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特許7617342ファンブレード、ファンモータ、情報処理装置及びプロジェクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ファンブレード、ファンモータ、情報処理装置及びプロジェクタ
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/16 20060101AFI20250109BHJP
   F04D 29/30 20060101ALI20250109BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20250109BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G03B21/16
F04D29/30 C
F04D29/30 E
H04N5/74 Z
H05K7/20 H
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024147120
(22)【出願日】2024-08-29
【審査請求日】2024-09-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 伸介
(72)【発明者】
【氏名】坂井 孝治
(72)【発明者】
【氏名】高山 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】島倉 春光
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-065810(JP,A)
【文献】特開2016-065530(JP,A)
【文献】特開2007-009803(JP,A)
【文献】特開2006-002585(JP,A)
【文献】特開2002-021782(JP,A)
【文献】特開平10-030590(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112739461(CN,A)
【文献】中国実用新案第214465091(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/16
F04D 29/30
H04N 5/74
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心ファンのファンブレードであって、
複数の第1羽根部と、
複数の第2羽根部と、を備え、
前記第1羽根部の上部には、前記ファンブレードの回転方向に延設された第1規制板部を有し、
前記第2羽根部の下部には、前記ファンブレードの回転方向に延設された第2規制板部を有し、
前記第1羽根部の下端部と前記第2羽根部の上端部が当接することにより、前記第1羽根部と、前記第1規制板部と、前記第2羽根部と、前記第2規制板部と、が略コ字形状を成すことを特徴とするファンブレード。
【請求項2】
前記複数の第1羽根部は環状に並列し、
前記複数の第2羽根部は環状に並列し、
前記複数の第1羽根部の上部の外周部には、円環板状の第1補強板部が設けられ、
前記複数の第2羽根部の部の外周部には、円環板状の第2補強板部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のファンブレード。
【請求項3】
前記第1補強板部が前記複数の第1羽根部を構成に有する第1ブレード体の最外周部に設けられ、
前記第2補強板部が前記複数の第2羽根部を構成に有する第2ブレード体の最外周部に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のファンブレード。
【請求項4】
前記複数の第1羽根部は、第1基部から略放射状に延設されており、
前記複数の第2羽根部は、第2基部から略放射状に延設されており、
前記第1羽根部の前記第1基部側には前記第1規制板部を有しない部分があり、
前記第2羽根部の前記第2基部側には前記第2規制板部を有しない部分があることを特徴とする請求項3に記載のファンブレード。
【請求項5】
前記第1羽根部は、前記第1基部側から前記最外周部側に向かって、第1規制板部を有しない部分、第1規制板部を有する部分、前記第1補強板部を有する部分となっており、
前記第2羽根部は、前記第2基部側から前記最外周部側に向かって、第2規制板部を有しない部分、第2規制板部を有する部分、前記第2補強板部を有する部分となっていることを特徴とする請求項4に記載のファンブレード。
【請求項6】
前記第1羽根部の上側の板厚が下側の板厚よりも厚く形成され、
前記第2羽根部の下側の板厚が上側の板厚よりも厚く形成されていることを特徴とする請求項1に記載のファンブレード。
【請求項7】
