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特許7617194電力変換装置の動作方法、半導体チップおよび電力変換装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】電力変換装置の動作方法、半導体チップおよび電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
H02M3/28 H
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023122901
(22)【出願日】2023-07-27
(65)【公開番号】P2024075548
(43)【公開日】2024-06-04
【審査請求日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】202211476002.9
(32)【優先日】2022-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】18/193,593
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523282903
【氏名又は名称】ダイオーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ファン,フェン―ジュン
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-125941(JP,A)
【文献】特開2016-131464(JP,A)
【文献】特開2006-191708(JP,A)
【文献】特開2000-116126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00- 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の一次コイルと、二次コイルとを備える変圧器であって、前記第1の一次コイルの第1の端子が入力電圧を受け取るために使用され、前記二次コイルが出力電圧を生成するために使用される、変圧器と、
前記第1の一次コイルの前記第1の端子に結合された第1の端子を有するクランプコンデンサと、
前記第1の一次コイルの第2の端子と接地端子との間に直列に接続されたメインスイッチと、
前記クランプコンデンサの第2の端子に結合された第1の端子と、前記メインスイッチの第1の端子に結合された第2の端子とを有するクランプスイッチであって、前記クランプスイッチが、前記クランプコンデンサと前記メインスイッチとの間に直列に接続され、前記クランプスイッチの前記第2の端子が、前記第1の一次コイルの前記第2の端子にさらに結合され、それにより、前記クランプスイッチの前記第2の端子、前記メインスイッチの前記第1の端子、および前記第1の一次コイルの前記第2の端子が、共通ノードで交差する、クランプスイッチと、
制御回路と、を備え、前記制御回路が、
前記共通ノードのノード電圧を第1の閾値電圧と比較する電圧検出部と、
制御信号生成部と、を備え、前記制御信号生成部が、周期的に、
前記メインスイッチをオンにし、
前記メインスイッチがオンにされる前に前記クランプスイッチをオンにして前記第1の一次コイルの前記第2の端子に流れる逆電流を生成し、
前記クランプスイッチが一定期間オンにされた後、前記メインスイッチがオンにされる前に前記クランプスイッチをオフにして、前記逆電流により前記共通ノード上の等価コンデンサを放電させ、
前記クランプスイッチがオフにされた後、前記メインスイッチがオンにされる前の所定の時点において前記電圧検出部により検出された前記ノード電圧と前記第1の閾値電圧との大小関係に応じて、前記メインスイッチが次回オンにされる前に前記クランプスイッチがオンにされる時間を判定することにより、前記メインスイッチが次回オンにされる前の前記共通ノードの電圧を制御して、前記メインスイッチのスイッチング損失を抑制する、電力変換装置。
【請求項2】
前記制御信号生成部が、前記所定の時点において前記ノード電圧が前記第1の閾値電圧よりも大きいことを前記電圧検出部が検出した場合、前記メインスイッチが次回オンにされる前に前記クランプスイッチがオンにされる時間を延長する、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記制御信号生成部が、前記所定の時点において前記ノード電圧が前記第1の閾値電圧未満であることを前記電圧検出部が検出した場合、前記メインスイッチがその後オンにされる前に前記クランプスイッチがオンにされる時間を、その都度維持して固定する、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記制御信号生成部が、前記所定の時点において前記ノード電圧が前記第1の閾値電圧未満であることを前記電圧検出部が検出した場合、前記メインスイッチが次回オンにされる前に前記クランプスイッチがオンにされる時間を短縮する、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記制御信号生成部が、前記所定の時点において前記ノード電圧が前記第1の閾値電圧未満かつ第2の閾値電圧より大きいことを前記電圧検出部が検出した場合、前記メインスイッチがオンにされる前に前記クランプスイッチがオンにされる時間を維持し、前記第2の閾値電圧が前記第1の閾値電圧未満である、
請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記制御信号生成部が、前記所定の時点において前記ノード電圧が前記第2の閾値電圧未満であることを前記電圧検出部が検出した場合、前記メインスイッチが次回オンにされる前に前記クランプスイッチがオンにされる時間を短縮する、請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記電圧検出部が、
前記メインスイッチの前記第1の端子に結合されている第1の端子と、前記第1の閾値電圧を受け取るために使用される第2の端子とを有する第1の比較器を備える、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記電圧検出部が、
