供される映像信号そのものが映像信号VS1になり得ても良い。映像信号VS1は、例えば、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)を用いて映像信号処理部20からASIC30に伝送される。但し、映像信号VS1の伝送方法は任意である。
【0019】
ASIC30は、映像信号VS1に対して必要な信号処理を施すことで映像信号VS1に基づく映像信号VS2を生成し、映像信号VS2をドライバ40に出力する。フレキシブル基板FLXの一端はドライバ基板SUBに接続され、フレキシブル基板FLXの他端はディスプレイ50に接続される。このため、ASIC30の出力信号(映像信号VS2)は基板SUB及びFLX間の接続部(例えば図示されない接続コネクタ)を介してドライバ40に伝送される。
【0020】
ドライバ40は、ディスプレイ50中の表示パネル51に対するゲートドライバ及びソースドライバを備え、映像信号VS2に基づく映像信号VS3を表示パネル51に出力する。
【0021】
ディスプレイ50は、表示パネル51及びカバーパネル52を備える。表示パネル51は、有機EL(ElectroLuminescence)素子から成る。有機EL素子は、自身に流れる電流によって輝度が制御される電気光学素子である。表示パネル51は、各々に有機EL素子を備えた画素回路をマトリクス状に配列することで形成された有機ELパネルである。映像信号VS3に含まれるゲート信号及びデータ信号に基づき各画素回路の有機EL素子が発光する又は非発光となることで、映像信号VS3に基づく映像が表示パネル51に表示される。映像信号VS3に基づく映像は、映像信号VS2に基づく映像でもあるし、映像信号VS1に基づく映像でもある。各画素回路に対するゲート信号はドライバ40におけるゲートドライバにより生成され、各画素回路に対するデータ信号はドライバ40におけるソースドライバ(換言すればデータドライバ)により生成される。カバーパネル52は表示パネル51の表示面を覆うように表示パネル51に接着される。
【0022】
音響信号処理部60は、DSP(digital signal processor)から成り、音響信号AS1をアクチュエータ部70に出力する。音響信号AS1は表示装置1の外部装置(
図1おいて不図示)から音響信号処理部60に提供される音響信号に基づき、音響信号処理部60において生成される。但し、表示装置1の外部装置に頼ることなく、音響信号処理部60自身が音響信号AS1を生成することがあっても良い。或いは、外部装置から音響信号処理部60に提供される音響信号そのものが音響信号AS1になり得ても良い。
【0023】
アクチュエータ部70は駆動回路71及び励振素子72を備える。音響信号処理部60にて取り扱われる各音響信号はデジタル信号形式で表現され、故に音響信号処理部60から駆動回路71に対しデジタル信号としての音響信号AS1が供給される。駆動回路71は、D/Aコンバータ(デジタル/アナログ変換器)及びアンプを備える。駆動回路71は、D/Aコンバータにおいてデジタルの音響信号AS1をアナログの音響信号AS1に変換し、アンプにおいてアナログの音響信号AS1を増幅して、増幅されたアナログの音響信号AS1を駆動信号AS2として励振素子72に出力する。励振素子72はピエゾ素子などにて構成される。駆動信号AS2は励振素子72に対する駆動電圧として励振素子72に印可される。励振素子72は印可される駆動電圧に応じて伸縮することにより振動する。つまり、励振素子72は駆動信号AS2に応じて振動する。励振素子72の振動がディスプレイ50に伝達されることでディスプレイ50も振動し、ディスプレイ50の振動により、音響信号AS1に基づく音が出力(即ち音波が出力)される。音の出力(即ち音波の出力)を“放音”とも表現する。以下、単に放音といった場合、それは、ディスプレイ50の振動によるディスプレイ50からの音の出力(音波の出力)を指す。
【0024】
尚、マイクロコンピュータ10及びASIC30間においてSPI(Serial Peripheral Interface)通信などによる双方向通信が可能となっており、
図1の信号COMは当該双方向通信における信号を表している。ASIC30は異常検出機能を有し、異常検出機能による異常の検出結果を示す異常信号ERRをマイクロコンピュータに出力する。異常検出機能に関わる技術は後に詳説される。また、マイクロコンピュータ10からASIC30に対して輝度制御信号BCNTが出力され、ASIC30は表示パネル51に表示される映像の輝度を輝度制御信号BCNTに基づいて制御する。
【0025】
図2を参照してディスプレイ50及び励振素子72の関係を説明する。
図2はディスプレイ50及び励振素子72の分解斜視図である。表示パネル51の表示面51aに映像が表示される。表示パネル51に表示される映像を視認可能な位置に視聴者が存在する。視聴者とは表示装置1の視聴者(ディスプレイ50の映像の視聴者)を指す。ディスプレイ50の正面側から背面側に向けてカバーパネル52、表示パネル51、励振素子72が、この順番で配置される。ディスプレイ50の正面側に視聴者が位置し、ディスプレイ50の正面側から背面側に向かうにつれて、視聴者からの距離が拡大する。
【0026】
表示パネル51はガラス基板上に有機EL素子を形成したガラス有機ELパネルであり、ディスプレイ50の正面から見て(換言すれば視聴者から見て)概略矩形形状を有する。カバーパネル52は表示パネル51の表示面51a側に配置される。カバーパネル52は、ディスプレイ50の正面から見て(換言すれば視聴者から見て)表示パネル51と同等以上の大きさを持つ矩形のパネルであり、表示パネル51の表示面51aの全面を覆う。カバーパネル52においてタッチパネルが形成されていても良い。
【0027】
励振素子72は表示パネル51の背面側に配置される。即ち、表示パネル51における、表示面51aとは逆側の面(背面)に、励振素子72が配置される。
図2の例では、表示パネル51の背面の中央部に、表示パネル51よりも小さな面積を持つ励振素子72が1つ配置される。但し、表示パネル51の背面の中央部以外の位置に励振素子72が配置されても良いし、複数の励振素子72が表示パネル51の背面に配置されても良い。
【0028】
