(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】ノートブック型コンピュータ、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/08 20060101AFI20250110BHJP
G06F 3/038 20130101ALI20250110BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20250110BHJP
G09G 5/37 20060101ALI20250110BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
G09G5/08 N
G06F3/038 350D
G09G5/00 510V
G09G5/37 310
G09G5/38 100
(21)【出願番号】P 2024005576
(22)【出願日】2024-01-17
【審査請求日】2024-01-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 裕行
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-033116(JP,A)
【文献】特開2015-069388(JP,A)
【文献】特開2015-095085(JP,A)
【文献】国際公開第2008/084798(WO,A1)
【文献】特開2002-132385(JP,A)
【文献】特開平07-191788(JP,A)
【文献】米国特許第10176556(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/08
G06F 3/038
G09G 5/00
G09G 5/37
G09G 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画面を表示するディスプレイと、
第2画面を表示する外部ディスプレイ
であって、前記外部ディスプレイにおける前記第2画面の回転方向とは逆の方向に前記外部ディスプレイの筐体を回転可能である前記外部ディスプレイに接続可能な接続部と、
前記接続部を介して前記外部ディスプレイが接続されているか否かを判定し、前記接続部を介して前記外部ディスプレイが接続されている場合に、前記第1画面または前記第2画面の回転に応じた、前記第1画面または前記第2画面に含まれるカーソルの移動方向の補正であって、前記カーソルを移動させるための、ポインティングデバイスによるユーザの操作入力に対して行われる前記補正を無効にする処理部と、
を有するノートブック型コンピュータ。
【請求項2】
前記処理部は、前記接続部を介して前記外部ディスプレイが接続されているか否かの判定では、更に、前記接続部を介して接続されている前記外部ディスプレイに前記第2画面が表示されているか否かを判定し、前記接続部を介して前記外部ディスプレイが接続されており、かつ、前記外部ディスプレイに前記第2画面が表示されている場合に前記補正を無効にする、
請求項1記載のノートブック型コンピュータ。
【請求項3】
前記処理部は、前記接続部を介して前記外部ディスプレイが接続されているか否かの判定では、更に、前記接続部を介して接続されている前記外部ディスプレイに前記第2画面が表示されており、かつ、前記カーソルが前記第2画面にあるか否かを判定し、前記接続部を介して前記外部ディスプレイが接続されており、前記外部ディスプレイに前記第2画面が表示されており、かつ、前記カーソルが前記第2画面にある場合に前記補正を無効にする、
請求項1記載のノートブック型コンピュータ。
【請求項4】
前記処理部は、
前記第1画面の回転なしの状態において前記第1画面のうちの第1の端を、前記第2画面の第2の端と隣接する隣接端とし、
前記第1画面の回転に応じて、前記第1画面のうちの第3の端を前記隣接端に変更し、前記第1の端から前記第1画面の外部への前記カーソルの移動を禁止し、前記ユーザの前記操作入力により前記第3の端に前記カーソルが来ると前記カーソルを前記第2の端に移動し、前記ユーザの前記操作入力により前記第2の端に前記カーソルが来ると前記カーソルを前記第3の端に移動する、
請求項3記載のノートブック型コンピュータ。
【請求項5】
第1画面を表示するディスプレイを備えるコンピュータが、
前記コンピュータの接続部を介して
、第2画面を表示する外部ディスプレイであって、前記外部ディスプレイにおける前記第2画面の回転方向とは逆の方向に前記外部ディスプレイの筐体を回転可能である前記外部ディスプレイが接続されているか否かを判定し、
前記接続部を介して前記外部ディスプレイが接続されている場合に、前記第1画面または前
記第2画面の回転に応じた、前記第1画面または前記第2画面に含まれるカーソルの移動方向の補正であって、前記カーソルを移動させるための、ポインティングデバイスによるユーザの操作入力に対して行われる前記補正を無効にする、
制御方法。
【請求項6】
第1画面を表示するディスプレイを備えるコンピュータに、
前記コンピュータの接続部を介して
、第2画面を表示する外部ディスプレイであって、前記外部ディスプレイにおける前記第2画面の回転方向とは逆の方向に前記外部ディスプレイの筐体を回転可能である前記外部ディスプレイが接続されているか否かを判定し、
前記接続部を介して前記外部ディスプレイが接続されている場合に、前記第1画面または前
記第2画面の回転に応じた、前記第1画面または前記第2画面に含まれるカーソルの移動方向の補正であって、前記カーソルを移動させるための、ポインティングデバイスによるユーザの操作入力に対して行われる前記補正を無効にする、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はノートブック型コンピュータ、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイおよびキーボードを備えたノートブック型コンピュータが利用されている。ノートブック型コンピュータは、ノートPC(Personal Computer)や、ラップトップPCなどとも言われる。ノートブック型コンピュータには、タブレットに変形可能な、いわゆる2in1タイプのものがある。また、ノートブック型コンピュータには、キーボードを着脱可能なものもある。
【0003】
ここで、コンピュータに接続されるディスプレイ上の画面は、ユーザの操作入力に応じて回転させることが可能である。例えば、画面上の第1表示領域内に、追加情報を入力可能な第2表示領域を、第1表示領域を基準に所定角度傾けて表示する情報処理装置の提案がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ディスプレイ上の画面には、ポインティングデバイスによって操作可能なカーソルが表示される。コンピュータは、画面の回転に応じて、ポインティングデバイスへのユーザの操作方向に対し、カーソルの移動方向を補正する機能を有することがある。例えば、画面の回転が、画面中心の画面と垂直な軸の回りに180°回転される場合、ポインティングデバイスの操作方向に対してカーソルの移動方向も180°回転した方向に補正される。