前記複数の第1羽根部は、第1基部から略放射状に延設されており、
前記複数の第2羽根部は、第2基部から略放射状に延設されており、
前記第1基部と前記第2基部が接合されていることを特徴とする請求項1に記載のファンブレード。
【請求項8】
前記複数の第1羽根部と、前記第1基部と、を有して構成される第1ブレード体と、
前記複数の第2羽根部と、前記第2基部と、を有して構成される第2ブレード体と、を備え、
前記第1ブレード体と前記第2ブレード体を固着させる連結部を有し、
前記連結部が3以上の素数箇所に設けられていることを特徴とする請求項7に記載のファンブレード。
【請求項9】
前記第1羽根部と前記第2羽根部が同数であり、100枚以上であることを特徴とする請求項1に記載のファンブレード。
【請求項10】
前記第1規制板部を有する部分よりも内側の直径が、前記ファンブレードを収容するケーシングに形成された吸気口の直径と略同一であることを特徴とする請求項5に記載のファンブレード。
【請求項11】
請求項1~10に記載のファンブレードと、前記ファンブレードを収容するケーシングと、モータユニットと、を備えることを特徴とするファンモータ。
【請求項12】
請求項11に記載のファンモータを冷却手段として備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項13】
請求項11に記載のファンモータを冷却手段として備えることを特徴とするプロジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心ファンのファンブレード、当該ファンブレードを組み込んだファンモータ、当該ファンモータを搭載する情報処理装置及び当該ファンモータを搭載するプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器に搭載され、発熱体に対して送風して冷却する遠心ファンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の遠心ファン(38、39)は、ノート型PC、デスクトップ型PC、タブレット型PC、スマートフォン、ゲーム機等の電子機器(10)に搭載されるものであるが、近年、このような電子機器は薄型化が求められている。電子機器を薄型化するために、電子機器に搭載される遠心ファンについても薄型化が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2024-055133号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、遠心ファンを単に薄型化すると、単位時間当たりの送風量が減少し、十分な冷却効果を得られないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、以上の課題を解決し、薄型化した場合であっても、十分な送風量と冷却効果を確保可能なファンブレード、当該ファンブレードを組み込んだファンモータ、当該ファンモータを搭載した情報処理装置及び当該ファンモータを搭載したプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のファンブレードは、遠心ファンのファンブレードであって、複数の第1羽根部と、複数の第2羽根部と、を備え、前記第1羽根部の上部には、前記ファンブレードの回転方向に延設された第1規制板部を有し、前記第2羽根部の下部には、前記ファンブレードの回転方向に延設された第2規制板部を有し、前記第1羽根部の下部と前記第2羽根部の上部が当接することにより、前記第1羽根部と、前記第1規制板部と、前記第2羽根部と、前記第2規制板部と、が略コ字形状を成すことを特徴とする。
【0008】
本発明のファンモータは、上記ファンブレードと、前記ファンブレードを収容するケーシングと、モータユニットと、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の情報処理装置は、上記ファンモータを冷却手段として備えることを特徴とする。
【0010】
本発明のプロジェクタは、上記ファンモータを冷却手段として備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願発明によれば、十分な送風量と冷却効果を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態のファンモータの斜視図である。
図2】同実施形態のファンモータの上ケースを分解した分解斜視図である。
図3】同実施形態のファンモータの上ケースとファンブレードを分解した分解斜視図である。
図4】同実施形態のファンブレードの上側斜視図である。
図5】同実施形態の上段ブレード体の斜視図である。
図6】同実施形態の下段ブレード体及びヨークの斜視図である。
