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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】シートシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/79 20140101AFI20250110BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20250110BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20250110BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20250110BHJP
【FI】
A63F13/79 520
A47C7/62 Z
G06Q50/10
B60N2/90
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020160770
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022053887
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】郭 裕之
【審査官】松谷 洋平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/235462(WO,A1)
【文献】特開2005-230348(JP,A)
【文献】特開2004-255077(JP,A)
【文献】特開2002-197228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/79
B60N 2/90
A47C 7/62
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサが設けられたシートと、
前記センサから取得したデータを用いて着座者に前記シートを用いた体験を提供するアプリケーションを実行可能なアプリ実行装置と、
前記アプリ実行装置と通信可能なサーバと、を備えるシートシステムであって、
前記アプリ実行装置は、アプリケーションを実行した場合にポイント付与条件を満たすか否かを判定し、少なくとも前記ポイント付与条件を満たす場合に判定結果を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記アプリ実行装置から前記ポイント付与条件を満たすという判定結果を受信したことを条件として、前記着座者の識別情報と対応して記憶しているポイント、または、前記着座者以外の他人の識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させ
前記アプリ実行装置は、アプリケーションを実行した場合に、他人の識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させるポイント付与期間を前記着座者に設定させるインターフェースを提供し、設定された結果を前記サーバに送信し、
前記サーバは、
前記アプリ実行装置から前記ポイント付与条件を満たすという判定結果を受信したことを条件として、前記ポイント付与期間内である場合、他人の識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させ、
前記アプリ実行装置から前記ポイント付与条件を満たすという判定結果を受信したことを条件として、前記ポイント付与期間内でない場合、前記着座者の識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させることを特徴とするシートシステム。
【請求項2】
前記アプリ実行装置は、アプリケーションを実行した場合に、ポイントを増加させる対象となる複数の他人から、少なくとも一の他人を前記着座者に選択させるインターフェースを提供し、選択された結果を前記サーバに送信し、
前記サーバは、ポイントを増加させる場合、選択された他人の識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させることを特徴とする請求項1に記載のシートシステム。
【請求項3】
前記アプリ実行装置で実行可能なアプリケーションは、複数あり、
前記アプリ実行装置は、アプリケーションを実行した場合に、ポイントを増加させる対象となる複数の他人から、少なくとも一の他人をアプリケーションごとに前記着座者に選択させるインターフェースを提供し、選択された結果を前記サーバに送信し、
前記サーバは、ポイントを増加させる場合、選択された他人の識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させることを特徴とする請求項1に記載のシートシステム。
【請求項4】
前記サーバは、ポイントを増加させる場合において、ポイントを増加させる対象となる他人が選択されていないときは、前記着座者の識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のシートシステム。
【請求項5】
前記アプリ実行装置で実行可能なアプリケーションは、前記シートを用いたゲームを提供するアプリケーションを含み、
前記アプリ実行装置は、前記ゲームを実行した場合に前記ポイント付与条件を満たすか否かを判定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシートシステム。
【請求項6】
前記センサは、複数の圧力センサを含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシートシステム。
【請求項7】
前記シートは、シートクッションおよびシートバックを有し、
前記センサは、前記シートクッションの表皮の下に設けられた第1センサと、前記シートバックの表皮の下に設けられた第2センサとを含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のシートシステム。
