(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】接線流ろ過(TFF)システム及び一体化ポンプ装置を含む使い捨て可能なTFFユニット
(51)【国際特許分類】
B01D 61/14 20060101AFI20250109BHJP
B01D 61/18 20060101ALI20250109BHJP
B01D 63/08 20060101ALI20250109BHJP
C07K 1/34 20060101ALI20250109BHJP
C12M 1/12 20060101ALI20250109BHJP
C12M 3/06 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B01D61/14 500
B01D61/18
B01D63/08
C07K1/34
C12M1/12
C12M3/06
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023070076
(22)【出願日】2023-04-21
(62)【分割の表示】P 2020537484の分割
【原出願日】2019-01-07
【審査請求日】2023-05-19
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523108902
【氏名又は名称】フォーミュラトリクス・インターナショナル・ホールディング・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Formulatrix International Holding Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー・ローガン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ヒーリー
(72)【発明者】
【氏名】ドミトリー・ロディオノフ
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-530110(JP,A)
【文献】特開平04-190834(JP,A)
【文献】特表2013-540577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00-38
B01D 61/00-71/82
C07K 1/34
C02F 1/44
C07K 1/00-19/00
C12M 1/00- 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質溶液を濃縮する接線流ろ過(TFF)システムであって、
ダイヤフラムポンプアセンブリと濃縮膜を有するTFFユニットであって、タンパク質含有溶液からタンパク質を濃縮するように構成された、複数の層を有するTFFユニットと、
前記TFFユニットの一方の端部に動作可能に接続された空気供給アセンブリであって、前記TFFユニットは、空気流の制御に適合される、空気供給アセンブリと、
前記空気供給アセンブリと反対の端部において前記TFFユニットの他方の端部に動作可能に接続された流体リザーバアセンブリであって、前記TFFユニットは、液体流の制御に適合され、前記流体リザーバアセンブリは、タンパク質含有溶液を含むための
第1の流体リザーバと、緩衝液を含むための
第2の流体リザーバと、の2つの流体リザーバを含む、接線流ろ過システム。
【請求項2】
前記TFFユニットは、使い捨て可能であり、同じタイプのタンパク質含有溶液の3回までの50mL濃縮サイクルの使用に適合される請求項1に記載のTFFシステム。
【請求項3】
前記TFFユニットの前記複数の層は、液体流の制御及び空気流の制御のための空気チャネル、流体チャネル、及び流れポートを有し、
前記ダイヤフラムポンプアセンブリ及び前記濃縮膜は、前記複数の層の外側層の間にあり、
前記ダイヤフラムポンプアセンブリと隣接する前記複数の層の間に
チャンバが形成され
、
前記ダイヤフラムポンプアセンブリは、前記チャンバに流体を吸引する又は前記チャンバから前記流体を分配する、請求項1に記載のTFFシステム。
【請求項4】
前記複数の層は、レーザ接合された4つの層を含み、
前記ダイヤフラムポンプアセンブリ及び前記濃縮膜は、前記複数の層の2つの中間層の間にある、請求項3に記載のTFFシステム。
【請求項5】
前記ダイヤフラムポンプアセンブリは、前記流れポートを通ってタンパク質含有溶液を吸引または分配するように構成されたバルブ部品及びダイヤフラム部品を含む、請求項3に記載のTFFシステム。
【請求項6】
前記バルブ部品は、前記ダイヤフラムポンプアセンブリの1つの端部において、3つの空気作動バルブの一群と、前記ダイヤフラムポンプの反対の端部において、2つの空気作動バルブの一群とを含む、空気作動バルブの群を有する、請求項5に記載のTFFシステム。
【請求項7】
前記ダイヤフラム部品は、複数のダイヤフラムを含む、請求項5に記載のTFFシステム。
【請求項8】
前記ダイヤフラム部品は、前記バルブ部品より大きいドーム型の部分である、請求項5に記載のTFFシステム。
【請求項9】
前記空気供給アセンブリは、空気供給ユニット及び前記ダイヤフラムポンプアセンブリに前記空気供給ユニットを通って正または負圧を加えるように構成されたソレノイドの塊を含む、請求項5に記載のTFFシステム。
【請求項10】
前記2つの流体リザーバのそれぞれは、液体流コネクタ及び空気流コネクタが取り付けられたキャップを含む、請求項1に記載のTFFシステム。
