(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】アスファルト表面の補修方法およびこの方法を実施するための装置
(51)【国際特許分類】
E01C 23/06 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
E01C23/06
(21)【出願番号】P 2023559176
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 IB2021061042
(87)【国際公開番号】W WO2022130079
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-06-14
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CZ
(73)【特許権者】
【識別番号】523226354
【氏名又は名称】フュトテック アー.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ルシクヴァス ジリ
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102004004359(DE,A1)
【文献】中国実用新案第201553977(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第111101431(CN,A)
【文献】特開2004-143826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 21/00-23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波加熱を用いたアスファルト表面の補修方法であって、
アスファルト層の欠陥(24)の周りの領域を加熱に先立って、マイクロ波放射による別々の加熱を有する少なくとも2つのゾーンに分割し、
前記欠陥の縁部(23)とその周囲によって規定され、前記欠陥の縁部(23)から両側に少なくとも10mmの距離によって境界を定められる一次加熱ゾーン(25)において、前記アスファルト層を70℃~195℃の温度まで加熱し、
前記一次加熱ゾーン(25)に隣接し、少なくとも10mmの幅を有する二次加熱ゾーン(26)において、前記アスファルト層を30℃~110℃に加熱し、前記一次加熱ゾーン(25)の温度は、前記二次加熱ゾーン(26)の温度よりも常に少なくとも20℃高く、
前記一次加熱ゾーン(25)及び前記二次加熱ゾーン(26)の所望の前記温度への加熱の後、
損傷したアスファルト層の構築に使用したものと同じ種類のホット・アスファルト混合物で損傷箇所を満たし、前記
ホット・アスファルト混合物を元の表面と同一レベルに圧縮することを特徴とする、方法。
【請求項2】
マイクロ波発生器及びその導波管を備え、さらにソース及び制御システムを備える印加ユニットを含む、アスファルト表面を補修するための装置であって、
前記マイクロ波発生器(3)が制御ユニット(1)に結合されており、
出力チャンバ(5)によって
それぞれ終端し
且つ前記マイクロ波発生器(3)に
それぞれ結合された少なくとも2つの導波管(4)が、アスファルト層の欠陥(24)の周りの特定領域を制御された加熱を行うための少なくとも2つの独立した加熱セグメント(21)
を構成しており、
前記導波管(4)の各々の
出口側において前記出力チャンバ(5
)の上端に、前記制御ユニット(1)に接続された、加熱された表面の温度を測定するためのセンサ(9)が設けられていることを特徴とする
、アスファルト表面を補修するための装置。
【請求項3】
前記印加ユニット(22)の前記導波管を周囲から固定するフレーム(6)と、前記フレーム(6)の周囲を囲むケーシング(8)とを更に備え、
更に前記印加ユニット(22)のケーシング(8)と前記印加ユニット(22)のフレーム(6)との間に、加熱された表面の上方での前記印加ユニット(22)の移動を制御するために前記制御ユニット(1)に接続された駆動セグメント(7)が設けられていることを特徴とする、請求項
2に記載のアスファルト表面を補修するための装置。
【請求項4】
アスファルト充填混合物を加熱するためのマイクロ波オーブン(14)をさらに備え、前記マイクロ波オーブン(14)は
、前記印加ユニット(22)とは前記装置において別の部分に組み込まれており、前記別の部分は、内燃機関(12)、発電機(11)、駆動軸(16)、及び操舵軸(17)をさらに含むことを特徴とする、請求項2~
3のいずれか1項に記載のアスファルト表面を補修するための装置。
【請求項5】
前記印加ユニット(22)のケーシング(8)は、その底面に少なくとも1つの検出カメラ(20)を有する、ことを特徴とする請求項2~
4のいずれか1項に記載のアスファルト表面を補修するための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト表面の補修方法およびアスファルト材料によるアスファルト表面のための補修装置に関し、補修されるポットホールおよびその周辺の最適な熱処理が、エネルギの目標とされた集中によって提供される。
【背景技術】
【0002】
現在、損傷したアスファルト表面の亀裂やポットホールの補修は、いくつかの装置を用いていくつかの方法で行われている。補修の目的は、アスファルト層の中や下方への水の浸入を防ぎ、温度変化(0℃より下及び0℃より上)中における水の容積変化と、車両の車輪による水の圧縮時に層から骨材が機械的に取り除かれることの両方によって生じる機械的劣化からアスファルト層を守ることにある。
【0003】
アスファルトの表面を補修するための方法と装置はいくつか知られている。
【0004】
手順1
水に乳化させるか有機溶剤に溶かしたコールド・アスファルトバインダーを常温で、同じく常温のアスファルト表面の亀裂に流し込むか、ホット・アスファルトバインダーを液状になる温度まで加熱し、同じく常温のアスファルト表面の亀裂に流し込んで、不良部をアスファルトバインダーで充填する。
