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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】施錠装置および収容装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 47/00 20060101AFI20250110BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
E05B47/00 R
E05B65/00 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023221742
(22)【出願日】2023-12-27
【審査請求日】2024-11-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391020322
【氏名又は名称】東海理研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明広
(72)【発明者】
【氏名】梅村 正美
(72)【発明者】
【氏名】瀬木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】坂上 晃一
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実開平6-78552(JP,U)
【文献】特開2007-113283(JP,A)
【文献】特開平9-78915(JP,A)
【文献】特開2014-125858(JP,A)
【文献】中国実用新案第219387553(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を収容可能な収容部の扉を施錠する施錠状態から、前記扉を解錠する解錠状態に切り替える第1切替動作と、
前記解錠状態から前記施錠状態に切り替える第2切替動作と、
を行うことが可能な施錠装置において、
前記施錠状態において前記第1切替動作の規制である第1の規制をする第1規制手段と、
前記第1の規制の実施または解除をするために前記第1規制手段を駆動する第1駆動手段と、
前記扉を閉状態に保持する閉位置と、前記保持を解除する開位置と、の間で動作可能なロック部材と、
前記施錠状態において、前記ロック部材の前記閉位置から前記開位置への動作の規制である第2の規制をする第2規制手段と、
前記第2の規制の実施または解除をするために前記第2規制手段を駆動する第2駆動手段と、
強制的に前記第1切替動作および第2規制手段の駆動を行うことが可能な手動レバーと、
を備えること、
を特徴とする施錠装置。
【請求項2】
請求項1に記載の施錠装置において、
前記第2の規制の解除を検知する検知手段を備えること、
前記施錠装置を制御する制御装置を備えること、
前記制御装置は、
第1駆動手段を動作させることで第1の規制を解除した後、
第2駆動手段を動作することで前記第2の規制を解除するよう指令を出し、
前記第1の規制を解除した後、所定の時間を経過しても、前記検知手段が前記第2の規制の解除を検知しないとき、前記手動レバーにより、強制的に前記第1切替動作を行うよう通知をする、
制御プログラムを備えること、
を特徴とする施錠装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の施錠装置を備えることを特徴とする収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を収容可能な収容部の扉を施錠する施錠状態から、扉を解錠する解錠状態に切り替える第1切替動作と、解錠状態から施錠状態に切り替える第2切替動作と、を行うことが可能な施錠装置およびそのような施錠装置を備える収容装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者の荷物を一時的に収容、保管するための収容装置として、鉄道車両の駅構内に設置されるロッカー装置や、集合住宅等に設置される宅配ボックスが広く利用されている。そして、収容装置は荷物を収容可能な収容部と、収容部の開閉をするための扉と、扉の施錠または解錠を行う施錠装置と、を備えている。施錠装置としては、例えば、特許文献1に記載の電気錠装置が知られている。
【0003】
当該電気錠装置は、収容部の扉を施錠する施錠角度と扉を解錠する解錠角度との間で回動可能なロック部と、ロック部材の施錠角度から解錠角度への回動を規制する規制手段と、規制手段を動作するためのソレノイドと、を備えている。扉を施錠している状態では、ソレノイドには通電されておらず、規制手段がロック部材の回動を規制した状態である。一方、ソレノイドに通電されると規制が解除されて、ロック部材が施錠角度から解錠角度に回動できるようになる。すなわち扉が解錠された状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-107292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来知られている施錠装置は、以下のような問題点があった。収容部に荷物が過剰に詰め込まれた場合、扉が開方向に押圧される。これにより、扉のフックがロック部材を介して、規制手段およびソレノイドに荷重を与えるため、規制手段の動作、ひいてはソレノイドの動作を阻害するおそれがあった。ソレノイドの動作が阻害されると、規制手段によるロック部材の規制が解除されず、収容装置の利用者が、扉を開けることができなくなるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためのものであり、収容部に荷物が過剰に詰め込まれた場合であっても、容易に解錠可能な施錠装置および収容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の施錠装置は、次のような構成を有している。
【0008】
(1)荷物を収容可能な収容部の扉を施錠する施錠状態から、前記扉を解錠する解錠状態に切り替える第1切替動作と、前記解錠状態から前記施錠状態に切り替える第2切替動作と、を行うことが可能な施錠装置において、前記施錠状態において前記第1切替動作の規制(第1の規制)をする第1規制手段と、前記第1の規制の実施または解除をするために前記第1規制手段を駆動する第1駆動手段と、前記扉を閉状態に保持する閉位置と、前記保持を解除する開位置と、の間で動作可能なロック部材と、前記施錠状態において、前記ロック部材の前記閉位置から前記開位置への動作の規制(第2の規制)をする第2規制手段と、前記第2の規制の実施または解除をするために前記第2規制手段を駆動する第2駆動手段と、強制的に前記第1切替動作および第2規制手段の駆動を行うことが可能な手動レバーと、を備えること、を特徴とする。
【0009】