【請求項11】
前記液体流コネクタは、
前記タンパク質含有溶液と前記緩衝液の中へと下方に延在する2つのチューブを含み、
前記2つのチューブの
うちの一方は、前記流体リザーバから
前記タンパク質含有溶液又は前記緩衝液を吸引するために用いられ、
前記2つのチューブの
うちの他方は、前記流体リザーバに
前記タンパク質含有溶液又は前記緩衝液を戻すために用いられ、
前記空気流コネクタは、前記2つの流体リザーバの間で共通である、請求項10に記載のTFFシステム。
【請求項12】
さらに前記TFFユニット、前記空気供給アセンブリ、及び前記流体リザーバアセンブリを保持するためのクランプアセンブリを備える、請求項1に記載のTFFシステム。
【請求項13】
さらに、前記流体リザーバアセンブリの液体水位を測定するための体積センサ、ろ過生成物を導くように構成された廃棄物スライドと、前記廃棄物スライドに接続され、導かれた前記ろ過生成物を集めるように構成された廃棄物容器と、を備える、請求項12に記載のTFFシステム。
【請求項14】
さらに、ユニットホルダとクランプハンドルを備え、
前記ユニットホルダは、前記TFFユニットを揃えるスロットを有し、
前記クランプハンドルは、前記クランプアセンブリに前記ユニットホルダ及び前記TFFユニットを押し進めるように構成され、そのため前記TFFユニットが、前記流体リザーバアセンブリ及び前記空気供給アセンブリと接続され、それらと密閉される、請求項13に記載のTFFシステム。
【請求項15】
(a) TFFシステムを作るための部品を提供するステップであって、前記部品は、使い捨て可能なTFFユニット、流体リザーバアセンブリ、空気供給アセンブリ、及びクランプアセンブリを備え、
前記TFFユニットは、ダイヤフラムポンプアセンブリと濃縮膜を有し、タンパク質含有溶液からタンパク質を濃縮するように構成され、
前記空気供給アセンブリは、前記TFFユニット一方の端部に動作可能に接続され、
前記流体リザーバアセンブリは、前記TFFユニットの他方の端部に動作可能に接続された、部品を提供するステップと、
(b) 前記部品で前記TFFシステムを組み立てるステップと、
(c) 前記TFFシステムに接続されたユーザインターフェースを提供するステップと、
(d) 前記ユーザインターフェースを用いてろ過プロセスのパラメータを設定するステップと、
(e) 前記ろ過プロセスを始めるステップと、を備えるタンパク質溶液を濃縮するための接線流ろ過(TFF)システムを作る方法。
【請求項16】
前記組み立てステップは、前記クランプアセンブリに前記流体リザーバアセンブリを挿入するステップと、前記クランプアセンブリに前記使い捨て可能なTFFユニットを固定するステップと、前記空気供給アセンブリ及び前記流体リザーバアセンブリに前記TFF使い捨て可能なユニットを接続するステップと、を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
さらに、前記流体リザーバアセンブリに、ある量の緩衝液とある量のタンパク質含有溶液を導入するステップを備え、
前記ろ過プロセスは、前記緩衝液で前記TFFシステムを準備するステップと、前記タンパク質含有溶液から前記タンパク質を濃縮するステップと、を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
(a) ダイヤフラムポンプアセンブリと濃縮膜を有するTFFユニットであって、前記TFFユニットは、タンパク質含有溶液からタンパク質を濃縮するように構成されたTFFユニットと、
前記TFFユニットの一方の端部に動作可能に接続された空気供給アセンブリと、
前記空気供給アセンブリと反対の端部において前記TFFユニットの他方の端部に動作可能に接続された流体リザーバであって、前記流体リザーバは、緩衝液及びタンパク質含有溶液を含む、流体リザーバと、を備えるTFFシステムを提供するステップと、
(b) 前記タンパク質含有溶液を処理するためのポンプシーケンスパラメータを設定するステップと、
(c) 準備ポンプシーケンスを開始することによって、前記タンパク質含有溶液を処理開始するステップと、
(d) 濃縮ポンプシーケンスを開始することによって前記タンパク質含有溶液を処理し続けるステップと、
(e) 透析ろ過ポンプシーケンスを開始することによって、タンパク質溶液を処理し続けるステップと、
(f) 前記タンパク質溶液からタンパク質残余物を集めるステップと、を備える接線流ろ過(TFF)によるタンパク質溶液を濃縮する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全ての開示を本明細書に援用する2018年1月12日に出願された米国仮特許出願62/616,486に関連し、優先権を主張する。
【0002】
現在開示される主題は、一般にタンパク質生産の方法、及びさらに特には接線流ろ過(TFF)システム及び一体化ポンプ装置を含む使い捨て可能なTFFユニットに関する。
【背景技術】
【0003】
タンパク質生産は、生体細胞、細胞内成分、化学反応、分離方法及びろ過の使用のいくつかの組み合わせを含む、複雑なプロセスである。このプロセスの最終結果は(及び多くの断続的なステップ)、通常、目標タンパク質及び前のステップで取り除くことができない、例えば塩などの小さい分子を含む非常に希薄な溶液である。精製プロセスを続けるまたは科学または工業目的のためのタンパク質を利用するために、溶液は通常、濃縮及び緩衝液交換を必要とする。このために最も一般的な方法の1つは限外ろ過である。
