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特許7617782情報表示システム、ターミナル及び情報表示方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-09
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】情報表示システム、ターミナル及び情報表示方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20250110BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20250110BHJP
   G01K 13/20 20210101ALI20250110BHJP
   G01K 1/024 20210101ALI20250110BHJP
   G01K 7/00 20060101ALI20250110BHJP
   G01J 5/48 20220101ALI20250110BHJP
【FI】
A61B5/00 D
A61B5/01 100
G01K13/20 361D
G01K1/024
G01K7/00 301
G01J5/48 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021046362
(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公開番号】P2022145101
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】大橋 広孝
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-049063(JP,A)
【文献】特開平05-196508(JP,A)
【文献】特開昭58-178233(JP,A)
【文献】特開平08-122158(JP,A)
【文献】特開昭61-047529(JP,A)
【文献】登録実用新案第3229927(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0213325(US,A1)
【文献】特開平09-089677(JP,A)
【文献】実開昭58-187742(JP,U)
【文献】中国実用新案第200951077(CN,Y)
【文献】特開2010-210524(JP,A)
【文献】特開平07-103829(JP,A)
【文献】中国実用新案第2663959(CN,Y)
【文献】特開2010-236914(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0202127(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/01
G01K 1/00 - 19/00
G01J 5/00 - 5/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体温を測定する体温計と、
複数の発光態様で発光可能な発光部と、制御部と、を備えるターミナルと、
を備える情報表示システムであって、
前記制御部は、
前記体温計により測定された体温に基づいて、所定の発光色で前記発光部を発光させ、
前記体温が前記体温計により測定された時点から、あるいは、前記ターミナルが前記体温計により測定された前記体温の情報を取得した時点からの経過時間に応じて、前記発光部における発光態様を変更する、
情報表示システム。
【請求項2】
前記発光態様は、点滅パターン及び照度のいずれかを含む、請求項1に記載の情報表示システム。
【請求項3】
前記発光態様は照度であり、
前記制御部は、経過時間が長いほど前記照度が低くなるように、前記発光部を発光させる、
請求項2に記載の情報表示システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記体温計により測定された体温が第1体温閾値未満の場合、第1発光色で前記発光部を発光させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の情報表示システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記体温計により測定された体温が前記第1体温閾値よりも高い第2体温閾値以上の場合、第2発光色で前記発光部を発光させ、前記体温計により測定された体温が前記第1体温閾値以上かつ前記第2体温閾値未満の場合、第3発光色で前記発光部を発光させる、請求項4に記載の情報表示システム。
【請求項6】
前記ターミナルは、周囲の温度を検知する温度検知部をさらに備え、
前記制御部は、前記温度検知部により、体温が第3体温閾値以上であるユーザが検出された場合、第4発光色で前記発光部を発光させる、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報表示システム。
【請求項7】
前記温度検知部は、サーモグラフィにより構成される、請求項6に記載の情報表示システム。
【請求項8】
前記ターミナルは、前記温度検知部により前記体温が第3体温閾値以上であるユーザが検出された場合、前記体温が第3体温閾値以上であるユーザがいる方向を指し示す方向指示部をさらに備える、請求項6又は7に記載の情報表示システム。
【請求項9】
前記体温計は、前記ターミナルに挿脱可能に構成され、
前記ターミナルは、前記体温計が前記ターミナルに挿入された状態で、前記温度検知部による温度の検知を実行する、
請求項6から8のいずれか一項に記載の情報表示システム。
【請求項10】
前記ターミナルは、前記ターミナルに前記体温計が挿入された状態で、前記体温計を充電する充電部をさらに備える、請求項9に記載の情報表示システム。
【請求項11】
複数の発光態様で発光可能な発光部と、制御部と、を備えるターミナルであって、
前記制御部は、
体温計により測定された体温に基づいて、所定の発光色で前記発光部を発光させ、
前記体温が前記体温計により測定された時点から、あるいは、前記ターミナルが前記体温計により測定された前記体温の情報を取得した時点からの経過時間に応じて、前記発光部における発光態様を変更する、
ターミナル。
【請求項12】
複数の発光態様で発光可能な発光部を備えるターミナルが実行する情報表示方法であって、
体温計により測定された体温に基づいて、所定の発光色で前記発光部を発光させるステップと、
前記体温が前記体温計により測定された時点から、あるいは、前記ターミナルが前記体温計により測定された前記体温の情報を取得した時点からの経過時間に応じて、前記発光部における発光態様を変更するステップと、
を含む、情報表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報表示システム、ターミナル及び情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定者の体温を測定する装置と、当該装置を載置する載置台とにより構成されるシステムが知られている。例えば、特許文献1には、被測定者の体温を検出する体温センサを備える装置本体と、当該装置本体を載置可能な載置台とにより構成されるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-97075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された載置台は、装置本体が載置された状態において、装置本体のメモリに記憶された情報を外部に出力する機能を有する。装置本体を載置する載置台が、さらなる機能を有していれば、利用者にとって有用性が向上する。
【0005】
本開示の目的は、体温の測定に関する有用性を向上可能な情報表示システム、ターミナル及び情報表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様としての情報表示システムは、体温を測定する体温計と、複数の発光態様で発光可能な発光部と、制御部と、を備えるターミナルと、を備える情報表示システムであって、前記制御部は、前記体温計により測定された体温に基づいて、所定の発光色で前記発光部を発光させ、経過時間に応じて、前記発光部における発光態様を変更する。
【0007】
本開示の1つの実施形態としての情報表示システムにおいて、前記発光態様は、点滅パターン及び照度のいずれかを含む。
【0008】
本開示の1つの実施形態としての情報表示システムにおいて、前記発光態様は照度であり、前記制御部は、経過時間が長いほど前記照度が低くなるように、前記発光部を発光させる。
【0009】
本開示の1つの実施形態としての情報表示システムにおいて、前記制御部は、前記体温計により測定された体温が第1体温閾値未満の場合、第1発光色で前記発光部を発光させる。
【0010】
本開示の1つの実施形態としての情報表示システムにおいて、前記制御部は、前記体温計により測定された体温が前記第1体温閾値よりも高い第2体温閾値以上の場合、第2発光色で前記発光部を発光させ、前記体温計により測定された体温が前記第1体温閾値以上かつ前記第2体温閾値未満の場合、第3発光色で前記発光部を発光させる。
【0011】
本開示の1つの実施形態としての情報表示システムにおいて、前記ターミナルは、周囲の温度を検知する温度検知部をさらに備え、前記制御部は、前記温度検知部により、体温が第3体温閾値以上であるユーザが検出された場合、第4発光色で前記発光部を発光させる。
【0012】
本開示の1つの実施形態としての情報表示システムにおいて、前記温度検知部は、サーモグラフィにより構成される。
【0013】
