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  • 特許-活性リン脂質膜及び関連の生成方法 図1
  • 特許-活性リン脂質膜及び関連の生成方法 図2
  • 特許-活性リン脂質膜及び関連の生成方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】活性リン脂質膜及び関連の生成方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 71/06 20060101AFI20250110BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20250110BHJP
   A61L 31/12 20060101ALI20250110BHJP
   A61L 31/16 20060101ALI20250110BHJP
   A61L 31/04 20060101ALI20250110BHJP
   A61L 31/06 20060101ALI20250110BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20250110BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20250110BHJP
   B01D 71/20 20060101ALI20250110BHJP
   B01D 71/50 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
B01D71/06
C07K16/00
A61L31/12
A61L31/16
A61L31/04 120
A61L31/06
B01D69/10
B01D69/12
B01D71/20
B01D71/50
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022506439
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 IB2020057186
(87)【国際公開番号】W WO2021019483
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】102019000013758
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521167729
【氏名又は名称】バイオミメシ エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】シノーポリ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】プグリエーセ,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】チプリアーニ,ダニエレ
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特許第2727469(JP,B2)
【文献】特許第2727468(JP,B2)
【文献】特開2014-029153(JP,A)
【文献】特開平05-007770(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02477158(GB,A)
【文献】国際公開第2018/203352(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
C07K 1/00-19/00
G01N 33/48-33/98
A61L 31/12
A61L 31/16
A61L 31/04
A61L 31/06
H01M 8/00- 8/0297
H01M 8/08- 8/2495
C08J 5/00- 5/02
C08J 5/12- 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性リン脂質膜(200)であって:
二重のリン脂質層と、
前記二重のリン脂質層を支持することで、前記活性リン脂質膜(200)の抵抗性を向上させるための、少なくとも第1及び第2の基体と
前記第1の基体に結合された、複数のモノクローナル抗体(202)と
記モノクローナル抗体(202)に結合された、複数の予め決められた活性リン脂質膜貫通分子(203)と、を備え、
複数の予め決められた前記分子(203)は、前記モノクローナル抗体に連結され、複数の予め決められた前記分子(203)は、前記第2の基体に定着し、モノクローナル抗体に順次連結される一連の予め決められた活性リン脂質膜貫通分子(203)を伴う二重のリン脂質層を作り出し、前記基体はグルコースを透過可能であり、前記活性リン脂質膜における2つの外面のレベルにおいて存在する、活性リン脂質膜(200)。
【請求項2】
前記基体は、硝酸セルロース、またはポリカーボネートで作られ、前記活性リン脂質膜(200)は、ゲル化剤を含んだ支持マトリクスの中に挿入されることを特徴とする、請求項1に記載の活性リン脂質膜(200)。
【請求項3】
前記基体は、硝酸セルロース、またはポリカーボネートで作られることを特徴とする、請求項1に記載の活性リン脂質膜(200)。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか一項に記載の活性リン脂質膜を生成する方法(100)であって、
二重のリン脂質層を形成するためにリン脂質を提供するステップと、
前記二重のリン脂質層を沈着させることができる、少なくとも第1及び第2の基体を提供するステップと、