(2)(1)に記載の施錠装置において、前記第2の規制の解除を検知する検知手段を備えること、前記施錠装置を制御する制御装置を備えること、前記制御装置は、第1駆動手段を動作させることで第1の規制を解除した後、第2駆動手段を動作することで第2の規制を解除するよう指令を出し、前記第1の規制を解除した後、所定の時間を経過しても、前記検知手段が前記第2の規制の解除を検知しないとき、前記手動レバーにより、強制的に前記第1切替動作を行うよう通知をする、制御プログラムを備えること、が好ましい。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明の収容装置は、次のような構成を有している。
(3)(1)または(2)に記載の施錠装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の施錠装置または収容装置によれば、収容部に荷物が過剰に詰め込まれた場合であっても、容易に解錠可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ロッカー装置の正面図である。
図2】ロッカー装置の電気的構成である。
図3図1の部分Aの部分拡大図である。
図4図3のB-B断面図であり、扉を施錠状態とした状態を示している。
図5】施錠装置の、図4と同様の断面図であり、切替レバーの規制が解除された状態を示している。
図6】施錠装置の、図4と同様の断面図であり、切替レバーが解錠位置に位置され、扉を解錠状態とした状態を示している。
図7】施錠装置の、図4と同様の断面図であり、扉が開けられた状態を示している。
図8A】預入プログラムのフローチャートである。
図8B】預入プログラムのフローチャートである。
図9A】預入プログラムのフローチャートである。
図9B】預入プログラムのフローチャートである。
図10】施錠装置の、図4と同様の断面図であり、非常解錠が行われた状態を示す図である。
図11図10のC-C断面図であり、(a)は施錠装置の通常使用状態を示し、(b)は施錠装置の非常解錠が行われた状態を示し、(c)は施錠装置を框から取り出すことが可能な状態を示す図である。
図12】右開きの扉に対応する施錠装置の正面図である。
図13】(a)は、フックの左側面図であり、(b)は、フックの正面図であり、(c)は、フックの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の収容装置の実施形態に係るロッカー装置1(収容装置の一例)について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、ロッカー装置1の正面図である。図2は、ロッカー装置1の電気的構成である。図3は、図1の部分Aの部分拡大図である。図4は、図3のB-B断面図であり、扉12を施錠状態とした状態を示している。図5は、施錠装置20の、図4と同様の断面図であり、切替レバー24の規制が解除された状態を示している。図6は、施錠装置20の、図4と同様の断面図であり、切替レバー24が解錠位置に位置され、扉12を解錠状態とした状態を示している。図7は、施錠装置20の、図4と同様の断面図であり、扉12が開けられた状態を示している。
【0014】
(ロッカー装置の構成について)
本実施の形態に係るロッカー装置1は、例えば、鉄道の駅構内に設置されて、荷物を一時的に収容、保管するために用いられる。ロッカー装置1は、図1に示すように、利用者の荷物を収容可能な収容部10を複数備えている。具体的には、例えば5段×2列の計10個の収容部10を備える構造体が2組、操作部30を挟んで配置されている。なお、収容部10の数はあくまで一例であり、必要に応じて増減可能である。また、本実施形態においては、複数ある収容部10の間口のサイズが全て同一としているが、これもあくまで一例であり、複数の間口のサイズを設けても良い。
【0015】
各収容部10の前面には、収容部10毎に独立して開閉可能な扉12が設けられている。なお、操作部30に対して左側に位置している収容部10の扉12は、取っ手122を引くことで図中の左側に開く左開きとされており、操作部30に対して右側に位置する収容部10の扉12は、取っ手122を引くことで図中の右側に開く右開きとされている。また、左開きの扉12に対しては、該扉12の右側の框11に、扉12を施錠状態または解錠状態とするための施錠装置20が設けられている。一方、右開きの扉12の左側に対しては、該扉12の左側の框に施錠装置20が設けられる。なお、施錠装置20の構成については後述する。
【0016】
また、ロッカー装置1において、左右一対の2組のロッカー組合せ体の間には操作部30が設けられており、利用者は、この操作部30を操作することで、各収容部10における荷物の預け入れや、荷物の取り出し、精算処理を行うことができるようになっている。なお、本実施形態においては、操作部30の下方にも収容部10を設けているが、管理者用のメンテナンス工具等を収納するためのスペースとして利用しても良い。
【0017】
操作部30には、例えばタッチパネル等からなる表示部32や、利用証明用のレシート等の印字を行うためのプリンタ38、ICカードに内蔵されるICタグを読み取ることができるICカードリーダ40等が設けられている。ここで、ICカードとは、例えば交通系ICカード等の電子マネーの決済が可能なものである。
【0018】
(施錠装置について)
施錠装置20は、直方体状のケース21と、ケース21内には、主に、第1ソレノイド22(第1駆動手段の一例)と、第2ソレノイド23(第2駆動手段の一例)と、切替レバー24(手動レバーの一例)と、レバーロックプレート25(第1規制手段の一例)と、フック26(ロック部材の一例)と、ロッキングレバー27(第2規制手段の一例)と、開閉スイッチレバー28と、第1スイッチ41と、第2スイッチ42(検知手段の一例)と、第3スイッチ43と、が内蔵されている。なお、図4図7において、第2スイッチ42と第3スイッチ43は、図中奥行方向に重なって位置している。
【0019】
さらに、施錠装置20は、収容部10の利用状態を表示するために、緑色に発光する緑LED45と、橙色に発光する橙LED46と、を備えている。なお、図2において、外観上見えているのは発光素子をカバーするレンズ部材であり、発光素子はレンズ部材の内側に内蔵されている。
【0020】
第1ソレノイド22は、通電を停止されているときにプランジャ221がフレーム222から突出し、通電時にプランジャ221がフレーム222内に後退するように構成されている。プランジャ221の先端には、レバーロックプレート25が連結されており、プランジャ221の突出、後退に伴い、レバーロックプレート25が回転軸251を中心に回動される。
【0021】
レバーロックプレート25は、切替レバー24の動作を規制するための規制部252を備えており、規制部252によって切替レバー24の動作を規制する規制位置と、規制部252による規制を解除する解除位置との間で回動される。図4に示すレバーロックプレート25が、規制位置に位置した状態であり、図5図7に示すレバーロックプレート25が、解除位置に位置した状態である。
【0022】
