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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】旋盤
(51)【国際特許分類】
   B23B 7/02 20060101AFI20250110BHJP
   B23B 21/00 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
B23B7/02
B23B21/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021049511
(22)【出願日】2021-03-24
(65)【公開番号】P2022148001
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000107642
【氏名又は名称】スター精密株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】小田 純也
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0288090(US,A1)
【文献】特開2005-138218(JP,A)
【文献】特開2011-000693(JP,A)
【文献】特開昭56-056304(JP,A)
【文献】中国特許第103223504(CN,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 1/00-25/06
B23B 27/00-29/34
B23Q 5/00-5/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを把持して主軸中心線を中心として回転可能な主軸と、
前記主軸に把持された前記ワークに切り込むことで該ワークを加工する工具が装着される刃物台と、
前記主軸中心線とは直交する軸方向に延在し、回転することで前記刃物台を該軸方向に移動させる駆動軸と、
前記駆動軸の、前記軸方向における一端側部分に配置され、該駆動軸の該軸方向への移動を規制する移動規制部と
前記駆動軸を回転させるモータとを備え、
前記モータは、前記刃物台よりもこの旋盤の、操作パネルが設置された正面側に配置されたものであり、
前記刃物台は、前記主軸中心線よりもこの旋盤の、前記正面側とは反対側である背面側に配置され、前記駆動軸に噛み合い、該駆動軸の回転によって前記軸方向に沿って移動する被駆動部を有するものであり、
前記工具の切り込み方向は、前記被駆動部が前記移動規制部に接近する方向であることを特徴とする旋盤。
【請求項2】
前記被駆動部は、前記刃物台における前記切り込み方向側部分に配置されたものであることを特徴とする請求項1記載の旋盤。
【請求項3】
前記モータは、前記刃物台よりも前記切り込み方向側に配置されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の旋盤。
【請求項4】
前記刃物台は、前記工具が垂直方向に並んで装着され垂直方向に移動することで前記ワークに切り込む該工具を選択するものであることを特徴とする請求項1から3のうち何れか1項記載の旋盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主軸と刃物台とを備えた旋盤に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを把持して回転可能な主軸と、その主軸に把持されたワークを加工する工具が設けられた刃物台とを備えた旋盤が知られている(例えば、特許文献1等参照)。特許文献1に記載された旋盤は、工具がワークに切り込む切り込み方向に刃物台を移動させることで主軸に把持されて回転しているワークを加工している。刃物台には、被駆動部が設けられている。そして、被駆動部は、軸方向の移動が移動規制部によって規制された駆動軸に噛み合っている。駆動軸がその軸周りに回転することで、被駆動部はその軸方向に移動する。駆動軸の軸方向は、切り込み方向に向いているので、駆動軸がモータの駆動力を受けて回転すると、刃物台は回転方向に応じて切り込み方向またはその反対方向に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2002―509489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された旋盤は、刃物台が切り込み方向に移動して工具がワークに切り込むときに、駆動軸の移動を規制する移動規制部と刃物台の被駆動部とが大きく離間するため、熱により駆動軸がその軸方向に伸縮すると、工具の切り込み量が変化してしまい、加工精度が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、加工精度の高い旋盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決する本発明の旋盤は、ワークを把持して主軸中心線を中心として回転可能な主軸と、