DNA組み換え技術を使用して、前記二重のリン脂質層に挿入される、予め決められた膜貫通分子を、選択及び合成するステップと、
前記第2の基体に沈着された前記二重のリン脂質層の中に挿入されることになる、予め決められた前記分子のための、複数の予め決められたモノクローナル抗体を選択するステップ(101)と、
選択された前記モノクローナル抗体を、前記第1の基体に結合するステップ(102)と、
前記モノクローナル抗体に対して特有の親和性を有する、予め決められた分子を用いて、基体に固定されたモノクローナル抗体間の結合を促進させるステップ(103)と、
後続のステップ(105)において、抗体によって結合された予め決められた前記膜貫通分子を含んだ二重層にリン脂質が集まるのを可能にする、所定量の極性液体を挿入するステップ(104)と、
ステップ(104)で挿入された極性液体によって、抗体により結合された予め決められた膜に集められたリン脂質を加えるステップ(105)と、
活性リン脂質膜(200)を、ゲル化可能な寒天を含んだ液体の中に浸し、前記活性リン脂質膜(200)の構造に機械的支持を提供するステップと、を含む、方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は活性リン脂質膜に関する。
【0002】
加えて、本発明は活性リン脂質膜を生成する方法に関する。
【0003】
詳細には、本発明は、特定の膜貫通分子の挿入によって活性化された、活性リン脂質膜の二重の層を有するタイプの膜、及び関連の生成方法に関する。
【背景技術】
【0004】
公知のように、活性膜は、現在多くの技術分野に使用されている。主な適用分野のいくつかは、例えば特定の分子によって活性化された半透性膜が生成される、エネルギー部門、または生物医学部門である。
【0005】
アキュムレータの技術分野において、例えば、高密度の電荷を有し、かつ記憶効果を受けないリチウムイオンバッテリ、またはより高いエネルギー密度を有するが、過度の生成コストを有する銀亜鉛バッテリなどの、化学アキュムレータが以前から公知である。電気を生成するために細胞培養を使用する微生物発電機が、近年試験されている。
【0006】
アデノシン三リン酸依存性発電機/アキュムレータの技術は、細胞膜タンパク質の分子活性から抽出された電位差を使用する発想に基づいている。アデノシン三リン酸依存性発電機/アキュムレータを発展させるために、細胞の局所化及び前述の分子活性の発展を可能にする、二重のリン脂質膜または同じ効果の物質に包含された、一連の基礎構造または細胞を構築することが必要である。
【0007】
特定の細胞培養の分子活性を利用した、電気化学細胞の例は、米国特許出願公開第2010/178592号明細書に記載されており、それは外皮及び人工生体模倣膜を備えたデバイスに関する。この人工生体模倣膜は、外皮の内側に配置されて2つの別個のチャンバを形成する。各チャンバは、特定の組成の液体を囲み、生体模倣の人工膜は、脂質膜を支持するための半透性膜を備え、1層に配置された複数の脂質分子を備え、かつ少なくとも1つの輸送タンパク質を備えており、2つのチャンバ間のイオン及び/または液体分子の搬送に好適である。
【0008】
別の公知の膜は、米国特許出願公開第2007116610号明細書に記載されている。詳細には、リン脂質、タンパク質、及び多孔性基体または膜を含んだ、生体機能合成組成膜が記載されている。脂質二重層は、多孔性ポリカーボネート膜、ポリエチレンテレフタレート酸、及びポリ乳酸(PLLA)上に、ならびにプラスチック材料で作られたプレートにレーザを用いて穿孔した穴の中に、形成される。
【0009】
現在公知の膜生成方法の中で、以下のものが最も使用される:
-小胞の融合;
-ラングミュア・ブロジェット技術と小胞融合技術との組み合わせ。
【0010】
支持材料として作用する基体が装備された膜の場合における、いくつかの公知の支持体は:
-石英ガラス
-ホウケイ酸ガラス
-Not at all
-酸化ケイ素
-薄膜TiO2
-酸化インジウム錫
-金
-銀
-プラチナ、である。
【0011】
ディップペンナノリソグラフィすなわちDPNなどの、活性膜を生成する方法も、公知である。
【0012】
英国特許出願公開第2477158号明細書で報告された公知のソリューションは、充電ステーションを備えた太陽光発電デバイスを記載している。この充電ステーションは、正及び負それぞれの電解液を通過させるための、第1及び第2の通路;この通路において電解液を分離する膜;充電ステーションのそれぞれの通路と連通した第1及び第2の通路を含んだ放電ステーション、を備える。この放電ステーションは、外部負荷に接続するよう適応された電極;電解液を貯蔵するために放電ステーション通路に接続された、第1及び第2のリザーバ;ならびに、リザーバと、充電及び放電ステーションとの間で電解液をポンプ移動させるための、1つまたは複数のポンプ、を備える。充電ステーションは、太陽放射の入射によって照らされるよう配置され、膜は、支持構造に取り付けられた、光合成をする生物材料を備える。
【0013】
米国特許出願公開第2003/100019号明細書で報告された別のソリューションは、新しい人工の支持膜、ならびにこのような膜の調製方法、またはそれらの構成タンパク質及び脂質からの、細胞膜の再構築方法、記載している。このような膜は、二重層及び支持体との間の空間を作り出すリン脂質鎖(P)と、支持体に共有結合されて前述の空間に露出された、タンパク質特有の1つまたは複数のリガンド(L)と、によって支持体に装着された、脂質の二重層を備える。その発明は同様に、膜タンパク質の浄化及び/もしくは可逆的捕捉、または、さらにこれらタンパク質のいくつかと相互作用する成分を遮るのを可能にするような、膜の使用を説明する。その発明による膜は、毒性を評価するため、または反対にテスト化合物の治療効果を評価するために、さらに役立ち得る。その発明は、膜内のタンパク質とタンパク質との相互作用を分析するために特に有用であり、したがって、薬剤の発展候補となり、及び/または薬剤組成物に入れる分子の、毒性または有益な特性を分析するために、製薬産業におい利用され得る。バイオテクノロギーの分野、または薬物の分野において、このように支持された膜は、より効率的な生体材料の製造にも使用され得る。