図7】同実施形態のファンブレードの下側斜視図である。
図8】同実施形態のファンブレードの平面図である。
図9図8のA-A断面図である。
図10図8のB-B断面図である。
図11図8のC-C断面図である。
図12】同実施形態のファンブレードの正面図である。
図13】同実施形態の上羽根部及び下羽根部の変形例である。
図14】同実施形態の上羽根部及び下羽根部の他の変形例である。
図15】従来のファンブレードの補強板部の位置を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明における好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態の構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態における遠心ファンであるファンモータ1の外観を示している。図2及び図3に示すように、ファンモータ1は、上ケース2と、下ケース3と、ファンブレード4と、を有して構成されている。上ケース2と下ケース3はケーシング5を構成し、ファンブレード4を収容している。
【0015】
薄板状に形成された上ケース2には、ファンモータ1に空気を取り込む円形の第1の吸気口6が形成されている。本実施形態の第1の吸気口6の直径D1は44mmに形成されているが、ファンモータ1が搭載される機器や、求められる冷却性能等により直径D1は変更される。
【0016】
図3に示すように、下ケース3は、薄板状の底板部7と、底板部7の外周部に立設された壁部8と、底板部7に固定されたモータユニット9と、モータユニット9に給電する配線10と、を有して構成されている。
【0017】
底板部7の略中央部分には、モータユニット9が配設されている。モータユニット9は、成層鉄心11と、成層鉄心11の中心部分に設けられた軸受部12と、成層鉄心11の複数(本実施形態では6)の腕部13に巻装された巻線(図示せず)と、を有する。軸受部12には、ファンブレード4にレーザー溶接により固着された軸部24(図7参照)を挿通する挿通孔14が形成されている。底板部7には、取付板15が固定されており、この取付板15にモータユニット9が取り付けられている。後述する永久磁石26もモータユニット9を構成する。
【0018】
壁部8は、底板部1の外周部全周に形成されておらず、一部壁部8が形成されていない部分があり、この壁部8が形成されていない部分がファンモータ1から空気が排出される排気口16(図1参照)となっている。また、底板部7には、ファンモータ1に空気を取り込む貫通孔である第2の吸気口17と、第3の吸気口18と、第4の吸気口19が形成されている。
【0019】
図4図8に示すように、ファンブレード4は、ヨーク21と、上段ブレード体22と、下段ブレード体23と、ヨーク21の中心部分に設けられ下方に延びる軸部24と、ヨーク21の側壁部25の内面に接着して設けられた複数(本実施形態では6)の永久磁石26と、を有している。本実施形態のファンブレード4の外径D2は54mmに形成されているが、ファンモータ1が搭載される機器や、求められる冷却性能等により外形D2は変更される。
【0020】
ヨーク21は、金属により形成され、上部が閉塞し、下部が開口した円筒形状を有し、中心部分に下方に延びる軸部24が設けられている。ヨーク21の側壁部25には、上下方向(縦方向)延びる複数(本実施形態では6)の係止溝部27が形成されている。各係止溝部27は凹状に形成され、等間隔に配置されている。
【0021】
図5に示すように、上段ブレード体22は合成樹脂により形成され、中心部分に設けられた円筒形状の上基部28と、上基部28から略放射状に延設された薄板状の複数(本実施形態では113)の上羽根部29と、を有している。
【0022】
上基部28の内面部30には、上下方向(縦方向)延びる複数(本実施形態では8)の凹状係止部31が形成されている。8つの凹状係止部31は等間隔に配置されている。
【0023】
上羽根部29は、平面視において略S字状に湾曲して形成されており、上補強板部32が設けられた外側部33と、上規制板部34が設けられた中間部35と、上基部28と中間部33との間に設けられた内側部36と、を有する。上羽根部29の中間部35よりも内側の直径D3は、約44mmに形成されているが、ファンモータ1が搭載される機器や、求められる冷却性能等により直径D3は変更される。
【0024】
図9図11に示すように、上羽根部29は、上側の板厚T1が0.2mm、下側の板厚T2が0.15mmとなっており、上側から下側に向かって先細り形状となっている。これは一例であり、ファンモータ1のサイズ等が変われば、上羽根部29の板厚T1、T2の数値も対応して変わる。板厚T1、T2は、外側部33と中間部35と内側部36で共通である。図8に示すように、隣り合う上羽根部29の間隔S1は、上基部28側が狭く、外側部33側が広くなっているが、各上羽根部29は等間隔に並列している。
