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特許7617661棒鋼の製造装置、製造方法、品質管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】棒鋼の製造装置、製造方法、品質管理方法
(51)【国際特許分類】
   B21B 1/16 20060101AFI20250110BHJP
   B21B 27/02 20060101ALI20250110BHJP
   B21C 37/04 20060101ALI20250110BHJP
   B21C 51/00 20060101ALI20250110BHJP
   E04C 5/03 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
B21B1/16 K
B21B27/02 D
B21C37/04 B
B21C51/00 A
E04C5/03
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023173980
(22)【出願日】2023-10-06
【審査請求日】2023-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】302004942
【氏名又は名称】大谷製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002712
【氏名又は名称】弁理士法人みなみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 英樹
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-291764(JP,A)
【文献】特開2000-297499(JP,A)
【文献】特開2003-296679(JP,A)
【文献】実開平2-144916(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第104563394(CN,A)
【文献】特開2001-162302(JP,A)
【文献】特開平11-221603(JP,A)
【文献】特開平5-123705(JP,A)
【文献】特開2014-195816(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2003-0052157(KR,A)
【文献】特開2002-001412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 1/00-11/00
B21B 47/00-99/00
B21C 37/04
E04C 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の鋼材を圧延しながら通過させて棒鋼を形成すると共に棒鋼の円筒面に識別標識を転写する一対のロールであって、その円周方向に連続する主溝が当該一対のロールの軸線方向に間隔をあけて複数形成されると共にその軸線方向の異なる位置における少なくとも2つの主溝には異なる識別標識用の凹部が形成された一対のロールと、一対のロールを回転可能に支持するスタンドと、スタンドを軸線方向に移動可能に案内するレールと、鋼材を通過させる主溝を特定するために軸線方向に対するスタンドの位置を決める軸線方向用位置決め装置とを備え、
軸線方向用位置決め装置は、スタンドに対して軸線方向の一方側において軸線方向に並べて配置可能な複数の間座と、間座を載せる間座台と、スタンドに対して軸線方向の他方側からスタンドを間座に押し付けるように加圧する軸線方向用加圧装置と、スタンドから最も遠い間座が軸線方向の前記一方側へ移動するのを阻止するストッパとを備え、
軸線方向の寸法に関して、間座の寸法は主溝のピッチに対して整数倍となる相関関係があることを特徴とする鉄筋コンクリート用棒鋼の製造装置。
【請求項2】
間座の寸法は主溝のピッチに対して等倍となる相関関係があることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋コンクリート用棒鋼の製造装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の鉄筋コンクリート用棒鋼の製造装置を用いる棒鋼の製造方法において、
棒鋼を複数本で1ロットとする条件で、同一の溶解作業から複数ロットの棒鋼を生産する場合に、通過させる主溝に対応する間座を複数の間座から選定し、選定した間座を間座台に載せることによって、ロット毎に異なる識別標識が付された主溝に鋼材を通過させることを特徴とする鉄筋コンクリート用棒鋼の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の鉄筋コンクリート用棒鋼の製造方法を用いて複数ロットの棒鋼を生産することによって、ロット毎に棒鋼に異なる識別標識としてロット番号が形成され、
