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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】レーザセンサ
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/06 20060101AFI20250110BHJP
   H01S 5/022 20210101ALI20250110BHJP
   H01S 5/024 20060101ALI20250110BHJP
   H01S 3/04 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
H01S3/06
H01S5/022
H01S5/024
H01S3/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021535405
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(86)【国際出願番号】 JP2020029151
(87)【国際公開番号】W WO2021020475
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-07-25
(31)【優先権主張番号】P 2019140436
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 智之
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴代
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-027236(JP,A)
【文献】特開2011-040537(JP,A)
【文献】特開平10-148571(JP,A)
【文献】特開2012-222207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00-4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ媒質を含む板状のレーザ媒質体の表面および裏面に反射膜が形成された共振器と、
出射面から出射される光が、前記共振器の前記レーザ媒質体の端面に入射するように配置された半導体レーザ素子と
一体として備え
前記レーザ媒質体は、第1媒質からなる複数の領域、第2媒質からなる複数の領域、および透明材料からなる複数の透明領域を有し、
前記第1媒質および前記第2媒質は、前記レーザ媒質体からの励起レーザ光が入射する人体においてCARS光を励起させるそれぞれ異なる波長に利得を有し、
前記レーザ媒質体の出射側と反対の面に形成された反射膜は、前記共振器によって発振される励起光を反射し、前記CARS光を透過する波長選択反射膜であり、
前記波長選択反射膜に接して配置された、前記透明領域および前記波長選択反射膜を透過した前記CARS光を検出するため光検出器を更に備える、
レーザセンサ
【請求項2】
前記半導体レーザ素子の前記出射面は、前記レーザ媒質体の端面と接触しているか、あるいは光学素子または雰囲気を介して隣接している、
請求項に記載のレーザセンサ
【請求項3】
前記CARS光は、前記人体の血中のグルコースの分子振動により発生する、
請求項1または2に記載のレーザセンサ。
【請求項4】
前記共振器および前記半導体レーザ素子で発生する熱を冷却する冷却部材を更に備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載のレーザセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体レーザは通常、機械機構を利用して2枚の鏡を厳密に平行に配置した共振器の中にレーザ媒質を配置し、半導体光源やレーザ光源を励起源として組み合わせることで構成していた(特許文献1等)。そのため、装置は大型になり、さらに大型の電源も必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-15476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の固体レーザは小型電子デバイスと同等に利用できる程度の小型化は達成されていない。固体レーザの小型化が進めば、ウェアラブル端末への搭載やスマートフォン端末への搭載が行え、これまで固体レーザを使えなかったデバイスでの利用が可能となる。
【0005】
本発明は、従来よりも小型化が可能なレーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係るレーザ装置は、
レーザ媒質を含む板状のレーザ媒質体の表面および裏面に反射膜が形成された共振器と、
出射面から出射される光が、前記共振器の前記レーザ媒質体に入射するように配置された半導体レーザ素子と、
前記共振器および前記半導体レーザ素子で発生する熱を冷却する冷却部材と、
を一体として備える、ことを特徴とする。
【0007】