【0004】
標準ろ過と同じように、限外ろ過は、混合物のいくつかの小さい成分にのみ透過できる媒体(膜)を含む。同時に、膜の孔の大きさは、興味のあるタンパク質が透過できないように選択される。膜のサンプル側の開始混合物に力(通常、圧力)を加えることにより、小さい成分に膜を横断させつつ、膜のサンプル側にタンパク質が残り、その結果それを濃縮する。同じ原理は、所望の緩衝液に濃縮されたタンパク質を再懸濁し、濃縮プロセスを繰り返すことによる緩衝液交換のために用いられる。
【0005】
サンプル流が一方向であり、膜を横切る場合、そのようなろ過配置は、行き止まりろ過と呼ばれる。作ること及び用いることを簡易にしながら、著しい欠点を有する。混合するサンプルが排他的に拡散と対流に頼るので、膜において濃度勾配を作り出す。濃度勾配は、ろ過流れを減らし、タンパク質安定性を落とす条件を作り出す。ほとんど共通に、行き止まり限外ろ過装置は、膜において圧力を作り出すための遠心力を用いる。例えば、溶液は、チューブの低い空の部分から溶液を分離する膜と共にチューブに置かれる。チューブは、溶液及び小さい分子が膜を通って押され、上部分に少ない溶液及び大きなタンパク質分子が残るように、遠心分離器で回転される。この方法は、2つの主な理由のために長々しい。(1)ろ過装置の別々の大きさにより、拡張可能でない(すなわち、最も大きい、一般に用いられる実験室装置は、15mLの容量を有する)。(2)ろ過の進展をチェックすることは遠心分離器を止める必要があるので、モニタすることが難しい。溶液をチェックして過大な負担をかけないことを確実にしないと、溶液からタンパク質が出て、膜に沈殿する。さらに、これらの遠心分離器のチューブ及び膜は、効率的に洗浄できない。したがって、これらの遠心分離器のチューブ及び膜は、一般に1度のみの使用後捨てられる。
【0006】
行き止まりろ過と対照的に、接線流ろ過(TFF)装置は、サンプル側に膜に平行な一定の再循環流を有する。TFF(別名クロスフローろ過)は、タンパク質の精製に用いられるタイプのろ過である。TFFにおいて、圧力及び流れの両方は、通常、ぜん動ポンプ及びフロースプリッタの組み合わせを用いて作り出される。用いられる膜のタイプは、行き止まりろ過と同じである。しかしながら、TFFの主な利点は、全体に一貫した濃度があるように、膜の表面が常にタンパク質が取り除かれ、溶液が混合することである。濃度勾配がないため、TFFはタンパク質に優しく、よりよい流動特性を提供する。TFFの他の利点は、オンラインモニタの容易さと拡張性を含む。膜は、洗浄されて再使用されるまたは捨てられる一方で、チューブと溶液の容器は、用いられた後洗浄される。従来のTFF組み立ての主な不利益は、(ポンプ及び測定によって引き起こされる)数十mLのデッドボリュームであり、それは、実験室規模の使用に適していない。
【0007】
したがって、効率的で、消費でき、デッドボリュームが少なく、タンパク質生産の限外ろ過工程に関する努力を減らすための自動方法で用いられ、モニタされることができる小規模TFF装置の要求がある。
【発明の概要】
【0008】
本明細書で接線流ろ過(TFF)用途の装置、システム及び方法が開示される。1つの実施形態において、タンパク質溶液を濃縮するTFFシステムは、ダイヤフラムポンプアセンブリと濃縮膜を有するTFFユニットであって、TFFユニットは、タンパク質含有溶液からタンパク質を濃縮するように構成されたTFFユニットと、TFFユニットに動作可能に接続された空気供給アセンブリであって、TFFユニットは、空気流の制御に適合される、空気供給アセンブリと、TFFユニットに動作可能に接続された流体リザーバアセンブリであって、TFFユニットは、液体流の制御に適合される、流体リザーバアセンブリと、を含んで記載される。空気供給アセンブリは、1つの端部においてTFFユニットに接続され、流体リザーバアセンブリは、反対の端部においてTFFユニットと接続される。
【0009】
TFFユニットは、使い捨て可能であり、制限された使用及び少ない体積の濃縮に適合されることができる。TFFユニットは、複数の層を有する。1つの実施形態において、TFFユニットの複数の層は、液体流の制御及び空気流の制御のための空気チャネル、流体チャネル及び流れポートを有し、それによりダイヤフラムポンプアセンブリ及び濃縮膜は、複数の層の外側層の間にあり、チャンバは、ダイヤフラムポンプアセンブリに隣接する複数の層の間に形成される。
【0010】
1つの実施例において、複数の層は、レーザ接合された4つのアクリル層を含み、ダイヤフラムポンプアセンブリ及び濃縮膜は、複数の層の2つの中間層の間にある。
【0011】
ダイヤフラムポンプアセンブリは、流れポートを通って、タンパク質含有溶液を吸引または分配するように構成されたバルブ部品及びダイヤフラム部品を含む。バルブ部品は、ダイヤフラムポンプアセンブリの1つの端部において、3つの空気作動バルブの一群と、ダイヤフラムポンプの反対の端部において、2つの空気作動バルブの一群とを含む、空気作動バルブの群を有する。
【0012】
ダイヤフラム部品は、複数のダイヤフラムを含む。さらに、ダイヤフラム部品は、バルブ部品より大きいドーム型の部分である。
【0013】
TFFシステムの空気供給アセンブリは、空気供給ユニット及びダイヤフラムポンプアセンブリに空気供給ユニットを通って正または負圧を加えるように構成されたソレノイドの塊を含む。
【0014】