【0014】
米国特許出願公開第2011/136022号明細書に説明された他のソリューションは、燃料細胞及びその生成方法を記載しており、そこでは、1つもしくは複数のタイプの酵素、または別の補酵素が微小空間に囲まれ、それによって電子は、微小空間を反応場として使用した酵素反応によって、効率的にグルコースなどの燃料から抽出され、電気エネルギーを生成し、そこで酵素または別の補酵素は、電極に容易に固定させることができる。酵素13及び14、ならびに酵素反応のために必要な補酵素15は、リポソーム12に囲まれる。リポソーム12は、酵素固定化電極を形成するために、多孔性カーボンなどから構成された電極の表面に固定される。抗生物質16は、リポソーム12を構築する二分子の脂質膜に結合され、グルコースに透過可能な、1つまたは複数の細穴17を形成する。酵素固定化電極は、例えばバイオ燃料細胞の負電極として使用される。
【0015】
最後に、Ashutosh Tiwariらによる文献「Part3 Systematic Bioelectronic strategies」は、二重層膜(BLM)のためのいくつかの組立技術を記載している。詳細には、支持体及び脂質の二重層に結合されたタンパク質を含んだタンパク質tBLM(ii)を伴う、拘束された二重層膜(tBLM)である。D4は、アガロースゲル上に二重層膜を形成する方法、及びこの膜を2つの支持体の間に挟む方法も開示している。支持体及びゲルクッションの、機械的安定性が開示されている。
【0016】
しかし、活性膜の合成には有用であるが、これらの方法は、材料のコスト及び生成手順の複雑性という、大きい制限を有する。
【0017】
さらに、公知の生成技術における課題の1つは、リン脂質面に対する活性分子の最大密度を保証することが困難であることである。
【0018】
さらに、現在公知の活性膜及び関連の生成方法は、活性膜に連結された分子の選択性または密度を、想定及び判断することができない。実際、現在公知の活性膜、及び関連の生成方法は、特定の膜貫通型分子の存在もしくは非存在を判断できず、または特定の分子に対する方形面単位ごとの密度の観点から、特定の範囲の代表性を判断することもできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】米国特許出願公開第2010/178592号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007116610号明細書
【文献】英国特許出願公開第2477158号明細書
【文献】米国特許出願公開第2003/100019号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/136022号明細書
【非特許文献】
【0020】
【文献】Ashutosh Tiwariらによる文献「Part3 Systematic Bioelectronic strategies」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、膜貫通において単位面積当たりの特定の密度を保証する、リン脂質の活性膜及び関連の生成方法を提供することである。
【0022】
本発明の別の目標は、二重層の活性リン脂質膜の生成方法を提供することであり、それは技術的に容易、効果的、かつ効率的であり、それによって先行技術を参照した現在の活性膜の製造方法にも影響を及ぼす制限に勝るような、特徴を有する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明によると、請求項1に定義されるような、活性リン脂質膜が提供される。
【0024】
本発明によると、請求項4に定義されるような、活性リン脂質膜を生成する方法が提供される。
【0025】
本発明をより良好に理解するために、次に純粋に非限定の例として、添付の図面を参照し、好ましい実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による活性リン脂質膜の組織を示す図である。
図2】本発明による活性リン脂質膜の、別の組織を示す図である。
図3】本発明による活性リン脂質膜を生成する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
これらの図面、特に図1を参照すると、本発明による活性リン脂質膜が示される。
【0028】
以下では、活性膜を、例えば交互の分極及び脱分極を介して電気を生成できる生体分子によって、活性化された膜を意味する。
【0029】
詳細には、本発明による活性リン脂質膜200は:
-二重のリン脂質層と;
-活性膜の抵抗性を向上させて二重のリン脂質層を支持する、少なくとも1つの支持体201または基体と;
-支持体201に結合され、膜200の中に挿入させる必要のある分子に応じて選択された、複数のモノクローナル抗体202と;
-モノクローナル抗体に結合された、予め決められた分子203と、
を備える。
【0030】
本発明の態様によると、活性リン脂質膜200は、好ましくは寒天などのゲル化剤によって構築された支持マトリクスの中に挿入される。活性リン脂質膜200は、この事例において寒天を含んだ液体に浸され、それはゲル化プロセスの最後において、膜自体の構造に機械的支持を提供する。
