(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20250110BHJP
【FI】
G06T7/00 640
G06T7/00 350C
(21)【出願番号】P 2020218914
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】西田 量
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111008612(CN,A)
【文献】特開2019-159680(JP,A)
【文献】特開2018-116603(JP,A)
【文献】特開2016-015116(JP,A)
【文献】特開2019-166431(JP,A)
【文献】中村昭宏 外2名,テクスチャ特徴と機械学習を用いた煙検出に関する検討,電気学会研究会資料,社団法人電気学会 ,2011年03月25日,pp.51~55
【文献】植草秀明 外2名,画像処理による現場異常監視システム,富士時報,富士電機株式会社,1997年07月10日,第70巻 第7号,pp.383~386
【文献】勝田裕貴 外1名,3D畳み込みニューラルネットワーク及びLSTMを用いた動画像認識,情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)2017-CVIM-206[online],情報処理学会 ,2017年03月02日,pp.1~4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
CSDB(日本国特許庁)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上の所定の面積空間内の所定の排出物の状態に対応する状態情報を含む空中で検知された検知情報を取得する取得部と、
前記検知情報に基づき前記面積空間に対応づけられた設備の稼働状態を推定する稼働状態推定部と、
を備え、
前記稼働状態推定部は、前記検知情報を入力し、前記稼働状態を少なくとも稼働または非稼働に分類した分類結果を出力する学習済みモデルを用いて、前記稼働状態を推定し、
前記学習済みモデルは、複数の異なる前記面積空間に対応する複数の前記検知情報を教師データとして用いて学習されたニューラルネットワークの各層のニューロン間の重み付け係数を初期値として、前記面積空間毎に再学習されたモデルを含む
情報処理装置。
【請求項2】
地上の所定の面積空間内の所定の排出物の状態に対応する状態情報を含む空中で検知された検知情報を取得する取得部と、
前記検知情報に基づき前記面積空間に対応づけられた設備の稼働状態を推定する稼働状態推定部と、
を備え、
前記稼働状態推定部は、前記検知情報を入力し、前記稼働状態を少なくとも稼働または非稼働に分類した分類結果を出力する学習済みモデルを用いて、前記稼働状態を推定し、
前記学習済みモデルは、前記面積空間に対応する気象情報をさらに入力し、前記分類結果を出力する
情報処理装置。
【請求項3】
前記学習済みモデルは、前記面積空間に対応する気象情報をさらに入力し、前記分類結果を出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
地上の所定の面積空間内の所定の排出物の状態に対応する状態情報を含む空中で検知された検知情報を取得する取得部と、
前記検知情報に基づき前記面積空間に対応づけられた設備の稼働状態を推定する稼働状態推定部と、
を備え、
前記稼働状態推定部は、前記検知情報を入力し、前記稼働状態を少なくとも稼働または非稼働に分類した分類結果を出力する学習済みモデルを用いて、前記稼働状態を推定し、
前記学習済みモデルは、以前の前記分類結果をさらに入力し、前記分類結果を出力する
情報処理装置。
【請求項5】
前記学習済みモデルは、以前の前記分類結果をさらに入力し、前記分類結果を出力する
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
地上の所定の面積空間内の所定の排出物の状態に対応する状態情報を含む空中で検知された検知情報を取得する取得部と、
前記検知情報に基づき前記面積空間に対応づけられた設備の稼働状態を推定する稼働状態推定部と、
前記面積空間に対応する所定の領域内の1または複数の携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報に基づいて前記稼働状態が非稼働である場合に非稼働の状態を推定する状態推定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項7】
前記面積空間に対応する所定の領域内の1または複数の携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報に基づいて前記稼働状態が非稼働である場合に非稼働の状態を推定する状態推定部と、
を備える
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記排出物が白煙であり、
前記検知情報がカラーまたはモノクロ画像データである
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
地上の所定の面積空間内の所定の排出物の状態に対応する状態情報を含む空中で検知された検知情報を取得する取得部と、
前記検知情報に基づき前記面積空間に対応づけられた設備の稼働状態を推定する稼働状態推定部と、
前記稼働状態に基づき前記設備である生産設備の生産量を推定する生産量推定部と、
を備え、
前記排出物が白煙であり、
前記検知情報がカラーまたはモノクロ画像データであり、
前記生産量推定部は、前記生産量を季節に応じて補正して推定する
情報処理装置。
【請求項10】
前記排出物が熱であり、
前記検知情報が熱赤外線画像データである
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記稼働状態推定部が、前記検知情報に基づく所定の温度差に基づき前記設備の稼働状態を推定する
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記設備が生産設備であって、
前記稼働状態に基づき前記生産設備の生産量を推定する生産量推定部を
さらに備える
請求項1から8、10、11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
地上の所定の面積空間内の所定の排出物の状態に対応する状態情報を含む空中で検知された検知情報を取得する取得部と、
前記検知情報に基づき前記面積空間に対応づけられた設備の稼働状態を推定する稼働状態推定部と、
前記稼働状態に基づき前記設備である生産設備の生産量を推定する生産量推定部と、
を備え、
前記生産量推定部は、前記生産設備が発電設備である場合、前記稼働状態推定部が前記検知情報に基づいて前記稼働状態を推定することができないとき、前記発電設備が従属する系統の構成に基づいて当該発電設備の生産量を推定する
情報処理装置。
【請求項14】
地上の所定の面積空間内の所定の排出物の状態に対応する状態情報を含む空中で検知された検知情報を取得するステップと、
前記検知情報に基づき前記面積空間に対応づけられた設備の稼働状態を推定するステップと、
を含
み、
前記稼働状態を推定するステップは、前記検知情報を入力し、前記稼働状態を少なくとも稼働または非稼働に分類した分類結果を出力する学習済みモデルを用いて、前記稼働状態を推定し、
前記学習済みモデルは、複数の異なる前記面積空間に対応する複数の前記検知情報を教師データとして用いて学習されたニューラルネットワークの各層のニューロン間の重み付け係数を初期値として、前記面積空間毎に再学習されたモデルを含む
情報処理方法。
【請求項15】