棒鋼のロット番号と溶鋼番号と品質とが関連付けられて記録された品質管理情報を作成し、
品質管理情報と棒鋼の両方においてロット番号を照合することにより、一本単位の棒鋼の品質を把握可能としたことを特徴とする鉄筋コンクリート用棒鋼の品質管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種のコンクリート建造物を補強するために使用される鉄筋コンクリート用の棒鋼(以下、多くは「棒鋼」と略する。)の製造装置、製造方法、品質管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
棒鋼はコンクリートを補強する材料として、住宅の基礎から高層ビルや橋脚など様々な構造物に使用される。そして、コンクリートとの付着性を向上させるため、棒鋼の表面にリブや多数の節を形成したものが異形棒鋼である。また、建造物の強度を保証するための性質については、JIS G 3112に詳細が記載されている。
棒鋼は客先に出荷する際には、所定の本数ごとに針金などで一束にまとめられる。そして一束ごとに棒鋼の品質の概要が記載されたラベル等が付けられる。また、客先には棒鋼の品質の詳細が記載された鋼材検査証明書がラベルとは別に提供される。鋼材検査証明書は、棒鋼の化学成分や機械的性質等(以下、「情報」と略する。)を証明するための書類である。一束にまとめられている状態では、ラベルと鋼材検査証明書とを照合することで、棒鋼の品質が把握できる。しかし、各棒鋼には、鋼材検査証明書と関連付ける情報が付いていないので、束が解かれ、一本単位になると、棒鋼の品質情報が把握できなかった。
【0003】
そのような事態を解消するために、棒鋼の一本毎に識別標識を付し、その識別標識を鋼材検査証明書に記載することによって、一本単位で棒鋼の品質を管理できるようにした品質管理方法が開発された(特許文献1)。
【0004】
特許文献1には、棒鋼としてのリブや節と共に識別標識を形成するための一対のロールが開示されている。一対のロールには棒状の鋼材を通過させる主溝が形成されている。主溝は、ロールの軸線方向に間隔をあけて複数本形成されている。また、個々の主溝には異なる識別標識となる凹部が形成されている。そして、同一の溶解作業(溶解工程)から複数の工程を経て棒鋼を生産するときに、一対のロールに対して複数の主溝のうち一つの主溝に棒鋼を通すようにしていた。また、先の溶解作業とは異なる溶解作業から棒鋼を生産するときには、別の主溝に棒鋼を通すようにしていた。それによって、棒鋼の識別標識が異なれば、異なる溶解作業から生産されたものであることが把握できた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許4637786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1には一対のロールを支持する構成が開示されていない。したがって、棒状の鋼材を主溝に通す際に、鋼材と一対のロールとの位置の調整をどのようにすれば、異なる主溝に対して鋼材を通す作業を容易にできるのか不明である。
【0007】
本発明は上記実情を考慮して創作されたものであり、その目的は鋼材と一対のロールとの位置の調整作業を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして鋼材を主溝に通す作業が容易になれば、同一の溶解作業から生産される棒鋼を異なる主溝に通過させて異なる識別番号を付けることも容易になる。
なお、同一の溶解作業からは多数本の棒鋼が生産される。特許文献1では、同一の溶解作業から生産される棒鋼は、一対のロールに対し同じ主溝に通されると記載されている。多数本の棒鋼を生産すると、全体の生産時間は長時間となり、その間に主溝が徐々に摩耗する。そうすると、最初に生産された棒鋼と最後に生産された棒鋼とでは、同じ主溝を通過し、同じ識別番号が付されているにも関わらず、機械的性質にある程度のバラつきが生ずる。なお、鋼材検査証明書には、抜き取り検査した棒鋼の品質が記載されている。各棒鋼メーカーは、生産時の品質のバラつきを考慮しても、鋼材検査証明書で指定された規格の範囲を外れないように、自社の生産技術を確立している。
【0009】
建造物の寿命は数十年に及ぶ場合が多く、棒鋼は建造物の強度を維持するうえで重要な役割を担っている。鋼材検査証明書で指定された規格の範囲よりも狭い範囲で、棒鋼の品質を保証することができれば、建造物の強度が維持しやすくなる。そして、同一の溶解作業から生産される棒鋼であっても、ロット毎に異なる主溝に通すことによって、棒鋼の品質のバラつきを抑えられることに本発明者は気づき、本発明を創作するに至った。
【0010】
