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特許7617449位相補間回路、受信回路及び半導体集積回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】位相補間回路、受信回路及び半導体集積回路
(51)【国際特許分類】
   H03L 7/081 20060101AFI20250110BHJP
【FI】
H03L7/081 140
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022566585
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 JP2020045100
(87)【国際公開番号】W WO2022118440
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】藤村 拓弥
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-504849(JP,A)
【文献】特開2010-232868(JP,A)
【文献】国際公開第2013/108350(WO,A1)
【文献】特開2012-231394(JP,A)
【文献】特開2015-033094(JP,A)
【文献】特開2018-046489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03L 7/081
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の制御信号に基づいて、第1の参照クロック信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を調整することにより、第1の入力クロック信号を生成する第1のバッファ回路と、
第2の制御信号に基づいて、前記第1の参照クロック信号と第1の位相差を有する第2の参照クロック信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を調整することにより、第2の入力クロック信号を生成する第2のバッファ回路と、
前記第1の入力クロック信号及び前記第2の入力クロック信号の少なくとも一方の、立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を検出し、検出結果に応じて前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号を生成する検出回路と、
前記第1の入力クロック信号及び前記第2の入力クロック信号に基づいて、前記第1の入力クロック信号の位相と前記第2の入力クロック信号の位相との間の位相を有する出力クロック信号を生成するミキサ回路とを有し、
前記検出回路は、前記第1の入力クロック信号及び前記第2の入力クロック信号の少なくとも一方の、立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方が第1の閾値と第2の閾値との間になるように、前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号を生成する位相補間回路。
【請求項2】
前記検出回路は、前記第1の入力クロック信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を検出し、検出結果に応じて前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号を生成し、
前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号は、相互に同じ信号である請求項1に記載の位相補間回路。
【請求項3】
前記検出回路は、前記第1のバッファ回路の出力端子に接続され、
前記第2のバッファ回路の出力端子に接続される、前記検出回路のダミー回路をさらに有する請求項2に記載の位相補間回路。
【請求項4】
前記ダミー回路は、前記検出回路と同等の負荷を有する回路である請求項3に記載の位相補間回路。
【請求項5】
前記検出回路は、
前記第1の入力クロック信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を検出し、検出結果に応じて前記第1の制御信号を生成する第1の検出回路と、
前記第2の入力クロック信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を検出し、検出結果に応じて前記第2の制御信号を生成する第2の検出回路とを有する請求項1に記載の位相補間回路。
【請求項6】
前記第1のバッファ回路は、並列に接続された複数の第1のインバータ回路を含み、前記第1の制御信号に基づいて、前記第1のインバータ回路の並列接続数を制御し、
前記第2のバッファ回路は、並列に接続された複数の第2のインバータ回路を含み、前記第2の制御信号に基づいて、前記第2のインバータ回路の並列接続数を制御する請求項1~のいずれか1項に記載の位相補間回路。
【請求項7】
前記第1のバッファ回路及び前記第2のバッファ回路は、それぞれ、電流モードロジックバッファ回路であり、前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号に基づいて駆動電流を制御する請求項1~のいずれか1項に記載の位相補間回路。
【請求項8】
出力クロック信号を生成する位相補間回路と、
前記出力クロック信号に同期し、受信信号を判定及び等化処理し、受信データを出力する判定帰還型等化回路と、
前記判定帰還型等化回路により出力された受信データをシリアルからパラレルに変換するデマルチプレクサ回路とを有し、
前記位相補間回路は、
第1の制御信号に基づいて、第1の参照クロック信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を調整することにより、第1の入力クロック信号を生成する第1のバッファ回路と、
第2の制御信号に基づいて、前記第1の参照クロック信号と第1の位相差を有する第2の参照クロック信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を調整することにより、第2の入力クロック信号を生成する第2のバッファ回路と、
前記第1の入力クロック信号及び前記第2の入力クロック信号の少なくとも一方の、立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を検出し、検出結果に応じて前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号を生成する検出回路と、