【0006】
ところで、ノートブック型コンピュータ本体に外付けの外部ディスプレイが接続され、ノートブック型コンピュータ本体のディスプレイと併用されることがある。外部ディスプレイは、机上などに設置され、外部ディスプレイのスタンドに支持されるディスプレイパネル筐体自体を回転させて使用され得る。その場合、パネル筐体の回転に合わせて、画面の回転も回転される。このとき、画面の回転に合わせて、カーソルの移動方向の補正が行われると、ポインティングデバイスへのユーザの操作方向とは異なる方向にカーソルが移動されてしまい、ユーザによるカーソルの移動操作が難しくなることがある。
【0007】
1つの側面では、本発明は、ユーザの操作に対してカーソル移動を適切に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様では、ノートブック型コンピュータが提供される。ノートブック型コンピュータは、ディスプレイと接続部と処理部とを有する。ディスプレイは、第1画面を表示する。接続部は、第2画面を表示する外部ディスプレイであって、外部ディスプレイにおける第2画面の回転方向とは逆の方向に外部ディスプレイの筐体を回転可能である外部ディスプレイに接続可能である。処理部は、接続部を介して外部ディスプレイが接続されているか否かを判定し、接続部を介して外部ディスプレイが接続されている場合に、第1画面または第2画面の回転に応じた、第1画面または第2画面に含まれるカーソルの移動方向の補正であって、カーソルを移動させるための、ポインティングデバイスによるユーザの操作入力に対して行われる当該補正を無効にする。
【0009】
また、1つの態様では、コンピュータが実行する制御方法が提供される。また、1つの態様では、コンピュータによって実行されるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
1つの側面では、ユーザの操作に対してカーソル移動を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施の形態のノートブック型コンピュータを説明する図である。
【
図2】第2の実施の形態のノートPCのハードウェア例を示す図である。
【
図4】画面回転角0°の場合の表示例を示す図である。
【
図8】カーソル移動方向補正の第1の制御例を示すフローチャートである。
【
図9】カーソル移動方向補正の第2の制御例を示すフローチャートである。
【
図10】カーソル移動方向補正の第3の制御例を示すフローチャートである。
【
図12】カーソル移動方向補正機能の要否の例を示す図である。
【
図13】無補正時のカーソルの移動方向の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は、第1の実施の形態のノートブック型コンピュータを説明する図である。
【0015】
ノートブック型コンピュータ10は、処理部11、ディスプレイ12、ポインティングデバイス13および接続部14を有する。
【0016】
処理部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサである。ただし、処理部11は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの特定用途の電子回路を含んでもよい。プロセッサは、RAMなどのメモリに記憶されたプログラムを実行する。複数のプロセッサの集合を「マルチプロセッサ」または単に「プロセッサ」と言うことがある。
【0017】
なお、図示を省略しているが、ノートブック型コンピュータ10は、処理部11の処理に用いられるデータを記憶する上記記憶部を有する。記憶部には、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の半導体メモリや、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの不揮発性ストレージが用いられる。
【0018】
ディスプレイ12は、画像を表示する表示装置である。ディスプレイ12は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(OEL:Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどである。
【0019】
ポインティングデバイス13は、例えばタッチパッド、マウスおよびデジタイザなどの入力装置である。
【0020】
接続部14は、外部ディスプレイ20と接続可能な接続インタフェースである。外部ディスプレイ20は、画像を表示する表示装置である。例えば、外部ディスプレイ20は、ディスプレイ12の画面領域を拡張した拡張画面を表示する。ここで、画面は、ディスプレイ12や外部ディスプレイ20に表示される画像である。外部ディスプレイ20は、例えばLCDやOELディスプレイなどである。
【0021】
ディスプレイ12に表示される画面や外部ディスプレイ20の画面には、ポインティングデバイス13によって操作されるカーソルP1が表示される。カーソルP1は、ディスプレイ12および外部ディスプレイ20が併用されている場合、ディスプレイ12および外部ディスプレイ20のうちの何れか一方の画面に1つ表示される。カーソルP1は、ユーザの操作に応じて、ディスプレイ12および外部ディスプレイ20の画面間を移動可能である。
【0022】
ここで、処理部11は、ディスプレイ12の画面の回転、および、外部ディスプレイ20の画面の回転に応じて、ポインティングデバイス13の操作方向に対するカーソルP1の移動方向を補正する。テーブルD1には、比較例として外部ディスプレイ20に表示される画面の2つの回転角度(0°、90°)について、ポインティングデバイス13によるユーザの操作方向に対し、カーソル移動方向補正が有効である場合のカーソルP1の移動方向が示されている。なお、外部ディスプレイ20について画面回転角度を90°とする場合、外部ディスプレイ20のディスプレイパネル筐体も矢印R1の方向に90°回転させて使用されることが多い。矢印R1の方向は、画面回転の方向とは逆の方向となる。その様子が分かり易いように、テーブルD1における画面回転角度を90°とする例では、外部ディスプレイ20のパネル筐体自体も90°回転した状態を図示している。
【0023】