本発明の鉄筋コンクリート用棒鋼の製造装置は、棒状の鋼材を圧延しながら通過させて棒鋼を形成すると共に棒鋼の円筒面に識別標識を転写する一対のロールと、一対のロールを回転可能に支持するスタンドと、スタンドをロールの軸線方向に移動可能に案内するレールと、鋼材を通過させる主溝を特定するために軸線方向に対するスタンドの位置を決める軸線方向用位置決め装置とを備える。一対のロールは、その円周方向に連続する主溝が軸線方向に間隔をあけて複数形成されると共に軸線方向の異なる位置における少なくとも2つの主溝には異なる識別標識用の凹部が形成される。そのうえで、軸線方向用位置決め装置は、スタンドに対して軸線方向の一方側において軸線方向に並べて配置可能な複数の間座と、間座を載せる間座台と、スタンドに対して軸線方向の他方側からスタンドを間座に押し付けるように加圧する軸線方向用加圧装置と、スタンドから最も遠い間座が軸線方向の前記一方側へ移動するのを阻止するストッパとを備える。そして、軸線方向の寸法に関して、間座の寸法は主溝のピッチに対して整数倍となる相関関係がある。
【0011】
整数倍とは当然ではあるが、詳しく言えば、正の整数倍である。軸線方向に関して鋼材と主溝の位置を調整する作業を容易にするには、次のようにすることが望ましい。
間座の寸法は主溝のピッチに対して等倍にすることである。
【0012】
レールの数は問わないが、次のようにすることがスタンドを移動させる際の姿勢を安定させるには、望ましい。
すなわちレールを少なくとも一対備えるようにする。その一対のレールは、鋼材の進行方向における上流側と下流側に間隔をあけて配置されることにする。
【0013】
スタンドが進行方向に離れた一対のレールで案内される場合、スタンドは一対のレールの間で進行方向に微動可能となる。このような場合にスタンドを安定して支持し、より高品質な棒鋼を製造するには次のようにすることが望ましい。すなわち、鉄筋コンクリート用棒鋼の製造装置は、進行方向に関して一対のレールの間で微動可能なスタンドの位置を決める進行方向用位置決め装置を更に備えることにする。進行方向用位置決め装置は、スタンドに対して上流側と下流側に別々に配置されると共に協働してスタンドを挟むように加圧する一対の進行方向用加圧装置を備えることにする。
【0014】
一対の進行方向用加圧装置がスタンドのどの部分を加圧するのかは問わず、レールで案内される部分以外の部分を加圧する構成であっても良いが、次のようにすることが望ましい。
すなわち、スタンドは、ロールの軸部を支持する軸受と、軸受を固定すると共に軸受を介してロールを支持するスタンド本体と、スタンド本体に対して上流側を向く上流面と下流側を向く下流面に別々に固定されると共に一対のレールによって軸線方向に案内される一対のスライダを備えることにする。一対のレールは、一対のスライダの下面を進行方向の上流側と下流側から別々に支える一対の横レール部と、一対のスライダを進行方向の上流側と下流側から隙間を介して挟むように案内する一対の縦レール部とを備えることにする。そのうえで、一対の進行方向用加圧装置は一対のスライダを加圧することにする。
【0015】
本発明には、上記した鉄筋コンクリート用棒鋼の製造装置を用いる鉄筋コンクリート用棒鋼の製造方法も含まれる。そして鉄筋コンクリート用棒鋼の製造方法は、棒鋼を複数本で1ロットとする条件で、同一の溶解作業から複数ロットの棒鋼を生産する場合に、通過させる主溝に対応する間座を複数の間座から選定し、選定した間座を間座台に載せることによって、ロット毎に異なる識別標識が付された主溝に鋼材を通過させる。
【0016】
本発明には、鉄筋コンクリート用棒鋼の品質管理方法も含まれる。鉄筋コンクリート用棒鋼の品質管理方法は、鉄筋コンクリート用棒鋼の製造方法を用いて複数ロットの棒鋼を生産することによって、ロット毎に棒鋼に異なる識別標識としてロット番号が形成される。そして、棒鋼の生産とは別に、棒鋼のロット番号と溶鋼番号と品質とが関連付けられて記録された品質管理情報を作成する。そうすると、品質管理情報と棒鋼の両方において溶鋼番号とロット番号を照合することにより、一本単位の棒鋼の品質を把握可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の鉄筋コンクリート用棒鋼の製造装置は、軸線方向の寸法に関して、間座の寸法が主溝のピッチに対して整数倍となる相関関係があるので、間座台に載せる間座の数を調整し、軸線方向用加圧装置でスタンドを間座に押し付けることにより、スタンド(主溝)の軸線方向の位置が確定され、鋼材を通過させる主溝を特定できることになり、その結果、軸線方向に関して鋼材と主溝の位置を調整する作業が容易になる。ちなみに間座がない場合、例えば軸線方向の長さが表示された目盛りを用いて、スタンドの軸線方向の位置を合わせることになるので、本発明のようにすることで、軸線方向に関して鋼材と主溝の位置を調整する作業が容易になる。
【0018】
