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特許7617224ゲートウェイおよび変電所システム移行方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ゲートウェイおよび変電所システム移行方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20250109BHJP
   H04L 69/08 20220101ALI20250109BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02J13/00 301A
H04L69/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023191054
(22)【出願日】2023-11-08
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000215202
【氏名又は名称】通研電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 勝也
(72)【発明者】
【氏名】山口 亮
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一成
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-034743(JP,A)
【文献】特開2022-078880(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103577563(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102209108(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114899939(CN,A)
【文献】中国実用新案第204031210(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第104346130(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113743507(CN,A)
【文献】中国実用新案第214314716(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H04L 69/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変電所内のデジタルネットワーク化に使用されるゲートウェイであって、
国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにより監視制御装置親局との間でデータ伝送を行う第1の通信インターフェース部と、
前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによりデジタル配電盤との間でデータ伝送を行う第2の通信インターフェース部と、
前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにより監視制御装置子局との間でデータ伝送を行う第3の通信インターフェース部と、
前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにより監視制御装置親局との間でデータ伝送を行う第4の通信インターフェース部と、
前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルと前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルとを相互に変換するプロトコル変換部と、
を有することを特徴とするゲートウェイ。
【請求項2】
前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルが、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコルあるいは、PMCN通信プロトコルであることを特徴とする、
請求項1に記載のゲートウェイ。
【請求項3】
国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにより監視制御装置親局との間でデータ伝送を行う監視制御装置子局を備えた変電所において、前記監視制御装置子局に接続された複数のアナログ配電盤を、デジタル配電盤に置き換える変電所システム移行方法であって、
前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにより前記監視制御装置親局との間でデータ伝送を行う第1の通信インターフェース部と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにより前記デジタル配電盤との間でデータ伝送を行う第2の通信インターフェース部と、前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにより前記監視制御装置子局との間でデータ伝送を行う第3の通信インターフェース部と、前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにより前記監視制御装置親局との間でデータ伝送を行う第4の通信インターフェース部と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルと前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルとを相互に変換するプロトコル変換部とを有するゲートウェイを、前記監視制御装置親局と前記監視制御装置子局との間に設置し、前記監視制御装置親局と前記監視制御装置子局との間のデータ伝送を、前記プロトコル変換部を介することなく、前記第4の通信インターフェース部および前記第3の通信インターフェース部を介して行う第1のステップ、
