(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】電話会議システム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/56 20060101AFI20250110BHJP
H04M 3/42 20060101ALI20250110BHJP
G10L 15/00 20130101ALI20250110BHJP
【FI】
H04M3/56 Z
H04M3/42 P
G10L15/00 200U
(21)【出願番号】P 2023553803
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 JP2021037791
(87)【国際公開番号】W WO2023062729
(87)【国際公開日】2023-04-20
【審査請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】319002393
【氏名又は名称】シスナ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 美香
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 伸一
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-211367(JP,A)
【文献】特開2006-197330(JP,A)
【文献】特開平09-055809(JP,A)
【文献】特開昭62-108655(JP,A)
【文献】特開2021-158413(JP,A)
【文献】特開2021-043530(JP,A)
【文献】特開2003-115933(JP,A)
【文献】特開2020-35191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L15/00-17/26
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04N7/10
7/14-7/173
7/20-7/56
21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話会議システムであって、
予め登録された複数の登録電話機を互いに通話可能に構成されている会議回路と、
前記複数の登録電話機それぞれの電話番号を記憶しており、前記複数の登録電話機を前記会議回路に接続可能に構成されている電話交換機と、
選択装置と、
を備えており、
前記電話交換機は、前記会議回路に予め接続された所定の受付電話機に外部電話機から架電された場合に、前記外部電話機を前記会議回路に接続すると共に、前記複数の登録電話機の中から予め定められた第1の登録電話機を前記会議回路に接続するように構成されており、
前記選択装置は、前記複数の登録電話機の中から前記会議回路に接続すべき第2の登録電話機を前記第1の登録電話機のユーザによって選択可能に構成されており、
前記電話交換機は、前記選択装置によって選択された前記第2の登録電話機を前記会議回路に接続するように構成されて
おり、
前記電話会議システムは、
前記外部電話機のユーザと前記第1の登録電話機のユーザの発話内容を音声データとして記憶する記憶部と、
表示部と、をさらに備えており、
前記電話交換機は、前記記憶部に記憶された前記音声データを、機械学習によってテキストデータに変換し、前記テキストデータが示す文字列を前記表示部に表示する、電話会議システム。
【請求項2】
前記表示部は、前記第2の登録電話機のユーザによって視認可能に構成されている、請求項
1に記載の電話会議システム。
【請求項3】
電話会議システムであって、
予め登録された複数の登録電話機を互いに通話可能に構成されている会議回路と、
前記複数の登録電話機それぞれの電話番号を記憶しており、前記複数の登録電話機を前記会議回路に接続可能に構成されている電話交換機と、
選択装置と、
を備えており、
前記電話交換機は、前記会議回路に予め接続された所定の受付電話機に外部電話機から架電された場合に、前記外部電話機を前記会議回路に接続すると共に、前記複数の登録電話機の中から予め定められた第1の登録電話機を前記会議回路に接続するように構成されており、
前記選択装置は、前記複数の登録電話機の中から前記会議回路に接続すべき第2の登録電話機を前記第1の登録電話機のユーザによって選択可能に構成されており、
前記電話交換機は、前記選択装置によって選択された前記第2の登録電話機を前記会議回路に接続するように構成されており、
前記外部電話機は、特定の患者を収容する第1の医療機関の管轄下に存在しており、
