(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】光回路基板およびそれを用いた光学部品実装構造体
(51)【国際特許分類】
G02B 6/122 20060101AFI20250109BHJP
G02B 6/132 20060101ALI20250109BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G02B6/122
G02B6/132
H05K1/02 T
(21)【出願番号】P 2023511102
(86)(22)【出願日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2022013802
(87)【国際公開番号】W WO2022210230
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2021056546
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】弁理士法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】友澤 信哉
【審査官】林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-024439(JP,A)
【文献】特開2019-045832(JP,A)
【文献】特開2020-086169(JP,A)
【文献】特開2016-148797(JP,A)
【文献】特開2003-167175(JP,A)
【文献】特開平05-264870(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0132929(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
G02B 6/12-6/14
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、光導波路とを含み、
前記配線基板は、光学部品の実装領域を含む上面を有し、
前記光導波路は、前記配線基板上における前記光学部品の実装領域に隣接して位置し、前記配線基板の前記上面側から下部クラッド層、信号用コアおよび該信号用コアを挟んで位置するアライメント用コアを含む複数のコア、ならびに上部クラッド層を含み、
前記アライメント用コアは、前記光学部品の実装領域側に、前記配線基板の前記上面に対して傾斜している第1端面を有し、
前記信号用コアは、前記光学部品の実装領域側に位置する第2端面を有し、
該第2端面は、前記光学部品の実装領域に前記光学部品が実装された場合に、前記光学部品に含まれる光導波路に対向する場所に位置し、
前記第1端面と前記配線基板の前記上面とのなす角度は、前記第2端面と前記配線基板の前記上面とのなす角度と異なっている、
光回路基板。
【請求項2】
前記配線基板の前記上面には、前記光導波路と前記光学部品の実装領域との間に位置する第1導体層、および該第1導体層を被覆するソルダーレジストが備えられており、
前記光導波路のうち、前記アライメント用コアの前記第1端面を含む部分が、前記ソルダーレジスト上に位置し、前記第1端面を含む部分が該第1端面に近づくにつれて前記配線基板の前記上面から離れるように傾斜している請求項1に記載の光回路基板。
【請求項3】
前記アライメント用コアは、キャビティを有し、該キャビティを構成する1つの面が前記第1端面である、請求項1に記載の光回路基板。
【請求項4】
前記配線基板は、前記上面に第2導体層を有し、
前記光導波路が、前記第2導体層上に位置している、請求項1~3のいずれかに記載の光回路基板。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の光回路基板と光学部品とを含む、光学部品実装構造体。
【請求項6】
前記光学部品がシリコンフォトニクスデバイスであり、該シリコンフォトニクスデバイスがシリコン導波路を有し、
該シリコン導波路が、前記信号用コアと対向するように位置している、請求項5に記載の光学部品実装構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光回路基板およびそれを用いた光学部品実装構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大容量のデータを高速で通信可能な光ファイバーが情報通信に使用されている(例えば、特許文献1)。光信号の送受信は、この光ファイバーと光学素子(シリコンフォトニクスデバイス)との間で行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