本開示の1つの実施形態としての情報表示システムにおいて、前記ターミナルは、前記温度検知部により前記体温が第3体温閾値以上であるユーザが検出された場合、前記体温が第3体温閾値以上であるユーザがいる方向を指し示す方向指示部をさらに備える。
【0014】
本開示の1つの実施形態としての情報表示システムにおいて、前記体温計は、前記ターミナルに挿脱可能に構成され、前記ターミナルは、前記体温計が前記ターミナルに挿入された状態で、前記温度検知部による温度の検知を実行する。
【0015】
本開示の1つの実施形態としての情報表示システムにおいて、前記ターミナルは、前記ターミナルに前記体温計が挿入された状態で、前記体温計を充電する充電部をさらに備える。
【0016】
本開示の第2の態様としてのターミナルは、複数の発光態様で発光可能な発光部と、制御部と、を備えるターミナルであって、前記制御部は、体温計により測定された体温に基づいて、所定の発光色で前記発光部を発光させ、経過時間に応じて、前記発光部における発光態様を変更する。
【0017】
本開示の第3の態様としての情報表示方法は、複数の発光態様で発光可能な発光部を備えるターミナルが実行する情報表示方法であって、体温計により測定された体温に基づいて、所定の発光色で前記発光部を発光させるステップと、経過時間に応じて、前記発光部における発光態様を変更するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、体温の測定に関する有用性を向上可能な情報表示システム、ターミナル及び情報表示方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態に係る情報表示システムの概略構成を示す機能ブロック図である。
図2図1のターミナルの外観斜視図である。
図3A図1のターミナルの正面図である。
図3B図1のターミナルの背面図である。
図3C図1のターミナルの左側面図である。
図3D図1のターミナルの右側面図である。
図3E図1のターミナルの平面図である。
図3F図1のターミナルの底面図である。
図4図1の体温計の外観斜視図である。
図5A図1の体温計の正面図である。
図5B図1の体温計の背面図である。
図5C図1の体温計の左側面図である。
図5D図1の体温計の右側面図である。
図5E図1の体温計の平面図である。
図5F図1の体温計の底面図である。
図6】体温計がターミナルに挿入された状態の一例を示す図である。
図7】体温計のポップアップ状態の一例を示す図である。
図8】発熱検知モードにおいて図1のターミナル制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図9】体温測定モードにおいて図1のターミナル制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図10】体温測定モードにおいて図1のターミナル制御部が実行する処理の他の一例を示すフローチャートである。
図11】体温測定モードにおいて図1のターミナル制御部が実行する他の処理の一例を示すフローチャートである。
図12図1の体温計制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示に係る情報表示システム、ターミナル及び情報表示方法の実施形態について図面を参照しながら説明する。各図において共通する部材には同一の符号を付している。
【0021】
図1は、一実施形態に係る情報表示システム10の概略構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、情報表示システム10は、ターミナル100と、体温計200とを備える。情報表示システム10は、クラウド300をさらに備えていてもよい。
【0022】
体温計200は、被測定者の体温を測定する。すなわち、体温計200は、体温測定機能を有する。本明細書において、被測定者は、体温計200を用いて体温を測定するユーザをいう。本実施形態に係る体温計200は、充電式であってよい。つまり、本実施形態に係る体温計200は、充電により繰り返し使用可能である。ただし、体温計200は、必ずしも充電式でなくてもよく、公知の方式で電力が供給されるものであればよい。
【0023】
体温計200による体温測定機能は、公知の体温測定機能であってよい。例えば、体温計200は、被測定者が体温計200を腋に挟んだ状態で、被測定者の体温を測定するように構成されていてよい。体温計200は、測定した体温の情報を、体温計200が備える体温計記憶部202又は外部の記憶媒体に格納してよい。外部の記憶媒体は、例えばクラウド300である。ただし、外部の記憶媒体は、クラウド300ではなく、例えばサーバ装置などのコンピュータ装置であってもよい。
【0024】
ターミナル100は、詳細については後述するが、発光部109を備え、体温計200により測定された体温に基づいて、所定の発光色で発光部109を発光させる。また、ターミナル100は、経過時間に応じて、発光部109における発光態様を変更する。ターミナル100は、例えば、体温の情報を体温計200から直接取得してもよく、体温の情報が記憶された外部の記憶媒体(例えばクラウド300)から体温の情報を取得してもよい。
【0025】
図2は、図1のターミナル100の外観斜視図である。図2に示すように、本実施形態におけるターミナル100は、略円柱形状を有する。ターミナル100は、上面100aに入力部106を備える。また、ターミナル100は、側面全体にわたって、発光部109を備える。入力部106及び発光部109の詳細については、後述する。ターミナル100の使用時には、上面100aに対向する底面100bが載置面と接触するように、ターミナル100が載置面上に載置される。
【0026】
図3Aから図3Fは、図1のターミナル100の六面図である。具体的には、図3Aはターミナル100の正面図であり、図3Bはターミナル100の背面図であり、図3Cはターミナル100の左側面図であり、図3Dはターミナル100の右側面図であり、図3Eはターミナル100の平面図(上面図)であり、図3Fはターミナル100の底面図である。
【0027】
ターミナル100は、図3Bに示すように、背面側に、発光部109の一部が切り欠かれた切り欠き100cを有する。すなわち、本明細書において、ターミナル100の側面のうち、切り欠き100cが設けられた面を、背面とする。また、ターミナル100において、背面に対向する面を正面とする。さらに、正面に対して左側から見た場合に見える面を左側面とし、正面に対して右側から見た場合に見える面を右側面とする。
【0028】
ターミナル100は、図3Bに示すように、背面視において、コネクタ120を備える。コネクタ120は、ターミナル100に対して外部電源から電力を供給するケーブルを接続するためのコネクタである。すなわち、ターミナル100には、ケーブルを介して、外部電源から電力が供給され、供給された電力で動作する。
【0029】
ターミナル100は、上面100aに、方向指示部110を備える。方向指示部110は、ターミナル100の位置に対して、周囲の特定の方向を指し示す機構である。本実施形態では、図3Eに示すように、方向指示部110は、上面100aにリング状に配置されており、ターミナル100の周囲の全方向(360度)を指し示すことが可能に構成されている。方向指示部110のさらなる詳細については、後述する。
【0030】
図2及び図3Eに示すように、ターミナル100は、体温計200を挿入するための、有底の挿入孔130を有する。本実施形態において、挿入孔130は、体温計200の全体を挿入可能な大きさ及び形状で形成されている。
【0031】
なお、図2及び図3Aから図3Fで示したターミナル100の形状は一例にすぎない。ターミナル100は、本明細書で説明するターミナル100の機能を発揮することができる、他の任意の形状に構成されていてよい。
【0032】
図4は、図1の体温計200の外観斜視図である。図4に示すように、本実施形態における体温計200は、扁平な棒状を有する。体温計200は、正面に表示部207を備える。すなわち、本明細書において、体温計200の表示部207が設けられている面を、体温計200の正面とする。体温計200の正面視における体温計200の長手方向を上下方向、短手方向を左右方向とする。
【0033】
図5Aから図5Fは、図1の体温計200の六面図である。具体的には、図5Aは体温計200の正面図であり、図5Bは体温計200の背面図であり、図5Cは体温計200の左側面図であり、図5Dは体温計200の右側面図であり、図5Eは体温計200の平面図(上面図)であり、図5Fは体温計200の底面図である。
【0034】
体温計200において、正面に対向する面を背面とする。本実施形態では、体温計200の正面視における上下方向の端部のうち、表示部207により近い側の端部を上側、表示部207からより遠い側の端部を下側とする。また、正面に対して左側から見た場合に見える面を左側面とし、正面に対して右側から見た場合に見える面を右側面とする。
【0035】
体温計200には、下端部に、被測定者の体温を検出するための測温部206が設けられている。被測定者は、体温計200の下端側を腋に挟むようにして、体温を測定する。これにより、体温計200の下端部に設けられた測温部206が被測定者の体温を検知し、体温計200による体温の測定が行われる。なお、測温部206の詳細については、後述する。
【0036】
体温計200は、ターミナル100の挿入孔130に挿脱可能である。体温計200は、下端部側から挿入孔130に挿入される。ターミナル100は、体温計200を、プルダウン状態で挿入孔130に保持する。プルダウン状態は、体温計200が深くターミナル100の挿入孔130に挿入された状態である。図6は、体温計200がターミナル100に挿入された状態の一例を示す図であり、本実施形態における、体温計200のプルダウン状態を示す図である。本実施形態では、プルダウン状態において、体温計200は、その全体がターミナル100の挿入孔130に挿入されており、図6に示すように、体温計200の上端がわずかに見えている。体温計200がターミナル100の挿入孔130に挿入されている場合、体温計200は、図6に示すようなプルダウン状態となっている。
