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特許7617191自動車のためのトランスミッションデバイス
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  • 特許-自動車のためのトランスミッションデバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】自動車のためのトランスミッションデバイス
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20250109BHJP
【FI】
F16H57/04 J
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023118523
(22)【出願日】2023-07-20
(65)【公開番号】P2024014834
(43)【公開日】2024-02-01
【審査請求日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】10 2022 118 293.2
(32)【優先日】2022-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト シュペングラー
(72)【発明者】
【氏名】トルステン ヴンシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン マルティン
(72)【発明者】
【氏名】カスパル クラクスナー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ガイセル
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ティップマン
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/017301(WO,A1)
【文献】米国特許第4378711(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のためのトランスミッションデバイス(1)であって、少なくとも1つのギアスペース(2)を有し、前記ギアスペース(2)に受容される少なくとも1つのギアホイール(12)を有し、かつ前記ギアホイール(12)を潤滑するためにオイル(13)を供給するための少なくとも1つのオイル溜め(3)を有し、前記オイル(13)が、前記オイル溜め(3)から前記ギアスペース(2)の中に搬送可能であり、前記オイル(13)を捕捉するための少なくとも1つのオイルサンプ(22)が、前記ギアスペース(2)に配置され、少なくとも1つの隔壁(4)が、前記オイル溜め(3)と前記オイルサンプ(22)との間に、前記オイルサンプ(22)を前記オイル溜め(3)から分離するために配置され、
少なくとも1つのオイル戻しデバイス(5)が、前記ギアホイール(12)から前記オイル(13)を拭き取るための少なくとも1つのワイパーユニット(6)と、前記拭き取られたオイル(13)を前記オイル溜め(3)に排出するための少なくとも1つの出口ユニット(7)とを有することを特徴とし、かつ前記ワイパーユニット(6)及び前記出口ユニット(7)が、前記隔壁(4)の異なる側面に配置され、少なくとも1つの流体接続部(8)によって接続され
前記オイル戻しデバイス(5)が、前記ギアスペース(2)内に滴下するオイル(13)を捕捉するために、上方に開いている少なくとも1つの回収漏斗(9)を備え、
前記回収漏斗(9)で捕捉された前記オイル(13)が、前記流体接続部(8)を介して前記オイル溜め(3)の中に還流されることもできるように、前記回収漏斗(9)が、前記流体接続部(8)に接続されていることを特徴とする、トランスミッションデバイス(1)。
【請求項2】
前記ワイパーユニット(6)が、前記ギアホイール(12)に面する少なくとも1つのワイパーエッジ(16)を備える、請求項1に記載のトランスミッションデバイス(1)。
【請求項3】
前記ワイパーエッジ(16)及び前記出口ユニット(7)が、前記ギアホイール(12)の回転軸(32)よりも低い位置に配置される、請求項2に記載のトランスミッションデバイス(1)。
【請求項4】
前記回収漏斗(9)が、前記ワイパーユニット(6)よりも高い位置に配置されている漏斗開口部(19)を備える、請求項に記載のトランスミッションデバイス(1)。
【請求項5】
