(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】液体塗布装置
(51)【国際特許分類】
B05C 1/02 20060101AFI20250110BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20250110BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
B05C1/02 101
B05C11/00
B05C11/10
(21)【出願番号】P 2022568122
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(86)【国際出願番号】 JP2021041290
(87)【国際公開番号】W WO2022123987
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2024-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2020204145
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000132404
【氏名又は名称】株式会社スリーボンド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】内野 良平
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-310266(JP,A)
【文献】特開2009-291735(JP,A)
【文献】特開2018-34105(JP,A)
【文献】特開2018-34074(JP,A)
【文献】特開2011-110524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/02
B05C 11/00
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状材料を貯留する貯留空間を設けたタンクと、
前記貯留空間に貯留された前記液状材料を付着可能であって、前記貯留空間と前記貯留空間の外部とを移動可能な先端部を備え、前記液状材料を対象物の表面に塗布する塗布針と、
直線的に移動可能な可動部と、前記可動部の移動可能な長さよりも長い固定部と、を備え、前記塗布針を移動させる駆動力を付与するリニアモータと、
前記可動部に対して重力方向における上向きの力を付与し、前記可動部を保持するエアシリンダーと、を有する液体塗布装置。
【請求項2】
前記エアシリンダーは、作動流体を収容可能な収容空間を設けたシリンダー部材と、少なくとも一部が前記収容空間から露出した状態において前記シリンダー部材に対して移動可能なロッド部材と、を備え、
前記ロッド部材には、前記リニアモータにおける前記可動部と接続される接続部が設けられる請求項1に記載の液体塗布装置。
【請求項3】
前記ロッド部材は、前記接続部を前記シリンダー部材に対して前記重力方向における上側に配置している請求項2に記載の液体塗布装置。
【請求項4】
前記可動部は、電力の供給により前記塗布針に前記駆動力を付与し、
前記ロッド部材は、前記リニアモータの前記可動部に対する電力の供給を中断した際にも前記可動部を保持する請求項2に記載の液体塗布装置。
【請求項5】
前記タンクは、前記塗布針の前記先端部を前記貯留空間から移動可能に突出させる開口部を備え、
前記塗布針は、前記タンクの前記貯留空間において前記塗布針の前記先端部に前記液状材料を付着させた状態において前記開口部を通じて前記貯留空間から前記貯留空間の外部に配置可能である請求項1~4のいずれか1項に記載の液体塗布装置。
【請求項6】
前記塗布針は、前記先端部に向かうにつれて径方向の寸法が段階的に小さくなる段付き形状を備える請求項5に記載の液体塗布装置。
【請求項7】
前記可動部は、前記固定部を挿通させる挿通部を備え、
前記固定部は、前記可動部の前記挿通部を挿通可能な棒状部材を含む請求項1~6のいずれか1項に記載の液体塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液状材料を塗布する方法の一つに塗布針を用いた方法がある。この方法では、塗布針の先端に液状材料を付着させて対象物への塗布を行う。塗布針を用いた従来の技術には直線移動する可動部と、可動部を案内する固定部とを含むリニアモータによって塗布針での塗布動作を行うものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
