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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】分析物センサおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1473 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A61B5/1473
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023540106
(86)(22)【出願日】2022-01-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 US2022011047
(87)【国際公開番号】W WO2022147506
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-08-22
(31)【優先権主張番号】63/132,936
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/135,395
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500211047
【氏名又は名称】アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT DIABETES CARE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ゼンホァ
(72)【発明者】
【氏名】フェルドマン、ベンジャミン ジェイ.
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0237276(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/145- 5/1495
G01N 27/26 -27/49
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)組織に部分的に挿入されるように構成されたセンサであって、
(i)少なくとも第1の作用電極と
(ii)アセトンまたはアセト酢酸塩を検出するように構成された活性エリアであって、
(a)グルコースオキシダーゼを含む第1の酵素系;および
(b)アセトンまたはアセト酢酸塩に特異的なニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)依存性レダクターゼおよびNAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼを含む第2の酵素系
を含む活性エリアと、
(iii)少なくとも前記活性エリアをオーバーコートする、グルコースおよびアセトンもしくはアセト酢酸塩に対して透過性の物質移動制限膜と、を含み、
前記第1の酵素系は、グルコースを酸化するとともに前記第1の作用電極に電子を移動させることによって、グルコース濃度に比例する信号を生成するように構成され、
前記第2の酵素系は、アセトンまたはアセト酢酸塩の存在下でグルコースを酸化することによって、前記グルコース濃度に比例する前記信号を低下させるように構成される、センサ、ならびに、
(b)アセトンまたはアセト酢酸塩の不存在下と存在下との間の前記信号の差をアセトンまたはアセト酢酸塩の濃度に相関させるように構成されたセンサ電子機器
を含む、分析物モニタリングデバイス
【請求項2】
前記第1の酵素系が、電子移動剤をさらに含む、請求項1に記載の分析物モニタリングデバイス
【請求項3】
前記第1の酵素系および/または前記第2の酵素系中の少なくとも1つの酵素は、ポリマーに共有結合している、請求項1または2に記載の分析物モニタリングデバイス
【請求項4】
前記物質移動制限膜は、ポリビニルピリジン系ポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の分析物モニタリングデバイス
【請求項5】
前記センサが組織に既に導入された請求項1に記載の分析物モニタリングデバイスの作動を制御する方法において
)前記第1の作用電極に電位を印加するステップと、
ii)前記活性エリアの酸化還元電位以上で、グルコース濃度に比例する信号を取得するステップと、
iiiアセトンまたはアセト酢酸塩の不存在下と存在下との間の前記信号の差をアセトンまたはアセト酢酸塩の濃度に相関させるステップと、
を含む、方法。
【請求項6】
前記第1の酵素系は、電子移動剤を含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記物質移動制限膜は、ポリビニルピリジン系ポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン、またはこれらの組み合わせを含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記センサはアセトンを検出する、請求項1~4のいずれか一項に記載の分析物モニタリングデバイス。
【請求項9】
前記センサはアセト酢酸塩を検出する、請求項1~4のいずれか一項に記載の分析物モニタリングデバイス。
【請求項10】
前記センサはアセトンを検出する、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記センサはアセト酢酸塩を検出する、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に説明される主題は、分析物を検出するための分析物センサおよびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個体内の様々な分析物の検出は、正常な分析物レベルからの逸脱が生理学的状態を示し得るので、個体の健康状態をモニタリングするために極めて重要である場合がある。例えば、ケトンレベルをモニタリングすることは、糖尿病に罹患している人が、低血糖、高血糖、またはケトアシドーシスからの重大な生理学的害を回避するために、適切な是正措置をとることを可能にすることができる。他の分析物は、他の生理学的状態をモニタリングするのに望ましい場合がある。特定の例では、特に、ある人が、2つ以上の分析物が互いに組み合わされて同時に調節不全になる併発状態に罹患している場合、2つ以上の分析物をモニタリングして単一または複数の生理学的状態をモニタリングすることが望ましい場合がある。
【0003】
個体における分析物モニタリングは、ある期間にわたって周期的または連続的に行うことができる。定期的な分析物モニタリングは、血液または尿などの体液の試料を設定された時間間隔で採取し、エクスビボで分析することによって行うことができる。周期的なエクスビボでの分析物モニタリングは、多くの個体の生理学的状態を決定するのに十分であり得る。しかしながら、エクスビボでの分析物モニタリングは、場合によっては不便であるか、または痛みを伴うことがある。さらに、分析物測定値が適切な時間に得られない場合、失われたデータを回復する方法がない。
【0004】
連続的な分析物モニタリングは、分析をインビボで行うことができるように、個体の組織内(例えば、皮膚、皮下、または静脈内)に少なくとも部分的に埋め込まれたままである1つ以上のセンサを使用して行うことができる。埋め込まれたセンサは、個体の特定のヘルスニードおよび/または以前に測定された分析物レベルに応じて、オンデマンドで、設定されたスケジュールで、または連続的に分析物データを収集することができる。インビボに埋め込まれたセンサによる分析物モニタリングは、重度の分析物調節不全および/または急速に変動する分析物レベルを有する個体にとってより望ましいアプローチであり得るが、他の個体にとっても同様に有益であり得る。埋め込まれた分析物センサは、長期間にわたって個体の組織内に留まることが多いので、そのような分析物センサが、高度の生体適合性を示す安定した材料から作製されることが非常に望ましい場合がある。
【0005】
多くの分析物は、適切な検出化学が同定され得るならば、生理学的分析のための興味深い標的を表す。この目的のために、インビボで連続的にグルコースをアッセイするように構成された酵素ベースの電流測定センサが、糖尿病個体の健康のモニタリングを助けるために近年開発され、洗練されてきた。インビボでグルコース以外の分析物を検出するように構成された分析物センサが知られているが、現在のところあまり洗練されていない。例えば、感度が低いことが特に問題となり得る。したがって、当技術分野において、インビボで分析物を検出するための改善されたセンサが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
開示される主題の目的および利点は、以下の説明に記載されるとともに以下の説明から明らかであり、開示される主題の実施によって習得される。開示される主題のさらなる利点は、記載された説明およびその特許請求の範囲において特に挙げられたデバイスによって、ならびに添付の図面から、実現および達成されるであろう。
【0007】
これらの利点および他の利点を達成するために、開示される主題の目的に従って、具体化され広く説明されるように、開示される主題は、分析物、例えば、還元を受け得る分析物を検出するための分析物センサを含む。特定の実施形態では、本開示の分析物センサは、ケトン、アセトン、アセト酢酸塩、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸塩、1,3-ビスホスホグリセリン酸、および/または6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンを検出するために使用することができる。特定の実施形態では、分析物はアセトンまたはアセト酢酸塩である。
【0008】
特定の実施形態では、本開示の分析物センサは、(i)少なくとも第1の作用電極を含むセンサ尾部と、(ii)分析物を検出するように構成された第1の活性エリアと、(iii)少なくとも第1の活性エリアをオーバーコートする、グルコースおよび分析物に対して透過性の物質移動制限膜とを含んでもよい。特定の実施形態では、第1の活性エリアは、第1の作用電極の表面上に配置された第1の酵素系と、第1の酵素系上に配置された第2の酵素系とを含む。特定の実施形態では、第1の酵素系および第2の酵素系は、第1の作用電極の表面上に配置された同じ層中に提供される。特定の実施形態では、第1の酵素系はグルコース応答性酵素、例えばグルコースオキシダーゼを含み、第2の酵素系は分析物に特異的なニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)依存性レダクターゼを含む。特定の実施形態では、第1の酵素系は、電子移動剤をさらに含んでもよい。特定の実施形態では、第2の酵素系は、NAD依存性グルコース応答性酵素、例えば、NAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼをさらに含む。特定の実施形態では、第1の酵素系および/または第2の酵素系における酵素のうちの1つ以上は、第1の活性エリアに存在するポリマーに共有結合する。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ポリビニルピリジン系ポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン、またはこれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ポリビニルピリジンまたはポリビニルイミダゾールを含む。
【0009】
本開示はさらに、(i)少なくとも第1の作用電極を含むセンサ尾部と、(ii)(a)第1の酵素系および(b)第1の作用電極の表面と第1の酵素系との間に介在する第2の酵素系を含む第1の活性エリアと、(iii)、少なくとも第1の酵素系をオーバーコートする、グルコースおよび分析物に対して透過性である第1の物質移動制限膜と、(iv)第1の酵素系と第2の酵素系との間に介在する第2の物質移動制限膜とを含む分析物センサを提供する。特定の実施形態において、第1の酵素系は、(i)NAD依存性グルコース応答性酵素、例えば、NAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ、および(ii)分析物に特異的な第1のNAD依存性レダクターゼを含む。特定の実施形態では、第2の酵素系は、例えば、分析物の還元生成物(例えば、中間生成物)に特異的な第2のNAD依存性レダクターゼ、およびジアフォラーゼを含む。特定の実施形態では、第1の酵素系の第1のNAD依存性レダクターゼおよび第2の酵素系の第2のNAD依存性レダクターゼは同じである。特定の実施形態では、第1の酵素系の第1のNAD依存性レダクターゼおよび第2の酵素系の第2のNAD依存性レダクターゼは異なる。特定の実施形態では、第2の酵素系は、電子移動剤をさらに含む。特定の実施形態では、第2の物質移動制限膜は、第1の酵素系の化学反応によって生成される中間生成物に対して透過性である。特定の実施形態では、第1の物質移動制限膜および/または第2の物質移動制限膜は、同じポリマーを含む。特定の実施形態では、第1の物質移動制限膜および/または第2の物質移動制限膜は、ポリビニルピリジン系ポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン、またはこれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、第1の物質移動制限膜および/または第2の物質移動制限膜は、ポリビニルピリジンまたはポリビニルイミダゾールを含む。
【0010】
本開示は、分析物を検出するための方法をさらに含む。特定の実施形態では、分析物を検出するための方法は、(i)分析物センサを提供するステップを含んでもよい。特定の実施形態では、分析物センサは、(a)少なくとも第1の作用電極を含むセンサ尾部と、(b)第1の作用電極の表面上に配置された第1の酵素系および第1の酵素系上に配置された第2の酵素系を含む第1の活性エリアと、(c)少なくとも第1の活性エリアをオーバーコートする、グルコースおよび分析物に対して透過性の物質移動制限膜とを含んでもよい。特定の実施形態では、方法は、(ii)第1の作用電極に電位を印加するステップと、(iii)第1の酵素系の酸化還元電位以上で、第1の活性エリアに接触する流体中の分析物の濃度に比例する第1の信号を取得するステップと、(iv)第1の信号を流体中の分析物の濃度に相関させるステップとをさらに含んでもよい。特定の実施形態では、開示される方法において使用するための分析物センサの第1の酵素系は、グルコース応答性酵素、例えば、グルコースオキシダーゼを含み、第2の酵素系は、分析物に特異的なNAD依存性レダクターゼを含む。特定の実施形態では、第1の酵素系は、電子移動剤をさらに含んでもよい。特定の実施形態では、第2の酵素系は、NAD依存性グルコース応答性酵素、例えば、NAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼをさらに含む。特定の実施形態では、第1の酵素系および/または第2の酵素系における酵素のうちの1つ以上は、ポリマーに共有結合する。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ポリビニルピリジン系ポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン、またはこれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ポリビニルピリジンまたはポリビニルイミダゾールを含む。
【0011】
特定の実施形態では、分析物を検出するための方法は、(i)(a)少なくとも第1の作用電極を含むセンサ尾部と、(b)(i)第1の酵素系および(ii)第1の作用電極の表面と第1の酵素系との間に介在する第2の酵素系を含む第1の活性エリアと、(c)少なくとも第1の酵素系をオーバーコートする、グルコースおよび分析物に対して透過性である第1の物質移動制限膜と、(d)第1の酵素系と第2の酵素系との間に介在する第2の物質移動制限膜とを含む分析物センサを提供するステップを含んでもよい。特定の実施形態では、方法は、(ii)第1の作用電極に電位を印加するステップと、(iii)第2の酵素系の酸化還元電位以上で、第1の活性エリアに接触する流体中の分析物の濃度に比例する第1の信号を取得するステップと、(iv)第1の信号を流体中の分析物の濃度に相関させるステップとをさらに含んでもよい。特定の実施形態では、第1の酵素系は、(i)NAD依存性グルコース応答性酵素、例えば、NAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ、および(ii)分析物に特異的な第1のNAD依存性レダクターゼを含む。特定の実施形態では、第2の酵素系は、例えば、分析物の還元生成物に特異的な第2のNAD依存性レダクターゼ、およびジアフォラーゼを含む。特定の実施形態では、第1の酵素系の第1のNAD依存性レダクターゼおよび第2の酵素系の第2のNAD依存性レダクターゼは同じである。特定の実施形態では、第1の酵素系の第1のNAD依存性レダクターゼおよび第2の酵素系の第2のNAD依存性レダクターゼは異なる。特定の実施形態では、第2の酵素系は、電子移動剤をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下の図は、本開示の特定の態様を例示するために含まれており、排他的な実施形態と見なされるべきではない。開示される主題は、本開示の範囲から逸脱することなく、形態および機能においてかなりの修正、変更、組合せ、および均等物が可能である。
図1A】センサアプリケータ、リーダデバイス、モニタリングシステム、ネットワーク、および遠隔システムのシステム概観である。
図1B】本明細書に説明される技術とともに使用するための例示的な分析物モニタリングシステムの動作環境を示す図である。
図2A】リーダデバイスの例示的な実施形態を示すブロック図である。
図2B】開示された主題の例示的な実施形態による、センサと通信するための例示的なデータ受信デバイスを示すブロック図である。
図2C】センサ制御デバイスの例示的な実施形態を示すブロック図である。
図2D】同上。
図2E】開示された主題の例示的な実施形態による、例示的な分析物センサを示すブロック図である。
図3A】組み立てに向けてユーザがトレイを準備する例示的な実施形態を示す近位斜視図である。
図3B】組み立てに向けてユーザがアプリケータデバイスを準備する例示的な実施形態を示す側面図である。
図3C】組み立て中にユーザがアプリケータデバイスをトレイ内に挿入する例示的な実施形態を示す近位斜視図である。
図3D】組み立て中にユーザがアプリケータデバイスをトレイから取り外す例示的な実施形態を示す近位斜視図である。
図3E】アプリケータデバイスを使用してセンサを適用する患者の例示的な実施形態を示す近位斜視図である。
図3F】センサが適用された患者および使用済みアプリケータデバイスの例示的な実施形態を示す近位斜視図である。
図4A】キャップと連結されたアプリケータデバイスの例示的な実施形態を示す側面図である。
図4B】分離されたアプリケータデバイスおよびキャップの例示的な実施形態を示す側面斜視図である。
図4C】アプリケータデバイスの遠位端および電子機器ハウジングの例示的な実施形態を示す斜視図である。
図4D】開示される主題による、例示的なアプリケータデバイスの上面斜視図である。
図4E図4Dのアプリケータデバイスの底面斜視図である。
図4F図4Dのアプリケータデバイスの分解図である。
図4G図4Dのアプリケータデバイスの側面切断図である。
図5】滅菌蓋が結合されたトレイの例示的な実施形態を示す近位斜視図である。
図6A】センサ送達構成要素を伴うトレイの例示的な実施形態を示す近位斜視切断図である。
図6B】センサ送達構成要素を示す近位斜視図である。
図7A】例示的なセンサ制御デバイスの等角分解上面図である。
図7B】例示的なセンサ制御デバイスの等角分解底面図である。
図8A図8A~8Cは、センサアセンブリのための統合したコネクタを含む、オンボディデバイスの組立ておよび断面図である。
図8B】同上。
図8C】同上。
図9A図2Cのキャップが結合された図1Aのセンサアプリケータの例示的な実施形態の側面図である。
図9B図2Cのキャップが結合された図1Aのセンサアプリケータの例示的な実施形態の断面側面図である。
図10A】別の例示的なセンサ制御デバイスの等角図である。
図10B】別の例示的なセンサ制御デバイスの側面図である。
図11A図11A~11Cは、図10A~10Bのセンサ制御デバイスを伴うセンサアプリケータの組立てを示す漸進的な断面側面図である。
図11B】同上。
図11C】同上。
図12A図12A~12Cは、図10A~10Bのセンサ制御デバイスを伴うセンサアプリケータの例示的な実施形態の組立および分解を示す進行断面側面図である。
図12B】同上。
図12C】同上。
図13A】展開段階中のアプリケータの例示的な実施形態を示す断面図を示す。
図13B】同上。
図13C】同上。
図13D】同上。
図13E】同上。
図13F】同上。
図14】分析物センサのインビトロ感度の例を示すグラフである。
図15】開示される主題の例示的な実施形態によるセンサの例示的な動作状態を示す図である。
図16】開示される主題によるセンサの無線プログラミングのための例示的な動作およびデータフローを示す図である。
図17】開示される主題による2つのデバイス間のデータの確実な交換のための例示的なデータフローを示す図である。
図18A】単一の活性エリアを含む分析物センサの断面図を示す。
図18B】同上。
図18C】同上。
図19A】2つの活性エリアを含む分析物センサの断面図を示す。
図19B】同上。
図19C】同上。
図20】2つの活性エリアを含む分析物センサの断面図を示す。
図21A】別個の作用電極上に配置された2つの活性エリアを含む分析物センサの斜視図を示す。
図21B】同上。
図21C】同上。
図22A】本開示の例示的なセンサ構成を示す。
図22B】本開示の例示的な酵素系についての理論的センサ信号曲線を示す。
図22C】本開示による様々な分析物を検出するために使用することができる本開示の例示的な酵素系を示す。
図23A】アセトン検出のための本開示の例示的なセンサ構成を示す。
図23B】本開示の例示的な酵素系についての理論的センサ信号曲線を示す。
図23C】アセトンを検出するために使用することができる本開示の例示的な酵素系を示す。
図24図23Aの例示的なセンサ構成についてのアセトン濃度に対するセンサ電流応答の例示的なプロットを示す。
図25A】本開示の例示的なセンサ構成を示す。
図25B】本開示の例示的な酵素系についての理論的センサ信号曲線を示す。
図25C】本開示によるアセトンを検出するために使用することができる例示的な酵素系を示す。
図25D】同上。
図26A】本開示によるアセト酢酸塩を検出するための例示的なセンサ構成を示す。
図26B】本開示の例示的な酵素系についての理論的センサ信号曲線を示す。
図26C】本開示によるアセト酢酸塩を検出するために使用することができる例示的な酵素系を示す。
図27A】本開示の例示的なセンサ構成を示す。
図27B】本開示の例示的な酵素系についての予想されるセンサ信号曲線を示す。
図27C】本開示によるアセト酢酸塩を検出するために使用することができる例示的な酵素系を示す。
図27D】同上。
図28】本開示の様々な分析物センサ構成を使用した、アセト酢酸塩濃度に対するセンサ電流応答の例示的なプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、分析物の検出のための分析物センサを提供する。特定の実施形態では、本開示は、異なる分析物または反応中間体のセンサ信号レベルをモニタリングすることによって目的の分析物の検出を可能にする分析物センサの活性エリア内に1つ以上の酵素(例えば、1つ以上の酵素系)を含む分析物センサを提供する。例えば、限定するものではないが、本開示の分析物センサは、目的の分析物の存在下で、異なる分析物、例えばグルコースのセンサ信号の変化をもたらす酵素系を含む。グルコースセンサ信号の変化のモニタリングは、目的の分析物の間接的な測定を提供し得る。特定の実施形態では、本開示は、分析物センサの活性エリア内に1つ以上の酵素(例えば、1つ以上の酵素系)を含む分析物センサであって、グルコースの存在下で目的の分析物の直接検出を可能にする分析物センサを提供する。本開示は、開示される分析物センサを使用して分析物を検出する方法をさらに提供する。
【0014】
本開示では、目的の分析物は、グルコースから生成され、本明細書に開示される様々な酵素によって触媒されたNAD(P)Hの存在下で還元を受ける。部分的には、酸素還元からの干渉および非常に低い電位で電子移動を媒介する電子移動剤の欠如により、これらの還元反応を直接使用してこれらの分析物を検出するための電流を発生させることができない。本開示は、グルコース応答性酵素および電子移動剤の幅広い利用可能性を含む現在のグルコース感知技術を利用することによって、電気化学センサ上でこれらの還元可能な分析物を検出するための全般的なプラットフォームを提供する。
【0015】
明確にするために、限定としてではなく、本開示の主題の詳細な説明を以下のサブセクションに分割する。
I.定義;
II.分析物センサ;
1.分析物センサシステムの全般的な構造;
2.酵素;
3.レドックスメディエータ;
4.ポリマー骨格;
5.物質移動制限膜;
6.干渉ドメイン;
7.製造;
III.使用方法;および
IV.例示的な実施形態。
【0016】
I.定義
本明細書で使用される用語は、全般的に、本開示の文脈内で、および各用語が使用される特定の文脈において、当技術分野における通常の意味を有する。特定の用語は、以下で、または本明細書の他の箇所で論じられて、本開示の組成物および方法、ならびにそれらをどのように作製および使用するかを説明する際に実施者に追加のガイダンスを提供する。
【0017】
本明細書で使用される場合、「a」または「an」という単語の使用は、特許請求の範囲および/または明細書において「含む(comprising)」という用語と併せて使用される場合、「1つ」を意味し得るが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」、および「1つまたは1つより多く」の意味とも一致する。
【0018】
本明細書で使用される「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含有する(contain(s))」という用語、およびそれらの変形は、追加の行為または構造を排除しないオープンエンドの移行句、用語、または単語であることが意図される。本開示はまた、明示的に記載されているか否かにかかわらず、本明細書に提示される実施形態または要素「を含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、および「から本質的になる(consisting essentially of)」他の実施形態を企図する。
【0019】
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値について許容可能な誤差範囲内であることを意味し、これは、値がどのように測定または決定されるか、すなわち測定システムの限界に一部依存する。例えば、「約」は、当技術分野における慣例に従って、3以内または3を超える標準偏差を意味し得る。あるいは、「約」は、所与の値の20%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%まで、さらにより好ましくは1%までの範囲を意味し得る。あるいは、特に生物学的系またはプロセスに関して、この用語は、ある値の1桁分以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。
【0020】
本明細書で使用される場合、「分析物センサ」または「センサ」は、ユーザからセンサ情報を受信することができる任意のデバイスを指し得、例示を目的として、体温センサ、血圧センサ、脈拍もしくは心拍数センサ、グルコースレベルセンサ、分析物センサ、身体活動センサ、身体運動センサ、または物理的もしくは生物学的情報を収集するための任意の他のセンサを含むが、これらに限定されない。分析物センサによって測定される分析物としては、限定ではなく例として、グルタミン酸塩、グルコース、ケトン、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、アスパラギン、アスパラギン酸塩、ナトリウム、総タンパク質、尿酸、アセトン、アセト酢酸塩、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸、1,3-ビスホスホグリセリン酸、6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンなどを挙げることができる。
【0021】
本明細書中で使用される場合、「生体液」という用語は、分析物が測定され得る任意の体液または体液派生物をいう。生体液の非限定的な例としては、皮膚液、間質液、血漿、血液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、気管支肺胞洗浄、羊水、汗、涙などが挙げられる。特定の実施形態において、生体液は、皮膚液または間質液である。特定の実施形態では、生体液は間質液である。
【0022】
「電気分解」という用語は、本明細書で使用される場合、電極で直接的な、または1つ以上の電子移動剤(例えば、レドックスメディエータまたは酵素)を介する、化合物の電気酸化または電気還元を指す。
【0023】
本明細書で使用される場合、「酵素系」とは、分析物に応答する1つ以上の酵素を指す。特定の実施形態では、酵素系は、分析物に集合的に応答性である2つ以上の酵素を含む。
【0024】
本明細書で使用される場合、「均質膜」という用語は、単一の種類の膜ポリマーを含む膜を指す。
本明細書で使用される場合、「多成分膜」という用語は、2種類以上の膜ポリマーを含む膜を指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、「ポリビニルピリジン系ポリマー」という用語は、ポリビニルピリジン(例えば、ポリ(2-ビニルピリジン)もしくはポリ(4-ビニルピリジン))またはその誘導体を含むポリマーまたはコポリマーを指す。
【0026】
本明細書中で使用される場合、「レドックスメディエータ」という用語は、分析物または分析物還元酵素もしくは分析物酸化酵素と電極との間で、直接的にか、または1つ以上の追加の電子移動剤を介してかのいずれかで、電子を運ぶための電子移動剤を指す。特定の実施形態では、ポリマー骨格を含むレドックスメディエータは、「レドックスポリマー」とも呼ばれ得る。
【0027】
本明細書で使用される「参照電極」という用語は、参照電極、または参照電極および対電極の両方として機能する電極のどちらかを指し得る。同様に、本明細書で使用される「対電極」という用語は、対電極と、参照電極としても機能する対電極との両方を指し得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、「単一成分膜」という用語は、1種類の膜ポリマーを含む膜を指す。
II.分析物センサ
1.分析物センサシステムの全般的な構造;
本主題を詳細に説明する前に、本開示は、説明される特定の実施形態に限定されず、したがって、当然ながら、変動し得ることを理解されたい。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0029】
本明細書において説明される刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示のためにのみ提供される。本明細書中のいかなるものも、本開示が、先行開示を理由としてそのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は、独立して確認される必要があり得る実際の刊行日とは異なることがある。
【0030】
全般的に、本開示の実施形態は、インビボ分析物モニタリングシステムとともに使用するための分析物センサ挿入アプリケータの使用のためのシステム、デバイス、および方法を含む。アプリケータは、センサ制御デバイスの電子機器ハウジングが収容された無菌パッケージでユーザに提供することができる。いくつかの実施形態によれば、容器などのアプリケータとは別個の構造も、センサモジュールおよび鋭利物モジュールが収容された無菌パッケージとしてユーザに提供することができる。ユーザは、センサモジュールを電子機器ハウジングに結合することができ、アプリケータを指定された方法で容器に挿入することを含む組立プロセスによって、鋭利物をアプリケータに結合することができる。他の実施形態では、アプリケータ、センサ制御デバイス、センサモジュール、および鋭利物モジュールは、単一パッケージ内に提供されてもよい。アプリケータを使用して、センサが装着者の体液と接触した状態でセンサ制御デバイスを人体上に配置してもよい。本明細書で提供される実施形態は、センサが不適切に挿入されるかもしくは損傷され、または有害な生理学的応答を誘発する可能性を低減するための改善である。他の改善および利点も同様に提供される。これらのデバイスの様々な構成は、単なる例である実施形態によって詳細に説明される。
【0031】
さらに、多くの実施形態は、身体の少なくとも1つの分析物に関する情報を取得するために、センサの少なくとも一部がユーザの身体内に配置されるか、または位置付けられ得るように構造的に構成される、インビボ分析物センサを含む。しかしながら、本明細書に開示される実施形態は、インビトロ機能を組み込むインビボ分析物モニタリングシステム、ならびに完全に非侵襲性であるシステムを含む、単なるインビトロまたはエクスビボ分析物モニタリングシステムとともに使用されてもよいことに留意されたい。
【0032】
さらに、本明細書に開示される方法のありとあらゆる実施形態について、それらの実施形態の各々を実行することができるシステムおよびデバイスは、本開示の範囲内に包含される。例えば、センサ制御デバイスの実施形態が開示されるが、これらのデバイスは、1つ以上のセンサ、分析物モニタリング回路(例えば、アナログ回路)、メモリ(例えば、命令を記憶するため)、電源、通信回路、送信機、受信機、プロセッサ、および/またはコントローラ(例えば、命令を実行するため)を有してもよく、これらは、任意および全ての方法ステップを実行するか、または任意および全ての方法ステップの実行を容易にすることができる。これらのセンサ制御デバイスの実施形態は、本明細書で説明される方法のいずれかおよび全てからセンサ制御デバイスによって実行されるステップを実装するために使用されてもよく、使用することが可能であってもよい。
【0033】
さらに、本明細書に提示されるシステムおよび方法は、ウェルネス、フィットネス、食事、研究、情報、または経時的な分析物感知に関する任意の目的等であるが、それらに限定されない、分析物モニタリングシステムにおいて使用されるセンサの動作のために使用されてもよい。本明細書で使用される場合、「分析物センサ」または「センサ」は、ユーザからセンサ情報を受信することができる任意のデバイスを指し得、例示を目的として、体温センサ、血圧センサ、脈拍もしくは心拍数センサ、グルコースレベルセンサ、分析物センサ、身体活動センサ、身体運動センサ、または物理的もしくは生物学的情報を収集するための任意の他のセンサを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本開示の分析物センサは、グルタミン酸塩、グルコース、ケトン、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、ナトリウム、アスパラギン酸塩、アスパラギン、総タンパク質、尿酸などを含むがこれらに限定されない分析物を測定することができる。
【0034】
上述したように、インビボ分析物モニタリングシステムと共に使用するための皮膚センサ挿入デバイスの改善された組立ておよび使用を提供するシステム、デバイス、および方法のいくつかの実施形態が本明細書で説明される。特に、本開示のいくつかの実施形態は、インビボ分析物モニタリングシステムに関してセンサ挿入の方法を改善するように、特に、センサ挿入プロセス中に挿入鋭利物が早まって後退することを防止するように設計される。いくつかの実施形態は、例えば、発射速度を増加させ、かつ鋭利物の後退を遅らせた、皮膚センサ挿入機構を含む。他の実施形態では、鋭利物後退機構は、ユーザがアプリケータを皮膚から引き離すまで、鋭利物が後退されないように、運動作動されてもよい。結果として、これらの実施形態は、いくつかの利点を挙げると、センサ挿入プロセス中に挿入鋭利物を早まって引き抜く可能性を低減し、不適切なセンサ挿入の可能性を低減し、センサ挿入プロセス中にセンサを損傷する可能性を低減することができる。本開示のいくつかの実施形態はまた、小規模の皮膚センサおよび対象の真皮層に存在する比較的浅い挿入経路を考慮した、改良された挿入鋭利物モジュールを提供する。加えて、本開示のいくつかの実施形態は、センサ挿入中のアプリケータ構成要素の望ましくない軸線方向および/または回転の移動を防止するように設計される。したがって、これらの実施形態は、いくつかの利点を挙げると、配置された皮膚センサの不安定性、挿入部位における刺激、周囲組織への損傷、および血液による皮膚流体の汚損をもたらす毛細血管の破損の可能性を低減することができる。加えて、挿入部位における外傷によって引き起こされ得る不正確なセンサ読み取り値を軽減するために、本開示のいくつかの実施形態は、挿入中のセンサ先端に対する針の端部侵入深さを低減することができる。
【0035】
しかしながら、実施形態のこれらの態様を詳細に説明する前に、例えばインビボ分析物モニタリングシステム内に存在し得るデバイスの例、ならびにそれらの動作の例をまず説明することが望ましく、それらの全ては、本明細書に説明される実施形態とともに使用され得る。
【0036】
様々なタイプのインビボ分析物モニタリングシステムが存在する。「連続的分析物モニタリング」システム(または「連続的グルコースモニタリングシステム」システム)は、例えば、データをセンサ制御デバイスからリーダデバイスに、指示することなく連続的に、例えば、スケジュールに従って自動的に送信してもよい。別の例として、「フラッシュ分析物モニタリング」システム(または「フラッシュグルコースモニタリング」システムまたは単に「フラッシュ」システム)は、近距離無線通信(NFC)または無線周波数識別(RFID)プロトコル等を用いて、リーダデバイスによるデータのスキャンまたは要求に応答して、センサ制御デバイスからデータを転送してもよい。インビボ分析物モニタリングシステムはまた、指先穿刺による較正を必要とせずに動作してもよい。
【0037】
インビボ分析物モニタリングシステムは、体外(または「エクスビボ」)で生体試料と接触し、典型的には、ユーザの血中分析物レベルを決定するために分析され得るユーザの体液を運ぶ分析物検査ストリップを受け入れるためのポートを有する測定デバイスを含む「インビトロ」システムと区別することができる。
【0038】
インビボモニタリングシステムは、インビボに配置されている間、ユーザの体液と接触し、その中に含まれる分析物レベルを感知するセンサを含んでもよい。センサは、ユーザの身体上に存在し、分析物感知を可能にするとともに制御する電子機器および電源を含むセンサ制御デバイスの一部であり得る。センサ制御デバイスおよびその変形はまた、いくつか例を挙げると、「センサ制御ユニット」、「オンボディ電子機器」デバイスもしくはユニット、「オンボディ」デバイスもしくはユニット、または「センサデータ通信」デバイスもしくはユニットと称され得る。
【0039】
インビボモニタリングシステムはまた、感知された分析物データをセンサ制御デバイスから受信し、その感知された分析物データを任意の数の形態で処理および/またはユーザに表示するデバイスを含んでもよい。このデバイスおよびその変形は、いくつか例を挙げると、「ハンドヘルドリーダデバイス」、「リーダデバイス」(または単に「リーダ」)、「ハンドヘルド電子機器」(または単に「ハンドヘルド」)、「ポータブルデータ処理」デバイスもしくはユニット、「データ受信機」、「受信機」デバイスもしくはユニット(または単に「受信機」)、または「遠隔」デバイスもしくはユニットと称され得る。パーソナルコンピュータなどの他のデバイスもまた、インビボおよびインビトロモニタリングシステムとともに利用されてきたか、またはインビボおよびインビトロモニタリングシステムに組み込まれてきた。