前記第1の登録電話機は、当番医が所属する第2の医療機関の管轄下に存在しており、
前記第2の登録電話機は、前記特定の患者を診断可能な専門医が所属する第3の医療機関の管轄下に存在している、電話会議システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、電話会議システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2018-174393号公報には、三者以上での通話が可能な電話会議システムが開示されている。このシステムでは、第1の電話機と第2の電話機が接続された状態において、第1の電話機に設けられた会議ボタンが押下されると、処理部が、第1の電話機と第2の電話機のそれぞれを会議トランクに接続する。これにより、第1の電話機と第2の電話機は、会議トランクを介して互いに接続される。その後、第3の電話機から第1の電話機への発呼操作があると、処理部が、第3の電話機を会議トランクに接続する。これにより、第1の電話機、第2の電話機、及び、第3の電話機が、会議トランクを介して互いに接続されるため、3つの電話機(すなわち、三者)の間での通話が可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特開2018-174393号公報では、第1の電話機と第2の電話機の間での通話に第三者が参加するためには、第三者側から発呼操作を行うことを必要とする。すなわち、通話中の二者側から直接第三者を呼び出すことができない。したがって、特開2018-174393号公報の技術では、電話会議を行う日時等を第三者に予め伝えておく必要がある。このため、例えば、緊急性を伴う電話会議を行いたい場合には利便性が低い。本明細書では、電話会議システムにおいて、より利便性の高い技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示する電話会議システムは、予め登録された複数の登録電話機を互いに通話可能に構成されている会議回路と、前記複数の登録電話機それぞれの電話番号を記憶しており、前記複数の登録電話機を前記会議回路に接続可能に構成されている電話交換機と、選択装置と、を備えている。前記電話交換機は、前記会議回路に予め接続された所定の受付電話機に外部電話機から架電された場合に、前記外部電話機を前記会議回路に接続すると共に、前記複数の登録電話機の中から予め定められた第1の登録電話機を前記会議回路に接続するように構成されている。前記選択装置は、前記複数の登録電話機の中から前記会議回路に接続すべき第2の登録電話機を前記第1の登録電話機のユーザによって選択可能に構成されている。前記電話交換機は、前記選択装置によって選択された前記第2の登録電話機を前記会議回路に接続するように構成されている。
【0005】
上記の電話会議システムでは、外部電話機のユーザが所定の受付電話機に架電するだけで、外部電話機と、第1の登録電話機とが会議回路に接続され、両者の間で通話することができる。また、第1の登録電話機のユーザは、必要に応じて、第2の登録電話機を選択することで、電話交換機が第2の登録電話機を会議回路に接続する。このように、この電話会議システムでは、通話者側から必要に応じて第三者(すなわち、第2の登録電話機のユーザ)を呼び出すことができ、利便性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図4】電話交換機が実行する処理のフローチャートを示す図。
【
図6】電話会議を行う際に、各装置が実行する各処理のシーケンスを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本技術の一実施形態では、前記電話会議システムは、前記外部電話機のユーザと前記第1の登録電話機のユーザの発話内容を音声データとして記憶する記憶部と、表示部と、をさらに備えてもよい。前記電話交換機は、記憶された前記音声データをテキストデータに変換し、前記テキストデータが示す文字列を前記表示部に表示してもよい。
【0008】
このような構成では、外部電話機のユーザと第1の登録電話機のユーザの発話内容が記憶されるため、後から音声データ(発話内容)を利用することができる。また、当該音声データがテキストデータに変換されて、文字列により表示部に表示されるため、発話内容を視認することができる。
【0009】
本技術の一実施形態では、前記表示部は、前記第2の登録電話機のユーザによって視認可能に構成されていてもよい。
【0010】
このような構成では、第2の登録電話機のユーザが、当該文字列により、自身が電話会議に参加する前の外部電話機のユーザと第1の登録電話機のユーザの会話の内容を把握することができる。