地上の所定の面積空間内の所定の排出物の状態に対応する状態情報を含む空中で検知された検知情報を取得するステップと、
前記検知情報に基づき前記面積空間に対応づけられた設備の稼働状態を推定するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム
であって、
前記稼働状態を推定するステップは、前記検知情報を入力し、前記稼働状態を少なくとも稼働または非稼働に分類した分類結果を出力する学習済みモデルを用いて、前記稼働状態を推定し、
前記学習済みモデルは、複数の異なる前記面積空間に対応する複数の前記検知情報を教師データとして用いて学習されたニューラルネットワークの各層のニューロン間の重み付け係数を初期値として、前記面積空間毎に再学習されたモデルを含む
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、衛星画像に基づいて、コンテナの充填容積を推定する画像処理方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の画像処理方法では、各画像に基づきその画像が撮影されたときのコンテナの充填容積を推定することはできるが、コンテナの充填物が使用されている状態なのか否か、すなわち、その設備が稼働状態であるのか否かは推定することができないという課題があった。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、設備の稼働状態を推定することができる情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る情報処理装置は、地上の所定の面積空間内の所定の排出物の状態に対応する状態情報を含む空中で検知された検知情報を取得する取得部と、前記検知情報に基づき前記面積空間に対応づけられた設備の稼働状態を推定する稼働状態推定部と、を備える。
【0007】
本開示に係る情報処理方法は、地上の所定の面積空間内の所定の排出物の状態に対応する状態情報を含む空中で検知された検知情報を取得するステップと、前記検知情報に基づき前記面積空間に対応づけられた設備の稼働状態を推定するステップと、を含む。
【0008】
本開示に係るプログラムは、地上の所定の面積空間内の所定の排出物の状態に対応する状態情報を含む空中で検知された検知情報を取得するステップと、前記検知情報に基づき前記面積空間に対応づけられた設備の稼働状態を推定するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の情報処理装置、情報処理方法およびプログラムによれば、設備の稼働状態を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係る情報処理装置の基本的構成例を示すブロック図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係る設備情報の構成例を示す模式図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係る面積空間の一例を示す模式図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係る面積空間の一例を示す模式図である。
【
図5】本開示の第1実施形態に係る面積空間の一例を示す模式図である。
【
図6】本開示の第1実施形態に係る学習済みモデルの構成例を示す模式図である。
【
図7】本開示の第1実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図8】本開示の第1実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図9】本開示の第1実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図10】本開示の第1実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図11】本開示の第1実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図12】本開示の第1実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図13】本開示の第1実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図14】本開示の第2実施形態に係る学習済みモデルの構成例を示す模式図である。
【
図15】本開示の第2実施形態に係る学習済みモデルの構成例を示す模式図である。
【
図16】本開示の第2実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図17】本開示の第2実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図18】本開示の第2実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図19】本開示の第2実施形態に係る面積空間の一例を示す模式図である。
【
図20】本開示の第2実施形態に係る面積空間の一例を示す模式図である。
【
図21】本開示の第3実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図22】本開示の第3実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図23】本開示の第3実施形態に係る面積空間の一例を示す模式図である。
【
図24】本開示の第3実施形態に係る面積空間の一例を示す模式図である。
【
図25】本開示の第3実施形態に係る面積空間の一例を示す模式図である。
【
図26】本開示の第4実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図27】本開示の第4実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図28】本開示の第4実施形態に係る面積空間の一例を示す模式図である。
【
図29】本開示の第5実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図30】本開示の実施形態に係るビジネスフローの一例を示すシステム図である。
【
図31】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<各実施形態の基本的構成例>
以下、本開示の実施形態に係る情報処理装置、情報処理方法およびプログラムについて、図面を参照して説明する。なお、各図において同一または対応する構成には同一の符号を用いて説明を適宜省略する。
【0012】
図1は、本開示の実施形態に係る情報処理装置の基本的構成例を示すブロック図である。
図1に示す情報処理装置1の基本的構成は、以下で説明する第1~第5実施形態の情報処理装置の基本的構成であり、
図1に示す情報処理装置1の構成の一部を、変更(省略や追加を含む)することで、第1~第5実施形態に係る情報処理装置を構成することができる。各実施形態の説明では、主に
図1に示す情報処理装置1からの変更部分について説明する。
【0013】
図1に示す情報処理装置1は、コンピュータとそのコンピュータのマウス、タッチパネル、表示装置等の周辺装置等を用いて構成することができ、コンピュータ等のハードウェアと、そのコンピュータが実行するプログラム等のソフトウェアとの組み合わせから構成される機能的構成として以下の各部を備える。すなわち、情報処理装置1は、取得部11と、稼働状態推定部12と、生産量推定部13と、位置情報取得部14と、状態推定部15と、学習済みモデル16と、検知情報17と、設備情報18と、モデル学習部19とを備える。学習済みモデル16は、汎用学習済みモデル161と、個別学習済みモデル162の少なくとも一方を含む。