前記主軸に把持された前記ワークに切り込むことで該ワークを加工する工具が装着される刃物台と、
前記主軸中心線とは直交する軸方向に延在し、回転することで前記刃物台を該軸方向に移動させる駆動軸と、
前記駆動軸の、前記軸方向における一端側部分に配置され、該駆動軸の該軸方向への移動を規制する移動規制部と、
前記駆動軸を回転させるモータとを備え、
前記モータは、前記刃物台よりもこの旋盤の、操作パネルが設置された正面側に配置されたものであり、
前記刃物台は、前記主軸中心線よりもこの旋盤の、前記正面側とは反対側である背面側に配置され、前記駆動軸に噛み合い、該駆動軸の回転によって前記軸方向に沿って移動する被駆動部を有するものであり、
前記工具の切り込み方向は、前記被駆動部が前記移動規制部に接近する方向であることを特徴とする。
また、前記刃物台は、前記工具が垂直方向に並んで装着され垂直方向に移動することで前記ワークに切り込む該工具を選択するものであってもよい。
さらに、ワークを把持して主軸中心線を中心として回転可能な主軸と、
前記主軸に把持された前記ワークに切り込むことで該ワークを加工する工具が装着される刃物台と、
前記主軸中心線とは直交する軸方向に延在し、前記刃物台を該軸方向に移動させる駆動軸と、
前記駆動軸の、前記軸方向における一端側部分に配置され、該駆動軸の該軸方向への移動を規制する移動規制部とを備え、
前記刃物台は、前記駆動軸に噛み合い、該駆動軸の回転によって前記軸方向に沿って移動する被駆動部を有するものであり、
前記工具の切り込み方向は、前記被駆動部が前記移動規制部に接近する方向であることを特徴としてもよい
【0007】
この旋盤によれば、前記工具が切り込み方向に移動すると、前記被駆動部が前記移動規制部に接近するので、前記ワークの加工時には該移動規制部と被駆動部とが近接した位置に配置される。これにより、たとえ前記駆動軸が熱によってその軸方向に伸縮しても、前記工具の前記ワークへの切り込み量が変化しにくくなるので、該ワークの加工精度が高まる。
【0008】
ここで、この旋盤は、前記主軸の前方において前記ワークを前記主軸中心線を中心として回転可能に支持するガイドブッシュを備えていてもよい。また、前記駆動軸はボールネジであってもよく、前記被駆動部はそのボールネジに噛み合ったボールネジナットであってもよい。さらに、前記移動規制部は、転がり軸受であってもよい。加えて、前記駆動軸を回転させるモータを備え、前記工具の切り込み方向は、前記被駆動部が該モータに接近する方向であってもよい。またさらに、前記モータの出力軸と前記駆動軸は、同一軸線上に配置されたものであってもよい。
【0009】
この旋盤において、前記被駆動部は、前記刃物台における前記切り込み方向側部分に配置されたものであってもよい。
【0010】
こうすることで、前記被駆動部が前記移動規制部に近接して配置されるので、前記駆動軸がその軸方向に伸縮しても、前記工具の前記ワークへの切り込み量が変化しにくい。このため、該ワークの加工精度がさらに高まる。
【0011】
この旋盤において、前記駆動軸を回転させるモータを備え、
前記モータは、前記刃物台よりも前記切り込み方向側に配置されたものであってもよい。
【0012】
前記刃物台よりも前記切り込み方向とは反対側に前記モータを配置すると、前記ワークを把持する前記主軸よりも一方側に、該刃物台および該モータなどが並んで配置されることになるためこの旋盤が大型化しやすい。上述のように配置することで、この旋盤を小型化することができる。
【0013】
また、この旋盤において、前記駆動軸を回転させるモータを備え、
前記刃物台は、前記主軸中心線よりもこの旋盤の背面側に配置されたものであり、
前記モータは、前記刃物台よりもこの旋盤の正面側に配置された態様であってもよい。
【0014】
前記主軸中心線よりも前記背面側に配置された前記刃物台のさらに該背面側に前記モータを配置すると、該モータや該モータの支持構造などが背面側に突出するためこの旋盤が大型化しやすい。本態様によれば前記刃物台よりも前記正面側に前記モータを配置しているので、この旋盤を小型化することができる。
【0015】
また、この旋盤において、前記駆動軸を回転させるモータを備え、
前記刃物台は、前記主軸中心線よりもこの旋盤の正面側に配置されたものであり、
前記モータは、前記刃物台よりもこの旋盤の背面側に配置された態様であってもよい。
【0016】
前記主軸中心線よりも前記正面側に配置された前記刃物台のさらに該正面側に前記モータを配置すると、該モータや該モータの支持構造などが正面側に突出するためこの旋盤が大型化しやすい。本態様によれば前記刃物台よりも前記背面側に前記モータを配置しているので、この旋盤を小型化することができる。
【0017】
ここで、前記モータは前記主軸よりも上方に配置されていてもよい。また、前記モータはサーボモータであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、加工精度の高い旋盤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態にかかるNC旋盤の外観を示す斜視図である。