【0037】
ターミナル100は、所定の条件が満たされた場合に、挿入孔130に挿入されているプルダウン状態の体温計200を、ポップアップ状態にする。ポップアップ状態は、体温計200のターミナル100の挿入孔130に対する挿入の程度が、プルダウン状態よりも浅い状態である。図7は、体温計200のポップアップ状態の一例を示す図であり、本実施形態における体温計200のポップアップ状態を示す図である。ポップアップ状態において、図7に示すように、体温計200は、上端側が、ターミナル100の上面100aから上方向に突出している。ポップアップ状態で、被測定者は、体温計200をターミナル100から手で取り出すことができる。体温計200をプルダウン状態からポップアップ状態とするための所定の条件の詳細については、後述する。
【0038】
再び図1を参照して、ターミナル100及び体温計200が備える機能部について、詳細に説明する。本実施形態において、情報表示システム10は、2つの異なるモードで動作を行う。第1のモードは発熱検知モードであり、第2のモードは体温測定モードである。本実施形態では、情報表示システム10は、体温計200がターミナル100に挿入された状態で、発熱検知モードとなり、体温計200がターミナル100から取り出された状態で、体温検知モードとなる。
【0039】
図1に示すように、ターミナル100は、ターミナル制御部101と、ターミナル記憶部102と、ターミナルクロック部103と、ターミナル通信部104と、充電部105と、入力部106と、ポップアップ・プルダウン機構107と、温度検知部108と、発光部109と、方向指示部110と、ターミナル報知部111と、を備える。
【0040】
ターミナル制御部101は、ターミナル100の各機能部をはじめとして、ターミナル100の全体を制御及び管理する。ターミナル制御部101は、少なくとも1つのプロセッサを含んで構成される。ターミナル制御部101は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ又は各機能の処理に特化した専用のプロセッサで構成される。
【0041】
ターミナル制御部101は、体温計200により測定された体温に基づいて、所定の発光色で発光部109を発光させる。また、ターミナル制御部101は、経過時間に応じて、発光部109における発光態様を変更する。ターミナル制御部101が実行する処理の詳細については、後述する。
【0042】
ターミナル記憶部102は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成することができる。ターミナル記憶部102は、例えば、各種情報及びターミナル100を動作させるためのプログラム等を記憶する。ターミナル記憶部102は、ワークメモリとしても機能してもよい。
【0043】
ターミナル記憶部102は、例えば、発光部109の発光色を決定するための基準となる体温の閾値を記憶する。本実施形態では、ターミナル記憶部102は、発光部109の発光色を決定するための基準となる体温の閾値として、第1体温閾値、第2体温閾値及び第3体温閾値を記憶する。これらの体温の閾値の詳細については、後述する。
【0044】
ターミナルクロック部103は、時間を測定する。ターミナルクロック部103は、任意の公知の方法で時間を測定してよい。ターミナルクロック部103は、例えば、リアルタイムクロック(RTC)を用いて構成されていてよい。
【0045】
ターミナル通信部104は、ターミナル制御部101の制御に基づき、外部と情報通信を行う。ターミナル通信部104は、例えば、体温計200又はクラウド300と無線通信を行う。ターミナル通信部104は、体温計200又はクラウド300以外の外部の装置と通信可能に構成されていてもよい。また、ターミナル通信部104は、有線通信可能に構成されていてもよい。本実施形態では、ターミナル通信部104は、クラウド300と無線通信を行うとして、以下説明する。本実施形態では、ターミナル通信部104は、クラウド300から、温度計200が測定した温度の情報を取得する。
【0046】
充電部105は、ターミナル100に体温計200が挿入された状態で、接触又は非接触で体温計200に電力を供給することにより、体温計200を充電する。すなわち、充電部105は、発熱検知モードにおいて、体温計200を充電する。充電部105は、公知の方法により体温計200を充電できる。充電部105は、例えば、電磁誘導方式により非接触で体温計200を充電してよい。充電部105は、例えばポゴピンを含んで構成されており、当該ポゴピンに体温計200の端子が接触することにより、体温計200を充電してもよい。
【0047】
入力部106は、情報表示システム10のユーザからの操作入力を受け付ける。入力部106は、例えば図2及び図3Eに一例として示すように、操作ボタンにより構成されていてよい。本実施形態では、入力部106は、ターミナル100の電源のオンオフを操作するボタンとして構成されている。ただし、入力部106の態様はこれに限られない。入力部106は、例えば操作キーにより構成されていてもよい。また、入力部106は、例えばタッチスクリーンにより構成されていてもよい。ターミナル制御部101は、入力部106に入力された操作に基づき、処理を実行する。
【0048】
ポップアップ・プルダウン機構107は、体温計200のポップアップ状態とプルダウン状態とを切り替える機構である。ポップアップ・プルダウン機構107は、ターミナル制御部101の制御に基づき、体温計200のポップアップ状態とプルダウン状態とを切り替える。
【0049】
ポップアップ・プルダウン機構107は、例えば、ターミナル100の挿入孔130の底部に設けられる。例えばプルダウン状態において、ポップアップ・プルダウン機構107は、挿入孔130の底部を、予め定められた最下部まで押し下げた状態とする。これにより、体温計200が挿入孔130に挿入された状態で、体温計200がプルダウン状態の位置で、ターミナル100に保持される。一方、例えばポップアップ状態において、ポップアップ・プルダウン機構107は、挿入孔130の底部を、予め定められた位置まで押し上げた状態とする。これにより、例えば図7に示すように、体温計200が、ターミナル100の上面100aから突出した状態となり、被測定者が体温計200をターミナル100から取り出すことができる。
【0050】
温度検知部108は、ターミナル100の周囲の温度を検知する。温度検知部108は、特に、ターミナル100の周囲にいるユーザ(人)の温度を検知する。本明細書において、ユーザは、ターミナル100の温度検知部108により温度を検知される人をいう。温度検知部108は、公知の方法でターミナル100の周囲の温度を検知してよい。温度検知部108は、例えばサーモグラフィにより構成され、ターミナル100の周囲にいるユーザの温度を検知する。温度検知部108が検知可能なターミナル100の周囲の範囲は、ターミナル100又は温度検知部108の仕様などに基づいて適宜定められていてよく、例えばターミナル100から数メートルの範囲であってよい。また、本実施形態において、温度検知部108は、ターミナル100の周囲の全方向について、温度を検知可能に構成されている。ただし、ターミナル100の使用態様によっては、温度検知部108は、必ずしもターミナル100の周囲の全方向について、温度を検知可能に構成されていなくてもよい。この場合、周囲の少なくとも一部の方向について、温度を検知可能に構成されていてもよい。
【0051】
本実施形態において、温度検知部108は、情報表示システム10が発熱検知モードである場合に、ターミナル100の周囲の温度を検知する。すなわち、本実施形態において、体温計200がターミナル100に挿入されている場合に、温度検知部108は、ターミナル100の周囲の温度を検知する。
【0052】
発光部109は、ターミナル制御部101の制御に基づいて発光する。発光部109は、公知の発光機構を備える。発光部109は、例えば、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)又はLD(Laser Diode:レーザダイオード)等の光を出射する発光素子を含んで構成される。図2を参照して説明したように、発光部109は、ターミナル100の側面全体にわたって設けられている。
【0053】
ターミナル制御部101は、発光部109の発光色を変更することができる。つまり、発光部109は、異なる発光色で発光可能に構成されている。また、ターミナル制御部101は、発光部109の発光態様を変更することができる。つまり、発光部109は、複数の発光態様で発光可能である。発光態様は、点滅パターン及び照度のいずれかを含んでよい。本実施形態では、発光態様が照度であるとして説明する。すなわち、本実施形態では、ターミナル制御部101の制御により、発光部109の照度が変化する。
【0054】
方向指示部110は、温度検知部108により、体温が所定値以上のユーザが検出された場合、当該ユーザがいる方向を指し示す。ここでの所定値は、後述する第3体温閾値である。方向指示部110は、情報表示システム10が発熱検知モードである場合に、体温が第3体温閾値以上のユーザがいる方向を指し示す。つまり、方向指示部110は、体温計200がターミナル100に挿入されている場合に、体温が第3体温閾値以上のユーザがいる方向を指し示す。
【0055】