比較例において、画面回転角度が0°、すなわち、回転なしの場合、ユーザによるポインティングデバイス13の操作方向とカーソルP1の移動方向の補正は行われない。このため、ユーザによるポインティングデバイス13の操作方向(例えば左から右へ向かう方向)とカーソルP1の移動方向(例えば左から右へ向かう方向)とは同じになる。
【0024】
次に、比較例において、画面回転角度が90°である場合、カーソル移動方向の補正が行われる。このとき、図示されているように、外部ディスプレイ20のディスプレイパネル筐体が矢印R1の方向に90°回転されているものとする。矢印R1が属する面は、外部ディスプレイ20の画面と同じ面である。この場合、カーソルP1の移動方向は、当該補正により、ユーザによるポインティングデバイス13の操作方向(例えば左から右へ向かう方向)に対して90°回転した方向(例えば上から下へ向かう方向)になる。比較例では、カーソル移動方向の補正は、例えばディスプレイ12および外部ディスプレイ20の少なくとも一方に表示されている画面が回転される場合に有効とされる。例えば、カーソル移動方向の補正機能はデフォルトで有効に設定されており、ディスプレイ12および外部ディスプレイ20の少なくとも一方に表示されている画面が回転される場合にカーソル移動方向の補正が行われる。このように、比較例では、ユーザ操作方向とカーソル移動方向とが異なるため、ユーザによるカーソルの移動操作が難しくなる。
【0025】
そこで、処理部11は、外部ディスプレイ20の使用状態に基づいて、カーソルP1の移動方向の補正を無効にする。すなわち、処理部11は、外部ディスプレイ20の使用状態に基づいて、カーソルP1の移動方向の補正を行わないように制御する。
【0026】
第1の例では、外部ディスプレイ20の使用状態は、接続部14を介して外部ディスプレイ20がノートブック型コンピュータ10に接続されているか否かの状態である。「接続」の状態では、ノートブック型コンピュータ10が接続部14を介して外部ディスプレイ20を認識していればよく、外部ディスプレイ20に画面を表示しているか否かを問わない。第1の例の場合、処理部11は、接続部14を介して外部ディスプレイ20がノートブック型コンピュータ10に接続されているか否かを判定する。接続部14を介して外部ディスプレイ20がノートブック型コンピュータ10に接続されている場合、処理部11は、ディスプレイ12および外部ディスプレイ20の少なくとも一方の画面の回転に応じたカーソルP1の移動方向の補正を無効にする。一方、接続部14を介して外部ディスプレイ20がノートブック型コンピュータ10に接続されていない場合、処理部11は、ディスプレイ12の画面の回転に応じたカーソルP1の移動方向の補正を有効にする。
【0027】
第2の例では、外部ディスプレイ20の使用状態は、接続部14を介して接続されている外部ディスプレイ20に画面を表示中であるか否かの状態である。第2の例の場合、処理部11は、接続部14を介して接続されている外部ディスプレイ20に画面を表示中であるか否かを判定する。外部ディスプレイ20に画面を表示中である場合、処理部11は、ディスプレイ12および外部ディスプレイ20の少なくとも一方の画面の回転に応じたカーソルP1の移動方向の補正を無効にする。一方、外部ディスプレイ20に画面を表示中でない場合、処理部11は、ディスプレイ12の画面の回転に応じたカーソルP1の移動方向の補正を有効にする。なお、「表示中でない場合」は、外部ディスプレイ20に電力が供給されているが、外部ディスプレイ20が電源オフである状態でもよい。更に、「表示中でない場合」は、外部ディスプレイ20のスタンバイ状態(パワーセーブ状態)を含んでもよい。
【0028】
第3の例では、外部ディスプレイ20の使用状態は、接続部14を介して接続されている外部ディスプレイ20に表示中の画面上にカーソルP1が存在するか否かの状態である。第3の例の場合、処理部11は、外部ディスプレイ20に表示中の画面上にカーソルP1が存在するか否かを判定する。外部ディスプレイ20に表示中の画面上にカーソルP1が存在する場合、処理部11は、外部ディスプレイ20の画面の回転に応じたカーソルP1の移動方向の補正を無効にする。一方、外部ディスプレイ20に表示中の画面上にカーソルP1が存在しない場合、すなわち、ディスプレイ12に表示中の画面上にカーソルP1が存在する場合、処理部11は、ディスプレイ12の画面の回転に応じたカーソルP1の移動方向の補正を有効にする。
【0029】
このように、ノートブック型コンピュータ10によれば、処理部11により、カーソルP1を移動させるための、ポインティングデバイス13によるユーザの操作入力が受け付けられる。外部ディスプレイ20の使用状態に基づいて、ディスプレイ12の第1画面または外部ディスプレイ20の第2画面の回転に応じたカーソルP1の移動方向の補正であって、ユーザの操作入力に対して行われる当該補正が無効にされる。
【0030】
これにより、ノートブック型コンピュータ10は、ユーザの操作に対してカーソル移動を適切に行うことができる。
【0031】
図1の比較例に示されるように、例えば外部ディスプレイ20のディスプレイ筐体を矢印R1の方向に90°回転させている場合、画面の90°回転に合わせてカーソルP1を補正すると、ユーザの操作方向と、カーソルP1の移動方向とが異なってしまう。
【0032】
そこで、処理部11は、外部ディスプレイ20の使用状態を基に、カーソルP1の移動方向の補正を無効にする。例えば、外部ディスプレイ20が、そのディスプレイ筐体を矢印R1の方向に90°回転させて使用されている際、外部ディスプレイ20に表示されるカーソルP1の移動方向が補正されない。このため、ユーザの操作方向とカーソルP1の移動方向とが一致するように、カーソルP1が適切に移動される。したがって、ユーザはポインティングデバイス13に対する操作に対してカーソルの移動方向を直感的に理解可能になり、カーソルの移動操作を容易に行えるようになる。
【0033】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態を説明する。
【0034】
図2は、第2の実施の形態のノートPCのハードウェア例を示す図である。
【0035】
ノートPC100は、プロセッサ101、RAM102、SSD103、媒体リーダ104、通信インタフェース105、GPU106、接続インタフェース107、センサ108、入力インタフェース109、LCD110、キーボード120およびタッチパッド130を有する。プロセッサ101は、第1の実施の形態の処理部11に対応する。
【0036】