前記複数のアナログ配電盤の一部を前記デジタル配電盤に置き換え、前記監視制御装置親局と前記デジタル配電盤との間のデータ伝送を、前記監視制御装置子局を介することなく、前記第4の通信インターフェース部、前記プロトコル変換部、および、前記第2の通信インターフェース部を介して行う第2のステップ、
前記複数のアナログ配電盤の全部を前記デジタル配電盤に置き換え、前記監視制御装置子局を撤去するとともに、前記監視制御装置親局と前記デジタル配電盤との間のデータ伝送を、前記第4の通信インターフェース部、前記プロトコル変換部、および、前記第2の通信インターフェース部を介して行う第3のステップ、
を含むことを特徴とする変電所システム移行方法。
【請求項4】
前記監視制御装置親局からのデータ伝送を前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルに変更するとともに、前記監視制御装置親局と前記デジタル配電盤との間のデータ伝送を、前記プロトコル変換部を介することなく、前記第1の通信インターフェース部、および前記第2の通信インターフェース部を介して行う第4のステップ、
をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の変電所システム移行方法。
【請求項5】
国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにより監視制御装置親局との間でデータ伝送を行う監視制御装置子局を備えた変電所において、前記に監視制御装置子局に接続された複数のアナログ配電盤を、デジタル配電盤に置き換える変電所システム移行方法であって、
国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにより前記監視制御装置親局との間でデータ伝送を行う第1の通信インターフェース部と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによりデジタル配電盤との間でデータ伝送を行う第2の通信インターフェース部と、前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにより前記監視制御装置子局との間でデータ伝送を行う第3の通信インターフェース部と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルと前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルとを相互に変換するプロトコル変換部と有するゲートウェイを、前記監視制御装置親局と前記監視制御装置子局との間に設置し、前記監視制御装置親局からのデータ伝送を前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルに変更するとともに、前記監視制御装置親局と前記監視制御装置子局との間のデータ伝送を前記第1の通信インターフェース部、前記プロトコル変換部、および、第3の通信インターフェース部を介して行う第1のステップ、
前記複数のアナログ配電盤の一部を前記デジタル配電盤に置き換え、前記監視制御装置親局と前記デジタル配電盤との間のデータ伝送を、前記プロトコル変換部を介することなく、前記第1の通信インターフェース部および前記第2の通信インターフェース部を介して行う第2のステップ、
前記複数のアナログ配電盤の全部を前記デジタル配電盤に置き換え、前記監視制御装置子局を撤去するとともに、前記監視制御装置親局と前記デジタル配電盤との間のデータ伝送を、前記第1の通信インターフェース部および前記第2の通信インターフェース部を介して行う第3のステップ、
を含むことを特徴とする変電所システム移行方法。
【請求項6】
前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルが、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコルあるいは、PMCN通信プロトコルであることを特徴とする、
請求項から項のいずれか1項に記載の変電所システム移行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変電所内のデジタルネットワーク化に用いられるゲートウェイおよび変電所システム移行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発送電分離後のコストダウン、および、国際標準化対応を背景として、各電力会社では電力システムのデジタルネットワーク化の検討を進めており,通信方式には、国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Commission)が定めた国際標準であるIEC61850が、今後、電力系統の運用管理のグローバルスタンダードになると見込まれている。これに伴い、各電力会社では、IEC61850を適用した監視制御システムへの移行がなされて行くと予想される。
【0003】
しかし、国際標準IEC61850と互換性のない従来システム、例えば、アナログ配電盤などの変電所側設備や制御用計算機などの制御所側設備を国際標準IEC61850に準拠した監視制御システムへ一括して取り替えることは労力やコスト面からも困難が伴う。このため、例えば、特許文献1には、国際標準に準拠していない制御所側設備と、国際標準IEC61850に準拠したデジタルネットワーク化した変電所側設備とを併存した状態で運用する監視制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-78430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された監視制御システムでは、制御所側設備をHDLC通信方式で通信を行う従来システムのまま存続させ、変電所側を国際標準IEC61850に準拠したデジタルネットワーク化したシステムとして構築することが可能である。しかし、変電所をデジタルネットワーク化するために、変電所側にある既設の多数のアナログ配電盤を一括して国際標準IEC61850に準拠したデジタル配電盤に置き換えることは、工事期間とコストの面で困難が伴う。このため、変電所にある多数のアナログ配電盤を順次デジタル配電盤に置き換えていくことが望ましいが、特許文献1には、その具体的方法や必要な装置についてまでは示されていない。