前記第1の入力クロック信号及び前記第2の入力クロック信号に基づいて、前記第1の入力クロック信号の位相と前記第2の入力クロック信号の位相との間の位相を有する出力クロック信号を生成するミキサ回路とを有し、
前記検出回路は、前記第1の入力クロック信号及び前記第2の入力クロック信号の少なくとも一方の、立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方が第1の閾値と第2の閾値との間になるように、前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号を生成する受信回路。
【請求項9】
前記検出回路は、前記第1の入力クロック信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を検出し、検出結果に応じて前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号を生成し、
前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号は、相互に同じ信号である請求項に記載の受信回路。
【請求項10】
前記検出回路は、前記第1のバッファ回路の出力端子に接続され、
前記第2のバッファ回路の出力端子に接続される、前記検出回路のダミー回路をさらに有する請求項に記載の受信回路。
【請求項11】
前記ダミー回路は、前記検出回路と同等の負荷を有する回路である請求項1に記載の受信回路。
【請求項12】
前記検出回路は、
前記第1の入力クロック信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を検出し、検出結果に応じて前記第1の制御信号を生成する第1の検出回路と、
前記第2の入力クロック信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を検出し、検出結果に応じて前記第2の制御信号を生成する第2の検出回路とを有する請求項に記載の受信回路。
【請求項13】
受信データを出力する受信回路と、
前記受信データを処理する内部回路とを有し、
前記受信回路は、
出力クロック信号を生成する位相補間回路と、
前記出力クロック信号に同期し、受信信号を判定及び等化処理し、受信データを出力する判定帰還型等化回路と、
前記判定帰還型等化回路により出力された受信データをシリアルからパラレルに変換するデマルチプレクサ回路とを有し、
前記位相補間回路は、
第1の制御信号に基づいて、第1の参照クロック信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を調整することにより、第1の入力クロック信号を生成する第1のバッファ回路と、
第2の制御信号に基づいて、前記第1の参照クロック信号と第1の位相差を有する第2の参照クロック信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を調整することにより、第2の入力クロック信号を生成する第2のバッファ回路と、
前記第1の入力クロック信号及び前記第2の入力クロック信号の少なくとも一方の、立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を検出し、検出結果に応じて前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号を生成する検出回路と、
前記第1の入力クロック信号及び前記第2の入力クロック信号に基づいて、前記第1の入力クロック信号の位相と前記第2の入力クロック信号の位相との間の位相を有する出力クロック信号を生成するミキサ回路とを有し、
前記検出回路は、前記第1の入力クロック信号及び前記第2の入力クロック信号の少なくとも一方の、立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方が第1の閾値と第2の閾値との間になるように、前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号を生成する半導体集積回路。
【請求項14】
前記検出回路は、前記第1の入力クロック信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を検出し、検出結果に応じて前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号を生成し、
前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号は、相互に同じ信号である請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項15】
前記検出回路は、前記第1のバッファ回路の出力端子に接続され、
前記第2のバッファ回路の出力端子に接続される、前記検出回路のダミー回路をさらに有する請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項16】
前記ダミー回路は、前記検出回路と同等の負荷を有する回路である請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項17】
前記検出回路は、
前記第1の入力クロック信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を検出し、検出結果に応じて前記第1の制御信号を生成する第1の検出回路と、
前記第2の入力クロック信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を検出し、検出結果に応じて前記第2の制御信号を生成する第2の検出回路とを有する請求項1に記載の半導体集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相補間回路、受信回路及び半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1回路と、第2回路と、第3回路とを有する位相補間回路が記載されている。第1回路は、位相の異なる複数の第1参照信号を第1比率で重み付けし結合することにより第1中間信号を生成する。第2回路は、複数の第1参照信号とはそれぞれ一定位相ずれた複数の第2参照信号を第1比率と同じ第2比率で重み付けし結合することにより第2中間信号を生成する。第3回路は、第1中間信号と第2中間信号とを結合させることにより出力信号を生成する。
【0003】
特許文献2には、入力信号を増幅する低雑音可変利得増幅器と、ローカル信号に基づいて周波数変換を行うミキサと、第1の検波手段と、第2の検波手段と、ミキサバイアス電流供給手段とを有する受信機が記載されている。第1の検波手段は、低雑音可変利得増幅器の出力端の信号強度を検出して低雑音可変利得増幅器の利得を制御する。第2の検波手段は、低雑音可変利得増幅器の出力端の信号強度を検出し、ミキサに供給するミキサバイアス電流の値を制御するための制御信号を出力する。ミキサバイアス電流供給手段は、制御信号に基づいて、ミキサバイアス電流をミキサに供給する。