図3Eを参照して説明したように、本実施形態では、図3Eに示すように、方向指示部110は、上面100aにリング状に配置されており、ターミナル100の周囲の全方向を指し示すことが可能に構成されている。本実施形態に係る方向指示部110は、発光により、ターミナル100の周囲の全方向を指し示すことが可能に構成されている。具体的には、本実施形態に係る方向指示部110は、リング状の方向指示部110のうち、例えば図7に示すように特定の方向のみを発光させることによって、当該発光させた方向を指し示す。つまり、ターミナル100の上面視におけるリング状の方向指示部110の中心を基準として、リング状の方向指示部110のうち体温が第3体温閾値以上のユーザがいる方向を発光させることにより、体温が第3体温閾値以上のユーザがいる方向を指し示すことができる。
【0056】
ターミナル報知部111は、ユーザに情報を報知する。ターミナル報知部111は、音、振動又は画像等により情報を報知可能であってよい。ターミナル報知部111は、例えばスピーカを含んで構成され、音により情報を報知してよい。ターミナル報知部111は、例えば振動子を含んで構成され、振動により情報を報知してもよい。ターミナル報知部111は、ディスプレイを含んで構成されていてもよい。この場合、ディスプレイがターミナル報知部111としても機能し、画像を表示することにより情報を報知してもよい。ターミナル報知部111は、例えば体温計200により測定された体温の情報をターミナル報知部111から報知してよい。なお、ターミナル100は、必ずしもターミナル報知部111を備えていなくてもよい。
【0057】
体温計200は、体温計制御部201と、体温計記憶部202と、体温計クロック部203と、体温計通信部204と、バッテリ205と、測温部206と、表示部207と、体温計報知部208と、を備える。
【0058】
体温計制御部201は、体温計200の各機能部をはじめとして、体温計200の全体を制御及び管理する。体温計制御部201は、少なくとも1つのプロセッサを含んで構成される。体温計制御部201は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU等のプロセッサ又は各機能の処理に特化した専用のプロセッサで構成される。
【0059】
体温計制御部201は、測温部206で検出される温度に基づいて被測定者の体温の測定処理を実行する。体温計制御部201は、情報表示システム10が体温測定モードである場合に、体温の測定処理を実行してよい。つまり、体温計制御部201は、体温計200がターミナル100から取り出された状態にある場合に、体温の測定処理を実行してよい。体温計制御部201が実行する体温の測定処理は、公知の処理であってよい。
【0060】
体温計制御部201は、例えば所定の条件が満たされた場合に体温の測定処理を開始してよい。所定の条件は、従来公知の電子体温計と同様であってよい。例えば、体温計制御部201は、測温部206における所定の温度上昇を検出した場合に、所定の条件が満たされたと判定し、体温の測定処理を開始する。体温計制御部201は、例えば測温部206から取得した温度が、予め設定された時間内に所定温度以上上昇した場合に、所定の温度上昇を検出したと判定することができる。所定の条件は、体温計200に対して所定の入力操作が行われることであってもよい。
【0061】
体温計制御部201は、例えば、予測の検温又は実測の検温により、被測定者の体温を測定することができる。予測の検温を行う場合、体温計制御部201は、被測定者の体温の予測が成立した場合に、体温の測定処理を終了する。被測定者の体温の予測が成立した場合とは、被測定者の体温を所定以上の精度で予測できたと判定した場合をいい、具体的には、従来公知の予測検温の方法を用いることができる。実測の検温を行う場合、体温計制御部201は、体温の測定処理の開始から所定時間(例えば4分)が経過した後に温度低下が見られた場合に、体温の測定処理を終了する。この場合、体温の測定結果は、体温の測定処理の開始から所定時間の間に体温計制御部201が観測した最高温度である。あるいは、体温計制御部201は、実測の検温において、測温部206から取得した温度が一定時間変化せず、平衡に達したと判定した場合に、体温の測定処理を終了してもよい。
【0062】
体温計記憶部202は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成することができる。体温計記憶部202は、例えば、各種情報及び体温計200を動作させるためのプログラム等を記憶する。体温計記憶部202は、ワークメモリとしても機能してもよい。
【0063】
体温計制御部201は、例えば体温の測定処理の結果としての被測定者の体温の情報を、体温計記憶部202に記憶してもよい。
【0064】
体温計クロック部203は、時間を測定する。体温計クロック部203は、任意の公知の方法で時間を測定してよい。体温計クロック部203は、例えば、リアルタイムクロック(RTC)を用いて構成されていてよい。体温計クロック部203は、体温の測定処理を開始してからの時間を計測してもよい。
【0065】
体温計通信部204は、体温計制御部201の制御に基づき、外部と情報通信を行う。体温計通信部204は、例えば、ターミナル100又はクラウド300と無線通信を行う。体温計通信部204は、ターミナル100又はクラウド300以外の外部の装置と通信可能に構成されていてもよい。また、体温計通信部204は、有線通信可能に構成されていてもよい。本実施形態では、体温計通信部204は、クラウド300と無線通信を行うとして、以下説明する。本実施形態では、体温計通信部204は、温度計200が測定した温度の情報を、クラウド300に送信する。
【0066】
バッテリ205は、体温計200を駆動するための電力を供給可能な電池である。本実施形態において、バッテリ205は、充放電が可能な二次電池により構成されている。ただし、バッテリ205は、必ずしも二次電池により構成されていなくてもよく、体温計200を駆動するための電力を供給可能な任意の電池により構成されていてよい。バッテリ205は、例えば情報表示システム10が発熱検知モードである場合に、ターミナル100の充電部105により充電される。
【0067】
測温部206は、温度を検出する。測温部206は、温度を検出する温度センサを含んで構成される。測温部206は、公知の電子温度計における測温部と同様の構成を有していてよい。測温部206は、検出した温度の情報を体温計制御部201に出力する。体温計制御部201は、測温部206から出力された温度の情報に基づいて、被測定者の体温を測定する。
【0068】
表示部207は、体温計制御部201による制御に基づき、各種情報を表示する。表示部207は、情報を表示可能な表示デバイスを含んで構成されている。表示デバイスは、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro-Luminescence Display)、又は無機ELディスプレイ(IELD:Inorganic Electro-Luminescence Display)等とすることができる。表示部207は、例えば、体温計200による被測定者の体温の測定結果を表示する。
【0069】
体温計報知部208は、ユーザに情報を報知する。体温計報知部208は、音、振動又は画像等により情報を報知可能であってよい。体温計報知部208は、例えばスピーカを含んで構成され、音により情報を報知してよい。体温計報知部208は、例えば振動子を含んで構成され、振動により情報を報知してもよい。体温計報知部208は、例えば表示部207と一体として構成されていてもよい。この場合、表示部207が体温計報知部208としても機能し、画像を表示することにより情報を報知してもよい。体温計報知部208は、例えば体温計制御部201による体温の測定処理が終了した際に、体温の測定処理が終了したことを報知してよい。
【0070】
次に、情報表示システム10により実行される情報表示方法の詳細について説明する。情報表示方法は、体温計200がターミナル100に挿入された状態で開始される。すなわち、情報表示方法の開始時点において、情報表示システム10は、発熱検知モードである。このとき、体温計200は、図6に示すように、プルダウン状態で挿入孔130に挿入されている。本実施形態では、このとき、方向指示部110は消灯した状態である。
【0071】
発熱検知モードにおいて、ターミナル100は、温度検知部108により、ターミナル100の周囲にいるユーザの温度を検知する。ターミナル100は、体温が所定値(第3体温閾値)以上のユーザが検出されていない場合、所定の発光色で発光部109を発光させる。この場合の所定の発光色を、本明細書では第5発光色という。第5発光色は、適宜定められてよい。本実施形態では、第5発光色は緑色であるとする。また、第3体温閾値は、ユーザの体温が平熱であるか否かを判定可能な体温の閾値である。第3体温閾値は、適宜定められてよく、本実施形態では、例えば37.0度であるとして、以下説明する。
【0072】
発熱検知モードにおいて、ターミナル100が、体温が第3体温閾値以上のユーザが検出されていない場合に発光部109を緑色に発光させることにより、発光部109の発光色が緑色であることを確認したユーザは、ターミナル100の周囲のユーザの体温が平熱であると認識することができる。
【0073】
発熱検知モードにおいて、温度検知部108により、体温が第3体温閾値以上のユーザが検出された場合、ターミナル100は、所定の発光色で発光部109を発光させる。この場合の所定の発光色を、本明細書では第4発光色という。第4発光色は、第5発光色とは異なる発光色で、適宜定められてよい。本実施形態では、第4発光色は赤色であるとする。発熱検知モードにおいて、ターミナル100が、体温が第3体温閾値以上のユーザが検出された場合に発光部109を赤色に発光させることにより、発光部109の発光色が赤色であることを確認したユーザは、体温が平熱でないユーザがいる可能性があることを認識することができる。