前記回収漏斗(9)が、前記ギアホイール(12)に面する側面上に、前記ワイパーユニット(6)によって拭き取られた前記オイル(13)が、前記流体接続部(8)に到達することができる、少なくとも1つのアクセス開口部(29)を備える、請求項に記載のトランスミッションデバイス(1)。
【請求項6】
前記回収漏斗(9)が、前記ギアホイール(12)に面する側面に湾曲を伴って形成され、前記湾曲が、前記ギアホイール(12)の半径に対応する半径を有する、請求項に記載のトランスミッションデバイス(1)。
【請求項7】
少なくとも前記ワイパーユニット(6)及び前記出口ユニット(7)及び前記流体接続部(8)が、互いに一体的に接続されている、請求項1に記載のトランスミッションデバイス(1)。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか一項に記載のトランスミッションデバイス(1)のためのオイル戻しデバイス(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのギアスペースを有し、かつそのギアスペースの中に受容された少なくとも1つのギアホイールを有する、自動車のためのトランスミッションデバイスに関する。ギアホイールを潤滑するためのオイルを貯蔵するために、少なくとも1つのオイル溜めが使用される。オイルは、オイル溜めからギアスペースの中に搬送可能である。
【背景技術】
【0002】
このようなトランスミッションデバイスでは、ギアスペースに滴下したオイルを回収し、溜めるオイルサンプが設けられることが多く、オイルサンプはギアスペースに提供される。ほとんどの場合、オイル溜めとオイルサンプは共通の貯蔵部である。その後、オイルサンプに捕捉されたオイルは、オイル溜めのために再び利用可能であり、そこから再びギアスペースに搬送され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、トランスミッションの構造的理由のため、また潤滑の観点からも、オイルサンプをオイル溜めから隔壁によって分離することが有利であり得る。したがって、このようなトランスミッションデバイスは、オイルサンプ内のオイルレベルが望ましくないほど高くなる可能性がある。これにより、飛散損失が発生し、オイル溜めにおける充填量の低減が生じる。
【0004】
本発明によって対処される問題は、従来のトランスミッションデバイスと比較して改善されたトランスミッションデバイスを提供することである。好ましくは、簡単な方法で、かつ同時にできるだけ小さい設置スペース及び重量によって、オイルサンプにおけるオイルレベルの増加、上昇に対処する可能性が創出されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この問題は、請求項1に記載の特徴を有するトランスミッションデバイスによって解決される。本発明によるオイル戻しデバイスは、請求項10に記載の主題である。本発明の好ましい更なる発展は、サブクレームの主題である。本発明の更なる利点及び特徴は、例示的実施形態の全般的説明及び説明から開示される。
【0006】
本発明によるトランスミッションデバイスは、自動車のために提供され、特に、差動トランスミッションとして構成される。トランスミッションデバイスは、少なくとも1つのギアスペース及びギアスペースに収容されている少なくとも1つのギアホイールを備える。トランスミッションデバイスは、ギアホイールを潤滑するためにオイルを供給するための少なくとも1つのオイル溜めを備える。オイルは、オイル溜めからギアスペースの中に(作動中に)搬送可能である。(滴下している)オイルの捕捉、回収のための少なくとも1つのオイルサンプは、ギアスペース(特に少なくともギアホイールの下)に配置される。オイル溜めとオイルサンプ(特に、少なくともギアスペースの一部)との間に、少なくとも1つの隔壁が配置される。隔壁は、特にオイルサンプをオイル溜めから分離する役割を果たす。トランスミッションデバイスは、ギアホイールからオイルを拭き取るための少なくとも1つのワイパーユニットを有する少なくとも1つのオイル戻しデバイスを備える。オイル戻しデバイスは、拭き取ったオイルをオイル溜めに排出するための少なくとも1つの出口ユニットを備える。ワイパーユニット及び出口ユニットは、隔壁の異なる、特に(軸)対向する側面上に配置される。ワイパーユニット及び出口ユニットは、少なくとも1つの流体接続部によって互いに接続される。特に、オイルは、隔壁を乗り越えて、オイルサンプからオイル溜めに戻されることができる。
【0007】