流体リザーバアセンブリは、タンパク質含有溶液を含むための1つと、緩衝液を含むための他と、の2つの流体リザーバを含む。2つの流体リザーバのそれぞれは、液体流コネクタ及び空気流コネクタが取り付けられたキャップを含む。
【0015】
液体流コネクタは、含有液体へ下に延在する2つのチューブを含み、2つのチューブの1つは、流体リザーバから液体を吸引するために用いられ、2つのチューブの他は、流体リザーバに液体を戻すために用いられ、空気流コネクタは、2つの流体リザーバの間で共通である。
【0016】
TFFシステムは、さらにTFFユニット、空気供給アセンブリ、及び流体リザーバアセンブリを保持するためのクランプアセンブリを含む。さらに、TFFシステムは、流体リザーバアセンブリの液体水位を測定するための体積センサ、ろ過生成物を導くように構成された廃棄物スライドと、廃棄物スライドに接続され、導かれたろ過生成物を集めるように構成された廃棄物容器と、を含む。
【0017】
TFFシステムは、また、ユニットホルダとクランプハンドルを含み、ユニットホルダは、TFFユニットを揃えるスロットを有し、クランプハンドルは、クランプアセンブリにユニットホルダ及びTFFユニットを押し進めるように構成され、そのためTFFユニットが、流体リザーバアセンブリ及び空気供給アセンブリと接続され、それらと密閉される。
【0018】
タンパク質溶液を濃縮するためのTFFステムを作る方法は、TFFシステムを作るための部品を提供するステップであって、部品は、使い捨て可能なTFFユニット、流体リザーバアセンブリ、空気供給アセンブリ、及びクランプアセンブリを含む、部品を提供するステップと、部品でTFFシステムを組み立てるステップと、TFFシステムに接続されたユーザインターフェースを提供するステップと、ユーザインターフェースを用いてろ過プロセスのパラメータを設定するステップと、ろ過プロセスを始めるステップと、を含む。
【0019】
組み立てステップは、クランプアセンブリに流体リザーバアセンブリを挿入するステップと、クランプアセンブリに使い捨て可能なTFFユニットを固定するステップと、空気供給アセンブリ及び流体リザーバアセンブリにTFF使い捨て可能ユニットを接続するステップと、を含む。
【0020】
本発明の方法は、また、流体リザーバアセンブリに、ある量の緩衝液とある量のタンパク質含有溶液を導入するステップを含み、それにより、ろ過プロセスは、緩衝液でTFFシステムを準備するステップと、タンパク質含有溶液からタンパク質を濃縮するステップと、を含む。
【0021】
TFFによるタンパク質溶液を濃縮する方法は、ダイヤフラムポンプアセンブリと濃縮膜を有するTFFユニットであって、TFFユニットは、タンパク質含有溶液からタンパク質を濃縮するように構成されたTFFユニットと、TFFユニットに動作可能に接続された空気供給アセンブリと、TFFユニットに動作可能に接続された流体リザーバであって、流体リザーバは、緩衝液及びタンパク質含有溶液を含む、流体リザーバと、を含むTFFシステムを提供するステップと、タンパク質含有溶液を処理するためのポンプシーケンスパラメータを設定するステップと、準備ポンプシーケンスを開始することによって、タンパク質含有溶液を処理開始するステップと、濃縮ポンプシーケンスを開始することによってタンパク質含有溶液を処理し続けるステップと、透析ろ過ポンプシーケンスを開始することによって、タンパク質溶液を処理し続けるステップと、タンパク質溶液からタンパク質残余物を集めるステップと、を含む。
【0022】
一般的な用語で現在開示される主題を記載してきたが、ここから必ずしも一定の縮尺で描かれていない添付された図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本主題の1つの実施形態による現在開示される使い捨て可能なTFFユニットの実施例の、概略斜視図を描く。
【
図2】本主題の1つの実施形態による現在開示される使い捨て可能なTFFユニットの実施例の、分解図を描く。
【
図3】本主題の1つの実施形態による一対の流体リザーバと空気供給アセンブリを組み合わせた使い捨て可能なTFFユニットの分解図を描く。
【
図4A-4B】本主題の1つの実施形態による現在開示される使い捨て可能なTFFユニットのそれぞれ平面図と断面図を描く。
【
図5】本主題の1つの実施形態による現在開示される使い捨て可能なTFFユニットのダイヤフラムポンプアセンブリの実施例の様々な図を描く。
【
図6】本主題の1つの実施形態による使い捨て可能なTFFユニット及びTFFシステムの基本ろ過動作の実施例の概略図を示す。
【
図7】本主題の1つの実施形態によるろ過サイクルを実行するための動作(またはポンプシーケンス)の3つのモードを含む現在開示されたTFFシステムのブロック図を描く。
【
図8A】
図7で示されたTFFシステムの、準備ポンプシーケンスを示すブロック図を描く。
【
図8B】
図7で示されたTFFシステムの、濃縮ポンプシーケンスを示すブロック図を描く。
【
図8C】
図7で示されたTFFシステムの、透析ろ過ポンプシーケンスを示すブロック図を描く。
【
図9】本主題の1つの実施形態による、空気供給アセンブリ及びクランプアセンブリを含む現在開示されるTFFシステムの一部の概略斜視図を描く。
【
図10】本主題の1つの実施形態による空気供給アセンブリ、クランプアセンブリ、体積センサ、廃棄物スライド、及び廃棄物容器を含む、現在開示されるTFFシステムの一部の概略斜視図を描く。
【