レバーロックプレート25の近傍には、第3スイッチ43が設けられており、レバーロックプレート25が規制位置から解除位置に回動すると、規制部252が第3スイッチ43のレバー431を押圧し、第3スイッチ43をONとする。一方で、レバーロックプレート25が、解除位置から規制位置に回動すると、規制部252が第3スイッチ43から離間し、OFFとなる。この第3スイッチ43のON,OFFの動作により、レバーロックプレート25が規制位置にあるのか、解除位置にあるのかを検知することができる。
【0023】
切替レバー24は、扉12の施錠状態と解錠状態との切り替えを行うためのレバーであり、回転軸241を中心に、扉12を施錠状態とするための施錠位置と、扉12を解錠状態とするための解錠位置と、の間を回動可能となっている。なお、図4および図5に示される切替レバー24が、施錠位置に位置した状態であり、図6および図7に示される切替レバー24が、解錠位置に位置した状態である。
【0024】
切替レバー24は、ロックピン244を備えている。例えば図4に示すように、切替レバー24が施錠位置にあり、かつ、レバーロックプレート25が規制位置に位置しているとき、切替レバー24を解錠位置まで回動させようとしても、ロックピン244の進路上にレバーロックプレート25の規制部252が位置しているため、切替レバー24を解錠位置まで回動させることができない。一方で、図5に示すように、レバーロックプレート25が解除位置に位置すると、ロックピン244の進路上から規制部252が退避するため、切替レバー24を解錠位置まで回動させることができるようになる。
【0025】
また、切替レバー24は、第2スイッチ42をONとするための凸部243を備えている。切替レバー24が施錠位置から解錠位置に回動すると、凸部243が第2スイッチ42に近接することで、第2スイッチ42のレバー421を押圧し、第2スイッチ42をONとする。一方で、切替レバー24が、解錠位置から施錠位置に回動すると、凸部243が第2スイッチ42から離間し、OFFとなる。この第2スイッチ42のON,OFFの動作により、切替レバー24が施錠位置にあるのか、解除位置にあるのかを検知することができる。
【0026】
切替レバー24は、長手方向の両端の内、ケースから突出する方の端部が、手動で切替レバー24を操作するために利用されるつまみ部242となっている。本実施形態に係る施錠装置20は、切替レバー24が解錠位置にあるときには、利用者がつまみ部242をつまんで施錠位置まで回動させることが出来るようになっている。そして、回転軸241を挟んで、つまみ部242と反対側の端部は、連結バー44を介して、下方に位置する第2ソレノイド23のプランジャ231と連結されている。
【0027】
第2ソレノイド23は、通電を停止されているときにプランジャ231がフレーム232から突出し、通電時にプランジャ231がフレーム232内に後退するように構成されている。切替レバー24が連結バー44によりプランジャ221に連結されているため、プランジャ221の突出、後退に伴い、切替レバー24が回転軸251を中心に、施錠位置と解錠位置との間で回動される。
【0028】
フック26は、扉12の扉側フック121に係合する係合部261を備えている。また、フック26は、係合部261の上方に回転軸262を備えており、フック26は、係合部261と扉側フック121とが係合する閉位置と、係合部261が扉側フック121を開放する開位置と、の間で回動する。
図4図6に示されるフック26が閉位置に位置した状態であり、図7に示されるフック26が開位置に位置した状態である。フック26が閉位置に位置した状態で、扉12を開けると、扉側フック121が図中の右側に移動される。この移動する扉側フック121によりフック26が図中反時計回りに回動されて開位置に位置される。開位置に位置したとき、扉12をさらに開けると、扉側フック121は、フック26の係合部261から抜け出る。一方で、フック26が開位置にある状態で、扉12を閉めると、扉側フック121が再びフック26の係合部261に入りこみ、さらに扉12を閉めていくと、図中左側に移動する扉側フック121によりフック26が図中時計回りに回動されて開位置に位置される。
【0029】
フック26の、閉位置から開位置への回動は、切替レバー24が施錠位置に位置している状態では行うことができず、切替レバー24が解錠位置に位置している状態で行うことができるようになっている。具体的には以下の通りである。
【0030】
フック26は、ロックピン263を備えており、切替レバー24が施錠位置に位置しているときには、図4および図5に示すように、回動しようとするフック26のロックピン244の進路上に、ロッキングレバー27が位置し、フック26の回動を規制している。このため、フック26を開位置まで回動させることができない(すなわち、扉12を開けることができない施錠状態である)。一方で、切替レバー24が解錠位置に位置すると、図6に示すように、連結バー44の押圧部441がロッキングレバー27を回転軸271を中心に回動させて、ロックピン263の進路上からロッキングレバー27を退避させる。これにより、上記規制は解除され、フック26を開位置まで回動させることができるようになる(すなわち、扉12を開けることができる解錠状態になる)。なお、ロッキングレバー27による規制の解除は、切替レバー24が解錠位置に位置されるのと同時に行われるため、第2スイッチ42が、切替レバー24が解錠位置に位置したことを検知することは、ロッキングレバー27による規制の解除が行われたことを検知するのと同義である。
【0031】
次に、扉12を閉めることでフック26を閉位置に回動させた後は、切替レバー24が施錠位置に位置することで、バネによりロッキングレバー27が元の位置に戻り、再びフック26を回動させることができないようになる(すなわち、扉12を開けることができない施錠状態になる)。つまり、切替レバー24が解錠位置にある状態が扉12の解錠状態であり、切替レバー24が施錠位置にある状態が扉12の施錠状態である。切替レバー24が施錠位置から解錠位置に回動されることは、扉12を施錠状態から解錠状態に切り替えることを意味し(第1切替動作)、切替レバー24が解錠位置から施錠位置に回動されることは、扉12を解錠状態から施錠状態に切り替えることを意味する(第2切替動作)。
【0032】
また、フック26は、開位置に位置すると、ロックピン263により、開閉スイッチレバー28を回転軸271を中心に回動させる。開閉スイッチレバー28が回動すると、開閉スイッチレバー28の、ロックピン263と当接する部分の回転軸271を挟んで反対側の端部(凸部281)が、第1スイッチ41に近接することで、第1スイッチ41のレバー411を押圧し、第1スイッチ41をONとする。一方で、フック26が閉位置に位置すると、開閉スイッチレバー28はバネにより元の位置に戻る。すなわち、凸部281が第1スイッチ41から離間する。これにより第1スイッチ41がOFFとなる。この第1スイッチ41のON,OFFの動作により、フック26が開位置にあるのか閉位置にあるのか(すなわち、扉12が明けられた状態か閉じられた状態か)を検知することができる。
【0033】
(制御装置について)
