IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 上海航太科工電器研究院有限公司の特許一覧

特許7617262浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置
<>
  • 特許-浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置 図1
  • 特許-浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置 図2
  • 特許-浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置 図3
  • 特許-浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置 図4
  • 特許-浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置 図5
  • 特許-浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置 図6
  • 特許-浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置 図7
  • 特許-浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置 図8
  • 特許-浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置 図9
  • 特許-浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置 図10
  • 特許-浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置 図11
  • 特許-浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置 図12
  • 特許-浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置 図13
  • 特許-浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置 図14
  • 特許-浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置 図15
  • 特許-浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置 図16
  • 特許-浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置 図17
  • 特許-浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置 図18
  • 特許-浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/02 20060101AFI20250109BHJP
   H01R 12/73 20110101ALI20250109BHJP
   H01R 12/57 20110101ALI20250109BHJP
   H01R 13/631 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H01R13/02
H01R12/73
H01R12/57
H01R13/631
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023524665
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 CN2021125664
(87)【国際公開番号】W WO2023273030
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】202110741013.4
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522108493
【氏名又は名称】上海航天科工電器研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン シュイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ジミン
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第208444982(CN,U)
【文献】特開2021-039870(JP,A)
【文献】特開2013-093318(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0008814(KR,A)
【文献】特開2017-212025(JP,A)
【文献】特開2009-146817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R13/00-13/08
H01R13/15-13/35
H01R13/56-13/72
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に接続された溶接部(100)と、ベース固定部(200)と、宙吊り浮動部(300)と、浮動固定部(400)と、接触部(500)と、を備え、
前記溶接部(100)は、回路基板(800)と溶接するために用いられ、
前記ベース固定部(200)は、ベース本体(640)に固定されるために用いられ、
前記浮動固定部(400)は、浮動本体(650)に固定されるために用いられ、
前記接触部(500)は、プラグコネクタ(700)に導通して当接するために用いられ、
前記宙吊り浮動部(300)は、前記ベース固定部(200)と前記浮動固定部(400)との間に位置するとともに、折り曲げられて宙吊りセクタ(302)を形成するために用いられ、前記接触部(500)の最大幅及び前記浮動固定部(400)の最大幅のうち大きい方は、前記宙吊りセクタ(302)が占める空間の最大幅の値とされ、
前記溶接部(100)は、接続された接続領域(110)と溶接領域(120)とを含み、前記接続領域(110)は、前記ベース固定部(200)に接続され、前記接続領域(110)及び前記溶接領域(120)は、第1の折り曲げ線を有するように、折り曲げられるように構成され、前記浮動固定部(400)及び前記宙吊り浮動部(300)は、第2の折り曲げ線を有するように、折り曲げられるように構成され、前記第2の折り曲げ線と前記第1の折り曲げ線とは、75度~105度の挟み角を形成し、
前記溶接部(100)は、前記接続領域(110)と前記溶接領域(120)との間で、予め残し溝(140)が設けられる
ことを特徴とする浮動接続導体。
【請求項2】
記ベース固定部(200)は、ベース本体(640)に挿入接続されて固定されるか、又は、干渉嵌合されるために用いられ、及び/又は、前記接触部(500)は、前記プラグコネクタ(700)に挿抜可能に挿入されるとともに、前記プラグコネクタ(700)に導通して当接するために用いられ、及び/又は、
前記浮動固定部(400)と前記接触部(500)とは、一体に構成されるか、又は、前記溶接部(100)、前記ベース固定部(200)、前記宙吊り浮動部(300)、前記浮動固定部(400)、及び前記接触部(500)は、一体に構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の浮動接続導体。
【請求項3】
前記浮動接続導体は、前記接続領域(110)と前記溶接領域(120)との折り曲げ領域の前記宙吊り浮動部(300)に近い部分において、第1の折り曲げ凹部(130)が予め残されており、及び/又は、
前記浮動接続導体は、前記浮動固定部(400)と前記宙吊り浮動部(300)との折り曲げ領域の前記接触部(500)に近い部分において、第2の折り曲げ凹部(410)が予め残されている
ことを特徴とする請求項1に記載の浮動接続導体。
【請求項4】
前記宙吊り浮動部(300)が折り曲げられて前記宙吊りセクタ(302)を形成する折り曲げ領域が占める空間は、前記接触部(500)の幅によっても制限される
ことを特徴とする請求項1に記載の浮動接続導体。
【請求項5】
前記宙吊り浮動部(300)の浮動セクタ(320)及び前記宙吊りセクタ(302)が占める空間は、前記接触部(500)の幅によって制限され、前記接触部(500)と前記浮動固定部(400)の長さの和によっても制限される
ことを特徴とする請求項1に記載の浮動接続導体。
【請求項6】
前記宙吊り浮動部(300)は、少なくとも1つの円弧セグメント及び少なくとも1つの直線セグメントを含み、
少なくとも1つの前記円弧セグメントは、その自体が折り曲げられて少なくとも1つの前記宙吊りセクタ(302)を形成し、及び/又は、
少なくとも1つの前記直線セグメントは、その自体が折り曲げられて少なくとも1つの前記宙吊りセクタ(302)を形成し、及び/又は、