【0025】
外側部33の上部には、円環板状の上補強板部32が設けられている。上補強板部32の外周面部37は、上羽根部29の外側端面部38と面一となっている。図15には、従来のファンブレード4Aが示されているが、補強板部32Aの外周面部37Aが羽根部29Aの外側端面部38Aと面一となっておらず、補強板部32Aが外側端面部38Aよりも内側(基部28A側)に設けられていたため、補強板部32Aよりも外側部分で、空気の一部が上方に流動し拡散するため、空気の送風効率が劣るという問題があった。本実施形態では、上補強板部32が上羽根部29の最も外側に配設されているため、空気が上方に移動することを防止し、従来のファンブレード4Aと比較して送風効率を高めている。本実施形態の上補強板部32の板厚T3(図9参照)は0.5mm、上補強板部32の短手方向の幅M1(図8参照)は5mmに形成されているが、これは一例であり、ファンモータ1のサイズ等が変われば、板厚T3、幅M1の数値も対応して変わる。
【0026】
中間部35の上部には、薄板状に形成された上規制板部34がファンブレード4の回転方向F(図4参照)に水平に延設されている。本実施形態の上規制板部34の板厚T4(図10参照)は0.5mm、上規制板部34の長手方向の長さL1(図8参照)は7mm、上規制板部34の短手方向の長さL2(図10参照)は0.5mmに形成されているが、これは一例であり、ファンモータ1のサイズ等が変われば、板厚T3、長さL1、長さL2の数値も対応して変わる。上規制板部34は隣り合う上羽根部29には接触しない長さに形成される。
【0027】
上基部28と、上補強板部32と、上規制板部34と、内側部36は、上面が面一となっている。
【0028】
図5に示すように、上段ブレード体22は、隣り合う2枚の上羽根部29と上補強板部32に接続され、下側が凸形状の複数(本実施形態では5)の上連結部39を有する。上連結部39は等間隔に配設されている。
【0029】
本実施形態では、上基部28と、上羽根部29と、上補強板部32と、上規制板部34と、上連結部39は一体に形成されているが、その一部又は全部を別部材とし、接合して上段ブレード体22を形成してもよい。
【0030】
図6に示すように、下段ブレード体23は合成樹脂により形成され、中心部分に設けられた円筒形状の下基部41と、下基部41の下部42から外側方向に水平に延設された当接板部43と、当接板部43から略放射状に延設された薄板状の複数(本実施形態では113)の下羽根部44と、を有している。
【0031】
下基部41の内面部45には、上下方向(縦方向)延びる複数(本実施形態では5)の内側凸状係止部46が形成されている。5つの内側凸状係止部46は等間隔に配置されている。下基部41の外面部47には、上下方向(縦方向)延びる複数(本実施形態では8)の外側凸状係止部48が形成されている。8つの外側凸状係止部48は等間隔に配置されている。
【0032】
下羽根部44は、平面視において略S字状に湾曲して形成されており、下補強板部49が設けられた外側部50と、下規制板部51が設けられた中間部52と、下基部41と中間部52との間に設けられた内側部53と、を有する。下羽根部44の中間部52よりも内側の直径D4は、約44mmに形成されているが、ファンモータ1が搭載される機器や、求められる冷却性能等により直径D4は変更される。
【0033】
図9図11に示すように、下羽根部44は、上側の板厚T5が0.15mm、下側の板厚T6が0.2mmとなっており、下側から上側に向かって先細り形状となっている。これは一例であり、ファンモータ1のサイズ等が変われば、下羽根部44の板厚T5、T6の数値も対応して変わる。板厚T5、T6は、外側部50と中間部52と内側部53で共通である。図7に示すように、隣り合う下羽根部44の間隔S2は、下基部41側が狭く、外側部50側が広くなっているが、各下羽根部44は等間隔に並列している。
【0034】
外側部50の下部には、円環板状の下補強板部49が設けられている。下補強板部49の外周面部54は、下羽根部44の外側端面部55と面一となっている。本実施形態の下補強板部49の板厚T7(図9参照)は0.5mm、下補強板部49の短手方向の幅M2(図7参照)は5mmに形成されているが、これは一例であり、ファンモータ1のサイズ等が変われば、板厚T7、幅M2の数値も対応して変わる。
【0035】
中間部35の下部には、薄板状に形成された下規制板部51がファンブレード4の回転方向Fに水平に延設されている。本実施形態の下規制板部51の板厚T8(図10参照)は0.5mm、下規制板部51の長手方向の長さL3(図7参照)は7mm、下規制板部51の短手方向の長さL4(図10参照)は0.5mmに形成されているが、これは一例であり、ファンモータ1のサイズ等が変われば、板厚T8、長さL3、長さL4の数値も対応して変わる。下規制板部51は隣り合う下羽根部44には接触しない長さに形成される。