さらに、ロッカー装置1は、操作部30の操作に応じて施錠装置20を制御する制御装置51を備えている。制御装置51は、図2に示すように、CPU511と、メモリ512を備えている。メモリ512には、例えば、荷物を収容部10に預ける際の制御を行うための預入プログラム512aと、荷物を収容部10から取り出す際の制御を行うための取出プログラム512bと、が記憶されている。制御装置51は、施錠装置20および操作部30と電気的に接続されており、預入プログラム512aまたは取出プログラム512bの動作に従って、施錠装置20の制御や、操作部30の表示部32への画像表示等を行う。また、制御装置51には、通信部52が接続されており、ロッカー装置1は、通信部52を介して管理装置(不図示)と通信可能となっている。管理装置は、駅の構内又はその他の任意の場所に設置された、ロッカー装置1に対して上位の装置である。
【0034】
(荷物の預け入れ操作について)
以上のような構成のロッカー装置1において、利用者の荷物の預け入れは、以下のようにして行われる。
【0035】
複数ある収容部10のうち、荷物が収容されていない状態(利用者が荷物を預け入れることができる状態)は待機モードとされている。このとき、待機モードとなっている収容部10は施錠状態である。つまり、施錠装置20が、図4に示す状態である。このとき、施錠装置20の緑LED45は点灯しており、橙LED46は消灯している。緑LED45が点灯していることで、利用者はその収容部10が利用可能であることが分かる。
【0036】
利用者が荷物を預け入れるには、まず操作部30で利用開始の受け付けを行う。具体的には、例えば、表示部32に「利用開始」の仮想ボタンを表示し、利用者が該仮想ボタンをタッチすると受け付けが開始される。
【0037】
その後、表示部32には、利用料金を表示するなどし、その料金に納得した利用者は、交通系ICカードをICカードリーダ40にかざして決済を行う。
この決済の際には、ICカードリーダ40が読み取ったICカードのICタグ固有の番号をメモリ512に記憶させるなどし、荷物取り出しの際の認証に用いる。決済が行われると、プリンタ38により利用証明書としてのレシートを印字する。なお、決済はICカードを利用した形態に限定されるものでなく、クレジットカード決済や、QRコード決済等、その他の形態であっても良いし、複数の形態を選択可能なものとしても良い。なお、QRコード決済を行う場合には、操作部30にQRコード(登録商標)を読み取るための読取装置が必要である。また、ICカード以外で決済を行う場合には、解錠用のQRコード(登録商標)等の符牒をレシートに印字し、印字された符牒を読み取ることで認証を行うこととすることが考えられる。また、本実施形態に係るロッカー装置1は、複数ある収容部10の間口の大きさが全て同一としているが、複数の間口サイズを設け、利用者が自身の荷物の大きさに応じて、間口サイズを選択してから決済するものとしても良い。
【0038】
プリンタ38によるレシートの印字が行われた後は、以下のように預入プログラム512aが動作する。図8Aおよび図8Bは、預入プログラム512aのフローチャートである。
【0039】
まず、複数ある収容部10のうち、利用者に荷物を預け入れる収容部10に対応する施錠装置20の緑LED45を点滅させる(図8AのステップS11)。これにより、利用者に荷物を預け入れる収容部10の位置を示す。なお、橙LED46は、消灯状態を維持している。
【0040】
次に、第1ソレノイド22に通電し(図8AのステップS12)、レバーロックプレート25を規制位置(図4に示す位置)から解除位置(図5に示す位置)に回動させる。レバーロックプレート25が解除位置に位置したか否かは第3スイッチ43により検知する(図8AのステップS13)。
【0041】
第3スイッチ43が、レバーロックプレート25が解除位置に位置したことを検知しない場合は(図8AのステップS13:NO)、施錠装置20に不具合が生じている可能性があるため、緑LED45および橙LED46を点滅させ(図8AのステップS131)、操作部30の表示部32にエラー表示を行うとともに、通信部52を介して管理装置にエラーの通知を行う(図8AのステップS132)。エラーの解除は、管理装置により行うことができる。
【0042】
第3スイッチ43が、レバーロックプレート25が解除位置に位置したことを検知したときは(図8AのステップS13:YES)、検知後0.5秒間待機してから(図8AのステップS14)、第2ソレノイド23に通電し(図8AのステップS15)、切替レバー24を施錠位置(図5に示す位置)から解錠位置(図6に示す位置)に回動させる。なお、上記0.5秒という待機時間はあくまで一例である。
【0043】
切替レバー24が解錠位置に位置したか否か(第1切替動作が行われたか否か)は第2スイッチ42により検知する(図8AのステップS16)。第2スイッチ42が、切替レバー24が解錠位置に位置したことを検知しない場合は(図8AのステップS16:NO)、施錠装置20に不具合が生じている可能性があるため、緑LED45および橙LED46を点滅させ(図8AのステップS161)、操作部30の表示部32にエラー表示を行うとともに、通信部52を介して管理装置にエラーの通知を行う(図8AのステップS162)。エラーの解除は、管理装置により行うことができる。
【0044】
第2スイッチ42が、切替レバー24が解錠位置に位置したことを検知した後は(図8AのステップS16:YES)、第1スイッチ41により利用者が扉12を開けたか否か(すなわち、フック26が閉位置(図6に示す位置)から開位置(図7に示す位置)に回動したか否か)の検知を行う(図8AのステップS17)。
【0045】
第1スイッチ41が、扉12を開けたことを検知しない場合は(図8AのステップS17:NO)、第2スイッチ42による検知(図8AのステップS16)から60秒経過するまで待機する(図8AのステップS171:NO)。60秒経過したときは(図8AのステップS171:YES)、第2ソレノイド23の通電を停止して(図8AのステップS172)、切替レバー24を施錠位置に位置させてから、第1ソレノイド22の通電を停止して(図8BのステップS20)、レバーロックプレート25を規制位置に位置させる。
【0046】
一方、第1スイッチ41が、扉12を開けたことを検知すると(図8AのステップS17:YES)、次に、第1スイッチ41により利用者が扉12を閉めたか否か(すなわち、フック26が開位置(図7に示す位置)から閉位置(図6に示す位置)に回動したか否か)の検知を行う(図8AのステップS18)。
【0047】
第1スイッチ41が、扉12を閉めたことを検知しない場合は(図8AのステップS18:NO)、利用者が荷物を収容部10に収容するための時間として、第1スイッチ41による検知(図8AのステップS17)から60秒経過するまで待機する(図8AのステップS181:NO)。
【0048】
