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特許7617132センサを有する医療用ガイドワイアおよびカテーテルのための動作可能に結合されたデータおよび電力伝達デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】センサを有する医療用ガイドワイアおよびカテーテルのための動作可能に結合されたデータおよび電力伝達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20250109BHJP
   A61B 8/12 20060101ALI20250109BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61B5/00 B
A61B8/12
A61B1/00 680
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2022556650
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(86)【国際出願番号】 US2021023184
(87)【国際公開番号】W WO2021188913
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】62/992,695
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/044,960
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/205,754
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522369887
【氏名又は名称】ゼンター,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】リンダー,リチャード・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】メイナード,エドウィン・ミード
(72)【発明者】
【氏名】マーランド,スコット・ケネス
(72)【発明者】
【氏名】エステス,コリー・レックス
(72)【発明者】
【氏名】クイスト,スティーブン・マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ナイトン,ネイサン・ジェイ
【審査官】渡戸 正義
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-501193(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0213220(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0255166(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
A61B 5/00 - 5/03
A61M 25/00 - 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療センサのための電力およびデータ結合デバイスであって、
医療デバイスに一体化された第1の導電面(conductive surface)を含み、前記第1の導電面が、電界を介して第2の導電面に結合するように構成され、前記医療デバイスが、人体の外側に維持されるように構成され、前記第2の導電面が、前記第1の導電面に対して平行移動可能なように構成され、
前記第1の導電面が、前記電界を通って前記第2の導電面へ電力を提供するための電源に接続され、
前記第1の導電面が、前記第2の導電面へ電力を運ぶように構成された時間変化する電界を放射するように構成され、
前記第1の導電面が、前記第2の導電面からデータ信号を受信するように構成されたピックアップ(pick-up)に接続されており、
前記データ信号が、前記第2の導電面と電気的な通信状態にある前記医療センサから受信されたデータを備え、
前記第1の導電面が、同時に、(i)前記第2の導電面へ複数の異なる電力信号を提供し、前記複数の異なる電力信号のうちの各電力信号が、異なる組の医療センサへ電力を提供するように構成され、かつ(ii)前記第2の導電面から複数の異なるデータ信号を受信し、前記複数の異なるデータ信号のうちの各データ信号が、異なるグループの医療センサからのデータを提供するように構成され、
前記第2の導電面が単一の導電ワイアを構成し、前記医療センサが前記単一の導電ワイアに電気的に結合されている、
電力およびデータ結合デバイス。
【請求項2】
前記データ信号を分離するように構成された信号コレクタ(collector)
をさらに備える、請求項1に記載の電力およびデータ結合デバイス。
【請求項3】
離された前記データ信号をコンピューティングデバイスへ伝送するように構成された送信器
をさらに備える、請求項2に記載の電力およびデータ結合デバイス。
【請求項4】
前記データ信号を処理するように構成された1つまたは複数のプロセッサ
をさらに備える、請求項1に記載の電力およびデータ結合デバイス。
【請求項5】
前記第2の導電面の少なくとも一部分が、前記第1の導電面によって取り囲まれている、請求項1に記載の電力およびデータ結合デバイス。
【請求項6】
前記第1の導電面が前記第2の導電面に物理的に接触していない、請求項1に記載の電力およびデータ結合デバイス。
【請求項7】
前記第1の導電面が前記第2の導電面に物理的に接触している、請求項1に記載の電力およびデータ結合デバイス。
【請求項8】
前記データ信号を増幅するように構成された増幅器をさらに備える、請求項1に記載の電力およびデータ結合デバイス。
【請求項9】
前記第2の導電面が、カテーテルの一部分と物理的な連結(communication)状態にあり、前記医療センサが、前記カテーテルに物理的に取り付けられている、請求項1に記載の電力およびデータ結合デバイス。
【請求項10】
前記第1の導電面が、複数の物理的に別個の導電面を含む、請求項1に記載の電力およびデータ結合デバイス。
【請求項11】
前記複数の物理的に別個の導電面から選択される各導電面が、特定の異なる組の医療センサからデータ信号を受信するように構成されている、請求項10に記載の電力およびデータ結合デバイス。
【請求項12】
前記複数の物理的に別個の導電面から選択される特定の導電面が、少なくとも1つの医療センサへ電力を提供するように構成され、前記複数の物理的に別個の導電面から選択される他の導電面が、前記少なくとも1つの医療センサからデータ信号を受信するように構成されている、請求項10に記載の電力およびデータ結合デバイス。
【請求項13】
電力入力線が、前記第1の導電面上の供給部に物理的に接続され、前記供給部が、前記第1の導電面と前記第2の導電面との間の結合のインピーダンスを実質的に整合させるようにサイズ設定されている、請求項1に記載の電力およびデータ結合デバイス。
【請求項14】
医療センサへの電力およびデータ結合を提供する方法であって、
時間変化する電界を介して、医療デバイスに一体化された第1の導電面を導電性のガイドワイアに結合することであり、前記医療デバイスが、人体の外側に維持されるように構成され、
前記第1の導電面が、前記導電性のガイドワイアへ電力を提供するための電源に接続され、
前記第1の導電面が、前記導電性のガイドワイアへ電力を運ぶように構成された時間変化する電界を放射するように構成され、
前記第1の導電面が、前記導電性のガイドワイアからデータ信号を受信するように構成されている、結合することであって、前記データ信号が、前記導電性のガイドワイアと電気的な通信状態にある前記医療センサから受信されたデータを備えることと、
前記導電性のガイドワイアを前記第1の導電面に対して平行移動させることと、
(i)複数の、異なった、電力信号を、前記導電性のガイドワイアに提供することであって、前記複数の、異なった、電力信号の中の、各々の電力信号が、前記医療センサの異なった組に電力を提供するように構成されることと、
(ii)前記導電性のガイドワイアから、複数の、異なった、データ信号を受信することであって、前記複数の、異なった、データ信号の中の、各々のデータ信号が、前記医療センサの異なったグループからデータを提供することと、
を同時に行うことと、
信号プロセッサによって前記データ信号を分離することと、
送信器によって、分離された前記データ信号をコンピューティングデバイスへ伝送することとを含み、
前記導電性のガイドワイアが単一の導電ワイアを構成し、前記医療センサが前記単一の導電ワイアに電気的に結合されている、
方法。
【請求項15】
前記導電性のガイドワイアの少なくとも一部分が、前記第1の導電面によって取り囲まれている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の導電面が前記導電性のガイドワイアに物理的に接触していない、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記導電性のガイドワイアの上で、または前記導電性のガイドワイアに隣接して、第2の細長い導電部材を平行移動させることと、
前記第2の細長い導電部材が前記第1の導電面と前記導電性のガイドワイアとの間に位置決めされている間に、引き続き前記データ信号を受信し、電力を伝送することと
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の導電面が前記導電性のガイドワイアに物理的に接触している、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
増幅器によって前記データ信号を増幅することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記導電性のガイドワイアがカテーテルの一部分を構成し、前記医療センサが前記カテーテルに物理的に取り付けられている、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の導電面が、複数の物理的に別個の導電面を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の物理的に別個の導電面から選択される複数の導電面が、特定の異なる組の医療センサからデータ信号を受信するように構成されている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の物理的に別個の導電面から選択される特定の導電面が、少なくとも1つの医療センサへ電力を提供するように構成され、前記複数の物理的に別個の導電面から選択される他の導電面が、前記少なくとも1つの医療センサからデータ信号を受信するように構成されている、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
電力入力線が、前記第1の導電面上の供給部に物理的に接続され、前記供給部が、前記第1の導電面と前記導電性のガイドワイアとの間の結合のインピーダンスを実質的に整合させるようにサイズ設定されている、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
医療センサへの電力およびデータ結合を提供する方法であって、
時間変化する電界を介して、医療デバイスに一体化された第1の導電面を導電性のガイドワイアに結合することであり、前記医療デバイスが、人体の外側に維持されるように構成され、
前記第1の導電面が、前記導電性のガイドワイアへ電力を提供するための電源に接続され、
前記第1の導電面が、前記導電性のガイドワイアへ電力を運ぶように構成された時間変化する電界を放射するように構成され、
前記第1の導電面が、前記導電性のガイドワイアからデータ信号を受信するように構成されている、結合することであって、前記データ信号が、前記導電性のガイドワイアと電気的な通信状態にある前記医療センサから受信されたデータを備えることと、
前記導電性のガイドワイアを前記第1の導電面に対して平行移動させることと、
(i)複数の、異なった、電力信号を、前記導電性のガイドワイアに提供することであって、前記複数の、異なった、電力信号の中の、各々の電力信号が、前記医療センサの異なった組に電力を提供するように構成されることと、
(ii)前記導電性のガイドワイアから、複数の、異なった、データ信号を受信することであって、前記複数の、異なった、データ信号の中の、各々のデータ信号が、前記医療センサの異なったグループからデータを提供することと、
を同時に行うことと、
信号プロセッサによって前記データ信号を分離することと、
送信器によって、分離された前記データ信号をコンピューティングデバイスへ伝送することとを含み、
前記第1の導電面が前記導電性のガイドワイアに物理的に接触しておらず、
前記導電性のガイドワイアの上で、または前記導電性のガイドワイアに隣接して、第2の細長い導電部材を平行移動させることと、
前記第2の細長い導電部材が前記第1の導電面と前記導電性のガイドワイアとの間に位置決めされている間に、引き続き前記データ信号を受信し、電力を伝送することと
をさらに含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2020年3月20日に出願された「CATHETER SYSTEM,DEVICE,AND METHOD THEREOF」という名称の米国特許仮出願第62/992,695号、2020年6月26日に出願された「CATHETER AND GUIDEWIRE SYSTEMS WITH ENHANCED LOCATION AND CHARACTERIZATION FEATURES」という名称の米国特許仮出願第63/044,960号、および2021年3月18日に出願された「OPERATIVELY COUPLED DATA AND POWER TRANSFER DEVICE FOR MEDICAL GUIDEWIRES AND CATHETERS WITH SENSORS」という名称の米国特許出願第17/205,754号の優先権を主張する。上記の出願の各々の全内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]追加として、本出願は、2021年3月18日に出願された「SIGNAL CONDUCTING DEVICE FOR CONCURRENT POWER AND DATA TRANSFER TO AND FROM UN-WIRED SENSORS ATTACHED TO A MEDICAL DEVICE」という名称の米国特許出願第17/205,614号、2021年3月18日に出願された「CATHETER FOR IMAGING AND MEASUREMENT OF PHYSIOLOGICAL PARAMETERS」という名称の米国特許出願第17/205,854号、および2021年3月18日に出願された「GUIDEWIRE FOR IMAGING AND MEASUREMENT OF PHYSIOLOGICAL PARAMETERS」という名称の米国特許出願第17/205,964号に関係する。上記の出願の各々の全内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