図2では、カバーパネル52、表示パネル51及び励振素子72が互いに離れて示されているが、実際には、カバーパネル52及び表示パネル51が接着層を介して接着されると共に表示パネル51及び励振素子72が他の接着層を介して接着されることで、カバーパネル52、表示パネル51及び励振素子72が一体に形成される。故に、励振素子72の振動に伴ってカバーパネル52及び表示パネル51から成るディスプレイ50が振動し、ディスプレイ50から音が出力される。
【0029】
図3に示す如く、音響信号処理部60において、ディスプレイ50の放音の音量レベルを設定する音量レベル設定部61が設けられる。放音の音量レベルとは、放音による音の強さを表す。音の強さは、デシベルを単位とする量(即ち音圧レベル)であっても良いし、ホン(phon)を単位とする量であっても良い。何れにせよ、音量レベルが大きいほど音の強さも大きくなり、音量レベルが小さいほど音の強さも小さくなる。
【0030】
音量レベル設定部61には、設定値VOL*が入力され、設定値VOL*に基づいて放音の音量レベルを設定する。設定値VOL*はマイクロコンピュータ10から入力されるものであって良い。表示装置1の操作者は設定値VOL*を指定することができる。表示装置1の操作者は典型的には表示装置1の視聴者と一致するが、操作者と視聴者が異なる場合もある。操作者も視聴者も表示装置1のユーザに属する。例えば、操作者が、図示されない操作部に対して所定の音量設定操作を入力することで、音量設定操作に基づき設定値VOL*が決定される。操作部の形態は任意である。例えばカバーパネル52にてタッチパネルが形成されているとき、当該タッチパネルが操作部として機能しても良い。操作部は、表示装置1に対して有線又は無線で接続されたリモートコントローラや任意の端末装置にて実現されても良い。
【0031】
音響信号処理部60には更に信号加工部62が設けられており、信号加工部62が音量レベル設定部61の制御の下で、音響信号AS0に対し必要な信号処理を施すことで、アクチュエータ部70に供給されるべき音響信号AS1が生成される(
図1も参照)。音響信号AS0は、表示装置1の外部装置(
図1おいて不図示)から音響信号処理部60に提供される。故に、音響信号AS0は音響信号処理部60及び信号加工部62への入力音響信号である。但し、音響信号AS0は、表示装置1の外部装置に頼ることなく音響信号処理部60内で生成されるものであっても良い。音響信号AS1は音響信号処理部60及び信号加工部62からの出力音響信号である。
【0032】
信号加工部62は、音響信号AS0の振幅を調整する振幅調整処理を実行可能であり、音響信号AS0に対して振幅調整処理を施すことで得られる音響信号(即ち、振幅調整処理による振幅調整後の音響信号AS0)を音響信号AS1として出力する。
【0033】
音響信号AS1は、ディスプレイ50から出力されるべき音を電気信号で表したものであるので、音響信号AS1の振幅が大きくなるほどディスプレイ50の放音の音量レベルも大きくなり、音響信号AS1の振幅が小さくなるほどディスプレイ50の放音の音量レベルも小さくなる。
【0034】
ここでは、信号加工部62は、振幅調整処理において音響信号AS0の振幅をkAMP倍することで音響信号AS1を生成するものとし、音量レベル設定部61が設定値VOL*に基づいて、係数kAMPの値を指定するものとする。更に、設定値VOL*は1以上n以下の整数の何れかをとるものとし、設定値VOL*が増大するほど係数kAMPの値が増大するものとする。nは2以上の任意の整数(例えば3)である。故に、音響信号AS0が一定であると仮定した場合、設定値VOL*が大きくなるほど音響信号AS0に基づく放音の音量レベルも大きくなり、設定値VOL*が小さくなるほど音響信号AS0に基づく放音の音量レベルも小さくなる。
【0035】
つまり、音量レベル設定部61により設定値VOL*に基づいて放音の音量レベルが設定される。以下、音量レベル設定部61により設定される放音の音量レベルを、設定音量レベルと称することがある。設定値VOL*は設定音量レベルを数値化したものである、と解して良い。
【0036】
他方、
図4に示す如く、ASIC30の機能ブロックには異常検出部31が含まれる。異常検出部31は、ASIC30と、ドライバ基板SUB上に実装される他の回路と、で実現されるものであっても良い。異常検出部31は、表示装置1内で発生しうる1種類以上の異常の有無を検出し、その検出結果を示す異常信号ERRをマイクロコンピュータ10に出力する。
【0037】
異常検出部31が検出可能な異常には、少なくとも映像出力異常が含まれる。映像出力異常とは、表示パネル51に表示される映像の異常を指す。表示パネル51に表示される映像に異常が無い状態を映像正常状態と称し、表示パネル51に表示される映像に異常がある状態を映像異常状態と称する。従って、映像正常状態では異常検出部31により映像出力異常が無いと判断及び検出され、映像異常状態では異常検出部31により映像出力異常が有ると判断及び検出される。
【0038】
映像正常状態では、映像信号VS1に基づく映像信号VS2がドライバ40に正確に伝送され、且つ、正確に伝送された映像信号VS2に基づく映像信号VS3が正確に表示パネル51に与えられることで、表示パネル51に表示される映像が、正しく、映像信号VS1及びVS2に従った映像となる。これに対し、映像異常状態では、映像信号VS1及びVS2に従った映像が表示パネル51に表示されない。表示パネル51に表示される映像の一部が映像信号VS1及びVS2に従ったものであっても、表示パネル51に表示される映像の残部が映像信号VS1及びVS2に従ったものでない状態も、映像異常状態に属する。
【0039】
異常検出部31は、例えば、映像信号VS3に基づくフィードバック信号に基づいて映像出力異常の有無を検出する。即ち、
図5(a)に示す如く、ドライバ40から表示パネル51に出力される映像信号VS3に応じたフィードバック信号FB1をドライバ40に与えるようにしておき、ドライバ40からフィードバック信号FB1に応じたフィードバック信号FB2をASIC30に出力する構成を採用することができる。フィードバック信号FB1とフィードバック信号FB2は同じ信号であっても良い。或いは、
図5(b)に示す如く、ドライバ40を介することなく、フィードバック信号FB1をASIC30に与える構成が採用されても良い。以下、ASIC30に与えられるフィードバック信号FB1又はFB2を、フィードバック信号FBと称する。
【0040】