特許文献1ではリニアモータの可動部を吊り下げて支持する支持部を設けている。支持部は可動部を吊り下げるバネ部材等の弾性部を備えている。本発明者は、特許文献1のような塗布装置においてリニアモータの可動部を加減速させた際に可動部が加減速に良好に追従させる事項について鋭意検討している。
【0005】
そこで本発明は、塗布針を用いた液状材料等の塗布において塗布針を移動させる機構が加減速に対応しやすい液体塗布装置を提供することを目的とする。
【0006】
上記課題を解決する本発明の一態様は液体塗布装置である。当該液体塗布装置は、タンクと、塗布針と、リニアモータと、エアシリンダーと、を有する。タンクは、液状材料を貯留する貯留空間を設けている。塗布針は、貯留空間に貯留された液状材料を付着可能であって、貯留空間と貯留空間の外部とを移動可能な先端部を備え、液状材料を対象物の表面に塗布する。リニアモータは、直線的に移動可能な可動部と、可動部の移動可能な長さよりも長い固定部と、を備え、塗布針を移動させる駆動力を付与する。エアシリンダーは、可動部に対して重力方向における上向きの力を付与し、可動部を保持する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係る液体塗布装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1に係る液体塗布装置を構成するカバー部材を表示しない状態において液体塗布装置の内部と他の機器との接続を示す図である。
【
図3】液体塗布装置を構成するリニアモータやエアシリンダー等を示す斜視図である。
【
図4】液体塗布装置を構成するタンクと塗布針を示す斜視図である。
【
図5】液体塗布装置を構成するタンクと塗布針を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ここで示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために例示するものであって、本発明を限定するものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者などにより考え得る実施可能な他の形態、実施例および運用技術などは全て本発明の範囲、要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0009】
さらに、本明細書に添付する図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状などについて、実物から変更し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0010】
また、以下の説明において、「第1」、「第2」のような序数詞を付して説明するが、特に言及しない限り、便宜上用いるものであって何らかの順序を規定するものではない。
【0011】
なお、以下では図面を用いた説明にあたり、図面に直交座標系と円筒座標系とを図示する。直交座標系のXは後述するリニアモータ20の可動部21が移動する方向と交差する方向であり、便宜上、奥行方向Xと称する。Yはリニアモータ20の可動部21が移動する方向と奥行方向Xに交差する方向であり、幅方向Yと称する。
【0012】
Zは、装置の高さ方向であり、リニアモータ20の可動部21が移動する方向に相当し、高さ方向Zと称する。円筒座標系のrは、リニアモータ20の固定部22の円筒形状における径方向又は放射方向に相当し、径方向rと称する。θはリニアモータ20の固定部22の周方向又は角度方向に相当し、周方向θと称する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る液体塗布装置100を示す斜視図である。
図2は液体塗布装置100を構成するカバー部材13を表示しない状態における液体塗布装置100の内部を示す正面図である。
【0014】
図3は液体塗布装置100を構成するリニアモータ20およびエアシリンダー30等を示す斜視図である。
図4は液体塗布装置100を構成するタンク40と塗布針50を示す斜視図である。
図5は液体塗布装置100を構成するタンク40と塗布針50を示す断面図である。
【0015】
