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特許7617770洗浄装置、洗浄方法、および、半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】洗浄装置、洗浄方法、および、半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20250110BHJP
   B08B 7/00 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
H01L21/304 643Z
H01L21/304 645Z
B08B7/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021028742
(22)【出願日】2021-02-25
(65)【公開番号】P2022129883
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 晋輔
(72)【発明者】
【氏名】吉川 兼司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正人
(72)【発明者】
【氏名】吉野 達郎
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-174251(JP,A)
【文献】特開2017-188593(JP,A)
【文献】特開2018-078249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/301
H01L 33/00
B08B 7/00
H01S 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光バーを洗浄する洗浄装置であって、
複数の前記発光バーをストライプ状に整列して保持する保持具と、
前記複数の発光バーに粒子状のドライアイスを吹付ける少なくとも1つの吹付けノズルと、
を備え、
前記保持具は、前記発光バーの延在方向の両側の端部で前記複数の発光バーを保持し、且つ、前記複数の発光バーそれぞれの2面が上方から見える傾けた配置か、または、前記複数の発光バーを傾けずに隣り合う前記発光バーの間隔が20μm以上150μm以下空くような配置か、で、前記複数の発光バーを保持する、
洗浄装置。
【請求項2】
発光バーを洗浄する洗浄装置であって、
複数の前記発光バーをストライプ状に整列して保持する保持具と、
前記複数の発光バーに粒子状のドライアイスを吹付ける少なくとも1つの吹付けノズルと、
を備え、
前記保持具は、前記複数の発光バーそれぞれの2面が上方から見える傾けた配置か、または、前記複数の発光バーを傾けずに隣り合う前記発光バーの間隔が20μm以上150μm以下空くような配置か、で、前記複数の発光バーを保持し、
前記保持具は、前記複数の発光バーそれぞれの前記2面が上方から見える傾けた配置で、前記複数の発光バーを保持し、
前記複数の発光バーは、上方から見える前記2面それぞれの上方から見た面積の和が、上方から見える前記2面それぞれの上方から見た面積の和の面積の最大値の95%以上となるような傾きで、前記保持具に保持される、
洗浄装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗浄装置であって、
前記複数の発光バーの表面から除去された異物を前記複数の発光バーに再度付着しないよう取り除く異物排除機構をさらに備える、
洗浄装置。
【請求項4】
請求項に記載の洗浄装置であって、
気流発生部をさらに備え、
前記異物排除機構は、前記複数の発光バーの表面から除去された異物を、前記気流発生部の発生させる気流で前記複数の発光バーから遠ざける機構である、
洗浄装置。
【請求項5】
請求項またはに記載の洗浄装置であって、
少なくとも1つの吸気部をさらに備え、
前記異物排除機構は、前記複数の発光バーの表面から除去された異物を前記少なくとも1つの吸気部で吸い込む機構である、
洗浄装置。
【請求項6】
請求項に記載の洗浄装置であって、
前記少なくとも1つの吹付けノズルは前記複数の発光バーの片側から粒子状のドライアイスを吹付け、
前記少なくとも1つの吸気部は、前記複数の発光バーの、前記少なくとも1つの吹付けノズルが粒子状のドライアイスを吹付ける前記片側と逆側から吸気する、
洗浄装置。
【請求項7】
発光バーを洗浄する洗浄装置であって、
複数の前記発光バーをストライプ状に整列して保持する保持具と、
前記複数の発光バーに粒子状のドライアイスを吹付ける少なくとも1つの吹付けノズルと、
を備え、
前記保持具は、前記複数の発光バーそれぞれの2面が上方から見える傾けた配置か、または、前記複数の発光バーを傾けずに隣り合う前記発光バーの間隔が20μm以上150μm以下空くような配置か、で、前記複数の発光バーを保持し、
前記少なくとも1つの吹付けノズルとして複数の吹付けノズルを備え、
前記複数の吹付けノズルは、前記複数の発光バーの上方および下方から粒子状のドライアイスを吹付ける、
洗浄装置。
【請求項8】
発光バーを洗浄する洗浄装置であって、
複数の前記発光バーをストライプ状に整列して保持する保持具と、
前記複数の発光バーに粒子状のドライアイスを吹付ける少なくとも1つの吹付けノズルと、
を備え、
前記保持具は、前記複数の発光バーそれぞれの2面が上方から見える傾けた配置か、または、前記複数の発光バーを傾けずに隣り合う前記発光バーの間隔が20μm以上150μm以下空くような配置か、で、前記複数の発光バーを保持し、
前記複数の発光バーの表面から除去された異物を前記複数の発光バーに再度付着しないよう取り除く異物排除機構と、
少なくとも1つの吸気部と、
をさらに備え、
前記異物排除機構は、前記複数の発光バーの表面から除去された異物を前記少なくとも1つの吸気部で吸い込む機構であり、
