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特許7617597熱可塑性樹脂複合材、熱可塑性樹脂複合材粒子及び成形物
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  • 特許-熱可塑性樹脂複合材、熱可塑性樹脂複合材粒子及び成形物 図1
  • 特許-熱可塑性樹脂複合材、熱可塑性樹脂複合材粒子及び成形物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】熱可塑性樹脂複合材、熱可塑性樹脂複合材粒子及び成形物
(51)【国際特許分類】
   C08L 1/02 20060101AFI20250110BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20250110BHJP
   C08L 23/26 20250101ALI20250110BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20250110BHJP
   B29B 11/16 20060101ALI20250110BHJP
   B29K 105/12 20060101ALN20250110BHJP
【FI】
C08L1/02
C08L101/00
C08L23/26
C08K7/02
B29B11/16
B29K105:12
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022531841
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(86)【国際出願番号】 JP2021022728
(87)【国際公開番号】W WO2021256471
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2020103387
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153591
【氏名又は名称】株式会社巴川コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】517392621
【氏名又は名称】エフピー化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 展弘
(72)【発明者】
【氏名】岩本 清志
(72)【発明者】
【氏名】佐野 昌義
(72)【発明者】
【氏名】川口 博商
(72)【発明者】
【氏名】木村 雄大
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 英郎
【審査官】櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-001938(JP,A)
【文献】特開2019-147861(JP,A)
【文献】特開2019-157049(JP,A)
【文献】特開2012-236906(JP,A)
【文献】特開2020-125563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L,C08K,B29B,B29K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース繊維と、相溶化剤と、熱可塑性樹脂と、を含む熱可塑性樹脂複合材であって、
前記セルロース繊維は、繊維径が1~50μm、繊維長が10~400μmの繊維のみを実質的に含み、
前記セルロース繊維と熱可塑性樹脂の質量による組成比が、10:90~80:20であり、
前記熱可塑性樹脂複合材は、前記熱可塑性樹脂複合材における任意の10箇所の断面の、所定の面積当たりに前記セルロース繊維が占有する面積率の標準偏差が、15%以下であることを特徴とする、熱可塑性樹脂複合材(ただし、水溶性樹脂を2~20質量%含む熱可塑性樹脂複合材、及び、セルロース原料とシリコーン系界面活性剤と水系樹脂を水中で混合することによりセルロース原料に含まれるセルロース繊維が表面処理されることで得られる、表面処理されたセルロース繊維を含む熱可塑性樹脂複合材を除く)。
【請求項2】
前記セルロース繊維は、一方の端部における繊維の軸方向(A)と、他方の端部における軸方向(B)とがなす繊維の屈曲角が0~60°であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂複合材。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂複合材は、前記セルロース繊維と前記熱可塑性樹脂の質量による組成比が、60:40~20:80であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂複合材。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリサルホン樹脂、変性PPO樹脂、ポリエステル樹脂のいずれかを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂複合材。
【請求項5】
セルロース繊維と、熱可塑性樹脂と、を含む熱可塑性樹脂複合材粒子であって、
前記セルロース繊維の平均繊維長は、10~400μmであり、
前記セルロース繊維の平均繊維径は、1~50μmであり、
前記セルロース繊維の含有量は、前記熱可塑性樹脂の質量と前記セルロース繊維の質量の和を100質量%とした場合に、20~80質量%であり、
前記セルロース繊維は、実質的に前記熱可塑性樹脂複合材粒子の軸方向に配向していることを特徴とする、熱可塑性樹脂複合材粒子(ただし、水溶性樹脂を2~20質量%含む熱可塑性樹脂複合材粒子、及び、セルロース原料とシリコーン系界面活性剤と水系樹脂を水中で混合することによりセルロース原料に含まれるセルロース繊維が表面処理されることで得られる、表面処理されたセルロース繊維を含む熱可塑性樹脂複合材粒子を除く)。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂複合材粒子は、230℃において、荷重を2.16kgfとして測定したメルトマスフローレイトが、5~30(g/10min)であることを特徴とする、請求項5に記載の熱可塑性樹脂複合材粒子。
【請求項7】
前記セルロース繊維は、一方の端部における繊維の軸方向(A)と、他方の端部における軸方向(B)とがなす繊維の屈曲角が0~60°であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の熱可塑性樹脂複合材粒子。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリサルホン樹脂、変性PPO樹脂、ポリエステル樹脂のいずれかを含むことを特徴とする、請求項5~7のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂複合材粒子。