【0006】
本発明は、これらの実情に鑑みてなされたものであり、変電所のデジタルネットワーク化のために、変電所における複数のアナログ配電盤を順次デジタル配電盤に置き換えることが可能なゲートウェイを提供するとともに、変電所における複数のアナログ配電盤を順次デジタル配電盤に置き換えることができる変電所システム移行方法を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、変電所内のデジタルネットワーク化に使用されるゲートウェイであって、国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにより監視制御装置親局との間でデータ伝送を行う第1の通信インターフェース部と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによりデジタル配電盤との間でデータ伝送を行う第2の通信インターフェース部と、前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにより監視制御装置子局との間でデータ伝送を行う第3の通信インターフェース部と、前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにより監視制御装置親局との間でデータ伝送を行う第4の通信インターフェース部と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルと前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルとを相互に変換するプロトコル変換部と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
本発明の第2の技術手段は、第1または第2の技術手段において、前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルが、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコルあるいは、PMCN通信プロトコルであることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の第3の技術手段は、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにより監視制御装置親局との間でデータ伝送を行う監視制御装置子局を備えた変電所において、前記監視制御装置子局に接続された複数のアナログ配電盤を、デジタル配電盤に置き換える変電所システム移行方法であって、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにより前記監視制御装置親局との間でデータ伝送を行う第1の通信インターフェース部と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにより前記デジタル配電盤との間でデータ伝送を行う第2の通信インターフェース部と、前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにより前記監視制御装置子局との間でデータ伝送を行う第3の通信インターフェース部と、前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにより前記監視制御装置親局との間でデータ伝送を行う第4の通信インターフェース部と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルと前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルとを相互に変換するプロトコル変換部とを有するゲートウェイを、前記監視制御装置親局と前記監視制御装置子局との間に設置し、前記監視制御装置親局と前記監視制御装置子局との間のデータ伝送を、前記プロトコル変換部を介することなく、前記第4の通信インターフェース部および前記第3の通信インターフェース部を介して行う第1のステップ、前記複数のアナログ配電盤の一部を前記デジタル配電盤に置き換え、前記監視制御装置親局と前記デジタル配電盤との間のデータ伝送を、前記監視制御装置子局を介することなく、前記第4の通信インターフェース部、前記プロトコル変換部、および、前記第2の通信インターフェース部を介して行う第2のステップ、前記複数のアナログ配電盤の全部を前記デジタル配電盤に置き換え、前記監視制御装置子局を撤去するとともに、前記監視制御装置親局と前記デジタル配電盤との間のデータ伝送を、前記第4の通信インターフェース部、前記プロトコル変換部、および、前記第2の通信インターフェース部を介して行う第3のステップ、を含むことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第4の技術手段は、第4の技術手段において、前記監視制御装置親局からのデータ伝送を前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルに変更するとともに、前記監視制御装置親局と前記デジタル配電盤との間のデータ伝送を、前記プロトコル変換部を介することなく、前記第1の通信インターフェース部、および前記第2の通信インターフェース部を介して行う第4のステップ、をさらに含むことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第5の技術手段は、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにより監視制御装置親局との間でデータ伝送を行う監視制御装置子局を備えた変電所において、前記に監視制御装置子局に接続された複数のアナログ配電盤を、デジタル配電盤に置き換える変電所システム移行方法であって、国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにより前記監視制御装置親局との間でデータ伝送を行う第1の通信インターフェース部と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによりデジタル配電盤との間でデータ伝送を行う第2の通信インターフェース部と、前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにより前記監視制御装置子局との間でデータ伝送を行う第3の通信インターフェース部と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルと前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルとを相互に変換するプロトコル変換部と有するゲートウェイを、前記監視制御装置親局と前記監視制御装置子局との間に設置し、前記監視制御装置親局からのデータ伝送を前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルに変更するとともに、前記監視制御装置親局と前記監視制御装置子局との間のデータ伝送を前記第1の通信インターフェース部、前記プロトコル変換部、および、第3の通信インターフェース部を介して行う第1のステップ、前記複数のアナログ配電盤の一部を前記デジタル配電盤に置き換え、前記監視制御装置親局と前記デジタル配電盤との間のデータ伝送を、前記プロトコル変換部を介することなく、前記第1の通信インターフェース部および前記第2の通信インターフェース部を介して行う第2のステップ、前記複数のアナログ配電盤の全部を前記デジタル配電盤に置き換え、前記監視制御装置子局を撤去するとともに、前記監視制御装置親局と前記デジタル配電盤との間のデータ伝送を、前記第1の通信インターフェース部および前記第2の通信インターフェース部を介して行う第3のステップ、を含むことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の第6の技術手段は、第4から第6のいずれか1つの技術手段において、前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルが、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコルあるいは、PMCN通信プロトコルであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の技術手段によれば、複数の通信インターフェース部から適切な通信インターフェース部を選択するとともに、プロトコル変換部の利用の有無を選択することによって、変電所における複数のアナログ配電盤を順次デジタル配電盤に置き換えることが可能であり、既設の変電所からデジタルネットワーク化された変電所に至るまで使用可能なゲートウェイを提供することが可能となる。また、複数の移行方法が選択できる。
【0016】
本発明の第2の技術手段によれば、既設の変電所で用いられていた種々の通信プロトコルに対応することができる。
【0017】
本発明の第3の技術手段によれば、変電所のデジタルネットワーク化にあたって、アナログ配電盤とデジタル配電盤との併存を許容し、変電所における複数のアナログ配電盤を順次デジタル配電盤に置き換えることが可能な変電所システム移行方法を提供することができる。
【0018】
本発明の第4の技術手段によれば、変電所のデジタルネットワーク化にあたって、アナログ配電盤とデジタル配電盤との併存を許容し、変電所における複数のアナログ配電盤を順次デジタル配電盤に置き換えることが可能であるとともに、制御所と変電所からなる監視制御システム全体が国際標準IEC61850を適用したシステムに移行するための一つの変電所システム移行方法を提供することが可能となる。
【0019】
本発明の第5の技術手段によれば、変電所のデジタルネットワーク化にあたって、アナログ配電盤とデジタル配電盤との併存を許容し、変電所における複数のアナログ配電盤を順次デジタル配電盤に置き換えることが可能であるとともに、制御所と変電所からなる監視制御システム全体が国際標準IEC61850を適用したシステムに移行するための他の変電所システム移行方法を提供することが可能となる。
【0020】
本発明の第6の技術手段によれば、既設の変電所で用いられていた種々の通信プロトコルに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態1に係る変電所システム移行方法の例を説明するためのフロー図である。
図2】本発明の実施形態1に係る変電所システム移行方法の例において、ゲートウェイを導入設置した状態を示す図である。
図3】本発明の実施形態1に係る変電所システム移行方法の例において、一部のアナログ配電盤がデジタル配電盤に置き換わった状態を示す図である。
図4】本発明の実施形態1に係る変電所システム移行方法の例において、全部のアナログ配電盤がデジタル配電盤に置き換わった状態を示す図である。
図5】本発明の実施形態1および2に係る変電所システム移行方法の例において、制御所と変電所を含む監視制御システム全体が国際標準IEC61850を適用したシステムに移行した状態を示す図である。
図6】本発明の実施形態2に係る変電所システム移行方法の例を説明するためのフロー図である。
図7】本発明の実施形態2に係る変電所システム移行方法の例において、ゲートウェイを導入設置するとともに、制御所と変電所間の通信を国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルで行う状態を示す図である。
図8】本発明の実施形態2に係る変電所システム移行方法の他の例において、一部のアナログ配電盤がデジタル配電盤に置き換わった状態を示す図である。