前記メインスイッチの前記第1の端子に結合された第1の端子を有する第1の抵抗器と、
前記第1の抵抗器の第2の端子に結合されている第1の端子と、接地端子に結合されている第2の端子とを有する第2の抵抗器と、
前記第1の抵抗器の前記第2の端子に結合されている第1の端子と、前記第1の閾値電圧に対応する第1の基準電圧を受け取るための第2の端子とを有する第1の比較器と、を備える、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記電圧検出部が、
前記メインスイッチの前記第1の端子に結合されたカソードを有するダイオードと、
前記ダイオードのアノードに結合された第1の端子と、所定のバイアス電圧を受け取るための第2の端子とを有する抵抗器と、
前記抵抗器の前記第1の端子に結合された第1の端子と、前記第1の閾値電圧に対応する第1の基準電圧を受け取るための第2の端子とを有する第1の比較器と、を備え、
前記所定のバイアス電圧が、前記第1の基準電圧よりも大きい、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記ノード電圧に対応する検出電圧を生成する第2の一次コイルをさらに備え、前記電圧検出部が、
前記第2の一次コイルの第1の端子に結合された第1の端子を有する第1の抵抗器と、
前記第1の抵抗器の第2の端子に結合された第1の端子と、前記第2の一次コイルの第2の端子および接地端子に結合された第2の端子とを有する第2の抵抗器と、
前記第1の抵抗器の前記第2の端子に結合されている第1の端子と、前記第1の閾値電圧に対応する第1の基準電圧を受け取るための第2の端子とを有する第1の比較器と、を備える、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記制御信号生成部が、クランプ制御信号を生成することにより前記クランプスイッチをオンにし、前記クランプ制御信号のパルス幅を調整することにより、前記クランプスイッチがオンにされる時間をその都度調整するように構成されている、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記制御回路が、デジタル回路を備え、前記制御信号生成部が、レジスタと、カウンタと、を備え、前記制御信号生成部が、前記パルス幅に対応付けられた値を前記レジスタに格納し、その値に応じて前記カウンタにカウントさせることにより、前記クランプ制御信号のパルス幅を制御する、請求項11に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記制御回路がアナログ回路を備え、前記制御信号生成部が、第2の基準電圧を鋸歯波または三角波と比較する第2の比較器を備え、前記制御信号生成部が、前記三角波または前記鋸歯波の波モードを調整する、または前記基準電圧を調整することにより、前記クランプ制御信号のパルス幅を制御する、請求項11に記載の電力変換装置。
【請求項14】
請求項1に記載の電力変換装置における前記制御回路を備えることを特徴とする、半導体チップ。
【請求項15】
電力変換装置の動作方法であって、前記電力変換装置が、変圧器と、メインスイッチと、クランプコンデンサと、クランプスイッチとを備え、前記変圧器が、一次コイルと、二次コイルとを備え、前記メインスイッチが、前記一次コイルの第2の端子と接地端子との間に直列に接続され、前記クランプスイッチの第1の端子が、前記クランプコンデンサの第2の端子に結合され、前記クランプスイッチの第2の端子が、前記メインスイッチの前記第1の端子および前記一次コイルの前記第2の端子に結合され、前記クランプスイッチの前記第2の端子、前記メインスイッチの前記第1の端子、および前記一次コイルの前記第2の端子が、共通ノードで交差することを特徴とし、
周期的に、
前記メインスイッチをオンにして、前記一次コイルを入力電圧で充電することと、
前記メインスイッチがオンにされる前に前記クランプスイッチをオンにして前記一次コイルの前記第2の端子に逆電流を生成することと、
前記クランプスイッチが一定期間オンにされた後、前記メインスイッチがオンにされる前に前記クランプスイッチをオフにして、前記逆電流により前記共通ノード上の等価コンデンサを放電させることと、
前記クランプスイッチがオフにされた後であって前記メインスイッチがオンにされる前の所定の時点において前記共通ノードのノード電圧と第1の閾値電圧との大小関係を検出することと、
前記所定の時点において検出された前記ノード電圧と前記第1の閾値電圧との大小関係に応じて、前記メインスイッチが次回オンにされる前に前記クランプスイッチがオンにされる時間を判定することにより、前記メインスイッチが次回オンにされる前の前記共通ノードの電圧を制御して、前記メインスイッチのスイッチング損失を抑制することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記所定の時点において検出された前記ノード電圧と前記第1の閾値電圧との大小関係に応じて、前記メインスイッチが次回オンにされる前に前記クランプスイッチがオンにされる時間を判定するステップが、
前記ノード電圧が前記第1の閾値電圧よりも大きいことが前記所定の時点において検出された場合、前記メインスイッチが次回オンにされる前に前記クランプスイッチがオンにされる時間を延長すること、を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記所定の時点において検出された前記ノード電圧と前記第1の閾値電圧との大小関係に応じて、次回前記メインスイッチがオンにされる前に前記クランプスイッチがオンにされる時間を判定するステップが、
前記ノード電圧が前記第1の閾値電圧未満であることが前記所定の時点において検出された場合、その都度、前記メインスイッチがその後オンにされる前に前記クランプスイッチがオンにされる時間を、その都度維持して固定すること、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記所定の時点において検出された前記ノード電圧と前記第1の閾値電圧との大小関係に応じて、次回前記メインスイッチがオンにされる前に前記クランプスイッチがオンにされる時間を判定するステップが、