【請求項9】
請求項5~8のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂複合材粒子を成形加工して得られることを特徴とする成形物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂複合材、熱可塑性樹脂複合材粒子及び成形物に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂は、加熱することで容易に成形できることから様々な製品の部品などとして用いられている。熱可塑性樹脂は、大量生産及び製造コストの観点から、一般に、射出成型などの金型を用いた成形方法が採用されている。
【0003】
近年、電子デバイス等の小型化、薄型化に伴い、それらに用いられる部品なども小型化、薄型化が進み、熱可塑性樹脂においても微細で複雑な形状への成形加工性が要求されている。また、熱可塑性樹脂が小型化、薄型化された部品に用いられる場合には、より高い強度等の機械的特性が求められ、熱可塑性樹脂は繊維と複合化されて用いられている。
【0004】
また、熱可塑性樹脂と複合化される繊維に、無機繊維を用いた場合には、廃棄の際の焼却時に無機繊維に由来する残渣が発生して、この残渣を埋め立て処理等する必要がある。このため無機繊維を使用しない樹脂成形体が求められており、セルロース繊維が用いられている。
【0005】
このような複合樹脂の製造方法として、例えば、特許文献1には、攪拌手段として回転羽根を有するミキサー中にセルロース繊維集合体を入れ、高速攪拌することにより、前記セルロース繊維集合体を解繊する工程、前記ミキサー内に熱可塑性樹脂を入れた後に攪拌することで、発生した摩擦熱により前記熱可塑性樹脂を溶融させて、解繊されたセルロース繊維に前記熱可塑性樹脂が付着した混合物を得る工程、前記混合物を冷却しながら低速攪拌する工程を有するセルロース繊維含有熱可塑性樹脂組成物の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-84713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の製造方法で得られるセルロース繊維含有熱可塑性樹脂組成物を成形加工時の樹脂複合材の流動性については、何ら検討されておらず、射出成型時などに十分な流動性が得られず、成形不良が発生したり、成形物の強度が不十分となったりするおそれがあった。
【0008】
そこで本発明は、セルロース繊維を含み、強度等の機械的特性に優れた成形物を得ることができ、溶融時の流動性に優れることで成形加工性に優れた熱可塑性樹脂複合材又は熱可塑性樹脂複合材粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究を行い、特定の繊維や密度(分布)を有する熱可塑性樹脂複合材、及び、特定の繊維が軸方向に対して配向し、マスフローレイトを調整した熱可塑性樹脂複合材粒子が、上記課題を解決可能なことを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の通りである。
【0010】
本発明(1)は、
セルロース繊維と、相溶化剤と、熱可塑性樹脂と、を含む熱可塑性樹脂複合材であって、
前記セルロース繊維は、繊維径が1~50μm、繊維長が10~400μmの繊維のみを実質的に含み、
前記セルロース繊維と熱可塑性樹脂の質量による組成比が、10:90~80:20であり、
前記熱可塑性樹脂複合材は、前記熱可塑性樹脂複合材における任意の10箇所の断面の、所定の面積当たりに前記セルロース繊維が占有する面積率の標準偏差が、15%以下であることを特徴とする、熱可塑性樹脂複合材である。
本発明(2)は、
前記セルロース繊維は、一方の端部における繊維の軸方向(A)と、他方の端部における軸方向(B)とがなす繊維の屈曲角が0~60°であることを特徴とする、前記発明(1)の熱可塑性樹脂複合材である。
本発明(3)は、
前記熱可塑性樹脂複合材は、前記セルロース繊維と前記熱可塑性樹脂の質量による組成比が、60:40~20:80であることを特徴とする、前記発明(1)又は(2)の熱可塑性樹脂複合材である。
本発明(4)は、
前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリサルホン樹脂、変性PPO樹脂、ポリエステル樹脂のいずれかを含むことを特徴とする、前記発明(1)~(3)のいずれかの熱可塑性樹脂複合材である。
本発明(5)は、
セルロース繊維と、熱可塑性樹脂と、を含む熱可塑性樹脂複合材粒子であって、
前記セルロース繊維の平均繊維長は、10~400μmであり、
前記セルロース繊維の平均繊維径は、1~50μmであり、
前記セルロース繊維の含有量は、前記熱可塑性樹脂の質量と前記セルロース繊維の質量の和を100質量%とした場合に、20~80質量%であり、
前記セルロース繊維は、実質的に前記熱可塑性樹脂複合材粒子の軸方向に配向していることを特徴とする、熱可塑性樹脂複合材粒子である。
本発明(6)は、
前記熱可塑性樹脂複合材粒子は、230℃において、荷重を2.16kgfとして測定したメルトマスフローレイトが、5~30(g/10min)であることを特徴とする、前記発明(5)の熱可塑性樹脂複合材粒子である。
本発明(7)は、
前記セルロース繊維は、一方の端部における繊維の軸方向(A)と、他方の端部における軸方向(B)とがなす繊維の屈曲角が0~60°であることを特徴とする、前記発明(5)又は(6)の熱可塑性樹脂複合材粒子である。
本発明(8)は、
前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリサルホン樹脂、変性PPO樹脂、ポリエステル樹脂のいずれかを含むことを特徴とする、前記発明(5)~(7)のいずれかの熱可塑性樹脂複合材粒子である。
本発明(9)は、
前記発明(5)~(8)のいずれかの熱可塑性樹脂複合材粒子を成形加工して得られることを特徴とする成形物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、セルロース繊維を含み、強度等の機械的特性に優れた成形物を得ることができ、溶融時の流動性に優れることで成形加工性に優れた熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、屈曲していないセルロース繊維を説明する説明図である
図2図2は、屈曲角を有する(屈曲している)セルロース繊維を説明する説明図である
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願において、「熱可塑性樹脂複合材」とした記載した場合には、ペレットなどの粒子状のものに限られず、成形物などの「熱可塑性樹脂複合材」を加工したもの含むものとする。
【0014】
以下、本発明の熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子について説明する。