本発明によるトランスミッションデバイスは、多くの利点を提供する。大きな利点は、オイル戻しデバイスによって提供され、これは、隔壁にもかかわらず、オイルをオイルサンプからオイル溜めに、例えば、ポンプ又は類似のものなしで受動的に戻すことができる。このようなオイル戻しデバイスは、低い労力で、同時に省スペースかつ低重量の様式で実施することができる。本発明では、オイルサンプにおいて、隔壁によって生じた高すぎるオイルレベルを、ギアホイールの回転を利用することによって単純かつ経済的に防止できる。
【0008】
好ましくは、ワイパーユニットは、ギアホイールに面する少なくとも1つのワイパーエッジを備える。特に、ワイパーエッジは、ギアホイールの径方向の外部(前側とも呼ぶことができる)上に配置される。特に、ワイパーエッジは、ギアホイールのキーイング側上に配置される。特に、ワイパーエッジは、ギアホイール(好ましくは、それのみ)の前面に径方向に配置される。ワイパーエッジは、接触している間(特に、少なくとも拭き取りの間)、ギアホイールに当接し得る。しかしながら、ワイパーエッジ(標的クリアランスを伴う)が、ギアホイールから間隔を置いて配置されることも可能であり、有利である。少なくともワイパーユニットの大部分、特にワイパーエッジは、ギアホイールと同じ軸位置に配置される。
【0009】
特に、ワイパーエッジは、ギアホイールの回転軸に対して平行に、及び/又は螺旋キーイングに対してある角度(平行ではない)で移動される。特に、ワイパーエッジは水平に移動する。これは、特に螺旋キーイングの場合、拭き取り処理に多くの利点を提供する。しかしながら、ワイパーエッジは、ギアホイールの回転軸に対して平行に、及び/又は直線キーイングに対して角度(平行ではない)で配置されていない可能性もある。
【0010】
有利な構成では、ワイパーエッジ及び出口ユニットは、ギアホイールの回転軸よりも低い位置に配置される。特に、出口ユニットは、ワイパーエッジよりも低い位置にある。特に、出口ユニットは、軸方向にギアホイールと隣接して配置される。
【0011】
ワイパーユニットは、壁を備えてもよく、それを介して、拭き取られたオイルがワイパーエッジから流体接続部に向けられる。ワイパーユニットはまた、流体接続部に流れる前に、拭き取られたオイルが回収される少なくとも1つの回収セクションを備えることができる。
【0012】
特に好適かつ有利な構成では、オイル戻しデバイスは、上方に向かって開いている少なくとも1つの回収漏斗を備える。回収漏斗は、特に、ギアスペース(下方)内のオイル滴下を回収するために使用される。結果として、オイル溜めの飛散損失及び充填量の低減は、より確実に回避することができる。
【0013】
回収漏斗は、少なくとも1つの漏斗開口部を備えることが好ましい。特に、漏斗開口部は、少なくともワイパーユニット、及び好ましくはワイパーエッジよりも高い一に配置される。特に、漏斗開口部は、ワイパーユニットの上部に配置される。特に、漏斗開口部は、ギアホイールの回転軸よりも高い位置にある。特に、漏斗開口部は、ギアホイールの径方向の上端部よりも低い位置にある。
【0014】
特に有利な実施形態では、回収漏斗は、流体接続部に(流体的に)接続される。特に、回収漏斗で捕捉されたオイルは、流体接続部を介して、特に出口ユニットを介して、オイル溜めに還流されることができる。これにより、特に複雑でなくコンパクトでありながら効果的な回収が可能になる。
【0015】
回収漏斗が、ギアホイールに面する側面上に少なくとも1つのアクセス開口部を有することが好ましく、有利である。好ましくは、ワイパーユニットによって拭き取られたオイルは、流体接続部へのアクセス開口部を通過することができる。特に、アクセス開口部は、ワイパーエッジの上方に配置される。
【0016】
回収漏斗が、ギアホイールに面する側面上に湾曲を伴って形成されることも好ましく、有利である。好ましくは、湾曲は、ギアホイールの半径に対応する半径を有する。特に、湾曲は、間隔を有するギアホイールの径方向の外部に続く。特に、湾曲は、アクセス開口部も配置される側面上に設けられる。
【0017】
全ての実施形態で、ワイパーユニット及び出口ユニット及び流体接続部、並びに好ましくは回収漏斗も互いに一体的に接続されることが特に好ましく、有利である。特に好ましくは、オイル戻しデバイス全体が一体的に形成される。例えば、オイル戻しデバイスは、プラスチック構成要素によって提供される。トランスミッションデバイスは、オイル戻しデバイスが隔壁及び/又はトランスミッションハウジングに固定されることを可能にする取り付け手段を備えることができる。
【0018】