図9】デジタルネットワーク化移行前の変電所を含む既設の監視制御システムの状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明のゲートウェイおよび変電所システム移行方法に係る好適な実施形態について説明する。以下の説明において、異なる図面においても同じ符号を付した構成要素は同様のものであるとして、その説明を省略する場合がある。なお、本発明はこれらの実施形態での例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内および均等の範囲内におけるすべての変更を含む。また、複数の実施形態について組み合わせが可能である限り、本発明は任意の実施形態を組み合わせたものを含む。
【0023】
以下の説明においては、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルとして、HDLC(High Level Data Link Control)通信プロトコルを例に説明するが、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルとしては、CDT(Cyclic Digita1 data Transmission)通信プロトコル、あるは、PMCN(Protocol for Mission Critical industrial Network use)通信プロトコルであってもよく、他の通信プロトコルであってもよい。また、本説明では、国際標準IEC61850を単に「IEC61850」と記す場合がある。さらに、本説明で、変電所のデジタルネットワーク化とは、狭義には既設のアナログ配電盤をIEC61850に準拠したデジタル配電盤に置き換えることを意味し、広義では、変電所内のデータ伝送および変電所と制御所間のデータ伝送をIEC61850に準拠した通信プロトコルで行うシステムに移行することを意味する。
【0024】
まず、本発明のゲートウェイおよび変電所システム移行方法を説明するにあたって、デジタルネットワーク化の対象となる既設の変電所について説明する。図9は、デジタルネットワーク化移行前の変電所を含む既設の監視制御システムの状態を説明するための図である。
【0025】
監視制御システムは、装置を大別すると、変電所100と制御所200とで構成されている。制御所200は、変電所を含む電力システムを監視制御するためのアプリケーションを実行する計算機210と、変電所100に設備された監視制御装置子局10(以下、「TC子局」ともいう。)との間でデータの受け渡しをおこなう監視制御装置親局220(以下、「TC親局」ともいう。)から構成されている。一般的に制御所200は、複数の変電所100との間でデータの授受を行っている。
【0026】
変電所100には、TC子局10に接続された複数のアナログ配電盤21~24が配備され、アナログ配電盤21~24の近くには、アナログ配電盤21~24に接続された複数の主回路機器31~34が配備されている。主回路機器31~34は、監視制御の対象となる機器であり、例えば、VT(計器用変圧器)、CT(変流器)、CB(遮断器)などがある。
【0027】
TC子局10とアナログ配電盤21~24との間、および、アナログ配電盤21~24と主回路機器31~34との間には、多数の制御ケーブルが敷設されており、例えば、各主回路機器31~34における各種の計測情報と状態情報が監視情報として、アナログ配電盤21~24を介して電圧・電流のアナログ信号でTC子局10に伝えられる。TC子局10では、これらの監視情報をHDLC通信プロトコルに合わせてデータ変換し、通信ケーブル11を介してTC親局220に上り情報として伝送する。また、TC親局220は、例えば、制御情報をHDLC通信プロトコルに合わせてデータ変換し、通信ケーブル11を介してTC子局10に伝送する。TC子局10では、TC親局220からの制御情報に応じて、アナログ信号を生成し、アナログ配電盤21~24を介して主回路機器31~34に伝えている。
【0028】
このように、既設の変電所では,TC子局10と主回路機器31~34との間に敷設した多数の制御ケーブルにより情報を受け渡しているため、設備更新や追加のたびに工事が発生することから、工事期間の短縮が図れず、保守メンテナンスなどにも、多くの労力とコストが必要となっている。そして、変電所内の制御ケーブルを減らす意味からも、変電所のデジタルネットワーク化(デジタル化)が求められている。
【0029】
(実施形態1)
次に、本発明の実施形態1として、変電所のデジタルネットワーク化にあたって、変電所におけるアナログ配電盤をデジタル配電盤に置き換える変電所システム移行方法の一例について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る変電所システム移行方法の例を説明するためのフロー図であり、図2は、本発明の実施形態1に係る変電所システム移行方法の例において、ゲートウェイを導入設置した状態を示す図である。そして、図2に示す状態は、図1のフロー図のステップS1~3までを終えた状態を示している。
【0030】
本実施形態1では、まず、図1のステップS1に示すように、本発明に係るゲートウェイ40(以下、「GW」ともいう。)を既設の変電所100に導入設置する(図2参照)。ここで、GW40は、必ずしも既設の変電所の敷地内に設置する必要はないが、管理とメンテナンスの面からは変電所100内に設置することが望ましい。
【0031】
本発明に係るGW40は、図2に示すように、主として、4つの第1~第4の通信インターフェース部41~44、CPU45、記憶部46、および、主たる機能部としてデータ伝送制御部47とプロトコル変換部48を備えている。第1の通信インターフェース部41は、国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによりTC親局220との間でデータ伝送を行うための通信インターフェース部であり、第2の通信インターフェース部42は、国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにより後述するデジタル配電盤との間でデータ伝送を行うための通信インターフェース部であり、第3の通信インターフェース部43は国際標準IEC61850以外の通信プロトコルであるHDLC通信プロトコルによりTC子局10との間でデータ伝送を行う通信インターフェース部であり、第4の通信インターフェース部44は、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルであるHDLC通信プロトコルによりTC親局220との間でデータ伝送を行う通信インターフェース部である。