本実施形態に係る液体塗布装置100は、例えばシール剤や接着剤などを供給する際に使用される。前記のシール剤や接着剤とは、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂などの硬化性樹脂を含む組成物などが挙げられる。また、前記のシール剤や接着剤は有機溶剤、充填剤などを含んでもよい。
【0016】
また、液状材料のチクソ比は、1.0~5の範囲が好ましく、さらに好ましくは1.5~5の範囲であり、特に好ましくは1.7~4の範囲である。
【0017】
なお、チクソ比とは、接着剤やシール剤の流れ易さを表す特性値であり、レオメーターを用いてせん断速度が1(1/s)の時の粘度をせん断速度が10(1/s)の時の粘度で除した比率で定義される。
【0018】
液体塗布装置100は、
図1~
図5に示すように筐体10と、リニアモータ20と、エアシリンダー30と、タンク40と、塗布針50と、ケーブル被覆部60と、コネクタ70と、エンコーダ80と、ホールセンサ90と、を有する。以下、詳述する。
【0019】
(筐体)
筐体10は、リニアモータ20やエアシリンダー30等の内蔵部品を収容する。筐体10は、
図1、
図2に示すようにベース11、12と、カバー部材13、14、15と、を備える。
【0020】
ベース11は、液体塗布装置100の高さ方向Zにおける下部に配置している。ベース11は、リニアモータ20の固定部22およびタンク40を設置可能に構成するとともに、塗布針50を挿通可能にする穴部(図示省略)を設けるように構成している。ベース11は、本実施形態において平面視した際に略矩形状の直方体(四角柱)を複数組み合わせた形状として構成している。
【0021】
ただし、固定部22およびタンク40を設置できれば、具体的な形状は上記に限定されない。ベース11の形状は上記以外にも四角柱以外の他の多角柱、または円柱等によって構成してもよい。また、ベースは、固定部22を設置する部位とタンク40を設置する部位を別部材で構成し、両者をボルト等で連結(接続)してもよい。
【0022】
ベース12は、液体塗布装置100の高さ方向Zにおける上部に配置している。ベース12は、リニアモータ20を構成する固定部22の棒状部材を取り付け可能に構成している。ベース12は、平面視した際に略矩形状の四角柱に構成している。ただし、リニアモータ20、エアシリンダー30、およびタンク40等を部分的に包囲できれば、ベース12の形状は四角柱に限定されず、他の多角柱、または円柱等によって構成してもよい。
【0023】
カバー部材13は、ベース11とベース12の間において液体塗布装置100の周方向θにおいて内蔵部品を少なくとも部分的に包囲する。ベース11、12は上記のように高さ方向Zから平面視した際に略矩形状に構成しており、液体塗布装置100の側面は4つ設けられる。カバー部材13は、
図1に示すように液体塗布装置100の4つの側面の中で隣り合う側面13a、13bを包囲するように構成している。
【0024】
カバー部材14、15は、カバー部材13とともに液体塗布装置100の周方向θにおいて内蔵部品を部分的に包囲する。カバー部材14は、本実施形態において
図1に示すようにカバー部材13の側面13aに隣り合うように構成している。カバー部材14には、コネクタ70を設置している。カバー部材15は、カバー部材14とカバー部材13の側面13bに隣り合うように構成している。
【0025】
カバー部材は、本実施形態においてカバー部材13、14、15の3つの部材から構成している。ただし、リニアモータ20やエアシリンダー30等の内蔵部品を包囲できれば、カバー部材の枚数や形状は、上記に限定されない。例えば、カバー部材13をカバー部材14、15と同様に2枚の板材から構成し、両者を他のカバー部材とボルト等で連結するように構成してもよい。
【0026】
(リニアモータ)
リニアモータ20は、回転軸のない電気モーターを含み、直線的な運動を行うことで塗布針50を移動させる駆動力を付与するように構成している。リニアモータ20は、
図2等に示すように可動部21と固定部22と、を備える。
【0027】
可動部21は、直線的に移動可能に構成している。可動部21は、本実施形態においてタンク40における貯留空間Sと貯留空間Sの外部に塗布針50を移動させる駆動力を付与する。可動部21は、
図3に示すように本実施形態において略四角柱(外側形状)に穴部(内側形状)に相当する挿通部23を設けている。挿通部23は、固定部22を挿通可能に構成している。可動部21は、本実施形態において固定部22に対して径方向rの外方に配置している。
【0028】