配線基板と、光導波路とを含む。配線基板は、光学部品の実装領域を含む上面を有する。光導波路は、配線基板上における光学部品の実装領域に隣接して位置し、配線基板の上面側から下部クラッド層、信号用コアおよび信号用コアを挟んで位置するアライメント用コアを含む複数のコア、ならびに上部クラッド層を含む。アライメント用コアは、光学部品の実装領域側に第1端面を有し、第1端面は、配線基板の上面に対して傾斜している。本開示に係る光学部品実装構造体は、上記の光回路基板と光学部品とを含む。
【0005】
本開示に係る光回路基板の製造方法は、光導波路形成領域および光学部品の実装領域を含む上面、上面のうち光導波路形成領域と光学部品の実装領域との間に位置する第1導体層、および第1導体層を被覆するソルダーレジストを、備える配線基板を得る工程と、光導波路形成領域からソルダーレジストの第1上面にかけて、下部クラッド層、信号用コアおよび信号用コアを挟んで位置するアライメント用コアを含む複数のコア、ならびに上部クラッド層を順に積層して、光学部品の実装領域側の第1端面が配線基板の上面に対して傾斜するように、光導波路前駆体を形成する工程と、信号用コアが配線基板の上面に沿うように、光導波路前駆体において、ソルダーレジストの第1上面に位置する信号用コアおよび信号用コアの下に位置するソルダーレジストを除去して、光導波路を形成する工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】(A)は、本開示の一実施形態に係る光回路基板に、シリコンフォトニクスデバイスおよび電子部品が実装された光学部品実装構造体を示す平面図であり、(B)は、(A)に示す領域Xにおける信号用コアを通る断面を説明するための拡大説明図である。
【
図2】
図1(B)に示す領域Yの平面図(但し、シリコンフォトニクスデバイスおよび光導波路が有する上部クラッド層を除く)である。
【
図3】(A)は、
図2に示す矢印A方向から見たアライメント用コアを通る断面を説明するための説明図であり、(B)は、
図2に示すB-B線で切断した際の信号用コアを通る断面を説明するための説明図であり、(C)は、(B)に示す光導波路がキャビティを有する場合の断面を説明するための説明図である。
【
図4】(A)~(C)は、配線基板の各製造工程における上記領域Y付近の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
光回路基板にシリコンフォトニクスデバイスのような光学部品を実装する際に、より精度の高いアクティブアライメントが採用されつつある。「アクティブアライメント」とは、アライメント用コアに光を照射し、受光した光のピークが最大となるように、光学部品と光回路基板とを動かして調節し、光学部品の実装位置を決定する手段である。しかし、従来の光回路基板は、構造上、精度の高いアクティブアライメントを採用するのが困難である。すなわち、光の出入部であるアライメント用コアの端面が配線基板の表面に近く、アライメント用の光源との間で光を効率よく授受することが困難である。
【0008】
したがって、シリコンフォトニクスデバイスなどの光学部品を実装する際に、アクティブアライメントを採用することができ、光学部品を高精度で実装することが可能な光回路基板が求められている。
【0009】
本開示に係る光回路基板によれば、光学部品を高精度で実装することができる。さらに、本開示に係る光回路基板の製造方法によれば、光導波路導通検査を容易に行うことが可能である。
【0010】
本開示の一実施形態に係る光回路基板を、
図1~3に基づいて説明する。
図1(A)は、本開示の一実施形態に係る光回路基板1に、シリコンフォトニクスデバイス(光学部品)4が実装された光学部品実装構造体10を示す平面図である。
【0011】
本開示の一実施形態に係る光回路基板1は、配線基板2と光導波路3とを含む。一実施形態に係る光回路基板1に含まれる配線基板2としては、一般的に光回路基板に使用される配線基板が挙げられる。
【0012】
このような配線基板2には、具体的に図示していないが、例えば、コア基板と、コア基板の両面に積層されたビルドアップ層とを含む。コア基板は、絶縁性を有する素材であれば特に限定されない。絶縁性を有する素材としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。コア基板は、通常、コア基板の上下面を電気的に接続するために、スルーホール導体を有している。
【0013】