【0011】
本技術の一実施形態では、前記電話交換機は、前記記憶部に記憶された前記音声データから、機械学習によって前記テキストデータを生成してもよい。
【0012】
このような構成では、発話内容を蓄積して機械学習することにより、より正確なテキストデータを生成することができる。
【0013】
本技術の一実施形態では、前記外部電話機は、特定の患者を収容する第1の医療機関に設置されており、前記第1の登録電話機は、当番医が所属する第2の医療機関に設置されており、前記第2の登録電話機は、前記特定の患者を診断可能な専門医が所属する第3の医療機関に設置されていてもよい。
【0014】
このような構成では、例えば、第1の医療機関に搬送された患者の容体を診察可能な医師が第1の医療機関に所属していない場合に、所定の受付電話機に架電することによって、当番医を介して、専門医が所属する第3の医療機関に設置された第2の登録電話機と電話会議を行うことができる。したがって、例えば、特定の患者の容体が緊急性を要する場合に特に有用である。
【0015】
(実施例)
以下、図面を参照して、実施例の電話会議システム10(以下、単にシステム10という。)について説明する。システム10は、会議回路20を介して複数人で電話会議を行うことができるシステムである。より具体的には、システム10は、例えば、小児患者や重症患者が搬入された医療機関において、当該患者を診断可能な医師が存在しない場合等に、当該医療機関に所属する医師等が、これらの患者を診断することができる専門医と電話会議を行うためのシステムである。
図1に示すように、システム10は、会議回路20と、電話機30、40、50、60、70と、PC(Personal Computerの略)80、90、130と、電話交換機100を備える。公衆網6は、通信事業者が所有する通信網であり、各電話機30~70を収容する。各電話機30~70は、例えば、固定電話機、携帯電話機等である。PC80、90、130及び電話交換機100は、インターネット4を介して相互に通信可能である。
【0016】
会議回路20は、会議回路20に接続された複数の電話機の間での通話を行うことが可能に構成されている。例えば、後述する登録電話機40、50、60が会議回路20に接続されている場合、会議回路20は、登録電話機50及び60の音声入力部(不図示)から入力された音声信号を合成した信号を、登録電話機40の音声出力部(不図示)に出力する。また、会議回路20は、登録電話機40及び60の音声入力部から入力された音声信号を合成した信号を登録電話機50の音声出力部に出力する。また、会議回路20は、登録電話機40及び50の音声入力部から入力された音声信号を合成した信号を、登録電話機60の音声出力部に出力する。
【0017】
登録電話機40~60のそれぞれは、医療機関に設置されている。登録電話機40は医療機関Aに設置されており、登録電話機50は医療機関Bに設置されており、登録電話機60は医療機関Cに設置されている。詳細は後述するが、各登録電話機40~60の電話番号は、電話交換機100のメモリ112に予め記憶されている。なお、各登録電話機40~60は、医療機関A~Cに所属する医師がそれぞれ所有する携帯端末であってもよい。また、
図1では、3つの登録電話機40~60が図示されているが、システム10では、電話交換機100のメモリ112に3つより多くの電話機の電話番号が登録されていてもよい。
【0018】
外部電話機70は、医療機関A~Cとは異なる医療機関に設置されている。外部電話機70の電話番号は、電話交換機100のメモリ112に記憶されていない。なお、外部電話機70は、当該医療機関に所属する医師が所有する携帯端末であってもよい。
【0019】
受付電話機30は、外部電話機70からの架電を受け付けるために設置されている。図示していないが、受付電話機30は、インターネット4に接続可能に構成されている。受付電話機30の電話番号は、システム10の管理者等によってインターネットや広告等の媒体を介して周知される。受付電話機30は、外部電話機70から架電された場合に、当該架電を受け付けたことを示す情報を、外部電話機70の電話番号とともに、通信インタフェース(不図示)を介して電話交換機100に送信する。
【0020】
PC80、90、130は、デスクトップPC等の据置型の機器であってもよいし、ノートPC、タブレットPC等の可搬型の機器であってもよい。PC80は医療機関Aに設置されており、PC90は医療機関Bに設置されており、PC130は医療機関Cに設置されている。なお、PC80は、医療機関Aに所属する医師が所有する端末であってもよい。PC90、130についても同様である。PC80は、操作部82と、表示部84と、無線インタフェース86(以下では、インタフェースを「I/F」と記載する)と、制御部88を備える。