本発明の鉄筋コンクリート用棒鋼の製造方法は、鉄筋コンクリート用棒鋼の製造装置を用いるので、同一の溶解作業から複数ロットの棒鋼を生産する場合に、ロット毎に異なる識別標識が棒鋼に付されるように、鋼材を通過させる主溝を変更する作業において、軸線方向に関して鋼材と主溝の位置を調整する作業が容易になる。
【0019】
本発明の鉄筋コンクリート用棒鋼の品質管理方法は、品質管理情報と棒鋼の両方においてロット番号を照合することにより、一本単位の棒鋼の品質を把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第一実施形態の棒鋼の製造装置を示す正面図である。
図2】第一実施形態の棒鋼の製造装置を示す左側面図である。
図3】第一実施形態の棒鋼の製造装置を示す平面図である。
図4】間座の数を減らした第一実施形態の棒鋼の製造装置を示す平面図である。
図5】(A)(B)図は、異形棒鋼の一例を示す正面図、側面図である。
図6】品質管理情報の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
棒鋼には丸鋼や異形棒鋼が含まれる。図5には棒鋼1の一例として、異形棒鋼1が示されている。異形棒鋼1は、丸い棒状の棒鋼本体2と、棒鋼本体2の円筒面から突き出すと共に棒鋼本体2の軸線方向に連続する突起としてのリブ3と、軸線方向に連続する突起(リブ3)以外の突起であって棒鋼本体2の円筒面から突き出す突起としての節4とを備えている。節4は、軸線方向の全長に亘って軸線方向に一定間隔をあけて形成される。詳しく言えば、図5の異形棒鋼1において、リブ3は一対であり、棒鋼本体2の円筒面に対して対称に配置される。棒鋼本体2の円筒面が一対のリブ3によって二分された状態となり、半円状に湾曲した曲面が棒鋼本体2の表面に二つ形成される。節4は、二つの曲面から突出し、一対のリブ3に掛け渡す状態で円周方向に延びる円弧状となっている。
また、異形棒鋼1は棒鋼本体2とリブ3と節4の他に、棒鋼本体2の円筒面に付された識別標識5を備える。識別標識5は、棒鋼本体2の円筒面から突き出す突起である。棒鋼本体2の円筒面のうち一対のリブ3の間に配置される。識別標識5は、本実施形態ではロット番号である。ロット番号は複数の文字から構成される。
【0022】
本発明の第一実施形態の棒鋼の製造装置は図1~3に示すように、丸い棒状の鋼材1aを棒鋼1に仕上げる一対のロール10と、一対のロール10を上下に対向する状態で回転可能に支持するスタンド20と、一対のロール10を同期して回転駆動させる回転駆動装置30とを備える。
【0023】
図1に示すように回転駆動装置30は、駆動源としてのモータ31と、モータ31の回転数を減速させる減速機32と、減速機32と一対のロール10とを別々に連結して減速機32の回転を伝達する一対の軸接手33とを備える。
【0024】
減速機32は、モータ31の原動軸31aに連結される入力軸32aと、一対の軸接手33に連結される2つの出力軸32bと、入力軸32aの回転を減速させて2つの出力軸32bに伝達する減速機構部32cとを備える。
【0025】
ロール10は具体的には孔型ロールである。ロール10は、円柱状の胴部11と、胴部11の両端面から延びる一対の軸部12とを備える。ロール10の軸線Lは、ロール10が回転するときの中心になる直線であり、胴部11が回転するときの中心線、軸部12が回転するときの中心線にそれぞれ一致する。軸線Lが延びる方向を「軸線方向Y」と称する。軸線方向Yは水平方向である。
【0026】
胴部11の円筒面には複数の主溝13が軸線方向Yに間隔をあけて形成される。隣り合う主溝13のピッチPは同じである。ピッチPとは、軸線方向Yの距離であり、隣り合う主溝13のうち一方の主溝13の溝幅方向(軸線方向Y)の中心と、その隣りの主溝13の溝幅方向の中心との距離である。複数の主溝13は同じピッチPで配置される。
【0027】
主溝13は、棒鋼本体2の曲面を形成するためのもので、胴部11の円周方向の全周に亘って、つまり胴部11の円周方向に連続して形成される。上下に対向する一対の主溝13の間には、鋼材1aを通過させる孔が形成される。以下では、図2,3に示すように鋼材1aが一対のロール10に対して進行する方向を「進行方向X」と称する。進行方向Xは、平面視して、軸線方向Yに直交する。
【0028】
また図1に示すように、一対のロール10は上下に僅かな間隔をあけて配置される。この間隔によって異形棒鋼1の一対のリブ3が形成される。各主溝13には節4を形成するための節溝14が凹んで形成される。節溝14は、主溝13の溝幅方向の全長に亘って形成されると共に、主溝13の円周方向に間隔をあけて配置される。
本実施形態ではロール10の各主溝13には識別標識5用の凹部15が形成される。凹部15は、主溝13に対して凹んで形成される。凹部15は、識別標識5(ロット番号)を反転させた外観をしている。凹部15が棒鋼本体2の円筒面に押し付けられることで、識別標識5が転写され形成される。