【0074】
発熱検知モードにおいて、温度検知部108により、体温が第3体温閾値以上のユーザが検出された場合、ターミナル100は、方向指示部110により、体温が第3体温閾値以上のユーザがいる方向を指し示す。これにより、ユーザは、ターミナル100の周囲に複数のユーザがいる場合に、体温が第3体温閾値以上であると検出されたユーザがいる方向を特定できる。
【0075】
発熱検知モードにおいて、温度検知部108により、体温が第3体温閾値以上のユーザが検出された場合、ターミナル100は、ポップアップ・プルダウン機構107により、図7に示すように、体温計200をポップアップ状態にする。これにより、ユーザは、ターミナル100から体温計200を取り出すことが可能になる。
【0076】
発熱検知モードにおいて、温度検知部108により、体温が第3体温閾値以上のユーザが検出された場合、ターミナル100は、ターミナル報知部111から、体温が第3体温閾値以上のユーザが検出されたことを報知してよい。例えば、ターミナル100は、音により報知を行ってよい。これにより、体温が第3体温閾値以上のユーザが検出されたことを、ユーザが気付きやすくなる。
【0077】
ターミナル100の発光部109が第4発光色(赤色)で発光し、体温計200がポップアップ状態になると、体温が第3体温閾値以上であると検出されたユーザは、体温計200をターミナル100から取り出して、体温計200で体温を測定する。すなわち、体温が第3体温閾値以上であると検出されたユーザは、被測定者として体温計200により体温を測定する。このとき、被測定者は、ターミナル100がある場所から離れた場所で体温を測定してもよい。例えば、被測定者は、ターミナル100が置いてある部屋とは別の部屋に移動して、当該別の部屋で体温を測定してもよい。これにより、例えば、被測定者が感染症に罹患していた場合に、より早期に他のユーザから隔離することができ、他のユーザへの感染を防止しやすくなる。
【0078】
ターミナル100から体温計200が取り出されると、情報表示システム10は、体温測定モードになる。ターミナル100は、例えば図示しないセンサなどにより、体温計200がターミナル100の挿入孔130から取り出されたことを検出してよい。体温測定モードになると、ターミナル100は、リング状の方向指示部110の全体を発光させてよい。これにより、方向指示部110の全体が発光していることを見たユーザは、情報表示システム10が体温測定モードであることを認識できる。なお、このときに発光している方向指示部110は、方向指示機能を有さず、情報表示システム10が体温測定モードであることを示す機構として機能する。
【0079】
体温測定モードにおいて、体温計200は、被測定者の体温を測定すると、測定した体温の情報をクラウド300に送信する。体温計200は、体温の測定が完了したときに、測定した体温の情報をクラウド300に送信してもよく、定期又は不定期の適宜のタイミングで、測定した体温の情報をクラウド300に送信してもよい。ただし、体温計200は、測定結果をリアルタイムで送信するために、体温の測定が完了したときに、測定した体温の情報をクラウド300に送信することが好ましい。
【0080】
体温測定モードにおいて、ターミナル100は、クラウド300から、体温計200が測定した体温の情報を取得する。ターミナル100は、クラウド300が体温の情報を受信したときに、体温の情報を取得してもよく、定期又は不定期の適宜のタイミングで、体温の情報をクラウド300から受信してもよい。ただし、ターミナル100は、測定結果をリアルタイムで受信するために、クラウド300が体温の情報を受信したときに、体温の情報を取得することが好ましい。
【0081】
なお、情報表示システム10がクラウド300を有さない場合には、体温計200は、クラウド300を介さずに、測定した体温の情報を、直接ターミナル100に送信してもよい。情報表示システム10では、体温計200が測定した体温の情報を、ターミナル100が取得できれば、その方法については特に限定されない。
【0082】
ターミナル100は、体温計200により測定された体温に基づいて、所定の発光色で発光部109を発光させる。本実施形態では、ターミナル100は、体温計200により測定された体温が第1体温閾値未満の場合に、第1発光色で発光部109を発光させる。また、本実施形態では、ターミナル100は、体温計200により測定された体温が第2体温閾値以上の場合、第2発光色で発光部109を発光させ、体温計200により測定された体温が第1体温閾値以上かつ第2体温閾値未満の場合、第3発光色で発光部109を発光させる。
【0083】
ここで、第2体温閾値は、第1体温閾値より高い。第1体温閾値は、ユーザの体温が平熱であるか否かを判定可能な体温の閾値である。第1体温閾値は、第3体温閾値と同じであってもよく、異なっていてもよい。本実施形態では、第1体温閾値は、第3体温閾値と同じであるとして、以下説明する。すなわち、本明細書において、第1体温閾値は、37.0度である。第2体温閾値は、ユーザの体温が微熱であるか否かを判定可能な体温の閾値である。第3体温閾値は、適宜定められてよく、本実施形態では、例えば37.5度であるとして、以下説明する。
【0084】
また、第1発光色、第2発光色及び第3発光色は、それぞれユーザが視覚により判別可能な異なる発光色である。第1発光色、第2発光色及び第3発光色は、適宜定められてよい。第1発光色は、第5発光色と同じであってもよく、異なっていてもよい。本実施形態では、第1発光色は、第5発光色と同じであるとして、以下説明する。すなわち、本明細書において、第1発光色は、緑色である。第2発光色又は第3発光色は、第4発光色と同じであってもよく、異なっていてもよい。本実施形態では、第2発光色は、第4発光色と同じであるとして、以下説明する。すなわち、本明細書において、第2発光色は、赤色である。また、本実施形態において、第3発光色は、黄色であるとして、以下説明する。
【0085】
体温測定モードにおいて、ターミナル100は、体温計200により測定された体温が第1体温閾値未満の場合、第1発光色である緑色で、発光部109を発光させる。体温測定モードにおいて、ターミナル100が、体温計200により測定された体温が第1体温閾値未満の場合に緑色で発光部109を発光させることにより、発光部109の発光色が緑色であることを確認したユーザは、被測定者の体温が平熱であると知ることができる。
【0086】
体温測定モードにおいて、ターミナル100は、体温計200により測定された体温が第1体温閾値以上かつ第2体温閾値未満の場合、第3発光色である黄色で、発光部109を発光させる。体温測定モードにおいて、ターミナル100が、体温計200により測定された体温が第1体温閾値以上かつ第2体温閾値未満の場合に黄色で発光部109を発光させることにより、発光部109の発光色が黄色であることを確認したユーザは、被測定者の体温が微熱であると知ることができる。
【0087】
体温測定モードにおいて、ターミナル100は、体温計200により測定された体温が第2体温閾値以上の場合、第2発光色である赤色で、発光部109を発光させる。体温測定モードにおいて、ターミナル100が、体温計200により測定された体温が第2体温閾値以上の場合に赤色で発光部109を発光させることにより、発光部109の発光色が赤色であることを確認したユーザは、被測定者の体温が37.5℃以上の高熱であると知ることができる。
【0088】
このようにして、ユーザは、ターミナル100の発光色を見ることにより、被測定者の体温の情報を得ることができる。しかも、被測定者が、ターミナル100が置いてある場所とは離れた場所にいる場合であっても、ユーザは、ターミナル100の発光色を見ることにより、被測定者の体温の情報を得ることができる。
【0089】
体温測定モードにおいて、ターミナル100は、経過時間に応じて、発光部109における発光態様を変更することができる。上述のように、本実施形態では、発光態様は照度である。従って、ターミナル100は、経過時間に応じて発光部109における発光の照度を変えることができる。本実施形態では、ターミナル100は、経過時間が長いほど照度が低くなるように、発光部109を発光させることができる。このとき、ターミナル100は、時間の経過に伴って、照度が段階的に低くなるように、発光部109を発光させることができる。
【0090】
ただし、ターミナル100は、他の方法で発光態様を変更してもよい。例えば、ターミナル100は、経過時間が長いほど照度が高くなるように発光部109を発光させてもよい。
【0091】
また、発光態様が発光パターンである場合には、ターミナル100は、経過時間に応じて発光パターンを変更することができる。例えば、ターミナル100は、経過時間が長いほど、発光部109における点滅の時間間隔が短くなるように又は長くなるように、発光部109を発光させることができる。発光態様の変更は、ここで示した例に限られず、ユーザが視覚により認識可能な任意の方法で行われてよい。
【0092】
なお、経過時間は、被測定者の体温に関連する所定の時点を基準(起点)として計測されてよい。例えば、経過時間は、被測定者の体温が体温計200により測定された時点を基準として計測されてよい。また、例えば、経過時間は、ターミナル100が、体温計200により測定された被測定者の体温の情報を取得した時点を基準として計測されてもよい。なお、被測定者が体温を測定しなおしたことにより、体温計200が新たな体温の測定を行った場合には、経過時間の計測を更新(リセット)してよい。例えば、被測定者が体温を計測しなおした場合、ターミナル100は、経過時間を、再度0から計測(カウント)してよい。