【0015】
1.熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子の構造
熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子の構造について以下に説明する。
【0016】
1-1.熱可塑性樹脂複合材の構造
本発明の熱可塑性樹脂複合材は、セルロース繊維と、相溶化剤とを含む。
【0017】
セルロース繊維と熱可塑性樹脂の質量による組成比が、10:90~80:20であり、好ましくは、20:80~40:60である。
【0018】
熱可塑性樹脂複合材は、熱可塑性樹脂複合材における任意の10箇所の断面の、単位面積当たりにセルロース繊維が占有する面積率の標準偏差(以降、単に、セルロース繊維が占有する面積率の標準偏差と記載する場合がある)が、15%以下であり、13%以下が好ましい。セルロース繊維が占有する面積率の標準偏差がかかる範囲にある場合には、溶融時の流動性に優れるため成形加工性により優れ、強度や弾性率等の機械的特性に優れた成形物を得ることが可能な熱可塑性樹脂複合材を得ることができる。
【0019】
セルロース繊維が占有する面積率の標準偏差は、以下の方法で測定するものとする。熱可塑性樹脂複合材を切断し、断面を形成し、その断面を、断面の鉛直上方より走査型電子顕微鏡を用いて、倍率250倍で観察し画像を撮影する。次に撮影した画像の熱可塑性樹脂複合材の断面表面上の所定の面積内における、鉛直上方から観察したセルロース繊維の占有面積を市販のソフトを用いて測定する。ここで熱可塑性樹脂複合材の断面表面上の所定の面積は、2.0×10μmとする。セルロース繊維の占有面積を可塑性樹脂複合材の断面表面上の所定の面積で除し、100を乗じた値を、熱可塑性樹脂複合材の断面におけるセルロース繊維の占有面積率とする(以降、単に、セルロース繊維の占有面積率と記載する場合がある)。同様の測定を熱可塑性樹脂複合材の任意の10箇所の断面について行い、得られた5つのセルロース繊維の占有面積率の標準偏差を算出し、セルロース繊維が占有する面積率の標準偏差とする。
【0020】
セルロース繊維が占有する面積率の標準偏差は、後述するセルロース繊維と熱可塑性樹脂を混錬する際の混錬手段の回転数及びスクリューパターンを変えることで調整するができる。
【0021】
本発明の熱可塑性樹脂複合材の形状、大きさは、特に限定されないが、例えば、射出成型等に用いる場合には、ペレット状の粒子が好ましく、その大きさは直径、長軸長又は最大辺長が0.5~10mm程度の球形、楕円球形、円柱状、多角柱状、円錐状、多角錘状などとすることができる。また、本発明において、これら熱可塑性樹脂複合材を用いて成形加工などした成形物も熱可塑性樹脂複合材に含むが、その場合の形状は、所望の形状とすることができる。
【0022】
セルロース繊維と熱可塑性樹脂の質量による組成比が、10:90~80:20であり、好ましくは、20:80~60:40である。かかる範囲にある場合には、溶融時の流動性に優れるため成形加工性に優れ、強度や弾性率等の機械的特性に優れた成形物を得ることが可能な熱可塑性樹脂複合材を得ることができる。
【0023】
本実施形態の熱可塑性樹脂複合体に含まれるセルロース繊維は、繊維径が1~50μmの繊維のみを実質的に含むことが好ましい。繊維径が前記範囲にある場合には、溶融時の流動性に優れるため成形加工性に優れ、強度や弾性率等の機械的特性に優れた成形物を得ることが可能な熱可塑性樹脂複合材を得ることができる。
【0024】
熱可塑性樹脂複合体において、セルロース繊維が繊維径1~50μmの繊維のみを実質的に含むとは、以下の方法で熱可塑性樹脂複合体中のセルロース繊維の繊維径を測定した際に、繊維径が1~50μmであるセルロース繊維以外のセルロース繊維が検出されないことを示す。
また、別の表現によれば、セルロース繊維は、繊維径が1~50μmの繊維のみを含むことが好ましい。セルロース繊維が繊維径1~50μmの繊維のみを含むとは、本発明の熱可塑性樹脂複合体を、X線CT分析装置を用いて撮影し、全てのセルロース繊維の繊維径を測定した場合において、セルロース繊維の繊維径(全てのセルロース繊維の繊維径)が、1~50μmの繊維のみであることを示す。
セルロース繊維の繊維径は、熱可塑性樹脂複合体を、X線CT分析装置を用いて撮影し、全ての繊維の繊維径(楕円形状の場合は長軸長さ、多角形の場合は最長辺長さとする)を測定して行う。X線CT分析装置は、以下の観察条件で測定する。
分析装置: Rigaku 高分解能3DX線顕微鏡nano3DX
測定条件: X線源Cu(40kV、30mA)
解析ソフト:Dragonfly Object Research Systems社製
画像サイズ:347.7×763.2μm 厚さ 654μm
【0025】
セルロース繊維の繊維径は、後述するセルロース繊維と熱可塑性樹脂を混錬する際の混錬手段の回転数及びスクリューパターンによる負荷、又は、セルロース繊維の配合比率を変えることで調節することができる。
【0026】
本発明の熱可塑性樹脂複合体に含まれるセルロース繊維は、繊維長が10~400μmの繊維のみを実質的に含むことが好ましく、繊維長が10~350μmの繊維のみを実質的に含むことがより好ましい。繊維長が前記範囲にある場合には、溶融時の流動性に優れるため成形加工性に優れ、強度や弾性率等の機械的特性に優れた成形物を得ることが可能な熱可塑性樹脂複合材を得ることができる。
【0027】
熱可塑性樹脂複合体において、セルロース繊維が、繊維長10~400μmの繊維(繊維長10~350μmの繊維)のみを実質的に含むとは、以下の方法で熱可塑性樹脂複合体中のセルロース繊維の繊維長を測定した際に、繊維長が10~400μm(10~350μm)であるセルロース繊維以外のセルロース繊維が検出されないことを示す。
また、別の表現によれば、セルロース繊維は、繊維長が10~400μm(10~350μm)の繊維のみを含むことが好ましい。セルロース繊維が繊維長10~400μm(10~350μm)の繊維のみを含むとは、本発明の熱可塑性樹脂複合体を、X線CT分析装置を用いて撮影し、全てのセルロース繊維の繊維長を測定した場合において、セルロース繊維の繊維長(全てのセルロース繊維の繊維長)が、10~400μm(10~350μm)の繊維のみであることを示す。
セルロース繊維の繊維長は、熱可塑性樹脂複合体を、X線CT分析装置を用いて撮影し、全ての繊維の繊維長を測定して行う。X線CT分析装置は、以下の観察条件で測定する。
分析装置: Rigaku 高分解能3DX線顕微鏡nano3DX
測定条件: X線源Cu(40kV、30mA)
解析ソフト:Dragonfly Object Research Systems社(カナダ)製
画像サイズ:347.7×763.2μm 厚さ 654μm
【0028】
セルロース繊維の繊維長は、後述するセルロース繊維と熱可塑性樹脂を混錬する際の混錬手段の回転数及びスクリューパターンによる負荷、又は、セルロース繊維の配合比率を変えることで調節することができる。