前記少なくとも1つの吹付けノズルとして複数の吹付けノズルを備え、
前記少なくとも1つの吸気部として複数の吸気部を備え、
前記複数の吹付けノズルは、前記複数の発光バーの上方および下方から粒子状のドライアイスを吹付け、
前記複数の吸気部は、前記複数の吹付けノズルが粒子状のドライアイスを吹付ける方向上それぞれから吸気するよう設けられている、
洗浄装置。
【請求項9】
請求項1に記載の洗浄装置を用いた洗浄方法であって、
前記保持具により、前記発光バーの延在方向の両側の端部で前記複数の発光バーを保持し、且つ、前記複数の発光バーそれぞれの2面が上方から見える傾けた配置か、または、前記複数の発光バーを傾けずに隣り合う前記発光バーの間隔が20μm以上150μm以下空くような配置か、で、前記複数の発光バーを前記ストライプ状に整列して保持した状態で、
前記少なくとも1つの吹付けノズルにより前記複数の発光バーに粒子状のドライアイスを吹付ける、
洗浄方法。
【請求項10】
請求項に記載の洗浄方法を用いた半導体装置の製造方法であって、
ウエハを加工して発光バーを複数形成する工程と、
前記ウエハから複数の発光バーを劈開する工程と、
請求項に記載の洗浄方法により前記複数の発光バーを洗浄する工程と、
を備える、
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗浄装置、洗浄方法、および、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子は半導体ウエハに形成されたのち、劈開により半導体ウエハから分割される。発光素子の表面のうち、レーザ光が主に出射する発光面と、発光面の反対の面である反射面は、劈開により得られる面である。発光面および反射面を保護するためと、レーザを共振させるために、発光面と反射面にはレーザの反射膜をコーティングするが、劈開時に発生する半導体ウエハの欠片等の異物が発光面と反射面に付着していると、レーザ性能が低下し、発光素子が不良となる。そのため反射膜をコーティングする前、または、コーティングした後に発光素子を洗浄する必要がある。発光素子を洗浄する手法として水洗やエアーブロー等の手法があるが、これらの手法では完全に異物を除去することは困難である。
【0003】
異物を効果的に除去する手法として、ドライアイス洗浄がある。ドライアイス洗浄は粒子状のドライアイスを洗浄対象物に吹付けて異物を除去する手法である。ドライアイス洗浄は、例えば特許文献1や特許文献2で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6389988号公報
【文献】特開2018-078249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の発光素子を含む発光バーの洗浄においては、複数の発光バーを並べて一度に洗浄する。しかも、各発光バーの発光面と反射面から異物を除去するだけでなく、上面電極と下面電極からも異物を除去する、または上面電極と下面電極に異物が付着しないようにする必要がある。洗浄後に上面電極か下面電極に異物が付着していると、その後の実装工程および配線工程で、接合不良につながる。
【0006】
従来の洗浄装置や洗浄方法は、このように、並べられた複数の発光バーの各々の4面、すなわち、発光面、反射面、上面電極の設けられている上面、および下面電極の設けられている下面、を洗浄する必要のある発光バーの洗浄には必ずしも適していない。
【0007】
本開示は、発光バーの洗浄に適した洗浄装置および洗浄方法を提供すること、また発光バーの洗浄に適した洗浄方法を用いた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の洗浄装置は、発光バーを洗浄する洗浄装置であって、複数の発光バーをストライプ状に整列して保持する保持具と、複数の発光バーに粒子状のドライアイスを吹付ける少なくとも1つの吹付けノズルと、を備え、保持具は、発光バーの延在方向の両側の端部で複数の発光バーを保持し、且つ、複数の発光バーそれぞれの2面が上方から見える傾けた配置か、または、複数の発光バーを傾けずに隣り合う発光バーの間隔が20μm以上150μm以下空くような配置か、で、複数の発光バーを保持する、洗浄装置、である。
【0009】
本開示の洗浄方法は、本開示の洗浄装置を用いた洗浄方法であって、保持具により、発光バーの延在方向の両側の端部で複数の発光バーを保持し、且つ、複数の発光バーそれぞれの2面が上方から見える傾けた配置か、または、複数の発光バーを傾けずに隣り合う発光バーの間隔が20μm以上150μm以下空くような配置か、で、複数の発光バーをストライプ状に整列して保持した状態で、少なくとも1つの吹付けノズルにより複数の発光バーに粒子状のドライアイスを吹付ける、洗浄方法、である。
【0010】
本開示の半導体装置の製造方法は、本開示の洗浄方法を用いた半導体装置の製造方法であって、ウエハを加工して発光バーを複数形成する工程と、ウエハから複数の発光バーを劈開する工程と、本開示の洗浄方法により複数の発光バーを洗浄する工程と、を備える、半導体装置の製造方法、である。
【発明の効果】
【0011】
本開示の洗浄装置および本開示の洗浄方法では、発光バーの延在方向の両側の端部で複数の発光バーを保持し、且つ、複数の発光バーそれぞれの2面が上方から見える傾けた配置か、または、複数の発光バーを傾けずに隣り合う発光バーの間隔が20μm以上150μm以下空くような配置か、で、複数の発光バーを保持する。これにより、発光バーの洗浄に適した洗浄装置および洗浄方法が提供される。

【0012】
また、本開示の半導体装置の製造方法では、本開示の洗浄方法により複数の発光バーを洗浄する。これにより、発光バーの洗浄に適した洗浄方法を用いた半導体装置の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】発光バーが形成された半導体ウエハの斜視図である。