【0004】
特許文献3には、アンテナと、アンテナで受信された無線信号を処理する受信回路とを有する無線通信機が記載されている。受信回路は、無線信号を増幅する増幅器と、周波数が一定の発振信号を出力する発振器と、増幅器及び発振器の各出力を入力してミキシングするミキサと、ミキサ出力のゲインを調整するAGCアンプとを有する。入力電圧調整回路は、AGCアンプの出力に応じてミキサへの各入力の電圧を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-146869号公報
【文献】特開2010-109560号公報
【文献】特開2009-218931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、第1回路は、位相の異なる複数の第1参照信号を第1比率で重み付けし結合することにより第1中間信号を生成する。複数の第1参照信号の立ち上がり時間及び立下り時間が一定である場合に、第1中間信号は、適切な位相に制御される。しかし、プロセス、電源電圧又は温度(PVT)のばらつきの影響により、複数の第1参照信号の立ち上がり時間及び立下り時間は、変化してしまう。その結果、第1中間信号の位相は、ばらつき、精度が低下してしまう。
【0007】
本発明の目的は、プロセス、電源電圧又は温度のばらつきの影響により、ミキサ回路の入力クロック信号の立ち上がり時間又は立ち下がり時間がばらつくのを防止し、ミキサ回路における位相調整動作の精度を向上させることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
位相補間回路は、第1の制御信号に基づいて、第1の参照クロック信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を調整することにより、第1の入力クロック信号を生成する第1のバッファ回路と、第2の制御信号に基づいて、前記第1の参照クロック信号と第1の位相差を有する第2の参照クロック信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を調整することにより、第2の入力クロック信号を生成する第2のバッファ回路と、前記第1の入力クロック信号及び前記第2の入力クロック信号の少なくとも一方の、立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を検出し、検出結果に応じて前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号を生成する検出回路と、前記第1の入力クロック信号及び前記第2の入力クロック信号に基づいて、前記第1の入力クロック信号の位相と前記第2の入力クロック信号の位相との間の位相を有する出力クロック信号を生成するミキサ回路とを有し、前記検出回路は、前記第1の入力クロック信号及び前記第2の入力クロック信号の少なくとも一方の、立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方が第1の閾値と第2の閾値との間になるように、前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号を生成する。
【発明の効果】
【0009】
プロセス、電源電圧又は温度のばらつきの影響により、ミキサ回路の入力クロック信号の立ち上がり時間又は立ち下がり時間がばらつくのを防止し、ミキサ回路における位相調整動作の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態による半導体集積回路の構成例を示す図である。
図2図2は、入力クロック信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間が長い場合の、出力クロック信号の位相シフト量特性を示す図である。
図3図3は、入力クロック信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間が短い場合の、出力クロック信号の位相シフト量特性を示す図である。
図4図4は、本実施形態による位相補間回路の構成例を示す図である。
図5図5は、図4のバッファ回路の構成例を示す回路図である。
図6図6は、図4の検出回路の構成例を示す回路図である。
図7図7は、図6の検出回路の動作を説明するためのフローチャートである。
図8図8は、本実施形態による位相補間回路の他の構成例を示す図である。
図9図9は、図8のダミー負荷回路の他の構成例を示す図である。
図10図10は、本実施形態による位相補間回路のさらに他の構成例を示す図である。
図11図11は、本実施形態によるバッファ回路の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態による半導体集積回路100の構成例を示す図である。半導体集積回路100は、アナログの受信信号A1を基にデジタルの受信データA6を出力する受信回路101と、受信データA6を処理する内部回路102とを有する。
【0012】
受信回路101は、位相ロックループ回路(PLL回路)111と、位相補間回路112と、線形等化回路113と、判定帰還型等化回路(DFE回路)114,115と、デマルチプレクサ回路116と、位相検出回路117とを有する。
【0013】
PLL回路111は、基準クロック信号と参照クロック信号との位相誤差が小さくなるようにフィードバック制御することにより、一定周波数の0°の参照クロック信号CK0と90°の参照クロック信号CK90を生成する。参照クロック信号CK90は、参照クロック信号CK0に対して、周波数が同じであり、位相が90°遅れている。
【0014】
位相補間回路112は、位相調整コードPICODEに応じて、参照クロック信号CK0及びCK90を用いて補間することにより、出力クロック信号CK0aの位相と出力クロック信号CK90aの位相を調整する。出力クロック信号CK90aは、出力クロック信号CK0aに対して、周波数が同じであり、位相が90°遅れている。
【0015】
線形等化回路113は、アナログの受信信号A1を受信し、受信信号A1の等化処理により、受信信号A1の伝送路上での減衰を補償し、受信信号A2を復元する。
【0016】