【請求項8】
前記センサから測定値を取得可能に前記センサと接続されたシート制御部をさらに備え、
前記アプリ実行装置は、前記シート制御部と近距離無線通信により通信可能に接続され、
前記サーバは、インターネットを介して前記アプリ実行装置と通信可能であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のシートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサが設けられたシートを備えるシートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、圧力センサが設けられたシートと、圧力センサから取得したデータを用いてシートに座る着座者にシートを用いたゲームを提供するアプリケーションを実行可能なスマートフォンと、スマートフォンと通信可能なサーバとを備えるシートシステムを提案している(特許文献1)。この技術は、着座者がゲームを実行した結果、ポイント付与の条件を満たす場合に判定結果をスマートフォンからサーバに送信し、サーバが着座者自身の識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/235462号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アプリケーションを実行することで獲得できるポイントを、着座者以外の他人、例えば、応援する個人や企業、自治体、慈善団体などに、寄付するような形で、付与することができれば、シートシステムの利用を促すことが期待される。
【0005】
そこで、本発明は、センサが設けられたシートを用いた体験を提供するアプリケーションを実行することによって得られるポイントを着座者以外の他人に付与することができるシートシステムを提供することを目的とする。
また、ポイント付与する対象を着座者が自由に設定できることを目的とする。
また、ポイント付与する対象をアプリケーションごとに着座者が自由に設定できることを目的とする。
また、期間によってポイント付与する対象を着座者が自由に設定できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するためのシートシステムは、センサが設けられたシートと、前記センサから取得したデータを用いて着座者に前記シートを用いた体験を提供するアプリケーションを実行可能なアプリ実行装置と、前記アプリ実行装置と通信可能なサーバと、を備えるシートシステムであって、前記アプリ実行装置は、アプリケーションを実行した場合にポイント付与条件を満たすか否かを判定し、少なくとも前記ポイント付与条件を満たす場合に判定結果を前記サーバに送信し、前記サーバは、前記アプリ実行装置から前記ポイント付与条件を満たすという判定結果を受信したことを条件として、前記着座者以外の他人の識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、センサが設けられたシートを用いた体験を提供するアプリケーションを実行することによって得られるポイントを着座者以外の他人に付与することができる。
【0008】
前記したシートシステムにおいて、前記アプリ実行装置は、アプリケーションを実行した場合に、ポイントを増加させる対象となる複数の他人から、少なくとも一の他人を着座者に選択させるインターフェースを提供し、選択された結果を前記サーバに送信し、前記サーバは、ポイントを増加させる場合、選択された他人の識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させる構成とすることができる。
【0009】
これによれば、ポイント付与する対象を着座者が自由に設定することができる。
【0010】
前記したシートシステムにおいて、前記アプリ実行装置で実行可能なアプリケーションは、複数あり、前記アプリ実行装置は、アプリケーションを実行した場合に、ポイントを増加させる対象となる複数の他人から、少なくとも一の他人をアプリケーションごとに着座者に選択させるインターフェースを提供し、選択された結果を前記サーバに送信し、前記サーバは、ポイントを増加させる場合、選択された他人の識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させる構成とすることができる。
【0011】
これによれば、ポイント付与する対象をアプリケーションごとに着座者が自由に設定することができる。
【0012】
前記したシートシステムにおいて、前記アプリ実行装置は、アプリケーションを実行した場合に、他人の識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させる期間を着座者に設定させるインターフェースを提供し、設定された結果を前記サーバに送信し、前記サーバは、ポイントを増加させる場合、設定された期間の間、他人の識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させる構成とすることができる。
【0013】
これによれば、期間によってポイント付与する対象を着座者が自由に設定することができる。
【0014】
前記したシートシステムにおいて、前記アプリ実行装置で実行可能なアプリケーションは、前記シートを用いたゲームを提供するアプリケーションを含み、前記アプリ実行装置は、前記ゲームを実行した場合に前記ポイント付与条件を満たすか否かを判定する構成とすることができる。
【0015】
前記したシートシステムにおいて、前記センサは、複数の圧力センサを含む構成とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、センサが設けられたシートを用いた体験を提供するアプリケーションを実行することによって得られるポイントを着座者以外の他人に付与することができる。
【0017】
また、ポイントを増加させる対象となる複数の他人から、少なくとも一の他人を着座者に選択させることで、ポイント付与する対象を着座者が自由に設定することができる。
【0018】