図2】複数の発光素子を含む発光バーの斜視図である。
図3】複数の発光バーを洗浄する際の並べ方の例を示す斜視図である。
図4図3のI-I線を通りyz平面と平行な面での断面図である。
図5】実施の形態1に係る洗浄装置の構成を示す斜視図である。
図6】実施の形態1に係る洗浄装置の、図5のII-II線を通りyz平面と平行な面での断面図である。
図7】実施の形態1に係る洗浄装置の、図5のIII-III線を通りxz平面と平行な面での断面図である。
図8】実施の形態1に係る洗浄装置の変形例の構成を示す断面図である。
図9】実施の形態2に係る洗浄装置の構成を示す斜視図である。
図10】実施の形態2に係る洗浄装置の、図9のIV-IV線を通りyz平面と平行な面での断面図である。
図11】実施の形態2に係る洗浄装置の、図9におけるV-V線を通りxz平面と平行な面での断面図である。
図12】実施の形態2に係る洗浄装置の変形例1の構成を示す断面図である。
図13】実施の形態2に係る洗浄装置の変形例2の構成を示す断面図である。
図14】実施の形態1または2に係る洗浄方法の手順を示すフローチャートである。
図15】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本開示の各実施の形態に係る洗浄装置が洗浄する対象の発光バーと、本開示の各実施の形態によらない洗浄方法と、について説明する。
【0015】
図1に、半導体ウエハ1の斜視図を示す。半導体ウエハ1には、半導体製造工程を経て、複数の発光素子7を含む発光バー2が、面内方向に並んだ形で複数形成される。半導体ウエハ1に形成された発光バー2は、劈開により分割され、バー状となる。
【0016】
図2に、発光バー2を示す。発光バー2の表面のうち、劈開で得られた断面のうちの1つの面であって発光バー2の延在方向に沿った面が発光面4、またその反対の面が反射面6である。発光バー2の表面のうち、半導体ウエハ1の上面であった面を上面、半導体ウエハ1の下面であった面を下面とする。発光バー2の上面には上面電極3が、発光バー2の下面には下面電極5が、それぞれ複数、上面と下面の対応する位置に形成されている。
【0017】
発光バー2の、図2の点線で区切られた、上面電極3、下面電極5を含む各領域は、発光素子7として働く。
【0018】
発光バー2の発光面4と反射面6に反射膜をコーティングする前に、発光面4と反射面6を洗浄し発光面4と反射面6に付着した異物を除去するために粒子状のドライアイスを発光バー2に吹付ける。複数の発光バー2をまとめて洗浄する際の複数の発光バー2の配置としては、図3のような配置が考えられる。
【0019】
図3に示すx、y、z方向は互いに直交している。x方向は発光バー2の延在方向、y方向は複数の発光バー2が並べられる方向である。x方向とy方向で示される平面をxy平面とする。また、xy平面と直交する方向をz方向とし、z方向とx方向、z方向とy方向で示される平面をそれぞれ、xz平面、yz平面とする。図4以降においても、各図においてx、y、z方向は互いに直交しており、x方向とy方向、z方向とx方向、z方向とy方向、で示される平面をそれぞれ、xy平面、xz平面、yz平面とする。
【0020】
図4に、図3のI-I線を通りyz平面と平行な面での断面図を示す。
【0021】
図3および図4に示される配置では、各発光バー2は、発光面4が吹付けノズル8の方向、すなわちz方向を向いて揃うように並べられている。また、図4に示されるように、各発光バー2は、隣り合う発光バー2の上面電極3と下面電極5が接するように並べられている。ここで図示しないが、図3において、複数の発光バー2は、治具等に固定されているか、ステージ上に吸着されている。
【0022】
図3および図4に示される配置で、各発光バー2の発光面4は、吹付けノズル8から吹付けられるドライアイスにより洗浄される。また、反射面6を洗浄するためには、治具を反転させる、または各発光バー2を反射面6がz方向に揃うように再配置する。図3および図4に示される配置においては、複数の発光バー2間では、上面電極3と下面電極5の表面の凹凸や、発光バー2の反りによって、微小な隙間が発生する。このような状態で粒子状のドライアイスを吹付けた場合、微小な隙間に異物が入り込み、その一部が微小な隙間に残留する可能性がある。その結果、洗浄後も上面電極3や下面電極5の表面に異物が付着して残り、その後の配線工程にて不具合を発生させる可能性がある。
【0023】
<A.実施の形態1>
<A-1.構成>
図5に実施の形態1に係る洗浄装置100の構成を示す斜視図を示す。図6に、洗浄装置100の、図5のII-II線を通りyz平面と平行な面での断面図を示す。
【0024】
図5に示されるように、洗浄装置100は、保持具9と、吹付けノズル8と、吸気部10と、を備える。図5に示されている発光バー2は洗浄装置100が洗浄する対象であり、発光バー2は洗浄装置100に含まれない。
【0025】
図5に示されるように、保持具9は複数の発光バー2をストライプ状に整列して保持する。図5において、複数の発光バー2は、各発光バー2の延在方向がx方向に沿うように、y方向に並べられている。
【0026】
保持具9は、図5および図6に示されるように、複数の発光バー2それぞれの2面が上方から見える傾けた配置で保持する。図5および図6には、保持具9が各発光バー2を発光面4と下面の下面電極5が上方から見えるような配置で保持している場合が示されている。
【0027】