ASIC30における異常検出部31は、フィードバック信号FB(FB2又はFB1)に基づいて映像出力異常の有無を検出する。異常検出部31は、映像正常状態でのフィードバック信号FBがどのような信号であるかを認識しており、実際に受信したフィードバック信号FBが当該認識結果に基づく所定の正常判定条件を満たすとき、映像出力異常が無いと判断し、実際に受信したフィードバック信号FBが上記正常判定条件を満たさないとき、映像出力異常があると判断する。
【0041】
例えば、異常検出部31は、フィードバック信号FBが映像信号VS2を正確に反映した信号であるかを、自身が生成及び出力する映像信号VS2に基づいて判定して良い。この際、フィードバック信号FBが映像信号VS2を正確に反映した信号であるときに限り、正常判定条件が満たされる。
【0042】
映像正常状態における映像信号VS3には、映像信号VS3に基づく映像を正しく表示パネル51に表示させるために必要な同期信号(垂直同期信号、水平同期信号)が含まれている、映像正常状態においてフィードバック信号FBは、映像信号VS3中の同期信号を含む信号であっても良い。この際、フィードバック信号FBに所定の同期信号が含まれている場合には正常判定条件が満たされ、そうでない場合(例えばフィードバック信号FBに同期信号が含まれておらず、同期信号を表すべき信号がローレベル又はハイレベルに固定されている場合)には正常判定条件が満たされない。
【0043】
この他、公知の異常検出方法を含む任意の方法を用いて、異常検出部31は、映像出力異常の有無を検出して良い。
【0044】
異常検出部31は、映像出力異常と異なる種類の異常を検出可能であっても良い。例えば、ドライバ基板SUBに供給される又はASIC30に供給される電源電圧が過度に低い低電圧異常、当該電源電圧が過度に高い過電圧異常、表示装置1内の所定箇所の温度(例えばASIC30の温度)が異常に高い温度異常などを、異常検出部31において検出可能であって良い。以下では、異常検出部31は、複数種類の異常の有無を検出可能であるとし、当該複数種類の異常の1つとして映像出力異常が含まれるものとする。
【0045】
異常検出部31は、上記複数種類の異常の内、何れか任意の異常を検出した場合(即ち何らかの異常があると判断した場合)、異常信号ERRをアクティブとし、何れの異常も検出されない場合(即ち異常が一切無いと判断した場合)、異常信号ERRをノンアクティブとする。異常信号ERRはローレベル又はハイレベルの何れかの信号レベルをとる1ビット信号であって良く、例えば、ローレベルの異常信号ERRをアクティブに対応付け且つハイレベルの異常信号ERRをノンアクティブに対応付けることができる(その対応関係を逆にしても良い)。
【0046】
異常信号ERRがアクティブとなると、信号COMによる双方向通信を用いて、マイクロコンピュータ10は、検出された異常の内容を問い合わせるコマンド信号をASIC30に送信する。ASIC30はコマンド信号に受信すると、異常検出部31にて検出された異常の内容を示す異常情報を、信号COMによる双方向通信を用いてマイクロコンピュータ10に送信する。これにより、マイクロコンピュータ10にて異常情報が取得される。
【0047】
マイクロコンピュータ10は、異常情報に基づき映像出力異常の有無を判断でき、映像出力異常が検出された場合において特徴的な動作を行うことができる。尚、異常信号ERRが一旦アクティブとなった後、アクティブの状態で異常信号ERRをラッチする構成も可能である。但し、以下では、異常信号ERRがアクティブとなった後、マイクロコンピュータ10が信号COMによる通信を介して異常情報を取得する際に、異常信号ERRがノンアクティブに戻されると共にASIC30内の異常情報が破棄される(クリアされる)ものとする。
【0048】
以下、複数の実施例の中で、映像出力異常に関わる具体的な動作例、応用技術、変形技術等を説明する。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用される。各実施例において、上述の事項と矛盾する事項がある場合には、各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0049】
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。映像正常状態の実現のためには正確な映像信号を表示パネル51に伝送することが必要である。但し、ディスプレイ50の振動は映像信号の正確な伝送の阻害要因となり得る。即ち、ディスプレイ50の振動の程度によっては、ASIC30及びドライバ40間の接続部又はドライバ40及び表示パネル51間の接続部に大きな負荷がかかる。結果、それらの電気的な接続状態が不安定となり、映像信号VS2が正しくドライバ40に伝送されなかったり、映像信号VS3が正しく表示パネル51に伝送されなかったりすることがある。これらの場合に映像出力異常が発生する。映像出力異常に関する懸念は、特に表示パネル51を、剛性を有するガラス有機ELパネルにて形成した場合に顕著となる。
【0050】
ディスプレイ50の振動により映像出力異常が発生する場合、ディスプレイ50の振動の大きさを低減すれば映像出力異常が解消すると見込まれる。一方で、ディスプレイ50の振動の大きさの低減は、放音の音量レベルの低下により実現される。これを考慮し、第1実施例に係る表示装置1では、映像出力異常が検出された場合、放音の音量レベルを低下させ、これによって映像出力異常の解消を図る。
【0051】
以下、具体的な実現方法例を説明する。説明の具体化のため、以下では特に記述なき限り、設定値VOL
*の上限nは“n=3”を満たすと仮定し、表示装置1の操作者による音量設定操作に基づき、設定値VOL
*が、1から2を経て3に変更される状況を考える。
図6は、この状況下における、音量レベル設定に関わる表示装置1の動作フローチャートである。
図6のフローチャートに沿って音量レベル設定に関わる表示装置1の動作を説明する。尚、設定値VOL
*の減少を指示する音量設定操作が操作部に入力されることもあるが、
図6のフローチャートでは、設定値VOL
*の減少を指示する音量設定操作が入力されたときの動作の流れが省略されている。また、任意の音響信号AS1がアクチュエータ部70に供給されているとき、常に映像信号VS1がASIC30に供給されているものとする(後述の他の実施例でも同様)。
【0052】
まずステップS11において、設定値VOL*に初期値“1”が設定されたとする。ステップS11の後、ステップS12に進む。
【0053】