【0005】
この方法は、硬化したアスファルトバインダーとアスファルト表面との間の低品質の結合をもたらし、その結果、漏れやすい接合部と、損傷したアスファルト層への更なる水の浸入を生じる。この方法のもう一つの欠点は、アスファルトバインダーが路面に突き出る場所における低減された路面粗さであり、これは特にシングルトラック車両(自転車、オートバイ)にとって、道路の望ましくなく且つ危険な滑り止め特性の減少を引き起こす。
【0006】
手順2
欠陥は、コールド・アスファルト混合物で充填されるが、4~6mmのサイズ断片の骨材と有機溶媒に溶解したアスファルトバインダーからなるコールド・アスファルト混合物を、常温で、同じく常温のアスファルト表面の欠陥に流し込み、圧縮又は締め固める。
【0007】
この方法は、コールド・アスファルト混合物とコールド・ポットホール基材との間の低品質の結合をもたらし、その結果、漏れやすい接合部と、損傷したアスファルト層への更なる水の浸入を生じる。この方法のもう一つの欠点は、補修場所の道路の支持力の低下であり、これは、周囲の道路よりも粒径が小さく且つ異なる断片分布の骨材の使用により生じる。この方法は、限られた寿命(数週間から数ヶ月)の一時的な仮補修としてのみ使用するのに適している。
【0008】
手順3
欠陥は、スプレージェット装置を用いてホット・アスファルト混合物で充填されるが、断片サイズ4~6mmの骨材を、液状になる温度まで加熱したアスファルトバインダーと混合し、このアスファルト混合物を、常温のアスファルト表面の欠陥に高速で適用する。
【0009】
この方法は、硬化したアスファルト混合物とアスファルト表面との間の低品質の結合をもたらし、その結果、漏れやすい接合部と、損傷したアスファルト層への更なる水の浸入を生じる。この方法のさらなる欠点は、補修によってアスファルトバインダーによって結合されない細骨材の層によって引き起こされる路面の耐滑性の低下であり、これは、すべての車両に対する路面の望ましくなく且つ危険な耐滑性の低下と、車両の車輪からの細骨材の危険な飛び散りの両方を引き起こす。
【0010】
手順4
欠陥は、掘削され、常温でホット・アスファルト混合物が充填されるが、欠陥があるアスファルト層の損傷部分を丸鋸で所定の正方形または矩形の形状に切断し、所定の形状内のアスファルト層を機械的に掘削し又は道路フライス盤装置で粉砕し、アスファルト層の得られた穴をアスファルトバインダーの結合スプレーで覆い、その穴をホット・アスファルト混合物(HRA)で充填して圧縮又は締め固める。ホット・アスファルト混合物が冷めた後、埋め込まれたアスファルト混合物と元のアスファルト層との間の継ぎ目を丸鋸で切断する。切断された継ぎ目は、手順1に従って処理される。
【0011】
この方法は、ホット・アスファルト混合物とコールド・アスファルト層と共に硬化したアスファルトバインダーとの間の低品質の結合をもたらし、その結果、漏れやすい接合部と、損傷したアスファルト層への更なる水の浸入を生じる。この方法の他の欠点は、アスファルトバインダーが路面上に突き出る場所における低減された路面粗さであり、これは特にシングルトラック車両(自転車、オートバイ)にとって、道路の望ましくなく且つ危険な滑り止め特性の減少を引き起こす。
【0012】
手順5
欠陥の近傍のアスファルト層がガス炎またはIRエミッターで予熱され、ホット・アスファルト混合物が充填されるが、欠陥があるアスファルト層の損傷部分をガス炎またはIRエミッターで所定の正方形または矩形の形状に加熱する。このようにポットホールの底までアスファルト層を加熱するため、アスファルト層の表面を190℃以上の温度に加熱する必要がある。これは、加熱された領域のアスファルトバインダーを熱劣化させ、その可塑性を永久に失わせる。加熱終了後、加熱した領域を機械的にかきならし、R材を充填し、新しいアスファルトバインダーを定量注入し、機械的に均質化し、圧縮又は締め固める。
【0013】
このプロセスは、欠陥近傍の高品質なアスファルト層の熱劣化と、R材とバインダーの不定な混合物の置き換えをもたらす。新しいバインダー量の不正確な見積りと、R材との手作業による不十分な均質化は、バインダーが不足したアスファルト混合物となり、これによりすぐに表面が侵食され、欠陥の再開と拡大につながる。他の欠点は、過熱したアスファルトバインダーから煙霧が発生し、オペレータの健康の観点や作業場の周辺エリアの環境の観点で好ましくない。
【0014】
手順6
アスファルト混合物や局所的に損傷した路面をマイクロ波で加熱できることは、例えば米国特許や中国特許で示されているが、後述するように日本特許、独国特許、または他の特許でも示されており、海外の文献や特許の情報源から公知である。
【0015】
いくつかの特許は、米国特許US6,571,648、US4,856,202、US4,252,487、US4,252,459で主張されているように、マイクロ波と従来の通常のガス加熱との組み合わせの使用を記載している。ほとんどは、特に中国特許CN1011586326、CN2848929、CN2848928、CN2844202、CN101139811、その他多数は、マイクロ波装置の設計を扱っており、マイクロ波の漏洩を防ぐという観点では、CN101441469、CN1011397811、CN2844210、CN10158659、DE10121929、及びEP1006758がある。粉砕アスファルト混合物のリサイクルに焦点を当てた特許のグループは、特許CA1,117,339、US4,619,550、CN101586326、CN201180248、US4,011,023に代表される。
【0016】