前記ノード電圧が前記第1の閾値電圧未満であることが前記所定の時点において検出された場合、前記メインスイッチが次回オンにされる前に前記クランプスイッチがオンにされる時間を短縮すること、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記所定の時点において検出された前記ノード電圧と前記第1の閾値電圧との大小関係に応じて、次回前記メインスイッチがオンにされる前に前記クランプスイッチがオンにされる時間を判定するステップが、
前記ノード電圧が前記第1の閾値電圧未満かつ第2の閾値電圧より大きいことが前記所定の時点において検出された場合、前記メインスイッチがオンにされる前に前記クランプスイッチがオンにされる時間を制御信号生成部によって維持することをさらに含み、
前記第2の閾値電圧が前記第1の閾値電圧未満である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記所定の時点において検出された前記ノード電圧と前記第1の閾値電圧との大小関係に応じて、次回前記メインスイッチがオンにされる前に前記クランプスイッチがオンにされる時間を判定するステップが、
前記ノード電圧が前記第2の閾値電圧未満であることが前記所定の時点において検出された場合、前記メインスイッチが次回オンにされる前に前記クランプスイッチがオンにされる時間を短縮すること、をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]関連出願の相互参照
本出願は、2022年11月23日に出願された「電力変換装置の動作方法、半導体チップおよび電力変換装置」という名称の米国特許出願第18/193,593号、および2022年11月23日に出願された「フライバックコンバータにおける自己調整ソフトスイッチング」という名称の中国特許出願第202211476002.9号の優先権を主張し、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は、電力変換装置、半導体チップおよび電力変換装置の動作方法に関し、特に、スイッチング損失を低減することができる電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]フライバック電力変換装置は、その単純な構造およびその中の変圧器を介して電気絶縁を提供する能力のために、様々な電子製品で使用されることが多い。しかしながら、従来のフライバック電力変換装置は、一次コイルのスイッチを切り替える際に、スイッチの端子の寄生コンデンサを放電せず、ハードスイッチングの形態でスイッチをオンにするため、スイッチング損失が深刻であった。したがって、より効率的な電力変換装置をどのように設計するかが解決すべき喫緊の課題となっている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本開示の実施形態は、電力変換装置に関する。電力変換装置は、変圧器と、クランプコンデンサと、メインスイッチと、クランプスイッチと、制御回路とを備える。変圧器は、第1の一次コイルと二次コイルとを備え、第1の一次コイルの第1の端子は入力電圧を受け取るために使用され、二次コイルは出力電圧を生成するために使用される。クランプコンデンサは、第1の一次コイルの第1の端子に結合された第1の端子を有する。メインスイッチは、第1の一次コイルの第2の端子と接地端子との間に直列に接続される。クランプスイッチは、クランプコンデンサの第2の端子に結合された第1の端子と、メインスイッチの第1の端子に結合された第2の端子とを有し、クランプスイッチは、クランプコンデンサとメインスイッチとの間に直列に接続され、クランプスイッチの第2の端子は、第1の一次コイルの第2の端子にさらに結合され、その結果、クランプスイッチの第2の端子、メインスイッチの第1の端子、および第1の一次コイルの第2の端子は、共通ノードで交差する。制御回路は、電圧検出部と、制御信号生成部とを備える。電圧検出部は、共通ノードのノード電圧と第1の閾値電圧とを比較するために使用される。制御信号生成部は周期的に、メインスイッチをオンにし、メインスイッチがオンにされる前に、クランプスイッチをオンにして一次コイルの第2の端子に逆電流を生成し、メインスイッチがオンにされる前にクランプスイッチをオフにして、クランプスイッチが一定期間オンにされた後、逆電流により共通ノード上の等価コンデンサを放電させ、クランプスイッチがオフにされた後、メインスイッチがオンにされる前の所定の時点において電圧検出部により検出された第1の閾値電圧とノード電圧との大小関係に応じて、メインスイッチが次回オンにされる前にクランプスイッチがオンにされる時間を判定することにより、メインスイッチが次回オンにされる前の共通ノードの電圧を制御して、メインスイッチのスイッチング損失を抑制するために、使用される。
【0005】
[0005]本開示の別の実施形態は、電力変換装置に制御回路を備えるチップに関する。
【0006】
[0006]本開示の別の実施形態は、電力変換装置の動作方法に関する。電力変換装置は、変圧器と、メインスイッチと、クランプコンデンサと、クランプスイッチとを備え、変圧器は一次コイルと、二次コイルとを備え、メインスイッチは一次コイルの第2の端子と接地端子との間に直列に接続され、クランプスイッチの第1の端子はクランプコンデンサの第2の端子に結合され、クランプスイッチの第2の端子はメインスイッチの第1の端子および一次コイルの第2の端子に結合され、クランプスイッチの第2の端子、メインスイッチの第1の端子および一次コイルの第2の端子は共通ノードで交差する。本方法は、周期的に、入力電圧で一次コイルを充電するためにメインスイッチをオンにすることと、メインスイッチがオンにされる前に、クランプスイッチをオンにして一次コイルの第2の端子に逆電流を生成することと、メインスイッチがオンにされる前にクランプスイッチをオフにして、クランプスイッチが一定期間オンにされた後、逆電流により共通ノード上の等価コンデンサを放電させることと、クランプスイッチがオフにされた後、メインスイッチがオンにされる前の所定の時点において共通ノードのノード電圧と第1の閾値電圧との大小関係を検出することと、クランプスイッチがオフにされた後、メインスイッチがオンにされる前の所定の時点において電圧検出部により検出された第1の閾値電圧とノード電圧との大小関係に応じて、メインスイッチが次回オンにされる前にクランプスイッチがオンにされる時間を判定することにより、メインスイッチが次回オンにされる前の共通ノードの電圧を制御して、メインスイッチのスイッチング損失を抑制することと、を含む。