【0032】
GW40の記憶部46は、GW40を機能させるための種々のプログラムやデータ、接続機器を管理するために必要な情報を記憶した管理テーブルなどを記憶するためのものであり、CPU45は、記憶部46に記憶されたプログラムを動作させることによって、GW40に必要な機能を実現している。これらの機能を果たす機能部の例として、図2では、データ伝送制御部47とプロトコル変換部48を示している。データ伝送制御部47は、例えば、TC親局220から送られてきたデータに含まれるアドレス情報と記憶部46に管理データとして記憶してある配電盤の情報に基づいて、プロトコル変換が必要か否かを判定するとともに、データ伝送に用いる通信インターフェース部の選択を行う。プロトコル変換部48は、IEC61850に準拠した通信プロトコルとIEC61850以外の通信プロトコルであるHDLC通信プロトコルとを相互に変換する。
【0033】
なお、図2では、第1の通信インターフェース部41および第4の通信インターフェース部44を介してTC親局220からデータを受け取った場合に、振り分けが必要となることから、データ伝送制御部47を第1の通信インターフェース部41および第4の通信インターフェース部44の近くに図示しているが、データ伝送制御部47は全ての第1~第4の通信インターフェース部41~44の入出力データの振分け等に関与している。また、後述するように、GW40は、TC子局10を撤去した後に、TC子局10が果たしていた機能を継承するものであり、監視制御のための図示しない種々の機能部を有している。
【0034】
次に、図1に示すフローのステップS2に移り、GW40の第4の通信インターフェース部44とTC親局220とを通信ケーブル11で接続するとともに、GW40の第3の通信インターフェース部43とTC子局10とを通信ケーブル12によって接続する。さらに、ステップS3に移り、GW40の記憶部46の管理テーブルに、TC子局10に接続されている配電盤がアナログ配電盤21~24であることを示す情報を記憶部46の管理テーブルに記憶し、GW40とアナログ配電盤21~24とのデータ伝送については、プロトコル変換部48を介さずに行うようGW40の管理テーブルを設定する。なお、ステップS2とステップS3の工程は、前後してもよく、あるいは、同時に行ってもよい。
【0035】
図2に示す状態では、GW40はTC親局220とTC子局10との間にあって、TC親局220とTC子局10との間のデータ伝送は、GW40のデータ伝送制御部47によってデータが振り分けられ、プロトコル変換部48を介することなく、第4の通信インターフェース部44および第3の通信インターフェース部43を介して行われる。すなわち、データ伝送制御部47によって、第4の通信インターフェース部44を通じて受け取ったTC親局220からの下り情報は、第3の通信インターフェース部43に振り分けられ、第3の通信インターフェース部43を介して受け取ったTC子局10からの上り情報は、第4の通信インターフェース部44に振り分けられる。図2に示す状態は、本発明の実施形態1の第1のステップにおける状態に相当する。
【0036】
次に、図1に示すフローのステップS4に移り、一部のアナログ配電盤をデジタル配電盤に置き換え、デジタル配電盤をGW40の第2の通信インターフェース部42にLAN接続するとともに、アナログ配電盤に接続されていた主回路機器を、MU(Merging Unit)を介してデジタル配電盤にLAN接続する。
【0037】
図3は、本発明の実施形態1に係る変電所システム移行方法の例において、一部のアナログ配電盤がデジタル配電盤に置き換わった状態を示す図である。図3に示す状態では、図2に示す状態から、アナログ配電盤21~24のうち、アナログ配電盤23、24をそれぞれデジタル配電盤53、54に置き換え、デジタル配電盤53、54を、それぞれステーションバス70を介してGW40の第2の通信インターフェース部42にLAN接続している。また、アナログ配電盤23、24に接続されていた主回路機器33、34を、それぞれMU63、64とプロセスバス80を介してデジタル配電盤53、54にLAN接続している。ステーションバス70、プロセスバス80では、IEC61850に準拠した通信プロトコルにより、通信が行われる。
【0038】
MU63、64は、主回路機器33,34からのアナログ信号をデジタル信号に変換してデジタル配電盤53、54に伝送するとともに、デジタル配電盤53、54からのデジタル信号をアナログ信号に変換して主回路機器33,34に伝送する装置である。また、デジタル配電盤53、54は、IEC61850に準拠したIED(保護制御ユニット:Intelligent Electronic Device)であり、IEC61850に準拠した通信プロトコルでの通信を行うことが可能である。
【0039】
次に、図1に示すフローのステップS5に移り、GW40の記憶部46の管理テーブルに記憶した配電盤の情報を更新する。図2に示す状態の場合、新たに接続したデジタル配電盤53、54の情報を記憶し、撤去したアナログ配電盤23、24の情報を消去する。また、デジタル配電盤53、54とのデータ伝送については、IEC61850に準拠した通信プロトコルとHDLC通信プロトコルとを相互に変換するプロトコル変換が行われるように、プロトコル変換部48を介してデータ伝送が行われるようにGW40の管理テーブルを設定する。
【0040】
図3に示す状態では、TC親局220とデジタル配電盤53、54との間のデータ伝送は、GW40のデータ伝送制御部47によってデータが振り分けられ、第4の通信インターフェース部44、プロトコル変換部48、および、第2の通信インターフェース部42を介して行なわれる。一方、TC親局220とアナログ配電盤23、24との間のデータ伝送は、GW40のデータ伝送制御部47によってデータが振り分けられ、プロトコル変換部48を介することなく、第4の通信インターフェース部44および第3の通信インターフェース部43を介して行われる。この状態は、本発明の実施形態1の第2のステップにおける状態に相当し、変電所100において、アナログ配電盤23、24とデジタル配電盤53、54とが併存することを許容するものである。