コア基板は、補強材を含んでいてもよい。補強材としては、例えば、ガラス繊維、ガラス不織布、アラミド不織布、アラミド繊維、ポリエステル繊維などの絶縁性布材が挙げられる。補強材は2種以上を併用してもよい。さらに、コア基板には、シリカ、硫酸バリウム、タルク、クレー、ガラス、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機フィラーが、分散されていてもよい。
【0014】
ビルドアップ層は、絶縁層と導体層とが交互に積層された構造を有している。最表面の導体層(配線基板の上面に位置する導体層)の一部は、光導波路3が位置する第2導体層21bを含んでいる。導体層は、例えば銅などの金属で形成された金属層である。ビルドアップ層に含まれる絶縁層は、コア基板と同様、絶縁性を有する素材であれば特に限定されない。絶縁性を有する素材としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。
【0015】
ビルドアップ層に絶縁層が2層以上存在する場合、それぞれの絶縁層は、同じ樹脂でもよく、異なる樹脂でもよい。ビルドアップ層に含まれる絶縁層とコア基板とは、同じ樹脂でもよく、異なる樹脂でもよい。ビルドアップ層は、通常、層間を電気的に接続するためのビアホール導体を有している。
【0016】
さらに、ビルドアップ層に含まれる絶縁層には、シリカ、硫酸バリウム、タルク、クレー、ガラス、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機フィラーが、分散されていてもよい。
【0017】
図1(B)に示すように、一実施形態に係る光回路基板1に含まれる光導波路3は、配線基板2の表面の第2導体層21bの表面に位置している。
図1(B)は、
図1(A)に示す領域Xの断面を説明する拡大説明図である。光導波路3は、第2導体層21b側から下部クラッド層31、コア32および上部クラッド層33の順に積層された構造を有している。
【0018】
光導波路3に含まれる下部クラッド層31は、配線基板2の表面、具体的には配線基板2の光導波路形成領域R1の表面に位置する第2導体層21bの表面に位置している。下部クラッド層31を形成している材料は限定されず、例えば、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。
【0019】
光導波路3に含まれる上部クラッド層33についても、下部クラッド層31と同様の材料で形成されている。下部クラッド層31と上部クラッド層33とは同じ材料であってもよく、異なる材料であってもよい。さらに、下部クラッド層31および上部クラッド層33は、同じ厚みを有していてもよく、異なる厚みを有していてもよい。下部クラッド層31および上部クラッド層33は、例えば、それぞれ5μm以上150μm以下程度の厚みを有する。
【0020】
光導波路3に含まれるコア32は、光導波路3に侵入した光が伝搬する部分である。コア32を形成している材料は限定されず、例えば、光の透過性や伝搬する光の波長特性などを考慮して、適宜設定される。材料としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。コア32は、例えば、3μm以上50μm以下程度の厚みを有する。
【0021】
図2に示すように、1つの光導波路3は、複数のコア32を有している。
図1(B)に示す領域Yの平面図(但し、シリコンフォトニクスデバイス4および光導波路3が有する上部クラッド層33を除く)である。コア32は、信号用コア32aとアライメント用コア32bとを含む。信号用コア32aは複数存在しており、これら複数の信号用コア32aを挟むように、2本のアライメント用コア32bが位置している。信号用コア32aとアライメント用コア32bとは、同じ材料(樹脂)で形成されていてもよく、異なる材料(樹脂)で形成されていてもよい。
【0022】
光導波路3の一方の端部において、信号用コア32aは、シリコンフォトニクスデバイス4に含まれるシリコン導波路(Si導波路)41と対向するように位置している。すなわち、Si導波路41の端面と、光導波路3の信号用コア32aの端面とが対向するように位置している。この端部において、信号用コア32aとSi導波路41との間で光信号の送受信が行われる。
【0023】
アライメント用コア32bは、
図3(A)に示すように、光学部品4の実装領域R2側の第1端面3aが配線基板2の上面に対して傾斜している。
図3(A)は、
図2に示す矢印A方向から見た側面を説明するための説明図である。第1端面3aが配線基板2の上面に対して傾斜した構造は限定されず、例えば、