【0029】
セルロース繊維の、一方の端部における繊維の軸方向と他方の端部における軸方向とが、なすセルロース繊維の屈曲角は、0~60°とすることができ、0~50°が好ましく、0~40°がより好ましい。セルロース繊維の屈曲角が前記範囲にある場合には、セルロース繊維同士の絡み合いが少なくなり、溶融時の流動性に優れるため成形加工性に優れ、強度や弾性率等の機械的特性に優れた成形物を得ることが可能な熱可塑性樹脂複合材を得ることができる。
【0030】
以下において、セルロース繊維の屈曲角について、図1及び図2に基づいて説明する。図1は、屈曲していない(屈曲角が0°の)場合の、セルロース繊維を示す斜視図(図1(a))と、セルロース繊維を示す上面図(図1(b))である。セルロース繊維1は一方の端部10と、他方の端部12を有する。一方の端部10と他方の端部12は任意で決定できる。一方の端部10における軸方向11を軸方向(A)とする。また、他方の端部12における軸方向13を軸方向(B)とする。なお、軸方向(A)は、一方の端部を基準として、一方の端部10から繊維側に向かう方向(図中の矢印の方向)を正の方向とし、0°とする。また、軸方向(B)は、他方の端部を基準として、繊維側から他方の端部に向かう方向(図中の矢印の方向)を正とし、0°とする。図1(a)及び(b)において、軸方向11(軸方向(A))と軸方向13(軸方向(B))は、同一の方向であり、重なっている。即ち、屈曲角は0°であり、繊維は直線状である。
【0031】
図2は、屈曲している場合、即ち、屈曲角を有する場合の、セルロース繊維を示す斜視図(図2(a))とセルロース繊維を示す上面図(図2(b))である。図1の場合と同様に、セルロース繊維2は一方の端部20と、他方の端部22を有する。一方の端部20と他方の端部22は任意で決定できる。一方の端部20における軸方向21を軸方向(A)とする。また、他方の端部22における軸方向23を軸方向(B)とする。なお、図2(b)の上面図は、軸方向21及び軸方向23を含む平面の法線方向から観察した上面図とする。軸方向(A)は、一方の端部を基準として、一方の端部20から繊維側に向かう方向(図中の矢印の方向)を正の方向とし、0°とする。また、軸方向(B)は、他方の端部を基準として、繊維側から他方の端部に向かう方向(図中の矢印の方向)を正とし、0°とする。図2(a)及び(b)において、軸方向21(軸方向(A))と軸方向23(軸方向(B))は、それぞれの正の軸方向のなす角(図中α)を屈曲角と定義する。
【0032】
セルロース繊維の屈曲角は、セルロース繊維の繊維径と繊維長のバランスを調整することで、調整するができる。
【0033】
1-2.熱可塑性樹脂複合材粒子の構造
本発明の熱可塑性樹脂複合材粒子は、セルロース繊維と、熱可塑性樹脂と、を含む。
【0034】
熱可塑性樹脂複合材粒子は、柱状の粒子である。ここで、柱状とは、円柱状、楕円柱状、多角形柱状に限られず、一般的に柱状であるとされる形状を含む。
【0035】
熱可塑性樹脂複合材粒子の形状は、好ましくは、直径、長軸長又は最大辺長が0.5~10mmである。熱可塑性樹脂複合材粒子の形状は、例えば、スケールや光学顕微鏡などを用いて観察、測定することができる。
【0036】
熱可塑性樹脂複合材粒子は、230℃において、荷重を2.16kgfとして測定したメルトマスフローレイト(以降、MRFと略して記載する場合がある)が、5~30g/10minであることを特徴とする。メルトマスフローレイトは、特に、成形加工性に影響し、よりメルトマスフローレイトが大きいと成形加工性が向上するため好ましく、上限値としては、一般的な熱可塑性樹脂単独のメルトマスフローレイトと、セルロース繊維と熱可塑性樹脂との組成比の範囲と、の組み合わせにより、30g/10minである。
【0037】
メルトマスフローレイトの測定方法は、JIS K7210-1:2014「プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方-第1部:標準的試験方法」に記載の方法を用いて測定する。測定条件は、230℃において、荷重を2.16kgfとして測定する。
【0038】
セルロース繊維の含有量は、熱可塑性樹脂の質量とセルロース繊維の質量の和を100質量%とした場合に、20~80質量%であり、40~70質量%が好ましい。かかる範囲にある場合には、セルロース繊維の配向性を高めることが可能となり、溶融時の流動性に優れるため成形加工性に優れ、強度や弾性率等の機械的特性に優れた成形物を得ることが可能な熱可塑性樹脂複合材粒子を得ることができる。
【0039】
また、熱可塑性樹脂複合材粒子の全質量を100質量%とした場合には、熱可塑性樹脂の質量とセルロース繊維の質量の和は、90~99.9質量%であり、95~99.5質量%が好ましく、97~99質量%がより好ましい。かかる範囲にある場合には、溶融時の流動性に優れるため成形加工性に優れ、強度や弾性率等の機械的特性に優れた成形物を得ることが可能な熱可塑性樹脂複合材粒子を得ることができる。
セルロース繊維の平均繊維長は、10~400μmであり、好ましくは10~350μmである。平均繊維長が前記範囲にある場合には、溶融時の流動性に優れるため成形加工性に優れ、強度や弾性率等の機械的特性に優れた成形物を得ることが可能な熱可塑性樹脂複合材粒子を得ることができる。
【0040】
セルロース繊維の平均繊維長は、本発明の熱可塑性樹脂複合体粒子に含まれるセルロース繊維を、無作為に50本選択し、走査型電子顕微鏡を用いて撮影して、セルロース繊維の繊維長を測定し、それらの数平均を算出して得る。
【0041】
セルロース繊維の平均繊維長は、後述するセルロース繊維と熱可塑性樹脂を混錬する際の混錬手段の回転数及びスクリューパターンによる負荷、又は、セルロース繊維の配合比率を変えることで調節することができる。
【0042】
セルロース繊維の平均繊維径は、1~50μmである。平均繊維径がかかる範囲にある場合には、溶融時の流動性に優れるため成形加工性に優れ、強度や弾性率等の機械的特性に優れた成形物を得ることが可能な熱可塑性樹脂複合材粒子を得ることができる。
【0043】
セルロース繊維の平均繊維径は、本発明の熱可塑性樹脂複合体粒子に含まれるセルロース繊維を、無作為に50本選択し、走査型電子顕微鏡を用いて撮影して、セルロース繊維の、直径(楕円形状の場合は長軸長さ、多角形の場合は最長辺長さとする)を測定し、それらの数平均を算出して得る。
【0044】
セルロース繊維の平均繊維径は、後述するセルロース繊維と熱可塑性樹脂を混錬する際に混錬手段の回転数及びスクリューパターンによる負荷、又は、セルロース繊維の配合比率を変えることで、調整するができる。
【0045】
セルロース繊維は、熱可塑性樹脂複合材粒子の軸方向に対して、実質的に配向していることが好ましい。本発明において、セルロース繊維が熱可塑性樹脂複合材粒子の軸方向に対して実質的に配向しているとは、セルロース繊維の最も長い直線部分の軸方向(x)と、熱可塑性樹脂複合材粒子の軸方向(y)と、がなす角度(以降、配向角と記載する場合がある)が、±30°以内(又は、±150°)であるものとする。ここで、配向角は、セルロース繊維の最も長い直線部分の軸方向(x)と、熱可塑性樹脂複合材粒子の軸方向(y)がなす角度の小さい値の角度とする。