図11】本主題の1つの実施形態による現在開示される使い捨て可能なTFFユニットを含む、現在開示されたTFFシステムの全ての部品の分解図を描く。
【
図12】本主題の1つの実施形態による現在開示されるTFFシステムを含む、完全に組み立てられたときの現在開示されるTFFシステムの側面図を描く。
【
図13】使い捨て可能なTFFユニットを含むTFFシステムを用いた方法の実施例のフローチャートを描く。
【
図14】使い捨て可能なTFFユニットを含むTFFシステムを用いた方法の実施例のフローチャートを描く。
【発明を実施するための形態】
【0024】
現在開示される主題は、ここから現在開示される主題のいくつかであるが全てではない実施形態が示される、添付された図面を参照して以後さらに完全に記載されるであろう。類似の符号は、全体を通して類似の要素を示す。現在開示される主題は、多くの異なる形態で具体化され、本明細書に記載される実施形態に制限して解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用される法的要件を満足するように提供される。実際に、本明細書で記載される現在開示される主題の多くの改良及び他の実施形態は、前の記載及び関連する図に表された示唆の利益を有して現在開示する、主題が関係する当業者に思い浮かばれる。その結果、現在開示される主題は、開示された特定の実施形態に限定されず、改良及び他の実施形態は、添付された請求項の範囲内に含まれることが意図されることが理解されるべきである。
【0025】
いくつかの実施形態において、現在開示される主題は、接線流ろ過(TFF)システム及び一体化ポンプ装置を含む使い捨て可能なTFFユニットを提供する。すなわち、TFFシステムは、使い捨て可能なTFFユニットを一体化するクランプアセンブリ、2つの流体リザーバ、及び空気供給アセンブリを含んで提供される。さらに、使い捨て可能なTFFユニットは、ダイヤフラムポンプアセンブリ及び濃縮膜を含む。
【0026】
現在開示されるTFFユニットの態様は、使い捨て可能であり、毎回の使用後に大規模に洗浄する必要のないTFF法を利用するために少ない体積が用いられる。したがって、現在開示される使い捨て可能なTFFユニットは、比較的大きな体積(>1L)を意味する、かさばる、及び毎回の使用後に洗浄しなければならない従来のTFFシステムを超える利益を提供する。
【0027】
ここで、
図1及び
図2を参照すると、現在開示されるTFFシステムの使い捨て可能なTFFユニット100の実施例の、それぞれ概略斜視図と分解図である。描かれるように、使い捨て可能なTFFユニット100は、接線流ろ過(TFF)として知られるプロセスによって一体化された濃縮膜120を用いてタンパク質溶液を濃縮するための、一体化ダイヤフラムポンプアセンブリ110を含む。TFFは、小さい非タンパク質分子がろ過生成物としてろ過され、タンパク質及び少ない溶液が残余物としてシステムに保持されるように、タンパク質溶液が圧力下で膜を通り過ぎて流れるプロセスである。
【0028】
1つの実施形態において、使い捨て可能なTFFユニット100は、複数の層で作られる。例えば、使い捨て可能なTFFユニット100は、4つの層106(すなわち層106a,106b,106c,106d)を含む。1つの実施例において、4つの層106は、アクリル層である。しかしながら他の実施形態において、4つの層106は、本開示の目的と矛盾しない任意の材料であることができる。さらに、使い捨て可能なTFFユニット100は、一緒に層106をレーザ接合によって形成される。例えば、レーザ接合プロセスは、レーザによって出力された特定の波長の光を吸収する色素を用い、2つの層の接合部分を加熱し、一緒に溶融させることができる。
【0029】
ここから
図2を参照すると、ダイヤフラムポンプアセンブリ110及び濃縮膜120は、外側層106aと106dの間、さらに具体的に、外側層106aと106dの間の使い捨て可能なTFFユニットの中間の2つの層である、層106bと106cの間に提供される。層106は、空気がバルブ及びダイヤフラムを作動することができる封止を作り出す干渉機能を含み、使い捨て可能なTFFユニット100の周り及び濃縮膜120を超える液体をくみ上げる。特に、使い捨て可能なTFFユニット100は、様々な空気チャネル101、様々な流体チャネル102、濃縮膜120、及びダイヤフラムポンプアセンブリ110を有する複数の層106を有して形成される。ダイヤフラムポンプアセンブリ110(
図5参照)は、空気作動バルブ111の群を含む作動バルブ部品、及び液体をくみ上げるための、ダイヤフラム112を含むダイヤフラム部品を含む。入力/出力流れポート(スルーホール)103は、空気流の制御のための接続において含まれる。さらに、層106は、液体流の制御のための流体ポートにおいて用いられることができる入力/出力流れポート(スルーホール)104を含む。
【0030】
ここで
図3を参照すると、一対の流体リザーバ200を含む流体リザーバアセンブリと、空気供給アセンブリ300を組み合わせた使い捨て可能なTFFユニット100の1つの実施形態の分解図である。この実施例において、使い捨て可能なTFFユニット100は、1つの端部において空気供給アセンブリ300と、反対の端部において2つの流体リザーバ200と接続される。流体リザーバ200は、例えば、2つの50mLファルコンチューブである。1つの実施例において、1つの流体リザーバ200は、タンパク質溶液を含む一方で、他の流体リザーバ200は、緩衝液を含む。流体リザーバ200のそれぞれは、カスタムキャップ210、標準ファルコンチューブ220、及び図示されないがキャップ210に取り付けられ、液体へ下に延在する小さい液体チューブを含む。2つのタイプのガスケット(例えばチューブガスケット230及び空気供給ガスケット320)は、使い捨て可能なTFFユニット100と流体リザーバ200と空気供給アセンブリ300の接続を密閉するために用いられる。空気供給アセンブリ300は、空気供給ユニット310及び使い捨て可能なTFFユニット100の様々な部分を作動するために用いられる複数のソレノイド330を含む。