[0003]本発明は、一般に、1つまたは複数の生理学的パラメータの同時および/または連続測定のための様々なセンサを含むガイドワイアおよびカテーテルなどの腔内デバイスを含む医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
[0004]多くの場合、患者の体内の標的とされる解剖学的箇所へカテーテルまたは他の介入性デバイスを誘導または案内するために、ガイドワイアデバイスが使用される。典型的に、ガイドワイアは患者の血管構造に通されて、たとえば患者の心臓または脳またはその付近に位置し得る標的箇所に到達する。典型的に、ガイドワイアを標的とされる箇所へ誘導するのを支援するために、放射線撮像が利用される。様々な外径サイズを有するガイドワイアが利用可能である。広く利用されているサイズには、たとえば直径0.254mm(0.010インチ)、0.3556mm(0.014インチ)、0.4064mm(0.016インチ)、0.4572mm(0.018インチ)、0.6096mm(0.024インチ)、および0.889mm(0.035インチ)が含まれるが、これらはより小さい直径またはより大きい直径でもよい。
【0005】
[0005]多くの事例では、ガイドワイアは介入性処置中に体内に配置され、このガイドワイアを使用して、複数のカテーテルまたは他の介入性デバイスを標的とされる解剖学的箇所へ案内することができる。定位置についた後、カテーテルを使用して、凝血塊もしくは他の閉塞物を吸引することができ、あるいは薬物、ステント、塞栓用デバイス、放射線不透過性染料、または患者を治療するための他のデバイスもしくは物質を送達することができる。
【0006】
[0006]これらのタイプの介入性デバイスは、デバイスに追加の機能を提供するために、遠位部分に位置するセンサを含むことができる。たとえば、血管内超音波(IVUS)は、遠位部分に超音波撮像センサが取り付けられたカテーテルを利用する撮像技法である。超音波を利用して、標的とされる血管構造(典型的に、冠状動脈)内を撮像する。
【0007】
[0007]そのようなセンサの使用には、いくつかの難題が伴う。特に、関連する介入性デバイスは、関連する厳しい寸法制約を考慮すると、作業するための空間が非常に制限される。さらに、効果的な機能を維持するように介入性デバイスにセンサを一体化するのは難しいことがある。
【0008】
[0008]この分野に共通する別の問題は、デバイスの遠位部分を標的箇所に適切に局所化および位置決めすることである。挿入中にデバイス先端が不適切に位置決めされた場合、または挿入後に先端が所望の位置から移動した場合、様々なリスクが生じる可能性がある。たとえばカテーテルの実装例では、不適切な位置決めは流体の浸出を招く可能性があり、それにより患者の痛みまたは負傷、血栓症率の増大、治療の遅れ、デバイスの破損または動作不良、デバイス交換による遅れおよびデバイス交換に付随する追加のコスト、ならびに主治医および医療センターによって必要とされる追加の時間が生じる可能性がある。
【0009】
[0009]さらに、内部撮像およびカテーテルの局所化のための従来の手法では、染料の注入および/またはX線の使用が必要とされる。これらの各々は患者にとって有害となり得る。その上、そのような撮像放射は、放射にさらされる医師および職員にとっても有害となり得る。
【0010】
[0010]そのような介入性デバイスの使用はまた、ガイドワイア、電力ケーブル、データワイアなどを含むいくつかの長い長さのワイアおよび他の構成要素を管理する必要があるために困難である。滅菌野で何が許可されているか、およびいつそれを除去することができるかに関して、注意を払わなければならない。多くの場合、単にそのようなワイアおよびケーブルを管理するためだけに、追加の職員が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
[0011]したがって、センサを効果的に一体化し、センサとの電力およびデータ通信を効果的に管理し、デバイスからのデータを追加の処理のために効果的に通信し、血管構造または他の標的とされる解剖学的構造内の所望の標的位置における医療デバイスのより効果的な位置決めを可能にする、改善された介入性デバイスが現在必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[0012]開示される実施形態は、医療センサのための電力およびデータ結合デバイスを含む。電力およびデータ結合デバイスは、医療デバイスに一体化された第1の導電面を備えることができ、第1の導電面は、電界を介して第2の導電面に結合するように構成される。第2の導電面は、第1の導電面に対して平行移動可能とすることができる。追加として、第1の導電面は、電界を通って第2の導電面へ電力を提供するための電源に接続することができる。第1の導電面はまた、第2の導電面へ電力を運ぶように構成された時間変化する電界を放射することができる。さらに、第1の導電面は、第2の導電面から信号を受信するように構成されたピックアップに接続することができる。
【0013】
[0013]開示する追加の実施形態は、医療センサへの電力およびデータ結合を提供する方法を含む。この方法は、時間変化する電界を介して、医療デバイスに一体化された第1の導電面を第2の導電面に結合することを含むことができる。第1の導電面は、第2の導電面に電力を提供するための電源に接続することができる。第1の導電面は、第2の導電面へ電力を運ぶように構成された時間変化する電界を放射することができる。追加として、第1の導電面は、第2の導電面から信号を受信するように構成することができる。この方法は、第2の導電面を第1の導電面に対して平行移動させることをさらに含むことができる。追加として、この方法は、信号プロセッサによって信号を分離することを含むことができる。さらに、この方法は、送信器によって、分離された信号をコンピューティングデバイスへ伝送することを含むことができる。
【0014】
[0014]この発明の概要は、以下の発明を実施するための形態でさらに説明する一連の概念を簡略化された形で導入するために提供されたものである。この発明の概要は、特許請求する主題の主要な特徴または本質的な特徴を識別することを意図したものでも、特許請求する主題の範囲を決定する際の支援として使用されることを意図したものでもない。
【0015】
[0015]追加の特徴および利点は、以下の説明に記載されており、一部はこの説明から明らかであり、または本明細書の内容を実施することによって知ることができる。本発明の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘する機器および組合せによって実現および取得することができる。本発明の特徴は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより十分に明らかになり、または以下に述べる本発明の実施によって知ることができる。
【0016】
[0016]本発明の様々な目的、特徴、特性、および利点は、そのすべてが本明細書の一部を形成する添付の図面および添付の特許請求の範囲と併せて、実施形態の以下の説明から明らかになり、より容易に理解されよう。図面では、同じ参照番号を利用して、様々な図で対応または類似している部分を指定することができ、示されている様々な要素は、必ずしも原寸に比例して描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】[0017]本明細書に記載する特徴のうちの1つまたは複数を提供するように構成されたガイドワイアシステムの概略図である。
図2】[0018]電力およびデータ伝達デバイスの構成要素を示し、結合伝達デバイスを外部デバイスに通信可能に結合することができることを示す、本明細書に記載する特徴のうちの1つまたは複数を提供するように構成されたカテーテルシステムを示す図である。
図3A】[0019]電力およびデータ結合デバイスの構成要素を示し、結合伝達デバイスを外部デバイスに通信可能に結合することができることを示す、図1のガイドワイアシステムのより詳細な図である。
図3B】[0020]ガイドワイア上の例示的なセンサ配置をより良好に示すためのガイドワイアの遠位区分の拡大図である。
図3C】[0021]デバイスの追加の遠位構成要素および特徴を示すためのガイドワイアの遠位区分の概略図である。
図4A】[0022]標的とされる狭窄におけるステントの位置決めおよび配置を効果的に案内するためのガイドワイアシステムの例示的な使用を示す図である。
図4B】標的とされる狭窄におけるステントの位置決めおよび配置を効果的に案内するためのガイドワイアシステムの例示的な使用を示す図である。
図4C】標的とされる狭窄におけるステントの位置決めおよび配置を効果的に案内するためのガイドワイアシステムの例示的な使用を示す図である。
図4D】標的とされる狭窄におけるステントの位置決めおよび配置を効果的に案内するためのガイドワイアシステムの例示的な使用を示す図である。
図5】[0023]ワイアに追加された延長ワイアを示す図である。
図6A】[0024]医療デバイスの電気概略図である。
図6B】[0025]医療デバイスの別の電気概略図である。
図7】[0026]医療デバイスによって利用されるように構成されたチャネルを示す図である。
図8A】[0027]電力およびデータ結合デバイスの実施形態を示す図である。
図8B】電力およびデータ結合デバイスの実施形態を示す図である。
図8C】電力およびデータ結合デバイスの実施形態を示す図である。
図8D】電力およびデータ結合デバイスの実施形態を示す図である。
図8E】電力およびデータ結合デバイスの実施形態を示す図である。
図9】[0028]電力およびデータ結合デバイスの別の実施形態を示す図である。
図10A】[0029]電力およびデータ結合デバイス内の導電面の実施形態を示す図である。
図10B】電力およびデータ結合デバイス内の導電面の実施形態を示す図である。
図10C】電力およびデータ結合デバイス内の導電面の実施形態を示す図である。
図11】[0030]図11Aは、医療デバイスの電気概略図である。 図11Bは、医療デバイスの電気概略図である。 図11Cは、医療デバイスの電気概略図である。
図12】[0031]医療デバイスにおける同時電力およびデータ伝達のための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
腔内システムの概要
[0032]図1は、本明細書に記載する特徴のうちの1つまたは複数を組み込むことができるガイドワイアシステム100の概略図を示す。ガイドワイアシステム100は、近位デバイス104を通って経路指定可能なワイア102を含む。別法として、本明細書ではガイドワイアシステム100を「ガイドワイアデバイス」と呼ぶこともある。本明細書では、ワイア102を一種の細長い導電部材と呼ぶこともある。
【0019】
[0033]本明細書では、細長い導電部材は、幅より長さが大きい任意の導電構成要素を含む。たとえば、細長い導電部材は、ワイア102を含む。例および説明のために、細長い導電部材をワイア102と呼ぶこともあるが、ワイア102は可能な細長い導電部材のサブセットであることが理解されよう。たとえば、細長い導電部材はまた、カテーテルを含むことができる。
【0020】
[0034]ガイドワイアシステム100の「ワイア」とは、ガイドワイアシステム100の根幹を形成する中実のワイア要素を指す。したがって、「ワイア」という用語は、ガイドワイアシステム100の文脈で使用されるとき、体内を誘導可能(たとえば、血管構造など、腔内空間内に位置決めすることが可能)になるように十分なトルク性、押込み性、および剛性/可撓性を有する構造を指すことが意図される。そのような「ワイア」要素は、当技術分野で「コア」、「コアワイア」などと呼ばれることがある。したがって、このタイプの「ワイア」は、トレースまたはリードなど、より小さくあまり構造化されていない要素とは区別されることが意図されており、そのような要素は、電気信号を搬送することが可能であるが、標的とされる解剖学的構造に到達するように体内を効果的に誘導および位置決めするには十分な構造を欠く。一例として、ガイドワイアシステム100の一部としての使用に好適な「ワイア」は、少なくとも約0.0762mm(0.003インチ)、または約0.127mm(0.005インチ)、または約0.2032mm(0.008インチ)、または約0.254mm(0.010インチ)の平均外径を有することができる。別の例では、ガイドワイアシステム100の一部としての使用に好適な「ワイア」は、68.95MPa(10ksi)を上回る、またはより好ましくは206.84MPa(30ksi)を上回る、またはより好ましくは344.74MPa(50ksi)を上回る、またはより好ましくは689.48MPa(100ksi)を上回る、またはより好ましくは1,034.21MPa(150ksi)を上回る、またはより好ましくは1,378.95MPa(200ksi)を上回る、またはより好ましくは1,723.69MPa(250ksi)を上回る、たとえば2,068.43MPa(300ksi)の降伏強度を有することができる。追加または別法として、ガイドワイアシステム100の一部としての使用に好適な「ワイア」は、46,194.89MPa(6.7msi)を上回る、またはより好ましくは55,158.07MPa(8msi)を上回る、またはより好ましくは68,947.59MPa(10msi)を上回る、たとえば約82,737.11MPa(12msi)のせん断弾性係数を有することができる。追加または別法として、ガイドワイアシステム100の一部としての使用に好適な「ワイア」は、110,316.15MPa(16msi)を上回る、またはより好ましくは137,895.18MPa(20msi)を上回る、またはより好ましくは172,368.98MPa(25msi)を上回る、たとえば約206,842.77MPa(30msi)の弾性率を有することができる。
【0021】
[0035]ガイドワイアシステム100のワイア102は、患者の体内へ挿入されるように構成される。患者は典型的にヒトであるが、他の実装例では、ヒト以外の哺乳動物、またはさらには哺乳動物以外の動物であってもよい。特定の好みおよび/または応用例の必要に応じて、任意の好適な投与経路を利用することができる。一般的な経路には、大腿部、橈骨、および頸静脈が含まれるが、ガイドワイアシステム100は、必要に応じて他のアクセス経路を利用することもできる。