【0041】
次に、図1に示すフローのステップS6に移り、全てのアナログ配電盤がデジタル配電盤に置き換わるまで、ステップS4、ステップS5の手順を繰り返す。ステップS6の終了後はステップS7に移り、TC子局10を撤去する。図4は、本発明の実施形態1に係る変電所システム移行方法の例において、全部のアナログ配電盤がデジタル配電盤に置き換わった状態を示す図である。
【0042】
図4に示す状態は、全てのアナログ配電盤21~24がデジタル配電盤51~54に置き換わり、主回路機器31~34にはそれぞれMU61~64が設けられ、プロセスバス80を介してデジタル配電盤51~54にLAN接続される。また、全てのデジタル配電盤51~54はステーションバス70を介してGW40の第2の通信インターフェース部42に接続される。
【0043】
一方、TC親局220とGW40との間は、依然としてHDLC通信プロトコルによる通信が行われているため、GW40は、TC親局220とデジタル配電盤51~54との間のデータ伝送は、第4の通信インターフェース部44、プロトコル変換部48、および、第2の通信インターフェース部42を介して行う。この状態では、TC親局220とのデータ伝送は国際標準IEC61850以外の通信プロトコルであるHDLC通信プロトコルで行われるが、変電所100のGW40より下流側は、国際標準IEC61850に準拠したデジタルネットワーク化された変電所となっている。
【0044】
そして、図4に示す状態は、本発明の実施形態1の第3のステップにおける状態に相当し、既設の変電所100内において、アナログ配電盤21~24と主回路機器31~34を接続していた多数の制御ケーブルを廃止することができる。これにより、ケーブル敷設やメンテナンスに費やすコストを大幅に減らすことが可能となる。
【0045】
次に、図1に示すフローのステップS8に移り、TC親局220とのデー伝送をIEC61850に準拠した通信プロトコルに変更するとともに、GW40の第1の通信インターフェース部41とTC親局220とを通信ケーブル13で接続する。また、プロトコル変換部48を介さずにデータ伝送が行われるようにGW40の管理テーブルを設定する。図5は、本発明の実施形態1(および後述する実施形態2)に係る変電所システム移行方法の例において、制御所と変電所からなる監視制御システム全体が国際標準IEC61850を適用したシステムに移行した状態を示す図であり、図1に示すフローのステップS8における状態を示している。
【0046】
図5に示す状態では、GW40はTC親局220とデジタル配電盤51~54との間にあって、TC親局220とデジタル配電盤51~54との間のデータ伝送は、GW40のデータ伝送制御部47によってデータが振り分けられ、プロトコル変換部48を介さずに、第1の通信インターフェース部41および第2の通信インターフェース部42を介して行われる。この状態は、本発明の実施形態1の第4のステップにおける状態に相当する。
【0047】
図5に示す状態は、図9に示す状態に比べて、TC親局220との各種のデータ伝送によって、アナログ配電盤21~24を監視制御していたTC子局10が、デジタル配電盤51~54を監視制御するGW40に置き換わったもとなっている。そして、GW40は、変電所100がデジタルネットワーク化した後もそのまま用いられるものであり、既設のTC子局10が果たしていた、主回路機器の監視制御のための機能やデータの異常判定の機能等を備えている。
【0048】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2として、変電所のデジタルネットワーク化にあたって、下流側にある変電所におけるアナログ配電盤をデジタル配電盤に置き換える変電所システム移行方法の他の例について説明する。実施形態1に示す変電所システム移行方法では、最初に既設の変電所内のデジタルネットワーク化を進めるものであったが、実施形態2では、最初に上流側にある制御所と変電所間のデータ伝送をIEC61850に準拠した通信プロトコルで行うようにしたものである。
【0049】
図6は、本発明の実施形態2に係る変電所システム移行方法の例を説明するためのフロー図であり、図7は、本発明の実施形態2に係る変電所システム移行方法の例において、ゲートウェイを導入設置するとともに、制御所と変電所間の通信を国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルで行う状態を示す図である。
【0050】
本実施形態2では、まず、図6のステップS11に示すように、実施形態1と同様に、GW40を図9で示す既設の変電所100に導入設置する。ここで、GW40は、必ずしも既設の変電所の敷地内に設置する必要はないが、管理とメンテナンスの面からは変電所100内に設置することが望ましい。さらに、ステップS12に移り、図7に示すように、TC親局220のデー伝送が従来のHDLC通信プロトコルからIEC61850に準拠した通信プロトコルで可能となるように変更するとともに、GW40の第1の通信インターフェース部41とTC親局220とを通信ケーブル13で接続し、第3の通信インターフェース部43にTC子局10を接続する。
【0051】
次に、図6のステップS13に移り、GW40の記憶部46の管理テーブルに、TC子局10に接続されているアナログ配電盤21~24の情報を記憶し、TC子局10を介して行うアナログ配電盤21~24とのデータ伝送については、プロトコル変換部48を介してデータ伝送が行われるようにGW40の管理テーブルを設定する。
【0052】
図7に示す状態では、GW40はTC親局220とTC子局10との間にあって、TC親局220とGW40との間のデータ伝送は、IEC61850に準拠した通信プロトコルで行われ、GW40とTC子局10との間のデータ伝送はHDLC通信プロトコルによって行われる。そして、TC親局220とTC子局10との間のデータ伝送は、GW40のデータ伝送制御部47によってデータが振り分けられ、プロトコル変換部48によってデータのフォーマット変換や合成を含むプロトコル変換が行われる。図7に示す状態は、本発明の実施形態2の第1のステップに相当する。