ステップS12では、“VOL*=1”の状態において異常検出部31により映像出力異常があると検出されたか否かが、信号ERR及びCOMに基づき、マイクロコンピュータ10により判断される。
【0054】
“VOL*=1”の状態において映像出力異常があると検出された場合には(ステップS12のY)、ステップS12からステップS19に進む。一方、“VOL*=1”の状態において映像出力異常があると検出されていない場合には(ステップS12のN)、ステップS12からステップS13に進む。尚、“VOL*=1”の状態において映像出力異常があると検出された場合、直ちにステップS12からステップS19に進むのではなく、一定時間内に映像出力異常の発生が複数回繰り返し検出された場合に限り、ステップS12からステップS19に進むようにしても良い。
【0055】
ステップS13において、設定値VOL*の増大を指示する音量設定操作が操作部に入力されたか否かが、マイクロコンピュータ10により判断される。当該音量設定操作の入力があった場合にはステップS13からステップS14に進む一方(ステップS13のY)、当該音量設定操作の入力が無かった場合にはステップS13からステップS12に戻る(ステップS13のN)。
【0056】
ステップS14において、音量設定操作の入力に基づき、マイクロコンピュータ10により設定値VOL
*が“1”から“2”に増大される。設定値VOL
*の増大に伴って係数k
AMPも増大することで(
図3参照)、放音の音量レベルも増大する。ステップS14の後、ステップS15に進む。
【0057】
ステップS15では、“VOL*=2”の状態において異常検出部31により映像出力異常があると検出されたか否かが、信号ERR及びCOMに基づき、マイクロコンピュータ10により判断される。
【0058】
“VOL*=2”の状態において映像出力異常があると検出された場合には(ステップS15のY)、ステップS15からステップS20に進む。一方、“VOL*=2”の状態において映像出力異常があると検出されていない場合には(ステップS15のN)、ステップS15からステップS16に進む。尚、“VOL*=2”の状態において映像出力異常があると検出された場合、直ちにステップS15からステップS20に進むのではなく、一定時間内に映像出力異常の発生が複数回繰り返し検出された場合に限り、ステップS15からステップS20に進むようにしても良い。
【0059】
ステップS16において、設定値VOL*の増大を指示する音量設定操作が操作部に入力されたか否かが、マイクロコンピュータ10により判断される。当該音量設定操作の入力があった場合にはステップS16からステップS17に進む一方(ステップS16のY)、当該音量設定操作の入力が無かった場合にはステップS16からステップS15に戻る(ステップS16のN)。
【0060】
ステップS17において、音量設定操作の入力に基づき、マイクロコンピュータ10により設定値VOL
*が“2”から“3”に増大される。設定値VOL
*の増大に伴って係数k
AMPも増大することで(
図3参照)、放音の音量レベルも増大する。ステップS17の後、ステップS18に進む。
【0061】
ステップS18では、“VOL*=3”の状態において異常検出部31により映像出力異常があると検出されたか否かが、信号ERR及びCOMに基づき、マイクロコンピュータ10により判断される。
【0062】
“VOL*=3”の状態において映像出力異常があると検出された場合には(ステップS18のY)、ステップS18からステップS21に進む。一方、“VOL*=3”の状態において映像出力異常があると検出されていない場合には(ステップS18のN)、ステップS18の処理が繰り返される。尚、“VOL*=3”の状態において映像出力異常があると検出された場合、直ちにステップS18からステップS21に進むのではなく、一定時間内に映像出力異常の発生が複数回繰り返し検出された場合に限り、ステップS18からステップS21に進むようにしても良い。
【0063】
ステップS19において、マイクロコンピュータ10は所定のエラー処理を実行する。エラー処理において以下の映像停止処理及びログ記録処理を実行して良い。マイクロコンピュータ10は、映像停止処理において表示パネル51における映像の表示を停止させる。これを実現するために、例えば、マイクロコンピュータ10は、映像信号VS1のASIC30への送信が停止されるよう映像信号処理部20を制御すれば良い、或いは、映像信号VS2のドライバ40への送信が停止されるようASIC30を制御すれば良い。マイクロコンピュータ10は、ログ記録処理において映像出力異常が検出されたことを示すログ情報を表示装置1内に設けられた不揮発性メモリ(不図示)に記録する。ログ情報は表示装置1の修理等に供される。
【0064】
ステップS20において、マイクロコンピュータ10は設定値VOL
*を“2”から“1”に減少させる。設定値VOL
*の減少に伴って係数k
AMPも減少することで(
図3参照)、放音の音量レベルが低下し、以後において映像異常状態の解消が期待される。ステップS20にて設定値VOL
*が“2”から“1”に減少した後は、設定値VOL
*の増大を指示する音量設定操作が操作部に入力されたとしても、“VOL
*=1”を維持すると良い。或いは、
図6の動作フローチャートを
図7の動作フローチャートへと変形し、ステップS20にて設定値VOL
*が“2”から“1”に減少した後にはステップS13に戻るようにしても良い。この場合には、設定値VOL
*の増大を指示する音量設定操作により、設定値VOL
*が再び“2”に戻ることが許容される。
【0065】
ステップS21において、マイクロコンピュータ10は設定値VOL
*を“3”から“2”に減少させる。設定値VOL
*の減少に伴って係数k
AMPも減少することで(
図3参照)、放音の音量レベルが低下し、以後において映像異常状態の解消が期待される。ステップS21にて設定値VOL
*が“3”から“2”に減少した後は、設定値VOL
*の増大を指示する音量設定操作が操作部に入力されたとしても、“VOL
*=2”を維持すると良い。或いは、
図6の動作フローチャートを
図7の動作フローチャートへと変形し、ステップS21にて設定値VOL
*が“3”から“2”に減少した後にはステップS16に戻るようにしても良い。この場合には、設定値VOL
*の増大を指示する音量設定操作により、設定値VOL
*が再び“3”に戻ることが許容される。
【0066】