【0040】
A.例示的なインビボ分析物モニタリングシステム
図1Aは、センサアプリケータ150、センサ制御デバイス102、およびリーダデバイス120を含む分析物モニタリングシステム100の例示的な実施形態を示す概念図である。ここで、センサアプリケータ150は、センサ制御デバイス102をユーザの皮膚上のモニタリング場所に送達するために使用されることができ、そこで、センサ104は、接着パッチ105によってある期間にわたって定位置に維持される。センサ制御デバイス102は、図2Bおよび2Cでさらに説明され、有線または無線、単方向または双方向、および暗号化または非暗号化技術を使用して通信経路またはリンク140を介してリーダデバイス120と通信することができる。例示的な無線プロトコルとしては、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth低エネルギー(BLE、BTLE、Bluetooth SMARTなど)、近距離無線通信(NFC)などが挙げられる。ユーザは、画面122および入力121を使用して、リーダデバイス120上のメモリにインストールされたアプリケーションをモニタリングすることができ、デバイスバッテリは、電力ポート123を使用して再充電することができる。リーダデバイス120についてのさらなる詳細は、以下の図2Aに関して記載される。リーダデバイス120は、特定の実施形態によれば、センサ104またはそれに関連付けられたプロセッサによって決定された分析物濃度および警告または通知を見るための、ならびに1つ以上のユーザ入力を可能にするための出力媒体を構成してもよい。リーダデバイス120は、多目的スマートフォンまたは専用電子リーダ機器であり得る。1つのリーダデバイス120のみが示されているが、複数のリーダデバイス120が特定の例において存在してもよい。
【0041】
リーダデバイス120は通信経路141を介してローカルコンピュータシステム170と通信することができ、通信経路は有線または無線、単方向または双方向、および暗号化または非暗号化でもよい。ローカルコンピュータシステム170は、ラップトップ、デスクトップ、タブレット、ファブレット、スマートフォン、セットトップボックス、ビデオゲーム機、遠隔端末、または他のコンピューティングデバイスのうちの1つ以上を含んでもよく、無線通信は、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth低エネルギー(BTLE)、Wi-Fi、またはその他を含む、いくつかの適用可能な無線ネットワーキングプロトコルのうちのいずれかを含んでもよい。ローカルコンピュータシステム170は、リーダデバイス120が通信経路142を介してネットワーク190と通信できる方法と同様に、前述の有線または無線技術によって、通信経路143を介してネットワーク190と通信できる。ネットワーク190は、プライベートネットワークおよびパブリックネットワーク、ローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワークなど、いくつかのネットワークのうちのいずれかとすることができる。信頼できるコンピュータシステム180は、サーバを含んでもよく、認証サービスおよび安全なデータストレージを提供することができ、通信経路144を介して有線または無線技術によってネットワーク190と通信することができる。特定の実施形態によれば、ローカルコンピュータシステム170および/または信頼できるコンピュータシステム180は、ユーザの分析物レベルに関心を有する一次ユーザ以外の個人によってアクセス可能であり得る。リーダデバイス120は、ディスプレイ122および任意選択の入力構成要素121を含んでもよい。ディスプレイ122は、特定の実施形態によれば、タッチスクリーンインタフェースを含んでもよい。
【0042】
センサ制御デバイス102は、センサ104を動作させるための回路および電源を収容することができるセンサハウジングを含む。任意選択的に、電源および/または能動回路を省略することができる。プロセッサ(図示せず)をセンサ104に通信可能に結合してもよく、プロセッサは、センサハウジングまたはリーダデバイス120内に物理的に配置される。センサ104は、センサハウジングの下側から突出し、接着層105を通して延在する。特定の実施形態によると、接着層105はセンサハウジングを皮膚等の組織表面に接着するように適合される。
【0043】
図1Bは、本明細書に説明される技術を具体化することができる分析物モニタリングシステム100aの動作環境を示す。分析物モニタリングシステム100aは、人間または動物の身体の分析物レベルなどのパラメータのモニタリングを提供するように設計された構成要素のシステムを含んでもよく、または様々な構成要素の構成に基づいて他の動作を提供してもよい。本明細書で具体化されるように、システムは、ユーザによって装着されるかもしくは情報が収集されている身体に取り付けられる、低電力分析物センサ110または単に「センサ」を含んでもよい。本明細書で具体化されるように、分析物センサ110は、所定の有効使用寿命(例えば、1日、14日、30日など)を有する密閉された使い捨てデバイスであってもよい。センサ110は、ユーザ身体の皮膚に適用され、センサ寿命の持続時間にわたって付着されたままであり得るか、または選択的に取り外され、再適用されたときに機能したままであるように設計され得る。低電力分析物モニタリングシステム100aは、分析物センサ110からの分析物データを含むデータの検索および送達を容易にするために、本明細書で説明されるように構成されたデータ読み取りデバイス120または多目的データ受信デバイス130をさらに含んでもよい。
【0044】
本明細書で具体化されるように、分析物モニタリングシステム100aは、例えば遠隔アプリケーションサーバ150またはアプリケーションストアフロントサーバ160を介して第三者に提供され、通信リンクを介して分析物センサ110と通信することができる携帯電話、タブレット、パーソナルコンピューティングデバイス、または他の同様のコンピューティングデバイスなどの多目的ハードウェアデバイス130に組み込まれたソフトウェアまたはファームウェアライブラリまたはアプリケーションを含んでもよい。多目的ハードウェアは、分析物センサ110と通信するように構成された組み込み型ライブラリを有する、インスリンポンプまたはインスリンペンを含むがこれらに限定されない組み込み型デバイスをさらに含んでもよい。分析物モニタリングシステム100aの図示された実施形態は、図示されたデバイスの各々を1つだけ含むが、本開示は、分析物モニタリングシステム100aが、システム全体にわたって相互作用する複数の各構成要素を組み込むことを企図する。例えば、限定するものではないが、本明細書で具体化されるように、データ読み取りデバイス120および/または多目的データ受信デバイス130は、複数の各々を含んでもよい。本明細書で具体化されるように、複数のデータ受信デバイス130は、本明細書で説明されるようにセンサ110と直接通信してもよい。加えて、またはあるいは、データ受信デバイス130は、二次データ受信デバイス130と通信し、ユーザまたは他の承認された当事者への二次表示のために、分析物データ、またはデータの可視化もしくは分析を提供してもよい。
【0045】
センサ104は、皮膚の真皮層または皮下層内などの対象組織内に少なくとも部分的に挿入されるように適合される。センサ104は、所与の組織の所望の深さまで挿入するのに十分な長さのセンサ尾部を含んでもよい。センサ尾部は、少なくとも1つの作用電極を含んでもよい。特定の構成では、センサ尾部は、分析物を検出するための活性エリアを含み得る。対電極は、少なくとも1つの作用電極と組み合わせて存在してもよい。センサ尾部上の特定の電極構成は、以下でより詳細に説明される。
【0046】
活性エリアは、特定の分析物を検出するように構成されてもよく、例えば、分析物を間接的に検出するように構成されてもよい。開示される分析物センサを使用して検出され得る分析物の非限定的な例としては、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)依存性酵素(本明細書ではまとめてNAD(P)依存性酵素と呼ぶ)によって還元され得る分析物が挙げられる。特定の実施形態では、分析物としては、グルタミン酸塩、グルコース、ケトン、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、アスパラギン、アスパラギン酸塩、ナトリウム、総タンパク質、尿酸、アセトン、アセト酢酸塩、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸塩、1,3-ビスホスホグリセリン酸、および/または6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンであり得る。特定の実施形態では、分析物は、ケトン、アセト酢酸、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸塩、1,3-ビスホスホグリセリン酸、または6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンである。
【0047】
本開示の特定の実施形態では、分析物は、目的の任意の生体液(例えば、皮膚液、間質液、血漿、血液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、気管支肺胞洗浄、羊水など)においてモニタリングされ得る。ある特定の実施形態では、本開示の分析物センサは、皮膚液または間質液をアッセイして、インビボで1つ以上の分析物の濃度を決定するように適合されてもよい。特定の実施形態では、生体液は間質液である。
【0048】
導入器は、組織へのセンサ104の導入を促進するために一時的に存在することができる。特定の例示的な実施形態では、導入器は、針または同様の鋭利物を含んでもよい。当業者によって容易に認識されるように、シースまたはブレード等の他のタイプの導入器が、代替実施形態において存在してもよい。より具体的には、針または他の導入器は、組織挿入の前にセンサ104に近接して一時的に存在し、その後、引き抜かれ得る。存在する間、針または他の導入器は、センサ104が従うためのアクセス経路を開くことによって、組織の中へのセンサ104の挿入を容易にすることができる。例えば、限定するものではないが、1つ以上の実施形態によれば、針は、真皮へのアクセス経路として表皮の貫通を容易にして、センサ104の埋め込みが行われることを可能にすることができる。アクセス経路を開いた後、針または他の導入器は、それが鋭利物の危険を表さないように、引き抜かれてもよい。特定の実施形態は、好適な針は、中実もしくは中空、斜角もしくは非斜角、および/または断面が円形もしくは非円形であり得る。より特定の非限定的な実施形態では、好適な針は、断面直径および/または先端設計において、約250ミクロンの断面直径を有し得る鍼灸針と同等であり得る。しかしながら、適切な針は、ある特定の用途のために必要とされる場合、より大きいまたはより小さい断面直径を有してもよい。
【0049】
特定の実施形態では、針の先端(存在する間)は、針が最初に組織を貫通し、センサ104のためのアクセス経路を開放するように、センサ104の末端にわたって角度を付けられてもよい。特定の実施形態では、センサ104は、針の管腔または溝内に存在してもよく、針は、同様に、センサ104のためのアクセス経路を開放する。いずれの場合も、針は、センサの挿入を容易にした後に引抜かれる。
【0050】
B.例示的なリーダデバイス
図2Aは、スマートフォンとして構成されたリーダデバイスの例示的な実施形態を示すブロック図である。ここで、リーダデバイス120は、ディスプレイ122と、入力構成要素121と、メモリ223に結合された通信プロセッサ222およびメモリ225に結合されたアプリケーションプロセッサ224を含む処理コア206とを含んでもよい。別個のメモリ230と、アンテナ229を有するRFトランシーバ228と、電力管理モジュール238を有する電源226と、も含まれてよい。Wi-Fi、NFC、Bluetooth(登録商標)、BTLE、およびGPSを介してアンテナ234によって通信することができる多機能トランシーバ232をさらに含んでもよい。当業者によって理解されるように、これらの構成要素は、機能デバイスを作製する方法で電気的かつ通信可能に結合される。
【0051】
C.例示的なデータ受信デバイスアーキテクチャ
限定ではなく例示の目的で、図2Bに示されるような開示された主題とともに使用するためのデータ受信デバイス120の例示的な実施形態が参照される。データ受信デバイス120および関連する多目的データ受信デバイス130は、分析物センサ110およびその動作の説明に密接に関係する構成要素を含み、追加の構成要素を含んでもよい。特定の実施形態では、データ受信デバイス120および多目的データ受信デバイス130は、第三者によって提供される構成要素であるか、またはそれを含んでもよく、センサ110と同じ製造業者によって作製されたデバイスを含むように必ずしも制限されない。
【0052】
図2Bに示すように、データ受信デバイス120は、マイクロコントローラ4010と、メモリ4020と、ストレージ4030とを含み、通信モジュール4040と通信可能に結合されたASIC4000を含む。データ受信デバイス120の構成要素のための電力は、本明細書で具体化されるように、充電式バッテリを含んでもよい電力モジュール4050によって送達されてもよい。データ受信デバイス120は、分析物センサ110または他のデバイス(例えば、ユーザデバイス140または遠隔アプリケーションサーバ150)から受信した分析物データのレビューを容易にするためのディスプレイ4070をさらに含んでもよい。データ受信デバイス120は、別個のユーザインタフェース構成要素(たとえば、物理キー、光センサ、マイクロフォンなど)を含んでもよい。
【0053】
通信モジュール4040は、BLEモジュール4041およびNFCモジュール4042を含んでもよい。データ受信デバイス120は、分析物センサ110と無線でつながり、分析物センサ110にコマンドを送信し、分析物センサ110からデータを受信するように構成されてもよい。本明細書で具体化されるように、データ受信デバイス120は、本明細書で説明されるような分析物センサ110に関して、通信モジュール4040の特定のモジュール(例えば、BLEモジュール4042またはNFCモジュール4043)を介してNFCスキャナおよびBLEエンドポイントとして動作するように構成されてもよい。例えば、データ受信デバイス120は、通信モジュール4040の第1のモジュールを使用して、コマンド(例えば、センサのデータブロードキャストモードのための起動コマンド、データ受信デバイス120を識別するためのペアリングコマンド)を分析物センサ110に発行するとともに、通信モジュール4040の第2のモジュールを使用して、分析物センサ110からデータを受信し、分析物センサ110にデータを送信してもよい。データ受信デバイス120は、通信モジュール4040のユニバーサルシリアルバス(USB)モジュール4045を介してユーザデバイス140と通信するように構成されてもよい。
【0054】
別の例として、通信モジュール4040は、例えば、セルラー無線モジュール4044を含んでもよい。セルラー無線モジュール4044は、限定はしないが、第3世代(3G)、第4世代(4G)、および第5世代(5G)ネットワークを含むブロードバンドセルラーネットワークを使用して通信するための1つ以上の無線トランシーバを含んでもよい。さらに、データ受信デバイス120の通信モジュール4040は、IEEE802.11規格(たとえば、802.11a、802.11b、802.11g、802.11n(Wi-Fi4としても知られる)、802.11ac(Wi-Fi5としても知られる)、802.11ax(Wi-Fi6としても知られる))のうちの1つ以上に従ってワイヤレスローカルエリアネットワークを使用して通信するためのWi-Fi無線モジュール4043を含んでもよい。セルラー無線モジュール4044またはWi-Fi無線モジュール4043を使用して、データ受信デバイス120は、遠隔アプリケーションサーバ150と通信することで、分析物データを受信するか、またはユーザから受信した更新もしくは入力を提供してもよい(例えば、1つ以上のユーザインタフェースを通して)。図示されていないが、分析物センサ120の通信モジュール5040は、同様に、セルラー無線モジュールまたはWi-Fi無線モジュールを含んでもよい。
【0055】
本明細書で具体化されるように、データ受信デバイス120のオンボードストレージ4030は、分析物センサ110から受信した分析物データを記憶してもよい。さらに、データ受信デバイス120、多目的データ受信デバイス130、またはユーザデバイス140は、ワイドエリアネットワークを介して遠隔アプリケーションサーバ150と通信するように構成されてもよい。本明細書で具体化されるように、分析物センサ110は、データ受信デバイス120または多目的データ受信デバイス130にデータを提供してもよい。データ受信デバイス120は、データをユーザコンピューティングデバイス140に送信してもよい。次に、ユーザコンピューティングデバイス140(または多目的データ受信デバイス130)は、処理および分析のために、そのデータを遠隔アプリケーションサーバ150に送信してもよい。
【0056】
本明細書で具体化されるように、データ受信デバイス120は、分析物センサ110の感知ハードウェア5060と同様の、またはそれから拡張された感知ハードウェア4060をさらに含んでもよい。特定の実施形態では、データ受信デバイス120は、分析物センサ110と連動して、分析物センサ110から受信した分析物データに基づいて動作するように構成されてもよい。一例として、分析物センサ110がグルコースセンサである場合、データ受信デバイス120は、インスリンポンプもしくはインスリン注射ペンであるか、またはインスリンポンプもしくはインスリン注射ペンを含んでもよい。連動して、互換性のあるデバイス130が、分析物センサから受信したグルコース値に基づいて、ユーザのためのインスリン用量を調整してもよい。
【0057】
D.例示的なセンサ制御デバイス
図2Cおよび図2Dは、分析物センサ104と、ユーザへの表示に適した最終結果データをレンダリングするための処理能力の大部分を有し得るセンサ電子機器160(分析物モニタリング回路を含む)とを有するセンサ制御デバイス102の例示的な実施形態を示すブロック図である。図2Cでは、カスタム特定用途向け集積回路(ASIC)でもよい単一の半導体チップ161が示されている。ASIC161内に示されるのは、アナログフロントエンド(AFE)162、電力管理(または制御)回路164、プロセッサ166、および通信回路168(送信機、受信機、トランシーバ、受動回路、または通信プロトコルに従う他のものとして実装され得る)を含む、特定の高レベル機能ユニットである。この実施形態では、AFE162およびプロセッサ166の両方が分析物モニタリング回路として使用されるが、他の実施形態では、どちらかの回路が分析物モニタリング機能を実行してもよい。プロセッサ166は、1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、および/またはマイクロコントローラを含んでもよく、それらの各々は、別個のチップであるか、またはいくつかの異なるチップの間(およびその一部)で分散されてもよい。
【0058】
メモリ163もASIC161内に含まれ、ASIC161内に存在する様々な機能ユニットによって共有されてもよく、またはそれらのうちの2つ以上の間で分散されてもよい。メモリ163は、別個のチップであってもよい。メモリ163は、揮発性および/または不揮発性メモリであってよい。この実施形態では、ASIC161は、電源170に結合され、この電源は、コイン電池バッテリなどでもよい。AFE162は、インビボ分析物センサ104と相互作用し、そこから測定データを受信し、そのデータをデジタル形式でプロセッサ166に出力し、次に、プロセッサはそのデータを処理して、最終結果グルコース離散値および傾向値などに到達する。次いで、このデータは、例えば、データを表示するために常駐ソフトウェアアプリケーションによって最小限のさらなる処理が必要とされる場合、アンテナ171を経由してリーダデバイス120(図示せず)に送信するために、通信回路168に提供されてもよい。
【0059】
図2Dは、図2Cと同様であるが、代わりに、2つの別個の半導体チップ162および174を含み、それらは一緒にパッケージ化されても、または別々にパッケージ化されてもよい。ここで、AFE162は、ASIC161上に存在する。プロセッサ166は、チップ174上の電力管理回路164および通信回路168と統合される。AFE162はメモリ163を含み、チップ174はメモリ165を含み、これらは内部で分離または分散されてもよい。1つの例示的な実施形態では、AFE162は、1つのチップ上で電力管理回路164およびプロセッサ166と組み合わされ、通信回路168は別個のチップ上にある。別の例示的な実施形態では、AFE162および通信回路168の両方が1つのチップ上にあり、プロセッサ166および電力管理回路164が別のチップ上にある。3つ以上のチップを含む他のチップの組合せが可能であり、各チップは、説明した別々の機能を担うか、またはフェイルセーフ冗長性のために1つ以上の機能を共有することに留意されたい。
【0060】
限定ではなく例示の目的で、図2Eに示されるような開示された主題とともに使用するための分析物センサ110の例示的な実施形態が参照される。図2Eは、本明細書で説明されるセキュリティアーキテクチャおよび通信スキームに適合する例示的な実施形態による例示的な分析物センサ110のブロック図を示す。
【0061】
本明細書で具体化されるように、分析物センサ110は、通信モジュール5040と通信可能に結合された特定用途向け集積回路(「ASIC」)5000を含んでもよい。ASIC5000は、マイクロコントローラコア5010、オンボードメモリ5020、およびストレージメモリ5030を含んでもよい。ストレージメモリ5030は、認証および暗号化セキュリティアーキテクチャにおいて使用されるデータを記憶してもよい。ストレージメモリ5030は、センサ110のためのプログラミング命令を記憶してもよい。本明細書で具体化されるように、特定の通信チップセットは、ASIC5000(例えば、NFCトランシーバ5025)に組み込まれてもよい。ASIC5000は、オンボードバッテリなどの電力モジュール5050から、またはNFCパルスから電力を受け取ってもよい。ASIC5000のストレージメモリ5030は、識別および追跡目的のためにセンサ110の識別子などの情報を含むようにプログラムされてもよい。ストレージメモリ5030はまた、センサ110およびその様々な構成要素による使用のための構成または較正パラメータを用いてプログラムされてもよい。ストレージメモリ5030は、書き換え可能またはワンタイムプログラミング(OTP)メモリを含んでもよい。本明細書に説明される技術を使用してストレージメモリ5030を更新することで、センサ110の有用性を拡張してもよい。
【0062】
本明細書で具体化されるように、センサ100の通信モジュール5040は、分析物センサ110が分析物モニタリングシステム100の他のデバイスと通信することをサポートするための1つ以上のモジュールであるか、またはそれを含んでもよい。限定ではなく単なる例として、例示的な通信モジュール5040は、Bluetooth低エネルギー(「BLE」)モジュール5041を含んでもよい。本開示全体を通して使用されるように、Bluetooth低エネルギー(「BLE」)は、エンドユーザにとって単純なBluetoothデバイスのペアリングを行うように最適化された短距離通信プロトコルを指す。通信モジュール5040は、データ受信デバイス120またはユーザデバイス140の同様に可能な通信モジュールとの相互作用を介して、データおよびコマンドを送信および受信してもよい。通信モジュール5040は、IEEE802.15プロトコルに従うパーソナルエリアネットワーク、IEEE802.11プロトコル、赤外線データ協会規格(IrDA)に従う赤外線通信など、同様の短距離通信スキームとともに使用するための追加または代替のチップセットを含んでもよい。
【0063】
その機能を実行するために、センサ100は、その機能に適した適切な感知ハードウェア5060をさらに含んでもよい。本明細書で具体化されるように、感知ハードウェア5060は、対象の体液と接触して経皮的または皮下的に配置された分析物センサを含んでもよい。分析物センサは、体液中の1つ以上の分析物のレベルに対応する値を含むセンサデータを生成してもよい。
【0064】
E.センサ制御デバイスのための例示的な組立プロセス
センサ制御デバイス102の構成要素は、適切なユーザ場所への送達前にユーザによる最終的な組立てを必要とする複数のパッケージでユーザによって入手されてもよい。図3A図3Dは、送達に向けてセンサを準備するために構成要素を結合する前に別個の構成要素の準備を含む、ユーザによるセンサ制御デバイス102のための組立プロセスの例示的な実施形態を示す。図3E~3Fは、適切な送達場所を選択し、デバイス102をその場所に適用することによる、適切なユーザ場所へのセンサ制御デバイス102の送達の例示的実施形態を示す。
【0065】
図3Aは、組立てプロセスに向けてユーザが(他のパッケージが使用されてもよいが)ここではトレイとして構成された容器810を準備する例示的な実施形態を示す近位斜視図である。ユーザは、例えば、蓋812の接着部分が取り外されるように蓋812の非接着部分をトレイ810から剥がすことによって、蓋812をトレイ810から取り外してプラットフォーム808を露出させることによって、この準備を達成してもよい。蓋812の取り外しは、プラットフォーム808がトレイ810内で適切に露出される限り、様々な実施形態において適切であり得る。その後、蓋812を脇に置くことができる。
【0066】
図3Bは、組立てに向けてユーザがアプリケータデバイスを準備する例示的な実施形態を示す側面図である。アプリケータデバイス150は、キャップ708によって密閉された滅菌パッケージ内に提供されてもよい。アプリケータデバイス150の準備は、キャップ708からハウジング702を分離してシース704を露出させることを含んでもよい(図3C)。これは、キャップ708をハウジング702から回して外す(または他の方法で分離する)ことによって達成され得る。その後、キャップ708を脇に置くことができる。
【0067】
図3Cは、組立て中にユーザがアプリケータデバイス150をトレイ810内に挿入する例示的な実施形態を示す近位斜視図である。最初に、ユーザは、ハウジング配向部分1302(またはスロットもしくは凹部)およびトレイ配向部分924(当接部または戻り止め)を整合させた後、シース704をトレイ810の内側のプラットフォーム808の中に挿入してもよい。シース704をプラットフォーム808に挿入すると、シース704がハウジング702に対して一時的にロック解除され、プラットフォーム808がトレイ810に対して一時的にロック解除される。この段階で、トレイ810からアプリケータデバイス150を取り外すことにより、トレイ810へのアプリケータデバイス150の最初の挿入の前と同じ状態が生じるであろう(すなわち、プロセスは、この時点で逆転または中断され、次いで、何も起こることなく繰り返されることができる)。
【0068】
シース704は、ハウジング702が遠位に前進される間、ハウジング702に対するプラットフォーム808内の位置を維持することで、プラットフォーム808と結合してプラットフォーム808をトレイ810に対して遠位に前進させることができる。このステップは、プラットフォーム808をロック解除し、トレイ810内に折り畳む。シース704は、ハウジング702に対してシース704をロック解除し、ハウジング702がプラットフォーム808を遠位方向に前進させ続ける間にシース704が(相対的に)移動するのを防止する、トレイ810内のロック部分(図示せず)に接触し、係合解除することができる。ハウジング702およびプラットフォーム808の前進の終わりに、シース704は、ハウジング702に対して恒久的にロック解除される。トレイ810内の鋭利物およびセンサ(図示せず)は、ハウジング702の遠位前進の終わりに、ハウジング702内の電子機器ハウジング(図示せず)と結合されてもよい。アプリケータデバイス150およびトレイ810の動作および相互作用は、以下でさらに説明される。
【0069】
図3Dは、組立て中にユーザがアプリケータデバイス150をトレイ810から取り外す例示的な実施形態を示す近位斜視図である。ユーザは、トレイ810に対してハウジング702を近位に前進させることによって、またはアプリケータ150とトレイ810とを分離するという同じ最終効果を有する他の運動によって、アプリケータ150をトレイ810から取り外すことができる。アプリケータデバイス150は、その中に完全に組み立てられ(鋭利物、センサ、電子機器)、送達のために配置されたセンサ制御デバイス102(図示せず)とともに取り外される。
【0070】
図3Eは、アプリケータデバイス150を使用してセンサ制御デバイス102を皮膚の標的エリア、例えば、腹部または他の適切な場所に適用する患者の例示的な実施形態を示す、近位斜視図である。ハウジング702を遠位方向に前進させることにより、ハウジング702内でシース704が折り畳まれ、センサ制御デバイス102の底部側の接着層が皮膚に接着するように、センサが標的位置に適用される。鋭利物は、ハウジング702が完全に前進させられた時、自動的に後退させられるが、センサ(図示せず)は、定位置に残されて分析物レベルを測定する。
【0071】
図3Fは、適用された位置にセンサ制御デバイスを有する患者の例示的な実施形態を示す近位斜視図である。次に、ユーザは、アプリケータ150を適用部位から取り外すことができる。
【0072】
図3A図3Fおよび本明細書の他の箇所に関して説明されるシステム100は、従来技術のシステムと比較して、アプリケータ構成要素の偶発的な破損、恒久的な変形、または不正確な組立ての可能性を低減または排除することができる。シース704を介した間接的な係合ではなく、シース704がロック解除されている間にアプリケータハウジング702がプラットフォーム808に直接係合するので、シース704とハウジング702との間の相対的な角度は、アームまたは他の構成要素の破損または恒久的な変形をもたらさない。組立て中の(従来のデバイスにおけるような)比較的大きな力の可能性が低減され、ひいては、ユーザによる組立てが失敗する可能性が低減される。
【0073】
F.例示的なセンサアプリケータデバイス
図4Aは、スクリュキャップ708と連結されたアプリケータデバイス150の例示的な実施形態を示す側面図である。これは、ユーザによってセンサと組み立てられる前に、アプリケータ150がどのようにユーザに出荷され、どのようにユーザによって受け取られるかの例である。図4Bは、分離された後のアプリケータデバイス150およびキャップ708を示す側面斜視図である。図4Cは、電子機器ハウジング706および接着パッチ105が、キャップ708が定位置にある時にそれらが保持されるシース704のセンサキャリア710内の位置から取り外された状態のアプリケータデバイス150の遠位端の例示的な実施形態を示す斜視図である。
【0074】
限定ではなく例示の目的で図4D~Gを参照すると、アプリケータデバイス20150は、単一の一体化アセンブリとしてユーザに提供され得る。図4Dおよび4Eは、アプリケータデバイス20150の斜視上面図および斜視底面図をそれぞれ提供し、図4Fは、アプリケータデバイス20150の分解図を提供し、図4Gは、側面切断図を提供する。斜視図は、アプリケータ20150がユーザにどのように出荷され、ユーザによってどのように受け取られるかを示す。分解図および切断図は、アプリケータデバイス20150の構成要素を示す。アプリケータデバイス20150は、ハウジング20702、ガスケット20701、シース20704、鋭利物キャリア201102、ばね205612、センサキャリア20710(「パックキャリア」とも呼ばれる)、鋭利物ハブ205014、センサ制御デバイス(「パック」とも呼ばれる)20102、接着パッチ20105、乾燥剤20502、キャップ20708、シリアルラベル20709、およびタンパーエビデンス部分20712を含んでもよい。ユーザによって受け取られるとき、ハウジング20702、キャップ20708、タンパーエビデンス部分20712、およびラベル20709のみが見える。タンパーエビデンス部分20712は、例えば、ハウジング20702およびキャップ20708の各々に結合されたステッカーでもよく、タンパーエビデンス部分20712は、ハウジング20702およびキャップ20708を分離することによって、例えば修復不能に損傷し得、それによって、ハウジング20702およびキャップ20708が以前に分離されたことをユーザに示す。これらの特徴は、以下でより詳細に説明される。
【0075】
G.例示的なトレイおよびセンサモジュールアセンブリ
図5は、滅菌蓋812が取り外し可能に結合されたトレイ810の例示的な実施形態を示す近位斜視図であり、これは、パッケージが組立て前にどのようにユーザに出荷され、どのようにユーザによって受け取られるかを表し得る。
【0076】
図6Aは、トレイ810内のセンサ送達構成要素を示す近位斜視切断図である。プラットフォーム808は、トレイ810内に摺動可能に結合される。乾燥剤502は、トレイ810に対して静止している。センサモジュール504は、トレイ810内に取り付けられる。
【0077】
図6Bは、センサモジュール504をより詳細を示す近位斜視図である。ここで、プラットフォーム808の保持アーム延長部1834は、センサモジュール504を定位置に解放可能に固定する。モジュール2200は、コネクタ2300、鋭利物モジュール2500、およびセンサ(図示せず)と結合されるので、組立て中にセンサモジュール504として一緒に取り外すことができる。
【0078】
H.ワンピースアーキテクチャのための例示的なアプリケータおよびセンサ制御デバイス
再び図1Aおよび図3A図3Gを簡単に参照すると、ツーピースアーキテクチャシステムの場合、センサトレイ202およびセンサアプリケータ102は、別個のパッケージとしてユーザに提供され、したがって、ユーザは、各パッケージを開封し、最終的にシステムを組み立てる必要がある。いくつかの用途では、別個の密封パッケージは、センサトレイ202およびセンサアプリケータ102が、各パッケージの内容物に特有であり、他のものの内容物と適合しない別個の滅菌プロセスにおいて滅菌されることを可能にする。より具体的には、センサ110および鋭利物220を含むプラグアセンブリ207を含むセンサトレイ202は、電子ビーム(または「eビーム」)照射等の放射線滅菌を使用して滅菌されてもよい。適切な放射線滅菌プロセスとしては、電子ビーム(e-ビーム)照射、ガンマ線照射、X線照射、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。しかしながら、放射線滅菌は、センサ制御デバイス102の電子機器ハウジング内に配置された電気部品を損傷することがある。その結果、センサ制御デバイス102の電子機器ハウジングを含むセンサアプリケータ102を滅菌する必要がある場合、例えばエチレンオキシドを使用する気体化学滅菌などの別の方法によって滅菌することがある。しかしながら、気体化学滅菌は、センサ110上に含まれる酵素または他の化学物質および生物製剤を損傷する可能性がある。この滅菌不適合により、センサトレイ202およびセンサアプリケータ102は、通常、別個の滅菌プロセスにおいて滅菌され、その後、別個に包装されるが、これは、ユーザが使用のために構成要素を最終的に組み立てることを必要とする。
【0079】
図7Aおよび7Bは、1つ以上の実施形態によるセンサ制御デバイス3702の、それぞれ等角分解上面図および等角底面図である。シェル3706およびマウント3708は、センサ制御デバイス3702の様々な電子部品を封入するか、または別様に実質的にカプセル化する、対向するクラムシェル半体として動作する。図示のように、センサ制御デバイス3702は、複数の電子モジュール3806が結合されたプリント回路基板(PCB)3804を含むプリント回路基板アセンブリ(PCBA)3802を含んでもよい。例示的な電子モジュール3806は、抵抗器、トランジスタ、コンデンサ、インダクタ、ダイオード、およびスイッチを含むが、これらに限定されない。従来のセンサ制御デバイスは、通常、PCBの一方の側のみにPCB構成要素を積み重ねる。対照的に、センサ制御デバイス3702内のPCB構成要素3806は、PCB3804の両側(すなわち、上面および底面)の表面積の周りに分散されてもよい。
【0080】
電子モジュール3806に加えて、PCBA3802は、PCB3804に取り付けられたデータ処理ユニット3808も含んでよい。データ処理ユニット3808は、例えば、センサ制御デバイス3702の動作に関連付けられた1つ以上の機能またはルーチンを実装するように構成された特定用途向け集積回路(ASIC)を備えてもよい。より具体的には、データ処理ユニット3808は、データ処理機能を実行するように構成されてもよく、そのような機能は、各々がサンプリングされたユーザの分析物レベルに対応するデータ信号のフィルタリングおよび符号化を含んでもよいが、これらに限定されない。データ処理ユニット3808はまた、リーダデバイス106(図1A)と通信するためのアンテナを含んでもよく、または別の方法でそれと通信してもよい。
【0081】
バッテリ用開口3810は、PCB3804内に画定され、センサ制御デバイス3702に電力を供給するように構成されたバッテリ3812を受け入れて据え付けるようなサイズであってもよい。軸線方向のバッテリコンタクト3814aおよび半径方向のバッテリコンタクト3814bは、PCB3804に結合され、バッテリ用開口3810内に延びて、バッテリ3812からPCB3804への電力の伝送を容易にすることができる。それらの名前が示唆するように、軸線方向のバッテリコンタクト3814aは、バッテリ3812のための軸線方向のコンタクトを提供するように構成されてもよく、一方、半径方向のバッテリコンタクト3814bは、バッテリ3812のための半径方向のコンタクトを提供してもよい。バッテリコンタクト3814a、bを有するバッテリ用開口3810内にバッテリ3812を配置することは、センサ制御デバイス3702の高さHを減少させるのに役立ち、これは、PCB3804が中央に配置され、その構成要素が両側(すなわち、上面および底面)に分散されることを可能にする。これはまた、電子機器ハウジング3704上に設けられた面取り部3718を容易にするのに役立つ。
【0082】
センサ3716は、PCB3804に対して中心に配置されてもよく、尾部3816と、フラグ3818と、尾部3816およびフラグ3818を相互接続するネック3820とを含んでもよい。尾部3816は、マウント3708の中心開口3720を通って延在し、ユーザの皮膚の下に経皮的に受容されるように構成されてもよい。さらに、尾部3816は、分析物モニタリングを容易にするのに役立つように、その上に含まれる酵素または他の化学物質を有してもよい。
【0083】
フラグ3818は、その上に配置された1つ以上のセンサコンタクト3822(図7Bには3つが示されている)を有するほぼ平坦な表面を含んでもよい。センサコンタクト3822は、PCB3804上に設けられた対応する1つ以上の回路コンタクト3824(図7Aには3つが示されている)と整列して係合するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、センサコンタクト3822は、フラグ3818に印刷されるか、または他の方法でデジタル的に適用された炭素含浸ポリマーを含んでもよい。従来のセンサ制御デバイスは、典型的には、センサとPCBとの間の導電性コンタクトとして機能する1つ以上のコンプライアント炭素含浸ポリマーモジュールを封入するシリコーンゴム製のコネクタを含む。対照的に、本開示のセンサコンタクト3822は、センサ3716とPCB3804接続との間の直接接続を提供し、これは、従来技術のコネクタの必要性を排除し、有利に高さHを減少させる。さらに、コンプライアント炭素含浸ポリマーモジュールを排除することにより、著しい回路抵抗が排除され、したがって、回路導電率が改善される。
【0084】