【0014】
取得部11は、地上の所定の面積空間51内の所定の排出物41の状態に対応する状態情報を含む空中で検知された検知情報を例えば検知情報提供システム2から取得し、情報処理装置1を構成するコンピュータが備える記憶装置等に検知情報17として記憶する。検知情報は、人工衛星21(あるいはドローン、航空機、高層建築物)等によって空中から取得された面積空間51に対応する可視光画像データ、熱赤外線画像データ等である。
【0015】
また、検知情報が含む状態情報は、例えば、面積空間51を撮像した可視光画像データ内に排出物41が存在している場合に含まれることが推定される情報であり、RGB(カラー)の各チャネルの輝度値や所定の階調度のグレーの輝度値の情報、その輝度値を有する範囲の形状や大きさによって定義することができる。あるいは、検知情報が含む状態情報は、例えば、面積空間51を撮像した熱赤外線画像データ内に排出物41が存在している場合に含まれることが推定される情報であり、所定の階調度の輝度値の情報、その輝度値を有する範囲の形状や大きさによって定義することができる。あるいは、検知情報が含む状態情報は、例えば、面積空間51を撮像した可視光画像データや熱赤外線画像データ内に排出物41が存在していない場合に含まれることが推定される情報(地面や建物に対応する情報等)であってもよい。
【0016】
排出物41は、プラント等における生産設備等の設備71から排出される物であり、例えば、白煙、ガス、熱、霧等である。この場合、排出物41を排出する煙突61が、排出物41の状態を判断する際に基準となる解析対象となる。解析対象は、排出物を排出する構造物あるいは排出位置で特定することができる。ただし、解析対象は、例えば複数の煙突や冷却塔、排水口等の、複数の物体としたり、複数の設備を備えるプラント全体やプラントの一部等としてもよい。面積空間51は、解析対象(この場合、煙突61)を囲むように定義される。
【0017】
稼働状態推定部12は、検知情報17に基づき面積空間51に対応づけられた設備71の稼働状態を推定する。稼働状態推定部12は、検知情報17が含む排出物41の状態に対応する状態情報に基づき、例えば、排出部41が排出されている場合には設備71が稼働していると推定し、排出部41が排出されていない場合には設備71が稼働していない(非稼働である)と推定する。
【0018】
なお、稼働状態推定部12は、検知情報を入力し、稼働状態を少なくとも稼働または非稼働に分類した分類結果を出力する学習済みモデル16を用いて、稼働状態を推定することができる。学習済みモデル16は、例えばニューラルネットワークを要素とするモデルであり、入力される多数のデータに対して求める解が出力されるよう、機械学習によりニューラルネットワークの各層のニューロン間の重み付け係数が最適化されている。学習済みモデル16は、例えば、入力から出力までの演算を行うプログラムと当該演算に用いられる重み付け係数(パラメータ)の組合せで構成される。汎用学習済みモデル161は、例えばニューラルネットワークを要素とするモデルであり、複数の面積空間51で得られた複数の検知情報等を教師データとして学習されたモデルであり、複数の面積空間51に対して共通に適用することができる。個別学習モデル162は、例えばニューラルネットワークを要素とするモデルであり、複数の異なる面積空間51に対応する複数の検知情報を教師データとして用いて学習されたニューラルネットワーク(汎用学習済みモデル161)の各層のニューロン間の重み付け係数を初期値として、面積空間51毎に再学習されたモデルである。個別学習モデル162は、面積空間51毎に用意され、面積空間51毎に適用される。汎用学習済みモデル161で得られた重み付け係数を初期値とすることで、面積空間51毎に得られる検知情報17が少ない場合でも異なる面積空間51で得られる検知情報17を教師データとすることで、効率的にモデルを学習させることができる。
【0019】
なお、学習済みモデル16(汎用学習済みモデル161および個別学習モデル162)は、面積空間51に対応する気象情報をさらに入力し、分類結果を出力するものであってもよい。また、学習済みモデル16(汎用学習済みモデル161および個別学習モデル162)は、以前の分類結果をさらに入力し、分類結果を出力するものであってもよい。例えば、一定期間連続的に運転される設備については、推定対象の稼働状態が、所定時間(例えば1日)前の稼働状態に影響を受けるため、再帰的に以前の推定結果をさらに入力することで推定精度の向上を図ることができる。
【0020】
また、生産量推定部13は、設備71が生産設備である場合、稼働状態推定部12が推定した設備71の稼働状態に基づき設備71(生産設備)の生産量を推定する。生産量推定部13は、例えば、予め用意した設備情報18が含む設備の情報(稼働時の生産量、あるいは、稼働時の生産量を推定するための情報)に基づき、稼働時には生産量が所定量であると推定し、非稼働時には生産量が稼働時より小さい所定量(あるいはゼロ)であると推定する。
【0021】
位置情報取得部14は、面積空間51に対応する所定の領域内の1または複数の携帯端末31の位置情報を例えば位置情報提供システム3から取得する。状態推定部15は、位置情報取得部14が取得した位置情報に基づいて設備71の稼働状態が非稼働である場合に非稼働の状態を推定する。非稼働の状態とは、例えば、通常の非稼働なのか、非通常の(例えば工事等の状態での)非稼働なのかを表す状態である。例えば状態推定部15は、稼働時に得られる位置情報との比較によって、位置情報に大きな変化が無い場合には通常の非稼働と推定し、位置情報に大きな変化が有る場合には非通常の非稼働と推定することができる。
【0022】
なお、排出物41を白煙とする場合、検知情報17をカラーまたはモノクロ画像データとしたとき、生産量推定部13は、生産量を季節に応じて補正して推定することができる。白煙の撮像しやすさは温度や湿度に影響され、季節によって影響されるので、補正によって推定の誤差を小さく抑えることができる。
【0023】
また、排出物41を熱とする場合、検知情報17を熱赤外線画像データとしたとき、稼働状態推定部12は、検知情報17に基づく所定の温度差に基づき設備71の稼働状態を推定してもよい。例えば、冷却水の入口温度と出口温度の差から稼働状態を推定することができる。
【0024】
なお、生産量推定部13は、設備71が生産設備であって発電設備である場合、稼働状態推定部12が検知情報17に基づいて稼働状態を推定することができないとき、発電設備が従属する系統の構成に基づいて当該発電設備の生産量を推定してもよい。
【0025】
また、モデル作成部19は、検知情報17等を用いて、学習済みモデル16を学習したり、再学習したりする。
【0026】
以上のように、本実施形態の情報処理装置1によれば、地上の所定の面積空間51内の所定の排出物41の状態に対応する状態情報を含む空中で検知された検知情報(検知情報17)に基づき、設備17の稼働状態を推定することができる。
【0027】
<第1実施形態>
次に、
図2~
図13を参照して、本開示の第1実施形態に係る情報処理装置、情報処理方法およびプログラムについて説明する。
図2は、本開示の第1実施形態に係る設備情報の構成例を示す模式図である。
図3~
図5は、本開示の第1実施形態に係る面積空間の例を示す模式図である。
図6は、本開示の第1実施形態に係る学習済みモデルの構成例を示す模式図である。
図7~
図13は、本開示の第1実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【0028】
なお、第1実施形態に係る情報処理装置1では、