【0021】
操作部82は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部82を操作することによって、様々な指示をPC80に入力することができる。表示部84は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。
【0022】
無線I/F86は、Wi-Fi方式に従った無線通信であるWi-Fi通信を実行するためのインタフェースである。Wi-Fi方式は、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略)の802.11の規格、及び、それに準ずる規格(例えば、802.11a、11b、11g、11n等)に基づく無線通信方式である。
【0023】
制御部88は、CPU、メモリ(図示省略)等を備える。CPUは、メモリに格納されているプログラム(図示省略)に従って、様々な処理を実行する。
【0024】
PC90、130は、PC80と同様の構成を備える。なお、
図1において、PC130については、上述した操作部等の図示を省略している。
【0025】
電話交換機100は、電話交換機能を有する装置である。すなわち、電話交換機100は、電話回線を相互接続し、電話網を構成する。また、電話交換機100は、登録電話機40~60や外部電話機70を会議回路20に接続可能に構成されている。電話交換機100は、例えば、システム10の管理者によって設置される。電話交換機100は、局線I/F102と、ネットワークI/F104と、制御部106を備える。局線I/F102は、公衆網6との通信を実行するためのインタフェースである。ネットワークI/F104は、インターネット4との通信を実行するためのインタフェースである。
【0026】
制御部106は、CPU110と、メモリ112を備える。メモリ112は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。CPU110は、メモリ112に格納されているプログラム114に従って、様々な処理を実行する。メモリ112は、プログラム114に加えて、登録テーブル116及びスケジュールテーブル118を記憶する。
【0027】
登録テーブル116には、
図2に示すように、医療機関情報と、電話番号と、メールアドレスと、診療科情報と、が関連付けて記憶されている。医療機関情報は、登録テーブル116に登録された医療機関名(医療機関A~C)を示す情報である。電話番号は、医療機関情報が示す医療機関A~Cに設置された(又は当該医療機関A~Cに所属する医師が所有する)登録電話機40~60の電話番号である。メールアドレスは、各医療機関A~Cに設置された(又は当該医療機関A~Cに所属する医師が所有する)PC80、90、130のメールアドレスである。診療科情報は、各医療機関A~Cに所属する医師の専門分野区分を示す情報である。具体的には、例えば、
図2に示すように、登録テーブル116では、医療機関情報「医療機関A」と、電話番号「052-XXX-XXXX」と、メールアドレス「ABC@ZZZ」と、診療科情報「内科、外科」とが関連付けて記憶されている。
【0028】
スケジュールテーブル118には、
図3に示すように、カレンダーと、当番医情報と、が関連付けて記憶されている。当番医情報は、後述するように、外部電話機70から受付電話機30に架電があった場合に、電話交換機100が会議回路20に接続すべき登録電話機が設置された医療機関A~C(すなわち、その日の当番医)を示す情報である。すなわち、当番医情報は、外部電話機70から受付電話機30に架電されたときに窓口となる医療機関を示す情報である。具体的には、例えば、
図3に示すように、スケジュールテーブル118では、5月17日は登録電話機40が設置された医療機関A、5月18日は登録電話機50が設置された医療機関B、5月19日は登録電話機60が設置された医療機関A、がそれぞれ窓口であることが記憶されている。
【0029】
メモリ112は、さらに、発話内容記憶領域120を備えている。発話内容記憶領域120は、外部電話機70と窓口である医療機関に設置された登録電話機との発話内容を音声データとして記憶する。すなわち、発話内容記憶領域120は、各電話機40~70の音声入力部(不図示)から入力された音声データを記憶する領域である。また、CPU110は、発話内容記憶領域120に記憶された音声データをテキストデータに変換することができる。CPU110は、音声データから、機械学習によりテキストデータを生成してもよい。
【0030】
次に、