プロセッサ101は、プログラムの命令を実行する演算装置である。プロセッサ101は、例えばCPUである。プロセッサ101は、SSD103に記憶されたプログラムやデータの少なくとも一部をRAM102にロードし、プログラムを実行する。なお、プロセッサ101は複数のプロセッサコアを含んでもよい。また、ノートPC100は複数のプロセッサを有してもよい。以下で説明する処理は複数のプロセッサまたはプロセッサコアを用いて並列に実行されてもよい。また、複数のプロセッサの集合を「マルチプロセッサ」または単に「プロセッサ」と言うことがある。また、プロセッサは、「プロセッサ回路(processor circuitry)」と呼ばれてもよい。
【0037】
RAM102は、プロセッサ101が実行するプログラムやプロセッサ101が演算に用いるデータを一時的に記憶する揮発性の半導体メモリである。なお、ノートPC100は、RAM以外の種類のメモリを備えてもよく、複数個のメモリを備えてもよい。
【0038】
SSD103は、OS(Operating System)やミドルウェアやアプリケーションソフトウェアなどのソフトウェアのプログラム、および、データを記憶する不揮発性の記憶装置である。なお、ノートPC100は、HDDなどの他の種類の記憶装置を備えてもよく、複数の不揮発性の記憶装置を備えてもよい。
【0039】
媒体リーダ104は、記録媒体30に記録されたプログラムやデータを読み取る読み取り装置である。記録媒体30として、例えば、半導体メモリを使用できる。記録媒体30は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク(MO:Magneto-Optical disk)などでもよい。磁気ディスクには、フレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)やHDDが含まれる。光ディスクには、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)が含まれる。
【0040】
媒体リーダ104は、例えば、記録媒体30から読み取ったプログラムやデータを、RAM102やSSD103などの他の記録媒体にコピーする。読み取られたプログラムは、例えば、プロセッサ101によって実行される。なお、記録媒体30は可搬型記録媒体であってもよく、プログラムやデータの配布に用いられることがある。また、記録媒体30やSSD103を、コンピュータ読み取り可能な記録媒体と言うことがある。
【0041】
通信インタフェース105は、ネットワーク40に接続され、ネットワーク40を介して他の情報処理装置と通信する。通信インタフェース105は、スイッチやルータなどの有線通信装置に接続される有線通信インタフェースでもよいし、基地局やアクセスポイントなどの無線通信装置に接続される無線通信インタフェースでもよい。
【0042】
GPU106は、プロセッサ101からの命令に従って、LCD110に画像を出力する。LCD110は、画像を表示する表示装置である。LCD110は、OELディスプレイなど、他の種類のディスプレイでもよい。
【0043】
接続インタフェース107は、外部ディスプレイ200に接続される。接続インタフェース107は、GPU106により出力される画像を外部ディスプレイ200に出力する。接続インタフェース107には、例えば、HDMI(High-Definition Multimedia Interface、登録商標)、DisplayPortおよびVGA(Video Graphics Array)などのインタフェースが用いられる。
【0044】
センサ108は、ノートPC100が備える第1筐体および第2筐体のうち、LCD110を備える第1筐体に設けられる。センサ108は、第1筐体またはLCD110の傾きの角度を検出する加速度センサである。なお、ノートPC100の第2筐体はキーボード120およびタッチパッド130を備える。
【0045】
なお、プロセッサ101、RAM102、SSD103、媒体リーダ104、通信インタフェース105、GPU106、接続インタフェース107および入力インタフェース109それぞれは、第1筐体に設けられてもよいし、第2筐体に設けられてもよい。
【0046】
入力インタフェース109は、キーボード120およびタッチパッド130に接続される。キーボード120およびタッチパッド130は、ユーザの操作入力を受け付ける入力装置である。入力インタフェース109は、キーボード120およびタッチパッド130から入力信号を取得し、プロセッサ101に出力する。ノートPC100は、タッチパネルやトラックボールなどのタッチパッド130以外のポインティングデバイスを備えてもよい。また、入力インタフェース109は、マウスやデジタイザなどに接続されてもよく、マウスやデジタイザから入力信号を取得してもよい。
【0047】
【0048】
ノートPC100は、第1筐体100a、第2筐体100bおよびヒンジ140を有する。第1筐体100aは、センサ108およびLCD110を備える。第2筐体100bは、キーボード120およびタッチパッド130を備える。ヒンジ140は、第1筐体100aおよび第2筐体100bを接続する部材である。第1筐体100aおよび第2筐体100bは、ヒンジ140の回転軸の回りに回転可能である。第1筐体100aおよび第2筐体100bの傾きの角度は、当該回転軸の回りの回転角度に相当する。
【0049】
なお、第1筐体100aおよび第2筐体100bは、ヒンジ140を介して着脱可能であってもよい。また、ノートPC100は、いわゆる2in1タイプのコンピュータであり、タブレットとして利用することもできる。
【0050】
センサ108は、ヒンジ140の回転軸回りにおける、第1筐体100aの回転角度を検出する。また、ノートPC100は、ヒンジ140の回転軸回りにおける、第1筐体100aの回転角度を検出する、センサ108以外の検出機構を備えてもよい。
【0051】
ユーザは、ノートPC100をテーブルなどに置き、ノートPC100のLCD110の画面とキーボード120のキー面とが平坦になるように第1筐体100aを開くことで、LCD110に表示される画面を対面する相手に見せることができる。このとき、ノートPC100は、LCD110に表示される画面を、回転軸Hを中心に180°回転させることで、相手にとって当該画面を見易くすることができる。回転軸Hは、LCD110の画面の中心M1を通る、当該画面と垂直な軸である。画面の回転は、センサ108による第1筐体100aの傾き角度の検出に応じて、自動的に行われてもよいし、ユーザによる手動の設定により行われてもよい。また、第2筐体100bが更に加速度センサを備えてもよく、LCD110の画面の回転は、当該加速度センサの検出角度とセンサ108の検出角度との差に基づいて自動的に行われてもよい。
【0052】
図4は、画面回転角0°の場合の表示例を示す図である。
【0053】
例えば、ユーザは、ノートPC100の第2筐体100bを下にしてテーブルに置き、第1筐体100aと第2筐体100bとが閉じた状態(第1筐体100aの水平面とのなす角度が0°の場合)から、第1筐体100aを水平面に対して100°~120°程度に開いて使用することができる。この場合、ヒンジ140の回転軸は