センサ制御デバイス3702は、フラグ3818とシェル3706の内面との間に配置され得るコンプライアント部材3826をさらに含んでもよい。より具体的には、シェル3706およびマウント3708が互いに組み立てられるとき、コンプライアント部材3826は、センサコンタクト3822を対応する回路コンタクト3824と連続的に係合させる受動的付勢負荷をフラグ3818に対して提供するように構成されてもよい。図示される実施形態では、コンプライアント部材3826は、エラストマー製Oリングであるが、代替として、本開示の範囲から逸脱することなく、圧縮ばね等の任意の他のタイプの付勢デバイスまたは機構を備えることができる。
【0085】
センサ制御デバイス3702は、第1のシールド3828aおよび第2のシールドとして示されている1つ以上の電磁シールドをさらに含んでもよい。シェル3706は、第1のクロッキングレセプタクル3830a(図7B)および第2のクロッキングレセプタクル3830b(図7B)を提供または画定してもよく、マウント3708は、第1のクロッキングポスト3832a(図7A)および第2のクロッキングポスト3832b(図7A)を提供または画定してもよい。第1および第2のクロッキングレセプタクル3830a、bを第1および第2のクロッキングポスト3832a、bとそれぞれ嵌合させることにより、シェル3706がマウント3708に適切に位置合わせされる。
【0086】
特に図7Aを参照すると、マウント3708の内面は、シェル3706がマウント3708に嵌合されたときに、センサ制御デバイス3702の様々な構成要素を収容するように構成された複数のポケットまたは凹部を提供または画定してもよい。例えば、マウント3708の内面は、センサ制御デバイス3702が組み立てられたときにバッテリ3812の一部を収容するように構成されたバッテリロケータ3834を画定してもよい。隣接するコンタクトポケット3836は、軸線方向のコンタクト3814aの一部を収容するように構成されてもよい。
【0087】
さらに、PCB3804の底部に配置された様々な電子モジュール3806を収容するために、マウント3708の内面に複数のモジュールポケット3838が画定されてもよい。さらに、センサ制御デバイス3702が組み立てられるときに第2のシールド3828bの少なくとも一部を収容するために、シールドロケータ3840がマウント3708の内面に画定されてもよい。バッテリロケータ3834、コンタクトポケット3836、モジュールポケット3838、およびシールドロケータ3840はすべて、マウント3708の内面内に短い距離だけ延在し、その結果、センサ制御デバイス3702の全体の高さHは、従来のセンサ制御デバイスと比較して減少され得る。モジュールポケット3838はまた、PCB構成要素が両側(すなわち、上面および底面)に配置されることを可能にすることによって、PCB3804の直径を最小限にするのに役立ち得る。
【0088】
さらに図7Aを参照すると、マウント3708は、マウント3708の外周の周りに画定された複数のキャリアグリップ部分3842(2つが示されている)をさらに含んでもよい。キャリアグリップ部分3842は、マウント3708の底部3844から軸線方向にオフセットされており、組み立て中にマウントの底部に転写接着剤(図示せず)を塗布することができる。マウントの底部と交差する円錐形キャリアグリップ部分を通常含む従来のセンサ制御デバイスとは対照的に、本開示のキャリアグリップ部分3842は、転写接着剤が塗布される平面(すなわち、底部3844)からオフセットされる。これは、組み立て中に送達システムが転写接着剤に不注意に張り付かないことを確実にするのを助けることにおいて有利であることが分かる。さらに、本開示のキャリアグリップ部分3842は、波形の転写接着剤の必要性を排除し、これは、転写接着剤の製造を単純化するとともに、マウント3708に対して転写接着剤を正確にクロックする必要性を排除する。これはまた、接合面積、したがって接合強度を増加させる。
【0089】
図7Bを参照すると、マウント3708の底部3844は、複数の溝3846を提供または別の方法で画定してもよく、それらは、マウント3708の外周にまたはその近傍に画定され、互いから等距離に離間されてもよい。転写接着剤(図示せず)が底部3844に結合されてもよく、溝3846は、使用中にセンサ制御デバイス3702から離れてマウント3708の周囲に向かって水分を運ぶ(移動させる)のを助けるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、溝3846の間隔は、マウント3708の反対側(内面)に画定されたモジュールポケット3838(図7A)を間に挟んでもよい。理解されるように、溝3846およびモジュールポケット3838の位置を交互にすることは、マウント3708のどちらかの側の対向する特徴が互いの中に延在しないことを確実にする。これは、マウント3708への材料の使用を最大化することに役立ち、それによって、センサ制御デバイス3702の最小の高さHを維持することに役立ち得る。モジュールポケット3838はまた、モールドシンクを著しく低減し、転写接着剤が接合する底部3844の平坦度を改善することができる。
【0090】
さらに図7Bを参照すると、シェル3706の内面もまた、シェル3706がマウント3708に嵌合されたときに、センサ制御デバイス3702の様々な構成要素を収容するように構成された複数のポケットまたは凹部を提供または画定してもよい。例えば、シェル3706の内面は、マウント3708のバッテリロケータ3834(図7A)に対向して配置可能であり、センサ制御装置3702が組み立てられたときにバッテリ3812の一部を収容するように構成された対向するバッテリロケータ3848を画定してもよい。対向するバッテリロケータ3848は、シェル3706の内面内に短い距離だけ延在し、センサ制御デバイス3702の全体の高さHを減少させるのに役立つ。
【0091】
鋭利物およびセンサロケータ3852はまた、シェル3706の内面によって提供されてもよく、またはそうでなければその上に画定されてもよい。鋭利物およびセンサのロケータ3852は、鋭利物(図示せず)とセンサ3716の一部との両方を受容するように構成されてもよい。さらに、鋭利物およびセンサのロケータ3852は、マウント3708の内面上に設けられた対応する鋭利物およびセンサのロケータ2054(図7A)と整列および/または嵌合するように構成されてもよい。
【0092】
本開示の実施形態によれば、代替のセンサアセンブリ/電子機器アセンブリ接続手法が図8A図8Cに示されている。示されるように、センサアセンブリ14702は、センサ14704と、コネクタ支持体14706と、鋭利物14708とを含む。特に、凹部またはレセプタクル14710は、電子機器アセンブリ14712のマウントの底部に画定されてもよく、センサアセンブリ14702が受容されて電子機器アセンブリ14712に結合され得る場所を提供し、それによってセンサ制御デバイスを完全に組み立てることができる。センサアセンブリ14702の外形は、レセプタクル14710に対して相補的に適合または成形されてもよく、それは、エラストマー製封止部材14714(回路基板に結合され、センサ14704の電気コンタクトと整列される導電性材料を含む)を含む。したがって、センサアセンブリ14702を電子機器アセンブリ14712内に一体的に形成された凹部14710内に駆動することによって、センサアセンブリ14702が電子機器アセンブリ14712にスナップ嵌めされるかまたは他の方法で接着されると、図8Cに示すオンボディデバイス14714が形成される。この実施形態は、電子機器アセンブリ14712内のセンサアセンブリ14702のための統合コネクタを提供する。
【0093】
センサアセンブリに関するさらなる情報は、米国特許出願公開第2013/0150691号明細書および米国特許出願公開第2021/0204841号明細書に提供されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0094】
本開示の実施形態によれば、センサ制御デバイス102は、ワンピースアーキテクチャセンサ制御デバイスのために特別に設計された滅菌技術を受けることができるワンピースアーキテクチャを提供するように修正され得る。ワンピースアーキテクチャは、センサアプリケータ150およびセンサ制御デバイス102が、いかなる最終ユーザ組立ステップも必要としない単一の密閉パッケージでユーザに出荷されることを可能にする。むしろ、ユーザは、1つのパッケージを開封し、その後、センサ制御デバイス102を標的モニタリング場所に送達することのみを必要とする。本明細書で説明されるワンピースシステムアーキテクチャは、構成部品、様々な製作プロセスステップ、およびユーザ組立ステップを排除する点で有利であることが証明され得る。結果として、包装および廃棄物が減少するとともに、ユーザエラーまたはシステムへの汚染の可能性が軽減される。
【0095】
図9Aおよび図9Bは、アプリケータキャップ210が結合されたセンサアプリケータ102の例示的な実施形態の、それぞれ側面図および断面側面図である。より具体的には、図9Aは、センサアプリケータ102がどのようにユーザに出荷され、どのようにユーザによって受け取られるかを示し、図9Bは、センサアプリケータ102内に配置されたセンサ制御デバイス4402を示す。したがって、完全に組み立てられたセンサ制御デバイス4402は、ユーザに送達される前に、すでに組み立てられ、センサアプリケータ102内に設置されてもよく、したがって、そうでなければユーザが実行しなければならないであろう任意の追加の組み立てステップを除去する。
【0096】
完全に組み立てられたセンサ制御デバイス4402は、センサアプリケータ102内に装填されてもよく、アプリケータキャップ210は、その後、センサアプリケータ102に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、アプリケータキャップ210は、ハウジング208に螺合されてもよく、タンパーリング4702を含んでもよい。アプリケータキャップ210をハウジング208に対して回転させる(例えば、ねじを緩める)と、タンパーリング4702はせん断し、それによってアプリケータキャップ210をセンサアプリケータ102から解放することができる。
【0097】
本開示によれば、センサアプリケータ102内に装填されている間、センサ制御デバイス4402は、電子機器ハウジング4404およびセンサ制御デバイス4402の任意の他の露出部分を滅菌するように構成された気体化学滅菌4704を受けてもよい。これを達成するために、化学物質が、センサアプリケータ102および相互接続されたキャップ210によって協働して画定される滅菌チャンバ4706内に注入されてもよい。いくつかの用途では、化学物質は、アプリケータキャップ210の近位端610に画定された1つ以上の通気孔4708を介して滅菌チャンバ4706内に注入されてもよい。気体化学滅菌4704のために使用され得る例示的な化学物質は、エチレンオキシド、気化過酸化水素、窒素酸化物(例えば、亜酸化窒素、二酸化窒素等)、および蒸気を含むが、それらに限定されない。
【0098】
センサ4410および鋭利物4412の遠位部分は、センサキャップ4416内に密閉されるので、気体化学滅菌プロセス中に使用される化学物質は、尾部4524および分析物流入を調節する膜コーティング等の他のセンサ構成要素上に提供される酵素、化学物質、および生物製剤と相互作用しない。
【0099】
滅菌チャンバ4706内で所望の滅菌保証レベルが達成されると、気体溶液が除去されてもよく、滅菌チャンバ4706が通気されてもよい。通気は、一連の真空引き、続いて滅菌チャンバ4706を通してガス(例えば、窒素)または濾過空気を循環させることによって達成されてもよい。滅菌チャンバ4706が適切に通気されると、通気口4708は、シール4712(破線で示される)で閉塞されてもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、シール4712は、互いに異なる材料の2つ以上の層を備えてもよい。第1の層は、DuPont(登録商標)から入手可能なTyvek(登録商標)等の合成材料(例えば、フラッシュ紡糸高密度ポリエチレン繊維)から作製されてもよい。Tyvek(登録商標)は、高度に耐久性および耐穿刺性であり、蒸気の透過を可能にする。Tyvek(登録商標)層は、気体化学滅菌プロセスの前に適用されてもよく、気体化学滅菌プロセスに続いて、ホイルまたは他の蒸気および耐湿性材料層が、滅菌チャンバ4706の中への汚染物質および湿気の進入を防止するために、Tyvek(登録商標)層を覆ってシール(例えば、ヒートシール)されてもよい。他の実施形態では、シール4712は、アプリケータキャップ210に適用される単一の保護層のみを備えてもよい。そのような実施形態では、単一層は、滅菌プロセスのためにガス透過性であってもよいが、滅菌プロセスが完了すると、湿気および他の有害要素から保護することも可能であってもよい。
【0101】
シール4712が定位置にある状態で、アプリケータキャップ210は、外部汚染に対する障壁を提供し、それによって、ユーザがアプリケータキャップ210を取り外す(螺合解除)まで、組み立てられたセンサ制御デバイス4402のための滅菌環境を維持する。アプリケータキャップ210はまた、接着パッチ4714が汚れることを防止する、輸送および保管中の無塵環境を生成してもよい。
【0102】
図10Aおよび図10Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、別の例示的なセンサ制御デバイス5002の、それぞれ等角図および側面図である。センサ制御デバイス5002は、図1Aのセンサ制御デバイス102といくつかの点で類似していてもよく、したがって、図1Aを参照することによって最もよく理解することができる。さらに、センサ制御デバイス5002は、図1Aのセンサ制御デバイス102を置き換えることができ、したがって、センサ制御デバイス5002をユーザの皮膚上の標的モニタリング位置に送達することができる図1Aのセンサアプリケータ102と共に使用してもよい。
【0103】
しかしながら、図1Aのセンサ制御デバイス102とは異なり、センサ制御デバイス5002は、適用前にユーザが複数のパッケージを開いて最終的にセンサ制御デバイス5002を組み立てることを必要としないワンピースシステムアーキテクチャを備えることができる。むしろ、ユーザによって受け取られると、センサ制御デバイス5002は、すでに完全に組み立てられており、センサアプリケータ150(図1A)内に適切に位置付けられてもよい。センサ制御デバイス5002を使用するために、ユーザは、使用のための標的モニタリング場所にセンサ制御デバイス5002を迅速に送達する前に、1つの障壁(例えば、図3Bのアプリケータキャップ708)を開放することのみを必要とする。
【0104】
図示されるように、センサ制御デバイス5002は、おおむねディスク形状であり、円形断面を有し得る電子機器ハウジング5004を含む。しかしながら、他の実施形態では、電子機器ハウジング5004は、本開示の範囲から逸脱することなく、卵形または多角形等の他の断面形状を呈してもよい。電子機器ハウジング5004は、センサ制御デバイス5002を動作させるために使用される様々な電気構成要素を収容するか、または別の方法で含有するように構成されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、接着パッチ(図示せず)が、電子機器ハウジング5004の底部に配置されてもよい。接着パッチは、図1Aの接着パッチ105と同様であってもよく、したがって、使用のためにセンサ制御デバイス5002をユーザの皮膚に接着することを助けてもよい。
【0105】
図示されるように、センサ制御デバイス5002は、シェル5006と、シェル5006に嵌合可能なマウント5008とを含む電子機器ハウジング5004を含む。シェル5006は、スナップ嵌め係合、締まり嵌め、ソニック溶接、1つ以上の機械的締結具(例えば、ねじ)、ガスケット、接着剤、またはそれらの任意の組み合わせ等の様々な方法を介して、マウント5008に固定されてもよい。場合によっては、シェル5006はマウント5008に固定されることにより、それらの間に密閉された接合部分が生成されてもよい。
【0106】
センサ制御デバイス5002は、センサ5010(部分的に可視)と、センサ制御デバイス5002の適用中にユーザの皮膚の下にセンサ5010を経皮的に送達するのを助けるために使用される鋭利物5012(部分的に可視)とをさらに含んでもよい。図示されるように、センサ5010および鋭利物5012の対応する部分は、電子機器ハウジング5004の底部(例えば、マウント5008)から遠位に延在する。鋭利物5012は、鋭利物5012を固定および担持するように構成される、鋭利物ハブ5014を含んでもよい。図10Bに最もよく見られるように、鋭利物ハブ5014は、嵌合部材5016を含むか、または別の方法で画定してもよい。鋭利物5012をセンサ制御デバイス5002に結合するために、鋭利物5012は、鋭利物ハブ5014がシェル5006の上面に係合し、嵌合部材5016がマウント5008の底部から遠位に延在するまで、電子機器ハウジング5004を通して軸線方向に前進させられてもよい。鋭利物5012が電子機器ハウジング5004を貫通すると、センサ5010の露出部分は、鋭利物5012の中空または陥凹(弓状)部分内に受容されてもよい。センサ5010の残りの部分は、電子機器ハウジング5004の内部に配置される。
【0107】
センサ制御デバイス5002は、図10A図10Bにおいて電子機器ハウジング5004から分解されてまたは取り外されて示されているセンサキャップ5018をさらに含んでもよい。センサキャップ5016は、マウント5008の底部またはその近くでセンサ制御デバイス5002(例えば、電子機器ハウジング5004)に取り外し可能に結合されてもよい。センサキャップ5018は、センサ5010および鋭利物5012の露出部分を取り囲み、気体化学滅菌から保護する、密閉障壁を提供するのに役立ち得る。図示されるように、センサキャップ5018は、第1の端部5020aと、第1の端部5020aの反対側の第2の端部5020bとを有する略円筒形のボディを備えてもよい。第1の端部5020aは、ボディ内に画定された内側チャンバ5022内へのアクセスを提供するように開いていてもよい。対照的に、第2の端部5020bは、閉鎖されてもよく、係合部分5024を提供または別の方法で画定してもよい。本明細書で説明するように、係合部分5024は、センサキャップ5018をセンサアプリケータ(例えば、図1Aおよび図3A図3Gのセンサアプリケータ150)のキャップ(例えば、図3Bのアプリケータキャップ708)に嵌合させるのに役立ち得るとともに、キャップをセンサアプリケータから取り外す際にセンサキャップ5018をセンサ制御デバイス5002から取り外すのに役立ちうる。
【0108】
センサキャップ5018は、マウント5008の底部またはその近くで電子機器ハウジング5004に取り外し可能に結合されてもよい。より具体的には、センサキャップ5018は、マウント5008の底部から遠位に延在する嵌合部材5016に取り外し可能に結合されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、例えば、嵌合部材5016は、センサキャップ5018によって画定される一組の雌ねじ山5026b(図10A)と嵌合可能な一組の雄ねじ山5026a(図10B)を画定してもよい。いくつかの実施形態では、雄ねじ山および雌ねじ山5026a、bは、部品を成形する際に有利であることを証明し得る、平坦なねじ山設計(例えば、螺旋曲率の欠如)を備えてもよい。あるいは、雄ねじ山および雌ねじ山5026a、bは、螺旋状のねじ山係合を含んでもよい。したがって、センサキャップ5018は、鋭利物ハブ5014の嵌合部材5016においてセンサ制御デバイス5002に螺合されてもよい。他の実施形態では、センサキャップ5018は、締まり嵌めもしくは摩擦嵌め、また最小の分離力(例えば、軸線方向もししくは回転の力)で破壊され得る脆弱部材もしくは物質を含むがこれらに限定されない他のタイプの係合を介して嵌合部材5016に取り外し可能に結合されてもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、センサキャップ5018は、第1および第2の端部5020a、bの間に延在するモノリシック(単一)構造を備えてもよい。しかしながら、他の実施形態では、センサキャップ5018は、2つ以上の構成部品を備えてもよい。図示の実施形態では、例えば、センサキャップ5018は、第1の端部5020aに位置決めされた封止リング5028と、第2の端部5020bに配置された乾燥剤キャップ5030とを含んでもよい。封止リング5028は、以下でより詳細に説明するように、内部チャンバ5022を密閉するのに役立つように構成されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、封止リング5028は、エラストマー製Oリングを含んでもよい。乾燥剤キャップ5030は、内部チャンバ5022内の好ましい湿度レベルを維持するのに役立つように乾燥剤を収容するか、または含むことができる。乾燥剤キャップ5030はまた、センサキャップ5018の係合部分5024を画定または別の方法で提供してもよい。
【0110】
図11A図11Cは、1つ以上の実施形態による、センサアプリケータ102とセンサ制御デバイス5002との組立てを示す漸進的な断面側面図である。センサ制御デバイス5002が完全に組み立てられると、センサ制御デバイスはセンサアプリケータ102内に装填されてもよい。図11Aを参照すると、鋭利物ハブ5014は、センサ制御デバイス5002をセンサアプリケータ102に結合するのに役立つように構成されたハブスナップ爪5302を含むか、または他の方法で画定してもよい。より具体的には、センサ制御デバイス5002は、センサアプリケータ102の内部に前進させられてもよく、ハブスナップ爪5302は、センサアプリケータ102内に位置付けられた鋭利物キャリア5306の対応するアーム5304によって受容されてもよい。
【0111】
図11Bでは、鋭利物キャリア5306によって受容され、したがって、センサアプリケータ102内に固定されたセンサ制御デバイス5002が示される。センサ制御デバイス5002がセンサアプリケータ102内に装填されると、アプリケータキャップ210は、センサアプリケータ102に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、アプリケータキャップ210およびハウジング208は、アプリケータキャップ210をハウジング208上に時計回り(または反時計回り)方向にねじ込み、それによって、アプリケータキャップ210をセンサアプリケータ102に固定することを可能にする、対向する嵌合可能な一組のねじ山5308を有してもよい。
【0112】
図示されるように、シース212はまた、センサアプリケータ102内に位置付けられ、センサアプリケータ102は、シース212が衝撃事象中に早まって折り畳まれないことを確実にするように構成される、シースロック機構5310を含んでもよい。図示される実施形態では、シースロック機構5310は、アプリケータキャップ210とシース212との間の螺合を含んでもよい。より具体的には、1つ以上の雌ねじ山5312aは、アプリケータキャップ210の内面上に画定されるか、または別の方法で提供されてもよく、1つ以上の雄ねじ山5312bは、シース212上に画定されるか、または別の方法で提供されてもよい。雌ねじ山5312aおよび雄ねじ山5312bは、アプリケータキャップ210がねじ山5308においてセンサアプリケータ102に螺合されるときに螺合するように構成され得る。雌ねじ山5312aおよび雄ねじ山5312bは、アプリケータキャップ210がハウジング208にねじ込まれることを可能にするねじ山5308と同じねじ山ピッチを有してもよい。
【0113】
図11Cでは、ハウジング208に完全に螺合された(結合された)アプリケータキャップ210が示される。図示されるように、アプリケータキャップ210はさらに、アプリケータキャップ210の内部の中心に位置し、その底部から近位に延在するキャップポスト5314を提供し、別の方法で画定してもよい。キャップポスト5314は、アプリケータキャップ210がハウジング208上にねじ込まれるときに、センサキャップ5018の少なくとも一部分を受容するように構成されてもよい。
【0114】
センサ制御デバイス5002がセンサアプリケータ102内に装填され、アプリケータキャップ210が適切に固定された状態で、センサ制御デバイス5002は、次いで、電子機器ハウジング5004およびセンサ制御デバイス5002の任意の他の露出部分を滅菌するように構成される、気体化学滅菌に供されてもよい。センサ5010および鋭利物5012の遠位部分は、センサキャップ5018内に密閉されるので、気体化学滅菌プロセス中に使用される化学物質は、尾部5104および分析物流入を調節する膜コーティング等の他のセンサ構成要素上に提供される酵素、化学物質、および生物製剤と相互作用できない。
【0115】
図12A図12Cは、1つ以上の追加の実施形態による、センサ制御デバイス5002を有するセンサアプリケータ102の代替的な実施形態の組立ておよび分解を示す漸進的な断面側面図である。完全に組み立てられたセンサ制御デバイス5002は、全般的に上述したように、ハブスナップ爪5302をセンサアプリケータ102内に位置づけられた鋭利物キャリア5306のアーム5304に結合することによって、センサアプリケータ102内に装填されてもよい。
【0116】
図示される実施形態では、シース212のシースアーム5604は、ハウジング208の内部に画定される第1の戻り止め5702aおよび第2の戻り止め5702bと相互作用するように構成されてもよい。第1の戻り止め5702aは、代わりに、「ロック」戻り止めと称されてもよく、第2の戻り止め5702bは、代わりに、「発射」戻り止めと称されてもよい。センサ制御デバイス5002が最初にセンサアプリケータ102内に設置されるとき、シースアーム5604は、第1の戻り止め5702a内に受容されてもよい。以下に説明するように、シース212は、シースアーム5604を第2の戻り止め5702bに移動させるように作動されてもよく、これによりセンサアプリケータ102が発射位置に配置される。
【0117】
図12Bでは、アプリケータキャップ210は、シース212がアプリケータキャップ210内に受容されるように、ハウジング208と位置合わせされ、ハウジング208に向かって前進させられる。アプリケータキャップ210をハウジング208に対して回転させる代わりに、アプリケータキャップ210のねじ山をハウジング208の対応するねじ山にスナップ留めして、アプリケータキャップ210をハウジング208に結合してもよい。アプリケータキャップ210内に画定された軸線方向の切れ目またはスロット5703(1つが示されている)は、アプリケータキャップ210のねじ山の近くの部分が外向きに撓んでハウジング208のねじ山とスナップ係合することを可能にし得る。アプリケータキャップ210がハウジング208にスナップ留めされると、センサキャップ5018は、それに対応してキャップポスト5314内にスナップ留めされ得る。
【0118】
図11A図11Cの実施形態と同様に、センサアプリケータ102は、シース212が衝撃事象中に早まって折り畳まれないことを確実にするように構成されたシースロック機構を含んでもよい。図示された実施形態では、シースロック機構は、アプリケータキャップ210のベースの近くに画定される1つ以上のリブ5706(2つが示される)および肩部5708と相互作用するように構成される、シース212のベース近くに確定される1つ以上のリブ5704(1つが示される)を含む。リブ5704は、アプリケータキャップ210をハウジング208に取り付けている間、リブ5706と肩部5708との間で相互ロックするように構成されてもよい。より具体的には、いったんアプリケータキャップ210がハウジング208上にスナップ留めされると、アプリケータキャップ210は、回転させられてもよく(例えば、時計回りに)、それは、シース212のリブ5704をアプリケータキャップ210のリブ5706と肩部5708との間に位置付け、それによって、ユーザがアプリケータキャップ210を逆回転させることで使用のためにアプリケータキャップ210を取り外すまで、アプリケータキャップ210を定位置に「ロック」する。アプリケータキャップ210のリブ5706と肩部5708との間のリブ5704の係合はまた、シース212が早まって折り畳まれることを防止し得る。
【0119】
図12Cでは、アプリケータキャップ210がハウジング208から取り外されている。図12A図12Cの実施形態と同様に、アプリケータキャップ210は、アプリケータキャップ210を逆回転させることによって取り外すことができ、これに対応して、キャップポスト5314を同じ方向に回転させ、概して上述したように、センサキャップ5018を嵌合部材5016から螺合解除する。さらに、センサキャップ5018をセンサ制御デバイス5002から取り外すと、センサ5010および鋭利物5012の遠位部分が露出する。
【0120】
アプリケータキャップ210がハウジング208から螺合解除されるとき、シース212上に画定されたリブ5704は、アプリケータキャップ210上に画定されたリブ5706の上部に摺動係合し得る。リブ5706の上部は、アプリケータキャップ210が回転されるにつれて、シース212の上方移動をもたらす、対応する傾斜表面を提供してもよく、シース212を上方に移動させることにより、シースアーム5604が第1の戻り止め5702aとの係合から外れて屈曲し、第2の戻り止め5702b内に受容される。シース212が第2の戻り止め5702bに移動すると、半径方向肩部5614が移動してキャリアアーム5608との半径方向係合から外れ、これにより、ばね5612の受動的なばね力が鋭利物キャリア5306を上方に押し上げ、キャリアアーム5608を溝5610との係合から外すことが可能になる。鋭利物キャリア5306がハウジング208内で上方に移動すると、嵌合部材5016は、センサ制御デバイス5002の底部と同一平面、実質的に同一平面、または準同一平面になるまで、対応して後退してもよい。この時点で、センサアプリケータ102は発射位置にある。したがって、この実施形態では、アプリケータキャップ210を取り外すと、それに対応して嵌合部材5016が後退する。
【0121】
I.ワンピースおよびツーピースのアプリケータの例示的な発射機構
図13A~13Fは、アプリケータ216を「発射」してセンサ制御デバイス222をユーザに適用し、鋭利物1030を使用済みアプリケータ216内に安全に後退させることを含む、内部デバイス機構の実施形態の例示的な詳細を示す。全部合わせて、これらの図面は、鋭利物1030(センサ制御デバイス222に結合されるセンサを支持する)をユーザの皮膚の中に駆動するステップと、センサをユーザの間質液と動作して接触させたまま鋭利物を引き抜くステップと、センサ制御デバイスを接着剤によってユーザの皮膚に接着させるステップとの例示的シーケンスを表す。代替的なアプリケータアセンブリの実施形態および構成要素とともに使用するためのそのようなアクティビティの修正を、それを参照して、当業者が理解できる。さらに、アプリケータ216は、本明細書に開示されるようなワンピースアーキテクチャまたはツーピースアーキテクチャを有するセンサアプリケータであってもよい。
【0122】
ここで図13Aを参照すると、センサ1102は、鋭利物1030内で、ユーザの皮膚1104のすぐ上に支持される。シース318に対するアプリケータ216の動きを制御するために、上側ガイド部1108のレール1106(任意選択で、そのうちの3つ)が設けられてもよい。シース318は、アプリケータ216の長手方向軸線に沿った適切な下向きの力が、戻り止め部分1110によって提供される抵抗に打ち勝つようにアプリケータ216内の戻り止め部分1110によって保持されるので、鋭利物1030およびセンサ制御デバイス222は、長手方向軸線に沿ってユーザの皮膚1104の中へ(および上へ)平行移動できる。加えて、センサキャリア1022のキャッチアーム1112は、鋭利部分後退アセンブリ1024に係合して、鋭利部分1030をセンサ制御デバイス222に対する位置に維持する。
【0123】
図13Bでは、ユーザの力が加えられて戻り止め部分1110に打ち勝ちまたは無効にし、シース318がハウジング314内に折り畳まれて、センサ制御デバイス222を(関連する部品とともに)駆動することで、矢印Lによって示されるように長手方向軸に沿って下方に平行移動させる。シース318の上部ガイドセクション1108の内径は、センサ/鋭利物挿入プロセスの全ストロークを通してキャリアアーム1112の位置を制約する。鋭利物後退アセンブリ1024の相補的な面1116に対するキャリアアーム1112の停止表面1114の保持は、戻しばね1118が完全に付勢された状態で部材の位置を維持する。実施形態によれば、矢印Lによって示されるように長手方向軸に沿って下方に平行移動するように、ユーザの力を使用してセンサ制御デバイス222を駆動するのではなく、ハウジング314は、センサ制御デバイス222を駆動するために駆動ばね(例えば、限定ではないが、コイルばね)を作動させるボタン(例えば、限定ではないが、押しボタン)を含んでもよい。
【0124】
図13Cでは、センサ1102および鋭利物1030は、完全挿入深さに到達している。その際、キャリアアーム1112は上部ガイド部1108の内径をクリアする。次いで、コイル戻しばね1118の圧縮された力は、角度付き停止表面1114を半径方向外向きに駆動し、力を解放することで鋭利物後退アセンブリ1024の鋭利物キャリア1102を駆動し、図13Dの矢印Rによって示されるように、(スロット付きまたは別の方法で構成された)鋭利物1030をユーザから外へ、センサ1102から引き離す。
【0125】
図13Eに示されるように、鋭利物1030が完全に後退させられると、シース318の上部ガイド部1108は、最終ロック部分1120とともに設定される。図13Fに示されるように、使用済みアプリケータアセンブリ216は、センサ制御デバイス222を残して挿入部位から除去され、鋭利物1030は、アプリケータアセンブリ216の内側に安全に固定される。使用済みアプリケータアセンブリ216は、このとき処分の準備ができている。
【0126】
センサ制御デバイス222を適用するときのアプリケータ216の動作は、鋭利物1030の挿入および後退の両方がアプリケータ216の内部機構によって自動的に行われるという感覚をユーザに提供するように設計される。換言すれば、本発明は、ユーザが、鋭利物1030を手動で皮膚に駆動しているという感覚を経験することを回避する。したがって、ユーザがアプリケータ216の戻り止め部分からの抵抗に打ち勝つのに十分な力を加えると、結果として生じるアプリケータ216の動作は、アプリケータが「トリガ」されることに対する自動応答であると認識される。ユーザは、全ての駆動力がユーザによって提供され、鋭利物1030を挿入するために追加の付勢/駆動手段が使用されないにもかかわらず、鋭利物1030を駆動して皮膚を穿刺するためにユーザが追加の力を供給していることを知覚しない。図13Cにおいて上で詳述したように、鋭利物1030の後退は、アプリケータ216のコイル戻しばね1118によって自動化される。
【0127】
本明細書に説明されるアプリケータの実施形態のいずれか、ならびに鋭利物、鋭利物モジュール、およびセンサモジュールの実施形態を含むが、それらに限定されないその構成要素のいずれかに関して、当業者は、前記実施形態が、対象の表皮、真皮、または皮下組織内の体液中の分析物レベルを感知するように構成されるセンサとともに使用するために定寸および構成されてもよいことを理解するであろう。いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に開示される分析物センサの鋭利物および遠位部分は、両方とも、特定の端部深さ(すなわち、対象の身体の組織または層内、例えば、表皮、真皮、または皮下組織内の貫通の最も遠い点)に位置付けられるように定寸および構成されてもよい。いくつかのアプリケータの実施形態に関して、当業者は、鋭利物のある実施形態が、分析物センサの最終端部深さに対して、対象の身体内の異なる端部深さに位置付けられるように定寸および構成されてもよいことを理解するであろう。いくつかの実施形態では、例えば、鋭利物は、後退の前に、対象の表皮内の第1の端部深さに位置付けられてもよく、分析物センサの遠位部分は、対象の真皮内の第2の端部深さに位置付けられてもよい。他の実施形態では、鋭利物は、後退の前に、対象の真皮内の第1の端部深さに位置付けられてもよく、分析物センサの遠位部分は、対象の皮下組織内の第2の端部深さに位置付けられてもよい。さらに他の実施形態では、後退前に鋭利物を第1の端部深さに位置付けてもよく、分析物センサを第2の端部深さに位置付けてもよく、第1の端部深さおよび第2の端部深さは両方とも、対象の身体の同じ層または組織にある。
【0128】
加えて、本明細書に説明されるアプリケータの実施形態のいずれかに関して、当業者は、分析物センサ、ならびに1つ以上のばね機構を含むがそれに限定されない、分析物センサに結合される1つ以上の構造構成要素が、アプリケータの1つ以上の軸線に対して中心から外れた位置でアプリケータ内に位置づけられてもよいことを理解するであろう。いくつかのアプリケータの実施形態では、例えば、分析物センサおよびばね機構は、アプリケータの第1の側面上のアプリケータの軸線に対して第1の中心から外れた位置に配置されてもよく、センサ電子機器は、アプリケータの第2の側面上のアプリケータの軸線に対して第2の中心から外れた位置に配置されてもよい。他のアプリケータの実施形態では、分析物センサ、ばね機構、およびセンサ電子機器は、同じ側のアプリケータの軸線に対して中心から外れた位置に配置されてもよい。当業者は、分析物センサ、ばね機構、センサ電子機器、およびアプリケータの他の構成要素のうちのいずれかまたは全てが、アプリケータの1つ以上の軸線に対して中心または中心から外れた位置に配置される、他の順列および構成が可能であり、完全に本開示の範囲内であることを理解するであろう。
【0129】
適切なデバイス、システム、方法、構成要素、および関連する部分とのそれらの動作のさらなる詳細は、Raoらの国際公開第WO2018/136898号、Thomasらの国際公開第WO2019/236850号、Thomasらの国際公開第WO2019/236859号、Thomasらの国際公開第WO2019/236876号、および2019年6月6日に出願された米国特許出願公開第2020/0196919号明細書に記載されており、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に援用される。アプリケータ、それらの構成要素、およびそれらの変形例の実施形態に関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2013/0150691号明細書、同第2016/0331283号明細書、および同第2018/0235520号明細書に記載されており、これらの各々は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。鋭利物モジュール、鋭利物、それらの構成要素、およびそれらの変形例の実施形態に関するさらなる詳細は、米国特許出願公開第2014/0171771号明細書に説明されており、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0130】
J.分析物センサを較正する例示的な方法
生化学センサは、1つ以上の感知特性によって説明することができる。一般的な感知特性は、生化学センサの感度と呼ばれ、これは、センサが検出するように設計された化学物質または組成物の濃度に対するセンサの応答性の尺度である。電気化学センサの場合、この応答は、電流(電流測定)または電荷(電量測定)の形態であり得る。他のタイプのセンサでは、応答は、光子強度(例えば、光学光)等の異なる形態でもよい。生化学分析物センサの感度は、センサがインビトロ状態にあるかインビボ状態にあるかを含む、いくつかの要因に応じて変化し得る。
【0131】