マイクロ波加熱を使用する場合、通常、ポットホールによるマイクロ波の低い吸収率と、それによるポットホールの不十分な加熱が主な問題である。アスファルトは、非常に低い誘電率(ε=3~5)を有し、このことは、マイクロ波の吸収能力が低く、かくして加熱能力に限界があることをさらに説明する。補修用のアスファルト混合物及びポットホールは共に、アスファルトと骨材という2つの成分で構成されている。これらの成分の両方は、ほとんどの場合、低いマイクロ波の吸収と、したがって低減された加熱効率によって特徴付けられる。アスファルトは主に高分子量炭化水素の混合物で形成されており、これらは非極性であるため、マイクロ波を吸収する能力が低く、その加熱は不十分であることが多い。特許文献では、この問題を解決するために、様々な添加剤、すなわち、マイクロ波の吸収能力が高く、マイクロ波で加熱されやすく、加熱が困難な物質に熱を伝える添加剤を添加している。これらの材料はサセプタとも呼ばれ、電界と磁界の両方で、又は両方で同時にマイクロ波エネルギを吸収する材料である。上記の性質を持つように記載された材料は、以下の特許から明らかなように、半導体、強磁性体、金属酸化物、金属粉などを含む。例えば、米国特許US4,849,020や中国特許CN101235208は、Zn及びFeフェライト、亜鉛及び鉄金属粉末、クロム、マンガン、ニッケル酸化物、炭化ケイ素、アルミニウム及びチタン酸化物等の使用を記載している。その他の添加剤が、特許JP2104804(石炭)、US5,441,360およびUS6,193,793(無煙炭)、US5,092,706(Fe304)、JP1178603(フライアッシュ)に記載されている。アスファルトのマイクロ波加熱のための他の多くの方法と装置が以下の特許に記載されている:US4,594,022,US4,175,885,US4,347,016,CA1117,339,US5,083,870,US4,957,434,US4,276,093,EP0,440,423,CN101774786,US5,352,275,CA1,117,339、US4,619,550,US4,856,202,US4,252,459,US5,810,471,US4,319,856,US3,870,426,US4,011,023,CN102009043603,その他、特に中国特許。
【0017】
上記の添加剤は、展開された熱をポットホールまたはアスファルト混合物に伝達するため、加熱に有益な効果を有する。しかしながら、この方法は、マイクロ波加熱の前に、その体積全体に添加剤を均一に混合し得るアスファルト混合物の加熱に限定される。添加剤を含まないアスファルト混合物から作られたアスファルト層のポットホールの場合、添加剤を層の表面にしか付加することができず、このようなことはできない。この場合、従来のガス加熱や赤外線加熱と同様に加熱することが問題となる。ポットホールの表面は150~160℃の必要な温度に加熱されるが、約1~2cmの不十分な深さであり、これは、ポットホール補修の品質という観点からは不十分である。重金属及びその化合物のようないくつかの添加剤の他の欠点は、道路に使用すると放出されて環境を汚染する可能性があるため、健康被害である。
【0018】
マイクロ波加熱法は、従来の加熱よりも有利に見えるが、以下のような問題点があり、その利用を妨げている。マイクロ波場の不均一性、かくして加熱の不均一性、損傷領域、ポットホール、継ぎ目及び亀裂を必要な深さまで均一に加熱することの達成、吸収特性が低下するアスファルトポットホールの組成および年齢、ポットホールによるマイクロ波の低い吸収、加熱可能性の制限。
【0019】
マイクロ波加熱は、マイクロ波場の不均一性または不均一な材料の結果として、照射された材料に局所的な温度勾配を生じさせ、それは照射された材料の吸収容量が小さいほど大きいことが知られている。アスファルトの組成とその吸収能力が経年変化によりさらに低下することを考えると、補修には最大50重量%という多量の活性添加剤が必要である。この一見有利な方法にもかかわらず、ポットホールの表面の加熱は、前述の1~2cmにしか達しないため、不十分であることが理解されよう。より深いところまで加熱するためには、170℃以上の高い温度が必要であり、これはアスファルトバインダーの構造を乱す。
【0020】
マイクロ波加熱による表面加熱の均質化の問題は、例えば、中国特許CN108252189によって対処されており、これは、加熱表面に平行な2軸における加熱表面上の数対のマグネトロンの運動を適用している。この解決法の出力は、均質に加熱された表面であり得るが、アスファルト層の加熱温度を測定する提案方法は、加熱温度がマグネトロンの温度から得られるため、加熱プロセスを調節する可能性について疑問が上がり、これは、マグネトロンは、その破壊を防ぐために冷却する必要があり、技術的に非現実的であると考えられる。
【0021】
加熱深度の問題は、中国特許CN107268402で対処されているが、これは、アスファルト表面修復の異なる部分に焦点を当てたものである。この特許は、個々の欠陥の修復とは異なり、風化したアスファルト層の連続的なリサイクルの問題に対処する。これは、現場でのリサイクル技術のマイクロ波の改良であり、補修されるアスファルト表面層がまず粉砕され、粉砕された材料は新しいアスファルトバインダーで浸透され、導波管で終端したマグネトロンの行列で構成される主加熱板を使用して周波数2.45GHzで150~200mmの深さまでマイクロ波加熱によって加熱される。同時に、周囲の未粉砕層は、主加熱板の両側に位置する2枚の補助加熱板(これは、周波数5.8GHzで深さ70mmまでのマグネトロンアレイを備える)により加熱される。これは、粉砕されたストリップの両側で、粉砕され再生された材料と粉砕されていない表面とのより良い接合をサポートするが、新しいアスファルトバインダーの添加が、加熱そのものよりも接合の品質の主な要因である。このような表面補修のエネルギ消費量とその経済的利点についても疑問が残る。
【0022】
手順7