【0007】
[0007]本開示の電力変換装置によれば、次回にクランプスイッチがオンにされる時間を、その都度、メインスイッチがオンにされる前の共通ノードのノード電圧の振幅に応じて判定することができるので、異なる回路や環境において、共通ノードの電圧を所定の範囲に引き下げることができ、メインスイッチのスイッチング損失を効果的に抑制することができる。
【0008】
[0008]本開示のいくつかの実施形態の態様は、添付の図面と共に読むと、以下の詳細な説明から最もよく理解され得る。様々な構造は縮尺通りに描かれていない場合があることに留意されたい。実際、様々な構造の寸法は、説明を明確にするために任意に拡大または縮小してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態による電力変換装置の概略図である。
図2】本開示の一実施形態による図1の電力変換装置の動作方法のフローチャートである。
図3図2の方法による図1の電力変換装置の動作タイミング図である。
図4】別の実施形態による図1の電力変換装置の動作タイミング図である。
図5】別の実施形態による図1の電力変換装置の動作タイミング図である。
図6】本開示の別の実施形態による電力変換装置の概略図である。
図7】本開示の別の実施形態による電力変換装置の概略図である。
図8】本開示の別の実施形態による電力変換装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0017]同じまたは同様の部分を指すために、図面および詳細な説明を通して同じ参照番号が使用される。本開示のいくつかの実施形態は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明から容易に理解されるであろう。
【0011】
[0018]以下の開示は、提供される主題の異なる特徴を実装するための多くの異なる実施形態または例を提供する。以下、構成要素および構成の具体例について説明する。当然ながら、これらは単なる例であり、限定することを意図するものではない。本開示において、第2の特徴の上方または上に第1の特徴を形成することへの言及は、第1の特徴および第2の特徴を直接接触するように形成する実施形態を含んでもよく、第1の特徴および第2の特徴が直接接触しないように、第1の特徴と第2の特徴との間に追加の特徴を形成し得る実施形態も含んでもよい。さらに、本開示は、様々な例において参照番号および/または文字を繰り返してもよい。この繰り返しは、単純化および明確化のためのものであり、説明した様々な実施形態および/または構成の間の関係を規定するものではない。
【0012】
[0019]以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。しかしながら、本開示は、多種多様な特定の状況で具体化することができる多くの適用可能な概念を提供する。説明される実施形態は単なる例示であり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0013】
[0020]本開示は、電力変換装置、半導体チップ、および電力変換装置の動作方法を提供する。本開示の電力変換装置は、変圧器と、クランプコンデンサと、メインスイッチと、クランプスイッチと、制御回路とを備える。クランプコンデンサの第1の端子は、変圧器の一次コイルの第1の端子に結合され、メインスイッチは、一次コイルの第2の端子と接地端子との間に直列に接続される。クランプスイッチは、クランプコンデンサの第2の端子とメインスイッチの第1の端子との間に直列に接続され、クランプスイッチの第2の端子は、メインスイッチの第1の端子と一次コイルの第2の端子とが共通ノードで交差する。制御回路は、メインスイッチを周期的にオンにし、メインスイッチが一定期間オンにされた後、クランプスイッチをオンにして逆電流を生成する。クランプスイッチがオンにされた後、メインスイッチがオンにされる前に、制御回路は、クランプスイッチをオフにして、共通ノード上の等価コンデンサを放電し、メインスイッチがオンにされる前に、共通ノードの電圧と閾値電圧との関係に従って、クランプスイッチが次回オンにされる時間を判定する。本開示の電力変換装置によれば、次回にクランプスイッチがオンにされる時間を、その都度、メインスイッチがオンにされる前の共通ノードのノード電圧の振幅に応じて判定することができるので、異なる回路や環境において、共通ノードの電圧を所定の範囲に引き下げることができ、メインスイッチのスイッチング損失を効果的に抑制することができる。
【0014】
[0021]図1は本開示の一実施形態による電力変換装置の概略図である。図1に示すように、電力変換装置100は、変圧器110と、クランプコンデンサ120と、メインスイッチ130と、クランプスイッチ140と、制御回路150とを備えてもよい。この実施形態では、電力変換装置は、例えば、アクティブクランプフライバック電力変換装置であってもよい。
【0015】
[0022]変圧器110は、一次コイル112と、二次コイル114とを備える。一次コイル112の第1の端子は入力電圧Vinを受け取り得、二次コイル114は一次コイル112上の電流の変化に従って出力電圧Voutを誘導および出力し得る。クランプコンデンサ120は、第1の端子および第2の端子を有し、クランプコンデンサ120の第1の端子は、一次コイル112の第1の端子に結合されてもよい。メインスイッチ130は、一次コイル112の第2の端子と接地端子GNDとの間に直列に接続されている。クランプスイッチ140は第1の端子および第2の端子を有し、クランプスイッチ140の第1の端子はクランプコンデンサ120の第2の端子に結合され、クランプスイッチ140の第2の端子はメインスイッチ130の第1の端子に結合されてもよい。すなわち、クランプスイッチ140は、クランプコンデンサ120とメインスイッチ130との間に直列に接続されてもよく、クランプスイッチ140の第2の端子はまた、クランプスイッチ140の第2の端子、メインスイッチ130の第1の端子、および一次コイル112の第2の端子が共通ノードN1で交差するように、一次コイル112の第2の端子に結合されてもよい。