また、ポイントを増加させる対象となる複数の他人から、少なくとも一の他人をアプリケーションごとに着座者に選択させることで、ポイント付与する対象をアプリケーションごとに着座者が自由に設定することができる。
【0019】
また、ポイントを増加させる期間を着座者に設定させることで、期間によってポイント付与する対象を着座者が自由に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係るシートシステムの全体構成を説明する図である。
図2】自動車内におけるシステムの配置を示す図である。
図3】シートの構成を説明する図である。
図4】シート制御部とスマートフォンの構成を説明するブロック図である。
図5】サーバの構成を説明するブロック図である。
図6】足を交互に上げた場合の、圧力センサで取得した圧力値の変化を示すグラフである。
図7】圧力値と、圧力値の変動の判定結果と、判定時間を示すタイムチャートである。
図8】足上げゲームのゲームアプリが実行された場合のスタート画面を示す図(a)と、対象選択画面を示す図(b)と、期間設定画面を示す図(c)である。
図9】別のゲームアプリが実行された場合のスタート画面を示す図(a),(b)である。
図10】スマートフォンとサーバの処理を示すフローチャートである。
図11】ポイント付与の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のシートシステムSYSは、シートSと、シート制御部100と、アプリ実行装置の一例としてのスマートフォンSPと、サーバ300とを備えてなる。
【0022】
シートSは、人が座るシート本体S0と、シート本体S0に設けられ、シート本体S0に座っている着座者の動作を検出するための測定値を取得する複数の圧力センサPS(PS1~PS6。図3参照。)と、複数の圧力センサPSから測定値を取得可能に圧力センサPSと接続されたシート制御部100とを備える。すなわち、本実施形態において、シートSには、センサが設けられており、このセンサは、複数の圧力センサPSを含む。
【0023】
スマートフォンSPは、シート制御部100と近距離無線通信により通信可能に接続され、シート本体S0に座っている人(着座者)に動作の指示を報知するとともに、ユーザを識別するためのユーザ識別情報を記憶している。具体的には、スマートフォンSPは、インストールされたアプリケーション(以下、「アプリ」という。)を実行することにより、例えば、シート本体S0上でゲームを提供可能に構成され、ゲーム進行の際に、画像または/および音声により、着座者に動作の指示を報知するようになっている。また、スマートフォンSPは、インターネットNに接続され、外部の機器とインターネット通信が可能となっている。
【0024】
サーバ300は、インターネットNに接続されており、インターネットNを介してスマートフォンSPと通信可能となっている。
【0025】
図2に示すように、本実施形態のシートSは、車両CRに搭載された車両用シートである。車両CRには、複数のシート本体S0が搭載されており、各シート本体S0が、1つのシート制御部100が接続されている。
【0026】
図3に示すように、シート本体S0は、シートクッションS1およびシートバックS2を有し、圧力センサPS1~PS3がシートクッションS1の表皮の下に設けられ、圧力センサPS4~PS6がシートバックS2の表皮の下に設けられている。各圧力センサPS1~PS6は、シート本体S0の左右の中心に対して左右対称に一対ずつ設けられている。
【0027】
圧力センサPS1,PS2は、シートクッションS1における着座者の臀部に対応する位置に配置されている。詳しくは、圧力センサPS1は、着座者からの荷重が最も大きくかかる着座者の坐骨の最下部に対応する位置に配置され、圧力センサPS2は、圧力センサPS1の少し前の位置に配置されている。圧力センサPS1,PS2は、着座者の臀部からの圧力の測定値(以下、「圧力値」ともいう。)を取得する。
圧力センサPS3は、圧力センサPS1,PS2から前方に大きく離れた位置、具体的には、着座者の大腿に対応する位置に配置されている。圧力センサPS3は、着座者の大腿からの圧力の測定値を取得する。
【0028】
圧力センサPS4,PS5は、シートバックS2の下部に配置されている。詳しくは、圧力センサPS4は、着座者の腰の後ろに対応する位置に配置され、圧力センサPS5は、圧力センサPS4の少し上の位置に配置されている。圧力センサPS4,PS5は、着座者の腰からの圧力の測定値を取得する。
圧力センサPS6は、圧力センサPS4,PS5から上方に大きく離れた位置、具体的には、着座者の背中の上部に対応する位置に配置されている。圧力センサPS6は、着座者の背中の上部に対応する位置からの圧力の測定値を取得する。
【0029】
シート制御部100には、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信を可能にする近距離通信機3Aが接続されている。シート制御部100は、各シート本体S0の圧力センサPS1~PS6から圧力値を取得して、近距離通信機3Aを介してスマートフォンSPに送信するように構成されている。
【0030】
なお、圧力センサPS1~PS6は、例えば、外部からの圧力によって電気抵抗が変化する素子であり、圧力値が大きい程、検出信号の電圧が高くなる(もしくは低くなる)。そのため、圧力値の大小は、実際には、電圧値の大小によって比較するが、本明細書においては、理解の容易のため、圧力値の大小で比較する形で説明する。
【0031】
図4に示すように、シート制御部100は、測定値取得部110と、処理部120と、通信部130と、記憶部190とを有している。シート制御部100は、図示しないCPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリなどを有し、予め記憶されたプログラムを実行することで各機能部が実現されている。
【0032】
測定値取得部110は、各圧力センサPS1~PS6から、一定の制御サイクルごとに圧力の測定値を取得する機能を有する。測定値取得部110が取得した測定値は、記憶部190に記憶され、処理部120で利用される。なお、記憶部190は、計算、処理などに必要なデータを適宜記憶するために使用される。