判定帰還型等化回路114は、出力クロック信号CK0aに同期し、受信信号A2を判定及び等化処理し、受信データA3を出力する。具体的には、判定帰還型等化回路114は、出力クロック信号CK0aの立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジのタイミングで、受信信号A2のアイパターンのセンタ付近のレベルをサンプリングし、そのサンプリングしたレベルを2値判定し、0又は1のデジタルの受信データA3を生成する。さらに、判定帰還型等化回路114は、受信データA3を基にフィードバック制御し、受信信号A2の符号間干渉を抑制するための等化処理を行い、等化処理された受信信号A2の2値判定を行い、受信データA3を生成する。
【0017】
判定帰還型等化回路115は、出力クロック信号CK90aに同期し、受信信号A2を判定及び等化処理し、受信データA4を出力する。具体的には、判定帰還型等化回路115は、出力クロック信号CK90aの立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジのタイミングで、受信信号A2のアイパターンのバウンダリ付近のレベルをサンプリングし、そのサンプリングしたレベルを2値判定し、0又は1のデジタルの受信データA4を生成する。さらに、判定帰還型等化回路115は、受信データA4を基にフィードバック制御し、受信信号A2の符号間干渉を抑制するための等化処理を行い、等化処理された受信信号A2の2値判定を行い、受信データA4を生成する。
【0018】
デマルチプレクサ回路116は、逆多重化により、受信データA3及びA4をそれぞれシリアルからパラレルに変換し、パラレルの受信データA5を出力する。
【0019】
位相検出回路117は、パラレルの受信データA5のうちのアイパターンのセンタ付近の受信データA3に対応するパラレルの受信データを、パラレルの受信データA6として内部回路102に出力する。
【0020】
また、位相検出回路117は、受信データA5を基に、アイパターンのセンタ付近の受信データの位相を検出し、アイパターンのセンタ付近の受信データの位相と出力クロック信号CK0aの位相との差が小さくなるように、位相調整コードPICODEを生成する。
【0021】
位相補間回路112は、位相調整コードPICODEに応じて、出力クロック信号CK0aの位相と出力クロック信号CK90aの位相を調整する。これにより、出力クロック信号CK0aの位相は、受信信号A2のアイパターンのセンタ付近に調整される。出力クロック信号CK90aの位相は、受信信号A2のアイパターンのバウンダリ付近に調整される。したがって、位相補間回路112の位相調整動作は、高精度が要求される。
【0022】
図2及び図3は、図1の位相補間回路112の構成例を示す図である。位相補間回路112は、バッファ回路201と、バッファ回路202と、ミキサ回路203とを有する。参照クロック信号CK90は、参照クロック信号CK0と90°の位相差を有する。
【0023】
バッファ回路201は、制御信号SPDCNTに基づいて、参照クロック信号CK0の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を調整することにより、入力クロック信号CK0bを生成する。入力クロック信号CK0bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方は、制御信号SPDCNTにより決まる。
【0024】
バッファ回路202は、制御信号SPDCNTに基づいて、参照クロック信号CK90の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を調整することにより、入力クロック信号CK90bを生成する。入力クロック信号CK90bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方は、制御信号SPDCNTにより決まる。
【0025】
ミキサ回路203は、入力クロック信号CK0b及び入力クロック信号CK90bに基づいて、位相調整コードPICODEに対応する位相を有する出力クロック信号CK0a及びCK90aを生成する。具体的には、ミキサ回路203は、位相調整コードPICODEに応じて、入力クロック信号CK0b及びCK90bに対して重みづけ加算を行い、入力クロック信号CK0bの位相と入力クロック信号CK90bの位相との間の位相を有する出力クロック信号CK0aを生成する。また、ミキサ回路203は、位相調整コードPICODEに応じて、入力クロック信号CK90b及びCK0bに対して重みづけ加算を行い、入力クロック信号CK90bの位相と入力クロック信号CK0bの位相との間の位相を有する出力クロック信号CK90aを生成する。以上により、ミキサ回路203は、位相調整コードPICODEに応じて、出力クロック信号CK0a及びCK90aの位相を調整することができる。
【0026】
ここで、入力クロック信号CK0b及びCK90bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方は、制御信号SPDCNTにより、長くなったり、短くなったりする。
【0027】
図2は、入力クロック信号CK0b及びCK90bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間が長い場合の、出力クロック信号CK0a及びCK90aの位相シフト量特性204を示す図である。この場合、位相シフト量特性204は、位相調整コードPICODEに対して、出力クロック信号CK0a及びCK90aの位相シフト量が一定になる。すなわち、位相補間回路112は、位相調整コードPICODEに応じて、出力クロック信号CK0a及びCK90aの位相を線形に調整することができる。その結果、位相補間回路112の位相調整精度は、高精度になる。なお、位相調整コードPICODEに応じて、出力クロック信号CK0a及びCK90aの位相を線形に調整するためには、入力クロック信号CK0b及びCK90bは、正弦波であることが理想的である。
【0028】
図3は、入力クロック信号CK0b及びCK90bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間が短い場合の、出力クロック信号CK0a及びCK90aの位相シフト量特性304を示す図である。この場合、位相シフト量特性304は、位相調整コードPICODEに対して、出力クロック信号CK0a及びCK90aの位相シフト量が一定にならない。すなわち、位相補間回路112は、位相調整コードPICODEに応じて、出力クロック信号CK0a及びCK90aの位相を線形に調整することができない。その結果、位相補間回路112の位相調整精度は、低精度になる。図2のように、入力クロック信号CK0b及びCK90bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間は、長いことが好ましい。
【0029】
図2の位相シフト量特性204のように、制御信号SPDCNTは、位相調整コードPICODEに対して、出力クロック信号CK0a及びCK90aの位相シフト量が略一定になるように調整される。
