(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】粉末焼結用加熱システム
(51)【国際特許分類】
F27B 17/00 20060101AFI20250110BHJP
F27D 19/00 20060101ALI20250110BHJP
F27D 7/06 20060101ALI20250110BHJP
F27D 9/00 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
F27B17/00 C
F27D19/00 D
F27D7/06 C
F27D9/00
(21)【出願番号】P 2023101517
(22)【出願日】2023-06-21
【審査請求日】2023-06-21
(32)【優先日】2022-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】506243622
【氏名又は名称】台技工業設備股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】游明輝
(72)【発明者】
【氏名】陳長發
(72)【発明者】
【氏名】高家榮
(72)【発明者】
【氏名】許人文
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2025609(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0078075(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雰囲気とプロセス圧力を制御する粉末焼結用加熱システムであって、
被加熱体を収容可能なチャンバーを有する筐体と、
前記筐体の内部または外部に設けられ、前記被加熱体から不純物を除去するために前記被加熱体を加熱する、加熱装置と、
前記筐体に接続されており
、反応性ガスを該チャンバーに輸送する、雰囲気制御装置と、
前記筐体に接続され、前記チャンバー内のプロセス圧力を制御する、プロセス圧力制御装置と、
を備え
、
前記筐体は、被加熱素子を保持するプラットフォームを備え、前記プラットフォームは、前記プラットフォームの昇降を駆動できる少なくとも1つのプラットフォーム駆動部材に接続されていることを特徴とする粉末焼結用加熱システム。
【請求項2】
前記筐体の底部側は開放されており、前記筐体は冷却シート上に設けられ、前記冷却シートは中空シートであり、前記冷却シートの上部側及び底部側は開放されており、前記冷却シートの上部側に前記筐体を設け、前記冷却シートは水冷ラインを備え、前記冷却シートの底部側は底部カバーで閉鎖でき、該底部カバーは、少なくとも1つのカバー駆動装置に接続され、前記カバー駆動装置は、前記底部カバーを、冷却シートの底部側に配置したり外したりするように上下に駆動する、
請求項1に記載の粉末焼結用加熱システム。
【請求項3】
前記加熱装置が昇降シート上に設けられ、前記昇降シートが少なくとも1つの昇降駆動装置に接続され、前記昇降駆動装置は、前記昇降シートと前記加熱装置が前記筐体内に選択的に配置されるように前記昇降シートを上下に駆動する、
請求項1に記載の粉末焼結用加熱システム。
【請求項4】
前記反応性ガスは、水素、酸素、水、プラズマのうち少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の粉末焼結用加熱システム。
【請求項5】
前記プロセス圧力制御装置は、不活性ガスを用い、プロセス圧力を800~10
-2Torrに調整する、
請求項1に記載の粉末焼結用加熱システム。
【請求項6】
前記被加熱体が電子セラミックである、請求項1に記載の粉末焼結用加熱システム。
【請求項7】
前記筐体は石英管であり、前記加熱装置は赤外線ヒーターである、請求項1に記載の粉末焼結用加熱システム。
【請求項8】
前記不純物が被加熱体中の有機溶媒であり、前記反応性ガスが有機溶媒との反応に使用できるものであり、前記プロセス圧力制御装置が前記チャンバー内のプロセス圧力を負圧に制御して被加熱体からのガスの排出を促進する、
請求項1に記載の粉末焼結用加熱システム。
【請求項9】
前記加熱装置は、加熱温度が300~500℃である、請求項
8に記載の粉末焼結用加熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置に関し、特に雰囲気とプロセス圧力を制御できる粉末焼結用加熱システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子セラミックスなどの部品製造において、部品に含まれる不純物を除去するために加熱が行われることがある。従来は大気圧で加熱していたが、加熱する部品は不純物が複雑で沸点がバラバラであるため、ゆっくり加熱しないと層割れや剥離が発生するため、ゆっくり加熱する必要がある上に、歩留りが低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術の欠点に鑑み、雰囲気やプロセス圧を制御し、プロセス時間を短縮し、歩留まりを向上させることができる粉末焼結用加熱システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記技術的課題を解決するために、本発明は、雰囲気とプロセス圧力を制御できる粉末焼結用加熱システムを開示する。粉末焼結用加熱システムは、被加熱素子を収容するチャンバーを有する筐体と、筐体の内部または外部に設けられ、被加熱素子を加熱して被加熱素子内の不純物を除去する加熱装置と、筐体と接続されチャンバーに反応ガスを輸送する雰囲気制御装置と、筐体に接続され、チャンバー内のプロセス圧力を制御するプロセス圧力制御装置と、を備える。