【0016】
[0023]電力変換装置100は、主に二段階で動作し得る。第一段階では、制御回路150はメインスイッチ130をオンにしてもよく、その時点において一次コイル112は入力電圧Vinを受け取り、エネルギーを蓄積してもよい。次に、第二段階では、制御回路150はメインスイッチ130をオフにしてもよく、その時点において、一次コイル112に蓄積されたエネルギーが電磁誘導によって二次コイル114に伝達され、エネルギーが二次コイル114を介して出力端子に伝達されて出力電圧Voutを維持する。さらに、第二段階において、電力変換装置100は、クランプコンデンサ120を介して一次コイル112の漏れインダクタンスエネルギーを蓄積してもよく、電力変換装置100の電力変換効率を高くすることができる。電力変換装置100は、第一段階と第二段階の動作を繰り返し実行することにより、入力電圧Vinを出力電圧Voutに安定して変換して出力することができる。
【0017】
[0024]しかしながら、メインスイッチ130がオンにされたとき、共通ノードN1のノード電圧VSWが比較的高いと、ドレイン-ソース間電圧が比較的高いときにメインスイッチ130がオンにされ、その時点において、メインスイッチ130は比較的大きなスイッチング損失を発生し、これはハードスイッチング状態でメインスイッチ130がオンにされることを可能にすることに相当する。この問題を解決するために、この実施形態では、制御回路150は、クランプスイッチ140を一定期間オンにし、その後、メインスイッチ130がオンにされる前に、その都度オフにして、共通ノードN1のノード電圧VSWを引き下げることにより、メインスイッチ130のドレイン-ソース間電圧を低減し、メインスイッチ130のスイッチング損失を低減してもよく、これは、ソフトスイッチング状態でメインスイッチ130がオンにされることを可能にすることに相当する。さらに、本実施形態では、メインスイッチ130のドレイン電圧を所定の範囲まで引き下げて、メインスイッチ130を可能な限りソフトスイッチング状態でオン状態にできるようにするために、制御回路150は、その都度、メインスイッチ130をオン状態にする前に、共通ノードN1のノード電圧VSWが十分に低いか否かを検出し、実施形態によれば、次回クランプスイッチ140をオン状態にする時間を判定してもよい。
【0018】
[0025]図1に示すように、制御回路150は、電圧検出部152と、制御信号生成部154とを備えてもよい。電圧検出部152は、共通ノードN1のノード電圧VSWと、閾値電圧VTH1とを比較してもよい。この実施形態では、VTH1は10ボルトに設定されているが、当業者は、この実施形態によって制限されることなく、その値を所望に応じて変更してもよい。制御信号生成部154は、メインスイッチ130を制御するためのメイン制御信号SIGM1と、クランプスイッチ140を制御するためのクランプ制御信号SIGC1とを生成し得る。制御信号生成部154は、電力変換装置100が第一段階および第二段階の動作を交互に繰り返し実行できるように、メインスイッチ130を周期的にオンにしてもよい。
【0019】
[0026]図2は、本開示の一実施形態による電力変換装置100のM1の動作方法のフローチャートであり、図3は、方法M1による電力変換装置100の動作タイミング図である。図2に示すように、方法M1は、ステップS110~S150を繰り返すことを含んでもよい。この実施形態では、メインスイッチ130は、例えばN型トランジスタであってもよく、図3では、メイン制御信号SIGM1が論理高電位にあるとき、メインスイッチ130がオンにされ、電力変換装置100は第一段階で動作し、メイン制御信号SIGM1が低ロジックレベルであるとき、メインスイッチ130がオフにされ、電力変換装置100は第二段階で動作する。さらに、クランプスイッチ140は、例えばN型トランジスタであってもよく、クランプ制御信号SIGC1が論理高電位のとき、クランプスイッチ140がオンにされ、クランプ制御信号SIGC1が論理低電位のとき、クランプスイッチ140がオフにされる。
【0020】
[0027]この場合、図3に示すように、期間TB1、TB2、TB3の間はクランプスイッチ140がオンにされ、期間TB1、TB2、TB3の後はクランプスイッチ140がオフにされ、期間TA1、TA2、TA3の間はメインスイッチ130がオンにされる。さらに、電圧検出部152は、期間TA1、TA2、TA3の前の所定の時点TC1、TC2、TC3における共通ノードN1のノード電圧VSWと閾値電圧VTH1との大小関係を検出し、次のクランプスイッチ140がオンにされる時間を判定する。
【0021】
[0028]理解を容易にするために、以下の説明は、図1図2、および図3を同時に参照してもよい。この実施形態では、制御回路150は、メインスイッチ130がオンにされる前に、クランプスイッチ140をオンにして(ステップS110)、その都度、一次コイル112の第2の端子に逆電流を生成し得る。クランプスイッチ140が一定期間オンにされた後、制御回路150は、メインスイッチ130がオンにされる前にクランプスイッチ140をオフにして(ステップS120)、この時点において、逆電流が共通ノードN1上の等価コンデンサCpから電荷を引き込む、すなわち等価コンデンサCを放電させることにより、共通ノードN1のノード電圧VSWの電圧を引き下げる。これにより、小さいドレイン-ソース間電圧でメインスイッチ130がオンにされる(ステップS130)ことができ、メインスイッチ130のスイッチング損失を低減することができる。
【0022】