少なくとも1つの前記円弧セグメント及び少なくとも1つの前記直線セグメントは、共に折り曲げられて少なくとも1つの前記宙吊りセクタ(302)を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の浮動接続導体。
【請求項7】
前記円弧セグメントと前記直線セグメントとは、0度~150度の挟み角を形成する
ことを特徴とする請求項6に記載の浮動接続導体。
【請求項8】
前記宙吊り浮動部(300)は、少なくとも2つの前記直線セグメントを含み、隣接する2つの前記直線セグメントは、0度~90度の挟み角を形成する
ことを特徴とする請求項6に記載の浮動接続導体。
【請求項9】
前記宙吊りセクタ(302)の数は、少なくとも1つであり、
前記宙吊り浮動部(300)は、順に接続された第1の接続セグメント(310)と、浮動セクタ(320)と、第2の接続セグメント(330)と、を含み、
前記第1の接続セグメント(310)は、前記ベース固定部(200)に接続され、前記第2の接続セグメント(330)は、前記浮動固定部(400)に接続され、
前記浮動セクタ(320)は、その自体が折り曲げられて前記宙吊りセクタ(302)を形成し、及び/又は、前記浮動セクタ(320)及び前記第1の接続セグメント(310)は、共に折り曲げられて前記宙吊りセクタ(302)を形成し、及び/又は、前記浮動セクタ(320)及び前記第2の接続セグメント(330)は、共に折り曲げられて前記宙吊りセクタ(302)を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の浮動接続導体。
【請求項10】
前記浮動接続導体は、プレス打抜きによって成形されるとともに、少なくとも1回の折り曲げによって製造される
ことを特徴とする請求項1に記載の浮動接続導体。
【請求項11】
前記宙吊りセクタ(302)が折り曲げられる線は、前記接触部(500)の延在方向に対して垂直、平行であり、又は傾斜している
ことを特徴とする請求項10に記載の浮動接続導体。
【請求項12】
前記宙吊り浮動部(300)は、縦折り及び/又は横折りによって、少なくとも1つの前記宙吊りセクタ(302)を形成する
ことを特徴とする請求項10に記載の浮動接続導体。
【請求項13】
前記浮動接続導体は、折り曲げられて前記宙吊りセクタ(302)を形成する前に、その全体は矩形内又は円形内に位置し、前記宙吊り浮動部(300)が占める面積は、前記浮動接続導体の総面積の23%よりも大きい
ことを特徴とする請求項10に記載の浮動接続導体。
【請求項14】
プラグコネクタ(700)とソケットコネクタ(600)とを備え、前記ソケットコネクタ(600)は、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の浮動接続導体(621)を有し、前記ソケットコネクタ(600)は、前記ベース本体(640)と前記浮動本体(650)とを更に備える
ことを特徴とする浮動電気コネクタ。
【請求項15】
前記ソケットコネクタ(600)は、少なくとも3つの前記浮動接続導体(621)が規則的に配列されて構成された浮動接続導体組(620)を有し、
前記浮動接続導体組(620)の中の各前記浮動接続導体(621)の前記ベース固定部(200)は、前記ベース本体(640)に固定され、前記浮動固定部(400)は、浮動本体(650)に固定され、前記接触部(500)は、前記プラグコネクタ(700)に導通して当接する
ことを特徴とする請求項14に記載の浮動電気コネクタ。
【請求項16】
前記プラグコネクタ(700)には、突起ガイドポスト(710)が設けられ、前記浮動本体(650)には凹部(651)が設けられるか、又は、前記ベース本体(640)と前記浮動本体(650)とが共に凹部(651)を形成し、前記突起ガイドポスト(710)を所定の方位から前記凹部(651)に挿設するようにガイドするために、前記突起ガイドポスト(710)の形状は、前記凹部(651)の形状に適合している
ことを特徴とする請求項14に記載の浮動電気コネクタ。
【請求項17】
前記浮動本体(650)には、前記凹部(651)に隣接するガイド凸部(652)が更に設けられ、前記プラグコネクタ(700)には、前記ガイド凸部(652)に対応するガイド凹溝(741)が更に設けられる
ことを特徴とする請求項16に記載の浮動電気コネクタ。
【請求項18】
前記ベース本体(640)には、放熱溝(641)が設けられ、前記溶接部(100)は、前記放熱溝(641)を貫通するとともに、前記ベース本体(640)の外部に露出する
ことを特徴とする請求項14に記載の浮動電気コネクタ。
【請求項19】
請求項14に記載の浮動電気コネクタを備える
ことを特徴とする車載電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮動基板対基板接続の技術分野に関し、特に、浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置に関する。
【0002】
本発明は、2021年06月30日に中国特許庁に提出された、出願番号2021107410134の中国特許出願に基づき優先権を主張し、該特許出願の内容全体を参照により本出願に組み込む。
【背景技術】
【0003】
基板対基板コネクタは、コネクタのピンによってプリント回路基板間の電源と信号を直接接続又は連通可能なミニチュア結合プラグとソケットである。電子製品の高速な発展に伴い、基板対基板コネクタは、消費や、産業用制御、自動車、医療、通信などの多くの分野で大量に応用されている。これらの分野の電子デバイスの小型化及び集積化の発展に伴い、ますます多くの機能モジュールが限られた空間に集積されている。そのため、これらのモジュールの応用環境もますます複雑になり、高温、複雑な振動環境、大きな加工誤差の環境などを含む場合が多い。異なる回路基板によって電源又は信号の相互接続を実現する場合、複雑の応用環境では、コネクタの導体がコネクタ材料自体が耐えられる強度及び応力以上を受けることが多いため、コネクタ電気信号の瞬時的な中断又はコネクタ材料自体の性能の減衰又は破壊を引き起こす可能性がある。浮動基板対基板接続の技術分野では、応用シーンの複雑な変化及びマルチモジュールの集積に加えて、電子製品の発展動向は、使用される信号が10Gbps又は更に高い周波数に向けて発展する現象を呈し、これは基板対基板コネクタを使用する接続シーンでのコネクタの伝送速度に対してもより高い要求があり、つまり、基板対基板コネクタの接続シーンでのコネクタ伝送速度も、システムがその機能を実現できるかどうかの重要な要素の1つになっている。
【0004】
従来の基板対基板コネクタは、プラグコネクタとソケットコネクタとの相互挿入面の中心の偏差が±0.2mm以上である場合の安定した電気的接続の能力を有していない。そのため、従来の基板対基板コネクタを使用して高振動環境で動作する場合、又は対応する接触領域が‐20℃以下の低温環境又は85℃以上の高温環境で動作する場合に、データ伝送の障害、ひいてはコネクタの破損などの問題が発生することになる。自動車が高速でデコボコ道を走行したり、CTスキャンが急速に稼動されたり、超音波プローブ多層板間で相互接続されたりするなどの応用シーンでは、接触領域の電気的接続が瞬間的に切断されることが極めて起こりやすいため、安全上のリスクが存在し、事故が発生しやすい。
【0005】
したがって、プラグコネクタとソケットコネクタとの間に採用する浮動接続を改良し続けて、安定した電気的接続を実現する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施例によると、浮動接続導体、浮動電気コネクタ、及び車載電子装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
浮動接続導体は、順に接続された溶接部と、ベース固定部と、宙吊り浮動部と、浮動固定部と、接触部と、を備え、前記溶接部は、回路基板と溶接するために用いられ、前記ベース固定部は、ベース本体に固定されるために用いられ、前記浮動固定部は、浮動本体に固定されるために用いられ、前記接触部は、プラグコネクタに導通して当接するために用いられ、前記宙吊り浮動部は、前記ベース固定部と前記浮動固定部との間に位置するとともに、折り曲げられて宙吊りセクタを形成するために用いられ、前記宙吊りセクタが占める空間は所定の幅によって制限される。
【0008】
上記の浮動接続導体によれば、一方では、ベース固定部によってベース本体を固定し、溶接部によって回路基板を溶接することで、ベース本体を回路基板に安定的に接続することに有利であり、他方では、接触部によってプラグコネクタに当接して導通を実現することで、プラグコネクタを浮動接続導体に安定的に接続することに有利である。また、宙吊りセクタの設計により、宙吊り浮動部によってプラグコネクタとベース本体及び回路基板との浮動接続を実現し、高周波振動環境及び高加速度の機械的衝撃の複雑応用環境での機械的負荷に耐えるのに有利であるため、低レート信号、大電流、非常に大きな浮動許容差能力の応用シーンでのコネクタに適用され得る。さらに、宙吊りセクタの占有スペースが限られており、複数の浮動接続導体を並べて使用するのに適するため、振動環境で効果的な振動減衰効果を実現する。また、宙吊り浮動部及びその宙吊りセクタの変形能力により、浮動接続導体を基板対基板接続に応用する場合に、導体構造とプラグ導体との効果的な接続及び信号導通を効果的に確保することができる。さらに、浮動接続導体は、構造が簡単であるため、一定の低温環境及び高温環境での動作に適する。