60秒経過しても扉12が閉められないときは(図8AのステップS181:YES)、緑LED45および橙LED46を点滅させ(図8AのステップS182)、操作部30の表示部32にエラー表示を行うことで、扉12を閉めるよう利用者に促す(図8AのステップS183)。なお、本実施形態においては、操作部30の表示部32にエラー表示を行った後、ステップS18に戻り、さらに待機するフローとしているが、利用を停止する措置を取ることとしても良い。
【0049】
第1スイッチ41が、扉12を閉めたことを検知したときは(図8AのステップS18:YES)、次に、第2スイッチ42により、切替レバー24が施錠位置に位置したか否かの検知(すなわち、利用者が手動で第2切替動作を行ったか否かの検知)を行う(図8BのステップS19)。
【0050】
例えば、利用者が切替レバー24を施錠位置に回動させることを忘れ、第2スイッチ42が、切替レバー24が施錠位置に位置したことを検知しない場合は(図8BのステップS19:NO)、第1スイッチ41による検知(図8BのステップS18)から60秒経過するまで待機する(図8BのステップS191:NO)。60秒経過したときは(図8BのステップS191:YES)、第2ソレノイド23の通電を停止して(図8BのステップS192)、強制的に切替レバー24を動作させて解錠位置(図6に示す位置)から施錠位置(図5に示す位置)に位置させる。60秒の待機時間(図8BのステップS191)を設けることで利用者が荷物の出し入れをする猶予時間を設けるとともに、強制的に切替レバー24を施錠位置にすることで(強制的に第2切替動作を行うことで)、利用者の施錠のし忘れを防止することができる。
【0051】
強制的に切替レバー24を動作させたことで切替レバー24が施錠位置に位置したか否かは第2スイッチ42により検知する(図8BのステップS193)。
【0052】
第2スイッチ42が、切替レバー24が解錠位置に位置したことを検知しない場合は(図8BのステップS193:NO)、施錠装置20に不具合が生じている可能性があるため、緑LED45および橙LED46を点滅させ(図8BのステップS194)、操作部30の表示部32にエラー表示を行うとともに、通信部52を介して管理装置にエラーの通知を行う(図8BのステップS195)。エラーの解除は、管理装置により行うことができる。
【0053】
第2スイッチ42が、切替レバー24が解錠位置に位置したことを検知した後は(図8BのステップS16:YES)、第1ソレノイド22の通電を停止して(ステップS20)、レバーロックプレート25を解除位置(図5に示す位置)から規制位置(図4に示す位置)に位置させる。
【0054】
利用者が切替レバー24を施錠位置に回動させて、第2スイッチ42が、切替レバー24が施錠位置に位置したことを検知した場合も(図8BのステップS19:YES)、第1ソレノイド22の通電を停止して(図8BのステップS20)、レバーロックプレート25を規制位置に位置させる。
【0055】
次に、緑LED45を消灯するとともに橙LED46を点灯させ(図8BのステップS21)、900秒間待機する(図8BのステップS22)。この900秒は、利用者が収容部10に荷物を入れ忘れた場合などに、再度、扉12を施錠状態から解錠状態にするための再開錠操作を受け付けるための待機時間である。また、橙LED46を点灯させることで、再開錠操作が可能であることを、利用者に通知している。そして、この再開錠操作は、操作部30で受付可能とされる。
【0056】
900秒間の待機中に(図8BのステップS22:NO)、操作部30が再開錠操作を受け付けたとき(図8BのステップS221:YES)、橙LED46を点滅させ(図8BのステップS223)、利用者に再開錠する収容部10を通知する。その後は、第1ソレノイド22に通電するステップS12に戻り、荷物を預け入れる際のフローと同様の処理(ステップS12-S21)が行われる。なお、関係の無い第三者が勝手に扉12を再開錠できないよう、操作部30が操作を受け付ける際には、利用者の認証をすることが望ましい。具体的には、例えば、決済に用いられたICカードを用いて認証する。
【0057】
再開錠操作がなされずに(図8BのステップS221:NO)900秒間経過したとき(図8BのステップS22:YES)、橙LED46を消灯する(図8BのステップS23)。そして、収容部10を、荷物が収容された状態で待機する預かりモードとして(図8BのステップS24)、預入プログラムが終了する。預かりモード中の収容部10の施錠装置20は、緑LED45および橙LED46がともに消灯状態となることで、他の利用者が利用できないことを示している。
【0058】
(荷物の取出し操作について)
次に、荷物の取出し操作について説明する。利用者が荷物を収容部10から取り出すには、まず、操作部30で取り出し操作の受け付けを行う。具体的には、例えば、表示部32に「取り出し」の仮想ボタンを表示し、利用者が該仮想ボタンをタッチすると受け付けが開始される。
【0059】
その後、例えば、決済に用いたICカードの認証を行い、認証に成功すると、以下のように取出プログラム512bが動作を開始する。図9Aおよび図9Bは、取出プログラム512bのフローチャートである。
【0060】
まず、複数ある収容部10のうち、利用者が荷物を預け入れている収容部10に対応する施錠装置20の緑LED45を点滅させる(図9AのステップS31)。これにより、利用者が荷物を預け入れている収容部10の位置を示す。なお、橙LED46は、消灯状態を維持している。
【0061】
次に、第1ソレノイド22に通電し(図9AのステップS32)、レバーロックプレート25を規制位置から解除位置に回動させる。レバーロックプレート25が解除位置に位置したか否かは第3スイッチ43により検知する(図9AのステップS33)。
【0062】
第3スイッチ43が、レバーロックプレート25が解除位置に位置したことを検知しない場合は(図9AのステップS33:NO)、施錠装置20に不具合が生じている可能性があるため、緑LED45および橙LED46を点滅させ(図9AのステップS331)、操作部30の表示部32にエラー表示を行うとともに、通信部52を介して管理装置にエラーの通知を行う(図9AのステップS332)。エラーの解除は、管理装置により行うことができる。
【0063】
第3スイッチ43が、レバーロックプレート25が解除位置に位置したことを検知したときは(図9AのステップS33:YES)、検知後0.5秒間待機してから(図9AのステップS34)、第2ソレノイド23に通電し(図9AのステップS35)、切替レバー24を施錠位置から解錠位置に回動させる。なお、上記0.5秒という待機時間はあくまで一例である。
【0064】
切替レバー24が解錠位置に位置したか否かは第2スイッチ42により検知する(図9AのステップS36)。第2スイッチ42が、切替レバー24が解錠位置に位置したことを検知しない場合は(図9AのステップS36:NO)、施錠装置20に不具合が生じている可能性があるため、緑LED45および橙LED46を点滅させ(図9AのステップS361)、操作部30の表示部32にエラー表示を行うとともに、通信部52を介して管理装置にエラーの通知を行う(図9AのステップS362)。エラーの解除は、管理装置により行うことができる。