図4のx軸と平行な方向であり、センサ108は、ヒンジ140の回転軸回りの角度を、第1筐体100aの傾き角度として検出し得る。
【0054】
このように、ノートPC100を操作するユーザが、正面方向から画面を見易い様に、鉛直上方向が画面の上方向に対応し、鉛直下方向が画面の下方向に対応するように、画面回転なし、すなわち、画面回転角0°で当該画面がLCD110に表示される。外部ディスプレイ200の画面回転角についてもLCD110と同様である。
【0055】
【0056】
図5(A)は、
図3のように第1筐体100aを180°程度に開いた場合において、カーソルC1の移動方向の補正が行われる場合の例を示す。ノートPC100は、画面上下反転モードの場合に、LCD110の画面に表示されるカーソルC1に対し、例えばタッチパッド130に対する矢印A1の方向へのユーザの操作入力を受け付ける。すると、ノートPC100は、矢印A1の方向と同じ方向を示す矢印B1の方向へカーソルC1を移動させる。
【0057】
図5(B)は、
図3のように第1筐体100aを180°程度に開いた場合において、カーソルC1の移動方向の補正が行われない場合の例を示す。カーソルC1の移動方向の補正を行わない場合、タッチパッド130に対する矢印A1の方向へのユーザの操作入力に対して、カーソルC1は、矢印A1とは逆の矢印B2の方向へ移動されることになる。
【0058】
このように、ノートPC100は、タッチパッド130やマウスなどによるカーソルの移動方向の補正を行うことで、LCD110の画面が180°回転されている場合でも、ユーザがカーソルC1を違和感なく操作可能になるように支援できる。
【0059】
【0060】
外部ディスプレイ200は、机などに載置されるスタンド210、および、スタンド210によって支持されるパネル筐体220を有する。外部ディスプレイ200は、例えば接続インタフェース107に対応するケーブルを介してノートPC100に接続される。
【0061】
図6(A)は、パネル筐体220の回転角=0°かつ画面回転角=0°の場合の外部ディスプレイ200の使用例を示す。
図6(B)は、パネル筐体220の回転角=90°かつ画面回転角90°の場合の外部ディスプレイ200の使用例を示す。
【0062】
図6(B)で示されるように、パネル筐体220が90°回転させて使用される場合、正面から画面を見易いように、ユーザの設定などに応じてパネル筐体220に表示される画面は、パネル筐体220の回転方向とは逆方向に90°回転させて表示される。
【0063】
パネル筐体220が90°回転されている場合に、ノートPC100による画面回転に応じたカーソル移動方向の補正が行われると、ユーザによるカーソルC1の移動操作が難しくなる。そこで、ノートPC100は、特定の条件下において、カーソルC1の移動方向の補正機能を無効にする機能を提供する。
【0064】
【0065】
ノートPC100は、記憶部150および表示制御部160を有する。記憶部150には、RAM102やSSD103の記憶領域が用いられる。表示制御部160は、RAM102に記憶されたプログラムがプロセッサ101により実行されることで実現される。
【0066】
記憶部150は、表示制御部160の処理に用いられる各種のデータを記憶する。
【0067】
表示制御部160は、LCD110および外部ディスプレイ200による画像の表示を制御する。表示制御部160は、画面回転部161、カーソル補正制御部162およびカーソル補正部163を有する。
【0068】
画面回転部161は、ユーザの手動の設定に応じて、LCD110および外部ディスプレイ200に表示される画面を回転させる。画面回転部161は、センサ108による第1筐体100aの開き角度の検出に応じて、LCD110に表示される画面を自動的に回転させてもよい。
【0069】
カーソル補正制御部162は、外部ディスプレイ200の使用状態に基づいて、カーソル補正部163により実行されるカーソル移動方向の補正機能の有効、または、無効を制御する。カーソル移動方向の補正機能が有効な場合、所定の条件が満たされると、カーソル補正部163によりカーソル移動方向の補正が行われる。カーソル移動方向の補正機能が無効な場合、当該所定の条件が満たされたとしても、カーソル補正部163によるカーソル移動方向の補正が抑止される。ノートPC100のデフォルトの設定では、カーソル移動方向の補正機能は有効に設定されていてもよい。
【0070】
カーソル補正部163は、LCD110および外部ディスプレイ200に表示される画面の回転に応じて、当該画面に表示されるカーソルC1の移動方向の補正を行う。例えば、カーソル補正部163は、タッチパッド130による操作方向を、画面の回転と逆の方向に、画面の回転の角度と同じ角度だけ回転した方向が、カーソルC1の移動方向となるように補正する。
【0071】
ここで、カーソル補正制御部162により判定される外部ディスプレイ200の使用状態には、例えば次の3つの例が挙げられる。
【0072】
第1の使用状態の例は、外部ディスプレイ200が接続インタフェース107を介してノートPC100に接続されているか否かである。カーソル補正制御部162は、外部ディスプレイ200が接続インタフェース107を介してノートPC100に接続されているか否かを判定する。外部ディスプレイ200が接続インタフェース107を介してノートPC100に接続されている場合、カーソル補正制御部162は、カーソル補正部163による補正機能を無効にする。一方、外部ディスプレイ200が接続インタフェース107を介してノートPC100に接続されていない場合、カーソル補正制御部162は、カーソル補正部163による補正機能を有効にする。
【0073】
第2の使用状態の例は、接続インタフェース107を介して接続されている外部ディスプレイ200に画面を表示中であるか否かである。カーソル補正制御部162は、接続インタフェース107を介して接続されている外部ディスプレイ200に画面を表示中であるか否かを判定する。接続インタフェース107を介して接続されている外部ディスプレイ200に画面を表示中である場合、カーソル補正制御部162は、カーソル補正部163による補正機能を無効にする。一方、接続インタフェース107を介して接続されている外部ディスプレイ200に画面を表示中でない場合、カーソル補正制御部162は、カーソル補正部163による補正機能を有効にする。なお、「表示中でない場合」は、外部ディスプレイ200に電力が供給されているが、外部ディスプレイ200が電源オフである状態でもよい。更に、「表示中でない場合」は、外部ディスプレイ200のスタンバイ状態(パワーセーブ状態)を含んでもよい。
【0074】