【0031】
これから
図4A及び
図4Bを参照すると、使い捨て可能なTFFユニット100の、それぞれ平面図と断面図である。すなわち、
図4Bは、
図4Aの線A-Aに沿って切り取られた使い捨て可能なTFFユニット100の断面図である。これからまた
図5を参照すると、ダイヤフラムポンプアセンブリ110の実施例の様々な図である。ダイヤフラムポンプアセンブリ110は、
図5に示されるように、作動バルブ111の群とダイヤフラム112を含む。例えば、ダイヤフラムポンプアセンブリ110は、空気作動バルブ111の群(例えば5個の空気作動バルブ111)と1つのダイヤフラム112を含む。しかしながら、空気作動バルブ111とダイヤフラム112の多様な組み合わせを使用して、液体が使い捨て可能なTFFユニット100内に循環される方法を多少なりとも制御できる。例えば、ポンプ動作を発生するために複数のダイヤフラム112が存在すると、単一のダイヤフラム112のみを用いる場合と比較して、さらに一貫した流れを提供できる。
【0032】
稼働中、使い捨て可能なTFFユニット100の1つの実施形態は、空気作動正変位を用いて液体をくみ上げる。ソレノイド330の塊(
図3参照)は、空気供給ユニット310を通って、空気作動バルブ111の一側面及びダイヤフラム112にそれらを開けるまたは閉じるために正または負の圧力を加えるために用いられる。空気作動バルブ111は、2つの流れポート(スルーホール)の間の流れを許容するまたは禁じる、小さい領域の群である。1つの実施形態において、3つの作動バルブ111は、ダイヤフラムポンプアセンブリ110の1つの端部において群がり、2つの作動バルブ111は、反対の端部において群がる。ダイヤフラム112は、ダイヤフラム112に隣接してチャンバ107を出入りし(
図4参照)、流れポート(スルーホール)を通る、液体を吸引または分配する、ダイヤフラムポンプアセンブリ110の作動バルブ111より大きいドーム型の部分である。空気チャネル101を通って、空気作動バルブ111及びダイヤフラム112に適用される駆動空気圧は、真空、内部圧力及び駆動圧力の間の等しい圧力差を作り出すように、内部圧力より高い。空気作動バルブ111及びダイヤフラム112を開ける及び閉じる異なるシーケンスは、流体チャネル102を通って、使い捨て可能なTFFユニット100の至る所で、様々な方法でどちらかの液体リザーバ200から液体をくみ上げるために用いられる。
【0033】
さらに、
図6は、
図7乃至
図12を参照して以後記載される使い捨て可能なTFFユニット100及び/またはTFFシステム105によって支持される基本ろ過動作の実施例の概略図を示す。
図6において、循環と大気圧より高い内部圧力の組み合わせにより、膜を通ってある量の溶液を押し進め、タンパク質と後方に残る溶液が残る。膜を通る溶液を「ろ過生成物」と呼ぶ。膜を通らない残った溶液を「残余物」と呼ぶ。
【0034】
図7は、ダイヤフラムポンプアセンブリ110、濃縮膜120、タンパク質流体リザーバ200、及び緩衝液流体リザーバ200の全てのレイアウトを含む、TFFシステム105の1つの実施形態のブロック図を示す。さらに、TFFシステム105は、ろ過サイクルを実行するための動作(またはポンプシーケンス)の3つのモードを提供する。例えば、
図8A、
図8B、及び
図8Cは、
図7で示されるTFFシステム105の、それぞれの準備ポンプシーケンス、濃縮ポンプシーケンス、及び透析ろ過ポンプシーケンスを示す、ブロック図を示す。
図8A、
図8B、及び
図8Cにおいて、矢印は、ポンプシーケンスのそれぞれの流れの方向を示す。
【0035】
2つの流体リザーバ200の溶液は、複数の方法でくみ上げられる。空気供給ユニット310から空気チャネル101は、全液体システム(すなわちファルコンチューブ220及び使い捨て可能なTFFユニット100)を所望の圧力に加圧する。循環と大気圧より高い内部圧力の組み合わせにより、
図6で前に示され記載されたように、膜を通って溶液を押し進め(すなわちろ過生成物)、タンパク質及び残りの溶液(すなわち残余物)が残る。
【0036】
ここから、
図3を再び参照すると、キャップ210のそれぞれに2つの液体接続と1つの空気接続がある。流体リザーバ200のキャップ210は、それぞれ通常、液体へ下に延在するそれに取り付けられた2つの直径の小さいチューブ(図示せず)を有する。一般に、1つの接続/チューブは、流体リザーバ200から液体を吸引するために用いられ、他は、流体リザーバ200に液体を戻すために用いられる。特定のポンプシーケンスに依存して、これらのステップは変わる。それぞれのチューブへの空気接続は、それらの間で共通であり、両方のチューブにおいて空気と液体を加圧し、使い捨て可能なTFFユニット100のチャネルを加圧する。
【0037】