保持具9は、発光バー2の延在方向の両側の端部で複数の発光バー2を保持する。図5では具体的な保持方法は図示されていないが、複数の発光バー2は保持具9に機械的に保持されても良いし、吸着により保持されても良い。保持具9は、例えば、保持具9に設けられたスリット等の溝に複数の発光バー2を配置するなどにより、y方向に一定の間隔で複数の発光バー2を保持する。また保持具9は、x軸またはy軸の周りで回転して発光バー2を反転させ、発光バー2のz方向を向いている側と‐z方向を向いている側を入れ替えることができる。
【0028】
吹付けノズル8は、保持具9に保持されている発光バー2に粒子状のドライアイスを吹付ける。吹付けノズル8は、保持具9に保持されている複数の発光バー2の上方に配置されている。上方は、図5では保持具9に保持されている複数の発光バー2のz方向であるが、保持具9に保持されている複数の発光バー2がストライプ状になっている面のどちらかであればよく、重力による上下とは関係ない。
【0029】
吸気部10は、保持具9に固定されている複数の発光バー2の下方に配置されており、複数の発光バー2の、吹付けノズル8が粒子状のドライアイスを吹付ける側と逆側から吸気する。吹付けノズル8から粒子状のドライアイスを吹付けられたことにより発光バー2から吹飛ばされ、複数の発光バー2の隙間を通って複数の発光バー2の下方に飛んできた異物は、吸気部10に吸引される。このように、洗浄装置100は、複数の発光バー2の表面から除去された異物を複数の発光バー2に再度付着しないよう取り除く異物排除機構を備える。
【0030】
吹付けノズル8は、吹付けノズル8または保持具9またはその両方がxy平面内で移動駆動されることにより、複数の発光バー2の上方を向いている面全体を粒子状のドライアイスで洗浄することができる。洗浄装置100は、吹付けノズル8または保持具9またはその両方がxy平面内で移動駆動される代わりに、複数の吹付けノズル8を備え、保持具9に保持されている複数の発光バー2の上方に複数の吹付けノズル8が配置されていることで、複数の発光バー2の上方を向いている面全体を洗浄することができる、という構成でもよい。
【0031】
吸気部10は、保持具9の下方にあり、複数の発光バー2の、吹付けノズル8が粒子状のドライアイスを吹付ける側と逆側から吸気する。吸気部10は、保持具9に固定されている複数の発光バー2の下方全体を吸引できる構造となっている。図5では吸気部10は模式的にブロックで描かれている。吸気部10は‐z方向からの吸引であっても良いし、保持具9下方全体を吸引できるのであれば、x方向やy方向からの吸引であっても良い。
【0032】
上記のように、保持具9は、発光バー2の2面が上方から見える傾けた配置で、複数の発光バー2を保持する。図5および図6に示される配置では、発光バー2は、z方向からは下面電極5が設けられている下面と発光面4が視認可能で、上面電極3が設けられている上面と反射面6が視認できない状態となっている。
【0033】
すなわち、粒子状のドライアイスを吹付けた場合、発光バー2の隣り合う2面、図5および図6に示される配置では下面と発光面4、に対して、必ず粒子状のドライアイスを吹付けることが可能である。さらに、図5および図6に示される配置から、保持具9をx軸もしくはy軸と平行な軸周りで180度回転させ、反転することで、上記2面以外の残りの2面、つまり上面電極3が設けられている上面と反射面6、に対しても、粒子状のドライアイスを吹付けることができる。このように、洗浄装置100により、発光バー2の上面、下面、発光面4、反射面6、の4面全体を洗浄することができる。
【0034】
図6において、z方向からの下面の視認可能幅をW1、z方向からの発光面4の視認可能幅をW2とする。また、下面と反射面6の間の境界である辺と吹付けノズル8先端と、のz軸距離を下面距離D1、発光面4と上面の間の境界である辺と吹付けノズル8先端までのz軸距離を発光面距離D2、隣り合う発光バー2の間隔の大きさをG1、下面の幅をa、発光面4の幅をb、発光バー傾斜角をθとする。発光バー傾斜角θは、xy平面と上面のなす角である。但し、θは、0<θ<π/2を満たすとする。z軸距離は、対象とする2つのものの、z座標の値の差である。図6において、発光バー2の下面と反射面6の間の境界である辺と、発光面4と上面の間の境界である辺と、は、x軸に平行である。
【0035】
洗浄装置100の洗浄力を上げるためには、下面視認幅W1と発光面視認幅W2の和が最大となるようにすることが望ましい。つまり、W1+W2の最大値をWとすると、
W=W1+W2
=a・cosθ+b・sinθ
を満足するように、発光バー2を傾けるのが望ましい。
【0036】
下面視認幅W1と発光面視認幅W2の和を最大とすることで、下面と発光面4それぞれの上方から見た面積の和が、最大となる。これにより、発光バー2に単位時間・単位面積当たりに衝突する粒子状のドライアイスの量を最大化でき、発光バー2の表面を効率的に洗浄できる。なお、上方から見た面積は、xy平面に射影して得られる面積である。実際には、上方から見た面積の和を最大とする必要はなく、例えば、複数の発光バー2を、上方から見える2面である下面と発光面4それぞれの上方から見た面積の和が、上方から見える2面である下面と発光面4それぞれの上方から見た面積の和の最大値の95%以上となるような傾きで、保持具9に保持されているようにする。
【0037】
また、これは、以下のようにも考えられる。下面と発光面4が均一に洗浄されるようにするために、下面距離D1と発光面距離D2が同等、つまり、D1=D2とすることが望ましい。D1=D2という条件は、
a・sinθ=b・cosθ
と表される。
【0038】
下面距離D1と発光面距離D2とを同等とすることで、吹付けノズル8から噴射された粒子状のドライアイスの、下面に到達するまでの時間の最大値と、発光面4に到達するまでの時間の最大値とを同一にすることができる。これにより、下面と発光面4に到達する粒子状のドライアイスの粒径を同一にできるため、下面に対する洗浄力と発光面4に対する洗浄力を均一化できる。
【0039】