図2図1に示したNC旋盤の外観を示す正面図である。
図3図1に示したNC旋盤の内部構成を簡易的に示す平面図である。
図4図1に示したNC旋盤の外観を示す背面図である。
図5図4に示した配電盤室を正面側斜め上方から見た斜視図である。
図6図1に示したNC旋盤の正面側外装の一部を切り欠いて内部を示した正面図である。。
図7図1に示したNC旋盤の刃物台ベースと第1刃物台とガイドブッシュを図2における右側から見た右側面図である。
図8】(a)は、図1に示したNC旋盤の刃物台ベースと第1刃物台の下側部分の構成を簡易的に示した平面図であり、(b)は、同図(a)の状態から、中間ベースが-X1方向に移動した様子を示す平面図である。
図9】NC旋盤の変形例を示す図7と同様の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、本発明をNC(Numerical Control)旋盤に適用した例を用いて説明する。
【0021】
図1は、本実施形態にかかるNC旋盤の外観を示す斜視図である。また、図2は、図1に示したNC旋盤の外観を示す正面図である。
【0022】
図1および図2に示すように、NC旋盤1は、土台となる脚の上に、切削室11と、主軸台室12と、操作パネル15とを備えている。このNC旋盤1は、旋盤の一例に相当する。また、図1では、図の左手前側がNC旋盤1の正面側になり、図の右奥側がNC旋盤1の背面側になる。なお、図2には、NC旋盤1によって加工が完了した製品をNC旋盤1の外部まで搬送する排出コンベア9の下流端部も示されている。切削室11は、正面側から見てNC旋盤1の右側に配置されている。切削室11の正面側には切削室11内を視認するための窓111が設けられている。主軸台室12は正面側から見てNC旋盤1の左側に配置されている。切削室11と主軸台室12は離間しており、その間には、後述するガイドブッシュ支持台41(図3参照)や第1刃物台5(図3参照)が配置されている。以下、この切削室11と主軸台室12の間の部分を中間部と称する。中間部の正面側は、刃物台正面カバー131で覆われている。また、中間部の上端は、刃物台天井カバー132で覆われている。この刃物台天井カバー132には、複数のルーバー1322が形成されている。なお、刃物台正面カバー131および刃物台天井カバー132は、中間部から切削室11側に少し張り出している。このため、刃物台正面カバー131および刃物台天井カバー132は、切削室11の、図2における左端部分も覆っている。操作パネル15は、主軸台室12の上方に配置されている。この操作パネル15は、NC旋盤1を操作するための入力装置である。NC旋盤1の操作者は、新規加工における動作確認などで、窓111から切削室11内を見て加工動作などを視認しつつ、操作パネル15を用いてNC旋盤1を操作する。その際に、切削室11内の視認と操作パネル15の操作を繰り返して加工動作などを調整することがある。本実施形態の刃物台正面カバー131は、刃物台正面カバー131のうち、正面側に張り出している正面部分と操作パネル15側の側面部分との間に大きな面取形状131aを形成しているので、NC旋盤1の操作者が切削室11から操作パネル15あるいはその逆に視線を移動する際に、刃物台正面カバー131が邪魔になりにくいため、視線移動が迅速に行える。また、NC旋盤1の操作者が窓111を見ながら操作パネル15に手を伸ばして操作する際や、切削室11側から操作パネル15側に移動しつつ操作パネル15に手を延ばす際に、刃物台正面カバー131によって手の動きが妨げられにくいので、NC旋盤1の操作性も向上している。
【0023】
図3は、図1に示したNC旋盤の内部構成を簡易的に示す平面図である。
【0024】
図3に示すように、NC旋盤1の内部には、NC装置2と、第1主軸台3と、ガイドブッシュ4と、第1刃物台5と、第2主軸台6と、第2主軸用刃物台7が設けられている。NC装置2には、NCプログラムが保存されている。NC装置2は、そのNCプログラムに従って、第1主軸台3、第1刃物台5、第2主軸台6および第2主軸用刃物台7を数値制御により移動させるコンピューターである。また、第1刃物台5には、工具T1自体が回転する回転工具が取り付けられる場合があり、同様に第2主軸用刃物台7にも工具T2自体が回転する回転工具が取り付けられる場合がある。その場合には、NC装置2は、回転工具の回転も制御する。なお、NCプログラムを用いた動作の他、図1に示した操作パネル15からNC装置2に直接指令を入力することによってもNC旋盤1を動作させることができる。
【0025】