図4を参照して、システム10によって電話会議を行う際に、電話交換機100のCPU110が実行する処理について説明する。以下では、
図4及び後述する
図6の処理が、5月17日(
図3参照)に実行されるものとして説明を続ける。
【0031】
まず、S10において、CPU110は、受付電話機30に対して外部電話機70から架電があったか否かを判断する。具体的には、CPU110は、外部電話機70からの架電があったことを示す架電情報をネットワークI/F104を介して受付電話機30から受信すると(S10でYES)、S12に進む。
【0032】
次に、S12において、CPU110は、5月17日の当番医を抽出する。すなわち、CPU110は、スケジュールテーブル118を参照して、5月17日に関連付けて記憶されている医療機関Aを抽出する。そして、S14において、CPU110は、登録テーブル116を参照して、医療機関Aに関連付けて記憶されている登録電話機40の電話番号「052-XXX-XXXX」、及び、医療機関Aに関連付けて記憶されているPC80のメールアドレス「ABC@ZZZ」を抽出する。
【0033】
CPU110は、S16において、抽出したメールアドレスを送信先として、閲覧用URL(Uniform Resource Locatorの略)を含む電子メールを送信する。閲覧用URLは、電話交換機100のメモリ112内の登録医療機関データの位置を示す情報である。登録医療機関データは、登録テーブル116のうちの、医療機関情報と診療科情報とを含む。換言すると、医療機関データは、電話番号やメールアドレスを含まない。PC80の表示部84に表示された閲覧用URLを選択する操作が入力されると、
図5に示すように、当該閲覧用URLによって特定される登録医療機関データを示す登録医療機関データ画面122が当番医のPC80の表示部84に表示される。これにより、当番医は、システム10に登録された医療機関及びそれらの専門分野区分を把握することができる。
【0034】
CPU110は、S18において、外部電話機70と登録電話機40を会議回路20に接続する。CPU110は、S14において、登録電話機40の電話番号を抽出している。また、CPU110は、S10において、外部電話機70から架電情報とともに、外部電話機70の電話番号を受付電話機30から受信している。このため、CPU110は、これらの電話番号に基づいて、外部電話機70の電話回線と、登録電話機40の電話回線を、会議回路20に接続することができる。これにより、外部電話機70と登録電話機40との間で通話が可能となる。
【0035】
CPU110は、S20において、外部電話機70と登録電話機40の音声入力部に入力された音声データを発話内容記憶領域120に記憶する。ここでは、各電話機40及び70それぞれの音声入力部から入力された音声データを識別可能であるように、各音声データを別々に記憶してもよい。
【0036】
その後、CPU110は、S22において、接続要求情報を受信したか否かを判断する。接続要求情報は、登録電話機40以外の登録電話機50、60のいずれかを会議回路20に接続することを要求する情報である。
図5に示す登録医療機関データ画面122は、各医療機関に対応する複数の接続ボタン124を含んでいる。当番医がいずれかの接続ボタン124を選択する操作を入力すると、CPU110は、ネットワークI/F104を介して接続要求情報を受信する。
【0037】
CPU110は、接続要求情報を受信すると(S22でYES)、S24において、接続要求情報に含まれる医療機関に設置された登録電話機を会議回路20に接続する。以下では、医療機関Bに対応する接続ボタン124が選択されたものとして説明を続ける。すなわち、S24では、CPU110は、登録電話機50を会議回路20に接続する。
【0038】
CPU110は、S26において、発話内容記憶領域120に記憶した音声データをテキストデータに変換する。すなわち、外部電話機70と登録電話機40から入力された音声データをテキストデータに変換する。このとき、生成したテキストデータを要約した要約データを作成してもよい。そして、CPU110は、S28において、医療機関Bに設置されたPC90のメールアドレスを送信先としてテキストデータ(又はその要約データ)を送信して、S22に戻る。
【0039】
一方、CPU110は、接続要求情報を受信しない場合(S22でNO)、S30において、会議回路20に接続されたいずれかの電話機から終話情報を受信したか否かを判断する。例えば、会議回路20に接続された1の電話機において終話操作が実行されると、CPU110は、ネットワークI/F104を介して当該1の電話機から終話情報を受信する。CPU110は、終話情報を受信すると(S30でYES)、S32において、会議回路20に接続されたすべての電話機を会議回路20から切断する。CPU110は、S32を実行すると、一連の処理を終了する。