このように、第1実施例に係る表示装置1では、映像表示の異常が検出された場合(即ち映像出力異常が検出された場合、より詳細には映像出力異常があると検出された場合)、放音の音量レベルを低下させる(ステップS20又はS21)。
【0067】
これにより、音量レベルは小さくなるものの、ディスプレイ50の振動の大きさが低減し、結果、映像出力異常の解消が図られる(映像出力異常による映像の乱れの解消が期待される)。
【0068】
具体的には、放音の音量レベルを設定する音量レベル設定部61を設けておき、音量レベル設定部61による設定音量レベルの音響信号をアクチュエータ部70に供給する構成を採用しておく(
図1及び
図3参照)。設定音量レベルの音響信号とは、設定音量レベルに対応する振幅を有する音響信号を指し、音響信号AS1に対応する。そして、音量レベル設定部61は、映像表示の異常が検出された場合、設定音量レベルを低下させることで放音の音量レベルを低下させる。
【0069】
より具体的には、音量レベル設定部61は、映像表示の異常が検出されていない場合にはユーザ操作(操作部に入力された音量設定操作)に従う音量レベルを設定音量レベルとする。つまり、映像表示の異常が検出されていない場合には、音量設定操作に従って決定された設定値VOL*により設定音量レベルが定まる。例えば、ステップS17では、設定音量レベルが、ユーザ操作に従う音量レベル、即ち“VOL*=3”に対応する音量レベルとされる。但し、映像表示の異常が検出された場合もおいては、音量レベル設定部61は、設定音量レベルをユーザ操作に従う音量レベルよりも低下させる。例えば、ステップS21では、設定音量レベルが、ユーザ操作に従う音量レベル、即ち“VOL*=3”に対応する音量レベルから“VOL*=2”に対応する音量レベルへと低下されている。
【0070】
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。音響信号AS0の振幅は刻一刻と変化することが想定され、音響信号AS0の振幅が相対的に大きくなるときにディスプレイ50の振動が大きくなって映像の乱れが発生しやすい。このため、映像出力異常が発生する場合にあっては、音響信号の振幅に上限を設けることも有益である。以下、これの実現構成例を説明する。
【0071】
図8に第2実施例に係る信号加工部62aの構成を示す。信号加工部62aを
図3の信号加工部62として利用できる。信号加工部62aは、振幅調整部62a_1、振幅制限部62a_2及び切替器62a_3を備える。
【0072】
振幅調整部62a_1は上述の振幅調整処理を行う。詳細には、振幅調整部62a_1は、振幅調整処理において音響信号AS0の振幅をkAMP倍することで音響信号ASa_1を生成する。上述したように設定値VOL*に基づいて係数kAMPの値が指定される。
【0073】
振幅制限部62a_2は音響信号ASa_1に対して振幅制限処理を行うことで音響信号ASa_2を生成する。
図9は振幅制限処理の概念図である。任意の注目区間において、振幅制限部62a_2は、音響信号ASa_1の振幅が所定の上限振幅値を超える制限対象区間の存否を判定し、制限対象区間が存在するとき、制限対象区間中の音響信号ASa_1の振幅が上限振幅値以下となるように制限対象区間中の音響信号ASa_1の振幅を低減させ、振幅低減後の音響信号ASa_1を音響信号ASa_2として出力する。仮に、任意の注目区間において制限対象区間が存在しない場合には、振幅制限処理による振幅低減は実行されないので、音響信号ASa_2は音響信号ASa_1と同じとなる。
【0074】
より具体的には例えば、振幅制限部62a_2は、任意の注目区間を単位時間(例えば1秒)分の長さを夫々に有する複数の単位区間に分割し、単位区間ごとに振幅制限処理を行うことができる。この際、振幅制限部62a_2は、単位区間ごとに音響信号ASa_1の振幅の平均値AVEを求める。ここで求められる平均値AVEは、音響信号ASa_1が音響信号AS1としてアクチュエータ部70に供給された場合にディスプレイ50から出力される音の強さ(放音の音量レベル)の時間平均値に相当する。故に、或る特定の単位区間について求められた平均値AVEが上記の上限振幅値に対応する所定値REFを超える場合、当該特定の単位区間を制限対象区間に含める。振幅制限部62a_2は、或る特定の単位区間が制限対象区間に含められているとき、当該特定の単位区間において音響信号ASa_1の振幅を(REF/AVE)倍に低減し、この低減後の音響信号ASa_1を当該特定の単位区間の音響信号ASa_2とする。振幅制限部62a_2は、或る特定の単位区間が制限対象区間に含められていないとき、当該特定の単位区間中の音響信号ASa_1をそのまま当該特定の単位区間中の音響信号ASa_2とする。このような処理を単位区間ごとに実行すれば良い。
【0075】
切替器62a_3は、映像出力異常の有無に基づいて、音響信号ASa_1又はASa_2を音響信号AS1に選択してアクチュエータ部70に出力する(
図8では音響信号ASa_2が選択されている様子が図示)。具体的には、映像出力異常があると検出されていない場合には、マイクロコンピュータ10の制御の下、音響信号ASa_1を音響信号AS1としてアクチュエータ部70に出力する。一方、映像出力異常があると検出された場合には、マイクロコンピュータ10の制御の下、音響信号ASa_2を音響信号AS1としてアクチュエータ部70に出力する。映像出力異常があると一度検出されると、その後、継続的に、音響信号ASa_2を音響信号AS1としてアクチュエータ部70に出力して良い。
【0076】
このように、映像表示の異常が検出された場合(即ち映像出力異常が検出された場合、より詳細には映像出力異常があると検出された場合)、入力音響信号(AS0)から出力音響信号(AS1)を生成する過程で振幅制限処理により出力音響信号の振幅に上限が設けられる。音響信号ASa_2は、上限までで振幅が制限された音響信号に相当する。このような振幅制限処理により、映像表示の異常が検出された場合、そうでない場合と比べて、放音の音量レベルが低下する(部分的に低下する)ことになる。結果、ディスプレイ50の振動の大きさに制限がかかり、映像異常状態が解消することが期待される。映像表示の異常が検出されない場合(即ち映像出力異常が検出されない場合、より詳細には映像出力異常があると検出されない場合)には振幅制御処理が適用されていない音響信号(ASa_1)が出力音響信号(AS1)とされる。
【0077】
尚、第2実施例に示した方法と第1実施例に示した方法を組み合わせることも可能である。即ち、