第3の使用状態の例は、接続インタフェース107を介して接続されている外部ディスプレイ200に表示中の画面上にカーソルC1が存在するか否かである。カーソル補正制御部162は、接続インタフェース107を介して接続されている外部ディスプレイ200に表示中の画面上にカーソルC1が存在するか否かを判定する。接続インタフェース107を介して接続されている外部ディスプレイ200に表示中の画面上にカーソルC1が存在する場合、カーソル補正制御部162は、カーソル補正部163による補正機能を無効にする。接続インタフェース107を介して接続されている外部ディスプレイ200に表示中の画面上にカーソルC1が存在しない、すなわち、LCD110の画面上にカーソルC1が存在する場合、カーソル補正制御部162は、カーソル補正部163による補正機能を有効にする。
【0075】
なお、第1~第3の使用状態の例では、カーソル補正制御部162は、次のタイミングで、カーソル補正部163による補正機能の有効/無効を切り替える。第1のタイミングは、LCD110および外部ディスプレイ200の何れを使用するかの設定が変わったタイミングである。第2のタイミングは、ノートPC100の起動時である。第3のタイミングは、ノートPC100のサスペンドまたは休止状態からの復帰時である。
【0076】
第3の使用状態の例では、カーソル補正制御部162は、次の第4のタイミングでも、カーソル補正部163による補正機能の有効/無効を切り替える。第4のタイミングは、LCD110の画面および外部ディスプレイ200の画面の間をカーソルC1が移動したタイミングである。また、第3の使用状態の例では、カーソル補正部163は、LCD110の画面および外部ディスプレイ200の画面の間をカーソルC1が移動した場合に、後述されるように、カーソルC1の位置の補正も行う。
【0077】
次に、ノートPC100の処理手順を説明する。まず、カーソル補正制御部162が外部ディスプレイ200の第1の使用状態を判定する場合を例示する。
【0078】
図8は、カーソル移動方向補正の第1の制御例を示すフローチャートである。
【0079】
(S10)カーソル補正制御部162は、内蔵LCD、すなわち、LCD110に画面を表示中であるか否かを判定する。LCD110に画面を表示中の場合、ステップS11に処理が進む。LCD110に画面を表示中でない場合、ステップS12に処理が進む。
【0080】
(S11)カーソル補正制御部162は、接続インタフェース107を介して外部ディスプレイ200が接続されているか否かを判定する。外部ディスプレイ200が接続されている場合、ステップS12に処理が進む。外部ディスプレイ200が接続されていない場合、ステップS13に処理が進む。ここで、カーソル補正制御部162は、接続インタフェース107を介して、外部ディスプレイ200から所定の信号を検出するか否かにより、外部ディスプレイ200が接続されているか否かを判定することができる。
【0081】
(S12)カーソル補正制御部162は、カーソル補正部163によるカーソル移動方向補正機能を無効に設定する。そして、第1の制御の処理が終了する。
【0082】
(S13)カーソル補正制御部162は、内蔵LCD(LCD110)の画面回転があるか否か、すなわち、LCD110に表示中の画面が回転されているか否かを判定する。LCD110の画面回転がある(LCD110に表示中の画面が回転されている)場合、ステップS14に処理が進む。LCD110の画面回転がない(LCD110に表示中の画面が回転されていない)場合、ステップS12に処理が進む。
【0083】
(S14)カーソル補正制御部162は、カーソル補正部163によるカーソル移動方向補正機能を有効に設定する。そして、第1の制御の処理が終了する。
【0084】
このように、カーソル補正制御部162は、ノートPC100に外部ディスプレイ200が接続されているか否かに基づいて、カーソル移動方向補正機能の有効または無効を切り替えてもよい。
【0085】
次に、カーソル補正制御部162が外部ディスプレイ200の第2の使用状態を判定する場合を例示する。
【0086】
図9は、カーソル移動方向補正の第2の制御例を示すフローチャートである。
【0087】
第2の制御例では、
図8のステップS10~S14のうちのステップS11に代えて、ステップS11aが実行される点が、第1の制御例と異なる。そこで、ステップS11aを主に説明し、ステップS10,S12~S14の説明を省略する。ステップS11aはステップS10 Yesの場合に実行される。
【0088】
(S11a)カーソル補正制御部162は、接続インタフェース107を介して接続されている外部ディスプレイ200に画面を表示中であるか否かを判定する。外部ディスプレイ200に画面を表示中の場合、ステップS12に処理が進む。外部ディスプレイ200に画面を表示中でない場合、ステップS13に処理が進む。
【0089】
このように、カーソル補正制御部162は、外部ディスプレイ200に画面を表示中であるか否かに基づいて、カーソル移動方向補正機能の有効または無効を切り替えてもよい。
【0090】
次に、カーソル補正制御部162が外部ディスプレイ200の第3の使用状態を判定する場合を例示する。
【0091】
図10は、カーソル移動方向補正の第3の制御例を示すフローチャートである。
【0092】
第3の制御例では、
図8のステップS10~S14のうちのステップS11に代えて、ステップS11b,11cが実行される点が、第1の制御例と異なる。そこで、ステップS11b,S11cを主に説明し、ステップS10,S12~S14の説明を省略する。ステップS11bは、ステップS10 Yesの場合に実行される。
【0093】
(S11b)カーソル補正制御部162は、接続インタフェース107を介して接続されている外部ディスプレイ200に画面を表示中であるか否かを判定する。外部ディスプレイ200に画面を表示中の場合、ステップS11cに処理が進む。外部ディスプレイ200に画面を表示中でない場合、ステップS13に処理が進む。
【0094】
(S11c)カーソル補正制御部162は、カーソルC1の現在の位置、すなわち、カーソル位置が外部ディスプレイ200の画面上であるか否かを判定する。カーソル位置が外部ディスプレイ200の画面上である場合、ステップS12に処理が進む。カーソル位置が外部ディスプレイ200の画面上でない場合、ステップS13に処理が進む。なお、カーソル補正制御部162は、カーソルC1の現在の座標が、外部ディスプレイ200の画面に相当する座標範囲に含まれるか否かによって、カーソル位置が外部ディスプレイ200の画面上であるか否かを判定することができる。
【0095】
このように、カーソル補正制御部162は、カーソルC1の現在の位置が外部ディスプレイ200の画面上であるか否かに基づいて、カーソル移動方向補正機能の有効または無効を切り替えてもよい。