【0022】
[0036]本明細書に記載する例の多くは、血管内処置(たとえば、心臓血管または神経血管)に関連するガイドワイアシステム100またはカテーテルシステム200(図2参照)の使用に関するが、記載するシステムは、他の医療用途でも同様に利用することができることが理解されよう。本明細書に記載するシステムを利用することができる他の医療応用例には、たとえば、リンパ系、泌尿器系/腎臓系、胃腸系、生殖器系、肝臓系、または呼吸器系へのアクセスを伴う応用例が含まれる。
【0023】
[0037]ここでは、近位デバイス104は止血バルブとして示されているが、他の実施形態では、近位デバイス104は、追加または代替の形態を含むことができる。本明細書では、近位デバイス104を「電力およびデータ結合デバイス104」または単に「結合デバイス104」と呼ぶこともある。
【0024】
[0038]ワイア102は、近位部分106および遠位部分108を有する。ワイア102の長さは、特定の応用例の必要および標的とされる解剖学的面積に応じて変動し得る。一例として、ワイア102は、特定の応用例の必要および/または特定の解剖学的標的に応じて、約50cm~約350cm、より一般には約200cmの近位部分106から遠位部分108までの全長を有し得る。ワイア102は、外径(たとえば、他の外側部材の適用後)が約0.2032mm(0.008インチ)から約1.016mm(0.040インチ)になるようなサイズを有することができるが、特定の応用例の必要に応じて、より大きいまたは小さいサイズを利用することもできる。たとえば、特定の実施形態は、0.254mm(0.010インチ)、0.3556mm(0.014インチ)、0.4064mm(0.016インチ)、0.4572mm(0.018インチ)、0.6096mm(0.024インチ)、0.889mm(0.035インチ)、0.9652mm(0.038インチ)、またはガイドワイアデバイスに一般的な他のそのようなサイズなど、標準的なガイドワイアサイズに対応する外径サイズを有することができる。ワイア102は、ステンレス鋼または適当な機械特性を有する他の金属もしくは合金から形成することができる。追加または別法として、ワイア102は、適当な機械特性の導電性材料から形成することができる。
【0025】
[0039]結合デバイス104はまた、ガイドワイアシステム100と外部デバイス110(または複数のそのような外部デバイス)との間のワイアレス通信を可能にするために、送信器を含むことができ、または送信器に付随することができる。代替実施形態では、ガイドワイアシステム100および外部デバイス110は、有線接続を介して接続することができる。
【0026】
[0040]外部デバイス110は、移動電話、タブレット、またはラップトップコンピュータなど、手持ち式のデバイスとすることができる。外部デバイス110として手持ち式または移動デバイスを使用する例示的な実施形態を本明細書に記載するが、この必要はなく、他の実施形態は、デスクトップコンピュータ、モニタ、プロジェクタなど、他の「非移動」デバイスを含むこともできることが理解されよう。いくつかの実施形態では、外部デバイス110は、移動/手持ち式のデバイスを含み、追加としてデスクトップデバイスまたは他の非移動デバイスを含む。たとえば、移動デバイスは、送信器から伝送されたデータを受信し、そのデータを非移動コンピュータシステムへさらに送信することによってブリッジとして機能するように構成することができる。これは、医師が移動デバイス上でデータを見る選択肢を好むが、両手がふさがっているとき(たとえば、ガイドワイアシステム100を取り扱っているとき)などは、追加または別法としてデータをより大きいモニタに渡すかまたはミラーリングさせる必要がある状況で有用となり得る。
【0027】
[0041]ガイドワイアシステム100の外部デバイス110は、人体の血管または他の標的とされる解剖学的構造内のワイア102の遠位先端の位置を判定する際に医師を支援することができる。このようにして、医師は、ワイア102を適当に位置決めしながら、標的とされる解剖学的構造で様々なパラメータのデータを取得することもでき、したがって医師は、関連する環境をより良好に理解することができ、患者を治療しながら適当な決定を下すことができる。
【0028】
[0042]無線システムは、たとえばパーソナルエリアネットワーク(PAN)(たとえば、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、BLE、NFCなど、極超短波電波通信)、ローカルエリアネットワーク(LAN)(たとえば、WIFI)、またはワイドエリアネットワーク(WAN)(たとえば、3G、LTE、5Gなど、セルラーネットワーク)を含むことができる。ワイアレスデータ伝送は、追加または別法として、無線周波(RF)センサ、赤外信号、または他のワイアレスデータ伝送手段など、光信号(光ファイバ線の使用の有無にかかわらず、赤外、可視無線)の使用を含むことができる。
【0029】
[0043]本明細書では、「電気信号」および「信号」はどちらも全体として、開示するシステム、デバイス、または方法の範囲内で任意の信号を指す。一方、「センサデータ信号」、「センサ信号」、または「データ信号」は、医療センサなどの医療デバイスによって生成されたコマンドまたは情報を搬送する任意の信号を指す。対照的に、「電力信号」または「エネルギー信号」は、センサなどの医療デバイスに電力を提供する任意の信号を指す。いくつかの場合、「信号」は、データ信号および電力信号の両方を含むことができる。
【0030】
[0044]センサデータ信号の処理は、全体をもしくは主に外部デバイス110で実施することができ、または別法として、遠隔サーバもしくは分散ネットワークなど、外部デバイス110に通信可能に接続された1つもしくは複数の他の外部デバイスで、少なくとも部分的に実施することができる。追加または別法として、センサデータ信号は、結合デバイス104、ワイア102、またはガイドワイアシステム100内のデバイスの何らかの組合せで処理することができる。センサデータ信号は、たとえば画像データ、位置データ、および/または様々なタイプのセンサデータ(流体の流れ、流体圧力、様々なガスまたは生物学的構成要素の存在/レベル、温度、他の物理パラメータなどに関係する)を含むことができる。
【0031】
[0045]以下でより詳細に説明するように、1つまたは複数のセンサは、ワイア102に結合することができ、1つまたは複数のセンサは、ワイア102を通って結合デバイス104へデータ信号を送信するように動作することができる。追加または別法として、結合デバイス104は、1つまたは複数のセンサへ電力または信号を送信するように動作することができる。
【0032】
[0046]図2は、本明細書に記載する特徴のうちの1つまたは複数を組み込むことができるカテーテルシステム200の概要である。カテーテルシステム200は、多くの点でガイドワイアシステム100に類似したものとすることができ、ガイドワイアシステム100に関係する上記の説明は、違いが明記されている場合を除いて、ここでも適用可能である。
【0033】
[0047]カテーテルシステム200は、カテーテル202および近位デバイス204(本明細書では「電力およびデータ結合デバイス204」または単に「結合デバイス204」と呼ぶこともできる)を含む。結合デバイス204は、制御ユニット212(拡大して概略的な形態で示す)を含み、制御ユニット212は、電源214、データ信号プロセッサ216、および任意選択で送信器218を含む。送信器218は、図1に関して上述したように、外部デバイス110(または複数のそのようなデバイス)へのワイアレス通信を可能にする。本明細書では、カテーテル202を一種の細長い導電部材と呼ぶことがある。
【0034】
[0048]データ信号プロセッサ216は、カテーテル202に付随する1つまたは複数のセンサ220からカテーテル202を通って送信されたセンサデータ信号を受信するように構成される。電源214は、カテーテル202を通って電力を伝送し、1つまたは複数のセンサ220および/またはカテーテル202の他の構成要素に電力供給するように構成される。電源214は、電池もしくは電池パックなど、内蔵電源を含むことができ、かつ/または外部電源への有線接続を含むことができる。1つまたは複数のセンサ220は、カテーテル202上の任意の好適な位置に配置することができるが、典型的には、標的とされる解剖学的構造に到達することが予期されるカテーテル202の遠位区分に配置される。センサ220は、たとえば接合、成形、共押出し、溶接、および/または接着の技法を用いることによって、カテーテル202に結合することができる。
【0035】
[0049]電力線および/またはデータ線201が、カテーテル202の長さに沿って1つまたは複数のセンサ220まで延びる。本明細書では、「電力線」および/または「データ線」は、医療デバイス内の任意の導電経路(たとえば、トレース)を指す。複数の電力および/またはデータ線201を利用することができるが、好ましい実施形態は、電力およびデータの両方を単一の線で送信し、かつ/または複数のセンサからのセンサデータ信号を単一の線で管理するように構成される。これにより、カテーテル202の構造を通って経路指定しなければならない線の数が低減され、デバイスの制限された空間がより効果的に利用され、ならびにデバイスの複雑さおよび関連するデバイス障害のリスクが低減される。
【0036】
[0050]近位デバイス204は、カテーテル202への流体(たとえば、薬剤、栄養物)の導入を容易にするために、1つまたは複数のポートを含むことができる。カテーテル202は、体内に一時的に挿入されるようにサイズ設定および構成することができ、体内に恒久的に移植されるようにサイズ設定および構成することができ、または体内にインプラントを送達するように構成することができる。一実施形態では、カテーテル202は、末梢挿入式中心カテーテル(PICC)線であり、典型的には、体の血管系へアクセスするように体の腕または脚に配置される。カテーテル202はまた、中心静脈カテーテル、IVカテーテル、冠状動脈カテーテル、ステント送達カテーテル、バルーンカテーテル、アテレクトミー型カテーテル、もしくはIVUSカテーテル、または他の撮像カテーテルとすることができる。カテーテル202は、シングルルーメンまたはマルチルーメンカテーテルとすることができる。
【0037】
[0051]図3Aは、図1のガイドワイアシステム100の別の図を提供する。ガイドワイアシステム100は、カテーテルシステム200と特定の特徴を共有しており、したがって共通部分の説明は、ガイドワイアシステム100にも同様に適用可能である。示されているように、ガイドワイアシステム100は、制御ユニット112(拡大して概略的な形態で示す)を含み、制御ユニット112は、電源114、データ信号プロセッサ116、および任意選択で送信器118を含む。送信器118は、上述したように、外部デバイス110(または複数のそのようなデバイス)へのワイアレス通信を可能にする。
【0038】
[0052]データ信号プロセッサ116は、ワイア102に付随する1つまたは複数のセンサ121からワイア102を通って送信されたセンサデータ信号を受信するように構成される。電源114は、ワイア102を通って電力を伝送し、1つまたは複数のセンサ121および/またはワイア102の他の構成要素に電力供給するように構成される。電源114は、電池もしくは電池パックなど、内蔵電源を含むことができ、かつ/または外部電源への有線接続を含むことができる。1つまたは複数のセンサ121は、ワイア102上の任意の好適な位置に配置することができるが、典型的には、標的とされる解剖学的構造に到達することが予期される遠位区分に配置される。本明細書では、「遠位区分」または「遠位部分」とは、デバイスの最も遠位の30cm、デバイスの最も遠位の20cm、デバイスの最も遠位の15cm、デバイスの最も遠位の10cm、または上記の値のうちのいずれか2つを終点として使用する範囲を指す。いくつかの実施形態では、「中間区分」とは、デバイスの中央約3分の1であると見なすことができ、「近位区分」または「近位部分」とは、デバイスの近位約3分の1であると見なすことができる。
【0039】
[0053]カテーテルシステム200とは異なり、ガイドワイアシステム100は、実際のワイア102自体を通ってこれらの電力およびデータ信号を送信するように構成される。いくつかの実施形態では、ワイア102を通って、複数の電力および/またはデータ信号(たとえば、複数のセンサ121からのデータ信号)を同時に送信することができる。電力および/またはデータ信号はまた、「連続」して送信することもできる。すなわち、電力および/またはデータ信号は、実際的に「実時間」となる時間枠内に情報がユーザへ提供されるように、十分に高いサンプリング速度を有することができる。ほとんどの応用例では、これは、約5秒以下、3秒以下、1秒以下のサンプリング速度、または1秒未満のサンプリング速度を含む。
【0040】
[0054]ワイア102自体を使用して、デバイスを通って電力および/またはデータ信号を送信することで、いくつかの利益が提供される。たとえば、ワイア102を使用してこれらの信号を伝送することで、センサ121を近位部分に接続するために、かつ/またはセンサへ電力を送達するために、ワイア102に沿って他の接続線を走らせる必要が低減またはなくされる。ガイドワイアが本質的に厳格な寸法および性能(たとえば、トルク性、屈曲、押込み性、剛性など)の制限を伴い、作業するための空間が制限されることを考慮すると、余分な構成要素を低減またはなくす能力により、制限された空間が自由になり、さらなる設計上の柔軟性が可能になる。また、追加の接続線の使用を低減またはなくすことで、デバイスの全体的な複雑さが低減され、それによって構成要素の障害のリスクが低減され、より頑強に機能するデバイスが得られる。
追加のセンサの詳細
[0055]ガイドワイアシステム100の1つもしくは複数のセンサ121、および/またはカテーテルシステム200の1つもしくは複数のセンサ121は、たとえば圧力センサ、流れセンサ、撮像センサ、または構成要素検出センサを含むことができる。圧力センサ(1つまたは複数)は、環境内の圧力の変化を感知するようにサイズ設定および構成することができる。流れセンサ(1つまたは複数)は、速度または他の流れ特性など、流体の流れを感知するようにサイズ設定および構成することができる。検出センサ(1つまたは複数)は、体の外部に位置決めされた1つまたは複数の検出ノードへの近接または距離を検出することができる。撮像センサは、様々な形態の撮像データを集めることができる。
【0041】