図14は、電流測定分析物センサのインビトロ感度を示すグラフである。インビトロ感度は、様々な分析物濃度でセンサをインビトロ試験し、次いで、得られたデータに対して回帰(例えば、線形または非線形)または他の曲線当てはめを行うことによって得ることができる。この例では、分析物センサの感度は線形または実質的に線形であり、式y=mx+bに従ってモデル化することができる。式中、yはセンサの電気出力電流であり、xは分析物レベル(または濃度)であり、mは感度の勾配であり、bは感度の切片であり、切片は一般にバックグラウンド信号(例えば、ノイズ)に対応する。線形または実質的に線形の応答を有するセンサの場合、所与の電流に対応する分析物レベルは、感度の勾配および切片から決定することができる。非線形感度を有するセンサは、センサの出力電流から生じる分析物レベルを決定するために追加の情報を必要とし、当業者は、非線形感度をモデル化する方法に精通している。インビボセンサの特定の実施形態では、インビトロ感度はインビボ感度と同じであり得るが、他の実施形態では、伝達(または変換)関数を使用して、インビトロ感度を、センサの意図されたインビボ使用に適用可能なインビボ感度に変換する。
【0132】
較正は、センサの測定出力を調整してセンサの予想出力との差を減少させることによって正確さを改善または維持するための技術である。センサ感度のようなセンサの感知特性を説明する1つ以上のパラメータが、較正調整における使用のために確立される。
【0133】
特定のインビボ分析物モニタリングシステムは、ユーザの介在によって、または自動化された方式でシステム自体によって、センサをユーザまたは患者に埋め込んだ後に較正を行うことを必要とする。例えば、ユーザの介在が必要とされるとき、ユーザは、分析物センサが埋め込まれている間に、インビトロ測定(例えば、指先穿刺およびインビトロ試験ストリップを使用した血糖(BG)測定)を行い、これをシステムに入力する。次いで、システムは、インビトロ測定値をインビボ信号と比較し、その差を使用して、センサのインビボ感度の推定値を決定する。次いで、インビボ感度をアルゴリズムプロセスで使用することで、センサによって収集されたデータを、ユーザの分析物レベルを示す値に変換することができる。較正を実行するためにユーザアクションを必要とするこのプロセスおよび他のプロセスは、「ユーザ較正」と呼ばれる。システムは、感度が経時的にドリフトまたは変化するようなセンサの感度の不安定性に起因して、ユーザ較正を必要とすることがある。したがって、正確さを維持するために、複数のユーザ較正(例えば、周期的(例えば、毎日)スケジュール、可変スケジュール、または必要に応じて)が必要とされ得る。本明細書で説明される実施形態は、特定の実装形態のためにある程度のユーザ較正を組み込むことができるが、全般的に、これは、ユーザが痛みを伴うかまたは他の厄介なBG測定を実行することを必要とし、ユーザエラーを導入する可能性があるため、好ましくない。
【0134】
いくつかのインビボ分析物モニタリングシステムは、システム自体(例えば、ソフトウェアを実行する処理回路)によって行われるセンサの特性の自動測定の使用を通して、較正パラメータを定期的に調整することができる。システム(ユーザではない)によって測定された変数に基づくセンサの感度の繰り返し調整は、全般的に「システム」(または自動)較正と呼ばれ、早期BG測定などのユーザ較正とともに、またはユーザ較正なしで実行することができる。繰り返されるユーザ較正の場合と同様に、繰り返されるシステム較正は、典型的には、経時的なセンサの感度のドリフトによって必要とされる。したがって、本明細書に説明される実施形態は、ある程度の自動システム較正とともに使用されてもよいが、好ましくは、センサの感度は、埋め込み後の較正が必要とされないように、経時的に比較的安定している。
【0135】
いくつかのインビボ分析物モニタリングシステムは、工場で較正されたセンサを用いて動作する。工場較正は、ユーザまたは医療専門家(HCP)に配布する前の1つ以上の較正パラメータの決定または推定を指す。較正パラメータは、センサ製造業者(または2つの実体が異なる場合、センサ制御デバイスの他の構成要素の製造業者)によって決定されてもよい。多くのインビボセンサ製造プロセスは、生産ロット、製造段階ロット、または単にロットと呼ばれるグループまたはバッチでセンサを製造する。単一ロットは、何千ものセンサを含んでもよい。
【0136】
センサは、較正コードまたはパラメータを含んでもよく、較正コードまたはパラメータは、1つ以上のセンサ製造プロセス中に導出または決定され、製造プロセスの一部として、分析物モニタリングシステムのデータ処理デバイス内でコード化またはプログラムされるか、またはセンサ自体に、例えば、バーコード、レーザタグ、RFIDタグ、もしくはセンサに提供される他の機械可読情報として提供されてもよい。コードが受信機(または他のデータ処理デバイス)に提供される場合、センサのインビボ使用中のユーザ較正を不要にすることができ、またはセンサ装着中のインビボ較正の頻度を低減することができる。較正コードまたはパラメータがセンサ自体に提供される実施形態では、センサ使用の開始前または開始時に、較正コードまたはパラメータを分析物モニタリングシステム内のデータ処理デバイスに自動的に送信または提供してもよい。
【0137】
いくつかのインビボ分析物モニタリングシステムは、工場較正、システム較正、および/またはユーザ較正のうちの1つ以上をされ得るセンサを用いて動作する。例えば、センサは、工場較正を可能にし得る較正コードまたはパラメータを備えてもよい。情報が受信機に提供される(例えば、ユーザによって入力される)場合、センサは、工場較正センサとして動作してもよい。情報が受信機に提供されない場合、センサは、ユーザ較正センサおよび/またはシステム較正センサとして動作してもよい。
【0138】
さらなる態様では、プログラミングまたは実行可能命令は、分析物モニタリングシステムのデータ処理デバイスおよび/または受信機/コントローラユニットに提供または記憶されて、使用中にインビボセンサに時変調整アルゴリズムを提供してもよい。例えば、インビボで使用される分析物センサの遡及的統計分析および対応するグルコースレベルフィードバックに基づいて、時間ベースである所定のもしくは分析曲線またはデータベースを生成することができ、1つ以上のインビボセンサパラメータに追加の調整を提供することで安定性プロファイルまたは他の要因における潜在的なセンサドリフトを補償するように構成してもよい。
【0139】
開示される主題によれば、分析物モニタリングシステムは、センサドリフトプロファイルに基づいてセンサ感度を補償または調整するように構成されてもよい。時変パラメータβ(t)は、インビボ使用中のセンサ挙動の分析に基づいて定義または決定することができ、時変ドリフトプロファイルを決定することができる。特定の態様では、センサ感度に対する補償または調整は、センサデータが分析物センサから受信されたときに補償もしくは調整またはその両方が自動的におよび/または反復的に実行され得るように、分析物モニタリングシステムの受信機ユニット、コントローラまたはデータプロセッサにおいてプログラムされ得る。開示される主題によれば、調整または補償アルゴリズムは、分析物センサ感度プロファイルに対する調整または補償が、対応する機能またはルーチンのユーザ開始または起動時に、あるいはユーザがセンサ較正コードを入力する時に実施または実行されるように、(自己開始または実行ではなく)ユーザによって開始または実行されることができる。
【0140】
開示される主題によれば、センサロット内の各センサ(いくつかの事例では、インビトロ試験に使用されるサンプルセンサを含まない)は、センサの1つ以上の点における膜厚さ等のその特性を判定または測定するために、非破壊的に検査されてもよく、活性エリアの表面積/体積等の物理的特性を含む他の特性が、測定または判定されてもよい。そのような測定または決定は、例えば、光学スキャナまたは他の好適な測定デバイスもしくはシステムを使用して、自動化された様式で行われてもよく、センサロット内の各センサに対する決定されたセンサ特性は、各センサに割り当てられた較正パラメータまたはコードの可能な補正のために、サンプルセンサに基づく対応する平均値と比較される。例えば、センサ感度として定義される較正パラメータの場合、感度は膜厚さにほぼ反比例し、例えば、そのセンサと同じセンサロットからサンプリングされたセンサの平均膜厚さよりも約4%大きい測定膜厚さを有するセンサの場合、一実施形態においてそのセンサに割り当てられる感度は、サンプリングされたセンサから決定される平均感度を1.04で除算したものである。同様に、感度はセンサの活性エリアにほぼ比例するので、同じセンサロットからサンプリングされたセンサの平均活性エリアよりも約3%低い測定活性エリアを有するセンサの場合、そのセンサに割り当てられた感度は、平均感度に0.97を乗じたものである。割り当てられた感度は、センサの各検査または測定に対する複数の連続的な調整によって、サンプリングされたセンサからの平均感度から決定され得る。特定の実施形態では、各センサの検査または測定は、活性感知エリアの膜厚さおよび/または表面積もしくは体積に加えて、膜の一貫性またはテクスチャの測定をさらに含んでもよい。
【0141】
センサ較正に関するさらなる情報は、米国特許出願公開第2010/002302851号明細書および米国特許出願公開第2019/0274598号明細書に提供されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0142】
K.例示的なBluetooth通信プロトコル
センサ110のストレージメモリ5030は、通信モジュールの通信プロトコルに関連するソフトウェアブロックを含んでもよい。例えば、ストレージメモリ5030は、BLEモジュール5041をセンサ110のコンピューティングハードウェアに利用可能にするためのインタフェースを提供する機能を有するBLEサービスソフトウェアブロックを含んでもよい。これらのソフトウェア機能は、BLE論理インタフェースおよびインターフェースパーサを含んでもよい。通信モジュール5040によって提供されるBLEサービスは、汎用アクセスプロファイルサービス、汎用属性サービス、汎用アクセスサービス、デバイス情報サービス、データ伝送サービス、およびセキュリティサービスを含んでもよい。データ伝送サービスは、センサ制御データ、センサ状態データ、分析物測定データ(過去および現在)、およびイベントログデータなどのデータを伝送するために使用される一次サービスであり得る。センサ状態データは、エラーデータ、現在アクティブ時間、およびソフトウェア状態を含んでもよい。分析物測定データは、現在および過去の生の測定値、適切なアルゴリズムまたはモデルを使用して処理した後の現在および過去の値、測定レベルの予測および傾向、他の値と患者固有の平均との比較、アルゴリズムまたはモデルによって決定された行動喚起、および他の同様のタイプのデータなどの情報を含んでよい。
【0143】
開示される主題の態様によれば、本明細書で具体化されるように、センサ110は、センサ110のハードウェアおよび無線機によってサポートされる通信プロトコルまたは媒体の特徴を適合させることによって、複数のデバイスと同時に通信するように構成され得る。一例として、通信モジュール5040のBLEモジュール5041は、ソフトウェアまたはファームウェアを備えることで、中央デバイスとしてのセンサ110と周辺デバイスとしての他のデバイスとの間の、または別のデバイスが中央デバイスである周辺デバイスとしての複数の同時接続を可能にすることができる。
【0144】
BLEなどの通信プロトコルを使用する2つのデバイス間の接続および後続の通信セッションは、2つのデバイス(例えば、センサ110およびデータ受信デバイス120)間で動作する同様の物理チャネルによって特徴付けることができる。物理チャネルは、単一のチャネルまたは一連のチャネルを含んでもよく、たとえば、限定はしないが、共通クロック、およびチャネルもしくは周波数ホッピングシーケンスによって決定される合意された一連のチャネルを使用することを含む。通信セッションは、同様の量の利用可能な通信スペクトルを使用してもよく、複数のそのような通信セッションが近接して存在してもよい。特定の実施形態では、通信セッションにおけるデバイスの各集合は、異なる物理チャネルまたは一連のチャネルを使用して、同じ近さにあるデバイスの干渉を管理する。
【0145】
限定ではなく例示を目的として、開示される主題とともに使用するためのセンサ-受信機接続のための手順の例示的な実施形態が参照される。第1に、センサ110は、データ受信デバイス120の探索において、その接続情報をその環境に繰り返しアドバタイズする。センサ110は、接続が確立されるまで定期的にアドバタイジングを繰り返してもよい。データ受信デバイス120は、アドバタイジングパケットを検出し、センサ120がアドバタイジングパケット内に提供されたデータを通して接続するためにスキャンおよびフィルタリングを行う。次に、データ受信デバイス120はスキャン要求コマンドを送信し、センサ110は、追加の詳細を提供するスキャン応答パケットで応答する。次に、データ受信デバイス120は、データ受信デバイス120に関連付けられたBluetoothデバイスアドレスを使用して接続要求を送信する。データ受信デバイス120はまた、特定のBluetoothデバイスアドレスを有するセンサ110への接続を確立するように連続的に要求してもよい。次に、デバイスは初期接続を確立して、データ交換を開始することができる。デバイスは、データ交換サービスを初期化するプロセスを開始し、相互認証手順を実行する。
【0146】
センサ110とデータ受信デバイス120との間の第1の接続中に、データ受信デバイス120は、サービス、特性、および属性発見手順を初期化してもよい。データ受信デバイス120は、センサ110のこれらの特徴を評価し、後の接続中に使用するためにそれらを記憶してもよい。次に、デバイスは、センサ110およびデータ受信デバイス120の相互認証に使用されるカスタマイズされたセキュリティサービスについての通知を可能にする。相互認証手順は自動化することができ、ユーザの介在を必要としない。相互認証手順の成功した完了に続いて、センサ110は、接続パラメータ更新を送信して、データ受信デバイス120に、センサ110によって好まれるとともに、寿命を最大にするように構成された接続パラメータ設定を使用するように要求する。
【0147】
次いで、データ受信デバイス120は、センサ制御手順を実行して、過去のデータ、現在のデータ、イベントログ、および工場データをバックフィルする。一例として、データの各タイプについて、データ受信デバイス120は、バックフィルプロセスを開始する要求を送信する。要求は、必要に応じて、例えば、測定値、タイムスタンプなどに基づいて定義された記録の範囲を指定してもよい。センサ110は、センサ110のメモリ内のすべての以前に送信されていないデータがデータ受信デバイス120に配信されるまで、要求されたデータで応答する。センサ110は、データ受信デバイス120からのバックフィル要求に対して、すべてのデータがすでに送信されていることを応答することができる。バックフィルが完了すると、データ受信デバイス120は、定期的な測定値を受信する準備ができていることをセンサ110に通知することができる。センサ110は、反復ベースで複数の通知結果にわたって測定値を送信することができる。本明細書で具体化されるように、複数の通知は、データが正しく送信されることを保証するための冗長な通知であり得る。あるいは、複数の通知が単一のペイロードを構成してもよい。
【0148】
限定ではなく例示の目的で、シャットダウンコマンドをセンサ110に送信する手順の例示的な実施形態を参照する。シャットダウン動作は、例えば、センサ110がエラー状態、挿入失敗状態、またはセンサ期限切れ状態である場合に実行される。センサ110がそれらの状態にない場合、センサ110は、コマンドを記録し、センサ110がエラー状態またはセンサ期限切れ状態に遷移したときにシャットダウンを実行することができる。データ受信デバイス120は、適切にフォーマットされたシャットダウンコマンドをセンサ110に送信する。センサ110が別のコマンドをアクティブに処理している場合、センサ110は、センサ110がビジーであることを示す標準エラー応答で応答する。そうでない場合、センサ110は、コマンドが受信されると応答を送信する。さらに、センサ110は、センサ110がコマンドを受信したことを確認するために、センサ制御特性を介して成功通知を送信する。センサ110はシャットダウンコマンドを登録する。次の適切な機会に(例えば、本明細書で説明されるように、現在のセンサ状態に応じて)、センサ110はシャットダウンする。
【0149】
L.例示的なセンサ状態および起動
限定ではなく例示の目的で、図15に示されるようなセンサ110によって行われ得るアクションの状態機械表現6000の高レベル描写の例示的な実施形態が参照される。初期化後、センサは、センサ110の製造に関連する状態6005に入る。製造状態6005において、センサ110は、動作のために構成されてもよく、例えば、ストレージメモリ5030は書き込まれることができる。状態6005にある間の様々な時間に、センサ110は、ストレージ状態6015に進むための受信されたコマンドをチェックする。ストレージ状態6015に入ると、センサはソフトウェア完全性チェックを実行する。ストレージ状態6015にある間、センサはまた、挿入検出状態6025に進む前に起動要求コマンドを受信することができる。
【0150】
状態6025に入ると、センサ110は、起動中に設定されたセンサと通信するために認証されたデバイスに関する情報を記憶することができ、または感知ハードウェア5060からの測定値を導き、解釈することに関するアルゴリズムを初期化することができる。センサ110はまた、センサ110の動作時間のアクティブカウントを維持することに関与するライフサイクルタイマを初期化し、認証されたデバイスとの通信を開始して記録されたデータを送信することができる。挿入検出状態6025にある間、センサは状態6030に入ることができ、状態6030でセンサ110は、動作時間が所定の閾値に等しいかどうかをチェックする。この動作時間の閾値は、挿入が成功したかどうかを判定するためのタイムアウト機能に対応し得る。動作時間が閾値に達した場合、センサ110は状態6035に進み、そこで、センサ110は、平均データ読み取りが、成功した挿入の検出をトリガするための予想データ読み取り量に対応する閾値量よりも大きいか否かをチェックする。状態6035にある間にデータ読み取り量が閾値よりも低い場合、センサは、失敗した挿入に対応する状態6040に進む。データ読み取り量が閾値を満たす場合、センサは、アクティブペア状態6055に進む。
【0151】
センサ110のアクティブペア状態6055は、センサ110が測定値を記録し、測定値を処理し、それらを適宜報告することによって正常に動作している間の状態を反映する。アクティブペア状態6055にある間、センサ110は、測定結果を送信するか、または受信デバイス120との接続を確立しようと試みる。センサ110はまた、動作時間をインクリメントする。センサ110が所定の閾値動作時間に達すると(例えば、動作時間が所定の閾値に達すると)、センサ110は、アクティブ期限切れ状態6065に遷移する。センサ110のアクティブ期限切れ状態6065は、センサ110がその最大所定時間量にわたって動作している間の状態を反映する。
【0152】
アクティブ期限切れ状態6065にある間、センサ110は、全般的に、終局に向かう動作に関連する動作を実行し、収集された測定値が必要に応じて受信デバイスに安全に送信されたことを確実にすることができる。たとえば、アクティブ期限切れ状態6065にある間、センサ110は、収集されたデータを送信することができ、接続が利用可能でない場合、近くの認証されたデバイスを発見し、それとの接続を確立するための努力を増加させることができる。アクティブ期限切れ状態6065にある間、センサ110は、状態6070においてシャットダウンコマンドを受信することができる。シャットダウンコマンドが受信されない場合、センサ110はまた、状態6075において、動作時間が最終動作閾値を超えたかどうかをチェックすることができる。最終動作閾値は、センサ110のバッテリ寿命に基づき得る。正常終了状態6080は、センサ110の最終動作に対応し、最終的にセンサ110をシャットダウンする。
【0153】
センサが起動される前に、ASIC5000は、低電力ストレージモード状態にある。起動プロセスは、例えば、受信するRF場(例えば、NFC場)が、ASIC5000への電源の電圧を、リセット閾値を上回るように駆動し、それによってセンサ110がウェイクアップ状態に入るときに開始することができる。ウェイクアップ状態にある間、ASIC5000は起動シーケンス状態に入る。次に、ASIC5000は、通信モジュール5040を起動する。通信モジュール5040が初期化され、電源投入時自己診断テストをトリガする。電源投入時自己診断テストは、ASIC5000が、データを読み書きする規定のシーケンスを使用して通信モジュール5040と通信することで、メモリおよびワンタイムプログラマブルメモリが破損されていないことを検証することを含んでもよい。
【0154】
ASIC5000が最初に測定モードに入るとき、挿入検出シーケンスが実行されることで、適切な測定が行われ得る前に、センサ110が患者の身体上に適切に設置されていることを検証する。まず、センサ110は、コマンドを解釈して測定構成プロセスを起動し、ASIC5000を測定コマンドモードに入らせる。次いで、センサ110は、一時的に測定ライフサイクル状態に入り、いくつかの連続測定を実行して、挿入が成功したかどうかをテストする。通信モジュール5040またはASIC5000は、測定結果を評価して挿入の成功を判定する。挿入が成功したと見なされると、センサ110は測定状態に入り、センサ110は、感知ハードウェア5060を使用して定期的な測定を行い始める。センサ110が、挿入が成功しなかったと決定する場合、センサ110は、挿入失敗モードにトリガされ、ASIC5000は、ストレージモードに戻るように命令される一方、通信モジュール5040は、それ自体を無効にする。
【0155】
M.例示的なオーバージエア更新
図1Bは、本明細書で説明する技術とともに使用するためのオーバージエア(「OTA」)更新を提供するための例示的な動作環境をさらに示す。分析物モニタリングシステム100のオペレータは、データ受信デバイス120またはセンサ110の更新を、多目的データ受信デバイス130上で実行されるアプリケーションの更新にバンドルしてもよい。データ受信デバイス120と、多目的データ受信デバイス130と、センサ110との間の利用可能な通信チャネルを使用して、多目的データ受信デバイス130は、データ受信デバイス120またはセンサ110の定期的な更新を受信し、データ受信デバイス120またはセンサ110への更新のインストールを開始することができる。多目的データ受信デバイス130が分析物センサ110、データ受信デバイス120、および/または遠隔アプリケーションサーバ150と通信することを可能にするアプリケーションは、広域ネットワーキング機能なしでデータ受信デバイス120またはセンサ110上のソフトウェアまたはファームウェアを更新することができるので、多目的データ受信デバイス130は、データ受信デバイス120またはセンサ110のためのインストールまたは更新プラットフォームとして機能する。
【0156】
本明細書で具体化されるように、分析物センサ110の製造業者および/または分析物モニタリングシステム100のオペレータによって操作される遠隔アプリケーションサーバ150は、分析物モニタリングシステム100のデバイスにソフトウェアおよびファームウェア更新を提供することができる。特定の実施形態では、遠隔アプリケーションサーバ150は、更新されたソフトウェアおよびファームウェアをユーザデバイス140に、または直接多目的データ受信デバイスに提供することができる。本明細書で具体化されるように、遠隔アプリケーションサーバ150はまた、アプリケーションストアフロントによって提供されるインタフェースを使用して、アプリケーションソフトウェア更新をアプリケーションストアフロントサーバ160に提供することができる。多目的データ受信デバイス130は、更新をダウンロードしてインストールするために、アプリケーションストアフロントサーバ160に定期的にコンタクトしてもよい。
【0157】
多目的データ受信デバイス130が、データ受信デバイス120またはセンサ110のためのファームウェアまたはソフトウェア更新を含むアプリケーション更新をダウンロードした後、データ受信デバイス120またはセンサ110および多目的データ受信デバイス130は、接続を確立する。多目的データ受信デバイス130は、ファームウェアまたはソフトウェアの更新がデータ受信デバイス120またはセンサ110に利用可能であると判定する。多目的データ受信デバイス130は、データ受信デバイス120またはセンサ110への配信のためにソフトウェアまたはファームウェア更新を準備することができる。一例として、多目的データ受信デバイス130は、ソフトウェアもしくはファームウェア更新に関連付けられたデータを圧縮もしくはセグメント化してもよく、またはファームウェアもしくはソフトウェア更新を暗号化もしくは解読してもよく、またはファームウェアもしくはソフトウェア更新の完全性チェックを実行してもよい。多目的データ受信デバイス130は、ファームウェアまたはソフトウェア更新のためのデータをデータ受信デバイス120またはセンサ110に送信する。多目的データ受信デバイス130は、データ受信デバイス120またはセンサ110にコマンドを送信して、更新を開始してもよい。追加的にまたは代替的に、多目的データ受信デバイス130は、多目的データ受信デバイス130のユーザに通知を提供してもよく、更新が完了するまで、データ受信デバイス120および多目的データ受信デバイス130を電源に接続して近接させておく命令など、更新を容易にする命令を含んでもよい。
【0158】
データ受信デバイス120またはセンサ110は、更新のためのデータおよび更新を開始するためのコマンドを多目的データ受信デバイス130から受信する。次いで、データ受信デバイス120は、ファームウェアまたはソフトウェア更新をインストールすることができる。更新をインストールするために、データ受信デバイス120またはセンサ110は、それ自体を、動作能力が制限されたいわゆる「安全」モードに置くか、または再起動してもよい。更新が完了すると、データ受信デバイス120またはセンサ110は、標準動作モードに再び入るか、またはリセットされる。データ受信デバイス120またはセンサ110は、ファームウェアまたはソフトウェア更新が正常にインストールされたことを判定するために、1つ以上の自己テストを実行してもよい。多目的データ受信デバイス130は、更新成功の通知を受信することができる。次に、多目的データ受信デバイス130は、更新成功の確認を遠隔アプリケーションサーバ150に報告することができる。
【0159】
特定の実施形態では、センサ110のストレージメモリ5030は、ワンタイムプログラマブル(OTP)メモリを含む。OTPメモリという用語は、メモリ内の特定のアドレスまたはセグメントへの所定の回数の書込みを容易にするためのアクセス制限およびセキュリティを含むメモリを指し得る。メモリ5030は、複数の事前に割り振られたメモリブロックまたはコンテナに事前配置されてもよい。コンテナは、固定サイズに予め割り当てられている。ストレージメモリ5030がワンタイムプログラミングメモリである場合、コンテナは、非プログラム可能状態にあるとみなすことができる。まだ書き込まれていない追加のコンテナは、プログラム可能または書込み可能な状態に置くことができる。このようにストレージメモリ5030をコンテナ化することで、ストレージメモリ5030に書き込むコードやデータの搬送性を向上させることができる。OTPメモリに記憶されたデバイス(例えば、本明細書で説明されるセンサデバイス)のソフトウェアを更新することは、メモリ内のコード全体を置き換えるのではなく、特定の以前に書き込まれた1つまたは複数のコンテナ内のコードのみを、新しい1つまたは複数のコンテナに書き込まれた更新されたコードで置き換えることによって実行され得る。第2の実施形態では、メモリは予め準備されていない。代わりに、データのために割り振られる空間は、必要に応じて動的に割り振られるかまたは決定される。更新が予想される様々なサイズのコンテナを画定することができるので、増分更新を発行することができる。
【0160】
図16は、開示される主題による、センサデバイス100内のストレージメモリ5030のオーバージエア(OTA)プログラミング、ならびにセンサデバイス110によるプロセスの実行におけるOTAプログラミング後のメモリの使用のための例示的な動作およびデータフローを示す図である。図5に示される例示的なOTAプログラミング500では、OTAプログラミング(または再プログラミング)を開始する要求が外部デバイス(たとえば、データ受信デバイス130)から送信される。511において、センサデバイス110の通信モジュール5040は、OTAプログラミングコマンドを受信する。通信モジュール5040は、OTAプログラミングコマンドをセンサデバイス110のマイクロコントローラ5010に送信する。
【0161】
531において、OTAプログラミングコマンドを受信した後、マイクロコントローラ5010は、OTAプログラミングコマンドを検証する。マイクロコントローラ5010は、例えば、OTAプログラミングコマンドが適切なデジタル署名トークンで署名されているかどうかを判定してもよい。OTAプログラミングコマンドが有効であると判定すると、マイクロコントローラ5010は、センサデバイスをOTAプログラミングモードに設定することができる。532において、マイクロコントローラ5010は、OTAプログラミングデータを検証することができる。533において、マイクロコントローラ5010は、センサデバイス110をリセットして、センサデバイス110をプログラミング状態に再初期化することができる。センサデバイス110がOTAプログラミング状態に遷移すると、マイクロコントローラ5010は、534においてセンサデバイスの書換え可能メモリ540(例えば、メモリ5020)にデータを書き込み始め、535においてセンサデバイスのOTPメモリ550(例えば、ストレージメモリ5030)にデータを書き込むことができる。マイクロコントローラ5010によって書き込まれるデータは、検証されたOTAプログラミングデータに基づいてもよい。マイクロコントローラ5010は、データを書き込んで、OTPメモリ550の1つ以上のプログラミングブロックまたは領域を無効またはアクセス不能とマーク付けしてもよい。OTPメモリの空きまたは未使用部分に書き込まれたデータは、OTPメモリ550の無効化されたまたはアクセス不可能なプログラミングブロックを置換するために使用され得る。マイクロコントローラ5010が534および535でそれぞれのメモリにデータを書き込んだ後、マイクロコントローラ5010は、1つ以上のソフトウェア完全性チェックを実行して、書き込みプロセス中にプログラミングブロックにエラーが導入されなかったことを保証してもよい。マイクロコントローラ5010が、データがエラーなしに書き込まれたと判断することができると、マイクロコントローラ5010は、センサデバイスの標準動作を再開することができる。
【0162】
実行モードでは、536において、マイクロコントローラ5010は、書換え可能メモリ540からプログラミングマニフェストまたはプロファイルを取り出すことができる。プログラミングマニフェストまたはプロファイルは、有効なソフトウェアプログラミングブロックのリストを含んでもよく、センサ110のためのプログラム実行へのガイドを含んでもよい。プログラミングマニフェストまたはプロファイルに従うことによって、マイクロコントローラ5010は、OTPメモリ550のどのメモリブロックが実行するのに適切であるかを決定し、期限切れもしくは無効化されたプログラミングブロックの実行または期限切れデータへの参照を回避することができる。537において、マイクロコントローラ5010は、OTPメモリ550からメモリブロックを選択的に取り出すことができる。538において、マイクロコントローラ5010は、メモリに格納されたプログラミングコードを実行することによって、またはメモリに格納された変数を使用することによって、取り出されたメモリブロックを使用することができる。
【0163】
N.例示的なセキュリティおよび他のアーキテクチャの特徴
本明細書で具体化されるように、分析物センサ110と他のデバイスとの間の通信のためのセキュリティの第1の層は、通信のために使用される通信プロトコルによって指定され、その通信プロトコルに組み込まれたセキュリティプロトコルに基づいて確立され得る。別のセキュリティ層は、通信デバイスの近接性を必要とする通信プロトコルに基づいてもよい。さらに、パケット内の他のパケットおよび/またはデータは、別の方法で暗号化されるか、または暗号化されないまま、パケット内に含まれる特定のパケットおよび/または特定のデータを暗号化してもよい。加えて、または代替として、アプリケーション層の暗号化は、1つ以上のブロック暗号またはストリーム暗号とともに使用され、分析物モニタリングシステム100内の他のデバイスとの相互認証および通信暗号化を確立してもよい。
【0164】
分析物センサ110のASIC5000は、ストレージメモリ5030内に保持されたデータを使用して認証キーおよび暗号化キーを動的に生成するように構成されてもよい。ストレージメモリ5030はまた、有効な認証キーおよび暗号化キーのセットで事前にプログラムされて、特定のクラスのデバイスとともに使用してもよい。ASIC5000は、受信されたデータを使用して他のデバイスとの認証手順を実行し、機密データを送信する前に、生成されたキーを機密データに適用するようにさらに構成されてもよい。生成されたキーは、分析物センサ110に固有のもの、デバイスのペアに固有のもの、分析物センサ110と他のデバイスとの間の通信セッションに固有のもの、通信セッション中に送信されるメッセージに固有のもの、またはメッセージ内に含まれるデータのブロックに固有のものとすることができる。
【0165】
センサ110およびデータ受信デバイス120の両方は、例えば、コマンドを発行するか、またはデータを受信するために、通信セッションにおける他方の当事者の承認を確実にすることができる。特定の実施形態では、アイデンティティ認証は、2つの特徴を通じて実行されてもよい。第1に、そのアイデンティティを主張する当事者は、デバイスの製造業者または分析物モニタリングシステム100のオペレータによって署名された有効な証明書を提供する。第2に、認証は、パブリックキーおよびプライベートキー、ならびにそれらから導出されるか、分析物モニタリングシステム100のデバイスによって確立されるか、または分析物モニタリングシステム100のオペレータによって確立される共有秘密を使用することによって実施されてもよい。他の当事者のアイデンティティを確認するために、当事者は、当事者がそのプライベートキーの制御権を有することの証明を提供することができる。
【0166】
分析物センサ110、データ受信デバイス120の製造業者、または多目的データ受信デバイス130のためのアプリケーションの提供者は、デバイスが安全なプログラミングおよび更新を通して安全に通信するために必要な情報およびプログラミングを提供することができる。例えば、製造業者は、必要に応じて、デバイス、セッション、またはデータ伝送に固有の暗号値を生成するために、デバイス特有の情報および動作データ(例えば、エントロピーベースのランダム値)と組み合わせて使用され得る分析物センサ110および随意にデータ受信デバイス120のための安全なルートキーを含む、各デバイスのための暗号キーを生成するために使用され得る情報を提供してもよい。
【0167】
ユーザに関連付けられた分析物データは、少なくとも部分的に機密データであり、その理由は、この情報が、健康モニタリングおよび薬剤投与決定を含む様々な目的のために使用され得るからである。ユーザデータに加えて、分析物モニタリングシステム100は、リバースエンジニアリングに対する外部当事者による努力に対してセキュリティ強化を実施してもよい。通信接続は、デバイス固有またはセッション固有の暗号化キーを使用して暗号化することができる。任意の2つのデバイス間の暗号化された通信または暗号化されていない通信は、通信に組み込まれた送信完全性チェックを用いて検証され得る。分析物センサ110の動作は、通信インタフェースを介したメモリ5020への読み出しおよび書き込み機能へのアクセスを制限することによって、改ざんから保護することができる。センサは、「ホワイトリスト」内に提供される既知のもしくは「信頼できる」デバイスのみに、または製造業者もしくはそうでなければ認証されたユーザに関連付けられた所定のコードを提供することができるデバイスのみに、アクセスを許可するように構成されてもよい。ホワイトリストは、ホワイトリストに含まれる接続識別子以外の接続識別子が使用されないことを意味する排他的範囲、またはホワイトリストが最初に探索されるが、他のデバイスが依然として使用され得る好ましい範囲を表し得る。センサ110はさらに、要求者が所定の時間内(例えば、4秒以内)に通信インタフェースを介してログイン手順を完了することができない場合、接続要求を拒否し、シャットダウンしてもよい。これらの特性は、特定のサービス妨害攻撃、特にBLEインタフェースに対するサービス妨害攻撃に対して保護する。
【0168】
本明細書で具体化されるように、分析物モニタリングシステム100は、キーの漏洩および搾取の可能性をさらに低減するために、周期的なキーローテーションを採用してもよい。分析物モニタリングシステム100によって採用されるキーローテーション戦略は、現場配備されたデバイスまたは分散型デバイスの下位互換性をサポートするように設計され得る。一例として、分析物モニタリングシステム100は、上流側デバイスによって使用される複数世代のキーと互換性があるように設計された下流側デバイス(例えば、現場にあるか、または更新を実行可能に提供することができないデバイス)用のキーを使用することができる。
【0169】
限定ではなく例示の目的で、図17に示され、デバイスのペア、特にセンサ110とデータ受信デバイス120との間の例示的なデータ交換を示す、開示された主題とともに使用するためのメッセージシーケンス図600の例示的な実施形態を参照する。データ受信デバイス120は、本明細書で具体化されるように、データ受信デバイス120または多目的データ受信デバイス130であり得る。ステップ605において、データ受信デバイス120は、例えば短距離通信プロトコルを介して、センサ起動コマンド605をセンサ110に送信することができる。センサ110は、ステップ605の前に、主に休止状態にあることで、完全な起動が必要とされるまで、そのバッテリを温存してもよい。ステップ610中の起動後、センサ110は、センサ110の感知ハードウェア5060に適切なように、データを収集するか、または他の動作を実行することができる。ステップ615において、データ受信デバイス120は、認証要求コマンド615を開始することができる。認証要求コマンド615に応答して、センサ110およびデータ受信デバイス120の両方が、相互認証プロセス620に関与することができる。相互認証プロセス620は、センサ110およびデータ受信デバイス120が、他方のデバイスが本明細書で説明される合意されたセキュリティフレームワークに十分に準拠することができることを保証することを可能にするチャレンジパラメータを含む、データの転送を伴ってもよい。相互認証は、チャレンジ-レスポンスを介して秘密キーの確立を検証するために、オンラインの信頼された第三者の有無にかかわらず、2つ以上の存在を互いに認証するための機構に基づいてもよい。相互認証は、2、3、4、もしくは5パス認証、またはそれらの類似のバージョンを使用して実行され得る。
【0170】
成功した相互認証プロセス620に続いて、ステップ625において、センサ110は、データ受信デバイス120にセンサ秘密625を提供することができる。センサ秘密は、センサ固有値を含んでもよく、製造中に生成されたランダム値から導出することができる。センサ秘密は、送信前または送信中に暗号化されることで、第三者が秘密にアクセスすることを防止することができる。センサ秘密625は、相互認証プロセス620によって、またはそれに応答して生成されたキーのうちの1つ以上を介して暗号化されてもよい。ステップ630において、データ受信デバイス120は、センサ秘密からセンサ固有の暗号化キーを導出することができる。センサ固有の暗号化キーはさらに、セッション固有であり得る。したがって、センサ固有の暗号化キー鍵は、センサ110またはデータ受信デバイス120の間で送信されることなく、各デバイスによって決定され得る。ステップ635において、センサ110は、ペイロードに含まれるデータを暗号化することができる。ステップ640において、センサ110は、センサ110とデータ受信デバイス120との適切な通信モデル間に確立された通信リンクを使用して、暗号化されたペイロード640をデータ受信デバイス120に送信することができる。ステップ645において、データ受信デバイス120は、ステップ630の間に導出されたセンサ固有の暗号化キーを使用してペイロードを解読することができる。ステップ645に続いて、センサ110は、追加の(新たに収集されたものを含む)データを配信することができ、データ受信デバイス120は、受信したデータを適切に処理することができる。