本発明によるオイル戻しデバイスは、上述のトランスミッションデバイスでの使用に役立っている。好ましくは、オイル戻しデバイスは、トランスミッションデバイスについて以前に説明したように構成される。このようなオイル戻しデバイスはまた、以前に対処された問題を特に有利に解決する。
【0019】
特に、トランスミッションデバイスは複数のギアホイールを備え、ギアホイールのうちの少なくとも一部分は、それぞれ少なくとも1つのオイル戻しデバイスと関連付けられている。トランスミッションデバイスは、トランスミッションデバイスの構成要素が囲まれている少なくとも1つのトランスミッションハウジングを備えることができる。隔壁は、ギアホイールボックスに形成又は固定され得る。
【0020】
特に、オイルは、好ましくは搬送デバイスによって、オイル溜めからギアスペースへ能動的に搬送可能である。特に、オイルは、そこでギアホイールを潤滑する準備ができているように、ギアスペースの中に搬送される。例えば、オイルは、ギアホイール上及び/又はオイルサンプ内に搬送され得る。特に、意図されたように使用された場合、作動位置で、オイルサンプからのオイルは、隔壁のせいでオイル溜めに排出不可能である。特に、流体接続部内のオイルは、搬送デバイスの搬送方向に反対に流れる。
【0021】
オイル戻しデバイスは、特に受動的に形成される。オイル戻しデバイスは、特に、ギアスペースからオイルをオイル溜めに戻す役割を果たす。特に、オイル戻しデバイスは、オイルサンプから歯又は歯のギャップを介してギアホイールの作動ベースの回転によって運ばれる、オイルの少なくとも一部を戻すために使用される。特に、流体接続部内のオイルは、拭き取られたオイルの重力及び/又は油圧のために受動的に流れる。
【0022】
本発明の文脈では、用語「高い」及び「低い」は、特に、車両垂直軸、すなわち、車両座標系のZ軸を、自動車におけるトランスミッションデバイスの意図された作動位置に関連付ける。本発明の文脈において、オイルは、トランスミッションデバイスに好適な任意のタイプの液体潤滑剤を指すと理解される。
【0023】
特に、オイル戻しデバイスは、オイル溜め及び/又はオイルサンプの作動オイルレベルよりも高いように配置される。特に、ギアホイールの回転軸は、オイル溜め及び/又はオイルサンプのオイルレベルよりも高い位置に配置される。オイル溜め及びオイルサンプは、特に、ギアホイールギアホイールの回転軸よりも低い位置に配置される。オイル溜めは、特にオイルパンの上方に位置する。特に、ギアホイールの下部径方向の端部は、オイルサンプにおけるオイルレベルの下に配置される。特に、ギアホイールは、部分的にサンプのオイルに浸されるように配置される。
【0024】
ギアホイールの回転の作動方向(特に前方に駆動する場合)に関して、ワイパーユニットは、オイルサンプの下流及びギアホイールの半径方向上端の上流にあることが好ましい。特に、流体接続部は、隔壁によって分離された2つの領域を接続する。特に、流体接続部は、隔壁を貫通及び/又はバイパスする。特に、ワイパーユニット及び出口ユニットは、隔壁の対向する軸方向側上に配置される。
【0025】
特に、流体接続部及び回収漏斗は、ギアホイールよりも放射状に更に外側に配置される。特に、出口ユニットは、軸方向にギアホイールと隣接して配置される。特に、出口ユニットは、ワイパーエッジ及び/又はギアホイールの径方向の外部よりも径方向に更に内側に配置される。特に、出口ユニットは、ワイパーエッジ及び/又は流体接続部よりも少なくとも部分的に低く配置される。流体接続部は、特に、軸方向にギアホイールと隣接する側面上のギアホイールの径方向外側から延在し、それによって、ギアホイールの径方向の外部よりも径方向に更に内側にある。
【0026】
特に、回収漏斗は、ワイパーユニットも配置される隔壁の(軸)側上に配置される。特に、少なくとも回収漏斗の大部分は、ギアホイールと同じ軸位置に配置される。回収漏斗は、特に、ギアホイールに少なくとも部分的に径方向に隣接して配置される。
【0027】
本発明の更なる利点及び特徴は、添付の図を参照して以下に説明される例示的な実施形態に従う。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図面は、以下を示す。
【0029】
図1】本発明によるトランスミッションデバイスの断面及び部分的に透明な側面を示す概略図である。
図2図1のトランスミッションデバイスの斜め上からの部分的に透明な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明によるトランスミッションデバイス1を示しており、これは、自動車のドライブトレインのための差動トランスミッション10として構成される。トランスミッションデバイス1は、複数のギアホイール12を備え、そのうちの1つのみがここに示される。参照を容易にするために、トランスミッションデバイス1のトランスミッションハウジング及びその他の構成要素はここに示されていない。