第1主軸台3は、図1に示した主軸台室12内に配置されている。第1主軸台3には、第1主軸31が搭載されている。この第1主軸31は、主軸の一例に相当する。第1主軸台3は、第1主軸31とともにZ1軸方向に移動可能である。Z1軸方向は、水平方向であり、図3においては左右方向である。以下の説明では便宜上、図3における右側を「前」、図3における左側を「後」として説明を行う。なお、このNC旋盤1においては、前方向は、+Z1方向と一致しており、後方向は-Z1方向と一致している。第1主軸31は、その前端部にコレット等の第1把持部を有している。また、第1主軸31は、その後端から第1主軸31の内部に挿入された棒状のワークW1を第1把持部によって解放可能に把持する。第1主軸31は、ワークW1を把持して第1主軸中心線CL1を中心として回転可能である。この第1主軸中心線CL1は、主軸中心線の一例に相当する。第1主軸中心線CL1の方向はZ1軸方向と一致している。第1主軸31にはビルトインモーター等のモータが設けられている。そのモータがNC装置2からの指令を受けることで、第1主軸31は、第1主軸中心線CL1を中心として回転する。これにより、第1主軸31によって把持されたワークW1は、第1主軸中心線CL1を中心にして回転する。
【0026】
ガイドブッシュ4は、第1主軸31の前方で、ガイドブッシュ支持台41によってNC旋盤1の脚に固定されている。ガイドブッシュ4は、第1主軸31の内部を貫通したワークW1の前端側部分をZ1軸方向へ摺動自在に支持する。このガイドブッシュ4の、ワークW1を支持している部分は、第1主軸31と同期して第1主軸中心線CL1を中心として回転可能である。すなわち、第1主軸中心線CL1は、ガイドブッシュ4に支持されたワークW1の回転中心線でもある。ガイドブッシュ4により、加工時のワークW1の撓みが抑制されるので、特に細長いワークW1を高精度に加工できる。なお、ガイドブッシュ4の前面部分は、切削室11内に露出している。
【0027】
第1刃物台5は、第1主軸中心線CL1よりもNC旋盤1の背面側に配置されている。この第1刃物台5は、Z1軸方向と直交しかつ水平方向を向いたX1軸方向と、垂直方向を向いたY1軸方向に移動可能である。この第1刃物台5は、刃物台の一例に相当する。図3では、上下方向がX1軸方向であり、紙面に直交する方向がY1軸方向である。第1刃物台5には、ワークW1を加工する工具T1が装着される。図3には、第1刃物台5に工具T1が装着された様子が示されている。第1刃物台5には、外径加工用バイト、突っ切り加工用バイト等を含む複数種類の工具T1がY1軸方向に並んで取り付けられている。第1刃物台5に設けられた後述する第1刃物台テーブル52(図7参照)がY1軸方向に移動することで、これらの複数種類の工具T1から任意の工具T1が選択される。そして、第1刃物台5が切り込み方向に移動することで、その工具T1が第1主軸31に把持されたワークW1に切り込んでワークW1を加工する。この実施形態では、工具T1の切り込み方向はNC旋盤1の正面方向であり、図3においては-X1方向として示されている。この第1刃物台5の構成については、後に詳述する。なお、前側部分を除く第1刃物台5の殆どの部分は中間部に配置されているが、前側部分と工具T1は切削室11内に配置されている。
【0028】
第2主軸台6は、ガイドブッシュ4よりも前方であって、図1に示した切削室11内に配置されている。第2主軸台6には、第2主軸61が搭載されている。第2主軸台6は、X2軸方向およびZ2軸方向に第2主軸61とともに移動可能である。このX2軸方向は上述したX1軸方向と同一の方向であり、Z2軸方向は上述したZ1軸方向と同一の方向である。第2主軸61は、その後端部にコレット等の第2把持部を有している。第1主軸31を用いた加工が完了したワークW1の先端を第2主軸61でチャックし、第1主軸31と第2主軸61とを同期回転させて突っ切り加工用バイトにより切断動作を行う。又は、第1主軸31を用いた加工が完了したワークを第2主軸61でチャックし、第1主軸31のチャックを開いた状態で第2主軸61を回転させ突っ切り加工用バイトにより切断動作を行う。これにより、切断済ワークW2が第2主軸61に受け渡される。第2主軸61は、第1主軸31から受け渡された切断済ワークW2を第2把持部によって解放可能に把持する。第2主軸61は、切断済ワークW2を把持して第2主軸中心線CL2を中心として回転可能である。この第2主軸中心線CL2の方向はZ2軸方向と一致している。第2主軸61にはビルトインモーター等のモータが設けられている。そのモータがNC装置2からの指令を受けることで、第2主軸61は、第2主軸中心線CL2を中心として回転する。これにより、第2主軸61によって把持された切断済ワークW2は、第2主軸中心線CL2を中心にして回転する。なお、第2主軸61は、第1主軸31と面対称に対向して配置されるため対向主軸と呼ばれることがある。
【0029】
