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特許7617352整合回路、RFフロントエンド電力増幅回路及び移動通信機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】整合回路、RFフロントエンド電力増幅回路及び移動通信機器
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/38 20060101AFI20250110BHJP
   H03H 7/01 20060101ALI20250110BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20250110BHJP
   H03F 1/26 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
H03H7/38 Z
H03H7/01 A
H03F3/24
H03F1/26
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023536507
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-04
(86)【国際出願番号】 CN2022090482
(87)【国際公開番号】W WO2023020014
(87)【国際公開日】2023-02-23
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】202110951884.9
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521079271
【氏名又は名称】深▲せん▼▲飛▼▲驤▼科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】周 佳輝
(72)【発明者】
【氏名】龍 華
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-501658(JP,A)
【文献】特表2021-505038(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0241798(US,A1)
【文献】特開平6-6152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 7/00-7/54
H03F 1/00-3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFフロントエンド電力増幅器に用いられる整合回路であって、
第1周波数において、インピーダンスが第1所定インピーダンスである第1インピーダンス整合器と、
第1インピーダンス整合器のフロントエンドとグランドとの間に架け渡され、第1周波数信号を通過させ、前記第1周波数よりも低い第2周波数の信号及び前記第1周波数信号の第1高調波信号のうちの少なくとも一方を抑制する第1バンドパスフィルタと、
第1インピーダンス整合器のバックエンドとグランドとの間に架け渡され、前記第1周波数信号の第2高調波信号を抑制する第1トラップと、
前記第1インピーダンス整合器のフロントエンドに接続される第1整合ユニットと、を含み、
第1バンドパスフィルタは、直列に接続された第1共振器及び第2共振器を含み、前記第1共振器は、並列に接続された第1インダクタ及び第1キャパシタを含み、前記第2共振器は、直列に接続された第2インダクタ及び第2キャパシタを含み、
前記第1整合ユニットは、直列に接続された第5インダクタと、第6インダクタと、第7インダクタと、第5キャパシタとを含み、
前記第1整合ユニットは、
第5インダクタと第6インダクタとの接続点とグランドとの間に架け渡される直列に接続された第8インダクタ及び第6キャパシタと、
第6インダクタと第7インダクタとの接続点とグランドとの間に架け渡される直列に接続された第9インダクタ及び第7キャパシタと、
第7インダクタと第5キャパシタとの接続点とグランドとの間に架け渡される直列に接続された第10インダクタ及び第8キャパシタと、をさらに含み、
前記第1周波数は1.710GHz~1.785GHz及び/又は1.850GHz~1.910GHz動作周波数帯域以内であり、