【0093】
このように、ターミナル100が経過時間に応じて発光部109における発光態様を変更することにより、ユーザは、発光部109における発光態様を見ることで、被測定者について測定された体温の情報が、どの程度前の情報であるかを知ることができる。例えば、経過時間に応じて発光部109の照度が低くなるように構成されている場合、ユーザは、発光部109の照度が低くなっていることを視認することにより、被測定者について測定された体温の情報が、所定時間以上経過していると認識することができる。また、例えば、一旦発光部109の照度が下がった後、再び照度が高くなっている場合には、被測定者が再度体温の測定を行い、経過時間の計測が更新されている、つまり、被測定者について測定された体温の情報が、ある程度新しいものであると認識することができる。
【0094】
図8から図11は、ターミナル制御部101が実行する処理の一例を示すフローチャートである。以下、図8から図11を参照しながら、情報表示システム10による情報表示方法において、ターミナル制御部101が実行する処理の詳細について説明する。
【0095】
図8は、発熱検知モードにおいて、ターミナル制御部101が実行する処理の一例を示すフローである。図8のフローの開始時点において、方向指示部110は消灯した状態である。また、図8のフローの開始時点において、ターミナル100は、電源がオフの状態である。
【0096】
まず、ターミナル制御部101は、ターミナル100の電源がオンの状態になったか否かを判定する(ステップS1)。ターミナル100は、ユーザが入力部106のボタンを操作することにより電源がオンの状態となる。すなわち、ターミナル制御部101は、ユーザが、電源をオンにするための所定の操作を入力部106に行った場合に、ターミナル100の電源をオンにし、ターミナル100の電源がオンの状態になったと判定する。
【0097】
ターミナル制御部101は、ターミナル100の電源がオンの状態になっていないと判定した場合(ステップS1のNo)、ターミナル100の電源がオンの状態になったと判定するまで、ステップS1を繰り返す。
【0098】
ターミナル制御部101は、ターミナル100の電源がオンの状態になったと判定した場合(ステップS1のYes)、体温計200が挿入孔130に挿入されているか否かを判定する(ステップS2)。ターミナル制御部101は、例えば図示しないセンサなどにより、体温計200がターミナル100の挿入孔130に挿入されているか否かを判定することができる。
【0099】
ターミナル制御部101は、体温計200が挿入孔130に挿入されていないと判定した場合(ステップS2のNo)、ターミナル報知部111から、体温計200が挿入されていないことを報知する(ステップS3)。そして、ステップS2に移行する。ステップS3における報知は、例えばアラーム音や発光により行ってよい。ステップS3における、体温計200が挿入されていないことの報知は、体温計200を挿入孔130に挿入することを促す内容を含んでよい。
【0100】
ターミナル制御部101は、体温計200が挿入孔130に挿入されていると判定した場合(ステップS2のYes)、温度検知部108を起動し、ターミナル100の周囲の温度の検知を開始する(ステップS4)。
【0101】
なお、体温計200が挿入孔130に挿入されている場合、ターミナル制御部101は、本明細書で説明する処理と並行して、充電部105から体温計200のバッテリ205を充電してよい。
【0102】
次に、ターミナル制御部101は、温度検知部108のサーモグラフィにより、体温が第3体温閾値以上であるユーザが検出されたか否かを判定する(ステップS5)。
【0103】
ターミナル制御部101は、体温が第3体温閾値以上であるユーザが検出されていないと判定した場合(ステップS5のNo)、発光部109を、第5発光色である緑色で発光させる(ステップS6)。
【0104】
また、ターミナル制御部101は、体温計取出しボタンが押されたか否かを判定する(ステップS7)。体温計取出しボタンは、ターミナル100に設けられるボタンであり、ユーザが、体温計200をターミナル100から取り出すことを希望する際に押されるボタンである。体温計取出しボタンが押されると、ターミナル制御部101は、体温計200をポップアップ状態にし、ターミナル100から取り出し可能にする。例えば、ユーザは、体温が第3体温閾値以上であるユーザが検出されておらず、体温計200がポップアップ状態となっていないが、自主的に体温計200を用いて、被測定者として体温の測定を行うことを希望する場合に、体温計取出しボタンを押す。体温計取出しボタンの機能を、電源をオンオフする入力部106が兼ねてもよく、電源をオンオフする操作入力とは異なる操作入力を入力部に行うことで体温計200を取り出すことができる。
【0105】
なお、ターミナル100は、このようにユーザの操作入力に基づく体温計の取り出し機能を有していなくてもよい。この場合、体温計取出しボタンが設けられていなくてよい。この場合、ターミナル制御部101は、ステップS7からS10を実行しなくてよい。ここでは、ターミナル100が体温計取出しボタンを備えるとして説明する。
【0106】
ターミナル制御部101は、体温計取出しボタンが押されていないと判定した場合(ステップS7のNo)、ステップS5に移行する。
【0107】
ターミナル制御部101は、体温計取出しボタンが押されたと判定した場合(ステップS7のYes)、ポップアップ・プルダウン機構107により、体温計200をポップアップ状態にする(ステップS8)。これにより、ユーザは、ポップアップ状態の体温計200を、ターミナル100から取り出すことができる。
【0108】
また、ターミナル制御部101は、温度検知部108のサーモグラフィによる温度の検出を停止する(ステップS9)。
【0109】
ターミナル制御部101は、体温計200がターミナル100の挿入孔130から取り出されたか否かを判定する(ステップS10)。ターミナル制御部101は、例えば上述した図示しないセンサなどにより、体温計200がターミナル100の挿入孔130から取り出されたか否かを判定することができる。
【0110】
ターミナル制御部101は、体温計200が取り出されていないと判定した場合(ステップS10のNo)、体温計200が取り出されたと判定するまで、ステップS10を繰り返す。ここで、ターミナル制御部101は、体温計200をポップアップ状態にしてから所定時間が経過しても体温計200が取り出されていないと判定した場合、体温計200を取り出すように促す報知を、ターミナル報知部111から出力してもよい。あるいは、ターミナル制御部101は、体温計200をポップアップ状態にしてから所定時間が経過しても体温計200が取り出されていないと判定した場合、体温計200をプルダウン状態とし、ステップS4に移行してもよい。
【0111】
ターミナル制御部101は、体温計200が取り出されたと判定した場合(ステップS10のYes)、体温測定モードとなり、後述するステップS21(図9参照)に移行する。
【0112】
一方、ステップS5において、ターミナル制御部101は、体温が第3体温閾値以上であるユーザが検出されたと判定した場合(ステップS5のYes)、ターミナル報知部111から、体温が第3体温閾値以上のユーザが検出されたことを報知する(ステップS11)。
【0113】
また、ターミナル制御部101は、第4発光色である赤色で発光部109を発光させる(ステップS12)。
【0114】
また、ターミナル制御部101は、方向指示部110により、体温が第3体温閾値以上のユーザがいる方向を指し示す(ステップS13)。
【0115】
また、ターミナル制御部101は、ポップアップ・プルダウン機構107により、体温計200をポップアップ状態にする(ステップS14)。
【0116】
ターミナル制御部101は、ステップS11からステップS14を同時に実行してよい。
【0117】
そして、ターミナル制御部101は、体温計200がターミナル100の挿入孔130から取り出されたか否かを判定する(ステップS15)。ステップS15における処理は、ステップS10と同じである。
【0118】
ターミナル制御部101は、体温計200が取り出されていないと判定した場合(ステップS15のNo)、体温計200が取り出されたと判定するまで、ステップS15を繰り返す。ここでも、ターミナル制御部101は、体温計200をポップアップ状態にしてから所定時間が経過しても体温計200が取り出されていないと判定した場合、体温計200を取り出すように促す報知を、ターミナル報知部111から出力してもよい。
【0119】
ターミナル制御部101は、体温計200が取り出されたと判定した場合(ステップS15のYes)、温度検知部108のサーモグラフィによる温度の検出を停止する(ステップS16)。
【0120】
また、ターミナル制御部101は、ターミナル報知部111からの報知を停止する(ステップS17)。
【0121】
また、ターミナル制御部101は、方向指示部110による方向の指示を停止する(ステップS18)。
【0122】
ターミナル制御部101は、ステップS16からステップS18を同時に実行してよい。そして、ターミナル制御部101は、体温測定モードとなり、後述するステップS21(図9参照)に移行する。
【0123】
なお、取り出された体温計200は、この後、体温が第3体温閾値以上であると判定されたユーザが用い、被測定者として体温を測定する。
【0124】
図9は、体温測定モードにおいて、ターミナル制御部101が実行する処理の一例を示すフローである。
【0125】