【0005】
好ましくは、筐体は開放された底部側を有し、筐体は冷却シートに設けられ、冷却シートは中空のシートであり、冷却シートの上部側および底部側は開放されており、筐体は冷却シートの上部側に設けられ、冷却シートは水冷ラインを備え、冷却シートの底部側は底部カバーによって閉じることができ、底部カバーは、底部カバーを上下に駆動する少なくとも1つの底部カバー駆動部材に接続され、底部カバーが冷却シートの底部側から離れた位置に位置することができる。
【0006】
好ましくは、加熱装置は昇降シートに設けられ、この昇降シートは少なくとも1つの昇降駆動部材に接続され、昇降駆動部材は、昇降シートと加熱装置が筐体に選択的に配置されるように昇降シートを上下に駆動することが可能である。
【0007】
好ましくは、プロセス圧力制御装置は、不活性ガスを使用して、プロセス圧力を800~10-2Torrに調節する。
【0008】
好ましくは、チャンバー内に、被加熱素子を保持する作業プラットフォームが配置され、作業プラットフォームは、作業プラットフォームを上下に駆動することができる少なくとも1つの作業プラットフォーム駆動部材に接続されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、筐体と、加熱装置と、雰囲気制御装置と、プロセス圧力制御装置とを備えた、雰囲気およびプロセス圧力を制御できる粉末焼結用加熱システムを提供する。加熱装置は、筐体の内部または外部に配置され、被加熱素子から不純物を除去するために、被加熱素子を加熱するために使用することができる。雰囲気制御装置は、筐体に接続され、反応性ガスを筐体内に輸送するために使用することができる。プロセス圧力制御装置は、筐体に接続され、筐体内のプロセス圧力を制御するために使用することができる。本発明の雰囲気制御装置は、反応性ガスを筐体に輸送することができ、プロセス圧力制御装置は、筐体内のプロセス圧力を制御することができ、不純物を引き出す能力を高めることができるので、プロセス時間を短縮し、収率を向上させることができるという有益な効果を奏する。
【0010】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照する。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の特許請求の範囲を制限するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】雰囲気とプロセス圧力を制御できる粉末焼結加熱装置の発明の立体図である。
【
図2】雰囲気とプロセス圧力を制御できる粉末焼結加熱装置の発明を示す正面図である。
【
図3】雰囲気とプロセス圧力を制御できる粉末焼結加熱装置の発明を示す右側面図である。
【
図4】雰囲気とプロセス圧力を制御できる粉末焼結加熱装置の発明を示す俯瞰図である。
【
図6】雰囲気とプロセス圧力を制御できる粉末焼結加熱装置の本発明のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に示す具体的な実施形態は、この発明に開示された実施形態を示すものである。本発明は、他の具体的な実施形態によって実施または適用することができ、本明細書における様々な詳細は、本発明の思想から逸脱することなく、異なる見解および用途に応じて修正および変化させることができる。さらに、本発明の添付図面は、簡単に説明するためのものであり、実際の寸法を描写することを意図したものではないことは、あらかじめ述べておくとおりである。以下の実施では、本発明の関連する技術的側面をさらに詳細に説明するが、この開示は、本発明の保護範囲を限定することを意図するものではない。
【0013】
[実施形態]
図1乃至
図6を参照すると、本発明は、筐体1、加熱装置2、雰囲気制御装置3、プロセス圧力制御装置4を備える、雰囲気とプロセス圧力を制御できる粉末焼結用加熱システムを提供する。
【0014】
図2~
図5を参照されたい。筐体1は石英管等であってもよく、筐体1は、電子セラミック、例えば、セラミックコンデンサ等の被加熱素子を収容するためのチャンバー11(
図5に示す)を有する耐熱性閉鎖素子である。筐体1は、底部側が開放されたものを備えることができ、筐体1は、冷却シート5に配置されてもよい。冷却シート5は、中空のシートであり、冷却シート5の上部側及び底部側は開放される。筐体1は、冷却シート5の上部側に配置されてもよい。冷却シート5は、アルミニウム等の熱伝導率の良い金属材料からなり、冷却シート5には、冷却水を搬送し循環させて温度の冷却を補助できる水冷ライン6を備えてもよい。
【0015】
冷却シート5の底部側は、底部カバー7(
図5に示す)によって閉じることができる。本実施形態では、底部カバー7は、エアシリンダ等とすることができる少なくとも1つの底部カバー駆動装置8に接続されてもよい。底部カバー駆動装置8は、底部カバー7を上下に駆動して、冷却シート5の底部側に被せて冷却シート5の底部を閉じたり、冷却シート5の底部から外して冷却シート5の底部を開放したりすることができる。
