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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】メガネフレーム
(51)【国際特許分類】
   G02C 5/16 20060101AFI20250110BHJP
   G02C 5/06 20060101ALI20250110BHJP
   G02C 5/10 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
G02C5/16
G02C5/06
G02C5/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024190819
(22)【出願日】2024-10-30
(62)【分割の表示】P 2024550892の分割
【原出願日】2024-03-28
【審査請求日】2024-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2023185149
(32)【優先日】2023-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503438403
【氏名又は名称】株式会社インターメスティック
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】上野 博史
(72)【発明者】
【氏名】清水 雅文
(72)【発明者】
【氏名】村松 雄太
【審査官】植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-51214(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0231589(US,A1)
【文献】特開2001-330803(JP,A)
【文献】特開2004-37654(JP,A)
【文献】特開2019-66782(JP,A)
【文献】特表2021-502595(JP,A)
【文献】国際公開第2020/234925(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/095272(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを固定する一対のリムと、一対の前記リムを接続するブリッジと、ヨロイを介して前記リムに接続されるテンプルとを有するメガネフレームにおいて、
前記メガネフレームは、外郭部と、前記外郭部よりも硬さが柔く、前記外郭部の内側の少なくとも一部に設けられた内郭部とで構成され、
前記内郭部は、前記外郭部の前記テンプルの内側に設けられたテンプル内郭部を含
前記テンプル内郭部は、上下方向に貫通する複数の孔又は複数の有底の穴が、前記テンプルの長手方向に沿って形成されており、
複数の前記孔又は前記穴は、前記テンプル内郭部のうち、前記メガネフレームを装着した装着者の頭部が接触しない非接触領域に設けられ、装着者の頭部が接触する領域には設けられていない、
メガネフレーム。
【請求項2】
前記孔は、上下方向にのみ貫通する孔であり、
前記穴は、上又は下方向に窪む穴である、
請求項1に記載のメガネフレーム。
【請求項3】
前記内郭部は、さらに前記外郭部の前記ブリッジの内側に設けられたブリッジ内郭部を含む、
請求項1又は請求項に記載のメガネフレーム。
【請求項4】
前記ブリッジ内郭部は、上下方向に貫通する孔又は有底の穴が形成されている、
請求項に記載のメガネフレーム。
【請求項5】
前記内郭部は、さらに前記外郭部の前記リムの上縁及び下縁の内側に設けられたリム内郭部を含む、
請求項1又は請求項に記載のメガネフレーム。
【請求項6】
前記リム内郭部は、有底の穴が左右方向に沿って複数形成されている、
請求項に記載のメガネフレーム。
【請求項7】
前記外郭部のショア硬さ(A)は、100度以上、150度以下である、
請求項1又は請求項2に記載のメガネフレーム。
【請求項8】
前記内郭部のショア硬さ(A)は、30度以上、70度以下である、
請求項1又は請求項2に記載のメガネフレーム。
【請求項9】
前記ヨロイは、外側から内側に向けて窪む凹部を備える、
請求項1又は請求項2に記載のメガネフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メガネフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、運動等によりメガネフレームに衝撃等の外力が作用した場合における、装着者にとっての安全性等の改善や、メガネフレームの破損の防止を目指す技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-157908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、装着者にとっての安全性等の改善や、メガネフレームの破損の防止のさらなる向上が求められていた。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、装着者の安全性や、メガネフレームの破損を防止する性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様のメガネフレームは、
レンズを固定する一対のリムと、一対の前記リムを接続するブリッジと、ヨロイを介して前記リムに接続されるテンプルとを有するメガネフレームにおいて、
前記メガネフレームは、外郭部と、前記外郭部よりも硬さが柔く、前記外郭部の内側の少なくとも一部に設けられた内郭部とで構成され、