ターミナル制御部101は、リング状の方向指示部110の全体を発光させる(ステップS21)。ステップS21は、情報表示システム10が体温測定モードであることを通知するために実行されるものである。従って、ステップS21において、必ずしも方向指示部110が発光されなくてもよい。例えば、ターミナル制御部101は、図示しない、モードを通知可能なモード通知機構を備え、ステップS21において、モード通知機構により、体温測定モードであることを通知してよい。モード通知機構は、ユーザが認識可能な任意の機構として構成されていてよく、例えば発光によりモードを通知する機構として構成されていてよい。
【0126】
なお、このとき、ターミナル制御部101は、発熱検知モードにおいて発光された状態のままの発光部109の発光を停止、すなわち消灯してもよい。被測定者が体温の測定を行うまでの間発光部109を消灯することで、ユーザは、体温測定モードの最初の被測定者の体温の測定を認識しやすくなる。
【0127】
体温測定モードにおいて、被測定者は、体温計200を用いて体温を測定する。測定された体温の情報は、例えばクラウド300を経由してターミナル100により取得される。
【0128】
ターミナル制御部101は、体温計200が測定した体温の情報を取得したか否かを判定する(ステップS22)。
【0129】
ターミナル制御部101は、体温計200が測定した体温の情報を取得していないと判定した場合(ステップS22のNo)、体温計200が測定した体温の情報を取得したと判定するまで、ステップS22を繰り返す。
【0130】
ターミナル制御部101は、体温計200が測定した体温の情報を取得したと判定した場合(ステップS22のYes)、体温計200が測定した体温が、第1体温閾値未満であるか否かを判定する(ステップS23)。
【0131】
ターミナル制御部101は、体温計200が測定した体温が、第1体温閾値未満であると判定した場合(ステップS23のYes)、第1発光色である緑色で発光部109を発光させる(ステップS24)。発光部109が緑色に発光していることを見たユーザは、被測定者の体温が第1体温閾値未満、すなわち平熱であることを知ることができる。
【0132】
ターミナル制御部101は、体温計200が測定した体温が、第1体温閾値以上であると判定した場合(ステップS23のNo)、体温計200が測定した体温が、第2体温閾値未満であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0133】
ターミナル制御部101は、体温計200が測定した体温が、第2体温閾値未満であると判定した場合(ステップS25のYes)、第3発光色である黄色で発光部109を発光させる(ステップS26)。発光部109が黄色に発光していることを見たユーザは、被測定者の体温が第1体温閾値以上かつ第2体温閾値未満、すなわち微熱であることを知ることができる。
【0134】
ターミナル制御部101は、体温計200が測定した体温が、第2体温閾値以上であると判定した場合(ステップS25のNo)、第2発光色である赤色で発光部109を発光させる(ステップS27)。発光部109が赤色に発光していることを見たユーザは、被測定者の体温が第2体温閾値以上、すなわち高熱であることを知ることができる。
【0135】
ターミナル制御部101は、ステップS23からステップS27において、体温計200が測定した体温に基づいて所定の発光色で発光部109を発光させると、再度、ステップS22と同様に、体温計200が測定した体温の情報を取得したか否かを判定する(ステップS28)。例えば、被測定者が一定の時間間隔をおいて再度体温計200を用いて体温を測定し、測定結果としての体温の情報をターミナル100が取得していた場合、ターミナル制御部101は、体温の情報を取得したと判定する。
【0136】
ターミナル制御部101は、体温計200が測定した体温の情報を取得したと判定した場合(ステップS28のYes)、ステップS23に移行し、体温計200が測定した体温に基づいて所定の発光色で発光部109を発光させる処理を実行する。
【0137】
ターミナル制御部101は、体温計200が測定した体温の情報を取得していないと判定した場合(ステップS28のNo)、経過時間に応じて、発光部109における発光態様を変更する。図9に示すフローの例では、ターミナル制御部101は、ステップS29からステップS31の処理により、時間の経過に伴って照度が段階的に低くなるように、経過時間に応じた発光態様の変更処理を実行する。
【0138】
具体的には、本実施形態において、ターミナル制御部101は、最後に体温の情報を取得してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS29)。所定時間は、適宜定めることができ、例えば数時間とすることができる。ここでは、所定時間は6時間として説明する。
【0139】
ターミナル制御部101は、最後に体温の情報を取得してから所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS29のNo)、経過時間に応じて発光態様を変更する(ステップS30)。例えば、ターミナル制御部101は、1時間が経過するごとに、徐々に照度が低くなるように、発光部109の発光態様を変更する。このようにして、ターミナル制御部101は、時間の経過に伴って照度が段階的に低くなるように、経過時間に応じた発光態様を変更できる。なお、発光態様の変更はこれに限られず、ユーザが視覚的に認識可能な任意の方法で行ってよい。例えば、発光態様の変更は、点滅パターンの変更であってもよい。発光態様の変更により、ユーザは、ターミナル100が最後に体温の情報を取得してからのおおよその経過時間を知ることができる。ターミナル制御部101は、ステップS30を実行した後、ステップS28に移行する。
【0140】
一方、ターミナル制御部101は、最後に体温の情報を取得してから所定時間が経過したと判定した場合(ステップS29のYes)、発光部109を消灯する(ステップS31)。発光部109が消灯されると、ユーザは、ターミナル100が最後に体温の情報を取得してから所定時間(ここでは6時間)が経過したことを知ることができる。この場合、ユーザは、被測定者が所定時間以上体温の測定を行っていないと推定することができる。ターミナル制御部101は、ステップS31を実行した後、ステップS28に移行する。このようにして、ターミナル制御部101は、発光部109における発光を制御することにより、被測定者の体温の情報を、離れた場所にいるユーザに表示することができる。
【0141】
図10は、体温測定モードにおいて、ターミナル制御部101が実行する処理の他の一例を示すフローである。ターミナル制御部101は、図9のフローに代えて、図10のフローを実行することができる。ここでは、図9のフローと共通する点については適宜説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
【0142】
図10のステップS21からステップS27に示すように、ターミナル制御部101は、図9に示すフローと同様に、体温計200により測定された体温に基づいて、第1発光色、第2発光色又は第3発光色で発光部109を発光させる。
【0143】
ターミナル制御部101は、体温計200により測定された体温が第1体温閾値未満であると判定し、ステップS24において第1発光色(緑色)で発光部109を発光させると、図9のステップS28と同様に、体温計200が測定した体温の情報を取得したか否かを判定する(ステップS28)。
【0144】
ターミナル制御部101は、体温計200が測定した体温の情報を取得したと判定した場合(ステップS28のYes)、ステップS23に移行する。ターミナル制御部101は、体温計200が測定した体温の情報を取得していないと判定した場合(ステップS28のNo)、図9のフローと同様にステップS29からステップS31の処理を実行する。すなわち、体温計200により測定された体温が第1体温閾値未満である場合、図9と同様の処理を実行する。
【0145】
一方、ターミナル制御部101は、体温計200により測定された体温が第1体温閾値以上であると判定し、ステップS26又はステップS27において第2発光色(赤色)又は第3発光色(黄色)で発光部109を発光させた場合、体温計200が測定した体温の情報を取得したか否かを判定する(ステップS32)。ステップS32における処理は、ステップS28と同様である。
【0146】
ターミナル制御部101は、体温計200が測定した体温の情報を取得したと判定した場合(ステップS32のYes)、ステップS23に移行する。
【0147】
一方、ターミナル制御部101は、体温計200が測定した体温の情報を取得していないと判定した場合(ステップS32のNo)、経過時間に応じて発光態様を変更する(ステップS33)。ステップS33における処理は、ステップS30と同様であってよい。ステップS33を実行した後、ステップS32に移行する。
【0148】
このように、図10に示すフローでは、体温計200により測定された被測定者の体温が第1体温閾値以上である場合、つまり微熱以上である場合、経過時間に応じて発光態様が変更されるが、所定時間が経過しても、ステップS31のように発光部109を消灯させることがない。つまり、図10に示すフローでは、発光態様による経過時間を表示しつつ、被測定者が微熱又は高熱のような平時と異なる状況においては、被測定者が発熱していることを表示し続けることができる。
【0149】
図11は、体温測定モードにおいて、ターミナル制御部101が実行する他の処理の一例を示すフローチャートである。図11は、ターミナル100の挿入孔130に体温計200が挿入されたか否かを判定するフローである。ターミナル制御部101は、図9に示すフロー又は図10に示すフローと同時に、並行して、図11に示すフローの処理を実行する。
【0150】