第2主軸用刃物台7は、ガイドブッシュ4のやや前方であって、ガイドブッシュ4および第1主軸中心線CL1に対してNC旋盤1の正面側にずれた位置に配置されている。第2主軸用刃物台7は、Y2軸方向へ移動可能である。このY2軸方向は上述したY1軸方向と同一の方向である。第2主軸用刃物台7には、第2主軸61に把持された切断済ワークW2を加工する工具T2が装着される。図3には、第2主軸用刃物台7に工具T2が装着された様子が示されている。また、第2主軸用刃物台7には、加工が完了したワークを受け入れる不図示の受入装置も搭載されている。第2主軸用刃物台7には、ドリルやエンドミル等の複数種類の工具T2が並んで取り付けられる。なお、図3には表れていないが、工具T2はX2軸方向だけでなくY2軸方向にも並んで取り付けられている。第2主軸用刃物台7がY2軸方向に移動することで、これらの複数種類の工具T2から任意の工具T2が選択される。そして、第2主軸台6が-Z方向に移動することで、第2主軸61に把持された切断済ワークW2の後端側部分が加工される。なお、第2主軸用刃物台7は、図1に示した切削室11内に配置されている。
【0030】
図4は、図1に示したNC旋盤の外観を示す背面図である。
【0031】
図4に示すように、NC旋盤1背面の下側部分には、配電盤室14が設けれられている。配電盤室14は、通常は配電盤カバー141によって覆われている。図4には配電盤カバー141を取り外し、その配電盤カバー141を矢印で示すように図の右側に移動させた様子が示されている。図4において丸で囲って拡大した図に示すように、配電盤室14内には、アンプやコントローラなどがユニット化された電装ユニット142が複数配置されている。これらの電装ユニット142は、図4における紙面手前側部分がネジ止めされており、そのネジを外すことで、図4における紙面手前側に電装ユニット142を抜き出すことができる。これにより、電装ユニット142のメンテナンスや故障時には、必要な電装ユニット142を配電盤室14から取り外すことができる。また、これらの電装ユニット142には、NC旋盤1に設けられた各種アクチュエータや電気部品などに繋がるケーブル143が接続されている。なお、図4では、ケーブル143は、配電盤室14近傍にある部分のみが示され残りは図示省略されている。ケーブル143は、配電盤室14の左右側面に2つづつ設けられたケーブルエントリー部145を通って配電盤室14内の電装ユニット142に接続されている。
【0032】
図5は、図4に示した配電盤室を正面側斜め上方から見た斜視図である。
【0033】
図5に示すように、ケーブルエントリー部145は、エントリー止め具1451と、上側保持体1452と、下側保持体1453とから構成されている。エントリー止め具1451、上側保持体1452および下側保持体1453は、ネジによって配電盤室14の側面に固定されている。上側保持体1452と下側保持体1453は、上下方向に対向して配置されており、対向している部分はそれぞれスポンジ状部材で形成されている。ケーブル143は、上側保持体1452のスポンジ状部材と下側保持体1453のスポンジ状部材に挟まれている。また、下側保持体1453には、ケーブル143の、配電盤室14の外に引き出されている部分を結束バンドによって固定するためのΩ形状の溝が形成された保持金具が設けられている。下側保持体1453は、エントリー止め具1451を配電盤室14から取り外した後、ネジを外すことで、配電盤室14から抜き出すことができる。図5では、エントリー止め具1451が取り外され、上側のケーブルエントリー部145の下側保持体1453が抜き出された様子が示されている。下側保持体1453を配電盤室14から取り外し可能に構成することで、電装ユニット142(図4参照)のうち側面に近い位置にあるものを配電盤室14内から抜き出す際に、ケーブル143が邪魔になってしまうことが防止される。すなわち、電装ユニット142を容易に配電盤室14内から抜き出すことができるので、メンテナンス性が高まっている。
【0034】
図6は、図1に示したNC旋盤の正面側外装の一部を切り欠いて内部を示した正面図である。
【0035】
図6に示すように、第1刃物台5の上端部は、刃物台天井カバー132によって覆われている。また、切削室11と中間部の間には、中間壁133が形成されている。切削室11内では、円滑に加工を行う目的および加工に伴う熱を冷却する目的で大量のクーラント液を主に加工部位に向かって吐出している。切削室11内に吐出されたクーラント液は、回収されてNC旋盤1内で循環利用される。中間部と切削室11とは、中間壁133と第1刃物台5の前面によって仕切られている。従って、クーラント液が中間部や主軸台室12側に流入してしまうことは基本的に防止されている。しかし、第1刃物台5の上端部分にある隙間を通って刃物台天井カバー132内に液状またはミスト状のクーラント液が侵入してしまうことがある。上述したように、刃物台天井カバー132には、NC旋盤1内部の空気を排気する為の複数のルーバー1322が形成されている。このため、刃物台天井カバー132内にクーラント液が侵入すると、そのクーラント液がNC旋盤1の外部に流出してしまう虞があり、NC旋盤1が配置された周囲における臭いやべとつきの原因になってしまうことがある。また、中間部を経由して主軸台室12内にクーラント液が入り込む恐れもある。主軸台室12内にクーラント液が入り込むと、図3に示した第1主軸台3や第1主軸31の寿命を低下させてしまう可能性がある上に、これらがべとついてメンテナンスがしにくくなってしまう虞もある。この実施形態では、刃物台天井カバー132のZ1軸方向における中央近傍に、その天面から垂れ下がった仕切板1321を形成し、その仕切板1321よりも後(-Z1方向)側部分にのみルーバー1322を形成している。こうすることで、たとえ刃物台天井カバー132内にクーラント液が侵入しても、仕切板1321によって遮られて、仕切板1321よりも後側にそのクーラント液が入り込みにくい。その結果、NC旋盤1の外部にクーラント液が流出してしまうことや主軸台室12側にクーラント液が入り込んでしまうことが抑制されている。