【0036】
下基部41と、下補強板部49と、下規制板部51と、内側部53は、上面が面一となっている。
【0037】
本実施形態では、上羽根部29と下羽根部44がそれぞで113枚であるが、上羽根部29と下羽根部44の枚数は、ファンブレード4の大きさや、求められる送風量(冷却効率)等を考慮し適宜決定できる。そのため、例えば、上羽根部29と下羽根部44の枚数をそれぞれ30枚以上としたり、100枚以上としたりすることができる。本発明では、上羽根部29と下羽根部44を当接させて1つの羽根部を形成する構成とすることで、上羽根部29と下羽根部44の長さが1/2となるため、必要な強度を確保するための板厚を薄くすることができる。そのため、図15に示す、従来のファンブレード4Aでは、羽根部の枚数が97枚であるのに対し、本実施形態のファンブレード4では、100枚以上である113枚とすることが可能となっている。
【0038】
図6に示すように、下段ブレード体23は、隣り合う2枚の下羽根部44と下補強板部49に接続され、上側が凹形状の複数(本実施形態では5)の下連結部56を有する。下連結部56は等間隔に配設されている。
【0039】
本実施形態では、下基部41と、下羽根部44と、下補強板部49と、下規制板部51と、下連結部56は一体に形成されているが、その一部又は全部を別部材とし、接合して下段ブレード体23を形成してもよい。
【0040】
ヨーク21と下段ブレード体23は、インサート成形(一体成形)により形成されており、ヨーク21の係止溝部27と下段ブレード体23の内側凸状係止部46が係止している。また、上段プレート体22の凹状係止部31と下段ブレード体23の外側凸状係止部48が係止することで、下段ブレード体23に上段プレート体22が位置決めされる。上段プレート体22と下段ブレード体23は、上基部28と下基部41が嵌合、接着又は溶着されることにより結合されている。このとき、上基部28の底部が当接板部43に当接し、上羽根部29の下端部40と下羽根部44の上端部57が当接し(図9図12参照)、上連結部39と下連結部56が嵌合する。図10に示すように、上羽根部29と上規制板部34と下羽根部44と下規制板部51は、縦断面視において略コ字形状を成している。略コ字形状には、上羽根部29、上規制板部34、下羽根部44、下規制板部51の角部を面取りをしたものや、角部を円弧形状に形成したもの、上羽根部29、上規制板部34、下羽根部44、下規制板部51自体が湾曲した略逆C字形状のものも含む。なお、ヨーク21と下段ブレード体23は、別個に形成し、接着や溶着により接合してもよい。
【0041】
上連結部39と下連結部56は同数設けられており、本実施形態では5つずつ設けられているが、上段ブレード体22と下段ブレード体23を確実に固定可能であれば、上連結部39と下連結部56の数は、ファンブレード4の大きさ等を考慮して適宜決定することができる。ファンブレード4が円形であることから、安定して固定するために3以上とすることが好ましい。また、上連結部39と下連結部56の数を各々3以上の素数とすることで、ファンブレード4の回転時の共振を抑制し、静音化を図ることができる。
【0042】
本実施形態のファンブレード4は、上段プレート体22と下段ブレード体23の2部品から構成されることで、上羽根部29と下羽根部44を当接させて1枚の羽根部を形成している。図15に示すように、1部品からなる羽根部29Aの場合には、羽根部29Aの上下方向の長さが長くなるため、羽根部29Aの撓み等を防止するため、羽根部29Aの板厚を一定程度厚くする必要がある。一方、本実施例のファンブレード4は、羽根部が上羽根部29と下羽根部44に分割されていることから、上羽根部29と下羽根部44の上下方向の長さは、羽根部29Aの1/2となり、羽根部29Aと比較して撓み量も少なくなるため、板厚を薄くすることができる。そのため、ファンブレード4Aよりも羽根部の枚数を増加させることができる。そうすると、ファンブレード4とファンブレード4Aを同一の速度で回転させた場合には、羽根部の枚数が多いファンブレード4の方がより多くの空気を放出することができる。また、ファンブレード4Aの回転速度よりも遅い回転速度であってもファンブレード4Aと同量の空気を放出することができる。回転速度を遅くすることで、静音化を図ることができる。
【0043】
図9図11に示すように、本実施形態では、上羽根部29と下羽根部44は、ファンブレード4の回転方向F側の一側面59、60とファンブレード4の回転方向Fと反対側の他側面61、62が傾斜して薄くなっているが、図13に示すように、上羽根部29と下羽根部44の一側面59、60が傾斜し、他側面61、62が傾斜せずに薄くなる形状としてもよい。また、図14に示すように、上羽根部29と下羽根部44の一側面59、60が傾斜せず、他側面61、62が傾斜して薄くなる形状としてもよい。