[0056]1つまたは複数のセンサは、追加または別法として、基質の存在を感知するように、または標的とされる解剖学的箇所(たとえば、血液)内の生理学的パラメータを測定するように構成することができる。検出/測定することができる生物学的構成要素の例には、血糖レベル、pHレベル、COレベル(CO分圧、重炭酸塩レベル)、酸素レベル(酸素分圧、酸素飽和度)、温度、ならびに他のそのような基質および生理学的パラメータが含まれる。1つまたは複数のセンサは、たとえば免疫系関連分子(たとえば、マクロファージ、リンパ球、T細胞、ナチュラルキラー細胞、単球、他の白血球など)、炎症マーカ(たとえば、C反応性蛋白、プロカルシトニン、アミロイドA、サイトカイン、α1-酸性糖蛋白、セルロプラスミン、ヘプシジン、ハプトグロビンなど)、血小板、ヘモグロビン、アンモニア、クレアチニン、ビリルビン、ホモシステイン、アルブミン、ラクテート、ピルベート、ケトン体、イオンおよび/もしくは栄養レベル(たとえば、グルコース、尿素、塩化物、ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄/フェリチン、銅、亜鉛、マグネシウム、ビタミンなど)、ホルモン(たとえば、エストラジオール、卵胞刺激ホルモン、アルドステロン、プロゲステロン、黄体形成ホルモン、テストステロン、チロキシン、チロトロピン、副甲状腺ホルモン、インスリン、グルカゴン、コルチゾール、プロラクチンなど)、酵素(たとえば、アミラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、リパーゼ、クレアチンキナーゼ)、脂質(たとえば、トリグリセリド、HDLコレステロール、LDLコレステロール)、腫瘍マーカ(たとえば、α-フェトプロテイン、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、癌胎児性抗原、前立腺特異抗原、カルシトニン)、ならびに/または毒素(たとえば、鉛、エタノール)など、生物学的構成要素の存在、不在、またはレベルを感知するように構成することができる。
【0042】
[0057]別途記載されない限り、センサ(総称として、または特有のタイプのセンサ)を参照するとき、支持電子機器も同様に含むことを理解されたい。支持電子機器は、たとえば、電力調整器、変換器、信号増幅器、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの処理構成要素などを含むことができる。1つまたは複数のセンサ121の支持電子機器は、1つまたは複数のセンサ121自体の近く(たとえば、基板上の遠位区分)に位置決めされることが好ましい。これは、支持電子機器をデバイスの近位区分に配置した場合と比較して、信号ドリフトを低減させることが有益であることが分かっている。支持電子機器(たとえば、ASIC)をセンサ121付近の遠位部分に配置し、ワイア102自体をデータ信号を近位端へ伝送する手段として使用することで、他の手法の顕著なドリフト問題なしに、効果的な信号伝送が提供される。
ガイドワイアセンサ配置および遠位特徴
[0058]図3Bは、図3Aのガイドワイアシステム100の遠位区分の拡大図を示し、遠位区分に配置された様々なセンサを示す。この実施形態では、1つまたは複数のセンサ121、220は、複数の圧力センサ120および超音波センサ122を含む。これらのセンサは基板124に位置決めされ、基板124は、センサをそれぞれの所望の位置に配置するようにワイア102に位置決めされる。基板124は、基板124でワイア102を包むこと、基板124をワイア102に巻き付けること、または他の方法で基板124をワイア102に位置決めすることを可能にする、ある程度可撓性がある材料(たとえば、好適な医療グレードポリマー)から作ることができる。基板124はまた、下にあるワイア102にセンサを結合するために、トレース線および/または1つもしくは複数の導電コンタクトなど、フレキシブル回路を含む。基板124は、ワイア102との摩擦嵌めを形成することができ、追加または別法として、ワイア102に機械的に接合することができる。
【0043】
[0059]センサを基板124に結合し、次いで基板124をワイア102上に配置することで、いくつかの利益が提供される。たとえば、基板124は、本質的に2次元のレイアウトに広げることができ、これによりセンサを適当に位置決めすることがはるかに容易になる。次いで、センサが結合された2次元の基板124は、各センサを別個にワイア102上に配置した場合より容易に、3次元の円筒形のワイア102上に配置することができる。特に、様々なセンサが基板124上で互いに対して適当に位置決めされることを確実にし、次いで基板124をワイア102上に位置決めすることは、3次元の円筒形のワイア102上で各センサの相対的な間隔を制御しようとするより容易である。しかし、少なくとも1つの実施形態では、2次元の基板124の利益は得られないが、様々なセンサを3次元のワイア102上に直接配置することもできることが理解されよう。別法として、基板が3次元のワイア102に適用された後、様々なセンサを基板に配置することもできる。
【0044】
[0060]示されている実施形態はまた、ワイア102のセンサ収容部分の上に位置決めすることができる外側部材126(ここでは破線で示す)を含む。外側部材126は、好適な医療グレードポリマー(たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエーテルブロックアミド(PEBA))から形成することができる。外側部材126は、センサの位置をさらに拘束および維持するように、かつ/またはより均一な外径のために外面を平滑にするように機能することができる。外側部材126は、チューブの定位置での締まり嵌め、浸漬コーティング、および/または当技術分野で知られている他の製造方法によって適用することができる。デバイスの外面に親水性コーティングを追加することもできる。
【0045】
[0061]図3Cは、図3Aに示すガイドワイアシステム100の遠位区分の別の概略図を示し、ワイア102に位置決めされた基板124に配置された複数の圧力センサ120および複数の超音波センサ122を示す。示されているように、デバイスの最も遠位の区分はまた、コイル128および/または非外傷性の先端130を含むことができる。コイル128は、単一のコイル、または複数の接続もしくは織り合わされたコイルとすることができる。追加または別法として、ワイア102の遠位区分にポリマー材料を位置決めまたは適用することができる。非外傷性の先端130は、ワイア102の遠位部分によって引き起こされる外傷から保護するために、球または他の湾曲した形状を形成する。非外傷性の先端130は、たとえばポリマー接着材料またははんだから形成することができる。
【0046】
[0062]示されているように、ワイア102は、ワイア102のより遠位の区分がより小さい直径になる研摩プロファイルを含むことができる。典型的なガイドワイアのサイズ(たとえば、0.3556mm(0.014インチ)、0.4572mm(0.018インチ)、0.6096mm(0.024インチ))の場合、ワイア102は、遠位端で約0.0508mm(0.002インチ)の直径になることができる。ワイア102の遠位端はまた、標準的な「リボン」形状を形成するように平坦にすることができる。
【0047】
[0063]示されている実施形態はまた、エネルギーハーベスタ132を含む。エネルギーハーベスタは、ワイア102内を進む電力信号を、センサに好適な調整されたDC電圧に変換するように構成される。少なくとも1つの実施形態では、ワイア102を通って進む電力信号は、電力およびデータ結合デバイス104からワイア102に進むAC電力信号を含む。エネルギーハーベスタ132はまた、たとえば障害または節電中のセンサへの電力の切断など、他の電気調整機能を提供することができる。追加として、本明細書では、別途指定されない限り、エネルギーハーベスタ132は、1つまたは複数のセンサ121の下位構成要素であると見なされる。したがって、別途記載されない限り、1つまたは複数のセンサ121の参照は、エネルギーハーベスタ132など、関連する回路も指す。
【0048】
[0064]追加として、少なくとも1つの実施形態では、エネルギーハーベスタは、1つまたは複数のセンサ121に対する制御機能を提供するように構成される。たとえば、特定の信号を電力およびデータ結合デバイス104からエネルギーハーベスタに通信することができる。特定の信号は、チャープ、インパルス機能、または特定の周波数チャネルの何らかの信号を含むことができる。エネルギーハーベスタは、特定の信号を所定のコマンドにマッピングし、次いでその所定のコマンドに作用する。たとえば、1つまたは複数のセンサに電力供給している1つまたは複数のレールへのDC電力を切断するように、特定の信号をコマンドにマッピングすることができる。したがって、特定の信号を受信したとき、エネルギーハーベスタは、1つまたは複数のセンサへの電力の提供を停止し、それにより1つまたは複数のセンサをオフにする。任意の数の異なる信号を、任意の数の異なるコマンドにマッピングすることができる。追加として、少なくとも1つの実施形態では、エネルギーハーベスタ以外の回路が、信号を受信し、信号を解釈し、かつ/または信号に作用する。
【0049】
[0065]基板124を含む(したがって、センサを含む)ワイア102の長さは、約3cmから約30cm、またはより典型的には約5cmから約15cmとすることができるが、これらの長さは、特定の応用例の必要に応じて変更することができる。図4Aから図4Dの例に関して以下で説明するように、好ましい実施形態では、センサ配置の長さは実質的に、病変/狭窄または他の標的解剖学的構造の予期される長さに及ぶ。圧力センサ120の線形の配置を利用することで、ワイア102を動かす必要なしに、標的とされる解剖学的構造に圧力マッピングを提供することができる。複数のセンサからの複数の測定を、同時にかつ/または連続して行うことができる。また、圧力センサ120の配置を利用することで、脈波伝播速度(PWV)を測定することができ(たとえば、一連の波のピークを判定し、ピーク間の時間を測定することによる)、かつ/またはパルス波形の空間追跡を提供することができる。
標的解剖学的構造内の局所化の方法
[0066]図4Aから図4Dは、標的とされる解剖学的箇所における医療デバイスの位置決めおよび配置を効果的に案内するためのガイドワイアシステム100の使用を示すシーケンスを示す。この特定の例では、ガイドワイアシステム100は、標的とされる狭窄404にステント406を適切に位置決めするために使用される。
【0050】
[0067]図4Aは、血管402内に、位置決めされた圧力センサ120を有するワイア102を示す(より見やすいように他の構成要素は除去されている)。ワイア102は、圧力センサ120の配置が狭窄404に及ぶ、または少なくとも実質的に狭窄404に一致する位置まで、血管402を通って経路指定される。狭窄404が血管402のその部分に圧力差を引き起こすため、圧力センサ120の線形の配置によって狭窄404に一致するようにワイア102を効果的に位置決めすることが可能になり、ユーザは、それらの圧力差がセンサ120によって読み取られるまで、ワイア102を前進させることができる。たとえば、血管402が冠状動脈である場合、狭窄404の遠位の圧力は、狭窄404の近位の圧力よりやや低い。最も遠位の圧力センサのうちの1つまたは複数が異なる圧力(たとえば、冠状血管狭窄内のやや低い圧力)の領域に到達するまで、ワイア102を前進させることができる。
【0051】
[0068]次いでステント406が、ワイア102を介して狭窄404の方へ送達される。ワイア102に対するステント406の位置は、圧力センサ120からの読取りに基づいて判定することができる。たとえば、ステント406が遠位に動かされるにつれて、ステント406は圧力センサ120を順次通過し始め、センサの圧力読取りの変化を引き起こし、それによってユーザがワイア102に対するステント406の位置を判定することが可能になる。
【0052】
[0069]図4Bは、血管402内でその標的箇所に向かってより遠くに位置決めされたステント406を示す。送達カテーテル408も示されている。ここに示すようなステント送達の応用例では、送達カテーテル408をバルーンカテーテルとすることができ、またはステント406を自己展開式のステントとすることができる。当技術分野で知られている他のステントタイプおよびステント送達手段を利用することもできる。ステント406の適切な位置決めは、圧力センサ120から受信した読取りに基づいて、狭窄404に対するワイア102の位置が分かることから可能になる。したがって、追加として、ステント406がワイア102に対してどこに位置決めされたかを判定することで、狭窄404に対するステント406の位置の判定が可能になる。
【0053】
[0070]ステント406が標的狭窄404に対して適切な位置にあることが判定された後、図4Cに示すように、ステント406を展開することができる。展開後、ステント後の評価中、ワイア102はしばらく定位置に留まることができる。次いで、ワイア102を血管402から後退させ、図4Dに示すようにステント406を定位置に残すことができる。
【0054】
[0071]したがって、ワイア102の長さに沿って位置決めされたセンサにより、ガイドワイアシステム100は、医療デバイスの位置決めを案内するために、局所化された基準枠(すなわち、標的の局所化された解剖学的構造内の基準枠)を提供することができる。これは、標的解剖学的構造が常に静止しているわけではないことから有益である。たとえば血管構造の応用例では、心拍により血管は常に動く。ガイドワイアシステム100の遠位区分によって画定される局所化された基準枠は、基準枠が配置された標的解剖学的構造とともに実質的に動き、位置決めに関する多くの複雑さが除去され、それによってステントおよび/または他の医療デバイスを位置決めする能力が改善される。
【0055】
[0072]この局所化された基準枠はまた、順次測定を行うためにワイア102を動かす必要がないことから、比較的安定している。追加として、センサ120は、ステントまたは他の医療デバイスの配置中にセンサデータ信号を連続して同時に提供することが可能である。これにより、医師がステントまたは他の医療デバイスを体内の所望の位置へ実時間で案内することが可能になる。すなわち、センサ120の線形の配置により、他の位置で測定を行うためにワイア102を「後退」させる必要なしに、複数の測定が可能になる。さらに、上述したように、システムは、複数のセンサからの複数の測定を同時に提供するように構成され、それによりセンサの長さに沿って順次測定の「仮想後退」を行う必要さえもなくすことができる。
【0056】
[0073]図4Aから図4Dに示す処置は、標的解剖学的構造内の局所化のためにガイドワイアシステム100を使用する一例である。ガイドワイアシステム100および/またはカテーテルシステム200は、システムの局所化特徴が有益になる他の応用例でも利用することができる。たとえば、本明細書に記載する局所化特徴を利用することで、大静脈心房接合部など、標的とされる部位における、PICCカテーテルまたは中心静脈カテーテルの適切な配置を支援することができる。