ターミナル制御部101は、発熱検知モードから体温測定モードに切り替わったときに、図11に示すフローを開始する。例えば、ターミナル制御部101は、図9及び図10に示すステップS21と同時に、図11に示すフローを開始してよい。図11のフローの開始時点において、ポップアップ・プルダウン機構107は、ポップアップ状態となっている。
【0151】
ターミナル制御部101は、ターミナル100の挿入孔130に体温計200が挿入されたか否かを判定する(ステップS41)。ターミナル制御部101は、例えば上述した図示しないセンサなどにより、挿入孔130に体温計200が挿入されたか否かを判定することができる。例えば被測定者が、使い終わった体温計200を挿入孔130に挿入した場合に、挿入孔130に体温計200が挿入されたと判定される。
【0152】
ターミナル制御部101は、ターミナル100の挿入孔130に体温計200が挿入されていないと判定した場合(ステップS41のNo)、挿入孔130に体温計200が挿入されたと判定するまで、ステップS41を繰り返す。
【0153】
ターミナル制御部101は、ターミナル100の挿入孔130に体温計200が挿入されたと判定した場合(ステップS41のYes)、すなわち被測定者などにより体温計200が挿入孔130に挿入された場合、体温計200をプルダウン状態にする(ステップS42)。ターミナル制御部101は、ポップアップ・プルダウン機構107により、図6に示すように体温計200をプルダウン状態にする。これにより、情報表示システム10は、体温測定モードから発熱検知モードに移行する。
【0154】
ターミナル制御部101は、リング状の方向指示部110を消灯させる(ステップS43)。ステップS43は、情報表示システム10が発熱検知モードであることを通知するために実行されるものである。従って、ステップS43において、必ずしも方向指示部110が消灯されなくてもよい。例えば、ターミナル制御部101は、図示しない、モードを通知可能なモード通知機構を備え、ステップS43において、モード通知機構により、発熱検知モードであることを通知してよい。
【0155】
そして、ターミナル制御部101は、図8のステップS4に移行し、ステップS4から、発熱検知モードとしての処理を実行する。
【0156】
次に、体温計200の体温計制御部201が実行する処理について説明する。図12は、体温計制御部201が実行する処理の一例を示すフローチャートである。体温計制御部201は、情報表示システム10が発熱検知モードから体温測定モードに移行した場合に、図12に示すフローを開始する。
【0157】
図12のフローの開始時点において、体温計200は、低消費電力モードで動作する。低消費電力モードは、被測定者の体温の測定を実行するために待機している状態のモードである。体温計制御部201は、低消費電力モードにおいて、所定の時間間隔で、測温部206で検出される温度の変化を検出する。
【0158】
体温計制御部201は、低消費電力モードにおいて、モードを切り替えるか否かを判定する(ステップS51)。具体的には、体温計制御部201は、低消費電力モードから検温モードに切り替えるか否かを判定する。ここで、検温モードは、体温計200による被測定者の体温の測定を実行するモードである。体温計制御部201は、例えば、所定の時間内に、測温部206における所定の温度上昇を検出した場合に、モードを切り替えると判定する。ここでの所定の時間及び所定の温度上昇の範囲については、体温計200の仕様などに応じて適宜定めることができ、公知の体温計と同様とすることができる。なお、体温計制御部201は、体温計200に対して、体温の測定処理を開始するための所定の入力操作が行われた場合に、モードを切り替えると判定してもよい。
【0159】
体温計制御部201は、モードを切り替えないと判定した場合(ステップS51のNo)、モードを切り替えると判定するまで、ステップS51を繰り返す。
【0160】
体温計制御部201は、モードを切り替えると判定した場合(ステップS51のYes)、低消費電力モードから検温モードに切り替える(ステップS52)。
【0161】
そして、体温計制御部201は、被測定者の体温を測定する(ステップS53)。
【0162】
体温計制御部201は、体温の測定が終了したか否かを判定する(ステップS54)。予測の検温を行う場合、体温計制御部201は、被測定者の体温の予測が成立した場合に、体温の測定が終了したと判定する。また、実測の検温を行う場合、体温計制御部201は、体温の測定処理の開始から所定時間(例えば4分)が経過した後に温度低下が見られた場合に、体温の測定が終了したと判定する。体温の測定の終了は、その他公知の体温計が実行可能な方法で判定してよい。
【0163】
体温計制御部201は、体温の測定が終了していないと判定した場合(ステップS54のNo)、体温の測定が終了したと判定するまで体温の測定を継続する。
【0164】
体温計制御部201は、体温の測定が終了したと判定した場合(ステップS54のYes)、体温計報知部208から、体温の測定が終了したことを報知する(ステップS55)。体温計報知部208は、例えば音により体温の測定が終了したことを報知することができる。
【0165】
また、体温計制御部201は、表示部207に、体温の測定結果を表示する(ステップS56)。この表示により、被測定者は、体温の測定結果を知ることができる。
【0166】
また、体温計制御部201は、体温計通信部204から、体温の測定結果の情報をクラウド300に送信する(ステップS57)。情報表示システム10がクラウド300を有さない場合には、体温計制御部201は、体温の測定結果の情報を直接ターミナル100に送信してもよい。
【0167】
そして、体温計制御部201は、検温モードから低消費電力モードに切り替える(ステップS58)。このようにして、このフローを終了する。体温計制御部201は、このフローを終了した場合、ステップS51から再度実行してもよい。
【0168】
本実施形態に係る情報表示システム10によれば、ターミナル100は、体温計200により測定された体温に基づいて、所定の発光色で発光部109を発光させるため、ユーザは、被測定者の体温の情報を知ることができる。また、情報表示システム10によれば、経過時間に応じて発光部109における発光態様が変更されるため、被測定者について測定された体温の情報が、どの程度前の情報であるかを知ることができる。このようにして、情報表示システム10は、体温の測定に関する有用性を向上可能である。
【0169】
本実施形態では、被測定者の体温が、第1体温閾値未満であるか、第1体温閾値以上かつ第2体温閾値未満であるか、第2体温閾値以上であるかに応じて、異なる発光色で発光部109が発光されるため、ユーザは、被測定者が、平熱であるか、微熱であるか、高熱であるかを知ることができる。
【0170】
また、本実施形態では、発熱検知モードにおいて、体温が第3体温閾値以上のユーザが検出された場合に、方向指示部110が、当該体温が第3体温閾値以上のユーザを指し示す。そのため、体温が高いと思われるユーザが発見された場合に、当該ユーザへの検温を促すことができる。
【0171】
なお、情報表示システム10は、さらに他の電子機器を備え、当該電子機器に、体温計200により測定された体温を表示してもよい。例えば、電子機器は、携帯電話やコンピュータなどの端末装置であってよい。当該端末装置は、クラウド300又は体温計200から、体温計200により測定された体温の情報を受信する。当該端末装置は、受信した体温の情報を表示画面に表示することにより、被測定者の体温をユーザに知らせることができる。また、当該端末装置は、ターミナル100と通信して、ターミナル記憶部102に記憶されている体温閾値、発光色、発光態様に関わる設定値を変更することができる。
【0172】
また、上記実施形態では、ターミナル100と体温計200とが一組で使用されている。しかしながら、ターミナル100は、必ずしも当該ターミナル100と組になっている体温計200により測定された体温の情報を、発光部109を発光させることにより表示しなくてもよい。ターミナル100は、例えば、他の組の体温計200により測定された体温の情報を、発光部109を発光させることにより表示してもよい。例えば、一人のユーザが属する家族と、当該ユーザの親族(例えば両親など)が属する家族とが、ターミナル100と体温計200とを備える情報表示システム10を、それぞれ一組ずつ所有していたとする。当該一人のユーザが所有するターミナル100に、当該ユーザの親族が属する家族が所有する体温計200により測定された体温の情報を、発光部109を発光させることにより表示してもよい。これにより、異なる家族間での情報共有を行うことができる。
【0173】
本開示に係る情報表示システム、ターミナル及び情報表示方法は、上述した実施形態で特定された構成に限定されず、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0174】
本開示は、情報表示システム、ターミナル及び情報表示方法に関する。
【符号の説明】
【0175】
10:情報表示システム
100:ターミナル
100a:上面
100b:底面
101:ターミナル制御部
102:ターミナル記憶部
103:ターミナルクロック部
104:ターミナル通信部
105:充電部
106:入力部
107:ポップアップ・プルダウン機構
108:温度検知部
109:発光部
110:方向指示部
111:ターミナル報知部
120:コネクタ
130:挿入孔
200:体温計
201:体温計制御部
202:体温計記憶部
203:体温計クロック部
204:体温計通信部
205:バッテリ
206:測温部
207:表示部
208:体温計報知部
300:クラウド
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12