【0009】
一実施例において、前記溶接部は、接続された接続領域と溶接領域とを含み、前記接続領域及び前記溶接領域は、折り曲げられるように構成され、前記接続領域は、前記ベース固定部に接続され、及び/又は、前記浮動固定部及び前記宙吊り浮動部は、折り曲げられるように構成され、及び/又は、前記ベース固定部は、ベース本体に挿入接続されて固定されるか、又は、干渉嵌合されるために用いられ、及び/又は、前記接触部は、前記プラグコネクタに挿抜可能に挿入されるとともに、前記プラグコネクタに導通して当接するために用いられ、及び/又は、前記浮動固定部と前記接触部とは、一体に構成されるか、又は、前記溶接部、前記ベース固定部、前記宙吊り浮動部、前記浮動固定部、及び前記接触部は、一体に構成される。
【0010】
一実施例において、前記接続領域及び前記溶接領域は、第1の折り曲げ線を有するように、折り曲げられるように構成され、前記浮動固定部及び前記宙吊り浮動部は、第2の折り曲げ線を有するように、折り曲げられるように構成され、前記第2の折り曲げ線と前記第1の折り曲げ線とは、75度~105度の挟み角を形成する。
【0011】
一実施例において、前記浮動接続導体は、前記接続領域と前記溶接領域との折り曲げ領域の前記宙吊り浮動部に近い部分において、第1の折り曲げ口が予め残されており、及び/又は、前記浮動接続導体は、前記浮動固定部と前記宙吊り浮動部との折り曲げ領域の前記接触部に近い部分において、第2の折り曲げ口が予め残されている。
【0012】
一実施例において、前記宙吊りセクタが占める空間は、前記接触部の幅によって制限され、及び/又は、前記宙吊り浮動部が折り曲げられて前記宙吊りセクタを形成する折り曲げ領域が占める空間は、前記接触部の幅によっても制限される。
【0013】
一実施例において、前記宙吊り浮動部の浮動セクタ及び前記宙吊りセクタが占める空間は、前記接触部の幅によって制限され、前記接触部と前記浮動固定部の長さの和によっても制限される。
【0014】
一実施例において、前記宙吊り浮動部は、少なくとも1つの円弧セグメント及び少なくとも1つの直線セグメントを含み、少なくとも1つの前記円弧セグメントは、その自体が折り曲げられて少なくとも1つの前記宙吊りセクタを形成し、及び/又は、少なくとも1つの前記直線セグメントは、その自体が折り曲げられて少なくとも1つの前記宙吊りセクタを形成し、及び/又は、少なくとも1つの前記円弧セグメント及び少なくとも1つの前記直線セグメントは、共に折り曲げられて少なくとも1つの前記宙吊りセクタを形成する。
【0015】
一実施例において、前記円弧セグメントと前記直線セグメントとは、0度~150度の挟み角を形成する。
【0016】
一実施例において、前記宙吊り浮動部は、少なくとも2つの前記直線セグメントを含み、隣接する2つの前記直線セグメントは、0度~90度の挟み角を形成する。
【0017】
一実施例において、前記宙吊りセクタの数は、少なくとも1つであり、前記宙吊り浮動部は、順に接続された第1の接続セグメント、浮動セクタ、及び第2の接続セグメントを含み、前記第1の接続セグメントは、前記ベース固定部に接続され、前記第2の接続セグメントは、前記浮動固定部に接続され、前記浮動セクタは、その自体が折り曲げられて前記宙吊りセクタを形成し、及び/又は、前記浮動セクタ及び前記第1の接続セグメントは、共に折り曲げられて前記宙吊りセクタを形成し、及び/又は、前記浮動セクタ及び前記第2の接続セグメントは、共に折り曲げられて前記宙吊りセクタを形成する。
【0018】
一実施例において、前記浮動接続導体は、プレス打抜きによって成形されるとともに、少なくとも1回の折り曲げによって製造される。
【0019】
一実施例において、前記宙吊りセクタが折り曲げられる線は、前記接触部の延在方向に対して垂直、平行であり、又は傾斜している。
【0020】
一実施例において、前記宙吊り浮動部は、縦折り、横折り、及び順逆両方向折りによって、少なくとも1つの前記宙吊りセクタを形成する。
【0021】
一実施例において、前記浮動接続導体は、折り曲げられて前記宙吊りセクタを形成する前に、その全体は矩形内又は円形内に位置し、前記宙吊り浮動部が占める面積は、前記浮動接続導体の総面積の23%よりも大きい。
【0022】
一実施例において、浮動電気コネクタは、プラグコネクタとソケットコネクタとを備え、前記ソケットコネクタは、上記のいずれかの浮動接続導体を有し、前記ソケットコネクタは、前記ベース本体と前記浮動本体とを更に備える。
【0023】
一実施例において、前記ソケットコネクタは、少なくとも3つの前記浮動接続導体が規則的に配列されて構成された浮動接続導体組を有し、前記浮動接続導体組の中の各前記浮動接続導体の前記ベース固定部は、前記ベース本体に固定され、前記浮動固定部は浮動本体に固定され、前記接触部は前記プラグコネクタに導通して当接する。
【0024】
一実施例において、前記プラグコネクタには突起ガイドポストが設けられ、前記浮動本体には凹部が設けられるか、又は、前記ベース本体と前記浮動本体とが共に凹部を形成し、前記突起ガイドポストを所定の方位から前記凹部に挿設するようにガイドするために、前記突起ガイドポストの形状は、前記凹部の形状に適合している。
【0025】
一実施例において、前記浮動本体には、前記凹部に隣接するガイド凸部が更に設けられ、前記プラグコネクタには、前記ガイド凸部に対応するガイド凹溝が更に設けられる。
【0026】
一実施例において、前記ベース本体には放熱溝が設けられ、前記溶接部は、前記放熱溝を貫通するとともに、前記ベース本体の外部に露出する。
【0027】
一実施例において、車載電子装置は、上記のいずれかの浮動電気コネクタを備える。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の実施例又は従来技術の技術解決策をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明において使用する必要がある図面を簡単に説明する。以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労働を払わずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできることが明らかであろう。
図1】本発明の一実施例に係る浮動接続導体の折り曲げ前の構造模式図である。
図2】本発明の別の一実施例に係る浮動接続導体の折り曲げ前の構造模式図である。
図3図2に示された浮動接続導体の折り曲げ後の構造模式図である。
図4】本発明の別の一実施例に係る浮動接続導体の折り曲げ前の構造模式図である。
図5図4に示された浮動接続導体を一方法で折り曲げた構造模式図である。
図6図4に示された浮動接続導体を別の方法で折り曲げた構造模式図である。
図7】本発明の別の一実施例に係る浮動接続導体の折り曲げ前の構造模式図である。
図8図7に示された浮動接続導体の折り曲げ後の構造模式図である。
図9】本発明の別の一実施例に係る浮動接続導体の折り曲げ前の構造模式図である。
図10】本発明の一実施例に係る浮動電気コネクタの構造の分解模式図である。
図11】回路基板及び図10に示されたソケットコネクタの分解構造の模式図である。
図12図10に示されたソケットコネクタの構造模式図である。
図13図12に示されたA-A方向の断面模式図である。
図14図12に示されたソケットコネクタの別の方向における模式図である。
図15】本発明の別の一実施例に係る浮動電気コネクタのプラグコネクタとソケットコネクタとが不適切に接続された時の模式図である。
図16図15に示されたB-B方向の断面模式図である。
図17図15に示された実施例の別の方向における模式図である。
図18図15に示されたプラグコネクタとソケットコネクタとが適切に接続された状態の断面模式図である。
図19図18に示された実施例の別の方向における模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の上記目的、特徴、及び利点をより明確に理解するために、以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、本発明を十分に理解するために、多くの具体的な細部を説明する。しかしながら、本発明は、ここで説明される実施形態とは異なる多くの他の形態で実施することができ、当業者であれば、本発明の趣旨から逸脱することなく類似な改良を行うことができる。したがって、本発明は以下に開示される具体的な実施例に限定されるものではない。
【0030】
なお、一方の素子が他方の素子に「固定される」又は「設けられる」と呼ばれる場合、他方の素子に直接存在してもよく、又は介在する要素が存在してもよい。一方の素子が他方の素子に「接続される」と考えられる場合、他方の素子に直接接続されてもよく、又は介在する要素が存在してもよい。本発明の明細書で使用される用語「垂直の」、「水平の」、「上」、「下」、「左」、「右」、及び類似な表現は、説明のみを目的としており、唯一な実施形態を表すものではない。
【0031】