電力およびデータ導電経路としての細長い導電部材
[0074]図5は、ワイア102に追加されている延長ワイア500を示す。様々な使用事例では、ワイア102を患者の体内でより良好に位置決めおよび/または操作するために、ワイア102を延ばすことが必要になることがある。示されている延長ワイア500は、それだけに限定されるものではないが、ねじ接続、磁気接続、圧入接続、スナップ接続、または接着接続を含む任意の数の異なる物理結合を介して、ワイア102に結合することができる。
【0057】
[0075]少なくとも1つの実施形態では、その結果得られる物理結合により、延長ワイア500からワイア102への連続導電経路が得られる。したがって、少なくとも物理結合および電気結合によって、延長ワイア500およびワイア102の両方を合わせて考慮し、「ワイア102」と呼ぶことがある。より具体的には、延長ワイア500に印加される電気信号が、延長ワイア500からワイア102に伝播する。それに応じて、別途記載されない限り、本明細書に提供するワイア102についてのすべての説明が、延長ワイア500がワイア102に取り付けられるときにも適用される。追加として、本明細書に開示するいずれの細長い導電部材も、互いに取外し可能に取り付けられた複数の延長部を備えることができることが理解されよう。
【0058】
[0076]少なくとも1つの実施形態では、ガイドワイアシステム100は、同時電力およびデータ伝達のための医療デバイスシステムを備える。特に、ガイドワイアシステム100は、一種の細長い導電部材を備えることができる。本明細書では、細長い導電部材は、近位部分および遠位部分を含む。細長い導電部材の少なくとも一部分は、腔内空間へ挿入されるように構成される。追加として、細長い導電部材の近位部分および遠位部分の両方が、導電性を有することができる。
【0059】
[0077]少なくとも1つの実施形態では、細長い導電部材は、近位部分から遠位部分に延びる単一の導電経路を備える。たとえば、単一の導電経路は、ガイドワイアシステム100内にステンレス鋼ワイア102を備えることができる。追加または別法として、細長い導電部材は、近位部分から遠位部分に延びる複数の導電経路を備える。たとえば、カテーテルシステム200は、カテーテル202の構造内に一体化された複数のワイアを備えることができる。追加として、少なくとも1つの実施形態では、細長い導電部材は、電力チャネルとして使用するための第1の導電経路と、信号チャネルとして使用するための第2の導電経路とを備えており、第1の導電経路および第2の導電経路はどちらも、近位部分から遠位部分に延びる。
【0060】
[0078]本明細書では、細長い導電部材は、幅より長さが大きい任意の導電構成要素を含む。たとえば、細長い導電部材は、ワイア102を含む。例および説明のために、細長い導電部材をワイア102と呼ぶこともあるが、ワイア102は可能な細長い導電部材のサブセットであることが理解されよう。たとえば、細長い導電部材はまた、カテーテル202を含むことができる。
【0061】
[0079]上述したように、1つまたは複数のセンサ121は、細長い導電部材に電気的に接続することができる。追加として、細長い導電部材を含む医療デバイスはまた、1つまたは複数の電気構成要素を備えることができ、1つまたは複数の電気構成要素は、1つまたは複数の電気構成要素が起動されると医療デバイスシステムに様々な行動を実行させるように物理的に構成される。本明細書では、1つまたは複数の電気構成要素は、ディスクリート回路構成要素、デジタル回路構成要素、アナログ回路構成要素、プロセッサ、またはこれらの任意の組合せを備えることができる。1つまたは複数の電気構成要素は、制御ユニット112もしくは212内、外部デバイス110内、および/または細長い導電部材上に一体化することができる。1つまたは複数の電気構成要素を起動することは、1つまたは複数の電気構成要素に電力を提供することを含むことができる。
【0062】
[0080]少なくとも1つの実施形態では、1つまたは複数の電気構成要素により、医療デバイスシステムは、複数の一意の連続セグメントに信号空間を割り当てる。信号空間内の各セグメントは、データ、電力、または他の情報を通信する目的で使用することができる信号空間の一部分を構成する。信号空間は、周波数領域空間、時間領域空間、または信号を搬送することが可能な任意の他の空間を含むことができる。追加として、信号空間を割り当てることは、関心信号チャネルを動的に識別することを含むことができる。別法として、信号空間を割り当てることは、信号空間を静的に画定するように構成された電気構成要素を提供することを含むことができる。
【0063】
[0081]たとえば、図6Aおよび図6Bは、医療デバイスの電気概略図の異なる実施形態を示す。図7は、医療デバイスによって利用されるように構成されたチャネルを示す。少なくとも1つの実施形態では、1つまたは複数の電気構成要素は、複数の一意の連続セグメントの各々を、(i)1つもしくは複数の電力チャネルまたは(ii)1つもしくは複数の信号チャネルのうちの1つに一意に割り当てる。少なくとも1つの実施形態では、一意に割り当てるということは、各連続セグメントが電力チャネルまたは信号チャネルとして割り当てられることを指す。いくつかの実施形態では、複数の電力チャネルおよび複数の信号チャネルが存在することができる。
【0064】
[0082]図6Aは、周波数に基づく医療デバイスシステムの概略図を示す。特に、1つまたは複数の電気構成要素により、医療デバイスシステムは、複数の一意の連続周波数領域(たとえば、710(a~e))を指定することによって、複数の一意の連続セグメントに信号空間を割り当てる。さらに、1つまたは複数の電気構成要素により、医療デバイスシステムは、複数の一意の連続周波数領域の各々を、(i)1つもしくは複数の電力チャネルまたは(ii)1つもしくは複数の信号チャネルのうちの1つに一意に割り当てる。
【0065】
[0083]図6Bは、時間に基づく医療デバイスシステムの概略図を示す。特に、1つまたは複数の電気構成要素により、医療デバイスシステムは、複数の一意の連続時間スロット(たとえば、710(a~e))を指定することによって、複数の一意の連続セグメントに信号空間を割り当てる。さらに、1つまたは複数の電気構成要素により、医療デバイスシステムは、複数の一意の連続時間スロットの各々を、(i)1つもしくは複数の電力チャネルまたは(ii)1つもしくは複数の信号チャネルのうちの1つに一意に割り当てる。
【0066】
[0084]図7は、信号空間700が、複数の一意の連続セグメントを複数の周波数チャネル710(a~e)の形態で含むことができることを示す。各周波数チャネルは、細長い導電部材上に位置する電子デバイスに電力を提供するための電力チャネルとして割り当てることができ、または細長い導電部材上の電子デバイスからデータを受信するための信号チャネルとして割り当てることができる。少なくとも1つの実施形態では、電子デバイスはセンサ121を備える。
【0067】
[0085]追加または別法として、信号空間700は、複数の一意の連続セグメントを時間スロット710(a~e)の形態で含むことができる。各時間スロットは、クロックに基づいて画定することができる。追加として、各時間スロットは、細長い導電部材上に位置する電子デバイスに電力を提供するための電力チャネルとして割り当てることができ、または細長い導電部材上の電子デバイスからデータを受信するための信号チャネルとして割り当てることができる。
【0068】
[0086]たとえば、図6Aおよび図6Bは、電源610に結合された細長い導電部材600を示す。電源610は、細長い導電部材600を介して、細長い導電部材600に電気的に接続している1つまたは複数のセンサ121(a~c)へ電気信号を送信するように構成することができる。特に、電源610は、周波数チャネル710aなど、特定の一意の連続セグメント内で、AC電気信号を送信することができる。少なくとも1つの実施形態では、細長い導電部材600は電源610に容量結合されており、したがって細長い導電部材600と電源610との間に直接の物理的な接触は存在しない。別法として、少なくとも1つの実施形態では、細長い導電部材600と電源610との間に直接の物理的な接触が存在することもできる。
【0069】
[0087]次に図3Cを再び参照すると、ワイア102の形態の細長い導電部材が、エネルギーハーベスタ132を含むことが示されている。本明細書では、エネルギーハーベスタ132とは、割り当てられた電力チャネルからエネルギーを収集するように構成された電子回路を指す。特に、エネルギーハーベスタ132は、1つまたは複数の電力チャネルのうちの少なくとも1つ、この例では周波数チャネル710a内の電気信号からエネルギーを収集するための電子回路を備えることができる。次いで、収集されたエネルギーは、1つまたは複数のセンサ121のうちの少なくとも1つへ提供される。
【0070】
[0088]少なくとも1つの実施形態では、電源610は、1つまたは複数の電力チャネルのうちの少なくとも1つの内のエネルギーを伝送し、1つまたは複数の電力チャネルのうちの少なくとも1つを通って1つまたは複数のセンサ121のすべてへ電力を提供する。したがって、1つまたは複数のセンサのうちの各センサが、1つまたは複数の電力チャネルのうちの少なくとも1つによって表される信号空間の特定の一意の連続セグメントからエネルギーを収集する。
【0071】
[0089]追加または別法として、少なくとも1つの実施形態では、電源610は、1つまたは複数の電力チャネルのうちの第1の電力チャネル(たとえば、710a)内のエネルギーを伝送し、1つまたは複数の電力チャネルのうちの第1の電力チャネルは、信号空間の第1の一意の連続セグメントを含む。追加として、電源610は、1つまたは複数の電力チャネルのうちの第2の電力チャネル(たとえば、710b)内のエネルギーを伝送し、1つまたは複数の電力チャネルのうちの第2の電力チャネルは、信号空間の第2の一意の連続セグメントを含む。次いで、細長い導電部材600は、1つまたは複数の電力チャネルのうちの第1の電力チャネルを通って、1つまたは複数のセンサのうちの第1のサブセットへエネルギーを提供する。1つまたは複数のセンサのうちの第1のサブセットの各センサは、信号空間の第1の一意の連続セグメントからエネルギーを収集するように構成される。同様に、細長い導電部材600は、1つまたは複数の電力チャネルのうちの第2の電力チャネルを通って、1つまたは複数のセンサのうちの第2のサブセットへエネルギーを提供する。1つまたは複数のセンサのうちの第2のサブセットの各センサは、信号空間の第2の一意の連続セグメントからエネルギーを収集するように構成される。
【0072】
[0090]それに応じて、少なくとも1つの実施形態では、細長い導電部材600は、独立した電力チャネルを通って、異なる組のセンサに電力を提供する。これにより、同時にセンサのすべてを選択的に起動する能力、または異なる時間にセンサのサブセットのみを起動する能力が、ユーザに提供される。追加として、1つまたは複数のセンサは、少なくとも第1のタイプの第1のセンサおよび第2の異なるタイプの第2のセンサを含むことができる。それに応じて、少なくとも1つの実施形態では、ユーザは、センサタイプに基づいてセンサを起動することができる。本明細書に開示するように、こうしたセンサの選択的制御およびセンサとの通信は、ワイア102など、単一の導電経路を介して実行することができる。
【0073】
[0091]1つまたは複数のセンサ121からの少なくとも1つのセンサが、収集されたエネルギーを受信し始めた後、少なくとも1つのセンサが、少なくとも1つのセンサによって受信した読取りに基づいて、データ信号を生成し始める。図6Aは、各々細長い導電部材600に沿って特定の周波数で伝送する1組のセンサ121(a~c)を示す。たとえば、センサ121aが周波数fに追加され、次いで各々独自の周波数の任意の他のデータ信号と加算される。このシステムにより、細長い導電部材600を介して複数のデータ信号を同時に並行して通信することが可能になることが理解されよう。
【0074】
[0092]追加として、図6Aは、1つまたは複数の電気構成要素により、医療デバイスシステムが、伝送されたデータ信号を1つまたは複数の信号チャネルのうちの少なくとも1つから分離することを示す。上述したように、データ信号は、細長い導電部材600を介して伝送され、1つまたは複数のセンサ121(a~c)によって生成される。細長い導電部材600はまた、電力およびデータ結合デバイス630(図2で近位デバイス204とも呼ぶ)に結合される。少なくとも1つの実施形態では、細長い導電部材600は電力およびデータ結合デバイス630に容量結合されており、したがって細長い導電部材600と電力およびデータ結合デバイス630との間に物理的な接続は存在しない。別法として、少なくとも1つの実施形態では、細長い導電部材600と電力およびデータ結合デバイス630との間に物理的な接続が存在することもできる。
【0075】
[0093]電力およびデータ結合デバイス630は、細長い導電部材600に沿って通信されるそれぞれのデータ信号を分離することを可能にする複数の周波数フィルタ632(a~c)を備える。複数の周波数フィルタ632(a~c)の各々はまた、データ信号を増幅するように構成された増幅器として機能することができる。追加または別法として、少なくとも1つの実施形態では、電力およびデータ結合デバイス630は、複数の伝送されたデータ信号を並行して分離する。複数のデータ信号からの各データ信号が、複数の一意の連続周波数領域から選択された異なる一意の連続周波数領域に関連付けられる。電力およびデータ結合デバイス630は、分離されたデータ信号を表示および/または処理のために外部デバイス110へ通信するように構成された送信器640をさらに備える。
【0076】
[0094]図6Bは、各々時間スロット内の細長い導電部材600に沿って伝送する1組のセンサ121(a~c)を示す。たとえば、各センサ121(a~c)が、クロック信号650aによって判定された特定の時間スロットにおいて、細長い導電部材600を介してデータ信号を通信する。追加として、図6Bは、細長い導電部材600が電力およびデータ結合デバイス630にも結合されることを示す。電力およびデータ結合デバイス630は、クロック650aと同期されたクロック650bと通信するフィルタ660を備える。同期されたクロック650a、650bの組合せおよびフィルタ660により、電力およびデータ結合デバイス630がそれぞれの各時間スロット内のデータ信号を分離することが可能になる。電力およびデータ結合デバイス630は、分離されたデータ信号を表示および/または処理のために外部デバイス110へ通信するように構成された送信器640をさらに備える。