一般に、1つの流体リザーバ200は、タンパク質溶液を含み、他の流体リザーバ200は、緩衝液を含むが、両方の流体リザーバ200は、タンパク質溶液を含むことができる。緩衝液は、流体チャネル102から空気泡を取り除くために最初にTFFシステム105を準備する(
図8A参照)ために用いられる。タンパク質溶液は、それが所望の量に濃縮されるまで(
図8B参照)、圧力下で循環する。緩衝液は、もし望まれるならば、別の濃縮サイクルの前にタンパク質を透析ろ過または希釈する(
図8C参照)ために用いられる。そうでなければ、TFFシステム105は、残ったタンパク質溶液をタンパク質流体リザーバ200に戻すためにくみ上げ、サイクルが終わったことをユーザに知らせる。いくつかの実施形態において、使い捨て可能なTFFユニット100は、タンパク質溶液の同じタイプの3回の50mL濃縮サイクルまで用いられることが意図されるが、他の実施形態において、使い捨て可能案TFFユニット100は、タンパク質溶液の同じタイプの4回、5回、または6回50mL濃縮サイクルまで用いられることができる。そのように用いられた後、使い捨て可能なTFFユニット100は、捨てられ、キャップ210は、捨てられるか洗浄されるかのどちらかである。
【0038】
ここから
図9、
図10、
図11、及び
図12を参照すると、現在開示される使い捨て可能なTFFユニット100を含むTFFシステム105の実施例が示される。
図9は、空気供給アセンブリ300及びクランプアセンブリ400を含むTFFシステム105の一部の概略斜視図である。
図10は、空気供給アセンブリ300及びクランプアセンブリ400を含み、さらに1またはそれ以上の体積センサ410、廃棄物スライド420及び廃棄物容器430を含む、TFFシステム105の一部の概略斜視図である。
図11は、TFFシステム105の1つの実施形態の全ての部品の分解図である。
図12は、完全に組み立てられたときのTFFシステム105の1つの実施形態の側面図である。
【0039】
TFFシステム105は、クランプアセンブリ400、圧力及び真空ポンプ、電子機器、動作のためのパラメータを設定するためのタッチスクリーン、及び図示されない他の部品を含む。1つの実施形態において、クランプアセンブリ400は、消耗品のクランプアセンブリである。クランプアセンブリ400は、さらに2つの流体リザーバ200、使い捨て可能なTFFユニット100、空気供給アセンブリ300、及び流体リザーバ200の液体水位を測定する体積センサ410、及びろ過生成物を集める廃棄物スライド420を保持するために用いられるアルミニウム構造であり、廃棄物スライド420は、廃棄物容器430にろ過生成物を導く。
【0040】
図9、
図10、
図11、及び
図12は、TFFシステム105全体の1つの実施形態の部品の数を明確にするために、クランプアセンブリ400の部品の進展を示す。
図9は、クランプアセンブリ400及び空気供給アセンブリ300を示す。
図10は、アセンブリに加えられる体積センサ410、ユニットホルダ440、クランプハンドル450、廃棄物スライド420、及び廃棄物容器430を示す。
図11は、その順番でクランプアセンブリ400に設置されることが好ましい、流体リザーバ200及び使い捨て可能なTFFユニット100を示す。
図12に示されるように、使い捨て可能なTFFユニット100は、使い捨て可能なTFFユニット100を揃えておくマッチングスロットを用いて、ユニットホルダ440に保持される。クランプハンドル450は、その後クランプアセンブリ400の後に向かって90°回転する。クランプハンドル450を回転すると、カムタイプの作動を用いて、下にユニットホルダ440、及びその結果使い捨て可能なTFFユニット100を押し進め、そのため使い捨て可能なTFFユニット100が空気供給アセンブリ300及び流体リザーバ200に接触し、それらに対して密閉する。ユニットホルダ440は、クランプハンドル450が引き上げられたとき、ユニットホルダ440が跳ね戻り上がるように、ばねで負荷される。
【0041】
ここから
図13を参照すると、TFFシステム105を用いた方法の実施例のフローチャート、すなわち、方法500である。方法500は、これに限定されるものではないが、次のステップの1またはそれ以上を含む。
【0042】
ステップ510において、TFFシステム105の部品は、提供される。例えば、使い捨て可能なTFFユニット100、流体リザーバ200、空気供給アセンブリ300、さらに体積センサ410、廃棄物スライド420、及び廃棄物容器430を含むクランプアセンブリ400が提供される。1つの実施例において、1つの流体リザーバ200は、タンパク質溶液を含む一方で、他の流体リザーバ200は、緩衝液を含む。別の実施例において、両方の流体リザーバ200は、タンパク質溶液を含む。
【0043】
ステップ515において、TFFシステム105の部品は、組み立てられる。例えば、ユーザは、2つの流体リザーバ200をクランプアセンブリ400に挿入する。次に、ユーザは、使い捨て可能なTFFユニット100をクランプアセンブリ400に挿入する。次に、ユーザは、使い捨て可能なTFFユニット100をクランプアセンブリ400に固定するために、クランプハンドル450を係合する。次にユーザは、動作可能にTFF使い捨て可能ユニット100を空気供給アセンブリ300及び流体リザーバ200に接続する。
【0044】
ステップ520において、ユーザは、ろ過のためのパラメータを設定するためにTFFシステム105の、例えばタッチスクリーンなど、ユーザインターフェースとやりとりする。
【0045】