半導体レーザ素子は、出射面から出射される光が、前記共振器の前記レーザ媒質体の端面に入射するように配置されていてもよい。この場合、半導体レーザ素子の出射面とレーザ媒質体の端面は、接触していてもよいし、さらに接着されていてもよい。また、半導体レーザ素子の出射面とレーザ媒質体の端面は、その間に光学素子あるいは雰囲気を介して隣接して配置されてもよい。なお、半導体レーザ素子は、出射面から出射される光が、前記レーザ媒質対の表面または裏面に形成された反射面を介して前記レーザ媒質体に入射するように配置されてもよい。
【0008】
このような構成を採用することでレーザ装置の小型化が可能となる。
【0009】
また、レーザ媒質体は、第1媒質からなる複数の領域と第2媒質からなる複数の領域を有してもよい。また、媒質は3種類以上であってもよい。このような構成により、各媒質に対応した多波長のレーザ光を出力可能な、小型のレーザ装置が実現できる。
【0010】
また、本態様において、レーザ媒質体が波長可変なレーザ媒質を含み、共振器がレーザ媒質と反射膜の間に波長選択素子をさらに有してもよい。このような構成により、波長可変なレーザ装置が実現できる。
【0011】
また、本態様において、レーザ媒質体が透明材料からなる透明領域を有し、レーザ媒質体の出射側と反対の面に形成された反射膜は、共振器によって発振される波長(周波数)の光を反射し、それ以外の波長の少なくとも一部を透過する波長選択反射膜であってもよい。さらに、レーザ装置は、波長選択反射膜に接して配置された、前記波長選択反射膜を透過した光を検出するため光検出器を備えてもよい。
【0012】
このような構成のレーザ装置によれば、レーザ光の照射と入射光の測定を同時に行える。したがって、ラマン測定のように照射するレーザ光と異なる波長の光を検出する測定に好適に利用できる。
【0013】
本発明の第二の態様は、レーザ装置の製造方法であり、
板状のレーザ媒質体に半導体レーザ素子の出射面が接触あるいは光学素子または雰囲気を介して隣接するように、前記半導体レーザ素子と前記レーザ媒質体を配置する第1工程と、
前記レーザ媒質体の第1面および前記第1面と反対の第2面に反射膜を形成する第2工程と、
前記第1工程と前記第2工程の後に、前記レーザ媒質体および前記半導体レーザ素子で発生する熱を冷却する冷却部材を前記反射面の少なくとも一方および前記半導体レーザ素子に設ける第3工程と、
を含むことを特徴とする。
【0014】
本態様において、
前記レーザ媒質体を用意する工程をさらに含み、当該工程は、
レーザ媒質と透明材料とを交互に積層して第1積層体を生成する工程と、
前記第1積層体を積層方向と平行な面で複数の部分に切断する工程と、
前記切断された複数の部分を並び替えて第2積層体を生成する工程と、
前記第2積層体を積層方向と平行な面で切断して複数の前記レーザ媒質体を得る工程と、
を含んでもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、小型のレーザ装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態のレーザ装置を示す図。
図2】第2実施形態のレーザ装置を示す図。
図3】第2実施形態のレーザ結晶体の製造方法を説明する図。
図4】第2実施形態のレーザ結晶体の製造方法を説明する図。
図5】第3実施形態のレーザ装置を示す図。
図6】第4実施形態のレーザセンサを示す図。
図7】第1実施例に係るラマン測定装置の構成を示す図。
図8】第1実施例に係るラマン測定装置による測定結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照しながら、この発明を実施するための形態を説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。
【0018】
<実施形態1>
本実施形態は、ウェアラブル用途にも利用可能な小型の固体レーザ装置1である。図1Aおよび図1Bは、本実施形態に係るレーザ装置1の側面図および平面図である。
【0019】
図に示すように、本実施形態にかかるレーザ装置1は半導体レーザ素子(LD素子)10、共振器20、およびヒートシンク40を含んで構成される。共振器20は、レーザ媒質21とその上下面に形成された反射膜31,32を含んで構成される。
【0020】
LD素子10は、N型半導体層、発光層(P-N接合活性層)、P型半導体層が積層された構成を有する。活性層の材料は、用途に応じてAlGaAs,InGaAsP,AlGaInP,GaNなどの任意の材料から選択できる。LD素子10の出射面は、レーザ媒質21の端面に接着されている。本開示において、レーザ媒質21の端面とは、レーザ媒質21の表面のうち反射膜31,32が形成されていない表面を意味する。レーザ媒質21の端面は、レーザ媒質21の表面のうち反射膜31,32と直交する表面ともいえる。なお、LD素子10の出射面はレーザ媒質21の反射膜31または32に接着されていても構わない。
【0021】
レーザ媒質(利得媒質)21は、母体(結晶またはガラス)にレーザ作用する活性種がドープされたものである。結晶の例として、YAG、サファイヤ、ルビー、アレキサンドライトが挙げられる。レーザ作用活性種の例として、3価イオン(Cr3+,Nd3+、Ti3+など)が挙げられる。
【0022】