【0033】
処理部120は、測定値取得部110で取得した測定値を、A/D変換する。そして、デジタル化した測定値を、通信部130を介してスマートフォンSPに送信する。
【0034】
スマートフォンSPは、アプリ実行部210と、第1条件判定部220と、第2条件判定部230とを有している。また、スマートフォンSPは、インターネット通信部280と、記憶部290とを有している。スマートフォンSPは、図示しないCPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリなどを有し、予め記憶されたプログラムを実行することで各機能部が実現されている。スマートフォンSPは、近距離通信機能を有して、シート制御部100と通信可能である。また、スマートフォンSPは、インターネット通信部280を介してインターネットNに接続可能であり、予め設定された通信設定に基づいてサーバ300(図1参照)と通信可能となっている。
【0035】
アプリ実行部210は、スマートフォンSPにインストールされているアプリを実行可能である。スマートフォンSPで実行可能なアプリは、シートSに設けられた圧力センサPSから取得したデータを用いて着座者にシートSを用いた体験を提供するアプリを含む。スマートフォンSPで実行可能なアプリは、複数ある。スマートフォンSPで実行可能なアプリは、シートSを用いた体験の一例として、シートSを用いたゲームを提供するアプリ(以下、「ゲームアプリ」という。)を含む。
【0036】
ゲームアプリは、起動されると、ゲームの進行・終了を実行する。そして、スマートフォンSPは、ゲームの終了後、第1条件判定部220および第2条件判定部230により、ポイント付与の条件を判定させ、ポイント付与の条件を満たす場合に、サーバ300にポイント付与の指示を送信する。ゲームアプリは、実行されると、スマートフォンSPのディスプレイDSP(図3参照)および図示しないスピーカを介して着座者に動作の指示を与え、ゲームを提供する。ここでの動作の指示の内容は特に限定されないが、例えば、足を交互に上げることを指示したり、上体を左右にひねったりすることなどである。指示は、ゲームの最初に、説明として文字または音声により伝えてもよいし、ゲームの進行に応じてディスプレイDSP上に動かすべき場所を画像で示してもよい。
【0037】
本実施形態においては、ゲームの内容などは重要ではないので、簡単な例として、10秒間、素速く足を交互に上げさせて、10秒間の歩数(足を上げた回数)を競うゲーム(以下、「足上げゲーム」という。)を一例として説明する。
【0038】
図6は、シートSにおいて着座者が足を交互に上げた場合の圧力センサPS3の測定値の例である。P3は、右の圧力センサPS3の圧力値、P3は、左の圧力センサPS3の圧力値を示す。この測定値のように、足を交互に上げると、一時的にP3およびP3が小さくなるので、P3およびP3のピークを検出し、ピークを検出したときに、一歩進んだと判定するとよい。なお、ピークの検出は、例えば、次のように行うことができる。その着座者が座っているとき(ゲームの競技を開始する前)のP3およびP3の平均値P3を算出しておき、この平均値P3から所定割合小さい値をしきい値P3thとして設定しておく。そして、P3またはP3がしきい値P3thを下回った後、値が上昇に転じたときにピークに達したと判定することができる。
【0039】
アプリ実行部210は、ゲームアプリが立ち上げられると、例えば、図8(a)に示すようなスタート画面をスマートフォンSPのディスプレイDSP上に表示する。そして、スタートボタンB1が選択されると、所定のゲームの案内を音声または画像により着座者に提供する。その後、ゲームが開始されると、例えば、足上げゲームの場合、競技開始の合図を音声および画像で報知するとともに、タイマをスタートする。そして、タイマのスタート後、10秒間の間、シート制御部100から受信した圧力値に基づいてピークを検出する。そして、歩数、すなわち、ピークの数をゲームの結果である「歩数」としてディスプレイDSP上に提示する。
【0040】
図4に戻り、第1条件判定部220は、アプリを実行した場合に、ポイント付与条件としての後述する第1条件を満たすか否かを判定する。具体的には、第1条件判定部220は、ゲームアプリのゲームを実行した場合に、圧力センサPS3の測定値に基づいて、第1条件を満たすか否かを判定する。本実施形態においては、第1条件を、ゲームの結果である歩数が所定歩数以上(例えば40歩以上)であることとする。第1条件判定部220は、判定結果を随時記憶部190に記憶させる。
【0041】
第2条件判定部230は、第1条件とは別の第2条件を満たすか否かを判定する。本実施形態においては、第2条件を、ゲームのプレイ前に着座者がしばらくじっと座っていたこととする。具体的には、第2条件を、圧力センサPS3の測定値から、着座者の動作の大きさが所定未満である時間が所定時間以上であることとする。より具体的には、この所定時間は、累積の時間であり、圧力センサPS3の測定値の変動が所定未満である時間の累積である判定時間TJが所定時間(しきい値TJth)以上であることとする。
【0042】
この変動の判定は、例えば、次のようにして行うことができる。図7は、着座者が座っている時の圧力P3およびP3の変化と、変動の有無の判定結果と、判定時間TJのタイムチャートである。変動の有無は判定時を基準として、直前の所定期間TPの間におけるP3およびP3の最大値および最小値の差が所定値以上である場合に変動があるとし(図7において1とする。)、所定値未満である場合に変動がない(図7において0とする。)とする。図7の例では、時刻t1においてその直前における所定期間TPの間のP3およびP3の最大値および最小値の差が所定値以上となったことで変動判定が1となり、時刻t2において、直前の所定期間TPの間におけるP3およびP3の最大値および最小値の差が所定値未満となって変動判定が0となっている。
【0043】