欠陥付近のアスファルト層は、マイクロ波放射により予熱され、ホット・アスファルト混合物で充填され、圧縮又は締め固められるが、特許CZ304,810によれば、欠陥の領域とその周囲は、硫酸、リン酸、ポリリン酸のグループから選択された液体浸透剤で覆われ、欠陥の通常の領域とその周囲は、例えば、特許CZ308,031による装置を用いて、マイクロ波放射の効果によって、100~200℃の温度に2~10cmの深さまで加熱され、ホット・アスファルト混合物で覆われ、圧縮又は締め固められる。このプロセスの利点は、アスファルト層の無傷の部分の100~200℃の温度への加熱であり、そこではアスファルトバインダーの熱劣化は起こらず、むしろ軟化するのみである。締め固めの際、ホット・アスファルト混合物の骨材部分とバインダー部分が、アスファルト層の軟化した部分に防水的な方法で混入され、両部分が固まると、継ぎ目を形成せずに補修アスファルト層の完全性を回復し、それによってアスファルト層への及びその下への水の侵入を防止する。このプロセスの主な欠点は、濃縮された酸をベースとする浸透剤の使用である。マイクロ波が照射されると、濃縮酸は100℃以上の温度に加熱され、アスファルト層のバインダーを酸化させ、これは可塑性を失う。補修した欠陥の元の縁部のすぐ近くにおいて、アスファルト層から骨材がその後脱落し、接合の水密性の消失と、元の欠陥の領域の拡大につながる。もう一つの欠点は、濃縮酸の腐食性という、オペレータの健康に対する客観的な危険性である。飛沫は皮膚や目に深刻なダメージを与え、意図せず摂取した場合は口腔内や消化管に深刻なダメージを与え得る。
【0023】
アスファルト表面の上記補修方法は、それらを実施する装置の欠陥に関係している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0024】
先行技術の上記の欠点は、アスファルト表面の補修方法およびこの方法を実施するための装置によって略解消され、その本質は、加熱前にアスファルト層の欠陥の周囲を少なくとも2つのゾーンに分割し、マイクロ波放射の効果によって別々に加熱することにあり、欠陥の縁部およびその周囲によって規定される一次加熱ゾーンにおいて、一次加熱ゾーンは欠陥の縁部から両側において少なくとも10mmの距離に規定され、アスファルト層を70℃~195℃の間の温度に加熱し(具体的な温度は、補修するアスファルト層の特定の種類のアスファルト混合物の組成に応じて選択される)、一次加熱ゾーンに隣接し、少なくとも10mm幅の二次加熱ゾーンにおいて、アスファルト層を30℃~110℃の間の温度に加熱し、一次加熱ゾーンの温度は二次加熱ゾーンの温度より常に少なくとも20℃高く、一次ゾーンと二次ゾーンが必要な温度に加熱された後、損傷部を加熱されたアスファルト混合物で充填し、アスファルト混合物を元の表面と同じレベルにまで圧縮する。
【0025】
この方法を実施するための装置は、マイクロ波発生器とその導波管を含む印加ユニットを含み、さらにソースと制御システムを含み、マイクロ波発生器は制御ユニットに結合され、出力チャンバによって終端しマイクロ波発生器に結合された少なくとも2つの導波管は、アスファルト層の欠陥周辺の特定の領域を制御加熱するための少なくとも2つの独立した加熱セグメントに分割される。出力チャンバの各導波管の出口の下側には、制御ユニットに接続された、加熱表面の温度を測定するためのセンサがある。さらに、印加ユニットのケーシングと印加ユニットのフレームとの間には、加熱表面上の印加ユニットの移動を制御するための、制御ユニットに接続された駆動セグメントがある。アスファルト充填混合物を加熱するためのマイクロ波オーブンは、好ましくは、印加ユニットとは装置において別の部分に組み込まれており、別の部分は、内燃機関、発電機、駆動軸および操舵軸を含む。印加ユニットのケーシングは、その下側に少なくとも1つの検出カメラを備えることができる。
【0026】
アスファルト層の欠陥の縁部とその近傍(一次ゾーン)をマイクロ波放射により70℃~195℃の温度に加熱し、一次加熱ゾーンに隣接する二次加熱ゾーンのアスファルト層を30℃~110℃の温度まで加熱し、一次加熱ゾーンの温度は二次加熱ゾーンの温度より常に少なくとも20℃高く、一次ゾーンと二次ゾーンが所望の温度に加熱された後、損傷したアスファルト層の構築に使用されたものと同じ種類のホット・アスファルト混合物で損傷領域を充填し、元の表面と同じレベルに圧縮する。マイクロ波放射は、個々の加熱セグメントにより印加され、その電力と動作時間は、制御ユニットによって各加熱セグメントについて独立かつ別々に制御される。
【0027】
欠陥のある損傷したアスファルト層の表面を一次加熱ゾーンと二次加熱ゾーンに分割し、それらを異なる温度に制御加熱することにより、マイクロ波放射サセプタを使用する必要がなくなり、技術的な理由で加熱する必要がある領域のみにマイクロ波エネルギを印加し、残りの表面はマイクロ波放射に影響されないようにして、加熱のためのエネルギ消費を低減する。
【0028】
本発明を図面によってより詳細に説明する
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図3】駆動及びサービスユニットを含む装置全体の概略断面図である。
【
図4】印加ユニットの下面におけるゾーンのマーキングを示す。
【
図5】加熱ゾーンの上面図を示す亀裂状の欠陥がある路面を表す。
【
図6】加熱ゾーンの断面を示す亀裂状の欠陥がある路面を表す。
【
図7】加熱ゾーンの上面図を示す主要なポットホール不良を有する路面を表す。
【
図8】加熱ゾーンの断面を示す主要なポットホール不良を有する路面を表す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
アスファルト(ビチューメン)表面を補修するための装置は、発電機11、内燃機関12、主制御装置13、アスファルト混合物を加熱するためのマイクロ波オーブン14、冷却装置15、駆動軸16、操舵軸17、操舵軸を制御するためのハンドル18、及び制御部を有する制御ディスプレイ19を備える駆動ユニットから構成されており、これらは、昇降機構10を介して印加ユニット22を有する部分に接続されており、そこにはさらに、制御ユニット1、マイクロ波発生器3の電源又は電力ソース2、マイクロ波発生器3、導波管4、出力チャンバ5、印加ユニット22のフレーム6、駆動セグメント7、印加ユニット22のケーシング8、温度測定センサ9、検出カメラ20が配置されている。