レーザ媒質21の出射面(透過面)および後端面(反射面)には反射膜31,32が形成されており、レーザ媒質21および反射膜31,32は、LD素子10からの入射光のうち特定波長の光をレーザ発振する共振器20として機能する。すなわち、LD素子10からのレーザ光により励起されたレーザ媒質21から発せられた光が反射膜31,32の間で往復し、特定の波長の光がレーザ発振して出射面から出射される。
【0023】
ヒートシンク40は、LD素子10および共振器20で発生する熱を放熱して、LD素子10および共振器20を冷却する冷却部材である。
【0024】
本実施形態にかかるレーザ装置1の製造方法について説明する。まず、板状のレーザ媒質21とLD素子10を用意して、LD素子10の出射面をレーザ媒質21の端面に接着する。その後、レーザ媒質21の両面に対して、例えば誘電体膜形成技術により反射膜31,32を形成して共振器20を得る。その後、LD素子10および共振器20の全体をヒートシンク40と接着することでレーザ装置1が得られる。
【0025】
このように、LD素子10、共振器20およびヒートシンク40を一体型としてレーザ装置1を構成することで、レーザ装置1を小型化できる。LD素子10をレーザ媒質21に接着することにより、小型のレーザ装置1が得られる。また、LD素子10と共振器20の冷却を1つのヒートシンク40によって同時に行うことでも小型化が達成できる。LD素子10は10~100μm×100μm程度の大きさであり、レーザ媒質21は1mm×1mm×数100μm程度の大きさなので、レーザ装置1全体としての大きさを1mm四方程度の大きさである。このように小型化が達成されると、携帯情報端末や腕時計(腕時計型携帯情報端末を含む)などへの搭載が可能となる。
【0026】
なお、本実施形態では、LD素子10の出射面とレーザ媒質21の端面を接着しているが、LD素子10の出射面から出射される光がレーザ媒質21の端面に入射される配置であればその他の構成であってもよい。例えば、LD素子10の出射面とレーザ媒質21の端面は、接着せずに単に接触するように配置されてもよい。また、LD素子10の出射面とレーザ媒質21の端面は、その間に光学素子や雰囲気を介して隣接して配置されてもよい。このようなレーザ装置1を製造する場合は、LD素子10の出射面をレーザ媒質21の端面に接着する代わりに、LD素子10の出射面をレーザ媒質21の端面が接触あるいは光学素子または雰囲気を介して隣接するようにLD素子10とレーザ媒質21を配置すればよい。上記の光学素子の例として、サファイヤや石英などの基板、レンズ、非線形光学結晶、過飽和吸収体が挙げられる。雰囲気は、空気であっても真空であってもよい。
【0027】
<実施形態2>
本実施形態は、多波長のレーザ光を出力するレーザ装置2である。図2Aおよび図2Bは、本実施形態にかかるレーザ装置2の側面図および平面図である。図に示すように、本実施形態のレーザ媒質体21は、第1レーザ媒質22、第2レーザ媒質23、および透明材料24を含んで構成される。第1レーザ媒質22と第2レーザ媒質23は、それぞれ異なる波長に利得を有する。なお、図2においてはヒートシンク40の記載を省略している。
【0028】
本実施形態にかかるレーザ装置2は、第1レーザ媒質22からなる領域から第1波長のレーザ光が出力し、第2レーザ媒質23からなる領域から第2波長のレーザ光が出力することが可能である。
【0029】
本実施形態にかかるレーザ結晶の製造方法について図3および図4を参照して説明する。図3Aに示すように、第1レーザ媒質22と第2レーザ媒質23の間に透明材料24を挟んで、複数の第1レーザ媒質22と第2レーザ媒質23を交互に積層および融着することにより、積層体26を得る。図3Bに示すように、積層体26を積層方向と平行な断面25で平板状の複数の部分に切断する。図3Cに示すように、切断された部分を並び替えて再度積層および融着して、積層体28を得る。図4Aに示すように積層体28を積層方向と平行な断面27で平板状の複数の部分に切断する。これにより、図4Bに示すような、第1レーザ媒質22と第2レーザ媒質23と透明材料24の複数の局所領域を有するレーザ結晶体21が得られる。
【0030】
なお、ここではレーザ媒質を2種類用いる例を示しているが、3種類以上のレーザ媒質を用いてもよい。また、ここでは透明材料24を用いているが、透明材料24は用いなくてもよい。図2B等に示した各領域の配置は一例に過ぎず配置方法は任意であってよい。
【0031】
<実施形態3>
本実施形態は、出力するレーザ光の波長を可変なレーザ装置3である。図5は、本実施形態にかかるレーザ装置3の側面図である。基本的な構成は実施形態1と同様であるが、レーザ媒質21の出射面と反射膜31の間に、波長選択素子29が設けられている点が異なる。波長選択素子29は、例えば、液晶波長可変フィルタを用いることができる。液晶波長可変フィルタに印加する電圧を調整することにより、出力するレーザ光の波長を制御可能である。なお、レーザ媒質には、波長可変固体レーザ媒質または広い波長範囲で発振する固体レーザ媒質を用いる。
【0032】
本実施形態によれば、出力するレーザ光の波長を変更可能な、小型のレーザ装置を実現できる。
【0033】
<実施形態4>