図6(又は
図7)のステップS19、S20及びS21の何れにも至らない場合には、音響信号ASa_1を音響信号AS1として出力し、
図6(又は
図7)のステップS19、S20又はS21に至った場合にはステップS19、S20又はS21の処理を実行し且つその後において音響信号ASa_2を音響信号AS1として出力する、といった制御も可能である。
【0078】
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。ASIC30及びドライバ40間の接続部又はドライバ40及び表示パネル51間の接続部に加わる負荷は、ディスプレイ50の振動の周波数が比較的高いときよりも、ディスプレイ50の振動の周波数が比較的低いときの方が大きく、低周波領域で大きな振動が加わったときに映像の乱れが生じやすい。このため、映像出力異常が発生する場合にあっては、音響信号の低周波数成分を低減することも有益である。以下、これの実現構成例を説明する。
【0079】
図10に第3実施例に係る信号加工部62bの構成を示す。信号加工部62bを
図3の信号加工部62として利用できる。信号加工部62bは、振幅調整部62b_1、帯域減衰部62b_2及び切替器62b_3を備える。
【0080】
振幅調整部62b_1は上述の振幅調整処理を行う。詳細には、振幅調整部62b_1は、振幅調整処理において音響信号AS0の振幅をkAMP倍することで音響信号ASb_1を生成する。上述したように設定値VOL*に基づいて係数kAMPの値が指定される。
【0081】
帯域減衰部62b_2は音響信号ASb_1に対して減衰処理を行うことで音響信号ASb_2を生成する。帯域減衰部62b_2は、減衰処理において、音響信号ASb_1の信号成分の内、所定帯域の信号成分を減衰させ、この減衰後の音響信号ASb_1を音響信号ASb_2として出力する。所定帯域として所定周波数(例えば100Hz)以下の全帯域が想定され、この場合、帯域減衰部62b_2はハイパスフィルタであって良い。但し、所定帯域は、所定の第1周波数から第1周波数よりも高い所定の第2周波数までの帯域であっても良く、この場合、帯域減衰部62b_2はバンドパスフィルタであって良い。映像出力異常を招きやすい振動の周波数帯域を考慮して、所定帯域を設定すれば良い。
【0082】
切替器62b_3は、映像出力異常の有無に基づいて、音響信号ASb_1又はASb_2を音響信号AS1に選択してアクチュエータ部70に出力する(
図10では音響信号ASb_2が選択されている様子が図示)。具体的には、映像出力異常があると検出されていない場合には、マイクロコンピュータ10の制御の下、音響信号ASb_1を音響信号AS1としてアクチュエータ部70に出力する。一方、映像出力異常があると検出された場合には、マイクロコンピュータ10の制御の下、音響信号ASb_2を音響信号AS1としてアクチュエータ部70に出力する。映像出力異常があると一度検出されると、その後、継続的に、音響信号ASb_2を音響信号AS1としてアクチュエータ部70に出力して良い。
【0083】
このように、映像表示の異常が検出された場合(即ち映像出力異常が検出された場合、より詳細には映像出力異常があると検出された場合)、入力音響信号(AS0)から出力音響信号(AS1)を生成する過程で、所定帯域の信号成分を低減させる減衰処理を実行する。このような減衰処理により、映像表示の異常が検出された場合、そうでない場合と比べて、放音の音量レベルが低下する(所定帯域において低下する)ことになる。結果、映像出力異常が生じにくくなることが期待される。映像表示の異常が検出されない場合(即ち映像出力異常が検出されない場合、より詳細には映像出力異常があると検出されない場合)には減衰処理が適用されていない音響信号(ASb_1)が出力音響信号(AS1)とされる。
【0084】
尚、第3実施例に示した方法と第1実施例に示した方法を組み合わせることも可能である。即ち、
図6(又は
図7)のステップS19、S20及びS21の何れにも至らない場合には、音響信号ASb_1を音響信号AS1として出力し、
図6(又は
図7)のステップS19、S20又はS21に至った場合にはステップS19、S20又はS21の処理を実行し且つその後において音響信号ASb_2を音響信号AS1として出力する、といった制御も可能である。
【0085】
更に、第2及び第3実施例を組み合わせることも可能である。この場合、映像表示の異常が検出された場合において、
図8の音響信号ASa_1に対し、第2実施例の振幅制限処理及び第3実施例の減衰処理の双方を適用し、振幅制限処理及び減衰処理が施された後の音響信号ASa_1を音響信号ASa_2とみなせば良い(これ以外は第2実施例で述べたものと同様)。また、第1~第3実施例を全て組み合わせることも可能である。
【0086】
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。
図11に、マイクロコンピュータ10の機能ブロックの内、第4実施例の動作に特に関与する判定部11及び記憶部12を示す。マイクロコンピュータ10が実行するプログラムによって判定部11が実現されて良い。記憶部12はマイクロコンピュータ10内に設けられた不揮発性メモリである。但し、記憶部12はマイクロコンピュータ10外であって且つ表示装置1内に設けられた不揮発性メモリであっても良い。
【0087】
判定部11は、ディスプレイ50による放音の音量レベルを変化させ、その変化後において異常検出部31により映像出力異常が検出されたか否かを判定する(換言すれば異常検出部31の検出結果に基づき映像表示が正常であるかを判定する)。上述したように設定値VOL*の増減に伴って放音の音量レベルが増減する。このため、判定部11は設定値VOL*を変化させることで放音の音量レベルを変化させる。この際、判定部11は、ユーザの音量設定操作に依らず、設定値VOL*を変化させることで放音の音量レベルを変化させることが可能であって良い。例えば、マイクロコンピュータ10にてテストプログラムを実行したとき、所定のテスト動作が実行され、判定部11はテスト動作の中でユーザの音量設定操作に依らず設定値VOL*を変化させても良い。このようなテスト動作を用いれば、表示装置1の出荷検査工程など、任意のタイミングで、放音の音量レベルに応じた映像出力異常の有無を判定することができる。
【0088】