【0029】
軸接手33は、スタンド20が一対のロール10の軸線方向Yに移動した場合に、その移動量に関係なく、減速機32の出力軸32bの回転をロール10の軸部12に伝達するものである。例えば軸接手33には、スプライン軸付きのユニバーサルジョイントが用いられる。ユニバーサルジョイント33の一方側の連結部には減速機32の出力軸32bが連結され、ユニバーサルジョイント33の他方側の連結部には一つのロール10の軸部12が連結される。
【0030】
また、第一実施形態の棒鋼の製造装置は、一対のロール10とスタンド20と回転駆動装置30の他に、床板40と、進行方向X(の上流側と下流側)に間隔をあけて且つ平行に配置されると共にスタンド20を軸線方向Yに移動可能に案内する一対のレール50と、一対のレール50に掛け渡す架設部材41と、一対のロール10に対して上流側で鋼材1aを案内する鋼材案内部60と、一対のロール10に対して下流側で棒鋼1を案内する棒鋼案内部65と、鋼材案内部60に案内された鋼材1aを通過させる主溝13を特定するために軸線方向Yに対するスタンド20の位置を決める軸線方向用位置決め装置70とを備える。
【0031】
床板40には一対のレール50と鋼材案内部60が固定される。架設部材41は、一対のレール50の軸線方向Yの両端部において同じ側の端部に掛け渡す状態で固定される。一対の架設部材41のうち一方(図1での左方)は、一対のレール50にボルトで着脱可能に固定される。架設部材41は図では板状で、その厚み方向を軸線方向Yと一致させて、一対のレール50における軸線方向Yの両側において、同じ側の端面に押し当てられた状態で固定される。
【0032】
図2に示すように鋼材案内部60は、床板40から上方に延びるポスト61と、ポスト61の上部に固定されると共に鋼材1aを通過させる通過部62とを備える。棒鋼案内部65も、床板40から上方に延びるポスト66と、ポスト66の上部に固定されると共に棒鋼1を通過させる通過部67とを備える。
【0033】
スタンド20は、ロール10の軸部12を支持する軸受21と、軸受21を固定すると共に軸受21を介してロール10を支持するスタンド本体22と、スタンド本体22に対して上流側を向く上流面と下流側を向く下流面に別々に固定されると共に一対のレール50によって軸線方向Yに案内される一対のスライダ27を備える。なお軸受21は軸部12を回転可能に且つ軸線方向Yに移動不能に支持する。
【0034】
スタンド本体22は、軸線方向Yに間隔をあけて対向すると共に軸受21を介して上下のロール10の左右を支持する左右の支持部23と、左右の支持部23を上側のロール10の上方と下側のロール10の下方において接合する接合部24とを備える。
【0035】
支持部23は、軸線方向Yから見て矩形の枠である。支持部23の内側には軸線方向に貫通する空間部23sが形成される。空間部23sには軸受21が上下に並んで配置され、上下の軸受21は支持部23に固定される。左右の支持部23に軸受21が左右対称に固定される。支持部23は本実施形態では、進行方向Xに延びると共に上下に対向する上框23aと下框23b、上下方向に延びると共に進行方向Xに対向する一対の柱23cとから構成される。
【0036】
接合部24は、本実施形態では、軸線方向Yに延びる4本の接合部材24aから構成される。各接合部材24aは左右の支持部23に接合される。2本の接合部材24aは図2に示すように、下側のロール10に対して下方において進行方向Xに間隔をあけて配置される。残りの2本の接合部材24aは図3に示すように、上側のロール10に対して上方において進行方向Xに間隔をあけて配置される。
【0037】
一対のレール50は、一対のスライダ27の下面を進行方向Xの上流側と下流側から別々に支える一対の横レール部51と、一対のスライダ27を進行方向Xの上流側と下流側から隙間を介して挟むように案内する一対の縦レール部52とを備える。縦レール部52は、床板40の上に固定される。また、本実施形態では、軸線方向Yから見て、レール50は、上下方向に延びる縦レール部52の上下方向の中間部から横レール部51がスタンド20の下面を支えるように進行方向Xに平行に突出している。
図3に示すようにレール50の軸線方向Yの寸法50Lは、スライダ27の軸線方向Yの寸法27Lよりも長い。
以下、便宜上、相対的に上流側に位置するレール50を上流レール50、相対的に下流側に位置するレール50を下流レール50と称することもある。
上流レール50の縦レール部52は、上流スライダ27に対し上流側に僅かな隙間を介して配置される。下流レール50の縦レール部52は、下流スライダ27に対し下流側に僅かな隙間を介して配置される。
【0038】
スライダ27は、下側のロールよりも下方においてスタンド本体22に固定される。また、一対のスライダ27に関して、便宜上、スタンド本体22の上流面に固定されたスライダ27を上流スライダ27、スタンド本体22の下流面に固定されたスライダ27を下流スライダ27と称することもある。