【0171】
本明細書で説明されるように、センサ110は、制限された処理電力、バッテリ供給、およびストレージを有するデバイスであり得る。センサ110によって使用される暗号化技術(例えば、暗号アルゴリズムまたはアルゴリズムの実装の選択)は、これらの制限に少なくとも部分的に基づいて選択され得る。データ受信デバイス120は、この性質の制限がより少ない、より強力なデバイスであり得る。したがって、データ受信デバイス120は、暗号アルゴリズムおよび実装などの、より高度で計算集約的な暗号化技術を採用することができる。
【0172】
O.例示的なペイロード/通信周波数
分析物センサ110は、その発見可能性挙動を変更することで、受信デバイスが適切なデータパケットを受信する確率を増加させ、および/または確認応答信号を提供するか、またはそうでなければ確認応答信号を受信できなくさせ得る制限を低減するように試みるように構成されてもよい。分析物センサ110の発見可能性挙動を変更することは、例えば、限定するものではないが、接続データがデータパケットに含まれる頻度を変更すること、データパケットが全般的にどのくらいの頻度で送信されるかを変更すること、データパケットのブロードキャストウィンドウを延長または短縮すること、分析物センサ110と以前に通信した1つ以上のデバイスおよび/またはホワイトリスト上の1つ以上のデバイスへの(例えば、1つ以上の試みられた送信を通して)直接送信を含む、ブロードキャスト後に分析物センサ110が確認応答信号またはスキャン信号をリッスンする時間量を変更すること、(例えば、ブロードキャストの範囲を増加させるか、消費されるエネルギーを減少させ、分析物センサのバッテリの寿命を延ばすために)データパケットをブロードキャストするときに通信モジュールに関連付けられた送信電力を変更すること、データパケットを準備およびブロードキャストする速度を変更すること、または1つ以上の他の変更の組み合わせを含んでよい。追加または代替として、受信デバイスは、接続データを含むデータパケットを受信する可能性を増加させるために、デバイスのリスニング挙動に関するパラメータを同様に調整してもよい。
【0173】
本明細書で具体化されるように、分析物センサ110は、2つのタイプのウィンドウを使用してデータパケットをブロードキャストするように構成されてもよい。第1のウィンドウは、分析物センサ110が通信ハードウェアを動作させるように構成されるレートを指す。第2のウィンドウは、分析物センサ110が能動的にデータパケットを送信する(例えば、ブロードキャストする)ように構成されるレートを指す。一例として、第1のウィンドウは、分析物センサ110が通信ハードウェアを動作させて、各60秒間の最初の2秒間にデータパケット(接続データを含む)を送信および/または受信することを示してもよい。第2のウィンドウは、各2秒ウィンドウの間に、分析物センサ110が60ミリ秒ごとにデータパケットを送信することを示してもよい。2秒のウィンドウ中の残りの時間、分析物センサ110はスキャンしている。分析物センサ110は、どちらかのウィンドウを長くしたり短くしたりして、分析物センサ110の発見可能性挙動を修正することができる。
【0174】
特定の実施形態では、分析物センサの発見可能性挙動を発見可能性プロファイルに記憶することができ、分析物センサ110の状態などの1つ以上の要因に基づいて、および/または分析物センサ110の状態に基づいてルールを適用することによって、変更を行うことができる。例えば、分析物センサ110のバッテリレベルが特定の量を下回るとき、そのルールは、分析物センサ110に、ブロードキャストプロセスによって消費される電力を減少させることができる。別の例として、パケットをブロードキャストまたは別の方法で送信することに関連付けられた構成設定は、周囲温度、分析物センサ110の温度、または分析物センサ110の通信ハードウェアの特定の構成要素の温度に基づいて調整され得る。送信電力を修正することに加えて、分析物センサ110の通信ハードウェアの送信能力またはプロセスに関連する他のパラメータを修正することができ、これには、送信速度、周波数、およびタイミングが含まれるが、これらに限定されない。別の例として、対象が負の健康事象を経験しているか、または経験しつつあることを分析物データが示すとき、ルールは、分析物センサ110に、その発見可能性を増加させて、負の健康事象を受信デバイスに警告することができる。
【0175】
P.例示的なセンサ感度初期化/調整の特徴
本明細書で具体化されるように、分析物センサ110の感知ハードウェア5060のための特定の較正特徴は、外部または間隔の環境特徴に基づいて、ならびに使用されていない期間(例えば、使用前の「保管時間」)の間の感知ハードウェア5060の減衰を補償するように、調節され得る。感知ハードウェア5060の較正特徴は、センサ110によって(例えば、メモリ5020またはストレージ5030内の特徴を修正するためのASIC5000の動作によって)自律的に調整されてもよく、または分析物モニタリングシステム100の他のデバイスによって調整されてもよい。
【0176】
一例として、感知ハードウェア5060のセンサ感度は、外部温度データまたは製造からの時間に基づいて調整され得る。センサの保管中に外部温度がモニタリングされるとき、開示される主題は、デバイスが保管条件の変化を経験するときに、経時的にセンサ感度に対する補償を適応的に変更してもよい。限定ではなく例示を目的として、分析物センサ110が周期的にウェイクアップして温度を測定する「アクティブ」ストレージモードにおいて、適応感度調整を実行することができる。これらの特徴は、分析物デバイスのバッテリを節約し、分析物センサの寿命を延ばすことができる。各温度測定において、分析物センサ110は、測定された温度に基づいて、その期間の感度調整を計算することができる。次いで、温度重み付けされた調整値は、アクティブストレージモード期間にわたって累積されて、アクティブストレージモードの終了時(例えば、挿入時)に総センサ感度調整値を計算することができる。同様に、挿入時に、センサ110は、センサ110(ASIC5000のストレージ5030に書き込むことができる)または感知ハードウェア5060の製造間の時間差を決定し、1つ以上の既知の減衰率または式に従ってセンサ感度または他の較正特徴を修正することができる。
【0177】
加えて、限定ではなく例示の目的で、本明細書で具体化されるように、センサ感度調整は、センサドリフトなどの他のセンサ状態を考慮してもよい。センサ感度調整は、例えば、センサドリフトの場合、平均センサがどれだけドリフトするかの推定に基づいて、製造中にセンサ110にハードコードされ得る。センサ110は、センサオフセットおよびゲインのための時変関数を有する較正関数を使用してもよく、これは、センサの装着期間にわたるドリフトを考慮することができる。したがって、センサ110は、経時的なセンサ110のドリフトを記述するデバイス依存関数を利用して、間質電流を間質グルコースに変換するために使用される関数を利用することができ、これは、センサ感度を表し得るとともに、グルコースプロファイルのベースラインと組み合わされたデバイス固有であり得る。センサ感度およびドリフトを考慮するためのそのような関数は、ユーザ較正を伴うことなく、装着期間にわたってセンサ110の正確さを改善することができる。
【0178】
Q.例示的なモデルベースの分析物測定
センサ110は、感知ハードウェア5060から生の測定値を検出する。生の測定値を解釈するように訓練された1つ以上のモデルなどによって、オンセンサ処理を実行することができる。モデルは、生の測定値を検出、予測、または解釈して1つ以上の分析物のレベルを検出、予測、または解釈するようにオフデバイスで訓練された機械学習モデルでもよい。追加の訓練されたモデルは、生の測定値と相互作用するように訓練された機械学習モデルの出力に作用し得る。一例として、モデルは、生の測定値、および感知ハードウェア5060によって検出された分析物のタイプに基づいて事象を検出、予測、または推奨するために使用され得る。事象は、身体活動の開始または完了、食事、医療処置または投薬の適用、緊急の健康事象、および同様の性質の他の事象を含み得る。
【0179】
モデルは、製造中またはファームウェアもしくはソフトウェア更新中に、センサ110、データ受信デバイス120、または多目的データ受信デバイス130に提供され得る。モデルは、センサ110の製造業者または分析物モニタリングシステム100のオペレータなどによって、センサ110から受信したデータおよび個々のユーザまたは集団で複数のユーザのデータ受信デバイスに基づいて、定期的に精緻化することができる。特定の実施形態では、センサ110は、センサ110が取り付けられるユーザの固有の特徴に基づくなど、機械学習モデルのさらなる訓練または改良を支援するために十分なコンピュータ構成要素を含む。機械学習モデルは、限定ではなく例として、決定木分析、勾配ブースティング、アダブースティング(ada boosting)、人工ニューラルネットワークまたはその変形、線形判別分析、最近傍分析、サポートベクターマシン、教師ありまたは教師なし分類などを使用または包含して訓練されたモデルを含んでもよい。モデルはまた、機械学習モデルに加えて、アルゴリズムまたはルールベースのモデルを含んでもよい。モデルベースの処理は、センサ110(または他の下流デバイス)からデータを受信すると、データ受信デバイス120または多目的データ受信デバイス130を含む他のデバイスによって実行され得る。
【0180】
R.例示的なアラーム機能
センサ110とデータ受信デバイス120との間で送信されるデータは、生測定値または処理された測定値を含んでもよい。センサ110とデータ受信デバイス120との間で送信されるデータは、ユーザに表示するためのアラームまたは通知をさらに含んでもよい。データ受信デバイス120は、生の測定値または処理された測定値に基づいてユーザに通知を表示するか、または他の方法で伝えてもよく、あるいはセンサ110から受信されたときにアラームを表示してもよい。ユーザへの表示のためにトリガされ得るアラームは、直接分析物値(例えば、閾値を超える、または閾値を満たさない1回読み取り)、分析物値傾向(例えば、閾値を超える、または閾値を満たさない設定期間にわたる平均読み取り、勾配)、分析物値予測(例えば、分析物値に基づくアルゴリズム計算が閾値を超える、または閾値を満たさない)、センサ警告(例えば、疑わしい誤動作が検出される)、通信警告(例えば、閾値期間にわたってセンサ110とデータ受信デバイス120との間に通信がないこと、未知のデバイスがセンサ110との通信セッションを開始しようとしているか、開始し損なっていること)、リマインダ(例えば、データ受信デバイス120を充電するリマインダ、薬剤を服用する、または他の活動を行うリマインダ)、および同様の性質の他の警告に基づくアラームを含む。限定ではなく例示の目的で、本明細書で具体化されるように、本明細書で説明されるアラームパラメータは、ユーザによって構成可能であってもよく、または製造中に固定されてもよく、またはユーザ設定可能および非ユーザ設定可能パラメータの組み合わせでもよい。
【0181】
S.例示的な電極構成
対応する単一の分析物の検出用に構成された単一の活性エリアを特徴とするセンサ構成は、図18A~18Cを参照して本明細書にさらに説明されるように、2電極または3電極検出モチーフを使用してもよい。別個の作用電極上または同じ作用電極上のいずれかで、別個の分析物を検出するための2つの異なる活性エリアを特徴とするセンサ構成は、図19A~21Cを参照して後で別々に説明される。複数の作用電極を有するセンサ構成は、各活性エリアからの信号寄与をより容易に決定することができるので、同じセンサ尾部内に2つの異なる活性エリアを組み込むのに特に有利であり得る。
【0182】
単一の作用電極が分析物センサ内に存在する場合、3電極センサ構成は、作用電極、対電極、および参照電極を含むことができる。関連する2電極センサ構成は、作用電極および第2の電極を含むことができ、第2の電極は、対電極および参照電極の両方(すなわち、対/参照電極)として機能することができる。様々な電極は、少なくとも部分的に互いに積み重ねられ(層状にされ)、および/またはセンサ尾部上で互いに横方向に離間され得る。適切なセンサ構成は、実質的に平坦な形状、または実質的に円筒形の形状、または任意の適切な形状であり得る。本明細書に開示される任意のセンサ構成では、様々な電極は、誘電材料または同様の絶縁体によって互いに電気的に絶縁されてもよい。
【0183】
複数の作用電極を特徴とする分析物センサは、同様に、少なくとも1つの追加の電極を含んでもよい。1つの追加の電極が存在する場合、その1つの追加の電極は、複数の作用電極の各々に対する対/参照電極として機能し得る。2つの追加の電極が存在する場合、追加の電極の一方は、複数の作用電極の各々の対電極として機能し得、追加の電極の他方は、複数の作用電極の各々の参照電極として機能し得る。
【0184】
図18Aは、本明細書の開示における使用に適合する、例示的な2電極分析物センサ構成の図を示す。示されるように、分析物センサ200は、作用電極214と対/参照電極20216との間に配置された基材20212を含む。あるいは、作用電極214および対/参照電極20216は、間に誘電材料を介在させて基材20212の同じ側に配置することができる(構成は図示せず)。活性エリア218は、作用電極214の少なくとも一部の上に少なくとも1つの層として配置される。活性エリア218は、本明細書でさらに論じられるように、分析物の検出用に構成された複数のスポットまたは単一のスポットを含んでもよい。特定の実施形態では、活性エリア218は、分析物を検出するために、本明細書に開示される1つ以上の酵素系、例えば、NAD(P)依存性レダクターゼを含む酵素系を含んでもよい。
【0185】
さらに図18Aを参照すると、膜220は、少なくとも活性エリア218をオーバーコートする。特定の実施形態では、活性エリアが2つの異なる酵素系を含有する場合、膜220は、エリアの各々を別々にオーバーコートしてもよい。特定の実施形態では、膜220はまた、作用電極214および/もしくは対/参照電極20216の一部もしくは全部、または分析物センサ200の全体をオーバーコートしてもよい。分析物センサ200の片面または両面は膜220でオーバーコートされてもよい。膜220は、活性エリア218への分析物の流れを制限する能力を有する1つ以上のポリマー膜材料を含んでもよい(すなわち、膜220は、対象の分析物に対していくらかの透過性を有する物質移動制限膜である)。本明細書の開示によれば、以下でさらに説明するように、膜220は、ある特定のセンサ構成において分岐状架橋剤で架橋されてもよい。例えば、限定するものではないが、膜220は、本明細書に記載されるような架橋剤で架橋される。膜220の組成および厚さは、活性エリア218への所望の分析物の流れを促進し、それによって所望の信号強度および安定性を提供するように変化させることができる。分析物センサ200は、電量分析法、電流測定法、ボルタンメトリー法、または電位差電気化学検出法のいずれかによって、分析物をアッセイするように動作可能であり得る。
【0186】
図18Bおよび図18Cは、例示的な3電極分析物センサ構成の図を示し、これらはまた、本明細書の開示における使用に適合する。3電極分析物センサ構成は、分析物センサ201および202(図18Bおよび18C)に追加の電極217を含むことを除いて、図18Aの分析物センサ200に対して示されるものと同様であり得る。追加の電極217を用いて、対/参照電極20216は、次いで、対電極または参照電極のいずれかとして機能することができ、追加の電極217は、別様に考慮されない他の電極機能を果たす。作用電極214は、その本来の機能を果たし続ける。追加の電極217は、誘電材料の分離層を間に挟んで、作用電極214または電極20216のいずれかの上に配置され得る。例えば、限定するものではないが、図18Bに示すように、誘電体層219a、219b、および219cは、電極214、20216、および217を互いに分離し、電気的絶縁を提供する。あるいは、電極214、20216、および217のうちの少なくとも1つは、図18Cに示されるように、基材20212の反対面上に位置してもよい。したがって、特定の実施形態では、電極214(作用電極)および電極20216(対電極)は、基材20212の反対面上に位置することができ、電極217(参照電極)は、電極214または20216のうちの1つの上に位置し、誘電材料によってそこから離間される。参照材料層230(例えば、Ag/AgCl)は、電極217上に存在してもよく、参照材料層230の場所は、図18Bおよび18Cに描写される場所に限定されない。図18Aに示されるセンサ200と同様に、分析物センサ201および202内の活性エリア218は、複数のスポットまたは単一のスポットを含んでもよい。さらに、分析物センサ201および202は、電量分析法、電流測定法、ボルタンメトリー法、または電位差電気化学検出法のいずれかによって、分析物をアッセイするように動作可能であり得る。
【0187】
分析物センサ200と同様に、膜220はまた、分析物センサ201および202において、活性エリア218ならびに他のセンサ構成要素をオーバーコートしてもよく、それによって物質移動制限膜として機能する。特定の実施形態では、追加の電極217は、膜220でオーバーコートされてもよい。図18Bおよび18Cは、電極214、20216、および217を膜220でオーバーコーティングされているものとして示しているが、特定の実施形態では、作用電極214のみがオーバーコートされていることを認識されたい。さらに、電極214、20216、および217の各々における膜220の厚さは、同じであっても異なっていてもよい。2電極分析物センサ構成(図18A)におけるように、分析物センサ201および202の片面もしくは両面は、図18Bおよび18Cのセンサ構成において膜220でオーバーコートされてもよく、または分析物センサ201および202の全体がオーバーコートされてもよい。したがって、図18Bおよび18Cに示される3電極センサ構成は、本明細書に開示される実施形態を限定しないものとして理解されるべきであり、代替の電極および/または層構成は、本開示の範囲内に留まる。
【0188】
図19Aは、2つの異なる活性エリアがその上に配置された単一の作用電極を有するセンサ203の例示的な構成を示す。図19Aは、作用電極214上に2つの活性エリア、すなわち第1の活性エリア218aおよび第2の活性エリア218bが存在することを除いて、図18Aと同様であり、2つの活性エリアは、互いに異なる分析物に応答し、作用電極214の表面上で互いに横方向に離間されている。活性エリア218aおよび218bは、各分析物の検出用に構成された複数のスポットまたは単一のスポットを含んでもよい。膜220の組成は、活性エリア218aおよび218bで変化してもよく、または組成的に同じであってもよい。第1の活性エリア218aおよび第2の活性エリア218bは、以下でさらに説明するように、互いに異なる作用電極電位でそれらの対応する分析物を検出するように構成されてもよい。特定の実施形態では、活性エリア218aおよび218bのうちの任意の1つは、分析物を検出するために、本明細書に開示される1つ以上の酵素系、例えば、NAD(P)依存性レダクターゼを含む酵素系を含んでもよい。特定の実施形態では、活性エリア218aおよび218bのうちの1つのみが、分析物を検出するために、本明細書に開示される1つ以上の酵素系、例えば、NAD(P)依存性レダクターゼを含む酵素系を含んでもよい。特定の実施形態では、活性エリア218aおよび218bの両方が、1つ以上の分析物を検出するために、本明細書に開示される1つ以上の酵素系、例えば、NAD(P)依存性レダクターゼを含む酵素系を含んでもよい。
【0189】
図19Bおよび19Cは、それぞれ、センサ204および205のための例示的な3電極センサ構成の断面図を示し、各々は、その上に配置される第1の活性エリア218aおよび第2の活性エリア218bを有する単一作用電極を特徴とする。図19Bおよび19Cは、その他の点では図18Bおよび18Cと同様であり、それらを参照することによってよりよく理解することができる。図19Aと同様に、膜220の組成は、活性エリア218aおよび218bで変化してもよく、または組成的に同じであってもよい。
【0190】
複数の作用電極、具体的には2つの作用電極を有する例示的なセンサ構成を、図20図21Cを参照してさらに詳細に説明する。以下の説明は、主に、2つの作用電極を有するセンサ構成を対象とするが、2つより多くの作用電極が、本明細書の開示の拡張を通して組み込まれ得ることを理解されたい。追加の作用電極を使用して、第1の分析物および第2の分析物だけでなく、例えば、第3および/または第4の分析物の検出のために、分析物センサに追加の感知能力を付与することができる。
【0191】
図20は、本明細書の開示における使用に適合する、2つの作用電極、参照電極、および対電極を有する、例示的な分析物センサ構成の断面図を示す。示されるように、分析物センサ300は、基材302の反対面上に配置された作用電極304および306を含む。第1の活性エリア310aは、作用電極304の表面上に配置され、第2の活性エリア310bは、作用電極306の表面上に配置される。対電極320は、誘電体層322によって作用電極304から電気的に絶縁されており、参照電極321は、誘電体層323によって作用電極306から電気的に絶縁されている。外側誘電体層330および332は、参照電極321および対電極320上にそれぞれ配置される。膜340は、様々な実施形態によれば、少なくとも活性エリア310aおよび310bをオーバーコートすることができ、分析物センサ300の他の構成要素または分析物センサ300の全体は、任意選択で膜340でオーバーコートされる。特定の実施形態では、膜340は連続的であるが、活性エリア310a上および/または活性エリア310b上で組成的に変化して(例えば、第1の膜部分340aは第2の膜部分340bから組成的に変化し得る)、各位置で分析物の流れを示差的に調節するための互いに異なる透過性値を与えてもよい。特定の実施形態では、互いに異なる膜製剤を、分析物センサ300の反対面上に噴霧および/または印刷してもよい。例えば、限定するものではないが、様々な実施形態によれば、分析物センサ300の他の構成要素または分析物センサ300の全体とともに、第1の膜部分340aは、少なくとも活性エリア310aをオーバーコートすることができ、第2の膜部分340bは、少なくとも活性エリア310bをオーバーコートすることができる。浸漬コーティング技術もまた、特に、活性エリア310aおよび310bのうちの1つの上に二層膜の少なくとも一部を堆積させるために適切であり得る。特定の実施形態では、膜340は、活性エリア310aおよび310bにおいて同じであってもよく、または組成が異なっていてもよい。特定の実施形態では、本開示の特定の実施形態によれば、第1の膜部分340aおよび第2の膜部分340bの一方は、二層膜を含んでもよく、第1の膜部分340aおよび第2の膜部分340bの他方は、単一膜ポリマーを含んでもよい。例えば、限定するものではないが、膜340は、二層オーバーコーティング活性エリア310aを含むとともに、均質膜オーバーコーティング活性エリア310bであってもよく、または膜340は、二重層オーバーコーティング活性エリア310bを含むとともに、均質膜オーバーコーティング活性エリア310aであってもよい。特定の実施形態では、分析物センサは、1つより多くの膜340、例えば2つ以上の膜を含むことができる。例えば、限定するものではないが、分析物センサは、図20に示されるように、1つ以上の活性エリア、例えば、310aおよび310bをオーバーコートする膜と、センサ全体をオーバーコートする追加の膜とを含んでもよい。このような構成では、二層膜は、1つ以上の活性エリア(例えば、310aおよび310b)の上に形成され得る。
【0192】
特定の実施形態では、活性エリア310aおよび310bのうちの任意の1つは、本明細書に開示される1つ以上の酵素系、例えば、NAD(P)依存性レダクターゼを含む酵素系を含んでもよい。特定の実施形態では、活性エリア310aおよび310bのうちの1つのみが、本明細書に開示される1つ以上の酵素系、例えば、NAD(P)依存性レダクターゼを含む酵素系を含んでもよい。特定の実施形態では、活性エリア310aおよび310bの両方が、本明細書に開示される1つ以上の酵素系、例えば、NAD(P)依存性レダクターゼを含む酵素系を含んでもよい。
【0193】
複数の作用電極を有し、図20に示される構成とは異なる代替センサ構成は、別個の対電極および参照電極320、321の代わりに対/参照電極を特徴とすることができ、ならびに/または明示的に描写されるものとは異なる層および/もしくは膜配置を特徴とすることができる。例えば、限定としてではなく、対電極320および参照電極321の位置決めは、図20に示されるものと逆にしてもよい。さらに、作用電極304および306は、必ずしも図20に示される様式で基材302の反対面上に存在する必要はない。
【0194】
好適なセンサ構成は、特性が実質的に平面である電極を特徴としてもよいが、非平面電極を特徴とするセンサ構成が有利であり、本明細書の開示における使用に特に好適であり得ることを理解されたい。特に、互いに同心円状に配置された実質的に円筒形の電極は、以下に説明するように、物質移動制限膜の堆積を容易にすることができる。例えば、限定ではないが、センサ尾部の長さに沿って間隔を空けて配置された同心の作用電極は、実質的に平面のセンサ構成に関するものと同様の方法で、連続的な浸漬コーティング操作による膜堆積を容易にすることができる。図21A~21Cは、互いに対して同心円状に配置された2つの作用電極を特徴とする分析物センサの斜視図を示す。同心電極配置を有するが、第2の作用電極を欠くセンサ構成もまた、本開示において可能であることを理解されたい。
【0195】
図21Aは、複数の電極が実質的に円筒形であり、中心基材の周りに互いに対して同心円状に配置されている例示的なセンサ構成の斜視図を示す。示されるように、分析物センサ400は、中心基材402を含み、その周囲に、全ての電極および誘電体層が、互いに対して同心円状に配置される。特に、作用電極410は、中心基材402の表面上に配置され、誘電体層412は、センサ先端404から遠位の作用電極410の一部分上に配置される。作用電極420は、誘電体層412の上に配置され、誘電体層422は、センサ先端404から遠位の作用電極420の一部分上に配置される。対電極430は、誘電体層422の上に配置され、誘電体層432は、センサ先端404から遠位の対電極430の一部分上に配置される。参照電極440は、誘電体層432の上に配置され、誘電体層442は、センサ先端404から遠位の参照電極440の一部分上に配置される。したがって、作用電極410、作用電極420、対電極430、および参照電極440の露出面は、分析物センサ400の長手方向軸線Bに沿って互いに離間している。
【0196】
さらに図21Aを参照すると、互いに異なる分析物または同じ分析物に応答する第1の活性エリア414aおよび第2の活性エリア414bは、作用電極410および420の露出面上にそれぞれ配置され、それによって、流体との接触が感知のために起こることを可能にする。活性エリア414aおよび414bは、図21Aにおいて3つの別個のスポットとして示されているが、活性エリアの連続層を含む3つより少ないかまたは多いスポットが、代替センサ構成において存在し得ることが理解されたい。特定の実施形態では、活性エリア414aおよび414bのうちの任意の1つは、本明細書に開示される1つ以上の酵素系、例えば、NAD(P)依存性レダクターゼを含む酵素系を含んでもよい。特定の実施形態では、活性エリア414aおよび414bのうちの1つのみが、本明細書に開示される1つ以上の酵素系、例えば、NAD(P)依存性レダクターゼを含む酵素系を含んでもよい。特定の実施形態では、活性エリア414aおよび414bの両方が、本明細書に開示される1つ以上の酵素系、例えば、NAD(P)依存性レダクターゼを含む酵素系を含んでもよい。
【0197】
図21Aでは、センサ400は、作用電極410および420ならびにその上に配置された活性エリア414aおよび414b上で膜450で部分的にコーティングされている。図21Bは、センサ401の実質的全体が膜450でオーバーコートされている代替センサ構成を示す。膜450は、活性エリア414aおよび414bにおいて組成的に同じであってもよく、または異なっていてもよい。例えば、膜450は、二層オーバーコーティング活性エリア414aを含むとともに、均質な膜オーバーコーティング活性エリア414bであり得る。
【0198】
図21Aおよび図21Bの様々な電極の位置決めは、明示的に示されたものと異なってもよいことをさらに理解されたい。例えば、対電極430および参照電極440の位置は、図21Aおよび21Bに示された構成から逆にしてもよい。同様に、作用電極410および420の位置は、図21Aおよび21Bに明示的に描写されるものに限定されない。図21Cは、図21Bに示されるものに対する代替センサ構成を示し、センサ405は、センサ先端404のより近位に位置する対電極430および参照電極440ならびに、センサ先端404のより遠位に位置する作用電極410および420を含有する。作用電極410および420がセンサ先端404に対してより遠位に位置するセンサ構成は、活性エリア414aおよび414b(図21Cに例示的に示される5つの別個の感知スポット)の堆積のためにより大きい表面積を提供し、それによって、場合によっては、信号強度の増加を促進することによって、有利であり得る。同様に、中心基材402は、本明細書に開示される任意の同心センサ構成において省略されてもよく、最内側電極は、代わりに、続いて堆積される層を支持し得る。
【0199】
特定の実施形態では、本明細書に説明される分析物センサの1つ以上の電極は、ワイヤ電極、例えば透過性ワイヤ電極である。特定の実施形態では、センサ尾部は、作用電極と、作用電極の周りに螺旋状に巻かれた参照電極とを備える。特定の実施形態では、絶縁体が、作用電極と参照電極との間に配置される。特定の実施形態では、電極の一部は、1つ以上の酵素と電極上の分析物との反応を可能にするように露出される。特定の実施形態において、各電極は、約0.0254mm(約0.001インチ)以下~約0.254mm(約0.010インチ)以上の直径を有する細いワイヤから形成される。特定の実施形態では、作用電極は、約0.0254mm(約0.001インチ)以下~約0.254mm(約0.010インチ)以上、例えば、約0.0508mm(約0.002インチ)~約0.203mm(約0.008インチ)、または約0.102mm(約0.004インチ)~約0.127mm(約0.005インチ)の直径を有する。特定の実施形態では、電極は、めっき絶縁体、めっきワイヤ、またはバルク導電性材料から形成される。特定の実施形態では、作用電極は、白金、白金-イリジウム、パラジウム、グラファイト、金、炭素、導電性ポリマー、合金などの導電性材料から形成されたワイヤを含む。特定の実施形態では、導電性材料は透過性導電性材料である。特定の実施形態では、電極は、様々な製造技術(例えば、バルク金属処理、基材上への金属の堆積など)によって形成されてもよく、電極は、めっきワイヤ(例えば、スチールワイヤ上の白金)またはバルク金属(例えば、白金ワイヤ)から形成されてもよい。特定の実施形態では、電極は、例えば、導電性材料でコーティングされたタンタルワイヤから形成される。
【0200】
特定の実施形態では、参照電極は、参照電極単独として、または二重の参照電極および対電極として機能することができ、銀、銀/塩化銀などから形成される。特定の実施形態では、参照電極は、作用電極と並置され、および/または作用電極とともに、もしくは作用電極の周囲により合わせられる。特定の実施形態では、参照電極は、作用電極の周囲に螺旋状に巻回される。特定の実施形態は、ワイヤのアセンブリは、絶縁アタッチメントを提供するように、絶縁材料でともにコーティングまたは接着されてもよい。
【0201】
特定の実施形態では、追加の電極をセンサ尾部に含めてもよい。例えば、限定するものではないが、3電極システム(作用電極、参照電極、および対電極)および/または追加の作用電極(例えば、第2の分析物を検出するための電極)。センサが2つの作用電極を備える特定の実施形態では、2つの作用電極は並置してもよく、その周りに参照電極が配置される(例えば、2つ以上の作用電極の周りに螺旋状に巻かれる)。特定の実施形態は、2つ以上の作用電極は、互いに平行に延在してもよい。特定の実施形態では、参照電極は、作用電極の周囲にコイル状に巻かれ、センサ尾部の遠位端(すなわち、インビボ端)に向かって延在する。特定の実施形態では、参照電極は、作用電極の露出領域まで(例えば、螺旋状に)延在する。
【0202】
特定の実施形態では、1つ以上の作用電極は、参照電極の周囲に螺旋状に巻回される。2つ以上の作用電極が設けられる特定の実施形態では、作用電極は、センサ尾部の長さに沿って二重、三重、四重、またはより多くの螺旋構成で形成されてもよい(例えば、参照電極、絶縁ロッド、または他の支持構造を取り囲む)。特定の実施形態では、電極、例えば、2つ以上の作用電極は、同軸に形成される。例えば、限定するものではないが、電極は全て同じ中心軸線を共有する。
【0203】
特定の実施形態では、作用電極は、その間に絶縁体を含む、内部に配置またはコイル状にされた参照電極を有する管を備える。あるいは、参照電極は、その間に絶縁体を含む、内部に配置またはコイル状にされた作用電極を有する管を含む。特定の実施形態では、ポリマー(例えば、絶縁)ロッドが提供され、1つ以上の電極(例えば、1つ以上の電極層)は、その上に配置される(例えば、電気めっきによって)。特定の実施形態では、金属(例えば、スチールまたはタンタル)ロッドまたはワイヤが提供され、絶縁材料(本明細書に説明される)でコーティングされ、その上に1つ以上の作用電極および参照電極が配置される。例えば、限定するものではないが、本開示は、1つ以上のタンタルワイヤを備えるセンサ、例えばセンサ尾部を提供し、導電性材料は、1つ以上のタンタルワイヤの一部の上に配置されて作用電極として機能する。特定の実施形態では、白金被覆タンタルワイヤは、絶縁材料で覆われ、絶縁材料は、銀/塩化銀組成物で部分的に覆われて参照電極および/または対電極として機能する。
【0204】
絶縁体が作用電極上(例えば、電極の白金表面上)に配置される、特定の実施形態では、絶縁体の一部は、作用電極の電気活性表面を露出させるように、剥離され、または別様に除去され得る。例えば、限定するものではないが、絶縁体の一部は、手、エキシマレーザ、化学エッチング、レーザアブレーション、グリットブラストなどによって除去することができる。あるいは、絶縁体を堆積させる前に電極の一部をマスクして、露出した電気活性表面積を維持してもよい。特定の実施形態では、絶縁体の剥離および/または除去される部分は、約0.1mm(約0.004インチ)以下~約2mm(約0.078インチ)以上の長さ、例えば、約0.5mm(約0.02インチ)~約0.75mm(0.03インチ)の長さであり得る。特定の実施形態では、絶縁体は非導電性ポリマーである。特定の実施形態では、絶縁体は、パリレン、フッ素化ポリマー、ポリエチレンテレフタラート、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリイミド、および他の非導電性ポリマーを含む。特定の実施形態では、ガラスまたはセラミック材料を絶縁体層に使用してもよい。特定の実施形態では、絶縁体はパリレンを含む。特定の実施形態では、絶縁体はポリウレタンを含む。特定の実施形態では、絶縁体はポリウレタンおよびポリビニルピロリドンを含む。
【0205】
センサのいくつかの部分について、以下でさらに説明する。
2.酵素
本開示は、分析物を検出するように構成された1つ以上の活性エリアを含む分析物センサを提供する。特定の実施形態では、本開示の分析物センサの活性エリアは、1つ以上の分析物の間接測定のために構成され得る。本開示の分析物センサを使用して検出(例えば、間接的に検出)され得る分析物の非限定的な例としては、グルタミン酸塩、グルコース、ケトン、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、アスパラギン、アスパラギン酸塩、ナトリウム、総タンパク質、尿酸、アセトン、アセト酢酸塩、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸塩、1,3-ビスホスホグリセリン酸、6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、分析物は、ケトン、アセト酢酸塩、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸塩、1,3-ビスホスホグリセリン酸、6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンなどから選択することができる。特定の実施形態では、分析物はケトン、例えばアセトンである。特定の実施形態では、分析物はアセト酢酸塩である。
【0206】
特定の実施形態では、本開示の分析物センサは、目的の分析物の存在下で、異なる分析物のレベルの変化をもたらす1つ以上の酵素系を含む。特定の実施形態では、異なる分析物は、対象において有意に変動しない。異なる分析物(例えば、グルコース)のレベルの変化は、試料中の目的の分析物のレベルに比例し、この変化をモニタリングすることは、目的の分析物の間接的な測定を提供し得る。特定の実施形態では、異なる分析物は、対象由来の試料中で有意に変動しない分析物である。例えば、限定するものではないが、異なる分析物がグルコースである場合、対象は、グルコースの調節不全に関連する障害(例えば、糖尿病)を有さない。
【0207】
特定の実施形態では、開示される分析物センサの活性エリアは、目的の分析物の還元を触媒するオキシドレダクターゼ酵素を含んでもよい。例えば、限定するものではないが、活性エリアは、補酵素または補因子の存在下で目的の分析物の酸化還元反応を触媒するオキシドレダクターゼ酵素、例えばレダクターゼを含んでもよい。例えば、限定するものではないが、補因子は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)(本明細書ではまとめて「NAD(P)」と呼ぶ)でもよい。NAD(P)依存性オキシドレダクターゼの非限定的な例は、Vidal et al.,Biochimia et Biophysica Acta (BBA)-Proteins and Proteomics 1866(2):327-347 (2018)に開示されている(表1および2を参照)。特定の実施形態では、NAD(P)依存性オキシドレダクターゼは、以下の酵素クラスEC1.1.1、EC1.2.1、EC1.3.1、EC1.4.1、EC1.5.1、EC1.6.1、EC1.7.1、EC1.8.1、EC1.10.1、EC1.11.1、EC1.12.1、EC1.13.1、EC1.14.1、EC1.16.1、EC1.17.1、EC1.18.1、EC1.19.1、EC1.20.1、EC1.21.1および/またはEC1.23.1のうちの1つからの酵素であり得る。
【0208】
特定の実施形態では、分析物センサの分析物応答性活性エリアに含まれる酵素の少なくとも1つは、NAD(P)依存性オキシドレダクターゼ、例えば、NAD(P)依存性レダクターゼである。特定の実施形態では、分析物センサの分析物応答性活性エリアに含まれる酵素の少なくとも1つは、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼである。
【0209】
特定の実施形態では、本開示の分析物センサの分析物応答性活性エリアは、ケトンを検出するための1つ以上の酵素を含んでもよい。例えば、限定するものではないが、ケトンを検出するための1つ以上の酵素は、ケトレダクターゼ(KRED)を含んでもよい。特定の実施形態では、アセト酢酸塩を検出するための1つ以上の酵素は、β-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ(本明細書では「3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ」とも呼ばれる)を含んでもよい。