前記第2周波数は820MHz~920MHz周波数帯域以内であることを特徴とする整合回路。
【請求項2】
前記第1共振器と前記第2共振器は、前記第2周波数と前記第1高調波信号の周波数で直列共振することを特徴とする請求項1に記載の整合回路。
【請求項3】
前記第1インピーダンス整合器は、直列に接続された第3インダクタ及び第3キャパシタを含むことを特徴とする請求項1に記載の整合回路。
【請求項4】
前記第3インダクタ及び前記第3キャパシタは、前記第1周波数で共振することを特徴とする請求項3に記載の整合回路。
【請求項5】
前記第1トラップは、直列に接続された第4インダクタ及び第4キャパシタを含むことを特徴とする請求項1記載の整合回路。
【請求項6】
前記第4インダクタ及び前記第4キャパシタは、前記第2高調波信号の周波数で共振することを特徴とする請求項5に記載の整合回路。
【請求項7】
前記第1高調波信号は前記第1周波数信号の3次高調波であり、
前記第2高調波信号は前記第1周波数信号の2次高調波であり、
前記第1所定インピーダンスは50オームであることを特徴とする請求項1に記載の整合回路。
【請求項8】
RFフロントエンド電力増幅回路であって、
請求項1~7のいずれかに記載の整合回路と、
前記整合回路に接続されるRF電力増幅器と、を含むことを特徴とするRFフロントエンド電力増幅回路。
【請求項9】
移動通信機器であって、
請求項8に記載の電力増幅回路を含むことを特徴とする移動通信機器。
【請求項10】
移動通信機器であって、
請求項1~7のいずれかに記載の整合回路を含むことを特徴とする移動通信機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、移動通信分野に属し、特に整合回路、RFフロントエンド電力増幅回路及び移動通信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
RF電力増幅器は、携帯電話通信システムの重要な構成部分とし、主に信号の増幅に用いられる。携帯電話通信システムの発展に伴い、携帯電話電力増幅器の放射電力に対する要求が高まっている。PA放射電力の向上はより高次の高調波及びより悪いスプリアス指標をもたらし、高調波及びスプリアスの悪化は通信の品質に深刻に影響し、そのため、PAバックエンドの整合回路はPAの高調波及びスプリアスに対してより高い抑制能力を有する必要がある。
【0003】
現在、従来のPA整合回路は、高調波抑制能力及び低周波スプリアス抑制能力が不足している。回路は比較的複雑であり、実現しにくく、技術的要件を満たすことが困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
これに鑑み、本願は、RFフロントエンド電力増幅器に用いられる整合回路であって、第1周波数において、インピーダンスが第1所定インピーダンスである第1インピーダンス整合器と、第1インピーダンス整合器のフロントエンドとグランドとの間に架け渡され、第1周波数信号を通過させ、前記第1周波数よりも低い第2周波数の信号及び前記第1周波数信号の3逓倍信号のうちの少なくとも一方を抑制する第1バンドパスフィルタと、第1インピーダンス整合器のバックエンドとグランドとの間に架け渡され、前記第1周波数信号の2逓倍信号を抑制し、前記第1インピーダンス整合器と協働して1インピーダンスの整合を行う第1トラップと、前記第1インピーダンス整合器のフロントエンドに接続される第1整合ユニットと、を含み、第1バンドパスフィルタは、直列に接続された第1共振器及び第2共振器を含み、前記第1共振器は、並列に接続された第1インダクタ及び第1キャパシタを含み、前記第2共振器は、直列に接続された第2インダクタ及び第2キャパシタを含み、前記第1整合ユニットは、直列に接続された第5インダクタと、第6インダクタと、第7インダクタと、第5キャパシタとを含み、前記第1整合ユニットは、第5インダクタと第6インダクタとの接続点とグランドとの間に架け渡される直列に接続された第8インダクタ及び第6キャパシタと、第6インダクタと第7インダクタとの接続点とグランドとの間に架け渡される直列に接続された第9インダクタ及び第7キャパシタと、第7インダクタと第5キャパシタとの接続点とグランドとの間に架け渡される直列に接続された第10インダクタ及び第8キャパシタと、をさらに含み、前記第1周波数は1.710GHz~1.785GHz及び/又は1.850GHz~1.910GHz動作周波数帯域以内であり、前記第2周波数は820MHz~920MHz周波数帯域以内である整合回路を提供する。