固定部22は、可動部21の高さ方向Zにおける移動可能な長さよりも長くなるように構成している。固定部22は、可動部21の挿通部23を挿通可能な略円柱形状の棒状部材を備えるように構成している。ただし、固定部に対して可動部を移動可能にできれば、固定部の具体的な形状は円柱形状に限定されず、四角柱のような多角柱、またはその他の柱体等によって構成してもよい。
【0029】
可動部21は、電力の供給により塗布針50に駆動力を付与するように構成している。可動部21は、
図3に示すように連結部材C1と奥行方向Xにおいて一体に連結するように構成している。連結部材C1は、可動部21の移動に合わせて高さ方向Zに移動可能に構成している。
【0030】
連結部材C1には高さ方向Zにおいて移動部材C2と連結するように構成している。連結部材C1および移動部材C2は、本実施形態において奥行方向Xにおいてリニアモータ20の可動部21および固定部22と並ぶように配置している。
【0031】
移動部材C2は、可動部21の移動に合わせて連結部材C1とともに高さ方向Zに移動可能に構成している。移動部材C2は、直接または間接的に後述する塗布針50を連結するように構成している。ここで、移動部材C2が直接または間接的に塗布針50と連結されるとは、塗布針50が移動部材C2と他の部材を介さずに連結されるか、他の部材を介して連結されることを意味する。
【0032】
(エアシリンダー)
エアシリンダー30は、リニアモータ20の可動部21に対して重力方向(高さ方向Z)における上向きの力を付与し、可動部21を保持する。エアシリンダー30は、本実施形態においてリニアモータ20の可動部21および固定部22と奥行方向Xおよび幅方向Yにおいて離間して配置している。
【0033】
エアシリンダー30は、
図2、
図3に示すようにエアシリンダー部材31と、ロッド部材32と、を備える。
【0034】
エアシリンダー部材31は、空気等の作動流体を収容可能な収容空間を設けるように構成している。エアシリンダー部材31には、後述する第1コネクタ71において概略的に示すコンプレッサCmと接続されて作動流体が供給される。エアシリンダー部材31への作動流体は、液体塗布装置100の電源のオン・オフに関係なく、常時供給される。
【0035】
供給される作動流体は、
図2の矢印に示すように、コネクタ70の第1コネクタ71からカバー部材14やベース11等の内部空間またはその周囲に設置した配管等を通じてエアシリンダー部材31の下部に供給される。
【0036】
ただし、上述した流体の流通経路はあくまで一例であって、エアシリンダー30のロッド部材32を高さ方向Zに上下移動させることができれば、エアシリンダー部材31に供給される流体の具体的な流通経路は上記に限定されない。
【0037】
エアシリンダー部材31に供給される作動流体(作動圧)は、概略的に示すレギュレータrgによって一定圧に調整される。エアシリンダー部材31は、
図3に示すように本実施形態においてブラケットP1によってカバー部材15に固定するように構成している。
【0038】
ロッド部材32は、少なくとも一部がエアシリンダー部材31の収容空間から露出した状態においてエアシリンダー部材31に対して移動可能に構成している。ロッド部材32は、エアシリンダー部材31に供給される作動流体の圧力に応じて高さ方向Zの位置を調整できるように構成している。
【0039】
ロッド部材32は、
図3に示すようにブラケットP2によって可動部21に連結された連結部材C1に連結するように構成している。本明細書ではロッド部材32がリニアモータ20の可動部21に連結された連結部材C1と接続される部位を接続部Cpと呼ぶ。
【0040】
ロッド部材32は、
図3に示すように接続部Cpをエアシリンダー部材31に対して高さ方向Zにおける上側に配置するように構成している。また、ロッド部材32は、リニアモータ20の可動部21に対する電力の供給を中断した際にも可動部21を保持するように構成している。
【0041】
(タンク)
タンク40は、液状材料を貯留する貯留空間Sを設けるように構成している。タンク40は、
図5に示すように取り付け部41と、凹部42と、開口部43と、を備える。
【0042】
取り付け部41は、タンク40を筐体10のベース11に取り付ける部位として、タンク40の高さ方向Zにおける上部に設けている。取り付け部41は、ベース11に対して篏合させたり、差し込んだ後にボルト等によりベース11と締結したりすることができる。
【0043】