【0031】
三相電圧230V/50Hzを発生する発電機11がディーゼルエンジン12に接続されている。この電圧は、配電盤とヒューズボックスを経て、4000V/5kHzの電圧を発生する高圧トランスからなるマイクロ波発生器3の電源2に供給される。この電圧は、マイクロ波発生器3に1kWの電力を供給する。電源2の起動およびその電力の調節は、温度測定センサ9からのデータおよびオペレータが制御ディスプレイ19に入力した情報に従って制御ユニット1によって制御され、制御ディスプレイ19においてオペレータは検出カメラ20からの画像上に一次加熱ゾーン25を規定する。一次加熱ゾーン25の定義に基づき、制御ユニット1は二次加熱ゾーン26を自動的に画定する。
【0032】
マイクロ波発生器
3は、アルミニウム製の導波管
4に取り付けられている。導波管
4は矩形のマトリックス(
図2)を形成し、底部にはステンレス鋼の格子があり、その各セグメントが1つの出力チャンバ
5を形成する。出力チャンバ
5には、マイクロ波の減衰を確保するステンレス鋼製の管が挿入され、その上端には高温計-温度測定センサ
9が配置されている。温度測定センサ
9からの信号は、制御ユニット
1に供給される。
【0033】
導波管4のマトリックスは、印加ユニット22のフレーム6によって周囲から固定される。フレーム6とケーシング8との間には、ゴム製のエアバッグからなる駆動セグメント7が配置される。
【0034】
これらゴム製バッグは、電子的に制御される空気弁を備えた加圧空気分配システムに接続されている。これらの空気弁は、加熱時に導波管4のマトリックス全体を横方向および縦方向に移動させ、それによってアスファルト層の加熱を均質化するように、制御ユニット1から制御される。加圧空気は、往復圧縮機によって生成され、空気タンクに貯蔵される-これらは両方とも内燃機関12に配置されている。
【0035】
検出カメラ20は、ケーシング8上に配置される。検出カメラ20は、路面の画像を制御ユニット1に送信し、制御ユニット1はそれを制御ディスプレイ19に表示し、オペレータがマシンを欠陥に導き、その後、一次加熱ゾーン25を規定することを可能にする。
【0036】
ファンによってボックス内に吹き込まれる空気によって冷却される電源2を搭載したボックスが導波管4の上方に配置される。
【0037】
ケーシング8は、鋼製の昇降機構10に取り付けられており、電気駆動のスクリュー昇降機構によって昇降される。
【0038】
アスファルト混合物を加熱するためのマイクロ波オーブン14は、導波管4が挿入されたステンレス鋼製のチャンバから構成されている。これらの上端には、マイクロ波発生器3が配置されている。マイクロ波発生器3は、印加ユニット22と同様に、4000V/5kHzの電圧を発生する高圧トランスからなる電源2から給電され、この電源2には、配電盤およびヒューズボックスを介して、発電機11からの230V/50Hzの電圧が供給される。アスファルト混合物を加熱するためのマイクロ波オーブン14は、マイクロ波シールドを内蔵したステンレス鋼製のドアを備えている。
【0039】
この装置のシャーシには、駆動軸16を形成する2つの別個の電気駆動輪が設けられており、シャーシの前部には、駆動されない操舵軸17を形成する1つの操舵輪が設けられている。この操舵軸17は、制御ハンドル18にしっかりと取り付けられている。制御ハンドル18には、駆動軸16を制御する手動制御装置が設けられている。装置の進行方向は、制御ハンドル18を回すことによって機械的に制御される。マシンの前部で、制御ハンドル18の上方には、制御部を備えた制御ディスプレイ19を有する制御ユニット1がある。オペレータは、制御ディスプレイ19と制御ユニット1を用いて、装置への指示の送信や装置の状態に関する情報の取得を行う。
【0040】
装置が操作されると、アスファルト層の欠陥の端部及びその近傍が、マイクロ波放射によって70℃~195℃の温度に加熱される一次加熱ゾーン25と、二次加熱ゾーン26を形成し、二次加熱ゾーン26は、一次加熱ゾーン25に隣接し、30℃~110℃の温度に加熱され、ここで、一次加熱ゾーン25の温度は、二次加熱ゾーン26の温度よりも常に少なくとも20℃高く、一次ゾーン25及び二次ゾーン26が所望の温度に加熱された後、損傷した領域には、損傷したアスファルト層の構築に使用したものと同じ種類のホット・アスファルト混合物が充填され、元の表面と同じレベルにまで圧縮される。マイクロ波放射は、別個の加熱セグメントによって印加され、それらの電力及び動作時間は、制御ユニット1によって、各加熱セグメントについて独立かつ別個に制御される。
【0041】
欠陥を有する損傷したアスファルト層表面を一次加熱ゾーン25と二次加熱ゾーン26に分割し、それらを制御して異なる温度に加熱することにより、マイクロ波放射サセプタを使用する必要がなくなり、また、技術的理由により加熱する必要がある領域のみにマイクロ波エネルギを印加し、残りの表面はマイクロ波放射に影響されないようにすることにより、加熱のためのエネルギ消費を低減する。
【0042】
例1-ポットホール
図7及び
図8によれば、装置によってアスファルト表面のポットホールを修復する方法は、装置オペレータが発電機
11を駆動する内燃機関
12を始動することにより実行され、これは、操舵軸
16、マイクロ波オーブン
14、印加ユニット
22、及び装置制御ユニット
1に電気エネルギを供給する。オペレータは、印加ユニット
22を搬送位置に持ち上げ、輸送車両(バンまたは牽引車)から道路に装置を動かす。次に、オペレータは、装置を欠陥
24まで動かし、検出カメラ
20からの画像が送信される制御ディスプレイ
19を使用して、装置を補修すべき欠陥
24上に案内する。オペレータは、印加ユニット