セルロース繊維の熱可塑性樹脂複合材粒子の軸方向に対する配向性は、より具体的には、以下のように決定するものとする。熱可塑性樹脂複合材粒子の軸方向の断面内(熱可塑性樹脂複合材粒子の軸方向と、断面の法線方向が直交する任意の断面)に含まれるセルロース繊維のうち、その繊維長が50~400μmであるものを無作為に50個選択し、熱可塑性樹脂複合材粒子の軸方向と、選択した50個のセルロース繊維の最も長い直線部分の軸方向と、がなす配向角を測定する。これら測定したセルロース繊維の配向角が、±30°以内であるものの割合が、選択した50個のセルロース繊維に対して80%以上(即ち、40個以上)であるものを配向しているものとする。このようなセルロース繊維の配向角が±30°以内であるものの割合が、選択した50個のセルロース繊維に対して、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。このように、このようなセルロース繊維の配向角が±30°以内であるものの割合が、選択した50個のセルロース繊維に対して、多く存在すると、セルロース繊維の絡まりが抑制されるため、溶融時の流動性に優れるため成形加工性に優れ、強度や弾性率等の機械的特性に優れた成形物を得ることが可能な熱可塑性樹脂複合材粒子を得ることができる。これらのセルロース繊維の繊維長及び配向角の測定はX線CT分析装置を用いて観察する。
【0046】
セルロース繊維の熱可塑性樹脂複合材粒子の軸方向に対する配向性は、セルロース繊維長、又は、後述する造粒時のストランドカットの方法を変えることで、調整するができる。
【0047】
セルロース繊維の、一方の端部における繊維の軸方向と他方の端部における軸方向とが、なすセルロース繊維の屈曲角は、0~60°とすることができ、0~50°が好ましく、0~40°がより好ましい。セルロース繊維の屈曲角が前記範囲にある場合には、セルロース繊維同士の絡み合いが少なくなり、溶融時の流動性に優れるため成形加工性に優れ、強度や弾性率等の機械的特性に優れた成形物を得ることが可能な熱可塑性樹脂複合材粒子を得ることができる。
【0048】
以下において、セルロース繊維の屈曲角について、図1及び図2に基づいて説明する。図1は、屈曲していない(屈曲角が0°の)場合の、セルロース繊維を示す斜視図(図1(a))と、セルロース繊維を示す上面図(図1(b))である。セルロース繊維1は一方の端部10と、他方の端部12を有する。一方の端部10と他方の端部12は任意で決定できる。一方の端部10における軸方向11を軸方向(A)とする。また、他方の端部12における軸方向13を軸方向(B)とする。なお、軸方向(A)は、一方の端部を基準として、一方の端部10から繊維側に向かう方向(図中の矢印の方向)を正の方向とし、0°とする。また、軸方向(B)は、他方の端部を基準として、繊維側から他方の端部に向かう方向(図中の矢印の方向)を正とし、0°とする。図1(a)及び(b)において、軸方向11(軸方向(A))と軸方向13(軸方向(B))は、同一の方向であり、重なっている。即ち、屈曲角は0°であり、繊維は直線状である。
【0049】
図2は、屈曲している場合、即ち、屈曲角を有する場合の、セルロース繊維を示す斜視図(図2(a))とセルロース繊維を示す上面図(図2(b))である。図1の場合と同様に、セルロース繊維2は一方の端部20と、他方の端部22を有する。一方の端部20と他方の端部22は任意で決定できる。一方の端部20における軸方向21を軸方向(A)とする。また、他方の端部22における軸方向23を軸方向(B)とする。なお、図2(b)の上面図は、軸方向21及び軸方向23を含む平面の法線方向から観察した上面図とする。軸方向(A)は、一方の端部を基準として、一方の端部20から繊維側に向かう方向(図中の矢印の方向)を正の方向とし、0°とする。また、軸方向(B)は、他方の端部を基準として、繊維側から他方の端部に向かう方向(図中の矢印の方向)を正とし、0°とする。図2(a)及び(b)において、軸方向21(軸方向(A))と軸方向23(軸方向(B))は、それぞれの正の軸方向のなす角(図中α)を屈曲角と定義する。
【0050】
セルロース繊維の屈曲角は、セルロース繊維の繊維径と繊維長のバランスを調整することで、調整するができる。
【0051】
2.熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子の原料
本発明の熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子の原料について以下に説明する。について以下に詳述する。
【0052】
2-1.熱可塑性樹脂
本発明の熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子は、熱可塑性樹脂をバインダー層とする。熱可塑性樹脂としては、発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されず、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリサルホン樹脂、変性PPO樹脂、ポリエステル樹脂を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。溶融時の流動性に優れるため成形加工性により優れ、強度や弾性率等の機械的特性により優れた成形物を得ることが可能な熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子を得ることができる観点で、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂が好ましく、ポリプロピレン樹脂が強度や弾性率等の機械的特性により優れた成形物を得ることが可能な熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子を得ることができる観点で、より好ましい。
【0053】
2-2.セルロース繊維
本発明にかかるセルロース繊維は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。即ち、パルプを解繊することによって得られる後述する本発明の熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子の好適な製造方法では、パルプを粉砕(解繊)し、セルロース繊維とするため、パルプ由来のセルロース繊維が好ましい。パルプは、セルロース繊維に解繊されるが、本発明の熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子は、解繊後の複数のセルロース繊維が、集合した集合体となったものを含んでもよい。
【0054】