a・sinθ=b・cosθという条件は、W1+W2=a・cosθ+b・sinθを最大にするという考え方に基づいて、W1+W2をθの関数と考えてθで微分して得られる条件と同じである。
【0040】
隣り合う発光バー2の間隔の大きさG1は、製造工程で発生する異物が通り抜けられるような値であることが望ましい。G1が十分に大きければ、粒子状のドライアイスで発光バー2の表面から除去された異物は、隣り合う発光バー2の間をとおって吸気部10に吸引される。
【0041】
一方で、隣り合う発光バー2の間隔の大きさG1を製造工程で発生する異物サイズ以上にできない場合も考えられる。このような場合、洗浄装置100は、図5に示される構成に加え、図7に示されるように、気流発生部20をさらに備える。また、吹付けノズル8は、ドライアイスの吹付け方向がz軸と平行にならないよう傾いている。図7は、洗浄装置100の、図5のIII-III線を通りxz平面と平行な面での断面図である。
【0042】
隣り合う発光バー2の間隔より大きな異物は、粒子状のドライアイスで発光バー2の表面から除去された後、跳ね返って発光バー2の上方側に飛ばされる。その際、吹付けノズル8が、ドライアイスの吹付け方向がz軸と平行にならないよう傾いていることで、異物は、xy平面内で見た場合に一定方向に向けて吹き飛ばされる。図7では、吹付けノズル8は、xy平面内に射影した場合に‐x方向にドライアイスを吹付けるように、傾けられている。図7において、発光バー2の上方では、気流発生部20によって、‐x方向、すなわち、粒子状のドライアイスによって除去された異物が吹き飛ぶ方向にむけて、ドライアイスの吹付けに影響のない程度に、気流が発生させられている。
【0043】
図7に示される構成では、洗浄装置100の異物排除機構は、発光バー2の上方では気流発生部20の発生させる気流で異物を遠ざけ、発光バー2の下方では吸気部10で異物を吸い込むことによって、複数の発光バー2の表面から除去された異物を複数の発光バー2に再度付着しないよう取り除く機構である。洗浄装置100の異物排除機構は、発光バー2の下方においても、吸気部10で異物を吸い込む代わりに、気流発生部20の発生させる気流で異物を遠ざけることで、複数の発光バー2の表面から除去された異物を複数の発光バー2に再度付着しないよう取り除く機構であってもよい。
【0044】
<A-2.動作>
洗浄装置100を用いた洗浄方法である、本実施の形態の洗浄方法について説明する。
【0045】
本実施の形態の洗浄方法のフローチャートは図14に示されている。
【0046】
まず、複数の発光バー2を並べ、保持具9で保持する(ステップS10)。<A-1.構成>で説明したように、保持具9により、発光バー2の2面が上方から見える傾けた配置で、複数の発光バー2をストライプ状に整列して保持する。望ましくは、複数の発光バー2を、上方から見える2面それぞれの上方から見た面積の和が、上方から見える2面それぞれの上方から見た面積の和の最大値の95%以上となるような傾きで、保持具9に保持されているようにする。これにより、発光バー2を効率的に洗浄できる。
【0047】
次に、吹付けノズル8で複数の発光バー2に対し粒子状のドライアイスを吹付け、複数の発光バー2を洗浄する(ステップS11)。ステップS11では、まず図5から図7に示される配置で下面と発光面4を洗浄した後、保持具9をx軸またはy軸周りで180度回転して発光バー2の向きを反転し、その後、上面と反射面6を洗浄する。より確実に発光バー2の表面から異物を取り除くため、下面と発光面4の洗浄と、上面と反射面6の洗浄を、複数回繰り返してもよい。
【0048】
保持具9が、発光バー2の2面が上方から見える傾けた配置で、複数の発光バー2を保持しており、隣り合う発光バー2の面同士が向かい合っていない。そのため、図3図4のように上面電極3と下面電極5を向かい合わせて発光バー2を並べた場合に起こる、異物が隣り合う発光バー2の向かい合った面間に形成される微小な隙間に入り込んで留まり、後工程の不具合に繋がるという問題が、本実施の形態の洗浄方法では起きない。
【0049】
保持具9は、発光バー2の延在方向の両側の端部で複数の発光バー2を保持するので、発光バー2の洗浄時に、両側の端部を除き、異物が保持具9と発光バー2の間の隙間に入り込んで留まるという問題が起きない。
【0050】
吹付けノズル8から吹付けられた粒子状のドライアイスにより発光バー2から除去された異物は、異物排除機構により発光バー2に再度付着しないよう取り除かれる。
【0051】
保持具9が発光バー2を傾けて保持していることで、発光バー2の2面に対して同時に粒子状のドライアイスを吹付けることができるため、図3図4の場合のような、発光面4と反射面6のみの1面ずつの洗浄と比較して、発光バー2を効率よく洗浄でき、生産性を向上できる。
【0052】
このように、本実施の形態により、発光バー2の洗浄に適した洗浄装置100および洗浄方法が提供される。
【0053】
<A-3.効果>
保持具9は、複数の発光バー2それぞれの2面が上方から見える傾けた配置で、複数の発光バー2を保持する。これにより、発光バー2の洗浄に適した洗浄装置100および洗浄方法が提供される。
【0054】
望ましくは、複数の発光バー2は、上方から見える2面それぞれの上方から見た面積の和が、上方から見える2面それぞれの上方から見た面積の和の最大値の95%以上となるような傾きで、保持具9に保持されている。これにより、発光バー2を効率的に洗浄できる。
【0055】
保持具9は、発光バー2の延在方向の両側の端部で複数の発光バー2を保持する。これにより、発光バー2の洗浄時に、両側の端部を除き、異物が保持具9と発光バー2の間の隙間に入り込んで留まることがない。
【0056】