本実施形態はレーザ光の出力と検出を行うレーザセンサである。ここでは、CARS光(コヒーレント反ストークスマラン散乱光)を測定するためのレーザセンサを説明する。
【0034】
血糖値(血中グルコース濃度)を非侵襲に計測する方法として、2波長のレーザ光を人体に入射させて血中のグルコースの分子振動により発生するCARS光を計測する方法が知られている。
【0035】
健康管理のため血糖値を終日モニタリングできるウェアラブルな生体センサが求められているが、現状では終日装着可能な程度に小型な生体センサは得られていない。
【0036】
図6は、本実施形態にかかるレーザセンサ(生体センサ)4の構成を示す側面図である。本実施形態にかかるレーザセンサ4はLD素子10と、レーザ媒質体21、レーザ媒質体21の上下面に形成された反射膜31,32、ヒートシンク40、および光検出素子50から構成される。なお、図6では、ヒートシンク40の記載を省略している。
【0037】
レーザ媒質体21は、実施形態2と同様に、第1レーザ媒質22と第2レーザ媒質23と透明材料24を含んで構成される。第1レーザ媒質22と第2レーザ媒質23の発振波長は、CARS光の励起波長に等しい。
【0038】
本実施形態において、後端面に設けられる反射膜32は2波長コーティングにより形成された波長選択反射膜であり、レーザセンサ4が出力するレーザ光の波長(励起波長)の光は反射し、被写体から生じるCARS光は透過する。LD素子10からのレーザ光により励起された第1レーザ媒質22および第2レーザ媒質23から発せられた光が反射膜31,32の間で往復し、CARS光を励起するための2波長の光がレーザ発振して出射面から出射される。
【0039】
光検出素子50は波長選択反射膜32に接して設けられており、波長選択反射膜32を透過したCARS光を検出する。光検出素子50としてフォトダイオードやフォトトランジスタを利用できる。
【0040】
本実施形態にかかるレーザセンサ4を生体センサとして用いる場合には、以下のようにして使用する。まず、出射面を人体(被検体)に接触させて、出射面から照射される2波長の励起レーザ光を人体に入射させる。励起レーザ光の照射によって生じたCARS光(散乱光)は、レーザ媒質体21の透明材料24および波長選択反射膜32を透過して、光検出素子50によって検出される。
【0041】
このように、レーザ媒質体21に2つのレーザ媒質を用いることで、2つの波長のレーザ光を人体に入射することができる。また、レーザ媒質体21に透明材料を含ませることで、血中グルコースの分子振動により発生するCARS光を、レンズ(光学系)等を用いることなく光検出素子50で検出可能である。
【0042】
レーザセンサ4は小型(1辺1mm程度)であるので、腕時計型デバイスのようなウェアラブルデバイスに搭載可能であり、24時間の計測が可能となる。このように、本実施形態によれば、レーザを使った非侵襲かつ即時計測可能な血糖値計測ウェアラブルデバイスが実現可能である。また、波長と計算法を整えれば、脂質や酸素飽和度などその他の生体情報も測定可能である。
【0043】
<実施例1>
図を参照して、ラマンスペクトルを測定するためのラマン測定装置の実施例を説明する。
【0044】
図7は、本実施例に係るラマン測定装置100の構成を示す図である。ラマン測定装置100は、半導体レーザ素子(LD素子)101、共振器102、非線形光学結晶105、分離ミラー106、検出器107が、ヒートシンクを兼ねる基板108に搭載されて構成される。共振器102は、レーザ結晶103が2つのミラー膜104で挟まれた構造を有する。レーザ結晶103は、本実施例ではYAGである。LD素子101からは波長808nmのレーザ光が出射され、このレーザ光はミラー膜104を介して共振器102に入力される。共振器102は波長1064nmのレーザ光を発振して出射する。非線形光学結晶105は、本実施例ではKTP(KTiPO)結晶であり、2次高調波(波長532nm)を発生させる。分離ミラー106は波長532nmの2次高調波のみを透過する。
【0045】
生体センサから出力されるレーザ光110は、直径100μmの光ファイバー109を介してサンプルS(生体)に照射される。サンプルSで発生したラマン散乱光111は光ファイバー109を介して検出器107に入力される。検出器107は、波長選択フィルタ、分光器、CCD検出器を備え、所定の波数範囲のラマンシフト信号を検出する。
【0046】
図8は、本実施例に係るラマン測定装置100を用いてエタノール溶液のラマンシフトを測定した結果を示す図である。図示されるように、半径約100μmの微小領域から出射されるレーザーと、同様に約100μmの微小領域から得られる信号を取得することにより、本実施例に係るラマン測定装置100によりエタノール溶液に特徴的なラマンスペクトルを得ることができる。本発明はこの微小領域の積層を目的としている。
【符号の説明】
【0047】
1,2,3:レーザ出力装置 4:レーザセンサ(生体センサ)
10:半導体レーザ素子(LD素子) 20:共振器 21:レーザ媒質体
22:第1媒質 23:第2媒質 24:透明材料 31,32:反射膜
40:ヒートシンク 50:光検出素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8