【0030】
しかし、プロセス、電源電圧又は温度(PVT)のばらつきの影響により、入力クロック信号CK0b及びCK90bの立ち上がり時間及び立下り時間は、変化してしまう。その結果、出力クロック信号CK0a及びCK90aの位相は、ばらつき、精度が低下してしまう。
【0031】
図4を参照しながら、プロセス、電源電圧又は温度のばらつきの影響により、ミキサ回路203の入力クロック信号CK0b及びCK90bの立ち上がり時間又は立ち下がり時間がばらつくのを防止し、ミキサ回路203における位相調整動作の精度を向上させることができる位相補間回路112を説明する。
【0032】
図4は、本実施形態による位相補間回路112の構成例を示す図である。位相補間回路112は、バッファ回路201と、バッファ回路202と、ミキサ回路203と、検出回路401とを有する。参照クロック信号CK90は、参照クロック信号CK0と90°の位相差を有する。
【0033】
バッファ回路201は、制御信号SPDCNTに基づいて、参照クロック信号CK0の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を調整することにより、入力クロック信号CK0bを生成する。入力クロック信号CK0bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方は、制御信号SPDCNTにより決まる。
【0034】
バッファ回路202は、制御信号SPDCNTに基づいて、参照クロック信号CK90の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を調整することにより、入力クロック信号CK90bを生成する。入力クロック信号CK90bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方は、制御信号SPDCNTにより決まる。
【0035】
検出回路401は、入力クロック信号CK0bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を検出し、検出結果に応じて制御信号SPDCNTを生成する。なお、検出回路401は、入力クロック信号CK0b及び入力クロック信号CK90bの少なくとも一方の、立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を検出し、検出結果に応じて制御信号SPDCNTを生成する。
【0036】
具体的には、検出回路401は、入力クロック信号CK0b及び入力クロック信号CK90bの少なくとも一方の、立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方が第1の閾値と第2の閾値との間になるように、制御信号SPDCNTを生成する。
【0037】
バッファ回路201及び202は、それぞれ、制御信号SPDCNTに基づいて、入力クロック信号CK0b及びCK90bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を調整する。
【0038】
ミキサ回路203は、入力クロック信号CK0b及び入力クロック信号CK90bに基づいて、位相調整コードPICODEに対応する位相を有する出力クロック信号CK0a及びCK90aを生成する。具体的には、ミキサ回路203は、位相調整コードPICODEに応じて、入力クロック信号CK0b及びCK90bに対して重みづけ加算を行い、入力クロック信号CK0bの位相と入力クロック信号CK90bの位相との間の位相を有する出力クロック信号CK0aを生成する。また、ミキサ回路203は、位相調整コードPICODEに応じて、入力クロック信号CK90b及びCK0bに対して重みづけ加算を行い、入力クロック信号CK90bの位相と入力クロック信号CK0bの位相との間の位相を有する出力クロック信号CK90aを生成する。以上により、ミキサ回路203は、位相調整コードPICODEに応じて、出力クロック信号CK0a及びCK90aの位相を調整することができる。
【0039】
以上のように、検出回路401を設けることにより、プロセス、電源電圧又は温度のばらつきの影響により、入力クロック信号CK0b及びCK90bの立ち上がり時間又は立ち下がり時間がばらつくのを防止し、ミキサ回路203における位相調整動作の精度を向上させることができる。
【0040】
図5は、図4のバッファ回路201の構成例を示す回路図である。なお、図4のバッファ回路202も、バッファ回路201と同様の構成を有する。以下、バッファ回路201の構成を例に説明する。
【0041】
バッファ回路201は、N個のインバータ回路500を有する。Nビットの制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>は、図4の制御信号SPDCNTに対応する。
【0042】
N個のインバータ回路500の各々は、入力ノード501と、出力ノード502と、インバータ回路503と、pチャネル電界効果トランジスタ504,505と、nチャネル電界効果トランジスタ506,507とを有する。N個のインバータ回路500の入力ノード501は、相互に接続され、参照クロック信号CK0を入力する。N個のインバータ回路500の出力ノード502は、相互に接続され、入力クロック信号CK0bを出力する。インバータ回路503は、制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>のうちのいずれかの信号を論理反転した信号を出力する。
【0043】
pチャネル電界効果トランジスタ504は、ソースが電源電位ノードに接続され、ゲートが入力ノード501に接続され、ドレインがpチャネル電界効果トランジスタ505のソースに接続される。pチャネル電界効果トランジスタ505は、ゲートがインバータ回路503の出力端子に接続され、ドレインが出力ノード502に接続される。
【0044】
nチャネル電界効果トランジスタ506は、ドレインが出力ノード502に接続され、ゲートが制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>のうちのいずれかの信号のノードに接続され、ソースがnチャネル電界効果トランジスタ507のドレインに接続される。nチャネル電界効果トランジスタ507は、ゲートが入力ノード501に接続され、ソースが基準電位ノード(例えば、グランド電位ノード)に接続される。
【0045】
制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>が1である場合には、インバータ回路500は、活性化状態になり、動作可能状態になる。逆に、制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>が0である場合には、インバータ回路500は、非活性化状態になり、動作不可状態になる。