【0210】
特定の実施形態では、本開示の分析物センサの分析物応答性活性エリアは、アセト酢酸塩を検出するための1つ以上の酵素を含んでもよい。特定の実施形態では、アセト酢酸塩を検出するための1つ以上の酵素は、β-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼを含んでもよい。
【0211】
特定の実施形態では、本開示の分析物センサの分析物応答性活性エリアは、ピルビン酸塩を検出するための1つ以上の酵素を含んでもよい。特定の実施形態では、ピルビン酸塩を検出するための1つ以上の酵素は、乳酸デヒドロゲナーゼを含んでもよい。
【0212】
特定の実施形態では、本開示の分析物センサの分析物応答性活性エリアは、アセトアルデヒドを検出するための1つ以上の酵素を含んでもよい。特定の実施形態では、アセトアルデヒドを検出するための1つ以上の酵素は、エタノールデヒドロゲナーゼを含む。
【0213】
特定の実施形態では、本開示の分析物センサの分析物応答性活性エリアは、ガラクトースを検出するための1つ以上の酵素を含んでもよい。特定の実施形態では、ガラクトースを検出するための1つ以上の酵素は、アルドースレダクターゼを含む。
【0214】
特定の実施形態では、本開示の分析物センサの分析物応答性活性エリアは、L-キシロノ-1,4-ラクトンを検出するための1つ以上の酵素を含んでもよい。特定の実施形態では、L-キシロノ-1,4-ラクトンを検出するための1つ以上の酵素は、L-キシロース1-デヒドロゲナーゼを含んでもよい。
【0215】
特定の実施形態では、本開示の分析物センサの分析物応答性活性エリアは、グルタチオンジスルフィドを検出するための1つ以上の酵素を含んでもよい。特定の実施形態では、グルタチオンジスルフィドを検出するための1つ以上の酵素は、グルタチオンレダクターゼを含んでもよい。
【0216】
特定の実施形態では、本開示の分析物センサの分析物応答性活性エリアは、過酸化水素を検出するための1つ以上の酵素を含んでもよい。特定の実施形態では、過酸化水素を検出するための1つ以上の酵素は、NADHペルオキシダーゼを含んでもよい。
【0217】
特定の実施形態では、本開示の分析物センサの分析物応答性活性エリアは、リノール酸塩を検出するための1つ以上の酵素を含んでもよい。特定の実施形態では、リノール酸塩を検出するための1つ以上の酵素は、デルタ12-脂肪酸デヒドロゲナーゼを含んでもよい。
【0218】
特定の実施形態では、本開示の分析物センサの分析物応答性活性エリアは、1,3-ビスホスホグリセリン酸を検出するための1つ以上の酵素を含んでもよい。特定の実施形態では、1,3-ビスホスホグリセリン酸を検出するための1つ以上の酵素は、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼを含んでもよい。
【0219】
特定の実施形態では、本開示の分析物センサの分析物応答性活性エリアは、6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンを検出するための1つ以上の酵素を含んでもよい。特定の実施形態では、6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンを検出するための1つ以上の酵素は、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼを含んでもよい。
【0220】
特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約10重量%~約80重量%、例えば、約15重量%~約75重量%、約20重量%~約70重量%、約25重量%~約65重量%、または約30重量%~約60重量%の、本明細書に開示される1つ以上の酵素(例えば、1つ以上のNAD(P)依存性酵素、例えば、1つ以上のNAD(P)依存性レダクターゼ)を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約10重量%~約80重量%、例えば、約15重量%~約75重量%、約20重量%~約70重量%、約25重量%~約65重量%、約30重量%~約60重量%、約20重量%~約60重量、または約20重量%~約50重量%の、本明細書に開示される1つ以上の酵素(例えば、1つ以上のNAD(P)依存性酵素、例えば、1つ以上のNAD(P)依存性レダクターゼ)を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約10重量%~約80重量%、例えば、約15重量%~約75重量%、約20重量%~約70重量%、約25重量%~約65重量%、または約30重量%~約60重量%の、本明細書に開示される1つ以上の酵素(例えば、1つ以上のNAD(P)依存性酵素、例えば、1つ以上のNAD(P)依存性レダクターゼ)を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約10重量%~約80重量%、例えば、約15重量%~約75重量%、約20重量%~約70重量%、約25重量%~約65重量%、または約30重量%~約60重量%の、本明細書に開示される1つ以上の酵素(例えば、1つ以上のNAD(P)依存性酵素、例えば、1つ以上のNAD(P)依存性レダクターゼ)を含んでもよい。例えば、限定されるものではないが、分析物応答性活性エリアは、約10重量%~約80重量%、例えば、約15重量%~約75重量%、約20重量%~約70重量%、約25重量%~約65重量%、または約30重量%~約60重量%の、少なくとも1つのNAD(P)依存性ヒドロゲナーゼ、またはNAD(P)依存性レダクターゼ)を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約20%~約70%の少なくとも1つのNAD(P)依存性ヒドロゲナーゼまたはNAD(P)依存性レダクターゼを含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約30%~約60%の少なくとも1つのNAD(P)依存性ヒドロゲナーゼまたはNAD(P)依存性レダクターゼを含んでもよい。
【0221】
特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、例えば、1つ以上の酵素を安定化させるための安定化剤をさらに含んでもよい。例えば、限定するものではないが、安定化剤は、アルブミン、例えば血清アルブミンであり得る。血清アルブミンの非限定的な例としては、ウシ血清アルブミンおよびヒト血清アルブミンが挙げられる。特定の実施形態では、安定化剤はヒト血清アルブミンである。特定の実施形態では、安定化剤はウシ血清アルブミンである。特定の実施形態では、本開示の分析物応答性活性エリアは、約100:1~約1:100、例えば、約95:1~約1:95、約90:1~約1:90、約85:1~約1:85、約80:1~約1:80、約75:1~約1:75、約60:1~約1:60、約55:1~約1:55、約50:1~約1:50、約45:1~約1:45、約40:1~約1:40、約35:1~約1:35、約30:1~約1:30、約25:1~約1:25、約20:1~約1:20、約15:1~約1:15、約10:1~約1:10、約9:1~約1:9、約8:1~約1:8、約7:1~約1:7、約6:1~約1:6、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、または約2:1~約1:2の安定化剤(例えば血清アルブミン)対活性エリア内に存在する1つ以上の酵素(例えば、1つ以上のNAD(P)依存性レダクターゼ)の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約50:1~約1:50の安定化剤対活性エリア内に存在する1つ以上の酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約10:1~約1:10の安定化剤対活性エリア内に存在する1つ以上の酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約7:1~約1:7の安定化剤対活性エリア内に存在する1つ以上の酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約6:1~約1:6の安定化剤対活性エリア内に存在する1つ以上の酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約5:1~約1:5の安定化剤対活性エリア内に存在する1つ以上の酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約4:1~約1:4の安定化剤対活性エリア内に存在する1つ以上の酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約2:1~約1:2の安定化剤対活性エリア内に存在する1つ以上の酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約1:1の安定化剤対活性エリア内に存在する1つ以上の酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約5重量%~約50重量%、例えば、約10重量%~約50重量%、約15重量%~約45重量%、約20重量%~約40重量%、約20重量%~約35重量%、または約20重量%~約30重量%の安定化剤を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約5重量%~約40重量%の安定剤を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約5重量%~約35重量%の安定剤を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約5重量%~約30重量%の安定剤を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約10重量%~約30重量%の安定剤を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約15重量%~約35重量%の安定剤を含んでもよい。
【0222】
特定の実施形態では、分析物応答性活性エリア、例えば、分析物応答性活性エリアは、分析物応答性活性エリア内に存在する1つ以上の酵素(例えば、1つ以上のNAD(P)依存性レダクターゼ)の補因子または補酵素をさらに含んでもよい。特定の実施形態では、補因子または補酵素は、NAD(P)またはFADである。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約40:1~約1:40、例えば、約35:1~約1:35、約30:1~約1:30、約25:1~約1:25、約20:1~約1:20、約15:1~約1:15、約10:1~約1:10、約9:1~約1:9、約8:1~約1:8、約7:1~約1:7、約6:1~約1:6、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2、または約1:1の補因子対酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約5:1~約1:5の補因子対酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約4:1~約1:4の補因子対酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約3:1~約1:3の補因子対酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約2:1~約1:2の補因子対酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約1:1の補因子対酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約10重量%~約50重量%、例えば、約15重量%~約45重量%、約20重量%~約40重量%、約20重量%~約35重量%、または約20重量%~約30重量%の補因子を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約20重量%~約40重量%の補因子を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約20重量%~約30重量%の補因子を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約15重量%~約35重量%の補因子を含んでもよい。特定の実施形態では、補因子、例えば、NAD(P)は、分析物応答性活性エリア内に物理的に保持されてもよい。例えば、限定するものではないが、分析物応答性活性エリアをオーバーコーティングする膜は、分析物の検出を可能にするのに十分な分析物の内側への拡散を依然として可能にしながら、分析物応答性活性エリア内に補因子を保持するのを助けることができる。
【0223】
A.介在膜のない活性エリア
本開示は、分析物を検出するための1つ以上の酵素系を含む分析物センサを提供する。特定の実施形態では、本開示の分析物センサの分析物応答性活性エリアは、目的の分析物を間接的に検出するように協調して作用する2つ以上の酵素系を含み、2つ以上の酵素系は、介在層の存在なしに互いの上に配置される。このような酵素系の非限定的な実施形態は、図22C、23C、および26Cに提供され、このような酵素系を含む活性エリアの構造の非限定的な実施形態は、図22A、23A、および26Aに提供される。あるいは、目的の分析物を間接的に検出するために協調して作用する2つ以上の酵素系は、同じ層内に保持されてもよい。
【0224】
特定の実施形態では、分析物の間接測定は、第1の酵素系と第2の酵素系との組み合わせを用いることによって可能になる。特定の実施形態では、第1の酵素系601は、第1の分析物に応答する。特定の実施形態では、第2の酵素系602は、目的の分析物、例えば第2の分析物の存在下で第1の分析物を消費する。特定の実施形態では、第1の分析物は、対象由来の試料中に比較的安定したレベルで存在する分析物である。特定の実施形態では、第1の分析物は、対象において、例えば、試験されている対象において、約5%超、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、または約50%超のその濃度の変化を示さない。例えば、限定するものではないが、対象は、第1の分析物の調節不全に関連する障害を有していない。
【0225】
特定の実施形態では、そのような酵素系は図22Cに示される。特定の実施形態では、グルコース(すなわち、第1の分析物)に特異的な酵素を含む第1の酵素系601が、本開示の分析物センサにおいて提供される。グルコース応答性酵素、例えばグルコースオキシダーゼ(GOX)は、補酵素フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)の存在下で、グルコースからの電子の受容によって、グルコノラクトンへのグルコースの酸化反応を触媒する。次いで、電子は、還元されたFAD(FADH)からレドックスメディエータ(例えば、X7)に移動され、次いで、レドックスメディエータは、検出のために電子を作用電極に移動させる。特定の実施形態では、目的の分析物、すなわち第2の分析物に特異的な酵素を含む第2の酵素系を、本開示の分析物センサの分析物応答性活性エリアに含めてもよい。例えば、限定するものではないが、第2の酵素系602は、目的の分析物に特異的なオキシドレダクターゼを含んでもよい。特定の実施形態では、そのような酵素系は図22Cに示される。特定の実施形態では、オキシドレダクターゼは、NAD(P)依存性オキシドレダクターゼ、例えば、NAD(P)依存性レダクターゼである。NAD(P)依存性レダクターゼは、その補酵素NADの存在下で、目的の分析物の還元およびNADHのNAD+への酸化を触媒することができる。第2の酵素系の第2の酵素、NAD依存性グルコース応答性酵素、例えば、グルコースに特異的なNAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(NADGDH)は、目的の分析物の還元反応によって生成されるNAD+の存在下で、グルコース(すなわち、第1の分析物)のグルコノラクトンへの酸化反応を触媒することができる。協調して作用する第1の酵素系および第2の酵素系の正味の結果は、目的の分析物の存在下でのグルコースの消費およびグルコースレベルに基づくセンサ信号の低下である。第2の分析物が存在しない場合、グルコースは、第1の酵素系の酵素反応の基質としてのみ作用することができ、グルコースベースのセンサ信号は影響を受けない。センサ信号と分析物レベルとの間のこの電流関係は図22Aに示されており、図22Aは、目的の分析物の存在下で、グルコース濃度に基づくセンサ信号が減少し、信号の減少が、試験される試料中の目的の分析物の濃度に比例することを示している。特定の実施形態は、センサ信号は、目的の分析物、例えば、第2の分析物のレベルに反比例する。
【0226】
特定の実施形態では、本明細書に開示される分析物センサを使用して検出され得る分析物は、NAD(P)依存性オキシドレダクターゼなどのNAD(P)依存性酵素によって還元される分析物であり得る。特定の実施形態では、分析物としては、グルタミン酸塩、グルコース、ケトン、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、アスパラギン、アスパラギン酸塩、ナトリウム、総タンパク質、尿酸、アセトン、アセト酢酸塩、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸塩、1,3-ビスホスホグリセリン酸、6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンなどであり得る。特定の実施形態では、分析物は、ケトン、アセトン、アセト酢酸塩、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸塩、1,3-ビスホスホグリセリン酸、および6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンから選択される。このような分析物の還元を触媒するために使用することができるNAD(P)依存性オキシドレダクターゼ、例えば、NAD(P)依存性レダクターゼまたはNAD(P)依存性デヒドロゲナーゼの非限定的な例は、上に記載されている。
【0227】
特定の実施形態では、本開示の分析物センサの分析物応答性活性エリアは、図22Aに示される構造を有してもよい。図22Aに示されるように、2つの別個の酵素系(すなわち、第1の酵素系601および第2の酵素系602)は、介在膜層の存在なしに、互いの上に直接積層される。特定の実施形態では、第1の酵素系601を含む第1の層は、作用電極上に直接配置される(本明細書では「第1の酵素層」とも呼ばれる)。特定の実施形態では、第1の酵素層は、グルコース応答性酵素、例えば、GOX、およびレドックスメディエータを含む。特定の実施形態では、第2の酵素系602を含む第2の層は、図22Aに示されるように、第1の酵素層上に直接配置される(本明細書では「第2の酵素層」とも呼ばれる)。特定の実施形態では、第2の酵素層は、目的の分析物に特異的なレダクターゼ、NAD(P)依存性グルコース応答性酵素(例えば、NADGDH)、および/または関連する補酵素(例えば、NAD(P))を含む。
【0228】
特定の実施形態では、本開示は、アセトンを検出するための分析物センサを提供する。アセトンを検出するのに適した酵素系の非限定的な実施形態を図23Cに提供する。特定の実施形態では、アセトン検出用分析物センサは、第1の分析物に特異的な酵素を含む第1の酵素系701を含んでもよい。特定の実施形態では、アセトン検出用分析物センサは、グルコース(すなわち第1の分析物)に特異的な酵素、すなわちグルコース応答性酵素(例えばGOX)を含む第1の酵素系701を含んでもよい。GOXは、補酵素FADの存在下において、グルコースからの電子の受容によって、グルコノラクトンへのグルコースの酸化反応を触媒する。次いで、電子は、FADHからレドックスメディエータ(例えば、X7)に移動され、次いで、レドックスメディエータは、検出のために電子を作用電極に移動させる。特定の実施形態では、アセトンに特異的な酵素を含む第2の酵素系702がセンサに含まれる。特定の実施形態では、酵素はケトレダクターゼである。特定の実施形態では、ケトレダクターゼは、その補酵素NADの存在下で、アセトンの還元およびNADのNAD+への酸化を触媒することができる。第2の酵素系の第2の酵素、NAD依存性グルコース応答性酵素(例えば、NADGDH)は、アセトンの還元反応によって生成されるNAD+の存在下で、グルコース(すなわち、第1の分析物)のグルコノラクトンへの酸化反応を触媒することができる。協調して作用する第1の酵素系および第2の酵素系の正味の結果は、アセトンの存在下でのグルコースの消費およびグルコースセンサ信号の低下である。アセトンが存在しない場合、グルコースは、第1の酵素系の酵素反応の基質としてのみ作用することができ、グルコースベースのセンサ信号は影響を受けない。センサ信号とアセトンレベルとの間のこの電流関係は図23Bに示されており、図23Bは、アセトンの存在下で、グルコース濃度に基づくセンサ信号が減少し、信号の減少が、アセトンの濃度に比例することを示している。
【0229】
特定の実施形態では、本開示のアセトンセンサの分析物応答性活性エリアは、図23Aに示される構造を有してもよい。図23Aに示されるように、2つの別個の酵素系(すなわち、第1の酵素系701および第2の酵素系702)は、介在膜層の存在なしに、互いの上に直接積層される。特定の実施形態では、第1の酵素系701を含む第1の層は、作用電極上に直接配置される(本明細書では「第1の酵素層」とも呼ばれる)。特定の実施形態では、第1の酵素層は、グルコース応答性酵素、例えば、GOX、およびレドックスメディエータを含む。特定の実施形態では、第2の酵素系702を含む第2の層は、図23Aに示されるように、第1の酵素層上に直接配置される(本明細書では「第2の酵素層」とも呼ばれる)。特定の実施形態では、第2の酵素層は、アセトンに特異的なケトレダクターゼ(KRED)、NAD(P)依存性グルコース応答性酵素(例えば、NADGDH)、および/または関連する補酵素(例えば、NAD(P))を含む。
【0230】
特定の実施形態では、本開示は、アセト酢酸塩を検出するための分析物センサを提供する。アセト酢酸塩を検出するのに適した酵素系の非限定的な実施形態を図26Cに提供する。特定の実施形態では、アセト酢酸塩検出用分析物センサは、第1の分析物に応答する酵素を含む第1の酵素系1001を含んでもよい。特定の実施形態では、アセト酢酸塩検出用分析物センサは、グルコース応答性酵素、例えば、GOXを含む第1の酵素系1001を含んでもよい。本明細書に説明されるように、GOXは、FADの存在下において、グルコースからの電子の受容によって、グルコノラクトンへのグルコースの酸化反応を触媒する。次いで、電子は、FADHからレドックスメディエータ(例えば、X7)に移動され、次いで、レドックスメディエータは、検出のために電子を作用電極に移動させる。特定の実施形態では、アセト酢酸塩に特異的な酵素を含む第2の酵素系1002がセンサに含まれる。特定の実施形態では、酵素は、デヒドロゲナーゼ、例えば、3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ(HBDH)である。特定の実施形態では、HBDHは、その補酵素NADの存在下で、アセト酢酸塩の還元およびNADのNAD+への酸化を触媒することができる。第2の酵素系の第2の酵素、NAD(P)依存性グルコース応答性酵素(例えば、NADGDH)は、アセト酢酸塩の還元反応によって生成されるNAD+の存在下で、グルコース(すなわち、第1の分析物)のグルコノラクトンへの酸化反応を触媒することができる。協調して作用する第1の酵素系および第2の酵素系の正味の結果は、アセト酢酸塩の存在下でのグルコースの消費およびグルコースセンサ信号の低下である。アセト酢酸塩が存在しない場合、グルコースは、第1の酵素系の酵素反応の基質としてのみ作用することができ、グルコースベースのセンサ信号は影響を受けない。センサ信号とアセト酢酸塩レベルとの間のこの電流関係は図26Bに示されており、図26Bは、アセト酢酸塩の存在下で、グルコース濃度に基づくセンサ信号が減少し、信号の減少が、アセト酢酸塩の濃度に比例することを示している。
【0231】
特定の実施形態では、本開示のアセト酢酸塩センサの分析物応答性活性エリアは、図26Aに示される構造を有してもよい。図26Aに示されるように、2つの別個の酵素系(すなわち、第1の酵素系1001および第2の酵素系1002)は、介在膜層の存在なしに、互いの上に直接積層される。アセト酢酸塩を検出するのに適した酵素系の非限定的な実施形態を図26Cに提供する。特定の実施形態では、第1の酵素系1001を含む第1の層は、作用電極上に直接配置される(本明細書では「第1の酵素層」とも呼ばれる)。特定の実施形態では、第1の酵素層は、グルコース応答性酵素、例えば、GOX、およびレドックスメディエータを含む。特定の実施形態では、第2の酵素系1002を含む第2の層は、図26Aに示されるように、第1の酵素層上に直接配置される(本明細書では「第2の酵素層」とも呼ばれる)。特定の実施形態では、第2の酵素層は、アセト酢酸塩に特異的なレダクターゼ(例えば、HBDH)、NAD(P)依存性グルコース応答性酵素(例えば、NADGDH)、および/または関連する補酵素(例えば、NAD(P))を含む。
【0232】
特定の実施形態では、第1の酵素系および第2の酵素系は、同じ酵素層内に保持される。例えば、限定するものではないが、第1の分析物、例えばグルコースに応答する酵素は、目的の分析物、例えば第2の分析物に応答する酵素と同じ層に存在する。特定の実施形態では、グルコース応答性酵素、例えば、GOXは、目的の分析物、例えば、第2の分析物に応答性であるNAD(P)依存性レダクターゼと同じ層に存在する。
【0233】
B.介在膜を有する活性エリア
本開示は、分析物を検出するための1つ以上の酵素系を含む分析物センサを提供する。特定の実施形態では、本開示の分析物センサの分析物応答性活性エリアは、目的の分析物を直接に検出するように協調して作用する2つ以上の酵素系を含み、その2つの酵素系は、介在膜層によって分離される。このような酵素系の非限定的な実施形態は、図25C~25Dおよび27C~27Dに提供され、このような酵素系を含む活性エリアの構造の非限定的な実施形態は、図25Aおよび27Aに提供される。
【0234】
特定の実施形態では、目的の分析物は、第1の分析物および目的の分析物(すなわち、第2の分析物)に特異的な酵素を含む酵素系を使用することによって検出され得、この時、目的の分析物は、第1の分析物の存在下で中間生成物に変換される。次いで、中間生成物は、別の酵素系によって検出され、目的の分析物(すなわち、第2の分析物)の量に比例する測定可能な信号を生成する。
【0235】
特定の実施形態では、第1の分析物は、対象由来の試料中に比較的安定したレベルで存在する分析物である。特定の実施形態では、第1の分析物は、対象において、例えば、試験されている対象において、約5%超、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、または約50%超のその濃度の変化を示さない。例えば、限定するものではないが、対象は、第1の分析物の調節不全に関連する障害を有していない。
【0236】
特定の実施形態では、本明細書に開示される分析物センサを使用して検出され得る分析物は、NAD(P)依存性オキシドレダクターゼなどのNAD(P)依存性酵素によって還元される分析物であり得る。特定の実施形態では、分析物としては、グルタミン酸塩、グルコース、ケトン、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、アスパラギン、アスパラギン酸塩、ナトリウム、総タンパク質、尿酸、アセトン、アセト酢酸塩、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸塩、1,3-ビスホスホグリセリン酸、6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンなどであり得る。特定の実施形態では、分析物は、ケトン、アセトン、アセト酢酸塩、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸塩、1,3-ビスホスホグリセリン酸、および6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンから選択される。このような分析物の還元を触媒するために使用することができるNAD(P)依存性オキシドレダクターゼ、例えば、NAD(P)依存性レダクターゼまたはNAD(P)依存性デヒドロゲナーゼの非限定的な例は、上に記載されている。
【0237】
特定の実施形態では、本開示の分析物センサの分析物応答性活性エリアは、図25Aに示される構造を有してもよい。図25Aに示されるように、2つの別個の酵素系(すなわち、第1の酵素系(902)および第2の酵素系(904))は、膜層903によって分離される。特定の実施形態では、第1の酵素系902を含む第1の層(本明細書では「第1の酵素層」とも呼ばれる)は、膜層903の上に配置され、例えば、膜層903の上に直接配置される。特定の実施形態では、第1の膜層901は、第1の酵素層902の上に配置される。特定の実施形態では、活性エリアは、図25Aに示されるように、作用電極と膜層903(例えば、第2の膜層)との間に介在する第2の酵素系904を含む第2の層(本明細書では「第2の酵素層」とも呼ばれる)を含む。特定の実施形態では、第1の酵素層は、第1の分析物に応答するNAD(P)依存性酵素と、目的の分析物(例えば、第2の分析物)に対するNAD(P)依存性レダクターゼとを含む第1の酵素系を含む。特定の実施形態では、第2の酵素層は、目的の分析物(例えば、第2の分析物の中間体)に応答するNAD(P)依存性酵素を含む第2の酵素系を含む。特定の実施形態では、中間体は、目的の分析物(例えば、第2の分析物)の還元型である。
【0238】
本開示は、アセトンを検出するための分析物センサを提供する。例えば、限定するものではないが、アセトン検出用分析物センサは、第1の酵素系および第2の酵素系を含んでもよい。特定の実施形態では、アセトン検出用分析物センサは、図25C(例えば、第1の酵素系)および図25D(例えば、第2の酵素系)に示される酵素系を含んでもよい。特定の実施形態では、グルコース(すなわち、第1の分析物)に特異的な第1の酵素系の第1の酵素は、NAD(P)依存性グルコース応答性酵素、例えば、補酵素NADの存在下でグルコースの酸化を触媒して還元NAD(すなわち、NADH)およびグルコノラクトンを生成するNAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼである。アセトンに特異的な第1の酵素系の第2の酵素、すなわちケトレダクターゼは、NADHの存在下でアセトンの反応を触媒して、イソプロピルアルコール(IPA)を生成する。次いで、第1の酵素系によって生成されたIPA(本明細書では中間生成物とも呼ばれる)を、第2の酵素系の基質として使用して、測定可能な信号を生成することができる。特定の実施形態では、第2の酵素系は、IPAを検出するために使用され得る酵素のペアを含む。特定の実施形態では、協奏的な酵素対は、ケトレダクターゼまたはアルコールデヒドロゲナーゼおよびジアフォラーゼであり得る。特定の実施形態では、ケトレダクターゼまたはアルコールデヒドロゲナーゼは、NAD+の存在下で、IPAをアセトンに変換し、NAD+をNADHに変換することができる。次いで、NADHは、ジアフォラーゼによってNAD+に酸化され得、次いで、電子(複数可)をレドックスメディエータ、例えば、X7に移動させ得る。次いで、レドックスメディエータをアノード、すなわち作用電極で酸化し得る。この反応中に移動した電子は、作用電極でのIPA検出の基礎を提供する。次いで、得られた電気化学信号を、試料中に最初に存在していたアセトンの量と相関させることができる。特定の実施形態では、第1の酵素系および第2の酵素系のケトレダクターゼは同じでもよい。あるいは、第1の酵素系および第2の酵素系のケトレダクターゼは異なっていてもよい。例えば、限定するものではないが、第2の酵素系のケトレダクターゼは、アルコールデヒドロゲナーゼでもよい。特定の実施形態では、これら2つの酵素系を含む本開示のアセトンセンサの分析物応答性活性エリアは、上述されるように、図25Aに示される構造を有してもよい。
【0239】
本開示は、アセト酢酸塩を検出するための分析物センサを提供する。例えば、限定するものではないが、アセト酢酸塩検出用分析物センサは、第1の酵素系および第2の酵素系を含んでもよい。特定の実施形態では、アセト酢酸塩検出用分析物センサは、図27C(例えば、第1の酵素系)および図27D(例えば、第2の酵素系)に示される酵素系を含んでもよい。特定の実施形態では、グルコース(すなわち、第1の分析物)に特異的な第1の酵素系の第1の酵素は、NAD(P)依存性グルコース応答性酵素、例えば、補酵素NADの存在下でグルコースの酸化を触媒してNADHおよびグルコノラクトンを生成するNAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼである。アセト酢酸塩に特異的な第1の酵素系の第2の酵素、すなわち、NAD依存性レダクターゼ(例えば、3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ(HBDH))は、NADHの存在下でアセト酢酸塩の反応を触媒して、3-ヒドロキシ酪酸塩(3-HB;本明細書では「β-ヒドロキシ酪酸塩」とも呼ばれる)を生成する。次いで、第1の酵素系によって生成された3-HBを、第2の酵素系の基質として使用して、測定可能な信号を生成することができる。特定の実施形態では、第2の酵素系は、3-HBを検出するために使用され得る酵素のペアを含む。特定の実施形態では、協奏的な酵素対は、NAD依存性レダクターゼ、例えば、3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ(HBDH)、およびジアフォラーゼを含み得る。特定の実施形態では、3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼは、NAD+の存在下で、3-HBをアセト酢酸塩に変換し、NAD+をNADHに変換することができる。次いで、NADHは、ジアフォラーゼによってNAD+に酸化され得、次いで、電子をレドックスメディエータ、例えば、X7に移動させ得る。次いで、レドックスメディエータは、アノード、すなわち作用電極で酸化され得、この反応中に移動した電子は、作用電極でのIPA検出の基礎を提供する。次いで、得られた電気化学信号を、試料、例えば間質液中に最初に存在していたアセト酢酸塩の量と相関させることができる。特定の実施形態では、第1の酵素系および第2の酵素系のNAD依存性レダクターゼは同じでもよい。あるいは、第1の酵素系のNAD依存性レダクターゼおよび第2の酵素系のNAD依存性レダクターゼは異なっていてもよい。特定の実施形態では、これら2つの酵素系を含む本開示のアセト酢酸塩センサの分析物応答性活性エリアは、図27Aに示される構造を有してもよい。
【0240】
図27Aに示されるように、2つの別個の酵素系(すなわち、第1の酵素系(1102)および第2の酵素系(1104))は、膜層1103によって分離される。特定の実施形態では、第1の酵素系1102を含む第1の層(本明細書では「第1の酵素層」とも呼ばれる)は、膜層1103の上に配置され、例えば、膜層1103の上に直接配置される。特定の実施形態では、第1の酵素系は、NAD(P)依存性グルコース応答性酵素(例えば、NAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ)およびアセト酢酸塩に特異的なNAD依存性レダクターゼ(例えば、3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ(HBDH))を含む。特定の実施形態では、第1の膜層1101は、第1の酵素層1102の上に配置される。特定の実施形態では、活性エリアは、図27Aに示されるように、作用電極と膜層1103(例えば、第2の膜層)との間に介在する第2の酵素系1104を含む第2の層(本明細書では「第2の酵素層」とも呼ばれる)を含む。特定の実施形態では、第2の酵素系は、3-HBに特異的なNAD依存性レダクターゼ(例えば、3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ(HBDH))およびジアフォラーゼを含む。
【0241】
特定の実施形態では、第1の膜層および第2の膜層は、同じ組成である。あるいは、2つの膜層の組成は、本明細書に開示されるように異なってもよい。例えば、限定するものではないが、第1の膜層は、本明細書に記載されるような物質移動制限膜でもよい。特定の実施形態では、第2の膜層は、本明細書に記載されるような物質移動制限膜でもよい。特定の実施形態では、膜層のいずれか1つは、物質移動制限膜を生成するために、本明細書に記載される1つ以上のポリマーを含んでもよい。特定の実施形態では、第1の膜層および/または第2の膜層は、ポリビニルピリジン系ポリマーを含む。特定の実施形態では、第1の膜層および/または第2の膜層は、ポリビニルピリジン(例えば、ポリ(2-ビニルピリジン)もしくはポリ(4-ビニルピリジン))またはその誘導体を含むポリマーまたはコポリマーを含む。
【0242】
特定の実施形態では、例えばセクション2Aおよび2Bに記載されるような本開示の分析物センサは、第2の作用電極をさらに含んでもよい。特定の実施形態では、第2の作用電極上の活性エリア(「第2の活性エリア」)は、第1の活性エリアとは異なる分析物を検出するように構成される。あるいは、第2の分析物応答性活性エリアは、第1の活性エリアと同じ分析物を検出するように構成される。特定の実施形態では、第2の分析物は、グルタミン酸塩、グルコース、ケトン、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、アスパラギン、アスパラギン酸塩、ナトリウム、総タンパク質、尿酸、アセトン、アセト酢酸塩、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸塩、1,3-ビスホスホグリセリン酸、および/または6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンから選択される。
【0243】
特定の実施形態では、そのような分析物センサは、少なくとも第1の作用電極および第2の作用電極を有するセンサ尾部と、第1の作用電極の表面上に配置された第1の分析物応答性活性エリアと、第2の作用電極の表面上に配置された第2の分析物応答性活性エリアとを含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアの少なくとも1つは、NAD(P)依存性レダクターゼを含む。特定の実施形態では、他の分析物応答性活性エリアは、NAD(P)依存性レダクターゼに応答性の分析物とは異なる分析物を検出するように構成される。特定の実施形態では、各分析物の検出は、別個の信号が各酵素系から得られるように、電位を各作用電極に別々に印加することを含んでもよい。次いで、各分析物から得られた信号は、較正曲線もしくは関数の使用を介して、またはルックアップテーブルを使用することによって、分析物濃度に相関され得る。ある特定の実施形態では、分析物濃度に対する分析物信号の相関は、プロセッサの使用を通して行われてもよい。
【0244】
各分析物に対する分析物センサの感度(出力電流)は、活性エリアの被覆率(面積またはサイズ)、互いに対する活性エリアの面積比、活性エリアをオーバーコーティングする物質移動制限膜の同一性、厚さ、および/または組成を変化させることによって変化させることができることも理解されたい。これらのパラメータの変更は、本明細書の開示の利益を与えられた当業者によって容易に行うことができる。
【0245】