【0065】
第2スイッチ42が、切替レバー24が解錠位置に位置したことを検知した後は(図9AのステップS36:YES)、第1スイッチ41により利用者が扉12を開けたか否か(すなわち、フック26が閉位置から開位置に回動したか否か)の検知を行う(図9AのステップS37)。
【0066】
第1スイッチ41が、扉12を開けたことを検知しない場合は(図9AのステップS37:NO)、第2スイッチ42による検知(図9AのステップS36)から60秒経過するまで待機する(図9AのステップS371:NO)。60秒経過したときは(図9AのステップS371:YES)、緑LED45を消灯するとともに、橙LED46を点灯させた上(図9BのステップS39)、第2ソレノイド23の通電を停止して(図9BのステップS40)、切替レバー24を自動的に施錠位置に位置させる。
【0067】
一方、第1スイッチ41が、扉12を開けたことを検知すると(図9AのステップS37:YES)、次に、第1スイッチ41により利用者が扉12を閉めたか否か(すなわち、フック26が開位置から閉位置に回動したか否か)の検知を行う(図9AのステップS38)。
【0068】
第1スイッチ41が、扉12を閉めたことを検知しない場合は(図9AのステップS38:NO)、利用者が収容部10から荷物を取り出すための時間として、第1スイッチ41による検知(図9AのステップS37)から60秒経過するまで待機する(図9AのステップS381:NO)。
【0069】
60秒経過しても扉12が閉められないときは(図9AのステップS381:YES)、緑LED45および橙LED46を点滅させ(図9AのステップS382)、操作部30の表示部32にエラー表示を行うことで、扉12を閉めるよう利用者に促す(図9AのステップS383)。なお、本実施形態においては、操作部30の表示部32にエラー表示を行った後、ステップS38に戻り、さらに待機するフローとしているが、利用を停止する措置を取ることとしても良い。
【0070】
第1スイッチ41が、扉12を閉めたことを検知したときは(図9AのステップS38:YES)、緑LED45を消灯するとともに、橙LED46を点灯させる(図9BのステップS39)。そして、第2ソレノイド23の通電を停止して(図9BのステップS40)、切替レバー24を自動的に施錠位置に位置させる。
【0071】
切替レバー24が施錠位置に位置したか否かは第2スイッチ42により検知する(図9BのステップS41)。
【0072】
第2スイッチ42が、切替レバー24が解錠位置に位置したことを検知しない場合は(図9BのステップS41:NO)、施錠装置20に不具合が生じている可能性があるため、緑LED45および橙LED46を点滅させ(図9BのステップS411)、操作部30の表示部32にエラー表示を行うとともに、通信部52を介して管理装置にエラーの通知を行う(図9BのステップS412)。エラーの解除は、管理装置により行うことができる。
【0073】
第2スイッチ42が、切替レバー24が解錠位置に位置したことを検知した後は(図9BのステップS41:YES)、30秒間待機する(図9BのステップS42)。この待機時間は、荷物の出し忘れた場合などに、利用者が手動で切替レバー24を解錠位置に位置させて、扉12を解錠状態にすることが可能な時間である。
【0074】
30秒の待機時間中に(図9BのステップS42:NO)、第2スイッチ42が、切替レバー24が解錠位置に位置したことを検知したとき、すなわち、利用者が手動で切替レバー24を解錠位置に位置させたとき(図9BのステップS43:YES)、ステップS37に戻る。
【0075】
30秒の待機時間が経過すると(図9BのステップS42:YES)、第1ソレノイド22の通電を停止して(図9BのステップS44)、レバーロックプレート25を規制位置に位置させる。これにより、手動で切替レバー24を解錠位置に位置させることが出来なくなる。
【0076】
レバーロックプレート25が規制位置に位置したか否かは第3スイッチ43により検知する(図9BのステップS45)。
【0077】
第3スイッチ43が、レバーロックプレート25が規制位置に位置したことを検知しない場合は(図9BのステップS45:NO)、施錠装置20に不具合が生じている可能性があるため、緑LED45および橙LED46を点滅させ(図9BのステップS451)、操作部30の表示部32にエラー表示を行うとともに、通信部52を介して管理装置にエラーの通知を行う(図9BのステップS452)。エラーの解除は、管理装置により行うことができる。
【0078】
第3スイッチ43が、レバーロックプレート25が解除位置に位置したことを検知したときは(図9BのステップS45:YES)、60秒間待機する(図9BのステップS46)。この60秒は、利用者が収容部10から荷物を出し忘れた場合などに、再度、扉12を施錠状態から解錠状態にするための再開錠操作を受け付けるための待機時間である。この再開錠操作は、操作部30で受付可能とされる。
【0079】
60秒間の待機中に(図9BのステップS46:NO)、操作部30が再開錠操作を受け付けたとき(図9BのステップS461:YES)、ステップS31に戻り、荷物を取り出す際のフローと同様の処理(ステップS31-S45)が行われる。なお、関係の無い第三者が勝手に扉12を再開錠できないよう、操作部30が操作を受け付ける際には、利用者の認証をすることが望ましい。具体的には、例えば、決済に用いられたICカードを用いて認証することが考えられる。
【0080】
再開錠操作がなされずに(図9BのステップS461:NO)60秒間経過したとき(図9BのステップS46:YES)、緑LED45を点灯させるとともに橙LED46を消灯する(図9BのステップS47)。そして、収容部10を、荷物が収容されていない状態で待機する待機モードとして(図9BのステップS48)、取出プログラムが終了する。
【0081】
(解錠不具合について)
解錠不具合、すなわち、図9AのステップS36において、第2スイッチ42が、切替レバー24が解錠位置に位置したことを検知しない場合(図9AのステップS36:NO)について具体例を説明する。
【0082】
第2ソレノイド23に通電(ステップS35)がなされたにも関わらず、切替レバー24が解錠位置に位置しない事態は、例えば、利用者が収容部10に過剰に荷物を詰め込んだ場合に発生し得る。そのメカニズムは以下の通りである。
【0083】
収容部10に荷物を詰め込み過ぎた場合、荷物が扉12を開方向(例えば図5中の右方向)に押圧する。扉12が開方向に押圧されると、扉側フック121が、フック26に対して、フック26を反時計回りに回転させようとする荷重を与える。フック26にそのような荷重が与えられると、フック26のロックピン263がロッキングレバー27を図5に示す位置で押さえつけてしまう。
【0084】