【0046】
バッファ回路201及び202は、それぞれ、Nビットの制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>に基づいて、N個のインバータ回路500の並列接続数を制御する。制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>のうちの1の信号の数が多いほど、インバータ回路500の並列接続数が多くなる。インバータ回路500の並列接続数が多くなるほど、バッファ回路201及び202の駆動能力が上昇し、入力クロック信号CK0b及びCK90bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間が短くなる。
【0047】
以上のように、バッファ回路201及び202は、それぞれ、制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>に基づいて、入力クロック信号CK0b及びCK90bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間を調整することができる。
【0048】
図6は、図4の検出回路401の構成例を示す回路図である。検出回路401は、比較回路601,602と、制御回路603と、nチャネル電界効果トランジスタ604,605と、抵抗606~610と、ダイオード611と、容量612とを有する。
【0049】
nチャネル電界効果トランジスタ604は、ドレインが電源電位ノードに接続され、ゲートが入力クロック信号CK0bのノードに接続され、ソースがダイオード611のアノードに接続される。抵抗606は、ダイオード611のアノードと基準電位ノードとの間に接続される。
【0050】
nチャネル電界効果トランジスタ605は、ドレインがダイオード611のカソードに接続され、ゲートがリセット信号RSTのノードに接続され、ソースが基準電位ノードに接続される。
【0051】
容量612は、ダイオード611のカソードと基準電位ノードとの間に接続される。抵抗607は、ダイオード611のカソードと基準電位ノードとの間に接続される。比較回路601の+入力端子と比較回路602の+入力端子は、ダイオード611のカソードに接続される。
【0052】
抵抗608は、電源電位ノードと比較回路601の-入力端子との間に接続される。抵抗609は、比較回路601の-入力端子と比較回路602の-入力端子との間に接続される。抵抗610は、比較回路602の-入力端子と基準電位ノードとの間に接続される。
【0053】
次に、検出回路401の動作を説明する。nチャネル電界効果トランジスタ604は、ダイオード611を介して、入力クロック信号CK0bの電圧に応じた電荷量を容量612に蓄積する。容量612には、例えば、入力クロック信号CK0bの立ち上がり開始から立ち下がり開始直前まで、入力クロック信号CK0bの電圧を積分した電圧に相当する電圧が保持される。すなわち、容量612の電圧は、入力クロック信号CK0bの立ち上がり開始から立ち下がり開始直前までの電圧波形の面積に相当する電圧である。入力クロック信号CK0bの立ち上がり時間が短いほど、入力クロック信号CK0bの立ち上がり開始から立ち下がり開始直前までの電圧波形の面積が広くなり、容量612の電圧が高くなる。すなわち、容量612の電圧は、入力クロック信号CK0bの立ち上がり時間に相当する電圧であり、検出回路401は、例えば、入力クロック信号CK0bの立ち上がり時間を検出することができる。
【0054】
なお、nチャネル電界効果トランジスタ605は、リセット信号RSTが1になると、オンになり、容量612に蓄積されている電荷(電圧)をリセットする。例えば、リセット信号RSTは、入力クロック信号CK0bの立ち上がり開始に相当するタイミングで0になり、nチャネル電界効果トランジスタ605がオフとなって、容量612の電圧のリセットが解除される。
【0055】
比較回路601の-入力端子には、抵抗609及び610に対応する閾値電圧V1が印加される。比較回路602の-入力端子には、抵抗610に対応する閾値電圧V2が印加される。閾値電圧V2は、閾値電圧V1より低い。
【0056】
比較回路601は、容量612の電圧が閾値電圧V1より高い場合には、1の出力信号OUT<1>を出力し、容量612の電圧が閾値電圧V1より低い場合には、0の出力信号OUT<1>を出力する。
【0057】
比較回路602は、容量612の電圧が閾値電圧V2より高い場合には、1の出力信号OUT<0>を出力し、容量612の電圧が閾値電圧V2より低い場合には、0の出力信号OUT<0>を出力する。
【0058】
制御回路603は、出力信号OUT<0>及びOUT<1>を基に、制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>を生成する。
【0059】
容量612の電圧が閾値電圧V1及び閾値電圧V2より低い場合には、出力信号OUT<0>及びOUT<1>は0になる。これは、入力クロック信号CK0bの立ち上がり時間は、第1の閾値及び第2の閾値より長いことを意味する。その場合、制御回路603は、制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>のうちの1の信号の数が増加するように、制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>を変更する。これにより、バッファ回路201及び202は、入力クロック信号CK0b及びCK90bの立ち上がり時間が短くなるように制御する。
【0060】
容量612の電圧が閾値電圧V1及び閾値電圧V2より高い場合には、出力信号OUT<0>及びOUT<1>は1になる。これは、入力クロック信号CK0bの立ち上がり時間は、第1の閾値及び第2の閾値より短いことを意味する。その場合、制御回路603は、制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>のうちの1の信号の数が減少するように、制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>を変更する。これにより、バッファ回路201及び202は、入力クロック信号CK0b及びCK90bの立ち上がり時間が長くなるように制御する。
【0061】
容量612の電圧が閾値電圧V1より高く閾値電圧V2より低い場合には、出力信号OUT<0>が1になり、出力信号OUT<1>は0になる。これは、入力クロック信号CK0bの立ち上がり時間は、第1の閾値と第2の閾値との間の時間であることを意味する。その場合、制御回路603は、制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>を維持する。これにより、入力クロック信号CK0b及びCK90bの立ち上がり時間は、プロセス、電源電圧又は温度にかかわらず、略一定になる。