前記内郭部は、前記外郭部の前記テンプルの内側に設けられたテンプル内郭部を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装着者の安全性や、メガネフレームの破損を防止する性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る実施形態のメガネフレームが適用されたメガネの全体像を示す斜視図である。
図2】本発明に係る実施形態のメガネフレームが適用されたメガネの全体像を示す斜視図であって、図1とは異なる方向から示すものである。
図3図1及び図2に示すメガネの正面図である。
図4図1及び図2に示すメガネの平面図である。
図5図4に示すメガネの平面図における、さらなる切断面及び符号を示す参考図である。
図6図1及び図2に示すメガネの底面図である。
図7図1及び図2に示すメガネの左側面図である。
図8図1及び図2に示すメガネの背図である。
図9図4に示すメガネのA-B-C-D線組合せ断面図である。
図10図5に示すメガネのE-E線断面図である。
図11図5に示すメガネのF-F線断面図である。
図12図7に示すメガネのG-G線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
まず、図1及び図2を用いて、本発明に係る実施形態のメガネフレームが適用されたメガネの全体像について説明する。
【0010】
なお、本発明に係る実施形態のメガネフレームに関する説明において、特に断りのない限り、次のように定義する方向を用いるものとする。即ち、以下の軸X、軸Y及び軸Zからなる3次元直行座標系を用いる。
【0011】
正対する装着者にメガネフレームが装着された場合、装着者にとっての左右方向に軸Xをとる。また、装着者にとって、左となる方向を「軸X正方向」と呼び、その逆を「軸X負方向」と呼ぶ。
また、装着者にとっての前後方向に軸Yをとる。また、装着者にとって前となる方向を「軸Y負方向」と呼び、その逆を「軸Y正方向」と呼ぶ。
また、装着者にとっての上下方向、即ち、重力の働く方向に軸Zをとる。また、重力の働く方向と逆の方向(上方向)を、「軸Z正方向」と呼び、その逆(下方向)を「軸Z負方向」と呼ぶ。
【0012】
また、軸Y負方向を「前側」、軸Y正方向を「後側」、軸Z正方向を「上側」、軸Z負方向を「下側」と適宜呼ぶ。また、X-Y平面において、装着者の頭部から離れる方向を「外側」と呼び、その逆を「内側」と適宜呼ぶ。
【0013】
なお、本実施形態のメガネフレームは、Y-Z平面を基準として軸X方向に対称な形状を有している。そこで、以下、メガネを構成する部位であって装着者の左右に夫々備えられている部位について、装着者にとって左側となる部位にはLの符号を付し、装着者にとって右側となる部位にはRの符号を付して説明する。
【0014】
<全体像>
図1は、本発明に係る実施形態のメガネフレームが適用されたメガネの全体像を示す斜視図である。
図2は、本発明に係る実施形態のメガネフレームが適用されたメガネの全体像を示す斜視図であって、図1とは異なる方向から示すものである。
【0015】
メガネフレーム1は、リム11R及び11Lと、ブリッジ12と、ヨロイ13R及び13Lと、テンプル14R及び14Lとを有する。
【0016】
ここで、本実施形態のメガネフレーム1は、熱可塑性樹脂ゴム弾性体(TPE:Thermoplastic elastomer)を用いて、一体成形されている。即ち、リム11R及び11Lと、ブリッジ12と、ヨロイ13R及び13Lと、テンプル14R及び14Lとは、一体不可分となっている。以下、説明の便宜のため、一体不可分であるメガネフレームをリム11R及び11Lと、ブリッジ12と、ヨロイ13R及び13Lと、テンプル14R及び14Lとの夫々の部位として区分して説明する。また、各図においては、夫々の部位を区分する補助線を、Sから始まる符号を付して示す。
【0017】
また、本実施形態のメガネフレーム1は、硬さの異なる2つの熱可塑性樹脂ゴム弾性体を用いて二重射出成型にて同時に一体成形されている。詳しくは後述するが、メガネフレーム1の外郭部は、硬い熱可塑性樹脂ゴム弾性体により成形されている。また、メガネフレーム1の内郭部は、外郭部と比較して柔らかい熱可塑性樹脂ゴム弾性体により成形されている。即ち、外郭部及び内郭部は、硬さの異なる2つの熱可塑性樹脂ゴム弾性体を用いて一体不可分に成形されている。
このように、メガネフレーム1には、材料に金属が一切使用されていない。これにより、装着者等の安全性が向上している。
本実施形態では、メガネフレーム1の外郭部には、リム外郭部11RO、11LO、ブリッジ外郭部12O、ヨロイ13R、13L、テンプル外郭部14RO、14LOが含まれる。また、メガネフレーム1の内郭部には、リム内郭部11RI、11LI、ブリッジ内郭部12I、テンプル内郭部14RI、14LIが含まれる。
【0018】
なお、以下、硬い熱可塑性樹脂ゴム弾性体により成形されているに外郭部には各部位の符号にさらにOの符号を付し、外角部と比較して柔らかい熱可塑性樹脂ゴム弾性体により成形されている内郭部には各部位の符号にさらにIの符号を付して説明する。
【0019】
リム11R及び11Lの夫々は、レンズLR及びLLの夫々を囲んで固定するメガネフレーム1の部位である。
【0020】
また、リム11Rは、リム内郭部11RI及びリム外郭部11ROから構成されている。また、リム11Lは、リム内郭部11LI及びリム外郭部11LOから構成されている。図1に示すように、リム内郭部11RI及び11LIは、複数の有底の穴を有している。リム11R及び11Lのリム内郭部11RI及び11LI、並びに、リム外郭部11RO及び11LOの具体的な構造や、当該構造を有することによるメリットについては後述する。