【0036】
図7は、図1に示したNC旋盤の刃物台ベースと第1刃物台とガイドブッシュを図2における右側から見た右側面図である。なお、この図7には、NC旋盤1の外形を表す線が破線で示されている。
【0037】
図7に示すように、第1刃物台5は、刃物台ベース50の上に配置されている。第1刃物台5は、X1軸方向に移動可能な第1中間ベース51と、第1中間ベース51に搭載されてY1軸方向に移動可能な第1刃物台テーブル52とを有している。第1刃物台テーブル52は、第1中間ベース51よりも前側に配置されている。図7では、紙面に直交する方向がZ1軸方向になり、紙面手前側が前側になる。第1刃物台5の第1中間ベース51は中間部に配置され、第1刃物台テーブル52の前側部分は切削室11内に配置されている。刃物台ベース50は、土台である不図示の脚の上に固定されている。第1中間ベース51は、X1軸方向に移動可能に刃物台ベース50に取り付けられている。第1刃物台テーブル52は、Y1軸方向に移動可能に第1中間ベース51に取り付けられている。第1刃物台テーブル52には、不図示のY1軸ボールネジナットが固定されている。不図示のY1軸モータの出力軸には不図示のY1軸ボールネジが連結されている。Y1軸ボールネジは、外周に螺旋状の溝が形成されている。Y1軸ボールネジナットは、内部にボールが循環しており、そのボールはY1軸ボールネジに設けられた溝に噛み合って(螺合して)いる。そして、不図示のY1軸モータを駆動することによって、Y1軸ボールネジが回転し、第1刃物台テーブル52は、Y1軸方向に移動する。図7では、第1刃物台テーブル52がY1軸方向における原点位置に位置している様子が示されている。なお、刃物台ベース50とガイドブッシュ支持台41を一体的に構成してもよい。
【0038】
刃物台ベース50には、X1軸モータ501が固定されている。このX1軸モータ501は、モータの一例に相当する。X1軸モータ501は、第1刃物台5よりもNC旋盤1の正面側に配置されている。また、X1軸モータ501は、ガイドブッシュ4および第1主軸31(図3参照)よりも上方に配置されている。X1軸モータ501のX1出力軸5011(図8参照)には、同一軸線上に配置されたX1軸ボールネジ502が連結されている。この連結構造については後に詳述する。X1軸モータ501内のステータに電力を供給することでロータとともにX1出力軸5011が回転し、X1出力軸5011に連結されたX1軸ボールネジ502が回転する。X1軸ボールネジ502は、第1主軸中心線CL1と直交する方向に延在し、外周に螺旋状の溝が形成されている。具体的には、X1軸ボールネジ502は、X1軸方向に延在している。このX1軸方向は、軸方向の一例に相当し、X1軸ボールネジ502は、駆動軸の一例に相当する。第1中間ベース51は、X1軸ボールネジナット512を有している。このX1軸ボールネジナット512は、被駆動部の一例に相当する。X1軸ボールネジナット512は、内部にボールが循環しており、そのボールはX1軸ボールネジ502に設けられた溝に噛み合っている。そして、X1軸モータ501を駆動し、X1軸ボールネジ502が回転することによって、第1中間ベース51は、X1軸方向に移動する。図7では、第1中間ベース51がX1軸方向における原点位置に位置している様子が示されている。
【0039】
次に、第1刃物台の構成と動作について更に詳しく説明する。
【0040】
図8(a)は、図1に示したNC旋盤の刃物台ベースと第1刃物台の下側部分の構成を簡易的に示した平面図である。図8(a)には、図7と同様に、中間ベースがX1軸方向における原点位置に位置している様子が示されている。また、図8(b)は、同図(a)の状態から、中間ベースが-X1方向に移動した様子を示す平面図である。なお、これら図8(a)には、ガイドブッシュ4とワークW1が破線で示され、図8(b)には、ガイドブッシュ4と切断済ワークW2が破線で示されている。
【0041】