以下、典型的な例として、表示装置1の出荷検査工程で判定部11を機能させる動作の流れを説明する。表示装置1の出荷検査工程において、マイクロコンピュータ10にてテストプログラムが実行される。テストプログラムの実行によるテスト動作において、判定部11は、放音の音量レベルを複数段階に順次切り替える。ここでは上述したように、説明の具体化のため、複数段階として3段階を想定する(即ち“n=3”であることを想定する)。判定部11は設定値VOL*を昇順又は降順で切り替えることができる。
【0089】
図12に、出荷検査工程の第1動作例のフローチャートを示す。第1動作例では設定値VOL
*を昇順で切り替えてゆく。第1動作例はステップS61~S71の処理から成る。ステップS61~S71にてテスト動作が実行される。まず、ステップS61では、所定のテスト音響信号の音響信号処理部60への入力が開始され、以後、後述のステップS68~S71の何れかに至るまでテスト音響信号の入力が継続される。テスト音響信号は音響信号AS0として音響信号処理部60に入力される(
図3参照)。ステップS61の後、ステップS62に進む。尚、以下では、“VOL
*=1”の状態での放音の音量レベルを第1音量レベルと称することがあり、“VOL
*=2”の状態での放音の音量レベルを第2音量レベルと称することがあり、且つ、“VOL
*=3”の状態での放音の音量レベルを第3音量レベルと称することがある。
【0090】
ステップS62において判定部11は設定値VOL*に“1”を代入する(即ち放音の音量レベルを第1音量レベルに設定する)。続くステップS63において、判定部11は、“VOL*=1”の状態で異常検出部31により映像出力異常があると検出されたか否かを、信号ERR及びCOMに基づき判断する。“VOL*=1”の状態で映像出力異常があると検出された場合(ステップS63のY)、ステップS69に進み、そうでない場合(ステップS63のN)、ステップS64に進む。
【0091】
ステップS64において判定部11は設定値VOL*に“2”を代入する(即ち放音の音量レベルを第2音量レベルに設定する)。続くステップS65において、判定部11は、“VOL*=2”の状態で異常検出部31により映像出力異常があると検出されたか否かを、信号ERR及びCOMに基づき判断する。“VOL*=2”の状態で映像出力異常があると検出された場合(ステップS65のY)、ステップS70に進み、そうでない場合(ステップS65のN)、ステップS66に進む。
【0092】
ステップS66において判定部11は設定値VOL*に“3”を代入する(即ち放音の音量レベルを第3音量レベルに設定する)。続くステップS67において、判定部11は、“VOL*=3”の状態で異常検出部31により映像出力異常があると検出されたか否かを、信号ERR及びCOMに基づき判断する。“VOL*=3”の状態で映像出力異常があると検出された場合(ステップS67のY)、ステップS71に進み、そうでない場合(ステップS67のN)、ステップS68に進む。
【0093】
ステップS68において判定部11により良品処理が実行される。良品処理は、情報GOODを良否判定情報として記憶部12に記憶する処理を含む。情報GOODは第3音量レベル(“VOL*=3”の状態)でも映像出力異常が発生しなかったことを表す。
【0094】
ステップS69において判定部11により第1不良処理が実行される。第1不良処理は、情報NG1を良否判定情報として記憶部12に記憶する処理を含む。情報NG1は、第1音量レベル(“VOL*=1”の状態)でも映像出力異常が発生したことを表す。
【0095】
ステップS70において判定部11により第2不良処理が実行される。第2不良処理は、情報NG2を良否判定情報として記憶部12に記憶する処理を含む。情報NG2は、第1音量レベル(“VOL*=1”の状態)では映像出力異常が発生しないが、第2音量レベル(“VOL*=2”の状態)では映像出力異常が発生したことを表す。
【0096】
ステップS71において判定部11により第3不良処理が実行される。第3不良処理は、情報NG3を良否判定情報として記憶部12に記憶する処理を含む。情報NG3は、第2音量レベル(“VOL*=2”の状態)では映像出力異常が発生しないが、第3音量レベル(“VOL*=3”の状態)では映像出力異常が発生したことを表す。
【0097】
尚、良否判定情報は、例えば、0、1、2又は3の何れかの値を持つ情報であって良く、この際、情報GOODに“0”の値を割り当て、情報NG1、NG2、NG3に、夫々、“1”の値、“2”の値、“3”の値を割り当てれば良い。
【0098】
図13に、出荷検査工程の第2動作例のフローチャートを示す。第2動作例では設定値VOL
*を降順で切り替えてゆく。第2動作例はステップS81~S91の処理から成る。ステップS81~S91にてテスト動作が実行される。まず、ステップS81では、所定のテスト音響信号の音響信号処理部60への入力が開始され、以後、後述のステップS88~S91の何れかに至るまでテスト音響信号の入力が継続される。テスト音響信号は音響信号AS0として音響信号処理部60に入力される(
図3参照)。ステップS81の後、ステップS82に進む。
【0099】
ステップS82において判定部11は設定値VOL*に“3”を代入する(即ち放音の音量レベルを第3音量レベルに設定する)。続くステップS83において、判定部11は、“VOL*=3”の状態で異常検出部31により映像出力異常があると検出されたか否かを、信号ERR及びCOMに基づき判断する。“VOL*=3”の状態で映像出力異常があると検出された場合(ステップS83のY)、ステップS84に進み、そうでない場合(ステップS83のN)、ステップS89に進む。
【0100】
ステップS84において判定部11は設定値VOL*に“2”を代入する(即ち放音の音量レベルを第2音量レベルに設定する)。続くステップS85において、判定部11は、“VOL*=2”の状態で異常検出部31により映像出力異常があると検出されたか否かを、信号ERR及びCOMに基づき判断する。“VOL*=2”の状態で映像出力異常があると検出された場合(ステップS85のY)、ステップS86に進み、そうでない場合(ステップS85のN)、ステップS90に進む。
【0101】
ステップS86において判定部11は設定値VOL*に“1”を代入する(即ち放音の音量レベルを第1音量レベルに設定する)。続くステップS87において、判定部11は、“VOL*=1”の状態で異常検出部31により映像出力異常があると検出されたか否かを、信号ERR及びCOMに基づき判断する。“VOL*=1”の状態で映像出力異常があると検出された場合(ステップS87のY)、ステップS88に進み、そうでない場合(ステップS87のN)、ステップS91に進む。