洗浄装置100は、複数の発光バー2の表面から除去された異物を複数の発光バー2に再度付着しないよう取り除く異物排除機構を備える。これにより、発光バー2の洗浄時に、一度取り除いた異物が発光バー2に再度付着する頻度を抑制でき、より効率的に発光バー2を洗浄できる。
【0057】
異物排除機構は、複数の発光バー2の表面から除去された異物を、気流発生部20の発生させる気流で複数の発光バー2から遠ざける機構である。これにより、異物排除機構を容易に実現できる。
【0058】
異物排除機構は、複数の発光バー2の表面からから除去された異物を吸気部10で吸い込む機構である。これにより、異物排除機構を容易に実現できる。
【0059】
吸気部10は、複数の発光バー2の、吹付けノズル8が粒子状のドライアイスを吹付ける側と逆側から吸気する。これにより、吹付けノズル8から粒子状のドライアイスを吹付けられたことにより発光バー2から吹飛ばされ、複数の発光バー2の隙間を通って吹付けノズル8と逆側に飛んできた異物は、吸気部10に吸引される。
【0060】
<A-4.変形例>
図8に、実施の形態1に係る洗浄装置100の変形例の構成を示す断面図を示す。図8は、図6に対応する断面での断面図である。<A-1.構成>では、保持具9は、発光バー2の2面が上方から見える傾けた配置で、複数の発光バー2を保持するとした。保持具9は、図8に示すように、発光バー2を傾けずに、上方から1面のみが視認可能な状態で配置しても良い。この場合、隣り合う発光バー2の間隔の大きさG1は、製造工程で発生する異物サイズ以上、かつ、配置できる発光バー2が少なくなることによる生産性の低下が著しくない大きさであれば良い。一般的な半導体製造工程であればG1は数十μm以上であれば良い。また、一般的な半導体ウエハの厚さは数百μm以上であり、G1は100μm程度以下であることが好ましい。例えば、保持具9は、G1が20μm以上150μm以下、つまり複数の発光バー2を傾けずに隣り合う発光バー2の間隔が20μm以上150μm以下空くような配置で、複数の発光バー2を保持する。発光バー2の傾きと、G1の大きさ以外については、洗浄装置100の本変形例の構成は、<A-1.構成>と同じである。
【0061】
洗浄装置100の本変形例を用いた洗浄方法のフローチャートは、<A-2.動作>と同様、図14で与えられる。ステップS11では、まず図8に示される配置で吹付けノズル8により粒子状のドライアイスを吹付けて発光面4を洗浄した後、保持具9をx軸またはy軸周りで180度回転して発光バー2の向きを反転し、その後、反射面6を洗浄する。その際、隣り合う発光バー2の間隔が20μm以上150μm以下空いていることで、発光面4や反射面6から取り除かれた異物が、隣り合う発光バー2の間に挟まって留まる頻度が抑制される。また、隣り合う発光バー2の間に間隔があいているため、吹付けノズル8が吹付ける粒子状のドライアイスのサイズをG1より小さくすることで、隣り合う発光バー2の間に粒子状のドライアイスが入り込み、隣り合う発光バー2の向かい合った面である、上面と下面も洗浄できる。
【0062】
本変形例において、保持具9は、複数の発光バー2を傾けずに隣り合う発光バー2の間隔が20μm以上150μm以下空くような配置で、複数の発光バー2を保持する。これにより、発光バー2の洗浄に適した洗浄装置100および洗浄方法が提供される。また本洗浄方法により生産性を著しく低下させることもない。
【0063】
<B.実施の形態2>
<B-1.構成>
図9に実施の形態2に係る洗浄装置101の構成を示す斜視図を示す。図10に、洗浄装置101の、図9のIV-IV線を通りyz平面と平行な面での断面図を示す。図11に、洗浄装置101の、図9のV-V線を通りxz平面と平行な面での断面図を示す。
【0064】
図9から図11に示されるように、洗浄装置101は、保持具9と、吹付けノズル8と、吹付けノズル11と、気流発生部20と、を備える。吹付けノズル8と吹付けノズル11は同じ吹付けノズルである。図9から図11に示されている発光バー2は洗浄装置101が洗浄する対象であり、発光バー2は洗浄装置101に含まれない。また、図9において、気流発生部20は、見やすさのために省略されている。
【0065】
本実施の形態における保持具9による発光バー2の保持方法や保持具9に保持される発光バー2の整列の仕方は、実施の形態1の<A-1.構成>で説明したものと同様である。保持具9に固定された複数の発光バー2は、発光面4と下面電極5がz方向を向くように傾いている。z方向からは下面電極5と発光面4が視認可能で、上面電極3と反射面6が視認できない状態とであり、かつ、-z方向からは、上面電極3と反射面6が視認可能で、下面電極5と発光面4が視認できない状態となっている。本実施の形態では、保持具9は、実施の形態1の場合と異なり、x軸またはy軸周りの回転をできなくてもよい。
【0066】
図9に示すように、洗浄装置101は、保持具9に保持された複数の発光バー2のz方向と-z方向に、それぞれ、吹付けノズル8と、吹付けノズル11が配置されている。これにより、下面と発光面4の2面と、上面と反射面6の2面と、の4面を、実施の形態1の場合のように保持具9を回転することなく洗浄できる。
【0067】
吹付けノズル8と吹付けノズル11は、複数の発光バー2を中心に、それぞれ、z方向、-z方向に同一の距離で配置することが望ましい。これにより、吹付けノズル8と吹付けノズル11から噴射されたドライアイスが発光バー2に当たるまでの時間が均一となり、発光バー2に当たる際のドライアイスのサイズも同じになるため、下面電極5と発光面4の2面と、上面電極3と反射面6の2面とを、より均一に洗浄できる。
【0068】
図10に示すように、吹付けノズル8と吹付けノズル11のxy平面内方向での位置を合わせ、図11のように吹付けノズル8と吹付けノズル11を、粒子状のドライアイスがxy平面内方向で見た場合に同じ方向に吹付けられるようにz軸から傾けることで、粒子状のドライアイスによって発光バー2の表面から除去された異物を、xy平面内方向で見て一定の方向に吹き飛ばすことができる。図11では、吹付けノズル8と吹付けノズル11は、異物が‐x方向に飛ばされるように傾けられている。