スライダ27は、軸線方向Yに延びると共に進行方向Xとは反対方向又は進行方向Xに向かって開口する溝部28を備える。上流スライダ27の溝部28は、上流レール50の縦レール部52に向かって開口し、下流スライダ27の溝部28は下流レール50の縦レール部52に向かって開口する。スライダ27は軸線方向Yから見てコ字状である。
【0039】
軸線方向用位置決め装置70は、スタンド20に対して軸線方向Yの一方側(図1での左側)において軸線方向Yに並べて配置可能な複数の間座71と、間座71を載せる間座台72と、スタンド20に対して軸線方向Yの他方側(図1での右側)からスタンド20を間座71に押し付けるように加圧する軸線方向用加圧装置73と、スタンド20から最も遠い間座71が軸線方向Yの一方側(図1での右側)へ移動するのを阻止するストッパSとを備える。
【0040】
間座台72は、本実施形態では縦レール部52を兼用している。
【0041】
ストッパSは、一対の縦レール部52における軸線方向Yの一方側(左側)にそれぞれ固定される。本実施形態では、ストッパSは架設部材41の一部を兼用してある。ストッパSは、縦レール部52(間座台72)に載せた間座71の少なくとも一部に軸線方向Yから見て重なり合う位置に配置される。
【0042】
間座71は、間座台72(縦レール部52)に載せ置く載置部71aと、スタンド20又はストッパSに接触可能であると共に軸線方向Yの一方への移動を規制可能な接触部71bとを備える。本実施形態では、間座71は、軸線方向Yから見てL字状で、載置部71aに対して接触部71bが下方に屈曲する状態で連続している。また、間座71がその一部に永久磁石を含むものであり、間座台72が永久磁石が吸着する材質であれば、間座71の着脱作業中に間座71が落下し難くなり、着脱作業が容易になる。
【0043】
間座台72に載せた間座71のうちスタンド20に対して軸線方向Yに最も遠い間座71は、ストッパSに接触する。一方、間座台72に載せた間座71のうちスタンド20に対して軸線方向Yに最も近い間座71は、スタンド20に接触する。ちなみに図1,3では間座台72に載せた間座71は6つで、各図で最も左側に位置する間座71がスタンド20に対して軸線方向Yに最も遠い間座71であり、各図で最も右側に位置する間座71がスタンド20に対して軸線方向Yに最も近い間座71である。また、図4では、間座台72に載せた間座71は1つなので、この1つの間座71はスタンド20に対して軸線方向Yに最も遠い間座71であるし、スタンド20に対して軸線方向Yに最も近い間座71でもある。
【0044】
図1に示すように軸線方向Yの寸法に関して、間座71の寸法Wは主溝13のピッチPに対して整数倍となる相関関係がある。本実施形態では、軸線方向Yの寸法に関して各間座71の寸法Wは主溝13のピッチPと同じである。そしてロール10に形成された複数の主溝13の総数と同じ数だけ間座71を間座台72に載せた場合には、ロール10に形成された主溝13のうち軸線方向Yの一方側(左側)の端の主溝13に、鋼材1aを通すように設定され、1つだけ間座71を間座台72に載せた場合には、ロール10に形成された主溝13のうち軸線方向Yの他方側(右側)の端の主溝13に、鋼材1aを通すように設定される。
【0045】
軸線方向用加圧装置73はアクチュエータで、本実施形態では油圧シリンダ73である。軸線方向用加圧装置73は、スタンド20に対して軸線方向Yの他方側に設置される。油圧シリンダ73のピストンロッド74が軸線方向Yに往復動するもので、ピストンロッド74の先部がスタンド20に固定される。油圧シリンダ73のシリンダ75は不動状態に設置される。
【0046】
また図2,3に示すように第一実施形態の棒鋼の製造装置は、進行方向Xに関して一対のレール50の間で微動可能なスタンド20の位置を決める進行方向用位置決め装置80を備える。進行方向用位置決め装置80は、スタンド20に対して上流側と下流側に別々に配置されると共に協働してスタンド20を挟むように加圧する一対の進行方向用加圧装置81を二組、備える。
【0047】
進行方向用加圧装置81はアクチュエータで、本実施形態では油圧シリンダ81である。油圧シリンダ81のシリンダ82は縦レール部52に固定される。油圧シリンダ81のピストンロッド83は、縦レール部52に対してスライダ27の溝部28に向かって突出するように配置される。縦レール部52にはピストンロッド83を通す穴52hが進行方向に貫通して形成される。
【0048】