なお、以下、リム11R及び11Lを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「リム11」と呼ぶ。
【0021】
ブリッジ12は、一対のリム11R及び11Lを接続する。
ブリッジ12は、補助線S1で示す箇所を介してリム11Rと接続され、補助線S4で示す箇所を介してリム11Lと接続されることで、一対のリム11R及び11Lを接続する。
【0022】
また、ブリッジ12は、ブリッジ内郭部12I及びブリッジ外郭部12Oから構成されている。図1に示すように、ブリッジ内郭部12Iは、上下方向に貫通する複数の孔又は複数の有底の穴を有している。ブリッジ12のブリッジ内郭部12I及びブリッジ外郭部12Oの具体的な構造や、当該構造を有することによるメリットについては後述する。
【0023】
ヨロイ13R及び13Lの夫々は、リム11R及び11Lの夫々と、後述するテンプル14R及び14Lの夫々を接続する。ヨロイ13Rは、補助線S2で示す箇所を介してリム11Rと接続され、補助線S3で示す箇所を介してテンプル14Rと接続されることで、リム11Rとテンプル14Rとを接続する。また、ヨロイ13Lは、補助線S5で示す箇所を介してリム11Lと接続され、補助線S6で示す箇所を介してテンプル14Lと接続されることで、リム11Lとテンプル14Lとを接続する。
【0024】
また、ヨロイ13R及び13Lの夫々は、メガネフレームの外側から内側に向けて窪む凹部13R-C及び13L-Cを有している。ヨロイ13R及び13Lの夫々は、凹部13R-C及び13L-Cを有することにより、テンプル14を閉じる方向(軸Y正方向の端部同士を接する方向)や、テンプル14を開く方向(軸Y正方向の端部同士を離す方向)の何れに変形させたとしても、柔軟に変形し、割れ等を生じない。
なお、以下、ヨロイ13R及び13Lを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「ヨロイ13」と呼ぶ。
【0025】
テンプル14R及び14Lの夫々は、ヨロイ13R及び13Lの夫々を介して、リム11R及び11Lの夫々と接続される。テンプル14Rは、補助線S3で示す箇所を介してヨロイ13Rと接続され、ヨロイ13Rが補助線S2で示す箇所を介してリム11Rと接続される。また、テンプル14Lは、補助線S6で示す箇所を介してヨロイ13Lと接続され、ヨロイ13Lが、補助線S5で示す箇所を介してリム11Lと接続される。
【0026】
また、テンプル14Rは、テンプル内郭部14RI及びテンプル外郭部14ROから構成されている。また、テンプル14Lは、テンプル内郭部14LI及びテンプル外郭部14LOから構成されている。図1に示すように、テンプル内郭部14RI及び14LIは、上下方向に貫通する複数の孔又は複数の有底の穴を有している。テンプル14R及び14Lのテンプル内郭部14RI及び14LI及びテンプル外郭部14RO及び14LOの具体的な構造や、当該構造を有することによるメリットについては後述する。
なお、以下、テンプル14R及び14Lを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「テンプル14」と呼ぶ。
【0027】
以上、図1及び図2を用いて、本発明に係る実施形態のメガネフレーム1が適用されたメガネの全体像を説明した。
【0028】
<詳細構造>
以下、図1及び図2に加えて図3乃至図7を用いて、本発明に係る実施形態のメガネフレーム1が適用されたメガネの詳細な構造について説明する。
【0029】
図3は、図1及び図2に示すメガネの正面図である。
図4は、図1及び図2に示すメガネの平面図である。
図5は、図4に示すメガネの平面図における、さらなる切断面及び符号を示す参考図である。
図6は、図1及び図2に示すメガネの底面図である。
図7は、図1及び図2に示すメガネの左側面図である。
図8は、図1及び図2に示すメガネの背図である。
なお、右側面図は、左側面図と対称であるため省略する。
【0030】
図1及び図2等に示すように、リム11のリム内郭部11RI、11LIは、上又は下方向に窪む底を有する穴(以下、有底の穴という)を有している。
【0031】
具体的には例えば、リム11Rのリム内郭部11RIの上縁側11RI-STには、上側から下側に向かって窪む有底の穴が左右方向(X方向)に沿って複数形成されている。同様に、リム11Lのリム内郭部11LIの上縁側11LI-STには、上側から下側に向かって窪む有底の穴が左右方向に沿って複数形成されている。
ここで、リム内郭部11RI及び11LIの上縁側11RI-ST及び11LI-STとは、夫々、リム11R及び11Lの軸Z正方向の側となる縁の部分をいう。
【0032】
また、リム11Rのリム内郭部11RIの下縁側11RI-SBには、下側から上側に向かって窪む有底の穴が左右方向(軸X方向)に沿って複数形成されている。同様に、リム11Lのリム内郭部11LIの下縁側11LI-SBには、下側から上側に向かって窪む有底の穴が左右方向に沿って複数形成されている。
ここで、リム内郭部11RI及び11LIの下縁側11RI-SB及び11LI-SBとは、夫々、リム11R及び11Lの軸Z負方向の側となる縁の部分をいう。
【0033】
また、ブリッジ12のブリッジ内郭部12Iの上面12I-STには、上下方向に貫通する孔が複数形成されている。
【0034】
また、テンプル14Rのテンプル内郭部14RIには、上下方向に貫通する複数の孔が、テンプル14Rの長手方向に沿って形成されている。同様に、テンプル14Lのテンプル内郭部14LIには、上下方向に貫通する複数の孔が、テンプル14Lの長手方向に沿って形成されている。