また、用語「第1」、「第2」は説明の目的だけであり、相対的な重要性を意味又は示唆し、又は説明された技術的特徴の数を示唆すると理解されるものではない。従って、「第1」、「第2」で限定された特徴は、少なくとも1つの該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。本発明の説明において、特に明示的かつ具体的によって制限されない限り、「複数」は少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどを意味する。
【0032】
本発明において、特に明確に規定及び限定されない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあることは、第1及び第2の特徴が直接に接触してもよいし、第1及び第2の特徴が中間媒体を介して間接的に接触してもよい。また、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上又は斜め上にあるか、あるいは第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも大きいことを示すだけであってもよい。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の直下又は斜め下にあるか、あるいは第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも小さいことを示すだけであってもよい。特に定義がない限り、本発明の明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者が通常に理解するものと同じ意味である。本発明の明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定することを目的とするものではない。本発明の明細書で使用される用語「及び/又は」は、1つ又は複数の関連する列挙された項目の任意のおよびすべての組合せを含む。
【0033】
本発明の一実施例において、浮動接続導体は、順に接続された溶接部と、ベース固定部と、宙吊り浮動部と、浮動固定部と、接触部と、を備える。前記溶接部は、回路基板と溶接するために用いられる。前記ベース固定部は、ベース本体に固定されるために用いられる。前記浮動固定部は、浮動本体に固定されるために用いられる。前記接触部は、プラグコネクタに導通して当接するために用いられる。前記宙吊り浮動部は、前記ベース固定部と前記浮動固定部との間に位置するとともに、折り曲げられて宙吊りセクタを形成するために用いられる。前記宙吊りセクタが占める空間は、所定の幅によって制限される。上記の浮動接続導体によれば、一方では、ベース固定部によってベース本体を固定し、溶接部によって回路基板を溶接することで、ベース本体を回路基板に安定的に接続することに有利であり、他方では、接触部によってプラグコネクタに当接して導通を実現することで、プラグコネクタを浮動接続導体に安定的に接続することに有利である。また、宙吊りセクタの設計により、宙吊り浮動部によってプラグコネクタとベース本体及び回路基板との浮動接続を実現し、高周波振動環境及び高加速度の機械的衝撃の複雑応用環境での機械的負荷に耐えるのに有利であるため、低レート信号、大電流、非常に大きな浮動許容差能力の応用シーンでのコネクタに適用され得る。さらに、宙吊りセクタの占有スペースが限られており、複数の浮動接続導体を並べて使用するのに適するため、振動環境で効果的な振動減衰効果を実現する。また、宙吊り浮動部及びその宙吊りセクタの変形能力により、浮動接続導体を基板対基板接続に応用する場合に、導体構造とプラグ導体との効果的な接続及び信号導通を効果的に確保することができる。さらに、浮動接続導体は、構造が簡単であるため、一定の低温環境及び高温環境での動作に適する。
【0034】
一実施例において、浮動接続導体は、以下の実施例の一部の構造又は全部の構造を含み、即ち、前記浮動接続導体は、以下の一部の技術的特徴又は全部の技術的特徴を含む。一実施例において、浮動接続導体は、順に接続された溶接部と、ベース固定部と、宙吊り浮動部と、浮動固定部と、接触部と、を備える。一実施例において、前記溶接部及び前記ベース固定部は、一体に構成され、及び/又は、前記浮動固定部及び前記接触部は、一体に構成され、又は、前記溶接部、前記ベース固定部、前記宙吊り浮動部、前記浮動固定部、及び前記接触部は、一体に構成される。一実施例において、前記浮動接続導体は、プレス打抜き成形によって製造され、即ち、前記溶接部、前記ベース固定部、前記宙吊り浮動部、前記浮動固定部、及び前記接触部は、プレス打抜きによって一体に形成される。このような設計により、浮動接続導体は、高周波振動環境及び高加速度の機械的衝撃の複雑応用環境での機械的負荷に耐えることができ、特に、低レート信号、大電流、非常に大きな浮動許容差能力の応用シーンでのコネクタに適する。
【0035】
材料を無駄にしないように十分に利用するために、一実施例において、前記浮動接続導体は、折り曲げられて前記宙吊りセクタを形成する前に、その全体は矩形内又は円形内に位置する。更に、一実施例において、前記浮動接続導体は、折り曲げられて前記宙吊りセクタを形成する前に、全体は正方形内に位置し、即ち、各浮動接続導体が占める面積は、1つの正方形によって覆われている。このような設計により、材料の十分な利用に有利であり、大量の浮動接続導体を規則的に配列した後に、プレス打抜き成形によって製造することができ、材料の無駄を回避するとともに、生産効率を向上させる。
【0036】
耐振動性能を向上させるために、更に、一実施例において、前記宙吊り浮動部が占める面積は、前記浮動接続導体の総面積の23%よりも大きい。一実施例において、前記宙吊り浮動部が占める面積は、前記浮動接続導体の総面積の30%よりも大きい。一実施例において、前記宙吊り浮動部が占める面積は、前記浮動接続導体の総面積の40%よりも大きい。一実施例において、前記宙吊り浮動部が占める面積は、前記浮動接続導体の総面積の50%よりも大きい。更に、一実施例において、前記宙吊り浮動部が占める面積は、折り曲げ形状の数に応じて調整され、同じ面積の領域内に折り曲げ形状が多いほど、前記宙吊り浮動部が占める面積が大きくなる。これはプレス打抜き成形に合わせるための設計であり、理解されるものとしては、宙吊り浮動部が大きいほど、宙吊りセクタが大きくなり、振動エネルギー減衰効果の向上に有利であり、耐振動性能を向上させ、振動環境で十分な振動減衰効果を有するように確保する。一実施例において、前記浮動接続導体は、プレス打抜きによって成形されるとともに、少なくとも1回の折り曲げによって製造される。一実施例において、前記宙吊り浮動部は、折り曲げられて前記宙吊りセクタを形成する。一実施例において、前記浮動接続導体は、プレス打抜きによって成形されるとともに、2回又は複数回の折り曲げによって製造される。このような設計により、前記浮動接続導体の生産工程を簡略化し、前記浮動接続導体の生産効率を大幅に向上させ、振動減衰効果も保証する。
【0037】
前記浮動接続導体の取付と固定を容易にするために、一実施例において、前記溶接部は、回路基板と溶接するために用いられる。一実施例において、前記溶接部は、接続された接続領域と溶接領域とを含み、前記接続領域及び前記溶接領域は、折り曲げられるように構成され、前記接続領域及び前記ベース固定部に接続される。更に、一実施例において、前記接続領域は、前記溶接領域に垂直であり、前記溶接領域は、前記回路基板と平行であり、即ち、前記接続領域及び前記溶接領域の折り曲げ線である第1の折り曲げ線は、前記回路基板と平行である。更に、一実施例において、前記接続領域及び前記溶接領域の折り曲げ箇所には、折り曲げ領域、即ち第1の折り曲げ領域が形成される。このような設計は、前記浮動接続導体を回路基板に安定的に接続することに有利である。
【0038】
ソケットコネクタのベース本体の取付と固定を容易にするために、一実施例において、前記ベース固定部は、ベース本体に固定される。一実施例において、前記ベース固定部は、ベース本体に挿入接続されて固定されるか、又は、干渉嵌合されることによって、ベース本体が前記浮動接続導体によって前記回路基板に固定される。更に、一実施例において、前記ベース固定部は、前記溶接領域と垂直である。このような設計は、ソケットコネクタのベース本体を回路基板に対して固定することに有利である。
【0039】
浮動接続及びプラグコネクタの接続及び導電の実現を容易にするために、一実施例において、前記浮動固定部は、浮動本体に固定され、前記接触部は、プラグコネクタに導通して当接するために用いられる。一実施例において、前記接触部は、前記プラグコネクタに挿抜可能に挿入されるとともに、前記プラグコネクタに導通して当接するために用いられる。更に、一実施例において、固定の安定性を強化するために、前記ベース固定部及び/又は前記浮動固定部には、形状変化部位が設けられる。一実施例において、前記形状変化部位は、取付の安定性を向上させるために、凹凸構造、ねじ構造、又は階段構造を有する。このような設計により、接触部は、プラグコネクタに当接して導通を実現し、プラグコネクタを浮動接続導体に安定的に接続することに有利であり、且つ、浮動本体の固定は浮動固定部に完全に依存するため、プラグコネクタが浮動本体の制限下で接触部との当接及び導通を実現する。
【0040】