図1に示す構成のうち、位置情報取得部14、状態推定部15、および個別学習済みモデル162を省略することができる。また、第1実施形態および以下の各実施形態では、稼働状態の推定対象が電力を生産する生産設備(発電設備)であるとしている。また、第1実施形態では、検知情報が、カラー画像データであるとしている。
【0029】
図2は、第1実施形態における
図1に示す設備情報18の構成例を示す。
図2に示す設備情報18は、属性情報データベース181と、地理情報データベース182とを含んでいる。属性情報データベース181は、設備71の名称である“ユニット名称”に対して、解析対象の物体(煙突61等)の識別番号である“物体No.”と、設備71の属性を示す属性情報(出力、燃料の種類、プラント名称)と、地理情報(面積空間51を四角形のポリゴンとした場合に4つの頂点の緯度および経度P1、P2、P3およびP4)とを対応づけて記憶している。地理情報データベース182は、“物体No.”と、地理情報(面積空間51を四角形のポリゴンとした場合に4つの頂点の緯度および経度P1、P2、P3およびP4)とを対応づけて記憶している。
【0030】
設備情報18は、地図情報を提供するベースマップサービス301から得た地図(衛星画像等)や座標情報、インターネット上等での公開情報302、外部の情報提供サービス(外部サービス)303から得た情報、画像データから得られる物体(設備等)の外観や寸法(物体の外観・寸法)304から推定した情報等を用いて設定することができる。
【0031】
(第1実施形態の情報処理装置の処理の流れ)
第1実施形態の情報処理装置1では、以下の(1)~(9)の流れで解析対象に対応づけられた設備の生産量を算出する。
【0032】
(1)撮影することにより得られた画像(検知情報17)に対して、排出物(白煙、ガス、霧等)の状態による生産量の推定を行うのに適切な解析対象(プラントや煙突、冷却塔等)を特定し、特定した解析対象を中心とした面積空間に地理情報を付与する。例えば、衛星画像(例えば
図3に示すプラント面積空間501の画像)に対して、
図4に示すように発電所の煙突601の位置を4点P1、P2、P3およびP4でポリゴン(“四角形”)の形を指定しながら解析対象をマークすることで、解析対象を中心とした面積空間511に地理情報を付与することができる。なお、
図3および
図4において、煙突601は、発電ユニット701および702で共用される排出ガス401の放出用の煙突である。あるいは、
図3に示すプラント面積空間501の画像に対して、例えば、
図5に示すように冷却塔602の位置を4点P1、P2、P3およびP4でポリゴン(“四角形”)の形を指定しながら解析対象をマークすることで、解析対象を中心とした面積空間512に地理情報を付与することができる。
【0033】
(2)地理情報が付与された面積空間に対して、当該解析対象の属性情報を対応付けて例えば
図2に示す設備情報18として記憶する。例えば、マークした煙突に発電所に対してインターネット公開情報、外部サービス、外観・寸法をもとに、物体の属性情報を対応付けて属性情報データベース181へ記憶する。
【0034】
(3)地理情報に基づいて面積空間に対応する画像を任意の画像提供者から取得する。例えば、解析対象に対して対象期間(例えば数ヶ月間、数年間分の1日毎)の画像をダウンロードし、検知情報17として記憶する。
【0035】
(4)取得した画像に対して、学習用画像と推論用画像に分類する。例えば、ダウンロードした画像を学習用画像と推論用画像とに例えばランダムサンプリングにより分類する。
【0036】
(5)学習用画像に対して、解析対象の生産量を推定するために必要なステータス情報(稼働情報)を付与し、排出物が排出されている状態の画像には“稼働中”、排出物が排出されていない状態の画像には“停止中”、判別しにくいものは“不明”とラベル付けを実施し、学習モデルで学習を行って、自動的に任意の画像のステータス情報を推論する分類器(学習済みモデル16)を生成する。例えば、学習用画像に対して、白煙が排出されているものをActive(稼働)、白煙が排出されていないものをInactive(非稼働)、白煙が排出されているか否か不明なものはUnknown(不明)としてラベル付けを行って学習モデル(畳み込みニューラルネットワーク)により学習を行って、学習済みモデルを生成する。
【0037】
(6)分類器(学習済みモデル16)に対して推論用画像を入力し、分類結果として解析対象のステータス情報(稼働情報)を得る。推論用画像をモデルにインプットすることにより、プラントの稼働状態( Active(稼働)/Inactive(非稼働)/Unknown(不明))を推定する。
【0038】
(7)分類結果に基づいて、当該解析対象の属性情報を組み合わせ、当該解析対象の生産量を得る。推定したプラントの稼働状態と(2)の出力等の属性情報を用いて発電量を推定する。例えば、微小な白煙を検出できず、 Inactiveとなったら過小、Activeとなっていても紐付くユニットすべてが稼働していない場合が過剰となるため、”Active”/”Inactive” = 1/0ではなく、0.7/0.3などを用いて補正する。
【0039】
(8)季節変動に伴う、分類精度の変化、分類結果に対して実態の生産量を精度よく分類するためのパラメータを求め任意の集合における生産量推定計算式を生成する。例えば、次のようにして季節変動に伴う分類精度変化の補正を行う。すなわち、12月、1月、2月の白煙の分類精度が最も高く、7月、8月の白煙の検出精度が最も低い(気温・湿度の影響で水分の凝縮度合が異なる)ため、12月、1月、2月の生産量を基準(1倍)とした場合に、7月、8月は、生産量を1.5倍、9月~11月、4月~6月は生産量を1.3倍とする。
【0040】
(9)任意の集合における解析対象の生産量を算出する。例えば、推定した発電量をエリアごとに集計する。
【0041】
(学習済みモデルの構成例)
次に、
図6を参照して、学習済みモデル16(汎用学習済みモデル161)の構成に例について説明する。
図6に示す学習済みモデル16に対する入力は、面積空間511等を表すRGB各チャネルで、m×n個×3の要素からなる配列である。カラー画像1枚のデータ構造は、RGBの3チャンネルそれぞれに対し、画像サイズ、解像度に応じたm行n列の行列のピクセル値からなっており、これが、畳み込みニューラルネットワークの入力となる。また、出力側は、モデルの最終段にあるソフトマックス関数の出力として、3つの分類数(“稼働”、“非稼働”、“不明”)のそれぞれに分類される確率となり、3つの合計は1である(
図6に示す例では、各分類の確率は、“稼働”=0.78、“非稼働”=0.12、“不明”=0.10である)。
【0042】
(情報処理装置の動作例)
次に、
図7を参照して、情報処理装置1の画像取得処理の際の動作例について説明する。画像取得処理では、情報処理装置1は、まず、画像を選定し(ステップS111)、次に、画像に対して解析対象を指定し(ステップS112)、次に、解析対象に地理情報を付与し(ステップS113)、次に、解析対象に属性情報を付与し(ステップS114)、解析対象に関する地理/属性情報を記憶する(ステップS115)。情報処理装置1は、選定が終了するまで(ステップS116で“Y”となるまで)、ステップS111~S115の処理を繰り返し実行する。一方、選定が終了すると(ステップS116で“Y”となると)、情報処理装置1は、地理情報に基づき画像を取得し(ステップS117)、取得した画像を記憶する(ステップS118)。
【0043】
次に、
図8を参照して、情報処理装置1の学習フェーズの際の動作例について説明する。学習フェーズでは、情報処理装置1は、まず、学習用画像と推論用画像とに分類し(ステップS121)、次に、学習用画像を選定し(ステップS122)、次に、選定した学習用画像を所定の表示装置に表示し(ステップS123)、次に、学習用画像に対してラベル付けを行う(ステップS124)。情報処理装置1は、選定が終了するまで(ステップS125で“Y”となるまで)、ステップS122~S124の処理を繰り返し実行する。一方、選定が終了すると(ステップS125で“Y”となると)、情報処理装置1は、ラベル付けされた学習用画像を用いて学習を行い(ステップS126)、学習済みモデルとして記憶する(ステップS127)。