【0096】
ここで、前述のように、第3の制御例では、カーソル補正部163は、カーソル移動方向の補正に加えて、カーソル位置の補正も行う。次に、カーソル補正部163によるカーソル位置の補正について説明する。
【0097】
【0098】
図11(A)は、ノートPC100のOS上でのディスプレイ番号の設定例を示す。例えば、LCD110のディスプレイ番号は「1」である。外部ディスプレイ200のディスプレイ番号は「2」である。LCD110の画面は、外部ディスプレイ200の画面の右側に位置する設定になっているものとする。この場合、LCD110の画面の左端は、外部ディスプレイ200の画面の右端に繋がっている。このため、LCD110の画面が回転していない場合、LCD110の画面の左端から外部ディスプレイ200の画面の右端へ、あるいは、その逆の方向へ、カーソルC1の移動が可能である。
【0099】
図11(B)は、
図11(A)のようなLCD110および外部ディスプレイ200の配置において、LCD110に表示される画面が180°回転される例を示す。LCD110に表示される画面が180°回転される場合、カーソル位置の補正を行わないと、LCD110の回転後の画面の右端が外部ディスプレイ200の左端に繋がることになり、ユーザによる両画面間のカーソルC1の移動が難しくなる。
【0100】
そこで、
図10の第3の制御例では、カーソル補正部163は、LCD110の画面の回転に応じて、カーソル移動方向補正とともに、次のようにカーソル位置の補正も行う。
【0101】
第1に、カーソル補正部163は、LCD110の画面のうち、外部ディスプレイ200と反対側の端を当該画面の領域端E1とし、カーソルC1が領域端E1から画面の外側へ出る方向へ移動することを禁止する。
図11(B)の例では、領域端E1は、LCD110の画面の右端となる。
【0102】
第2に、カーソル補正部163は、LCD110の画面のうち、外部ディスプレイ200の側の端を、外部ディスプレイ200の画面と隣接する隣接端E2とする。また、カーソル補正部163は、外部ディスプレイ200の画面のうち、LCD110の側の端を、LCD110の画面と隣接する隣接端E3とする。そして、カーソル補正部163は、カーソルC1が隣接端E2に来たら、カーソルC1を隣接端E3に移動する。
【0103】
第3に、カーソル補正部163は、カーソルC1が隣接端E3に来たら、カーソルC1を隣接端E2に移動する。
【0104】
図11(B)の例では、隣接端E2は、LCD110の画面の左端となる。また、
図11(B)の例では、隣接端E3は、外部ディスプレイ200の画面の右端となる。
【0105】
カーソル補正部163は、カーソルC1を上記のように補正することで、カーソル移動可能方向B3で示される、カーソルC1の画面間の移動を可能にする。これにより、ノートPC100は、LCD110の画面が回転して表示されている場合において、LCD110の画面および外部ディスプレイ200の画面の間での、ユーザによるカーソルC1の移動を容易に行えるように支援できる。また、ユーザは、両画面間でのカーソルC1の移動を容易に行えるようになる。
【0106】
ここで、LCD110および外部ディスプレイ200それぞれの画面の回転に応じた、カーソル移動方向補正機能の要否について説明する。
【0107】
図12は、カーソル移動方向補正機能の要否の例を示す図である。
【0108】
テーブル70は、カーソルC1が存在する位置(カーソル位置)、および、カーソルがある画面の回転角度に応じた、カーソル移動方向補正の要否を例示する。
【0109】
例えば、カーソル位置がLCD110(内蔵LCD)の画面であり、当該画面の回転角度が0°の場合、カーソル移動方向補正機能は「不要」である。
【0110】
また、カーソル位置がLCD110(内蔵LCD)の画面であり、当該画面の回転角度が90°、180°および270°の場合、カーソル移動方向補正機能は「要」である。
【0111】
更に、カーソル位置が外部ディスプレイ200の画面であり、当該画面の回転角度が0°、90°、180°および270°の場合、カーソル移動方向補正機能は「不要」である。
【0112】
次に、LCD110の画面の回転に対して、カーソル移動方向補正を行わない場合のカーソル移動方向の例を説明する。
【0113】
図13は、無補正時のカーソルの移動方向の例を示す図である。
【0114】
テーブル80は、LCD110の画面回転方向について、タッチパッド130の操作方向に対する無補正時のカーソル移動方向、および、カーソル移動方向補正の要否を例示する。ユーザによるタッチパッド130の操作方向は、右へ向かう方向であるとする。
【0115】
画面回転の角度が0°の場合、タッチパッド130の右へ向かう操作方向に対して、無補正時のカーソル移動方向は、右へ移動する方向となる。操作方向とカーソル移動方向は一致するので、カーソル移動方向補正は「不要」である。
【0116】
画面回転の角度が90°の場合、タッチパッド130の右へ向かう操作方向に対して、無補正時のカーソル移動方向は、上へ移動する方向となる。操作方向とカーソル移動方向とが一致しないので、カーソル移動方向補正は「要」となる。
【0117】
画面回転の角度が180°の場合、タッチパッド130の右へ向かう操作方向に対して、無補正時のカーソル移動方向は、左へ移動する方向となる。操作方向とカーソル移動方向とが一致しないので、カーソル移動方向補正は「要」となる。
【0118】
画面回転の角度が270°の場合、タッチパッド130の右へ向かう操作方向に対して、無補正時のカーソル移動方向は、下へ移動する方向となる。操作方向とカーソル移動方向とが一致しないので、カーソル移動方向補正は「要」となる。
【0119】
一方、外部ディスプレイ200の場合、
図6(B)で例示されるように、画面回転に応じて、パネル筐体220も回転して使用されることが多い。したがって、外部ディスプレイ200に対しては、カーソル移動方向補正は「不要」である。パネル筐体220の回転により、カーソル移動方向補正を行わずとも、ユーザの操作方向とカーソル移動方向とが一致するからである。
【0120】
このため、上記の第3の制御例では、カーソル補正制御部162は、外部ディスプレイ200の画面上にカーソルC1が存在している場合には、カーソル移動補正を無効とする。カーソル補正制御部162は、LCD110の画面上にカーソルC1が存在しており、かつ、LCD110の画面が回転されている場合には、カーソル移動補正を有効とする。
【0121】
カーソル補正制御部162は、LCD110の画面上にカーソルC1が存在しており、かつ、LCD110の画面が回転されていない場合には、カーソル移動補正を有効としてもよいし、無効としてもよい。LCD110の画面上にカーソルC1が存在しており、LCD110の画面が回転されていない場合、画面の回転角度は0°であるため、ユーザの操作方向を回転角度0°で補正したとしても、カーソル移動方向は、当該操作方向と同じになるためである。