ここで、テンプル内郭部14RI及び14LIの長手方向とは、夫々、テンプル14R及び14Lの略軸Y方向をいう。
【0035】
ここで、テンプル14が有する上下方向に貫通する複数の孔の構造や、構造を有することによるメリットについて説明する。
【0036】
図1乃至図4に示すように、テンプル14Rのテンプル内郭部14RIは、上側の面14RI-STと、内側の面14RI-SIと、下側の面14RI-SBとを有する。なお、上側の面14RI-ST及び下側の面14RI-SBは、テンプル14Rの軸Y正方向の端(+Y側端部)において1つの面として滑らかに接続されている。
同様に、テンプル14Lのテンプル内郭部14LIは、上側の面14LI-STと、内側の面14LI-SIと、下側の面14LI-SBとを有する。また、上側の面14LI-ST及び下側の面14LI-SBは、テンプル14Lの軸Y正方向の端(+Y側端部)において1つの面として滑らかに接続されている。
【0037】
テンプル内郭部14RIは、図1及び図2等に示すように、テンプル内郭部14RIの上側の面14RI-STから下側の面14RI-SBに向けて貫通するようにして、テンプル14Rの長手方向に沿って複数の孔が形成されている。
同様に、テンプル内郭部14LIは、テンプル内郭部14RIの上側の面14RI-STから下側の面14RI-SBに向けて貫通するようにして、テンプル14Rの長手方向に沿って複数の孔が形成されている。
【0038】
また、図5に示すように、テンプル内郭部14RIの隣り合う複数の孔の夫々は、壁部14RI-W1乃至14RI-W6の夫々により仕切られて形成されている。壁部14RI-W1乃至14RI-W6の夫々は、メガネフレーム1の外側から内側に向かうにつれて、前側(-Y側)から後側(+Y側)へ傾斜している。なお、以下、壁部14RI-W1乃至14RI-W6を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「壁部14RI-W」と呼ぶ。
同様に、テンプル内郭部14LIの隣り合う複数の孔の夫々は、壁部14LI-W1乃至14LI-W6の夫々により仕切られて形成されている。壁部14LI-W1乃至14LI-W6の夫々は、メガネフレーム1の外側から内側に向かうにつれて、前側(-Y側)から後側(+Y側)へ傾斜している。なお、以下、壁部14LI-W1乃至14LI-W6を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「壁部14LI-W」と呼ぶ。
【0039】
ここで、例えば、テンプル14Rに対して、軸X負方向から軸X正方向に向かって所定物が衝突等して衝撃が加わったとする。この場合、メガネフレーム1のテンプル14R等は変形する。具体的には例えば、まず、テンプル内郭部14RIの内側の面14RI-SIが装着者に接触する。上述したように、テンプル内郭部14Rは、外郭部と比較して柔らかい熱可塑性樹脂ゴム弾性体により形成されている。そのため、装着者に接触した後、テンプル内郭部14RIはテンプル外郭部14ROと比較して先に変形する。また、テンプル内郭部14RIは、上述のように複数の孔が形成されているので、複数の孔が変形(つぶれる)ことにより、より容易に変形する。
これにより、テンプル内郭部14RIにより衝撃が軽減され、装着者の安全性が向上する。
【0040】
また、テンプル内郭部14RIの内側の面14RI-SIは、装着者と接触した後、装着者に対して摩擦力を生じる。そのうえで、メガネフレーム1の外側から内側に向かうにつれて前側から後側へ傾斜している壁部14RI-Wは、テンプル内郭部14RIの内側の面14RI-SIに対して、テンプル14Rが軸Y負方向に移動するように変形する。
これにより、リム11RやレンズLRが装着者に触れることを防いだり、触れる場合においては装着者に押し付けられる力が軽減されたりして、装着者の安全性が向上する。
【0041】
また、前側から後側へ傾斜している壁部14RI-Wが変形した場合、2以上の壁部14RI-W同士が軸X方向に重畳する。その結果、軸X方向の壁部14RI-Wの厚みは、重畳した壁部14Rの厚みの合計となる。即ち、外郭部と比較して柔らかい熱可塑性樹脂ゴム弾性体であるテンプル内郭部14RIは、重畳した壁部14RI-Wの厚みの合計だけ、変形する余地がある。
上下方向に貫通する複数の孔を有している範囲全体において、壁部14RI-Wは、変形した場合において略均一に重畳する領域を有することができる。これにより、装着者の安全性が向上する。
【0042】
また、テンプル14を開く方向(軸Y正方向の端部同士を離す方向)に変形された場合において、壁部14RI-WのX-Y平面における長辺方向に復元力が働く。これにより、メガネフレーム1は、平時の形状に戻りやすいものとなる。即ち、より平時の形状そのものに戻りやすいため装着感が向上するとともに、繰り返しの変形等においても平時の形状に戻りやすいためメガネフレーム1の寿命が向上する。
なお、テンプル14Lに対して衝撃が加わった場合についても同様である。
【0043】
また、上下方向に貫通する複数の孔は、テンプル内郭部14RI、14LIのうち、メガネフレームを装着した装着者の頭部が接触しない非接触領域に設けられている。
非接触領域とは、平時において、装着者に接触しない領域をいい、より具体的には、装着者がメガネフレームを装着した際に、テンプルの後側の端部(+Y側端部)の装着者の頭部や、耳に接触する部位を除いた領域をいう。
上述したように、上下方向に貫通する複数の孔は、テンプル内郭部14RIの上側の面14RI-ST及び下側の面14RI-SBを通るように存在している。具体的には例えば、上下方向に貫通する複数の孔は、装着者の頭部が接触するテンプル内郭部14RIの内側の面14RI-SIには構造を有さない。