【0044】
次に、
図9~
図13を参照して、情報処理装置1の推定フェーズの際の動作例について説明する。推定フェーズでは、情報処理装置1は、推論用画像を取得し(ステップS131)、推論用画像を学習済みモデルへ入力し(ステップS132)、稼働状態に関する情報を出力(記録)する(ステップS133)。情報処理装置1は、取得が終了するまで(ステップS134で“Y”となるまで)、ステップS131~S133の処理を繰り返し実行する。取得が終了すると(ステップS134で“Y”となると)、情報処理装置1は、稼働状態に関する情報および属性情報に基づき発電量を算出し(ステップS135)、分類精度に基づき発電量を補正し(ステップS136)、エリアごとに発電量を集計し(ステップS137)、集計結果を出力する(ステップS138)。
【0045】
図10および
図11は、ステップS135の処理の具体例を示す。この例では、ステップS135の処理は、
図10および
図11に示すステップS1351~S1355の処理で構成されている。ステップS1351では、プラント稼働状態が任意の物体(以下は“物体No.1”の例)に対して時系列で整理される。ステップS1352では、稼働=1、非稼働=0、n/a(欠損)および不明=“直近の0/1”が割り当てられる。ステップS1353では、定数k(0<k<1)を用いて、1にkが、0には1-kが割り当てられる。ステップS1354では、当該物体に対応づけられているユニットの出力の合計値(物体No.1の場合1200MW)が乗じられる。そして、ステップS1355では、上記の処理を物体No.1~Nまで同様に実施し、当該物体から把握できる推定発電量が求められる。
【0046】
また、
図12は、ステップS136の処理の具体例をステップS1361として示す。ステップS1361では、外気温度・湿度により排ガス中に含まれる水分の凝縮現象の程度が異なることから、分類器(学習済みモデル)の分類精度に基づき発電量を補正するために、季節(月)毎に変化するパラメータαをかけ、さらに24時間をかけて推定発電量(MWh)が算出される(ただし、
図12の例は24時間を掛ける前の値)。
【0047】
また、
図13は、ステップS137の処理の具体例をステップS1371として示す。ステップS1371では、各物体に対応つけられている他のユニット情報(エリア、国、燃料種別、会社名等)によって求めた推定発電量が集計される(
図13は、エリア(都道府県)毎に推定発電量を集計した例)。
【0048】
<第2実施形態>
次に、
図14~
図20を参照して、本開示の第2実施形態に係る情報処理装置、情報処理方法およびプログラムについて説明する。
図14および
図15は、本開示の第2実施形態に係る学習済みモデルの構成例を示す模式図である。
図14は、
図1に示す学習済みモデル16を、学習済みモデル16bとして示し、
図1に示す汎用学習済みモデル161を、学習済みモデル161bとして示し、
図1に示す個別学習済みモデル162を、学習済みモデル162bとして示す。
図15は、
図1に示す学習済みモデル16を、学習済みモデル16cとして示し、
図1に示す汎用学習済みモデル161を、学習済みモデル161cとして示し、
図1に示す個別学習済みモデル162を、学習済みモデル162cとして示す。
図16~
図18は、本開示の第2実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図19および
図20は、本開示の第2実施形態に係る面積空間の一例を示す模式図である。
【0049】
なお、第2実施形態に係る情報処理装置1では、
図1に示す構成のうち、位置情報取得部14、および状態推定部15を省略することができる。
【0050】
第2実施形態は、解析対象(プラントや煙突等)付近の気象情報(気温や湿度等)を考慮して学習・推定を行うことで、第1実施形態よりも生産量の推定精度を高めるものである(
図14および
図15)。
【0051】
また、第1実施形態と同様にして作成した分類器(学習済みモデル161bおよび161c)において設定されている畳み込みニューラルネットワークで設定された重み行列を分類器(学習済みモデル162bおよび162c)の重みの初期値とし、各プラントの画像を推論する際に、そのプラントの当該物体を対象に取得された画像に対して、「稼働」「非稼働」「不明」の3分類を画像に対して割り当て、ラベル情報を用意し、追加で再学習することで分類精度向上を実施する。
【0052】
第1実施形態の通り学習を実施する際には、プラント(物体)を指定せずに、横断的に複数の種類の物体に対して、学習する。例えば日本中の200の煙突を対象に、それぞれの煙突から100枚ずつの画像を取得すると、20000枚の画像になるが、第1実施形態の場合はこのデータをもとに、パラメータWijに任意の手法で初期値を与え、データとラベルを用いて一つの汎用的な学習済みモデルを生成している。
【0053】
一方、第2実施形態においては、精度を向上させるために、第1実施形態と同様にして学習した学習済みモデル(学習済みモデル161bおよび161c)の重みWijを初期値とし、各物体のデータとそのラベルを用いて分類器(学習済みモデル162bおよび162c)を再度学習する。こうすることで、分類器は物体の数だけ生成される。例えば200の煙突であれば、200個の分類器を作成することとなり、それぞれの作成された分類器は、各物体に応じたパラメータとなるため、汎用性を下げる一方で、分類精度は向上する。第1実施形態で生成される分類器を汎用分類器、第2実施形態で新たに生成される分類器を個別分類器と呼ぶ。なお、プラントの属性情報によっては、前回の判定結果が今回の判定結果に影響を与えるため、分類アルゴリズムに前回の判定結果を再帰的に組み込むことができる(学習済みモデル161cおよび162c)。なお、
図15に示す学習済みモデル161cおよび162cでは、複数のメモリMが新たに設けられている。
【0054】
(第2実施形態の情報処理装置の処理の流れ)
第2実施形態の情報処理装置1では、以下の(1)~(9)の流れで解析対象に対応づけられた設備の生産量を算出する。
【0055】
(1)~(3)、(4)、(7)、および(9)は第1実施形態と同様である。ただし、第2実施形態の(3)の処理では、第1実施形態の(3)において、地理情報により取得した画像が撮影された日時における気象情報を取得する(
図19および
図20)。気象情報は、例えば、解析対象の位置に最も近い位置の既知(最も近い都市等)の気象情報を使用する。
【0056】
(5)気象情報を含めて学習を行い、分類器を生成する。
【0057】
(6)気象情報及び分類器に対して推論用画像を入力し、分類結果として解析対象のステータス情報を得る。
【0058】
(8)分類器を生成する際に気象情報を活用しているため、第1実施形態で実施していた季節変化に伴う補正を不要とする
【0059】
(情報処理装置の動作例)
次に、
図16を参照して、情報処理装置1の画像取得処理の際の動作例について説明する。画像取得処理では、情報処理装置1は、まず、画像を選定し(ステップS141)、次に、画像に対して解析対象を指定し(ステップS142)、次に、解析対象に地理情報を付与し(ステップS143)、次に、解析対象に属性情報を付与し(ステップS144)、次に、解析対象に関する地理/属性情報を記憶する(ステップS145)。情報処理装置1は、選定が終了するまで(ステップS146で“Y”となるまで)、ステップS141~S145の処理を繰り返し実行する。一方、選定が終了すると(ステップS146で“Y”となると)、情報処理装置1は、地理情報に基づき画像を取得し(ステップS147)、地理情報に基づき画像が撮影された日時の気象情報を取得し(ステップS148)、取得した気象情報および画像データを記憶する(ステップS149)。