本発明にかかるパルプとしては、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されず、原料の観点で木材パルプ、非木材パルプのいずれでもよく、製造方法の観点で機械パルプ、化学パルプのいずれでもよい。
【0055】
木材パルプとしては、モミやマツなどの針葉樹、ユーカリやポプラなどの広葉樹からなるMP、CP、GP、RGP、CGP、SP、AP、KP、SCP等が挙げられ、これらは未晒しパルプでも晒しパルプでもよい。
【0056】
非木材パルプとしては、木材以外の天然繊維としては、木綿;わら;竹;エスパルト;バガス;リンター;ケナフ;マニラ麻、亜麻、麻、黄麻などの麻系のパルプ;雁皮;等を挙げることができ、その他として古紙や裁落を原料とする古紙パルプを挙げることができる。
【0057】
パルプは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、針葉樹、広葉樹、木綿、麻系のパルプが好ましく、針葉樹及び広葉樹の由来のパルプがより好ましい。これらのパルプは、溶融時の流動性に優れるため成形加工性により優れ、強度や弾性率等の機械的特性により優れた成形物を得ることが可能な熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子を得ることができる。また、針葉樹由来のパルプは、臭い、色の発生源となるリグニン、ヘミセルロース等が少なく、これらの除去処理が比較的容易で製造工程が簡易なものとすることができるため、好ましい。
【0058】
2-3.相溶化剤
本発明の熱可塑性樹脂複合材は、相溶化剤を含む。また、本発明の熱可塑性樹脂複合材粒子は、相溶化剤を含むことができる。
【0059】
相溶化剤は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されず、セルロース繊維と熱可塑性樹脂の組み合わせによって選択することができる。相溶化剤は、相対的に疎水性の高い熱硬化性樹脂内において、相対的に親水性の高いセルロース繊維を分散させるために用いられる。そのため、相溶化剤は、無極性セグメントと極性セグメントを有するブロック共重合体であることが好ましい。ここで、無極性セグメントはオレフィン系セグメントであることが好ましい。また、本発明の熱可塑性樹脂複合材粒子は、相溶化剤を含まなくても、本発明の効果を得ることができるが、相溶化剤を含む場合には、よりセルロース繊維の分散性に優れることから、セルロース繊維同士の絡み合いが減少し、セルロース繊維が、熱可塑性樹脂複合材粒子の軸方向に配向しやすくなる。このため、溶融時の流動性に優れるため成形加工性により優れ、強度や弾性率等の機械的特性により優れた成形物を得ることが可能な熱可塑性樹脂複合材粒子を得ることができる。さらに、セルロース繊維と熱可塑性樹脂を混練する際に、セルロース繊維が熱可塑性樹脂内で容易に分散するため、製造が容易となる。
【0060】
ここで、オレフィン系セグメントはオレフィン系モノマーが重合又はオレフィン系モノマーとスチレン系モノマーとが共重合したセグメントである。オレフィン系モノマーとしては、エチレン、プロピレン、メチルペンテン、ブタジエン、ノルボルネン誘導体などを挙げることができる。オレフィン系モノマーは、1種類だけ用いてもよいし、2種類以上用いてもよい。
【0061】
また、極性セグメントはエステル系セグメント又はスチレン系セグメントであることが好ましい。
【0062】
エステル系セグメントは、アルコール系モノマーと酸系モノマーが縮重合したセグメントである。
【0063】
アルコール系モノマーとしては、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール等のα,ω-アルキレンジオール(C2~C12)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族二価アルコール類、グリセリン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、単糖類、二糖類、開環糖、変性糖などの糖類等の多価アルコール類、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン等のビスフェノール類、これらビスフェノール類の水酸基をポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等アルキレングリコールにより変性したもの、これらビスフェノール類の芳香環を水素添加したものなどが用いられる。
【0064】
酸系モノマーとしては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、オクチルコハク酸等の飽和脂肪族カルボン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸等の不飽和脂肪族カルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,3-ビシクロ[2,2,1]ジカルボン酸等の環状脂肪族カルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、無水1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、無水1,2,4-ブタントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、無水1,2,4-ナフタレントリカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸などが用いられる。
ここでカルボン酸は、酸ハライド、エステル、酸無水物であってもよい。これらのうち、高分子量を維持しつつ高変性化に成功した無水マレイン酸変性ポリプロピレンはフィラーとの接着性向上、かつ分子レベルの絡み合いが起こることにより、ポリオレフィン系複合材料の強度を引き出させることが可能となる。
【0065】
スチレン系セグメントは、スチレン系モノマーが重合又はスチレン系モノマーとアクリル系モノマーとが共重合したセグメントである。スチレン系モノマーとしては、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-エチルステレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、P-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロルスチレン、3,4-ジクロルスチレンなどを挙げることができる。
また、アクリル系モノマーとしては、例えば、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート-N-(エトキシメチル)アクリルアミド、エチレングリコールメタクリレート、4-ヘキサフルオロブチルメタクリレートなどを挙げることができる。これらのアクリル系モノマーは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。なお、これらモノマーは変性されたものであってもよい。