図8(a)に示すように、第1刃物台テーブル52は、テーブル基体520と、工具T1が固定される工具固定部521と、Y1軸スライド部522とを有している。テーブル基体520は、工具固定部521とY1軸スライド部522が固定された、第1刃物台テーブル52の基幹となる部材である。また、第1中間ベース51は、上述したY1軸モータおよびX1軸ボールネジナット512の他に、ベース基体510と、X1軸スライド部513と、Y1軸レール514とを有している。ベース基体510は、第1中間ベース51が有している他の部材が固定された、第1中間ベース51の基幹となる部材である。Y1軸レール514は、図8(a)の紙面に直交するY1軸方向に延在している。このY1軸レール514に、Y1軸スライド部522は摺動自在に取り付けられている。これにより、第1刃物台テーブル52は、第1中間ベース51に対してY1軸方向に移動自在に配置され、上述したようにY1軸モータの駆動によってY1軸方向に移動する。
【0042】
また、刃物台ベース50には、X1軸レール505が固定されている。X1軸レール505は、X1軸方向に延在している。このX1軸レール505に、X1軸スライド部513は摺動自在に取り付けられている。これにより、第1中間ベース51は、刃物台ベース50に対してX1軸方向に移動自在に配置されている。刃物台ベース50内にはX1軸カップリング503が配置されている。X1軸カップリング503は、X1軸モータ501のX1出力軸5011とX1軸ボールネジ502とを連結している。また、刃物台ベース50内にはX1軸サポート軸受504も配置されている。このX1軸サポート軸受504は、移動規制部の一例に相当する。X1軸サポート軸受504は、X1軸ボールネジ502の、軸方向における一端側部分に配置されている。X1軸サポート軸受504は、外輪と内綸との間に転動体を有する、いわゆる転がり軸受である。そして、X1軸サポート軸受504の外輪は刃物台ベース50に固定され、内綸にはX1軸ボールネジ502が固定されている。これにより、X1軸ボールネジ502は、X1軸方向を中心として回転自在に刃物台ベース50に固定されている。つまり、X1軸ボールネジ502は、X1軸方向を中心とした回転以外の移動が、X1軸サポート軸受504によって規制されている。X1軸方向の移動が規制された状態で、X1軸ボールネジ502が回転することで、X1軸ボールネジ502に噛み合っているX1軸ボールネジナット512が回転方向に応じて+X1方向または-X1方向に移動する。これにより、第1中間ベース51は、第1刃物台テーブル52とともにX1軸ボールネジナット512と同じ方向に移動する。すなわち、第1刃物台5が、+X1方向または-X1方向に移動する。
【0043】
図8(b)に示すように、X1軸モータ501を駆動して、第1刃物台5を-X方向に移動させると、工具T1がワークW1に切り込む。すなわち、この-X方向は、切り込み方向の一例に相当する。-X方向は、X1軸ボールネジナット512がX1軸サポート軸受504に接近する方向である。また、-X方向は、X1軸ボールネジナット512がX1軸モータ501に接近する方向でもある。工具T1として突っ切り加工用バイトを用い、その突っ切り加工用バイトの先端が、第1主軸中心線CL1に達することで、ワークW1は切断される。図8(b)には、工具T1の刃先が第1主軸中心線CL1に達っし、ワークW1の前側部分が切断されて切断済ワークW2となった様子が示されている。なお、通常は、ワークW1が切断される前に、図3に示した第2主軸61がワークW1の前側部分を把持してからワークW1が切断されることで、切断済ワークW2が第2主軸61に受け渡される。そして、切断済ワークW2の、後側(-Z側)部分を加工する場合は、その切断済ワークW2は、第2主軸61に把持されて図3に示した工具T2によって後側部分の加工が行われる。
【0044】
この実施形態のNC旋盤1によれば、工具T1が切り込み方向に移動すると、X1軸ボールネジナット512がX1軸サポート軸受504に接近するので、ワークW1の加工時にはX1軸サポート軸受504とX1軸サポート軸受504とが近接した位置に配置される。換言すれば、この実施形態のNC旋盤1では、工具T1がワークW1に接触して加工するときに、X1軸ボールネジナット512がX1軸サポート軸受504に接近している。ワークW1の加工時には、切削における摩擦熱などの熱が発生し、X1軸ボールネジ502が多少X1軸方向に伸びることがある。また、一般的に、加工開始から加工終了までに長尺のワークW1から多数の製品を製造するため、加工初期と加工後期では、X1軸ボールネジ502の長さが多少異なり、工具T1の切り込み量が変化してしまうことがある。これまで説明したNC旋盤1では、たとえX1軸ボールネジ502が熱によってそのX1軸方向に伸縮しても、加工時にX1軸ボールネジナット512とX1軸サポート軸受504とが近接しているので、工具T1の切り込み量に変化が生じにくく、結果としてワークW1の加工精度を高めることができる。また、X1軸モータ501を第1刃物台5よりも背面側に配置すると、X1軸モータ501やX1軸モータ501の支持構造などが背面側に突出してNC旋盤1が大型化しやすい。すなわち、第1刃物台5よりも工具T1の切り込み方向とは反対側にX1軸モータ501を配置すると、第1主軸よりも背面側に、第1刃物台5およびX1軸モータ501が並んで配置されるためNC旋盤1が大型化しやすい。