電力およびデータ結合デバイス
[0095]図8A図8Dは、電力およびデータ結合デバイス104の様々な実施形態を示す。示されているこれらの特定の実施形態では、電力およびデータ結合デバイスは、止血バルブを備える。しかし、本明細書に提供する開示を考慮すると、標準的なバルブまたは他のインライン構成要素(必ずしもバルブを含むとは限らない)が類似の機能および構造を提供することもできることが理解されよう。本明細書では、電力およびデータ結合デバイスは、第1の導電面から第2の導電面へ電界を通って電力およびデータを伝送するデバイスを備える。追加として、電力およびデータ結合デバイス104は、電力を提供し、医療デバイス上に配置されたセンサからデータ信号を受信することができる。
【0077】
[0096]たとえば、電力およびデータ結合デバイスは、ワイア102など、医療デバイスに容量結合することができる。容量結合により、電力およびデータ結合デバイスが医療デバイスへ電力を提供し、データ信号を受信しかつ/または医療デバイスへ伝送することが可能になる。特に、少なくとも1つの実施形態では、第1の導電面は第2の導電面に物理的に接触していない。しかし、少なくとも1つの実施形態では、第1の導電面が第2の導電面に物理的に接触することもできることが理解されよう。
【0078】
[0097]上述したように、第1の導電面と第2の導電面との間に直接の物理的な接触が存在しないことで、医師は、ガイドワイアシステム100内のワイア102など、第2の導電面の上で、または第2の導電面に隣接して、ステントなど、第2の細長い導電部材を平行移動させることが可能になる。追加として、第1の導電面と第2の導電面との間の容量結合により、第2の細長い導電部材(たとえば、ステント)が第1の導電面と第2の導電面(たとえば、ワイア102)との間に位置決めされているときに、外部デバイス110が信号を受信し続けることが可能になる。
【0079】
[0098]たとえば、図8Bは、電力およびデータ結合デバイス104の断面図を示す。示されている電力およびデータ結合デバイス104は、電力およびデータ結合デバイス104に一体化された第1の導電面800aを備えることができ、第1の導電面800aは、電界を介して第2の導電面に結合するように構成される。電界を介した結合は、容量結合を含むことができる。
【0080】
[0099]たとえば、図8Cは、ワイア102の形態の第2の導電面830を示す。上述したように、ガイドワイアシステム100は、導電ワイア102を備えることができる。同様に、図8Dは、カテーテル202の形態の第2の導電面840を示す。上述したように、カテーテルシステム200は、カテーテル202を備えることができ、カテーテル202は、カテーテル自体に埋め込まれて第1の導電面800aがカテーテル202に容量結合することを可能にするワイアなど、導電構成要素を有する。示されている例では、第2の導電面834、840の少なくとも一部分は、第1の導電面800aによって取り囲まれているが、本明細書に開示する医療デバイスの動作のためにそのような構成は必要とされないことが理解されよう。たとえば、第1の導電面800は、第1の導電面800と第2の導電面830、840との間に容量結合が生じるように、第2の導電面830、840の一部分を囲むことができ、第2の導電面830、840に隣接することができ、第2の導電面830、840によって囲むことができ、または他の形で第2の導電面830、840に対して位置決めすることができる。追加として、ワイア102およびカテーテル202は第2の導電面の例としてのみ提供されており、他の医療デバイスを第2の導電面として利用することもできることが理解されよう。
【0081】
[0100]少なくとも1つの実施形態では、第2の導電面830、840は、第1の導電面800aに対して平行移動可能とすることができる。たとえば、ワイア102は、第1の導電面800aおよび電力およびデータ結合デバイス104全体の両方に対して平行移動可能とすることができ、したがってワイア102が平行移動している間に、電力およびデータ結合デバイス104がワイア102に電力およびデータ結合を提供することが可能になる。そのような特徴により、電力およびデータ結合デバイスがワイア102上の1つまたは複数のセンサ121に電力を提供し、ワイア102上の1つまたは複数のセンサ121からデータ信号を受信し続ける間に、人体内にワイア102を位置決めして動かすことが可能になることが理解されよう。
【0082】
[0101]上述したように、第1の導電面800aは、電界を通って第2の導電面へ電力を提供するための電源に接続することができる。たとえば、図8Bは、電力およびデータ結合デバイス104内に一体化された電池810を示す。追加または代替の実施形態では、電力およびデータ結合デバイス104は、出口など、有線の電源に物理的に接続することができる。しかし、電力およびデータ結合デバイス104内に電池810を一体化することで、医療処置中に電力およびデータ結合デバイス104を使用するとき、著しく良好な移動性および使いやすさが提供されることが理解されよう。
【0083】
[0102]第1の導電面800aは、第2の導電面830、840へ電力を運ぶように構成された時間変化する電界を放射するように構成することができる。たとえば、第1の導電面800aが第2の導電面830、840上の電荷を誘起するように、第1の導電面800aを第2の導電面830、840に容量結合することができる。結果として得られる容量結合により、ワイア102上に配置された1つまたは複数のセンサ121へ電力またはエネルギーを運ぶことができる。
【0084】
[0103]追加として、第1の導電面800aは、第2の導電面830、840から信号を受信するように構成されたピックアップに接続することができる。たとえば、図8Bは、ピックアップを通って第1の導電面800aと通信する送信器820を示す。送信器820は、ピックアップを通って第1の導電面からデータ信号を受信し、それらのデータ信号を外部デバイス110へ伝送することが可能である。少なくとも1つの実施形態では、送信器820はまた、上述した方法を使用して信号(データ信号とも呼ぶ)を分離するように構成された信号コレクタを備える。追加または別法として、信号コレクタは、少なくとも部分的に外部デバイス110に位置することができる。同様に、少なくとも1つの実施形態では、送信器820はまた、信号を処理するように構成された1つまたは複数のプロセッサを備える。そのような処理は、これらの信号の様々な信号処理および分析を含むことができる。追加または別法として、1つまたは複数のプロセッサは、少なくとも部分的に外部デバイス110内に位置することができる。
【0085】
[0104]開示する実施形態は、医療デバイスに電力を提供し医療デバイスからデータ信号を受信するための非常に用途の広い革新的な解決策を提供する。たとえば、第1の導電面800aは、同時に、(i)第2の導電面830、840へ電力信号を提供し、かつ(ii)第2の導電面830、840からデータ信号を受信するように構成することができる。さらに、第1の導電面800aは、同時に、(i)第2の導電面へ複数の異なる電力信号を提供し、かつ(ii)第2の導電面から複数の異なるデータ信号を受信するように構成することができる。複数の異なる電力信号のうちの各電力信号は、異なる組の医療センサへ電力を提供するように構成することができ、複数の異なるデータ信号のうちの各データ信号は、異なるグループの医療センサからのデータを提供することができる。
【0086】
[0105]図6Aおよび図6Bに関して上記で説明したように、信号空間内の複数の異なるセグメントを、電力チャネルまたは信号チャネルとして割り当てることができる。電力およびデータ結合デバイス104は、特定の組のセンサに電力供給するために、特定の電力チャネルへ電力を選択的に提供することが可能である。同様に、電力およびデータ結合デバイス104は、電力チャネルを通って電力供給されている1つまたは複数のセンサ121から、実時間データ信号を並行して受信することが可能である。
【0087】
[0106]図8B図8Dはまた、第1の導電面が、複数の物理的に別個の導電面800a、800b、800cを含むことができることを示す。物理的に別個の導電面800a、800b、800cのいずれかが、キャパシタ内に導電面を含むことができ、したがってそれを「第1の導電面」と呼ぶことがあることが理解されよう。少なくとも1つの実施形態では、複数の物理的に別個の導電面から選択される各導電面800a、800b、800cは、特定の異なる組の医療センサ121からデータ信号を受信するように構成することができる。たとえば、いくつかの状況では、特有のデータ信号に対して特有の導電面800a、800b、800cを利用することで、より低い信号対雑音比を可能にすることができる。
【0088】
[0107]さらに、個々の導電面800a、800b、800cは、特定の機能のために特に設計することができる。たとえば、複数の物理的に別個の導電面から選択される第1の導電面800aは、少なくとも1つの医療センサへ電力を提供するように構成することができ、複数の物理的に別個の導電面から選択される第2の導電面800bは、少なくとも1つの医療センサからデータ信号を受信するように構成することができる。それに応じて、第1の導電面800aは、電力を提供するように特に設計することができ、第2の導電面800bは、データ信号を受信するように設計することができる。そのような設計仕様は、個々の表面のサイズ、個々の表面の材料構造、および/または個々の表面の形状に関することができる。
【0089】
[0108]図8Eは、1つまたは複数の細長い導電部材を囲む電力およびデータ結合デバイス104の一実施形態を示す。特に、示されている実施形態は、電力およびデータ結合デバイス104内に囲まれたワイア102およびカテーテル202を示す。示されている実施形態では、ワイア102は、「急速交換」結合によってカテーテル202に結合することができる。急速交換結合は、ワイア102を囲むカテーテル202の遠位部分と、カテーテル202の近位部分に隣接して走るワイア102の近位部分とを含む。代替実施形態では、ワイア102は、オーバ^・ザ・ワイア(OTW)結合によってカテーテル202に結合することができ、したがってカテーテル202は、少なくとも電力およびデータ結合デバイス104からカテーテル202の遠位部分まで、ワイア102を囲む。いずれの場合も、電力およびデータ結合デバイス104は、ワイア102内の導電面830および/またはカテーテル202内の導電面840のうちの1つまたは複数に結合するように構成される。
【0090】
[0109]少なくとも1つの実施形態では、ワイア102が導電面を含むとき、カテーテル202は導電面840を含まないことがある。そのような場合、ワイア102は、カテーテル202の遠位部分上に配置されたセンサへエネルギーを提供するように構成することができる。さらに、少なくとも1つの実施形態では、単一の処置中に複数の電力およびデータ結合デバイス104を使用することができ、したがって所与の細長い導電部材が、複数の電力およびデータ結合デバイス104を通って進み、かつ/または複数の細長い導電部材が、異なる電力およびデータ結合デバイス104を通って進む。
【0091】
[0110]図9は、電力およびデータ結合デバイス104の別の実施形態をチューブ900の形態で示す。特に、図9は、第1の導電面800として使用される導電チューブ900を示す。信号入力線910が、導電チューブ900に接続しており、チューブ900へ電力を提供し、チューブ900から信号を受信することができる。導電チューブは、電力およびデータ結合デバイス104の一例としてのみ提供されることが、当業者には理解されよう。様々な追加または代替の実施形態では、電力およびデータ結合デバイス104は、医療デバイスへ電力を提供しかつ/または医療デバイスからデータ信号を受信するために医療デバイスの第2の導電面に結合するように構成された第1の導電面を有する任意のデバイスを含むことができる。
【0092】
[0111]図10A図10Cは、電力およびデータ結合デバイス104内の導電面800の実施形態を示す。図8A図8Dと同様に、電力およびデータ結合デバイス104は、電池810および送信器820を備える。しかし、図10Aでは、電力およびデータ結合デバイス104から外側シェルが除去されている。示されている電池810および送信器820は、例示の目的で、簡略化された形態で示されていることが理解されよう。
【0093】
[0112]図10Bに示すように、少なくとも1つの実施形態では、第1の導電面800は、カール形状を含む。電力入力線1000が、第1の導電面800上の供給部1010に物理的に接続される。電力入力線1000は、導電面800へエネルギーを提供することと、第1の導電面800からデータ信号を受信することの両方を行うことができる。
【0094】
[0113]少なくとも1つの実施形態では、供給部1010は、第1の導電面800と第2の導電面830、840との間の結合のインピーダンスを実質的に整合させるようにサイズ設定される。電力入力線によって印加される信号の周波数によって、少なくとも部分的に、第1の導電面800と第2の導電面830、840との間の結合を画定することができることが理解されよう。たとえば、電力入力線1000は、40MHzから80MHzの周波数で、供給部1010へ電力信号を提供することができる。そのような周波数範囲により、ワイア102またはカテーテル202などの細長い導電部材上に取り付けられたセンサへ電力が提供される効率に関する技術的な利益が提供されることが観察された。少なくとも1つの実施形態では、供給部を適切にサイズ設定することでまた、細長い導電部材に取り付けられたセンサへ電力入力線1000によってエネルギーを提供することができる効率に関して著しい利益が提供される。
【0095】
[0114]追加または代替の実施形態では、第1の導電面800は、リングの外面から延びる供給部1010を有するリングを含めて、任意の数の異なる形状を含む。追加として、少なくとも1つの実施形態では、供給部1010は、供給部1010が第1の導電面800から離れる方へ延びる総距離を維持または減少しながら、供給部1010により大きい表面積を提供するために、非平面の表面、たとえば波紋を含むことができる。
【0096】
[0115]図10Cは、電力入力線1000に接続された三角形の供給部1020を備える第1の導電面800の一実施形態を示す。少なくとも1つの実施形態では、三角形の供給部1020は、電力入力線1000から第1の導電面800へのエネルギーの分配の効率を増大させることができる。
【0097】