【0005】
任意選択的に、前記第1共振器と前記第2共振器は、前記第2周波数と前記第1高調波信号の周波数で直列共振する。
【0006】
任意選択的に、前記第1インピーダンス整合器は、直列に接続された第3インダクタ及び第3キャパシタを含む。
【0007】
任意選択的に、前記第3インダクタ及び前記第3キャパシタは、前記第1周波数で共振する。
【0008】
任意選択的に、前記第1トラップは、直列に接続された第4インダクタ及び第4キャパシタを含む。
【0009】
任意選択的に、前記第4インダクタ及び前記第4キャパシタは、前記第2高調波信号の周波数で共振する。
【0010】
任意選択的に、前記第1高調波信号は前記第1周波数信号の3次高調波であり、前記第2高調波信号は前記第1周波数信号の2次高調波であり、前記第1所定インピーダンスは50オームである。
【0011】
本願は、前述した整合回路のいずれかと、前記整合回路に接続されるRF電力増幅器と、を含むRFフロントエンド電力増幅回路をさらに提供する。
【0012】
本願は、前述した電力増幅回路のいずれか、又は前述した整合回路のいずれかと、を含む移動通信機器をさらに提供する。
【0013】
本願は、前述した電力増幅回路のいずれか、又は前述した整合回路のいずれかとを含むチップをさらに提供する。
【0014】
上記整合回路、電力増幅回路及び移動通信機器を利用すると、帯域内信号の高調波をより良好に抑制することができる。帯域内信号の2次高調波、3次高調波及びより高次の高調波に対して良好な抑制効果がある。また、該整合回路は低周波スプリアスノイズに対して良好な抑制効果がある。本願に係る整合回路を利用すると、高調波を抑制するとともに低周波スプリアスを最適化し、一石二鳥の作用を達成することができる。
【0015】
例えば、現在の移動通信機器は一般的に複数のモード信号を処理する必要があり、一般的にDCS1800及び/又はPSC1900信号を処理するとともに、GSM周波数帯域信号を処理する必要がある。この移動機器内部では、DCS1800及び/又はPSC1900の信号を処理する電力増幅回路にとって、DCS1800及び/又はPSC1900の信号は帯域内信号である。帯域内信号の高調波信号とGSM周波数帯域信号は主な干渉源となる。本願に係る整合回路を利用すると、上記干渉源の干渉影響を効果的に抑制することができる。また、該回路は構造が簡単で、実現しやすい。
【0016】
本願の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に紹介する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来技術におけるRFフロントエンド電力増幅回路のトポロジー構造概略図を示す。
図2】本願の実施例に係る例示的な整合回路を示す。
図3図2に示される整合回路におけるバンドパスフィルタ11の伝送ゲインカーブを示す。
図4図2に示される整合回路の別のトポロジー構造概略図を示す。
図5図1に示される電力増幅回路への図2に示される整合回路のカスケード接続の有無の場合におけるゲイン比較波形の概略図を示す。
図6】本願の別の実施例のRFフロントエンド電力増幅回路のトポロジー構造概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は従来技術におけるRFフロントエンド電力増幅回路のトポロジー構造概略図を示す。
【0019】
図1に示すように、従来のRFフロントエンド電力増幅回路は、電力増幅器PAと、L01~L03、C01~C04、L~Lからなるフィルタ回路とを含んでもよい。
【0020】
従来、移動通信機器は、一般に、複数種の通信信号を統合して処理する必要がある。例えば、移動通信信号は、DCS1800(1.710GHz~1.785GHz)動作周波数帯域、PSC1900(1.850GHz~1.910GHz)動作周波数帯域及びGSM(820MHz~920MHz)動作周波数帯域における少なくとも2つを含む複数のモード信号を同時に処理する必要がある。
【0021】
図1に示す回路がDCS1800(1.710GHz~1.785GHz)及び/又はPSC1900(1.850GHz~1.910GHz)を処理する電力増幅回路である場合、帯域内信号としては、DCS1800及び/又はPSC1900がある。帯域内信号の高調波及びGSM周波数帯域信号は該回路の主な干渉源となる。