【0044】
ファンモータ1は、配線10を通じて巻線に通電されることで、巻線からの磁力を受けて永久磁石26を有するヨーク21を添えたファンブレード4が軸部24を中心に回転する。ファンブレード4が回転すると、第1の吸気口6、第2の吸気口17、第3の吸気口18、第4の吸気口19からファンブレード4内及びケーシング5内に空気が取り込まれ、隣り合う上羽根部29及び下羽根部44の間から外側方向に空気がファンブレード4から排出される。ファンブレード4から排出された空気は、排気口16からケーシング5の外側に排出される。
【0045】
ファンモータ1は、スマートフォン、タブレット、ノートパソコン等の比較的小型の情報処理装置(図示せず)に搭載される。排気口16の外側には、情報処理装置が備えるCPU(中央演算処理装置)等の熱源(冷却対象)(図示せず)や、熱源(冷却対象)と熱接触する放熱フィン(図示せず)等が配設されており、排気口16から排出された空気により熱源(冷却対象)が空冷される。
【0046】
ファンモータ1は、映像をスクリーン等に拡大して投影・表示する光学的な投影装置であるプロジェクタ(図示せず)に搭載することもできる。プロジェクタが備える光源等の熱源(冷却対象)に排気口16から送風し、熱源(冷却対象)を空冷することができる。
【0047】
また、本実施形態のファンブレード4は、複数の上羽根部29は環状に並列し、複数の下羽根部44は環状に並列し、複数の上羽根部29の上部の外周部には、円環板状の上補強板部32が設けられ、複数の下羽根部44の部の外周部には、円環板状の下補強板部49が設けられている。そのため、複数の上羽根部29を上補強板部32で保持し、複数の下羽根部44を下補強板部49で保持することができる。これにより、上羽根部29と下羽根部44の変形や振動を抑制することができ、空気の拡散や振動音を抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態のファンブレード4は、複数の上羽根部29は環状に並列し、複数の下羽根部44は環状に並列し、複数の上羽根部29の上部の外周部には、円環板状の上補強板部32が設けられ、複数の下羽根部44の上部の外周部には、円環板状の下補強板部49が設けられている。そのため、複数の上羽根部29を上補強板部32で保持し、複数の下羽根部44を下補強板部49で保持することができる。これにより、上羽根部29と下羽根部44の変形や振動を抑制することができ、空気の拡散や振動音を抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態のファンブレード4は、上補強板部32が複数の上羽根部29を構成に有する上段ブレード体22の最外周部に設けられ、下補強板部49が複数の下羽根部44を構成に有する下段ブレード体23の最外周部に設けられている。そのため、ファンブレード4の空気の出口付近において、上補強板部32と下補強板部49により空気が上下方向に流動し難くし、空気の拡散を抑制することができる。その結果、ファンブレード4から空気を直線的に放出することができる。
【0050】
また、本実施形態のファンブレード4は、複数の上羽根部29は、上基部28から略放射状に延設されており、複数の下羽根部44は、下基部41から略放射状に延設されており、上羽根部29の上基部28側には上規制板部34を有しない部分があり、下羽根部44の下基部41側には下規制板部51を有しない部分がある。そのため、上羽根部29の上規制板部34を有しない部分と下羽根部44の下規制板部51を有しない部分からファンブレード4内に空気を十分に取り込むことができる。
【0051】
また、本実施形態のファンブレード4は、上羽根部29は、上基部28側から最外周部側に向かって、上規制板部34を有しない部分、上規制板部34を有する部分、上補強板部32を有する部分となっており、下羽根部44は、下基部41側から最外周部側に向かって、下規制板部51を有しない部分、下規制板部51を有する部分、下補強板部49を有する部分となっている。そのため、上基部28及び基部41側に近い上規制板部34及び下規制板部51を有しない部分から空気を取り込み、最外周部側に向かって上下方向に空気が流動し難くすることで、ファンブレード4の出口から空気を直線的に放出することができる。
【0052】
また、本実施形態のファンブレード4は、上羽根部29の上側の板厚T1が下側の板厚T2よりも厚く形成され、下羽根部44の下側の板厚T6が上側の板厚T5よりも厚く形成されている。そのため、上羽根部29に沿って流動する空気は下側方向に流動し易く、下羽根部44に沿って流動する空気は上側方向に流動し易くなる。その結果、空気は上羽根部29と下羽根部44の当接部分に集中し、当該部分での空気の流速が速くなり、ファンブレード4の出口から流速の速い空気を放出することができる。