第2条件判定部230は、この変動判定をするとともに、変動判定が0である時は、判定時間TJをカウントアップし、変動判定が1である場合は、判定時間TJのカウントアップを停止する。そして、判定時間TJがしきい値TJthに達したときに第2条件が満たされたと判定する。そして、サーバ300においてポイントが付与(増加)された後、判定時間TJをリセットする(t3)。第2条件判定部230は、変動判定、判定時間を随時記憶部290に記憶させる。
【0044】
スマートフォンSPは、少なくとも第1条件を満たす場合に、判定結果をサーバ300に送信する。詳しくは、スマートフォンSPは、第1条件判定部220および第2条件判定部230による判定の結果、第1条件と第2条件の両方を満たす場合に、サーバ300に判定結果としてのポイント付与の指示を送信する。
【0045】
なお、図4に示すように、記憶部290には、着座者を特定するための着座者自身のユーザ識別情報(第1ユーザ識別情報)が記憶されている。スマートフォンSPは、サーバ300にポイント付与の指示や、後述する付与対象設定の指示、付与期間設定の指示などを送信する際に第1ユーザ識別情報を送信する。ユーザ識別情報は、ユーザを識別できるユニークなデータであれば特に限定されず、例えば、単なる数字、英数字の羅列や、メールアドレス、電話番号などとすることができる。
【0046】
図8(a)に示すように、アプリ実行部210は、ゲームアプリを実行した場合に、スタート画面をスマートフォンSPのディスプレイDSP上に表示する。アプリ実行部210は、スタート画面に、ゲーム(ゲームの進行)を開始するためのスタートボタンB1と、ゲーム(アプリ)を終了するための終了ボタンB2と、ポイント付与設定ボタンB3とを表示する。
【0047】
アプリ実行部210は、ポイント付与設定ボタンB3が選択されると、ポイントを増加させる対象となる複数の他人から、少なくとも一の他人を着座者に選択させるインターフェースを提供する。ここで、他人とは、シートSに座っている着座者以外の者であり、個人であってもよいし、企業や自治体、慈善団体、スポーツチーム、アイドルグループなどの団体であってもよい。
【0048】
具体的には、アプリ実行部210は、ポイント付与設定ボタンB3が選択されると、図8(b)に示すような対象選択画面をディスプレイDSP上に表示する。一例として、アプリ実行部210は、対象選択画面に、ポイントを付与する対象となる他人(ここでは団体A~Fとする。)を選択させる複数の選択ボタンB11と、OKボタンB12と、前の画面に戻るための戻るボタンB13を表示する。そして、着座者が、1つまたは複数の選択ボタンB11を選択した上で、OKボタンB12を選択することで、ポイントを付与する団体を、団体A~Fの中から選択させることができる。
【0049】
なお、本実施形態のアプリ実行部210は、対象選択画面に、ポイントを付与する対象として、着座者自身を選択するための選択ボタン(「ユーザA」ボタン)B14を表示する。着座者が、選択ボタンB14を選択した上で、OKボタンB12を選択すると、アプリ実行部210は、図8(a)に示したスタート画面をディスプレイDSP上に表示する。
【0050】
スマートフォンSPは、ポイントを付与する対象を着座者が選択した場合、選択された結果としての付与対象設定の指示をサーバ300に送信する。
【0051】
なお、シートシステムSYSは、着座者が複数の団体を選択した場合、ポイントを等分して付与する構成としてもよいし、スマートフォンSPにおいて付与するポイントの割合を着座者に設定させるインターフェースを提供し、ポイントを着座者が設定した割合で付与する構成としてもよい。また、シートシステムSYSは、着座者が、自身と団体(他人)の両方を選択でき、上記のようにポイントを配分する構成としてもよい。
【0052】
アプリ実行部210は、ポイントを付与する団体を着座者が選択した後、選択された団体の識別情報(第2ユーザ識別情報)と対応して記憶しているポイントを増加させる期間を着座者に設定させるインターフェースを提供する。具体的には、アプリ実行部210は、図8(b)に示した対象選択画面で着座者が選択ボタンB11を選択し、OKボタンB12を選択すると、図8(c)に示すような期間設定画面をディスプレイDSP上に表示する。
【0053】
一例として、アプリ実行部210は、期間設定画面に、ポイントを付与する期間を選択させる複数の選択ボタンB21と、OKボタンB22と、前の画面に戻るための戻るボタンB23を表示する。選択ボタンB21は、期間の例として、「今回のみ」、「1日」、「1週間」、「1か月」、「6か月」、「1年」の6つが設定されている。着座者は、1つの選択ボタンB21を選択した上で、OKボタンB22を選択することで、ポイントを付与する期間を設定することができる。
【0054】
スマートフォンSPは、ポイントを付与する期間を着座者が設定した場合、設定された結果としての付与期間設定の指示をサーバ300に送信する。アプリ実行部210は、着座者が、ポイントを付与する期間を設定した後、再び、図8(a)に示したスタート画面をディスプレイDSP上に表示する。
【0055】
なお、図8に示した画面の構成は、一例である。すなわち、例えば、対象設定画面や期間設定画面において、ポイントを付与する団体や期間は、選択ボタンB11,B21ではなく、例えば、ドロップダウンリストなどで選択できるように構成されていてもよい。また、ポイントを付与する団体や期間を着座者自身が入力して設定できるように構成されていてもよい。
【0056】
アプリ実行部210は、アプリを実行した場合に、複数の団体から、少なくとも一の団体をアプリごとに着座者に選択させるインターフェースを提供する。また、アプリ実行部210は、ポイントを付与する団体が選択された場合、ポイント付与期間をアプリごとに着座者に設定させるインターフェースを提供する。
【0057】
具体的には、例えば、アプリ実行部210は、足上げゲームのゲームアプリを実行した場合、図8(a)に示したようなスタート画面をディスプレイDSP上に表示する。また、アプリ実行部210は、足上げゲームのアプリとは別のアプリである、ランニングゲームのゲームアプリを実行した場合、図9(a)に示すようなスタート画面をディスプレイDSP上に表示する。また、アプリ実行部210は、足上げゲームおよびラニングゲームのアプリとは別のアプリである、座るゲームのゲームアプリを実行した場合、図9(b)に示すようなスタート画面をディスプレイDSP上に表示する。