【0062】
検出回路401は、例えば、受信回路101の電源投入時のキャリブレーションで動作し、その後、動作を停止し、制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>を固定する。
【0063】
図7は、図6の検出回路401の動作を説明するためのフローチャートである。ステップS701では、制御回路603は、制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>及び変数cntを初期値に設定する。変数cntは、制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>のうちの1の信号の数を表す。
【0064】
次に、ステップS702では、制御回路603は、リセット信号RSTを1にする。すると、nチャネル電界効果トランジスタ605は、オンになり、容量612の電圧を0Vにリセットする。
【0065】
次に、ステップS703では、制御回路603は、リセット信号RSTを0にする。すると、nチャネル電界効果トランジスタ605は、オフになり、容量612の電圧のリセットを解除する。制御回路603は、例えば、参照クロック信号CK0に基づいて動作し、入力クロック信号CK0bの立ち上がり開始に相当するタイミングで、リセット信号RSTを0にして容量612の電圧のリセットを解除する。
【0066】
次に、ステップS704では、制御回路603は、容量612の電圧が安定するまで待機し、容量612の電圧が安定した場合には、ステップS705に進む。制御回路603は、例えば、参照クロック信号CK0に基づいて動作し、入力クロック信号CK0bの立ち下がり開始直前に相当するタイミングまで待機する。
【0067】
ステップS705では、制御回路603は、出力信号OUT<0>及びOUT<1>の値を判定する。出力信号OUT<0>及びOUT<1>が0である場合には、容量612の電圧が閾値電圧V1及び閾値電圧V2より低いので、処理は、ステップS706に進む。出力信号OUT<0>及びOUT<1>が1である場合には、容量612の電圧が閾値電圧V1及び閾値電圧V2より高いので、処理は、ステップS707に進む。
【0068】
ステップS706では、制御回路603は、変数cntをインクリメントし、制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>のうちの1の信号の数が変数cntになるように、制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>を変更し、ステップS702に戻り、上記の処理を繰り返す。変数cntが増加すると、入力クロック信号CK0b及びCK90bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間が短くなり、容量612の電圧が上昇する。
【0069】
ステップS707では、制御回路603は、変数cntをデクリメントし、制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>のうちの1の信号の数が変数cntになるように、制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>を変更し、ステップS702に戻り、上記の処理を繰り返す。変数cntが減少すると、入力クロック信号CK0b及びCK90bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間が長くなり、容量612の電圧が下降する。
【0070】
ステップS705において、出力信号OUT<0>が1であり、出力信号OUT<1>が0である場合には、容量612の電圧が閾値電圧V1より高く閾値電圧V2より低く、適正範囲内であるので、制御回路603は、制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>を固定し、図7のフローチャートの処理を終了する。
【0071】
図7の処理により、入力クロック信号CK0b及びCK90bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間は、プロセス、電源電圧又は温度にかかわらず、略一定になる。
【0072】
図8は、本実施形態による位相補間回路112の他の構成例を示す図である。図8の位相補間回路112は、図4の位相補間回路112に対して、ダミー負荷回路901を追加したものである。以下、図8の位相補間回路112が図4の位相補間回路112と異なる点を説明する。
【0073】
図4の位相補間回路112では、バッファ回路201の出力端子には、検出回路401が接続され、バッファ回路202の出力端子には、検出回路が接続されていない。そのため、バッファ回路201の出力負荷とバッファ回路202の出力負荷との重さが異なる。そのため、バッファ回路201が出力する入力クロック信号CK0bの立ち上がり時間と、バッファ回路202が出力する入力クロック信号CK90bの立ち上がり時間との差が所定値以上になってしまうことがある。
【0074】
入力クロック信号CK0bの立ち上がり時間と、入力クロック信号CK90bの立ち上がり時間との差は、所定値未満であることが好ましい。図8の位相補間回路112では、入力クロック信号CK0bの立ち上がり時間と、入力クロック信号CK90bの立ち上がり時間との差は、所定値未満にすることできる。
【0075】
図8の位相補間回路112は、バッファ回路201と、バッファ回路202と、ミキサ回路203と、検出回路401と、ダミー負荷回路901とを有する。ダミー負荷回路901は、検出回路401のダミー回路であり、図6の検出回路401と同じ構成を有する。ダミー負荷回路901では、nチャネル電界効果トランジスタ604のゲートがバッファ回路202の出力端子(入力クロック信号CK90bのノード)に接続され、制御回路603の出力端子がバッファ回路201及び202の制御信号SPDCNTの端子に接続されない。
【0076】
検出回路401では、図4と同様に、nチャネル電界効果トランジスタ604のゲートがバッファ回路201の出力端子(入力クロック信号CK0bのノード)に接続され、制御回路603の出力端子がバッファ回路201及び202の制御信号SPDCNTの端子に接続される。
【0077】
図8の位相補間回路112では、バッファ回路201の出力端子には、検出回路401が接続され、バッファ回路202の出力端子には、ダミー負荷回路901が接続されている。そのため、バッファ回路201の出力負荷とバッファ回路202の出力負荷との重さが同じである。そのため、バッファ回路201が出力する入力クロック信号CK0bの立ち上がり時間と、バッファ回路202が出力する入力クロック信号CK90bの立ち上がり時間とが略同じになる。