【0053】
次に、図6に示すフローのステップS14に移り、一部のアナログ配電盤をデジタル配電盤に置き換え、デジタル配電盤をGW40の第2の通信インターフェース部42にLAN接続するとともに、アナログ配電盤に接続されていた主回路機器を、MU(Merging Unit)を介してデジタル配電盤にLAN接続する。
【0054】
図8は、本発明の実施形態2に係る変電所システム移行方法の例において、一部のアナログ配電盤がデジタル配電盤に置き換わった状態を示す図である。図8に示す状態では、図7に示す状態から、アナログ配電盤21~24のうち、アナログ配電盤23、24をそれぞれデジタル配電盤53、54に置き換え、デジタル配電盤53、54を、それぞれステーションバス70を介してGW40の第2の通信インターフェース部42にLAN接続している。また、アナログ配電盤23、24に接続されていた主回路機器33、34を、それぞれMU63、64とプロセスバス80を介してデジタル配電盤53、54にLAN接続している。
【0055】
次に、図6に示すフローのステップS15に移り、GW40の記憶部46の管理テーブルに記憶した配電盤の情報を更新する。図8に示す状態の場合、新たに接続したデジタル配電盤53、54の情報を記憶し、撤去したアナログ配電盤23、24の情報を消去する。また、デジタル配電盤53、54とのデータ伝送については、IEC61850に準拠した通信プロトコルによる通信が可能なため、プロトコル変換部48を介することなくデータ伝送が行われるようにGW40の管理テーブルを設定する。
【0056】
図8に示す状態では、複数のアナログ配電盤21~24の一部のアナログ配電盤23、24がデジタル配電盤53、54に置き換わっており、変電所100内において、アナログ配電盤23、24とデジタル配電盤53、54とが併存する状態となっている。そして、TC親局220とアナログ配電盤23、24との間のデータ伝送は、GW40のデータ伝送制御部47によってデータが振り分けられ、第1の通信インターフェース部41,プロトコル変換部48、および、第3の通信インターフェース部43を介して行われ、一方、TC親局220とデジタル配電盤53、54との間のデータ伝送は、GW40のデータ伝送制御部47によってデータが振りけられ、プロトコル変換部48を介さずに、第4の通信インターフェース部44、第2の通信インターフェース部42を介して行なわれる。この状態は、本発明の実施形態2の第2のステップにおける状態に相当し、アナログ配電盤23、24とデジタル配電盤53、54とが併存する状態が許容される。
【0057】
次に、図2に示すフローのステップS16に移り、全てのアナログ配電盤がデジタル配電盤に置き換わるまで、ステップS14、ステップS15の手順を繰り返す。ステップS16の終了後はステップS17に移り、TC子局10を撤去する。図5は、本発明の実施形態2に係る変電所システム移行方法の例において、全部のアナログ配電盤がデジタル配電盤に置き換わった状態を示す図である。
【0058】
図5に示す状態は、TC親局220とGW40との間は、IEC61850に準拠したプロトコルによってデータ伝送が行われるとともに、全てのアナログ配電盤21~24がデジタル配電盤51~54に置き換わり、主回路機器31~34にはそれぞれMU61~64が設けられ、プロセスバス80を介してデジタル配電盤51~54にLAN接続される。また、全てのデジタル配電盤51~54はステーションバス70を介してGW40の第2の通信インターフェース部42に接続される。ステーションバス70、プロセスバス80では、IEC61850に準拠した通信プロトコルにより、通信が行われる。
【0059】
図5に示す状態は、本発明の実施形態2の第3のステップにおける状態に相当し、既設の変電所100内において、アナログ配電盤21~24と主回路機器31~34を接続していた多数の制御ケーブルを廃止することができ、ケーブル敷設やメンテナンスに費やすコストを大幅に減らすことができる。GW40は、変電所100がデジタルネットワーク化した後もそのまま用いられるものであり、実施形態1で説明したGW40と同様に、既設のTC子局10が果たして機能を継承するものである。なお、実施形態2で用いるGW40は、実施形態1で用いるGW40と比べ、第4の通信インターフェース部44を備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 ・・・監視制御装置子局(TC子局)
11~13 ・・・通信ケーブル
21~24 ・・・アナログ配電盤
31~34 ・・・主回路機器
40 ・・・ゲートウェイ(GW)
41 ・・・第1の通信インターフェース部
42 ・・・第2の通信インターフェース部
43 ・・・第3の通信インターフェース部
44 ・・・第4の通信インターフェース部
45 ・・・CPU
46 ・・・記憶部
47 ・・・データ伝送制御部
48 ・・・プロトコル変換部
51~54 ・・・デジタル配電盤
70 ・・・ステーションバス
80 ・・・プロセスバス
100 ・・・変電所
200 ・・・制御所
210 ・・・計算機
220 ・・・監視制御装置親局(TC親局)
【要約】
【課題】変電所のデジタルネットワーク化のために変電所における複数のアナログ配電盤を順次デジタル配電盤に置き換えることが可能なゲートウェイ、および、変電所システム移行方法を提供する
【解決手段】ゲートウェイ(GW)40は、IEC61850に準拠した通信プロトコルによりTC親局220との間でデータ伝送を行う第1の通信インターフェース部41と、IEC61850に準拠した通信プロトコルによりデジタル配電盤53、54との間でデータ伝送を行う第2の通信インターフェース部42と、IEC61850以外の通信プロトコルによりTC子局10との間でデータ伝送を行う第3の通信インターフェース部43と、IEC61850以外の通信プロトコルによりTC親局220との間でデータ伝送を行う第4の通信インターフェース部44と、プロトコル変換部48を備えている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9