【0058】
アプリ実行部210は、スタート画面に、それぞれ、スタートボタンB1、終了ボタンB2およびポイント付与設定ボタンB3を表示する。そして、ポイント付与設定ボタンB3が選択され、上記したような操作が進められることで、アプリごとに、ポイントを付与する団体および期間を設定することができるようになっている。
【0059】
なお、図9(a)のランニングゲームは、脚を交互に上下させることで、ディスプレイDSP上に表示されたキャラクタがスタートからゴールまで走るゲームであり、脚を速く上下させるほど、キャラクタを速く走らせることができる。そして、ランニングゲームでは、例えば、第1条件を、ゴールまでのタイムが所定時間内であることとすることができる。
【0060】
また、図9(b)の座るゲームは、シートSの上で正しい座り方を行うゲームであり、各圧力センサPS1~PS6が取得した圧力値が、理想的な値に近いほど、高い得点を得ることができる。そして、座るゲームでは、例えば、第1条件を、得点が所定得点以上であることとすることができる。
【0061】
図5に示すように、サーバ300は、ポイント付与部310と、付与対象設定部320と、付与期間設定部330と、インターネット通信部380と、記憶部390とを有する。サーバ300は、インターネット通信部380を介してインターネットNに接続され、インターネットNを介してスマートフォンSPと通信可能である。
【0062】
記憶部390は、サーバ300の動作に必要なデータを適宜記憶している。また、記憶部390は、ユーザ識別情報と関連づけてポイントを記憶している。具体的には、記憶部390は、着座者自身の識別情報である第1ユーザ識別情報により特定される着座者自身に付与されたポイントと、団体(着座者以外の他人)の識別情報である第2ユーザ識別情報により特定される団体に付与されたポイントを記憶している。
【0063】
ポイント付与部310は、スマートフォンSPからポイント付与指示を受信した場合に、ポイント付与指示に含まれる第1ユーザ識別情報に関連するポイントを所定量増加させる。第1ユーザ識別情報に関連するポイントを増加させることの具体的な内容については後述する。増加させるポイントは、一定値であってもよいし、時間、時期、ユーザの種類などに応じて異ならせてもよい。
【0064】
サーバ300がポイント付与指示を受信する場合というのは、第1条件が満たされたとともに第2条件が満たされた場合である。サーバ300は、スマートフォンSPから少なくとも第1条件を満たすという判定結果(ポイント付与指示)を受信したことを条件(必要条件)として、ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させる。サーバ300は、第1条件を満たすとともに第2条件を満たす場合にポイントを増加させ、第1条件を満たすが第2条件を満たさない場合には、ポイントを増加させない。
【0065】
ポイント付与部310は、ポイントを増加させた場合には、その旨をスマートフォンSPに送信する。
【0066】
付与対象設定部320は、スマートフォンSPから付与対象設定の指示を受信した場合に、付与対象設定の指示に含まれる、第1ユーザ識別情報と、実行されているアプリの情報と、選択された対象の情報とに基づき、ユーザ識別情報と、実行されているアプリの情報とを関連づけて記憶部390に記憶させる。
【0067】
具体的には、付与対象設定部320は、選択された対象が団体である場合には、第1ユーザ識別情報と、実行されているアプリの情報と、当該団体の第2ユーザ識別情報とを関連づけて記憶部390に記憶させる。また、付与対象設定部320は、選択された対象が着座者自身である場合には、第1ユーザ識別情報と、実行されているアプリの情報とを関連づけて記憶部390に記憶させる。これにより、ポイントを付与する対象が設定される。付与対象設定部320は、ポイントを付与する対象を設定した場合には、その旨をスマートフォンSPに送信する。
【0068】
ポイント付与部310は、ポイント付与指示を受信してポイントを増加させる場合において、選択された対象が団体である場合、選択された団体の第2ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させる。具体的には、ポイント付与部310は、ポイント付与指示に含まれる、第1ユーザ情報と、実行されているアプリの情報とに関連づけて記憶した、第2ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させる。これにより、当該第2ユーザ識別情報によって特定される団体にポイントが付与される。
【0069】
また、ポイント付与部310は、ポイント付与指示を受信してポイントを増加させる場合において、選択された対象が着座者自身である場合、第1ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させる。これにより、着座者自身にポイントが付与される。
【0070】
付与期間設定部330は、スマートフォンSPから付与期間設定の指示を受信した場合に、まず、付与期間設定の指示に含まれる、第1ユーザ識別情報と、実行されているアプリの情報とに基づき、これに関連づけて記憶されている団体の第2ユーザ識別情報を記憶部390から取得する。そして、付与期間設定部330は、取得した第2ユーザ識別情報と、付与期間設定の指示に含まれる、設定された期間の情報とを関連づけて記憶部390に記憶させる。これにより、ポイントを付与する期間が設定される。付与期間設定部330は、ポイントを付与する期間を設定した場合には、その旨をスマートフォンSPに送信する。
【0071】
ポイント付与部310は、ポイント付与指示を受信してポイントを増加させる場合、着座者により設定された期間の間、団体の第2ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させる。すなわち、ポイント付与部310は、ポイント付与指示を受信した場合において、団体にポイントを付与する期間内である場合、当該団体の第2ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させる。