【0060】
次に、
図17を参照して、情報処理装置1の学習フェーズの際の動作例について説明する。学習フェーズでは、情報処理装置1は、まず、気象情報および画像データを学習用と推論用とに分類し(ステップS151)、次に、学習用画像を選定し(ステップS152)、次に、選定した学習用画像を所定の表示装置に表示し(ステップS153)、次に、学習用画像に対してラベル付けを行う(ステップS154)。情報処理装置1は、選定が終了するまで(ステップS155で“Y”となるまで)、ステップS152~S154の処理を繰り返し実行する。一方、選定が終了すると(ステップS155で“Y”となると)、情報処理装置1は、ラベル付けされた学習用画像を用いて学習を行い(ステップS156)、学習済みモデルとして記憶し(ステップS157)、解析対象ごとに再学習する(ステップS158)。
【0061】
次に、
図18を参照して、情報処理装置1の推定フェーズの際の動作例について説明する。推定フェーズでは、情報処理装置1は、推論用画像を取得し(ステップS161)、推論用画像を学習済みモデルへ入力し(ステップS162)、稼働状態に関する情報を出力(記録)する(ステップS163)。情報処理装置1は、取得が終了するまで(ステップS164で“Y”となるまで)、ステップS161~S163の処理を繰り返し実行する。取得が終了すると(ステップS164で“Y”となると)、情報処理装置1は、稼働状態に関する情報および属性情報に基づき発電量を算出し(ステップS165)、エリアごとに発電量を集計し(ステップS166)、集計結果を出力する(ステップS167)。
【0062】
<第3実施形態>
次に、
図21~
図25を参照して、本開示の第3実施形態に係る情報処理装置、情報処理方法およびプログラムについて説明する。
図21および
図22は、本開示の第3実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図23~
図25は、本開示の第3実施形態に係る面積空間の一例を示す模式図である。
【0063】
第3実施形態は、第1実施形態および第2実施形態とは異なり、解析対象(プラント、煙突等)が例えば大規模工事による停止なのか、それ以外による停止なのかというステータス情報(非稼働の状態)の追加推定が可能になる。これにより、排ガスの有無をシステムで判定しただけでは、排ガスが生じているかどうかが分からないケースがある。大規模工事による停止とそれ以外による停止の場合、何れも排ガスが生じていないケースに相当することから、このようなステータス情報が認識できることにより排ガスが生じていないことが立証されるため情報価値が向上する。
【0064】
(第3実施形態の情報処理装置の処理の流れ)
第3実施形態の情報処理装置1では、以下の(1)~(7)の流れで解析対象に対応づけられた設備の稼働状態が非稼働の場合に、携帯端末31の位置情報に基づいて、非稼働の状態(非稼働の原因)を推定する。
【0065】
(1)撮影することで得られた画像に対して、解析対象を特定する範囲に限定せず、人口の数をカウントする範囲の面積空間(
図23に示す面積空間511に対応する所定の領域である面積空間501)に対して地理情報を付与する。
【0066】
(2)地理情報に基づき、複数のデバイスの位置情報をそれぞれ取得する。
【0067】
(3)画像の面積空間を縦横の距離をそれぞれk1とする複数のメッシュ5011に区切る(
図24および
図25)。それぞれのデバイス(携帯端末31)が任意のメッシュ5011内に存在していた場合に、当該メッシュにデバイスの個数を入力し、なければ0を入力する。解析対象の面積空間501が長方形でない場合は、縦横に長さを拡張し、そこに0を埋め、縦l1個、横m1個の配列を作成する。
【0068】
(4)この配列を学習用配列、推論用配列に分類する。第1実施形態にて取得する画像(面積空間511)の少なくとも一部が第3実施形態で指定される面積空間501に含まれる場合、対応づけを実施する。ただし、分類器としては独立させる。
【0069】
(5)学習用配列には、解析対象のステータス情報として定期検査のような大掛かりな工事期間中の配列には「大規模工事中」ラベルを、そうでない配列には、「通常時」のラベルを付与する。
【0070】
(6)第2実施形態で実施したように、ラベルが貼られたデータを用いて、汎用分類器、個別分類器を作成し、推論用配列を用いてプラントのステータスを分類する。(汎用分類器と個別分類器の関係は、第1実施形態を汎用分類器とし、第1実施形態で既知となったパラメータWjiを初期値に、各物体の画像とラベルを用いて再学習させた結果生成される個別分類器とする関係と同一とする。)
【0071】
(7)第3実施形態により、第1実施形態および第2実施形態によって推論されたプラントのステータス情報の“停止中”に対して、さらに「大規模工事中」もしくは「通常時」の分類を実行する。
【0072】
(情報処理装置の動作例)
次に、
図21を参照して、情報処理装置1の位置情報取得処理と学習フェーズの処理の際の動作例について説明する。位置情報取得・学習フェーズの処理の際、情報処理装置1は、まず、解析対象の地理情報に基づいてデバイスの位置情報を取得し(ステップS171)、画像をメッシュで区切り(ステップS172)、メッシュ内にデバイスが存在するか否かを判定し(ステップS173)、存在する場合(ステップS173で“Y”の場合)、メッシュに対して位置情報の個数を設定する。情報処理装置1は、全画像の全メッシュについて処理が終了するまで(ステップS175とステップS176がともに“Y”となるまで)、ステップS173とステップS174の処理を繰り返し実行する。
【0073】
次に、情報処理装置1は、学習用配列と推論用配列とに分類し(ステップS177)、学習用配列を選定し(ステップS178)、選定した学習用配列を表示し(ステップS179)、学習用配列に対してラベル付けを行う(ステップS180)。選定が終了するまで(ステップS181で“Y”となるまで)、情報処理装置1は、ステップS178~ステップS180の処理を繰り返し実行する。
【0074】
次に、情報処理装置1は、ラベル付けされた学習用配列を用いて学習を行い(ステップS182)、学習済みモデルとして記憶し(ステップS183)、個別分類器を生成する(ステップS184)。
【0075】
次に、
図22を参照して、情報処理装置1の推定フェーズの処理の際の動作例について説明する。推定フェーズの処理の際、情報処理装置1は、まず、推論用配列を取得し(ステップS191)、次に、推論用配列を学習済みモデルへ入力し(ステップS192)、非稼働の状態を推定する(ステップS193)。取得が終了するまで(ステップS194で“Y”となるまで)、情報処理装置1は、ステップS191~ステップS193の処理を繰り返し実行する。次に、情報処理装置1は、稼働状態を推定済みのプラントであるか否かを判定し(ステップS195)、稼働状態を推定済みのプラントである場合(ステップS195で“Y”の場合)、情報処理装置1は、結果を統合して(ステップS196)、集計結果を出力する(ステップS197)。一方、稼働状態を推定済みのプラントでない場合(ステップS195で“N”の場合)、情報処理装置1は、集計結果を出力する(ステップS197)。
【0076】
<第4実施形態>
次に、
図26~
図28を参照して、本開示の第4実施形態に係る情報処理装置、情報処理方法およびプログラムについて説明する。
図26および
図27は、本開示の第4実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図28は、本開示の第4実施形態に係る面積空間の一例を示す模式図である。