【0069】
気流発生部20は、吹付けノズル8および吹付けノズル11を傾ける方向、すなわち図9図10図11における‐x方向に、ドライアイスの吹付けに影響のない程度で気流を発生させる。これにより、複数の発光バー2の表面から除去された異物を複数の発光バー2に再度付着しないよう取り除く異物排除機構が実現される。
【0070】
<B-2.動作>
洗浄装置101を用いた洗浄方法のフローチャートは、<A-2.動作>と同様、図14で与えられる。ステップS10では、<B-1.構成>で説明したように、保持具9で、複数の発光バー2それぞれの2面が上方から見える傾けた配置で、複数の発光バー2をストライプ状に整列して保持する。望ましくは、複数の発光バー2を、上方から見える2面それぞれの上方から見た面積の和が、上方から見える2面それぞれの上方から見た面積の和の最大値の95%以上となるような傾きで、保持具9で保持する。これにより、発光バー2を効率的に洗浄できる。
【0071】
ステップS11では、図8に示される配置で、吹付けノズル8および吹付けノズル11により複数の発光バー2の上方および下方から粒子状のドライアイスを吹付けて、下面と発光面4の2面と、上面と反射面6の2面と、の4面を洗浄する。発光バー2の表面から除去された異物は、気流発生部20の発生させる気流により、複数の発光バー2に再度付着しないよう取り除かれる。
【0072】
保持具9が、発光バー2の2面が上方から見える傾けた配置で、複数の発光バー2を保持しており、隣り合う発光バー2の面同士が向かい合っていない。そのため、図3図4のように上面電極3と下面電極5を向かい合わせて発光バー2を並べた場合に起こる、異物が隣り合う発光バー2の向かい合った面間に形成される微小な隙間に入り込んで留まり、後工程の不具合に繋がるという問題が、本実施の形態の洗浄方法では起きない。
【0073】
保持具9は、発光バー2の延在方向の両側の端部で複数の発光バー2を保持するので、発光バー2の洗浄時に、両側の端部を除き、異物が保持具9と発光バー2の間の隙間に入り込んで留まるという問題が起きない。
【0074】
吹付けノズル8から吹付けられた粒子状のドライアイスにより発光バー2から除去された異物は、異物排除機構により発光バー2に再度付着しないよう取り除かれる。
【0075】
保持具9が発光バー2を傾けて保持しており、洗浄装置101は吹付けノズル8および吹付けノズル11を備え、吹付けノズル8および吹付けノズル11は、複数の発光バー2の上方および下方から粒子状のドライアイスを吹付ける。これにより、発光バー2の4面に対して粒子状のドライアイスを吹付けることができ、図3図4の場合のような、発光面4と反射面6のみの1面ずつの洗浄と比較して、発光バー2を効率よく洗浄でき、生産性を向上できる。
【0076】
このように、本実施の形態により、発光バー2の洗浄に適した洗浄装置101および洗浄方法が提供される。
【0077】
<B-3.効果>
保持具9は、複数の発光バー2それぞれの2面が上方から見える傾けた配置で、複数の発光バー2を保持する。これにより、発光バー2の洗浄に適した洗浄装置101および洗浄方法が提供される。
【0078】
望ましくは、複数の発光バー2は、上方から見える2面それぞれの上方から見た面積の和が、上方から見える2面それぞれの上方から見た面積の和の最大値の95%以上となるような傾きで、保持具9に保持されている。これにより、発光バー2を効率的に洗浄できる。
【0079】
保持具9は、発光バー2の延在方向の両側の端部で複数の発光バー2を保持する。これにより、発光バー2の洗浄時に、両側の端部を除き、異物が保持具9と発光バー2の間の隙間に入り込んで留まることがない。
【0080】
洗浄装置101は、複数の発光バー2の表面から除去された異物を複数の発光バー2に再度付着しないよう取り除く異物排除機構を備える。これにより、発光バー2の洗浄時に、一度取り除いた異物が発光バー2に再度付着する頻度を抑制でき、より効率的に発光バー2を洗浄できる。
【0081】
洗浄装置101の異物排除機構は、複数の発光バー2の表面から除去された異物を、気流発生部20の発生させる気流で複数の発光バー2から遠ざける機構である。これにより、異物排除機構を容易に実現できる。
【0082】
洗浄装置101は吹付けノズル8および吹付けノズル11を備え、吹付けノズル8および吹付けノズル11は、複数の発光バー2の上方および下方から粒子状のドライアイスを吹付ける。これにより、発光バー2の4面に対して粒子状のドライアイスを吹付けることができ、発光バー2を効率よく洗浄できる。
【0083】
<B-4.変形例1>
図12に実施の形態2に係る洗浄装置101の変形例1の構成を示す断面図を示す。本変形例では、洗浄装置101は、<B-1.構成>で説明した構成に加え、吸気部12と吸気部13をさらに備える。
【0084】
複数の吸気部12,13は、複数の吹付けノズル8,11が粒子状のドライアイスを吹付ける方向上それぞれから吸気するよう設けられている。すなわち、吸気部13は吹付けノズル8からの粒子状のドライアイスの吹付け方向に配置されており、吸気部12は吹付けノズル11からの粒子状のドライアイスの吹付け方向に配置されている。
【0085】
吹付けノズル8や吹付けノズル11から吹付けられた粒子状のドライアイスは、吹付け距離が長くなると広がるため、その広がり幅に合わせて、吸気部12および吸気部13の幅を設定する。複数の吸気部12,13が、複数の吹付けノズル8,11が粒子状のドライアイスを吹付ける方向上それぞれから吸気するよう設けられていることで、複数の発光バー2の隙間をとおってきた異物を効果的に吸引でき、発光バー2への再付着を抑制できる。
【0086】