図3(A)に示すような構造が挙げられる。具体的には、配線基板2の上面において、光導波路3と光学部品4の実装領域R2との間に第1導体層21aが位置しており、この第1導体層21aを被覆するようにソルダーレジスト8が位置している。このソルダーレジスト8上に、光導波路3のうち、アライメント用コア32bの第1端面3aを含む部分が位置している。このため、例えば信号用コア32aの端面と配線基板2の上面とのなす角度と、アライメント用コア32bの端面(第1端面3a)と配線基板2の上面とのなす角度とは異なっている。ソルダーレジスト8は樹脂で形成されており、樹脂としては、例えばアクリル変性エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0024】
このように、第1端面3aが配線基板2の上面に対して傾斜していると、光源とアライメント用コア32bとの間で光の授受がしやすくなる。そのため、一実施形態に係る光回路基板1に光学部品4を実装する際、アクティブアライメントを採用することができる。その結果、一実施形態に係る光回路基板1に、光学部品4を高精度で実装することができる。アライメント用コア32bは、
図3(C)に示すように、光学部品4の実装領域R2側に、キャビティCを有し、キャビティCを構成する一つの面が、第1端面3aである構造であってもよい。
【0025】
第1端面3aは、配線基板2の上面に対して傾斜していれば、その角度は限定されない。例えば、配線基板2の上面と第1端面3aとのなす角は、例えば1°以上30°以下の角度を有する。配線基板2の上面と第1端面3aとのなす角がこのような角度を有していると、光源とアライメント用コア32bとの間で光の授受が照射しやすくなる。その結果、アクティブアライメントとしての機能が十分に発揮される。
【0026】
信号用コア32aは、
図3(B)に示すように、配線基板2の上面に対して平行になるように位置している。
図3(B)は、
図2に示すB-B線で切断した際の断面を説明するための説明図である。
図2に示すように、信号用コア32aにおける光学部品4の実装領域側の端面の下部には、ソルダーレジスト8が存在していない。
【0027】
信号用コア32aが配線基板2の上面に対して平行になるように位置していることによって、実装される光学部品4との間で、光信号が効率よく送受信される。本明細書において「平行」とは、完全な平行に限定されない。配線基板2の上面に対して数度程度(例えば5°以下)の傾きを有する場合であっても「平行」と定義する。
【0028】
一実施形態に係る光回路基板1の製造方法は、上述の構造を有するように光回路基板1が製造できれば、特に限定されない。本開示の一実施形態に係る光回路基板の製造方法は、下記の工程(a)~(c)を含む。
【0029】
工程(a):光導波路形成領域および光学部品の実装領域を含む上面、該上面のうち光導波路形成領域と光学部品の実装領域との間に位置する第1導体層、および第1導体層を被覆するソルダーレジストを、備える配線基板を得る工程。
工程(b):光導波路形成領域からソルダーレジストの第1上面にかけて、下部クラッド層、信号用コアおよび信号用コアを挟んで位置するアライメント用コアを含む複数のコア、ならびに上部クラッド層を順に積層して、光学部品の実装領域側の第1端面が配線基板の上面に対して傾斜するように、光導波路前駆体を形成する工程。
工程(c):信号用コアが配線基板の上面に沿うように、光導波路前駆体において、ソルダーレジストの第1上面に位置する信号用コアおよび信号用コアの下に位置するソルダーレジストを除去して、光導波路を形成する工程。
【0030】
工程(a)では、
図4(A)に示すように、配線基板2を準備する。配線基板2の上面には、光導波路形成領域R1、光学部品4の実装領域R2、光導波路形成領域R1と光学部品4の実装領域R2との間に位置する第1導体層21a、光導波路形成領域R1に位置する第1導体層21b、実装領域R2に位置する電極21cおよび実装領域R2および第1導体層21aを被覆するソルダーレジスト8が備えられている。配線基板2に含まれる第1導体層21aなどの導体層は、銅めっきなどの金属めっき、銅箔などの金属箔によって形成される。電極21cは、ソルダーレジスト8の開口内に位置している。ソルダーレジスト8は、例えば、上述の樹脂で形成されたシートを用い、露光、現像などを行うことによって得られる。
【0031】
工程(b)では、
図4(B)に示すように、得られた配線基板2の上面において、光導波路形成領域R1から第1導体層21a上のソルダーレジスト8の第1上面にかけて、光導波路前駆体3Pを形成する。光導波路前駆体3Pは、下部クラッド層31、信号用コア32aおよびアライメント用コア32bを含む複数のコア32、ならびに上部クラッド層33を順に積層することによって得られる。