[0029]共通ノードN1上の等価コンデンサCは、メインスイッチ130の寄生コンデンサ、クランプスイッチ140の寄生コンデンサ、および二次側の対応する位置のミラーコンデンサなど、複数のキャパシタの全体的な等価コンデンサを備えてもよいため、等価コンデンサCの大きさは、製造プロセス、それが位置する回路、および動作環境(例えば、温度)に関連し得る。この場合、電力変換装置100が同じ設計に基づいて生成されたとしても、実際の動作では、その共通ノードN1上の等価コンデンサCが異なる可能性がある。すなわち、各電力変換装置100は、ノード電圧VSWを適切な範囲に引き下げるためには、等価コンデンサCの放電を異ならせなければならない。
【0023】
[0030]異なる電力変換装置100内のメインスイッチがソフトスイッチング状態でオンにされることを可能にするために、本実施形態では、制御信号生成部154は、クランプスイッチ140がオフにされた後、メインスイッチ130がオンにされる前の所定の時点において電圧検出部152が検出したノード電圧VSWと閾値電圧VTH1との大小関係を判定し(ステップS140)、次回メインスイッチ130がオンにされる前にクランプスイッチ140がオンにされる時間を判定してもよい(ステップS150)。これにより、次回のメインスイッチ130のオン前に適切な放電電流を流すことで、共通ノードN1の電圧を引き下げることができ、メインスイッチ130のスイッチング損失をより効果的に抑制することができる。
【0024】
[0031]例えば、図3に示すように、時点TC1で電圧検出部152によって検出されたノード電圧VSWが、メインスイッチ130がオンにされている期間TA1の前の閾値電圧VTH1よりも大きく、これは、期間TA1にメインスイッチ130がオンにされたときにメインスイッチ130のドレイン-ソース間電圧が依然として高いことを示しているので、制御信号生成部154は、メインスイッチが次回オンにされる前にクランプスイッチ140がオンにされる時間の長さ(すなわち、期間TA2の前)を延長して、一次コイル112の第2の端子への逆流を増加させ得る。すなわち、クランプスイッチ140が2回目にオンにされる期間TB2の長さは、クランプスイッチ140が1回目にオンにされる期間TB1の長さよりも長いので、クランプスイッチ140は、期間TB2においてより長くオンにされ、より大きな逆電流を生成し、それによって、クランプスイッチ140がオフにされた後、メインスイッチ130がオンにされる前の期間(すなわち、期間TB2とTA2との間の期間)の間、電力変換装置100は、より大きな逆電流によって等価コンデンサCを放電することができ、それによって、メインスイッチ130がオンにされる前にノード電圧VSWをより低いレベルにさらに引き下げることができる。図3に示すように、時点TC2において電圧検出部152によって検出されたノード電圧VSWは、時点TC1において電圧検出部152によって検出されたノード電圧VSWよりも小さいため、期間TA2においてメインスイッチ130を再びオンにされるときのスイッチング損失は低い。
【0025】
[0032]さらに、本実施形態では、制御信号生成部154は、所定の時点TC2において、電圧検出部152によりノード電圧VSWが閾値電圧VTH1未満であることが検出された場合、その後にメインスイッチ130がオンにされる前にクランプスイッチ140がオンにされる時間をその都度維持して固定する。例えば、図3において、時点TC2で電圧検出部152により検出されたノード電圧VSWが閾値電圧VTH1未満であるため、制御信号生成部154は、クランプスイッチ140を次回同じ時間の長さだけオンにしてもよく、すなわち、期間TB3の長さを期間TB2の長さと等しくしてもよい。
【0026】
[0033]しかしながら、本出願はこれに限定されない。いくつかの実施形態では、温度などの電力変換装置100の動作環境は経時的に変化してもよく、入力電圧Vinは試験環境において経時的に変化してもよく、この場合、固定クランプスイッチ140がオンにされている時間が長い間、メインスイッチ130のスイッチング損失を効果的に抑制できない可能性がある。これにより、制御信号生成部154は、クランプスイッチ140のオン時間を他の機構によって調整してもよく、必ずしも後続のクランプスイッチ140のオン時間を固定しなくてもよい。
【0027】
[0034]図4は、別の実施形態による電力変換装置100の動作タイミング図である。図4において、制御信号生成部154は、時点TC1において、ノード電圧VSWが閾値電圧VTH1よりも大きいことを電圧検出部152が検出した場合、次回クランプスイッチ140がオンにされる前の期間TB2の長さが、期間TB1の長さよりも長くなるように、クランプスイッチを延長してもよい。しかしながら、時点TC2においてノード電圧VSWが閾値電圧VTH1未満であることを電圧検出部152が検出した場合、制御信号生成部154は、クランプスイッチ140の次回のオン時間を短縮し、期間TB3の長さを期間TB2よりも短くしてもよい。このように、制御信号生成部154はまた、動作条件が変化するにつれてクランプスイッチ140がオンにされている時間を動的に調整し得る。
【0028】
[0035]図5は、別の実施形態による電力変換装置100の動作タイミング図である。図5の実施形態において、電圧検出部152は、所定の時点TC1、TC2、TC3およびTC4においてノード電圧VSWを2つの閾値電圧VTH1およびVTH2と比較し、ノード電圧VSWと閾値電圧VTH1およびVTH2との間の大小関係に従って次のクランプスイッチ140がオンにされる時間を調整し得、閾値電圧VTH2は閾値電圧VTH1未満である。
【0029】
[0036]例えば、制御信号生成部154は、時点TC1において、ノード電圧VSWが閾値電圧VTH1よりも大きいことを電圧検出部152が検出した場合、クランプスイッチ140を次回オンにされている時間の長さを延長し、期間TB2の長さを期間TB1の長さよりも長くしてもよい。制御信号生成部154は、時点TC2において、電圧検出部152によりノード電圧VSWが閾値電圧VTH1未満かつ閾値電圧VTH2より大きいことが検出された場合、クランプスイッチ140を次回オンにされている時間の長さを、期間TB3の長さが期間TB2の長さと等しくなるように維持してもよい。しかしながら、時点TC3において、ノード電圧VSWが閾値電圧VTH2未満であることを電圧検出部152が検出した場合、制御信号生成部154は、クランプスイッチ140を次回オンにされている時間の長さを短縮し、期間TB4の長さを期間TB3の長さよりも短くしてもよい。この実施形態では、VTH1は10ボルトに設定され、VTH2は5ボルトに設定されるが、当業者は、この実施形態によって制限されることなく、それらの値を所望に応じて変更し得る。