[0116]少なくとも1つの実施形態では、電力およびデータ結合デバイス104は、電力およびデータ結合デバイス104または細長い導電部材の動作に関する情報を示すためのインジケータを備える。インジケータは、音声アラート、視覚アラート(たとえば、光)、アラート機能を実行する外部デバイスへの通信、および/または任意の他のタイプのアラートを含むことができる。たとえば、送信器820は、電力およびデータ結合デバイス104を通って進む電力の遮断、および/または電力およびデータ結合デバイス104によって受信されるデータ信号の低品質を検出することができる何らかの処理能力を含むことができる。そのような場合、ユーザに問題を通知するために、電力およびデータ結合デバイス104によりアラートの指示を発行することができる。
【0098】
[0117]図11A図11Cは、ガイドワイアシステム100の様々な信号概略図を示す。しかし、類似の電気回路を、カテーテル202を含む任意の細長い導電部材600に一体化することもできることが理解されよう。図11Aの概略図は、動脈圧を集めて表示するための回路を示す。特に、動脈圧1102は、容量圧力センサ1104によって集められるが、別法として、任意の数の異なる圧力センサタイプを使用することもできることが理解されよう。容量圧力センサ1104は、静電容量-電圧変換器1106を利用し、容量圧力センサ1104によって測定された特定の静電容量に基づいて、特定の電圧を生成する。
【0099】
[0118]特定の電圧は、電圧制御発振器(「VCO」)1108によって、特定の波形を生成するように処理される。次いで、この特定の波形は、細長い導電部材600を介して細長い導電部材600の遠位部分から細長い導電部材600の近位部分へ伝送される。この例では、細長い導電部材600は、ガイドワイアシステム100内のワイア102を含む。少なくとも1つの実施形態では、特定の波形は、特定の周波数チャネルによって画定される信号チャネルなど、信号空間の特定の一意の連続セグメント内で伝送される。
【0100】
[0119]特定の波形が細長い導電部材600の近位部分に到達した後、容量ピックアップ1110が、信号空間の特定の一意の連続セグメント内の特定の波形を検出する。少なくとも1つの実施形態では、容量ピックアップ1110は、電力およびデータ結合デバイス630内に一体化される。少なくとも1つの実施形態では、電力およびデータ結合デバイス630は、変化する電界を通って、細長い導電部材600と容量通信することができる。容量ピックアップ1110は、検出した波形を位相ロックループ(PLL)1112へ通信し、次いで波形は、電圧1114に変換される。次いで、その結果得られる電圧1114を処理し、圧力読取りとしてエンドユーザへ表示することができる(1116)。
【0101】
[0120]図11Bは、パルスエコーを集めて表示するための回路を示す。特に、パルスエコーは、超音波パルスエコーセンサ1118によって集められる。超音波パルスエコーセンサ1118は、振幅変調された波1120を生成する。次いで、時間に対する電圧の包絡線1122が作成される。少なくとも1つの実施形態では、時間に対する電圧の包絡線は、Hilbert変換回路を使用して作成される。その結果得られる信号は、代表信号を生成するように、電圧制御発振器(「VCO」)1124によって処理される。次いで、代表信号は、細長い導電部材600を介して細長い導電部材600の遠位部分から細長い導電部材600の近位部分へ伝送される。上記の例と同様に、この例では、細長い導電部材600は、ガイドワイアシステム100内のワイア102を含む。少なくとも1つの実施形態では、代表信号は、特定の周波数チャネルによって画定される信号チャネルなど、信号空間の特定の一意の連続セグメント内で伝送される。
【0102】
[0121]特定の波形が細長い導電部材600の近位部分に到達した後、容量ピックアップ1126が、信号空間の特定の一意の連続セグメント内の代表信号を検出する。少なくとも1つの実施形態では、容量ピックアップ1126は、電力およびデータ結合デバイス630内に一体化される。追加として、電力およびデータ結合デバイス630は、変化する電界を通って、細長い導電部材600と容量通信することができる。容量ピックアップ1126は、検出した信号を位相ロックループ(PLL)1128へ通信し、次いでこの信号は、電圧1130に変換される。次いで、その結果得られる電圧1130を処理し、パルスエコー読取りとしてエンドユーザへ表示することができる(1132)。
【0103】
[0122]図11Cは、1つまたは複数のセンサ121へ電力を提供するための回路を示す。したがって、図11Aおよび図11Bとは対照的に、図11Cは、細長い導電部材600の近位部分から始まり、細長い導電部材600の遠位部分の方へ伝わる。特に、周波数生成回路1134が、信号空間の特定の一意の連続セグメント内に電力信号を作成し、特定の一意の連続セグメントは、特定の電力チャネルを含む。生成されたAC信号は、電力増幅器1136へ通信され、特定の電力チャネル内に特定のAC電力信号を生成する。AC電力信号は、細長い導電部材600に容量結合され(1138)、次いで細長い導電部材600を介して、細長い導電部材600の遠位部分に位置する1つまたは複数のセンサ121へ伝送される。
【0104】
[0123]AC電力信号が細長い導電部材600の遠位部分に到達した後、AC電力信号は整流され(1140)、認定/平滑化回路1142によって処理される。次いで、その結果得られるDC電力信号1144は、1つまたは複数のセンサ1146、121、220へ提供される。
【0105】
[0124]図11A図11Cの上述した回路の各々は、細長い導電部材600と電力およびデータ結合デバイス630との間の容量結合を利用することが理解されよう。したがって、電力およびデータ結合デバイス630と細長い導電部材600との間に物理的な接続を必要とすることなく、記載するセンサに電力を提供することができ、外部デバイス110へデータを通信することができる。そのような物理的接続がないことで、著しい技術的な利益がユーザに提供される。たとえば、ユーザは、細長い導電部材600に接続する物理コードの存在によって拘束されなくなる。追加として、ガイドワイアシステムの場合、たとえば、ユーザは、ワイア102を除去または電源遮断する必要なしに、ワイア102を介してステントおよびカテーテルなど、医療デバイスを供給することができる。そのような能力により、ユーザは、医療デバイスをワイア102上に配置し、医療デバイスを人体内に配置しながら、患者の体内からの途切れないセンサデータを維持することが可能になる。
【0106】
[0125]図12は、医療センサへの電力およびデータ結合を提供するための方法1200の流れ図を示す。方法1200は、第1の導電面を第2の導電面に結合する動作1210を含む。動作1210は、時間変化する電界を介して、医療デバイスに一体化された第1の導電面を第2の導電面に結合することを含む。第1の導電面は、第2の導電面に電力を提供するための電源に接続され、第1の導電面は、第2の導電面へ電力を運ぶように構成された時間変化する電界を放射する。追加として、第1の導電面は、第2の導電面から信号を受信するように構成される。
【0107】
[0126]たとえば、図1図2、および図8A図8Dに図示および記載したように、電力およびデータ結合デバイス104は、第1の導電面800aを含む。第1の導電面800aは、電源(たとえば、電池810)に接続される。電源により、第1の導電面800aは、第2の導電面830、840に結合する電界を放射し、第2の導電面830、840に結合された1つまたは複数のセンサ121(「医療センサ」)へ電力を提供する。追加として、図6Aおよび図6Bに関して図示および記載したように、第1の導電面800aは、第2の導電面から信号(すなわち、データ信号)を受信するように構成される。
【0108】
[0127]方法1200はまた、第2の導電面を平行移動させる動作1220を含む。動作1220は、第2の導電面を第1の導電面に対して平行移動させることを含む。たとえば、図1図3Aに関して図示および記載したように、電力およびデータ結合デバイス104を通って、ワイア102またはカテーテル202など、細長い導電部材(すなわち、第2の導電面)を平行移動させることができる。ワイア102、カテーテル202、または何らかの他の医療デバイスを第1の導電面に対して平行移動させる能力により、ユーザは、医療処置のために内腔空間内に医療デバイスを位置決めすることが可能になる。
【0109】
[0128]追加として、方法1200は、信号を分離する動作1230を含む。動作1230は、信号プロセッサによって信号を分離することを含む。たとえば、図6Aおよび図6Bに関して図示および記載したように、電力およびデータ結合デバイス630は、データ信号を互いから分離するように構成されたフィルタを備える。
【0110】
[0129]さらに、方法1200は、分離された信号を伝送する動作1240を含む。動作1240は、送信器によって、分離された信号をコンピューティングデバイスへ伝送することを含む。たとえば、図6Aおよび図6Bに関して図示および記載したように、送信器640は、信号を外部デバイス110へ通信することができる。
発明の態様
[0130]本発明について、以下の条項にさらに指定する。
【0111】
[0131]条項1:医療センサのための電力およびデータ結合デバイスであって、
医療デバイスに一体化された第1の導電面を含み、第1の導電面が、電界を介して第2の導電面に結合するように構成され、第2の導電面が、第1の導電面に対して平行移動可能であり、
第1の導電面が、電界を通って第2の導電面へ電力を提供するための電源に接続され、
第1の導電面が、第2の導電面へ電力を運ぶように構成された時間変化する電界を放射し、
第1の導電面が、第2の導電面から信号を受信するように構成されたピックアップに接続されている、電力およびデータ結合デバイス。
【0112】
[0132]条項2:信号を分離するように構成された信号コレクタをさらに備える、条項1に記載の電力およびデータ結合デバイス。
[0133]条項3:分離された信号をコンピューティングデバイスへ伝送するように構成された送信器をさらに備える、条項1または2に記載の電力およびデータ結合デバイス。
【0113】
[0134]条項4:信号を処理するように構成された1つまたは複数のプロセッサをさらに備える、条項1から3のいずれかに記載の電力およびデータ結合デバイス。
[0135]条項5:第2の導電面の少なくとも一部分が、第1の導電面によって取り囲まれている、条項1から4のいずれかに記載の電力およびデータ結合デバイス。
【0114】
[0136]条項6:第1の導電面が第2の導電面に物理的に接触していない、条項1から5のいずれかに記載の電力およびデータ結合デバイス。
[0137]条項7:第1の導電面が第2の導電面に物理的に接触している、条項1から6のいずれかに記載の電力およびデータ結合デバイス。
【0115】
[0138]条項8:信号を増幅するように構成された増幅器をさらに備える、条項1から7のいずれかに記載の電力およびデータ結合デバイス。
[0139]条項9:第1の導電面が、同時に、(i)第2の導電面へ電力信号を提供し、かつ(ii)第2の導電面からデータ信号を受信するように構成されている、条項1から8のいずれかに記載の電力およびデータ結合デバイス。
【0116】
[0140]条項10:第1の導電面が、同時に、(i)第2の導電面へ複数の異なる電力信号を提供し、複数の異なる電力信号のうちの各電力信号が、異なる組の医療センサへ電力を提供するように構成され、かつ(ii)第2の導電面から複数の異なるデータ信号を受信し、複数の異なるデータ信号のうちの各データ信号が、異なるグループの医療センサからのデータを提供するように構成されている、条項1から9のいずれかに記載の電力およびデータ結合デバイス。
【0117】
[0141]条項11:第2の導電面が単一の導電ワイアを構成し、医療センサが単一の導電ワイアに電気的に結合されている、条項1から10のいずれかに記載の電力およびデータ結合デバイス。
【0118】
[0142]条項12:第1の導電面がカテーテルの一部分を構成し、医療センサがカテーテルに物理的に取り付けられている、条項1から11のいずれかに記載の電力およびデータ結合デバイス。
【0119】
[0143]条項13:第1の導電面が、複数の物理的に別個の導電面を含む、条項1から12のいずれかに記載の電力およびデータ結合デバイス。
[0144]条項14:複数の物理的に別個の導電面から選択される各導電面が、特定の異なる組の医療センサからデータ信号を受信するように構成されている、条項1から13のいずれかに記載の電力およびデータ結合デバイス。
【0120】
[0145]条項15:複数の物理的に別個の導電面から選択される第1の導電面が、少なくとも1つの医療センサへ電力を提供するように構成され、複数の物理的に別個の導電面から選択される第2の導電面が、少なくとも1つの医療センサからデータ信号を受信するように構成されている、条項1から14のいずれかに記載の電力およびデータ結合デバイス。
【0121】
[0146]条項16:電力入力線が、第1の導電面上の供給部に物理的に接続され、供給部が、第1の導電面と第2の導電面との間の結合のインピーダンスを実質的に整合させるようにサイズ設定されている、条項1から15のいずれかに記載の電力およびデータ結合デバイス。
【0122】
[0147]条項17:医療センサへの電力およびデータ結合を提供する方法であって、
時間変化する電界を介して、医療デバイスに一体化された第1の導電面を第2の導電面に結合することであり、
第1の導電面が、第2の導電面へ電力を提供するための電源に接続され、
第1の導電面が、第2の導電面へ電力を運ぶように構成された時間変化する電界を放射し、
第1の導電面が、第2の導電面から信号を受信するように構成されている、結合することと、
第2の導電面を第1の導電面に対して平行移動させることと、
信号プロセッサによって信号を分離することと、
送信器によって、分離された信号をコンピューティングデバイスへ伝送することとを含む、方法。
【0123】
[0148]条項18:第2の導電面の少なくとも一部分が、第1の導電面によって取り囲まれている、条項17に記載の方法。
[0149]条項19:第1の導電面が第2の導電面に物理的に接触していない、条項17または18に記載の方法。
【0124】
[0150]条項20:
第2の導電面の上で、または第2の導電面に隣接して、第2の細長い導電部材を平行移動させることと、
第2の細長い導電部材が第1の導電面と第2の導電面との間に位置決めされている間に、引き続き信号を受信することと
をさらに含む、条項17から19のいずれかに記載の方法。
【0125】
[0151]条項21:第1の導電面が第2の導電面に物理的に接触している、条項17から20のいずれかに記載の方法。
[0152]条項22:増幅器によって信号を増幅することをさらに含む、条項17から21のいずれかに記載の方法。
【0126】
[0153]条項23:同時に、(i)第2の導電面へ電力信号を提供し、かつ(ii)第2の導電面からデータ信号を受信することをさらに含む、条項17から22のいずれかに記載の方法。