22を作業位置まで下降させ、すなわち、補修すべき欠陥の部分を覆うように路面上に配置する。オペレータは、紙袋内の所定品質の固化したアスファルト混合物を、装置上に設置されたマイクロ波オーブン
14の中に入れる。制御ユニット
1は、混合物の重量情報と入口温度に基づいて、袋内の混合物が最短時間で135℃の温度まで均質に加熱されるように、オーブン
14の加熱時間および加熱方法を評価する。制御ユニット
1は、電源
2を起動し、これはオーブン
14内のマイクロ波発生器
3からのマイクロ波の発生をトリガする。オペレータは、制御ディスプレイ
19を使用して、一次加熱ゾーン
25をマークする。制御ユニット
1は、マークされた一次ゾーン
25の周りに二次加熱ゾーン
26を規定する。一次ゾーン
25及び二次ゾーン
26が閉曲線を形成する場合、二次ゾーン
26内に積極的に加熱されない空間が形成されることがある。オペレータが制御ユニット
1に一次加熱ゾーン
25と二次加熱ゾーン
26の加熱開始を指示すると、制御ユニット
1は電源
2を起動させてマイクロ波発生器
3に電力を供給し、マイクロ波の発生を開始する。マイクロ波は、導波管
4、出力チャンバ
5を通過して、出力チャンバ
5の下方のアスファルト層に入り、その作用で加熱される。かくして、加熱ゾーン
25、
26の上方に位置する加熱セグメント
21で、マイクロ波加熱が実現される。制御ユニット
1は、温度センサ
9からのアスファルト層温度情報に基づいて、各加熱セグメント
21のマイクロ波加熱パワーを調節し、同時に混合物の重量と入口温度に関する情報に基づいて、マイクロ波オーブン
14のマイクロ波パワーを調節する。一次ゾーン
25は70℃の温度に達し、二次ゾーン
26は50℃の温度に達し、マイクロ波オーブン内の混合物は最短時間で135℃の温度に達する。アスファルト層の加熱中、装置制御ユニット
1は、所望の温度まで全容積にわたってアスファルト層の均質な加熱を達成するように、駆動セグメント
7によって印加ユニット
22全体を縦方向及び横方向に移動させる。装置制御ユニット
1は、加熱プロセス中に全ての温度、すなわちオーブン内の混合物の温度、一次ゾーン
25及び二次ゾーン
26の温度を評価し、目標温度に達したときに加熱を停止する。加熱が完了すると、オペレータは、印加ユニット
22を搬送位置まで上昇させ、欠陥
24の場所にアスファルト混合物を注入して付加したアスファルト混合物を圧縮するのに十分なスペースがあるように、欠陥
24から装置を遠ざける。オペレータは、スプレーガンを用いて、一次ゾーン
25及び欠陥
24の底部に接合用スプレーを塗布する。オペレータは、加熱されたアスファルト混合物を含む紙袋をマイクロ波オーブン
14から取り出し、欠陥
24の容積にそれを充填する。オペレータは、付加されたアスファルト混合物を締め固める又は圧縮する。締め固めの間、一次ゾーン
25内の元々のアスファルト混合物は、遷移や継ぎ目が観察されることがないように、新たに加えられた混合物とブレンドされる。かくして、補修現場の路面は、元の路面の特性を保持する。
【0043】
例2-ポットホール
図7及び
図8によれば、装置によってアスファルト表面のポットホールを修復する方法は、装置オペレータが発電機
11を駆動する内燃機関
12を始動することにより実行され、これは、駆動軸
16、マイクロ波オーブン
14、マイクロ波印加ユニット
22、及び装置制御
ユニット1に電気エネルギを供給する。オペレータは、印加ユニット
22を搬送位置に持ち上げ、輸送車両(バンまたは牽引車)から道路に装置を動かす。次に、オペレータは、装置を欠陥
24まで動かし、検出カメラ
20からの画像が送信されるディスプレイ
19によって、装置を補修すべき欠陥
24上に案内する。オペレータは、印加ユニット
22を作業位置まで下降させ、すなわち、補修すべき欠陥の部分を覆うように路面上に配置する。オペレータは、紙袋内の所定品質の固化したアスファルト混合物を、装置上に設置されたマイクロ波オーブン
14の中に入れる。制御ユニット
1は、混合物の重量情報と入口温度に基づいて、袋内の混合物が最短時間で135℃の温度まで均質に加熱されるように、オーブンの加熱時間および加熱方法を評価する。制御ユニット
1は、オーブン
14内のマグネトロンを作動させる。オペレータは、制御ディスプレイ
19を使用して、一次加熱ゾーン
25をマークする。装置制御ユニット
1は、マークされた一次ゾーン
25の周囲に二次加熱ゾーン
26を規定する。一次ゾーン
25と二次ゾーン
26が閉曲線を形成する場合、二次ゾーン
26内には、積極的に加熱されない空間が形成されることがある。オペレータが制御ユニット
1に一次加熱ゾーン
25と二次加熱ゾーン
26の加熱開始を指示すると、制御ユニット
1は電源
2を起動させてマイクロ波発生器
3に電力を供給し、マイクロ波の発生を開始する。マイクロ波は、導波管
4、出力チャンバ
5を通過して、出力チャンバ
5の下のアスファルト層に入り、その作用で加熱される。かくして、加熱ゾーン
25、
26の上方に位置する加熱セグメント
21で、マイクロ波加熱が実現される。制御ユニット
1は、温度センサ
9からのアスファルト層温度情報に基づいて、一次ゾーンが145℃の温度に達し、二次ゾーンが80℃の温度に達し、マイクロ波オーブン内の混合物が最短時間で135℃の温度に達するように、混合物の重量及び入口温度情報に基づいて、各加熱セグメント
21のマイクロ波加熱パワーを調整し、またマイクロ波オーブン
14のパワーを調整する。アスファルト層の加熱中、装置制御ユニット
1は、所望の温度まで全容積にわたってアスファルト層の均質な加熱を達成するように、駆動セグメント
7によって印加ユニット
22全体を縦方向及び横方向に移動させる。装置制御ユニット
1は、加熱プロセス中に全ての温度、すなわちオーブン内の混合物の温度、一次ゾーン
25及び二次ゾーン
26の温度を評価し、目標温度に達したときに加熱を停止する。加熱が完了すると、オペレータは、印加ユニット
22を搬送位置まで上昇させ、欠陥
24の場所にアスファルト混合物を注入して付加したアスファルト混合物を圧縮するのに十分なスペースがあるように、欠陥