【0040】
続いて、
図6を参照して、
図4の処理によって実現される具体的なケースについて説明する。
図6では、小児患者が搬入された医療機関において、当該患者を診断可能な医師が存在しない状況を想定している。外部電話機70は、小児患者が搬入された医療機関に設置された電話機である。T110では、外部電話機70が設置された医療機関に所属する医師が、受付電話機30に架電する。
【0041】
T112では、受付電話機30は、外部電話機70から架電があったことを示す架電情報と、外部電話機70の電話番号を、通信I/Fを介して電話交換機100に送信する。
【0042】
電話交換機100は、受付電話機30から架電情報を受信すると(
図4のS10でYES)、T114において、スケジュールテーブル118を参照して、5月17日に関連付けて記憶されている医療機関Aを抽出する(S12)。すなわち、5月17日の当番医を抽出する。そして、電話交換機100は、T116において、登録テーブル116を参照して、医療機関Aに関連付けて記憶されている電話番号「052-XXX-XXXX」及びメールアドレス「ABC@ZZZ」を抽出する(S14)。電話交換機100は、T118において、抽出したメールアドレス「ABC@ZZZ」を送信先として、閲覧用URLを含む電子メールを送信する(S16)。
【0043】
T120では、電話交換機100は、T112において受信した外部電話機70の電話番号と、T116において抽出した登録電話機40の電話番号を利用して、外部電話機70と登録電話機40を会議回路20に接続する(S18)。これにより、外部電話機70と登録電話機40との間で、会議回路20を介した通話が可能となる。
【0044】
外部電話機70と登録電話機40の間の通話が開始されると、電話交換機100は、T122において、外部電話機70と登録電話機40の音声入力部に入力された音声データを発話内容記憶領域120に記憶する(S20)。
【0045】
ここで、上述の通り、外部電話機70が設置された医療機関に搬入された患者は小児患者であるのに対して、
図2に示すように、当番医である医療機関Aの専門分野区分は、内科又は外科である。このため、医療機関Aでは、小児患者を詳細に診断することができない。このような場合、PC80は、T123において、登録電話機40での通話に対応した医師(すなわち、当番医)から、T118で受信した電子メールに含まれる閲覧用URLを選択する操作を受け付ける。これにより、医師は、表示部84に表示された登録医療機関データ画面122(
図5参照)を閲覧することができ、登録された医療機関の中に小児科を専門とする医療機関Bが存在することを把握する。そして、T124において、PC80は、当番医から、医療機関Bに対応する接続ボタン124を選択する操作入力を受け付ける。すると、T126において、PC80は、医療機関Bを示す情報を含む接続要求情報を電話交換機100に送信する。
【0046】
電話交換機100は、T126においてネットワークI/F104を介して接続要求情報を受信すると(S22でYES)、T128において、登録テーブル116を参照して、接続要求情報に含まれる医療機関Bに設置された登録電話機50を会議回路20に接続する(S24)。これにより、外部電話機70、登録電話機40、及び登録電話機50の間で、会議回路20を介した三者間の通話が可能となる。
【0047】
T130では、電話交換機100は、発話内容記憶領域120に記憶した音声データをテキストデータに変換する(S26)。そして、T132において、電話交換機100は、登録テーブル116を参照して、医療機関Bに設置されたPC90のメールアドレスを送信先として、生成したテキストデータを送信する(S28)。
【0048】
T133において、PC90は、T132で受信したテキストデータが示す文字列を表示部94に表示する。これにより、医療機関Bに所属する医師は、自身が電話会議に参加する前の、小児患者が搬入された医療機関の医師と医療機関Aに所属する医師との通話の内容を把握することができる。
【0049】
その後、三者間の電話会議が終了すると、T134において、外部電話機70は終話操作の入力を受け付ける。終話操作は、例えば、外部電話機70に設けられた終話ボタンの押下である。なお、T134における終話操作の入力は、登録電話機40や登録電話機50に対して行われてもよい。そして、T136において、外部電話機70は、通話を終了したことを示す終話情報を電話交換機100に送信する。
【0050】