【0030】
[0037]すなわち、制御信号生成部154は、ノード電圧VSWが閾値電圧VTH1よりも大きい場合、または、閾値電圧VTH2未満である場合にのみ、クランプスイッチ140が次回オンにされている時間の長さを調整し、ノード電圧VSWが閾値電圧VTH1と閾値電圧VTH2との間にある場合には、クランプスイッチ140を次回オンにされている時間の長さを維持する。このように、クランプスイッチ140のオン時間を頻繁に調整しすぎることを回避することができ、ヒステリシス状の制御効果を得ることができる。他の実施形態では、電力変換装置100には、所望に応じて3つ以上の閾値電圧が設けられてもよい。
【0031】
[0038]さらに、図1の実施形態では、電圧検出部152は比較器1521を備えてもよい。比較器1521の第1の端子はメインスイッチ130の第1の端子に結合されてもよく、比較器1521の第2の端子は閾値電圧VTH1を受け取ってもよい。すなわち、電圧検出部152は、比較器1521を介して、共通ノードN1のノード電圧VSWと、閾値電圧VTH1とを直接比較してもよい。しかしながら、本開示はこれに限定されない。いくつかの実施形態では、ノード電圧VSWを比較器1521への入力電圧として直接使用すると、ノード電圧VSWがより高い電圧値を有し得るため、比較器1521に損傷を与える可能性がある。この場合、電圧検出部152は、他の態様で、ノード電圧VSWと閾値電圧VTH1との大小関係を比較してもよい。
【0032】
[0039]図6は本開示の別の実施形態による電力変換装置の概略図である。電力変換装置200は、電力変換装置100と同様の構造を有し、同様の原理に従って動作し得るが、電力変換装置200内の電圧検出部252は、抵抗器RA1、RA2と、比較器2521とを備えてもよい。抵抗器RA1の第1の端子はメインスイッチ130の第1の端子に結合されてもよく、抵抗器RA2の第1の端子は抵抗器RA1の第2の端子に結合されてもよく、抵抗器RA2の第2の端子は接地端子GNDに結合されてもよい。さらに、比較器2521の第1の端子は、抵抗器RA1の第2の端子に結合されてもよく、比較器2521の第2の端子は、閾値電圧VTH1に対応する基準電圧VRA1を受け取ってもよい。
【0033】
[0040]すなわち、電圧検出部252は、抵抗器RA1およびRA2を介してノード電圧VSWを分圧し、比較器2521の第1の端子で受け取る電圧を低減してもよい。この場合、基準電圧VRA1は閾値電圧VTH1未満であってもよく、閾値電圧VTH1に対する基準電圧VRA1の比は、抵抗器RA1およびRA2の和に対する抵抗器RA2の比、すなわちRA2/(RA1+RA2)に等しくてもよい。このように、電圧検出部252は、従来の低耐圧比較器2521を使用して実装され得る。
【0034】
[0041]図7は本開示の別の実施形態による電力変換装置の概略図である。電力変換装置300は、電力変換装置100と同様の構造を有し、同様の原理に従って動作し得るが、電力変換装置300内の電圧検出部352は、ダイオードD1と、抵抗器RB1と、比較器3521とを備えてもよい。ダイオードD1のカソードはメインスイッチ130の第1の端子に結合されてもよく、抵抗器RB1の第1の端子はダイオードD1のアノードに結合されてもよく、抵抗器RB1の第2の端子は所定のバイアス電圧VD1を受け取ってもよい。比較器3521の第1の端子は、抵抗器RB1の第1の端子に結合されてもよく、比較器3521の第2の端子は、閾値電圧VTH1に対応する基準電圧VRB1を受け取ってもよい。
【0035】
[0042]本実施形態では、所定のバイアス電圧VD1は、基準電圧VRB1よりも大きくてもよい。この場合、ノード電圧VSWが所定のバイアス電圧VD1よりも大きいとき、ダイオードD1は逆バイアス状態になり、その結果、比較器3521の第1の端子は所定のバイアス電圧VD1を受け取り、その時点において、比較器3521は第1の電圧を出力する。逆に、ノード電圧VSWが所定のバイアス電圧VD1からダイオードD1の閾値電圧を引いた値未満であるとき、ダイオードD1は順バイアス状態になり、その結果、比較器3521の第1の端子はノード電圧VSW+ダイオードD1の閾値電圧を受け取り、その時点において、比較器3521は第1の電圧とは異なる第2の電圧を出力する。すなわち、所定のバイアス電圧VD1および基準電圧VRB1を適切に設定することにより、比較器3521は、ノード電圧VSWが小さい場合にのみ、ノード電圧VSWと基準電圧VRB1とを比較することができ、比較器3521が過大な電圧を受け取ることを防止することができる。
【0036】
[0043]図8は、本開示の別の実施形態による電力変換装置の概略図である。電力変換装置400は、同様の構造を有し、電力変換装置100と同様の原理に従って動作し得るが、電力変換装置400は、2つの一次コイル112、412を備えてもよく、電圧検出部452は、抵抗器RC1、RC2と、比較器4521とを備えてもよい。この実施形態では、電力変換装置400は、一次コイル412を介してノード電圧VSWに対応する検出電圧VS1を生成し得、抵抗器RC1およびRC2を介して検出電圧VS1を分圧し得る。
【0037】
[0044]図8に示すように、抵抗器RC1の第1の端子は一次コイル412の第1の端子に結合されてもよく、抵抗器RC2の第1の端子は抵抗器RC1の第2の端子に結合されてもよく、抵抗器RC2の第2の端子は一次コイル412の第2の端子および接地端子GNDに結合されてもよい。さらに、比較器4521の第1の端子は、抵抗器RC1の第2の端子に結合されてもよく、比較器4521の第2の端子は、閾値電圧VTH1に対応する基準電圧VRC1を受け取ってもよい。
【0038】
[0045]本実施形態では、電力変換装置400が一次コイル412を介してノード電圧VSWに対応する検出電圧VS1を生成し、抵抗器RC1、RC2を介して分圧するため、検出プロセスにおけるノード電圧VSWへの影響を低減することができ、比較器4521の入力電圧を低減することができる。