すると、第2ソレノイド23に通電し、連結バー44を第2ソレノイド23の側(図5中の下側)に引き込み、押圧部441によりロッキングレバー27を回動させようとしても、ロックピン263が押さえつける力の方が勝り、ロッキングレバー27を回動できないおそれがある。すなわち、ロックピン263の進路上からロッキングレバー27を退避させることができないおそれがあるのであり、これは、施錠装置20を解錠状態にすることができず、扉12を開けることができないことを意味する。
【0085】
しかし、施錠装置20は、切替レバー24を用いることで、手動で解錠状態にすることが可能である。具体的に説明すると、図9A中のステップS32において、レバーロックプレート25が解除位置(図5に示す位置)に位置しているため、切替レバー24を手動で施錠位置から解錠位置に回動させることが可能である。切替レバー24を手動で解錠位置に回動させることで、強制的に第2ソレノイド23を駆動させることができる。すなわち、切替レバー24を解錠位置に回動させることで、連結バー44を強制的に第2ソレノイド23の側(図5中の下側)に押し下げることができるとともに、連結バー44の押圧部441がロッキングレバー27をロックピン263の進路上から退避させる(施錠装置20が、図6に示した状態になる)。これにより、施錠装置20は、解錠状態となり、扉12を開けることができるようになる。
【0086】
施錠装置20は、切替レバー24の規制の解除を行うための駆動手段(すなわち第1ソレノイド22)と、切替レバー24の施錠位置から解錠位置への動作を行う駆動手段(すなわち第2ソレノイド23)とを別個に備えているため、収容部10に過剰に荷物を詰め込み、解錠不具合が生じたとしても、上記のように手動で容易に解錠を行うことが可能である。
【0087】
加えて、つまみ部242から回転軸241までの長さは、連結バー44と切替レバー24との連結部から回転軸241までの長さよりも大きく設定されているため、てこの原理により、手動で容易に切替レバー24を回動させることができる。
【0088】
なお、第2スイッチ42が、切替レバー24が解錠位置に位置したことを検知しない場合は(図9AのステップS36:NO)、手動で切替レバー24を解錠位置に回動させるよう、表示部32で案内を行うこととしても良い。案内を行うタイミングとしては、第2ソレノイド23に通電(ステップS35)してから、例えば、60秒以内(所定の時間の一例)に 第2スイッチ42が切替レバー24が解錠位置に位置したことを検知しないときが考えられる。ただし、上記60秒という時間はあくまで一例であり、利用者が不自然に感じない範囲で、適宜調整可能である。
【0089】
(施錠装置の非常解錠について)
施錠装置20は、収容部10が待機モードにあるとき、常に扉12が施錠状態とされるが、非常時には、エマージェンシーキー61(図10参照)を用いることで解錠が可能となる。図10は、施錠装置20の、図4と同様の断面図であり、非常解錠が行われた状態を示す図である。図11は、図10のC-C断面図であり、(a)は施錠装置20の通常使用状態を示し、(b)は施錠装置20の非常解錠が行われた状態を示し、(c)は施錠装置を框11から取り出すことが可能な状態を示す図である。
【0090】
施錠装置20は、図4に示すように、ケース21の上部に、エマージェンシーキー61で回動させることが可能な、シリンダーカム62を備えている。また、ケース21内には、第1ソレノイド22に隣接して、非常解錠カム63を備えている。
【0091】
シリンダーカム62は、通常位置である第1位置(図11(a)に示す位置)と、非常解錠を行うための第2位置(図11(b)に示す位置)と、施錠装置20を框11から取り出すための第3位置(図11(c)に示す位置)と、の間で回動可能となっている。
【0092】
シリンダーカム62は、図4に示すように、施錠装置20が框11から抜け出ないようにするための抜け止め部621を備えている。シリンダーカム62が第1位置にあるとき、抜け止め部621は、ケース21の上端面よりも上方に突出しているため(図4または図11(a)参照)、施錠装置20を框11から取り出そうとしても、抜け止め部621が框11の裏側に当接する。これにより、施錠装置20が框11から抜け出ないようにされている。
【0093】
シリンダーカム62は、図4に示すように、抜け止め部621からケース21内に向かって延伸する延在部622を備え、その延在部622の先端が、非常解錠カム63を動作させるためのカム部622aである。カム部622aは、図4において右奥側(図11において左奥側)に向かって傾斜している。
【0094】
非常解錠カム63は、ケース21内で、中心軸631を中心に、図4に示す通常位置と図10に示す非常解錠位置との間で回動可能となっている。非常解錠カム63は、カム部622aと接触可能に設けられた接触部632を備えている。この接触部632は、カム部622aと同一方向に傾斜する面で構成されている。さらに、非常解錠カム63は、中心軸631を挟んで、接触部632の反対側の端部に、レバーロックプレート25の上端に設けられた凸部253に接触可能な、押圧部633を備えている。
【0095】
以上のような構成において、非常時の解錠は以下のようにして行われる。エマージェンシーキー61を、鍵穴60に挿し込み、反時計回り(図11においては時計回り)に45度回転させると、シリンダーカム62が同様に、第1位置から第2位置まで45度回転する。このとき、シリンダーカム62のカム部622aが、非常解錠カム63の接触部632に接触する。カム部622aと接触部632はともに傾斜しているため、シリンダーカム62の回転に伴い、非常解錠カム63が通常位置から非常解錠位置に向かって回動される。非常解錠カム63が非常解錠位置に回動されると、押圧部633がレバーロックプレート25の凸部253を押圧し、レバーロックプレート25を規制位置から解除位置に回動させることができる。レバーロックプレート25が解除位置に位置されれば、切替レバー24を、手動で解錠位置に回動させることが出来るようになるため、扉12を開けることが可能になる。
【0096】
非常時の解錠を行った状態で、エマージェンシーキー61を、時計回りに(図11においては反時計回り)に90度回転させると、シリンダーカム62が同様に、第2位置から第3位置まで90度回転する。すると、シリンダーカム62の抜け止め部621が、図11(c)ケース21の上端面から下に位置するため、施錠装置20を框11から取り出すことができるようになる。なお、施錠装置20の框11からの取り出しは、必ず非常時の解錠を行った後で行われる。非常時の解錠を行わない限りは、フック26が扉12の扉側フック121と係合しており、施錠装置20を取り出すことができないためである。
【0097】
(扉の開閉方向について)
施錠装置20は、ケース21正面に取り付けられる勝手交換ピース47の向きに応じて、左開きの扉12と右開きの扉12との双方に用いることができる。図12は、右開きの扉12に対応する施錠装置20の正面図である。
【0098】