凹部42は、液状材料を貯留する貯留空間Sを形成するように構成している。凹部42の下部にはテーパー部42aを設けることによって、貯留空間Sに貯留した液状材料を開口部43から塗布針50を用いて貯留空間Sの外部に移動させた際に貯留空間Sに液状材料が残ることを防止または抑制する。テーパー部42aは、開口部43に向けて傾斜するように構成している。
【0044】
開口部43は、タンク40の下部に設けている。塗布針50の開口部43を通過する部位(先端部51)の寸法は開口部43より若干小さくすることによって、貯留空間Sと貯留空間Sの外部とで塗布針50の先端部51を移動可能に構成している。
【0045】
(塗布針)
塗布針50は、
図5に示すように先端部51と、中間部52と、基部側部分53と、を備える。
【0046】
先端部51は、タンク40の貯留空間Sに貯留された液状材料を付着可能に構成している。塗布針50は、リニアモータ20の可動部21と接続されることで高さ方向Zに移動可能に構成している。これによって、塗布針50は、
図4に示すようにタンク40の貯留空間Sで塗布針50の先端部51に液状材料を付着させた状態において開口部43を通じて貯留空間Sから貯留空間Sの外部に配置可能に構成している。
【0047】
中間部52は、高さ方向Zにおいて先端部51と、基部側部分53との間に設けている。基部側部分53は、移動部材C2に直接または間接的に接続され、移動部材C2は連結部材C1と接続され、連結部材C1はエアシリンダー30のロッド部材32と接続される。このように構成することによって、塗布針50は、エアシリンダー30のロッド部材32の動作に連動することができる。
【0048】
塗布針50は、先端部51に向かうにつれて径方向r等の移動方向に交差する部位の寸法が段階的に小さくなる段付き形状を備えるように構成している。塗布針50は、本実施形態において
図4、
図5に示す先端部51、中間部52、および基部側部分53のように径の大きさが異なる複数の円筒を組み合わせた形状を備えるように構成している。このように構成することによって、タンク40の貯留空間Sから取得した液状材料を周囲の液状材料から分離しやすくすることができる。
【0049】
ただし、タンクの貯留空間に貯留した液状材料を付着させて、対象物に塗布できれば、塗布針の具体的な形状は上記形状に限定されない。塗布針の形状は、上記以外にも例えば先端形状にテーパーを備えるように構成してもよい。
【0050】
(ケーブル被覆部)
ケーブル被覆部60は、ホールセンサ90に電力を供給するケーブルと、エアシリンダー30の可動部21に電力を供給するケーブルを被覆するように構成している。
【0051】
(コネクタ)
コネクタ70は、
図1に示すように第1コネクタ71と、第2コネクタ72と、第3コネクタ73と、を備える。
【0052】
第1コネクタ71は、エアシリンダー30のエアシリンダー部材31の収容空間に作動流体を供給する配管等と接続することができる。第2コネクタ72は、ホールセンサ90に電力を供給するケーブルと接続することができる。第3コネクタ73は、リニアモータ20の可動部21に電力を供給するケーブルと接続することができる。
【0053】
(エンコーダ)
エンコーダ80は、リニアモータ20の可動部21の位置を検出する。エンコーダ80は、
図2に示すようにヘッド81と、パターン82と、を有する。
【0054】
ヘッド81は、可動部21の位置を検出する光等を受信可能に構成している。パターン82には、凹凸、スリット、穴部等のいずれかの形状を設けることができる。可動部21の位置は、ヘッド81にて受信した光等がパターン82の位置に応じて変化することによって検出できる。
【0055】
ヘッド81は、本実施形態において固定部22に設け、パターン82は可動部21に設けるように構成している。ただし、可動部21の位置を検出できれば、ヘッド81を可動部21に設け、パターン82を固定部22に設けるように構成してもよい。
【0056】
(ホールセンサ)
ホールセンサ90は、液体塗布装置100の電源起動時におけるリニアモータ20の可動部21の位置を検出する。ホールセンサ90は、本実施形態において
図2に示すように可動部21に設置するように構成している。
【0057】
なお、可動部21が上死点および下死点のように高さ方向Zにおいて設定した位置を超えることをフォトセンサ等のセンサによって検出してもよい。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係る液体塗布装置100は、タンク40と、塗布針50と、リニアモータ20と、エアシリンダー30と、を有する。タンク40は、液状材料を貯留する貯留空間Sを設けるように構成している。
【0059】