これにより、装着者は、上下方向に貫通する複数の孔等による凹凸等に接しないため、装着感に違和感を持たない、即ち、装着感が向上するという効果を奏する。
【0044】
また、テンプル14Rのテンプル内郭部14RIの複数の孔が設けられている近傍において、内側の面14RI-SIの略軸Y方向の長さは、テンプル外郭部14ROと接する面の略軸Y方向の長さと比較して長い。これにより、テンプル14を開く方向(軸Y正方向の端部同士を離す方向)に変形させたとしても、柔軟に変形し、割れ等を生じるリスクを低減することができる。
【0045】
以上、主にテンプル14Rを用いてテンプル14が有する上下方向に貫通する複数の孔の具体的な構造や、構造を有することによるメリットを説明した。
図5等に示すように、テンプル14Lは、テンプル14Rと基本的に同様の構造を有し、当該構造を有することによるメリットがある。
【0046】
次に、リム11Rを用いてリム11が有する複数の有底の穴の構造や、構造を有することによるメリットについて説明する。
【0047】
また、リム内郭部11RIの隣り合う複数の有底の穴の夫々は、テンプル内郭部14RIと同様に、壁部11RI-Wの夫々により仕切られて形成されている。リム内郭部11RIの複数の壁部11RI-Wの夫々は、メガネフレーム1の外側から内側に向かうにつれて、ブリッジ12側からヨロイ13R側へ傾斜している。
【0048】
ここで、例えば、リム内郭部11RIに対して、軸Y負方向から軸Y正方向に向かって所定物が衝突等され衝撃が加わったとする。この場合、メガネフレーム1のリム11R等は変形する。具体的には例えば、リム内郭部11RIの内側の面が装着者に接する。上述したように、リム内郭部11RIは、リム外郭部11ROと比較して柔らかい熱可塑性樹脂ゴム弾性体により形成されている。そのため、リム内郭部11RIはリム外郭部11ROと比較して先に変形する。また、リム内郭部11RIは、上述のように複数の有底の穴が形成されているので、複数の有底の穴が変形する(つぶれる)ことにより、より容易に変形する。
これにより、リム内郭部11RIにより衝撃が軽減され、装着者の安全性が向上する。
【0049】
また、リム内郭部11RIの内側の面は、装着者と接触した後、装着者に対して摩擦力を生じる。そのうえで、メガネフレーム1の外側から内側に向かうにつれてブリッジ12側からヨロイ13R側へ傾斜している壁部12O-Wは、リム内郭部11RIの内側の面に対して、リム11Rが軸X正方向に移動するように変形する。軸X正方向は、リム11Rの鼻あて部などにおいては、装着者の右目から離れる方向である。
これにより、リム11Rの鼻あて部等が、装着者(特に右の眼球)に触れることを防いだり、触れる場合においては装着者に押し付けられる力が軽減され、装着者の安全性が向上する。
【0050】
また、リム内郭部11RIの壁部11RI-Wが変形した場合、2以上の壁部11RI-W同士が軸Y方向に重畳する。その結果、軸Y方向の壁部の厚みは、重畳した壁部11RI-Wの厚みの合計となる。即ち、外郭部と比較して柔らかい熱可塑性樹脂ゴム弾性体であるリム内郭部11RIは、重畳した壁部11RI-Wの厚みの合計だけ、変形する余地がある。
複数の有底の穴を有している範囲全体において、壁部11RI-Wは、変形した場合において略均一に重畳する領域を有することができる。これにより、装着者の安全性が向上する。
【0051】
また、上述したように、テンプル14を閉じる方向(軸Y正方向の端部同士を接する方向)や、テンプル14を開く方向(軸Y正方向の端部同士を離す方向)に変形された場合、ヨロイ13R及び13Lの夫々の凹部13R-C及び13L-Cにより、柔軟に変形し、割れ等を生じない。しかしながら、さらにリム11も変形した場合においては、壁部11RI-Wの長辺方向に復元力が働く。これにより、メガネフレーム1は、平時の形状に戻りやすいものとなる。即ち、より平時の形状そのものに戻りやすいため装着感が向上するとともに、繰り返しの変形等においても平時の形状に戻りやすいためメガネフレーム1の寿命が向上する。
【0052】
以上、リム11Rを用いてリム11が有する複数の有底の穴の具体的な構造や、構造を有することによるメリットを説明した。
図5等に示すように、リム11Lは、リム11Rと基本的に同様の構造を有し、当該構造を有することによるメリットがある。
【0053】
次に、ブリッジ12が有する上下方向に貫通する孔の構造や、構造を有することによるメリットについて説明する。
【0054】
また、ブリッジ内郭部12Iの上下方向に貫通する孔は、ブリッジ内郭部12Iに隣接するリム内郭部11RI、11LIに設けられた有底の穴に並んで形成されており、壁部120-Wにより仕切られている。ブリッジ内郭部12Iの上記孔を形成する壁部120-Wは、メガネフレーム1の外側から内側に向かうにつれて、ブリッジ12の中心からヨロイ13側へ傾斜している。
【0055】
ここで、例えば、ブリッジ内郭部12Iに対して、軸Y負方向から軸Y正方向に向かって所定物が衝突等されたとする。この場合、メガネフレーム1のブリッジ12は、リム11R、11L等とともに変形する。具体的には例えば、ブリッジ内郭部12Iの内側の面が装着者に接する。上述したように、ブリッジ内郭部12Iは、外郭部と比較して柔らかい熱可塑性樹脂ゴム弾性体により形成されている。そのため、ブリッジ内郭部12Iはブリッジ外郭部12Oと比較して先に変形する。また、ブリッジ内郭部12Iは、上述のように上下方向に貫通した孔が形成されているので、その貫通孔が変形(つぶれる)ことにより、より容易に変形する。
これにより、ブリッジ内郭部12Iにより衝撃(特に着用者にとっての正面方向からの衝撃)が軽減され、装着者の安全性が向上する。