【0102】
判定部11により、ステップS89において良品処理が実行され、ステップS88において第1不良処理が実行され、ステップS91において第2不良処理が実行され、ステップS90において第3不良処理が実行される。良品処理、第1~第3不良処理の内容は、
図12の第1動作例に関連して上述したものと同じである。
【0103】
このように、放音の音量レベルを変化させ、その変化後において異常検出部31により映像出力異常が検出されたか否かを判定部11により判定する(換言すれば異常検出部31の検出結果に基づき映像表示が正常であるかを判定する)。これにより、表示装置1の出荷検査工程などにおいて、ディスプレイ50の振動に起因する映像出力異常が生じないかを検査することができ、不良品を出荷の対象から除外するといった対応が可能となる(即ち表示装置1の商品としての信頼性を向上させることができる)。典型的な運用例としては、良品処理が実行された表示装置1のみを良品として出荷の対象とし、第1、第2又は第3不良処理が実行された表示装置1を不良品として出荷の対象から除外すると良い。
【0104】
図12に係る第1動作例では、放音の音量レベルが複数段階で昇順に順次切り替えられ、その切り替えの過程において、映像出力異常が検出されない第1状態から映像出力異常が検出される第2状態へと変化することがある。そのような変化があったとき、第1状態又は第2状態での放音の音量レベルに対応する情報として、情報NG2又はNG3が記憶部12に記憶される。
図13に係る第2動作例では、放音の音量レベルが複数段階で降順に順次切り替えられ、その切り替えの過程において、映像出力異常が検出される第2状態から映像出力異常が検出されない第1状態へと変化することがある。そのような変化があったとき、第1状態又は第2状態での放音の音量レベルに対応する情報として、情報NG2又はNG3が記憶部12に記憶される。
【0105】
例えば、情報NG2にとっての第1状態、第2状態は、夫々、第1音量レベルに対応する状態(“VOL*=1”の状態)、第2音量レベルに対応する状態(“VOL*=2”の状態)である。上述の如く、情報NG2は、第1音量レベル(“VOL*=1”の状態)では映像出力異常が発生しないが、第2音量レベル(“VOL*=2”の状態)では映像出力異常が発生したことを表すので、第1音量レベル(VOL*=1)に対応する情報であるとも言えるし、第2音量レベルに対応する情報(VOL*=2)でもあるとも言える。同様に考えて、情報NG3にとっての第1状態、第2状態は、夫々、第2音量レベルに対応する状態(“VOL*=2”の状態)、第3音量レベルに対応する状態(“VOL*=3”の状態)である。上述の如く、情報NG3は、第2音量レベル(“VOL*=2”の状態)では映像出力異常が発生しないが、第3音量レベル(“VOL*=3”の状態)では映像出力異常が発生したことを表すので、第2音量レベル(VOL*=2)に対応する情報であるとも言えるし、第3音量レベルに対応する情報(VOL*=3)でもあるとも言える。
【0106】
このような情報の記憶を行うようにしておくことにより、どの音量レベルで映像出力異常が発生するのか或いはどの音量レベルまでなら映像出力異常が発生しないのかを容易に確認することが可能となる。これは、不良調査等の促進に資すると考えられ、メリットが大きい。
【0107】
場合によっては、第3不良処理が実行された表示装置1を出荷の対象に含めるといったことも可能である。但し、第3不良処理が実行された表示装置1では、ユーザの実使用下において、記憶部12に記憶された情報NG3に基づき、“VOL
*=3”となることがマイクロコンピュータ10により禁止されるようにしても良い。或いは、第3不良処理が実行された表示装置1では、ユーザの実使用下において、記憶部12に記憶された情報NG3に基づき、“VOL
*=3”となることを許容しつつも “VOL
*=3”の状態では常に音響信号ASa_2又はASb_2(
図8又は
図10参照)を音響信号AS1として使用する、といった対応を行っても良い。
【0108】
尚、第4実施例に係る処理を出荷検査工程以外で実行することも可能である。例えば、表示装置1の出荷後の任意のタイミングにおいて、所定のテスト指令信号がマイクロコンピュータ10に入力されたとき、マイクロコンピュータ10にてテストプログラムを実行して
図12又は
図13の処理を行うようにしても良い。
【0109】
<<第5実施例>>
第5実施例を説明する。
【0110】
表示装置1を、例えば、自動車の後部座席用表示装置として利用することができる。後部座席用表示装置は、自動車の後部座席に座る乗員の視聴に供される。この際には、自動者の前部座席に設置された車載装置(例えばカーナビゲーションシステムを構成する電子機器)から、映像信号VS1の元となる映像信号及び音響信号AS1の元となる音響信号(例えば上述の音響信号AS0)が、有線又は無線にて、表示装置1に送信されて良い。
【0111】
但し、表示装置1は車載用途に限定されず、任意の種類の表示装置に利用されて良い。即ち、表示装置1は、パーソナルコンピュータ、情報端末(例えばタブレット、スマートホン)、ゲーム機器、テレビ受信機など、表示装置を必要とする任意に機器に搭載されて良い。
【0112】
ドライバ40がフレキシブル基板FLX上に実装されることを想定したが、ドライバ40がフレキシブル基板FLX上に実装されることは必須ではなく、ドライバ40はドライバ基板SUB上に実装されることがあっても良いし、ディスプレイ50内に設けられることがあっても良い。
【0113】
表示パネル51が有機EL素子にて構成された有機ELパネルであることを想定したが、表示パネル51は有機EL素子以外の電気光学素子(例えば液晶表示素子)を用いて構成されていても良い。
【0114】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【符号の説明】
【0115】
1 表示装置
10 マイクロコンピュータ
20 映像信号処理部
30 ASIC
31 異常検出部
40 ドライバ
50 ディスプレイ
51 表示パネル
52 カバーパネル
60 音響信号処理部
61 音量レベル設定部
62 信号加工部
70 アクチュエータ部
71 駆動回路
72 励振素子