【0022】
図1に示される回路では、帯域内信号の高調波ノイズやGSM周波数帯域信号を含む低周波スプリアスノイズに対する抑制が不十分であるため、ニーズに応えることが困難である。図1に示す回路に基づき、本願は図2に示される整合回路を提供する。
【0023】
図2は本願の実施例に係る例示的な整合回路を示す。
【0024】
図2に示すように、整合回路1000は、インピーダンス整合器12と、バンドパスフィルタ11と、トラップ13とを含んでもよい。任意選択的に、整合回路はRF電力増幅回路の出力端に設けられてもよい。任意選択的に、整合回路1000は図1に示される回路の出力端に接続されもよい。
【0025】
インピーダンス整合器12はインピーダンスを整合することに用いられ得る。第1周波数において、インピーダンス整合器12のインピーダンスは第1所定インピーダンスである。任意選択的に、該第1所定インピーダンスは50Ωであってもよい。第1周波数は、整合回路1000に接続される電力増幅回路の動作周波数の範囲内であってもよい。例えば、その動作周波数範囲の中心周波数であってもよい。任意選択的に、該動作周波数の範囲は、DCS1800(1.710GHz~1.785GHz)周波数帯域及び/又はPSC1900(1.850GHz~1.910GHz)周波数帯域を含んでもよい。任意選択的に、インピーダンス整合器12は、直列に接続されたインダクタL(第3インダクタ)とキャパシタC(第3キャパシタ)とを含んでもよい。任意選択的に、インダクタL及びキャパシタCは、第1周波数付近で共振してもよい。任意選択的に、整合回路1000の入力インピーダンス及び出力インピーダンスが第1所定インピーダンスとなるように、インダクタL及びキャパシタCのパラメータに応じてインダクタL及びキャパシタCのパラメータ値を設定してもよい。
【0026】
図2に示すように、バンドパスフィルタ11は、インピーダンス整合器12のフロントエンドとグランドとの間に架け渡されてもよい。バンドパスフィルタ11は、第1周波数信号を通過させることができ、第1周波数信号の第1高調波及び第2周波数付近のノイズ信号を抑制することができる。第1高調波は、前記第1周波数信号の3次高調波であってもよい。第2周波数はGSM(820MHz~920MHz)周波数帯域以内であってもよい。任意選択的に、バンドパスフィルタ11は、直列に接続された共振器111及び共振器112を含んでもよい。任意選択的に、共振器111は、並列に接続されたキャパシタC(第1キャパシタ)及びインダクタL(第1インダクタ)を含んでもよい。共振器112は、直列に接続されたキャパシタC(第2キャパシタ)及びインダクタL(第2インダクタ)を含んでもよい。
【0027】
任意選択的に、共振器111は、第2周波数と第1高調波周波数との間の周波数で共振してもよく、第1高調波周波数は第1周波数の3逓倍であってもよい。共振器112は、第2周波数と第1高調波周波数との間の周波数でも共振可能である。任意選択的に、共振器111と共振器112は同じ周波数で共振してもよい。任意選択的に、共振器111と共振器112は、第2周波数と第1高調波周波数で直列共振してもよい。例えば、共振器111のインピーダンスは、
【数1】
で表されてもよい。
【0028】
共振器112のインピーダンスは、
【数2】
で表されてもよい。
【0029】
【数3】
である場合、式(1)から、共振器111がωαで共振していることがわかる。ω<ωαである場合、Z111は容量性を示し、ω>ωαである場合、Z111は誘導性を示す。式(2)から、共振器112がωβで共振していることがわかる。ω<ωβである場合、Z112は誘導性を示し、ω>ωβである場合、Z112は容量性を示す。任意選択的に、共振器111と共振器112は、同じ周波数、すなわち、L=Lで共振してもよい。
【0030】
バンドパスフィルタ11のインピーダンスは、
【数4】
で表されてもよい。
【0031】
明らかに、ωに関する方程式
【数5】
には4つのルートが存在することは明らかである。この4つのルートは2対に分けることができ、各対のルートは互いに逆数である。上記2対のルートがそれぞれ第2周波数と第1高調波周波数に対応するように、キャパシタC、C及びインダクタL、Lのパラメータを適宜設定することができる。すなわち、バンドパスフィルタ11が第2周波数近傍及び第1高調波周波数近傍にあるときのバンドパスフィルタ11のインピーダンスZ11を0に近づけるほど非常に小さくすることができる。これにより、バンドパスフィルタ11は第2周波数及び第1高調波の周波数を大きく減衰させる。