塗布針50は、貯留空間Sに貯留された液状材料を付着可能であって、貯留空間Sと貯留空間Sの外部とを移動可能な先端部51を備え、液状材料を対象物の表面に塗布するように構成している。
【0060】
リニアモータ20は、直線的に移動可能な可動部21と、可動部21の移動可能な長さよりも長い固定部22と、を備え、塗布針50を移動させる駆動力を付与する。エアシリンダー30は、可動部21に対して重力方向における上向きの力を付与し、可動部21を保持するように構成している。
【0061】
このように構成することによって、エアシリンダー30がリニアモータ20の可動部21の重量を相殺し、リニアモータ20の位置決め精度が低くなることを抑制して急な加減速に対応しやすくすることができる。
【0062】
また、エアシリンダー30は、エアシリンダー部材31と、ロッド部材32と、を備える。エアシリンダー部材31は、作動流体を収容可能な収容空間を設けるように構成している。ロッド部材32は、少なくとも一部が収容空間から露出した状態においてエアシリンダー部材31に対して移動可能に構成している。
【0063】
ロッド部材32には、リニアモータ20における可動部21と接続される接続部Cpを設けるように構成している。このように構成することによって、エアシリンダー30を用いてリニアモータ20の可動部21を保持し、リニアモータ20が急な加減速をした際の位置決め精度が低下することを抑制することができる。
【0064】
また、ロッド部材32は、接続部Cpをエアシリンダー部材31に対して重力方向における上側に配置するように構成している。このように構成することによって、リニアモータ20の可動部21を加減速させた際に可動部21が自重によって必要以上に下方に移動することを抑制することができる。
【0065】
また、可動部21は電力の供給により塗布針50に駆動力を供給する。ロッド部材32は、リニアモータ20の可動部21に対する電力の供給を中断した際にも可動部21を保持するように構成している。このように構成することによって、リニアモータ20の可動部21に対する電力が意図せず遮断された場合でもリニアモータ20の可動部21が意図に反して急に落下すること等を防止することができる。
【0066】
また、タンク40は、塗布針50の先端部51を貯留空間Sから移動可能に突出する開口部43を備える。塗布針50は、タンク40の貯留空間Sにおいて塗布針50の先端部51に液状材料を付着させた状態において開口部43を通じて貯留空間Sから貯留空間Sの外部に配置可能に構成している。
【0067】
そのため、リニアモータ20の可動部21によって塗布針50を開口部43から貯留空間Sの外部に移動させて液状材料を対象物の表面に塗布することができる。
【0068】
また、塗布針50は、基部側部分53、中間部52、および先端部51のように先端部51に向かうにつれて径方向rの寸法が段階的に小さくなる段付き形状を備えるように構成している。このように構成することによって、タンク40において付着させた液状材料をタンク40における周囲の液状材料から分離しやすくすることができる。
【0069】
また、可動部21は、固定部22を挿通させる挿通部23を備え、固定部22は可動部21の挿通部23を挿通可能な棒状部材を含むように構成している。このように構成することによって、可動部21を高さ方向Zに移動させ、可動部21に連動する塗布針50に液状材料を付着させ、対象物に塗布する動作を可能にできる。
【0070】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。上記ではリニアモータ20の可動部21が円柱形状の固定部22を移動できるように円形の挿通部23を設けると説明した。ただし、固定部22に対して可動部21が直線的に移動できれば、可動部と固定部の形状は上記に限定されない。上記以外にも挿通部の形状は多角形等の円形以外の形状であってもよい。また、上記以外にも可動部と固定部を板状に構成し、可動部と固定部を一定のクリアランスをとるように平行に配置してもよい。
【0071】
本出願は、2020年12月9日に出願された日本特許出願番号2020-204145号に基づき、その開示内容は参照により全体として組み込まれている。
【符号の説明】
【0072】
20 リニアモータ、
21 可動部、
23 挿通部、
22 固定部、
30 エアシリンダー
31 シリンダー部材、
32 ロッド部材、
40 タンク、
43 開口部、
50 塗布針、
Cp 接続部、
S 貯留空間、
Z 高さ方向(重力方向)。