【0032】
具体的には、下部クラッド層31、複数のコア32および上部クラッド層33は、上述の樹脂で形成されたシートを用い、露光、現像などを行うことによって得られる。信号用コア32aおよびアライメント用コア32bは、同じ樹脂で形成されたシートを用いてもよく、異なる樹脂で形成されたシートを用いてもよい。
【0033】
光導波路前駆体3Pにおいて、アライメント用コア32bの第1端面3aを含む、光学部品4の実装領域R2側のコア32の端面は、第1導体層21a上のソルダーレジスト8の第1上面に位置している。そのため、
図3(A)に示すように、アライメント用コア32bの第1端面3aは、配線基板2の上面に対して傾斜している。配線基板2の上面と第1端面3aとのなす角度は、上述の通りであり、詳細な説明は省略する。
【0034】
工程(b)では、信号用コア32aにおいて実装領域R2側の端面も、アライメント用コア32bの第1端面3aと同様に、配線基板2の上面に対して傾斜している。そのため、工程(b)と後述の工程(c)との間に、信号用コア32aにおいて、実装領域R2側の端面と光源との間で光の授受がしやすくなっている。その結果、光回路基板の製造工程において、光導波路導通検査を容易に行うことができる。
【0035】
このように、光導波路前駆体3Pを形成する工程(工程(b))の後に、信号用コア32aにおいて、実装領域R2側の端面と実装領域R2の反対側の端面との間で光の導通検査工程を、さらに含んでいてもよい。
【0036】
工程(c)では、
図4(C)に示すように、光導波路前駆体3Pにおいて、ソルダーレジスト8の第1上面に位置する信号用コア32aおよび信号用コア32aの下に位置するソルダーレジスト8を除去する。具体的には、
図2に示すように、信号用コア32aの下に位置する第1導体層21aが、平面視した場合に、ソルダーレジスト8から露出するようにすればよい。信号用コア32aおよび信号用コア32aの下に位置するソルダーレジスト8は、例えば、レーザー処理によって除去される。
【0037】
ソルダーレジスト8の第1上面に位置する信号用コア32aおよび信号用コア32aの下に位置するソルダーレジスト8を除去することによって、信号用コア32aが配線基板2の上面に対して沿う(平行な)部分のみとなる。その結果、配線基板2の上面に光導波路3が形成される。このようにして、一実施形態に係る光回路基板1が得られる。
【0038】
次に、本開示の光学部品実装構造体について説明する。本開示の一実施形態に係る光学部品実装構造体10は、一実施形態に係る光回路基板1にシリコンフォトニクスデバイス4および電子部品6が実装された構造を有している。電子部品6としては、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ドライバICなどが挙げられる。
【0039】
シリコンフォトニクスデバイス4は、
図1(B)に示すように、配線基板2の光学部品の実装領域に位置する電極21cとはんだ7を介して電気的に接続されている。電極21cは、配線基板2の上面に位置する導体層の一部であり、ソルダーレジスト8の開口部から露出するように位置している。
【0040】
シリコンフォトニクスデバイス4は、例えばケイ素(Si)をコアとし、二酸化ケイ素(SiO2)をクラッドとする光導波路の1種である。シリコンフォトニクスデバイス4は、上述のようにSi導波路41を含み、図示していないが、パッシベーション膜、光源部、光検出部などをさらに含んでいる。上述のように、Si導波路41は、光導波路3の一方の端部において、光導波路3に含まれる信号用コア32aと対向するように位置している。
【0041】
例えば、配線基板2からの電気信号が、はんだ7を介してシリコンフォトニクスデバイス4に含まれる光源部に伝搬される。伝搬された電気信号を受信した光源部は発光する。発光した光信号が信号伝播用のSi導波路41aおよび光導波路3の信号用コア32aを経由して、光コネクター5aを介して接続されている光ファイバー5に伝播される。
【符号の説明】
【0042】
1 光回路基板
2 配線基板
21a 第1導体層
21b 第2導体層
21c 電極
23 絶縁層
3 光導波路
31 下部クラッド層
32 コア
32a 信号用コア
32b アライメント用コア
33 上部クラッド層
3a 第1端面
4 シリコンフォトニクスデバイス(光学部品)
41 シリコン導波路(Si導波路)
5 光ファイバー
5a 光コネクター
6 電子部品
7 はんだ
8 ソルダーレジスト
10 光学部品実装構造体
R1 光導波路形成領域
R2 実装領域
C キャビティ