【0072】
なお、スマートフォンSPは、サーバ300からポイントを付与する期間を設定した旨の情報を受信した場合、設定された期間が経過するまで、ポイントを付与する対象および期間を選択できない構成であってもよい。具体的には、スマートフォンSPは、この場合、図8(a)に示したようなスタート画面にポイント付与設定ボタンB3を表示しない構成であってもよい。
【0073】
本実施形態のシートシステムSYSは、ポイントを付与する対象を、着座者が、アプリを立ち上げてから一度も選択しなかった場合において、ポイント付与指示をサーバ300が受信した場合、ポイント付与部310が、第1ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させる。すなわち、シートシステムSYSは、この場合、着座者以外の他人ではなく、着座者自身にポイントを付与する。
【0074】
以上のような構成のシートシステムSYSの動作の一例について、図10および図11のフローチャートを参照して説明する。
図10に示すように、スマートフォンSPにおいて足上げゲームのゲームアプリが起動されると、スマートフォンSPは、ディスプレイDSP上にスタート画面(図8(a)参照)を表示する(S11)。
【0075】
着座者がスマートフォンSPを操作してポイントを付与する対象を選択した場合(S21,Yes)、スマートフォンSPは、サーバ300に付与対象設定の指示を送信する(S22)。
【0076】
サーバ300は、付与対象設定の指示を受信し、ポイントを付与する対象を設定する(S23)。そして、サーバ300は、ポイントを付与する対象の設定が完了した旨の通知をスマートフォンSPに送信する(S24)。スマートフォンSPは、通知を受信すると、その内容をディスプレイDSP上に表示し、ポイントを付与する対象の設定が完了したことを着座者に知らせる(S25)。
【0077】
次に、着座者がスマートフォンSPのディスプレイDSPを操作してポイントを付与する期間を設定すると(S31)、スマートフォンSPは、サーバ300に付与期間設定の指示を送信する(S32)。
【0078】
サーバ300は、付与期間設定の指示を受信し、ポイントを付与する期間を設定する(S33。そして、サーバ300は、ポイントを付与する期間の設定が完了した旨の通知をスマートフォンSPに送信する(S34)。スマートフォンSPは、通知を受信すると、その内容をディスプレイDSP上に表示し、ポイントを付与する期間の設定が完了したことを着座者に知らせる(S35)。
【0079】
なお、ステップS21において、着座者がポイントを付与する対象を選択する操作を行わなかった場合、ステップS41に進む。
【0080】
ステップS41においてゲームを開始する操作が行われた場合(S41,Yes)、スマートフォンSPは、足上げゲームの進行を開始する。そして、ゲームが終了すると(S42,Yes)、スマートフォンSPは、歩数が40以上か否か(第1条件を満たすか否か)判定する(S51)。歩数が40未満の場合(S51,No)、スマートフォンSPは、処理を終了する。歩数が40以上の場合(S51,Yes)、スマートフォンSPは、判定時間TJがしきい値TJth以上か否か(第2条件を満たすか否か)判定する(S52)。
【0081】
判定時間TJがしきい値TJth未満の場合(S52,No)、スマートフォンSPは、処理を終了する。判定時間TJがしきい値TJth以上の場合(S52,Yes)、スマートフォンSPは、サーバ300にポイント付与の指示を送信する(S53)。
【0082】
サーバ300は、ポイント付与指示を受信した場合、ポイントを付与する(S60)。具体的には、図11に示すように、サーバ300は、ポイント付与指示を受信した場合、ポイントを付与する対象としての団体にポイントを付与する期間内であるか否かを判定する(S61)。ポイント付与期間内である場合(S61,Yes)、サーバ300は、当該団体のユーザ識別番号(第2ユーザ識別情報)と対応して記憶しているポイントを増加させる。つまり、団体(着座者以外の他人)にポイントを付与する(S62)。ポイント付与期間内でない場合(S61,No)、サーバ300は、着座者自身のユーザ識別番号(第1ユーザ識別情報)と対応して記憶しているポイントを増加させる。つまり、着座者自身にポイントを付与する(S63)。
【0083】
ポイント付与後、サーバ300は、図10に示すように、ポイントの付与が完了した旨の通知をスマートフォンSPに送信する(S71)。スマートフォンSPは、通知を受信すると、その内容をディスプレイDSP上に表示し、ポイントの付与が完了したことを着座者に知らせる(S72)。その後、スマートフォンSPは、判定時間TJをリセットし(S73)、処理を終了する。
【0084】
以上のように、本実施形態のシートシステムSYSによれば、圧力センサPSを含むセンサが設けられたシートSを用いた体験を提供するアプリを実行することによって得られるポイントを、直接、着座者以外の他人に付与することができる。
【0085】
また、ポイントを増加させる対象となる複数の団体から、少なくとも一の団体を着座者に選択させることで、ポイント付与する対象を着座者が自由に設定することができる。
【0086】
また、複数の団体から、少なくとも一の他人をアプリごとに着座者に選択させることで、ポイント付与する対象をアプリごとに着座者が自由に設定することができる。
【0087】
また、ポイントを増加させる期間を着座者に設定させることで、期間によってポイント付与する対象を着座者が自由に設定することができる。
【0088】
また、サーバ300は、スマートフォンSPから第1条件を満たすという判定結果を受信したことを条件として、ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させるので、着座者は、ポイントを自身が取得したり、他人に付与したりすることを目的として、スマートフォンSP(シートシステムSYS)を積極的に利用するモチベーションを持つことができる。これにより、圧力センサPSが設けられたシートSを有効に利用することができる。