ピストンロッド83の先部は、溝部28を加圧する加圧部84である。加圧部84の加圧面と溝部28との被加圧面とは、加圧部84から溝部28に加えられる圧力がスタンド20を挟むように水平方向に作用する圧力と、スタンド20を下方に押し付けるように作用する下向きの圧力とに分散可能に形成される。具体的には、加圧部84の加圧面と溝部28の被加圧面とは、横向面84a,28aと下面84b,28bとをそれぞれ備える。加圧部84の下面84bと溝部の下面28bとは上下方向に対向すると共に、密接可能である。一方、加圧部84の横向面84aと溝部28の横向面28aとは水平方向に対向すると共に、加圧部84の下面84bと溝部の下面28bとが密接した場合に隙間をあけて対向する。加圧部84の下面84bと溝部28の下面28bとは、互いに水平面に対して傾斜する斜面にしてある。溝部28の下面28bは、溝部28の入口側に向かうにつれて下降する斜面である。加圧部84の下面84bは、対向する溝部28へ向かうにつれて上昇する斜面である。加圧部84の横向面84aと、溝部28の横向面28aとは、互いに進行方向に直交する平面としてある。
【0049】
第一実施形態の棒鋼の製造装置を用いて以下のように棒鋼1を製造する。第一実施形態の棒鋼の製造装置で加工する前に、鋼材1aは圧延工程によって断面が棒鋼1となるのに適した形状、ここでは楕円形となるように形成される。そして断面が楕円形の棒状の鋼材1aの先部を軸線方向Yに並ぶ6つの主溝13のうちどの主溝13に鋼材1aを通すのかを決める。例えば図1,3での左右方向は軸線方向Yと一致している。図1,3で最も左側の主溝13に鋼材1aを通して圧延することに決める。この場合、間座71を主溝13の総数と同じ数だけ間座台72に載せる。そして、軸線方向用加圧装置73を駆動して、ピストンロッド74を前進させると、スタンド20が一対のレール50に案内されて間座71に向かって移動し、6つの間座71が軸線方向用加圧装置73によってスタンド20を介して押し込まれる。スタンド20から最も遠い間座71(最も左側の間座71)はストッパSに押し付けられてその移動を規制される。その結果、スタンド20が複数の間座71と軸線方向用加圧装置73との間に挟まれて位置決めされ、通過部62と通過部67と最も左側の主溝13との軸線方向Yの位置が一致し、鋼材1aが最も左側の主溝13を通過するように設定される。次に一対の進行方向用加圧装置81を二組駆動させ、進行方向用加圧装置81毎にピストンロッド83を前進させ、ピストンロッド83の先部でスライダ27の溝部28を加圧する。そうすると、スタンド20が軸線方向Yに位置決めされ、且つ下向きに押し付けられる。この状態で主溝13に鋼材1aを通し、モータ31を駆動させ、一対のロール10を回転させる。そうすることで、棒鋼1の円筒面には識別標識5が転写される。1ロットに必要な長さだけ、鋼材1aを一対のロール10間に通過させる。一対のロール10を通過した棒鋼1は、出荷する長さに合わせて切断され、設定された本数を1ロットとして一束に結束される。
【0050】
また、別の主溝13を使用したい場合、例えば図4に示すように最も右側の主溝13に鋼材1aを通過させる場合には、一対の進行方向用加圧装置81を二組駆動して、ピストンロッド83を後退させ、一対の縦レール部52と一対のスライダ27との間に微動可能な隙間を形成し、一対のレール50の上でスタンド20を軸線方向Yに微動可能な状態にする。次に軸線方向用加圧装置73を駆動してピストンロッド74を後退させ、一対のロール10と一緒にスタンド20を間座71から離れるように移動させる。そして間座台72に1つの間座71を載せる。続いて、先ほどと同様にして軸線方向用加圧装置73を駆動してピストンロッド74を前進させ、スタンド20を軸線方向Yに位置決めする。また、一対の進行方向用加圧装置81を二組駆動してピストンロッド83を前進させ、スタンド20を軸線方向Yに位置決めする。その結果、通過部62と通過部67と最も右側の主溝13との軸線方向Yの位置が一致し、鋼材1aが最も右側の主溝13を通過するように設定される。
【0051】
第一実施形態の棒鋼の製造装置は、軸線方向Yの寸法に関して、間座71の寸法Wが主溝13のピッチPに対して整数倍の一例である1倍(等倍)となる相関関係があるので、間座台72に載せる間座71の数を調整し、軸線方向用加圧装置73でスタンド20を間座71に押し付けることにより、スタンド20(主溝13)の軸線方向Yの位置が確定され、鋼材1aを通過させる主溝13を特定できることになり、その結果、軸線方向Yに関して鋼材1aと主溝13の位置を調整する作業が容易になる。また、間座71の寸法Wが主溝13のピッチPに対して整数倍の一例である1倍となる相関関係があるので、間座台72に載せる間座71の数と、鋼材1aを通過させる主溝13との軸線方向の位置関係が把握しやすい。しかも主溝13の総数(具体的には6つ)と同じ数の間座71を間座台72に載せても、鋼材1aを通過させる主溝13を特定できるので、軸線方向Yに関して鋼材1aと主溝13の位置を調整する作業が容易になる。
【0052】