【0077】
第4実施形態は、第1実施形態乃至第3実施形態において解析対象(プラント、煙突等)によって生産量が推定しにくいケースが存在した場合に対応する。例えば、曇天のような日には、撮影することにより得られた画像から排出物(白煙、ガス、霧等)を判定しにくいことから生産量の推定が難しくなるようなケースが存在するため、第4実施形態では、赤外線探査機により撮影された画像を用いることにより、生産量の推定を行う解析対象をより多く扱うことができるようになる。
【0078】
(第4実施形態の情報処理装置の処理の流れ)
第4実施形態の情報処理装置1では、以下の(1)~(5)の流れで解析対象に対応づけられた設備の生産量を算出する。
【0079】
(1)任意の解析対象に対して、冷却水の取水エリア(
図28の面積空間515)、温排水放水エリア(
図28の面積空間514)に対して、出入口のポートそれぞれを中心に半径rの半円を描き、それぞれ面積空間を指定し、地理情報を付与する。さらに、任意の解析対象に対して、排ガス出口ダクト(煙突601)、ボイラ建屋に対して、それぞれ面積空間516、517を指定し、地理情報を付与する。
【0080】
(2)地理情報が付与された面積空間に対して、当該解析対象の属性情報を対応付けて例えば
図2に示す設備情報18として記憶する。例えば、マークした煙突に発電所に対してインターネット公開情報、外部サービス、外観・寸法をもとに、物体の属性情報を対応付けて属性情報データベース181へ記憶する。
【0081】
(3)リモートセンシングデバイス(熱赤外線画像センサ)の性能に応じ、上記の面積空間に基づいて取得した画像に対して赤外センサの輝度情報を取得する。
(3-1)冷却水の取水エリア、温排水放水エリアに対して出入口のポートそれぞれのピクセルにある輝度情報を取得し、入口側(面積空間515)の輝度値の平均に対して出口側(面積空間514)のピクセルそれぞれに差分を取得する。
(3-2)排ガス出口ダクト、ボイラ建屋に対しては、上記の面積空間516、517に基づいて取得した画像に対してそれぞれの赤外線センサの輝度情報を取得する。
【0082】
(4)各差分値に対して、出口ポートからの距離に比例して定数k2をかけ、その値を学習用配列と推論用配列に分類する。
【0083】
定数k2の設定理由:出口ポートからの距離が離れているほど海水・河川・湖の水の表面温度が低くなるため、遠くの位置にあるデータほど入り口温度に対して少しの変化であったとしても稼働状態の判定に加味するべきである。近いところで1℃より遠いところで1℃差があるほうが稼働の判定には信頼性が高い。
また、排ガス出口ダクト、ボイラ建屋に対しては、取得した輝度情報を定数k2を乗じることなく学習用配列と推論用配列に分類する。
他の実施形態にて取得する画像が第4実施形態で指定されるプラントに含まれる場合、対応づけを実施する。ただし、分類器としては独立させる。
【0084】
(5)学習用配列に分類した輝度情報を用いて、第1実施形態と同様に、ステータス情報を付与してラベル付けを実施し、学習モデルで学習を行って分類器を生成する。汎用分類器と個別分類器の関係は、第1実施形態を汎用分類器とし、第1実施形態で既知となったパラメータWjiを初期値に、各物体の画像とラベルを用いて再学習させた結果生成される個別分類器とする関係と同一とする。
【0085】
(情報処理装置の動作例)
次に、
図26を参照して、情報処理装置1のデータ取得と学習フェーズの処理の際の動作例について説明する。情報処理装置1は、まず、画像(熱赤外線画像)から輝度情報を取得し(ステップS201)、所定エリアである場合(ステップS203で“Y”の場合)、エリア間の輝度情報の差分を取得し(ステップS204)、輝度情報の補正を行う(ステップS205)。所定エリアでない場合(ステップS203で“N”の場合)、または、輝度情報の補正を行った場合(ステップS205)、情報処理装置1は、全画像の処理が終了したか否かを判定し(ステップS206)、終了するまで(ステップS206で“Y”となるまで)、ステップS203からステップS205の処理を繰り返し実行する。
【0086】
次に、情報処理装置1は、学習用配列と推論用配列とに分類し(ステップS207)、学習用配列を選定し(ステップS208)、選定した学習用配列を表示し(ステップS209)、学習用配列に対してラベル付けを行う(ステップS210)。選定が終了するまで(ステップS211で“Y”となるまで)、情報処理装置1は、ステップS208からステップS210の処理を繰り返し実行する。
【0087】
次に、情報処理装置1は、ラベル付けされた学習用配列を用いて学習を行い(ステップS212)、学習済みモデルとして記憶し(ステップS213)、個別分類器を生成する(ステップS214)。
【0088】
次に、
図27を参照して、情報処理装置1の推定フェーズの際の動作例について説明する。推定フェーズでは、情報処理装置1は、推論用データを取得し(ステップS221)、推論用データを学習済みモデルへ入力し(ステップS222)、稼働状態に関する情報を出力(記録)する(ステップS223)。情報処理装置1は、取得が終了するまで(ステップS224で“Y”となるまで)、ステップS221~S223の処理を繰り返し実行する。取得が終了すると(ステップS224で“Y”となると)、情報処理装置1は、稼働状態に関する情報および属性情報に基づき発電量を算出し(ステップS225)、エリアごとに発電量を集計し(ステップS226)、集計結果を出力する(ステップS227)。
【0089】
<第5実施形態>
次に、
図29を参照して、本開示の第5実施形態に係る情報処理装置、情報処理方法およびプログラムについて説明する。
図29は、本開示の第5実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【0090】
第5実施形態では、第1実施形態乃至第4実施形態において生産量や状態情報を推定できない場合に、生産量を推定することができるようにした。
【0091】
(第5実施形態の情報処理装置の処理の流れ)
第5実施形態の情報処理装置1では、以下の(1)~(4)の流れで解析対象に対応づけられた設備の生産量を算出する。
【0092】
(1)生産量を推定したい解析対象(プラント、煙突等)が従属している系統を特定し、当該系統における構成要素(解析対象を含む)をリスト化する 。生産量を推定したい解析対象が発電プラントであれば、周波数と電圧をコントロールする責務を負っている企業等の中央給電指令所が管轄するエリアを「従属している系統」とする。
【0093】
電力の需要と供給に関連する各発電設備、大口需要設備、変電所、送電網がリストするべき構成要素となり、その属性情報として発電種別(火力、風力、水力等)、出力、ヒートレート、負荷変化速度、発電可能時間帯、発電制約、プラント停止情報、契約電力量・電圧、従属している変電所、送電線の距離などといった情報を付帯させる必要がある。
【0094】
(2)リスト化された構成要素を、属性情報等を利用して稼働にあたり、優先順位付けをする。例えば、発電設備としては、10の風力発電設備、30の火力発電設備、10の水力発電設備がある場合、あらかじめそれぞれの設備に対して優先順位付けをするためのスコアを付与する。数字が大きい方が優先順位が高いとして、再生可能エネルギーはすべて100、火力発電の超臨界ユニットは60、亜臨海ユニットは45などユニットの効率(ヒートレート)等に応じてさらにスコア設定に変化を持たせる。
【0095】
(3)当該系統における全体需要量をもとに、スコアが高い順に解析対象が稼働しているとみなす。例えば、北海道電力ネットワーク社が管轄するエリアに属するプラントの2019年1月10日の発電量を推定する場合、まず、気象条件や過去実績をもとに当該時間帯の電力需要を推定する。次に、例えば、4000MWhの総電力需要(公開された情報)がある場合、その必要量を到達するためにスコアに従って(例えば、スコアの高い順に)発電設備を選定し、発電可能時間帯、発電制約を加味して、当該系統で発電されている設備を特定する。