電話交換機100は、T136において終話情報を受信すると(S30でYES)、T138において、会議回路20に接続されたすべての電話機を、会議回路20から切断する(S32)。
【0051】
以上に説明したように、本実施例の電話会議システム10では、外部電話機70のユーザが受付電話機30に架電するだけで、外部電話機70と登録電話機40(すなわち、当番医が所属する医療機関Aに設置された電話機)とが会議回路20に接続され、両者の間で通話することができる。また、登録電話機40での通話に対応した医師は、必要に応じて、小児科の専門医が所属する医療機関Bを選択する操作を実行することで、電話交換機100が登録電話機50を会議回路に接続する。このように、この電話会議システム10では、通話者側から必要に応じて第三者(すなわち、登録電話機50が設置された医療機関Bに所属する専門医)を電話会議に参加させることができ、利便性が高い。
【0052】
また、上述したシステム10では、外部電話機70と登録電話機40から入力された音声データが電話交換機100の発話内容記憶領域120に記憶されるため、後から当該音声データ(発話内容)を利用することができる。また、当該音声データがテキストデータに変換されて、文字列により医療機関Bに設置されたPC80の表示部84に表示されるため、医療機関Bに所属する専門医は、電話会議に参加するまでの外部電話機70と登録電話機40との間の会話の内容を把握することができる。このため、後から電話会議に参加した専門医が、電話会議の内容を迅速に把握することができる。
【0053】
また、上述したシステム10では、各ユーザ(すなわち、外部電話機70及び登録電話機40~60のユーザ)の電話番号やメールアドレスが開示されることなく電話会議を行うことができる。このため、システム10の各ユーザについての秘匿性を確保することができ、プライバシー保護の観点からも有用である。
【0054】
(対応関係)
登録電話機40、50がそれぞれ、「第1の登録電話機」、「第2の登録電話機」の一例である。PC80が、「選択装置」の一例である。発話内容記憶領域120が、「記憶部」の一例である。PC90の表示部94が、「表示部」の一例である。医療機関A、B、Cがそれぞれ、「第1の医療機関」、「第2の医療機関」、「第3の医療機関」の一例である。
【0055】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上述した実施例の変形例を以下に列挙する。
【0056】
(変形例)
上述した実施例では、医療分野においてシステム10を利用する例について説明した。しかしながら、本明細書に開示の技術は、医療分野への適用に限られない。例えば、司法分野(弁護士等)や金融分野(銀行等)等、他の分野において本明細書に開示の技術を適宜適用してもよい。
【0057】
また、上述した実施例では、医療機関Aに登録電話機40及びPC80が設置されていた。しかしながら、登録電話機40とPC80とが一体化されてもよい。すなわち、医療機関Aに、登録電話機40とPC80の機能を共に有する単一の機器が設置されてもよい。例えば、登録電話機40が、表示部やインターネット4に接続可能な無線I/F等を備えてもよい。
【0058】
また、上述した実施例では、三者間で電話会議をする態様について説明したが、四者以上で電話会議をすることも当然に可能である。また、システム10は、複数の電話会議を同時に実行可能に構成されてもよい。例えば、スケジュールテーブル118において、窓口となる異なる2つの医療機関が同日に記憶されてもよい。このような構成では、ある電話会議が行われている間に、受付電話機30に他の外部電話機から架電された場合、2つ目の窓口である医療機関が対応することで、2つの電話会議を同時に実行することができる。
【0059】
また、外部電話機70は、医療機関に設置されていなくてもよい。例えば、傷病人の家族や救急隊員等が所有する携帯端末であってもよく、当該携帯端末から受付電話機30に架電することにより、当番医や専門医との電話会議を行ってもよい。
【0060】
(参考例)
上述した実施例では、当番医が登録医療機関データ画面122から電話会議に参加すべき医療機関を選択することにより三者間の電話会議を行った。しかしながら、例えば、登録医療機関データ画面122に電話番号入力欄が設けられていてもよい。この場合、当番医が当該入力欄に直接電話番号を入力することにより、電話交換機100が当該電話番号により示される電話回線を会議回路20に接続してもよい。このような構成では、例えば、当番医が患者の家族等を電話会議に参加させたい状況において有用である。
【0061】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。