【0066】
また、相溶化剤には、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、その他のモノマーが重合されていてもよい。その他のモノマーとしては、ビニル系モノマー、例えば、ビニルエステル系モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル、ビニルエーテル系モノマーとしては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニルケトン系モノマーとしては、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン、ジエン系モノマーとしては、イソプレン、2-クロロブタジエン等のジエン系モノマー等を挙げることができる。
【0067】
相溶化剤の含有量は、本発明の効果が阻害されない限りにおいて特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子の全質量を100質量%とした場合に、0.1~10質量%とすることができ、0.5~5質量%が好ましく、1~3質量%がより好ましい。相溶化剤の含有量がかかる範囲にある場合には、溶融時の流動性に優れるため成形加工性に優れ、強度や弾性率等の機械的特性に優れた成形物を得ることが可能な熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子を得ることができる。
【0068】
3.熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子の製造方法
以下に、本発明の熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子の製造方法の好適例を説明する。本発明の熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子の製造方法はこれに限定されるものではない。パルプは、混練されたのち、セルロース繊維に解繊される。そのため、セルロース繊維の添加量としては、添加したパルプの添加量と等しくなる。
【0069】
3-1.粗粉砕工程
パルプは、熱可塑性樹脂と混合される前に、粗粉砕工程において、パルプ小片に粉砕される。パルプ小片の大きさとしては、特に限定されないが、混合の容易さや混練工程の時間短縮のため、パルプ小片の径又は最長辺が10~50mmとすることが好ましい。このような大きさとすることで、混練工程において、優れた分散性を示す。
【0070】
粗粉砕は、公知の方法を用いて行うことができ、例えば、ハンマーミル、カッターミルあるいはジェットミル等の粉砕機を用いる粉砕方法を挙げることができる。
【0071】
3-2.混練工程
上述の熱可塑性樹脂、パルプ小片及び相溶化剤は、混合されたのち、混練される。混合方法及び混練方法は特に限定されず、公知の方法で行うことができる。混練工程において、パルプ小片はセルロース繊維に粉砕(解繊)され、かつ、セルロース繊維は熱可塑性樹脂と混練される。
【0072】
混合方法としては、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンミキサーなどの攪拌機を用いる方法を挙げることができる。
【0073】
混練方法としては、2軸押出機による方法、バンバリーミキサーによる方法、加圧ローラによる方法などを用いる方法を挙げることができる。
【0074】
混練は、一般に加熱して行われるが、混練条件は特に限定されないが、加熱温度を熱可塑性樹脂の軟化点以上とすることが好ましい。このような温度とすることで、溶融時の流動性に優れるため成形加工性に優れ、強度や弾性率等の機械的特性に優れた成形物を得ることが可能な熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子を得ることができる。これにより樹脂とセルロース繊維との混練が進み、繊維塊りのない、均一分散された熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子を得ることができる。
【0075】
3-3.造粒工程
混錬工程により得られた混錬物は、造粒工程により粒子状(例えば、ペレット状)の熱可塑性樹脂複合材、又は、熱可塑性樹脂複合材粒子とされる。
【0076】
造粒方法としては、混練した樹脂を押出機によりダイスから吐出し、空冷下で回転刀によりペレット状に切断することで行われる。回転刀の回転数を調整することで、ペレットの切断長を変更できる。粒子形状は特に限定されず、例えば、多角柱状、円柱形状とすることができる。
【0077】
3-4.熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子の用途
本発明の熱可塑性樹脂複合材及び熱可塑性樹脂複合材粒子は、射出成型などの金型を用いて成形する方法や3Dプリンターによる成形方法等の成形物の原料として用いることができる。特に、微細な構造や複雑な構造を有する車両、機器、装置などの成形部品、コンテナ、パレット、プラスチックコア、建材などの工業用資材、日用品、雑貨に用いることが好適である。
【実施例
【0078】
<<実施例1~8及び比較例1~4>>
<熱可塑性樹脂複合材の作製>
(原料)
・熱可塑性樹脂
ポリプロピレン(ノバテック社製 MG03BD)
ポリエチレン(日本ポリエチレン社製UJ480)
・パルプ(セルロース繊維の原料)
針葉樹パルプ(キャンフォー社製 NBKP)
広葉樹パルプ(スザノ社製 LBKP)
・相溶化剤
相溶化剤(化薬アクゾ社製 カヤブリッド 002PP-NW)
【0079】
(各実施例及び比較例の熱可塑性樹脂複合材の作製)
パルプを表1に示した量を秤量し、粉砕機を用いて、パルプが、長さ40mm以下、幅10mm以下の小片となるまで、粗粉砕した。
得られたパルプの小片に、表1に示した質量比となるようパルプ小片と樹脂を配合した。さらに、得られたパルプ小片と、熱可塑性樹脂と、相溶化剤の混合物の全質量を100質量%とした場合に、相溶化剤が1質量%となるように相溶化剤を添加し、ドライブレンドして各実施例及び比較例の混合物とした。得られた各混合物を、二軸混練機(池貝社製 PCM30)を用いて、表2に示した製造方法i~viでそれぞれ溶融混練した。製造方法i~viの詳細は表2に示した。得られた各実施例及び比較例の混練物をホットカットし、各実施例及び比較例の熱可塑性複合材のペレットとした。表2における分散性とは以下の評価基準で判断した。
(分散性の評価基準)
◎:面積率の標準偏差が13%以下であるもの
〇:面積率の標準偏差が13%超、15%以下であるもの
△:面積率の標準偏差が15%超であるもの
×:面積率の標準偏差が測定できなかったもの
【0080】