24から装置を遠ざける。オペレータは、スプレーガンを用いて、一次ゾーン
25及び欠陥
24の底部に接合用スプレーを塗布する。オペレータは、加熱されたアスファルト混合物を含む紙袋をマイクロ波オーブンから取り出し、欠陥
24の容積にそれを充填する。オペレータは、付加されたアスファルト混合物を締め固める又は圧縮する。締め固めの間、一次ゾーン
25内の元々のアスファルト混合物は、遷移や継ぎ目が観察されることがないように、新たに加えられた混合物とブレンドされる。かくして、補修現場の路面は、元の路面の特性を保持する。
【0044】
例3-亀裂
図5及び
図6によれば、装置によってアスファルト表面の亀裂を修復する方法は、装置のオペレータが発電機
11を駆動する内燃機関
12を始動することによって実行され、これは、駆動軸
16、マイクロ波オーブン
14、マイクロ波印加ユニット
22、及び装置制御ユニット
1に電気エネルギを供給する。オペレータは、印加ユニット
22を搬送位置に持ち上げ、輸送車両(バンまたは牽引車)から道路上に装置を動かす。次に、オペレータは、装置を欠陥
24まで動かし、検出カメラ
20からの画像が送信されるディスプレイ
19によって、装置を補修すべき欠陥
24上に案内する。オペレータは、印加ユニット
22を作業位置まで下降させ、すなわち、補修すべき欠陥の部分を覆うように路面上に配置する。オペレータは、紙袋内の所定品質の固化アスファルト混合物を、装置上に配置されたマイクロ波オーブン
14の中に入れる。制御ユニット
1は、混合物の重量情報と入口温度に基づいて、袋内の混合物が最短時間で170℃の温度まで均質に加熱されるように、オーブンの加熱時間および加熱方法を評価する。制御ユニット
1は、オーブン
14内のマグネトロンを作動させる。オペレータは、制御ディスプレイ
19を使用して、一次加熱ゾーン
25をマークする。装置制御ユニット
1は、マークされた一次ゾーン
25の周りに二次加熱ゾーン
26を規定する。一次ゾーン
25が直線を形成している場合、二次ゾーン
26はこの直線の外側にのみ形成される。オペレータが制御ユニット1に一次加熱ゾーン
25と二次加熱ゾーン
26の加熱開始を指示すると、制御ユニット
1は電源
2を作動させてマイクロ波発生器
3に電力を供給し、マイクロ波の発生を開始する。マイクロ波は導波管
4、出力チャンバ
5を通過して、出力チャンバ
5の下方のアスファルト層に入り、その作用で加熱される。かくして、加熱ゾーン
25、
26の上方に位置する加熱セグメント
21で、マイクロ波加熱が実現される。制御ユニット
1は、温度センサ
9からのアスファルト層温度情報に基づいて、一次ゾーン
25が195℃の温度に達し、二次ゾーン
26が110℃の温度に達し、マイクロ波オーブン内の混合物が最短時間で170℃の温度に達するように、混合物の重量及び入口温度情報に基づいて、各加熱セグメント
21のマイクロ波加熱パワーを調節し、またマイクロ波オーブン
14のパワーを調節する。アスファルト層の加熱中、装置制御ユニット
1は、所望の温度まで全容積にわたってアスファルト層の均質な加熱を達成するように、駆動セグメント
7によって印加ユニット
22全体を縦方向及び横方向に移動させる。装置制御ユニット
1は、加熱プロセス中に全ての温度、すなわちオーブン内の混合物の温度、一次ゾーン
25及び二次ゾーン
26の温度を評価し、目標温度に達したときに加熱を停止する。加熱が完了すると、オペレータは、印加ユニット
22を搬送位置まで上昇させ、欠陥
24の場所にアスファルト混合物を注入して付加したアスファルト混合物を圧縮するのに十分なスペースがあるように、欠陥
24から装置を遠ざける。オペレータは、スプレーガンを用いて、一次ゾーン
25及び欠陥
24の底部に接合用スプレーを塗布する。オペレータは、加熱されたアスファルト混合物を含む紙袋をマイクロ波オーブン
14から取り出し、欠陥
24の容積にそれを充填する。オペレータは、付加されたアスファルト混合物を締め固める又は圧縮する。締め固めの間、一次ゾーン
25の元々のアスファルト混合物は、遷移や継ぎ目が観察されることがないように、新たに加えられた混合物とブレンドされる。かくして、補修現場の路面は、元の路面の特性を保持する。
【0045】
例4-亀裂
図5及び
図6によれば、装置によってアスファルト表面の亀裂を修復する方法は、装置のオペレータが発電機
11を駆動する内燃機関
12を始動することによって実行され、これは、駆動軸
16、マイクロ波オーブン
14、マイクロ波印加ユニット
22、及び装置制御ユニット
1に電気エネルギを供給する。オペレータは、印加ユニット
22を搬送位置に持ち上げ、輸送車両(バンまたは牽引車)から道路上に装置を動かす。次に、オペレータは、装置を欠陥
24まで動かし、検出カメラ
20からの画像が送信されるディスプレイ
19によって、装置を補修すべき欠陥
24上に案内する。オペレータは、印加ユニット
22を作業位置まで下降させ、すなわち、補修すべき欠陥の部分を覆うように路面上に配置する。オペレータは、紙袋内の所定品質の固化アスファルト混合物を、装置上に配置されたマイクロ波オーブン
14の中に入れる。制御ユニット
1は、混合物の重量情報と入口温度に基づいて、袋内の混合物が最短時間で145℃の温度まで均質に加熱されるように、オーブンの加熱時間および加熱方法を評価する。制御ユニット
1は、オーブン
14内のマグネトロンを作動させる。オペレータは、制御ディスプレイ
19を使用して、一次加熱ゾーン
25をマークする。装置制御ユニット
1は、マークされた一次ゾーン
25の周りに二次加熱ゾーン
26を規定する。一次ゾーン
25が直線を形成している場合、二次ゾーン
26はこの直線の外側にのみ形成される。オペレータが制御ユニット1
に一次加熱ゾーン
25と二次加熱ゾーン
26の加熱開始を指示すると、制御ユニット1
は電源
2を作動させてマイクロ波発生器
3に電力を供給し、マイクロ波の発生を開始する。マイクロ波は導波管
4、出力チャンバ