ステップ525において、ユーザは、ろ過プロセスを始めるために、TFFシステム105のユーザインターフェースとやりとりする。
【0046】
方法500の完了時に、ユーザは、ステップ515の動作の順番を逆さまにしてTFFシステム105の部品を取り外し、使い捨て可能なTFFユニット100を捨てるかまたは、それを後で使用するために取っておく。
【0047】
ここから
図14を参照すると、TFFシステム105を使用する方法の別の実施例のフローチャート、すなわち方法600である。方法600は、これに限定されるものではないが、次のステップの1またはそれ以上を含む。
【0048】
ステップ610において、TFFシステム105の部品は、提供される。例えば、使い捨て可能なTFFユニット100、流体リザーバ200、空気供給アセンブリ300、及びさらに体積センサ410、廃棄物スライド420、及び廃棄物容器430を含む、クランプアセンブリ400が提供される。1つの実施例において、1つの流体リザーバ200は、タンパク質溶液を含む一方で、他の流体リザーバ200は、緩衝液を含む。別の実施例において、両方の流体リザーバ200は、タンパク質溶液を含む。
【0049】
ステップ615において、TFFシステム105の部品は、組み立てられる。例えば、ユーザは、2つの流体リザーバ200をクランプアセンブリ400に挿入する。次に、ユーザは、使い捨て可能なTFFユニット100をクランプアセンブリ400に挿入する。次に、ユーザは、使い捨て可能なTFFユニット100をクランプアセンブリ400に固定するために、クランプハンドル450を係合する。次に、ユーザは、動作可能に、使い捨て可能なTFFユニット100を空気供給アセンブリ300及び流体リザーバ200に接続する。
【0050】
ステップ620において、タンパク質溶液の処理は、例えば
図8Aで示されるように、準備ポンプシーケンスを開始することによって始まる。
【0051】
ステップ625において、タンパク質溶液の処理は、例えば
図8Bで示されるように、濃縮ポンプシーケンスを開始することによって続く。
【0052】
ステップ630において、タンパク質溶液の処理は、例えば
図8Cで示されるように、透析ろ過ポンプシーケンスを開始することによって続く。
【0053】
ステップ635において、タンパク質残余物は、タンパク質溶液から集められる。
【0054】
方法600の完了時に、ユーザは、ステプ615の動作の順番を逆さまにして、TFFシステム105の部品を取り外し、使い捨て可能なTFFユニット100を捨てるかまたは、それを後で使用するために取っておく。
【0055】
長年にわたる特許法の慣習に従って、用語「1つの」(a)、「1つの」(an)、及び「その」(the)は、請求項も含んで、本出願で用いられたとき、「1またはそれ以上」を指す。そのため、例えば、「対象」への言及は、文脈が明確に反対である場合(例えば複数の対象)などを除いて、複数の対象を含む。
【0056】
本出願及び請求項のはじめから終わりまで、用語「備える」(comprise)、及び「備える」(comprising)は、文脈がそうでないことを必要とすることを除いて、非排他的な意味で用いられる。同様に、用語「含む」(include)及びその文法上の変形は、リスト内のアイテムの記載は、リストされたアイテムに置換または追加できる他の同様のアイテムを除外しないように、制限しない意図がある。
【0057】
本明細書及び添付された請求項の目的のために、特に断りのない限り、量、大きさ、寸法、割合、形状、形態、パラメータ、パーセンテージ、数量、特性を示す全ての数及び明細書及び請求項で用いられる他の数値は、用語「約」(about)が値、量または範囲で明示的に表現されない場合があるが、用語「約」(about)によって全ての場合において修飾されると理解されるべきである。したがって、反対の示されない限り、次の明細書及び添付された請求項に記載される数値パラメータは、正確ではなく正確である必要はないが、交差、変換係数、四捨五入、誤差など、及び現在開示されている主題によって得られることが求められる所望の特性に応じて、当業者に知られている他の要因を反映して、望んだとおりに近似及び/または大きいまたは小さいことができる。そのようなバリエーションは、開示された方法を実行するまたは開示された組成を用いるために適切であるので、例えば、用語「約」(about)は、値を指すとき、特定された量から、いくつかの実施形態において±100%、いくつかの実施形態において±50%、いくつかの実施形態において±20%、いくつかの実施形態において±10%、いくつかの実施形態において±5%、いくつかの実施形態において、±1%、いくつかの実施形態において±0.5%及びいくつかの実施形態において±0.1%の変形を含むことを意味する。
【0058】
さらに、用語「約」(about)は、1またはそれ以上の数または数値範囲に関連して用いられるとき、範囲の全ての数を含む、全てのそのような数を指すと理解されるべきであり、記載された数値の上または下の境界に延在することによってその範囲を変更する。終点による数値範囲の記載は、例えば、その範囲内に含まれる、その小数を含む整数、(例えば、1から5の記載は、1、2、3、4、5及び例えば1.5、2.25、3.75、4.1などの小数を含む)及びその範囲内の任意の範囲を含む。
【0059】
前述の主題は、理解の明確の目的のために図及び実施例によっていくらか詳細に記載されたが、当業者によってある変更及び改良は、添付された請求項の範囲内で実行されることが理解されるべきである。