このように、第一実施形態の棒鋼の製造装置を用いた棒鋼の製造方法によれば、棒鋼1を複数本で1ロットとする条件で、同一の溶解作業から複数ロットの棒鋼1を生産する場合に、通過させる主溝13に対応する間座71を複数の間座71から選定し、選定した間座71を間座台72に載せることによって、ロット毎に異なる識別標識5が付された主溝13に鋼材1aを通過させることが可能となる。そして、鋼材1aを通過させる主溝13を変更する作業において、軸線方向Yに関して鋼材1aと主溝13の位置を調整する作業が容易になる。
【0053】
上記した製造方法を用いれば、次のように棒鋼の品質管理が可能となる。複数ロットの棒鋼1を生産することによって、ロット毎に棒鋼1に異なる識別標識5としてロット番号が形成される。また図6に示すように、棒鋼のロット番号と溶鋼番号と品質とが関連付けられて記録された品質管理情報を作成する。品質管理情報は、溶鋼番号、ロット番号の他に、引張試験や曲げ試験での棒鋼の機械的性質や、棒鋼の化学成分や、棒鋼の直径や長さといった情報が記録された表となっている。鋼材検査証明書にはロット番号が記載されていないが、品質管理情報は、鋼材検査証明書よりも緻密な情報が記載されている。そうすると、品質管理情報と棒鋼の両方においてロット番号を照合することにより、一本単位の棒鋼の品質を把握可能となる。ちなみに図6では、1つの溶鋼番号に対し3つの異なるロット番号が記載されている。図6では、棒鋼の機械的性質や化学成分、その他の情報は省略されているが、ロット番号に対応した棒鋼の情報が記載される。このように1つの溶鋼番号であっても、ロット毎に固有の情報を管理できる。品質管理情報は、ロット番号と溶鋼番号とが記載されている点で、従来までの客先に提出していた鋼材検査証明書(ロット番号以外が記載された証明書)とは異なるもので、製造元が独自に管理する情報である。
【0054】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、棒鋼の製造装置は、本実施形態ではストッパSと1つの間座71とが別々の部品としてあったが、本発明ではこれに限らず、ストッパSが1つの間座71を兼用するものであってもよい。また本実施形態では、ロール10に形成された全ての主溝13には異なる識別標識となる凹部15が形成されているが、本発明ではこれに限らず、ロール10に形成された全ての主溝13のうち少なくとも2つの主溝13に異なる識別標識となる凹部15が形成されていれば、同じ識別標識となる凹部15が含まれていても良い。また、レール50や鋼材案内部60や棒鋼案内部65等は、本実施形態では床板40に固定されていたが、本発明ではこれに限らず、床板40がなく、別の物、例えば床に直に固定される構成であって良い。
【符号の説明】
【0055】
1 棒鋼(異形棒鋼)
1a 鋼材
2 棒鋼本体
3 リブ
4 節
5 識別標識
10 ロール
11 胴部
12 軸部
13 主溝
14 節溝
15 凹部
20 スタンド
21 軸受
22 スタンド本体
23 支持部
23a 上框
23b 下框
23c 柱
23s 空間部
24 接合部
24a 接合部材
27 スライダ
27L スライダの軸線方向の寸法
28 溝部
28a 横向面
28b 下面
30 回転駆動装置
31 モータ
31a 原動軸
32 減速機
32a 入力軸
32b 出力軸
32c 減速機構部
33 軸接手(ユニバーサルジョイント)
40 床板
41 架設部材
50 レール
50L レールの軸線方向の寸法
51 横レール部
52 縦レール部
52h 穴
60 鋼材案内部
61 ポスト
62 通過部
65 棒鋼案内部
66 ポスト
67 通過部
70 軸線方向用位置決め装置
71 間座
71a 載置部
71b 接触部
72 間座台
73 軸線方向用加圧装置(油圧シリンダ)
74 ピストンロッド
75 シリンダ
80 進行方向用位置決め装置
81 進行方向用加圧装置(油圧シリンダ)
82 シリンダ
83 ピストンロッド
84 加圧部
84a 横向面
84b 下面
L 軸線
P ピッチ
S ストッパ
X 進行方向
Y 軸線方向
W 寸法
【要約】
【課題】鋼材を一対のロールの主溝に圧延しながら通過させて棒鋼を形成する際に、主溝に対して鋼材を通す作業を容易にする。
【解決手段】ロールには主溝が軸線方向に並んで形成される。各主溝には異なる識別標識用の凹部が形成される。一対のロールはスタンドで回転可能に支持する。鋼材を通過させる主溝を特定するために、スタンドを軸線方向に移動させられるようにレールで案内し、軸線方向用位置決め装置でスタンドの位置を決める。軸線方向用位置決め装置は、スタンドに対して軸線方向の一方側において軸線方向に並べて配置可能な複数の間座と、間座を載せる間座台と、スタンドに対して軸線方向の他方側からスタンドを間座に押し付けるように加圧する軸線方向用加圧装置とを備える。間座の軸線方向の寸法は主溝のピッチに対して整数倍となる相関関係があり、鋼材と主溝の位置の調整作業が容易になる。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6