5を通過して、出力チャンバ
5の下方のアスファルト層に入り、その作用で加熱される。かくして、加熱ゾーン
25、
26の上方に位置する加熱セグメント
21で、マイクロ波加熱が実現される。制御ユニット
1は、温度センサ
9からのアスファルト層温度情報に基づいて、一次ゾーン
25が80℃の温度に達し、二次ゾーン
26が30℃の温度に達し、マイクロ波オーブン内の混合物が最短時間で145℃の温度に達するように、混合物の重量及び入口温度情報に基づいて、各加熱セグメント
21のマイクロ波加熱パワーを調節し、またマイクロ波オーブン
14のパワーを調節する。アスファルト層の加熱中、装置制御ユニット
1は、所望の温度まで全容積にわたってアスファルト層の均質な加熱を達成するように、駆動セグメント
7によって印加ユニット
22全体を縦方向及び横方向に移動させる。装置制御ユニット
1は、加熱プロセス中に全ての温度、すなわちオーブン内の混合物の温度、一次ゾーン
25及び二次ゾーン
26の温度を評価し、目標温度に達したときに加熱を停止する。加熱が完了すると、オペレータは、印加ユニット
22を搬送位置まで上昇させ、欠陥
24の場所にアスファルト混合物を注入して付加したアスファルト混合物を圧縮するのに十分なスペースがあるように、欠陥
24から装置を遠ざける。オペレータは、スプレーガンを用いて、一次ゾーン
25及び欠陥
24の底部に接合用スプレーを塗布する。オペレータは、加熱されたアスファルト混合物を含む紙袋をマイクロ波オーブンから取り出し、欠陥
24の容積にそれを充填する。オペレータは、付加されたアスファルト混合物を締め固める又は圧縮する。締め固めの間、一次ゾーン
25の元々のアスファルト混合物は、遷移や継ぎ目が観察されることがないように、新たに加えられた混合物とブレンドされる。かくして、補修現場の路面は、元の路面の特性を保持する。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明による補修方法、および装置は、アスファルト表面の定期的な補修、特に季節をまたいで小さなポットホール及び亀裂の操作的な補修に使用することができる。すなわち、特に道路補修の文脈における輸送インフラで使用することができるが、応力を受けるアスファルト表面が使用される他の分野でも使用することができる。
以下に本発明の実施形態について記載する。
(実施形態1)マイクロ波加熱を用いたアスファルト表面の補修方法であって、
アスファルト層の欠陥(24)の周りの領域を加熱に先立って、マイクロ波放射による別々の加熱を有する少なくとも2つのゾーンに分割し、
前記欠陥の縁部(23)とその周囲によって規定され、前記欠陥の縁部(23)から両側に少なくとも10mmの距離によって境界を定められる一次加熱ゾーン(25)において、前記アスファルト層を70℃~195℃の温度まで加熱し、
前記一次加熱ゾーン(25)に隣接し、少なくとも10mmの幅を有する二次加熱ゾーン(26)において、前記アスファルト層を30℃~110℃に加熱し、前記一次加熱ゾーン(25)の温度は、前記二次加熱ゾーン(26)の温度よりも常に少なくとも20℃高く、
前記一次加熱ゾーン(25)及び前記二次加熱ゾーン(26)の所望の前記温度への加熱の後、加熱したアスファルト混合物で損傷箇所を満たし、前記アスファルト混合物を元の表面と同一レベルに圧縮することを特徴とする、方法。
(実施形態2)マイクロ波発生器及びその導波管を備え、さらにソース及び制御システムを備える印加ユニットを含む、アスファルト表面を補修するための装置であって、
前記マイクロ波発生器(3)が制御ユニット(1)に結合されており、
出力チャンバ(5)によって終端し前記マイクロ波発生器(3)に結合された少なくとも2つの導波管(4)が、アスファルト層の欠陥(24)の周りの特定領域を制御された加熱を行うための少なくとも2つの独立した加熱セグメント(21)に分割されていることを特徴とする、アスファルト表面を補修するための装置。
(実施形態3)前記導波管(4)の各々の前記出力チャンバ(5)への出口の下側に、前記制御ユニット(1)に接続された、加熱された表面の温度を測定するためのセンサ(9)が設けられていることを特徴とする、実施形態2に記載のアスファルト表面を補修するための装置。
(実施形態4)更に前記印加ユニット(22)のケーシング(8)と前記印加ユニット(22)のフレーム(6)との間に、加熱された表面の上方での前記印加ユニット(22)の移動を制御するために前記制御ユニット(1)に接続された駆動セグメント(7)が設けられていることを特徴とする、実施形態2又は3に記載のアスファルト表面を補修するための装置。
(実施形態5)アスファルト充填混合物を加熱するためのマイクロ波オーブン(14)をさらに備え、前記マイクロ波オーブン(14)は、好ましくは、前記印加ユニット(22)とは前記装置において別の部分に組み込まれており、前記別の部分は、内燃機関(12)、発電機(11)、駆動軸(16)、及び操舵軸(17)をさらに含むことを特徴とする、実施形態2~4のいずれか1項に記載のアスファルト表面を補修するための装置。
(実施形態6)前記印加ユニット(22)のケーシング(8)は、その底面に少なくとも1つの検出カメラ(20)を有する、ことを特徴とする実施形態2~5のいずれか1項に記載のアスファルト表面を補修するための装置。
【符号の説明】
【0047】
1-制御ユニット
2-マイクロ波発生器用電源
3-マイクロ波発生器
4-導波管
5-出力チャンバ
6-印加ユニットフレーム
7-駆動セグメント
8-印加ユニットケーシング
9-温度測定センサ
10-昇降機構
11-発電機
12-内燃機関
13-主制御装置
14-アスファルト混合物を加熱するためのマイクロ波オーブン
15-冷却装置
16-駆動軸
17-操舵軸
18-操舵軸制御ハンドル
19-制御ディスプレイ及びコントロール
20-検出カメラ
21-加熱セグメント
22-印加ユニット
23-補修される欠陥の縁部
24-欠陥
25-一次加熱ゾーン
26-二次加熱ゾーン