【0056】
また、ブリッジ内郭部12Iの壁部120-Wが変形した場合、隣接するリム内郭部11RI,11RIの複数の有底の穴の壁部11RI-Wとともに軸Y方向に重畳する。その結果、軸Y方向の壁部の厚みは、重畳した壁部11RI-W及び120-Wの厚みの合計となる。即ち、外郭部と比較して柔らかい熱可塑性樹脂ゴム弾性体であるブリッジ内郭部12Iは、重畳した壁部の厚みの合計だけ、変形する余地がある。
上下方向に貫通する孔を有している範囲全体において、壁部は、変形した場合において略均一に重畳する領域を有することができる。これにより、装着者の安全性が向上する。
【0057】
以上、ブリッジ12が有する上下方向に貫通する孔の具体的な構造や、構造を有することによるメリットを説明した。
【0058】
<上下方向に貫通する孔及び有底の穴の形状>
以下、図9乃至図12を用いて、上述の上下方向に貫通する孔又は有底の穴の形状について説明する。
【0059】
図9は、図4に示すメガネのA-B-C-D線組合せ断面図である。
図9に示すように、リム11Rのリム内郭部11RIの上縁側11RI-STに設けられた穴は、底部11RI-Bを有している。これにより、X-Y平面の力に対して、リム11Rのリム内郭部11RIの上縁側11RI-STの壁部11RI-Wのみならず、底部11RI-Bも変形を妨げることとなる。その結果、軽微な力(例えば装着者の運動に伴う慣性力)に対して、リム内郭部11RI、ひいては、リム11Rの変形が軽微なのとなるため、装着感が向上する。
また、リム11Rのリム内郭部11RIの上縁側11RI-ST(軸Z正側)の穴は、上縁側11RI-STの上側から下側に向けて窪んだ有底の穴であり、下側(軸Z負側)に底(底部11RI-B)が形成されている。これにより、装着されている場合において、軸Z正方向から複数の有底の穴が視認可能となっている。これにより、メガネフレーム1のデザイン性が向上しつつ、上述の装着感の向上のメリットを享受することができる。
また、上縁側11RI-ST(軸Z正側)の穴が、上縁側11RI-STの上側から下側に向けて窪むようにすることで、上型及び下型の金型によりメガネフレーム1を作成する場合において、型抜きが行いやすくすることができ、メガネフレームの製造をより容易することができる。
更に、リム内郭部を軽量化することができるとともに、リム内郭部に使用する材料を削減し、コスト削減に寄与することが可能になる。
図9等に示すように、リム11Lは、リム11Rと基本的に同様の構造を有し、当該構造を有することによるメリットがある。
【0060】
図10は、図5に示すメガネのE-E線断面図である。
図10に示すように、リム11Rのリム内郭部11RIの下縁側11RI-SBに設けられた穴は、底部11RI-Bを有している。これにより、X-Y平面の力に対して、リム11Rのリム内郭部11RIの下縁側11RI-SBの壁部11RI-Wのみならず、底部11RI-Bも変形を妨げることとなる。その結果、軽微な力(例えば装着者の運動に伴う慣性力)に対して、リム内郭部11RI、ひいては、リム11Rの変形が軽微なのとなるため、装着感が向上する。
また、リム11Rのリム内郭部11RIの下縁側11RI-SB(軸Z負側)の穴は、下縁側11RI-SBの下側から上側に向けて窪んだ有底の穴であり、上側(軸Z正側)に底(底部11RI-B)が形成されている。これにより、装着されている場合において、軸Z負方向から複数の有底の穴が視認可能となっている。これにより、メガネフレーム1のデザイン性が向上しつつ、上述の装着感の向上のメリットを享受することができる。
また、下縁側11RI-SB(軸Z負側)の穴が、下縁側11RI-SBの下側から上側に向けて窪むようにすることで、上型及び下型の金型によりメガネフレーム1を作成する場合において、型抜きが行いやすくすることができ、メガネフレームの製造がより容易になるという効果も有する。
更に、リム内郭部を軽量化することができるとともに、リム内郭部に使用する材料を削減し、コスト削減に寄与することが可能になる。
図10等に示すように、リム11Lは、リム11Rと基本的に同様の構造を有し、当該構造を有することによるメリットがある。
【0061】
図11は、図5に示すメガネのF-F線断面図である。
図12は、図7に示すメガネのG-G線断面図である。
図11及び図12に示すように、テンプル14Rのテンプル内郭部14RIに設けられた孔は、上下方向に貫通した孔となっている。これにより、テンプル内郭部を軽量化することができるとともに、テンプル内郭部に使用する材料を削減し、コスト削減に寄与することが可能になる。また、装着者の側頭部と接するテンプル14Rにおいては、孔には、皮脂汚れ等が蓄積されやすい。そこで、テンプル14Rにおいては、有底の穴と比較して容易に洗浄が容易となる、上下方向に貫通した孔となっている。
【0062】
また、図9に示すように、ブリッジ12のブリッジ内郭部12Iに設けられた孔は、上下方向に貫通した孔となっている。これにより、ブリッジ内郭部12Iを軽量化することができるとともに、ブリッジ内郭部12Iに使用する材料を削減し、コスト削減に寄与することが可能になる。
【0063】
<外郭部及び内郭部の硬さ>
【0064】
外郭部(例えば、リム11、ブリッジ12、ヨロイ13、テンプル14の外郭部)のショア硬さ(A)は、100度以上、150度以下とすると好適である。特に、外郭部のショア硬さ(A)は、120とするとより好適である。
ここで、外郭部のショア硬さが、100度未満であると、メガネフレームの形状維持するのが困難になるので好ましくない。また、外郭部のショア硬さが、150度より大きいと、メガネフレームの変形容易性が低下、すなわちメガネフレーム自体が変形しにくくなり、衝撃を十分に吸収できなくなったり、メガネフレーム自体が破損したりするので好ましくない。また、外郭部のショア硬さが150度より大きい場合、射出成形によって成形したとき、成形されたメガネフレーム1を金型から取り出すことが難しくなるので好ましくない。