3.レドックスメディエータ
特定の実施形態では、本明細書に開示される分析物センサの活性エリアは、電子移動剤を含んでもよい。特定の実施形態では、活性エリアにおける電子移動剤の存在は、分析物を検出するために使用される酵素または酵素系、および/または作用電極の組成に依存し得る。
【0246】
特定の実施形態では、分析物センサの1つ以上の活性エリアは、電子移動剤を含んでもよい。例えば、限定するものではないが、分析物センサは、電子移動剤を含む1つの分析物応答性活性エリアと、電子移動剤を含まない第2の分析物応答性活性エリアとを含んでもよい。あるいは、分析物センサは、2つの分析物応答性活性エリアを含み、両方の分析物応答性活性エリアが電子移動剤を含んでもよい。
【0247】
特定の実施形態では、分析物応答性活性エリア内の1つ以上の酵素層は、電子移動剤を含んでもよい。例えば、限定するものではないが、分析物センサは、分析物応答性活性エリア内の電子移動剤を含む第1の酵素層と、分析物応答性活性エリア内の電子移動剤を含まない第2の酵素層とを含んでもよい。あるいは、分析物センサは、分析物応答性活性エリア内に2つの酵素層を含み、両方の酵素層が電子移動剤を含んでもよい。特定の実施形態では、作用電極上に直接配置される酵素層は、電子移動剤を含む(例えば、図22A(例えば、601)、23A(例えば、701)、25A(例えば、904)、26A(例えば、1001)、および27A(例えば、1104)参照)。
【0248】
本開示の分析物センサにおける使用に適切な電子移動剤は、分析物が対応する活性エリア内で酵素的酸化還元反応を受けた後に、隣接する作用電極への電子の伝達を容易にすることができ、それによって、その特定の分析物の存在を示す電流を生成する。生成される電流の量は、存在する分析物の量に比例する。
【0249】
特定の実施形態では、適切な電子移動剤としては、標準カロメル電極(SCE)の酸化還元電位より数百ミリボルト高いまたは低い酸化還元電位を有する電気還元性イオンや電気酸化性のイオン、錯体または分子(例えば、キノン)を挙げることができる。特定の実施形態では、レドックスメディエータは、オスミウム錯体および他の遷移金属錯体、例えば、米国特許第6,134,461号明細書および同第6,605,200号明細書に記載されているものを含んでもよく、これらは参照によりその全体が本明細書に援用される。好適なレドックスメディエータのさらなる例としては、米国特許第6,736,957号明細書、同第7,501,053号明細書、および同第7,754,093号明細書に記載されているものが挙げられ、これらの各々の開示もまた、参照によりその全体が本明細書に援用される。好適なレドックスメディエータの他の例としては、ルテニウム、オスミウム、鉄(例えば、ポリビニルフェロセンまたはヘキサシアノ鉄酸塩)、またはコバルトの金属化合物または錯体(例えば、それらのメタロセン化合物を含む)が挙げられる。金属錯体に適した配位子としては、例えば、ビピリジン、ビイミダゾール、フェナントロリン、またはピリジル(イミダゾール)などの二座配位子またはより高次の座配位子も挙げることができる。他の好適な二座配位子としては、例えば、アミノ酸、シュウ酸、アセチルアセトン、ジアミノアルカン、またはo-ジアミノアレーンを挙げることができる。単座、二座、三座、四座以上の配位子の任意の組み合わせが、金属錯体、例えばオスミウム錯体中に存在して、完全な配位圏を達成することができる。特定の実施形態では、電子移動剤はオスミウム錯体である。特定の実施形態では、電子移動剤は、二座配位子と錯体を形成したオスミウムである。特定の実施形態では、電子移動剤は、三座配位子と錯体を形成したオスミウムである。
【0250】
特定の実施形態では、本明細書に開示される電子移動剤は、以下でさらに論じられるように、活性エリア内のポリマー(本明細書ではポリマー骨格とも呼ばれる)への共有結合を促進するための好適な官能基を含んでもよい。例えば、限定するものではないが、本開示における使用のための電子移動剤は、ポリマー結合電子移動剤を含んでもよい。ポリマー結合電子移動剤の好適な非限定的な例としては、米国特許第8,444,834号明細書、同第8,268,143号明細書、および同第6,605,201号明細書に記載されているものが挙げられ、これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される。特定の実施形態において、電子移動剤は、本明細書に記載されるポリマーに結合した二座オスミウム錯体である。特定の実施形態では、電子移動剤は、本明細書に説明されるポリマー、例えば、以下のセクション4に説明されるポリマー骨格に結合した二座オスミウム錯体である。特定の実施形態では、米国特許第8,444,834号明細書の図3に示されるポリマー結合電子移動剤は、本開示のセンサにおいて使用することができる。
【0251】
特定の実施形態では、分析物を検出するための活性エリアは、電子移動剤を含んでもよい。例えば、限定するものではないが、本開示の分析物センサは、少なくとも第1の作用電極を含むセンサ尾部と、(例えば、第1の酵素層を生成するために)第1の作用電極の表面上に配置された第1の酵素系および電子移動剤を含む第1の分析物応答性エリアとを含んでもよい。特定の実施形態では、本開示の分析物センサは、(例えば、第2の酵素層を生成するために)第1の酵素系上に配置された第2の酵素系をさらに含んでもよい。特定の実施形態では、例えば図25Aおよび27Aに示されるように、膜が第1の酵素系(例えば、第1の酵素層)と第2の酵素系(例えば、第2の酵素層)とを分離する。特定の実施形態では、活性エリアは、例えば、図22A、23A、および26Aに示されるように、第1の酵素系(例えば、第1の酵素層)と第2の酵素系(例えば、第2の酵素層)とを分離する膜を含まない。特定の実施形態では、第2の酵素系および/または第1の酵素系は、例えば、図22A、23A、25A、26Aおよび27Aに示され、実施例に記載されるように、電子移動剤を含まない。特定の実施形態では、第2の酵素系は、図22A、23A、および26Aに示され、実施例に記載されるように、電子移動剤を含まない。特定の実施形態では、第1の酵素系は、図22A、23A、および26Aに示され、実施例に記載されるように、電子移動剤を含む。特定の実施形態では、第1の酵素系は、図25Aおよび27Aに示され、実施例に記載されるように、電子移動剤を含まない。特定の実施形態では、第2の酵素系は、図25Aおよび27Aに示され、実施例に記載されるように、電子移動剤を含む。
【0252】
特定の実施形態では、本開示の活性エリアは、約100:1~約1:100、例えば、約95:1~約1:95、約90:1~約1:90、約85:1~約1:85、約80:1~約1:80、約75:1~約1:75、約60:1~約1:60、約55:1~約1:55、約50:1~約1:50、約45:1~約1:45、約40:1~約1:40、約35:1~約1:35、約30:1~約1:30、約25:1~約1:25、約20:1~約1:20、約15:1~約1:15、約10:1~約1:10、約9:1~約1:9、約8:1~約1:8、約7:1~約1:7、約6:1~約1:6、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、または約2:1~約1:2の1つ以上の酵素、例えば、NAD(P)依存性酵素(例えば、NAD(P)依存性オキシドレダクターゼ)対レドックスメディエータの比を含んでもよい。特定の実施形態では、活性エリアは、約7:1~約1:7の1つ以上の酵素、例えば、NAD(P)依存性酵素(例えば、NAD(P)依存性オキシドレダクターゼ)対レドックスメディエータの比を含んでもよい。特定の実施形態では、活性エリアは、約6:1~約1:6の1つ以上の酵素、例えば、NAD(P)依存性酵素(例えば、NAD(P)依存性オキシドレダクターゼ)対レドックスメディエータの比を含んでもよい。特定の実施形態では、活性エリアは、約5:1~約1:5の1つ以上の酵素、例えば、NAD(P)依存性酵素(例えば、NAD(P)依存性オキシドレダクターゼ)対レドックスメディエータの比を含んでもよい。特定の実施形態では、活性エリアは、約4:1~約1:4の1つ以上の酵素、例えば、NAD(P)依存性酵素(例えば、NAD(P)依存性オキシドレダクターゼ)対レドックスメディエータの比を含んでもよい。特定の実施形態では、活性エリアは、約3:1~約1:3の1つ以上の酵素、例えば、NAD(P)依存性酵素(例えば、NAD(P)依存性オキシドレダクターゼ)対レドックスメディエータの比を含んでもよい。特定の実施形態では、活性エリアは、約2:1~約1:2の1つ以上の酵素、例えば、NAD(P)依存性酵素(例えば、NAD(P)依存性オキシドレダクターゼ)対レドックスメディエータの比を含んでもよい。特定の実施形態では、活性エリアは、約1:1の1つ以上の酵素、例えば、NAD(P)依存性酵素(例えば、NAD(P)依存性オキシドレダクターゼ)対レドックスメディエータの比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約10重量%~約50重量%のレドックスメディエータ、例えば、約15重量%~約45重量%、約20重量%~約40重量%、約20重量%~約35重量%、または約20重量%~約30重量%のレドックスメディエータを含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約5重量%~約35重量%のレドックスメディエータを含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約10重量%~約35重量%のレドックスメディエータを含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約10重量%~約30重量%のレドックスメディエータを含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約20重量%~約30重量%のレドックスメディエータを含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約15重量%~約35重量%のレドックスメディエータを含んでもよい。
【0253】
4.ポリマー骨格
特定の実施形態では、分析物検出を促進するための1つ以上の活性部位は、酵素および/またはレドックスメディエータが共有結合しているポリマーを含んでもよい。酵素および/またはレドックスメディエータの共有結合を介して分析物の検出を容易にするために、任意の適切なポリマー骨格が活性エリアに存在してもよい。活性エリア内の好適なポリマーの非限定的な例としては、ポリビニルピリジン、例えば、ポリ(4-ビニルピリジン)および/またはポリ(2-ビニルピリジン)、およびポリビニルイミダゾール、例えば、ポリ(N-ビニルイミダゾール)およびポリ(1-ビニルイミダゾール)、またはそれらのコポリマーが挙げられ、例えば、四級化ピリジン基が、レドックスメディエータまたは酵素の結合点として機能する。活性エリアに含めるのに好適であり得る例示的なコポリマーとしては、例えば、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、またはアクリロニトリルなどのモノマー単位を含有するものが挙げられる。特定の実施形態では、ポリマーは、ビニルピリジンとスチレンとのコポリマーである。特定の実施形態では、活性エリアに存在し得るポリマーとしては、ポリウレタンもしくはそのコポリマー、および/またはポリビニルピロリドンが挙げられる。活性エリアに存在し得るポリマーのさらなる非限定的な例としては、ポリ(アクリル酸)、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー(GANTREZポリマー)、ポリ(ビニルベンジルクロリド)、ポリ(アリルアミン)、ポリリジン、カルボキシペンチル基で四級化されたポリ(4-ビニルピリジン)、およびポリ(4-スチレンスルホン酸ナトリウム)などの、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許第6,605,200号明細書に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。分析物センサが2つの活性部位を含む特定の実施形態では、各活性エリア内のポリマーは同じであっても異なっていてもよい。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリビニルピリジン、またはビニルピリジンとスチレンとのコポリマーである。
【0254】
特定の実施形態では、ポリマーは、ポリビニルピリジン系ポリマーである。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリビニルピリジンまたはそのコポリマーである。特定の実施形態では、ポリマーは、ビニルピリジンとスチレンとのコポリマーである。
【0255】
特定の実施形態では、本開示の分析物センサの分析物応答性活性エリアは、本明細書に記載されるような1つ以上の酵素を含んでもよい。特定の実施形態では、活性エリアは2つの酵素層を含んでもよい。特定の実施形態では、各酵素層はポリマーを含んでもよい。あるいは、酵素層の1つのみがポリマーを含んでもよい。例えば、限定するものではないが、レドックスメディエータを含む酵素層は、ポリマーを含有する。特定の実施形態では、酵素層はポリマーを含まない。
【0256】
特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアの1つ以上の酵素は、ポリマーに共有結合してもよい。例えば、限定するものではないが、NAD(P)依存性酵素は、分析物応答性活性エリア内のポリマーに共有結合してもよい。特定の実施形態では、複数の酵素を有する酵素系が所与の活性エリアに存在する場合、複数の酵素の全てをポリマーに共有結合させてもよい。特定の他の実施形態では、複数の酵素の一部のみがポリマーに共有結合している。例えば、限定するものではないが、酵素系内の1つ以上の酵素は、ポリマーに共有結合してもよく、少なくとも1つの酵素は、非共有結合した酵素がポリマー内に物理的に保持されるように、ポリマーと非共有結合してもよい。特定の実施形態では、活性エリアが第1の酵素系および第2の酵素系を含む場合、第1の酵素系からの1つ以上の酵素は、活性エリア内のポリマーに共有結合し、第2の酵素系内の1つ以上の酵素は、ポリマーと非共有結合してもよい。
【0257】
特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアをオーバーコーティングする膜は、分析物の検出を可能にするのに十分な分析物の内側への拡散を依然として可能にしながら、分析物応答性活性エリア内に1つ以上の酵素を保持するのを助けることができる。分析物応答性活性エリアをオーバーコーティングするための適切な膜ポリマーは、本明細書においてさらに記載される。
【0258】
特定の実施形態では、安定化剤が活性エリアに存在する場合、活性エリア内の1つ以上の酵素は、安定化剤に共有結合してもよい。例えば、限定するものではないが、1つ以上の酵素は、活性エリアに存在する安定化剤、例えばアルブミンに共有結合してもよい。特定の実施形態では、本開示の活性エリアに存在するNAD(P)依存性酵素は、安定化剤に共有結合してもよい。
【0259】
特定の実施形態では、所与の活性エリアにおけるポリマーおよび/または安定化剤への1つ以上の酵素および/またはレドックスメディエータの共有結合は、好適な架橋剤によって導入される架橋を介して起こり得る。特定の実施形態では、1つ以上の酵素および/またはレドックスメディエータへのポリマーおよび/または安定化剤の架橋は、電極からの酵素組成物の層間剥離の発生を低減することができる。好適な架橋剤は、ビニル、アルコキシ、アセトキシ、エノキシ、オキシム、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、ハロ、アクリル酸塩、エポキシド、およびイソシアナート基などであるがこれらに限定されない1つ以上の架橋性官能基を含んでもよい。特定の実施形態では、架橋剤は、1つ以上、2つ以上、3つ以上、または4つ以上のエポキシド基を含む。例えば、限定するものではないが、本開示における使用のための架橋剤は、モノ-、ジ-、トリ-、およびテトラ-エチレンオキシドを含んでもよい。特定の実施形態では、酵素中の遊離アミノ基(例えば、リジン中の遊離側鎖アミン)との反応のための架橋剤としては、例えば、ポリエチレングリコールジブチルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリアルキレングリコールアリルメチルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)または他のポリエポキシド、塩化シアヌル、N-ヒドロキシスクシンイミド、イミドエステル、エピクロロヒドリン、またはそれらの誘導体化変異体などの架橋剤を挙げることができる。特定の実施形態では、架橋剤は、例えば、約200~1,000、例えば、約400の平均分子量(M)を有するPEGDGEである。特定の実施形態では、架橋剤はPEGDGE400である。特定の実施形態では、架橋剤はグルタルアルデヒドであり得る。特定の実施形態では、ポリマーへの酵素の架橋は、全般的に分子間である。特定の実施形態では、ポリマーへの酵素の架橋は、全般的に分子内である。
【0260】
特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約100:1~約1:100の架橋剤対活性エリアの1つ以上の酵素、例えば、NAD(P)依存性酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約40:1~約1:40、例えば、約35:1~約1:35、約30:1~約1:30、約25:1~約1:25、約20:1~約1:20、約15:1~約1:15、約10:1~約1:10、約9:1~約1:9、約8:1~約1:8、約7:1~約1:7、約6:1~約1:6、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2、または約1:1の架橋剤対活性エリア内の1つ以上の酵素、例えば、NAD(P)依存性酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約5:1~約1:5の架橋剤対活性エリアの1つ以上の酵素、例えば、NAD(P)依存性酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約4:1~約1:4の架橋剤対活性エリアの1つ以上の酵素、例えば、NAD(P)依存性酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約3:1~約1:3の架橋剤対活性エリアの1つ以上の酵素、例えば、NAD(P)依存性酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約2:1~約1:2の架橋剤対活性エリアの1つ以上の酵素、例えば、NAD(P)依存性酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約1:1の架橋剤対活性エリアの1つ以上の酵素、例えば、NAD(P)依存性酵素の比を含んでもよい。特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、約5重量%~約50重量%、例えば、約5重量%~約45重量%、約5重量%~約40重量%、約5重量%~約35重量%、約10重量%~約30重量%、または約10重量%~約25重量%の架橋剤を含んでもよい。
【0261】
5.物質移動制限膜
特定の実施形態では、本明細書に開示される分析物センサは、少なくとも1つの活性エリア、例えば、第1の活性エリアおよび/または第2の活性エリアをオーバーコートする膜をさらに含む。特定の実施形態では、膜は、活性エリアにおいて検出される分析物(単数または複数)に対して透過性である。特定の実施形態では、膜は、分析物センサの活性エリアの各々をオーバーコートする。あるいは、第1の膜が活性エリアの1つをオーバーコートし、第2の膜が第2の活性エリアをオーバーコートする。あるいは、第1の膜が活性エリアの1つをオーバーコートし、続いて第2の膜が第1の活性エリアおよび第2の活性エリアの両方をオーバーコートする。
【0262】
特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアをオーバーコーティングする膜は、物質移動制限膜として機能し、および/または生体適合性を改善するために機能することができる。物質移動制限膜は、分析物の物質移動速度を減少させるための拡散制限バリアとして作用し得る。例えば、限定するものではないが、分析物、例えば、グルタミン酸塩、グルコース、ケトン、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、アスパラギン、アスパラギン酸塩、ナトリウム、総タンパク質、尿酸、アセトン、アセト酢酸塩、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸塩、1,3-ビスホスホグリセリン酸、および/または6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンの分析物応答性活性エリアへの接近を物質移動制限膜で制限することは、センサ過負荷(飽和)を回避するのに役立ち、それによって検出性能および正確さを改善することができる。
【0263】
特定の実施形態では、物質移動制限膜は、均質であり得、単一成分(単一膜ポリマーを含有する)であり得る。あるいは、物質移動制限膜は、多成分(2つ以上の異なる膜ポリマーを含有する)であり得る。特定の実施形態では、多成分膜は、二層膜として、または2つ以上の膜ポリマーの均質な混和物として存在してもよい。均質な混和物は、溶液中で2つ以上の膜ポリマーを組み合わせ、次いで、その溶液を作用電極上に堆積させること(例えば、浸漬コーティング)によって堆積されてもよい。
【0264】
特定の実施形態では、物質移動制限膜は、2つ以上の層、例えば、二層または三層膜を含んでもよい。特定の実施形態では、各層は、異なるポリマーまたは同じポリマーを異なる濃度または厚さで含んでもよい。特定の実施形態では、第1の分析物応答性活性エリアは、多層膜、例えば、二層膜によって覆われてもよく、第2の分析物応答性活性エリアは、単一膜によって覆われてもよい。特定の実施形態では、第1の分析物応答性活性エリアは、多層膜、例えば、二層膜によって覆われてもよく、第2の分析物応答性活性エリアは、多層膜、例えば、二層膜によって覆われてもよい。特定の実施形態では、第1の分析物応答性活性エリアは、単一膜によって覆われてもよく、第2の分析物応答性活性エリアは、多層膜、例えば、二層膜によって覆われてもよい。特定の実施形態では、第1の分析物応答性活性エリアは、単一膜によって覆われてもよく、第2の分析物応答性活性エリアは、単一膜によって覆われてもよい。
【0265】
特定の実施形態では、物質移動制限膜は、複素環式窒素基を含有するポリマーを含んでもよい。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ポリビニルピリジン系ポリマーを含んでもよい。ポリビニルピリジン系ポリマーの非限定的な例は、米国特許出願公開第2003/0042137号明細書(例えば、式2b)に開示されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ポリビニルピリジン(例えば、ポリ(4-ビニルピリジン)またはポリ(4-ビニルピリジン))、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジンコポリマー(例えば、ビニルピリジンとスチレンとのコポリマー)、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン-コ-テトラフルオロエチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、生体安定性ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタンのホモポリマーまたはコポリマーまたはターポリマー、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニリデンジフルオリド、ポリブチレンテレフタラート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルエーテルケトン、セルロース系ポリマー、ポリスルホンおよびそれらのブロックコポリマー(例えば、ジブロック、トリブロック、交互、ランダムおよびグラフトコポリマーまたは化学的に関連した材料などを含む)を含み得る。
【0266】
特定の実施形態では、本開示において使用するための膜、例えば、単一成分膜は、ポリビニルピリジン(例えば、ポリ(4-ビニルピリジン)および/またはポリ(2-ビニルピリジン))を含んでもよい。特定の実施形態では、本開示において使用するための膜、例えば、単一成分膜は、ポリ(4-ビニルピリジン)を含んでもよい。特定の実施形態では、本開示において使用するための膜、例えば、単一成分膜は、ビニルピリジンとスチレンとのコポリマーを含んでもよい。特定の実施形態では、膜は、ポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーを含んでもよい。例えば、限定するものではないが、本開示において使用するためのポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーは、ピリジン窒素原子の一部が非架橋ポリエチレングリコール尾部で官能化され、ピリジン窒素原子の一部がアルキルスルホン酸、例えばプロピルスルホン酸基で官能化されたポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーを含んでもよい。特定の実施形態では、膜ポリマーとして使用するための誘導体化ポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーは、米国特許第8,761,857号明細書(その内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される)に説明されているような10Q5ポリマーであり得る。特定の実施形態では、ポリビニルピリジン系ポリマーは、約50Da~約500kDaの分子量を有する。
【0267】
ビニルピリジンとスチレンとの好適なコポリマーは、約0.01%~約50%モルパーセント、または約0.05%~約45%モルパーセント、または約0.1%~約40%モルパーセント、または約0.5%~約35%モルパーセント、または約1%~約30%モルパーセント、または約2%~約25%モルパーセント、または約5%~約20%モルパーセントの範囲のスチレン含量を有してもよい。置換スチレンも同様に、同様の量で使用することができる。ビニルピリジンとスチレンとの好適なコポリマーは、5kDa以上、または約10kDa以上、または約15kDa以上、または約20kDa以上、または約25kDa以上、または約30kDa以上、または約40kDa以上、または約50kDa以上、または約75kDa以上、または約90kDa以上、または約100kDa以上の分子量を有してもよい。非限定的な例において、ビニルピリジンとスチレンとの好適なコポリマーは、約5kDa~約150kDa、または約10kDa~約125kDa、または約15kDa~約100kDa、または約20kDa~約80kDa、または約25kDa~約75kDa、または約30kDa~約60kDaの範囲の分子量を有してもよい。
【0268】
特定の実施形態では、膜は、ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)ビス(2-アミノプロピルエーテル)で架橋されたポリ(スチレンコ-マレイン酸無水物)、ドデシルアミン、およびポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)(2-アミノプロピルエーテル);ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド);またはこれらの組み合わせなどのポリマーを含み得るが、これらに限定されない。
【0269】
特定の実施形態では、膜は、親水性領域および疎水性領域の両方を含むポリウレタン膜を含む。特定の実施形態では、疎水性ポリマー成分は、ポリウレタン、ポリウレタン尿素、またはポリ(エーテル-ウレタン-尿素)である。特定の実施形態では、ポリウレタンは、ジイソシアネートと二官能性ヒドロキシル含有材料との縮合反応によって生成されるポリマーである。特定の実施形態では、ポリウレタン尿素は、ジイソシアネートと二官能性アミン含有材料との縮合反応によって生成されるポリマーである。特定の実施形態では、本明細書で使用するためのジイソシアネートとしては、例えば、約4~約8個のメチレン単位を含有する脂肪族ジイソシアネート、または脂環式部分を含有するジイソシアネートが挙げられる。本開示のセンサの膜の生成のために使用され得るポリマーのさらなる非限定的な例としては、ビニルポリマー、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、無機ポリマー(例えば、ポリシロキサンおよびポリカルボシロキサン)、天然ポリマー(例えば、セルロースおよびタンパク質ベースの材料)、および混合物(例えば、混和物または層状構造)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、親水性ポリマー成分は、ポリエチレンオキシドおよび/またはポリエチレングリコールである。特定の実施形態では、親水性ポリマー成分はポリウレタンコポリマーである。例えば、限定するものではないが、本開示において使用するための疎水性-親水性コポリマー成分は、約10%~約50%、例えば約20%の親水性ポリエチレンオキシドを含むポリウレタンポリマーである。
【0270】
特定の実施形態では、膜は、シリコーンポリマー/疎水性-親水性ポリマーブレンドを含む。特定の実施形態では、ブレンドにおいて使用するための疎水性-親水性ポリマーは、任意の適切な疎水性-親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、例えば、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル、およびそれらのコポリマー(例えば、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、交互コポリマー、ランダムコポリマー、櫛型コポリマー、星型コポリマー、樹状コポリマー、およびグラフトコポリマーを含む)でもよいが、これらに限定されない。特定の実施形態では、疎水性-親水性ポリマーは、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)とポリ(プロピレンオキシド)(PPO)とのコポリマーである。PEOとPPOとのコポリマーの非限定的な例としては、PEO-PPOジブロックコポリマー、PPO-PEO-PPOトリブロックコポリマー、PEO-PPO-PEOトリブロックコポリマー、PEO-PPOの交互ブロックコポリマー、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダムコポリマー、およびこれらのブレンドが挙げられる。特定の実施形態では、コポリマーはヒドロキシ置換基で置換されていてもよい。
【0271】
特定の実施形態では、親水性または疎水性改変剤を使用して、得られた膜の対象分析物に対する透過性を「微調整」してもよい。特定の実施形態では、親水性改変剤(例えば、ポリ(エチレン)グリコール、ヒドロキシル改変剤またはポリヒドロキシル改変剤など、およびそれらの任意の組み合わせ)が、ポリマーまたは得られる膜の生体適合性を増強するために使用されてもよい。
【0272】
複数の活性エリアが存在する特定の実施形態では、物質移動制限膜は、異なる活性エリア上の組成バリエーションの選択肢を含めて、各活性エリアをオーバーコートしてもよく、これは、センサ先端のより近くに位置する作用電極上に二層膜部分を生成するための連続的な浸漬コーティング操作によって達成することができる。
【0273】
複数の活性エリアが存在する特定の実施形態では、別個の物質移動制限膜が各活性エリアをオーバーコートしてもよい。例えば、限定するものではないが、物質移動制限膜は、第1の活性エリア、例えば、分析物応答性活性エリア上に配置されてもよく、別個の第2の物質移動制限膜は、第2の活性エリアをオーバーコートしてもよい。特定の実施形態では、2つの物質移動制限膜は空間的に分離され、互いに重なり合わない。特定の実施形態では、第1の物質移動制限膜は第2の物質移動制限膜と重なり合わず、第2の物質移動制限膜は第1の物質移動制限膜と重なり合わない。あるいは、第2の物質移動制限膜は、第1の物質移動制限膜に重なる。特定の実施形態では、第1の物質移動制限膜は、第2の物質移動制限膜とは異なるポリマーを含む。あるいは、第1の物質移動制限膜は、第2の物質移動制限膜と同じポリマーを含む。特定の実施形態では、第1の物質移動制限膜は、第2の物質移動制限膜と同じポリマーを含むが、異なる架橋剤を含む。
【0274】
特定の実施形態では、2つの活性エリアを有する分析物センサ上に配置された物質移動制限膜の組成は、物質移動制限膜が各活性エリアをオーバーコートする場合、同じであっても異なっていてもよい。例えば、限定するものではないが、分析物応答性活性エリアをオーバーコーティングする物質移動制限膜の部分は多成分であってもよく、および/または第2の分析物応答性活性エリアをオーバーコーティングする物質移動制限膜の部分は単一成分であってもよい。あるいは、分析物応答性活性エリアをオーバーコーティングする物質移動制限膜の部分は単一成分であってもよく、および/または第2の分析物応答性活性エリアをオーバーコーティングする物質移動制限膜の部分は多成分であってもよい。
【0275】
特定の実施形態では、膜、例えば、単一成分膜は、ポリビニルピリジンを含んでもよい。特定の実施形態では、膜、例えば、単一成分膜は、ビニルピリジンとスチレンとのコポリマーを含んでもよい。本開示の特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアは、少なくとも2つのポリマー、例えば、ポリビニルピリジンおよびポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーを含む多成分膜で、二層膜または均質混和物のどちらかとしてオーバーコートされてもよく、第2の分析物応答性活性エリアは、単一ポリマー、例えば、ポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーを含む膜でオーバーコートされてもよい。
【0276】
特定の実施形態では、物質移動制限膜は、本明細書および上記セクション4に開示される架橋剤で架橋された膜ポリマーを含んでもよい。2つの物質移動制限膜(例えば、第1の物質移動制限膜および第2の物質移動制限膜)が存在する特定の実施形態では、各膜は、異なる架橋剤で架橋されてもよい。例えば、限定するものではないが、架橋剤は、例えば、膜内の細孔のサイズに影響を及ぼすことによって、特定の化合物、例えば、膜内の分析物の拡散に対してより制限的であるか、または特定の化合物の拡散に対してより制限的でない膜をもたらすことができる。例えば、限定するものではないが、目的の分析物を検出するように構成されたセンサにおいて、分析物応答性活性エリアをオーバーコーティングする物質移動制限膜は、目的の分析物よりも大きい化合物が膜を通って拡散するのを制限する孔径を有してもよい。
【0277】
特定の実施形態では、本開示における使用のための架橋剤としては、ポリエポキシド、カルボジイミド、塩化シアヌル、トリグリシジルグリセロール(Gly3)、N-ヒドロキシスクシンイミド、イミドエステル、エピクロロヒドリン、またはそれらの誘導体化変異体が挙げられ得る。特定の実施形態では、1つ以上の活性エリアをオーバーコーティングする膜ポリマーは、物質移動制限膜から得られる抽出物の量を減少させることができる分岐状架橋剤で架橋されてもよい。分岐状架橋剤の非限定的な例としては、分岐状グリシジルエーテル架橋剤、例えば、2つまたは3つ以上の架橋性基を含む分岐状グリシジルエーテル架橋剤が挙げられる。特定の実施形態では、分岐状架橋剤は、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどの2つ以上の架橋性基を含んでもよい。特定の実施形態では、分岐状架橋剤は、ポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテルなどの3つ以上の架橋性基を含んでもよい。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ポリビニルピリジン、またはポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテルもしくはポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどの2つもしくは3つの架橋性基を含む分岐状グリシジルエーテル架橋剤で架橋されたビニルピリジンとスチレンとのコポリマーを含んでもよい。特定の実施形態では、ポリエポキシド、例えば、ポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテルまたはポリエチレングリコールジグリシジルエーテルのエポキシド基は、エポキシド開環を介してピリジンまたはイミダゾールと共有結合を形成してもよく、架橋剤の本体を膜ポリマーの複素環に架橋するヒドロキシアルキル基をもたらす。
【0278】
特定の実施形態では、架橋剤は、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)である。特定の実施形態では、2つ以上の膜ポリマー骨格間の架橋(例えば、分子間架橋)を促進するために使用されるPEGDGEは、広範囲の適切な分子量を示してもよい。特定の実施形態では、PEGDGEの分子量は、約100g/mol~約5,000g/molの範囲であり得る。PEGDGEの各アームにおけるエチレングリコール反復単位の数は、同じであっても異なっていてもよく、典型的には、平均分子量を与えるために所与の試料内の範囲にわたって変動し得る。特定の実施形態では、本開示における使用のためのPEGDGEは、約200~1,000、例えば、約400の平均分子量(M)を有する。特定の実施形態では、架橋剤はPEGDGE400である。
【0279】
特定の実施形態では、2つ以上の膜ポリマー骨格間の架橋(例えば、分子間架橋)を促進するために使用されるポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテルは、広範囲の適切な分子量を示してもよい。最大4つのポリマー骨格が、ポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテル架橋剤の単一分子で架橋され得る。特定の実施形態では、ポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテルの分子量は、約1,000g/mol~約5,000g/molの範囲であり得る。ポリエチレンテトラグリシジルエーテルの各アームにおけるエチレングリコール反復単位の数は、同じであっても異なっていてもよく、典型的には、平均分子量を与えるために所与の試料内の範囲にわたって変動し得る。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、活性エリア上に直接堆積されてもよい。
【0280】
特定の実施形態では、ポリジメチルシロキサン(PDMS)は、本明細書に開示される物質移動制限膜のいずれかに組み込まれ得る。
特定の実施形態では、本開示の分析物センサは、第1の活性エリアと同じ分析物または異なる分析物を検出するように構成された第2の活性エリアを含んでもよい。特定の実施形態では、第1の活性エリアをオーバーコートする物質移動制限膜の少なくとも一部は、第2の活性エリアをオーバーコートしてもよい。代替的または追加的に、第2の物質移動制限膜を使用して、第2の活性エリアをオーバーコートしてもよい。特定の実施形態では、第2の活性エリアをオーバーコートする第2の物質移動制限膜の少なくとも一部は、第1の活性エリアをオーバーコートしてもよい。特定の実施形態では、第1の活性エリアをオーバーコートする物質移動制限膜は、第2の物質移動制限膜とは異なる組成である。