本実施形態のNC旋盤1では、第1刃物台5を、第1主軸中心線CL1よりもNC旋盤1の背面側に配置し、X1軸モータ501は、第1刃物台5よりもNC旋盤1の正面側に配置しているので、NC旋盤1が小型化されている。換言すれば、X1軸モータ501を、第1刃物台5よりも工具T1の切り込み方向側に配置することで、NC旋盤1を小型化している。さらに、X1軸ボールネジナット512を、X1軸モータ501やX1軸サポート軸受504が配置されている、第1刃物台5における正面側部分(切り込み方向側部分)に配置しているので、X1軸ボールネジ502が短くても、第1中間ベース51をX1軸方向に移動できる。加えて、X1軸ボールネジナット512を、第1刃物台5における正面側部分に配置しているので、X1軸ボールネジナット512がX1軸サポート軸受504に近接して配置され、X1軸ボールネジ502がその軸方向に伸縮しても、工具T1のワークW1への切り込み量が変化しにくい。これにより、ワークW1の加工精度がさらに高まる。またさらに、工具T1の刃先が、X1軸方向において、X1軸ボールネジナット512と重なる位置に配置されるように構成しているので、X1軸ボールネジナット512と工具T1の間にあるベース基体510や第1刃物台テーブル52などが熱によりX1軸方向に伸縮しても、加工位置である工具T1の刃先では伸縮の影響を受けにくい。これによっても加工精度が高められている。なお、工具T1の刃先とX1軸ボールネジナット512とがX1軸方向において近い位置にあれば加工精度は高まるが、工具T1の刃先とX1軸ボールネジナット512はX1軸方向において重なってることで、より加工精度が高められている。
【0045】
続いて、これまで説明してきたNC旋盤1の変形例について、以下の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ構成要素には、これまで用いた符号と同じ符号を付して重複する説明は省略することがある。
【0046】
図9は、NC旋盤の変形例を示す図7と同様の右側面図である。なお、この図9には、X1軸カップリング503とX1軸サポート軸受504とX1出力軸5011も二点鎖線で示されている。
【0047】
図9に示すように、この変形例のNC旋盤1は、主に第1刃物台5とX1軸モータ501の位置関係が図7に示したNC旋盤1と異なる。この変形例では、NC旋盤1の正面側に第1刃物台5が配置されている。X1軸モータ501は、第1刃物台5よりもNC旋盤1の背面側に配置されている。また、X1軸モータ501は、ガイドブッシュ4および第1主軸31(図3参照)よりも上方に配置されている。X1軸モータ501のX1出力軸5011には、同一軸線上に配置されたX1軸ボールネジ502が連結されている。X1軸ボールネジ502は、第1主軸中心線CL1と直交するX1軸方向に延在し、外周に螺旋状の溝が形成されている。図9では、第1中間ベース51がX1軸方向における原点位置に位置している様子が示されている。
【0048】
X1軸モータ501を駆動して、第1刃物台5を図9に示す位置から+X方向に移動させると、工具T1がワークW1に切り込む。すなわち、この変形例では、+X方向が切り込み方向の一例に相当する。+X方向は、X1軸ボールネジナット512がX1軸サポート軸受504に接近する方向である。また、+X方向は、X1軸ボールネジナット512がX1軸モータ501に接近する方向でもある。以上説明した変形例においても、X1軸ボールネジナット512は、第1刃物台5における切り込み方向側部分に配置されている。また、X1軸モータ501は、第1刃物台5よりも切り込み方向側に配置されている。そして、第1刃物台5は、第1主軸中心線CL1よりもNC旋盤1の正面側に配置され、X1軸モータ501は、第1刃物台5よりもこの旋盤の背面側に配置されている。この変形例でも、先の実施形態と同様の効果を奏する。
【0049】
本発明は上述の実施形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形を行うことが出来る。たとえば、本実施形態では、X1軸モータ501のX1出力軸5011とX1軸ボールネジ502を、同一軸線上に配置し、X1軸カップリング503で直接連結したが、X1出力軸5011とX1軸ボールネジ502をずれた位置に配置し、駆動ベルトや歯車などの駆動伝達要素を用いて間接的に連結してもよい。また、X1軸方向は、水平方向に対してい傾斜していてもよく、Y1軸方向も垂直方向に対して傾斜していてもよい。さらに、X1軸方向は垂直方向であってもよく、Y1軸方向は水平方向であってもよい。
【0050】
なお、以上説明した各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 NC旋盤
5 第1刃物台(刃物台)
31 第1主軸(主軸)
502 X1軸ボールネジ(駆動軸)
504 X1軸サポート軸受(移動規制部)
512 X1軸ボールネジナット(被駆動部)
CL1 第1主軸中心線(主軸中心線)
T1 工具
W1 ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9