【0127】
[0154]条項24:同時に、(i)第2の導電面へ複数の異なる電力信号を提供し、複数の異なる電力信号のうちの各電力信号が、異なる組の医療センサへ電力を提供するように構成され、かつ(ii)第2の導電面から複数の異なるデータ信号を受信し、複数の異なるデータ信号のうちの各データ信号が、異なるグループの医療センサからのデータを提供すること
をさらに含む、条項17から23のいずれかに記載の方法。
【0128】
[0155]条項25:第1の導電面が単一の導電ワイアを構成し、医療センサが単一の導電ワイアに電気的に結合されている、条項17から24のいずれかに記載の方法。
[0156]条項26:第1の導電面がカテーテルの一部分を構成し、医療センサがカテーテルに物理的に取り付けられている、条項17から25のいずれかに記載の方法。
【0129】
[0157]条項27:第1の導電面が、複数の物理的に別個の導電面を含む、条項17から26のいずれかに記載の方法。
[0158]条項28:さらに、複数の物理的に別個の導電面から選択される複数の導電面が、特定の異なる組の医療センサからデータ信号を受信するように構成されている、条項17から27のいずれかに記載の方法。
【0130】
[0159]条項29:複数の物理的に別個の導電面から選択される第1の導電面が、少なくとも1つの医療センサへ電力を提供するように構成され、複数の物理的に別個の導電面から選択される第2の導電面が、少なくとも1つの医療センサからデータ信号を受信するように構成されている、条項17から28のいずれかに記載の方法。
【0131】
[0160]条項30:電力入力線が、第1の導電面上の供給部に物理的に接続され、供給部が、第1の導電面と第2の導電面との間の結合のインピーダンスを実質的に整合させるようにサイズ設定されている、条項17から29のいずれかに記載の方法。
結論
[0161]本開示の特定の実施形態について、特有の構成、パラメータ、構成要素、要素などを参照して詳細に説明したが、これらの説明は例示であり、特許請求される発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0132】
[0162]さらに、別途暗示または明示されない限り、記載する実施形態の構成要素の任意の所与の要素に対して、その要素または構成要素に関して挙げる可能な代替のいずれかを、概して個々に使用しても、互いに組み合わせて使用してもよいことを理解されたい。
【0133】
[0163]その上、別途指示されない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される数量、構成、距離、または他の尺度を表す数は、任意選択で「約」という用語またはその類義語によって修飾されると理解されたい。「約(about)」、「約(approximately)」、「実質的に」などの用語が、記載の量、値、または条件とともに使用されるとき、これは、記載の量、値、または条件から20%未満、10%未満、5%未満、または1%未満だけ逸脱する量、値、または条件を意味すると解釈することができる。少なくとも、特許請求の範囲の範囲に対する均等論の適用を限定しようとすることなく、各数値パラメータは、報告される有効桁の数に照らして、通常の丸め技法を適用することによって解釈されたい。
【0134】
[0164]本明細書に使用されるあらゆる見出しおよび小見出しは、編成のみを目的とし、本説明または特許請求の範囲の範囲を限定するために使用されることを意味したものではない。
【0135】
[0165]本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形の「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「the(その)」は、文脈上別途明白に指示しない限り、複数の対象物を除外しないことにも留意されたい。したがって、たとえば単数の対象物(たとえば、「ウィジェット」)を参照する実施形態は、2つ以上のそのような対象物も含むことができる。
【0136】
[0166]本明細書に記載した実施形態は、本明細書に記載した他の実施形態に記載する特性、特徴(たとえば、成分、構成要素、部材、要素、部品、および/または部分)を含むことができることも理解されよう。それに応じて、所与の実施形態の様々な特徴を、本開示の他の実施形態と組み合わせることができ、かつ/または本開示の他の実施形態に組み込むことができる。したがって、本開示の特有の実施形態に関する特定の特徴の開示は、前記特徴の適用または包含を特有の実施形態に限定すると解釈されるべきではない。逆に、他の実施形態もまた、そのような特徴を含むことができることが理解されよう。
【0137】
[0167]さらに、これらの方法は、1つまたは複数のプロセッサおよびコンピュータ可読媒体、たとえばコンピュータメモリを含むコンピュータシステムによって実施することができる。特に、コンピュータメモリは、コンピュータ実行可能命令を記憶することができ、コンピュータ実行可能命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、実施形態に記載の動作など、様々な機能を実行させる。
【0138】
[0168]コンピューティングシステムの機能は、ネットワーク接続を介して他のコンピューティングシステムに相互接続されるコンピューティングシステムの能力によって強化することができる。ネットワーク接続は、それだけに限定されるものではないが、有線もしくはワイアレスイーサネットを介した接続、セルラー接続、またはさらには直列、並列、USB、もしくは他の接続によるコンピュータとコンピュータの接続を含むことができる。これらの接続により、コンピューティングシステムが他のコンピューティングシステムのサービスにアクセスし、他のコンピューティングシステムからアプリケーションデータを迅速かつ効率的に受信することが可能になる。
【0139】
[0169]コンピューティングシステムの相互接続は、いわゆる「クラウド」コンピューティングシステムなど、分散コンピューティングシステムを容易にした。本説明では、「クラウドコンピューティング」は、低減された管理労力またはサービス提供者の相互作用で供給および公開することができる構成可能なコンピューティング資源(たとえば、ネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーション、サービスなど)の共有プールへのユビキタスで好都合なオンデマンドネットワークアクセスを可能にするシステムまたは資源とすることができる。クラウドモデルは、様々な特性(たとえば、オンデマンドセルフサービス、幅広いネットワークアクセス、リソースプール、迅速な拡張性、測定可能なサービスなど)、サービスモデル(たとえば、Software as a Service(「SaaS」)、Platform as a Service(「PaaS」)、Infrastructure as a Service(「IaaS」)、および実装モデル(たとえば、プライベートクラウド、コミュニティクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウドなど)から構成することができる。
【0140】
[0170]クラウドおよびリモートに基づくサービスアプリケーションも普及している。そのようなアプリケーションは、クラウドなど、パブリックおよびプライベートの遠隔システムでホストされており、通常はクライアントと双方向に通信するために1組のウェブベースのサービスを提供する。
【0141】
[0171]多くのコンピュータは、コンピュータとの直接ユーザ対話によって使用されることが意図される。したがって、コンピュータは、ユーザ対話を容易にするために、入力ハードウェアおよびソフトウェアユーザインターフェースを有する。たとえば、現代の汎用コンピュータは、ユーザがコンピュータにデータを入力することを可能にするためのキーボード、マウス、タッチパッド、カメラなどを含むことができる。その上、様々なソフトウェアユーザインターフェースも利用可能である。
【0142】
[0172]ソフトウェアユーザインターフェースの例には、グラフィカルユーザインターフェース、テキストコマンドラインに基づくユーザインターフェース、ファンクションキーまたはホットキーユーザインターフェースなどが含まれる。
【0143】
[0173]開示する実施形態は、以下でより詳細に論じるように、コンピュータハードウェアを含む専用または汎用コンピュータを備えまたは利用することができる。開示する実施形態はまた、コンピュータ実行可能命令および/またはデータ構造を搬送または記憶するための物理コンピュータ可読媒体および他のコンピュータ可読媒体を含む。そのようなコンピュータ可読媒体は、汎用または専用コンピュータシステムによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体とすることができる。コンピュータ実行可能命令を記憶するコンピュータ可読媒体は、物理記憶媒体である。コンピュータ実行可能命令を搬送するコンピュータ可読媒体は、伝送媒体である。したがって、限定ではないが例として、本発明の実施形態は、明白に異なる少なくとも2種類のコンピュータ可読媒体、すなわち物理コンピュータ可読記憶媒体および伝送コンピュータ可読媒体を含むことができる。
【0144】
[0174]物理コンピュータ可読記憶媒体には、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM、もしくは他の光ディスクストレージ(CD、DVDなど)、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気記憶デバイス、またはコンピュータ実行可能命令もしくはデータ構造の形態の所望のプログラムコード手段を記憶するために使用することができ、汎用もしくは専用コンピュータによってアクセスすることができる、任意の他の媒体が含まれる。
【0145】
[0175]「ネットワーク」は、コンピュータシステムおよび/またはモジュールおよび/または他の電子デバイス間の電子データの輸送を可能にする1つまたは複数のデータリンクとして定義される。ネットワークまたは別の通信接続(ハードワイアード、ワイアレス、またはハードワイアードもしくはワイアレスの組合せ)を介してコンピュータへ情報が伝達または提供されるとき、コンピュータは、その接続を伝送媒体として適切に認識する。伝送媒体は、コンピュータ実行可能命令またはデータ構造の形態のプログラムコードを搬送するために使用することができ、汎用または専用コンピュータによってアクセスすることができる、ネットワークおよび/またはデータリンクを含むことができる。上記の組合せもまた、コンピュータ可読媒体の範囲に包含される。
【0146】
[0176]さらに、様々なコンピュータシステム構成要素に到達したとき、コンピュータ実行可能命令またはデータ構造の形態のプログラムコード手段は、伝送コンピュータ可読媒体から物理コンピュータ可読記憶媒体へ自動的に伝達することができる(または逆も同様である)。たとえば、ネットワークまたはデータリンクを介して受信されるコンピュータ実行可能命令またはデータ構造は、ネットワークインターフェースモジュール(たとえば、「NIC」)内のRAMにバッファリングすることができ、次いで最終的には、コンピュータシステムのRAMおよび/またはコンピュータシステムの低揮発性のコンピュータ可読物理記憶媒体へ伝達することができる。したがって、伝送媒体も利用する(またはさらには主に利用する)コンピュータシステム構成要素内に、コンピュータ可読物理記憶媒体を含むことができる。
【0147】
[0177]コンピュータ実行可能命令は、たとえば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または専用処理デバイスに、特定の機能または機能群を実行させる命令およびデータを含む。コンピュータ実行可能命令は、たとえば、バイナリ、アセンブリ言語など、中間形式命令、またはさらにはソースコードとすることができる。主題について構造的特徴および/または方法論的動作に特有の言語で説明したが、添付の特許請求の範囲に定義される主題は、必ずしも上述した記載の特徴または動作に限定されるものではないことを理解されたい。逆に、記載の特徴および動作は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示されている。
【0148】
[0178]本発明は、パーソナルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、メッセージプロセッサ、手持ち式のデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースまたはプログラムマブル家電製品、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、移動電話、PDA、ページャ、ルータ、スイッチなどを含む、多くのタイプのコンピュータシステム構成を有するネットワークコンピューティング環境で実施することができることが、当業者には理解されよう。本発明はまた、ネットワークを介して(ハードワイアードデータリンク、ワイアレスデータリンク、またはハードワイアードおよびワイアレスデータリンクの組合せによって)リンクされたローカルおよびリモートのコンピュータシステムがどちらもタスクを実行する分散システム環境で実施することができる。分散システム環境では、プログラムモジュールが、ローカルおよびリモート両方のメモリ記憶デバイスに位置することができる。
【0149】
[0179]別法または追加として、本明細書に記載した機能は、少なくとも部分的に1つまたは複数のハードウェア論理構成要素によって実行することができる。たとえば、限定されるものではないが、使用することができるハードウェア論理構成要素のタイプの例には、Field-programmable Gate Array(FPGA)、Program-specific Integrated Circuit(ASIC)、Program-specific Standard Product(ASSP)、System-on-a-chip system(SOC)、Complex Programmable Logic Device(CPLD)などが含まれる。
【0150】
[0180]本発明は、その精神または特性から逸脱することなく、他の特有の形態でも実施することができる。記載する実施形態は、あらゆる点で、制限ではなく例示としてのみ考慮されるべきである。したがって、本発明の範囲は、上記の説明ではなく添付の特許請求の範囲に記載される。特許請求の範囲に均等の意味および範囲内のあらゆる変更は、特許請求の範囲内に包含されるものとする。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12