【0281】
特定の実施形態では、2つの活性エリアを有する分析物センサ上に配置された物質移動制限膜の組成は、物質移動制限膜が各活性エリアをオーバーコートする場合、同じであっても異なっていてもよい。例えば、限定するものではないが、分析物応答性活性エリアをオーバーコーティングする物質移動制限膜の部分は多成分であってもよく、および/または第2の分析物応答性活性エリアをオーバーコーティングする物質移動制限膜の部分は単一成分であってもよい。あるいは、分析物応答性活性エリアをオーバーコーティングする物質移動制限膜の部分は単一成分であってもよく、および/または第2の分析物応答性活性エリアをオーバーコーティングする物質移動制限膜の部分は多成分であってもよい。
【0282】
特定の実施形態では、異なる分析物をアッセイするように構成された第1の活性エリアおよび第2の活性エリアが別個の作用電極上に配置される場合、物質移動制限膜は、第1の分析物および第2の分析物に対して異なる透過性値を有してもよい。例えば、限定するものではないが、活性エリアの少なくとも1つをオーバーコーティングする物質移動制限膜は、第1の膜ポリマーと第2の膜ポリマーとの混和物、または第1の膜ポリマーと第2の膜ポリマーとの二重層を含み得る。均質膜は、混合物または二重層でオーバーコートされていない活性エリアをオーバーコートしてもよく、均質膜は、第1の膜ポリマーまたは第2の膜ポリマーのうちの1つのみを含む。有利なことに、本明細書に開示される分析物センサのアーキテクチャは、均質な膜部分を有する連続膜が分析物センサの第1の活性エリア上に配置され、多成分膜部分が第2の活性エリア上に配置されることを容易に可能にし、それによって、各分析物の透過性値を同時に均一化することで改善された感度および検出の正確さを提供する。連続的な膜堆積は、特定の実施形態では、連続的な浸漬コーティング操作によって行うことができる。
【0283】
特定の実施形態では、本明細書に記載される分析物センサは、少なくとも第1の作用電極を含むセンサ尾部と、第1の作用電極の表面上に配置された第1の分析物を検出するための第1の分析物応答性活性エリアと、少なくとも第1の分析物応答性活性エリアをオーバーコートする、第1の分析物(および任意選択で第2の分析物)に対して透過性の物質移動制限膜とを含んでもよい。特定の実施形態では、第1の分析物応答性活性エリアは、第1の分析物に応答する少なくとも1つの酵素を含む、第1の分析物(例えば、アセトンまたはアセト酢酸塩)に応答する酵素系を含む。特定の実施形態では、第1の分析物応答性活性エリアは、電子移動剤および/または第1のポリマーを含む(任意選択で、第1の分析物応答性活性部位内に存在する酵素は、第1のポリマーに共有結合する)。
【0284】
特定の実施形態では、分析物応答性活性エリアが、本明細書に記載されるような第1の酵素系(例えば、第1の酵素層)および第2の酵素系(例えば、第2の酵素層)を含む場合、第1の膜は第1の酵素系をオーバーコートしてもよく、第2の膜は第2の酵素系をオーバーコートしてもよい(例えば、作用電極上に直接配置される)。特定の実施形態では、第2の膜は、本明細書に記載の中間生成物の物質移動速度を低減するための拡散制限バリアとして作用してもよく、および/または第1の酵素系をオーバーコーティングする第1の膜は、第1の分析物および/または第2の分析物の物質移動速度を低減するための拡散制限バリアとして作用してもよい。特定の実施形態では、第1の膜および第2の膜の組成は同じでもよい。特定の実施形態では、第1の膜および第2の膜の組成は異なってもよい。
【0285】
特定の実施形態では、本明細書に記載される分析物センサは、少なくとも第1の作用電極を含むセンサ尾部と、第1の作用電極の表面上に配置された、1つ以上の分析物を検出するように構成された第1の活性エリアと、少なくとも第1の活性エリアをオーバーコートする、1つ以上の分析物に対して透過性の物質移動制限膜とを含んでもよい。特定の実施形態では、第1の活性エリアは、本明細書に開示される分析物を検出するための、例えば、ケトン、アセト酢酸塩、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸塩、1,3-ビスホスホグリセリン酸、および6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンなどを含む分析物を間接的に検出するための1つ以上の酵素系を含む。例えば、限定するものではないが、本明細書に記載される分析物センサは、少なくとも第1の作用電極を含むセンサ尾部と、第1の作用電極の表面上に配置された、第1の酵素系および第2の酵素系を含む分析物応答性活性エリアと、分析物応答性活性エリアをオーバーコートする、本明細書に開示される目的の分析物、例えばケトン、アセト酢酸塩、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸塩、1,3-ビスホスホグリセリン酸、または6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンに対して透過性の物質移動制限膜とを含んでもよい。特定の実施形態では、本開示の分析物センサは、2つの酵素系の間に介在する膜をさらに含む。
【0286】
特定の実施形態では、物質移動制限膜、第1の膜および/または第2の膜は、約0.1μm~約1,000μm、例えば、約1μm~約500μm、約10μm~約100μm、または約10μm~約100μmの範囲の厚さ、例えば、乾燥厚さを有する。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、約0.1μm~約100μm、例えば、約1μm~約90μm、約1μm~約80μm、約1μm~約70μm、約1μm~約60μm、約1μm~約50μm、約1μm~約40μm、約1μm~約30μm、約1μm~約20μm、約0.5μm~約10μm、約1μm~約10μm、約1μm~約5μm、または約0.1μm~約5μmの厚さを有してもよい。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、約1μm~約100μmの厚さを有してもよい。特定の実施形態では、第1の膜は、約1μm~約100μmの厚さを有してもよい。特定の実施形態では、第2の膜は、約1μm~約100μmの厚さを有してもよい。
【0287】
6.干渉ドメイン
特定の実施形態では、本開示のセンサ、例えばセンサ尾部は、干渉ドメインをさらに含んでもよい。特定の実施形態では、干渉ドメインは、例えば、作用電極の表面への1つ以上の干渉物質の流れを制限するポリマードメインを含んでもよい。特定の実施形態では、干渉ドメインは、干渉物質などの他の物質の通過を防止しながら、作用電極によって測定される分析物および他の物質を通過させる分子篩として機能し得る。特定の実施形態では、干渉物質は、作用電極で得られる信号に影響を及ぼし得る。干渉物質の非限定的な例としては、アセトアミノフェン、アスコルビン酸塩、アルコルビン酸、ビリルビン、コレステロール、クレアチニン、ドーパミン、エフェドリン、イブプロフエン、L-ドパ、メチルドパ、サリチル酸塩、テトラサイクリン、トラザミド、トルブタミド、トリグリセリド、尿素、および尿酸が挙げられる。
【0288】
特定の実施形態では、干渉ドメインは、作用電極と1つ以上の活性エリア、例えば、分析物応答性活性エリアとの間に位置する。特定の実施形態では、干渉ドメインにおいて使用され得るポリマーの非限定的な例としては、ポリウレタン、ペンダントイオン基を有するポリマー、および制御された孔径を有するポリマーが挙げられる。特定の実施形態では、干渉ドメインは、1つ以上のセルロース誘導体から形成される。セルロース誘導体の非限定的な例としては、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、2-ヒドロキシエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロースなどのポリマーが挙げられる。
【0289】
特定の実施形態では、干渉ドメインは、物質移動制限膜の一部であり、別個の膜ではない。特定の実施形態では、干渉ドメインは、1つ以上の活性エリアと物質移動制限膜との間に位置する。
【0290】
特定の実施形態では、干渉ドメインは、非膨潤性であり、高分子量種の拡散を制限する薄い疎水性膜を含む。例えば、限定するものではないが、干渉ドメインは、比較的低分子量の物質に対して透過性であるが、より高分子量の物質の通過を制限することができる。
【0291】
特定の実施形態では、干渉ドメインは、作用電極上に、例えば、透過性作用電極の表面上に直接堆積されてもよい。特定の実施形態では、干渉ドメインは、約0.1μm~約1,000μm、例えば、約1μm~約500μm、約10μm~約100μm、または約10μm~約100μmの範囲の厚さ、例えば、乾燥厚さを有する。特定の実施形態では、干渉ドメインは、約0.1μm~約100μm、例えば、約1μm~約90μm、約1μm~約80μm、約1μm~約70μm、約1μm~約60μm、約1μm~約50μm、約1μm~約40μm、約1μm~約30μm、約1μm~約20μm、約0.5μm~約10μm、約1μm~約10μm、約1μm~約5μm、または約0.1μm~約5μmの厚さを有してもよい。特定の実施形態では、干渉ドメインは、約1μm~約100μmの厚さを有してもよい。特定の実施形態では、センサを干渉ドメイン溶液に1回より多く浸漬してもよい。例えば、限定するものではないが、本開示のセンサ(または作用電極)を、所望の干渉ドメインの厚さを得るために、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、または少なくとも5回、干渉ドメイン溶液に浸漬してもよい。
【0292】
7.製造
本開示はさらに、本開示の分析物センサを製造する方法を提供する。特定の実施形態では、本開示の分析物センサは、1つ以上の活性部位および1つ以上の作用電極を含む。例えば、限定するものではないが、本開示は、第1の作用電極上に配置された第1の活性エリアおよび/または第2の作用電極もしくは第1の作用電極上に配置された第2の活性エリアを含む分析物センサを製造するための方法を提供する。
【0293】
特定の実施形態では、本方法は、例えば、スクリーン印刷によって、作用電極を生成することを含む。特定の実施形態では、本方法は、酵素系、例えば、第1の酵素系を含む組成物を作用電極の表面上に添加して、作用電極上の活性エリアの第1の酵素層を生成することをさらに含んでもよい。例えば、限定するものではないが、組成物は、GOXを含む第1の酵素系を含んでもよい。特定の実施形態では、異なる酵素系、例えば第2の酵素系を含む第2の組成物を第1の酵素層上に配置することで、活性エリアの第2の酵素層を生成してもよい。特定の実施形態では、第2の酵素系は、NAD(P)依存性酵素、例えば、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼおよび/またはNAD(P)依存性レダクターゼを含む。特定の実施形態では、第2の組成物は、補酵素、例えば、NAD(P)をさらに含んでもよい。特定の実施形態では、本方法は、例えば、膜組成物を第1の酵素系上に堆積させて第1の膜を生成し、続いて第2の酵素系を第1の膜上に堆積させることによって、第1の酵素系と第2の酵素系との間に膜を堆積させることを含んでもよい。
【0294】
特定の実施形態では、本方法は、硬化した第2の酵素層の上に膜組成物を堆積させることをさらに含んでもよい。特定の実施形態では、膜組成物は、ポリマー、例えばポリビニルピリジン、および/または架橋剤、例えばポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを含んでもよい。特定の実施形態では、本方法は、ポリマー組成物を硬化させることで、膜、例えば、第2の膜を生成することを含んでもよい。
【0295】
全般的に、膜の厚さは、膜溶液の濃度、適用される膜溶液の液滴の数、センサが膜溶液中に浸漬されるかまたは膜溶液を噴霧される回数、センサ上に噴霧される膜溶液の量など、およびこれらの要因の任意の組み合わせによって制御される。特定の実施形態では、本明細書に説明される膜は、約0.1μm~約1,000μm、例えば、約1μm~約500μm、約10μm~約100μm、または約10μm~約100μmの範囲の厚さを有してもよい。特定の実施形態では、センサを膜溶液に1回より多く浸漬してもよい。例えば、限定するものではないが、本開示のセンサ(または作用電極)を、所望の膜の厚さを得るために、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、または少なくとも6回膜溶液に浸漬してもよい。
【0296】
特定の実施形態では、膜は、1つ以上の活性エリアを覆ってもよく、特定の実施形態では、活性エリアは、約0.1μm~約100μm、例えば、約1μm~約90μm、約1μm~約80μm、約1μm~約70μm、約1μm~約60μm、約1μm~約50μm、約1μm~約40μm、約1μm~約30μm、約1μm~約20μm、約0.5μm~約10μm、約1μm~約10μm、約1μm~約5μm、または約0.1μm~約5μmの厚さを有してもよい。特定の実施形態では、適用される液滴の直径を実質的に増加させることなく(すなわち、所望の直径またはその範囲を維持しながら)、活性エリアおよび/または膜の所望の厚さを達成するために、一連の液滴を互いの上に適用してもよい。特定の実施形態では、各単一液滴を適用し、次いで冷却または乾燥させ、続いて1つ以上の追加の液滴を適用してもよい。例えば、限定するものではないが、少なくとも1つの液滴、少なくとも2つの液滴、少なくとも3つの液滴、少なくとも4つの液滴、または少なくとも5つの液滴が互いの上に追加されて、活性エリアの所望の厚さを達成する。
【0297】
III.使用方法
本開示は、本明細書に開示される分析物センサを使用する方法をさらに提供する。特定の実施形態では、本開示は、分析物を検出するための方法を提供する。例えば、限定するものではないが、本開示は、グルタミン酸塩、グルコース、ケトン、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、アスパラギン、アスパラギン酸塩、ナトリウム、総タンパク質、尿酸、アセトン、アセト酢酸塩、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸塩、1,3-ビスホスホグリセリン酸、6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンなどを含む1つ以上の分析物を検出するための方法を提供する。特定の実施形態では、分析物は、ケトン、アセト酢酸塩、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸塩、1,3-ビスホスホグリセリン酸、または6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンである。特定の実施形態では、分析物はアセト酢酸塩である。特定の実施形態では、分析物はケトンである。特定の実施形態では、分析物はアセトンである。特定の実施形態では、本開示の方法は、第2の分析物の検出をさらに含んでもよい。
【0298】
特定の実施形態では、分析物を検出するための方法は、(i)第2の分析物を検出するための分析物センサを提供するステップを含んでもよい。特定の実施形態では、分析物センサは、(a)少なくとも第1の作用電極を含むセンサ尾部と、(b)第1の作用電極の表面上に配置された、第1の酵素系および第2の酵素系を含む分析物応答性活性エリアと、(c)分析物応答性活性エリアをオーバーコートする、分析物に対して透過性の物質移動制限膜とを含む。特定の実施形態では、方法は、(ii)第1の作用電極に電位を印加するステップと、(iii)分析物応答性活性エリアの酸化還元電位以上で、分析物応答性活性エリアに接触する流体中の第1の分析物の濃度に比例する第1の信号を取得するステップと、(iv)第1の信号を流体中の第2の分析物の濃度に相関させるステップとをさらに含んでもよい。
【0299】
特定の実施形態では、本開示の方法は、(i)(a)少なくとも第1の作用電極を含むセンサ尾部と、(b)第1の作用電極の表面上に配置された、第1の酵素系および第2の酵素系ならびに任意選択でポリマーを含む分析物応答性活性エリアと、(c)第2の分析物応答性活性エリアをオーバーコートする、第2の分析物に対して透過性の物質移動制限膜とを含む分析物センサを目的の分析物を含む流体に暴露するステップを含んでもよい。特定の実施形態では、方法は、(ii)第1の作用電極に電位を印加するステップと、(iii)第1の分析物応答性活性エリアの酸化還元電位以上で、流体中のグルコースの濃度に比例する第1の信号を取得するステップと、(iv)第1の信号を流体中の第2の分析物の濃度に相関させるステップとをさらに含んでもよい。
【0300】
特定の実施形態は、本開示の方法は、第2の活性エリアを含む分析物センサを提供すること、および/または第2の活性エリアを含む分析物センサを分析物を含む流体に曝露することによって、別の分析物を検出するステップをさらに含んでもよい。特定の実施形態では、本開示の方法において使用するための分析物センサは、第2の作用電極と、第2の作用電極の表面上に配置された第2の活性エリアとを含んでもよく、第2の活性エリアは、検出される分析物に応答する少なくとも1つの酵素と、任意選択でレドックスメディエータとを含み、物質移動制限膜の一部分、例えば、第2の部分は、第2の活性エリアをオーバーコートする。あるいは、第2の活性エリアは、第1の分析物応答性活性エリアをオーバーコートする物質移動制限膜とは別個のおよび/または異なる第2の物質移動制限膜によって覆われてもよい。
【0301】
特定の実施形態では、分析物を検出するための方法は、(i)(a)少なくとも第1の作用電極を含むセンサ尾部と、(b)第1の作用電極の表面上に配置された、第1の酵素系および第2の酵素系を含む分析物応答性活性エリアと、(c)第2の酵素系をオーバーコートする、分析物に対して透過性の物質移動制限膜とを含む分析物センサを提供するステップと、(ii)第1の作用電極に電位を印加するステップと、(iii)分析物応答性活性エリアの酸化還元電位以上で、分析物応答性活性エリアに接触する流体中の中間生成物の濃度に比例する第1の信号を取得するステップと、(iv)第1の信号を流体中の分析物の濃度に相関させるステップとを含む。
【0302】
IV.例示的な実施形態
A.特定の非限定的な実施形態において、本開示の主題は、
(i)少なくとも第1の作用電極を含むセンサ尾部と、
(ii)分析物を検出するように構成された第1の活性エリアであって
(a)グルコース応答性酵素を含む第1の酵素系;および
(b)分析物に特異的なニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)依存性レダクターゼを含む第2の酵素系
を含む第1の活性エリアと、
(iii)少なくとも第1の活性エリアをオーバーコートする、グルコースおよび分析物に対して透過性である物質移動制限膜と
を含む分析物センサを提供する。
【0303】
A1.グルコース応答性酵素がグルコースオキシダーゼである、Aに記載の分析物センサ。
A2.第1の酵素系が電子移動剤をさらに含む、AまたはA1に記載の分析物センサ。
【0304】
A3.分析物は、グルタミン酸塩、グルコース、ケトン、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、アスパラギン、アスパラギン酸塩、ナトリウム、総タンパク質、尿酸、アセトン、アセト酢酸塩、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸塩、1,3-ビスホスホグリセリン酸、および6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンからなる群から選択される、A~A2のいずれか1つに記載の分析物センサ。
【0305】
A4.分析物がアセトンまたはアセト酢酸塩である、A~A3のいずれか1つに記載の分析物センサ。
A5.第1の酵素系および/または第2の酵素系における酵素のうちの1つ以上が、ポリマーに共有結合している、A~A4のいずれか1つに記載の分析物センサ。
【0306】
A6.第1の活性エリアが安定化剤をさらに含む、A~A5のいずれか1つに記載の分析物センサ。
A7.安定化剤がアルブミンである、A6に記載の分析物センサ。
【0307】
A8.安定化剤がウシ血清アルブミンである、A7に記載の分析物センサ。
A9.第1の物質移動制限膜が、ポリビニルピリジン系ポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン、またはこれらの組み合わせを含む、A~A8のいずれか1つに記載の分析物センサ。
【0308】
A10.第1の物質移動制限膜がポリビニルピリジン系ポリマーを含む、A9の分析物センサ。
A11.第1の物質移動制限膜がポリウレタンを含む、A9の分析物センサ。
【0309】
A12.第1の物質移動制限膜がシリコーンを含む、A9の分析物センサ。
A13.第1の物質移動制限膜がポリビニルピリジンを含む、A9の分析物センサ。
A14.第1の物質移動制限膜がビニルピリジンとスチレンとのコポリマーを含む、A9の分析物センサ。
【0310】
A15.第2の酵素系が、NAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼをさらに含む、A~A14のいずれか1つに記載の分析物センサ。
A16.第1の活性エリアが架橋剤を含む、A~A15のいずれか1つに記載の分析物センサ。
【0311】
A17.第1の酵素系が、第1の作用電極の表面上に配置される、A~A16のいずれか1つに記載の分析物センサ。
A18.第2の酵素系が、第1の酵素系の上に配置される、A~A17のいずれか1つに記載の分析物センサ。
【0312】
A19.分析物センサが、第2の酵素系と第1の酵素系との間に配置された膜をさらに含む、A~A18のいずれか1つに記載の分析物センサ。
B.特定の非限定的な実施形態では、本開示の主題は、
(i)分析物センサを提供するステップであって、
(a)少なくとも第1の作用電極を含むセンサ尾部と、
(b)第1の活性エリアであって
(I)グルコース応答性酵素を含む第1の酵素系;および
(II)分析物に特異的なニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)依存性レダクターゼを含む第2の酵素系
を含む第1の活性エリアと、
(c)少なくとも第1の活性エリアをオーバーコートする、グルコースおよび分析物に対して透過性である物質移動制限膜と
を含む分析物センサを提供するステップと、
(ii)第1の作用電極に電位を印加するステップと
(iii)第1の酵素系の酸化還元電位以上で、第1の活性エリアに接触する流体中の分析物の濃度に比例する第1の信号を取得するステップと、
(iv)第1の信号を流体中の分析物の濃度と相関させるステップと
を含む分析物を検出するための方法を提供する。
【0313】
B1.グルコース応答性酵素がグルコースオキシダーゼである、Bに記載の方法。
B2.第1の酵素系が電子移動剤を含む、BまたはB1に記載の方法。
B3.第2の酵素系が、NAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼをさらに含む、B~B2のいずれか1つに記載の方法。
【0314】
B4.分析物は、グルタミン酸塩、グルコース、ケトン、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、アスパラギン、アスパラギン酸塩、ナトリウム、総タンパク質、尿酸、アセトン、アセト酢酸塩、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸塩、1,3-ビスホスホグリセリン酸、および6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンからなる群から選択される、B~B3のいずれか1つに記載の方法。
【0315】
B5.分析物がアセトンまたはアセト酢酸塩である、B~B4のいずれか1つに記載の方法。
B6.第1の活性エリアが安定化剤をさらに含む、B~B5のいずれか1つに記載の方法。
【0316】
B7.安定化剤がアルブミンである、B6に記載の方法。
B8.安定化剤がウシ血清アルブミンである、B7に記載の方法。
B9.第1の物質移動制限膜が、ポリビニルピリジン系ポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン、またはこれらの組み合わせを含む、B~B8のいずれか1つに記載の方法。
【0317】
B10.第1の物質移動制限膜がポリビニルピリジン系ポリマーを含む、B9に記載の方法。
B11.第1の物質移動制限膜がポリウレタンを含む、B9に記載の方法。
【0318】
B12.第1の物質移動制限膜がシリコーンを含む、B9に記載の方法。
B13.第1の物質移動制限膜がポリビニルピリジンを含む、B9に記載の方法。
B14.第1の物質移動制限膜がビニルピリジンとスチレンとのコポリマーを含む、B9に記載の方法。
【0319】
B15.第1の活性エリアが架橋剤を含む、B~B14のいずれか1つに記載の方法。
B16.第1の酵素系が、第1の作用電極の表面上に配置される、B~B15のいずれか1つに記載の方法。
【0320】
B17.第2の酵素系が、第1の酵素系の上に配置される、B~B16のいずれか1つに記載の方法。
B18.分析物センサが、第2の酵素系と第1の酵素系との間に配置された膜をさらに含む、B~B17のいずれか1つに記載の方法。
【0321】
C.特定の非限定的な実施形態において、本開示の主題は、
(i)少なくとも第1の作用電極を含むセンサ尾部と、
(ii)第1の活性エリアであって
(a)(i)ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)依存性グルコース応答性酵素および(ii)分析物に特異的な第1のNAD依存性レダクターゼを含む、第1の酵素系;および
(b)第1の作用電極の表面と第1の酵素系との間に配置された、第2のNAD依存性レダクターゼおよびジアフォラーゼを含む、第2の酵素系
を含む第1の活性エリアと、
(iii)少なくとも第1の酵素系をオーバーコートする、グルコースおよび分析物に対して透過性である第1の物質移動制限膜と、
(iv)第1の酵素系と第2の酵素系との間に介在する第2の物質移動制限膜と
を含む分析物センサを提供する。
【0322】
C1.NAD依存性グルコース応答性酵素が、NAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼである、Cに記載の分析物センサ。
C2.第2の物質移動制限膜が、第1の酵素系の化学反応によって生成される中間生成物に対して透過性である、CまたはC1に記載の分析物センサ。
【0323】
C3.第2の酵素系が電子移動剤をさらに含む、C~C2のいずれか1つに記載の分析物センサ。
C4.第1の酵素系の第1のNAD依存性レダクターゼおよび第2の酵素系の第2のNAD依存性レダクターゼが同じである、C~C3のいずれか1つに記載の分析物センサ。
【0324】
C5.分析物は、グルタミン酸塩、グルコース、ケトン、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、アスパラギン、アスパラギン酸塩、ナトリウム、総タンパク質、尿酸、アセトン、アセト酢酸塩、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸塩、1,3-ビスホスホグリセリン酸、および6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンからなる群から選択される、C~C4のいずれか1つに記載の分析物センサ。
【0325】
C6.第1の活性エリアが安定化剤をさらに含む、C~C5のいずれか1つに記載の分析物センサ。
C7.安定化剤がアルブミンである、C6に記載の分析物センサ。
【0326】
C8.安定化剤がウシ血清アルブミンである、C7に記載の分析物センサ。
C9.第1の物質移動制限膜および/または第2の物質移動制限膜が、ポリビニルピリジン系ポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン、またはこれらの組み合わせを含む、C~C8のいずれか1つに記載の分析物センサ
C10.第1の物質移動制限膜および/または第2の物質移動制限膜が、ポリビニルピリジン系ポリマーを含む、C9に記載の分析物センサ。
【0327】
C11.第1の物質移動制限膜および/または第2の物質移動制限膜が、ポリウレタンを含む、C9に記載の分析物センサ。
C12.第1の物質移動制限膜および/または第2の物質移動制限膜が、シリコーンを含む、C9に記載の分析物センサ。
【0328】
C13.第1の物質移動制限膜および/または第2の物質移動制限膜が、ポリビニルピリジンまたはポリビニルイミダゾールを含む、C9に記載の分析物センサ。
C14.第1の物質移動制限膜および/または第2の物質移動制限膜が、ビニルピリジンとスチレンとのコポリマーを含む、C9に記載の分析物センサ。
【0329】
C15.分析物がアセトンまたはアセト酢酸塩である、C~C14のいずれか1つに記載の分析物センサ。
C16.第1の物質移動制限膜および第2の物質移動制限膜が同じポリマーを含む、C~C15のいずれか1つに記載の分析物センサ。
【0330】
D.特定の非限定的な実施形態では、本開示の主題は、
(i)分析物センサを提供するステップであって、
(a)少なくとも第1の作用電極を含むセンサ尾部と、
(b)第1の活性エリアであって
(I)(i)ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)依存性グルコース応答性酵素および(ii)分析物に特異的な第1のNAD依存性レダクターゼを含む、第1の酵素系;および
(II)第1の作用電極の表面と第1の酵素系との間に配置された第2の酵素系であって、第2のNAD依存性レダクターゼおよびジアフォラーゼを含む、第2の酵素系
を含む第1の活性エリアと、
(c)少なくとも第1の酵素系をオーバーコートする、グルコースおよび分析物に対して透過性である第1の物質移動制限膜と
(d)第1の酵素系と第2の酵素系との間に挟まれた第2の物質移動制限膜と
を含む分析物センサを提供するステップと、
(ii)第1の作用電極に電位を印加するステップと、
(iii)第2の酵素系の酸化還元電位以上で、第1の活性エリアに接触する流体中の分析物の濃度に比例する第1の信号を取得するステップと、
(iv)第1の信号を流体中の分析物の濃度と相関させるステップと
を含む分析物を検出するための方法を提供する。
【0331】
D1.NAD依存性グルコース応答性酵素が、NAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼである、請求項Dに記載の方法。
D2.第2の酵素系が電子移動剤を含む、請求項DまたはD1に記載の方法。
【0332】
D3.第1の酵素系の第1のNAD依存性レダクターゼおよび第2の酵素系の第2のNAD依存性レダクターゼが同じである、D~D2のいずれか1つに記載の方法。
D4.分析物は、グルタミン酸塩、グルコース、ケトン、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、アスパラギン、アスパラギン酸塩、ナトリウム、総タンパク質、尿酸、アセトン、アセト酢酸塩、ピルビン酸塩、アセトアルデヒド、ガラクトース、L-キシロノ-1,4-ラクトン、グルタチオンジスルフィド、過酸化水素、リノール酸塩、1,3-ビスホスホグリセリン酸、および6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンからなる群から選択される、D~D3のいずれか1つに記載の方法。
【0333】
D5.分析物がアセトンまたはアセト酢酸塩である、D~D4のいずれか1つに記載の方法。
D6.第1の活性エリアが安定化剤をさらに含む、D~D5のいずれか1つに記載の方法。
【0334】
D7.安定化剤がアルブミンである、D6に記載の方法。
D8.安定化剤がウシ血清アルブミンである、D7に記載の方法。
D9.第1の物質移動制限膜および/または第2の物質移動制限膜が、ポリビニルピリジン系ポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン、またはこれらの組み合わせを含む、D~D8のいずれか1つに記載の方法。
【0335】
D10.第1の物質移動制限膜および/または第2の物質移動制限膜が、ポリビニルピリジン系ポリマーを含む、D9に記載の方法。
D11.第1の物質移動制限膜および/または第2の物質移動制限膜が、ポリウレタンを含む、D9に記載の方法。
【0336】
D12.第1の物質移動制限膜および/または第2の物質移動制限膜が、シリコーンを含む、D9に記載の方法。
D13.第1の物質移動制限膜および/または第2の物質移動制限膜が、ポリビニルピリジンまたはポリビニルイミダゾールを含む、D9に記載の方法。
【0337】
D14.第1の物質移動制限膜および/または第2の物質移動制限膜が、ビニルピリジンとスチレンとのコポリマーを含む、D9に記載の方法。
D15.第1の物質移動制限膜および/または第2の物質移動制限膜が同じポリマーを含む、D~D14のいずれか1つに記載の方法。
【0338】
E.特定の非限定的な実施形態では、本開示の主題は、A~A19およびC~C16の分析物センサのいずれか1つを使用して分析物を検出するための方法を提供する。
【実施例
【0339】
本開示の主題は、以下の実施例を参照することによってよりよく理解され、これらの実施例は、本開示の主題の例示として提供され、限定として提供されるものではない。
実施例1 介在膜層のないアセトンセンサ構成
本実施例では、図23Aに示す構造を有するアセトン検出用センサを提供する。アセトンの検出を容易にするために、GOXおよびKREDを含む酵素系を使用した。特に、グルコースオキシダーゼ(GOX)を含む第1の酵素系、ならびにケトレダクターゼ(KRED)およびニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(NADGDH)を含む第2の酵素系を使用して、アセトンを検出した。
【0340】
pH8.0のHEPES緩衝液中のGOXとレドックスメディエータ(X7)と架橋剤としてのPEGDGE400との混合物を作用電極上に堆積させ、続いて24時間硬化させることによって、分析物センサを生成した。KRED-NADGDH-NAD酵素層を、表1に示される成分を使用して調製し、そのうちの30nLおよび60nLをGOX-X7酵素層上に堆積させて、2つの群のセンサを作製した。次いで、センサを、80%エタノール-20%10mM HEPES緩衝液(pH8.0)中のポリビニルピリジン(PVP)とPEGDGE400との混合物中で浸漬コーティングした。センサをさらに24時間硬化させた。
【0341】
【表1】
【0342】
KRED-NADGDH-NAD酵素層を含まない4つの標準的なFreeStyle Libre(登録商標)グルコース対照センサと共に、2つの群の各々からの2つのセンサを、Ag/AgClに対して作用電極に+40mVの印加電位でマルチチャネルポテンショスタットで試験した。グルコースを最初に添加してセンサ信号を取得した後、アセトンを添加した。アセトンの添加は、図23Bに示されるように電流信号の減少をもたらすと仮定される。図24に示すように、KRED-NADGDH-NAD酵素を有するセンサからの電流は、新しいアセトン濃度への曝露後に電流の有意な減少を示したが、対照センサは変化を示さなかった。
【0343】
実施例2 介在膜層のないアセト酢酸塩センサ構成
本実施例では、図26Aに示す構造を有するアセト酢酸塩検出用センサを提供する。アセト酢酸塩の検出を容易にするために、GOX、KRED、およびNADGDHを含む酵素系を使用した。特に、グルコースオキシダーゼ(GOX)を含む第1の酵素系と、3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ(HBDH)などのケトレダクターゼ(KRED)およびNAD-グルコースデヒドロゲナーゼ(NADGDH)を含む第2の酵素系とを使用して、アセト酢酸塩を検出した。HBDH-NADGDH酵素層の成分を表2に示す。
【0344】
【表2】
【0345】
分析物センサは、GOXおよびレドックスメディエータ(X7)を含む組成物を作用電極上に堆積させて実施例1に記載されるのと同じ方法で硬化することによって生成された。HBDH-NADGDH酵素層を、表1に示される配合を使用して調製し、そのうち30nLをGOX-X7酵素層上に堆積させた。次いで、実施例1に記載したように、センサをPVPとPEGDGE400との混合物に浸漬し、硬化させた。このようなセンサのうちの5つ(EG2-1、EG2-2、EG2-3、EG2-4、およびEG2-5と標識される)を、実施例3に記載されるような他のセンサとともに試験した。図28に示すように、図26Bで仮定されたグルコース電流の減少は、試験溶液へのアセト酢酸塩の添加時に観察された。
【0346】
実施例3 介在膜層を有するアセト酢酸塩センサ構造
本実施例では、図27Aに示す構造を有するアセト酢酸塩検出用センサを提供する。NADグルコースデヒドロゲナーゼおよびケトレダクターゼ、すなわちHBDHを含む第1の酵素系、ならびにケトレダクターゼ、すなわちHBDH、およびジアホフォラーゼを含む第2の酵素系を使用して、アセト酢酸塩を検出した。
【0347】
【表3】
【0348】
センサ化学の成分を表3に示す。図27Aに示されるように、HBDHおよびジアフォラーゼを含む第1の酵素層を、30nLの対応する感知化学溶液を作用電極上に堆積させて、24時間硬化させることによって形成した。次いで、センサを、80%エタノール-20%10mM HEPES緩衝液(pH8.0)中のPVPとPEGDGE400との混合物中で浸漬コーティングした。センサをさらに24時間硬化させた。
【0349】
NADグルコースデヒドロゲナーゼおよびHBDHを含む第2の酵素層を、100nLの対応する感知化学溶液を作用電極上に堆積させて、24時間硬化させることによって形成した。次いで、センサを、80%エタノール-20%10mM HEPES緩衝液(pH8.0)中のPVPとPEGDGE400との混合物中で浸漬コーティングした。センサをさらに24時間硬化させた。このようなセンサのうちの6つ(EG3-1、EG3-2、EG3-3、EG3-4、EG3-5、EG3-4、EG3-5、およびEG3-6と標識される)を、実施例2の5つのセンサとともに試験した。結果を図28に示す。図27Bにおいて仮定されるように、図28に示されるように、アセト酢酸塩の添加に応答して、これらのセンサから予想される電流増加が観察された。
【0350】
本開示の主題およびその利点を詳細に説明してきたが、開示の主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換、および改変を行うことができることを理解されたい。さらに、本出願の範囲は、本明細書に説明されたプロセス、機械、製造、および組成物、方法、およびプロセスの特定の実施形態に限定されることを意図していない。当業者が本開示の主題の開示された主題から容易に理解するように、本明細書に説明される対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行するか、または実質的に同じ結果を達成する、既存のまたは後に開発されるプロセス、機械、製造、組成物、方法、またはステップは、本開示の主題に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、方法、またはステップをその範囲内に含むことが意図される。
【0351】
様々な特許、特許出願、刊行物、製品説明、プロトコル、および配列受託番号が、本出願を通して引用されており、それらの発明は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に援用される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図19C
図20
図21A
図21B
図21C
図22A
図22B
図22C
図23A
図23B
図23C
図24
図25A
図25B
図25C
図25D
図26A
図26B
図26C
図27A
図27B
図27C
図27D
図28