【0032】
図3は、図2に示される整合回路におけるバンドパスフィルタ11の伝送ゲインカーブを示す。
【0033】
図3に示すように、11A1は共振器111を単独でフィルタとした伝送ゲインカーブである。11A2は共振器112を単独でフィルタとした伝送ゲインカーブである。11Aはバンドパスフィルタ11の伝送ゲインカーブである。図3から分かるように、バンドパスフィルタ11は周波数m6=800MHz(第2周波数付近)での伝送ゲインが-20.598dBである。すなわち、バンドパスフィルタ11は、800MHz周波数に対して20dBを超える減衰がある。バンドパスフィルタ11は、周波数m10=4.93GHzでの伝送ゲインが-16.705dB、周波数m11=5.67GHzでの伝送ゲインが-14.45dBである。すなわち、バンドパスフィルタ11は、周波数範囲4.93~5.67GHz(第1高調波周波数付近)での減衰が14dBより大きい。バンドパスフィルタ11は、第2周波数付近及び第1高調波周波数付近に対して明らかな減衰作用があることが分かる。
【0034】
図2に示すように、トラップ13はインピーダンス整合器12のバックエンドとグランドとの間に架け渡されてもよい。トラップ13は、インピーダンス整合器12と協働してインピーダンス整合を行うことができる。第1周波数信号の第2高調波を抑制することに用いることもできる。任意選択的に、第2高調波は、第1周波数信号の2次高調波であってもよい。トラップ13は、直列に接続されたキャパシタC(第4キャパシタ)とインダクタL(第4インダクタ)とを含んでもよい。任意選択的に、キャパシタC及びインダクタLは、第2高調波の周波数付近で共振してもよい。
【0035】
任意選択的に、整合回路1000は電力増幅器の出力端とアンテナとの間に設けられてもよい。
【0036】
図4は、図2に示される整合回路の別のトポロジー構造概略図を示す。
【0037】
任意選択的に、整合回路1000は、第1整合ユニット(図示せず)をさらに含んでもよい。第1整合ユニットは、インピーダンス整合器12のフロントエンドに接続されてもよい。第1整合ユニットは、直列に接続されたインダクタL(第5インダクタ)、インダクタL(第6インダクタ)、インダクタL(第7インダクタ)及びキャパシタC(第5キャパシタ)を含んでもよい。
【0038】
第1整合ユニットは、直列に接続されたインダクタL(第8インダクタ)及びキャパシタC(第6キャパシタ)をさらに含んでもよい。直列に接続されたインダクタL及びキャパシタCは、インダクタLとインダクタLとの接続点とグランドとの間に架け渡されてもよい。前記第1整合回路は、直列に接続されたインダクタL(第9インダクタ)及びキャパシタC(第7キャパシタ)をさらに含んでもよい。直列に接続されたインダクタL及びキャパシタCは、インダクタLとインダクタLとの接続点とグランドとの間に架け渡されてもよい。前記第1整合回路は、直列に接続されたインダクタL10(第10インダクタ)及びキャパシタC(第8キャパシタ)をさらに含んでもよい。直列に接続されたインダクタL10及びキャパシタCは、インダクタLとキャパシタCとの接続点とグランドとの間に架け渡されてもよい。
【0039】
図5は、図1に示される電力増幅回路への図2に示される整合回路のカスケード接続の有無の場合におけるゲイン比較波形の概略図を示す。
【0040】
図5に示すように、カーブ141は図1に示される回路のゲインカーブであり、カーブ142は、図1に示される、回路に整合回路1000にカスケード接続されたときのゲインカーブである。
【0041】
図5に示すように、周波数mが1=1.7GHzである場合、カーブ142はカーブ141に対して1.098dB減衰し、周波数mが2=2GHzである場合、カーブ142はカーブ141に対して1.547dB減衰する。すなわち、信号の周波数範囲が1.7~2GHz(動作周波数の範囲)である信号については、整合回路1000による減衰量は無視できるほど小さい。
【0042】