得られた実施例1~8及び比較例1~4のペレットにおけるセルロース繊維の繊維径及び繊維長、任意の10箇所の断面の所定の面積当たりに前記セルロース繊維が占有する面積率の標準偏差、屈曲角の測定は上述の方法で行った。結果を表1に示した。比較例1及び4では、セルロース繊維の分散性が悪く(パルプの小片として存在しており、即ち、セルロース繊維に解繊されず凝集している状態であり)、セルロース繊維の繊維径及び繊維長、任意の10箇所の断面の所定の面積当たりに前記セルロース繊維が占有する面積率の標準偏差、屈曲角が測定できなかった。
【0081】
<<実施例9~29及び比較例5~10>>
<熱可塑性樹脂複合材粒子の作製>
(原料)
・熱可塑性樹脂
ポリプロピレン(ノバテック社製 MG03BD)
ポリエチレン(日本ポリエチレン社製UJ480)
・パルプ(セルロース繊維の原料)
針葉樹パルプ(キャンフォー社製 NBKP)
広葉樹パルプ(スザノ社製 LBKP)
木綿のパルプ(東邦特殊パルプ社製)
麻のパルプ(東邦特殊パルプ社製 フィリピンアバカパルプ)
・相溶化剤
相溶化剤(化薬アクゾ社製 カヤブリッド 002PP-NW)
【0082】
(実施例9~29及び比較例5~10の熱可塑性樹脂複合材粒子の作製)
パルプを表3及び表4に示した量を秤量し、粉砕機を用いて、パルプが、長さ40mm以下、幅10mm以下の小片となるまで、粗粉砕した。得られたパルプの小片に、表3及び表4に示した質量比となるようパルプ小片と樹脂を配合した。さらに、得られたパルプ小片と、熱可塑性樹脂と、相溶化剤の混合物の全質量を100質量%とした場合に、相溶化剤が1質量%となるように相溶化剤を添加し、ドライブレンドして各実施例及び比較例の混合物とした。得られた各混合物を、二軸混練機(池貝社製 PCM30)を用いて、フィード量5kg/h、回転数200rpm、混錬温度120~150℃の条件で混練した。得られた混練物を、長さ6mm、幅3mmの円柱状粒子として、下記A~Dの条件(造粒時における押出機からの樹脂の吐出条件)にてストランドカット(樹脂を押出機から細い棒状のまま吐出し、水に漬け冷やしてカットする方法)し、実施例9~29及び比較例5~10の熱可塑性樹脂複合材粒子とした。
A:樹脂を押出機から吐出し、大気中で1m程延伸した後、水に漬ける。
B:樹脂を押出機から吐出し、水に直ぐ漬け、延伸する。
C:樹脂を押出機から吐出し、水に直ぐ漬ける。(延伸せず)
D:樹脂を押出機から吐出する。(水に漬けず、延伸もしない。)
【0083】
実施例9~29及び比較例5~10の熱可塑性樹脂複合材粒子におけるセルロース繊維の平均繊維径及び平均繊維長、熱可塑性樹脂複合材粒子の軸方向と、熱可塑性樹脂複合材粒子の軸方向の断面の法線方向が直交する任意の断面に含まれるセルロース繊維のうち、その繊維長が50~400μmであるものを無作為に50個選択し、熱可塑性樹脂複合材粒子の軸方向と、選択した50個のセルロース繊維の最も長い直線部分の軸方向と、がなす配向角が±30°以内であるものの割合、屈曲角の測定は上述の方法で行った。結果を表3及び表4に示した。
【0084】
<<その他の測定>>
(メルトマスフローレイト)
各実施例及び比較例のペレットを、測定器(東洋精機社製:Melt Indexer F-F01)を用い、温度230℃、荷重2.16kgfを加えた時の流量を計測した。結果を表1、表3、表4に示した。
【0085】
(引張強度)
各実施例及び比較例のペレットを80℃、30分間乾燥器内で乾燥させ、射出成型機(日精樹脂工業社製:TD100-25ASE)を用い、シリンダー温度、ノズル温度ともに180℃の条件で樹脂を溶融させ、ダンベル形状試験片の形状の金型の内部に送り込み、冷却して成形体を得た。成形体の形状は、ダンベル形状試験片とし、JIS Z2201:1968で規定している板状試験片寸法とした。得られた各ダンベル形状試験片をインストロン型材料試験機(島津製作所社製:オートグラフAG25 TA)を用い、クロスヘッド速度を50mm/minとして、破断した際の荷重から引張強度を測定した。測定結果を表1、表3、表4に示した。
【0086】
(曲げ強度)
各実施例及び比較例のペレットを上述した引張強度と同じ試験片を準備した。得られた各ダンベル形状試験片をインストロン型材料試験機(株式会社 エー・アンド・デイ製 RTC-2410、ロードセル5kN)を用い、支点間距離60mmとして、試験片の平面の中央部に半径5mmの圧子を接触させて荷重を付加し、破断した際の荷重から曲げ強度測定した。なお、圧子による荷重の負荷は、試験片の厚み方向と平行になるように試験片を設置し、クロスヘッド速度を2mm/minとして曲げ強度を測定した。測定結果を表1、表3、表4に示した。
【0087】
(荷重たわみ温度(HDT))
金型を、JIS K7191:2007「プラスチック-荷重たわみ温度の求め方-第1部:通則」に規定されている試験片形状(長さ80±2.0mm×幅10±0.2mm×厚さ4±0.2mm)用のものに変更した以外は、引張強度の試験片の作成方法と同様にして、各実施例及び比較例の試験片を作成した。荷重たわみ温度の測定は、HDT試験装置(東洋精機製作所社製 3M-2)を用いて行った。測定条件は、測定開始温度を60℃、昇温速度を2℃/min、負荷する曲げ応力を0.45MPaとし、たわみ量が0.34mmに達した際の温度を荷重たわみ温度として測定した。結果を表1、表3、表4に示した。
【0088】
(成形加工性)
各実施例及び比較例のペレットを用い、温度180℃、射出出力800~1000MPa、金型温度60℃の成形条件下で射出成形し、全長174.25mm、幅20.5mm、厚さ4mmのダンベル試験片を作製した。
(評価基準)
◎:ダンベル試験片が正常に成形できる
〇:設定した条件では途中までしか成形できないが、圧力を1500MPaまで上げて成形できる
△:圧力変更後も途中までしか成形できないが、温度を200℃まで上昇させると成形できる
×:ゲートで詰まってしまい、成形できない
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
表2のNDWはニーディングディスクWを用い、NDLニーディングディスクLを用い、NDRはニーディングディスクRを用いたことを示し、NDWはニーディングの強さが相対的に強い条件であり、NDLはニーディングの強さが相対的に中程度の条件であり、NDRはニーディングの強さが相対的に弱い条件であることを意味する。表2の分散性は、各製造条件にて作製したペレットの断面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察し、以下の評価基準で評価したものである。
【0092】
【表3】
【0093】
【表4】
なお、比較例8は成形加工ができず、比較例9は成形加工性が悪く、評価ができなかった。
【符号の説明】
【0094】
1 屈曲していないセルロース繊維
2 屈曲しているセルロース繊維
10 一方の端部(任意)
11 一方の端部の軸方向(軸方向(A))
12 他方の端部(任意)
13 他方の端部の軸方向(軸方向(B))
α 屈曲角

図1
図2