【0089】
また、ポイントの取得などのモチベーションがあると、着座者は、ポイント取得などのためにスマートフォンSPを使用し続ける可能性があるが、ポイントの付与のために第2条件を満たすことを要件とすることで、必要以上のスマートフォンSPの利用を抑制することができる。
【0090】
また、逆に言うと、着座者は、しばらくじっと座っていた後(第2条件を満たす場合)には、ポイントの取得などができるので、ポイント取得などのために、例えば、足上げゲームをすることになり、長時間車内でじっとしていることによる血行の滞りを抑制し、健康の増進を図ることをできる。
【0091】
そして、本実施形態によれば、圧力センサPSの測定値から第2条件を判定することで、シート本体S0上の着座者の着座状況または動作に基づいてポイントの付与を決定することができる。このため、車内における着座者の動作を、ポイント付与というモチベーションを介して間接的にコントロールして、健康の増進を図ることができる。
【0092】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態の一部の構成を変更して実施することもできる。
【0093】
例えば、前記実施形態においては、アプリを立ち上げた後、着座者がポイントを付与する団体を選択していない場合、着座者自身にポイントが付与される構成であったが、シートシステムは、デフォルトとして設定されている団体にポイントが付与される構成であってもよい。この場合、デフォルトとして設定されている団体は、アプリごとに異なっていてもよいし、アプリの種類に関わらず同じであってもよい。
【0094】
また、シートシステムは、ポイントを付与する団体を着座者が選択できない構成であってもよい。例えば、シートシステムは、ポイント付与の対象となる団体がアプリごとに予め設定されており、アプリを実行した場合に、当該アプリで設定されている団体にポイントが付与される構成であってもよい。
【0095】
前記実施形態においては、ゲームアプリを実行してゲームをした場合にポイントが付与される構成であったが、これに限定されない。例えば、シートシステムは、特定のアプリを起動させた場合にポイントが付与される構成であってもよい。
【0096】
また、シートシステムは、シートを用いた体験を提供するアプリを起動させなくても、着座者自身が保有するポイントを、着座者の操作によって選択した団体に移動させる機能をさらに有していてもよい。例えば、シートシステムは、シートを用いた体験を提供するアプリの他、着座者自身が保有するポイントを他人に移動させることができるアプリをスマートフォンが実行可能な構成であってもよい。
【0097】
また、シートシステムは、特定の個人(着座者)がポイントを団体に付与したり、自身のポイントとして貯めたりする構成に限定されず、シートシステムを利用する複数の者がグループとしてポイントを団体に付与したり、グループのポイントとして貯めたりすることができる構成であってもよい。この場合においても、シートシステムは、グループとしてためたポイントを、後から団体に移動させることができる機能を有していてもよい。
【0098】
前記実施形態においては、各アプリを実行した場合に、ポイントを付与する団体や期間を設定する構成であったが、これに限定されない。例えば、シートシステムは、ポイントを付与する団体や期間をアプリごとに設定可能な管理用のアプリをスマートフォンが実行可能な構成であってもよい。
【0099】
また、第2条件を、例えば、スマートフォンSPの位置情報に基づいて算出したシートSの移動距離が所定距離以上であることとしたり、位置情報に基づいて高速道路で渋滞にあっていることとしたり、シートSが特定のエリアに位置する(着座者が特定のエリアにいる)こととしたりしてもよい。また、第2条件を、シートSを特定の目的で使用している(例えば、トレーニングマシンとして使用している)こととしたり、スマートフォンSPのアプリにおいて足を動かし1日の目標歩数を達成したこととしたりしてもよい。
【0100】
また、サーバは、第1条件が満たされ、第2条件が満たされていない場合にポイントを付与しても構わない。この場合であっても、第1条件が満たされている場合にポイントが付与されることで、着座者は、センサが設けられたシートを有効に利用するモチベーションを持つことができる。
【0101】
前記実施形態においては、センサとして圧力センサPSを例示したが、センサは、他の種類のセンサ、例えば、静電容量センサなどであってもよい。また、センサは、温度センサなどであってもよい。
【0102】
前記実施形態においては、無線通信によりシート制御部100とスマートフォンSPを接続していたが、有線の通信により接続されていてもよい。
【0103】
前記実施形態においては、アプリ実行装置としてスマートフォンSPを例示したが、アプリ実行装置は、タブレット型コンピュータやノートパソコンなどであってもよい。また、アプリ実行装置は、携帯型の端末ではなく、車両に固定的に設置されたナビゲーションシステムであってもよい。すなわち、従来のナビゲーションシステムに、動作の指示をする、ゲーム的な機能を持たせてアプリ実行装置として利用することもできる。また、アプリ実行装置は、相互に通信可能な複数の機器から構成されていてもよい。また、アプリ実行装置は、一部または全部が、外見的に、シート制御部と一体に構成されていてもよい。
【0104】
前記実施形態においては、自動車の車両に搭載される車両用シートを例示したが、自動車以外の鉄道などの車両のシートであってもよいし、車両以外の船舶、航空機、ロケットなどの乗物用シートであってもよい。さらには、住宅、施設などに設置されるシートであってもよい。
【0105】
また、本明細書に記載した実施形態および変形例で説明した各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0106】
300 サーバ
PS 圧力センサ
S シート
SP スマートフォン
SYS シートシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11