【0065】
具体的には例えば、外郭部の熱可塑性樹脂ゴム弾性体として、TED-602の規格(Dongguan Changsheng New Material社製品)を用いることができる。TED-602の規格の熱可塑性樹脂ゴム弾性体には、スチレンエチレンブチレンスチレン、ナフテン油、ポリプロピレン、炭酸カルシウム、抗酸化剤が成分として含まれる。
【0066】
また、内郭部(例えば、リム11、ブリッジ12、テンプル14の内郭部)のショア硬さ(A)は、30度以上、70度以下とすると好適である。特に、外郭部のショア硬さ(A)は、55とするとより好適である。
ここで、内郭部のショア硬さが、30度未満であると、メガネフレームの内郭部の形状維持するのが困難になるので好ましくない。また、内郭部のショア硬さが、70度より大きいと、クッション性の確保が困難となり、衝撃を十分に吸収できなくなるので好ましくない。
また、内郭部のショア硬さが30度未満であると、外郭部から内郭部がはがれてしまう恐れがある。即ち、外郭部と内郭部との癒着が低下するとともに、内郭部自体の強度が低下する。その結果、成形時に内郭部が破損してしまい、成形ができなかったり、歩留まりが低下したりする可能性が高まる。
【0067】
具体的には例えば、外郭部の熱可塑性樹脂ゴム弾性体として、P801-55A32の規格(Dongguan Changsheng New Material社製品)を用いることができる。P801-55A32の規格の熱可塑性樹脂ゴム弾性体には、スチレンエチレンブチレンスチレン、ナフテン油、ポリプロピレン、炭酸カルシウム、抗酸化剤が成分として含まれる。
【0068】
また、内郭部(例えば、リム11、ブリッジ12、テンプル14の内郭部)は、外郭部(例えば、リム11、ブリッジ12、ヨロイ13、テンプル14の外郭部)と比較して、摩擦力が大きいものが好適である。内郭部の摩擦力により、装着感が向上する。また、内郭部と装着者との摩擦が強く外郭部と所定物との摩擦が弱いことにより、上述の所定物が衝突等して衝撃が加わった場合における装着者の安全性の向上の効果が、向上する。
【0069】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものとみなす。
【0070】
また、図1乃至図12に示すメガネフレーム1の形状等は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0071】
(変形形態)
(1)上述の実施形態において、テンプル部14のテンプル内郭部14RI、14LIには、上下方向に貫通する複数の孔が形成される例を示したが、これに限定されるものでない。例えば、テンプル内郭部14RI、14LIには、上下方向に貫通する複数の孔の代わりに複数の有底の穴を設けるようにしても良い。また、複数の有底の穴と、上下方向に貫通する複数の孔を混在させるようにしても良い。
(2)上述の実施形態において、ブリッジ12のブリッジ内郭部12Iには、上下方向に貫通する孔が形成される例を示したが、これに限定されるものでない。例えば、ブリッジ内郭部12Iには、上下方向に貫通する孔の代わりに有底の穴を設けるようにしても良い。
(3)上述の実施形態において、リム11のリム内郭部11RI、11LIには、複数の有底の穴が形成される例を示したが、これに限定されるものでない。例えば、リム内郭部11RI、11LIには、複数の有底の穴の代わりに上下方向に貫通する複数の孔を設けるようにしても良い。また、複数の有底の穴と、上下方向に貫通する複数の孔を混在させるようにしても良い。
(4)上述の実施形態において、メガネフレーム1は、硬さの異なる2つの熱可塑性樹脂ゴム弾性体を用いて二色成形法にて同時に一体成形され、外郭部と比較して柔らかい熱可塑性樹脂ゴム弾性体により成形されているものとしたが、特にこれに限定されない。即ち例えば、メガネフレームは、3つ以上の熱可塑性樹脂ゴム弾性体を用いて同時に一体成形されてもよい。
【0072】
以上をまとめると、本発明が適用されるメガネフレームは、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
(1)
即ち、本発明が適用されるメガネフレーム(メガネフレーム1)は、
レンズ(レンズLR及びLL)を固定する一対のリム(リム11R及び11L)と、一対の前記リムを接続するブリッジ(ブリッジ12)と、ヨロイ(ヨロイ13R及び13Lの夫々)を介して前記リム(リム11R及び11Lの夫々)に接続されるテンプル(テンプル14R及び14Lの夫々)とを有するメガネフレームにおいて、
前記メガネフレームは、外郭部と、前記外郭部よりも硬さが柔く、前記外郭部の内側の少なくとも一部に設けられた内郭部とで構成され、
前記内郭部は、前記外郭部の前記テンプルの内側に設けられたテンプル内郭部(テンプル内郭部14RI及び14LI)を含む。
【0073】
これにより、テンプルに対して、左右方向(軸X方向)に所定物が衝突等して衝撃が加わったとする。この場合、メガネフレームのテンプル等は変形する。テンプル内郭部は、外郭部と比較して柔らかい熱可塑性樹脂ゴム弾性体により形成されている。そのため、装着者に接触した後、テンプル内郭部はテンプル外郭部と比較して先に変形する。
このように、テンプル内郭部により衝撃が軽減され、装着者の安全性が向上する。また、衝撃が加わった時以外の平時おいては、テンプル内郭部と比較して硬いテンプル外郭部により形状が維持され、着用感が向上する。
【0074】