振動エネルギーの減衰を実現するために、一実施例において、前記宙吊り浮動部は、前記ベース固定部と前記浮動固定部との間に位置するとともに、折り曲げられて宙吊りセクタを形成するために用いられ、前記宙吊りセクタが占める空間は、所定の幅によって制限される。一実施例において、前記宙吊り浮動部は、折り曲げられて前記宙吊りセクタを形成する。更に、一実施例において、前記宙吊りセクタは、浮遊状態にあり、即ち、他の部分と接触しないし、特にハードコンタクトしない。一実施例において、前記所定の幅は、0.5mm~3.5mmである。更に、一実施例において、前記所定の幅は、ソケットコネクタ又は浮動接続導体組の設計標準に応じて決定されるか、又は、前記所定の幅は、浮動接続の信号伝送の要件に応じて設定及び調整される。このような設計により、宙吊りセクタによって、宙吊り浮動部を介してプラグコネクタとベース本体及び回路基板との浮動接続を実現するため、振動環境で効果的な振動減衰効果を有する。また、宙吊り浮動部及びその宙吊りセクタの変形能力により、浮動接続導体を基板対基板接続に応用する場合、導体構造とプラグ導体との効果的な接続及び信号導通を効果的に確保することができる。具体的な応用において、通常、複数の前記浮動接続導体が共に浮動接続導体組を形成するため、宙吊りセクタが占める空間が大き過ぎると、前記浮動接続導体組の体積に直接影響を与え、隣接する浮動接続導体同士が接触して信号エラーが発生しやすく、深刻な場合には、交通事故又は生産事故につながり、物的損失ひいては人命の安全に影響を与える。本発明の各実施例では、所定の幅によって宙吊りセクタが占める空間を巧みに制限することで、宙吊り浮動部、特には宙吊りセクタの浮遊状態及び振動区間が限られるように確保し、他の宙吊り浮動部又はその宙吊りセクタを干渉しないようにして、大量のデータの正確かつ高速の伝送を強く保証する。また、このような浮動接続導体は、構造が簡単であるため、一定の低温環境及び高温環境での動作に適している。
【0041】
振動減衰作用を強化するために、一実施例において、前記浮動固定部及び前記宙吊り浮動部は、折り曲げられるように構成される。一実施例において、前記浮動固定部と前記溶接領域とは、75度~105度の挟み角を形成する。更に、一実施例において、前記浮動固定部は、前記溶接領域と垂直である。このような設計により、少なくとも3つの折り曲げ領域を形成し、即ち、少なくとも3つの方向変換伝導領域を有する。浮動本体とプラグコネクタとの接触箇所の振動力は、ベース本体と回路基板との接触箇所まで、少なくとも3つの方向変換及び少なくとも1つの宙吊りセクタによって減衰され、浮遊状態の宙吊りセクタは、高振動環境におけるクッション性及び衝撃吸収性に有利であり、振動のハードな伝達を回避する。また、前記浮動接続導体全体は導体であるため、一定の低温環境及び高温環境で一定の振動環境に適することに有利であり、信号伝送の精度を確保し、大量のデータ伝送でのパケットロスの問題を回避し、高速の信号伝送に特に適している。各実施例において、前記振動環境の振動周波数は、2000Hz以下であり、加速度は、150m/s以下である。低温環境の温度は、-55℃以上である。高温環境の温度は、+125℃以下である。即ち、高低温環境は、-55℃~+125℃の応用環境であり、浮動接続導体の動作環境は、-55℃~+125℃の広い温度範囲を覆うことができる。試作品は、実際のテストにおいて、±1.0mm乃至±1.5mmの浮動を実現することができ、多重3Aの直流電流を伝送することができる。したがって、本発明の実施例に係る浮動接続導体は、限られた設計寸法及び空間内で、非常に大きな浮動許容差能力を実現することができる。
【0042】
接触部又は浮動固定部の形状に対する制限に合わせるために、一実施例において、前記宙吊りセクタが占める空間は、前記接触部の幅によって制限される。本実施例において、前記接触部の幅を前記所定の幅とする。更に、一実施例において、前記浮動固定部及び前記宙吊り浮動部は、折り曲げられるように構成されるとともに折り曲げ角度を有し、前記宙吊りセクタが占める空間は、前記接触部の幅及び前記折り曲げ角度によって制限される。一実施例において、前記浮動固定部及び前記宙吊り浮動部は、折り曲げて構成され、前記浮動固定部は、前記溶接領域と垂直であり、前記宙吊りセクタが占める空間は、前記接触部の幅によって制限される。更に、一実施例において、前記宙吊りセクタが占める空間は、前記接触部及び前記浮動固定部の最大幅によって制限される。即ち、前記接触部の最大幅及び前記浮動固定部の最大幅のうち大きい方を、前記宙吊りセクタが占める空間の最大幅の値とすることによって、前記宙吊りセクタが動作時、例えば振動時に他の浮動接続導体に接触することを回避する。一実施例において、前記宙吊り浮動部が折り曲げられて前記宙吊りセクタを形成する折り曲げ領域が占める空間は、前記接触部の幅によっても制限されるか、又は、前記宙吊り浮動部の浮動セクタ及び前記宙吊りセクタが占める空間は、前記接触部の幅によって制限され、前記接触部と前記浮動固定部の長さの和によっても制限される。一実施例において、前記宙吊り浮動部が折り曲げられて前記宙吊りセクタを形成する折り曲げ領域が占める空間は、前記接触部及び前記浮動固定部の最大幅によっても制限されるか、又は、前記宙吊り浮動部の浮動セクタ及び前記宙吊りセクタが占める空間は、前記接触部及び前記浮動固定部の最大幅によって制限され、前記接触部と前記浮動固定部の長さの和によっても制限される。このような設計により、接触部及び浮動固定部によって共に宙吊りセクタが占める空間を巧みに制限することで、振動空間を合理的に形成して、複数の浮動接続導体同士が動作時に互いに干渉することを回避し、大量のデータの高速伝送の保証に有利であり、浮動接続導体が振動環境、特に低速振動環境に適するようにする。
【0043】
一実施例において、前記接続領域及び前記溶接領域は、第1の折り曲げ線を有するように、折り曲げられるように構成され、前記浮動固定部及び前記宙吊り浮動部は、第2の折り曲げ線を有するように、折り曲げられるように構成され、前記第2の折り曲げ線と前記第1の折り曲げ線とは、75度~105度の挟み角を形成する。折り曲げ方向の制御を容易にするとともに、不要な押し出し突起の発生を回避するために、一実施例において、前記浮動接続導体は、前記接続領域と前記溶接領域との折り曲げ箇所の前記宙吊り浮動部に近い部分において、第1の折り曲げ口が予め残されており、及び/又は、前記浮動接続導体は、前記浮動固定部と前記宙吊り浮動部との折り曲げ箇所の前記接触部に近い部分において、第2の折り曲げ口が予め残されている。一実施例において、前記溶接部は、接続された接続領域と溶接領域とを含み、前記接続領域及び前記溶接領域は、折り曲げられるように構成され、前記接続領域は前記ベース固定部に接続され、前記浮動固定部及び前記宙吊り浮動部は、折り曲げられるように構成され、前記ベース固定部は、ソケットコネクタのベース本体に挿入接続して固定されるか、又は、干渉嵌合され、前記接触部は、前記プラグコネクタに挿抜可能に挿入されるとともに、前記プラグコネクタに導通して当接するために用いられ、前記浮動固定部と前記接触部とは、一体に構成されるか、又は、前記溶接部、前記ベース固定部、前記宙吊り浮動部、前記浮動固定部、及び前記接触部は、一体に構成される。ここで、前記接続領域及び前記溶接領域は、第1の折り曲げ線を有するように、折り曲げられるように構成され、前記浮動固定部及び前記宙吊り浮動部は、第2の折り曲げ線を有するように、折り曲げられるように構成され、前記第2の折り曲げ線と前記第1の折り曲げ線とは、75度~105度の挟み角を形成する。前記浮動接続導体は、前記接続領域と前記溶接領域との折り曲げ箇所の前記宙吊り浮動部に近い部分において、第1の折り曲げ口が予め残されており、前記浮動接続導体は、前記浮動固定部と前記宙吊り浮動部との折り曲げ箇所の前記接触部に近い部分において、第2の折り曲げ口が予め残されている。他の実施例も同様であるため、その説明を繰り返さない。
【0044】
一実施例において、図1に示されるように、浮動接続導体は、順に接続された溶接部100と、ベース固定部200と、宙吊り浮動部300と、浮動固定部400と、接触部500と、を備える。更に、本実施例において、前記浮動接続導体は、ベース固定部200によってベース本体に固定されるために、ベース固定部200と宙吊り浮動部300との間に間隔210が形成される。
【0045】
一実施例において、前記浮動接続導体又はその宙吊り浮動部は、プレス打抜きプロセス及び折り曲げプロセスによって形成される。具体的には、プレス打抜きによって、1つの円弧と直線とを組み合わせた打抜き領域が成形される。この打抜き領域内の複数の隣接する直線セグメント同士の間のうち、隣接する直線セグメント間の挟み角が0度以上且つ90度以下である部分が少なくとも1つある。打抜きを行った後、少なくとも1回の折り曲げにより、打抜き領域を折り曲げて成形し、打抜き領域の端子をバネのような構造に折り曲げて振動減衰を実現する。この折り曲げは、同じ側面への折りであってもよいし、順逆両方向折りであってもよい。即ち、前記浮動接続導体の実現方法は、打抜き+折り曲げであり、折り曲げ方向は、同時に上り、同時に下り、上り+下りを含むがこれらに限定されなく、且つ、他の形状の端子に対する様々な打抜き、折り曲げを含む。
【0046】