勝手交換ピース47は、図3または図12に示すように、ケース21を正面から見たときに、長手方向が水平方向と平行にされた略長方形状の部材である。勝手交換ピース47は、長手方向の両端部のうち一方の端部に、扉側フック121をケース21内に進入可能とするための開口47aが設けられている。図3に示すように、開口47aが正面視で左側に位置するように、勝手交換ピース47をケース21に取り付けると、左開きの扉12(例えば、図1中の操作部30の左側に位置する収容部10の扉12)に対応可能となる。一方で、図12に示すように、開口47aが正面視で右側に位置するように、勝手交換ピース47をケース21に取り付けると、左開きの扉12(例えば、図1中の操作部30の右側に位置する収容部10の扉12)に対応可能となる。
【0099】
以上のように、勝手交換ピース47の向きに応じて左開きの扉12と右開きの扉12との双方に用いることができるのは、フック26が以下のような形状を備えることによる。図13は用いて詳しく説明する。なお、図13(a)は、フック26の左側面図であり、図13(b)は、フック26の正面図であり、図13(c)は、フック26の右側面図である。
【0100】
フック26は、図13に示すように、正面視で右側に位置する 第1フック部264と、左側に位置する第2フック部265と、第1フック部264と第2フック部265とを横架する接続部266を、を備えている。接続部266は、第1フック部264および第2フック部265の正面視で奥側の端部で横架しているため、フック26は平面視において略コの字状に形成されている。さらに、第1フック部264と第2フック部265とは、それぞれが係合部261を備えている。
【0101】
以上のようなフック26を、図3および図12に示すように、第1フック部264がケース21の正面視において左側に位置し、第2フック部265がケース21の正面視において右側に位置するように、ケース21内に内蔵する。
その上で、図3に示すように、開口47aが正面視で左側に位置するように、勝手交換ピース47をケース21に取り付けると、左開きの扉12の扉側フック121が、開口47aからケース21内に進入し、第1フック部264の係合部261と係合することができるようになる。一方で、図12に示すように、開口47aが正面視で右側に位置するように、勝手交換ピース47をケース21に取り付けると、右開きの扉12の扉側フック121が、開口47aからケース21内に進入し、第2フック部265の係合部261と係合することができるようになる。
【0102】
以上説明したように、本実施形態に係る施錠装置20は、(1)荷物を収容可能な収容部10の扉12を施錠する施錠状態から、扉12を解錠する解錠状態に切り替える第1切替動作と、解錠状態から施錠状態に切り替える第2切替動作と、を行うことが可能な施錠装置20において、施錠状態において第1切替動作の規制(第1の規制)をする第1規制手段(例えばレバーロックプレート25)と、第1の規制の実施または解除をするために第1規制手段を駆動する第1駆動手段(例えば、第1ソレノイド22)と、扉12を閉状態に保持する閉位置と、該保持を解除する開位置と、の間で動作可能なロック部材(フック26)と、施錠状態において、ロック部材(フック26)の閉位置から開位置への動作の規制(第2の規制)をする第2規制手段(例えばロッキングレバー27)と、第2の規制の実施または解除をするために第2規制手段(例えばロッキングレバー27)を駆動する第2駆動手段(例えば、第2ソレノイド23)と、強制的に第1切替動作および第2規制手段の駆動を行うことが可能な手動レバー(例えば切替レバー24)と、を備えること、を特徴とする。
【0103】
(2)(1)に記載の施錠装置20において、第2の規制の解除を検知する検知手段(例えば第2スイッチ42)を備えること、施錠装置20を制御する制御装置51を備えること、制御装置51は、第1駆動手段(第1ソレノイド22)を動作させることで第1の規制を解除した後(ステップS32-S33)、第2駆動手段(第2ソレノイド23)を動作することで第2の規制を解除するよう指令を出し(ステップS35)、第1の規制を解除した後、所定の時間(例えば60秒)を経過しても、検知手段(第2スイッチ42)が第2の規制の解除を検知しないとき(ステップS36:NO)、手動レバー(切替レバー24)により、強制的に第1切替動作を行うよう通知をする、制御プログラム(例えば取出プログラム512b)を備えること、が好ましい。
【0104】
また、 以上説明したように、本実施形態に係る収容装置(例えばロッカー装置1)は、(3)(1)または(2)に記載の施錠装置20を備えることを特徴とする。
【0105】
上記の施錠装置20または収容装置(ロッカー装置1)によれば、収容部に荷物が過剰に詰め込まれた場合であっても、容易に解錠可能である。
【0106】
なお、本実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。
【0107】
例えば、ロッカー装置1は、荷物を預ける利用者と、荷物を取り出す利用者が同一の人物であるとは限らない。具体的には、近年、鉄道の駅を物流拠点とする考えが広まっていることから、一般消費者が注文した商品を配送する運送事業者が荷物を預ける利用者となり、その商品を注文した一般消費者が荷物を取り出す利用者となることが考えられる。この場合、例えば、特定の運送事業者がロッカー装置1を利用することができるようにしておき、操作部30で運送事業者の認証を行った上で、預入プログラムを動作させる。荷物取り出し時の認証は、例えば、一般消費者の携帯端末等に認証用のQRコード(登録商標)等の認証用の符牒を送信しておき、該符牒の認証を行った上で、取出プログラムを動作させるものとする。
【0108】
また、例えば、収容装置の一例として、駅構内に設置されるロッカー装置を挙げているが、これに限定されるものではなく、例えば、集合住宅等に設置される宅配ボックスであっても良い。
【符号の説明】
【0109】
1 ロッカー装置(収容装置の一例)
10 収容部
12 扉
20 施錠装置
22 第1ソレノイド(第1駆動手段の一例)
23 第2ソレノイド(第2駆動手段の一例)
24 切替レバー(手動レバーの一例)
25 レバーロックプレート(第1規制手段の一例)
26 フック(ロック部材の一例)
27 ロッキングレバー(第2規制手段の一例)
【要約】
【課題】収容部に荷物が過剰に詰め込まれた場合であっても、容易に解錠可能な施錠装置および収容装置を提供すること。
【解決手段】施錠状態において第1切替動作の規制(第1の規制)をするレバーロックプレート25と、第1の規制の実施または解除をするために第1規制手段を駆動する第1ソレノイド22と、扉12を閉状態に保持する閉位置と、該保持を解除する開位置と、の間で動作可能なフック26と、施錠状態において、フック26の閉位置から開位置への動作を規制(第2の規制)するロッキングレバー27と、第2の規制の実施または解除をするためにロッキングレバー27を駆動する第2ソレノイド23と、強制的に第1切替動作および第2規制手段の駆動を行うことが可能な切替レバー24と、を備えること、を特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
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図13