【0096】
(4)特定した設備にもとづいて、当該解析対象の生産量の推定情報として利用する。
【0097】
(情報処理装置の動作例)
次に、
図29を参照して、情報処理装置1の動作例について説明する。
【0098】
図29に示す動作例では、まず、情報処理装置1が、画像や位置情報による推定は可能であるか否かを判定する(ステップS231)。可能な場合(ステップS231で“Y”の場合)、情報処理装置1は、実施形態1等と同様にして学習フェーズの処理等を実行する(ステップS232)。一方、可能でない場合(ステップS231で“N”の場合)、情報処理装置1は、解析対象が従属している系統を特定し(ステップS233)、従属している系統の構成要素を特定し(ステップS234)、構成要素のスコアを算出し(ステップS235)、全体の需要量を算出し(ステップS236)、稼働状態を推定し(ステップS237)、生産量を推定する(ステップS238)。
【0099】
<ビジネスフロー>
次に、
図30を参照して、上記各実施形態に係るビジネスフロー(ビジネスモデル)について説明する。
図30は、本開示の実施形態に係るビジネスフローの一例を示すシステム図である。
【0100】
上記各実施形態に係る情報処理装置1は、
図30に示す事業運営会社809にて運営される。そして、情報処理装置1は、推定した生産量(例えば発電量)を発電量トレンドとして示すデータ808として、顧客805が管理する携帯端末807へ提供する。携帯端末807は、例えば顧客805が設定した条件を発電量トレンドが満足した場合、投資等の取引の好機であることを示す取引シグナル806を発する。この場合、事業運営会社809は、衛星画像データ等の検知情報803をデータ供給企業802から取得し、また、利用可能なデータ801から任意のデータ804を取得する。この場合、情報の授受にともなう料金が、顧客805から販売チャネル810を介して事業運営会社809へ流れるとともに、事業運営会社809からデータ供給企業802へと流れる。
【0101】
(作用効果)
上記構成の情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムによれば、設備の稼働状態を推定することができる。
【0102】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0103】
〈コンピュータ構成〉
図31は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、プロセッサ91、メインメモリ92、ストレージ93、および、インタフェース94を備える。
上述の情報処理装置1は、コンピュータ90に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ93に記憶されている。プロセッサ91は、プログラムをストレージ93から読み出してメインメモリ92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ92に確保する。
【0104】
プログラムは、コンピュータ90に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータは、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0105】
ストレージ93の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ93は、コンピュータ90のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース94または通信回線を介してコンピュータ90に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ90に配信される場合、配信を受けたコンピュータ90が当該プログラムをメインメモリ92に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ93は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0106】
<付記>
各実施形態に記載の情報処理装置1は、例えば以下のように把握される。
【0107】
(1)第1の態様に係る情報処理装置1は、地上の所定の面積空間51内の所定の排出物41の状態に対応する状態情報を含む空中で検知された検知情報を取得する取得部11と、前記検知情報に基づき前記面積空間51に対応づけられた設備71の稼働状態を推定する稼働状態推定部12と、を備える。この態様および以下の各態様によれば、設備の稼働状態を推定することができる。
【0108】
(2)第2の態様に係る情報処理装置1は、(1)の情報処理装置1であって、前記設備71が生産設備であって、前記稼働状態に基づき前記生産設備の生産量を推定する生産量推定部13をさらに備える。
【0109】
(3)第3の態様に係る情報処理装置1は、(1)または(2)の情報処理装置1であって、前記稼働状態推定部12は、前記検知情報を入力し、前記稼働状態を少なくとも稼働または非稼働に分類した分類結果を出力する学習済みモデル16を用いて、前記稼働状態を推定する。
【0110】
(4)第4の態様に係る情報処理装置1は、(3)の情報処理装置1であって、前記学習済みモデル16は、複数の異なる前記面積空間に対応する複数の前記検知情報を教師データとして用いて学習されたニューラルネットワークの各層のニューロン間の重み付け係数Wijを初期値として、前記面積空間毎に再学習されたモデル(個別学習済みモデル162)を含む。
【0111】
(5)第5の態様に係る情報処理装置1は、(3)または(4)の情報処理装置1であって、前記学習済みモデル16は、前記面積空間に対応する気象情報をさらに入力し、前記分類結果を出力する。
【0112】
(6)第6の態様に係る情報処理装置1は、(3)~(5)の情報処理装置1であって、前記学習済みモデル16は、以前の前記分類結果をさらに入力し、前記分類結果を出力する。
【0113】
(7)第7の態様に係る情報処理装置1は、(1)~(6)の情報処理装置1であって、前記面積空間511に対応する所定の領域(面積空間501)内の1または複数の携帯端末31の位置情報を取得する位置情報取得部14と、前記位置情報に基づいて前記稼働状態が非稼働である場合に非稼働の状態を推定する状態推定部15と、をさらに備える。
【0114】
(8)第8の態様に係る情報処理装置1は、(1)~(7)の情報処理装置1であって、前記排出物41が白煙であり、前記検知情報がカラーまたはモノクロ画像データである。
【0115】
(9)第9の態様に係る情報処理装置1は、(2)の情報処理装置1であって、前記排出物41が白煙であり、前記検知情報がカラーまたはモノクロ画像データであり、前記生産量推定部13は、前記生産量を季節に応じて補正して推定する。
【0116】
(10)第10の態様に係る情報処理装置1は、(1)~(7)の情報処理装置1であって、前記排出物41が熱であり、前記検知情報が熱赤外線画像データである。
【0117】
(11)第11の態様に係る情報処理装置1は、(2)の情報処理装置1であって、前記稼働状態推定部13が、前記検知情報に基づく所定の温度差に基づき前記設備の稼働状態を推定する。
【符号の説明】
【0118】
1 情報処理装置
11 取得部
12 稼働状態推定部
13 生産量推定部
14 位置情報取得部
15 状態推定部
16 学習済みモデル
31 携帯端末
41 排出物
51 面積空間
71 設備
31 携帯端末
162 個別学習済みモデル