一実施例において、前記宙吊り浮動部は、少なくとも1つの円弧セグメント及び少なくとも1つの直線セグメントを含む。少なくとも1つの前記円弧セグメントは、その自体が折り曲げられて少なくとも1つの宙吊りセクタを形成し、及び/又は、少なくとも1つの前記直線セグメントは、その自体が折り曲げられて少なくとも1つの宙吊りセクタを形成し、及び/又は、少なくとも1つの前記円弧セグメント及び少なくとも1つの前記直線セグメントは、共に折り曲げられて少なくとも1つの宙吊りセクタを形成する。ここで、前記円弧セグメントと前記直線セグメントとは、0度~150度の挟み角を形成し、又は、前記宙吊り浮動部は、少なくとも2つの前記直線セグメントを含み、隣接する2つの前記直線セグメントは、0度~90度の挟み角を形成する。図1に示されるように、宙吊り浮動部300は、順に接続された第1の直線セグメント340と、円弧セグメント350と、第2の直線セグメント360と、を含む。第1の直線セグメント340の延在方向と第2の直線セグメント360の延在方向とは、鋭角を形成する。使用時に、第1の直線セグメント340及び第2の直線セグメント360を共に折り曲げることで、一部の第1の直線セグメント340、全部の円弧セグメント350、及び一部の第2の直線セグメント360を含む宙吊りセクタを形成することができる。即ち、本実施例において、1つの円弧セグメント及び2つの直線セグメントは、共に折り曲げられて1つの宙吊りセクタを形成し、2つの直線セグメントは鋭角を形成する。
【0047】
宙吊りセクタの設計は、振動エネルギーを最小化し、2つの固定端が互いに力を加えて引っ張られるのを回避するためのものである。一実施例において、前記宙吊りセクタの数は、少なくとも1つである。理解されるものとしては、各実施例において、構造強度要件を満たすことを前提として、宙吊りセクタの数は、1よりも大きく、ひいてはそれ以上であってもよい。それにより、振動エネルギー減衰の作用を強化して、振動減衰効果を向上させる。一実施例において、前記宙吊り浮動部は、順に接続された第1の接続セグメントと、浮動セクタと、第2の接続セグメントと、を含む。前記第1の接続セグメントは、前記ベース固定部に接続され、前記第2の接続セグメントは、前記浮動固定部に接続され、前記浮動セクタは、その自体が折り曲げられて前記宙吊りセクタを形成し、及び/又は、前記浮動セクタと前記第1の接続セグメントとは、共に折り曲げられて前記宙吊りセクタを形成し、及び/又は、前記浮動セクタ及び前記第2の接続セグメントは、共に折り曲げられて前記宙吊りセクタを形成する。一実施例において、前記浮動接続導体は、図2に示されるものであり、宙吊り浮動部300は、順に接続された第1の接続セグメント310と、浮動セクタ320と、第2の接続セグメント330と、を含む。第1の接続セグメント310は、ベース固定部200に接続され、第2の接続セグメント330は、浮動固定部400に接続される。更に、宙吊り浮動部300は、第1の接続セグメント310と浮動セクタ320との接続箇所において、折り曲げ位置311が形成され、それにより、折り曲げに合わせて折り曲げられる位置を効果的に制御する。浮動セクタ320は、接続された第1の浮動セグメント321と第2の浮動セグメント322とを含み、両者の接続された位置に円弧エッジ303が形成されることによって、安全リスクを低減し、オペレータの負傷を回避する。第1の浮動セグメント321は、第1の接続セグメント310に接続され、第2の浮動セグメント322は、第2の接続セグメント330に接続される。第1の浮動セグメント321と第2の浮動セグメント322とは、鋭角である第1の挟み角αを形成する。
【0048】
宙吊り浮動部300は、図3に示されるように、折り曲げられて宙吊りセクタ302を形成する。溶接部100は、接続された接続領域110と溶接領域120とを含む。接続領域110及び溶接領域120は、折り曲げられるように構成される。接続領域110は、ベース固定部200に接続される。接続領域110及び溶接領域120は、第1の折り曲げ線RSを有するように、折り曲げられるように構成される。浮動固定部400及び宙吊り浮動部300は、第2の折り曲げ線UVを有するように、折り曲げられるように構成される。第2の折り曲げ線UVと第1の折り曲げ線RSとは、鋭角又は90度の挟み角を形成する。浮動接続導体は、接続領域110と溶接領域120との折り曲げ領域の宙吊り浮動部300に近い部分において、第1の折り曲げ口130が予め残されている。浮動接続導体は、浮動固定部400と宙吊り浮動部300との折り曲げ領域の接触部500に近い部分において、第2の折り曲げ口410が予め残されている。
【0049】
本実施例において、接続領域110及び溶接領域120は、折り曲げられて第1の折り曲げ領域601を形成し、浮動固定部400及び宙吊り浮動部300は、折り曲げられて第2の折り曲げ領域602を形成する。第1の接続セグメント310及び第1の浮動セグメント321は、折り曲げられて第3の折り曲げ領域603を形成し、第2の浮動セグメント322は、その自体が折り曲げられて第4の折り曲げ領域604を形成する。折り曲げられて形成された宙吊りセクタ302に合わせて、溶接部100は、回路基板と溶接されて第1の固定接触を形成し、接触部500とソケットコネクタの浮動本体及びプラグコネクタは、第2の固定接触を形成する。力は、第1の固定接触と第2の固定接触との間で、第1の折り曲げ領域601、第3の折り曲げ領域603、宙吊りセクタ302、第4の折り曲げ領域604、及び第2の折り曲げ領域602を経た後、伝達方向が変化し、更に宙吊りセクタによって振動エネルギーが減衰されるため、本発明による浮動接続導体は、振動環境で効果的な振動減衰効果を有する。溶接部100と回路基板との溶接位置に対するプラグコネクタの振動の影響を許容可能な安全度まで低減することができ、一定の動作環境で一定の使用寿命を確保することに有利であるため、本発明による浮動接続導体は、特に車載環境の使用に適する。
【0050】
本実施例において、半田ペーストの押し出しを回避するとともに、半田ペースト用位置を予め残するために、更に、溶接部100は、接続領域110と溶接領域120との間で、予め残し溝140が設けられる。これにより、一方では、折り曲げによる局所の突起の回避に有利であり、他方では、余分の半田ペーストの収容に有利である。
【0051】
図2及び図3を組み合わせて分かるように、本実施例において、宙吊りセクタ302が占める空間は、接触部500の幅Wによって制限され、接触部500及び浮動固定部400の長さの和Hによっても制限される。即ち、宙吊り浮動部300の浮動セクタ320及び宙吊りセクタ302が占める空間は、接触部500の幅Wによって制限され、接触部500及び浮動固定部400の長さの和Hによっても制限される。このような設計により、宙吊り浮動部300が折り曲げられた後、宙吊りセクタ302の振動範囲が接触部500の幅Wによって構成された振動領域を超えないか、又は、接触部500の幅W及び各浮動接続導体同士の間の間隔によって規定された領域を超えないし、それにより信号伝送エラーを回避する。
【0052】
一実施例において、前記浮動接続導体は、図4に示される通りであり、第1の浮動セグメント321と第2の浮動セグメント322とは、鋭角である第2の挟み角βを形成する。更に、図2に示された実施例との違いは、第1の浮動セグメント321は、第2の接続セグメント330と平行であるか、又は、第1の浮動セグメント321と第2の接続セグメント330との挟み角が5度未満である点である。構造強度が設計要件を満たすことを前提として、宙吊りセクタの長さをできるだけ増加するために、第1の接続セグメント310には、プレス打抜き成形時に浮動セクタ及び/又は第2の接続セグメントなどの前記宙吊り浮動部を避けるための退避位置312が設けられ、それにより、前記宙吊り浮動部のための空間をできるだけ残して、浮動接続導体の総面積に対して宙吊り浮動部がより大きい面積比例を占めるようにして、耐振動性能を向上させる。更に、退避位置312の形状は、前記宙吊り浮動部の形状に応じて設計される。
【0053】
一実施例において、前記宙吊りセクタが折り曲げられる線は、前記接触部の延在方向に対して垂直、平行であり、又は傾斜している、及び/又は、前記宙吊り浮動部は、縦折り、横折り、及び順逆両方向折りによって、少なくとも1つの前記宙吊りセクタを形成する。更に、宙吊りセクタの数が1よりも大きい場合、隣接する2つの宙吊りセクタは間隔をあけて配置されることによって、相互接触による振動エネルギーの減衰効果の低減を回避する。また、このような設計により、空間直交座標系などの3次元の空間において、各浮動接続導体が複数の角度の振動減衰方向を形成することに有利であり、当該浮動接続導体は異なる平面で振動力を放出することができる。したがって、基板対基板接続の時に中心位置に所定の範囲内のオフセット量が発生しても、振動が浮動接続導体の複数の位置から放出されるため、電気的接触が抜けにくくなり、浮動接続導体と金属導電端子構造との効果的な接続及び導通を効果的に確保することができる。図5を併せて参照すると、宙吊り浮動部300は、両方向の縦折りによって2つの宙吊りセクタを形成する。即ち、第1の浮動セグメント321の一部は、第2の浮動セグメント322と共に折り曲げられて第1の宙吊りセクタ306を形成し、第2の浮動セグメント322は、第2の接続セグメント330の一部と共に折り曲げられて第2の宙吊りセクタ307を形成する。第1の宙吊りセクタ306と第2の宙吊りセクタ307との間には、第1の間隔304を有する。