(2)
前記テンプル内郭部は、上下方向(軸Z方向)に貫通する複数の孔又は複数の有底の穴が、前記テンプルの長手方向(略軸Y方向)に沿って形成されている。
【0075】
これにより、テンプル内郭部の複数の孔が変形(つぶれる)ことにより、より容易に変形する。即ち、テンプル内郭部により衝撃が軽減され、装着者の安全性が向上する。
【0076】
(3)
前記テンプル内郭部は、隣り合う前記孔又は前記穴の間に存在する壁部(例えば、壁部14RI-W)が、前記メガネフレームの外側から内側に向かうにつれて(14Rにおいては軸X正方向に向かうにつれて)、前側から後側へ(軸Y正方向へ)傾斜している。
【0077】
これにより、また、テンプル内郭部の内側の面は、装着者と接触した後、装着者に対して摩擦力を生じる。そのうえで、メガネフレームの外側から内側に向かうにつれて前側から後側へ傾斜している壁部は、テンプル内郭部の内側の面に対して、テンプルが軸Y負方向に移動するように変形する。
これにより、リムやレンズが装着者に触れることを防いだり、触れる場合においては装着者に押し付けられる力が軽減されたりして、装着者の安全性が向上する。
【0078】
(4)
複数の前記孔又は前記穴は、前記テンプル内郭部のうち、前記メガネフレームを装着した装着者の頭部が接触しない非接触領域に設けられている。
【0079】
これにより、装着者は、上下方向に貫通する複数の孔等による凹凸等に接しないため、装着感に違和感を持たない、即ち、装着感が向上する。
【0080】
(5)
前記内郭部は、さらに前記外郭部の前記ブリッジの内側に設けられたブリッジ内郭部を含む。
【0081】
これにより、ブリッジ内郭部により衝撃(特に着用者にとって前となる方向からの衝撃)が軽減され、装着者の安全性が向上する。
【0082】
(6)
前記ブリッジ内郭部は、上下方向に貫通する孔又は有底の穴が形成されている。
【0083】
これにより、ブリッジ内郭部の複数の孔又は有底の穴が変形(つぶれる)ことにより、より容易に変形する。即ち、ブリッジ内郭部により衝撃が軽減され、装着者の安全性が向上する。
【0084】
(7)
前記内郭部は、さらに前記外郭部の前記リムの上縁及び下縁の内側に設けられたリム内郭部を含む。
【0085】
これにより、例えば、リム内郭部に対して、着用者にとって前となる方向からの衝撃が加わったとする。この場合、メガネフレームのリム等は変形する。具体的には例えば、リム内郭部の内側の面が装着者に接する。上述したように、リム内郭部は、リム外郭部と比較して柔らかい熱可塑性樹脂ゴム弾性体により形成されている。そのため、リム内郭部はリム外郭部と比較して先に変形する。また、リム内郭部は、上述のように複数の孔又は複数の有底の穴が形成されているので、複数の孔又は複数の有底の穴が変形する(つぶれる)ことにより、より容易に変形する。
これにより、リム内郭部により衝撃が軽減され、装着者の安全性が向上する。
【0086】
(8)
前記リム内郭部は、有底の穴が左右方向に沿って複数形成されている。
【0087】
これにより、複数の有底の穴により、リムが全体的に変形するため、装着者の安全性が向上する。
【0088】
(9)
前記リム内郭部の上縁側(軸Z正側)の前記穴は、下側(軸Z負側)に底(底部11RI-B)が形成され、
前記リム内郭部の下縁側(軸Z負側)の前記穴は、上側(軸Z正側)に底(底部11RI-B)が形成される。
【0089】
これにより、軽微な力(例えば装着者の運動に伴う慣性力)に対して、リム内郭部、ひいては、リムの変形が軽微なのとなるため、装着感が向上する。
【0090】
(10)
前記外郭部のショア硬さ(A)は、100度以上、150度以下とする。
【0091】
これにより、メガネフレームの形状維持が可能となる。また、外殻部のショア硬さが、メガネフレームの変形容易性を維持することができる。即ち、メガネフレーム自体の変形及び衝撃の吸収が可能となり、メガネフレーム自体の破損のリスクも軽減することができる。
【0092】
(11)
前記内郭部のショア硬さ(A)は、30度以上、70度以下とする。
【0093】
これにより、メガネフレームの内郭部の形状維持が可能となる。また、クッション性の確保が可能となる。即ち、衝撃を十分に吸収しつつ、形状維持が可能となる。
【0094】
(12)
前記ヨロイは、外側から内側に向けて窪む凹部を備える。
【0095】
これにより、テンプルの端部(装着者にとって後ろとなる側の端部)を閉じる方向や、テンプルを開く方向の何れに変形させたとしても、柔軟に変形し、割れ等を生じないものとすることができる。
【符号の説明】
【0096】
1・・・メガネフレーム1、11,11R,11L・・・リム、11LI,11RI・・・リム内郭部、11LO,11RO・・・ブリッジ外郭部、12・・・ブリッジ、12I・・・ブリッジ内郭部、12O・・・ブリッジ外郭部、13,13R,13L・・・ヨロイ、14,14R,14L・・・テンプル、14RI,14LI・・・テンプル内郭部、14RI,14LI・・・テンプル外郭部
【要約】
【課題】装着者の安全性や、メガネフレームの破損を防止する性能を向上させること。
【解決手段】レンズLR及びLLを固定する一対のリム11R及び11Lと、一対の前記リムを接続するブリッジ12と、ヨロイ13R及び13Lの夫々を介してリム11R及び11Lの夫々に接続されるテンプル14R及び14Lの夫々とを有するメガネフレームにおいて、メガネフレーム1は、外郭部と、外郭部よりも硬さが柔く、外郭部の内側の少なくとも一部に設けられた内郭部とで構成され、内郭部は、外郭部のテンプルの内側に設けられたテンプル内郭部14RI及び14LIを含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12