【0078】
図9は、図8のダミー負荷回路901の他の構成例を示す図である。ダミー負荷回路901は、図6の検出回路401に対し、抵抗608~610と、比較回路601,602と、制御回路603とを削除したものである。ダミー負荷回路901は、検出回路401と同等の負荷を有するダミー回路であり、nチャネル電界効果トランジスタ604,605と、抵抗606,607と、ダイオード611と、容量612とを有する。ダミー負荷回路901は、検出回路401と同等の負荷を有する回路であるので、バッファ回路201が出力する入力クロック信号CK0bの立ち上がり時間と、バッファ回路202が出力する入力クロック信号CK90bの立ち上がり時間とが略同じになる。
【0079】
図10は、本実施形態による位相補間回路112のさらに他の構成例を示す図である。図10の位相補間回路112は、図4の位相補間回路112に対して、検出回路1001を追加したものである。以下、図10の位相補間回路112が図4の位相補間回路112と異なる点を説明する。
【0080】
検出回路401は、入力クロック信号CK0bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を検出し、検出結果に応じて制御信号SPDCNTを生成し、制御信号SPDCNTをバッファ回路201にのみ出力し、バッファ回路202に出力しない。バッファ回路201は、検出回路401が出力する制御信号SPDCNTに基づいて、参照クロック信号CK0の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を調整することにより、入力クロック信号CK0bを生成する。
【0081】
検出回路1001は、図6の検出回路401と同じ構成を有する。検出回路1001は、入力クロック信号CK90bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を検出し、検出結果に応じて制御信号SPDCNTを生成し、制御信号SPDCNTをバッファ回路202に出力する。バッファ回路202は、検出回路1001が出力する制御信号SPDCNTに基づいて、参照クロック信号CK90の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の少なくとも一方を調整することにより、入力クロック信号CK90bを生成する。
【0082】
バッファ回路201の出力端子には、検出回路401が接続され、バッファ回路202の出力端子には、検出回路1001が接続されている。そのため、バッファ回路201の出力負荷とバッファ回路202の出力負荷との重さが同じである。そのため、バッファ回路201が出力する入力クロック信号CK0bの立ち上がり時間と、バッファ回路202が出力する入力クロック信号CK90bの立ち上がり時間とが略同じになる。
【0083】
図11は、本実施形態によるバッファ回路201の他の構成例を示す図である。バッファ回路202もバッファ回路201と同様の構成を有する。バッファ回路201及び202は、それぞれ、電流モードロジックバッファ回路(CMLバッファ回路)である。以下、バッファ回路201の構成を例に説明する。
【0084】
バッファ回路201は、抵抗1101,1102と、nチャネル電界効果トランジスタ1103~1105と、差動入力端子INp,INnと、差動出力端子OUTp,OUTnとを有する。
【0085】
差動入力端子INp及びINnは、図4の参照クロック信号CK0の差動信号を入力する。差動出力端子OUTp及びOUTnは、図4の入力クロック信号CK0bの差動信号を出力する。nチャネル電界効果トランジスタ1105は、電流源である。nチャネル電界効果トランジスタ1103及び1104は、差動入力対である。
【0086】
抵抗1101は、電源電位ノードと差動出力端子OUTnとの間に接続される。nチャネル電界効果トランジスタ1103は、ドレインが差動出力端子OUTnに接続され、ゲートが差動入力端子INpに接続され、ソースがnチャネル電界効果トランジスタ1105のドレインに接続される。
【0087】
抵抗1102は、電源電位ノードと差動出力端子OUTpとの間に接続される。nチャネル電界効果トランジスタ1104は、ドレインが差動出力端子OUTpに接続され、ゲートが差動入力端子INnに接続され、ソースがnチャネル電界効果トランジスタ1105のドレインに接続される。
【0088】
nチャネル電界効果トランジスタ1105は、電流源であり、ゲートがバイアス電圧のノードに接続され、ソースが基準電位ノードに接続される。
【0089】
図5のバッファ回路201の例と同様に、図11のバッファ回路201において、Nビットの制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<0>~SPDCNT<N>は、複数ビットからなるデジタル信号である。抵抗1101と抵抗1102は、それぞれ、固定抵抗と、ゲートが制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>のうちのいずれかの信号のノードと接続されたトランジスタの組が複数並列に接続されることで構成される。nチャネル電界効果トランジスタ1105は、ゲートが一定のバイアス電圧に固定されたトランジスタと、ゲートが制御信号SPDCNT<0>~SPDCNT<N>のうちのいずれかの信号のノードと接続されたトランジスタの組が複数並列に接続されることで構成される。そして、制御信号SPDCNTSPDCNT<0>~SPDCNT<N>によって、抵抗1101の固定抵抗の並列接続数と、抵抗1102の固定抵抗の並列接続数と、nチャネル電界効果トランジスタ1105のバイアス電圧に固定されたトランジスタの並列接続数とを制御することで、出力電圧のレベルを一定に保ちながら、駆動電流を制御する。nチャネル電界効果トランジスタ1105のバイアス電圧に固定されたトランジスタの並列接続数が多くなるほど、バッファ回路201及び202の駆動能力が上昇し、入力クロック信号CK0b及びCK90bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間が短くなる。
【0090】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
プロセス、電源電圧又は温度のばらつきの影響により、ミキサ回路の入力クロック信号の立ち上がり時間又は立ち下がり時間がばらつくのを防止し、ミキサ回路における位相調整動作の精度を向上させることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11