図5に示すように、周波数がm3=920MHzである場合、カーブ142はカーブ141に対して15.541dB減衰し、周波数mが3=820MHzである場合、カーブ142はカーブ141に対して18.631dB減衰する。すなわち、整合回路1000は、周波数範囲が820~920MHz(GSM信号)であるノイズ信号に対して、15dB以上の減衰を生じさせることができる。
【0043】
図5に示すように、周波数がm8=3.4GHzである場合、カーブ142はカーブ141に対して72.667dB減衰し、周波数がm18=3.84GHzである場合、カーブ142はカーブ141に対して74.096dB減衰する。すなわち、整合回路1000は、周波数範囲が3.4~3.84GHz(動作周波数の2次高調波)である高調波ノイズに対して70dB以上の抑制効果を生じさせることができる。
【0044】
図5に示すように、周波数がm19=5.13GHzである場合、カーブ142はカーブ141に対して69.872dB減衰し、周波数がm20=5.73GHzである場合、カーブ142はカーブ141に対して70.3dB減衰する。すなわち、整合回路1000は、周波数範囲が5.13~5.73GHz(動作周波数の3次高調波)である高調波ノイズに対して約70dBの抑制効果を生じさせることができる。
【0045】
図6は、本願の別の実施例のRFフロントエンド電力増幅回路のトポロジー構造概略図を示す。
【0046】
図6に示すように、電力増幅回路2000は、電力増幅器21、フィルタ回路22及び整合回路23を含んでもよい。フィルタ回路22及び整合回路23は電力増幅器21の出力端にカスケード接続される。フィルタ回路22と電力増幅器21は、従来技術におけるRFフロントエンド電力増幅回路を構成する。整合回路は、前述した整合回路のいずれかであってもよい。
【0047】
任意選択的に、電力増幅回路2000が処理した帯域内信号は、DCS1800(1.710GHz~1.785GHz)周波数帯域信号及び/又はPSC1900(1.850GHz~1.910GHz)周波数帯域信号を含んでもよい。整合回路23は、当該帯域内信号の高調波に対する抑制と、GSM帯域を含む低周波ノイズに対する抑制とを強化することができる。
【0048】
本願は、前述した整合回路のいずれか、又は前述した電力増幅回路のいずれかを含む移動通信機器をさらに提供する。任意選択的に、該移動通信機器は、携帯電話、タブレット及びノートパソコン等を含んでもよい。任意選択的に、該移動通信機器は、GSM周波数帯域信号とDCS1800(1.710GHz~1.785GHz)周波数帯域信号を同時に処理することができる。又は、該移動通信機器は、GSM周波数帯域信号とPSC1900(1.850GHz~1.910GHz)周波数帯域信号を同時に処理することができる。
【0049】
本願は、前述した電力増幅回路のいずれか、又は前述した整合回路のいずれかを含むチップをさらに提供する。
【0050】
上記整合回路、電力増幅回路及び移動通信機器を利用すると、帯域内信号の高調波をより良好に抑制することができる。帯域内信号の2次高調波、3次高調波及びより高次の高調波に対して良好な抑制効果を有する。また、該整合回路は低周波スプリアスに対して良好な抑制効果を有する。本願に係る整合回路を利用すると、高調波を抑制するとともに低周波スプリアスを最適化し、一石二鳥の作用を達成することができる。
【0051】
例えば、従来の移動通信機器は一般的に複数のモード信号を処理する必要があり、一般的にDCS1800及び/又はPSC1900信号を処理するとともに、GSM周波数帯域信号を処理する必要がある。この移動機内部では、DCS1800及び/又はPSC1900の信号を処理する電力増幅回路にとって、DCS1800及び/又はPSC1900の信号は帯域内信号である。帯域内信号の高調波信号とGSM周波数帯域信号は主な干渉源となる。本願に係る整合回路を利用すると、上記干渉源の干渉影響を効果的に抑制することができる。また、該回路は構造が簡単で、実現しやすい。
【0052】
以上は本願の実施例について詳細に説明し、本明細書では具体例を応用して本願の原理及び実施形態について説明したが、以上の実施例の説明は本願の方法及びその核心思想の理解を助けるためのものに過ぎない。また、当業者が本願の思想に基づき、本願の具体的な実施形態及び応用範囲で行った変更又は変形はすべて本願の保護範囲に属する。以上説明したように、本明細書の内容は本願を限定するものと解釈すべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6