【0016】
加熱装置2は、チャンバー1の内部または外部に配置される。加熱装置2の構造は特に限定されず、様々な加熱装置、例えば赤外線ヒーターとすることができる。また、石英管である筐体1と組み合わせることで、より良い加熱効果を得ることができる。加熱装置2は、被加熱素子に含まれる不純物を除去するために、被加熱素子を加熱するために使用することができる。ここでいう不純物とは、通常、除去すべき有機溶媒である。
【0017】
加熱装置2の加熱温度は、例えば、200℃~500℃であってもよく、200℃、210℃、220℃、230℃、240℃、250℃、300℃、350℃、400℃、450℃又は500℃であってもよい。好ましくは、加熱装置2の加熱温度は300℃~500℃であり、加熱する不純物をより効果的に除去することができる。なお、加熱装置2の加熱温度は、特に限定されず、実際のニーズに応じて増減させることができる。
【0018】
本実施形態では、加熱装置2を昇降シート9に設置し、昇降シート9を空気圧シリンダ等少なくとも1つの昇降駆動装置10に接続する。昇降駆動装置10により昇降シート9を上下駆動して昇降シート9及び加熱装置2を選択的に筐体1に設置し、昇降シート9及び加熱装置2を筐体1から取り外して筐体1を迅速に冷却できる。
【0019】
筐体1に接続された雰囲気制御装置3(
図6に示すように)、雰囲気制御装置3は、反応性ガスをチャンバー11内に輸送するために使用され、反応性ガスは、例えば、水素、酸素、水またはプラズマなど、種類は限定されない。反応性ガスは、被加熱素子内の不純物と反応することができ、相変化または化学変化をもたらすので、不純物のガス化、酸化、炭化など、除去するために促進する、プロセスの温度を大幅に削減することができる。反応性ガスは、有機溶媒と反応するために使用することができ、この実施形態では、反応性ガスは酸素であり、有機溶媒を酸化するために使用することができる。
【0020】
筐体1には、プロセス圧力制御装置4が接続されている(
図6参照)。プロセス圧力制御装置4は、不活性ガス(窒素、アルゴンなど)を用いて、チャンバー11内のプロセス圧力を800~10
-2Torrに調整することができる。圧力は、800Torr、700Torr、600Torr、500Torr、400Torr、300Torr、200Torr、100Torr、50Torr、10Torr、10
-1Torrまたは10
-2Torrであることが可能である。同時に、様々なガス分圧を調整して、反応を促進し、プロセス時間を短縮することができる。プロセス圧力制御装置4は、プロセス圧力の低下を制御することができ、圧力が低いほど、沸点は低く、プロセス時間を短縮することができる。好ましくは、プロセス圧力制御装置4は、有機物質(有機溶剤)の分解・解砕を促進し、被加熱発熱体からのガスの排出を促進してガスが残らないようにするために、チャンバー11内のプロセス圧力を負、例えば、わずかに負に制御するために使用できる。
【0021】
また、チャンバー11は、被加熱素子を置くために使用される作業プラットフォーム20(
図5に示すように)を備えることができる。作業プラットフォーム20は、モータスクリューなどであり得る少なくとも1つの作業プラットフォーム駆動部材30に接続され、作業プラットフォーム駆動部材30は、作業プラットフォーム20の昇降を駆動できるため、被加熱素子が作業プラットフォーム20によって駆動されて迅速に移動できる。作業プラットフォーム駆動部材30は、作業プラットフォーム20を上下に駆動することができるので、被加熱素子は、作業プラットフォーム20によって駆動され、冷却のために加熱ゾーンの外に迅速に移動することができる。本実施形態では、加熱システムは、筐体1および加熱装置2の構成要素を支持し固定するためのフレーム40も含んでいる。
【0022】
[実施形態による有益な効果]
本発明は、筐体と、加熱装置と、雰囲気制御装置と、プロセス圧力制御装置とを備えた、雰囲気およびプロセス圧力を制御できる粉末焼結用加熱システムを提供するという有益な効果を奏する。加熱装置は、筐体の内部または外部に配置され、被加熱素子から不純物を除去するために、被加熱素子を加熱するために使用することができる。雰囲気制御装置は、筐体に接続されており、反応性ガスを筐体内に輸送するために使用することができる。プロセス圧力調整装置は、筐体に接続され、プロセス圧力調整装置は、筐体内のプロセス圧力を制御するために使用することができる。本発明の雰囲気制御装置は、反応性ガスを筐体に輸送することができ、プロセス圧力制御装置は、筐体内のプロセス圧力を制御することができ、不純物を引き出す能力を高めることができるので、プロセス時間を短縮し、収率を向上させることができる。
【0023】
以上に開示される内容は本発明の好ましい実施可能な実施形態に過ぎず、これにより本発明の特許請求の範囲を制限するものではないので、本発明の明細書及び添付図面の内容に基づき為された等価の技術変形は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0024】
1:筐体
11:チャンバー
2:加熱装置
3:雰囲気制御装置
4:プロセス圧力制御装置
5:冷却シート
6:水冷ライン
7:底部カバー
8:底部カバー駆動装置
9:昇降シート
10:昇降駆動装置
20:作業プラットフォーム
30:作業プラットフォーム駆動部材
40:フレーム