【0031】
ギアホイール12は、ギアスペース2内に受容され、らせん状の歯(ヘリカルギア)として構成された歯部42を有する。作動中、ギアホイール12は回転軸32の周りを回転する。
【0032】
ギアホイール12を潤滑するためにオイル13を供給するためのオイル溜め3が提供される。オイル溜め3は、オイルパン33の上方に位置する。ギアスペース2のギアホイール12の下に、ギアホイール12から滴下するオイル13を捕捉することができるオイルサンプ22が形成される。
【0033】
作動中、オイル13は、例えば、オイルポンプなどの搬送デバイス23によってオイル溜め3から吸い込まれ、ギアスペース2の中に能動的に搬送され、例えば、ギアホイール12に、オイルサンプ22に、又は他の潤滑位置に搬送される。このオイル13は、本質的に(再び)、潤滑後にオイルサンプ22の中に流れ込む。
【0034】
隔壁4は、オイル溜め3とオイルサンプ22との間に配置される。結果として、オイルサンプ22内に位置するオイル13は、オイル溜め3から分離され、作動条件下では、オイル溜め3にそれ自体が流れ戻ることができない。隔壁4のために、望ましくないほど高いオイルレベルがオイルサンプ22内で発生し得る。これにより、飛散損失が増加し、オイル溜め3内のオイルの吸引可能量が低減する。
【0035】
したがって、トランスミッションデバイス1は、オイル13をオイルサンプ22からオイル溜め3に戻すオイル戻しデバイス5を備える。オイル戻しデバイス5の機能は、図1及び図2を参照して、以下で更に詳細に説明される。オイル戻しデバイス5のより良好な視認性のために、隔壁4は図2には示されず、ギアホイール12は部分的に透明に示されている。前方に移動するときのギアホイール12の回転方向は、ブロック矢印によって概略が示されている。加えて、オイル13は示されていない。
【0036】
オイル戻しデバイス5は、ギアホイール12からオイル13を取り除くためのワイパーユニット6と、拭き取られたオイル13をオイル溜め3に排出するための出口ユニット7と、更には流体接続部8とを含む。流体接続部8は、ワイパーユニット6を出口ユニット7に接続し、それによって隔壁4は乗り越えることができる。ワイパーユニット6及び出口ユニット7は、回転軸32よりも低い位置(下方)に配置される。
【0037】
オイル戻しデバイス5は一体的に形成され、例えばプラスチック部品として構成される。
【0038】
オイル13を取り除くために、ワイパーユニット6は、ワイパーエッジ16を装備している。作動中のギアホイール12の回転は、歯間又は歯部42を介してオイルサンプ22からオイル13を拭き取り、その後ワイパーエッジ16からオイルが拭き取られる。
【0039】
次に、拭き取られたオイル13は、隔壁4を通して、及び/又は隔壁4を通過して、流体接続部8を介して隔壁4の軸方向の他方側に排出される。ここで、オイル13は出口ユニット7を通過し、そこからオイル溜め3の中に滴下する。その後、オイル13が再び吸い上げられ、ギアスペース2に搬送して返すことができる。
【0040】
オイル戻しデバイス5は、上方に開いている回収漏斗9を装備する。回収漏斗9は、ワイパーユニット6よりも高い位置に配置される漏斗開口部19を備える。結果として、ギアホイール12又は他の領域からギアスペース12内に滴下するオイル13は、直接回収され得る。
【0041】
回収漏斗9はまた、流体接続部8に接続され、その結果、回収されたオイル13は同様に、流体接続部8及び出口ユニット7を介してオイル溜め3に戻される。
【0042】
回収漏斗9は、ギアホイール12に面する側面上にアクセス開口部29を有する。ワイパーユニット6によって拭き取られたオイル13は、このアクセス開口部29を介して流体接続部8に到達する。加えて、アクセス開口部29を有する側面は、湾曲を伴って形成される。湾曲の半径は、ギアホイール12の半径に対応する。
【符号の説明】
【0043】
1 トランスミッションデバイス
2 ギアスペース
3 オイル溜め
4 隔壁
5 オイル戻しデバイス
6 ワイパーユニット
7 出口ユニット
8 流体接続部
9 回収漏斗
10 差動トランスミッション
12 ギアホイール
13 オイル
16 ワイパーエッジ
19 漏斗開口部
22 オイルサンプ
23 搬送デバイス
29 アクセス開口部
32 回転軸
33 オイルパン
42 歯部
図1
図2