【0054】
本実施例において、第1の宙吊りセクタ306が折り曲げられる線は、第2の宙吊りセクタ307が折り曲げられる線と同じであり、即ち、いずれも直線HKに沿って折り曲げられ、直線HKは、接触部500の延在方向MNに平行である。本実施例において、直線HKは、第1の浮動セグメント321の折り曲げられていない部分の延在方向PQに垂直である。
【0055】
図6を併せて参照すると、図5に示された実施例との違いは、第1の宙吊りセクタ306が折り曲げられる線及び第2の宙吊りセクタ307が折り曲げられる線、即ち直線HKは、接触部500の延在方向MNに傾斜している点である。他の実施例において、前記宙吊り浮動部は、順逆両方向折りによって、2つの前記宙吊りセクタを形成し、即ち、第1の宙吊りセクタ306及び第2の宙吊りセクタ307は、それぞれ、図6に示された直線HKと第1の浮動セグメント321の折り曲げられていない部分の延在方向PQとによって形成された平面の両側に位置する。
【0056】
一実施例において、前記浮動接続導体は、図7に示される通りであり、図4に示された実施例との違いは、宙吊り浮動部320が占める面積はより大きく、宙吊り浮動部320は、順に接続された第1の浮動セグメント321と、第2の浮動セグメント322と、第3の浮動セグメント323と、第4の浮動セグメント324と、を含む点である。第4の浮動セグメント324は、第2の接続セグメント330に接続され、第1の浮動セグメント321、第2の浮動セグメント322、第3の浮動セグメント323、及び第4の浮動セグメント324の延在方向は、互いに平行であり、即ち、0度の挟み角を形成し、即ち、第1の浮動セグメント321と第2の浮動セグメント322とによって形成された第3の挟み角δは0度である。
【0057】
図8を併せて参照すると、図5に示された実施例との違いは、前記浮動接続導体は、4つの宙吊りセクタ302を有し、左右に隣接する宙吊りセクタ302同士の間には、第1の間隔304を有し、上下に隣接する宙吊りセクタ302同士の間には、第2の間隔305を有する点である。本実施例において、接続領域110及び溶接領域120は、折り曲げられて第1の折り曲げ領域601を形成する。浮動固定部400及び宙吊り浮動部300は、折り曲げられて第2の折り曲げ領域602を形成する。浮動セクタ320における各浮動セグメントはそれ自体が折り曲げられか又は共に折り曲げられて、或いは、浮動セクタ320及び第2の接続セグメント330は、共に折り曲げられて、それぞれ、第3の折り曲げ領域603、第4の折り曲げ領域604、第5の折り曲げ領域605、第6の折り曲げ領域606、第7の折り曲げ領域607、第8の折り曲げ領域608、第9の折り曲げ領域609、及び第10の折り曲げ領域610を形成する。このような設計により、本発明による浮動接続導体は、全ての折り曲げ領域において振動の伝送を追加的に遮断し、振動エネルギーの放出に有利であり、振動環境で効果的な振動減衰効果を有するとともに、宙吊り浮動部及びその宙吊りセクタの自体変形能力に合わせて、基板対基板接続に応用する場合には、導体構造とプラグ導体との効果的な接続及び信号導通を効果的に確保することができる。
【0058】
一実施例において、前記浮動接続導体は、図9に示される通りであり、図7に示された実施例との違いは、宙吊り浮動部320が占める面積はより小さいが、浮動セクタ320において第1の浮動セグメント321と第2の浮動セグメント322との挟み角、第2の浮動セグメント322と第3の浮動セグメント323との挟み角、及び第3の浮動セグメント323と第4の浮動セグメント324との挟み角は、いずれも直角であり、即ち、第4の挟み角γは、直角である点である。更に、本実施例において、浮動セクタ320は、第1の接続セグメント310及び第2の接続セグメント330にそれぞれ直角に接続される。即ち、第1の浮動セグメント321と第1の接続セグメント310との挟み角は、直角であり、第4の浮動セグメント324と第2の接続セグメント330との挟み角は、直角である。他の実施例も同様であるため、その説明を繰り返さない。
【0059】
一実施例において、浮動電気コネクタは、プラグコネクタとソケットコネクタとを備える。前記ソケットコネクタは、いずれかの実施例に記載の浮動接続導体を有し、前記ソケットコネクタは、ベース本体と浮動本体とを更に含む。即ち、ソケットコネクタは、少なくとも2つの本体を有し、1つは、不動のベース本体であり、もう1つは、可動の浮動本体である。また、ソケットコネクタは、金属導電接続端として浮動接続導体を更に含む。一実施例において、前記ソケットコネクタは、少なくとも3つの前記浮動接続導体が規則的に配列されて構成された浮動接続導体組を有する。前記浮動接続導体組中の各前記浮動接続導体の前記ベース固定部は、前記ベース本体に固定され、前記浮動固定部は、浮動本体に固定され、前記接触部は、前記プラグコネクタに導通して当接する。このような設計により、ベース本体は、ネジ又は接着剤を必要とせずに浮動接続導体組に安定的に取り付けられ得るため、一方では、組み立てが容易になり、他方では、大量の信号データの高速伝送に対するネジの干渉を回避できる。また、浮動本体は、同様に、ネジ又は接着剤を必要とせずに浮動接続導体組に安定的に取り付けられ得るため、全体的に組み立てやすく、より軽量な浮動電気コネクタが形成され、特に車載応用環境下の軽量化及び小型化の需要に適している。
【0060】
一実施例において、前記プラグコネクタには、突起ガイドポストが設けられる。前記浮動本体に凹部が設けられるか、又は、前記ベース本体と前記浮動本体とが共に凹部を形成する。前記突起ガイドポストを所定の方位から前記凹部に挿設するようにガイドするために、前記突起ガイドポストの形状は、前記凹部の形状に適合している。一実施例において、前記ベース本体には、放熱溝が設けられ、前記溶接部は、前記放熱溝を貫通するとともに、前記ベース本体の外部に露出する。一実施例において、前記ソケットコネクタは、少なくとも3つの前記浮動接続導体が規則的に配列されて構成された浮動接続導体組を有し、前記浮動接続導体組中の各前記浮動接続導体の前記ベース固定部は、前記ベース本体に固定され、前記浮動固定部は、浮動本体に固定され、前記接触部は、前記プラグコネクタに導通して当接する。前記プラグコネクタには、突起ガイドポストが設けられ、前記浮動本体に凹部が設けられるか、又は、前記ベース本体と前記浮動本体とが共に凹部を形成する。前記突起ガイドポストを所定の方位から前記凹部に挿設するようにガイドするために、前記突起ガイドポストの形状は、前記凹部の形状に適合している。前記ベース本体には、放熱溝が設けられ、前記溶接部は、前記放熱溝を貫通するとともに、前記ベース本体の外部に露出する。他の実施例も同様であるため、その説明を繰り返さない。このように、プラグコネクタとソケットコネクタとは、互いに可動であり、本質的には、浮動本体とベース本体は、互いに可動であり、即ち、浮動して着脱可能に接続され、プラグコネクタとソケットコネクタとが接続される回路基板の場合、浮動基板対基板接続となる。即ち、プラグコネクタに接続される回路基板は、ソケットコネクタに接続される回路基板と互いに独立しており、両者は浮動接続導体組のみによって接続され、浮動基板対基板の電気的接続の効果を実現できる。
【0061】
更に、一実施例において、前記浮動本体は、更に係合部材によって前記ベース本体に係合して取り付けられるか、又は、前記浮動本体は、更に係合部材によって前記ベース本体及び前記回路基板に係合して取り付けられる。このような設計は、前記浮動本体の取付安定性の強化には有利であるが、振動減衰効果をある程度低下させる。
【0062】
一実施例において、前記浮動電気コネクタは、図10に示されるように、プラグコネクタ700とソケットコネクタ600とを備える。プラグコネクタ700には、突起ガイドポスト710、絶縁本体720、及び金属導電端子組730が設けられる。本実施例において、突起ガイドポスト710は、絶縁本体720と一体に構成されるか、又は、突起ガイドポスト710は、絶縁本体720の一部である。金属導電端子組730は、規則的に配列された少なくとも3つの金属導電端子を含む。絶縁本体720の数は、1つ以上である。
【0063】
図11を併せて参照すると、ソケットコネクタ600には、浮動接続導体組620、ソケット溶接補強脚630、ベース本体640、及び浮動本体650が設けられる。浮動接続導体組620は、規則的に配列された少なくとも3つの浮動接続導体621を含み、即ち、ソケットコネクタ600は、少なくとも3つの浮動接続導体621が規則的に配列されて構成された浮動接続導体組620を有する。理解されるものとしては、プラグコネクタとソケットコネクタとの接続は、複数、ひいては大量の浮動接続導体を必要とし、各浮動接続導体は、プラグコネクタとソケットコネクタとを接続する際に形成された3次元の環境に存在する。したがって、3次元の環境において浮動振動減衰効果を向上させるとともに、相互干渉を回避するために、本実施例において、所定の幅は、浮動接続導体621同士の間の配列間隔に応じて規定されることにより、振動時に隣接する浮動接続導体が互いに接触することを回避する。浮動接続導体組620中の各浮動接続導体621では、その溶接部100は、回路基板800のパッド810と溶接されて、浮動接続導体組620を回路基板800に固定し、そのベース固定部200は、ベース本体640に固定されて、ベース本体640を浮動接続導体組620によって回路基板800に固定し、その浮動固定部400は、浮動本体650に固定され、その接触部500は、プラグコネクタ700の1つの金属導電端子に導通して当接し、即ち、当接によって導電を実現する。このようにすると、一方では、浮動本体650を浮動接続導体組620に固定し、他方では、浮動接続導体組620は、浮動本体650に合わせて挿入接続位置を形成して、挿入接続によりプラグコネクタ700に接続されると同時に、浮動基板対基板の導電接続を実現する。