【0031】
このように有利には、活性リン脂質膜は安定化され、容易に搬送できる。
【0032】
本発明の態様によると、抗体が結合される支持体は、好ましくポリ塩化ビニル、硝酸セルロース、またはポリカーボネートで作ることができる。
【0033】
活性リン脂質膜200は、複数の支持体201または基体、好ましくは第1の基体及び第2の基体を備える。以下のステップを行なう:
-モノクローナル抗体を第1の基体に固定するステップ;
-膜貫通レベルで挿入される分子と、第1の基体に固定されたモノクローナル抗体との間を連結するステップ;
-リン脂質を第2の基体に沈着させるステップ;
モノクローナル抗体が結合した第1の基体と膜貫通レベルにおいて挿入される分子が第2の基体上に定着し、一連の膜貫通分子が順番にモノクローナル抗体に結合した二重またはリン脂質層が形成される。
この構造は、透過性支持体が、2つの外面のレベルにおいて存在することをもたらす。
【0034】
図3に示されるように、活性リン脂質膜を生成する方法100は、以下のステップを備える:
-二重のリン脂質層を提供するステップ;
-二重のリン脂質層を支持するための、少なくとも1つの支持体を提供するステップ;
-リン脂質の二重層の中に挿入される分子に特有の、モノクローナル抗体を選択するステップ101;
-前ステップにおいて選択されたモノクローナル抗体を、支持体または基体に装着するステップ102;
-モノクローナル抗体に対して特有の親和性を有する、予め決められた分子を用いて、支持体に固定されたモノクローナル抗体間の結合を促進させるステップ103;
-先のステップで得られ、かつモノクローナル抗体と、抗原基体とから構成されたシステムの中に、後続のステップ105において、抗体によって結合された分子を含んだ二重層にリン脂質が集まるのを可能にする、所定量の極性液体を挿入するステップ104;
-ステップ104で挿入された極性液体の存在のおかげで、抗体によって結合された分子のレベルにおいて、膜に集まるリン脂質を加えるステップ105。
【0035】
モノクローナル抗体は、それが分子と結合するが、分子の活性に対して機能的に干渉しないように、選択される。
【0036】
本発明の態様によると、ステップ102においてモノクローナル抗体が固定された支持体、または基体は、ポリ塩化ビニルまたは硝酸セルロースの層で構築される。
【0037】
本発明の態様によると、ステップ105において二重のリン脂質層が極性液体の上部に形成され、ここではそのレベルは精確に予め決められており、モノクローナル抗体によって固定された分子の高さは、そのとき膜貫通レベルに含まれることになる。
【0038】
有利には、本発明による活性リン脂質膜を生成する方法は、所望の機能を実施する分子を含むことによって活性化された膜を得ること、及び機械的な基体支持のおかげで容易に操作可能な活性膜を得ること、を可能にする。
【0039】
本発明の態様によると、ステップ101は、選択段階と、DNA組み換え技術によって、膜貫通レベルにおいて挿入される分子の合成段階と、によって先行される。
【0040】
ステップ101において選択されたモノクローナル抗体は、膜貫通レベルにおいて挿入される必要がある分子を結合することになるが、有利にはそれらは同じ分子の機能に影響を及ぼさない。そのため、モノクローナル抗体と分子との間の連結は、分子の活性部位のレベル、またはその機能性を変える場合がある部分のレベルにおいて、行なってはならない。
【0041】
本発明の態様によると、言及したステップによる活性膜の合成の最後において、抗体と、膜貫通レベルにおいて挿入された最後のサブユニットとの間の連結を維持すること、または破壊すること、が可能である。
【0042】
本発明による、活性リン脂質膜及び関連の生成方法の産業用途は、例えば発電機、ならびに車両及び日常で有用な電気システムにおけるエネルギー使用、または透析の分野で使用されるフィルタシステム、ペースメーカデバイス、大動脈カウンターパスタ(aortic counter-puster)などの生物医学である。
【0043】
本発明によるリン脂質膜の別の産業用途は、アデノシン三リン酸を有機性廃棄物から抽出することである。
【0044】
本発明による活性リン脂質膜は、活性分子の最大密度、及びそれらのリン脂質面における単位当たりの精確な配向、を得ることを可能にする。
【0045】
本発明による活性リン脂質膜は、特定の分子を使用することによる活性化のおかげで:
-電圧に敏感なナトリウムのチャネルに基づいて;
-電圧に敏感なカリウムのチャネルに基づいて;
-アデノシン二リン酸トランスロカーゼのチャネルに基づいて;
-ナトリウム・カリウム/ポンプに基づいて;
-ファニーチャネル(funny channel)に基づいて、
例えばシステムにおける電気の生成に使用するのを可能にする。
【0046】
上記で挙げた分子に加え、本発明は好ましい産業用途のために、追加で特定の分子に適用可能である。
【0047】
有利には、本発明による生成方法は、効率的かつ実用的な方法で、容易に管理可能で機械的抵抗性のある活性リン脂質膜を得ることを可能にする。
【0048】
さらに有利には、本発明による生成方法は、リン脂質面における単位当たりの最大密度の活性膜を得ることを可能にする。
【0049】
さらに、本発明による生成方法は、有利に多用途である。
【0050】
したがって、本発明による生成方法は、簡単で容易に使用可能である。
【0051】
最後に、ここで説明し例示した活性リン脂質膜及び関連の生成方法は、添付の特許請求の範囲で定義したような本発明の目的を放棄することなく、変更及び変形を受けることができることは明白である。
図1
図2
図3