【0039】
[0046]さらに、電力変換装置100、200、300、400において、制御信号生成部154は、周期矩形波信号SIGM1に加えてクランプ制御信号SIGC1を生成することでクランプスイッチ140を制御してメインスイッチ130を制御し、クランプ制御信号SIGC1のパルス幅を調整することで、クランプスイッチ140がオンにされている時間をその都度調整してもよい。例えば、図1の実施形態では、制御回路150はアナログ回路を備えてもよく、制御信号生成部154は、基準電圧VR0を鋸歯波SIG(または三角波)と比較し得る比較器(図示せず)を備えてもよい。この場合、制御信号生成部154は、鋸歯波SIG(または三角波)の移動モードを調整したり、基準電圧VR0のレベルを調整したりすることにより、クランプ制御信号SIGC1のパルス幅を制御してもよい。
【0040】
[0047]しかしながら、本開示はこれに限定されず、いくつかの他の実施形態では、制御回路150はデジタル回路を備えてもよく、制御信号生成部154はレジスタと、カウンタとを備えてもよい。この場合、制御信号生成部154は、パルス幅に関する値をレジスタに格納し、カウンタがデジタル回路内のクロック信号をカウントすることで、レジスタに格納された値に応じてクランプ制御信号SIGC1のパルス幅を制御してもよい。
【0041】
[0048]さらに、いくつかの実施形態では、制御回路150は、例えば、別個のチップCP1に設けられてもよく、その結果、回路設計者は、チップCP1をより便利に使用して、その中の一次コイルの電圧を検出し、そのクランプスイッチおよび様々な電力変換装置設計においてオンにされるようにメインスイッチを制御し得る。同様に、制御回路250、350、450は、回路設計者が使用するチップとして設計されてもよい。
【0042】
[0049]要約すると、本開示の実施形態は、電力変換装置、半導体チップ、および電力変換装置の動作方法を提供する。本開示の電力変換装置によれば、次回にクランプスイッチがオンにされる時間を、その都度、メインスイッチがオンにされる前の共通ノードのノード電圧の振幅に応じて判定することができるので、異なる回路や環境において、共通ノードの電圧を所定の範囲に引き下げることができ、メインスイッチのスイッチング損失を効果的に抑制することができる。
【0043】
[0050]「下方」、「下」、「下部」、「上方」、「上部」、「左」、「右」などの空間的に相対的な用語は、本明細書では、図に示すように、1つの構成要素または特徴と別の構成要素または特徴との間の関係を説明するための説明を容易にするために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示す向きに加えて、使用中または動作中の装置の異なる向きを包含することを意図している。装置は、他の方向に向けられてもよく(90度または他の向きに回転されてもよく)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述は、対応する方法で解釈されてもよい。ある要素が別の要素に「接続」または「結合」されていると言及される場合、それは他の要素に直接接続または結合され得、または介在要素が存在してもよいことが理解されよう。
【0044】
[0051]本明細書で使用される場合、「約(about)」、「実質的に」、「一般に(generally)」、および「およそ」という用語は、わずかな変動を記載および説明するために使用される。事象または状況に関連して使用される場合、この用語は、事象または状況が正確に起こる場合、ならびに事象または状況がほぼ起こる事例を指すことができる。所与の値または範囲に関して本明細書で使用される場合、「約」という用語は、一般に、所与の値または範囲の±10%、±5%、±1%、または±0.5%以内を意味する。範囲は、本明細書では、1つの終点から別の終点まで、または2つの終点間として表すことができる。本明細書に開示される全ての範囲は、特に明記しない限り、終点を含む。「実質的に同一平面上」という用語は、2つの表面が、同じ平面に沿った位置の差の数マイクロメートル(μm)以内、例えば、同じ平面に沿った位置の差の10μm以内、5μm以内、1μm以内、または0.5μm以内に配置されることを意味し得る。数値または特性が同じ「実質的に」同じであると言及される場合、この用語は、記載された値の平均の±10%、±5%、±1%、または±0.5%以内の値を指すことができる。
【0045】
[0052]以上、本開示のいくつかの実施形態の特徴および詳細な態様について概説した。本開示に記載された実施形態は、同じまたは同様の目的を実行するため、および/または本明細書に記載された実施形態の同じまたは同様の利点を達成するために、他のプロセスおよび構造を設計または修正するための基礎として容易に利用され得る。そのような均等な構成は、本開示の精神および範囲から逸脱するものではなく、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、および変形が行われ得る。
【符号の説明】
【0046】
100、200、300、400 電力変換装置
110 変圧器
112、412 一次コイル
114 二次コイル
120 クランプコンデンサ
130 メインスイッチ
140 クランプスイッチ
150、250、350、450 制御回路
152、252、352、452 電圧検出部
154 制御信号生成部
1521、2521、3521、4521 比較器
CP1 チップ
等価コンデンサ
D1 ダイオード
GND 接地端子
N1 共通ノード
RA1、RA2、RB1、RC1、RC2 抵抗器
SIG 鋸歯波
SIGC1 クランプ制御信号
SIGM1 メイン制御信号
TA1、TA2、TA3、TB1、TB2、TB3、TB4 期間
TC1、TC2、TC3 時点
VD1 バイアス電圧
VR0、VRA1、VRB1、VRC1 基準電圧
VS1 検出電圧
VSW ノード電圧
VTH1、VTH2 閾値電圧
in 入力電圧
out 出力電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8