本変形例の洗浄装置101を用いた洗浄方法は、<B-2.動作>と比べ、異物排除機構に吸気部12と吸気部13によって異物を吸い込む機構が加わる他は、<B-2.動作>と同様である。
【0087】
本変形例の洗浄装置101は、-x方向の前記気流を発生させる必要はなく、洗浄装置101は気流発生部20を備えていなくてもよい。
【0088】
<B-5.変形例2>
図13に、実施の形態2に係る洗浄装置101の変形例2の構成を示す断面図を示す。図13は、図10に対応する断面での断面図である。
【0089】
実施の形態2に係る洗浄装置101においても、複数の発光バー2を傾けた図10のような配置の代わりに、図13に示すように、発光バー2を、傾けずに上方から1面のみが視認可能な状態で配置しても良い。本変形例において、複数の発光バー2の配置は、<A-4.変形例>同様である。図13において、複数の発光バー2の間隔の大きさG1は、製造工程で発生する異物サイズ以上、かつ、配置できる発光バー2が少なくなることによる生産性の低下が著しくない大きさであれば良い。例えば、保持具9は、複数の発光バー2を傾けずに隣り合う発光バー2の間隔G1が20μm以上150μm以下空くような配置で、複数の発光バー2を保持する。
【0090】
本変形例の洗浄装置101の構成は、保持具9に保持される複数の発光バー2の配置の他は、<B-1.構成>または<B-4.変形例1>で説明した構成と同じである。
【0091】
洗浄装置101の本変形例を用いた洗浄方法のフローチャートは、図14で与えられる。ステップS11では、図13に示される配置で吹付けノズル8と吹付けノズル11により粒子状のドライアイスを吹付けて発光面4と反射面6を洗浄する。その際、隣り合う発光バー2の間隔G1が20μm以上150μm以下空いていることで、発光面4と反射面6から取り除かれた異物が、隣り合う発光バー2の間に挟まって留まる頻度が抑制される。また、隣り合う発光バー2の間に間隔があいているため、吹付けノズル8と吹付けノズル11が吹付ける粒子状のドライアイスのサイズをG1より小さくすることで、隣り合う発光バー2の間に粒子状のドライアイスが入り込み、隣り合う発光バー2の向かい合った面である、上面と下面も洗浄できる。
【0092】
本変形例において、保持具9は、複数の発光バー2を傾けずに隣り合う発光バー2の間隔が20μm以上150μm以下空くような配置で、複数の発光バー2を保持する。これにより、発光バー2の洗浄に適した洗浄装置101および洗浄方法が提供される。また本洗浄方法により生産性を著しく低下させることもない。
【0093】
<C.実施の形態3>
<C-1.構成>
本実施の形態では、発光バーの洗浄に適した洗浄装置および洗浄方法を用いた半導体装置の製造方法について説明する。具体的には、実施の形態1または実施の形態2に係る洗浄方法を用いた、半導体装置の製造方法について説明する。洗浄方法は、実施の形態1または実施の形態2の変形例で説明されたものでもよい。
【0094】
<C-2.動作>
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法のフローチャートは図15に示されている。
【0095】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法では、まず半導体ウエハを半導体製造工程で加工し、半導体ウエハに発光バー2を複数形成する(ステップS20)。半導体製造工程では例えば不純物イオン注入や不純物活性化などを行う。また、ステップS20で、上面電極3と下面電極5もウエハの上面および下面にそれぞれ形成する。ステップS20により、図2に示されるように、面内方向に発光バー2が並んで形成された半導体ウエハ1が得られる。
【0096】
次に、劈開により、半導体ウエハ1から複数の発光バー2を分割する(ステップS21)。
【0097】
次に、ステップS21で得られた発光バー2を、実施の形態1または実施の形態2に係る洗浄方法により洗浄する(ステップS22)。
【0098】
ステップS22での実施の形態1または実施の形態2に係る洗浄方法により、発光面4と反射面6だけでなく、上面と下面も洗浄された発光バー2が得られる。
【0099】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法で製造する対象である半導体装置(以下、半導体装置Trとする)は、発光バー2であってもよいし、発光素子7であってもよいし、発光バー2や発光素子7を組み込んだモジュールや装置であってもよい。半導体装置Trが発光バーである場合には、ステップS22の後、必要に応じて、発光面4と反射面6に反射膜をコーティングするなどの処理をすることで、半導体装置Trとしての発光バー7が得られる。半導体装置Trが発光素子である場合には、発光バー2を図2の点線に沿った場所で分割することで、半導体装置Trとしての発光素子7が得られる。半導体装置Trが発光バー2や発光素子7を組み込んだモジュールや装置である場合には、ステップS22の後、発光バー2または発光バー2を分割して得られる発光素子7をモジュールや装置に組み込むことにより、半導体装置Trが得られる。
【0100】
<C-3.効果>
実施の形態1または実施の形態2に係る洗浄方法を用いることにより、発光バーの洗浄に適した洗浄装置および洗浄方法を用いた半導体装置の製造方法が提供される。
【0101】
なお、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 半導体ウエハ、2 発光バー、3 上面電極、4 発光面、5 下面電極、6 反射面、7 発光素子、8,11 吹付けノズル、9 保持具、10,12,13 吸気部、20 気流発生部、100,101 洗浄装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15