【0122】
以上説明したように、ノートPC100は例えば次の処理を実行する。
【0123】
LCD110は、第1画面を表示する。接続インタフェース107は、第2画面を表示する外部ディスプレイ200に接続可能である。プロセッサ101は、第1画面または第2画面に含まれるカーソルを移動させるための、タッチパッド130などのポインティングデバイスによるユーザの操作入力を受け付ける。すると、プロセッサ101は、外部ディスプレイ200の使用状態に基づいて、第1画面または第2画面の回転に応じたカーソルの移動方向の補正であって、ユーザの操作入力に対して行われる当該補正を無効にする。
【0124】
これにより、ノートPC100は、ユーザの操作に対してカーソル移動を適切に行うことが可能になる。例えば、ノートPC100は、外部ディスプレイ200の第2画面においてユーザの操作方向とカーソル移動方向とが一致しなくなることを抑制し、ユーザによって外部ディスプレイ200におけるカーソル移動操作を容易に行えるように支援することができる。また、ユーザは、当該カーソル移動操作を容易に行える。LCD110は、第1の実施の形態のディスプレイ12の一例である。接続インタフェース107は、第1の実施の形態の接続部14の一例である。カーソルは、マウスカーソルと言われてもよい。
【0125】
プロセッサ101は、外部ディスプレイ200の使用状態の判定として、接続インタフェース107を介して外部ディスプレイ200が接続されているか否かを判定してもよい。プロセッサ101は、外部ディスプレイ200が接続されている場合にカーソル移動方向の補正を無効にしてもよい。
【0126】
これにより、ノートPC100は、ユーザの操作に対してカーソル移動を適切に行うことが可能になる。例えば、ノートPC100は、外部ディスプレイ200の第2画面においてユーザの操作方向とカーソル移動方向とが一致しなくなることを抑制し、ユーザによって外部ディスプレイ200におけるカーソル移動操作を容易に行えるように支援することができる。また、ユーザは、当該カーソル移動操作を容易に行える。
【0127】
プロセッサ101は、外部ディスプレイ200の使用状態の判定として、接続インタフェース107を介して接続されている外部ディスプレイ200に第2画面が表示されているか否かを判定してもよい。プロセッサ101は、外部ディスプレイ200に第2画面が表示されている場合にカーソル移動方向の補正を無効にしてもよい。
【0128】
これにより、ノートPC100は、ユーザの操作に対してカーソル移動を適切に行うことが可能になる。例えば、ノートPC100は、外部ディスプレイ200の第2画面においてユーザの操作方向とカーソル移動方向とが一致しなくなることを抑制し、ユーザによって外部ディスプレイ200におけるカーソル移動操作を容易に行えるように支援することができる。また、ユーザは、当該カーソル移動操作を容易に行える。
【0129】
プロセッサ101は、外部ディスプレイ200の使用状態の判定として、接続インタフェース107を介して接続されている外部ディスプレイ200に第2画面が表示されており、かつ、カーソルが第2画面にあるか否かを判定してもよい。プロセッサ101は、外部ディスプレイ200に第2画面が表示されており、かつ、カーソルが第2画面にある場合にカーソル移動方向の補正を無効にしてもよい。
【0130】
これにより、ノートPC100は、ユーザの操作に対してカーソル移動を適切に行うことが可能になる。例えば、ノートPC100は、外部ディスプレイ200の第2画面においてユーザの操作方向とカーソル移動方向とが一致しなくなることを抑制し、ユーザによって外部ディスプレイ200におけるカーソル移動操作を容易に行えるように支援することができる。また、ユーザは、当該カーソル移動操作を容易に行える。
【0131】
更に、プロセッサ101が、外部ディスプレイ200に第2画面が表示されており、かつ、カーソルが第2画面にある場合にカーソル移動方向の補正を無効にする例では、次のように、プロセッサ101は、カーソル位置の補正を行ってもよい。プロセッサ101は、第1画面の回転なしの状態において第1画面のうちの第1の端を、第2画面の第2の端と隣接する隣接端とする。プロセッサ101は、第1画面の回転に応じて、次の処理を行う。第1に、プロセッサ101は、回転後の第1画面のうちの第3の端を隣接端に変更し、第1の端から第1画面の外部へのカーソルの移動を禁止する。第2に、プロセッサ101は、ユーザの操作入力により第3の端にカーソルが来るとカーソルを第2の端に移動する。第3に、プロセッサ101は、ユーザの操作入力により第2の端にカーソルが来るとカーソルを第3の端に移動する。
【0132】
これにより、ノートPC100は、
図11に示されるように、ユーザの操作に対してカーソル移動を適切に行うことが可能になる。
図11の領域端E1は、第1の端の一例である。隣接端E3は、第2の端の一例である。隣接端E2は、第3の端の一例である。
【0133】
なお、第1の実施の形態の情報処理は、処理部11にプログラムを実行させることで実現できる。また、第2の実施の形態の情報処理は、プロセッサ101にプログラムを実行させることで実現できる。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体30に記録できる。
【0134】
例えば、プログラムを記録した記録媒体30を配布することで、プログラムを流通させることができる。また、プログラムを他のコンピュータに格納しておき、ネットワーク経由でプログラムを配布してもよい。コンピュータは、例えば、記録媒体30に記録されたプログラムまたは他のコンピュータから受信したプログラムを、RAM102やSSD103などの記憶装置に格納し(インストールし)、当該記憶装置からプログラムを読み込んで実行してもよい。
【符号の説明】
【0135】
10 ノートブック型コンピュータ
11 処理部
12 ディスプレイ
13 ポインティングデバイス
14 接続部
20 外部ディスプレイ
D1 テーブル
P1 カーソル
【要約】
【課題】ユーザの操作に対してカーソル移動を適切に行う。
【解決手段】ディスプレイ12は、第1画面を表示する。接続部14は、第2画面を表示する外部ディスプレイ20に接続可能である。処理部11は、第1画面または第2画面に含まれるカーソルを移動させるための、ポインティングデバイス13によるユーザの操作入力を受け付ける。すると、処理部11は、外部ディスプレイ20の使用状態に基づいて、第1画面または第2画面の回転に応じたカーソルP1の移動方向の補正であって、当該操作入力に対して行われる補正を無効にする。
【選択図】
図1