【0053】
また、本実施形態のファンブレード4は、複数の上羽根部29は、上基部28から略放射状に延設されており、複数の下羽根部44は、下基部41から略放射状に延設されており、上基部28と下基部41が接合されている。そのため、上段ブレード体22と下段ブレード体23の中心側を強固に連結することができる。
【0054】
また、本実施形態のファンブレード4は、複数の上羽根部29と、上基部28と、を有して構成される上段ブレード体22と、複数の下羽根部44と、下基部41と、を有して構成される下段ブレード体23と、を備え、上段ブレード体22と下段ブレード体23を固着させる上連結部39及び下連結部56を有し、上連結部39及び下連結部56が3以上の素数箇所に設けられている。そのため、ファンブレード4の回転時の共振を抑制し、静音化を図ることができる。
【0055】
また、本実施形態のファンブレード4は、上羽根部29と下羽根部44が同数であり、100枚以上である。上羽根部29と下羽根部44が100枚以上と多数であり、空気を大量に放出することができる。
【0056】
また、本実施形態のファンブレード4は、上規制板部34を有する部分よりも内側の直径D3が、ファンブレード4を収容するケーシング5に形成された第1の吸気口6の直径D1と略同一である。そのため、第1の吸気口6からケーシング5内に取り込まれた空気の流れが、上規制板部34に規制される難くなり、ファンブレード4内に空気を効率良く取り込むことができる。
【0057】
本実施形態のファンモータ1は、ファンブレード4と、ファンブレード4を収容するケーシング5と、モータユニット9と、を備える。そのため、熱源(冷却対象)を備える種々の情報処理装置にユニットとしてファンモータ1を組み込むことができる。
【0058】
本実施形態の情報処理装置は、ファンモータ1を冷却手段として備える。そのため、ファンモータ1から排出される空気により、情報処理装置が備える熱源(冷却対象)を空冷することができる。
【0059】
本実施形態のプロジェクタは、ファンモータ1を冷却手段として備える。そのため、ファンモータ1から排出される空気により、プロジェクタが備える熱源(冷却対象)を空冷することができる。
【0060】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、ヨークは、下段プレート体ではなく上段プレート体とインサート成形(一体成形)により形成してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 ファンモータ
4 ファンブレード
5 ケーシング
6 第1の吸気口(吸気口)
9 モータユニット
22 上段ブレード体(第1ブレード体)
23 下段ブレード体(第2ブレード体)
28 上基部(第1基部)
29 上羽根部(第1羽根部)
32 上補強板部(第1補強板部)
33 外側部(第1補強板部を有する部分)
34 上規制板部(第1規制板部)
35 中間部(第1規制板部を有する部分)
36 内側部(第1規制板部を有しない部分)
39 上連結部(連結部)
40 下端部
41 下基部(第2基部)
44 下羽根部(第2羽根部)
49 下補強板部(第2補強板部)
50 外側部(第2補強板部を有する部分)
51 下規制板部(第2規制板部)
52 中間部(第2規制板部を有する部分)
53 内側部(第1規制板部を有しない部分)
56 下連結部(連結部)
57 上端部
D1 第1の吸気口6の直径(吸気口の直径)
D4 中間部35よりも内側の直径(第1規制板部を有する部分よりも内側の直径)
F 回転方向
T1 上羽根部29の上側の板厚(第1羽根部の上側の板厚)
T2 上羽根部29の下側の板厚(第1羽根部の下側の板厚)
T5 下羽根部44の上側の板厚(第2羽根部の上側の板厚)
T6 下羽根部44の下側の板厚(第2羽根部の下側の板厚)
【要約】
【課題】ファンブレードを薄型化した場合であっても、十分な送風量と冷却効果を確保可能なファンブレード、当該ファンブレードを組み込んだファンモータ、当該ファンモータを搭載した情報処理装置及び当該ファンモータを搭載したプロジェクタを提供する。
【解決手段】本発明のファンブレード4は、遠心ファンのファンブレード4であって、複数の上羽根部29と、複数の下羽根部44と、を備え、上羽根部29の上部には、ファンブレード4の回転方向Fに延設された上規制板部34を有し、下羽根部44の下部には、ファンブレード4の回転方向Fに延設された下規制板部51を有し、上羽根部29の下端部40と下羽根部44の上端部57が当接することにより、上羽根部29と、上規制板部34と、下羽根部44と、下規制板部51と、が略コ字形状を成す。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15