【0064】
本実施例において、ソケットコネクタ600には、2組の浮動接続導体組620が設けられる。プラグコネクタ700には、2組の金属導電端子組730が対応して設けられる。差動ペア間の干渉を回避するために、図11に示されるように、パッド810は、位置ずれで配置され、更に、2組の浮動接続導体組620は、位置ずれで配置され、2組の金属導電端子組730も、対応して、位置ずれで配置される。更に、一実施例において、位置ずれで配置された2組の浮動接続導体組のうち、その配列の延在方向に沿って、一方の組の浮動接続導体組の1番目の浮動接続導体と、他方の組の浮動接続導体組の1番目の浮動接続導体と、の位置ずれ距離L1は、同じ組の浮動接続導体の間隔L2又は中心距離L3以上である。例えば。一方の組の浮動接続導体組の1番目の浮動接続導体と、他方の組の浮動接続導体組の1番目の浮動接続導体と、の位置ずれ距離L1は、同じ組の浮動接続導体の中心距離L3と等しく、即ち、一方の組の浮動接続導体組の1番目の浮動接続導体は、他方の組の浮動接続導体組の2番目の浮動接続導体に正対している。例えば、一方の組の浮動接続導体組の1番目の浮動接続導体と、他方の組の浮動接続導体組の1番目の浮動接続導体と、の位置ずれ距離L1は、同じ組の浮動接続導体の中心距離L3以上であり、すなわち、位置ずれ配置では、少なくとも1つのPIN間隔が位置ずれている。他の実施例も同様であるため、その説明を繰り返さない。このような設計により、浮動接続導体組及び金属導電端子は、いずれも位置ずれで配置され、浮動電気コネクタの肩対肩で配置された差動ペア間のクロストークの低減に有利であるとともに、浮動電気コネクタの面対面で配置された差動ペア間のクロストークの低減に有利であり、浮動電気コネクタの大きな取付許容差状態での電気性能が制御可能な状態にあるように確保することができ、大量のデータの高速伝送を保証できる。
【0065】
ソケットコネクタのベース本体640には、放熱溝641、補強脚取付溝642、及び取付領域643が設けられる。図12図13及び図14を参照すると、取付領域643は、浮動本体650及び浮動接続導体621の溶接部100以外の部分を収容するために用いられる。補強脚取付溝642は、ソケット溶接補強脚630を取り付けるために用いられる。ソケット溶接補強脚630は、更に回路基板800に溶接され、ベース本体640と回路基板800との接続安定性を強化するために用いられる。一実施例において、ソケットコネクタには、2つのソケット溶接補強脚が設けられ、ベース本体の両端には、1つのソケット溶接補強脚がそれぞれ設けられ、ソケット溶接補強脚は、浮動本体に係合して固定される。浮動接続導体621の溶接部100は、放熱溝641を貫通するとともにベース本体640の外部に露出する。放熱溝641は、ソケットコネクタのベース本体の溶接領域に設けられる。放熱溝641の設計により、ベース本体640の内部の放熱効果の向上に有利であり、ソケットコネクタのベース本体と溶接の回路基板との間に放熱経路が形成され、浮動電気コネクタのドッキング動作の時に発生した熱の放出が容易になり、浮動コネクタの温度上昇を改善することができる。
【0066】
プラグコネクタ700の突起ガイドポスト710に対応して、浮動本体650には、凹部651が設けられるか、又は、ベース本体640と浮動本体650とが共に凹部651を形成する。突起ガイドポスト710を所定の方位から凹部651に挿設するようにガイドするために、突起ガイドポスト710の形状は、凹部651の形状に適合している。実際の応用において、図15図16及び図17を併せて参照すると、更に、突起ガイドポスト710の端部には、ガイド角が設けられ、凹部651にも、対応するガイド角が設けられることにより、互いに合わせて挿入方向を制御する。突起ガイドポスト710の高さは、絶縁本体720の高さよりも高く、即ち、絶縁本体720の舌片部740の高さよりも高い。挿入ずれを回避するために、更に、浮動本体650には、凹部651に隣接するガイド凸部652が更に設けられる。プラグコネクタ700には、ガイド凸部652に対応するガイド凹溝741が設けられ、ガイド凹溝741は、突起ガイドポスト710と舌片部740との間に位置する。プラグコネクタがずれて挿入された場合、突起ガイドポスト710及び凹部651の設計により、図18及び図19に示されるように、一方では、プラグコネクタが引っかかって抜けにくくなるか、又は、構造的な変形や損傷を引き起こしにくくなり、他方では、プラグコネクタの正確な挿入をガイドするのに有利である。このような設計により、一方では、プラグコネクタとソケットコネクタとの正確なドッキングを確保することに有利であり、他方では、振動環境で大量のデータの高速伝送の時に、基板対基板接続の時に中心位置に所定の範囲内のオフセット量が発生しても、データ伝送の速度及び精度を保証できる。
【0067】
一実施例において、浮動電気コネクタは、プラグコネクタの絶縁本体の両端に、1つ又は2つの突起ガイドポストがそれぞれ設けられる。この突起ガイドポストの上部端面は、舌片部の端面よりも高く、突起ガイドポストには、ガイド角が設けられ、舌片部と突起ガイドポストとの間には、1つのガイド凹溝が設けられる。プラグコネクタとソケットコネクタとが互いに挿入される時に、この凹溝とソケットコネクタのガイド凸部構造とが互いに嵌合されることにより、プラグコネクタとソケットコネクタとの最終の相互挿入位置を精度よく位置決めることができる。また、ガイド凸部には、ガイド角が更に設けられ、ソケットコネクタの浮動本体の両端には、1つの凹部がそれぞれ設けられ、プラグコネクタがソケットコネクタに挿入される過程で、プラグコネクタがずれて挿入される場合、プラグコネクタとソケットコネクタのガイド設計(即ち、ガイド凹溝とガイド凸部、突起ガイドポストと凹部)により、プラグコネクタを正確な挿入位置にガイドして、ドッキング時のPINのずれ又は位置ずれを防止することができる。プラグコネクタを斜めに引く際に、ソケットコネクタの浮動本体の両端の凹部とガイド凸部、及びプラグコネクタの突起ガイドポストとガイド凹溝は、互いに干渉せずに分離でき、斜め引きときのジャムの発生を効果的に防止できる。
【0068】
一実施例において、車載電子装置は、いずれかの実施例に記載の浮動電気コネクタを備える。車載電子装置は、電気自動車の電子制御集積の分野及び自動運転モジュール集積の分野に適用される。一実施例において、車載電子装置は、ナビゲーション、サウンドプレーヤー、ビデオプレーヤー、エアコン、及び監視装置などを含む。一実施例において、前記浮動電気コネクタは、前記車載電子装置の浮動基板対基板の接続箇所に用いられる。前記浮動電気コネクタは、電子制御装置、車両、LEDスクリーン、及び産業機械に更に適用されてもよい。一実施例において、電子制御装置、例えば相互接続された電子メインボードと拡張ファスナーボードとを備える電子制御装置は、いずれかの実施例に記載の浮動電気コネクタを備える。一実施例において、車両、例えば電気自動車又は自動運転車両は、いずれかの実施例に記載の浮動電気コネクタを備える。一実施例において、LEDスクリーン、例えば表示面積が4平方メートルを超えるLED表示スクリーンは、いずれかの実施例に記載の浮動電気コネクタを備える。一実施例において、産業機械、例えば産業機械ロボットは、いずれかの実施例に記載の浮動電気コネクタを備える。
【0069】
なお、本発明の他の実施例は、上記の各実施例における技術的特徴を互いに組み合わせて形成された、実施可能な浮動接続導体、浮動電気コネクタ及び車載電子装置を更に含む。
【0070】
上記の実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることができ、説明を簡潔にするために、上記の実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせを全て説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、全て本明細書に記載された範囲内にいると見なすべきである。
【0071】
上記の実施例は、本願のいくつかの実施形態を示しているに過ぎず、その叙述は具体的かつ詳細であるが、本願の発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。当業者であれば、本願の思想から逸脱することなく、本願の範囲に含まれるいくつかの変形および改善を行うことができることに留意されたい。したがって、本願の特許の範囲は、添付の特許請求の範囲に従うものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19